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2010年2月 3日 (水)

全ては誤解のせいなんです(?)

ちょうど昨日取り上げました毎日新聞の記事で、厚労省の官僚が財務省と示し合わせて診療報酬プラス改定を捏造したのでは?という疑惑が表沙汰になってきました。
これと関連してということになるのでしょうか、これまた昨日2月2日の公開ですが、厚労省から「それは誤解ですよ」という告知が出ていましたので、紹介しておきましょう。

平成22年度診療報酬改定の改定率について(2010年2月1日厚生労働省HP)

○ 先日、一部報道において、平成22年度診療報酬の改定率に関して、後発医薬品の置き換え効果の精算分約600億円が、改定率の計算に盛り込まれていないことから、実質ゼロ改定である旨の報道がありました。

○ 厚生労働省としては、従来から後発医薬品の使用促進、すなわち、「先発品から後発品への置き換え」による財源は、本来的に医療機関の収入とみなされるべきものの減少につながる訳ではないことから、一貫して、診療報酬改定の財源とはしてこなかったところです。

○ 今般の後発医薬品の置き換え効果の精算分600億円についても、後発医薬品の使用促進が進んでいない現状を是正するために実施するものであり、後発品の使用促進と同様、診療報酬の改定財源とはしていないところであります。

○ このように、平成22年度の診療報酬の改定率については、従来と同様の考え方で計算しているところであり、その率は、これまでの説明のとおり、診療報酬本体の改定で+1.55%、薬価等の改定で△1.36%、合計で+0.19%であります。

○ なお、報道にあった当省の幹部が、診療報酬の改定率に関して、報道にあったような打ち合わせを行った事実はありません

いやいや、厚労省もいろいろと誤解?を受けることが多くて大変だなと感じ入るところですけれども、何にしろ例によって毎日新聞が無から有を捏造(笑)したのか、あるいは厚労省が官僚の知恵(笑)で国民を煙に巻こうとしているのか、いずれにしても信頼性に関しては丙丁つけがたい対決の様相を呈してきたところでしょうか。
この件に関してはもう少し詳細な検証が必要になってくるのだろうと思いますが、医療行政絡みではこのところ色々と誤解?を受けることが多い様子で、例えば先ごろの仕分け作業の最中に突然勃発した「漢方薬保険外し問題」などもその一つですよね。
漢方薬が保険適応から外されるなんて話が突然出てきまして、漢方の大手が「こんなことをされては漢方薬メーカーは潰れるしかない!」と大騒ぎしたあの問題ですが、ネット上での患者側なども加わっての反対署名呼びかけなども相乗効果を発揮し、三週間で27万通もの反対署名が集まった結果もあってか、引き続き保険適応継続という方針がまとまったようです。
いずれにしても漢方も医療に組み込まれている以上はこれは混合診療問題などとも絡みかねない大ネタですから、おいそれと仕分けされても現場は大混乱だろうとは思う話ですけれども、この件に関して当の仕分け人は全くの誤解であったという弁明を行っています。

漢方薬保険適用除外は【誤報】です! 仕分け人枝野議員が明言(2009年12月9日JANJAN)

 民主党連立政権の行政刷新会議による事業仕分け作業の統括役である枝野幸男議員が、12月8日夜、CS朝日ニュースター「ニュースの深層」に出演した。

 上杉隆キャスターと「事業仕分け」について語る中で、枝野議員が「事業仕分け結果の誤解・悪用」の実例としてまず挙げたのが、【漢方薬】が「保険適用から除外される」とマスコミで一斉に報道された問題だった。

◆ 仕分けのほとんどは【中抜き・ピンハネ・重複・縦割り】のムダ指摘

 11月27日に終了した事業仕分け作業は、様々な批判的な報道をされながらも、結果的に国民一般からは7割を超える高い評価を受けた。前政権時代には「アリエナイ」画期的な「情報公開」の一種であることが理解されたのだろう。

 しかし、仕分け現場での実際のやりとりの内容を確認せずに、恣意的とも見えるマスコミ報道がいくつもなされた、と枝野議員は言う。

 ノーベル賞受賞者の野依良治博士が理事長をしている文科省所管の独立行政法人「理化学研究所」に関しては、その組織内に高給取りの役員として文部科学省のOBが何人も天下りしている。

 野依理事長は仕分けの現場には来なかったが、科学研究現場の為の予算が削られるかのような前提で、「仕分け」に対する批判の会見をした。そのときにマスコミの記者たちは研究所内の「天下り役員」の存在について質問していない

