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2010年2月

2010年2月28日 (日)

今日のぐり:「江戸切りそば 石泉 (せきせん)」

他国の文化を妙に誤解しているという事例は世界中どこにでもある話ですけれども、一見誤解しているように見えて実は妙に深いところまで理解しているんじゃないかとも思わされたのがこちらの話です。

イギリスCM「日本のパロディ」を見た外国人の反応(2009年5月27日ロケットニュース24)

イギリスで5月から放送している、コカ・コーラ社の『Oasis(オアシス)』というドリンクのCMがyoutube(動画投稿サイト)で人気だ。「アヒルのおもちゃ」が日本の街で大暴れするというデタラメな設定がウケて、すでに日本でも話題になっている。日本の「良きオタク文化」を象徴するような、少々バカげた演出だけに、外国人がどのように見ているのか気になるところである。

タイトルは、『RubberDuckZilla(ゴム製ダックジラ)』(アヒルとゴジラの造語)で、内容は日本の特撮映画風に作られている。(動画はこちら)

日本人の姉妹が『Oasis』を旨そうに飲んでいるところに、父親と母親が「ここでは水しか飲んではいけませんよ!」と娘たちを説教。そこへ水が嫌いなゴム製の巨大なアヒルがビルを破壊しながらやってくる。『Oasis』が大好きな姉妹は、街が破壊されたにも関わらずその水嫌いのアヒルにすがりつく、というものだ。

なんだかよくわからない内容だが、一瞬映し出される本格的な戦闘シーンは見物だ。父親と母親役が話す、たどたどしい日本語も興味深い。これに対して youtubeでは、すでに同じ動画がいくつもアップされており、中には100を超えるコメントがつくなど宣伝効果としては大成功といったところか。CM を見た外国人の反応は次の通り。

・日本人の広告は好きだけど、水が苦手なアヒル? はあああ…?(イギリス)
・水が嫌いな人々がどこにいるんだい。(イギリス)
・日本人はかわいこちゃんだね。(オーストラリア)
・ほかの国の大衆文化の愚かさは笑える。(イギリス)
・日本ではいたって普通の広告なんだろう。(オーストラリア)
・適切な英語を話してくれ。そうすれば理解できるはずだ。(タジキスタン)
・この広告は…なんというか…すげええ!!!!!(イギリス)
・冒頭はなんだかセクシーな雰囲気だなあ。(イギリス)
・オーマイガーッ! 凄まじくて、すごく“Kawaii”。(イギリス)
・このすごい広告をテレビで2回もみたよ。(イギリス)
・企画者に強い嫌悪を感じる。(イギリス)
・偉大なる「ラバーダックジラ」と「オアシス」にひれ伏します!(アメリカ)
・「ラバーダックジラ」は私のヒーローだよ!(アメリカ)
・両親と子供たちに何もなかったのは、ちょっと差別的じゃない?(アメリカ)

良くも悪くも、誰もが驚きを隠せないといった様子。中には、「水が苦手なアヒル」という設定に納得がいかないという冷静な感想もチラホラみえる。なんでこんな企画をしたのだろうと日本人でさえ疑問に思うかもしれないが、今回のCMは20代を対象にしており、ゲームやアニメに触れて育ってきた若者が興味を持つような企画にしたという。そこで日本の「特撮」が用いられるとは、光栄といおうかなんといおうか、なんだか複雑な気分ではあるが……。寄せられたコメントの多くは十代半ばで、想定よりもちょっぴり若い顧客の注目を集めてしまったようだが、どちらにしても結果オーライということか。

※『Oasis』について
主に欧米で販売されている非炭酸のソフトドリンク。砂糖と甘味料が入った果汁飲み物だが、「水に代わる手段として大人を対象」としている。オレンジやベリー系など数種類の風味があり、普通のジュースよりもサラリとした飲み口が人気。欧米へ旅行の際にはぜひお試しあれ。

■参考リンク
(イギリス)コカ・コーラ公式サイトより『Oasis』商品一覧

実際に見てみますとこのCM、何かちょっと日本語がたどたどしかったりどう見ても親子に見えなかったりするところが気にならないでもないですが、全般に相当に研究しているということなのか、音楽なども含めてこの馬鹿馬鹿しいセンスは妙に今風の日本を感じさせるところがありますね。
本日は水の嫌いなアヒルに敬意を表して、またしても世界に冠たるブリネタを紹介していきたいと思いますが、まずはこちら「さすがブリ」とある意味定型的なかの国への偏見?を助長させるような話題です。

スーパーにもドレスコード?英国(2010年2月14日ココログニュース)

イギリスの大型スーパーマーケットTesco(テスコ)の「規則」に多くの買い物客が反発していることが地元メディアによって伝えられている。Tescoは、世界で3本の指に入るイギリス発の大手小売企業で、日本でも事業を展開している。

ケンブリッジシャー州にあるTescoでは、娘を肩車したまま入店しようとした48歳のマーティンさん親子が入り口でスタッフに止められ、娘を下してようやく入店を認められた。店側の説明によると「親子の安全と他の客の安全のため」とのことだが、マーティンさんは「信じられない。幼い娘に床を歩かせたらもっと危ないだろう」と納得がいかず、娘は「二度と行きたくない」とご立腹だという。

ほかにも、24歳の女性がパジャマ姿で入店して追い出され、ブランド物のトラックスーツを着た26歳の女性が入店を拒まれ、足の病気で靴下が履けない47歳の作家が店からつまみだされるなど、各地のTescoで「事件」が報告されている。Tesco広報担当の話によれば、イギリス国内の店舗で統一された「規則」ではなく、各店舗がそれぞれ独自に定めているという。なかには、トイレに小型カメラを設置して従業員がサボっていないか監視する店まであるという。何とも堅苦しいスーパーマーケットである。

日本で言えばブリ=紳士の国ということに(一般では)なっているようですから、まあこういうこともあってもおかしくないかと思う人も多いんでしょうけれども、かの地での評判というのはどうなんでしょうね?
一方で未だ多くの日本人にブリと言えば古い貴族社会というイメージもあるかと思いますけれども、今どきこういう貴族趣味というものはやはりダメなのだなと思わされる話題もあるようです。

英男性が秘密で建てた城、裁判所が取り壊し命じる(2010年2月5日ロイター)

 [ロンドン 3日 ロイター] 英サリー州で農業に従事する裕福な男性が、法律の抜け穴を利用しようと、干し草の壁の内側でひそかにチューダー様式の城を建てたが、裁判所が1日、取り壊しを命じた。
 地元の法律では、許可なく建てた建物でも4年間不服の申し立てなどがなければ、合法的なものとして認められることになっており、60歳の男性は建設に2年を要した夢の城が当局に見つかるまでに、家族と4年以上暮らしていた。
 しかし、プレスアソシエーション(PA)によると、ロンドンの高等法院は、男性がこのような手口によって得をすることは許されず、この建物は違法との判決を下した。
 城には、城壁や小塔のほか、温室や野外パーティー用のテント、木製の橋、中庭、競馬場なども備えられていたが、規制が特に厳しいエリアに建てられており、2007年には地元議会が撤去を命じていた。
 男性は上訴する意向を示している。

元記事の方には写真も貼られているんですけれども、こういうのはシャトーと言うんでしょうか、何か確かに馬に乗って闊歩するのが似合いそうな建物ではあるのですが、しかし隠してまで勝手にこういうものを作るというのはどうなのかと思うのですけれどもね。
ところでブリと言えば何はなくともお茶がなければと言うイメージは鉄板ですが、何やら自己の存在意義を否定するような話がこちらです。

イギリスの庭園で紅茶を飲むことが禁止に、理由は「うるさい」から(2010年02月15日GigaZiNE)

世界でもトップクラスの紅茶消費量であるイギリス。そのイギリスにある修道院で、紅茶を飲むことが禁止される場所ができるそうです。理由は紅茶をすする音などがうるさいからということですが、美しい景色を眺めながら紅茶を楽しめなくなるということで、反対意見を出している人もいます。

詳細は以下から。

Tea drinkers banned from abbey garden in UK for slurping too loud - dnaindia.com

紅茶が禁止されるのはノーサンプトンのDelapre修道院の庭園。禁止の理由は人々が紅茶を飲む音や食器を鳴らす音が大きく、平穏が妨げられるというものだそうで、ノーサンプトン議会のAndrew Holden氏は「我々は庭園を平和な空間として保ちたい。紅茶を飲むことはそれを阻害する」としています。

年間12万人の訪問者があるDelapre修道院では、庭園のティールームでの収益が大きな財源になっているそうですが、修道院の前の駐車場として使われている所にテーブルとイスを移し、今後はそこで紅茶を飲むようにするとのこと。Delapre修道院の友の会・会長であるGraham Walkerさんは「美しい庭ではなく駐車場で紅茶を飲むのでは雰囲気が台無しだ」と訪問者の減少を危ぶんでおり、議会との妥協案が見つかることを望んでいます。

リンク先の画像を見ていただきますとこれがまた良いお庭なんですけれども、さすがに駐車場でお茶では雰囲気が台無しだと思うのですが…
さて、やはりブリと言えば今や変態ネタがなければ話が始まりませんけれども、最後にこちらのいかにも「らしい」話題を紹介しておきましょう。

「パイプからペニスが抜けなくなった!」と病院に駆け込んだ男(2010年01月08日デジタルマガジン)

 今週火曜日、イギリス南部にある病院、サウサンプトン総合病院に一人の男が駆け込んできた。「パイプからペニスが抜けなくなってしまった! 助けて欲しい!」

 それは大変だ。すぐに手術しよう! となったが、男が興奮しているためか医師たちはステンレス鋼でできたパイプからペニスを引き抜くことができなかった。このままでは血液が戻らず腐ってしまう。

 そこで、医師たちはサウサンプトン消防署に助けを求めた。しばらくして、通報を受けた消防署から7人の消防士たちが駆けつけた――その手にはグラインダーが握られていた。

 手術再開。7人の消防士たちは麻酔をかけられた男に近寄ると、グラインダーでパイプのカットに取り掛かったのだ。30分後、やや痣がみられたものの、そこには無傷で天を指すペニスの姿が出てきたという。

 病院のスタッフは、この男性は“パイプにペニスが入った理由”を決して言わなかったと語っている。一体ナニをどうしたらそんなことになってしまったのだろうか?

しかしブリと言えばかのじゃがいも事件を始めとして、何やらこの手の不思議事件が頻発する土地柄であるだけに、またブリか…と思ってしまうのが正直なところではあるのですけれどもね。

今日のぐり:「江戸切りそば 石泉 (せきせん)」

観光地の食べ物屋といいますと、良くも悪くも色眼鏡で見られるところがあって、なかなか正当な評価が難しいかと思います。
倉敷美観地区のただ中と言ってもいい場所に位置するこのお店も、地元ではなかなかうまい蕎麦を食べさせる老舗としてそれなりに定評を得ているということなんですが、やはり立地的にも観光客が大勢来る店というイメージは拭いがたいところがあるのも確かですよね。
幸いにも?この日は食事時が終わった時間帯だったせいか、あまり混んでいる状況ではなく腰を落ち着けることができました。

ここでは無難に「ざる」を注文したのですけれども、しかしこの店のメニューと言うものはなかなかカオスな状況でいささか見にくいということもさることながら、どう見ても蕎麦とは関係のなさそうな料理が沢山並んでいるのも多少気になりますね。
「本日の蕎麦」などと蕎麦粉の産地やらを掲示してみたり、店頭に石臼を並べてみたりと「本格派」をアピールするのはいいんですけれども、それならそれで内容も蕎麦本位で勝負していただければという気もしないでもありません。
まあこのあたり、昨今のラーメン屋などは「サイドメニューばかり並べると格が落ちる!なんて気にしすぎるところもあるようなので一長一短ですが、場所柄そういう客層も取り込んでいかないといけないということなのでしょうか。

香ばしい蕎麦茶をすすりながら待つことしばし、やがて出てきたのがいわゆる盛りに相当するこちらのざる蕎麦ですけれども、このあたりの標準からすると微妙に小盛りっぽいのは妙なところでらしいなと思いましたね(苦笑)。
蕎麦の方は細打ちをシャッキりと茹で上げたもので、こだわっているらしい粉の選定がいいのか味、香りは非常に好ましいものがあるんですけれども、敢えて難点を見つけるなら元々の加水が少ない硬打ちの蕎麦であることに加えて盛りというよりかけに向いていそうな湯で加減で、このあたり個人的にはもう少しベストを見極められるんじゃないかなと言う気もするところです。
蕎麦つゆの方はこの蕎麦とのバランスがちょうどいい感じの出汁加減とかえしの加減で、藪蕎麦などと違って蕎麦つゆ自体の味も味わいながら食べるとなるとこれくらいが出しゃばらないでいいんじゃないかと思いますね。
蕎麦の舌触りからすると結構濃い蕎麦湯が出るのかなという予感もあったのですが、実際に来てみるとむしろ食事時の後にしてはいたってあっさりという感じで昨今主流の濃厚な蕎麦湯とは違いますが、これはこれで蕎麦の余韻を殺さない控えめさがあって良いでしょう。

さて、ネットやリアル世間などでの評判も決して悪いわけではないですし、実際食べてみて特に何が悪いと言うわけではないまともな蕎麦屋なんですけれども、粉も技量も特に悪いわけでもないのに、うまい蕎麦を食べた時の「か~っ!幸せっ!」という感動があまりなかったと言うのは何が原因だったのかと考えているところです。
同じ県内ですと例えば先日おじゃました「じくや」さんなどはまた機会があれば行ってみようかという気になっているところですけれども、世間の評価も実際の味の上でもそう大きなレベルの差はないこちらの場合「まあ、取り敢えず味は判ったしいいか」と何か妙に淡白な反応になってしまいそうなんですよね(苦笑)。
そのあたりの感覚は何が原因だったのかは判りませんけれども、たまたま観光の折に足を踏み入れたとしてもハズレだったとは思わないで済む店だという言い方は出来そうに思いますが、どうでしょうか?

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2010年2月27日 (土)

ウソが暴かれてもウソをつくのは、何のためですか

本日まずは出たばかりのこちらの記事から紹介してみましょう。

発信箱:記者に話したい=伊藤智永(ジュネーブ支局)(2010年2月27日毎日新聞)

 空が朱色に染まった。窓を背にした男性の表情は部屋の暗がりで印象にない。記憶するのは、切れ切れの言葉を聞き逃すまいと凝視した口もとが夕焼け空に浮かんでいるような現実離れした情景だ。

 それほど男性の証言に息をのんだ。外交機密費はどのように、年20億円ずつ首相官邸に上納されていたか。

 外務省会計課長が証拠の残らない手書きメモで指示を出す。振り出された数千万円の小切手を財務省近くの銀行で現金化する。旧官邸(現首相公邸)の一室に運び込まれ、領収書の要らないカネとして封筒に仕分けされる--。

 それまで何度家を訪ねても夫人に断られていた。意を決して朝から立っていた何日か目の昼過ぎ、病院帰りの本人に声を掛けたら「あなたですか」と家に上げてくれた。

 夫人はお茶を出してくれたが、怖い顔でそばに座ったきり動かない。夕暮れが近づいたころ、突然夫人が「もうやめてください」と叫んだ。思わずたじろいだが、もっと驚いたのは、男性が夫人を制止した言葉だった。「私が記者さんに話したいんだ」

 夜、辞去する前に無粋な問いが口をついた。「どうして話してくれたんですか」。男性はその日初めてよどみなく語った。「私は公務員として誇りを持って勤めてきたが、最近の報道で機密費のひどい使われ方を知り、人生を汚されたように傷ついた。後輩に同じ思いはさせたくない」

 あれから9年。今月、政府は初めて上納を認めた。報道を否定した福田康夫官房長官、田中真紀子外相、武藤敏郎財務事務次官、沈黙した小泉純一郎首相(いずれも当時)に今、聞いてみたい。ウソが暴かれてもウソをつくのは、何のためなんですか

え~、今日の「お前が言うな!」ネタを狙っているんでしょうか?(苦笑)
しかしこれ、マスコミの皆さんがウソが暴かれてもウソをつくのは、何のためなんですかというあたりからまず情報開示をしていただけるとずいぶんと参考になりそうですけれども、そういう視点で見ると記事のタイトルもなにやらダブルミーニング狙ってる?っぽいですよね。
毎日新聞さんともなるとそのあたり、さぞや豊富なノウハウの蓄積があるのではないかと想像できるところですが(苦笑)、本日もかの業界におけるそのノウハウの一端を垣間見させていただきましょう。

さて、オリンピックでは各選手が頑張っていらっしゃるようですけれども、先日は一部代表選手の服装がだらしないとか態度が生意気だとか、マスコミ諸社ではさんざんバッシングをしていましたね。
そこまで他人に対して厳しい方々自身はさぞや高い道徳性を備えていらっしゃるのだと思うところですが、他ならぬオリンピックの部隊で示された彼らの実態がこちらです。

【Sports Watch】チーム青森への無断撮影で、テレ朝&TBSが取材禁止に(2010年2月18日ライブドアニュース)

バンクーバー五輪・カーリング女子1次リーグ初戦では、強豪アメリカを破った日本代表「チーム青森(クリスタル・ジャパン)」。続く日本時間17日に行われた、世界ランキング1位のカナダ戦では、あと一歩のところで逆転負けを喫し、1勝1敗とした。

アメリカ戦における勝利で一躍国民の注目を引き寄せたチーム青森だが、その舞台裏では、加熱報道をめぐって一部のテレビ局が出入り禁止になるなど、トラブルに発展しているようだ。

これは、18日発行のスポーツ紙「東京スポーツ」が報じたものだ。「カー娘 盗撮」という大きな見出しを掲げ、チーム青森が、その非公開練習を無断撮影したテレビ朝日とTBSに対し、出入り禁止処分にしたことを伝えている。

同紙にコメントを寄せるチーム青森関係者は、「テレビ朝日さんとTBSさんが14日の非公開練習時に無断でカメラを回していたんですよ。JOCから非公式だという連絡があったにもかかわらずです(中略)15日の公開練習の取材をお断りさせていただきました。ほかにも某局は目黒(萌絵)に勝手にインタビューしてるし・・・。みんなルールを守って取材をしているのに、なぜできないのか」と語り、各局の取材姿勢を問題視するのだった。

さあ、皆さんご一緒に「またTBS(およびその他大勢)か!」
まああの会社に関してはもはやそれが仕事というくらいに反社会的、反道徳的活動に日夜精出していらっしゃることは今更な話なんですが、これと関連する話題としてこういう話も出ているようです。
どこまでが本当かは何とも言えませんけれども、オリンピックなどの大舞台と言えば国と国とのプライドのぶつかり合いという側面も無視出来ないだけに、どこにどんな大きな謀り事が秘められているかは定かではないということでしょう。

さて、TBSと言えばネタが無ければ自ら作り出すというくらいに熱意あふれる会社でもありますけれども、その延長線上でやらせということに関しても一家言なしとはしないところです。
以前にも不二家に絡んだ偽証行為が問題になっていましたけれども、あいも変わらずに続けているというあたり、罪の意識などは存在しないのでしょうかね?

やらせの街頭取材 TBS系局 答えた女性は関係者(2010年1月30日朝日新聞)

 TBS系のCBC(名古屋市)が情報番組で放送した街頭インタビューの映像が、実際には通行人ではなく関係者だったことが分かった。同社が29日、明らかにした。

 番組は、23日午前に東海地区で放送された「なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ」。女性の通行人20人に女性向けフリーペーパーの認知度を聞く街頭アンケートで、このフリーペーパーの編集に携わっている、名古屋市内のモデル事務所関係者3人を回答者に含めた。また、そのうち2人のインタビューなども放送したという。27日に視聴者から指摘があり、社内で調査して判明した。

 3人は、担当ディレクターの社員がモデル事務所に依頼し、取材に立ち会ってもらっていたという。理由について、同社広報部は「街頭インタビューで人を集める大変さから、安易な方向に走ったようだ。スタッフの再教育を徹底したい」と話す。

 今後、社員らの処分を検討するほか、社内に調査委員会を設置し、原因究明や防止策を考えていくという。

 番組内の「やらせ」を巡っては、昨年1月にもテレビ愛知(名古屋市)が、トークバラエティー番組で番組制作スタッフを通行人のように装わせてインタビューした映像を放送する問題が起きている。(増田愛子)

しかし記事を見ても、最近では視聴者の方もTBSと言えばそういう会社とずいぶんと用心して見ているんだろうなという感じですかね。
その都度再教育を徹底すると毎回言ってらっしゃいますけれども、幾ら再教育をしても同じことを繰り返すようないい加減な再教育をしている人たちにも何ら責任がないとは到底言えないでしょう。

さて、話は変わって先日こういう記事が出ていましたけれども、新聞社も今や本当に大変な経営状態のようですね。

2010年は激変してこそ残る(23)~人間・組織は過去を超えられないのか(1)(2010年02月18日九州企業特報)より抜粋

<頭脳明晰集団が無策>

(略)
 大手新聞社は2期連続赤字が確定した。新聞有料部数の低減はいまのところ経営に打撃を与えるところまでには達していない(いずれ致命的な打撃の要因になるだろうが―)。最悪の要因は広告収入がマイナス500億円と激変したことだ。平成不況は従来の想像を絶するほどにコマーシャル事業を疲弊させた。“ネット広告の台頭に負けた”ことは、時代の趨(すう)勢に流されたことを意味する。そしてダブルパンチとして、“有料部数の低減”という激変が経営を圧迫する。
 若い連中が金を出してまで新聞を読まなくなった。5年もすれば若い連中も社会の中堅・中枢に近づくが、突然、新聞の固定読者層に変貌することはまずありえない。過去の業態のままでは新聞事業は確実に構造的不況業種になってしまう。この傾向は10年前から予測されていた。不思議なことは、東大卒の頭脳明晰集団の組織が時代の流れに沿った先手先手の対策を打てなかったという事実である。
 かつての“殿様ビジネスモデル”では、まず新聞という権威を信じて購読していた読者の読み賃収入が総収入の60%を占めていた。次に広告媒体神話を背景にクライアントが出稿してくれたコマーシャル収入が40%を支えてくれた。新聞という場を貸す“場貸しの収入”である。この二大収入源によって長期に渡って新聞事業は、我が世の春を謳歌してきたのだ。ところがいまや時代の激変は新聞事業の型を粉砕しようとしている。

<人件費カットしか能がない>

 42歳の中堅記者が怒っている。「私の場合、ボーナスが夏、冬で50万円づつ合わせて100万円も減った。他の手当ても減ったから年収ベースで 200万の減少になっている。先輩たち(50歳以上)の生涯賃金と比較して我々、40歳前後のそれは2/3になる。だがこれはあくまでも試算だ。想定よりも業績が悪化すれば(予想以上に悪化するのは間違いない)、さらに年収ベースで減額される覚悟が要る。さまざまな改革は緊急の課題になっているが、経営陣は人件費カットのことしか頭にない。増収戦略は皆無だ。聞いたところでは、参議院選挙後の8月ないし9月に希望退職を募るようだ」。

つい先日もネット広告が新聞広告を超える規模になったという話が出ていましたけれども、何しろ金を出す企業の側にしても押し紙ばかりで実売部数が少なく、加えてイメージも悪い新聞になど広告を出せば出すだけ逆効果という話もありますから、広告費減収は仕方のないところではないかと思います。
そこでどこを切り詰めるかという話になってくるわけですが、正社員ですらこういう状況にあるわけですから、立場の弱い人間など悲惨なことになっているのは当然と言うことなのでしょう。

苦学生をうつに追い込む!?不況で希望者殺到「新聞奨学生」の実態(2010年2月12日ダイヤモンド・オンライン)より抜粋

 昔から新聞配達といえば、究極のガテン系アルバイト。ところが今や、この仕事に人気が集中しているという。

 学費を新聞社に肩代わりしてもらうかわり、住み込みで働く「新聞奨学生」に、希望者が殺到しているのだ。

 労働時間帯ひとつとってもけっしてラクとはいえない仕事である。それでもほとんどの新聞奨学会で、2010年度の募集枠がすでに埋まっているほどの人気ぶりだ。

 ある新聞奨学会の担当者は「販売店の求人が減っていることもあるが、あっというまに枠がなくなってしまう。進路が決定していない5月頃から申し込み予約をする高校生も多い」と説明する。

 この不況時、親の経済的な事情から進学をあきらめざるをえない子どもも少なくない。学費の負担から解放され、寮費も無料という新聞奨学金制度は、彼らにとってまさに福音といえるだろう。

 各新聞奨学会のホームページをのぞいてみると、そこには学生たちの満面の笑顔が溢れている。生き生きと働き、学ぶ姿に勇気づけられる高校生も多いのではないか。

 だが現実には、ホームページやパンフレットからは想像もつかない実情もあるとか――体験者から現場の話を聞いてみることにした。

「日給1000円」で働く学生 寮を抜け出し“夜のアルバイト”も

 新聞奨学生、寺井ますみさん(仮名)は憤っていた。

「上京前、説明会で聞いた話と違うことばかりなんです」

 まず面食らったのは、最初の月に手にした給与がたった3万円だったことだ。日給にして1000円。規定では手取り9万円だ。店主の説明は「見習い期間だから」というものだった。

 さいわい朝食・夕食は給与から天引きされ、提供されるものの、昼食代や交通費、学用品・生活用品代なども必要だ。とても3万円では足りない。

「しかたなくアルバイトをしました。夕刊の業務が終わってからこっそり寮を抜け出し、12時近くまで夜の仕事をしていたんです」

 だが、出勤時間は午前2時15分。少しうとうとしたかと思うと、あっというまに目覚まし時計に叩き起こされる。これはかなりこたえた、と寺井さん。

 ちなみに現在は夜のアルバイトはしていない。毎朝2時の起床はさほどつらくなくなった。さっさと支度を終え、階下の作業所で折り込みちらしをはさみ始める。その後、バイクで配達に出かけ、仕事が終わるのは午前6時頃。朝食を食べて一息入れ、8時30分には寮を出る。

 と、ここまではいいのだが、問題は夕刊の作業開始時間だ。

 事前説明では「午後の授業にも出られる」という話だったが、午後2時から始まる夕刊の配達作業のため、遅くとも1時半には学校を出なければならない。入学早々、予定通り卒業するのは難しい現実が見えてきたという。

 テスト前の勉強時間をとるのも至難の業だ。

 たとえば、人手が足りないときは夜の集金回りにも駆り出される。だが、そもそも集金は寺井さんの仕事ではない。奨学生には、集金作業のあるかわりに給与の高いAコースと、集金作業のないBコースとがあり、彼女はBコースを選んでいたからだ。「拡張」と呼ばれる営業に出たこともある。もちろん、これらの業務で給与がアップされることはなかった

「寮の自室は三畳間。他の人に比べたらそれでも恵まれている方ですね。小さな洗面台まで付いているし。でも、やっぱり狭くて勉強に集中するのは難しい。空き時間を見つけて、学校の図書館でやったりするのですが」

「高層ビルから飛び降りようかと…」 そこまで追い詰めた過酷過ぎる労働

 体力的な限界を感じることもある。今も忘れられないのは、嵐の朝のこと。この日寺井さんは病みあがりだった。泥と雨水に難儀しながらようやく新聞を配り終えたときは、すでに日は高く昇っていた。

何時だと思ってるんだ、この馬鹿野郎!

 ぐしょぬれ姿で店に戻るとさっそく怒号が飛んだ。

延々と責められました。クレームの電話が鳴りっぱなしで、所長も頭に来ていたんだと思います。ほかにもいろんなことがありました……。一度、配達先の高層ビルで『もう、ここから飛び降りちゃおうか』と思ったことがあった」
(略)
 だが一度、新聞奨学生になれば、どんなにつらくとも最低1年間は辞めることができない。退職すれば、奨学金分を即日返済しなくてはならないからだ。

 その結果、学生にとっては救いのはずの新聞奨学金制度が、逆に彼らを追い詰める結果になることも――。90年には、作業中に奨学生が倒れ、急死した「読売新聞奨学生過労死事件」も起きている。

若者いじめは「伝統」? うつになり、夢をあきらめた若者も

 うつを患って就職の道を断たれる新聞奨学生もいる。

 現在、失職中の村澤潤平さん(31歳)もそのひとりだ。放送作家になる夢を胸に上京し、専門学校に入学。97年と2000年に新聞奨学生をしていたが、所長や、専業販売員と呼ばれる従業員から精神的ないやがらせを受け続けていた。

おいこら、起きろ。廊下が汚れてるぞ。掃除しろ

 真夜中にいきなり怒鳴りつけられ、叩き起こされたかと思えば、食事中や作業中にずっとまとわりつかれ

おまえが放送作家になれるわけがないだろ。ムリだ、ムリ、ムリ

などと言われ続けた。

「ひと癖もふた癖もある人が多いんです。寮は階上にあるので、学校にいる時間以外はずっと彼らから離れられない。心のやすまる時がありませんでした」

 いやがらせがヒートアップしたのは、村澤さんが「反抗分子」と見られてからだ。業務と関係のない仕事をやらされたり、有休をなくされたりして、仲間と不満を言い合っていたのを聞きとがめられた。

 専業販売員にはもと新聞奨学生が多く、いじめが伝統的に受け継がれていた、ということもある。

社会に出る前に背負った 「うつの負債」

若いヤツらは苦労して当然

 こうした意識はそうとう色濃かったようだ。

「傷んだ賄いの食事を食べた同僚がおなかをこわしたときも、主任の専業販売員は『俺たちも腐ったメシを喰って頑張った』と言いはなつ始末でしたからね」と村澤さん。

すさんだ労働環境からは、購読者数の減少による販売店の経営苦も透けて見える。
(略)

こういう話になると途端に「その程度は俺らも当たり前に(r」と奴隷自慢に走る人が出てくるのもお約束ですけれども、騙そうが嘘をつこうが奴隷を手に入れてしまえば勝ちというのはそれこそ社会の木鐸が大好きなバッシングネタではないんですかね?
昨今では経済的にも色々と難しいことになっているという世情を反映してか、この新聞奨学生の記事にも経験者、非経験者を問わず大きな反響が寄せられているようです。
個人的に興味があるのは、新聞奨学生の方たちは新聞というものに対して恩義を感じているのかどうか、現在は新聞を取っているのかどうかというところなんですが、このあたりについては実際どうなんでしょうね?

いずれにしてもネットが新聞を押しのけて第二のメディアとしての地位を確立しつつある現在、既存メディアに今後大きな資金流入が見込まれない以上はいずれ何かしらの再編が避けられないのではと思いますが、注目されるのが今後もネットと対立路線を続けるのか、あるいはどこかでネットと融和ないし取り込みを図っていくのかという既存メディアの戦略です。
その点でなかなか興味深いと思われる話なのが、ラジオ業界でネットでの同時放送が始まったと言う先日のニュースですが、テレビ業界がこれを横目に見ながら今後どのような対ネット戦略を打ち出してくるかが要注目ですかね。
先日はテレビ朝日の社長から「広告費が減っているのはネットのせいではない。番組自体がつまらないからだ」なんて妙に自虐的な?発言まで飛び出してきていますけれども、ネット住民自体は過去のいきさつからも既存メディアには批判的な姿勢が濃厚だと推察されるだけに、今更媚を売って?みせたところでどうなるのかという気がしないでもないんですけれどもね。

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2010年2月26日 (金)

共に岐路に立つ民主党医療行政と医師会

経済誌ながら時折するどい医療関連報道をしてくることで知られる週刊東洋経済さんですが、先日はこういう記事を掲載していました。
必ずしも全面的に賛成と言うわけではありませんけれども、あれだけ選挙の争点として大声で医療崩壊阻止を主張していた割には「看板倒れ」と言われても仕方のないここまでの政権運営ぶりではありましたよね。

「医療重視」は看板倒れ、民主党政権の医療政策、混迷する診療報酬改定(2010年2月19日週刊東洋経済)より抜粋

(略)
プラス改定でも止まらぬ崩壊

 「医療再生には、診療報酬のネット(全体)でのプラス改定が必要だと申し上げてきた。2010年は実に10年ぶりのプラス改定になる」

 財務省との予算折衝を終えた昨年12月23日、長妻昭厚生労働相は記者会見で胸を張った

 しかし、プラス改定の内実はお寒い。増加幅が予想外の小幅(プラス0・19%)にとどまったことから、民主党政権による大幅な医療費拡大に期待していた医療界は落胆を深めている

 昨年8月の衆議院総選挙で民主党候補を応援した原中勝征・茨城県医師会会長は、「もっと診療報酬を引き上げないとダメだ。今回はマイナス改定こそ回避したが、相変わらず診療所のカネを病院に回そうとしている」と苦言を呈している。

 黒田氏が会長を務める蒲田医師会も総選挙で民主党候補を応援したが、現在、政府の中央社会保険医療協議会(中医協)で審議されている診療報酬改定の内容では「現状の改善にまったくつながらない。このままでは都市の医療崩壊は止まらない」と警鐘を鳴らす。

 「“プラス改定”の実態がほぼゼロ改定だった」(二木立・日本福祉大学教授)ことも、今後医療界の不信感をさらに高める要因になりそうだ。
(略)
 二木氏は、「診療報酬改定の報道には三つの盲点がある」と指摘する。一つ目の盲点は「薬価の『隠れ引き下げ』(後発品の置き換え効果の精算)の見落としだ。これを加えると、全体の引き上げは実質ゼロ%(厳密には0・03%)」(二木氏)。

 診療報酬引き上げに伴う国庫負担の増加は160億円とされているが、置き換え効果を精算した場合、実質的には23億円にすぎないと二木氏は指摘する。615億円増となった難病対策や満額回答となった肝炎対策と比べて、診療報酬引き上げに対する冷遇ぶりは明白だ。

 「報道の二つ目の盲点は、プラス改定が政権交代の成果とは言えないことにある」と二木氏は語る。というのも、「自民党も昨年の総選挙でのマニフェスト(政権公約)で診療報酬は来年度プラス改定を行うと明記しており、どちらの政党が勝利したとしても、プラス改定の可能性は高かった」(二木氏)ためだ。

 そして三つ目の盲点として、二木氏は「露骨な医科、歯科間の改定率格差」を挙げる。プラス改定率は医科1・74%に対して歯科2・09%。ただし、歯科の大半は外来であることから、医科の外来(0・31%)と比べた場合、その差は7倍近くになる。

 今回の改定率について、日本歯科医師会(日歯)は「新政権の英断を大きく評価したい」との会長声明を出した一方、日本医師会(日医)の中川俊男常任理事は「合格点を60点とすると、50点くらい。簡単に言えば不合格だ」と批判した。

 この間、日歯の政治団体である日本歯科医師連盟は、今年夏に予定される参議院議員選挙での自民党からの候補擁立を見送った一方、日医の政治団体である日本医師連盟は、自民党所属の参院議員である西島英利氏を組織内候補として支援する方針を変えていない。

 長妻厚労相は「影響していない」と一蹴するが、医療団体の民主党に対するスタンスの違いが、診療報酬の格差を生んだとすれば、「露骨な政治誘導」(二木氏)との批判は免れないだろう。
(略)

民主党内でも憂慮の声

 こうした状況に危機感を強める民主党議員も少なくない。

 「適切な医療費を考える議員連盟」は1月21日、小沢一郎幹事長宛に「緊急提言」を提出。診療所の再診料点数の引き下げを行わないことや、中医協で打ち出された一部病院の入院基本料引き下げの撤回など、7項目の重点事項を要請した。

 「7項目は、民主党のマニフェスト実現に最低限必要なもの」と梅村聡・議連事務局長(参院議員)は説明する。

 民主党は昨年の総選挙で「医療費の対GDP比水準をOECD諸国並みに引き上げる」と公約している。必要な財源額は7兆円とも10兆円ともいわれる。今回の診療報酬改定は、その公約実現への第一歩となるはずだった。民主党政権は政策の立て直しを迫られている。

まあしかし、診療報酬で優遇して医療に金が落ちるようにすれば医療の状況は改善するのか?と言えば、必ずしもそうとばかりも言えないところに医療費増額論の弱いところがありますよね。
もちろん「幾ら診療報酬を増やしてもスタッフの手に渡らず病院の赤字補てんに使われるだけ」という声もありますが、では例えば今現在逃散している医師たちが給料を増やせば踏みとどまるのか?と問われれば、確かにある程度踏みとどまる人間も増えてくる効果はあるのかも知れませんが、3000万出そうが逃げる時には逃げるということを考えても本質的な解決策ではないんだろうとも思えます。
いずれにしてもとりあえず民主党政権が誕生してみたは良いが、実のところ医療政策でさして代わり映えがしているようではない、あるいは変わったとしても自民党政権と比べて劇的に良くなったとも思えない状況だと見られているのであれば、相変わらず日医が自民党支持でやりますと言い続けるのも(その是非は別として)故なきことではなさそうですよね。

自民候補の支援は継続=参院選の対応で-日医会長(2010年2月20日時事ドットコム)

 4月の日本医師会(日医)会長選で3選を目指す現職の唐沢祥人会長は20日、都内で記者会見し、自らが当選した場合は夏の参院選に自民党から出馬する現職の組織内候補、西島英利参院議員を引き続き支援する考えを明らかにした。
 ただ、唐沢氏は推薦候補について「西島氏だけではないということもあり得るので、彼を含めた形で進行していくと思う」と含みを持たせた。自民党と協調してきた唐沢氏の日医執行部は政権交代後、政府・与党との関係が疎遠になっている。
 唐沢氏は会見に先立ち、都内に選挙対策本部を開設した。日医会長選には、昨夏の衆院選で民主党を支援した茨城県医師会の原中勝征会長、京都府医師会の森洋一会長の2人が出馬を表明しており、3氏による争いとなる見通し。

唐沢さんも国政選挙の行方以前に会長選の行方の方がよほど怪しいなんて声もありますけれども(苦笑)、一方で前述の記事にありましたような茨城県医師会の批判的なコメント、あるいは中医協に参加している京都府医師会の安達委員の退場劇などを見るにつけ、あるいは会長選で政変が起こったとしても案外民主全面支持に転向なんて話にもならないんじゃないかという空気も感じられるところです。
しかし先日以来取り上げてきました特定看護師創設やら医学部新設やら、このところの医師会といえばことごとく政府のやることなすこと反対反対で来ているようにも見えるんですが、業界内関係者でも議論の分かれるところでしょうに単に民主と対決姿勢を強調するためにやっていることなのか、あるいは本気で「すべてを懸けて反対」するほど思いつめているのか、果たしてどっちなんでしょうね?
その医師会にしても診療報酬増額要求以外に目立った医療崩壊阻止の提案がない、それもこれだけ増やせば具体的にこういう効果が出ますという明確な青写真もないままとにかく増やせ増やせの一点張りでは、これは今更ながらに抵抗勢力というレッテル貼りをより強固なものとされてしまっても仕方がないところでしょう。

日医、医学部新設には「反対」(2010年2月24日CBニュース)

 日本医師会の中川俊男常任理事は2月24日の定例記者会見で、医師数を中長期的に増やすことは妥当だが、医学部の新設には「反対」とする日医の見解を発表した。3私大が医学部新設の準備を進めているとの一部報道を受けたもの。

 見解では、中長期的に医師数を1.1-1.2倍にすることが妥当とし、その前提条件として、▽財源の確保▽医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立▽医師養成数の継続的な見直し―の3点を挙げた。
 その上で、文部科学省が公表している来年度医学部入学定員の増員計画では、過去最多となった今年度(8486人)からさらに増加して8846人になるとして、「医学部を新設する必然性はない」と指摘した。

 さらに具体的な問題点として、▽医療現場の医師が教育確保のために引き揚げざるを得ず、地域医療崩壊が加速する▽教員が分散し医学教育の水準や医療の質の低下を招く▽人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しを行いにくくなる―の3点を挙げた。
 また、2008年の1医育機関当たりの医師数は289人、医療施設(病院・診療所)医師数は27万1897人とする厚生労働省の「2008年医師・歯科医師・薬剤師調査」などのデータを挙げ、「仮に医学部が1つ新設され、医療現場から289人が失われると、医療施設医師数は0.1%減少する」と指摘した。加えて、二次医療圏の約4割で医療施設に従事する医師数が289人以下だとして、地域での医療崩壊の進行への懸念を示した。

 中川氏は会見で、「医師不足だから医学部を作ればいいというあまりにも短絡的な発想。日本の医療制度全体を見通さない発想には本当に驚かされる」と述べ、19日に全国医学部長病院長会議が関係省庁などに提出した医学部の新設と急激な定員増に慎重な対応を求める要望書について、「非常に的確な反論だった」と述べた。

「日医のすべてを懸けて反対」―「特定看護師」創設に羽生田常任理事(2010年2月24日CBニュース)

 日本医師会の羽生田俊常任理事は2月24日の定例記者会見で、厚生労働省の有識者検討会の報告書の素案で示された「特定看護師(仮称)」について、「日医のすべてを懸けて反対ということを申し上げてまいりたい」と述べ、断固として創設を阻止する考えを表明した。同検討会は3月に報告書をまとめる方針だが、羽生田常任理事は検討会の委員を務めており、次回会合では途中退席も辞さない姿勢を強調した。

 特定看護師は、現行の保健師助産師看護師法(保助看法)上の「診療の補助」として、比較的侵襲性の高い特定の医行為を担うもので、厚労省が示した素案では、これまで法律上の「グレーゾーン」とされてきた医行為が例示された。同省では来年度からモデル事業を実施する方針で、安全性が評価された場合は保助看法を改正し、特定看護師の医行為を法律上で明確に位置付けるとしている。

 会見で羽生田常任理事は、「(検討会で)一度も検討していないものが報告書の中に出てくること自体おかしい」と批判。看護師の業務範囲については、あくまで現行法の範囲内で拡大することを主張し、2002年に解釈が変更された「静脈注射」を例示した上で、医政局長通知で「診療の補助」に組み込むことが望ましいとの考えを強調した。
 また、特定の医行為を法律に明記した場合、「地域医療はすべて崩壊する」と警鐘を鳴らし、「トライアルで患者さんを実験台にするような話になる」として、モデル事業にも反対の意向を示した。一方、特定看護師の要件に大学院修士課程の修了が含まれていることに対しては、「全国でどれだけ修士課程に行ける看護師さんがいるか、その辺も考えていただきたい」と求めた。

医師会の主張が全ておかしいとも言いませんし、もちろん時に見るべき主張をしていることもあることは承知の上ですけれども、その上でやはり全てが正しいとも言えるはずがないし、少なくとも全ての医師の意見を代弁しているとも言えないのは当然ではあるわけです(と言いますか、そんなことは常識的に考えても不可能です)。
ところが医師会と言えばもっと組織率を上げなければ、勤務医も医師会に入るべきだなどと最終的に全医師加入を目指しているような勢いですけれども、そうやって包括的な組織を目指せば目指すほど立場の対立で具体的なことは何も言えなくなるか、内部の少数意見を踏みつぶしてでも一部の代弁者たらざるを得なくなるのも当然のはずなんですけれどもね。
本来であれば政党政治と同じことで、それぞれの立場や思想信条に応じて現場医師の代弁者たる組織が複数存在しているのが良いということなんでしょうけれども、民医連なども結局何ら華々しいことにはなっていない、一方で医師会は医師会で相変わらず迷走中となれば、これは自分も仲間に加わりたいと思う医者がいても参加できないという話ですよね。

このあたりは世にいう政治不信と同様の構図で受け皿不足という言い方も出来るのかも知れませんが、とりあえず医師という立場は個人レベルでもそれなりに大きなことをやれる可能性がある、まして今やネットやリアルでのつながりを通じてそれなりのことが出来ることが判ってきているとなれば、「あんな馬○共とつるんでも仕方がない」と冷めた意見がネット上で主流になるのも仕方がないところでしょう。
政治にしても細かいことは抜きにしてとにかく日本という国にどうやって元気を取り戻すかということが一番の課題になってきているのと同様、医療においても何より崩壊しきった現場の士気をどうやって取り戻すかということが一番大事になってきている中、そうであるからこそ現場に無知な官僚や現場を離れて久しい老人の独断で突っ走るのではなく、もう少し現場の声というものに耳を傾けていくということが基本になるのでしょう。
医療現場においてはすでにスタッフの声を聞き大事に扱う施設が勝ち組になっていくという構図が定着しつつありますけれども、政治の場においても医師会ら業界団体においても、口先でなく行動でいち早く現場の心をつかんだ者が次の時代の勝ち組になっていきそうな気がするんですけれどもね。

特集ワイド:’10シリーズ危機 医療/下 対談・鎌田實さん×足立信也さん(2010年2月24日毎日新聞)

 <この国はどこへ行こうとしているのか>
 ◇意欲持てる現場に

 政権交代後、10年ぶりに診療報酬が上がるなど医療改革の兆しはうかがえるが、確かな手応えはまだ得られていない。医師で厚生労働政務官を務める足立信也さん(52)と、住民とつくる地域医療を実践する諏訪中央病院(長野県茅野市)名誉院長の鎌田實さん(61)に語ってもらった。【構成・鈴木梢、写真・梅村直承】

 ◇医療は経済を活性化させる力に--鎌田實さん
 ◇財源負担の割合、議論すべきだ--足立信也さん

 鎌田 聞きたかったのは、今回の診療報酬の改定です。引き上げ幅は0・19%。いざ政権を取ったら、こんなにお金がないのかとあぜんとしたということでしょうか。政務官は本当はもっと上げたかったでしょう?

