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2010年2月16日 (火)

産科崩壊までまだまだ追い込みをかけますよ、だそうです(笑)

過日一部メディアでこういう記事が出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。
ちなみにこのネタのソースですけれども、「分かった」などというとまるで天からネタが降ってきたかマスコミの独自取材か何かであったかのようにも聞こえますけれども、当事者である産婦人科医会が自分で公表した話であるという点にも留意ください。

半数の施設が出産費値上げ 一時金直接払いで(2010年2月10日47ニュース)

 日本産婦人科医会の全国調査で、出産一時金を妊産婦が立て替え払いせず、公的医療保険が医療機関に直接支払う制度が導入された昨年10月以降、48%の施設が出産費を値上げしたことが10日、分かった。

 直接支払い制度をめぐっては、病院や診療所などに入金されるまでに2カ月近くかかる可能性があり、資金繰りに窮する医療機関が出る恐れが指摘されていた。同医会は「借金で経営が厳しくなり、値上げせざるを得なくなったところもあるのではないか」としている。

 調査は昨年12月、同医会に登録している全国2806の病院や診療所を対象に実施、1736施設が回答した。値上げを検討しているところも23%あったほか、制度の実施で、金融機関から借金をしないと経営困難に陥る可能性があると答えたところも15%あった。

 都道府県別の制度の実施率では、東京都が最も低い59%。一方、青森や新潟、鹿児島などでは100%だった。

 直接支払い制度は一部の医療機関については導入が猶予されているが、今年4月に完全実施が予定されている。

産婦人科7割が出産費値上げの考え 一時金待てない(2010年2月11日朝日新聞)

 出産育児一時金が医療機関に直接支払われる制度が昨年10月から始まったが、医療機関が健康保険組合(健保)などに申請してから実際に費用を受け取るのに1~2カ月かかるため、金融機関からの借入金などの負担が増して、お産を扱う病院や診療所の7割が出産費用を値上げしたり、値上げを予定していたりすることがわかった。開業の産婦人科医らでつくる日本産婦人科医会が10日、公表した。

 出産育児一時金(42万円)は従来、妊婦らが出産後に健保などに申請し支払いを受けていた。支払われるまで、妊婦らは40万円以上かかることもある出産費用を立て替える必要があった。そこで、「直接支払制度」を設けて、出産育児一時金を医療機関に直接振り込むようにした。昨年10月から任意で医療機関が導入を始めたが、医療機関の反発も強く今年度末まで全面的な導入は延期されている。

 特に産科が主体の診療所にとって出産費用は収入の大半を占める。資金がないと、1~2カ月間の支出をまかなうため借り入れが必要となる。その後も、借入金や利子の返済などが続くため、値上げを迫られている診療所は少なくないとみられる。

 産婦人科医会が制度の影響について出産を扱う全国の医療機関にアンケート。約6割の1770カ所から回答を得た。その結果、40%がすでに値上げをしていた。値上げしたがさらに引き上げを検討しているのは8%、近々、値上げを考えているのは23%。

 制度導入と同時に一時金の額が4万円上がったため、その分だけを上乗せした医療機関もあるが、経済的負担軽減などのため数万から十数万円値上げしたところもある。

 7割の医療機関が、直接支払制度により経営上の影響があるとした。診療所でその比率が高く、85%が影響があるとした。42%は借り入れが必要で、うち21%は借り入れしなければ経営困難に陥るとした。病院も含めてすでに535カ所は民間金融機関などから借入金があることもわかった。

    ◇

 北里大の海野(うんの)信也教授(産婦人科)は、「出産を扱う医療機関が不足しているのに、この制度によりさらに減ったら大変だ。制度の問題は、支払いまでに時間がかかり過ぎること。妊娠がわかってから出産までには十分に時間がある。事前に手続きができるようにすれば出産直後の支払いは可能だ」と話す。(大岩ゆり)

まあ海野先生の言うことが正論なんでしょうが、しかしこの産科分娩料値上げの話題、マスコミさんは少し前には「出産一時金増額につけ込んだ便乗値上げだ!」と一方的にバッシングしていたものを今更何を言っているのでしょうか?
さすがにああまで言われては産科医会も黙っていられなかったということなのでしょうが、これも下手をすると例によって握りつぶされて「また金の亡者の悪徳医者か!」で終わっていたかもしれないと考えると、今の時代いかにマスコミのフィルターを回避して自前で情報発信をしていくかが重要であると改めて思い知らされますね。

この出産一時金の制度にしても元々は分娩料未収問題などが下地にあって、妊婦は元より現場にこれ以上負担を書けないように優しい制度にするべきものであるはずが、実際には申請業務に加えて資金繰りの面でも余計な負担をかけているという現実があって、一体国は何がしたかったのかと疑問無しとしないような状況です。
このあたりの国の思惑と言いますか裏事情が実施に伴って少しずつ明らかになってきているのかなと思われるのが、こちらの記事なんですね。