 宇宙飛行士として有名な毛利衛さんが館長である「日本科学未来館」についても、仕分け人が問題にしたのは、予算「中抜き」のムダな組織が寄生していることだ。ここにも文科省の天下りがいる。

 仕分け人から、「なぜ同科学館の予算が国から直接出されずに、間に科学技術広報財団を経由させているのか」という問いかけがあり、毛利さんは「そうなんです。アメリカに、館の運営についてアドバイスを求めたところ、二重構造に問題があるとの指摘を受けました。これについて、3年前に文科省に改善を求めました。しかし、いまだ現状のままです」と答えている。
 つまり、毛利氏は仕分け人の言い分に納得したのだが、報道は「対立」「激論」というニュアンスだった。

 「スポーツ」関連の予算の「見直し」の意図も、「現場」の為の予算を削ったのではなく、枝野議員の言い方によれば【中抜き・ピンハネ・重複・縦割り】によるムダを指摘したのにもかかわらず、それが正しく報道されず、誤解に基づいて、関係有名人が「仕分け」が不当であるとして抗議の会見をしたことが大きく報道された

 枝野議員にすれば、「抗議する相手が違う。予算を効率的に使うためには、独法や財団などにOBを天下りさせている文部科学省に文句を言うべきだ」ということになる。

 ここまでに挙げたのは、「ムダな予算削減に抵抗する側」に加担するような報道の例である。ところが、逆の「誤報」もある。

◆ 財務省にコントロールされたメディア

 【漢方薬】についてのマスコミ【誤報】は、「予算削減したい」財務省側に加担した格好だ。
 薬品の健康保険適用範囲についての仕分け作業に先立って、予算を「削りたい」ほうの財務省と、「守りたい」ほうの厚生労働省の双方から、おなじくらいの分量の資料(ペーパー)が仕分けチームに提出されている。

 仕分け人たちは、それを事前に読み込んだ上で、公開の場での約1時間の、仕分け人と担当官僚などとの質疑応答に臨む。それはすべて記録されているし、ネット上で中継された。

 ここでは仕分け人の誰一人として「漢方薬」について言及していない
 うがいクスリ、湿布薬、ビタミン剤については、具体的に薬品名を挙げて「同等の市販品が安く入手できるもの」については、保険適用から外すことも検討すべき、としたが、財務省の事前ペーパーにあった「漢方薬」には仕分け人は触れておらず、除外する薬品の判断は厚労省と財務省でよく協議検討すべし、という結論になった

 そのことは、現場で取材していた記者たちは正しく理解したはずだし、枝野議員は、日本テレビの全国放送番組などで「漢方薬を保険から外すとは決まっていない」と何度も述べたのに、系列の新聞さえもが、逆の誤報を前提として「仕分けチーム批判」の社説まで書いたのだという。

 なぜか、他紙もテレビニュースも、いっせいに同様の報道をしたので「署名運動」などの大騒ぎになったのは周知のことである。11月11日の事業仕分けの翌日に、漢方薬大手の「ツムラ」の社長が自ら、誤解に火をつけるような発言をした。経営者としてはおかしな行動だと筆者は感じる。自社の株価などにただちに跳ね返る情報を、この社長は、自ら確認しなかったのだろうか?

 また、短期間に27万人もの署名を集めた「東洋医学会」も、仕分けの音声や映像の記録を確認しなかったのだろうか? 筆者は、どうも腑に落ちない。

◆ 予算を巡る各方面の思惑が渦巻く

 仕分けの対象になる事業については、「頼んでいないのに財務省が勝手に持って来た」リストを、参考にはしたが、仕分けチームに直接「垂れ込み」もたくさんあったという。
 予算のムダを探し出す本来の役目は「会計検査院」の仕事だが、そこで詰め切れていない事業も参考にして、7割ほどは重なったが、対象事業全体の3割ほどは、財務省のリストにはなかったものが加えられたそうだ。

 財務省の主計官が「仕分け作業」に同席した。それをもって「財務省主導だった」と批判する向きもある。しかし枝野議員によれば、実際の予算査定に関る主計官が、すべてのやりとりを知っているのだから、それを適切に予算編成に反映させてくれ、という意味合いだそうだ。

 ところが、どうも「裏切り」があるらしい。【中抜き・ピンハネ】の部分で予算2割削減としたはずのものが、そこは温存されて、現場の予算が2割削減、などという、仕分けの意図に反した予算編成がされる例があるという。