 足立 もちろん。でも、この引き上げは第1段階です。産科、小児科、救急、外科、地域医療にギリギリの状況で取り組んでいる病院の評価が上がると収入も上がり、医師の言葉を伝える補助者も雇える。明細付き領収書を無料で出すようにしたのは、情報の共有のためです。医療は受ける側と提供する側の協働作業、情報の格差をなくそうと動き出しています。

 鎌田 新政権にはすごく期待しています。でも、このごろ少し、医療をどうするのか、物語が見えにくくなっている

 足立 今はさまざまな検討会を立ち上げ、協議し始めたところ。私たちの考えはすでに提示しているが、ある程度の方向性が見えるまでは報道されない。

 世界一と言われた日本の医療システムがなぜがけっぷちまできたのか。それは、医療費抑制政策と、医療を提供する側と受ける側の情報の格差だった。

 医療費を抑制するために、医療従事者数の削減にかじを切ってしまいました。02年の診療報酬の改定では2・7%下がった。病院では、医師や看護師は減らなくても、介助者や搬送や食事のお手伝いをしていた人が減り、看護師や医師らがカバーする悪循環になってしまった。

 昨年末、閣議決定した成長戦略の核は医療や介護、健康分野。これらは需要の高い地域密着型の職業であり、外需も創出できる分野だととらえています。

 鎌田 06年には、診療報酬3・16%マイナスと史上最大の下げ幅を打ち出し、社会保障費を5年間で1兆1000億円切る方針を決めてしまった。かつて厚生省保険局長だった吉村仁さんが「医療費亡国論」(83年)を打ち出してから、医療界も医療費は削られるもの、と思い込んでしまったかもしれない。でも、医療費にかかる10倍ぐらいは経済効果を生むというデータが出てきた。医療は経済を活性化させる力になりますよ。

   …●…

 足立 私たちは単に医師数を増やすのではなく、いかに人材を活用するかだと思っています。医師1人でしかできなかったことを、チーム医療でどう解決するか。例えば、公立病院で禁止されている兼業も、地域の協議会で合意すれば条例改正で見直せる。市町村ごとにすべて問題を解決すべきだという考え方は過疎地では成り立たない。人口120万人ほどの枠組みで議論し、どう医療提供体制を組むか。

 鎌田 医療が拠点化や集約化するなか、ナンバーワン病院はギリギリで医師が集まるけど、2、3番目は弱くなっていく。政府はそちらをしっかり強くしていかないと、救急が集中するなど1番目も疲れきってしまう。

 足立 地域医療の崩壊というのは、まさにそういうこと。危機的な分野には補助金システムで対応してきた。医療費を上げないでそこで頑張らせようとした。補助金というのはニンジンに過ぎず、ありつけなかったところは飢餓状態になり疲弊してしまう。ここから転換し、全体をベースアップするのが今回の診療報酬のコンセプトです。

 医師の過労で深刻なのは、モチベーションの低下。診療報酬が、10年ぶりに上がり、前向きに行くんだと元気が出ている。

 鎌田 がん患者にアンケート調査をしたら、33%が治療に満足しておらず、44%は医者の説明に納得ができなかった。医療はこの10年、切磋琢磨(せっさたくま)で進歩しているのに、国民の満足度は横ばいどころか下がっている。だから、医者に疲れが見える

 国は国民に呼びかけ、お金の出し方も変えてほしい。この国にいることに安心が持てるように。医療現場で働く人も自分の仕事に誇りが持てれば、土俵際で一気にムードが変わると思う。国民もいいチャンスだから、医師だけでなく、医療はみんなで作る意識を持ってほしい。
(略)

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2010年2月25日 (木)

商業捕鯨再開?しかし道は未だ遠いようで

先日は日本船への不法侵入を果たした環境テロリストですが、その後粛々と対応が進められているようですね。
日本までの移送をどうするのかはまだ明らかにはなっていませんが、容疑については本人が認めていることでもあり、何より双方の関係者全てが日本送致を楽しみにしているという話ですから、これは話が早いということになりそうです。

SS被害の第2昭南丸、横浜で見分へ 侵入船長、傷害容疑も視野(2010年2月24日産経新聞)

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーが、南極海で調査捕鯨活動中の「第2昭南丸」に違法侵入した問題で、海上保安庁が船員法に基づいて身柄を拘束したSSのメンバーを乗せた第2昭南丸を横浜港に入港させる方向で最終調整に入ったことが23日、分かった。第2昭南丸はすでに日本に向かっており、3月中旬ごろには到着する見通し。横浜港入港後、艦船侵入容疑(3年以下の懲役など)で捜査。証拠がそろえば、より罪の重い傷害容疑(15年以下の懲役など)での立件も視野に入れる

 立件されれば、公海上の日本船に違法に乗り込んだ不審者を国内法で刑事訴追する初のケースとなる。

 移送されているのは、SSの抗議船「アディ・ギル号」のピート・ベチューン船長。今月15日、1月に発生した日本船との衝突事故でアディ号が大破した責任は日本側にあり、約3億円の賠償請求するなどとした趣旨の書簡を持って、第2昭南丸に乗り込んできた。

 日本側はベチューン船長が手にけがをしていたため治療後に船員法に基づき身柄を拘束し、水産庁は海上保安庁への引き渡しを決定した。海保は艦船侵入容疑での取り調べのほか、侵入の際に防護ネットをナイフで切り裂いた器物損壊容疑(3年以下の懲役など)でも立件する見通し。海保は証拠保全のため、ネットを修理せずに帰国するよう要請しているという。

 これまでのSSによる抗議活動で、ベチューン船長は皮膚を刺激する化学物質の酪酸が入った瓶を投げ入れ、日本船の乗組員3人の顔にけがを負わせたことについても「自分がやった」と認めている

 海保は以前からSSの妨害活動を事件として立件することを想定し、証拠価値の高い映像の撮り方などを日本船団に指導。今回撮影された映像などの分析で、ベチューン船長の犯行を裏付ける証拠がそろえば、傷害容疑での立件も視野に入れる。

 刑事訴追は初のケースなだけに、海保幹部は「高度な政治的な判断が必要で、具体的な指示はまだない」と述べている。通常なら在宅で捜査するケースも想定されるが、逃亡の恐れがあれば逮捕に踏み切る可能性もある。

 ベチューン船長を乗せた船は南極海を出発し、日本に向けて航行中で3~4週間で到着する予定。SSによる大規模な抗議行動や妨害活動も予測されるため、海保は第2昭南丸が所属する塩釜港(宮城県)でなく大型船を接岸できるうえ警備しやすい横浜港に入れて、船体を実況見分する。ベチューン船長については水産庁など関係省庁と協議しやすい、東京海上保安部が事情を聴く。

 第2昭南丸以外の日本の調査捕鯨船団は南極海で活動を続けており、その後もSSによる妨害活動を繰り返し受けている

 移送中の船内では、「個室が提供されているが、外の空気を吸いたいと言えば甲板に出てもらう。全般的におとなしくしており、健康状態も良好」(水産庁幹部)。平成20年1月にSSのメンバーが日本船に侵入し身柄拘束された際には「天ぷらを食べたい」などとの要望があった。今回はこうしたリクエストはないが、要望に基づき乾パンを提供することもあり残さず食べている。

 しかし、SS側は身柄拘束に対して「日本の法廷で闘う」と表明しているため、「人権侵害がないよう、対応には細心の注意を払っている」(水産庁幹部)といい、丁重に扱われている。

記事を読むだけでも海保本気だなと言う話ですけれども、前回の不法侵入事件のように妙な「政治的判断」とやらで無罪放免などというトンデモ決着の二の舞だけは避けなければならないところですね。
例によって例の如くあの方のお怒りのコメントが届いていますけれども、とりあえず紹介しておきましょう。

【動画】【テキサス親父】シーシェパードがまたもや船に不法侵入(字幕付き)

テロリストの暴虐行為に関しては世界的にもっと盛り上げていかなければなりませんが、まずは補給と出撃の拠点となる国に対する働きかけが重要です。
この点で先ごろ船籍国のトーゴが船籍剥奪をしたというニュースがありましたが、無船籍となれば通常真っ当な国では出入港は許可されませんから、これは直接間接にテロ支援を行っている国々に対する非常に大きな交渉材料にはなりそうですよね。

トーゴ、反捕鯨団体の船籍はく奪=公海上での臨検容易に(2010年2月19日時事ドットコム)

 岡田克也外相は19日午後の記者会見で、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」による南極海での日本の調査捕鯨船への妨害行為に関し、トーゴ政府が同団体の船舶「ボブ・バーカー号」の船籍をはく奪したことを明らかにした。また、「スティーブ・アーウィン号」の船籍はく奪に向け、オランダ政府も手続きを進めているという。これにより、公海上で両船舶への臨検が容易になる。
 国連海洋法条約は、軍艦や海上警備艇が公海上で臨検を行う際に船籍国の同意を得ることを義務付けているが、船籍登録のない船や海賊船に対しては、こうした手続きを経ずに実施できる
 日本政府は妨害の再発防止のため、船籍国のトーゴとオランダに対し、「しかるべき措置」を取るよう要請していた。 
 一方、外相は、在京ニュージーランド大使館の領事が18日夜、日本の調査捕鯨船「第2昭南丸」に侵入した同団体メンバーと電話で話したと発表した。外相によると、メンバーは同船に乗ったまま日本に移送されることを望んでいるという。

さて、先日は岡田外相が豪州訪問を行うということで先方の出方が注目されていたわけですけれども、なかなかに香ばしいネタが噴出してきたようです。
やや慎重な姿勢とも言われたニュージーランドも同調したということで、彼らもいよいよ鯨と共に一蓮托生という決意を固めたということなのでしょうが、同国内外からもこれに対しては懸念の声なしとしないようではありますけれどもね。

豪外相「調査捕鯨やめないと国際司法裁に提訴」(2010年2月21日読売新聞)

 【パース(豪西部)=宮井寿光】岡田外相は21日午前(日本時間同日午前)、パース市内でスミス豪外相と会談した。

 捕鯨問題で、スミス外相は国際捕鯨委員会(IWC)などでの交渉を通じても日本が南極海で調査捕鯨をやめない場合、豪政府が国際司法裁判所に提訴する方針を伝えた。

 会談後の共同記者会見で、スミス外相は22日にも南極海での調査捕鯨の段階的廃止をIWCに提案すると表明。「意見の不一致を解決すべく努力してきたが、時間がなくなりつつある」と指摘した。これに対し、岡田外相は「提訴への言及は残念だ。提訴が現実のものとなれば、調査捕鯨の正当性をしっかりと主張する」と反論した。
(略)

豪・NZ調査捕鯨「提訴」方針、日本は争う姿勢(2010年2月22日読売新聞)

 南極海での日本の調査捕鯨について、ニュージーランドのキー首相は22日の記者会見で、「外交的解決に失敗すれば、提訴が唯一の選択肢となる」と述べ、国際司法裁判所への提訴を検討する考えを表明した。

 オーストラリアの提訴方針に続くものだ。日本政府は、国際捕鯨委員会(IWC)や2国間協議を通じた外交的な解決を目指しているが、提訴されれば全面的に争う方針だ。

 これに関連し、平野官房長官は同日の記者会見で、「(調査捕鯨は)国際社会で認められ、合意のもとにやっている。違法行為ではない」と述べ、提訴は不当だとの考えを強調した。

 ただ、政府内では「国際裁判で白黒つけた方がよい」との主戦論も出ている。岡田外相は訪豪中の21日、記者団に「提訴されれば司法の場で決着する。ある意味合理的な解決方法だ」と語った。外務省幹部も「調査捕鯨はクジラ資源に悪影響を与えておらず、裁判で日本が完敗することはない」との見方を示す。

 調査捕鯨のあり方は、6月にモロッコで開かれるIWC年次総会で改めて協議される予定。

「捕鯨阻止は主ではなく日豪関係育成が重要」 豪有力紙が社説で指摘(2010年2月22日産経新聞)

 【シンガポール=宮野弘之】オーストラリアの有力紙「オーストラリアン」は22日の社説で、調査捕鯨を中止しなければ、日本を国際司法裁判所に訴えるとしたラッド首相の姿勢を批判し、鯨問題は主目標ではなく、日本との関係を育成すべきだ、と主張した。

 社説では「オーストラリアは日本との関係に真剣な注意を払う必要がある。日本はわが国の大きな輸出市場であり、間違いなく重要な戦略的同盟国だ」と強調。首相が、日本の調査捕鯨を中止させるため国際司法裁判所への提訴も辞さないと述べたことについて「わが国の重要な同盟国との関係は、自分たちだけが道徳心を持っていると思いこむ国内の自然保護団体をなだめるだけの首相では、支えられない」とし、反捕鯨団体への配慮が目立つ首相を厳しく批判した。

 そのうえで、「首相が本当に提訴するなら、ハーグ(国際司法裁判所の所在地)への旅が、オーストラリアにとって価値があるという法律に基づく説明を出すべきだ」と強調し、対日関係への影響も含め、国民に対し法的問題について説明するよう求めた。

「カンガルー300万頭撃ち殺す豪州に反捕鯨の資格あるか」 国際紙がコラムを掲載(2010年2月24日産経新聞)

 24日付の国際紙、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは、オーストラリアのラッド首相が、調査捕鯨をやめなければ日本を国際司法裁判所に提訴すると発言したことを、反捕鯨諸国の偽善性を指摘しながら異例の厳しさで非難したフィリップ・バウリング氏のコラムを掲載した。

 氏は、道徳的優位性をにじませたラッド発言の調子が、アジアの近隣諸国に今もくすぶる西欧植民地主義への嫌悪を呼び覚まし、日本よりも豪州のイメージを傷つけるだろうと分析。

 豪州の反捕鯨運動を、科学的ではなく感情的な「十字軍」だとし、「日本の捕鯨船を悩ましている豪州、ニュージーランド人活動家らに与えられた英雄的地位にも、それがみられる」との表現でシー・シェパードの活動も切って捨てた。

 その上で、ノルウェーが国際捕鯨委員会(IWC)の規制を拒否、アイスランドがいったんは脱退し、カナダは脱退後、復帰していないのに対し、日本は少なくともIWCに属していると日本にも理解を示し、ラッド発言は捕鯨諸国にIWCに協力する気をなくさせるものだとやり込めた。

 さらに、「鯨に銛(もり)を打ち込むことは、牛や羊の肉を常食としている者の間にさえ感情をかき立てるのかもしれないが、豪州は、作物や牧草を守るため年間300万頭余の野生のカンガルーを撃っているときに、苦情を言える立場にはほとんどない」と、反捕鯨国の偽善性にまで踏み込んだ。

 西洋人が東洋での犬肉消費にゾッとするのは感情からで理性ゆえではなく、鯨肉を、一部欧州国の食卓に乗る馬肉と違う扱いにする道理はないとも断じた。

 そして、「豪州が選別的感情の問題をアジアの主要同盟国との外交対立にまでしたのは愚劣以外の何物でもない」と結んでいる。

さて、オージーがどういう根拠で日本を訴えるというのか今ひとつ不明確な記事ですけれども、かねてスミス外相にこの件でコメントを取っていた産経新聞の佐々木記者のブログから引用してみるとこういうことになるようです。

スミス外相

オーストラリアの政府、国民の見解といたしましては、これは調査捕鯨ではないとみているのです。たんに鯨をころしているだけだということであります。つまり、調査捕鯨をする根拠はないということです。これは続けてはいけないと思っているのです。これは致死的な調査捕鯨ということであるので、死に至るものでありますので、それの証拠集め、もしかしたら、証拠として仕えるかもしれないから、オーシャニックバイキング号を巡視させているということです。(★2年前に、オーストラリアは税関船を出港させ、調査捕鯨の監視を行った。ラッド政権は提訴のための証拠集めと言っていた)

調査捕鯨の目的などについては各方面で繰り返し説明されていますけれども、鯨資源の持続的利用を目的とするIWCにおいて、商業捕鯨再開が認められない理由にデータの欠如を挙げているわけですから、そのデータを集める作業を認めないというのはこれは明らかに本末転倒な話ではあるでしょう。
一方でこれは商業捕鯨再開を断固として認めないIWCに対して、一種の交換条件として認めさせているものだという声もありますけれども、それならそれできちんとデータに基づいて持続利用可能な範囲で商業捕鯨再開を認めれば良いのではないかと言う意見も出てくるのは当然だと思いますね。
その点で赤松農水相が先日沿岸捕鯨再開と引換に調査捕鯨縮小を提案する方針などという記事が流れましたが、筋としては正しいものの下手をすると妙に政治的に利用されてしまう可能性もあるかと危惧しておりましたら、早速IWC側からレスポンスがあったようです。

調査捕鯨:議長が10年間停止提案 IWC管理下で捕獲(2010年2月23日毎日新聞)

 日本の沿岸捕鯨再開や調査捕鯨の在り方などを検討してきた国際捕鯨委員会(IWC、事務局・英ケンブリッジ)のマキエラ議長(チリ)は22日、IWCの頭数管理が及ばない現行の調査捕鯨を10年間停止する代わりに、捕獲頭数を「大幅削減」した上でIWC管理下で南半球や沿岸での捕鯨を認める提案をまとめた。

 事実上の商業捕鯨容認とも受け取れる内容。日本政府関係者は「提案が認められた場合、新しい枠組みの中で調査のための捕鯨を続ける」と話した。赤松広隆農相は23日、記者会見で「譲るべきところは譲り、柔軟に対応したい」と述べ、提案に基づく交渉に応じる方針を示唆した。ただ具体的な賛否については「手の内は明かせない」として言及しなかった。

 IWCはこれをたたき台に、3月に米国で開く中間会合と作業部会で議論、6月のモロッコでの年次総会で成案を得たい考えだ。しかし、容認する捕獲頭数などは示しておらず、合意できるか否かは予断を許さない

 日本やオーストラリアなど12カ国からなる「支援グループ」が同案を作成。日本がこれまで「調査捕鯨」名目で毎年数百頭を捕獲してきた南極海での捕鯨も、限定的ながら容認しており、南極海捕鯨に反対するオーストラリアの有力紙は「同国政府は計画を拒否するだろう」と伝えた。

 年次総会で決着すれば、南半球が捕鯨シーズンになる今年11月から同案を実行し、2015年に見直しを行う。20年以降は未定。

 提案は日本の沿岸捕鯨の基地として、日本政府がこれまで求めてきた網走(北海道)、鮎川(宮城県)、和田(千葉県)、太地(和歌山県)の4カ所を挙げている。(共同)

この話、一見して日本側の提案と呼応しているように見えて注意していただきたいのが、日本側の主張では沿岸捕鯨を再開してもデータ採取の必要性はある以上調査捕鯨は続ける、トータルの頭数は減らさないというものであったものが、調査捕鯨を廃止した上で商業捕鯨をわずかばかりは認めようと言う、実質大幅な捕鯨頭数削減となっていることです。
面白いのは捕鯨対象となっているミンククジラなどはどんどん増えてきていて、商業捕鯨を再開してもなんら支障はないということはすでにIWCの科学委員会でも認められている、そして例えば反捕鯨団体のグリーンピース自らが資料を提示しているように、鯨肉消費も順調に増えているというのに、ここで何故捕鯨を削減しなければならないのかが全く理解できないということですね(笑)。
この件に関しては調査捕鯨反対派が「IWCで商業捕鯨を認めていないんだから実質商業捕鯨の調査捕鯨も認められない!」と主張するロジックを潰す効果はあるかと思いますが、現状のIWC案では捕鯨国にとっても反捕鯨国にとっても得るべきものが少なすぎるだけに、これは交渉が難航するのではないかという気はしています。

いずれにしても裁判ともなれば日本としては正論に立って堂々と主張すべきところを主張していけば良いかと思いますけれども、反テロリストという点で共闘関係を構築出来そうなのが、テロリスト達が最近手を広げ始めたマグロ漁問題です。
日本は確かにマグロの最大の消費国ですけれども、鯨と比べてもマグロの消費国はずっと多岐に渡る一方、各国漁業関係者のしがらみも多いですから、このあたりをとっかかりに多国籍軍を形成してテロリスト追い込みの材料としていきたいところですね。
ちなみにタイミングよくちょうど昨日、完全養殖クロマグロの量産化に目処が立ったという発表がありましたけれども、これも大量生産できるようになればマグロ資源保護に有用な技術になってくるでしょうかね。

<クロマグロ>仏政府、板挟み 環境派、漁民双方から批判(2010年2月22日毎日新聞)

 【パリ福原直樹】欧州連合(EU)の欧州委員会が22日、大西洋と地中海のクロマグロの国際取引禁止を加盟国に提案したが、今月初めに禁止賛成に転じたフランスでは、政府の姿勢に対し環境保護派と漁民双方から批判が出ている。禁止を主張する一方、猶予期間を1年半と欧州委提案より長くしようと試み、一部漁の継続や補償も検討するなどあいまいな「妥協の産物」だからだ。仏国内の論議はEU全体の方針決定にも影響しそうだ。

 環境団体は仏政府の方針を「猶予期間内にクロマグロは枯渇する」と批判。漁業団体は禁止賛成を「漁民にとり重大な危機」としている。

 仏政府関係者によると、サルコジ大統領は昨夏、禁止に基本的に合意したが、欧州の一大マグロ漁業国であることから国内の漁業団体が強く反発。昨年の欧州委の禁止提案には結局、反対に回った。

 一方、3月のワシントン条約締約国会議に向け、即時禁止を主張するモナコや環境保護団体がロビー活動を続けた。この結果、政府内で漁業省など漁業団体支持派と持続的開発省など禁止派の対立が深刻化。今月3日の禁止方針発表会見でもモナコ支持を強調する持続的開発相と漁業相が対立するような場面もあった。3月の地方選挙への影響もとりざたされており、国内対立が政府方針に影を落とす可能性もある。

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2010年2月24日 (水)

久しぶりに医学部新設?

かねてそろそろと噂にはなっていたところですけれども、先日とうとうこういうニュースが出てきたことを皆さんもご承知ではないかと思います。

医学部新設、3私立大が準備 認可なら79年以来(2010年2月21日朝日新聞)

 医師不足が言われるなか、国内の三つの私立大学が、医学部新設を目指し、準備を進めていることが分かった。設置認可を国に申請する手続きのため、すでに学内に検討組織を立ち上げた大学もある。医学部新設は30年以上なく、認可されれば1979年以来となる。

 医師増員を掲げる民主党は看護コースと病院を持つ大学の医学部新設を後押しするとしており、政権交代で機運が高まったかたちだ。医師養成学部・学科については、自民党政権時代の82年や97年の医学部定員削減の閣議決定を受け、新設の審査は行わない規定になっているが、今後撤廃されるとみられる。設置基準の緩和も進めば、他大学にも動きが広がる可能性がある。

 設置を検討しているのは、国際医療福祉大(本校・栃木県大田原市)、北海道医療大(北海道当別町)、聖隷(せいれい)クリストファー大(浜松市)の3大学。いずれも看護や福祉系学部を持ち、大学病院や関連病院もある。

 看護や薬学、福祉系の6学部を持つ国際医療福祉大は学内組織で、教員確保策や文部科学省への認可届け出の準備をしている。開設場所は大田原キャンパスなど複数案を検討。入学定員は、現在の設置基準の上限である120人程度を想定している。開設時期は未定だが、取りまとめ役の開原成允大学院長は「早ければ早いほどいい。可能なら2011年度を目指し、地域医療の担い手となる臨床医を養成したい」とする。

 北海道医療大も今年1月に学内検討委員会を設けた。やはり地域医療に貢献できる医師の養成を目指し、定員は80人規模を想定。多様な人材を集めるため、学士編入枠も検討中という。小野正道経営企画部長は「これまで道内には私大の医学部がなかった。医療過疎解消に役立つ人材を育てたい」と話した。

 日本で初めてホスピスを開いた聖隷三方原病院と同グループの聖隷クリストファー大も、理事長がトップの検討委員会を設置。「医学部あるいはメディカルスクール(医師養成大学院)に向けて前向きに考えている」としている。

 医学部は79年の琉球大の設置認可以来、新設はない。医師が供給過剰になるとの将来予測や、医療の質低下につながるとする日本医師会の抑制主張を受け、国は80年代初期から入学定員を削減し、全国79校全体でピーク時81年度の8280人から、2007年度には7625人にまで減った。しかし、地方の医師不足が深刻化したため、「骨太の方針2008」などに基づき増員策に転換。10年度の定員は8846人にまで増えた

 ただ、医学部新設には定員80人でも最低200億円弱の建設・設備費用が必要などハードルは多い。また、既存の大学や医療界からは「医師の質が保てない」「医療崩壊をかえって増幅する」との反発もある。22日には全国の大学の医学部長と付属病院長が集まり、医学部新設と定員増に「慎重な対応を求める」請願を政府に提出する予定だ。(石川智也)

しかし先行するロースクールにおいても新設校のレベルの低さが大きな問題になっていますが、医療系学部を揃えているとは言え正直今までの評価的にあまり…な三大学が真っ先に手を挙げてきたというのは、「定員拡大は医師のレベル低下を招く」と主張する反対派ならずともなかなかに微妙なところではあります。
あまり受験偏差値でどうこう言うのもアレですけれども、参考までに三大学の偏差値というものをちょっとググらせていただくと同じ私学の川崎医大あたりと似たような水準ということなんですが、下手をするとあまりの司法試験合格率の低さから「学費詐欺」などと呼ばれる一部ロースクールの後追いになりませんかね?(川崎医大というところはしかし、ググッてみると付属高校からスパルタ?で学生を鍛えているんですね…)
いずれにしてもこの医学部新設の是非は卒業医師の質の懸念や費用対効果であるとか、あるいはそもそもそうまで医学部定員を急増させるのが良いかどうかも含めて諸説異論あるところだと思いますけれども、とりあえず某所界隈では某大先生のおかげであると専らの評判のようですね。

781 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/02/21(日) 16:49:27 ID:kOc7qUAB0
本田宏氏のせいで医学部新設定員増に主題すり替えで
医師待遇改善はもはやほぼ語られず
開業医撲滅再診料下げまで行われている。

793 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:46:22 ID:agVI246p0
10年後の本田宏の評価が楽しみだな。

795 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/21(日) 21:51:01 ID:T5UM9BhR0
>793

既に、こちらの大学系列でも、名指しだぞwww

公的な動きで言いますと、まさしく当事者とも言うべき医科大学系の団体である全国医学部長病院長会議がさっそく「反対」の意思表明をしてきたのが目につくところですが、この反対の理由と言うものに注目していただきながら以下の記事を御覧下さい。

全国医学部長病院長会議:医学部新設「反対」 「教員増で勤務医減る恐れ」(2010年2月23日毎日新聞)

 大学医学部で作る全国医学部長病院長会議(会長・小川彰岩手医大学長)は22日、医学部の新設に反対する請願を民主党や関係省庁に提出したと発表した。同会議は一貫して国に医師数を増やすよう求めているが「医学部定員が急激に増えると、教育確保のため病院勤務医が減り、医療崩壊を助長する」と主張している。

 政府は80年代から続けてきた医師養成数の抑制方針を08年度から改め、全国80大学の医学部定員は3年間で1221人増えた。同会議は政策転換を評価する一方、大学医学部の新設には▽現場の臨床医を教員として招かねばならない▽数十年後に医師数が充足した時に定員を減らせなくなる--などの問題があると主張。「これ以上の定員増は医師不足対策として逆効果だ」と指摘している。

 大学医学部の新設は、現時点では文部科学省告示により認められていないが、将来の規制緩和を視野に、複数の私立大学が検討している。【清水健二】

ここでは「学生教育のために教官として呼び戻されることで勤務医が減り、だらに医療崩壊を助長する」という、なかなか迂遠なロジックで反対論を唱えていますけれども、教育を担当する側としては教官の名目で現場から医師を引っ張ってこれるわけですから、必ずしも悪くない話のようにも思えるのですがね。
このあたりは実際のところ今までの医学部教育というものの実態を考えてみた場合に、多少学生が増えた程度でどの程度の影響があるのかとやや無理目な話のようにも思えますけれども、とりあえずかの大先生はこの反対表明におかんむりの御様子ですね(苦笑)。
個人的にはむしろこの大学教官と臨床現場との関係と言うことで非常に興味深いなと思ったのが、同日付けの地方紙にひっそりと出ていたこちらの地味なニュースなんですが、一体これは何なのでしょうね?

八幡浜に4月から4医師派遣 愛媛大(2010年2月23日愛媛新聞)

 愛媛大学が市立八幡浜総合病院を救急医療教育の実習現場とし、医師を派遣する計画について、愛媛大学大学院医学系研究科の桧垣実男副研究科長は22日、外科医、循環器内科医、小児科医、内科医の4人が内定し4月からの活動を目指すと明らかにした。八幡浜・大洲医療圏域の医療対策協議会で説明した。会終了後の取材で、2008年から続いている週2日の八幡浜病院の内科救急受け入れ制限については「確信はない」としながらも「(4月からの)解除の可能性はある」と前向きな姿勢を示した。
 桧垣副研究科長は取材に「医師はあくまで大学の教員としての派遣で100%の労働力ではない。(八幡浜病院の医師と)どういう形で仕事を組み合わせるか、これからすり合わせる」と語った。同協議会に出席していた八幡浜市の橋本顕治副市長は制限解除について「まだ合意していない」と話した。

これ、学外実習に名を借りた教官の現場動員とどう違うのかという話なんですけれども、派遣を受けて救急受入れ制限解除を云々しているというくらいですから、どう見ても労働力として期待する気満々だというのが見え見えではないですか。
医学部長病院長会議も教育によって医療崩壊がどうこうと言うのであれば、こういうあからさまな裏技に対してこそしかるべく抗議なりをしていくのが筋でしょうに、無理筋の論理で妙なところから絡んでいくから「既得権益を守ろうとする学閥の抵抗?!」なんて痛くもない?腹を探られることになるのではないでしょうか(苦笑)。

まあそうした余談は置くとしても、医学部新設の是非はともかく、時代の要請ということを考えても学部定員の大幅増はやむなしですが、どうもこの大幅定員増ということで思い出されるのが、近年各方面で行われてきた資格職の大幅増加政策がことごとくよろしくない結果を招いているということなんですよね。
すでに司法試験以外に歯科医師過剰問題などについても当「ぐり研」でも取り上げてきたところで、実際に増やしてみると現場はとんでもないことになってしまったという話なんですが、どうも近頃似たような話は幾らでもあるらしいのですね。

合格増やしたら不況…“計算外”公認会計士の卵、就職難(2010年2月20日読売新聞)

異例の企業説明会開く

 弁護士と並ぶ難関国家資格、公認会計士の試験合格者が未曽有の就職難に直面している。企業などで2年以上会計実務を経験しないと公認会計士として登録できないため、就職は業務に就く必須条件だが、国が合格者を増やしたところに不況が襲い、金融庁は昨年の合格者2229人のうち数百人が就職できないと予測。近畿でも、合格者の約4割に当たる約150人が未定という。日本公認会計士協会近畿会(大阪市)は異例の企業説明会を開くなどして、採用を呼びかけている。

 金融商品取引法の改正で2008年から、四半期ごとの決算が義務づけられるなど、上場企業に対する規制が強化された。同庁は、公認会計士の需要が増えると見込み、公認会計士の総数を18年頃までに、06年時点の約3倍の約5万人に増やすことを計画。年間約1000人程度だった合格者は、07年に4041人、08年は3625人となった。

 しかし、リーマン・ショック後の長引く不況で、今年は求人を3~5割程度減らす監査法人が目立つ。東京の大手監査法人の採用担当者は「顧問先の会社が減り、急な繁忙にも対応できる。劇的に求人を増やすことは考えにくい」と話す。

 一般企業の採用も思うように伸びないことから、日本公認会計士協会近畿会は1月に説明会を開催し、上場企業など27社が参加した。産業機械メーカーの経理担当者(62)は「四半期の決算で、年がら年中、決算作業に追われている。公認会計士を社内で育てたい」と前向き。一方で機械工具メーカーの採用担当者(49)は「数年後に独立するかもしれないと思うと二の足を踏む」と話した。

 同会の佐伯剛・大量合格対応特別委員長は「公認会計士を雇うことが市場で信頼を得る設備投資だと考えてほしい」と訴える。

 4年がかりで昨年の試験にパスした男性(25)は「合格前から就職活動を始め、監査法人を中心に10社以上を回ったが、内定がもらえない。大学時代から試験合格だけを考えて頑張ってきたのに」と落胆していた。

 同庁は、昨年12月に試験制度などの見直しを行う有識者の懇談会を設置。今年の試験から合格者を2000人程度に抑制する方針を示している。

 懇談会メンバーの平松一夫・関西学院大商学部教授(国際会計)の話「総数5万人は多すぎる。基礎試験に通った者が実務を経て公認会計士試験を受けられるようにしてはどうか。そうすれば公認会計士の数も絞られる」

 公認会計士 監査、会計の専門家で、企業の資産や財務状況を第三者の立場でチェックする。金融庁の公認会計士・監査審査会が年1回、試験を実施しており、09年の合格率は10・5%。有資格者は約1万9900人。

連載「医療貧困」① 薬剤師 10年後は「3割失業」(2008年7月21日AERA)より抜粋

国家資格のお墨付きを得ても、もはや「安定」は約束されない。格差社会のひずみは、医療の世界にも押し寄せている。

薬剤師の資格手当込みで手取 り19万8000円-。

昨年4月、東北地方の民間病院に就職したヨシオさん(37)は、 薬剤師として初めて受け取った 給料の額に少し落ち込んだ。

「国家資格を持っているのだから25万円ぐらいはいくかな」と想像していた。そもそも、収入を安定させたい、と一念発起しての転職だったのだ。
(略)
ヨシオさんは昨年結婚し、数年後に子どもができたらもう少し給料のいい調剤薬局かドラッグストアに転職しようと考えていた。しかし、その人生設計が大きく狂いそうなのだ。

「今度始まる『登録販売者』ですよ。これで薬剤師の転職の条件は相当厳しくなると思う」

登録販売者とは、2006年に成立した改正薬事法に基づく新制度だ。医薬品には①医師の処方が必要な医療用医薬品②市販される一般用医薬品①販売規制がない医薬部外品があり、現在は薬剤師が常駐していないと①と②は販売できない。新制度はこのうち②を三つに分類し、薬の効 き目が強い第1類以外は登録販売者が店舗にいれば販売できる ようにする
今年8月以降、都道府県が資格試験を実施し、来生皮から現場に導入される。つまりドラッ グストアにとどまらず、コンビ ニやスーパーでも従業員がこの資格を取得すると、薬剤師がいなくても大半の薬を販売できるようになるのだ。受験には1年以上の医薬品販売の実務経験などが必要だが、大卒でなくても構わない。すでに大勢の従業員に受験の準備をさせているドラッグストアやディスカウントストアも現れており、「手当」が高い薬剤師に取って代わる可能性もある。ヨシオさんの心配はもっともなのだ。

 薬学部は46から74に

だが実は、「薬剤師余り」はすでに顕在化している。

薬剤師の需要は年々増加し、 1990年の15万人から、2006年には25万人に膨らんだ。下のグラフは厚生労働省が行った試算で、試験合格率が現在の水準で続いた場合の薬剤師の需要と供給の推移だ。育児などで一時的に職を 離れている「無職」のペーパー薬剤師を需要に含めても、すで に供給過多で、10年後の総数は 36万人、20年後は40万人と予測 している。「受け皿」は新しい職種などが増えない限り、27万~28万人レベルでほぼ横ばい。単純計算で、10年後は薬剤師全体の約27%が過剰になる。つまり、約3割の薬剤師が失業しかねないのだ。

こうした事態に至ったのは、小泉純一郎政権下で進められた大学設置基準の規制緩和でしている。2002年時点で46だった 薬学部は、現在74を数える。昨 年5月に聞かれた厚生労働省の 「薬剤師需給の将来動向に関する検討会」初会合で同省は、「新規の薬剤師が30%減っても、薬剤師不足が生じることはない」との見解を示した。医薬分業が進み病院外の調剤薬局とともに薬剤師の需要が増えているが、それを上回る供給が続いていくのである。

「甘い時代は終わった」

大学関係者などによると、病 院勤務の薬剤師の平均初任給は年約350万円、30代でもおお むね400万円台という。人気 が高い大学病院や国公立病院で も似たり寄ったりだ。
ある病院の関係者は、さらにこう指摘する。

「医薬分業が進み、病院内の調剤業務が減ったこともあり、薬剤師の地位は決して高くない」

薬剤師はおのずと、人件費削減の対象とみなされるようだ。
もちろん病院以外の薬剤師も厳しい現実に直面している。

「国家資格を取得したからといって高収入を得られるなんて甘い時代は終わった」
(略)

さて、こうした相次ぐ他の資格職の崩壊ぶりが医師免許所持者の未来絵図として簡単に想像できるという話にもなってくるわけですが、問題は医師もそうなったとしていったい誰が困るのかということですよね。
給料が切り下げられる当事者にとってみれば「国がいい加減なことをやって大迷惑!」という話になるわけですが、仮に今後医者が激増し「相場」が崩壊したとして、医療費をこれ以上増やしたくない国にすれば有資格者を安く買いたたけることは全く苦にならないどころか、ジェネリック使用促進と同じ程度に医療の効率化の一環として織り込み済みである可能性すらあるわけです。
問題はその国の政策の是非を判断する国民の動向ですけれども、「大勢いる医者の中からあなたに一番合った医者を選べる方がいいでしょう?」「身近な病院にも大勢の先生が揃ってるなんて素敵だと思いませんか」なんて甘い言葉でささやかれれば、これまた積極的に資格職の稀少性崩壊に反対する理由もないでしょうね。
もちろん医師大幅増を訴え続けるかの大先生にしても病院の管理職をなされているわけですから、幾らでも増える新卒者の中から好き放題に引っ張って来れる、しかも供給過剰で安く買いたたけるとなれば何ら不都合はないとは計算していらっしゃるのでしょう(苦笑)。

こうして見てみますといつの間にか進んできたこの医師大量養成という話、反対論者にとってはなかなか世論にアピールする良い論点がなさそうなんですが、そういう目で見ると前述の医学部長病院長会議のこじつけ気味な反対論も、なかなか苦しい中を頑張ってひねり出してきたものなのかとも思えてくるところです(彼らの真意がどこにあるのかは別としてですが)。
医者余り時代というものが本当に到来するかどうかはまだ判りませんが、今の医療崩壊という状況は医師の人権を認めよ!せめて労働環境を人並みに!と主張するにはまたとない好機である一方で、もしこれが超買い手市場になった時には今更待遇改善などと主張するのもなかなかに厳しいだろうなとは予想出来るところで、その意味ではタイムリミットは設定されてしまったとも言えるかと思います。
大先生などは医者が余るようになれば自然に労働条件も改善するかのように主張していますが、昨今の超就職難とも言われる時代において、他業界の労働環境が悪化しこそすれ改善したなどと言う話は一向に聞いたことがないことを考えたとき、好き放題吠えまくっているようでもそのあたりに言及しないだけの分別はあるということなんですかね(苦笑)。

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2010年2月23日 (火)

地域医療崩壊の実例 三重県の場合

三重県と言えば、かの聖地尾鷲(ちなみに全く関係ないですが、ググっていましたら尾鷲の近くには「もう一つの聖地」があったらしいですね)を擁する土地柄ということで色々と言われる土地柄でもありますが、そうした事例が発生することからも判る通り医療崩壊の先進地でもあるとも言えるわけです。
その三重からの話題でなかなかショッキングな一言て始まるのが、こちら中日新聞に掲載された三重県伊賀市の上野総合市民病院のニュースです。

しあわせは見えるか 検証・新年度県予算案(5)(2010年2月19日付中日新聞)

「4月からは病気にならないようにしてください」。自治会長らを集めた会合で、上野総合市民病院(伊賀市)の村山卓院長は真剣な表情で続けた。「このままだと救急医療ができない日が確実に出る。今の病院は、皆さんの健康を365日、24時間守れる体制ではありません
5年前に9人いた内科医は現在、6人。さらに4月、退職などで4人に減る。通常の診察に加え、夜間や休日の救急までこなすのはかなり厳しい。同じように医師不足に悩む名張市立病院、岡波総合病院(伊賀市)と一昨年から始めた救急輪番にすら、穴があきかねなくなる。
伊賀築の人口十万人当たりの医師数は117人と、全国平均の206人を大きく下回っている。三病院とも医師が少ないため、一人にかかる負担が重くなり、退職者が相次ぐ悪循環に陥っている。
名張市立病院は非常勤の医師を確保して輪番日に対応するが、「重篤な患者を見ている時、複数の受け入れは断らざるを得ない」(中野伸宏事務局長)。救急車で50分ほどかかる奈良県などの病院に患者が運ばれることもある。

地域医療の崩壊が危ぶまれる中、限られた医師数で救急体制を維持するため、地域の病院が連携して役割分担などを進める動きが出てきた。
伊賀、名張の両市長や三病院の院長らでつくる検討委員会は、上野総合と名張市立の二病院を経営統合し、5~10年先に救急の拠点となる400床規模の新病院も造る方針を決めた。手始めに二病院の担当を急性疾患と慢性疾患に分け、医師を効率的に振り分ける構想を描く。
県は昨年策定した地域医療再生計画に伊賀地区の体制整備を組み込み、新年度予算案に名張市立病院の電子カルテ導入に向け3750万円を計上した。将来的に病院間で患者の情報をやりとりできるシステムの整備へ一歩を踏み出す。
地域医療再生計画は2015年までの五年間が対象。地域の実情に応じた取り組み案を募った結果、「中勢伊賀」「南勢志摩」の二つの医療圏に重点を置いた。本格的なスタートとなる10年度は、国の交付金50億円のうち4億8千万円を予算化した。
医師確保対策と並ぶ大きな柱が、救急体制の強化。県全体での取り組みとして、救急病院の空床確保支援などに手厚く盛った。県医療政策室の担当者は「地域が連携して救急体制をつくり上げる取り組みを支援していく」と話す。

記者の目
医師の絶対数が不足する中、地域内の医療機関の「連携」がキーワードになってきた。今の施設や人員を集約し効率化しなければ維持できないほど、救急医療の現状は深刻だ。
伊賀地区で輪番制の開始時に「当直時間帯の患者受け入れは救急車に限る」というルールを徹底したところ、軽症者が救急車を呼ぶ事態が増え、消防、医療関係者を悩ませた。病院や行政がどんなに知恵を絞り、予算をつぎ込んでも限界はある。「連携」の輪に市民が加わることが大事だ。(木下大資)

今どきどこにでもあるような話といえばそれまでですが、この伊賀地域での三病院救急輪番制というもの、つい先日にも新年度以降は受け入れ不能日が発生する見込みと市が発表したくらいで、すでに実質崩壊寸前な状況に追い込まれているのは確かなようです。
ただ興味深いなと思うのは、この状況を受けて例えば副市長が「今までは『何が何でも』と思っていたが、そういう(空白のある当番表を発表する)時期が来るかもしれない」と妙に悟ったようなことを言ってみたり、前述のように院長から「4月からは病気にならないようにしてください」なんてコメントが飛び出してみたりと、何か一昔前なら「無責任だ!」と総バッシングを受けかねないような突き放した発言が当事者からポンポンと出てくるところですよね。
それだけ開き直らざるをえない状況に現場がなってきた以上は取り繕っても仕方がないということなのかも知れませんが、この種の事例で常に問題となる市民側の受容度、あるいは民度というものを考えた場合に、こういう実情を率直に語って見せることが「知らなかった!これからは改めよう!」となるのか、それとも…なのかは微妙なところなのかも知れません。

こういう地方の医療崩壊ネタとなれば、近頃では地域住民の動向(あるいは、民度)が必ずネットでも問題になりますけれども、記者氏の言う「市民が加わることが大事」という「連携」の輪というものにしても、受け入れを救急車限定にすると軽症患者が救急車を呼びまくるというような当地の状況では、なかなか絵に描いた餅という気がしないでもありませんよね。
実際、尾鷲の事例にしても最初の契機は例の「三千万も出せば助教授が」云々の市議会での高額報酬批判であったように語られていますが、その前段階となったのが報酬額開示後に市民からの批判の声が高まったことであって、市議はそうした民意を受けて行動しただけという意見もあるようです。
別に厚労省の思惑に乗らずともこうした状況になれば、中小病院が並立して共倒れになるよりは医療リソースを集約化して対応するしか現実問題選択肢がないのかも知れませんが、この病院統合の話がまたなかなか交渉が難航しているようで、ここでもキーワードは統合と言う名のもとに救急廃止を受け入れるかどうか市民次第ということになりそうですよね。