出産育児一時金:産科診療所2割が不安 新制度で入金遅れ(2010年2月14日毎日新聞)

 出産育児一時金を医療機関に直接振り込む新制度が09年10月に導入された影響で、産科診療所の約2割が経営破綻(はたん)を懸念していることが、日本産婦人科医会の調査で分かった。手続き上、入金が従来より最長2カ月遅れることで、資金繰りが悪化したのが主な原因。厚生労働省は準備が間に合わない医療機関に3月末まで半年間の導入猶予を認めている。

 健康保険から支払われる出産育児一時金は09年10月の緊急少子化対策で38万円から42万円に増額されたことに合わせ、母親ではなく医療機関への直接払いに変わった。母親側は退院時に多額の現金を用意する必要がなくなり、医療機関側にも費用の未収がなくなるメリットがある。しかし請求は月1回で振り込みが翌月のため、医療機関への入金は出産の1~2カ月後になる。

 医会が12月、分娩(ぶんべん)を扱う約2800の全医療機関に実施したアンケート(回収率63%)では、新制度に移行済みの施設は、病院が95%、診療所が80%。18%の施設で未収が減るなど一定の成果があった一方で、69%が経営へのマイナス影響を指摘した。特に診療所は、21%が「新たに借金しないと経営困難に陥る可能性がある」と回答し、約半数が制度の改善や廃止を求めていた。

 資金繰り悪化に対応するため、厚労省所管の独立行政法人「福祉医療機構」は3000万円まで無担保の低金利融資を始めたが、診療所では相談があった244施設中、半数以下の111施設しか融資が決まっていない。医療機関からは「院長が高齢だったり、債務がある施設は、貸し渋りに遭っている」との不満も出ている。

 一方、開業医で作る「産科中小施設研究会」の医師ら約40人は、新制度が医療機関への財産権侵害などに当たるとして、厚労省を相手取った訴訟を準備中。東京都江戸川区の診療所院長は「制度移行を強制すれば、廃業に追い込まれる医療機関が続出する」と訴える。厚労省も「医療機関が減る事態は避けたい」としており、猶予の延長や、請求を月2回にするなどの対応を検討している。【清水健二】

特に記事中で注目していただきたいのは、かねて各方面で色々と話題の(笑)福祉医療機構による、貸し渋りによって過半数の施設で融資が受けられていないという部分です。
元々一時金の入金が遅れて零細産科開業医の経営が難しくなることは予想されていた、それに対して国は「いや大丈夫です。福祉医療機構が運転資金を貸しますから」と言っていたわけですが、実際には貸付が行われていないという現実が明らかになったわけですよね。
そもそもこの福祉医療機構自体が立派な天下り団体で、しかも要保証人できっちり利子をとって貸し付けるという団体ですから何のことはない、零細開業産科医にすれば何も悪いことをしていないのに国の政策で勝手に借金漬けにされた挙句、今後一生天下り団体に上納金を貢がされ続けることを強要される立場に追いやられるという仕組みであるわけです。

しかし厚労省もいざという時の駆け込み天下り先にも活用出来るこういう団体をキープしておきたい気持ちも理解は出来ますが、こうまであからさまな利権誘導というのもどうなんだと正直思いますね。
当然ながらネット上では「あまりに予想通り過ぎる展開ワロス」の声が満ち溢れているというのが現状ですが、この誰でも判る程度の予想通りな状況に当の厚労省が、まるで思いがけない出来事ででもあったかのようにコメントをしているというのはどういうことなんでしょうか(笑)。

271 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/14(日) 09:51:53 ID:7AynGWRQ0
>>267

まさに「予想通り」でワロタ

>資金繰り悪化に対応するため、厚労省所管の独立行政法人「福祉医療機構」は
>3000万円まで無担保の低金利融資を始めたが、診療所では相談があった
>244施設中、半数以下の111施設しか融資が決まっていない。

融資の条件が超厳しくかつ手続きが煩雑ではじめから「貸す気が無い」のはミエミエだったからな
逆に111施設「も」融資できたこと自体驚きwww

マスコミ諸社も分娩費用が上がれば脊髄反射で「便乗値上げだ!」と叩くだけで、こういう背後関係を全く追求しないというのは単に相変わらず足りないからなのか、それとも厚労省を始めとする方々に何かしらの配慮をしているということなのか、果たしてどちらなんでしょうね?
何にしろ、国策としてこうやって産科医を追い詰めて一体何がしたいのかと、恐らく産科医以上に分娩場所を無くしつつある当事者である妊婦さん達が一番釈然としないだろう話なのではないでしょうか。

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