 してみると、マスコミの【仕分け批判誤報】は、官僚組織とグルか、と勘繰りたくもなる。

 事業仕分けの現場には、【記者クラブ】のための机も電源もなかった。一般報道陣や見学者と同じ扱いだったわけだ。

 自民党時代の長いあいだ、役所の中に占有専用の場所をタダで提供され、政官業など各界のVIPの会見では特権的に質問し、国際会議にはアゴアシつきで招待され・・・、という「優遇」に慣れてきた大手メディアにとっては、天木直人さんの言い方を真似れば、「腰を抜かす」ほどの大変化なのだろう。

 役所でもメディアでも、仕分けの現場に来ていない『上』のほうが、事業の意義に抵抗しているのかもしれない。

 考えてみれば、還暦を過ぎた「民主国家ニッポン」にとって初体験の「事業仕分け」という大掛かりな「情報公開」で明らかになったのは、税金の使われ方のデタラメさ・政官業の癒着と同時に、「大手メディアと権力との癒着」の実相なのではないだろうか?

まああの時点でまだ何も決まったわけではなかったのも確かだったのかも知れませんが、決まってから動いても遅いというのも過去の医療行政を見ていてこれも確かなことですから、根拠が誤報であれ何であれ「それは仕分けされては困る」と当事者が大きな声を出したことは非常に真っ当な反応であったと思います。
一方で財務省や厚労省ら官僚たちの思惑が複雑に交錯して仕分け作業というものが何やら意図を歪めて?煮詰められていったという実態も、まあそういうことは多々あるだろうと言われているところではあったのですけれども、ここで言及されているのはその官僚組織の思惑を実現化するために、どうもマスコミが手を貸していたのではないかとも取れるような行動があったという話なんですよね。
具体的に官僚と手を組むことでマスコミの側にどんなメリットがあるのか、記者クラブを今後もよろしく…と便宜を図ってもらう程度のことで手を打ったのかといった状況は判りませんし、仕分け人側の自己弁護的な話である点を割引いて考えなければなりませんけれども、日本のマスコミの取材力では官僚と本気で喧嘩をすれば全く記事が書けなくはなるだろうなという程度の推測は、状況証拠として成立しそうではありますよね。

しかし政と官の主導権争いといった構図で語られる機会の多い現政権ですけれども、誰が主導権を握っているのかという話はなかなか表に出てこない、出てきたと思えばそれは誤解だと訂正が出てくるとなると、一体何が本当なのか素人目には判りにくいのですけれども、これも誰かが意図的に混乱させようとしているのでしょうかね?
近頃では政治家から官僚、マスコミと、何かあれば「誤解だ誤解だ」という弁解ばかりが出てくる時代ですけれども、ある程度情報を集めてみれば誤解かどうかもかなり判明し突っ込みも入れられる時代になってきた中で、逆に誤解させようとしている主体の意図というものも考えていかなければならないということなのでしょうか。

ところで誤解と言えば、先日唐突に降って湧いたように出てきたこちらの話も、今のところどこもあまり大きく取り上げる気配がないことから世間の注意を引いているようには見えませんけれども、実施するということになればこれまた各方面で誤解数多ということになりそうで、今から注目しているのですが(笑)。

処方せん記述方法 基準通知へ(2010年1月28日NHK)

 厚生労働省は、医師が処方せんに書いた投薬の指示が不明確で、医療事故が起きているとして、記述する服用の量は1回の量を基本とするなどとした、処方せんの記述方法の基準を取りまとめ、29日に全国の医療機関などに通知することになりました。
 処方せんは、医師が投薬の量や回数を記述し、薬剤師に指示するものですが、厚生労働省によりますと、医師や医療機関によって、服用の量について1回の量で書いたり、1日の量で書いたりするなど、書き方にばらつきがあるということです。そして、指示の行き違いによって、患者が必要な量よりも多く服用して体調を崩すといった医療事故が起きています。このため、厚生労働省は、医師の指示が明確に伝わるようにする必要があるとして、記述方法の基準を取りまとめました。
それによりますと、▽記述する服用の量は1回の量を基本とし、▽服用の日数は、毎日は服用しない薬もあることから、実際に服用する日を合計した日数とするとしています。このほか、1日の服用の回数やタイミングは、日本語で明確に記述することなども盛り込まれており、厚生労働省は、29日に全国の自治体や医療機関、それに薬局でつくる団体などに通知することにしています。

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