地域医療体制整備計画検討委:公立2病院の経営統合、11年度実施で準備 /三重(2010年2月19日毎日新聞)

 ◇上野総合市民、名張市立の公立2病院
 ◇伊賀、名張両市が合意 機能再編も「10年度早期」--検討委で報告

 伊賀、名張両市は上野総合市民、名張市立の両公立病院の経営統合について、11年度中の実施に向け、準備することで合意した。両病院の機能の再編についても、10年度の早期に実施し、岡波総合病院と、時間外の救急患者を診療する急性期を担当する公立病院の2病院による輪番体制への移行に向けて協議する。

 17日夜、伊賀市四十九町の県伊賀庁舎であった伊賀地域医療体制整備計画検討委員会(会長=内田淳正・三重大学長)で両市が報告した。会議には、伊賀・内保博仁、名張・亀井利克の両市長らが出席。両市は今年度中をめどに経営統合について議定書をつくる。

 検討委のこれまでの会合では、両公立病院と岡波総合病院による現在の2次救急輪番制の維持は今後は困難としたうえで、10年以内での伊賀地域の拠点病院の整備▽それまでの急性・亜急性期別の両公立病院の機能分担▽両公立病院の経営統合--について合意していた。

 検討委で両公立病院は今後、医師らでつくるワーキンググループを設置し、機能分担などについて考えることを決めた。

 検討委終了後、取材に対し、内田会長は「市民感情を考えると、どちらの病院を急性期にするか決めるのは、委員会の越権行為。ワーキンググループで具体化してほしい」と話した。【宮地佳那子】

まあ内田会長も面倒に関わりたくなかったということなのかも知れませんが、医師らが決めたら決めたで「何故我々の街の病院は救急を受け入れないんだ!けしからん!」という市民感情の問題は相変わらず残るわけですから、誰が決めるにしても悩ましいところではあるでしょうけれどもね。
こうまで歯切れの悪い話で終わっているというのも、実際問題としてなかなか市民感情的に救急廃止の受け入れが難しいという予感があるということなのかも知れませんが、いずれ問題を放置し先送りするばかりでは全てを失うだけであるという現実には、何より当事者として市民自身が気付いてもらわないことにはどうしようもありません。
この種の問題では市民自身が問題意識を共有してうまく行っているところもあれば、逆に「他はともかくあそこだけは勘弁して」と密かにブラックリスト入りしている地域もあるやに側聞しますけれども、やはり医者と言う存在も人間であるだけに、どうせなら地域住民と良好な関係を築けそうな地域で仕事をしたいと考えるのも当然だとは理解しなければならないでしょう。

ところで、この三重県の医療崩壊という現象に関してもう一方の当事者とも言うべき三重大ですが、先ごろ同大病院長が県議会の場でこんなコメントを出しているのがちょっとした話題になりました。
こういうものを見てみますとどこか牧歌的と言いますか、昨今ネットなどでも色々と火花が散っている生々しくドロドロとした議論の世界とは別にこんな世界もあるんだなと、どこかホッとするところがありますが(苦笑)、一方でこういう現状認識でよいのか?という疑問もわくところでしょうか。

内科医不足 総合診療医養成で対応 三重大病院長が方針(2010年2月10日伊勢新聞)

 県議会の健康福祉病院常任委員会(北川裕之委員長、八人)は九日、三重大学医学部付属病院の竹田寛院長と同大学院医学系研究科の駒田美弘科長を参考人に招き、医師派遣や医師養成の展望などについて聞いた。竹田院長は、地域医療の医師不足の主な原因は、内科医不足に帰すると述べた。

 駒田研究科長は、医学部定員の地域枠確保や医師修学資金貸与制度を踏まえ「県出身の研修医、医師は増えていくのでは。ただ時間がかかる」と指摘。医師養成について、竹田院長は「総合診療医(家庭診療医)を増やす。併せて、内科医を循環器や消化器など総合的な診療ができるよう変えていこうと思う」との方針を示した。

 家庭診療医は一次医療を受け持ち、外科や内科、皮膚科などの総合医療をこなす「何でも屋」で、若い医師らの人気を集めているという。同院長は、内科医不足を補うのに役立つのではとの見解を示した。

 「どういう努力をすれば後期研修医が来てくれるのか」との委員からの質問に、竹田院長は「医学生があこがれる先生が一人いて、最新鋭装置が一台あれば」、駒田研究科長は「医学生にいい印象を持たせる『魅力づくり』が必要」と述べた。

 また、県立病院改革の基本方針で民間譲渡の方向性を維持しながら、「検討継続」となっている一志病院を、竹田院長は「家庭診療医の成功例として全国で有名になっている。県は、それを売りにして医者を集める方向にしていけばいいのではないかと思う」と語った。

まあ、その…その路線で大勢の何でも屋がそろって、三重の医療がうまく回るようになればこれに勝ることはないんでしょうが…
しかし医師の数が少ない地方ほど何の病気でも見てくれる(診てくれるかどうかは別として)医者が増えていくのは何かと便利がよいのかも知れませんが、それが若い医師らの人気を集めているという認識はどうなんでしょうね?
確かに訊ねてみれば彼らも「何でも出来るようになりたいです」とは言うでしょうけれども、それは将来やりたい専門分野があった上で「でも他の分野も一通り出来るのが格好良いですよね」といった話であって、言ってみれば甲子園だのプロだの現実的な話にまだ全く縁のないような子供が「ボクもイチロー選手みたいになりたい」というのと似たようなレベルのことなのではないかと思いますけれども…
このあたり、どうも三重大というところはいささか現状認識に浮世離れしたところがあるということなのか、先日もこんな調査結果を堂々と発表してきているということが注目されます。

医師の卵、へき地「OK」7割…武田・三重大教授ら全国調査(2010年2月15日読売新聞)

 全国各地で医師を志す若者にへき地での勤務をどう思うか尋ねたところ、「従事したい」と答えた医学生や研修医は約7割に上ることが、武田裕子・三重大教授(地域医療学)のグループによるアンケート調査で明らかになった。へき地では深刻な医師不足に陥っているが、武田教授は調査結果を踏まえ、「勤務を前向きに受け止めている若者は多く、どう現場に導くかが課題となる」としている。

 調査は2008年から昨年にかけ、全国41大学の医学生(4、6年生)と342医療機関の初期研修医計1万1128人を対象に行い、計7199人から回答を得た。へき地での勤務について回答したのは6965人で、「積極的に」(12%)、「一定期間ですむなら」(57%)を合わせ、4810人が「従事したい」と回答。「なるべく避けたい」(20%)、「自分にはありえない」(7%)の回答を大きく上回った。

 最終的に勤務地域を決める際の条件を19項目挙げ、何を重視するかを尋ねたところ、「協力し合える医師が身近にいるか」が87%で最多、「子供の教育環境」(83%)、「自分のライフ・スタイル」(81%)と続いた

 武田教授らは「十分な診療支援が得られる環境を整え、医師自身のキャリア形成につながるようへき地勤務を組み込めば、医師の確保につながる」と指摘。山田赤十字病院(三重県伊勢市)から、医師の不足している尾鷲総合病院(同県尾鷲市)に研修医を短期間派遣している制度を解決策の好例に挙げ「短期間ずつでも配置するようにすれば、地域医療を支えていける」と話している。

まあそれはね、こういうアンケートが回ってきて「いやボクは絶対僻地なんて行きません!」なんて書いちゃう人間もそうそうはいないでしょうけれども(苦笑)、実際に勤務地を決める際の優先する条件というものを見てみますと、現実問題これらはいわゆる僻地とは最も縁遠いような内容ばかりがならんでいるわけですからねえ…(苦笑)
こういうデータを元にして「現場の若手も僻地で勤務したがっている!後は彼らを現場に導く制度作りだけだ!」なんて(半ば確信犯的に)本気で動き出そうと構えていらっしゃる方々も大勢いらっしゃるわけですから、それこそ迂闊なリップサービスは後で自らの身に降りかかってくるという緊張感を学生時代から持っていないといけない時代なんでしょうね。

それとはまた別件で、この種の何でも屋ということになるとかねて「キャリアアップにならない」とか「一度総合医に転落?すると専門医には戻れない」とか、色々とネガティブなことばかりが語られてきたという歴史的背景がありました。
実際に今回の診療報酬改定を見ても高度医療を施すような大きな基幹病院への手厚い?優遇ぶりと比べると、こうした何でも屋がどう扱われているかというあたりに国のホンネが見え隠れしていますけれども、確かに安上がりに何でもやってくれる医者が増えればそれだけ国としては助かるのも道理ですよね。
武田先生も学生アンケートの結果に一喜一憂するだけではなく、具体的にどう僻地診療を医師のキャリア形成につなげるのかという提案を出していけるようであれば、御研究も更に実の有るものになるんじゃないでしょうか。

しかし三重大さんと言いますと正直医療の世界ではそれほど大きな勢力という認識もなかったのですが、こうして見てみますとなかなか興味深いネタを輩出していらっしゃるあたり、意外に侮りがたいオリジナリティーを発揮していらっしゃいますよね(苦笑)。

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2010年2月22日 (月)

特定看護師制度は推進の方向で議論がまとまりつつあるようです

最近では看護師業務拡大ということも各方面で言われていますけれども、少し前にこういう話がありましたことをご存知でしょうか。

看護師の業務範囲拡大の要件で議論(2010年1月21日CBニュース)

厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」(座長=永井良三・東大大学院医学研究科教授)は1月21日、第9回会合を開き、これまでの論点を整理した。看護師の業務範囲拡大の要件に関して、委員からは「一定のレベルアップを図る上で、(資格の)議論は避けられない」「資格がないと、チーム医療ができなくなることが心配」などの意見が飛び出し、資格を要件に入れることの是非をめぐって議論となった。同省は2月18日に開かれる次回会合で報告書の骨子案を示す方針だが、現行法で可能な業務範囲の整理を求める声が多く、法改正への慎重論が高まっており、骨子案がどのように示されるかは不透明だ。

厚労省が整理した論点は、▽チーム医療の推進に係る基本的な考え方▽看護師の役割の拡大▽その他のメディカルスタッフの役割の拡大▽多職種の連携の推進―の 4項目。このうち「看護師の役割の拡大」の基本方針では、高度な教育を受けた看護師とそうでない看護師のどちらか一方の裁量や業務範囲を広げる案のほか、両方の役割を拡大する案も示された

意見交換では看護師の役割拡大の要件について、「要件と評価はセットで議論すべき」「今やれることができなくなり、現場が困ることがないように整備してほしい」など、現行法の「診療の補助」の範囲内で行える業務に支障が出ないよう求める声が上がった。また、資格を要件に入れることに関しては、「今まで高い看護実践をしてきた看護師が力を発揮できなくなると困る」と、資格の“独り歩き”にクギを刺す意見も出た。

坂本すが委員(日本看護協会副会長)は、日本看護系大学協議会が推進する「高度専門看護師」と、日本NP協議会が資格化に取り組んでいる「診療看護師」に言及し、患者のニーズや看護師のキャリア形成などの観点から、早急に検討することを要望。さらに、「認定看護師」や「専門看護師」など、さまざまな資格が混在している現状を踏まえ、「(これらの)整合性をどのようにするかに着手してほしい」と求めた。また、現行法の範囲内で可能な業務要件や看護師の業務範囲について整理し、高度な能力を持つ看護師も含めて評価した上で、それを基に法改正の議論を進めることも要望。老健施設などで働く看護師の役割に関しても議論するよう求めた。

資格を要件に入れることに関して、永井座長は「モデル事業のようなトライアルが必要」との考えを繰り返し強調。「今の体系の中で何ができるか。今後、何か特定の技能を担ってもらうのであれば、どういう要件が必要なのか。それらを検討した上で、法改正を考えるのが順番だと思う」と述べ、現段階での法改正に慎重な姿勢を示した。

しかしこの話、一部の看護畑の方々はずいぶんと熱心に推進されてますけれども、おそらく多くの現場臨床医の実感としては「業務範囲拡大云々より、現行法下でやれる範囲のことをまずきっちりやるのが先だろうjk」というのが正直なところではないかとも思いますがどうでしょうか?
例えばお上からの通達でようやく「看護師が注射をしたってなんにも問題ありませんよ」と公的に確認されたのも最近の話ですけれども、おかげさまで各地の大学病院や公立病院で「近ごろは看護師が点滴をとってくれるようになった!」なんて医者達の感涙にむせぶ声?が聞こえてくるようになりましたが、考えてみればまともな医療機関では当たり前にやっていることの事後確認に過ぎないわけです。
あの人達が当たり前の業務すらこなさない(こなせない?)件に関しては昔から色々な考察がなされていますけれども、明らかなことはこういうところで不必要な医者のマンパワーを囲い込んでいるから末端医療機関における医者不足が深刻化してきたのだと不満に思っている人間も多いと思うのですね。

マンパワーの有効活用という観点からしても、専門性の低い職種で可能な業務はなるべくそちらに移譲していくという方向性は今後ますます推進していかなければならないのは確かだと思いますが、一方で長年の業界におけるこうしたしがらみが業務移譲の阻害要因として存在しているのも確かでしょう。
しかしながら実際問題医師の人手が足りていないことが医療のボトルネックになっているという現場の実情もありますから、このあたりに関しては質的な担保を行いながら業務以上を行っていくにはどうしたらいいかという、そろそろ実施レベルでの話に軸足を移していかなければならないのでしょう。
先日は厚労省での議論もかなり煮詰まってきたという報道が各社からなされたのは皆さん御記憶に新しいところではないかと思いますが、実際こちらでもやる、やらないの観念論は通り過ぎて、現場での機能低下をどう防いで行くのかという方向に話が進んでいるようですね。

高度な医療行為できる看護師資格新設へ 厚労省が素案(2010年2月18日朝日新聞)

 医師不足の解消や医療の質の向上を目的に、厚生労働省は、従来より幅広く高度な医療行為ができる新資格「特定看護師(仮称)」を導入するとした素案をまとめた。18日に開かれる同省の「チーム医療の推進に関する検討会」で法制化も視野に議論し、3月までに方向性を決める

 医療が高度化し、多くの医療機器をつけて在宅療養する人が増えるなどで、看護師は、さまざまな医療行為に応じるよう迫られている。

 現状でも看護師は医師の指示があれば、診療の補助としての医療行為はできるが、範囲はあいまいで解釈を巡って議論が続いてきた。そうしたなか2002年に静脈注射が、07年には薬の量の調節などが、それぞれ現状を追認する形で認められた。看護師の医療行為を適切に管理できるようにする狙いもある。

 素案では、特定看護師の条件として、(1)看護師免許がある(2)一定以上の実務経験がある(例えば5年以上)(3)第三者機関を設け、そこが認めた大学院修士課程を修了(4)大学院を修了後、第三者機関で知識や能力の評価を受ける――の4点すべてを満たしていることを掲げた。

 医療行為はあくまで医師の指示が前提だが、患者の重症度の判断(トリアージ)や機器をつけて在宅療養する患者らに対応できることを想定して、動脈血の採血や超音波検査、人工呼吸器の酸素量の調節、薬の変更、簡単な傷の縫合などを例示している。

 ただ、性急な法制化は混乱を招くとして、現行法下でモデル事業から開始する。米国などで導入され、独立して診療行為をする看護師(ナースプラクティショナー)とは一線を画すが、特定の医療行為とはいえ、自律的にできるようになる点では、医療現場での役割分担が大きく変わる。

 これまでの検討会の議論では、新たな看護職種の導入について、日本医師会などが反発しており、議論の行方が注目される。(権敬淑)

医師の指示で高度医療、「特定看護師」導入へ(2010年2月19日読売新聞)

 経験豊富な看護師を活用することで医師不足に対応しようと、厚生労働省は従来の看護師より業務範囲を拡大した「特定看護師(仮称)」制度を新設する方針を大筋でまとめた。

 来月、厚労省の検討会が報告書に盛り込む見通しで、これを受けて、同省は来年度中に同制度のモデル事業を開始する。

 厚労省が検討会に示した素案によると、看護師としての実務経験が一定期間あり、新設される第三者機関から知識や能力について評価を受けることなどが、特定看護師になる条件。新たに可能になる業務としては、医師の指示があることを前提に、気管挿管や外来患者の重症度の判断、在宅患者に使用する医薬品の選定といった高度な医療行為を想定している。

 厚労省は、モデル事業での検証を経て、新たな看護職を創設するための法改正に着手する。米国などでは、医師の指示なしで、一定の医療行為ができる「ナースプラクティショナー」という看護職があり、検討委でも導入が議論されたが、今回は、医師の指示を前提とした業務範囲の拡大にとどめた。

こうして報道から見てみますと、一方では業務の範囲をどこまで広げるかと言う議論が一つ、そしてもう一つの論点として前提となる資格をどう認定して行くのかという部分も大いに異論を呼びそうではありますよね。
とりわけ朝日新聞の報道では素案として「、(1)看護師免許がある(2)一定以上の実務経験がある(例えば5年以上)(3)第三者機関を設け、そこが認めた大学院修士課程を修了(4)大学院を修了後、第三者機関で知識や能力の評価を受ける」の四点を満たすべき要件としていますけれども、この要件が多忙な現場のまじめな実務家には厳しいと感じる方も多いのではないかと思います。
まあ早い話が、某界隈で年中看護研究(笑)とやらに精出しているようなお暇な方々ばっかりが認定されるような、実務に縁遠い者の資格であっては何の意味もないだろうという話なんですけれども(苦笑)、このあたりの認定要件に関しての議論はCBニュースの方がもう少し詳しく取り上げているようですので紹介しておきましょう。

「特定看護師」創設、モデル事業実施へ(2010年2月18日CBニュース)

厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」(座長=永井良三・東大大学院医学研究科教授)は2月18日、第10回会合を開き、同省がこの日示した報告書の素案について協議した。素案では、看護師の業務範囲を拡大するため、現行法の医師の「包括的指示」のもと、侵襲性の高い特定の医行為を担う「特定看護師(仮称)」を創設することが盛り込まれ、大筋で了承された。焦点となっていた「ナースプラクティショナー」については、特定看護師の評価を踏まえ、今後、資格化の是非を検討する。また、「フィジシャン・アシスタント」の導入に関しても、「引き続き検討することが望まれる」としている。同省では、来年度からモデル事業を実施する方針で、年度内に報告書を取りまとめた後、大分県立看護科学大など、先行して高度な看護師を養成している大学院を選定するため、その要件の作成に着手する。

素案によると、特定看護師の要件は、▽看護師免許を保有▽看護師としての一定期間以上の実務経験(例えば5年以上)▽特定看護師の養成のため、新たに設立する第三者機関が認定した大学院の修士課程を修了▽修士課程修了後、第三者機関による知識・能力の確認及び評価―の4項目。認定については、必要とされる専門性に応じて一定の分野ごとに行い、臨床実践能力を確保する観点から、一定期間(例えば5年)ごとに認定を更新すべきとしている。
養成課程を認定する際には、医師などの実務家教員や実習病院の確保、実践的なカリキュラムの策定といった指導体制の整備に加え、質と量の両面で充実した臨床実習が行える環境に留意すべきとしており、専門職大学院のような教育機関を想定している。モデル事業を検証し、特定看護師による医行為の安全性が評価された場合は、現行の保健師助産師看護師法を改正し、特定看護師の医行為を法律上で明確に位置付ける。
一方、日本看護協会が認定する「認定看護師」については、現在の教育課程(6か月・600時間以上)を見直した上で、限定的な領域で特定看護師に位置付ける方向で検討すべきとしている。それにより、新たな職種の不足など、制度化に伴う現場の混乱を回避する。

素案では、これまで法律上の「グレーゾーン」とされてきた業務内容のうち、特定看護師に期待される特定の医行為を例示した。特定の医行為は次の通り。
◆ 検査など▽患者の重症度の評価や治療の効果判定などのための身体所見の把握や検査▽動脈血ガス測定のための採血など、侵襲性の高い検査の実施▽エコー、胸部単純エックス線撮影、CT、MRIなどの実施時期の判断、読影の補助など(エコーについては実施を含む)▽IVR時の造影剤の投与、カテーテル挿入時の介助、検査中・検査後の患者の管理など
◆処置▽人口呼吸器装着中の患者のウイニング、気管内挿管、抜管など▽創部ドレーンの抜去など▽深部に及ばない創部の切開、縫合などの創傷処置▽褥瘡の壊死組織のデブリードマンなど
◆患者の状態に応じた薬剤の選択・使用▽疼痛、発熱、脱水、便通異常、不眠などへの対症療法▽副作用出現時や症状改善時の薬剤変更・中止

文面だけから判断していくと、更新まで義務付けられそうな勢いであったりと、かなり厳しい認定条件になりそうな勢いですが、さりげな~く裏?ルートの存在が示唆されているあたりなどをどう考えるべきなのかですが…
「医師などの実務家教員や実習病院の確保、実践的なカリキュラムの策定といった指導体制の整備に加え、質と量の両面で充実した臨床実習が行える環境に留意すべき」という文言をどう捉えるかですが、これに関しては後段の特定看護師に期待される医行為の内容というものに注目して行く必要があるかと思います。
冒頭に重傷度評価や治療評価判定といったものが上げられていますけれども、基本的には今まで医師が行っていた業務の中から、特に処置業務など手を動かす作業に関して移譲していくという狙いが大きいように思えるのですが、実のところこうした手技的領域に関しては今までの医学教育においては学生時代ではなく、卒後に現場でやってみて覚えるという傾向が強いものでした。
もちろん医師なり看護師なりの免許がなければ行えない手技が多いという法的な背景もあったわけですが、このあたりを卒後の実務経験者を対象とは言えカリキュラムとした教育態勢を構築出来るというのであれば、これは学部教育などのシステム改善にもフィードバック可能な試みとはなりそうですよね。

個人的に今後期待するところとしては、この認定看護師という制度があくまでも現場で体を動かす実務家を対象とした制度であるということをもっとアピールしていただいて、手が動かない座学?専門の方々が間違っても「せっかくだから資格でも取っておくか」などと流入してこないように垣根を高くしておいていただきたいといったところになりましょうか(笑)。
しかしこれ、一番の問題は専門施設で修士レベルの教育まで必要とされるという話であれば、いっそ昨今世間で注目されている医学部社会人入学(実際には学士編入制度となりますが)なんてものにチャレンジしてみようという人も結構出てくるんじゃないかという気がするのですが、このあたり資格取得のハードルの高さと取得によるメリットのバランス調整にもなお一考の余地ありだと思いますね。
一方では資格要件を看護師免許のみならず歯科医免許なども含めるようにしてみると、そのまま昨今話題の歯科医の麻酔参加などにもつなげられそうな話ではあるのですが、いっそそちら方面へも手を伸ばしてみるなんて話も今後出てくる可能性はないものでしょうか。

まあ何にしろ全てはモデル事業の結果を見た上でということになるんだと思いますが、その結果なるものをどう評価するのかというあたりにもまた議論の余地は幾らでもありそうですから、例によって「それでは特に問題もないようですので、素案通りで」なんて軽く流されることのないようにお願いしたいですね。

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2010年2月21日 (日)

今日のぐり:「梶屋」

年末に格闘技の試合と言うのは近年テレビの定番になっていますが、昨年末「Dynamite!!」のスーパーハルクトーナメント(世界超人選手権)で前評判を大きく覆して?見事優勝を飾ったミノワマン選手の活躍は未だ記憶に新しいところかと思います。
ところがこのトーナメント、実は優勝賞金はおろかチャンピオンベルトすら作られていなかったというのですから、これは体を張ったミノワマン選手ならずとも納得しかねるところですよね。

『Dynamite!!』一夜明け会見 (2010年1月1日kamipro.com)より抜粋

ミノワマン「すいません、いいですか? え~と、一応、優勝ってかたちなんですけど、あの~、優勝してから『チャンピオン』と言われるんですけど、ベルトとかはないんでしょうか? もしくは、賞金だとか、そういうのはないんでしょうか?」

笹原EP「え~とですね、ベルトは作ってなかったですし、賞金もまったく考えてなかったので(苦笑)。ハルクトーナメントっていうのは、いわゆる世間的なベルトだとか、賞金だとかっていうものを超えたところにあるトーナメントなんで。そんな小さいことを言わずにですね(笑)、それを超えた存在が僕はハルクトーナメントだと思ってますので、第2回大会も賞金もベルトをない中で闘っていただければなと思ってます」

さすが超人だけに人の世の常識をすら超えているということ、なんでしょうか?
さて、さすがにこれはカワイソス…と思ったのかどうか、こんな微笑ましいニュースが流れていました。

小学3年生の女の子からミノワマンへ素敵なチャンピオンベルトが贈呈!!(2010年1月15日DREAMオフィシャルサイト)

    昨年大晦日『FieLDS Dynamite!! 〜勇気のチカラ2009〜』で行われたスーパーハルクトーナメント決勝戦でソクジュに勝利し同トーナメント優勝を果たしたミノワマンに、小学3年生の女の子から手作りのチャンピオンベルトが贈られていたことが分かった。

なんとも素敵なチャンピオンベルトを作製した女の子は、埼玉県に住むミノワマンが大好きな「萌香」ちゃん。萌香ちゃんは自分でベルトを作っただけでなく、ミノワマンにそのベルトを送るための宅急便の伝票も自分で書いたようで(エライ!)、その伝票には可愛い字で「ゆうしょうベルト」と書いてあったとのこと。さらに、ミノワマンへのお手紙も一緒に同封されており、「夢はミノワマンと一緒にポーズして写真を撮ることです」とのメッセージが書かれていたそうだ。これにはミノワマンも大感激で、1月15日付けのミノワマン公式ブログ(http://blog.livedoor.jp/minowa_man/)に、

埼玉県に住む小学三年生の女の子が、手作りのチャンピオンベルトを作ってくれました。
本当にありがとう。
本当にうれいしいです。
応援する気持ちが凄く伝わりました。
今年ももっと良い試合ができるようにがんばります。

と感謝の言葉を綴っている。超人になりたい──その夢を追い続け、見事スーパーハルクトーナメント優勝を果たしたミノワマンに贈られた最高のチャンピオンベルト。萌香ちゃん、素敵なエピソードをありがとう! そして、「ミノワマンと一緒にポーズして写真を撮る」という夢、いつか叶う日が来ることを祈っています。

いや~ええ話やわ~。
特に超人らしくベルトを腰にポーズを決めるミノワマン選手がまたいかしていますけれども、今日はミノワマン選手と萌香ちゃんに敬意を表して、スポーツにちなんだ近来の話題を幾つか取り上げてみましょう。
まずはこちら、今まさに開催中の冬季五輪に関連したちょっと意表を突く話題です。

2ちゃんキャラ「クマー」が五輪キャラと間違われ新聞掲載(2010年2月9日ロケットニュース24)

『2ちゃんねる』の人気キャラクター「クマー」が、バンクーバーオリンピック(冬季五輪)の公式キャラクターと間違われ、ポーランドの新聞に掲載されてしまったようです。冬季五輪の公式キャラクターはMiga(ミーガ)、Quatchi(クワッチ)、Sumi(スーミ)の3匹なのですが、そこにクマーが加わった状態で新聞に掲載されてしまったわけですね。

新聞記者や編集部がクマーが紛れ込んでいる事に気がつかなかったのが第1の原因でしょうが、公式キャラクターと並んでいるクマーに違和感がないというのも凄いといえるでしょう。そもそも、公式ライセンスのもと使用許可を得た画像を使用していれば、このようなミスはしなかったに違いありません。

クマーは欧米でも有名で、「Pedobear」(ペドベアー)と呼ばれている悪名高きアンダーグラウンドなキャラクター。冬季五輪の公式キャラクターとクマーが一緒にデザインされているイラストは、カナダ人アーティストがイタズラで作った画像らしく、それを公式のイラストと思ったポーランドの新聞記者が使用したわけです。

しかし新聞を読んだ人達はクマーがあまりにイラストに馴染んでいる為、間違いで登場している事に気がついた人は少ないかもしれません。とはいえ、クマーに一番驚いたのはオリンピック委員会の人達なのは間違いないでしょう。

ちなみに問題の画像と言うのがこちららしいのですが、どうしたことでしょう?こうして並べてみても全く違和感がないほど馴染んでしまっているというのは…さすが神出鬼没のクマーだけのことはあるということなのでしょうか。
さて、場合によってはなんでもないような発言であっても、時と場合によっては大いに違和感を抱かされる場合もあるという教訓的事件がこちら、ご存知メジャーリーガーの松坂選手に関わる話題です。

【Sports Watch】松坂「ギャルのパンティー」発言に非難の声?(2009年12月22日ライブドアニュース)

19日深夜、TBSで放送するEXILEのトーク番組「EXH」には、ボストン・レッドソックスの松坂大輔がゲスト出演を果たした。

「14の質問」では、普段行う願掛けや英語での失敗談などを語った松坂。「イチロー選手は本当に凄い方なのか?」と訊かれると、「日本で対戦したときは、漫画じゃないですけど、バットが色んなコースに出てくるような残像じゃないんですけど、そういうイメージ」と明かした。

また、EXILEのUSAから「ドラゴンボールが7つ揃ったら、何をお願いするのか。3つまでいけるんですけど」と訊かれるや、「新しい神龍のほうですか。ナメック星の」と呟き、ドラゴンボールフリークぶりを垣間見せると、松坂は「1つ目のは、ギャルのパンティーですかね」と答え、ドラゴンボールをよく知らない会場のファンからは「えー!」という非難の声を浴びてしまった。

これには、「違う違う違う違う、これはフリですから」と、ウーロン(キャラクター)の名前を出して必死に弁解した松坂。2つ目の願いは「孫悟空にして貰いたい」と真面目に話したが、3つ目の願いに関しては答えることなく次の質問へと移ってしまった。

その他にも、「一番高い買い物は?」の問いには、「ボストンで買った家ですね。プールはあります。(掃除が大変そう?)たまに雑巾掛けやります」と笑顔で答えた松坂は、“尊敬する人”には、両親と桑田真澄の名を挙げた。

まあ、マニアであればお約束と言ってもいいくらいの話なんですが…ドラゴンボールも連載終了して世代が一回りしてしまいましたからねえ…
さて、今年は四年に一度のワールドカップの年ですけれども、そもそもサッカーと言えばその勝敗の行末を巡って戦争になるとも言われるくらいに世界中で熱い戦いが繰り広げられることで有名なもので、こちらでも思わぬところで場外乱闘が発生してしまったようですね。

ベルリン 赤から黒で場外乱闘(2010年2月10日東京新聞)

 南アフリカで開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)に出場するドイツチームのアウェーのユニホームが、赤色基調から全面黒色に新調された。これにすぐさま英国からケチがついた

 先月二十八日付の英紙デーリー・スターが「黒シャツはヒトラー時代の親衛隊(SS)制服の復活」と、ユニホーム姿の主将バラック選手にヒトラーの写真を添えて報道。翌日付の独大衆紙ビルトは「ナチスと比較するとは何ごとだ」と反撃した。怒りの矛先が向けられた英紙の記者は「ドイツのファンから約百通の抗議メールがきた。ユーモアを解さないドイツ人に謝罪するつもりはない」と、一蹴(いっしゅう)した。

 W杯では一次リーグの結果次第で、黒シャツのドイツとイングランドが対戦する可能性も。ドイツが0対9と過去最悪の負けを喫したのは約百年前のイングランド戦。「試合で勝ってお返しだ」。ベルリンのファンの闘争心に火が付いた。 (弓削雅人)

またブリかよ…orz
しかし好きの反対は嫌いではなく無関心だと言いますけれども、最近の日本もとうとう代表戦すら人気低落傾向ということでどうもよろしくない兆候のようには思えますけれどもね。
それにしてもここでも発端はまさにブリらしいという話題でしたけれども、最後に最近のブリでちょっとした流行だというこんなスポーツ?の話題を紹介してみましょう。

飛行機でエッチをしてマイルハイクラブ会員になる/英(2010年1月1日ロケットニュース24)

イギリスでは、高度1万メートルの高度を保って飛行している飛行機のトイレ内でエッチをする事をスラングで「マイルハイクラブ会員になる」と言うのですが、マイルハイクラブ会員になったイギリス人の最年少は19歳らしく、なんとも羨ましい、いや、けしからん事をするものである。

英字ニュース『アナノーヴァ』によると、高度1万メートルを超えるとマイルハイクラブ会員になりたがるカップルが増えるらしく、調査に調査を重ねた結果、その原因がわかったらしい。高度が高くなる事により肉体に圧迫感が加わり、精神的にも肉体的にも危機感を感じるらしく、それがマイルハイクラブ会員になってしまう原因なのだとか。

危機感が強まると子孫を残すため無意識のうちに必死になり、性欲が増幅。なんとしてでも種を残したいと脳に命令がいくため、性欲が増してマイルハイクラブ会員になってしまう人が増えるとの事。しかしそんな事をしている人はB級映画でしか見たことがない(本当にいるのだろうか?)。

トイレで喫煙をして客室乗務員に叱られる人はたまに見るが、エッチをしても客室乗務員に怒られるのか? 少なくともトイレに入るとき複数の人たちに目撃されるので、マイルハイクラブ会員になろうとしているのが他のお客さんにバレバレである。とにかく、不愉快に思う人もいるので性欲が増したとしてもマイルハイクラブ会員になるのは控えたほうがいいと思われる。

まあ屁理屈はどうとでもつくのかも知れませんけれども、これも一言で言っていかにもブリらしい話題といえば話題ということになるのでしょうかね…

今日のぐり:「梶屋」

近頃ではなにやらファンサイトまで出きているというこちら「梶屋」さん、名物料理ともいうべき「えび丼」が有名ですけれども、実はそれだけでなくプチ大盛り系の店としてもちょっとした有名店のようなんですね。
量が多いと噂のチャーハンセットはラーメンにハーフチャーハン、佃煮などがついてくるというものですが、普通この手のセットと言えばチャーハンなどはそんなに驚くような量というわけじゃありませんよね。
しかしこの店の場合ハーフチャーハンと言いますが、これだけで普通の店の一人前かそれ以上は十分あるくらいの量を誇っていますから、それじゃフルサイズのチャーハンはどうなのよという話です(実際、素人さんにはおすすめしかねるものらしいのですが…)。

こちらの場合味の方はいわゆる中華料理屋のチャーハンとは少し違っていて、玉ねぎが入っていることもあってか独特の甘みが何か妙に家庭的な焼き飯といった味わいにも感じられ、これはこれで十分納得できる味です。
ただしかなり以前に食べた時と比べると塩加減がずいぶんと違っている印象なんですが、量が多いだけにこのあたりの味の安定性がもう少しなんでしょうかね?
実は意外に(と言っては失礼ですが)評判が高いのがこちらのラーメンで、定食系のメニューは味噌汁の代わりにこのラーメンが丸々一杯ついてくるということになっているようですから当然量が多い、そして安い!ということになってきますね。
味の方はまさに正統派の豚骨醤油ラーメンという感じで、今風のラーメン屋ですともう少しとんがった味を追求していそうにも思うところですが、このじんわりとしたスープの旨さがちょうど飯とおかずに合わせて食べる分にはいい塩梅だと思いますね。

チキンカツセットの方にもたっぷりしたチキンカツに加えて汁代わりに?ちゃんとラーメンがつくんですからこれは食べ応えはありますが、それだけでなく佃煮などまでついているあたりが昔風の「とことん飯を食わせる飯屋」っぽくていい感じですね。
ここまでされてしまうと心意気に応えて是非とも飯大盛りで!と行きたいところですけれども、さすがに胃袋の加減と相談しながらやっていただいた方がよろしいのでしょう。
ちなみにこのチキンカツ、ひとくちカツサイズでそれ自体さくさくと普通にうまいカツなのですが、特筆すべきは添付されている小鉢のタレが味噌ダレであることで、これは自分も初めて食べましたチキン味噌カツということになるのでしょうか。
味噌カツ自体は好みもあるでしょうからもちろんテーブルに用意されているソースなどで食べても構わないのですが、これはなかなか良い意味で意表をつかれた工夫だと思いますね。

正直大盛り系の店というと味は二の次、三の次という印象があったのですが、ここの店は全く高くはない値段設定にも関わらず普通に文句なく食えるくらいに味は悪くない、もちろん量もまず普通の人間なら満腹になるくらいにそろっているわけですから、こんな辺鄙な場所にあっても大繁盛店となっているのは納得です。
ちなみに女性や年配の方などでどうしても残してしまう方もいらっしゃるでしょうが、店に頼めばテイクアウト用の容器も用意してくれるようですので、その面でも安心なのではないかと思いますね。

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2010年2月20日 (土)

変態記事が止まらない

既存マスメディアの暴走ぶりは今に始まったことではありませんが、最近とりわけ目につく気がするのはやはり各社とも経営的に極めて厳しいことから尻に火がついてきたということなんですかね?
しかしいくら視聴率第一、部数最優先とは言っても、手段を問わずということであればこれは社会的に批判されても仕方がないところで、今まではその批判する手段を一手に引き受けてきたからこそメディアの独走が放置されていたとも言えるわけです。
ネットと言うものの本質的に期待される役割の一つとして、こうした暴走するメディアに対する適切な批判というものが求められているのではないかと思いますね。

さて、以前にも紹介しましたNHKの台湾偏向報道問題で、NHKに発言を歪曲された台湾の柯徳三氏が亡くなられたそうで、ご冥福をお祈りします。
しかし当のHNKは個人の思いを踏みにじるかのように、徹底抗戦の構えを崩していないようですね。

「JAPANデビュー」偏向番組訴訟 台湾統治でNHK側は争う姿勢(2010年2月15日産経新聞)

 NHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」の出演者などから番組内容に偏向があったと批判が相次いだ問題で、出演者の台湾少数民族・パイワン人や視聴者ら計約1万300人がNHKに計約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁(岡健太郎裁判長)であった。NHK側は争う姿勢を示した。

 また、原告側が意見陳述を行い、「台湾の日本語世代の人たちは、教育への貢献など日本による統治時代を高く評価している。(証言をねじまげた今回の番組は)公共放送として許されない」などとNHKの姿勢を批判した。

 問題の番組は昨年4月5日に放送されたが、「日本の台湾統治を批判するため、出演者の証言をねじ曲げている」などと批判が集まった。

もともとNHKといえばその独善的態度は直接取材など番組制作に関わった人ほど思い知らされると言いますが、その姿勢の基本にはやはり親方日の丸意識というのか、「自分たちが一番高尚で偉いんだ」といったものがあるのでしょうか?
先ごろはNHK内部でこんなトンデモ発言が飛び出したと言いますが、こういう感覚の人達がやっているのではちょっとそれはどうなのよと思ってしまうところではあります。

「番組見なければ就職させない」 NHK経営委員「トンデモ」提言(2010年2月8日J-CASTニュース)

 ストレス発散のバラエティ番組はダメ、若者にはまじめな番組を見てもらうよう法律を作ればいい――。NHK執行部を監督する経営委員の1人が、委員会の会議でこんな発言をして波紋が広がっている。関係者からも「変わった意見だ」との声が出ているが、なぜこんな人が出てきたのか。

 「変わった意見」が出てきたのは、2010年1月12、13日にあったNHKの経営委員会だった。

■委員「まじめな番組を見てもらう法律作ればいい」

 NHKの今井義典副会長が国際放送事業について説明すると、安田喜憲委員が発言を求めた。

 安田委員は現在、中曽根康弘元首相らの尽力で京都にできた国際日本文化研究センターの教授。NHK経営委員には、09年3月1日付で任命されている。

 NHKサイトで10年1月29日から公開中の議事録によると、環境考古学が専門の安田委員は、発掘調査で行ったカンボジアで、若者向けの少し砕けた NHKのバラエティ番組が放送されているのを見た。しかし、カンボジアの人々は、日本はまじめな国と尊敬しており、そこにこんな番組が流れると非常に違和感を持ったという。

 そして、予算や事業計画の説明に入ると、安田委員は、日本の若者は、授業中に寝るなどなっていないとしたうえで、次のような発言をした。

  「私は、今の若者に徴兵制はだめとしても、徴農制とか、徴林制とか漁村に行けとか、そういう法律で、テレビの番組も何時から何時まできちんと見るということにすればいいと思います」

 さらに、日本を大変なところに行かせないために、「この番組を見なければ会社に就職させないとか、抜本的に政策を変えないと」とまで訴えた。安田委員は、こうした面でNHKの役割は非常に大きいとして、就職や受験に役立つ番組などを提案した。テレビでストレスを発散するなどは言語道断だとしている。

 ほかの委員からは賛同する意見はあまりなく、ストレス発散になる良質な番組も必要などと指摘があり、今井副会長は「バランスについては、これからも考えながら進めてまいりたい」などと答弁していた。
(略)

ところで話変わって、メディア業界の犯罪王国と言えばご存知TBSですが、また新たな犯罪史に名を刻んでしまったようですね。
しかしこの会社自体に反省と言う概念がないのは仕方がないとしても、こうも毎回毎回犯罪行為ばかり続けていても相変わらずこの業界に残っていられるというのは、いったい業界の自浄作用というのはどうなっているのでしょうか?

TBSまた不適切取材 車に無断で発信機付ける(2010年1月18日J-CASTニュース)

   TBSが警察を呼ばず国際的詐欺の犯人を取り逃がしていた問題で、企画したAPF通信社のスタッフが犯人の車に無断で発信機を付けていたことが、2010年1月16日までに分かった。同局が「報道特集NEXT」の中で明らかにした。

   犯人の居場所を知ろうと、6月と9月に発信機を付けたという。こうした取材について、同局は「不適切な取材が行われていないか確認する責任があり、深く反省しています」などとして番組内で謝罪した。

   なお、犯人を取り逃がしたのは09年12月5日放送の「報道特集NEXT」で、黒く塗られた紙幣「ブラックマネー」による国際的詐欺事件について特集していた。この問題では、APF通信社のスタッフが、犯人あての郵便物を無断で開封したことも明らかになっている

まあこの会社に関してはもはやネタソースとしてむしろ特異的地位を構築している面もありますから、今後もこの道一本で生きていくという覚悟ではあるのかも知れません。
さて、捏造報道の本家本元とも言える毎日新聞ですけれども、またもやこんな怪しげな記事を出してくれました。

若者は「わさび抜き」すしが好き 毎日新聞記事に「事実なの?」(2010年2月12日J-CASTニュース)

 

「すし店でサビ(わさび)抜きを注文する若者が増えている」。そんな新聞記事が掲載されると、ネットで「それは事実なのか?」などと疑問視する声があがり、ちょっとした騒動になっている。巨大掲示板「2ちゃんねる」では、サビ抜きのすしはアリなのか、無いのか、などとスレッドが10を超える「祭り」に発展。「サビ抜きのすし」を注文する若者は増えているのだろうか。

   毎日新聞は2010年2月5日付けで、今の若者達は「辛み」「苦み」を敬遠、「大人の味」が苦手な若者が増えているようだ、という内容の記事を掲載した。具体例として挙げられているのがすしで、サビ抜きをリクエストするのは「圧倒的に20代の若い方で、特に女性が目立つ」という、すし店の店長のコメントを掲載している。

「サビ抜きを頼む若い女性を見たことがない」

   すしのサビ抜きといえば、親が小さな子供に食べさせるために注文する、という風景はよく見かける。毎日新聞記事によれば、今の若い人達は子どものころからの味覚や嗜好があまり変わらない人が増えていて、20代、特に女性がサビ抜きを注文するようになっているのだそうだ。

   この記事に関し、「2ちゃんねる」ではスレッドが複数立つ「祭り」に発展。

    「サビを抜く若い女は今に始まったことではなく昔からいる」
    「素材を味わいたいなら醤油も必要ないと思うが・・・」

などと書き込まれた。

   サビ抜きをする若い人が増えていることについては首を傾げる人が多い。都内の大学生に聞いてみると、

    「私もそうだが、サビ抜きを頼む友人は見たことがない」(20歳女性)

という人がほとんどだった。

   すし専門店ではどうだろうか。「ミシュラン」で3つ星を取った東京銀座の「すきや橋 次郎」では、

    「そういったお客様はいらっしゃいません

ということだった。持ち帰りすしの「小僧寿し」本社では、

    「子供に食べさせるためお母さんがサビ抜きを注文されることはありますが、大人の方にとってわさびは必要です」。

   回転寿司の「元気寿司」本社では、

    「若い人、特に女性がわさび抜きを頼む事が増えている、ということは聞いておりません

ということだった。
(略)

まあしかし、ソースの怪しげなネタを取り上げるところまではよろしいんですが、またこの会社が毎回毎回「「大人の味」が苦手な若者が増えている」なんて余計な突っ込みどころを用意してくれるから当ぐり研でも毎回お世話になるわけですけれどもね。
さて、以前にも厚労省の恣意的行政処分発動か?!といった話題でも取り上げました東京女子医大の患者死亡事件と関連して、毎日新聞絡みでこういう話題が出たことをご存知だと思いますが、とうとう最高裁でも明確な判断が示されてしまったということでしょうか。
しかしこの一件、詳細を知れば知るほど毎日新聞の驚くべき非常識な感覚が明らかになってくる話でもあるのですね。

毎日記者らの賠償確定 連載記事で名誉棄損(2010年2月17日産経新聞)

 東京女子医大病院で心臓手術を受けた少女の死亡を「手術ミス」と報じた新聞連載記事を新書として出版したことは名誉棄損に当たるとして、元担当医が毎日新聞の記者と発行元の集英社に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は、記者と集英社側の上告を退ける決定をした。記者らに80万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。決定は16日付。元担当医は死亡事故で業務上過失致死罪に問われたが、無罪が確定している。

 2審判決などによると、集英社は毎日新聞の取材班の連載記事をまとめた新書「医療事故がとまらない」を出版した。

この一件、いたって少額と言っても言い賠償金額からしてもお互いのメンツをかけた争いになっていることは容易に推測できるところですが、実は二審の段階で毎日新聞側から和解案なるものが出てきています。
これがなかなか愉快な内容で、当事者である「紫色の顔の友達を助けたい」さんのところから引用させていただくとこんなことになるのですね。

毎日新聞記者ら側の和解案

tokyo_kosai_wakai_ann.pdf」をダウンロード

「1.控訴人らは、本件書籍において、本件事故の原因として後の刑事事件の控訴審判決が認定した事実と異なる記述が存在すること及び被控訴人が無罪を主張していた事実について言及がないことを認め、これにより被控訴人が不快の念を抱いたことについて遺憾の意を表明する。また、控訴人らは、被控訴人の刑事裁判における被控訴人の主張に関する取材が不十分だったという被控訴人の見解を真摯に受け止め、今後の取材・編集活動に生かすべく努める。

2.被控訴人は、本件書籍執毎及び発行の目的が、医療事故における組織的・制度的な問題の究明にあり、被控訴人を含む医師個人の責任を追及したりその名誉を毀損することにはなかったことを理解する。

3.控訴人ら及び被控訴人は、本件訴訟が和解によって解決したという事実並びに本和解条項第1項及び第2項の内容を除き、本件訴訟の経緯並びに本件訴訟において提出された準備書面等及び証拠(但し、公刊物を除く。)を秘密として保持し、正当な理由なくこれを第三者に開示又は漏洩しない

4控訴人ら及び被控訴人は、控訴人らと被控訴人との間には、本和解条項に定める内容を除き、一切債権債務がないことを相互に確認する。

5訴訟費用及び和解費用は、第一審、控訴審とも各自の負担とする。」

一審勝訴している私が、このような馬鹿げた和解案を受け入れるはずがありません。「本件訴訟の経緯並びに本件訴訟において提出された準備書面等及び証拠(但し、公刊物を除く。)を秘密として保持し、正当な理由なくこれを第三者に開示又は漏洩しない。」なんて和解案聞いたことがないでしょう。

これは、被告らが、そうとうめちゃくちゃな「準備書面」や「証拠=陳述書」を出してしまったことが公開されるのが恥になるからでしょう。

 勝訴したからには当然こちらは、公開する権利があります。

いやしくも情報を世の中に広めることを生業とする報道関係者が、自らの出した書類を世に公開してくれるなとは非常に面白いことを言うなと思うのですが、よほど内容に自信がないということなんでしょうかね(苦笑)。
しかしこの記者、こうして晴れて名誉毀損が確定したということは会社にとっては非常に不名誉な話ではありますけれども、こうなりますと当然に毎日新聞お得意の懲罰的昇進が待っているというわけなんでしょうね?(笑)

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2010年2月19日 (金)

医療安全を阻害する最大の因子は何か?

労働環境と労働者の権利保護の問題というもの、他業界ではもうずいぶんと前から労組があったり弁護士や労基署が労働者権利保護に動いてくれたりとあったわけですが、医者の世界においてはつい最近になって動き始めたばかりという現実があります。
昨年に日本史上初めての医者の労組が出来上がったなんてことが話題になりましたが、かつては労基署などに電話しても医師だと判った途端に電話を切られたなんて「都市伝説」があるくらいで、要するに医者は労基法無視で働かさなければこの国の医療が回らないのだという暗黙の了解が関係各方面の共有するところであったわけです。
その風潮が変わってきた一因として厚生労働省という組織の立ち上げで医療畑と労働畑の行政が一本化され、両方面の競争意識もあって労働畑が医療畑にも介入してくるようになってきた、なんて噂もありますけれども、いずれにしても最近は労基署も医療業界で仕事をする決意をようやく固めたと言うことなのか、あちこちの病院で手入れが行われたなんてニュースがぼちぼち出てくるようになりましたよね。
何より当事者である医者の側がまともな労働者の権利というものに目覚めつつあるということも大きいのでしょうが、労基法無視で彼らを酷使してきた病院側の方でも多少はそうした世間の空気を読んできたと言うことなのでしょうか、先日地方紙にこういう記事が出ていました。

大分大 超勤手当336人不払い 昨年11月まで 2年間2億4500万円(2010年2月16日西日本新聞)

 大分大学は16日、教職員計336人に対し、2007年12月から09年11月までの2年間、超過勤務手当の一部を支払っていなかったと発表した。総額は計約2億4500万円で、給料支給日である今月17日、一括して口座に振り込むという。

 同大によると、不払い対象は医学部の医師が9割、残りが医学部の看護師や一般事務職員など。不払い額は1400-約737万円。1人当たり平均約73万円で、不払いの超過労働時間は延べ計9万225時間。

 昨年4-8月に時間外労働を検証するため初実施した内部監査で判明。今年1月まで再調査で精査していた。「勤務者と管理者の待機時間に対する認識の違いが原因」(人事課)としている。

 労働基準法に基づき、請求権のある2年分を今回支払い、それ以前については調査していないという。該当者でこの2年間に退職した人でも、請求があれば支給する方針。不払い分の支給財源は大学の運営費交付金で賄うとしている。

 羽野忠学長は「適正な勤務時間管理ができていなかったことは誠に遺憾。今後はこのような事態が発生しないよう努める」とコメントを出した。

労基法無視の代名詞とも言える大学でこの種の超勤手当云々の話となると、何故か一番超勤が多いはずの医師が無視されているというのが昔からの定番だったのですが、最近は時代が変わってきたということなのか、医師にも超勤手当が発生するのだと認めてくださるようになったようですね(笑)。
しかし「勤務者と管理者の待機時間に対する認識の違いが原因」って、いまさら一体どの口をぬぐってそんな寝言を言っているのかと言いたい人も多いんじゃないかと思いますが、まさか「医者に労基法が適用されないのは当然ですよ。うちじゃ昔からずっとそれでやってきたんだし」なんてコメントも出せなかったということなんでしょうか?
ちなみに「今後はこのような事態が発生しないよう努める」なんてことを言っていますけれども、これがまたどんな斜め上方向に逸脱した再発防止策を考えだしてくれるものやら、そちらの方でも楽しみは多そうですよね(苦笑)。

経営の厳しさをます病院経営でも、勝ち組となっているところはほぼ例外なく医者集めに成功しているところであるということが明らかになってきていますけれども、病院の最大の収入源が診療報酬であり、その診療報酬は医師の指示し実施するところの診療行為に基づいて発生するということを考えれば、これは非常に当たり前の現象であると思います。
要するに長期的な成功を目指すのであればまず第一段階としてスタッフを手厚く遇さなくてはならない、それが出来ない施設は行き詰まるのも当然だという話なんですが、今までは一番の当事者であるはずの医者自身がそのあたりの感覚がずれていて、待遇交渉など考えもしないまま限界一杯まで頑張った挙句に燃え尽きて立ち去ってしまうということが、今日言うところの医療崩壊現象の発端でもあったわけです。
このあたりは労働者としての権利云々以前にパイロットの勤務時間に制限が課せられているのと同じことで、人の命を預かる以上はまず何よりも自らが健康で正しい判断を下せる心身の状態を維持するよう努めなければならない義務があるはずで、例えば日本全国96%の病院で行われている「日勤-当直-日勤」の最低36時間以上の連続勤務など医療安全を損なう最たるものであるわけですよね。

患者の健康を守るためにはまずその診療にあたる医療スタッフの健康を守らなければならない、過労状態での診療などとんでもないということを、何より命をあずける患者の側から要求して行くべきなのでしょうが、実のところ一方の当事者であるはずの医療スタッフ側に問題意識が乏しかったというのも事実ではありました。
特に昔は医者というと労働環境などに口出しするなど邪道という妙な風潮があって、医局命令でどんなところでも黙って飛んでいくのが当たり前と言う感覚が主流でしたけれども、幸い最近では若手の先生方を中心に、適切な休養もまた医療の質を向上させる大事な要素であるという認識が広まっているように見えるのは良い傾向だと思います。
とりわけその傾向を推し進めているのが例の新臨床研修制度で、自分で勤務先を選ぶという他業界では当たり前の就職活動を行うことに慣れてしまったこれからの時代の医者は、当然勤務条件等にもちゃんと目が行くでしょうから、医者など安くこき使って当然という古い医局派遣時代の価値観から脱却できない施設は今後も「新臨床研修制度のせいで医者が来ない」と嘆いて見せるしかないということですよね(まあある意味正解ですが)。

もちろん労働環境の健全さの指標として金銭的評価だけが全てではありませんけれども、数字として一番比較しやすい金銭的評価すらもきちんと出来ないような施設がスタッフをどのように遇しているかを想像してみれば、簡便な指標としての有用性としてこれがなかなか馬鹿にできないものがあります。
ところがそうした旧い体質そのままの病院が待遇改善等の自助努力など全くやる気もないまま「医師不足だ!国が何とかしてくれなければ困る!」としきりに泣きついた効果が出たということなのでしょうか、ここに来て時代の流れに逆行するかのような動きが出てきているようです。

厚労省:研修医高給に歯止め 年720万円以上補助金減額(2010年2月17日毎日新聞)

 大学医学部を卒業して2年以内の初期臨床研修医の給与に差がありすぎるとして、厚生労働省は11年度から、年720万円以上の給与を払う研修病院には補助金を減額する方針を固めた。17日開かれた医道審議会部会に諮り、了承された。厚労省は研修医の給与の目安を年360万円としており、医師不足を背景にした過度の厚遇に歯止めをかけることにした。

 04年度から制度化された初期臨床研修は、質の向上のため、研修医の他病院などでのアルバイトを禁じる一方、月30万円の収入が保証されるよう設計された。厚労省の09年度調査では、研修病院1072施設の1年目の平均給与は年410万円だったが、700万円以上も26施設あった。最高は1075万円で、最低の204万円と5倍以上の差がある。

 このため11年度からは、基本給が目安の2倍を超える病院に対し、研修医1人当たり百数十万円になる補助金を一定額減らすことで、格差の是正を図る。一方で給与が年360万円に満たない病院への対応も今後議論する。厚労省医師臨床研修推進室は「研修医確保の努力は否定しないが、制度の趣旨を逸脱するような高額化は避けたい」としている。

 また、今年度の募集から設けられた都道府県別の定員上限について、定員を一気には減らさない激変緩和措置を来年度募集でも続けることも、同部会で了承された。【清水健二】

非常に面白いなと思うのは、高給を出しても優秀な人材を集めた方が結局組織の業績が伸びるということはどこの業界でもやっている話で、そうであるからこそ人材のヘッドハンティングなどということが当たり前に行われているわけですよね。
高給を出しても利益が出るかどうかの判断はそれぞれの施設で考えるべきことであって、本来の「研修医が生活のためバイトに精出すことなく研修に専念出来る待遇を保証する」という臨床研修制度の趣旨からすれば、むしろ最低限の待遇すら満たしていない施設にまず何らかのペナルティーを課すのが筋というものでしょうが、何故かこういう話になってくるあたりに面白い力学が働いているんだろうなあと思うところです。
こう言いますと国民目線からすれば医者を安く使える方が医療費も安上がりでいいじゃないか!と思うかも知れませんけれども、このあたりを考える上で先日ちょうどこんな書き込みを見かけたので紹介しておきましょう。

882 名前:_ねん_くみ なまえ_____[sage] 投稿日:2010/01/30(土) 22:10:20 ID:???
同業者間の競争で
糞企業が社員を酷使して強引に業績上げる

「嫌なら辞めろ」「辞めるよバーカ」
糞環境で酷使された社員はさっさと辞める

糞企業はろくな人材が集まらず
無理が祟って潰れる

適正な価格と労働環境を提供した企業が
糞企業分のパイと雇用を回収する

労働者「競争原理万歳」

同業者間の競争で
糞企業が社員を酷使して強引に業績上げる

しかし「既卒だとやりなおし効かないし・・・」と奴隷社員は辞めない
それどころか「は?社会舐めてんの?俺なんかこの前サビ残○○時間ですけど?」
と奴隷自慢を始める

糞企業が鬱と自殺者を排出しながら強引に規模拡大
まともな企業が競争に負けて消滅

社員は逃げ場はなくなりサビ残当たり前のブラック会社しか選択肢が無くなる
「仕事があるだけありがたいと思わないと・・・」「生活さえできれば・・・」

会社役員「競争原理万歳」

さてこの場合、良悪という評価基準がどこにあるのかということで、従業員にとっては悪い企業でも顧客にとっては良い企業ということはあるだろうという考え方もあるわけですが、医療業界の場合はどうでしょうか?
医者ももちろん労働者ですから労働環境や待遇が勤務先を決める要素の一つになるのは当然ですが、一方で高い給料をもらって仕事が楽でも医者が去っていく病院が多々あるように、やはり技能職として能力発揮の機会がないような場所は嫌だと言う感覚も根強いわけですよね。
医者が逃げ出している病院と医者が集まってきている病院、一般論としてどちらがより良い医療をしているかと言えば、これは内部の実情を知っている人間からすれば一目瞭然ですが、公権力の介入によって悪貨が良貨を駆逐するという状況にもっていくことが果たして患者側たる国民のためになるのかどうかです。
このあたり、医師免許所持というだけの素人さんしかいない厚労省では、現場の感覚を代弁できるブレインがいないのだろうなと今更ながらに危惧されるところですが、面白いのは一見して無茶なように見えて医療資源集約化という同省の持論からすれば非常に合目的的でもあった今までの政策と比べて、これは何やら総務省的と言いますか、少し中の人が違うのか?とも感じられるところですかね。

医療と言う極度にマンパワー集約型の産業で、しかも保険診療など公的に認められた部分以上の現場の裁量で運用されている領域が大きい場合、スタッフの士気を落とすとどういうことになるのかと言えば、これは直接的に利用者に跳ね返ってくるということになるのは当然です。
早い話が医者が来ない!大赤字続きだ!と大騒ぎしている地方公立病院などで、他を圧倒する素晴らしい顧客サービスを誇っている施設がどれくらいあるのかと考えてみれば誰にでも判る話だと思いますけれども、接遇面の不満以上にそもそもやる気のないスタッフに命をあずけるのは誰だって躊躇しますよね。
医師大量養成政策が功を奏して大幅な医者余りにでもなった時代ならばともかく、医療崩壊とまで言われる今の時代に現場の士気を下げる方向でのバランス調節が何かしら良い結果を産むとは全く思えませんが、何かしらこのところの医療政策と言えばそういう逆方向への迷走ばかりが目立つように思うのは自分だけでしょうか。

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2010年2月18日 (木)

更なる犯罪行為に手を染めていく環境テロリスト

先日もお伝えした環境破壊物質による攻撃以降も、相変わらずの妨害活動を繰り広げている環境テロリスト・シー・シェパードですが、最近は新しい芸風を開発中だということです。

シー・シェパード、日本船に“ワニの卵”投げる―声明文「冗談さ!」(2010年2月17日サーチナ)

  反捕鯨団体を標榜するシー・シェパードは16日、日本の調査捕鯨船「日進丸」に、多くの“ワニの卵”を投げつけたと発表した。「本物ではない」と説明した上で「日本人は動物虐待としてシー・シェパードを訴えようとするだろう」などと主張した。このところ過激な行動が目立つシー・シェパードだが、支援者向けにイメージを向上させる「ビジネス目当て」の可能性がある。

関連写真:そのほかの捕鯨に関する写真(41件)

  声明文は「われわれは、作戦にユーモアを盛り込むことが好きだ。本日は、それを実施した」と紹介。“ワニの卵”は1個50ドル(約4500円)で、シー・シェパードの支援者が数ダースを用意した。外側には抗議文が書かれ、落下するとワニの人形がふくらんで出てくる仕掛けという。

  声明文は「もちろん、本物ではない」と説明し、「日本人は動物虐待としてシー・シェパードを訴えるだろう。やつらは、現実とフィクションの違いを分かろうとしないからだ」などと主張した。

  シー・シェパードによると“ワニの卵”の攻撃は大成功。「日本側は放水したが、卵が割れて、ふくらんだワニの人形が日進丸のデッキに転がることになった」と、自慢げに紹介した。

  シー・シェパードは寄付金やパーティーなどで資金を稼いでいる。声明文に「われわれはユーモアを好む」、「ワニの卵は50ドルで、支援者が用意した」などとあることから、奇抜な行動で人目を引き、相手側にも死傷者が出ない攻撃とアピールすることで、イメージの向上を資金集めに結びつけようとの「ビジネス目的」の行為だった可能性がある。(編集担当:如月隼人)

しかしこいつら、相変わらず南極の海にゴミをまき散らしまくってますと自ら宣言してどうするんだと素朴な疑問も湧いてくるところですが…
ロケット弾で環境破壊物質をまき散らしておいて「いやあれは無害なものだよ」などと寝言を言ってみたり、他人を傷つけておいて今更冗談だったなどとごまかすのもふざけた話ですが、鯨肉窃盗で逮捕された犯罪者が日本を逆告発なんて香ばしいネタもあった折ですから、彼ら的にはこういう反省などという言葉とは無縁の人を食った態度がデフォルトということなのでしょう。

ところで彼らの船舶にはテレビ局が同乗しているということはすでに周知の事実ですけれども、いずれこれもまたテレビ映りを意識してのスポンサー向けデモンストレーションということなんでしょうが、正直こういう連中に関わるテレビ局というのもどうなのかと思われるところではないでしょうか。
その件に関してもネット上ではすでにこうした書き込みが出まわっているようで、反日プロパガンダ云々の実際はさておき、全ては環境保護なる美名の背後に隠された別の思惑に従っての行動であることは、すでに反捕鯨主義者の間でも認知されつつあるようですね。

292 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/02/13(土) 02:43:55 ID:w9ii/6KY0
高速ゴムボートからは、到達距離が伸びるランチャーから酪酸弾が投てきされ、捕鯨船の乗組員が飛沫を浴びた。
この様子は、米CS放送局のアニマル・プラネットのカメラマンが撮影。映像は、今年夏から同局で放送される
シー・シェパードのドキュメンタリー番組「鯨戦争」シーズン3に反映されるものと思われる。

アニマル・プラネット ドキュメンタリー番組「鯨戦争」(Whale Wars)。
 反日色が強い反捕鯨プロパガンダ番組。
 マージョリー・カプラン社長は「アニマルプラネットの大ヒット番組になる」と豪語。
 米紙USAトゥデイによれば、この番組自体、日本人の感情を害するとして、放送依頼を多くのチャンネルから断られた。

 この番組は、日本では見れません。日本法人のアニマル・プラネットは「編成方針にあわないから」と理由を説明。
 公式サイトでも、動画のページになると、ロックがかかっていて、 日本ではダウンロードできないようになっている。

 番組は、シーシェパード側の思い通りに編成しており、日本側の主張は無視。
 シーシェパードの危険な暴力行為を美化した上、日本を一方的に貶めるやり方で構成された、
 客観性のない欠陥だらけのドキュメンタリー番組。

2008年11月7日付けのウォール・ストリート・ジャーナルは、以下のように論評しました。
 アニマルプラネットは、Whale Warsによって、エコテロリズムを喧伝し、その会員・資金集めの場を提供することになった。
 長年の動物愛護番組のスタイルから離れ、新しい道をとることになったのだ。

ttp://animal.discovery.com/tv/whale-wars/meet-the-crew/
日本人は世界メディアであるテレビ局による反日プロバガンダを止めるべきです
彼らにとってこれはテレビショーなんです止めるためにはアニマルプラネットを国際法廷に訴えるべきなのです
単なる反撃は彼らを盛り上げて喜ばせるだけです

343 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/02/13(土) 03:03:30 ID:w9ii/6KY0
アニマルプラネット
動物と人間、それを取巻く環境をテーマにした専門チャンネル
英国国営放送「BBC」と、「ディスカバリーチャンネル」が共同制作し、100カ国以上の国で視聴されている

アニマル・プラネット ドキュメンタリー番組「鯨戦争」(Whale Wars)。
 反日色が強い反捕鯨プロパガンダ番組。
 マージョリー・カプラン社長は「アニマルプラネットの大ヒット番組になる」と豪語。

ttp://animal.discovery.com/tv/whale-wars/meet-the-crew/
日本人は世界メディアであるテレビ局による反日プロバガンダを止めるべきです
彼らにとってこれはテレビショーなんです
止めるためにはBBCとアニマルプラネットを国際法廷に訴えるべきなのです
単なる反撃は彼らのショーを盛り上げて喜ばせるだけです

【ディスカバリーチャンネル、BBCに知らずにお金を出していませんか?
衛星やスカパー加入者は知らないうちにパック視聴しています
SSの資金を断つためにこれら3チャンネルをパックから外すようメールしてはいかがですか?】
ディスカバリーチャンネルはライアンコネルが日本を紹介して居たり、何かと如何わしいです
日本人=変態のイメージを煽ったのもこのチャンネルです

彼らは鯨の前は日本のかに漁船を取材していました
次が鯨、次がマグロ
これが捕鯨をやめて何とかなる問題だと思いますか?
彼らは世界中に日本人など殺しても良い存在だと思い込ませるのにまんまと成功し
それで視聴率を稼いでいるんです

334 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/02/13(土) 03:00:30 ID:w9ii/6KY0
捕鯨だけじゃないディスカバリー
日本人=変態のイメージをばら撒いて
児童ポルノの悪=日本のイメージにしたのもディカバリーが変態毎日新聞の記者だったライアンコネルを
日本通として出演させていたから

捕鯨問題だけじゃなく彼らにとって日本人は視聴率の稼げる良い悪役なのです
捕鯨の次がマグロ、その次は?海洋資源?南京虐殺?
彼らが煽りたいのは反日プロバガンダなのです

ここでも変態新聞かい!という突っ込みはさておき(笑)、さてこのテロ集団ですが、最近また妙なことをやり始めたようです。
あちこちのメディアも取り上げていますけれども、今度は日本船に不法侵入した挙句に金品まで要求したというのですから、いったいどこが環境保護活動なのかと厚顔無恥もここまで来るともはや開いた口もふさがらないとはこのことですね。

シー・シェパードの活動家拘束、日本船に侵入(2010年2月15日読売新聞)

 水産庁は15日、南極海で、日本の調査捕鯨船に反捕鯨団体シー・シェパードの活動家が侵入し、取り押さえられたと発表した。

 同庁によると、同日午前9時頃(日本時間)、監視船「第2昭南丸」に男1人が侵入した。男はニュージーランド人で、先月第2昭南丸と衝突して大破した小型高速船「アディ・ギル号」の元船長。水上バイクで第2昭南丸に近づき、よじ登ったとみられる。船内で暴力をふるうことはなく、乗組員にけがはないという。

 調査捕鯨船へのシー・シェパード活動家の侵入は、2008年1月に2人が乗り込んで以来。

 海上保安庁によると、日本の船舶上では日本の法律が適用され、不審者が船内に乗り込むなどの「船舶に危害を及ぼすような行為」があった場合、船員法に基づき、船長がその危害を避けるための必要な処置をすることができるという。

シー・シェパードの船長が日本船に乗り込み3億円を要求 船内で身柄を保護(2010年2月15日産経新聞)

 環境保護を標榜する米団体「シー・シェパード(SS)」が南極海で日本の調査捕鯨船団に妨害活動を繰り返している問題で、水産庁は15日、日本船団の監視船「第2昭南丸」に、SSの船長1人が侵入したと発表した。SS側は今年1月に抗議船と日本船が衝突した責任は日本側にあると主張し、侵入した船長は第2昭南丸の船長に3億円を請求するとの趣旨の書簡を手渡したという。

 今シーズンの調査捕鯨活動で、SSのメンバーが日本船に侵入したのは初めて。乗り込んできたのは、今年1月6日に南極海で第2昭南丸と衝突して大破した抗議船「アディ・ギル号」のピート・ベチューン船長で、15日午前9時(日本時間)ごろ、第2昭南丸の船内に侵入。船長に書簡を手渡したという。

 その後、抗議船「スティーブ・アーウィン号」が接近しSSの日本人メンバーが拡声器で書簡の内容として「アディ号の衝突は日本側に責任があり3億円を請求する。第2昭南丸はニュージー・ランドに向けて航行せよ」と呼びかけた。

 ベチューン船長はジェットスキーで接近し、第2昭南丸に侵入。その際に親指に軽傷を負った。第2昭南丸の船内で保護され、乗組員により治療を受けているという。

 オーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」電子版によると、SSのポール・ワトソン代表が同紙に「先の衝突で6人の船員の生命が脅かされたため、第2昭南丸の船長を殺人未遂罪で常人逮捕するために乗り込んだ」と説明しているという。

 SSのメンバーは平成20(2008)年にも、日本の捕鯨船に乗り込んだことがある。捕鯨船の乗組員はメンバーの身柄を拘束したが、日本政府は当時、反捕鯨国のオーストラリアへの身柄の引き渡しを決定し事実上、釈放していた

記事中にもありますが、前回の不法侵入に際してこれを丁重にもてなした挙句何らの裁きもないまま身柄を解放するという意味不明の対応を取ったことがどういう事態を招いたか、現在の状況を見れば明らかなのではないかと思いますから、今度こそ対応を誤らないようにしなければならないことは言うまでもありません。
この件に関して一応誤解のないように書いておきますと、前回の不法侵入に学んで日本船側では侵入防止用のネットを張って不法侵入を防ぐよう対策をしていたのですけれども、今回甲板上に人気がないところを見計らって密かに接近しネットを刃物で切り裂いて侵入したということですから、器物損壊などなど諸々の犯罪行為に関しては明らかにクロですよね。

ところで海賊対処法によれば海賊の定義とはこういうことになっていますが、ご存知でしょうか?

・船舶(軍艦等を除く)に乗り組み又は乗船した者が、私的目的で、公海(排他的経済水域を含む)又は我が国領海等において行う次の行為。

(1)船舶強取・運航支配(2)船舶内の財物強取等(3)船舶内にある者の略取(4)人質強要
(5)(1)~(4)の目的での①船舶侵入・損壊、②他の船舶への著しい接近等、③凶器準備航行

今回は不法に船舶内に侵入した挙句に金品を要求しているわけですから、これは明らかに海賊対処法の適用対象ではないかと思われますが如何でしょうか?
政府もそのあたりは当然に考えているということなのか、あるいは前回の馬鹿げた「無罪放免」に対して多少なりとも反省があったということなのか、とりあえず日本国内に身柄を移して対処するという方針を決めたようです。

捕鯨船侵入のシー・シェパード、身柄日本移送へ 水産庁(2010年2月15日朝日新聞)

 南極海で米国の反捕鯨団体シー・シェパード(SS)のメンバーが日本の調査捕鯨船に侵入した問題で、水産庁は15日、住居(艦船)侵入などの疑いもあり日本国内で調べる必要があるとして、このメンバーの身柄を捜査権限を持つ海上保安庁に移す方針を決めた。赤松広隆農林水産相が同日午後、省内で対処方針を明らかにした。

 最終的な政府方針や身柄の引き渡し方法は、水産庁が今後、関係省庁と協議する予定。海上保安庁によると、遠洋で日本船に乗り込んできた不審者を国内で刑事手続きに乗せた例はないという。

 水産庁によると、侵入したのは、今年1月に第2昭南丸(712トン)と衝突して大破した小型高速船アディ・ギル号(26トン)の船長。船員法に基づく拘束に応じており、見張りを付けて監視している。

 同船長は、今月11日(日本時間)に小型ボートの発射装置から第2昭南丸に撃ち込まれた瓶が割れ、薬品が乗組員3人の顔にかかったことについて、「自分が撃った瓶で負傷者が出ていると報道で聞いた。心配している」と話したという。

 一方、赤松農水相は「クジラに対する思いとは別に暴力行為は許されない。残念だが、厳しく対処する」と述べた。アディ号の船籍国となるニュージーランドの駐日大使を水産庁に呼び、同庁長官が暴力行為を防ぐ対応をとるよう申し入れたという。

 調査捕鯨をめぐって、SSのメンバーが洋上で日本の捕鯨船に侵入したのは、2008年1月に男2人が乗り込んで以来2度目。この時は一時身柄を拘束したが、すぐに釈放した。一方、捕鯨船に発煙筒を投げつけたなどとして、警視庁が同年、威力業務妨害の疑いで、SSのメンバー4人の逮捕状をとり、現在も国際手配している。

何にしろ叩けば幾らでも埃は出てくるような後ろ暗い連中ですから、ここはきちんとした取調べと法的対応が必要でしょうが、海保による厳正な取調べを待つべきところなんでしょうね。
ところでこの一件と関連して興味深いのが各方面の反応ですけれども、当該テロ集団の代表はこのように述べています。

シー・シェパード代表「日本側の対応注目」 身柄拘束(2010年2月16日朝日新聞)

 【シンガポール=塚本和人】米国の反捕鯨団体シー・シェパードのメンバーが日本の調査捕鯨船に侵入し、身柄が拘束されたことについて、同団体のポール・ワトソン代表が15日、朝日新聞の電話取材に応じ、「(メンバーが)日本で起訴されれば、とても興味深いことになる」と述べ、日本側の対応に注目する姿勢を示した。

 ワトソン代表は「裁判になれば、特に豪州やニュージーランドの国民を怒らせ、クジラの保護にとって良い結果になるだろう」と語った。今後も日本の捕鯨船にメンバーを侵入させることは可能だが、様子を見ているとした。

テロ組織的にはどのように興味深いことになるのか日本側にとっても非常に興味深いところではありますけれども、第2昭南丸と言えばテロリストから捕鯨船団を守る護衛船ですから、これがテロリストの搬送で現地を離れることを狙っての行動であったのだと考えれば、彼らの今後の行動計画というものが見えてくるところですよね。
一方で今回の不法侵入は代表の関知しない当該メンバーの個人的暴走であったという観測も一部にはあるようですが、前述の記事でも「負傷者が出て心配」云々の供述もあるようで、そうなりますとテロ組織内部の足並みの乱れを突くことで内部から切り崩していくことも可能になるかも知れません。

ところで、ここで彼らが豪州やニュージーランドの国民による支持を強調していることに留意ください。
もともとオーストラリアでは首相がシー・シェパードの母体であるグリーンピースから閣僚登用するなど、かねて南極や周辺海域への領有権主張とも絡めて環境保護を利用しようとしていたところがありましたけれども、最近ではシー・シェパードのテロ行為によって日本の対豪感情が悪化してきていることもあってか、このところやや風向きが変わってきている様子ですね。
特に現地メディアの報道を見る限りでは19日からの岡田外相の豪州訪問に合わせてラッド首相も対日融和ムードを演出している様子ですが、このあたりでそろそろ環境テロリストに対する旗色を明らかにする必要も出てくるでしょう。

一方でもともとオーストラリアとはやや立場の異なると言われるニュージーランドですが、侵入したテロリストが同国籍ということで対応が注目されている中こうしたコメントがすぐに出てくるあたり、こちらはかなり明確な態度を表明するに至っているようですね。

NZ外相「日本の捜査に協力」…シー・シェパード(2010年2月16日読売新聞)

 【シンガポール=岡崎哲】日本の調査捕鯨船に反捕鯨団体シー・シェパードの抗議船アディ・ギル(AG)号のニュージーランド人元船長が侵入した問題で、ニュージーランドのマカリー外相の報道官は16日、本紙の電話取材に「日本当局の捜査に協力したい」との姿勢を明らかにした。

 報道官は、「我が国は捕鯨には反対だが、公海上での違法で暴力的な抗議活動は容認しない」とシー・シェパードを批判。「我が政府にはニュージーランド人の保護義務があるが、元船長は日本に行くことを望んでいるようだ」と述べた。

いずれにしても当事者も含めた関係者それぞれが不法侵入した犯罪者の日本送りを楽しみにしているという状況なわけですから、これは各方面の期待に応えなければならないでしょうね(笑)。
日本としてはこうした犯罪者個々に対する法的に厳格な対応ももちろんですが、一方で世界各国に向かって「あなた達はテロに賛同するのか?テロリストを支援するのか?」と旗色を明らかにするように迫っていかなければならないことも当然です。
こういう外交戦で日本と言う国は決して高い評価を得て来ていなかった歴史的経緯がありますけれども、これは他方面へ応用の効く格好の演習問題としてもなかなか為になりそうな事例ですから、せっかくですので国をあげての大きな働きかけというものを期待したいところです。
その第一歩として、間近に迫った岡田外相の訪豪でどのような話が飛び出してくるかに注目していかなければならないでしょうね。

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2010年2月17日 (水)

国民皆保険は破綻寸前 そろそろパイの奪い合いが激化?

先日は診療報酬改訂の話題と絡めて、総額が横ばいで一部領域に手厚く報いることにしましたと言うのであれば、むしろ減らされた領域に注目していくべきだろうといったことを書きました。
中医協の議論の経過などを見ましても、支払側も今や支払額圧縮に必死という状況が伝わってきますけれども、医療機関が厳しいのと同じように彼らにもそれなりの事情があるのだというのがこちらのニュースです。

国保「崩壊寸前」税率引き上げへ 中央市が医療費増大に対応(2010年02月14日山梨日日新聞)

 中央市は13日までに、来年度から国民健康保険(国保)の税率を引き上げる方針を固めた。税率は2007年に合併前の旧3町村で統一して以降、据え置いてきた。しかし本年度の急激な医療費増大の影響で基金が激減し、国保会計は「崩壊寸前の状態」(田中久雄市長)という。市は市議会3月定例会に条例改正案を提出する。
 市保険課によると、医療分は所得割を4・2%から5・2%、均等割を2万円から2万3千円、平等割を2万4千円から2万5千円にそれぞれ引き上げる方向。40~64歳が対象の介護分は所得割を0・94%から1・5%、均等割を7400円から9千円、平等割を3千円から7千円にそれぞれアップする予定。それぞれの資産割と、後期高齢者の税率は引き上げない。
 国保の保険給付費は、06年度は15億6667万7千円、07年度は15億3745万8千円、08年度は16億47万4千円とほぼ一定だったが、09年度は増大。当初予算では15億2106万1千円を見込んでいたが、一般会計からの繰入金6915万8千円や市債1億3千万円の発行など12月定例会で3億2148万7千円を増額補正して対応している。
 引き上げの方針は国保運営協議会で協議してきた。市は広報などで医療費が増えている現状の周知に努めていて、同課は「市民に理解を求めていきたい」としている。

結局「みんな貧乏が悪いんや!」って話かとも思うところですが、一方でこういう話を聞くと医療も混合診療導入なりで「市民に理解を求め」ながら各医療機関で自由に価格設定させてみるのも面白いんじゃないかという気もするのですが(苦笑)。
いずれにしても国民皆保険制度下で育った日本の医者は基本的に良くも悪くも金勘定に大雑把と言いますか、公私共にあらゆる面でコスト意識が希薄な人間が多いのは否めませんが、そんなことではいけませんというのが今の時代の趨勢であるわけで、要するに「医者はもっと金勘定に長けた人間たれ」というのが社会的要請であるわけです。
その要請にどう応えていくかは医療に課せられた大きな課題だとしても、今後も支払側は「もうこれ以上の金は出せません」とますます支出増に厳しくなってくる、それを受けてか手近なターゲットとしてこのところ急に国をあげて開業医儲けすぎ!とバッシングの動きが盛んになってくる中で、主に開業医を中心とした団体である保団連が先ごろこんな調査結果を発表しています。

柔道整復師施術療養費に関するアンケート調査結果(2010年1月29日全国保険医団体連合会 )

平成21年11月11日に開催された政府の行政刷新会議による事業仕分け作業において指摘されたように、医療保険から支払われる柔道整復師による療養費は年々増加し、平成19年度には約3,377億円に達しています。これは、診療所入院外医療費でみると、産婦人科の1,932億円、小児科の3,334億円を上回る額です(別紙1 図1)。
当会は、平成21年12月にインターネットを用いた柔道整復師療養費に関するアンケート調査を実施し、整形外科医229名、一般市民200名から回答を得ました。
厚生労働省の抜き取り調査によれば、柔道整復師の請求の99.2%が捻挫、打撲であり、しかも3部位以上が50.5%を占めていますが、これは余りにも実態と乖離しています。
整形外科医を対象としたアンケートによると、外来レセプトに占める捻挫、打撲の割合は、「3%未満」が35.8%と最も多く、加重平均で6.1%でした。
また、長崎県保険医協会が平成21年11月に整形外科医会員151人を対象にしたFAXによるアンケート調査では、55名から回答があり、1ヶ月のレセプト総件数は43,240件で、このうち、捻挫、打撲の割合は2,098件(4.9%)でした。
平成19年度の捻挫、打撲の請求件数は整形外科が360万件に対し、柔道整復師は3,690万件と推計されます。その差3,330万件は金額に換算して年間約3,100億円となります(別紙1 図2)。
一般市民を対象としたアンケートで、本来、柔道整復師には保険請求が認めらない、慢性の肩こり、腰痛などで整骨院または接骨院を受診したという回答が45.3%でした(別紙2)。
さらに、捻挫、打撲全体に占める3部位の割合については、整形外科医の92.6%が「3%未満」との回答しており、加重平均でも2.4%に過ぎません。
日本臨床整形外科学会(JCOA)が平成21年に実施した全国一斉調査でも、平均外傷部位数は1.22部位と報告されています。
今回のアンケートで、3部位以上で柔道整復師を受診したと推計される1,860万件は、整形外科を受診した9万件の約200倍に相当します。このような事は起こり得ず、柔道整復師の請求の50.5%が3部位以上であることは明らかに不自然であります。
柔道整復師の請求の50.5%を占める3部位以上、金額に換算すると年間約1,700億円となります(別紙1 図2)。
加えて深刻なのが、整形外科医の93.4%が柔道整復に起因する、あるいは悪化した症例を経験したことが「ある」と回答している点であります。長崎県保険医協会のアンケート調査結果でも、同じ設問に65.5%が「ある」と回答し、骨折の見落とし、整復によると思われる骨挫傷、肩関節脱臼の患者に「五十肩」と診断し、関節可動域訓練を強制し骨髄損傷を来した症例、化膿性脊椎炎が悪化した症例、亀裂骨折を伴っていたが温めた結果、血腫が増大した症例等の具体例が寄せられています。これは国民の健康にかかわる重大な問題であると考えられます。

柔道整復師問題に関しては先日も民主党政権下でついにこの領域に斬り込むか?!なんて話を書いたところですけれども、あの時の話では国や健保連など医療保険の支払側の視点で「幾ら何でも柔整の療養費支払いがいい加減過ぎるだろう」という話が持ち上がっているという話題でした。
これに対して今回の話題はどうかといえば、言ってみれば同じ医療保険からの支払い配分を巡って競合関係にある医師団体からの告発と言える話ですから、これは今までになかったパターンだなと注目されるところですよね。
柔整自体の問題は今更な話題なんですが、この問題に対する医療側の動きとして見るとこれは非常に面白い話で、言ってみれば産科医が助産師を「国民の健康に関わる重大な問題」だと告発するくらいの話題性はあるかと思うんですが、何やら個人レベルではすでにこんなことまでやっている方もいらっしゃるとかいらっしゃらないとか。

919 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/14(日) 23:24:35 ID:PpFx+oC/0
獣性が不正請求している証拠?いくらでもありますが、何か?
自分の職員又は親しい患者を獣性に受診させ保険診療した明細書の領収書を貰う。
そしてそれを回収してプラス受診させた患者の捻挫をしていない診断書を付けて地方厚生局へ郵送。
獣性は言い逃れできず廃院又は一時診療中止。
この方法で既に3軒廃院2軒診療停止に追い込みましたが、何か?
もし不正請求していない自信がある獣性あるいは不正請求しても問題ないと強弁する獣性ありましたら
その都道府県と市町村教えてくれませんかねww。
直ちにウチの職員か患者受診させますから。そんな度胸ないでしょww。
びくびくしながら不正請求しているくせに大口たたくなよ。

まあネットの書き込みの信ぴょう性もどうかという話ですけれども、ここで注目すべきは今まで医療業界では「うちの診療報酬をもっと上げろ!」といった類の主張こそあれ、「どこそこの診療報酬多すぎだろ!」といった他に対する削減の要求といったものはあまりなかったということです。
例えば先日の中医協では開業医の再診料切り下げが話題になりましたけれども、開業医側の代弁者である京都府医師会の安達委員や茨城県医師会の鈴木委員が抗議の退席をした、これに対して言ってみれば競合的な立場にあるはずの山形大学の嘉山委員が「我々(診療側)皆同じ意見」と賛同したという一幕がありました。
確かに個々の程度の差こそあれ、どこであれ医療業界内で不当に潤っているような分野はないという共通認識がその前提にあるのだと思いますけれども、同じ診療報酬を奪い合う立場にあるとは言え柔整は業界外であるという認識がこういう行動に出させているということなのでしょうか。

いずれにしても柔整問題については以前からずっと言われながら放置されてきたところでもあり、とりわけ医療側がこれだけ厳しい状況に置かれている中で、柔整は相変わらず好き放題やっているというのもどうなのよと感じるのは素朴な感情の発露というものなのでしょうが、問題は支払側ではなく同じ診療側の立場からこうした告発が出てきたことの意味で、そこまで医療も貧しているのかということですよね。
この調子でいくと例えば次は美容整形の分野で混合診療が行われている!ケシカラン!なんて突っ込みどころは幾らでも出てきそうには思うのですけれども、考えてみれば医療業界というところは今まで専門性を盾に外部からの突っ込みを免れてきた部分が多々ありましたから、こういう「内ゲバ」は業界自体の既得権益を切り崩したい外部から見れば非常にウェルカムな状況であるとも言えそうです。
まあ酒の勢いも借りて「あの内科の藪医者が!ろくに治せもせんくせに!」だの「外科は何でも切るしか能がない馬鹿!」なんて愚痴っているうちはまだ可愛げがあるというものですけれども、医療業界内で相互監視しつつ互いに重箱の隅をつつき合うなんて未来絵図は、正直願い下げだという気がするところなんですけれどもね。

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2010年2月16日 (火)

産科崩壊までまだまだ追い込みをかけますよ、だそうです(笑)

過日一部メディアでこういう記事が出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。
ちなみにこのネタのソースですけれども、「分かった」などというとまるで天からネタが降ってきたかマスコミの独自取材か何かであったかのようにも聞こえますけれども、当事者である産婦人科医会が自分で公表した話であるという点にも留意ください。

半数の施設が出産費値上げ 一時金直接払いで(2010年2月10日47ニュース)

 日本産婦人科医会の全国調査で、出産一時金を妊産婦が立て替え払いせず、公的医療保険が医療機関に直接支払う制度が導入された昨年10月以降、48%の施設が出産費を値上げしたことが10日、分かった。

 直接支払い制度をめぐっては、病院や診療所などに入金されるまでに2カ月近くかかる可能性があり、資金繰りに窮する医療機関が出る恐れが指摘されていた。同医会は「借金で経営が厳しくなり、値上げせざるを得なくなったところもあるのではないか」としている。

 調査は昨年12月、同医会に登録している全国2806の病院や診療所を対象に実施、1736施設が回答した。値上げを検討しているところも23%あったほか、制度の実施で、金融機関から借金をしないと経営困難に陥る可能性があると答えたところも15%あった。

 都道府県別の制度の実施率では、東京都が最も低い59%。一方、青森や新潟、鹿児島などでは100%だった。

 直接支払い制度は一部の医療機関については導入が猶予されているが、今年4月に完全実施が予定されている。

産婦人科7割が出産費値上げの考え 一時金待てない(2010年2月11日朝日新聞)

 出産育児一時金が医療機関に直接支払われる制度が昨年10月から始まったが、医療機関が健康保険組合(健保)などに申請してから実際に費用を受け取るのに1~2カ月かかるため、金融機関からの借入金などの負担が増して、お産を扱う病院や診療所の7割が出産費用を値上げしたり、値上げを予定していたりすることがわかった。開業の産婦人科医らでつくる日本産婦人科医会が10日、公表した。

 出産育児一時金(42万円)は従来、妊婦らが出産後に健保などに申請し支払いを受けていた。支払われるまで、妊婦らは40万円以上かかることもある出産費用を立て替える必要があった。そこで、「直接支払制度」を設けて、出産育児一時金を医療機関に直接振り込むようにした。昨年10月から任意で医療機関が導入を始めたが、医療機関の反発も強く今年度末まで全面的な導入は延期されている。

 特に産科が主体の診療所にとって出産費用は収入の大半を占める。資金がないと、1~2カ月間の支出をまかなうため借り入れが必要となる。その後も、借入金や利子の返済などが続くため、値上げを迫られている診療所は少なくないとみられる。

 産婦人科医会が制度の影響について出産を扱う全国の医療機関にアンケート。約6割の1770カ所から回答を得た。その結果、40%がすでに値上げをしていた。値上げしたがさらに引き上げを検討しているのは8%、近々、値上げを考えているのは23%。

 制度導入と同時に一時金の額が4万円上がったため、その分だけを上乗せした医療機関もあるが、経済的負担軽減などのため数万から十数万円値上げしたところもある。

 7割の医療機関が、直接支払制度により経営上の影響があるとした。診療所でその比率が高く、85%が影響があるとした。42%は借り入れが必要で、うち21%は借り入れしなければ経営困難に陥るとした。病院も含めてすでに535カ所は民間金融機関などから借入金があることもわかった。

    ◇

 北里大の海野(うんの)信也教授(産婦人科)は、「出産を扱う医療機関が不足しているのに、この制度によりさらに減ったら大変だ。制度の問題は、支払いまでに時間がかかり過ぎること。妊娠がわかってから出産までには十分に時間がある。事前に手続きができるようにすれば出産直後の支払いは可能だ」と話す。(大岩ゆり)

まあ海野先生の言うことが正論なんでしょうが、しかしこの産科分娩料値上げの話題、マスコミさんは少し前には「出産一時金増額につけ込んだ便乗値上げだ!」と一方的にバッシングしていたものを今更何を言っているのでしょうか?
さすがにああまで言われては産科医会も黙っていられなかったということなのでしょうが、これも下手をすると例によって握りつぶされて「また金の亡者の悪徳医者か!」で終わっていたかもしれないと考えると、今の時代いかにマスコミのフィルターを回避して自前で情報発信をしていくかが重要であると改めて思い知らされますね。

この出産一時金の制度にしても元々は分娩料未収問題などが下地にあって、妊婦は元より現場にこれ以上負担を書けないように優しい制度にするべきものであるはずが、実際には申請業務に加えて資金繰りの面でも余計な負担をかけているという現実があって、一体国は何がしたかったのかと疑問無しとしないような状況です。
このあたりの国の思惑と言いますか裏事情が実施に伴って少しずつ明らかになってきているのかなと思われるのが、こちらの記事なんですね。

出産育児一時金:産科診療所2割が不安 新制度で入金遅れ(2010年2月14日毎日新聞)

 出産育児一時金を医療機関に直接振り込む新制度が09年10月に導入された影響で、産科診療所の約2割が経営破綻(はたん)を懸念していることが、日本産婦人科医会の調査で分かった。手続き上、入金が従来より最長2カ月遅れることで、資金繰りが悪化したのが主な原因。厚生労働省は準備が間に合わない医療機関に3月末まで半年間の導入猶予を認めている。

 健康保険から支払われる出産育児一時金は09年10月の緊急少子化対策で38万円から42万円に増額されたことに合わせ、母親ではなく医療機関への直接払いに変わった。母親側は退院時に多額の現金を用意する必要がなくなり、医療機関側にも費用の未収がなくなるメリットがある。しかし請求は月1回で振り込みが翌月のため、医療機関への入金は出産の1~2カ月後になる。

 医会が12月、分娩(ぶんべん)を扱う約2800の全医療機関に実施したアンケート(回収率63%)では、新制度に移行済みの施設は、病院が95%、診療所が80%。18%の施設で未収が減るなど一定の成果があった一方で、69%が経営へのマイナス影響を指摘した。特に診療所は、21%が「新たに借金しないと経営困難に陥る可能性がある」と回答し、約半数が制度の改善や廃止を求めていた。

 資金繰り悪化に対応するため、厚労省所管の独立行政法人「福祉医療機構」は3000万円まで無担保の低金利融資を始めたが、診療所では相談があった244施設中、半数以下の111施設しか融資が決まっていない。医療機関からは「院長が高齢だったり、債務がある施設は、貸し渋りに遭っている」との不満も出ている。

 一方、開業医で作る「産科中小施設研究会」の医師ら約40人は、新制度が医療機関への財産権侵害などに当たるとして、厚労省を相手取った訴訟を準備中。東京都江戸川区の診療所院長は「制度移行を強制すれば、廃業に追い込まれる医療機関が続出する」と訴える。厚労省も「医療機関が減る事態は避けたい」としており、猶予の延長や、請求を月2回にするなどの対応を検討している。【清水健二】

特に記事中で注目していただきたいのは、かねて各方面で色々と話題の(笑)福祉医療機構による、貸し渋りによって過半数の施設で融資が受けられていないという部分です。
元々一時金の入金が遅れて零細産科開業医の経営が難しくなることは予想されていた、それに対して国は「いや大丈夫です。福祉医療機構が運転資金を貸しますから」と言っていたわけですが、実際には貸付が行われていないという現実が明らかになったわけですよね。
そもそもこの福祉医療機構自体が立派な天下り団体で、しかも要保証人できっちり利子をとって貸し付けるという団体ですから何のことはない、零細開業産科医にすれば何も悪いことをしていないのに国の政策で勝手に借金漬けにされた挙句、今後一生天下り団体に上納金を貢がされ続けることを強要される立場に追いやられるという仕組みであるわけです。

しかし厚労省もいざという時の駆け込み天下り先にも活用出来るこういう団体をキープしておきたい気持ちも理解は出来ますが、こうまであからさまな利権誘導というのもどうなんだと正直思いますね。
当然ながらネット上では「あまりに予想通り過ぎる展開ワロス」の声が満ち溢れているというのが現状ですが、この誰でも判る程度の予想通りな状況に当の厚労省が、まるで思いがけない出来事ででもあったかのようにコメントをしているというのはどういうことなんでしょうか(笑)。

271 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/14(日) 09:51:53 ID:7AynGWRQ0
>>267

まさに「予想通り」でワロタ

>資金繰り悪化に対応するため、厚労省所管の独立行政法人「福祉医療機構」は
>3000万円まで無担保の低金利融資を始めたが、診療所では相談があった
>244施設中、半数以下の111施設しか融資が決まっていない。

融資の条件が超厳しくかつ手続きが煩雑ではじめから「貸す気が無い」のはミエミエだったからな
逆に111施設「も」融資できたこと自体驚きwww

マスコミ諸社も分娩費用が上がれば脊髄反射で「便乗値上げだ!」と叩くだけで、こういう背後関係を全く追求しないというのは単に相変わらず足りないからなのか、それとも厚労省を始めとする方々に何かしらの配慮をしているということなのか、果たしてどちらなんでしょうね?
何にしろ、国策としてこうやって産科医を追い詰めて一体何がしたいのかと、恐らく産科医以上に分娩場所を無くしつつある当事者である妊婦さん達が一番釈然としないだろう話なのではないでしょうか。

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2010年2月15日 (月)

診療報酬改定の答申出る

この2月12日に中医協から長妻厚労相に診療報酬改訂の答申があり、2010年度改訂の要点がまとまった形になります。
医師会権益に切り込んだとか、政権が変わっても大差がなかったとか色々と言われてきましたけれども、CBニュースで改訂の要点を取り上げていますので紹介しておきましょう。

【参考】2010年度診療報酬改定のポイント(1)(2010年2月12日CBニュース)

【参考】2010年度診療報酬改定のポイント(2)(2010年2月12日CBニュース)

【参考】2010年度診療報酬改定のポイント(3)(2010年2月12日CBニュース)

病院と診療所の再診料統一であるとか、急性期医療への手厚い配分であるとかの話ばかりに話題が集中していましたけれども、総額で横ばいということが決まっている以上はどこを増やしたという話よりも、どこを削ったのかという話の方を注目していかなければいけないと思いますね。
CBニュースの記事からこのあたりで関連するところを拾い上げていきますと、目につくところと言えばこんな感じになるのでしょうか、何やら非常に判りやすい構図になっている印象です。

・診療所の再診料(71点)を2点引き下げ
・一般病棟の15対1入院基本料(1日につき954点)を934点に下げ
・90日を超えた入院に対する減額措置の対象を75歳以上から全年齢に拡大
・療養病棟入院基本料の最低点を現行の入院基本料E(750点)から入院基本料2(722点)に切り下げ
・DPCの調整係数を段階的に廃止(うち1/4は新係数に置き換え)

診療報酬が引き上げられている領域と比べていただけるとよく判りますが、沢山の患者を短期間で裁いている急性期専門の大病院に対して手厚い報酬増額が図られている一方で、アクティビティーの低い慢性期や中小病院・診療所に対しては冷遇するという対比があからさまになっていますよね。
要するにさっさと患者を家に帰すのが良い病院、いつまでもズルズルと患者を抱え込んでいるのが悪い病院と言う図式が公的に確定したということになりますけれども、後期高齢者医療制度を「うば捨て山」と非難していた民主党政権だけに、捨てる山自体をなくす策に出てきたかとも受け取れるところではあります。
このあたりは現場がどう受け取るかですが、中医協の遠藤久夫会長が「事務局のサポートに感謝したい」と満足感を漂わせているのに対して、開業医の代弁者を自認している京都府医師会の安達秀樹委員が診療所再診料引き下げに抗議の退席をしたことは予定の行動だとしても、報酬を引き上げられる側の山形大の嘉山孝正委員も「安達先生の意見は、我々(診療側)皆同じ意見」と同調する気配を示したことは注目されるところでしょうか。

さて、この中医協の答申を受けて各社から色々と意見が出ていますけれども、今回の改訂をどう見ているのかといったところには注目が集まります。
各社社説クラスの記事として取り扱っているところに感心の高さも伺われますけれども、まずはかねて医療問題といえば一家言なしではいられないという読売新聞から見てみましょう。

【社説】診療報酬改定 中医協の変化を医療改革に(2010年2月14日読売新聞)

 中央社会保険医療協議会(中医協)で、2年に1度改定される診療報酬の配分が決着した。

 保険医療の価格である診療報酬の総枠については、政府が昨年末に、医師の技術料など「本体」を1・55%引き上げると決めている。

 歯科を除く「医科」の報酬枠が4800億円拡大することになるため、医療の危機が叫ばれる中でこれをどう効果的に配分するかが問われていた。

 急性期入院医療には、このうち4000億円が振り向けられ、救急や産科、小児科など過酷な勤務を強いられる分野に手厚く配分された。難しい手術の報酬を3~5割引き上げるなど、ある程度のメリハリをつけたと言えよう。

 今回の改定作業では長年の懸案も二つ、決着させた。

 一つは再診料の統一である。現在は中小病院の600円に対して診療所は710円と大差があり、開業医優遇の象徴と長く批判されてきた。これを病院は90円上げ、開業医を20円下げることで690円にそろえた。

 病院に手厚く報酬が配分されるため、過酷な勤務医の待遇改善が期待される。一方で、地域のかかりつけ医として時間を問わず対応する開業医にも、新たな報酬の仕組みを作った。

 二つめは、受けた医療の費用細目が分かる「診療明細書」を、原則としてすべての患者に無料で発行するよう、医療機関に義務づけたことだ。

 事務処理の電子化が進んでいない医療機関は義務づけられないものの、発行しない理由などを掲示させる。「原則」を骨抜きにさせぬよう注意が必要だが、医療の内容と費用が細かく患者にチェックできるようになる。

 二つの懸案はいずれも、診療報酬改定の年が巡ってくるたびに議論となりながら、開業医の立場を重視する日本医師会などの反対で実現できなかったものだ。

 それが進展したのは、政権交代が結果として中医協での日医の影響力を低下させたことによる。

 政府・民主党は、これまで自民党を支持してきた日医執行部の推薦委員をはずし、民主党に近い日医非主流派の医師や大学医学部長を委員に起用した。医療機関側の委員に組織代表色が薄れ、議論の幅が広がった。

 ただし、今回の診療報酬改定で山積する医療の課題が解決するわけではない。中医協の変化を、医療界全体で取り組む制度改革の議論へと向かわせるべきだろう。

基本的に診療報酬改訂については厚労省のアナウンス通りという感じの記述でいささか突っ込み不足にも思えますが、日医の衰退ぶりにかなり大きな字数を割いているのが目に付くところですかね。
このあたりにもう少しストレートに切り込んでいるのが、医療関連記事でいつも素晴らしい卓見ぶりを発揮している産経新聞です。

【主張】診療報酬改定 開業医に甘すぎては困る(2010年2月14日産経新聞)

 民主党政権で初となる来年度の診療報酬改定について中央社会保険医療協議会(中医協)が答申を行った。昨年末、10年ぶりに総額0・19%の引き上げが決まった。

 民主党の政権公約に掲げた「入院診療の増額」を実現するために、引き上げ財源5700億円のうち4400億円を入院診療に配分した。

 過酷な労働条件を嫌って病院を辞める医師は後を絶たない。地域の中核病院でさえ、閉鎖を余儀なくされる診療科がある。勤務医の労働条件や待遇の改善は待ったなしだ。病院に財源の多くを振り向けたことは評価したい。

 患者側からの要望が強かった明細書付きの領収書発行についても、今回の改定に伴って医療機関に義務づけられることになった。中医協は「患者本位の医療を実現する」という根本部分を忘れてはならない。

 病院600円、診療所(開業医)710円と差のあった再診料を690円に統一したことも前進だ。「同じ診察なのに差があるのはおかしい」との批判が強かったが、開業医中心の日本医師会(日医)の反対で見直しが進まなかった。この分野に切り込んだのは、政権交代の成果といえよう。

 とはいえ、統一後の価格は診療側委員の強い抵抗で、診療所を20円下げただけの小幅に終わった。再診料引き下げは「開業医の優遇是正」を狙いとしていただけに、メリハリ不足は否めない。

 それどころか、患者からの電話問い合わせに時間外で24時間対応する場合や、明細書の無料発行を行う診療所の再診料は加算する措置も設けた。これらが加算されれば、引き下げ分を取り戻すどころか、再診料は逆にアップする。

 診療所は地域医療の支え手である。極端に収入が減って経営が行き詰まれば、困るのは患者だ。患者のために頑張る診療所の収入が増えるのは当然だろう。

 だが、再診料の具体的な加算要件は定まっていない。「24時間対応できる」というのはあいまいだ。大半の診療所が算定できる可能性すらある。「結局は診療所の焼け太り」とならぬよう、厚生労働省は拡大解釈を許さない厳格な基準を示さなければならない。

 長妻昭厚生労働相は日医の推薦委員を完全排除するなど政治主導を強調していたが、これでは「参院選を前に開業医に配慮した」との批判を招きかねない。

まあ、地方の病院が閉鎖を余儀なくされているのは経営面もさることながら人材が集まらないからだという話もあるわけですが、いくら病院に金を出したところでスタッフを敵に回してはどうなんだと他人事ながら危惧は覚えるところでしょうか。
それはともかく、一読して判る通り医師会はおろか診療側委員も含めて医療当事者=医療改革の抵抗勢力といった論調が目立つところで、やはり産経新聞らしい主張ではあるかなと思わされる記事です。
このあたりはよく言えば国民目線での改革推進という言い方も出来るかも知れませんけれども、現実に現場から人が逃げ出している現状にあって現場の声に耳を閉ざしてどうするのかという批判もありだとは思えますね。
一方で朝日新聞の社説では再診料問題こそが「最大の焦点」だったと主張していますけれども、医療崩壊阻止を政権公約にうたったとまで言われる鳩山政権にしても、高尚なる公約が再診料統一の是非にまで矮小化されては立つ瀬がなさすぎるというものではないでしょうか。

【社説】診療報酬改定―医療再生へさらに大股で(2010年2月13日朝日新聞)

 医療崩壊を食い止めることを公約にうたった鳩山政権のもと、初の診療報酬改定の答申がまとまった。4月から実施される。

 長妻昭厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が答申した改定の柱は、医師不足が深刻な救急、小児、産科に診療報酬を重点配分するというものだ。勤務医の負担軽減のため、人の配置を増やしたり、チームでの取り組みを後押ししたりする施策も拡充する。

 最大の焦点は、病院よりも高い開業医の再診料をどうするかだった。690円にそろえることになった。切り込み不足の感は否めないが、報酬全体を増やす中で開業医の再診料を引き下げたことは評価できる。

 休日・夜間などの診療時間外に「電話対応」する開業医の再診料には、新たに「地域医療貢献加算」を30円上乗せすることも盛り込まれた。

 開業医が夜間や休日も患者に対応すれば、病院の救急窓口への集中が緩和されるかも知れない。だが申告だけで加算されるようなことになれば、再診料の穴埋めに終わりかねない。実施状況の検証は欠かせない。

 医療費の明細書を無料で、原則としてすべての患者に発行するということも、前進だ。患者などが求めていたが、これまでは医師会の抵抗が強くて実現できなかった。

 明細書があれば、実際には行われていない診療や検査がないかを患者がチェックしたり、過大な請求やミスを防いだりする効果が期待できる。医療費を節約し、財源を医療再生策に振り向ける余地も生まれるはずだ。

 医療現場では今後、明細書をみた患者からの質問が増えるに違いない。医療機関はていねいに答えなくてはならない。診療と報酬について納得してもらうことは医療の基本だ。

 診療報酬の体系も、患者にわかりやすいような仕組みに一層簡素化されるよう望みたい。

 鳩山政権は中医協から日本医師会の代表を排除し、政治主導の姿勢を示していただけに、思い切った見直しが注目されていた。

 むろん、今回の診療報酬改定だけで医療崩壊と呼ばれる深刻な状況に歯止めがかかるわけではない。医師を育成する仕組みを抜本的に強化したり、地域や診療科ごとに偏っている医師の配置を是正したりするための政策努力が問われ続ける。

 病院と開業医、病院間の役割分担と連携を見直すことも、引き続き考えていかなければならない。

 医療の再生とそれに必要な費用と負担はどうあるべきか。財源を含む広い視野からの検討と対策が大切だ。

 この一歩から、さらに大股で進むことを「長妻厚労省」に期待したい。

一読していただければ判りますけれども、第一行目から「医療崩壊阻止」などと大上段に振りかぶっている割には、記事を最後まで読んでみても今回の改訂のどこがどう医療崩壊阻止につながるのかさっぱり理解出来ないと言うのはご愛嬌でしょうか。
まあいつものようなキーワードを書き連ねて判ったようで判っていないことを煙にまいてしまうあたりが、朝日らしいと言えば朝日らしい記事でしょうかね。
医療崩壊と言う観点でわりあい突っ込んだ視点からの記述があるのが意外にも?毎日新聞なのですが、どうもこの新聞社が何を言おうが「お前が言うな!」で終わってしまうのが難点といえば難点です。

【社説】診療報酬答申 抜本改革へつなげよ(2010年2月13日毎日新聞)

 中央社会保険医療協議会(中医協)は10年度の診療報酬改定案を長妻昭厚生労働相に答申した。民主党は昨年の総選挙前、診療報酬の大幅増を主張していたが、実際には総枠で0・19%という微増にとどまり、配分でどのような方向性を打ち出せるかが注目されていた。

 争点になったのは外来の再診料である。財源がない中で病院(200床未満)の再診料(600円)を上げるため、診療所の再診料(710円)を下げる案に開業医中心の日本医師会(日医)は猛反発した。従来ならここで妥協するところだが、押し切って690円に統一できたのは、自民党の支持母体だった日医を中医協から排除したからである。民主党にとっては政権交代の効果を改めて印象づけることになった。

 救急、産科、小児科、外科など医師不足が指摘される診療科への配分も手厚くした。ただ、多くの病院は経営難に陥っており、増収分は赤字の補てんに充てられるのではないかとも見られている。過重労働が問題になっている勤務医の負担軽減という面では、医師を補助する職員を多く配置した病院への加算上限を3550円から8100円に引き上げた。こちらの方が直接的な効果を期待できるかもしれない。また、休日や夜間の外来対応を開業医に手伝ってもらう体制を敷いた病院に新たな診療料を設けることは、医療機関の機能分担と連携を進めていく上で現実的な方策の一つであろう。

 病院の報酬を引き上げるためにターゲットにされた診療所だが、在宅医療の拠点として夜間や休日も地域の患者を支えている診療所は多い。都心のビルの一室で開業し、夜間・休日は対応しない診療所と同じ報酬体系に位置づけるのは不合理ではないか。軽い症状の患者が病院に殺到することで勤務医を疲弊させ、医療費も圧迫している現状を改善するためには、やはり在宅医療の質を高めてプライマリーケア(初期診療)を充実させる路線を推し進めるべきだ。再診料は一律引き下げるが、24時間電話で応対する診療所への加算が盛り込まれたのは一定の歯止めになるかもしれない。

 今回の改定が医療崩壊を防ぐのにどのくらいの効果があるのか、まだ判断できない。ただ、国内総生産に占める日本の公的医療費は先進諸国に比べて低いことを指摘しておきたい。ドイツ並みにするには7・5兆円、フランス並みには10兆円の上乗せが必要だという試算もある。雇用が不安定になり賃金水準も下がる中では負担から目をそらしたくなるものだ。しかし、医療を抜本的に立て直すには何が必要か、次回の改定に向けて今から議論を深めたい。

一応こういう会社の言説でも公平に評価しておきたいのは、他紙が明細書発行などおしなべて患者側の利益という視点のみから記述している中で、軽症患者の過剰受診が医療を疲弊させるだとか、国際水準と比較しても日本の医療費には更なる負担増が必要だろうとか、受益者にも応分の負担をという視点が見られるというところでしょうかね?
当然ながら?この対極にありそうなのが、かねて支払側のロジックを前面に押し出してきた日経のスタンスということになりそうですが、同紙にしては珍しく押さえ気味な論調の中でもきっちり医療批判を盛り込んでくるあたり、キーワードは「医療界の非常識」ということになるのでしょうか?

【社説】新生中医協の限界みえた診療報酬改定(2010年2月12日日本経済新聞)

 病院や診療所、調剤薬局が保険診療や処方薬などの対価として健康保険と患者本人から受け取る診療報酬の改定作業が事実上、終わった。

 焦点のひとつ、外来患者の再診料はベッド数が200に満たない病院と診療所を690円にそろえることで厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会の議論がまとまった。病院を90円引き上げ、診療所は20円下げる。外来患者の窓口負担はその30%分、上下する。

 昨年10月、長妻昭厚労相は中医協のなかで医療界を代表する委員について、自民党の支持団体だった日本医師会の関係者を外すなど顔ぶれを刷新した。この人事を機に、限りある財源を効率的に配分して医療体制を患者本位に立て直す改革への期待が高まった。だが新生中医協はその期待に十分に応えなかった。

 病院の小児科、外科など一部の診療科に目立つ医師や看護師の過密勤務をやわらげたり、救急医療をより拡充させたりするには、その分野に力を注ぐ病院に財源をうまく回すしくみが欠かせない。その点で診療報酬の基本項目である再診料の診療所優位を改めたのは前進だ。

 しかし、なぜ690円で病院と統一したのか、理由がみえない。議論は「同じ医療サービスに同じ値段をつける」が出発点になったが、病院が診療所と同じ医療を提供するとは限らない。客観データに基づく検証は二の次になり、それぞれの委員が出身母体の利害を盾に感情的な議論に走った印象がぬぐえない。医師出身の民主党議員が審議に陰で介入したのもみっともなかった。

 また、ひと口に診療所といっても離島や山村で献身している医師もいれば、都市部の雑居ビルに間借りして開業する医師もいる。この「ビル診療所」は夜間は閉まり、医師は自宅に帰るところが多い。

 地域医療を担う若い医師が減っている現実を考えれば、それぞれの診療所の実情や環境に応じて診療報酬にめりはりをつける工夫が必要だ。

 期待先行で始まった中医協だが、患者と健康保険料を負担する国民や企業は議論の蚊帳の外におかれた。審議のインターネット中継は医療界側の委員の抵抗で実現せず、議事録の公開も厚労省の怠慢で遅れた。

 評価できるのは診療や投薬の明細がわかる領収書の発行を設備が整った病院・診療所に義務づける点だ。無料で明細書を出すのは困ると、世の常識から外れた主張をした医療側委員を患者代表が押し切った。受けた医療の内容を患者が理解し、コスト意識を高めるのに役立つだろう。

主要地方紙などの論調も概ねこれら全国紙の類型いずれかに近いものがあるように思えますが、中にはなかなか独自の視点から切り込んでいるところもあって、興味深いところを幾つか取り上げてみましょう。
まずはこちら赤旗からですけれども、他紙が全く言及していない診療報酬改訂のもう一つの側面に言及しているのは評価できると思いますね。

診療報酬 急性期に財源集中 10年度改定案 慢性期医療削る(2010年2月13日しんぶん赤旗)

 中央社会保険医療協議会(中医協)は12日、医療機関に支払われる医療の公定価格である診療報酬の2010年度改定案を長妻昭厚労相に答申しました。

 医師不足が深刻な救急・産科・小児科・外科に財源を重点的に配分し、▽救命救急センターの入院料加算▽妊産婦や小児の救急受け入れに対する加算▽手術料―などを引き上げます。病院勤務医の負担軽減策としては、事務作業補助者の配置に対する評価の引き上げなどを行います。

 救急車が搬送先を見つけられず妊産婦が死亡するなどの事態が相次ぎ、国民の不安と怒りが高まっていました。そうした世論を受け、緊急の手当てを行った形です。しかし、全体の改定率が0・03%と実質ゼロで医療全体の底上げには足りないため、急性期医療を担う大規模病院に集中的に財源が投入される一方で、慢性期の患者や、その医療を担う中小病院と診療所に厳しい改定となっています。

 慢性期の医療を担う療養病棟の入院基本料は、「医療の必要性が少ない」とされる患者が2割以上入院していると大幅に引き下げられます。認知症病棟の入院料も61日を超すと減額されます。一般病棟に75歳以上の患者が90日を超えて入院すると入院料が激減する後期高齢者特定入院基本料は、対象が全年齢に拡大されます。

 病院(200床未満)の再診料が引き上げられる一方、地域医療を担う診療所(開業医)の再診料は引き下げられました。看護師不足のもとで看護師配置の手薄(患者15人に看護師1人)な小規模病棟の入院基本料も減額。地域医療を支える中小病院や診療所の経営圧迫は、「医療崩壊」を加速させかねません。

このあたりは議会での与党攻撃絡みでネタを探しているうちに行き着いたと言う側面もあるのでしょうけれども、逆に他紙がこういうところを全く言及していないというのは何かしら背後に隠された思惑でもあるのかと感じるところですが、明細書発行などよりはるかに多くの患者に重大な影響を及ぼす問題だと思うのですけれどもね。
一方で全く異なった方向で非常にオリジナリティーあふれる論調を展開しているのがこちら琉球新報なんですが、まずは黙って一読していただきましょう。

【社説】診療報酬改定 勤務医不足に歯止めを(2010年2月14日琉球新報)

 入院医療に4400億円上積みし、勤務医の待遇改善や、病院再診料の引き上げによる診療所との一本化などを盛り込んだ2010年度診療報酬改定案を、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)がまとめ、厚労相に答申した。
 中小病院で再診料が上がり、救急、小児科、外科などで患者の負担が増えるが、過酷な労働を強いられている勤務医の負担を少しでも和らげ、医師不足に歯止めをかけるためには改定もやむを得ないだろう。
 入院医療では難易度の高い手術の報酬が30~50%引き上げられる。医師の技術が評価されたといえるが、高い報酬を目当てに、経験の浅い医師に難手術を任せるような事態は決してあってはならない。
 米国のような厳格な専門医資格制度を設けるなど、未熟な医師が執刀しないシステムづくりを検討することも今後、必要ではないか。
 救命救急センターや新生児集中治療室(NICU)を備えた施設の報酬や、早産などが対象のハイリスク分娩(ぶんべん)管理加算も増額される。ジェネリック医薬品(後発薬)の使用促進で薬局などに優遇措置が講じられる。
 後発薬は先発医薬品の特許期間が切れた後に発売され、主成分が同じ薬剤のことだ。効き目はほとんど変わらないが、価格は先発薬の3~7割と安くなる。
 日本では欧米に比べ普及が進んでおらず、医療費を押し上げる一因になっている。例えば、ある痛風治療薬の場合、後発品の薬価は5分の1近い。4月の診療報酬改定を機に、後発医薬品の利用促進を国民に啓発し、医療費の節減につなげることが急務だ。
 一方で、明らかに軽症であるにもかかわらず夜間に救急指定病院を受診する患者が後を絶たない。このようなケースが増えれば、本来の救急患者に対する手当てがおろそかになる恐れがある。医療機関を利用する側のモラルの向上も重要な課題だ。
 今回の診療報酬改定案は、勤務医不足を解消するための抜本策とは言い難い。
 救急、産科、小児科、脳神経外科などの医師は多忙な上、訴訟を起こされるリスクが高い。現実に、過労を訴えて病院を辞め、開業医に転身する医師がいる。
 繁忙な診療科の勤務医を手厚く処遇することで、これらの科を専門とする医師を増やすべきだ。

いや、正直その視点は(r

各紙なりの意見はそれとして、医療を提供する側であれ利用する側であれそれぞれの立場から言うべきことはあって当然ですから、予算的に受容出来る中で話しあって妥協点を見出すという作業は確かに必要ではあるのでしょう。
その意味では今回の中医協もこの辺りが落とし所だったのかという考え方もある一方で、今まさに崩壊と言う危機にさらされている現場からは「これで息が継げる!助かった!」と安堵するような声がさっぱり聞こえてこないのも事実なんじゃないかと思いますね。
和を以て貴しと為すとは日本人の古来美徳とするところですけれども、一方で小田原評定という故事成語もあって、結局のところ幾ら和が保たれたところで予定調和を維持したまま全てが崩壊してしまったのでは、何ら意味がないという考え方もあるわけですが、果たして今回の改訂がどの程度合目的的であったか今後は結果で判断されるということになりますかね。

しかしこの場合、うまくいったと言う場合にはおそらく目に見えるような変化は感じられないでしょうけれども、うまくいかなかった場合には誰にでも判りやすい結果が出そうなところが面白いと言ったら不謹慎でしょうか(苦笑)。
一部ではいよいよ待ったなしだなんて言われていた今回の診療報酬改訂作業ですけれども、結局現場視点から見れば従来路線の延長線上で終わった感も濃厚で、ただ世間とマスコミだけが「日医外し」などと言うキャッチーなコピーに踊らされているだけなんじゃないかという気もしないでもないところです。

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2010年2月14日 (日)

今日のぐり:「山東水餃大王」

先日こういう記事を見かけまして、なるほど確かにありそうでない光景だなと少しばかり感心したものでした。

この寒さモー限界…たき火を囲む子牛たち(2010年02月03日岐阜新聞)

 「動物は火を怖がる」といわれるが、高山市江名子町の畜産業「中田畜産」では1月中旬ごろから、飼育している子牛がたき火に当たって暖をとる光景が見られるようになった。経営する中田清隆さん(38)も「こんなこと初めて」と驚いている。

 火に当たっているのは生後1カ月から9カ月の子牛10頭ほど。従業員らが厳しい寒さの中、暖をとるため、たき火をしていたところ、放し飼いにしていた子牛がたき火を取り囲んできたという。

 たき火に当たる子牛は、満足げに目をじっと閉じたり、顔を近づけたりと、快適そうな様子。関係者らも「この仕事に携わって30年以上だが、こんなシーンは見たことない」と子牛の行動を不思議そうに見守る。

 牛の生態に詳しい岐阜大学応用生物科学部の八代田真人准教授は「火からの距離によっては動物も怖がることはしない。牛たちも暖かいと感じているのでしょう」と話している。

リンク先の写真を参照いただければ一目瞭然ですけれども、確かに牛が焚き火で暖を取っていますね。
本日は寒さにちなんだ様々な話題を紹介してみようかと思いますけれども、まずはこちらのちょっと不思議なニュースからいってみましょう。

寒すぎて力尽きたのか、走っている途中の姿のまま凍り付いてしまったコヨーテの写真(2010年01月26日GigaZiNE)

まるで時が止まっているかのように凍り付いているコヨーテの写真です。おそらく、走っている途中、あまりにも寒すぎてそのまま凍死してしまったものだと思われます。常に外で暮らしている野生動物でも凍りついてしまうなんて、いったいこのあたりの寒さはどれほどのものなのでしょうか……。

詳細は以下から。
Coyote Found Frozen Dead In His Tracks, Literally | Knuckles United

動物が雪の中を駆けまわっているような感じに見うけられますが・・・。
少し近づいて見てみると、どうやら動いていないようです。
動いている一瞬を切り取ったかのようですが、完全に時が止まっています。

アップで見てみると顎の下にまで雪が積もっています。
場所はアメリカ、コロラド州Silt。気温がマイナス28度まで下がってしまったことが原因のようです。自然の恐ろしさを感じずにはいられません。

リンク先の写真を見ていただかないことには何がなにやら判らない記事ですけれども、確かに走っている姿のまま固まっているのが何とも不思議な光景です。
ちなみにこういうことは決して珍しいものではないようで、昨年にも同じような最後を迎えたトナカイの記事が出ているのですね。
こういう大自然の脅威と直面する生き物がいる一方で、史上稀な大寒波に見舞われたと言う欧州某国では例によって例の如くな斜め上の話題がテンコ盛りのようですね。

英警察官数名、暴徒鎮圧用シールドに乗ってそり遊び(2010年1月16日exciteニュース)

[ロンドン 14日 AP]  突然の寒波に見舞われた英国で、暴徒鎮圧用のシールドをそりの代わりに利用して雪が積もった丘を滑り降りていた警察官数名を市民が撮影、動画サイトにアップして話題となっている。

オックスフォードにある丘で今週火曜日、リック・ラトハム氏が盾に乗って滑走している警察官数名の姿を撮影し、動画サイトYouTubeに公開した。ラトハム氏によると、一人が滑り降りている間、別の警官が「何があっても笑顔だけは忘れるな!」などと叫んでいたそうだ。

この日、ラトハム氏はカヤックで滑り降りようとこの丘にやって来たが、準備をしていたところ数名の警察官が彼に近寄ってきたという。「これは怒られるな、そう思いました。ところが何も言われず、警察官らはシールドで丘を滑り降り始めたのです。うれしい驚きでしたよ」とラトハム氏。

テムズバレー警察のアンドリュー・マレー警視は木曜日、問題の警察官数名に「勤務中、市民の税金で購入した警察の備品を使ってそり遊び。これはとても悪い考えだ」と叱責したことを明らかにしたが、「雪は、時に我々の童心を呼び覚ます……」と付け加えた。

しかし「何があっても笑顔だけは忘れるな!」って意味わからないんですが…なんなんでしょうねこのノリは。
ちなみに記事中にある動画なるものはこちらだと思いますけれども、やはり意味が判らないというあたりがブリ風味なんでしょうか…
まあしかしこの程度であればあちら流のジョーク?ということで済ますことも出来そうな話ですが、文字通りに洒落にならないのがこちらです。

凍った川の上を車で走れるか試した男、そのまま車ごとドボン!/英(2010年1月14日デジタルマガジン)

 30年ぶりの大寒波に見舞われているイギリス。そのあまりの寒さに普段凍らない川まで凍り、それにテンションがあがったのか車で走れるか試したバカな男たちがいる。もちろん水没した。

 現場はスコットランド中部、ウェスト・ロージアン近くにあるユニオン運河。写真を見れば分かるがご覧の有様だ。氷の上を走っていた車は見事川の底へと沈んでいった。

 警察によれば、乗っていたのは22歳と24歳の男の二人組。なんとか沈みゆく車から脱出し現場から逃げたものの、すぐに駆けつけたレスキュー隊に発見されたという。その後、男たちは過失行為で逮捕された。

 レスキュー隊は「普通の人はこんなバカなことはしませんが、たまにこういうことがあります。彼らが脱出できたのは幸運でした。運河には深い場所もあるんです。氷は薄くなり始めていますし、そもそもそんなものの上を走るなんて危険ですよ」と今回の事件について語っている。

 なお、沈んだ車はプジョー406だそうだ。ああもったいない。

いやいやいや、バカな男たちといいますけれども、やはりブリの誇る紳士たるものこれくらい体を張っていただかなければ鼎の軽重を問われるというものでしょう!
レスキュー隊が「俺たちはこんなことしないぜ」みたいな顔でしれっとコメントを吐いていますけれども、彼らこそブリ中における異端児であるということを自覚してもらわなければなりませんでしょうね。
さて、お馬鹿…もとい、ブリ流の諧謔に満ちたネタの後に続きますのは、何やらほのぼのとして少しばかり心温まるこちらの話題です。

33年間も“雪だるま”を保存し続けているおばあちゃん(2010年1月15日ロケットニュース24)

冷凍庫で33年間も“雪だるま”を保存し続けているおばあちゃんが話題になっています。

海外メディアが13日に伝えたところによると、注目を集めているのはアメリカ・フロリダ州在住のプレーナ・トーマスさん。彼女にとってその小さな雪の塊は、フロリダ州に珍しく雪が降った日の大切な思い出だそうです。

1977年1月19日、いつもは温暖な気候のフロリダ州に2インチ(約5センチ)の雪が積りました。驚いたプレーナさんはその光景を写真に撮り、そしてそれだけではなく家の周辺に積っていた雪で“雪だるま”を作って冷凍室に保存しました。

それからプレーナさんは、空からの贈り物をパン用の保存袋に入れて野菜や肉と一緒に冷凍庫で保存し続けました。ハリケーンが来てもめったに停電になることがない安定した電力供給のおかげもあって、溶けることなく保存されました。

2003年、プレーナさんと夫のチャールズさんは引っ越しをしましたが、そのときも“雪だるま”は一緒でした。アイスバケツに入れて、慎重に移動させました。

プレーナさんは「ペットのようなものよ」と自身の宝物について話します。ときどき、彼女は友だちに“雪だるま”を見せて冗談を言うそうです。“Ice(nice) to see you!(会えて嬉しいわ!)”

非常にこれ、いいお話だとは思うのですけれども、さすがの雪だるまくんも写真を拝見する限りさすがにいささかお疲れの気配のようで…
何にしろお二人揃って末永く御壮健であることを願わないではいられません。

今日のぐり:「山東水餃大王」

日生といえば近頃ではカキオコがちょっとしたブームなんだそうですが、基本的に田舎の小さな漁師町で特別凝った料理屋があるようにも見えません。
しかしこの小さな街の一角に侮りがたい人気店があるという噂を耳にして、今回やって来ましたのがこちら「山東水餃大王」なんですね。
こんな田舎町にどうしてこんな店が出来たのか経緯は知りませんけれども、こちらなんと水餃子専門店なんだと言うことで、実際水餃子の他はスープにスペアリブ、飯におにぎり程度しか食べるものは用意されていないようです。

ところで何度も言うようですが、こちら日生と言うと田舎の小さな漁師町ということで、この店も訪問するにはしたものの駐車場探しには苦労しました(店自体も表通りからわずかに商店街あるいはその残骸?に入ったところにあって、車で走っていますと非常に見つかりにくいですが)。
結局港の側にある市営駐車場なるものに駐車したのですが、こちらが何故か有料と書いてあるわりに事務所に誰もいなくて、ただポスト?の投入口のところに「料金はこちら」とか何とか書いてあるだけなんですね。
こんなアバウトでいいのか?と思うような話なんですが、とりあえずここから狭苦しい国道の端を数百メートル歩いてようやくお店に到着しました。

まあしかし、こうした田舎町の小さな食堂にありがちな年季の入った雰囲気で、あまり見た目はぱっとしないのも事実ですよね(かな~り控えめな表現ですが)。
他のお客さんを見ていますと餃子を適当に何人前か、それと飯に気が向けばスペアリブもという感じで食べているようなんですが、今回はもっぱら味見が目的ということで水餃子だけを頼んでみました。
そこそこ待った後で出されてきた水餃子は見た目は普通という感じの小ぶりなものなんですが、見た目からしてちゃんと餃子が笑っているのは好印象ですよね。

ここの餃子は皿にひたすら茹でた餃子が並んでいるという質実剛健なもので店のスタイル的にもかなりツボ(笑)なんですが、おば…もとい、お姉さんによれば好みでタレにラー油を入れてどうぞということでしたが、非常にゴマ油の風味が効いていてそのまのタレにつけただけでも十分楽しめますから、ラー油は味を見ながら追加した方がよいかと思いますね。
しっかり練りこまれた餡は肉の旨味とニラの味とがなかなか良好なバランスで、熱々の餃子を丸ごと口に放り込んで噛みしめるとしっかり肉汁が溢れ出すという水餃子の醍醐味が楽しめ、これは思いがけないほど(失礼)まともな水餃子です。
唯一少し気になったのは、個人的好みからするとわずかに湯で加減が過ぎてせっかくのブリブリの皮の食感がずいぶんと損なわれていたことなんですが、それでもちゃんと水餃子の皮らしい味と触感を保っているのはいい感じだと思います。

失礼ながらこんな田舎の片隅でやっていなければもう少しメジャーになっていてもいいようなまともな水餃子を出すと意外な驚きのある店で、ひたすら水餃子だけという点も結構個人的ツボなんですけれども、噂を聞くところでは持ち帰りと実際には持ち帰りや通信販売が主体なんだそうで、実際店内の壁には宅配便の伝票が多数貼り付けてあります。
それ自体は別になんら問題はないんですが、通販などの業務が忙しくなってくると店内で食べる方はどんどんオマケ的扱いになってくるんだそうで、そのあたりはお客も空気を読むということが必要になってくるのでしょうか?
こちらがお客がパラパラなのに比べるとカキオコの店はどこも行列が出来ていたりして、確かに量と値段のバランスや話題性からするとカキオコなどよりはかなり割高に感じられるかも知れませんが、実際に食べてみると味と満足度ではこちらの方が上ではないかなという印象ですから、カキオコツアーのついでに立ち寄って損はないと思いますけれどもね。

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2010年2月13日 (土)

ついにテロの犠牲が…

先日また鯨を食べにいきましてウマーな管理人ですが、世の中なかなかウマーな話ばかりではないようです。
本日まずは最初、こちらの記事をご覧いただきましょう。

シー・シェパード、今度はクロマグロ漁妨害へ「衝突はすべて日本に非」(2010年2月10日IZa)

 南極海で日本の捕鯨船団に対して攻撃を続ける環境保護を標榜する米団体シー・シェパード(SS)のポール・ワトソン代表が産経新聞のインタビューに応じ、今回の反捕鯨キャンペーンの後、地中海のクロマグロ漁妨害を行うと宣言した。世界のクロマグロの8割を消費する日本を再度、標的にする狙いがあるとみられる。一方で、日本船との衝突について「全ての非は日本側にある」とし、調査捕鯨に正当な理由はなく、公海上で行う密漁行為に過ぎない」とこれまでの主張を繰り返した。

記事本文の続き ワトソン代表は、日本船の追尾を続ける抗議船スティーブ・アーウィン号に乗っており、7日、衛星電話でインタビューに答えた。

 クロマグロをめぐって、大西洋と地中海産の国際取引の全面禁止に向けた動きが広がる中、ワトソン代表は「次のキャンペーンを、クロマグロを守るために地中海で実施する」と述べ、スティーブ号と新抗議船ボブ・バーカー号の2船態勢で沿岸諸国の漁船への妨害活動に臨む考えを示した。

 抗議船は、日本が調査を終える春ごろまで南極海に展開させ、その後、できるだけ早い時期に、地中海に移動させるとしている。

 日本は取引禁止措置に反対しており、同団体が実際に妨害行動に踏み切れば、クロマグロ市場に何らかの影響が出ることは必死だ。

 一方、先月6日、団体のアディ・ギル号と第2昭南丸が衝突した事故について、「私たちの方から船に体当たりしたり攻撃したりはしない。私たちに恐れを抱かせようと、第2昭南丸が故意に衝突した」と強調。事故の詳しい状況を調べるオーストラリア海保当局の事情聴取にすでに応じていることを明かした。

 ワトソン代表はキャンペーンの予算について、新抗議船の購入費も含めて、少なくとも700万ドルと回答。全世界にいる3万5000人のサポーターからの寄付などでまかなっているとし、「オーストラリアとニュージーランド国民から圧倒的な支持を受けている。彼らからの支援がなければ、抗議活動は立ちゆかない」と話した。

 また、スティーブ号には日本人女性が通訳として乗船していることが判明。電話インタビューに「シー・シェパードは人間を含む動物全ての命を守るためにここに来ている。人体に害を与えるような物は使っておらず、けが人が出るような振る舞いは一切していない」と答えた。(佐々木正明)

マグロ漁への妨害宣言もさることながら、ここで注目すべきはかねて過激さを増す一方の捕鯨妨害活動への彼らの言及です。
本日は「人間を含む動物全ての命を守るためにここに来ている」と主張するテロリストの主張がいかに事実と反しているのか、明白な根拠を元に検証してみましょう。
まずはこちら、すでに多くの方々がご存知だと思いますが、ついにテロの被害者が出てしまったというニュースです。

シー・シェパード、日本の調査捕鯨船に酪酸入りの瓶を投てき 船員3人けが(2010年2月12日FNNネットワーク)

反捕鯨団体「シー・シェパード」が日本の調査捕鯨船に薬品入りの瓶を投げ入れ、船員3人が軽いけがをした
シー・シェパードは、南極海で調査捕鯨をしている日本の調査捕鯨団に、日本時間11日夕方から断続的に酪酸を投げ入れたり、レーザー光線を照射するなどの妨害行為を行った。
このうち、酪酸の入った瓶が「第2昭南丸」の船体に当たって割れ、飛び散った酪酸が船員3人の顔にかかった
視力に異常はないということだが、顔に痛みがあるという。
水産庁は、シー・シェパードの妨害は「極めて危険な行為」として、厳しく抗議していく方針。

シー・シェパードがロケット弾で日本船を攻撃 船員3人軽症 緊迫の映像も(2012年2月12日産経新聞)

 南極海で日本船団に対して調査捕鯨妨害を続ける反捕鯨団体シー・シェパードが11日夕から12日未明(日本時間)にかけて、捕鯨船にロケット弾を発射するなど、新たな攻撃を行った。監視船「第2昭南丸」のデッキにいた乗組員3人が酪酸弾の飛沫(ひまつ)を浴び、船内で手当てを受けた。顔面などが腫れ、痛みを訴えているという。日本側に人的被害が出るのは初めて

 シー・シェパードは母船スティーブ・アーウィン号(オランダ船籍)と今回のキャンペーンで新たに導入された新抗議船ボブ・バーカー号(トーゴ船籍)の2隻態勢で、日本船団を攻撃。ヘリコプターが異常接近して、航行を邪魔したほか、高速ゴムボートも出動させ、捕鯨船のスクリュー破壊を狙って、海中にロープが投げ込まれた

 また、高速ゴムボートからは、到達距離が伸びるランチャーから酪酸弾が投てきされ、捕鯨船の乗組員が飛沫を浴びた。この様子は、米CS放送局のアニマル・プラネットのカメラマンが撮影。映像は、今年夏から同局で放送されるシー・シェパードのドキュメンタリー番組「鯨戦争」シーズン3に反映されるものと思われる。

 シー・シェパードの抗議船2隻はここ2日、日本船団の追跡だけに留め、派手な妨害を控えていたが、日本の捕鯨関係者は「映像撮影のために、近日中に、総動員態勢で大規模な妨害作戦に出るはずだ」と述べていた

 捕鯨船団のカメラマンが撮影した写真には、団体代表のポール・ワトソン船長とみられる人物が自ら、ロケット弾を発射する様子もとらえられている。ワトソン船長は11日に声明を出し、「もし、日本人たちが鯨を殺すなら、新たな衝突が起こるのは必至だ。私たちは危険な状況から決して逃げたりはしない」と警告した。

 一方、日本鯨類研究所も、抗議船の船籍を認めているオランダ、トーゴのほか、シー・シェパードの事実上の母港があるオーストラリアに対して、「あらゆる手段を講じて、シー・シェパードの暴力行為を止めさせ、犯罪者を摘発する」よう要請した。

彼らの人命を何とも思わない振る舞いからしていずれやるだろうとは思っていましたけれども、とうとう被害者が出てしまいましたか…
件の動画と思われるものがこちらなんですけれども、どう見てもロケットランチャーを日本船に向けていますよね。

【動画】速報!2010.02.11 妨害船SA号活動家が日新丸に向けて薬品を撃ち込む

こんなものうっかり直撃したら確実に死ぬ!と思うところですが、恐ろしいことにテロリストが事実上の母港にしているオーストラリアでは、ロケットランチャーが街のリサイクルショップで、しかもたった2ドルで売っているんだそうです(売るなよそんなものと言いたくなりますが)。
あまりにお手軽に手に入りすぎて店頭で並んでいるのを見ても本物とは思わないんじゃないかと思うくらいですが、さすが大陸国家というものはおおらかと言うか何と言うか表現する言葉に困ります。
しかし先日の弓矢で撃ちまくり行為といいレーザー照射行為といい、そして何より今回のロケット弾攻撃といい、彼らテロリストは日本人の命など何とも思っていないのか?と疑問に思われた方もいるかと思いますが、どうも全くその通りらしいのですね。
まあ相手の人命に配慮するテロリストというものもあまり聞いたことがありませんから、これが正しいテロの道だと言ってしまえばそれまでなんですが、少なくとも人の道には大いに反しているとは言える行為でしょう。

シーシェパード、第二共新丸行方不明者捜索を妨害(2009年1月7日日本鯨類研究所プレスリリース)

 第二期南極海鯨類捕獲調査船団が、行方不明になった目視調査船第二共新丸乗組員の白崎玄(しらさき・はじめ)操機手(30歳)の捜索を行っていたところ、日本時間1月6日午後8時00分頃、無灯火状態の船舶が突如出現し、捜索現場に接近しているのを発見した。その船型を確認したところ、シーシェパード所属のスティーブ・アーウィン号であると判明した。

 スティーブ・アーウィン号は捜索中の船団に対し日本語で「行方不明者の捜索に来た」と呼びかけた。これに対し、調査船団側は「つい先頃も調査船団に妨害を加えたシーシェパードからの捜索の援助、捜索の協力等は一切受け付けません。我々は我々独自で捜索を行います。」と返答した。しかしながら、スティーブ・アーウィン号は「捜索が終わり次第、調査船団への妨害活動を行なう」と宣言した後、捜索活動中の目視調査船第二共新丸に0.2マイルにまで異常接近するなど、船団の捜索活動を妨害した。

「残念な事故が発生し、その捜索活動を行なっている最中であるにもかかわらず、スティーブ・アーウィン号が捜索に来たとしつつ終了後は妨害を加えることを明言した上で日本側の船舶の航行を妨害する行為をとったことに対し、強い憤りを感じる。シーシェパードは直ちにこうした行為を中止すべき。」と共同船舶株式会社山村和夫社長が述べた。

シーシェパード船は明らかに救難信号を利用して妨害活動にやって来た。このような行為は人道的に許されるべきではなく、関係各国はコンセンサスで採択されたIWCでの非難決議に沿って乗組員の安全を脅かす執拗な妨害活動には断固たる処置をとる必要があると考える。」と日本鯨類研究所森本稔理事長が述べた。

そもそもシー・シェパード代表のポール・ワトソンと言えば、かつてIWCで捕鯨禁止に反対票を投じたカナダ代表を「殺害する」などと公言してみたり、ポルトガルでは捕鯨船を爆雷で撃沈してみたりと筋金入りの国際テロリストとして名をはせる人物ですし、現在進行形で弓矢からロケット弾まで使い放題で日本人を傷つけているわけですから、「けが人が出るような振る舞い」をやりっ放しという点に疑問はないわけです。
それでも百歩譲って(はいけないんですが)シー・シェパード的定義によれば日本人は人間の範疇に入らないのだとしてみましょう、しかし彼らが使用しているものがどのようなものであるかを考えてみれば、この主張に何らの根拠もないばかりか明確に事実に反していることが明らかです。
シー・シェパードが攻撃に使ってきた酪酸なる物質は日本人に馴染みのあるところでは銀杏のあの匂いの成分ともされていますけれども、これが実はトンでもなく人体に危険なシロモノであるばかりでなく、海に垂れ流していいようなものでは全くないんですよね。

酪酸

酪酸(らくさん、butyric acid)、IUPAC名:ブタン酸(Butanoic acid)もしくはn-ブタン酸(n-butyric acid)は、構造式 CH3(CH2)2COOHの直鎖カルボン酸である。構造異性体にイソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。哺乳類は極微量でも臭いを探知することができ、イヌでは10ppb、ヒトでは10ppmまで嗅ぎ分けることができる。
(略)

危険性

皮膚や粘膜に対する腐食性があり、水生生物に有害。 ICSCでは「漏洩物処理」項目で、環境中への放出を禁じている。

どう見ても環境破壊物質です本当に(r
ちなみにICSC(国際化学物質安全性カード 、International Chemical Safety Card) というのは国際化学物質安全性計画 (IPCS) に従い化学物質の毒性情報などをカード形式にまとめたもので、各国語版に翻訳され現場で活用されているものですが、こんなものをぶちまけられたのでは鯨もさぞや臭いでしょうし、南極の海洋生物も大きなダメージを受けてしまうのは当然ですよね。
まあ先にも妨害船を公海上に放置して南極の海を油で汚染しまくった方々ですから、環境破壊など何とも考えていないのだとは容易に想像できるところですけれども、そういうテロ組織を「海洋の生態系を保護し保存するためのアプローチの一つ」などという美辞麗句の元に支援する組織もまた同類の環境破壊団体だろうと言うことでしょう。

さて、言葉で言って聞かせることが出きないからこそテロ組織と言われるわけですが、現実的にこうした暴力に対してどう対処していくべきなのかという問題が極めて切実なものとなってきました。
冒頭の記事においても、ロケット弾攻撃に対する抗議の主体が水産庁であって日本政府ではないという点を思い返していただければと思いますが、肝心の総理の足腰が定まらないこともあって国の方針も迷走中ということなのでしょうか?
何にしろ命がけで頑張っている日本人の生命よりも、人命軽視どころか環境破壊も厭わないテロリスト保護を優先させるなんてことがあるようではいったい何のための政府かということになりかねませんし、この状況で手をこまねいて更なる被害を招くようようでは「明確に予見された危険を放置した」と非難されても仕方ないと思いますね。
まさか例によって「極めて遺憾」の連呼で事足れりとするつもりは…かなりありそうで怖いのですが(苦笑)。

【止まらぬ暴力 シー・シェパードの実態】(下)遅れる法整備(2010年2月12日産経新聞)より抜粋

■「船員の安全守って」
(略)
 ◆実質的に釈放

 SSに対し、政府はいまでこそ対策を積極的に検討している。「予算がかかっても海上保安庁の巡視艇を警備に派遣すべきだ」という声も高まりつつある。しかし、数年前までは妨害を受けても、政府は「とにかく逃げろ」と指示するばかりだった。

 背景にあったのは捕鯨の是非が議論され続けている国際捕鯨委員会(IWC)。賛成派と反捕鯨国の勢力が拮抗(きっこう)しており、水産庁を中心に「SSに対抗すれば、逆に反捕鯨派を刺激し、勢いづかせる」という考えが根強かった。

 そうした考え方が変わったターニングポイントは平成20年だった。その前年、南極海で捕鯨船にSS活動家が乗り込んでくる“事件”が発生し、船員らは活動家の身柄を拘束した。しかし、政府は反捕鯨国オーストラリアへの引き渡しを決め、実質的に釈放した。

 「トラブルを拡大しない」。そんな考え方があったが、SSはその後も妨害を繰り返している。トラブルを拡大しているのはSSの方だった。

 「なぜ、あのとき逮捕しなかったのか」。公海上でも日本船への不法侵入者は日本の法律が適用されるため、逮捕もできた。批判は高まり、日本側は少しずつ対SS強硬策にかじを切り始めた

 ◆海賊ではない

 政権交代を果たした民主党は昨年末になって、捕鯨や船舶関係者からSS問題などについて意見を聴く議員協議会を開いた。その場で、全日本海員組合の近英男(こん・ひでお)水産部長が、大きな声を張り上げた。

 「国民がテロに近い暴力にさらされ、生命の危機を感じているのに、助けようとしない政府がどこにあるのか

 返す言葉もなく押し黙る議員たち。「政治に、なんとかしてもらいたい」。多くの出席者から不満が漏れた。

 SSの公海上での暴力行為に対して、日本の現行法制は逮捕など取り締まりを認めていない。国連海洋法条約は、海賊ならば公海上でも逮捕を認めているが、政府は「海賊とはいえない」との外務省の見解を採用している。環境保護を主張するSSは、略奪目的の「海賊」ではないという解釈だ。

 ◆政権交代が“壁”に

 これに対して農水省は逮捕を可能にする法整備を求めてきた。昨年3月には石破茂前農水相が「SSは海賊と同じだ」として、ソマリア沖の海賊を取り締まる海賊対処法を適用するよう求め、それが拒否されるとSSを対象にした新たな新法制定を求め、水面下で法案の骨子まで作成した。

 しかし、それも政権交代によって、握りつぶされた形になっている。今の政府の大勢は法整備に冷ややかだ。

 「ただ、船員の安全を守ってほしい、それだけなのに…」

 近部長はそう話す。多くの調査捕鯨関係者らの気持ちだ。

 SSの暴力を野放しにすることで、重大な人的被害を受ける可能性は強まる。そのときまで問題を放置していいのか。日本の調査捕鯨船団はいまもSSの脅威にさらされながら、南極海で航海を続けている。

シー・シェパード妨害船員負傷 閣僚から非難の声 日本政府は強く抗議していく姿勢(2010年2月12日FNN)

反捕鯨団体の「シー・シェパード」が、南極海で日本の調査捕鯨団に薬品入りの瓶を撃ち込み、船員3人がけがをした。閣僚からは非難の声が上がっている。
赤松農水相は「そこまでやるかということで、大きな怒りでいっぱいです」と述べた。
平野官房長官は「けしからん話で極めて遺憾」と述べた。
シー・シェパードは、日本時間の11日夕方から、断続的に日本の調査捕鯨団に妨害を行い、水産庁によると、「第2昭南丸」に撃ち込まれた瓶が船体に当たって割れ、中に入っていた酪酸が飛び散り、船員3人の顔にかかった。
視力に異常はないということだが、顔に痛みがあるという。
一方、シー・シェパードの幹部は、FNNの取材に対し「(どんな液体を撃ち込んだのか?)バターだよ。腐ったバター。(バター?)そう、腐ってにおうバターだよ」と話している
今回の調査捕鯨で、シー・シェパードの妨害による人的被害が出たのは初めてで、政府はシー・シェパードのエスカレートする妨害行為に強く抗議していく姿勢

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2010年2月12日 (金)

日医の眷属はみな悪役ですか(苦笑)

病院と診療所間でどう統一していくべきか議論になっていた再診料問題が、ようやく決着したようです。
しかし一般紙においても取り上げられるほど世間の注目も高かったこの問題、各紙の記事がなかなか読み比べてみると面白いですね。

再診料690円統一で決着  医療再生、病院に厚く(2010年2月11日中日新聞)

 2010年度の診療報酬改定をめぐる調整が10日、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)で決着した。12日に長妻昭厚労相に答申する。難航した病院と診療所の再診料の一本化では、病院の再診料を現行から90円引き上げて、690円(患者負担は原則3割)で統一することに決まった。10年ぶりのプラス改定(0・19%)を受けた財源配分は、疲弊する病院医療の再生に比重が置かれたものとなった。

 10日の中医協では、開業医の委員が学識経験者の委員が示した再診料統一の裁定案に「どうしても許容できない」と抗議し、席を立つ場面もあった。690円で統一されれば、診療所の再診料は現行710円から20円引き下げられる。開業医にとって200億円の減収となり、「経営体力が劣化し、医療崩壊が拡大する」と反発したのだ。

 しかし、すでに他の財源の配分も固まり、再診料の統一には開業医の収入に手を入れざるを得なかった。納得できない委員が再診料統一の見送りも主張したが、受け入れられず、最終的に黙認するほかなかった。

 一方で、医療崩壊が叫ばれる病院の勤務医対策として、入院医療や救急、産科、小児科、外科の充実に向け、報酬の引き上げ方針が相次いで決まった。引き上げ財源5700億円のうち、入院医療に4000億円を充てる基本方針に沿った改定案となった。長妻氏ら政務三役が中医協への諮問に明示したものだった。

 これまで診療報酬の改定内容は事実上、中医協に白紙委任されてきた。政権交代を受け、初めて配分枠に踏み込んで基本方針を提示した新方式は奏功した格好だ。

 終わってみれば、開業医の報酬引き下げなどの改定案は、昨年の行政刷新会議による事業仕分けに沿った内容だった。開業医の委員からは「初めから異例の財源枠が設定されていた。中医協の権限縮小だ」との声も出た。 (吉田昌平)

【社説】診療報酬改定 当たり前がやっと実現(2010年2月11日中日新聞)

 二〇一〇年度の診療報酬改定が十日までの中央社会保険医療協議会(中医協)でほぼ合意された。医療機関の再診料の統一、医療費明細書の無料発行の義務化など当たり前のことがようやく実現する。

 健保組合などから医療機関に支払われる診療報酬を平均0・19%引き上げることは昨年末、政府レベルで合意されていた。最大の論点は、この上げ幅の中で医療財源を個々の医療行為などにどう配分するかだった。救急、小児、産科などを中心に医療崩壊が指摘されているだけに、それを防ぐため診療報酬で方向性を示すことが強く求められていた。

 今回の改定では長年の懸案である診療所と病院(二百床未満)の再診料が初めて統一される。これまで診療所七百十円、病院六百円で、同じ医療を受けるのになぜ差があるのか患者らから疑問が出ていたが、開業医中心の日本医師会の反対で統一できなかった。

 今回も開業医代表の委員を中心に医療側委員は最後まで診療所の再診料引き下げに反対したが、最終的には公益委員の裁定で、六百九十円に統一が決まった。

 外来部門で浮く財源は、診療時間外に患者からの問い合わせに応じた場合の「地域医療貢献加算」や小児科救急外来の充実、勤務医の待遇改善などに振り向けられる。適切な見直しといえる。

 医療機関に対し、原則無料で患者に医療費の明細書付き領収書の発行を義務付けることもようやく実現する。一般社会では消費者がものやサービスを購入すれば、ごく普通に領収書や明細書がもらえるが、医療界ではこの常識が長い間、通じなかった

 二〇〇五年末、当時の政府・与党の「医療制度改革大綱」でも「医療費の内容が分かる領収書の発行の義務付け」を打ち出していたが、医療側が抵抗していた。

 現在、大病院では義務付けされているほか、自発的に発行している医療機関もあるが、全医療機関に義務付けする意義は大きい。

 明細書によって患者は自分が受けた医療の内容を知ることができ、増大する医療費への理解を深めると同時に、医療費の透明性が高まり、無駄を除くきっかけにもなるからだ。従来のような「努力目標」では、こうしたことがあまり期待できなかった。

今回の改定だけでは、医療再生を図ることは難しい。そのためには、決められた財源をいかに有効に使うか。診療報酬の配分の見直しを不断に行う必要がある。


診療報酬改定:再診料統一 勤務医の待遇改善狙う 開業医の「残業」には手当(2010年2月11日毎日新聞)

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR 政治>

 2回目以降の外来診療時にかかる再診料について、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)は10日、4月から病院(200床未満)、診療所(開業医)とも690円で統一することを決めた。病院は今より90円引き上げる一方、診療所を20円引き下げ、疲弊ぶりが指摘される病院勤務医の待遇改善を図る。一方診療所でも、24時間患者の対応をするなど、地域医療を支える医療機関は減収とならないよう加算を設ける。結局、厚労省から狙い撃ちされたのは、定時に閉院し、休日や夜間は診療しない都心のビルに入居するような「クリニック」だ。【佐藤丈一】

収入が多いとされる開業医の取り分を削り、病院勤務医に回す--。開業医の再診料引き下げによる価格統一は、かねて厚労省が目指していたものの、開業医を中心とする日本医師会(日医)やその支援を受ける自民党の意向もあり、踏み切ることができなかった。しかし、政権交代後、厚労省入りした政務三役は中医協から日医の代表委員を外し、開業医の再診料引き下げに布石を打った。

 とはいえ、新たな中医協委員にも開業医はいる。10日の中医協で、学者ら公益委員が690円での再診料統一案を示した際も、診療側委員は「結論ありき。許容できない」と退席し、議論が中断する一幕もあった。

 結局、診療側委員が反対できなかったのは、開業医の引き下げ幅を20円にとどめたためだ。それでも、病院は90円アップで約180億円の増収になる一方、開業医は約200億円の減収となる。

 さらに10日は開業医を説得する案として、(1)かかりつけの患者からの電話に24時間対応できる体制を整えている(2)医療費の明細書を無料で発行できる--開業医については、再診料に加算する制度も示された。(1)(2)とも実施すれば、事実上再診料の現行水準が維持されるようになっている。

 厚労省は、こうした仕組みにより、「残業」をしなかったり、患者へのサービス意識に欠ける開業医が減収となるよう意図している。同省は、夜間や休日、病院の外来に訪れる軽症患者の足を開業医に向けさせることで病院勤務医の負担軽減を図る意向だ。

 このためにも、24時間体制で頑張る開業医の意欲をそぐわけにはいかないという事情もある。

 しかし、診療報酬全体の伸びが0・19%と低いうえ、入院費を大幅にアップさせるという新政権の考えもあるため、外来診療充実というにはほど遠い内容となっている。

 10日は患者が医療機関で、リハビリや傷の手当てなどを受けず、問診だけだった場合などに上乗せされる「外来管理加算」(520円)の扱いも決着した。前回改正で、問診が5分を超えないと加算ができないようになった「5分ルール」について、医療関係者は強く廃止を求めていた。今回、5分ルールは廃止されたものの、投薬目的で症状を確認するだけの「お薬受診」では加算を認めないという新たな条件も設けられ、開業医の間には「減収は必至だ」という不満が出ている。

再診料統一、開業医の不満消えず(2010年2月11日読売新聞)

20円引き下げ「診療所の体力低下」

 2010年度の診療報酬改定の焦点となっていた再診料の見直しは10日、開業医の診療所を20円引き下げると同時に、中小病院を90円引き上げ、690円に統一することで決着した。

 厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)は収入減となる開業医に配慮し、休日・夜間にかかりつけ患者の対応ができる体制をとる診療所を対象に、再診料に上乗せ加算できる仕組みを新たに導入する方針を打ち出したが、開業医には不満が残った。

 再診料は現在、診療所が710円、中小病院(200床未満)が600円となっている。

 患者から「差があるのは分かりにくい」という指摘があり、初診料は統一したが、再診料は統一すれば診療所の収入減につながるため、日本医師会などの反対で診療所の引き下げが見送られ、格差が残っていた

 再診料を10円増減させると、診療所は全国で計約100億円、中小病院は計約20億円、収入が変化すると見込まれている。今回の改定では、ほぼ中間の660円とする案も出たが、開業医の委員らが反対した。10日の総会では、学識経験者ら公益委員が、診療所の引き下げ幅を抑えた裁定案を提示した。反発した開業医の委員らが「診療所の体力の著しい低下を招き、医療崩壊が拡大する」として一時退席したが、最終的には黙認する形で受け入れた

公約違反 医療崩壊加速も 診療所再診料引き下げ(2010年2月11日赤旗)

解説

 診療所の再診料を20円引き下げるという中央社会保険医療協議会(中医協)の決定は、「医療崩壊を食い止め、国民に質の高い医療サービスを提供する」という民主党の政権公約(マニフェスト)に真っ向から反する重大問題です。

 医療費削減の「構造改革」路線のもとで、診療所の再診料は2002年~06年の診療報酬改定で計30円引き下げられました。さらに、前回(08年)改定で導入された「外来管理加算5分ルール」によって、診療所は年間800億円もの減収になりました。

 

有床診療所が減って病院の負担が重くなるなど、地域医療の中で診療所が果たす役割の低下は、病院勤務医の過重負担に直結し、医療崩壊の一因となってきました。地域医療再生のためには、病院と診療所の報酬を両方増やして連携を強化する必要があります。

 中医協の決定通りに診療所の再診料を20円引き下げれば、診療所は全体で200億円の減収になります。

 「外来管理加算5分ルール」は若干の要件緩和がされますが、削られた800億円のうち元に戻るのは120億円程度とみられます。民主党は総選挙前の「医療政策詳細版」に「5分ルール」の「撤廃」を明記しており、この点でも重大な公約違反です。

 診療側の委員は「医療崩壊の解消の一歩になるどころか、それを拡大する。許容できない」(安達秀樹・京都府医師会副会長)と強く抗議して退席し、審議は30分間にわたって中断しました。再開後も、診療側の賛意をえないままの決定となっています。

 中医協がこうした決定に至った大本には、鳩山政権が昨年末に決めた診療報酬の改定率があります。

 与党3党は政権合意で「医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保をめざす」とうたったにもかかわらず、10年度の診療報酬改定率は実質ゼロ。薬価を引き下げて確保した入院や外来の増額分は4800億円にとどまりました。その中で、再診料などの外来には400億円しかあてないという異例の枠をはめました。

 この結果、病院の再診料を増額する一方で診療所の再診料を減額するという「苦渋の判断」(遠藤久夫会長・学習院大学教授)に追い込まれたのです。

 中医協の中では、病院が600円、診療所が710円という再診料の格差をなくして統一すべきだという議論がありました。しかしこの格差は、「病院は入院を、診療所は外来を重点的に評価する」との名目で病院の再診料を低く抑えてきたことが原因です。危機的状況にある病院の再診料を大幅に引き上げるのは当然ですが、診療所の再診料を減額する理由にはなりません。

 鳩山政権は「医療・介護の再生」を訴えた政権公約に立ち返り、診療報酬の大幅アップに踏み出すべきです。(杉本恒如)

個別の箇所に突っ込んでも仕方がないので紹介するにとどめておきますが、しかし日医もさることながら世間では診療所の開業医もすっかり悪役が定着した感がありますね(苦笑)。
つい数年前まで「かかりつけの開業医を持ちましょう」「病院にいきなりかかるのはやめましょう」などと国やメディアが総力をあげて診療所をヨイショしてきた経緯は、皆さんすっかり忘却の彼方と言うことなんでしょうか(笑)。
まあしかし、見ていますと医師会外しなどに始まる一連の医師既得権益排除の象徴みたいに捉えているメディアも多いようですが、こうした流れに見事に乗せられているかにも見える関係者のコメントもあるようで驚きます。

再診料統一 開業医は嘆き節、病院勤務医は評価の声(2010年2月11日朝日新聞)

 医療機関で2回目以降の外来受診の際にかかる「再診料」が、4月から690円に統一される。病院は90円上がり、診療所は20円下がる。病院の勤務医の待遇改善が狙いで、診療所の開業医は危機感を募らせる。休日や夜間に患者からの相談を受ける診療所に特別な加算を付けるなど、外来医療の報酬配分も10日の中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)で決まった。

 「診療所の危機的な経営状況が加速してしまう」。診療所の再診料引き下げについて、東海地方で整形外科を開業する医師は頭を抱えた。1日に100人を超す患者が訪れ、2009年6月の診療報酬900万円のうち、再診料は18%を占めた。20円下がると収入は年間約50万円減る。

 大幅引き下げなら、リハビリや事務の職員削減も考えないといけないと覚悟していた。そうなると患者の待ち時間が延びてしまう。今回はそうした事態を避けられそうだが、楽になるわけではない。これまでも職員に賞与を払う7月と12月は赤字。昨年は新たに500万円を借りた

 厚労省は、医療費の明細書を無料発行するなどの診療所には再診料に加算する方針だが、院長は「発行したり患者に中身を説明したりする時間や人手の余裕はない。現場に新たな負担と混乱を押しつけるのか」と嘆く。

 北陸地方の診療所院長は、患者の病歴をよく知るかかりつけ医として、無駄な検査なしで適切に治療してきた自負がある。「再診料引き下げで、検査を多くする開業医が増えかねない」。その場合、患者の負担が減ると言い切れなくなる。

 厚労省は、再診料を下げる代わりに、時間外診療を引き受けるなどする診療所に加算するという。でも、この院長は月に20日ほど夜も仕事に追われる。医師や地方自治体の担当者らが集まる会議や勉強会、警察医としての仕事などがある。「勤務医ではカバーしにくい、地域のための仕事も開業医の大事な仕事。そういう面にも目を向けてほしい」と言う。

 病院の再診料アップについて勤務医からは評価する声が上がった。

 関東地方の病院に勤務する救急医は「医療費に限りがあるなかで、病院に厚くつける分、診療所が下がるのは仕方ないだろう」と話す。病院の医師不足が進めば、医療の質に影響が出かねない。病院で働き続けることに希望がもてず、退職して開業する医師が多いと感じる。「開業するメリットが減れば、そうした流れの抑制にもなる」

 09年10月の中医協で公表された資料では、診療所の院長の給料は平均で月額200万円を超え、一般病院の勤務医の1.7倍だった。日本医師会は調査手法の問題点などを挙げ、「院長には経営責任があることを考慮すべきだ」などと批判。診療所の再診料引き下げに強く反対した。

 それでも、政権交代後、勤務医の過重な負担が目立つ病院の医療に重点配分しようという流れは変わらなかった。

 慶応大学の池上直己(なおき)教授(医療政策学)は「今回の改定では『疲弊する病院を救済する』というメッセージが発信され、そのシンボルとして病院の再診料を上げ、診療所を下げた」と言う。「医師の報酬はいくらが適切か、についてのコンセンサスがないため、点数の設定はコストではなく、政策で決まる」と解説。診療所の経営については「従来通りの診療では同じだけの収入を確保できなくなる。病状が不安定な患者に受診してもらう頻度を増やすことも出てくるだろう」と指摘する。(辻外記子、武田耕太)

いや普通そこは逃げ場を塞いで「騙してでも医者を連れてきたもの勝ち」な態勢つくりに情熱を注ぐべき局面ではなく、「病院で働き続けるメリットが増えれば自然と人も集まる」と考えるべきなんじゃないでしょうかjk?
いくらしんどい思いをして頑張っても現在も将来にも何一ついいことがないという環境で、奴隷自慢の体育会系脳筋医者はともかくまともな知性を持っている人間ほどやる気がでるとは思えないんですが、そのあたり現職の管理職級の方々は後進に対する責任というものはどう考えているのかということです。
「医療費が限られている」というのであれば現場の実情を無視してひたすら「よりよき医療」を目指して改訂を続けるガイドラインにももっとコストとリスクマネージメントの意識を持ちましょうとか、業界内部で早急に改善するべきことは幾らでもあるかと思うのですけれどもね。

そうした内部意識の話もさることながら、今回の話でさりげなく触れられているのが過日も足立氏の方から出ました「時間外対応など地域医療に貢献する診療所には加算」なる話です。
いわゆるビルクリの類には徹底して厳しくというのが厚労行政、マスメディアも共通しての流れですが、一方で仮にも労働問題も所轄する厚労省が365日、24時間の対応を制度的に強いるというのも考えてみればすごい話ですよね。
まだ条件設定の面で詰められるべきところが残っているようですが、前述の毎日さんの記事を信用する限りでは「かかりつけの患者からの電話に24時間対応できる体制を整えている」ってところがミソなんでしょうね。
つまり一見さんなどは「かかりつけの患者ではない」と解釈すれば、例えば「連続通院三ヶ月で緊急連絡先を保証するゴールドカード!」なんてことも出来そうに思えますが、まさか厚労省がそんな甘い逃げ道を用意するとも思えませんから、今後の作業で詰められてくるのではないかとは思います。

しかし「実施すれば、事実上再診料の現行水準が維持される」という記述からは加算額は2点と受け取れるんですが、毎日100人単位で患者をみていたとしても当直バイト一回分の加算ですか…さて、これをどう考えるかですね。
まあ、患者側にすれば加算に踊らされる開業医さんが大勢増えれば嬉しい話なんでしょうけれども、開業の先生というと何しろ平均年齢層が高いですから、これから死ぬまで年中無休の24時間対応を死いられる…もとい、強いられると悲壮な決意を固めざるを得ない方々も多いでしょうし、当然これを機に廃業という方も多くなるでしょう。
「24時間患者のために働けない医者などいらない!」なんて景気のいいことを叫ぶ声もネット上にはあるようですけれども、多忙な現場の実感としては例えどんな医者であろうが、いないよりはいて少しでも負担を分かち合ってもらった方が助かるという感じなんじゃないかと思うんですけれどもね。

基本的に医療資源の集約化という国策は相変わらず引っ込められていない状況では、開業医や小病院が自然淘汰されていく政策というものは非常に合目的的であって、「こんなことをされては開業医はやっていけない!」などとピント外れな抗議をしたところで「は?それが目的ですが何か?」と言われるだけですから、反論すべきならその前段階の集約化の是非を問うべきだと言う話になるんだと思います。
地域から医者を引っ剥がすことにもつながるだけに、このあたりは本来なら国民を巻き込んで大激論をやっていなければならないくらいの大ネタのはずなんですが、再診料が20円増えた、減ったという話にはこれだけ注目が集まる一方で、そういう根本のところは全くどこも触れようとしないのは、やはりそれなりの理由があるからだと解釈しておくべきなんでしょうかね?

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2010年2月11日 (木)

環境テロリストにあのお方がまたもお怒りです

先日以来やりたい放題の環境テロリストがまた南氷洋で暴れているようですね。
まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

シー・シェパードまた妨害 調査捕鯨船にレーザー光線、乗員失明の恐れも(2010年2月6日産経新聞)

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード」(SS)の抗議船が日本の調査捕鯨船団へ妨害活動を繰り返している問題で、水産庁は6日、SSの抗議船が再び日本船団に妨害活動を行い、捕鯨船「第3勇新丸」と接触したと発表した。船体に大きな損傷はなく、乗組員にもけがはなかった。

 水産庁によると、南極海で調査捕鯨活動中の日本船団の母船「日新丸」を追尾していたSSの抗議船「ボブ・バーカー号」が同日午前3時(日本時間)ごろから、乗組員の目に当たれば失明の恐れのあるレーザー光線を照射するなどの妨害活動を開始した。

 ボ号はレーザー光線の照射だけでなく、日新丸に接近するなどの妨害を繰り返し、日新丸はボ号の接近を阻止するため放水などを実施。SSの抗議活動を防ぐ監視船「第2昭南丸」が日新丸の後方を航行し、警戒を続けていた。

 しかし、同日午後1時(同)ごろ、ボ号が第3勇新丸に対し、有害な液体の入ったビンを投げつけるために急接近。第3勇新丸は回避行動をとったが、その際、船尾に接触されていたことが判明した。第3勇新丸は手すりが曲がった程度で、けが人はなかった。

 その後もボ号は日本船団に多数のビンを投擲(とうてき)。日本鯨類研究所によると、ビンの大半は海に落ちたが、第2昭南丸の甲板には10個程度のビンが投げ込まれたという。

 水産庁は「SSの妨害活動は日本の船舶や乗組員の生命・財産を脅かす危険な行為で、断じて許されるものではない」としている。

 SSをめぐっては先月6日、抗議船「アディ・ギル号」が異臭のする薬品が入ったボールを発射するなどの妨害活動中に第2昭南丸と衝突。ア号は船首部分が大きく破損し放置された。

シー・シェパード抗議船、また日本船に接触(2010年2月6日読売新聞)

 水産庁は6日、南極海で同日午後1時頃、調査捕鯨船「第3勇新丸」と反捕鯨団体シー・シェパードの抗議船「ボブ・バーカー(BB)号」が接触したと発表した。

 第3勇新丸の乗組員にけがはないという。同庁によると、BB号は同日未明から調査捕鯨船団に、レーザー光線を照射したり、酪酸入りの瓶を投げつけたりと妨害を行っていた。勇新丸は後方から接近してきたBB号を避けようとしたが、左船尾がBB号の右舷と接触。勇新丸の鉄製の手すりが折れ曲がったという。

          ◇

 【シンガポール=岡崎哲】シー・シェパードのポール・ワトソン代表は6日、衛星電話で読売新聞に、「日本側が故意に体当たりして右舷に傷ができた」と主張した。

日本の調査捕鯨団にシー・シェパードが再び妨害 プロペラ狙いロープ投げ入れなど(2010年2月8日FNN)

南極海で調査捕鯨を行っている日本の調査捕鯨団に対し、繰り返し妨害活動をしている反捕鯨団体のシー・シェパードが8日朝、再び妨害を行った。
日本時間の8日午前7時ごろ、シー・シェパードは、日本の調査捕鯨船のプロペラを狙いロープを投げ入れたほか、捕鯨船に接近して放水したり、レーザー光線を照射するなどの妨害を行った。
放水により、乗組員数人が水を浴びたが、けがはないという。
水産庁は、シー・シェパードの妨害活動は「極めて危険な行為」として、厳しく抗議していく方針。

シー・シェパード、また捕鯨船妨害 大音量音楽やレーザー光線で(2010年2月9日産経新聞)

 水産庁は9日、南極海を航行中の調査捕鯨船が、米国の環境保護団体シー・シェパード(SS)の抗議船から妨害を受けたと発表した。

 日本時間の9日午後3時半ごろから、SSの抗議船「スティーブ・アーウィン号」が調査母船まで約10メートルに異常接近。大音量で音楽を流したり放水したりしたほか、レーザー光線を照射してきたという。別の抗議船1隻も接近して妨害した。捕鯨船への被害や、乗組員のけがはないという。

しかしテレビ受けを狙ってやってんでしょうけれども、黒い船体でスピーカーから大音量音楽垂れ流しって、このセンスはまるきり(以下略
最近では色々と動画も出回っていまして、遠い海でのこれらのテロ活動の様子がお茶の間にいながら見られるというのは時代のシンポを感じさせますが、どう見ても必至に回避している捕鯨船に無理矢理当たってきている動画を自分で流すというのはどういう神経なんでしょうね?
まあしかし一介のワーグナー好きとしてあまり言いたくはないんですけれども、やはりわざわざこういうものをチョイスしてくるあたりに、噂されている彼らのそういう思想背景が見え隠れしてきたということなんでしょうか。

【動画】2010.02.06 調査母船日新丸の船尾から異常接近する妨害船ボブ・バーカー号

【動画】2010.02.06 大型スリングスロットで第2昭南丸に酪酸瓶を投擲するBB号

【動画】Sea Shepherd Ship Bob Barker is Rammed by Illegal Whaler

【動画】速報!!2010.02.08 妨害船スティーブ・アーウィン号が日新丸に異常接近

【動画】2010.02.09 シーシェパードによる大型スピーカーを用いての妨害行為

まあこうして一般紙にも連日記事が載るくらいに日本での関心も高まってきたのはテロリストの活躍による副次的効果ということなのでしょうが、当然ながら海外からの注目も次第に高まっているわけですね。
とりわけ例によって激怒中のテキサス親父ですけれども、これがなかなかよくまとまっている動画ですから参照いただければと思います。
しかし赤松農林水産相も「過激な方式ではなく、地道ですけども、そういう報道を通じて、あるいは、あらゆる外交機関を通じて、言うべきことは言う、やるべきことはきちっとやっていく」と言っているくらいなんですから、日本の水産庁もこんな一個人の出来る程度の広報活動がなんできちんと出来ないんでしょうかね?

【動画】【テキサス親父】シーシェパードが第3勇新丸に体当たり(字幕付き)

いずれにしても彼らのテロ活動も何らの実をあげていないということはよいとして、ちょうどこのタイミングでこういう記事が出てきたということはどう解釈すべきなんでしょうか?
無論IWCが沿岸捕鯨再開を認めるとも思えませんからいずれ流れる話でしょうが、ことによりますと「日本がテロリストに膝を屈した!」などと受け取られかねない話というのはどうかと思いますね。

日本、調査捕鯨縮小を提案へ 沿岸捕鯨再開と引き換え(2010年2月6日朝日新聞)

 赤松広隆農林水産相は5日の記者会見で、6月にモロッコで開かれる国際捕鯨委員会(IWC、本部・英ケンブリッジ)総会で、日本沿岸でのミンククジラの商業捕鯨を再開させる代わりに南極海での調査捕鯨を見直すという新提案を行う意向を表明した。この方向で、捕鯨反対の立場の米国や、商業捕鯨国のノルウェーなどとの調整を進めているという。

 日本は従来、南極海での調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に基づく正当な行為とする一方で、沿岸でのミンククジラ商業捕鯨の再開を求めてきた。今回の新提案は、こうした「二兎(にと)を追う」主張を断念するもので、捕鯨政策の大きな路線転換となる。

 具体的な捕獲頭数などは不明だが、赤松農水相は1月末に行われた世界貿易機関(WTO)非公式閣僚会議で、豪州の関係閣僚に「(調査捕鯨の捕獲頭数を)減らすことも含めて考える」と説明しており、直ちに調査捕鯨を廃止する意向はないとみられる。

 調査捕鯨は1987年から始まり、現在は南極海と北西太平洋の2海域で実施。年間約1千頭の捕獲計画をIWCに届けている。捕獲頭数の多さから、反捕鯨国からは「調査の名を借りた事実上の商業捕鯨」などとする反発が根強い。今年1月6日には、南極海で米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」の小型高速船が日本の調査捕鯨船団の監視船に衝突、大破する事故も起きている。

赤松大臣と言えば捕鯨支持派と言われていて、昨年末にも記者団の質問に答える形で「妨害を防ぐための船を配置する」「カメラで撮影を行う」といったテロ対策を明言していますが、こうした対策もあってか幸いにも今のところ捕鯨活動自体には全く支障がない状態が続いているということです。
何にしろ一日本人としては遠い海で活動中の捕鯨船団に思いを馳せながら、こちら日本で声援を送るくらいしか出来ることはないわけですが、そんなわけでとりあえず今日は鯨料理でも食べに行って来ますかね(笑)。

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2010年2月10日 (水)

事故はいずれ起こってしまうものであるが故に、その対処が問題となります

制度設立が言われて久しい事故調ですが、そろそろ本格的な議論をという声が日増しに高まっているようには感じられます。
政権交代の余波もあって、先ごろは足立政務官が「厚労省案を政府は推奨しない」と過去の議論の白紙撤回とも取れるような発言をしていますけれども、それならそれで何かと混迷が予想される今国会でこういう異論数多のものがきちんと議論できるかどうかが問題ですよね。

医療事故調「今国会で議論を」(2010年2月8日CBニュース)

明大法科大学院教授の鈴木利廣弁護士は2月6日、都内で開かれた「患者の権利オンブズマン東京」の総会で記念講演し、医療事故の死因究明などを行う第三者機関について、「重要な医療施策の一つとして、是非とも今国会で議論してほしい」と訴えた。

 鈴木氏は第三者機関を、医療事故が起きた際、すべての医療機関が院内で高いレベルの再発防止策をつくるための監督機関と位置付けた。その上で、医療機関が設置する院内事故調査委員会や第三者機関の在り方を議論するに当たっては、事故対策で医療者がどのような責任を負うのかを明確にする必要があると指摘した。

 また、裁判によらずに医事紛争を解決する「医療ADR」については、紛争当事者が話し合いを繰り返して解決に至る「対話自律型」と、話し合いではなく第三者が決定する「法志向型(裁断型)」があると説明。東京弁護士会などが運営する「紛争解決センター」を活用した医療ADRでは、医療事故紛争に長けた弁護士が専門性を発揮し、対話を促進することで実績を上げていることを明らかにした。鈴木氏は一方で、「本当に問われるのは紛争解決力」だとも指摘。紛争を未然に防止するスキルを学ぶ上でも紛争解決センターの活用が必要だとの見方を示した。

 鈴木氏はまた、「患者の権利」の概念の普及が進む一方、「体系的な整理ができないまま、いろいろなところに散らばっている」と指摘。医療政策の中に患者の権利を位置付けたり、医療側への責任追及を緩和したりするために、医療基本法の制定を訴える声が上がっていると説明した。

しかし皆がそういうものがあった方がいいと総論賛成しながら一向に進まないのは、やはり「再発防止のための原因究明」などという額面通りのものにはならないだろうと本音の部分で判っているから、なんでしょうかね。
この記事にしてもそうなんですが、こうした法律畑の人間が主張するところの事故調と患者側から主張されている事故調、そして医療関係者が言っている事故調というものがそれぞれビジョンが異なっているものを、同じ事故調として一括りにして語っているから混乱もしようというものです。
個人的には異論が噴出して早晩まとまるとも思えない責任追及のシステムよりもまず先に、北欧スタイルの広範な無過失補償のシステムを立ち上げるべきだろうと思っているのですが、何しろどこもかしこもお金が無いという時代ですからなかなか難しいということなんでしょうか(苦笑)。

患者側と医療側との対立関係が固定化されてしまうシステムよりは、まず患者側と医療側が協力関係を築き上げることで機能するシステムを優先すべきだということは、まさに医療が崩壊しているというこの時期にこそ必要とされるものであると思いますね。
一応は世間においてもある程度そうした認識はあるようで、例えば近年一足先に立ち上げられた産科の無過失補償制度ですが、これもまず先に医療訴訟リスクが極めて高いという現実が産科医の疲弊と産科医療の荒廃を招き、回りまわって妊婦の側の不利益になっているという現実を社会が認識した結果ですよね。
しかしこちらも制度的にも非常に限定的なものとしてスタートしたのはやはりお金の問題もあるのでしょうが、実際の運用面で見ても更に限定的な認定が行われているのが実情のようですね。

産科補償制度、初年の補償対象者は12人―診断医に迷いも(2010年01月21日CBニュース)

 昨年1月にスタートした産科医療補償制度の初年の補償認定者は12人だったことが、1月21日までに明らかになった。事務局は当初、補償認定後に行う重度脳性まひ発症の原因分析の開始を早ければ昨年9月と想定。それ以降4半期の補償認定者数を30人と見込んでいたが、これを下回った。同制度では、診断医が制度独自の診断基準を基に「身体障害者障害程度等級一級または二級に相当する脳性まひ」か否かを診断するものの、「再認定」は行わないことから、「診断医らに迷いがあるのではないか」と事務局の担当者は指摘している。

 同制度では、昨年9月に5人の重度脳性まひ児に対して初めて補償を認定。その後、11月に3人、12月は4人に認めた。

 同制度の補償認定を請求する際には、▽「肢体不自由の認定に係る小児の診療等を専門分野とする医師」▽日本小児神経学会が認定する小児神経科専門医―のいずれかの要件を満たす医師が作成する「専用診断書」が必要となる。
 同制度が補償対象としている重度脳性まひについては、標準補償約款の中で「身体障害者福祉法施行規則に定める身体障害者障害程度等級一級または二級に相当する脳性まひ」と規定している。一方で、身体障害認定基準が「すべての障害を対象」「再認定がある」「主として18歳以上の者の診断を想定、乳幼児に係る障害認定はおおむね3歳以降に行う」としているのに対し、同制度では「対象を脳性まひに特化」「補償対象と認定した場合、再認定は行わない」「1歳(重症時6か月)から5歳になるまでの間のできるだけ早い時期に診断」とする独自の診断基準に基づいて専用診断書を作成する。

 事務局の担当者は当初予想数を下回った理由について、同制度の診断基準が再認定を行わないとしていることに触れ、「判定は生涯にわたって、障害が残ると判断したということになる。もっとリハビリをすれば歩けるようになるかもしれないという気持ちにより、それをしないうちに補償の申請に踏み込むことに迷いが生じるのではないか」と指摘。問い合わせは相当数あるものの、「思い切るのは別次元の判断」と話している。

このあたりは今後制度が普及してくると自然と落ち着いてくる可能性もありますけれども、むしろ喫緊の課題として行政側の対応が問われるところだと思いますね。
支払対象が予想よりもずいぶんと少ないことになるということであれば以前から言われているように大きな「儲け」が生じる、それは還元しませんと言ってはいますがほぼ強制的な制度における社会的感情としてやはり釈然としないものは残るわけですから、五年と言わずに早急に補償対象を拡大するなどの見直しを行っていただきたいところです。

さて、本日むしろここからが本題なのですけれども(笑)、2月7日付けの「エチカの鏡」という番組で「今なぜ妊婦殺到?江戸時代式お産に完全密着!!」という放送があったそうで、各方面でちょっとした話題になっています。
「感激出産シーンに涙&驚きセレブ医院&水中出産」なんてもうテンプレ級のキーワード満載で見るからに針太すぎなんですが、これに関連してこういう面白いブログ記事がありましたので紹介しておきましょう。

何故、マスコミは助産院や自宅出産を好むのか(2009年12月17日ブログ記事)より抜粋

先日、TV局のディレクターで報道番組制作経験ありの女性、出産後は番組作りの一線を退いているという方(以下Qさん)からご連絡を頂き、個メールでご意見を伺わせてもらいました。
私としては、TVで扱われる助産院や自宅出産は美化されるばかりだという批判の気持ちが高まるばかり(最近はどうでしょうか、あまりテレビを見られずにいるので、今現在がどうなのかは把握出来ていません)でしたので、ついつい、マスコミ批判が話の中心になってしまいました。
(Qさんのお言葉のままは緑色です)
Qさん自身、助産院や自宅出産が美化され、賞賛されることに問題を感じているということで、少し期待が持てました。
しかし、なかなかそうも簡単には変わらないというか、結局はマスコミにとって助産院や自宅出産は丁度良いネタってことなんですよね…
Qさん、有難うございます。

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活字媒体は取材した話を本人の了承さえあれば書くことができますが、TVの場合、取材対象が顔出しOKかどうかで企画の採否が
大きく左右されることが多いです。
もちろん顔を隠すなどの配慮は出来るのですが、TV局の価値観は 
顔だしOK>顔を隠す>顔も声も隠す
 
です。
重大な案件であればもちろん「顔を出さなくてもOK」ですが、取り上げるべきか意見が分かれるような案件なら顔出しなしなら通らない、ということがよくあります。
話している人の顔が見える、というのはそれだけでものすごく説得力を上げることなのです。
なので顔出しOKの人物には取材が集まります
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時に、ご遺族の方が顔を堂々と出されて、インタビューに答えられている場面があります。

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マスコミはそれをありがたがりますからご遺族を叩きにくくなる。
そして視聴者もごご遺族が顔出しで涙を流されると公の場ではご遺族を批判しづらくなる。
一方医師側は守秘義務もあって本人がTVカメラに向かって直接弁解することもできない。
こういうのが悪循環を招いていると思います。
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あぁなるほどなっておもいました。
そう、医師側には守秘義務があるから、簡単にテレビや新聞等、取材に応じてあれこれと患者さんについて話すことすら許されていないわけですよね。

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助産院がいつも好意的に放送されるのは、助産院の多くが取材に寛容だからというのも大きいです。
助産師は外来に追われている産婦人科医に比べ時間が豊富ですから、インタビューにもじっくり時間を割いてくれる。
それに開業助産師ともなれば自分なりの「思想」を強固に持っているから語りがうまい。(医師は職業柄学問的な説明になりがちです)

お産を間近で見た経験もないようなTV番組スタッフが
出産という「感動的なシーン」を目にしたらその場の感動の渦に巻き込まれてしまい、
「助産院のお産って素晴らしい!」
になってしまうのでしょう。
母子ともに無事であればどんなお産も感動的なのですけれど。
そんな感動の渦の中では助産院でも不幸な転帰を辿る母子がいるかもしれない、という発想にはなかなか辿りつけません

Y医院がTV局に人気なのも同じ理由ですね。
あそこも院長の個性が強くて語りがうまい。
そして妊婦の薪割りとかスクワットとか「絵になる映像」が撮れる。
そしてお産のシーンを一部始終撮らせてくれる。
大学病院の産科ではこうはいきません。
そもそもトラブルが発生して手術になったら雑菌の塊であるカメラをすぐに手術室に持ち込むことすら許されません。
(予定手術であれば滅菌処理したカメラを手術スタッフに持たせて
撮影してもらうということも可能でしょうがただでさえ医療スタッフ不足の昨今、それを頼むべきかどうかという問題があります)

現在のTV局のシステムの中で助産院や自宅出産等の抱える問題をより公正に取り上げるには適切な医療を受けられなかったという被害者が続出して一般の方の持つ危機感が強まるか、あるいは現状をさらけ出して取材させてくれる(患者側も協力的で守秘義務の問題も全部解決して)大きな病院があれば可能かもしれません。
でもこの医療資源不足の時にマスコミの取材が入ることになればそれが原因で誰かの命を奪いかねない
(撮影には一定の手間がかかりますから)
だからやっぱり厳しいでしょうね。
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被害者が続出…本当、そこまでならないとマスコミがこちら側を向いてくれないんだろうなぁって想像できちゃうのです。
エコだなんだと言いながら、12月になると民間の家が電飾で飾られることを面白がるマスコミ…期待が出来ないんです。
※そもそも、マスコミが騒ぐエコの在り方にも疑問はありますが…

助産院や自宅出産を取り扱った番組を過去、このブログでも何度か話題にしたことがあると記憶していますが、臍の緒を家族(主に夫)に切らせるのを堂々と流していたり(それも、好意的に)しています。
臍の緒を切るという行為はイベント化されていて、助産院や自宅出産で家族に切らせている数は結構多いのではないでしょうか。
それは違法行為なのに。

マスコミの方の中には問題におもっている方もいるけど、組織として違う考え方が支持されていれば、異論を唱えようにも唱えられないこともあるということでした。
想像や理解は出来なくもないのですが、残念としか言えません。
(略)

マスコミの中にもちゃんと問題意識を持っている人間がいるんだなということには救われますが、結局それが組織としてどういう形で表に出てきたかということが問われるんだと思いますね。
まあしかし、件の番組でも激賞されていたというY医院の実態をこうして見聞してみますと、何しろお産というものがとにかくトラブルになりやすい今の時代、結局は本人たちが幸せであるならそれでいいんじゃないかという考え方もありだという気にはなってくるところです。
産科医に限らず医療トラブルに悩む全国の医療従事者に向けて、こういう独自のインフォームドコンセントを行い高い顧客満足度を得ている施設の接遇スキルというものも、活用していくべきなのかも知れませんが…

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2010年2月 9日 (火)

「品物には自信があります!」と言っても、騙して売ってはいけませんでしょJK

診療報酬改訂の件でも薬価切り下げは更に一層促進されるとか、後発品使用を大々的に推進すれば医療費はもっと安くなるとか公然と語られている関係なのか、最近後発医薬品(ジェネリック)関連の話題が幾つか続いていますが、中にはちょっとよく判りにくい話もあるようですよね。
こちらのニュースなどは「ジェネリックって安いんじゃなかったの?」と思わず疑問に感じてしまう人も多いかと思いますが、後発品推進のための制度が思わぬ落とし穴という「人災」的側面も大きいようです。

【中医協】先発品より高い後発品は16品目―厚労省が公表(2010年2月5日CBニュース)

 厚生労働省は2月5日、来年度の薬価改定で先発医薬品より薬価が高くなる見込みの後発品のリストを公表した。同日の中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会で示した。それによると、現段階で同省が把握しているのは16品目(8成分9銘柄)で、武田薬品工業やエーザイなど製造は新薬メーカーが多かった。これらの後発品について、同省は来年度以降の診療報酬上の評価の対象外とする方針を示しているが、この日の総会では、薬局の在庫や長期処方の問題などから診療側と支払側で意見が分かれ、前回に引き続き継続審議となった。

 厚労省は3日の総会で、次の薬価改定の結果、一部の後発品の薬価が先発品より高くなる見込みであることを明らかにし、最終的に高くなった品目については、来年度以降の診療報酬上の評価のリストから除外するとの改定案を示した。しかし、後発品の在り方などをめぐって議論は平行線をたどり、最終的に継続審議となっていた。

 5日の総会では、来年度の報酬改定で改定する「後発医薬品調剤体制加算」について、1-3月の実績で要件を満たす薬局に対し、要件の1割以内の変動ならば9月末までの算定を認めるとの経過措置の案が示された。
 しかし、診療側の三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)は、検討する時間が不足しているなどとして、リストから除外することに反対の考えを強調。他の診療側の委員もこれに同調したものの、支払側が難色を示したため、結論は次回の総会に持ち越された。
(略)

【中医協】「後発医薬品調剤体制加算」めぐる議論が決着(2010年2月8日CBニュース)

 中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は2月8日の総会で、前回の総会から積み残しになっていた「後発医薬品調剤体制加算」の経過措置について、薬局が1-3月の実績分で後発医薬品の調剤数量の要件を満たせば、要件の1割以内の変動の範囲で、7-9月の実績分まで算定を認めることで合意した。来年度の薬価改定をめぐっては、先発品より薬価が高い後発品が出るという「逆転現象」が起こる見込みで、これについては今後の薬価専門部会でルールの見直しを検討する。

 後発医薬品調剤体制加算は、後発品の調剤数量が直近3か月の平均で一定の割合を超えた場合、処方せんの受け付け1回につき加算(現行は4点)を算定できる。来年度の薬価改定で薬価の「逆転現象」が起こることが明らかになったため、厚生労働省はこれまでの総会で、こうした後発品を来年度から診療報酬上の評価の対象外とし、同加算に経過措置を設ける方針を示していたが、診療側と支払側で意見が折り合わず、継続審議となっていた。

 診療側の三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)は前回の総会で、薬局が抱える在庫や長期処方の問題などから、先発品より薬価が高い後発品を診療報酬上の評価から除外することに反対の立場を取っていたが、この日の総会では、薬価改定のルールの見直しを検討することを条件に厚労省案を受け入れた。
 同省によると、8-10月の実績分については経過措置の対象外とするが、届け出事務の手続き上、実際に加算が適用されなくなるのは12月調剤分からになる。

しかしまあ、昨今では国も自治体もまさに血眼になって後発品使用促進という感じですけれども、こうまで拙速である必要があるのかという素朴な疑問も感じるのは自分だけでしょうか?
ここでキーワードになってくるのが「後発医薬品調剤体制加算」というものですが、この度新しく設けられるこの制度ではこういうことになっているわけですね。

後発医薬品調剤体制加算 4点

    直近3か月間の当該保険薬局における処方せんの受付回数のうち、後発医薬品を調剤した処方せんの受付回数の割合が30%以上であること
    後発医薬品調剤に積極的に対応している薬局である旨を、分かりやすい場所に掲示していること

これに合わせてこれまで42点だった調剤基本料が40点に引き下げられているのですが、しかし基準を満たしていれば後発医薬品調剤体制加算で計44点取れるわけですから差し引き2点のプラス、だから薬局の皆さん頑張って後発品を使いましょうねという話であるわけです。
こうまで後発品を優遇した結果後発品を使うほどむしろ高くつくという逆転現象が発生してきたわけですが、しかしこんな制度の欠陥で勝手に報酬を加算されたり切られたりしていたのでは、薬局にしろ製剤メーカーにしろやっていられるものではないだろうとは想像できるのですがね。

後発品については巷間色々と言われていますけれども、とりあえず先ごろの神奈川県の調査ではまだまだ先発品主体の処方がなされているという現実があるようで、このあたり大々的な後発品の使用によって医療費削減を見込んでいる国としても歯がゆいところなのではないかと思います。

後発品の説明「受けたことがない」が6割(2010年2月5日CBニュース)

神奈川県はこのほど、「ジェネリック医薬品(後発医薬品)に係るアンケート」の結果を公表した。後発品については、保険医が投薬時に使用を考慮する努力義務や、先発品から変更可能な処方せんを持参した患者に対する保険薬剤師の説明義務などがあり、使用促進が図られているが、調査結果によると、医療機関や薬局で後発品の説明を受けた経験がない人が61%に上っている。

調査は昨年12月24日から今年2月1日にかけてインターネット上で実施。神奈川県の「e-かなフレンズ」に登録した一般市民502人から回答を得た。

2008 年度の診療報酬改定では、▽保険医には、投薬等を行うに当たって後発品の使用を考慮する努力義務▽保険薬局には、後発品の備蓄に関する体制その他の後発品の調剤に必要な体制の確保の努力義務▽保険薬剤師には、後発品への変更可能な処方せんを持参した患者に対する後発品に関する説明義務及び調剤の努力義務― があることが、厚生労働省の療養担当規則などに規定された。
また、処方医が後発品に変更することに差し支えがあると判断した場合、「後発医薬品への変更不可」欄に署名などをするよう処方せん様式を変更し、署名がない処方せんを受け付けた薬局の薬剤師は、処方医に確認することなく、患者の選択に基づいて後発品に変更し、調剤できることとされた。

調査結果によると、これまで後発品の説明を受けたことがあるかを複数回答で聞いたところ、「説明を受けたことがない」が61%と半数を超えた。以下は、「調剤を受けた薬局の薬剤師から説明を受けたことがある」(25%)、「医療機関の医師から説明を受けたことがある」(13%)、「医療機関の薬剤師から説明を受けたことがある」(9%)と続いた。

先発品と後発品のどちらを希望するかについては、「医師や薬剤師の判断に従う」が50%で最も多かった。ただ、後発品とした人が34%で、先発品(7%)の5倍近くに上った。
さらに、後発品を選んだ理由を複数回答で聞いたところ、「経済性(支払いが安価)を考えたため」が94%で最も多く、「先発医薬品と効果等が変わらないため」(59%)がこれに次いだ。一方、先発品を選んだ理由については、「先発医薬品を使い慣れているため(安心感がある)」が63%で最多で、「ジェネリック医薬品(後発医薬品)でも期待するほど安価にならないため」(27%)がこれに次いだ。

また、後発品を希望する人に、医師や薬剤師に希望を積極的に伝えているかを聞いた質問では、「伝えていない」(66%)が「伝えている」(33%)を大きく上回った。さらに、「伝えている」とした人に、実際に先発品から変更されたかを聞いたところ、「変更になった」が50%で、「変更にならなかった」は17%だった。

国のいうように安くて効果が同じならなぜ後発品を推進しないのかという疑問は実のところ多くの人が抱くようで、近頃では何やら医療業界にはびこる無駄な悪癖の象徴のようにも捉えられているのか(苦笑)、あちこちで「こうすれば後発品使用が増える!」という提言がなされているようです。
医療現場から言えば、例えば後発品変更可の処方箋が出てくると調剤薬局では同効薬にはこんなものがありますと、各社製品一覧を示した上で患者に選ばせなければならない、当然ながらその手間も在庫増のリスクも増えるわけですから、小さな門前薬局などではあまり後発品可にしてくれるなと病院側に申し入れをするという場合も見受けられます。
一方で処方箋を出す医師側にすれば色々と言いたいこともあるのでしょうが、取り敢えず「医師にとっては何ら後発品を出すことのメリットがない」ということにはようやく世間も気づき始めた気配ではありますよね。

ジェネリック医薬品、医師の技術料を上げれば普及するかも!(2010年01月13日PJ NEWS)

【PJニュース 2010年1月13日】ジェネリック医薬品の普及が遅々として進まない。厚労省は診療報酬改定で先発薬の薬価引き下げで対抗しようと考えているらしい。

現在検討している案では、ジェネリックで保険適用が認められた薬は4〜6%、ジェネリックのある先発薬は一律2%引き下げようとするものだ。果たしてこれでジェネリックは普及するのだろうか。政府は今後もジェネリックの普及が進まない場合、平成24年度以降更に下げ幅を強化する方針であるという。

ジェネリックの普及目標を平成24年度は30%以上にするとしている。これは平成16年度の実績16%のわずか2倍である。ちょろちょろと小出ししてお茶を濁すような施策では到底目標達成は図れまい。先進諸外国と同じようにいっそのこと目標を50%以上にしてはどうだろうか。

どうやって普及率を上げるか。逆説的な発想だが医師の技術料を思い切って上げればジェネリックは普及すると思われる。薬を処方できるのは薬剤師でも看護師でもない、医師の専権事項なのだ。

異論があるのを承知で医師がなぜジェネリックを使おうとしないのかを考えてみたい。

■医師がジェネリックを毛嫌いする理由
各種のアンケートで医師の多くがジェネリック医薬品に対してどのように感じているのかといえば、極めて程度の低い意見が多い。新薬と同じ医薬品承認が下りている薬に対して答える内容と思えない。ジェネリックを排除するためのこじつけと思われても仕方がない

1)品質が一定していない、2)効果に不安、3)副作用が心配、4)安定供給できない、5)情報提供が少ない

1)、2)、3)については、新薬でも同じこと。では薬価収載されたジェネリックはまがいものとでも言うのだろうか。国が認めた医療用医薬品ではないか。ジェネリック医薬品といえども生物学的同等試験、溶出試験、安全性試験など先発医薬品と安全性・有効性・品質が同等であることを証明し厳しい審査に合格したものである。もしこれらの要因が事実とするなら医師や医師会は承認取り消し運動を展開すべきである。

ボイコット運動など聞いたこともない。もちろん、安定供給に関してはメーカーの更なる努力が必要だろう。だがジェネリックが多量に使われ始めればこの問題は解決する。医薬情報に限っては長年使用されてきた薬のどんな情報が欲しいというのか。また特許に関して成分特許(ジェネリックの意味)以外の製法特許がどうのとかこじつけに近い意見もあるが、忖度に値しない。総合的に検討され承認がおりた薬ではないか。

■医師がジェネリックを使わない本当の理由
知り合いの開業医に聞いてみた。現にその医師もジェネリックはあまり使っていない。患者に「新薬は薬の切れがよく良く効く」とか、「持続時間が長く、一日1回の服用でよい」などもっともらしいメリットを話せばなにも言われないらしい。

1)薬価が低い
儲からないの一言。薬によってはさほど薬価差のないものもあるが、薬価が低いのでグロスで考えれば薬価の高い先発薬を使った方が収入を得やすい。新薬に比べ1/3、1/2にもなる。

2)めんどくさい
どんな薬があるか知らない。大学や臨床現場で習いおぼえた薬に執着する医師が多い。また薬も製品名(=メーカー)でおぼえている。さらに「ジェネリック代替可」としないのは面倒くさいのなにものでもない。

3)薬剤の新鮮味がない
臨床的興味がわかない。多くは既に使い古された薬であり、安心して投与できるが臨床的なおもしろみがなく、あえて使ってみようと思わない。例えば糖尿病や高血圧などの薬は日進月歩新薬が目白押しである。開業医といえど臨床的興味をそそられる。

4)ジェネリックに対する偏見
ジェネリックは品質・効果が劣る。頭から否定している医師が多い。インターネット上でジェネリック医薬品の問題点といった記事を見かける。改善提案ならまだしも「ここが問題だ!だから使えない!」と指摘する記事が多い。

5)有形無形の援助が頼みづらい
業界にいた人間でないと分からないことであると思うが、PJの経験からすれば新薬開発における臨床研究や治験などで世話になることが多い分、合法的な援助は避けて通れず、それを期待する医師は新薬メーカーを大事にする。ゾロでもなくはないが、規模は桁外れだ。

6)医師のプライドが許さない
一昔前までジェネリックはゾロ品と呼ばれていた。模倣品というイメージが強く、医師のプライドが許さないという医師も多い。頭から粗悪品という概念が植え付けられているから始末に悪い。日本の医療制度を支えているという自負心が足りない。

7)回りまわって自分たちの収入減になる
薬も技術料も引き下げられる一方の現状に危機感を抱いている。八方塞がりの中、ジェネリック普及に加担する気はさらさらない。ましてや引き下げの片棒を担ぐ気には到底なれない。回りまわって自分たちの収入減につながるからだ。

■医師の技術料を思い切って引き上げる
みてきたように医師は既に薬価差益では儲からないことを知っている。国は診療報酬を包括的に下げようと考えており、その第一標的として薬に絞りその上技術料も押さえ込もうとしている節がある。医師にとって将来的に収入が先細りすることを感じとっているのだ。厚労省は技術料の上乗せを図り、特に勤務医を厚遇するとしていたが、蓋をあけてみれば2010年度の診療報酬は1.19%の引き上げで決着した。

薬価を1.36%引き下げ、技術料などの本体を1.55%上げるというものだ。10年ぶりの診療報酬引き上げで医師は満足かと言えば、日歯はほくほく、日医は憤慨という構図となった。歯科は2.09%の大幅増に対し、開業医が外来診療で受け取る報酬の引き上げ幅はわずか0.31%とされたからだ。

医師たちのいら立ちは頂点に達している。ジェネリックを使っても自分たちにとって何の足しにならない上に収入の伸びも期待できないとなれば、国がどんなに騒ごうが締め付けようが、わざわざジェネリックを使うことはない。このままなら新薬メーカーの信奉者は減ることはない。先進諸国に比べて医師の技術料が低いことも遠因にある。

医師は常々、技術料の低さに憤慨し抵抗しているのであり、薬価がどうなろうとあまり大きな問題と思っていない。ジェネリックの普及率が50%になった場合の薬剤費の占める割合と技術料を数%引き上げた場合との収支バランスを計算して、この際技術料を思い切って引き上げてはどうだろうか。もちろん総額として医療費の低減につながる範囲内におさめなければならないことは言うまでもない。ちなみに数量シェアで30%になれば、年間1兆円以上の薬剤費の抑制が図れると試算されている。仮に今回技術料を引き上げたとしても、未来永劫その状態が続けられるとは限らない。その時々によって見直しが必要であることは言を待たない。

これくらい思い切った改革を行わない限り、ジェネリックの普及率向上にはつながらないと思われる。政治もチェンジした今、大胆な発想転換が必要だ。【了】

まあしかし、安ければ何でもいいのかという反論もまた当然に成り立つわけですが、むしろここは医療に関してはコスト度外視で質だけを追求していればよかったという時代は終わったのだと、前向きに?捉えておくべきなんでしょうかね。

一応素人さんが勘違いしやすい基本的なことだけ突っ込んでおきますと、後発品というのは決して新薬と同じ手続きの承認でもなければ、新薬と同じ効果が保証されているわけでもなく、単に有効成分が同じということのみが保証されているに過ぎないわけです。
スーパーの3玉100円の特売うどんでも名店の絶品うどんでも小麦粉と塩と水を使って作られているという点では全く同じもののはずですが、出来上がってきたうどんも同じものだと言う人がいたら味覚か正気のどちらかを疑われても仕方がないのと同じことで、実際経験上効果が明らかに違う後発品が存在することは医療関係者の間では公然と語られています。
それでも単に効果が異なってくるだけなら投与量を調節するなどで加減出来る場合がありますけれども、後発品に限っての副作用が出るということになればこれは問題ですし、特に安全性に関する検証が後発品では全く免除されているということを疑問視している人間も多いわけですね。

思えば海原雄山氏は「私は鯉の洗いも信頼する店でしか食べない」と、同じ名前の魚でも個体によって寄生虫などのリスクは異なることを看破しましたけれども、今の時代ですと同じ冷凍餃子でも国産品と中○産ならどちらを選びますかという話の方が判りやすいのでしょうか(苦笑)。
冷凍餃子にしても国産メーカーと中○産の成分表示を見れば書いてある内容にほとんど違いはない以上、国の視線から見れば両者は全く同じものになるですが、しかし中○産には何故か国産品には含まれていない成分が混入していてこれが問題を引き起こしているという意味では、消費者にとっては歴然と違うものであったわけです。
同様に薬というものは有効成分というのはごくわずかに含まれているだけで、大部分は吸収を一定に保ったり安定性を維持するための配合成分というもので出来ていますけれども、この成分も先発品と後発品とでは全く違いますから、例えば後発品特有の成分によってアレルギーが起こるといった話は普通にあり得るわけですね。

貧血注射に副作用、大洋薬品が18万本回収(2010年2月4日読売新聞)

 大洋薬品工業(名古屋市中村区)は4日、製造・販売した貧血症患者向けの注射液「テチプリン静注液40mg」を投与された患者15人に、血圧低下などの急性アレルギー反応を起こす副作用があったと発表した。

 15人のうち4人は、一時的に重篤だったが、翌日までに回復したという。

 同社は、2008年9月4日と9日に製造、09年1~7月に販売された同注射液のアンプル計17万8650本の自主回収を始めた。

個人的には後発品推進派に近い立場を自認していますけれども、少なくとも現状のように「同じ成分、同じ効果」という謳い文句で全く同じ薬がただ安く使えますと誤解を与えるような宣伝方法は国の主導による詐欺に近いものがあると思いますし、まず「決して同じものではないが、医療費が安く済みます」ということからきちんと国民に説明しなければならないと思います。
後発品メーカーももちろん売りっぱなしで儲けるだけ儲ければ後はさっさと撤退しますなんて態度は論外としても、きちんと自主的に製品の安全性を検証する努力を続けることが医療従事者の信用を得て、患者の利益にも適う道なんだと思いますね。
本来はそういうところの地道な努力を薬価などの評価に反映出来るシステムにしなければならないのでしょうが、国にすれば余計な手間とコストをかけないで済む分薬価を低く設定出来る現状の方が色々と美味しいということになるのでしょうか…

何にしろ、ここでも結局損をするのは薬を使う患者すなわち国民といういつもの結論になりそうな勢いなんですが、まあそれもインターネット上にありふれた程度の低い意見の一つということで(苦笑)。

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2010年2月 8日 (月)

「汚物は消毒だ~っ!!」(AA略)って、昔の漫画にありましたね確か(遠い目)

医療の現場における情報開示の重要性というものが言われてすでに久しいですが、少しずつこうした話も進んでいるとは実感しますね。
先日の新聞にもこういう記事が載っていまして、少し長いですが引用させていただきます。

医療の質…診療実績、数値化広がる(2010年2月2日読売新聞)

他の病院や医師と比較…意識向上

 合併症の発生率や、治療に入るまでの待ち時間など、病院内の診療実績を分析し、医療の質の向上に役立てようという動きが広がっている。

 様々な指標を用いて達成度を公表することで、医師や看護師らの意識を高め、より良い医療につなげる取り組みを追った。

QI委員会

 東京・築地にある聖路加国際病院では月1回、コーヒーやサンドイッチを手にした医師や看護師ら30人ほどが早朝に集まる。

 「それでは『QI委員会』を始めます。各項目の達成状況を報告してください」。福井次矢院長が切り出すと、担当者が「救急受診から入院まで4時間以内の割合」や「糖尿病患者の血糖が基準値内にコントロールされている割合」などについて、前月までのデータや目標を達成できなかった原因の説明を始めた。

 こうした診療の過程や結果を測定した数値は、「QI(Quality Indicator)=質指標」と呼ばれ、1990年代ごろから医療の質を評価するため欧米で用いられるようになった。

 同病院がQIの測定に取り組み始めたのは、福井院長が就任した2005年。まずワーキングチームを設置、海外の先行例を参考に約60指標を設定し、診療実績の分析を始めた。翌年からQI委員会に改編し、現在では約110項目に増えた指標の中から重点的に取り組むものを毎年選んで目標値を決め、会議で達成状況や対策を議論、成果を冊子で公表している。

ばらつき減少

 QIを測り公表するのは、医療の質の向上が狙いだ。福井院長は、標準的医療を意識しつつ、他の医師や医療機関と診療実態の比較が可能になるため、より良い診療をしようという動機付けになり、診療のばらつきを減らすことができると説明する。実際、同病院では糖尿病治療で大きな改善効果が見られた。

 糖尿病患者の場合、血糖値を示す「Hb(ヘモグロビン)A1c」が6・5%未満で「良好」、7%未満で「可」とされる。06年の診療実績では「7%未満にコントロールできている患者の割合」は51%で、医師別では82%から39%と大きくばらついていた。要因を分析すると、糖尿病を専門としない医師の数値が悪く、処方する薬が専門医と違うことが分かった。

 そこで、医師別の数値を匿名で公表し、専門医による院内勉強会を何度も開催したところ、07年には62・5%に向上。医師別でも、数値の改善に加え、専門医が紹介した最新の診療指針に沿って薬の処方内容が変更されていた。林田憲明副院長(循環器内科)の場合、勉強会前後で59・2%から90・5%に著しく向上した。「匿名でも他の医師と比べた自分の位置が分かり、どうしたら良くなるかなと診療を見直す機会になった」と振り返る。院内には、「重症者を多く診ている医師もおり、数値を示すのは不適切」などの反発もあるが、林田副院長は「“密室的な診療”を漫然と続けるのでなく、糖尿病を診る医師全体の診療レベルを底上げすることが患者さんの利益につながる」と話す。

課題

 こうした取り組みは、他の病院でも始まっている。国内では聖隷浜松病院(浜松市)が1999年から検討を始め、2003年にデータ分析を実施、05年からは結果をホームページで公開している。国立病院機構でも、全国145病院で07年度から独自に設定した26項目の指標でデータ収集を行っている。

 しかし、「全国の病院に広げていくには課題も多い」と、日本病院会副会長を務める堺常雄・聖隷浜松病院院長は指摘する。

 そもそも、医療の質を客観的に評価する指標の設定が難しい。また、多忙な医師の仕事を増やすことなくデータ収集・分析ができる体制整備も必要だ。聖路加国際病院では、診療情報管理士ら6人を配置しているが、専従スタッフを雇用する余裕が、すべての病院にあるわけではない。堺院長は「データ収集に適した電子カルテの開発にも費用がかかる。医療の質を担保するには、こうした費用をかける必要があることを国民に理解してもらうことも大切だ」と話している。(内田健司、本田麻由美)

 QI 医療の質は、スタッフ数や医療機器の整備状況などで決まる「構造」、診療や看護の実態を反映した「過程」、生存率に代表される治療成績などの「結果」――という三つの基準で評価される。同じ治療でも人によって効果が違うため、結果だけでは質を評価するのは難しい。このため、標準治療が実践されているのかなど、過程の評価が重要とされている。

米英、診療報酬に反映

 海外では、医療の質を測り、結果を現場で活用する動きが一層進んでいる。

 院内死亡率などの診療成績を病院ごとに明らかにしようという動きが1980年代に始まった米国。2001年には、米医学研究所が医療の質のばらつきを指摘した上で「医療機関や保険者が質の向上を目指すべきだ」と提言、社会的な関心を集めた。また、米国臨床腫瘍(しゅよう)学会が、がん診療の質を測る指標の開発に取り組むなど、学会単位で他施設と成績を比較する事業が進んだ。このほか、高齢者向け公的保険では03年以降、指標の達成度に応じて、病院の診療報酬を変える仕組みが導入され、質の改善が進んだとの報告もある。英国でも04年から、開業医を対象に、質を反映した支払い制度を始めている。

 医療の質指標の研究を進める東尚弘・東大准教授(公衆衛生)は、「こうした取り組みが実際に患者の健康増進に結びついているかどうか、今後の検証が必要だ。評価の基準や体制の整備が十分でない日本では、報酬と関係づけるのは時期尚早だが、まずは指標を設定して測ることが重要だ」と話している。

◇ ◇ ◇ ◇
[プラスα]病院選びに役立ちます

 患者にとって、医療の質指標はどんな意味があるのだろうか。

 医療の質に詳しい埴岡健一・日本医療政策機構理事は「指標は万能ではないが、患者が医療機関を選択する場合に有効なものもあり、積極的に関心を持ってほしい」と話す。ただ、数値の意味をどう判断するかは簡単ではない。患者の病態や重症度には、ばらつきがある。見かけの成績をよくするため、医療機関が患者を選別する可能性もありうるからだ。

 厚生労働省の研究班は昨年、5臓器(乳、肝、大腸、胃、肺)のがんと緩和ケアについて、206の指標(http://qi.ncc.go.jp/)を作成した。取り組みが進めば、治療経過を病院ごとに評価することも可能になる。埴岡理事は、「数値の意味や読み方、有効性について、患者が理解できるような情報を提供する取り組みも必要になる」と話している。

卒後一定年数を過ごすと基本的に自立してしまう医師相互の診療の質改善という面でこうした試みはそれなりに意味がありそうですが、しかし今の時代ですと、とりわけ公立病院などでは、うちはこんなに実績悪いんだから来るなよ!お前ら来るなよ!って先生も結構いそうな気もするんですが(苦笑)。
それはともかく、ここで注目していただきたいのが末尾にある「医療の質評価が患者の病院選びに役立つ」というテーマなんですが、これに関連する興味深いデータとして厚労省が患者はどうやって病院を選ぶのかという調査をしていまして、その結果こういうことがわかってきています。

病院を選択する際の情報について、情報が「必要であった」と回答した外来患者を項目別にみると「医師などの専門性や経歴」が48.5%と最も多く、「受けることができる検査や治療方法の詳細」47.7%、「安全のための取り組み」34.7%となっている。
(略)
病院を選択する際の情報について、情報が「必要であった」と回答した入院患者を項目別にみると「受けることができる検査や治療方法の詳細」が50.8%と最も多く、「医師などの専門性や経歴」49.6%、「治療に要する平均的な入院期間」43.7%となっている。

要するに患者の側として最も求めている情報というのは自分が求める医療が専門の医者がいるかどうか、その施設で受けられるかどうかといった情報で、昨今あちこちで診療科閉鎖が続いていることを考えるとこういう情報が患者としては切実なのかなとも感じられるところです。
一方でこれら患者が求める情報のうちで「生存率、合併症発生率などの治療結果」といった医療の質評価がどれくらい求められているのかと言えば、外来患者の24.0%、入院患者の30.3%に過ぎず、いずれも「実施している治験の治験薬」についで低い方から二番目という、考えように依ってはずいぶんと意外な結果となっているのですね。
例えばこれを一般の客商売に置き換えて考えてみますと、店がうどん屋なのか蕎麦屋なのか、料理人の専門がフレンチかイタリアンかといったことに注目が集まる一方、味がうまいかまずいかはあまり興味がないというのは、なかなか奇妙な話にも感じられるところです。
「そんな当たり前の情報も看板に掲げていないからいけないんだ!」と一部の方々からはまたお叱りを受ける可能性もありますが、逆に「基本的にどこもそうまずいということもないんだろう」と顧客の皆さんが考えているのだとすれば、これはこれで医療に対する信用もまだ捨てたものではないとも受け取れる話ではないでしょうか。

さて、先日は患者に無料で明細つき領収書交付を義務付けるという話が出てきましたけれども、少なくとも導入推進派の側からはこうした「もっと医療の情報を」という流れの延長線上で語られているのがこちらの件なのですね。

レセプト電子請求の医療費明細書、無料発行を義務づけへ(2010年2月3日朝日新聞)

 厚生労働省は3日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、原則すべての患者に医療費の明細書を無料で交付するよう医療機関に義務づける案を提示した。大筋で一致し、導入に向けて調整に入った。

 明細書の無料交付は、患者への情報提供の必要性から肝炎などの薬害被害者らが強く要望している。現在は、レセプト(診療報酬明細書)を電子請求している医療機関に限り、患者から求められた場合に発行を義務化。費用も実費徴収が認められている。

 厚労省案は、レセプトを電子請求している医療機関には無料発行を義務化する。コンピューターに明細書発行の機能がない場合は、現行通り患者の請求を条件とし、実費徴収も認める方針だ。電子請求をしていない医療機関には無料発行を義務づけないが、明細書発行の有無について患者への周知を求める。

 レセプトを電子請求している病院は9割超に上るが、診療所では半数程度。

 この日の中医協では、患者ら支払い側の委員が改めて明細書交付の重要性を強調。診療側の委員らも「交付には賛成」と応じた。ただ、交付が義務化されることで医療機関の負担が増えることや、薬などがすべて明記されることで告知前の患者にまで病名が分かってしまうことなどの懸念も示された。
(略)

記事中にもすでに幾つかの懸念というものが表明されていることが見て取れますけれども、このあたりは患者側代表として参加しているあのお方の長年の悲願であった話ですから、結果はどうあれ意外にすんなりと導入が決まってさぞやお喜びのことであろうと思えるところですよね。
そもそもこの前段階ともいうべきレセプト電子化の議論のところで「電子化すれば医療の不正が簡単に判るようになる!だから医師会が導入に反対している!」という人たちが一方にあって、ところが現場の状況を知っている人間ほど「いやそれはちょっとズレた議論なんじゃないか?」と感じていたところではなかったかと思います。
このあたりは例えば料理屋の領収書に「今日のお料理は群馬産の人参1/3本、長野産の玉ねぎ1個…」などと書かれていた場合を想像してみれば、一般人にその日の料理が真っ当であったかどうかおいそれと判るものではないという極めて常識的な類推をしてみればよいかと思うのですが、何にしろすでに一部方面では信仰の域にまで達している気配がありますから基本的には時代の要請だとは思いますね。

しかし一方で、こうした情報開示というものが単に無意味であるだけならまだしも、これが時として有害ですらあるのではないかという議論が以前からあることは留意すべきところで、このあたりのメリット、デメリットや実効性というものに関しては、かねて導入を推進してきた方々を中心に今後の検証が待たれるところではないかと思います。
中でも有害論の代表的なところではいわゆる病名告知問題などと絡めて「知りたくもない情報を知らされない権利が侵害される」という話ですけれども、当の本人に病名を告げないという他人任せな医療習慣はすでに時代にそぐわないところが多々ありますから、これを契機にそうした古い伝統が改められ、医療側、患者側ともに意識改革が進むとなればそう悪い話ではないのかも知れません。
今回も導入(ほぼ)決定に至る実際の議論の経過を見てみますと、やはりここでもそうすんなりと決まったというわけではないようですが、そんな中でも例によって例のごとくな厚労省の詐術まがいのテクニック(苦笑)が炸裂していることには注目しておかなければならないのですが、まずは2月3日の議論から見ていきましょう。

患者の「知る権利」と「知りたくない権利」 ─ 明細書で激論(2010年2月4日ロハス・メディカル)
より抜粋

 薬の種類や検査の内容など診療内容を詳しく知るのは「患者の当然の権利だ」という考えがある。これに対し、自分の病名を知りたくない患者もいるため、「希望者にだけ知らせればいい」という考えもある。(新井裕充)

 4月の診療報酬改定に向けて2月3日に開かれた厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)で、レセプト並みに詳しい医療費の明細書が議論になった。
 ※ 明細書について、前回改定での議論など詳しくはこちらを参照。

 レセプトは、医療機関が保険者に診療報酬を請求するために提出する診療報酬明細書で、投薬の内容などが詳細に記載されている。このレセプトと全く同じではないが、診療内容が詳しく記載されている明細書の発行は既に進んでいる。現在、レセプト(診療報酬明細書)をオンライン請求している医療機関には、希望があった患者に明細書を発行することが義務付けられている。 こうした中、明細書の発行を義務付ける医療機関をさらに増やすことを求める患者団体もある。その背景にあるのは、医療事故や薬害などの訴訟。いざという時のために、患者が受診した際の情報をあらかじめ保管しておく必要があると考えるのだろう。

 現在、「求めがあった場合のみ」「有料または無料」で明細書が発行されているが、これでは不十分であると考え、「全患者に」「無料で」─という2点を強調している。

 中医協でも、患者を代表する立場として参加している委員が、「全患者に」「無料で」という2つの条件で明細書を発行することを求めている。これを受け、厚労省は2月3日の中医協で「レセプトの電子請求を行っている保険医療機関等については、以下に掲げる正当な理由のない限り、すべての患者に対して明細書を無料で発行する」という案を示した。

 これに支払側の委員は賛成したが、診療側委員は反対した。同日の議論で診療側は、「患者への情報提供が必要」との考えにはこれまでと同様に賛同しており、「明細書の発行」それ自体には反対しなかった。
 しかし、希望しない患者に対しても発行すること、つまり「すべての患者」に発行することに対しては反対意見が相次いだ。自分の病名を知りたくない患者もいるし、プライバシーの保護という観点からも「欲しい人にだけ発行すればいいのではないか」などと主張した。
 また、「無料」という点についても診療側から意見や質問が相次いだ。明細書を発行するコンピューターシステムの改修やソフトウェアなどの費用、患者の質問やクレームに対応する職員の配置など、コスト面での支援を求める声があった。1時間を超える議論の末、最終的に合意に達することはできず、継続審議となった

 ただ、明細書の発行などに必要なコストについては、支払側の委員から前向きな検討を求める意見もあった。このため、今後は「すべての患者に発行する必要があるか」という点が大きな焦点になるとみられる。
 なお、患者を代表する立場の委員はこれまで、「すべての患者」への無料発行を求める主張を繰り返してきたが、この日は「トヨタ記念病院」を例に挙げて説明した。このため、診療側の委員から「トヨタ記念病院は発行ボタンを押さない患者には発行していない」との声も出ている。
(略)

2月3日の段階ではこの後議論が非常に錯綜していて、診療側では情報開示という総論では基本的に反対論は出ていない一方で、各論として実際に導入されるとこんなことになるが対応をどうするのかといった意見が列挙されていました。
総合してまとめると、診療側委員からの意見は「希望者に出すことは全く問題ないが、全員に強制的に発行する点には反対」「発行に要するコスト負担に関しての配慮が必要」という二点に集約されるのではないかと思います。

・領収書発行に対応するようにソフトを変えるコストはどうするのか?[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]

・毎回レセプト並の情報を出すとなった場合個人情報流出が懸念されるが、記載内容はどうするのか?[渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事)]

・治療内容から原疾患が判明する懸念や、本人が意識がない場合に他人に情報が流出する懸念があるがどうするのか?[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]

・患者との間に新たなトラブル発生が予想されるが、その対策にかかる経費負担はどうするのか?[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]

・保険者が全患者にレセプトを発行するのが筋なのではないか?[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]

・紙資源消費やプライバシー保護の問題もあり、希望しない患者も含めて全員に渡す必要があるのか?[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]

こうした診療側の意見を受けて、患者側の意見として最後にこういう発言が出てきたわけですが、素直に彼らの求めるところというものを聞くならば「そんなことには誰も反対していない」と診療側もいうしかないわけで、それが何故こうも議論が錯綜するのかということですよね。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 ちょっと......、(明細書発行の)イメージなんですけど、僕はまあ......、(明細書を無料で発行する病院として)6~7年前に広くテレビや新聞で報道された「トヨタ記念病院」(愛知県豊田市)というのが初めてこれをやった。
 それを国立の(ナショナル)センターが同じようにやった。それはどういうやり方かというと、「原則、発行します」。「いらない」という人には無理矢理渡さない。

 ▼ トヨタ記念病院は「すべての患者」に発行している病院ではない。あくまでも、明細書の発行を希望した患者に対してのみ発行しているので、「すべての患者」とは言えない。同院のホームページ「診療費のお支払い方法」では、「自動精算機 ご利用方法」として、「診療明細書が必要な方は、画面上『診療明細発行』を押してください」と書かれている。会議終了後、診療側の委員が「トヨタ記念病院には必要か不要かを確認する発行ボタンがある」と保険局医療課の佐藤敏信課長に指摘。これを受け、佐藤課長は勝村委員に「トヨタ記念病院の例を出されるなんて」などと抗議した。診療側のある委員は「窓口で必要か不要かを尋ねるのはいいのではないか」と話しており、佐藤課長も「いるかいらないかを(窓口で)きくのはいいんですよね?」と勝村委員に確認していた。もし、希望する患者に発行することを求める主張であれば、それは「すべての患者への発行を求める主張」とは言えないだろう。

 それ(明細書の無料発行)をやって......、まあ、嘉山さん、僕は薬害のこともいろいろ......、薬害も気になっていることは1つなんですが、僕は中医協の委員になったことを受けてですね、患者の皆さんに単価を知ってほしい。中医協が決めている単価を知ってほしい。それが一番。(中略)

 ▼ この点について診療側委員は反対していない。「明細書を発行する必要があるか」という論点、これは争いがない。明細書発行の必要性を肯定したとして次に、発行する対象者(すべての患者か)、発行費用(有料か無料か)などが問題になる。この日は、いろいろな論点がごちゃまぜになって議論されてしまった。
 この後、国民を代表する立場の公益委員である小林麻理委員(早稲田大大学院公共経営研究科教授)が患者への情報提供の重要性を訴えたが、それは診療側も賛成している「入り口の議論」なので発言の趣旨が不明。「患者への懇切丁寧な説明を独立の点数として評価すべき」という意味はないだろう。

[小林麻理委員(早稲田大大学院公共経営研究科教授)]
 いろいろな観点が混ざってしまってですね、議論の収拾が付かなくなっている......。私、基本的なことを申し上げるんですけれども、この議論の始めは、医療という分野においては患者と医療提供者側の間に、非常に情報の不均衡がある。非対称性があるということだと思うんですね。

 ですから、患者は自分のことを知りたいけれども、リテラシーがないということもありますけれども、そのことを、情報提供していただきたい。情報という観点から言うと、(医療者と)全く同じレベルに達していないわけですね。医療提供者側は何でもご存じだ思うんですけれども、それについて患者は知りたい。

 ▼ その必要性には診療側も同意している。主要論点から若干ズレているからか、それとも疲れているのか、傍聴席はややしらけ気味の空気。総会開始から、もうすぐ6時間になる。

 だから、同じレベルになってほしいということで、そのことがやはり必要なんじゃないかということだと思うんです。基本的な考え方としては、やはり情報を持っているほうがやはりそれを提供してあげて、同じレベルにしていただくということが基本的に必要ですし、そんなことが今、勝村委員がおっしゃったように、患者のリテラシーを高めていく。

 リテラシーを高めるために、医療提供者側にいろいろな......、何て言うんでしょうかね、「ナビゲーター」と言いますか、そういうことをしていただかなくてはいけない、説明していただかなければいけないのですが、そこまでは今すぐに求めることはできないけれども、患者の要求と言いますか......。

 患者自身が要求......、と言いますか、患者自身が「自分はよく知っているからこれはいらないよ」というその......、情報の非対称の世界にあってはですね、「自分が拒否できる」っていうレベルにあればもちろんいいんですが、拒否できるレベルにないものですから、そこを医療提供者側からやはり情報を頂くというのが基本的な考え方だと思います。(以下略)

 ▼ 小林委員の発言は以上。この後も議論は迷走し、継続審議となった。ところで、本件とは直接関係がないかもしれないが、患者本人の意思が確認できない場合は誰の意思を尊重すべきだろう。例えば、回復不能な植物状態の患者の延命を中止する際、妻は同意したが患者の両親は反対して争いになった場合、本人の意思を代替できるのは配偶者だろうか、親だろうか。

記者氏も突っ込みを入れていますけれども、まあこういう経緯を見ますとこれはどうも早々にまとまる話ではないんだろうなとは思えるところですよね。
ところがわずか数日の間に、この状況が全く一変しているというのですから驚くしかありません。

「散らかっている部屋を綺麗に」? ─ 情報公開と患者のプライバシー(2010年2月7日ロハス・メディカル)より抜粋

 「散らかっている部屋に他人が入れば綺麗になる」─。医療事故や薬害を防止するため、医療機関が保有する情報をできる限り公開すべきだという考えがある。これに対して、患者のプライバシー保護の観点から、投薬や検査の内容、傷病名などの個人情報が他人に漏れる危険性を指摘する声もある。(新井裕充)

 ※ 意見が対立した2月3日の審議はこちらを参照。

 厚生労働省は、患者にとって分かりやすい診療報酬や医療の透明化などを進めるため、診療内容が詳しく分かる医療費の明細書をすべての患者に無料で発行する医療機関を現在よりも増やしたい意向だが、明細書の発行を希望しない患者がいることや、診療費を立て替え払いした他人に患者の情報が漏れる危険性などを指摘する声もある。

 例えば、交通事故で救急搬送された患者の診察費を他人が立て替え払いした場合、患者の個人情報を含む明細書を他人に発行してもいいか、別のケースではどうか。個別の事例ごとに医療現場の判断に委ねるのか。もし、患者がプライバシー侵害などを主張する場合、その相手方は医療機関か国か、責任の所在をどう考えるのか─。

 患者情報の取り扱いについてあいまいな点を残したまま、明細書の発行をめぐる議論はひとまず決着した。4月の診療報酬改定について審議する厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)が2月5日に開かれ、厚労省が示した明細書の発行案を全員一致で了承した。

前回の提案では、「正当な理由のない限り、全ての患者に対して明細書を無料で発行する」としていたが、今回は「正当な理由のない限り、原則として明細書を無料で発行する」に修正。明細書の発行を希望しない患者などへの対応について、「会計窓口に『明細書を希望しない場合は申し出て下さい』と掲示すること等を通じて、その意向を的確に確認できるようにする」と付記した。
 つまり、患者のプライバシー保護を医療現場の運用に委ね、クレーム対応などの負担も現場が負うということ。今回の修正案は、「全ての患者に対して」の文言を削除して、「全員発行」の方針を一歩下げたように見せながら、「事実上の全員発行」を医療機関の責任と努力で進めさせていくという、まさに厚労省らしい玉虫色の書きぶりだった。

厚労省の担当者は、「大きな枠組みは前回提出したものと同じ」と説明。会議終了後の記者説明でも、「全員に発行する方針は変わらない」と言い切った。厚労省の方針が大きく転換したわけではないのに、診療側の委員は笑顔で厚労省案を支持。意見が割れた2日前とは違って、笑い声があふれる和やかな雰囲気の中での決着だった。

 全員一致で了承された後、長年にわたって明細書の全員発行を訴えてきた勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)がようやく口を開いた。すると、それまで笑顔だった診療側委員の表情がみるみるうちに曇り始めた。しかし、"時既に遅し"だろう。勝村委員は次のように述べた。
 「自分の部屋は非常に散らかっていて片付けていない。だから、お客さんが僕の部屋に入ろうとすると、いろいろと理由を付けて『入ってくれるな』と言うんですけど、どうしても『入ってくる』と言ったときに初めて部屋を掃除する。綺麗にしていこうという努力をしていく。そういう情報開示の力っていうのが、きっとあるんじゃないか。それは、入ってくる人が国民であり患者であり、本当にそこの主役である人が入ってくる。(医療現場の)皆さんが本当に一生懸命やっている所に力になっていこう。一緒に片付けていこう。何をやったら完璧ということはないかもしれないが、こういう一歩を頂けたことはありがたいと思う」
(略)

議論の流れを見ていきますと、邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)から「現場の負担を少しでも軽減するように、国や自治体が患者からの疑問点を相談できるような態勢を整えて欲しい」といった要求があり、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)から「何が起こるか不安があるが、文言が修正されたので同意する」という発言がある。
しかし基本的に文言が変わった以上は診療側には反対する理由もないということなのでしょうか、記者氏もいうように何故か和気藹々といった雰囲気で話が進み、これらをまとめて座長の発言が続くわけですが、この直後に問題のあの御方の発言が出てくるわけです。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 (診療側が全員同意したので笑顔で)はい、どうもありがとうございます。診療側の委員の皆様から、大変、見識のある......(会場、爆笑)。

 ▼ たぶん皮肉だろう。前回の議論を終えた後、業界記者の間から「要するに反対でしょ」「反対なら反対とはっきり言えばいいのに」といった声が出ている。

 また、あの......、今後議論する上で非常に大きな問題点を出していただきましたので......。これはある意味で、まさにこの明細書を発行することに伴ってさまざまな課題がクローズアップされたということでありますので、次年度以降、十分に検討していきたいというふうに思っております。

 そういうことでありまして、2号(診療)側としてはさまざまなご意見の内容につきましては、今後検討することを条件にして、22年度からこの(厚労省が示した)スキームを導入するということに賛同すると、このように理解してよろしゅうございますね?

 (診療側委員、一斉にうなずく)

 はい、ありがとうございます。1号(支払)側、何かご意見ございますか。はい、勝村委員、どうぞ。

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 えと......、あの......、あ、ありがとうございます......。(委員ら、笑い)

 ▼ 診療側委員は一斉に笑顔で応えた。とても和やかでいい雰囲気だが、この後の発言で診療側委員の笑顔が消えていく......。

 あの......、えと......、まあ、いつも僕たちが言っていたのは......。

 自分の部屋は非常に散らかっていて片付けていない。だから、お客さんが僕の部屋に入ろうとすると、いろいろと理由を付けて「入ってくれるな」と言うんですけど、どうしても「入ってくる」と言ったときに初めて部屋を掃除する。綺麗にしていこうという努力をしていく。そういう情報開示の力っていうのが、きっとあるんじゃないか。

 それは、入ってくる人が国民であり患者であり......、本当にそこの主役である人が入ってくるということで、そういう所で......、皆さんが本当に一生懸命やっている所に力になっていこう。一緒に片付けていこう。

 (個人情報の問題など)いろんな危惧とか、そういう問題があるのは十分理解できますし、その危惧も患者にしてみたって......、言っていただいてるってことなんで、今後の課題ということでは非常にありがたいと思います。

 ただ、私たちも同じような危惧とか重々......、その上で、いろんな呼び掛けを始めていっている所をじっくり見てきて、その上で広げていっていいんじゃないかって思っているということもご理解いただけたらと思いますし、あの......。

 何をやったら完璧ということはないかもしれませんけども、こういう一歩を頂けたことはありがたいと思いますし......、あの......、今日出していただいた原案通りで今回始めていただけるということはとてもありがたいと思います。(以下略)

 ▼ 医療機関が情報公開を進めることは患者のためになるという趣旨の主張と思われるが、これは患者代表による一種の"パターナリズム"だろうか。この後、診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が勝村委員の「散らかっている」という発言に突っ込みを入れたが、勝村委員は「救急を一生懸命やっている方に十分に手当てが行っていないとか、そういうものが僕の言っている『散らかっている』という意味」と釈明した。

さて、そこで改めて冒頭に提示されておりました厚労省側の「今日出していただいた原案」なるものが問題になってくるわけですけれども、これをよくよく見てみますとなかなか微妙な発言が並んでいまして、何故これで諸手を上げて賛成に転じるという話になるのか疑問無しとしません。
まずは前回異論が出された費用負担の問題や全員発行の必要性などについて「一応検討しています」とばかりに言及があった一方で、それに対して幾つかの文言を変えてみましたと文書を指し示しながら、口頭ではこういうことを言っているわけですね。

[保険局医療課・渡辺由美子保険医療企画調査室長]
大きな枠組みは前回提出したものと同じでございまして、レセプトの電子請求を行っている保険医療機関につきましては、正当な理由のない限り、すなわち(自動入金機の改修が必要など)以下のような例外を除いては、「原則として明細書を無料で発行していく」ということでございます。

 その際に、各保険医療機関ではその旨をしっかり院内掲示していくということ。それから、明細書の発行を患者さん等につきましては、例えば、会計窓口に「明細書を希望しない場合は申し出て下さい」というような掲示を行うこと、こういったことなどを通じまして、「その意向を的確に確認できるようにするという形にしてはどうか」ということでございます。

 従来通りの扱いになる例外(正当な理由)については、前回提示した通りでございます。
(略)

「正当な理由」 (了承済み)

① 発行関係
 イ 明細書発行機能が付与されていないレセコンを使用している保険医療機関等である場合
 ロ 自動入金機を活用しており、自動入金機で明細書発行を行おうとした場合には、自動入金機の改修が必要な保険医療機関等である場合
② 費用徴収関係(実費徴収が認められる場合)
 上記①のイ又はロに該当する場合

診療側委員は文書で示された添付文書の文言変更なるものに目を奪われたということなのか、「これで我々の要求は通った」とばかりに一斉に賛成に回ったようですけれども、上記の渡辺由美子氏の発言内容を見ていく限りでは、物理的にシステムが発行に対応していない場合を除いては「原則として明細書を無料で発行していく」という、まさに「大きな枠組は前回提出したものと同じ」という話にしか聞こえません。
と言いますか、前回いろいろと意見を出していた診療側の委員にしても、この内容で何がどう変わったのかと冷静に考えてみれば何も変わっていないことに気がつきそうな話なんですけれども、例によって無駄にダラダラと長いばかりの議論に疲れて本質を見誤ったとでもいうことなのでしょうか(苦笑)。
まあしかし、中医協の診療側委員も今回大きく入れ替わったということで、言ってみれば中医協素人ばかりになっているわけですから、海千山千の厚労省や支払側委員を相手にうまく手玉に取られてしまったとしても仕方がないということではあるのですかね?

管理人としては基本的にこうした情報開示の流れに賛成する立場ですし、今回のような話もむしろ全施設に導入してこそ現場意識改革の上で意味があることだと思いますけれども、費用負担や負担軽減策といった具体的な対策が一切なされないまま、多忙な現場の仕事を更に増やすだけの話として決着してしまったことには大きな危惧を抱くものです。
何にしろこの件、大きな問題が出てくるとすれば実際に現場に導入されてからの話になってくると思いますけれども、今まで以上に細々としたトラブルが出てくるだろうことだけはほぼ確実だと思いますから、各施設では今からその対応策というものの検討にとりかかっておいた方がよいのかも知れませんね。

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2010年2月 7日 (日)

今日のぐり:「うえの」

日本でも最近では珍しい名前を子供につけるのがちょっとしたブームになっているようですけれども、あまりこれが行き過ぎると一頃話題になった「悪魔ちゃん騒動」のような大騒ぎになってしまいますよね。
もちろん意図しての行為であればまだしもなのですが何しろ国際化の時代で、時として意図しないでおかしな名前をつけてしまったという場合に後々子供のトラウマにもなりかねませんから、こういう商売が出てくるということはそれなりに納得できることなのです。

英国で赤ちゃんの名前の翻訳サービス、料金は15万円(2009年11月18日ロイター)

[ロンドン 17日 ロイター] 英ロンドンに拠点を置く翻訳会社「Today Translations」が、生まれてくる赤ちゃんの名前を考えている親に、候補の名前が外国語でどのような意味になるか確認できるサービスを提供している。

 同社は、米俳優トム・クルーズさんとケイティ・ホームズさん夫妻の娘スリちゃんの名前が、日本語では「すり(盗人)」、フランス語では「酸っぱくなる」、イタリア語では魚の「アジ」を意味すると指摘。それが分かっていたら、夫妻はこの名前を付けることを考え直したかもしれないとしている。

 候補の名前の意味を100の言語で調べてもらった場合の料金は、1000ポンド(約15万円)。誰でも申し込めるサービスだが、珍しい名前を付けることの多いセレブの客を見込んでいる。  

 中には翻訳の難しい名前もあり、6月に急死した米歌手マイケル・ジャクソンさんの兄ジャーメインさんが息子に付けた「ジャーマジェスティ」などは、調べるのが困難だという。

問題はこういう記事を見てしまうと、少しばかりサービス提供が遅すぎたんじゃないかという気がしないでもないのですが…

サンディエゴ動物園 パンダの赤ちゃんを「雲子」と命名(2009年11月20日朝日新聞)

 米カリフォルニア州のサンディエゴ動物園で17日、生後3カ月あまりのジャイアントパンダの雄の赤ちゃんに「雲子(Yun Zi)」という名前が付けられた

 「雲子」は今年8月5日に、同動物園で13年近く暮らす母親パンダの「白雲(Bai Yun)」が5番目に生んだ子どもだ。同動物園ではインターネットを通じて全米から赤ちゃんパンダの名前を募集、寄せられた約6300点の名前の中から選考を経て「幸せなサンディエゴ」「小さな龍」「たぐいまれなクマ」「永遠の祝福」「雲子」の5つを最終的な候補に絞り投票を行った。この中から28%という得票で「雲子」が選ばれた。

…ま、まあ、それはともかくとして、今日は世界各地から「これは思いつかなかった」という新商売の中でも、「それは思いつかないでよかったのでは…?」と思わず突っ込みを入れたくなる話題を紹介してみましょう。
まずはこちら、これはもうリンク先の画像を見てもらわないことには何とも言いようがない話なんですが、とにかく字面だけを追っていくと素晴らしい画期的な新製品という感じですよね?

机の前での睡眠体勢も考慮された、いつでもどこでも快適な眠りにつける「スリープスーツ」(2010年1月20日GIGAZINE)

学校や職場で仮眠を取る場合は、寝具や体を横たえる場所など十分な環境がない場合が多いですが、そんな状況でも快適な睡眠が得られる繭のようなスーツを作った人がいるようです。
寝てる間に圧迫感を感じさせず伸縮性・移動性も併せ持つ形状で、あお向けや横向き、イスに座った状態などの睡眠体勢も考慮されたスーツとなっているそうです。

詳細は以下から。
BLOGITECTURE ? SLEEP SUIT

Forrest Jesseeさんが開発したスリープスーツの素材はマットなどに使われているEVAフォームを使用。
うつむき、あお向け、横向き、机の前に座った状態の4つの睡眠体勢で、どれぐらいのサポートが体に必要かも研究してスーツの厚さが決められています。

睡眠に入る妨げにならないよう、1分以内に脱着できるようになっています。
固いベンチの上での睡眠もヘッチャラ。

異様な外見なので、睡眠を邪魔される可能性も低くなります。

芝生の上でもさらに快適な睡眠が可能。
机の上でも眠れます。顔が隠れることから居眠りしていても気付かれにくいという効果もありそうです。

記事中にさりげな~く挿入されている「異様な外見なので、睡眠を邪魔される可能性も低くなります。」という文言に要注目なのですが、リンク先を見ていただければ何がどう異様なのか一目瞭然ですよね。
と言いますかね、当の本人は確かに快適な睡眠が可能かも知れませんけれども、こんなものが転がっているのを見た日には回りの人間が激しく悪い夢を見そうなんですが。

さて、ブリと言えば昔から諜報活動が盛んで映画にもなるくらいですから、セキュリティー方面には達者なのかというイメージがあったのですが、どうもこういう記事を見てしまうとほんとに大丈夫なのか?と首をかしげざるを得ませんよね。

中身はただのダウジング…偽爆弾検知機を英社が輸出 イラクやアフガンに数百億円分(2010年1月24日産経新聞)

 実際には機能しない偽の爆発物検知機を、英国の会社がイラクやアフガニスタンなどに輸出し数千万ポンド(数百億円)規模の売り上げを得ていたと23日付の英紙インディペンデントが報じた。英警察当局が詐欺容疑で同社の経営者を逮捕、英政府もイラクなどへの輸出を禁じる措置を取った。

 同紙によると、約1500台を購入したイラク政府は購入の経緯などを調査する。同政府は1台約4万5千ポンド(約650万円)で買い、バグダッド市内の多くの検問所で使用しているという。

 偽の検知機は、手に持った金属棒などで地下に埋まっている物を検知すると一部で信じられている「ダウジング」の“原理”を用いていた。中身を調べた爆発物の専門家は、電子機器がほとんど使われておらず「がくぜんとした」と語った。

 パキスタンやレバノン、ヨルダンにも輸出されたといい、武器の専門家が数カ月前から役に立たないと指摘していた。BBCは輸出先は20カ国に及ぶと伝えた。

 偽検知機は昨年10月にバグダッドで150人以上が死亡した爆弾テロ事件の現場にも配備されていたという。(共同)

実際に被害が出ていたということになると洒落になりませんが、しかしそれでそんな大きな商売になるものなんですから、やはりイメージというものは大きな財産だということなんでしょうか?
ちなみにあちらではダウジングというのは未だに真面目な顔で行われているような場合もありますから、日本人の抱くイメージとは多少社会的認知度が違うと思いますが、それにしてもねえ…
それはそれとして、最後に取り上げますのはまさしくこれぞブリ!と言いたくなるような斜め上方向に逸脱しっぱなしの新商売です。

ベッドに人のぬくもり、ホリデイ・インが新サービス/英国(2010年1月22日ロイター)

 [ロンドン 21日 ロイター] 世界的なホテルチェーンのホリデイ・インは今月、従業員がベッドを温めるサービスを、英国で試験的に導入している。 
 このサービスが受けられるのは、ロンドンとマンチェスターにある計3カ所のホテルで、客がベッドを使う前に、フリースのパジャマを着た従業員がベッドに入り温めておいてくれるという。温度が基準の20度に達したかどうかは、温度計で確認する。
 同チェーンのスポークスマンは、電子メールで「ベッドに巨大な湯たんぽを入れるようなもの」と説明。 従業員が事前にシャワーを浴びるかどうかについては言及しなかったが、髪の毛は覆うとしている。
 同社はこの「革新的な」サービスが、英国を襲った寒波に対応するものだとしており、エディンバラ睡眠センターのクリス・イジコフスキ博士が「この方法は眠りを助ける」と評価していることもアピールしている。

まあ、普通の人間であれば「巨大な湯たんぽを入れるようなもの」と弁解している暇に本物の湯たんぽでも入れておく方が話が早いと考えるものなんだと思いますが、これを本気でやるわけですか…
この記事を読んで非常に興味深く思ったのはこうしたサービスを考えつくまではともかく、それを実行に移すという決断がなされた社会的背景というものではないかという気がしますが、何かしらこのあたりにブリ的な歴史と伝統が存在しているということなんですかね?
正直今回ばかりは彼らを甘く見過ぎていたと、大いなる敗北感を感じざるを得ませんでした。

今日のぐり:「うえの」

宮島と言えば厳島神社を要する一大観光地としても有名で、特にこの時期は地元の名産「カキ」を始め色々と食べるものも豊富ですけれども、TRの駅からフェリー乗り場へ向かうちょうど中程、大通りに面した判りやすい場所にあるこちらは、この界隈の名物料理「あなごめし」を食べさせる有名店なんだそうです。
創業すでに百有余年という歴史と風格を感じさせる店構えからして「らしい」雰囲気を発散していますが、基本的にあなごめしと焼きあなご系のみのシンプルなメニューでやっている「うえの」が向かって右手半分、そして左手半分が待合室兼持ち帰りの売り場になっているようで、さらにこの二階には予約客用のスペースで少し凝った料理も出す「他人吉」が用意されているということのようですね。
この日も大行列で一時間は優に待つという状態だったのですが、庶民の店と言うスタンスを維持するということなのか店員の対応もよくも悪くも大衆的で、「うえの」の方では予約も取らないということでやっているそうですから、どうしても時間が決まっているという方は「他人吉」の方に予約を入れておくか、少しでも待ち時間を軽減するために昼食時を外す必要があるかと思います。

基本的にあなご飯以外はあなごの焼き物くらいしかない店なのですが、お店の中には色々と張り紙がしてあって、あなごめしは特上でなくても十分で、それよりも白焼きをどうぞと是非とえらく力が入っている様子でしたもので(苦笑)、当方も迷わずあなごめしと白焼きを頼んでみました。
メニューがシンプルなこともあってか席についてしまうとそれほど待たせるということも無しに料理が出てきまして、実際に並んでいるお客の数からすると回転はかなり速い方だと思うのですが、このあたりも大衆的という感じですよね。
ところで肝心のあなごめし、店によってはうな重っぽく重箱に入れられていたりする場合もあるのですが、こちらの場合見た目はどんぶり飯の上に切り分けられた焼きあなごが敷き詰められているだけという、港町の食堂などによくあるあなご丼と言うものとそっくりだなと思わせておいて、食べてみればこれがなかなか大変なものなんですよ。

以前から宮島界隈で特に選ばず何軒か入ってあなごめしを食べたことはあって、まあまずいとも言わないものの特別感銘を受けるような美味とも思わなかったのですが、こちらのあなごめしはまずあなごの出汁で炊き上げたと言う飯の見た目からして違っています。
一体にまともな料理を出す店でも米の味にはそれなりにこだわっても、案外炊き上げた後の飯の扱いがいい加減で幻滅することが多いのですが、こちらはもともとの米自体も合格点を上げられる上に、それを丁寧に炊き上げた仕上がりは粒が立った美しいもので、まさしく銀シャリと呼ぶにふさわしい見た目とそれに相応する味・食感を持っています。
またこの硬めの炊き具合がちょうどいい塩梅なんですが、タレが染み込んでも飯がダラけてしまわない絶妙ぶりは、飯の上から汁がかかってくる丼物というものの性質をよく判ってらっしゃると非常に好感度が高いですね。

この飯が大ぶりな丼にたっぷりよそわれている時点ですでにまいった!と降参してもいいくらいなんですが、またこの上に敷き詰められている焼きあなごの具合が素晴らしく、さっくり、ほっくりと焼きあがった上品な味わいは、凡百のあなごめしのベトベトしてタレの味しかしないあなごとは同じ魚とは思えないような仕上がりです。
さすがにおすすめと言うだけに白焼きも非常にすっきりしたあなご自体の味わいを楽しめる仕上がりで、これは単体の料理としても非常に完成度が高いのですが、もちろんあなごめしのタレ焼きのあなごと交互に口に運んで味の違いを楽しむというのも良いですし、確かにこうして白焼きと組み合わせるなら特上よりは並の方が味や飯との組み合わせのバランス的にもいいんじゃないかと思います。
ちなみにここは昔からあなごめしの弁当にも力を入れているそうなんですが、この飯にこの味の組立ですと冷めていてもうまいあなごめしになっているのだろうなと納得できるものがありますから、機会があればおみやげにでも持って帰るというのも後の楽しみになりそうですよね。

個人的に唯一ケチを付けるとすればあなごめしの上に添えられているガリなんですが、相性が良いことは認めるものの何しろ味も香りも強いものですから、せっかくの完成度の高いあなごにそれが移ってしまうのがやや気になったところで、これを別皿ででも出してもらっていればまず文句のつけようのない内容でしたね。
あなご丼などと言えば時に鰻丼の代用品的扱いを受けてしまいがちなものですけれども、ここの一品を食べてしまうとこれは確かに鰻丼とは全く別な料理であるということが判ると同時に、改めてあなごと言う魚はうまいものなんだなと問答無用で納得させられてしまいますし、何より「名物料理にうまいものなし」なんて俗説に根拠がないのだと蒙を啓かれた思いですね。
宮島観光のついでと言わず、遠くからこのために訪問して行列に並んで待ってでも食べる価値は十二分にあると思いますが、とりわけ鰻と言えば東京のそれよりも丁寧に焼き上げた関西風が好きだと言う向きには文句なしにおすすめ出来る味ですし、次回訪問時には是非二階の「他人吉」の方にも予約を入れておきたいところだなと感じさせられるだけの一品ではありました。

ああ、あともう一つケチをつけさせていただくとすれば、せっかく今風にHPまで用意してあるというのに(しかも結構力入ってます!)、あの見づらさと言ったらちょっとどうなのよと思ってしまうところなんですが(苦笑)、せっかくですからサイトの方も味相応にもう少しすっきりとまとめ上げていただければなお良いかなと…

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2010年2月 6日 (土)

環境テロリストの新たなターゲット またもあのお方が吠える

以前にも取り上げました環境テロリスト「シー・シェパード」の暴走に関して色々と国際世論も盛り上がっていますけれども、賛否両論とは言いながら反捕鯨的立場から見てもテロ行為は逆効果だという批判も多いようです。

【Web】捕鯨抗議船衝突動画サイトで論争 「sea chickenに改名すれば」(2010年1月21日産経新聞)

 ■鯨殺反対、でもテロはダメ/南極海は豪州領ではない!/sea chickenに改名したら

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」の捕鯨抗議船「アディ・ギル」号と、日本の調査捕鯨団の監視船「第2昭南丸」の南極海での衝突事故の映像がネット上で公開され、世界のネットユーザー間で議論が白熱している。SSの行為に対する批判が多数を占める一方、調査捕鯨に批判的な各国政府とは異なる見解を示す“本音トーク”や、それぞれのお国柄を反映したコメントもみられ、アクセスが殺到している。

 動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」には事故があった6日以降、日本鯨類研究所が撮影した現場の映像やニュース映像が続々と投稿された。再生回数は多いもので92万回(20日現在)を超え、9500件以上のコメントが寄せられている。

お国柄反映

 事故について、映像から「衝突直前、アディ・ギル号が第2昭南丸に向かって加速した」との見方が大勢。「映像が如実に示している。SSはテロリストだ」(独)、「鯨殺には反対だが、あの行動には賛同できない」(フィンランド)などSS擁護派が多い国からも否定的な声が相次いだ。当事者である日本のユーザーからは「人間よりクジラの命が大事なのか」など皮肉たっぷりのコメントもあった。

 捕鯨自体については「中国人は猫、韓国人は犬、日本人はクジラ、そしておれはハンバーガーを食う。これが食習慣だ」(米)と食文化として理解する声が多い。

 しかし、調査捕鯨の是非をめぐる議論は続いている。「日本は商業目的であることを認めてほしい」(米)、「われわれの海でクジラを殺すのは日本の文化ではないはずだ」(豪)との感情的な声に対し、日本側は「調査だ」「南極海は豪州領ではない」と反論している。

日本は格好の標的

 調査捕鯨は現在、日本のほかアイスランドが実施。ノルウェーはミンククジラの商業捕鯨を行っている。にもかかわらず、SSによる日本船への攻撃が最近、目立っていることをとらえ、ある豪州ユーザーは「SSは、自らが人種差別主義者であることを証明したいのだろうか。他国も積極的に捕鯨をやっている。ただ、日本は礼儀正しく、戦わずにひくからターゲットになりやすいのだ」と冷静に分析している。

 反捕鯨国の英国から「名前をsea chicken(海の臆病(おくびょう)者)に変えたらどうだ?」とコメントも。

 これらの反応についてSSに電子メールで取材を申し込んだが、19日までに回答はなかった。

テロ組織を支援する企業個人の中で今のところはっきりと撤退を言い出したところはないようですけれども、このあたりの反社会的行為をどう考えるのかといったあたりも今後注目されて行くべき話ではあるのでしょう。
いずれにしてもさすがに今回はいささか一線を超えたかという話ですが、一線を超えたと言えば問答無用の違法行為であるのがシー・シェパードがノルウェー船籍を偽装したという話ですよね。

シー・シェパードが船籍偽装 ノルウェー、文書で抗議(2010年1月19日共同)

 【ロンドン共同】南極海で日本の調査捕鯨団の監視船、第2昭南丸と米環境保護団体シー・シェパードの抗議船アディ・ギル号が衝突した際、現場にいた同団体の別の船が不正にノルウェー国旗を掲げて船籍を偽装、同国外務省が文書で抗議したことが分かった。同省が18日、共同通信に明らかにした。

 この船はボブ・バーカー号(1200トン)で、船籍国は不明。シー・シェパードは、調査捕鯨団を混乱させるためにノルウェー国旗を使ったことを認めている。同省は提訴など、これ以上の措置は決めていない。

 ボブ・バーカー号は、もともと捕鯨船としてノルウェーで造られた。シー・シェパードはウェブサイトで「(調査捕鯨団は当初)捕鯨賛成派のノルウェーが支援船を送ったと考えたかもしれない。しかし、ノルウェー国旗が降ろされ、黒地に白どくろのシー・シェパード旗が揚がったとき、調査捕鯨団の興奮は失望に変わった」と書いている。

彼ら自身は「日本人を騙してやった」などと得意げに語っているところがむしろ痛いのですけれども、どこからどう見てもこれは明確な国際法違反です。

369 名前:地球の裏側 ◆/lYVcP7um2 [sage] 投稿日:2010/01/19(火) 23:49:17 ID:vSVqE0qU
>>343
はい。アウトwww
これは船籍偽装と言いまして、一発で臨検対象になります。ノルウェーは抗議
じゃなくて、自国軍艦または沿岸警備を送らなければいけません。
また、各国海軍はバカ犬のこの船を見つけたら、無条件で臨検可能です。
これについての規定は国連海洋法条約に明記されております。

え~~、今、リマの空港ですが、帰ったらグアヤキルの基地の沿岸警備隊司令
に通報します。バカ犬、今後ガラパゴスへ入港する都度、臨検を受ける事にな
ります。一度でも船籍偽装を行った船は、その後、大変な不利益を受けます。
仮に本来の船籍旗を掲揚していてもダメです。多分ですが、この船の入港を
許可した国は、海賊行為助長国として扱われても文句言えません。

根拠は国連海洋法条約を参照して下さい。自宅に帰ってから、条文を貼ります。
これを許したら、ソマリアの海賊に対する武力行使が法的根拠を失います。
バカどもついに墓穴を掘ったわ。みんな~~~、寄付集めてよ。今後は、別に
違法じゃなく、こいつらの船沈められるから。
他の船に接近するだけで、海賊行為と認定できます。

偽の船籍旗上げるのは、およそ船に関わるものとして、絶対にやってはいけな
い事なんです。いきなり銃撃を受けても文句言えません。過去、日本の遠洋
漁船は、国籍不明という理由で何度も銃撃を受けています。それゆえ、船腹に
大きな日の丸を描いたり、大きな文字で呼出符号を書いたりしています。

・ 国旗を適当に使用した船は、無国籍船舶とみなされる。(92条)
・ 無国籍船舶は、軍艦による、公海での臨検が可能。(110条)

勝手に船籍を偽装された被害者であるノルウェーもさることながら、注目されるのはテロ船の船籍があるオランダの対応です。
もともとオランダという国は首相と鳩山総理とが反捕鯨話で盛り上がるほどかなり強硬な反捕鯨国として知られており、こういう事件というものは痛し痒しなんだろうとは想像できるところですけれども、さすがに今回は放置出来ないと考えたのかこういう動きがあるようですね。

オランダ政府、「シーシェパード」の船籍剥奪も 改正法案を提出(2010年2月5日産経新聞)

 米環境保護団体「シー・シェパード」が保有するオランダ船籍の抗議船が日本の調査捕鯨をたびたび妨害している問題で、オランダ政府は5日までに、抗議船の船籍剥奪(はくだつ)を可能とする船籍法の改正案を議会に提出した。

 日本政府の度重なる要請を受け、重い腰を上げた形だが、捕鯨反対論が根強いオランダの議会は慎重な構えを見せており、法案成立の見通しは不透明だ。

 1月21日に議会に提出された改正法案は、船舶が「他の船舶、乗組員や積み荷に危害を加えたり、オランダと他の諸国の関係に悪影響を及ぼす行動をした場合」に、政府が交付した船舶国籍証書を剥奪すると規定。

 日本政府筋は「オランダ世論は反捕鯨色が強く、法案が議会を通過するかどうかは不透明」と話している。(共同)

いずれポーズに過ぎないとしても、公の立場としてこういう態度を表明することはテロ支援国家などと認識されないためにも当然に必要なことなのではないかと思います。
何にしろ彼らのテロに対する国際世論は以前よりも格段に厳しくなっているのは確かでしょうが、そうなりますと彼らとしても多少は方針転換を考えるところはあるということなのでしょうか。
この点で以前から反捕鯨主義者によれば「クジラなど今どき食べなくても他に幾らでも食べるものはあるじゃないか」といった主張があって、例えばオーストラリアの強硬な反捕鯨路線はオージービーフの輸出促進のためでもあるという意見がありました。
一方で同じく食肉産業利権絡みで「クジラが潰されれば次はマグロの番だ」とも以前から言われてきたところですけれども、テロ組織も国際世論の空気を読んだということなのか、クジラを潰す前にマグロを潰しに来ているようなのですね。
名目上は地中海マグロの密猟阻止ですが、かの地のマグロがほとんど日本で消費されているということでターゲットが明確なことに加え、環境意識が高いと言われる欧州諸国への絶好のアピールになるという考えのようです(そもそも最初から船を失う覚悟という時点で自ら目的を語っていますけれども)。

しかしこの問題、もちろん日本はマグロ消費の非常に大きな部分を占めるマグロ大国で、その意味では環境テロリストの攻撃先としては格好のネタではあり得るのですが、最近では不景気もあってか国内マグロ在庫はだぶついていて、しかも資源保護、安定供給を目指してマグロ養殖技術が実用化しつつある現状では、ややネタとして旬を逸したかなという気がしないでもありませんね。
一方でマグロ消費は近年世界中に広まっていて、とりわけ近年の経済成長で富裕層増加が著しい中国において急増しているということですが、中国と言えばテロ組織に対して日本のような甘い対応をする国ではありませんから、思わぬ虎の尾を踏むなどという事態になってしまうようですとこれは面白い話になるかも知れません。
さて、例によってテキサス親父がこの件に関しても吠えているのですけれども、やはりテキサス親父としても背後に利権関係の存在というものを示唆しているように、今や環境問題は何より大きな金になるという点で非常に生臭いものとなってきているということには留意しておく必要があるんだと思いますね。

【参照動画】【テキサス親父】今度は日本のマグロ漁が狙われる!!シェーシェパード


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2010年2月 5日 (金)

不足というなら定量的評価というものも必要でしょうが

最近は全国どこでも医師不足だ、医師不足だと大騒ぎですが、これと歩調を合わせるかのように出てきている議論が「医師強制配置論」です。
先日は大田市立病院が崩壊したと話題になった島根県で医療を考えるシンポが開かれたそうですが、やはりここでもキーワードは「医師強制配置」になったようですが、こうしたことを唱えている人々、唱えていない人々の依って立つところというものに注目してみると、今までの医療業界内におけるポジションで非常にクリアに色分けが出来るようにも見えて興味深いですよね。

石見地方の医療考えるシンポ/島根(2010年2月1日中国新聞)

 医師、看護師不足が深刻化している島根県石見地方の医療を考える「地域医療シンポジウム」が31日、江津市の市総合市民センターであった。休日が取れない過酷な勤務や、一人で数役をこなす医師の実情が報告され、行政の取り組みや医師養成のあり方なども論議した。

 済生会江津総合病院(江津市)は今春、24人の常勤医師のうち3人減員となり、看護師も退職6人に新採用は今のところゼロであると報告。連続36 時間勤務が発生する医師の勤務実態も説明した。隣の大田市立病院が救急告示を取り下げる影響も懸念されるが、西尾聡事務部長は「救急告示は守る。時間外受診を控えてほしい」と会場に訴えた

 11人いた医師が8人に減った公立邑智病院(邑南町)の石原晋院長は「医師同士が専門外の診療を助け合う総合診療を工夫している。県東部に偏在する医師を一定の強制力で計画配置することも必要」と指摘した。

 県病院事業管理者の中川正久氏は「初期臨床研修制度の必修化など、医師を引き揚げる大学側にも事情がある」とした上で「政治課題として世論を盛り上げよう。数年後には地元医学生を優遇する奨学金制度など県の取り組みの効果も期待できる」などと話した。

失礼ながら当直明けが休みという病院は全国でわずか4%しか存在しないわけですから、今どき連続36時間がどうこうと言われても労基法くらい遵守してくださいねとしか言えないのですけれども、その状況で事務が先頭に立って「今まで通りの態勢で働かせます」と大見得を切ってしまうあたりに、彼らが強制配置論を唱えざるを得ない一因もあるのかなとも思うところです。
さて、医師の偏在と言えば厚労省が長年主張してきたところですけれども、実際のところどのように偏在しているのかというデータが先日報道されましたこちらです。

人口当たり医師数に16.4倍の地域差―日医総研(2010年2月2日CBニュース)

  2次医療圏別の人口当たり医療施設従事医師数に、2008年末現在で最大16.4倍の地域差があることが2月1日、日本医師会総合政策研究機構(日医総研)のまとめで分かった。06年末時点の16.0倍からやや拡大した。日医総研では「もともと人口当たり医療施設従事者数が多い2次医療圏で、さらに増加したため」としている。

 08年末現在の人口当たり医療施設従事医師数が最も多い2次医療圏は東京都区中央部で、1000人当たり11.78人。最も少ないのは愛知県尾張中部で0.72人だった。
 このほか、多いのは東京都区西部(4.78人)、福岡県久留米(4.06人)、島根県出雲(3.98人)、栃木県県南(3.77人)などで、東京都区中央部が他を大きく引き離している。一方、少ないのは茨城県常陸太田・ひたちなか(0.84人)、北海道根室(0.87人)、茨城県鹿行(同)、北海道宗谷(0.91人)などだった。全国平均は1.85人。

なんだ、島根なんてむしろ多い方なのに何を贅沢を言っているんだという意見もありそうですけれども、元になっている日医総研のレポートを見てみるとメディアが取り上げなかった面白いことが判りますよね。

二次医療圏別に見た医師不足と医師偏在(2008年版)(2010年2月1日日医総研)

人口1,000人当たり医療施設従事医師数の多い二次医療圏は、2008年では、東京都区中央部(千代田区、中央区、港区、文京区、台東区)11.78人、東京都区西部(新宿区、中野区、杉並区)4.78人、福岡県久留米(久留米市、大川市、小郡市、うきは市、大刀洗町、大木町)4.06人などである(表 3.1.2)。都市部にあり、大学附属病院などの医師数が多い
そのほかの二次医療圏も大学附属病院所在地であり、人口に比べて医師数が多い。たとえば、島根県出雲(出雲市、斐川町)には島根大学、鳥取県西部(米子市、境港市ほか)には鳥取大学、山口県宇部・小野田(宇部市、美祢市、山陽小野田市)には山口大学がある。

要するに一見して医師数が豊富に見える地域というのは単に大学病院所在地にしか過ぎないわけで(東京などになりますとこれに厚労省の医系技官なども含まれるでしょう)、そういう場所にいる医師免許所持者をすなわち医者として頭数に数えてよいものかどうかという疑問があるわけです。
ネット上を見てみましても当然そういったところを指摘する声が多いわけで、こうした統計ですなわち医師過剰地域などと言われても何ら実のない話になってくる危険性があるわけですよね。

41 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/03(水) 08:28:07 ID:w+TjG26k0
>東京都区中央部で、1000人当たり11.78人
当たり前じゃないか。
この数には、技官、タレント、評論家、東大研究員が入っているのだろう。
しかも昼間人口は考慮していない。
統計が偏在を作っている

42 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/02/03(水) 08:33:00 ID:MTJZluCo0
>>34
医者も分化が進んで,最早“医者”というくくりでは語れないんじゃないか?
1000人当たり11.78人の地域では,化粧品皮膚科医,アロマセラピー医,タレント医まで含まれてるんじゃないの?

逆に医師が少ないという地域を見ていきますと、これが必ずしも田舎や僻地で医者が少ないというものではないということも理解出来ると思いますが、体感的にも都市部の病院の方が田舎の病院よりも多忙であるとは多くの医療従事者が実感しているところだと思いますから、これは医師不足という言葉の定義をどのようにするのが実態を表すのに適切かという問題ともつながってくるかという気がします。

人口1,000人当たり医療施設従事医師数の少ない二次医療圏は、2008年では、愛知県尾張中部(清須市、北名古屋市ほか)0.72人、茨城県常陸太田・ひたちなか(常陸太田市、ひたちなか市、常陸大宮市ほか)0.84人などである(表 3.1.3)。
愛知県尾張中部は名古屋市近郊、茨城県常陸太田・ひたちなかは水戸市近郊にあって、人口に医師数が追いついていないものと推察される。
これに対して、北海道根室(根室市、別海町、中標津町ほか)、北海道宗谷(稚内市、枝幸町ほか)は医療施設従事医師数そのものが少ない。医療施設従事医師数は、北海道根室で72人、北海道宗谷で65人である。
なお、ひとつの二次医療圏としてもっとも医療施設従事医師数が少ないのは、島根県隠岐(隠岐の島町、西ノ島町ほか)の29人であるが、人口も2万2,466人と少ないので、人口1,000人当たり医療施設従事医師数は1.29人である。

さて、絶対数もさることながら、より喫緊の課題となりそうなのが医師数の増減ではないかとも思います。
マスコミ報道(笑)などによれば、近年では医師が田舎から逃げ出して都市部に集中しているという話になっているようですけれども、一方で人口自体も田舎から都市部へと集中しているわけですから、医者の頭数以上に地域の人間が減っているのであれば医療の需給バランスはむしろ供給側に傾くということになりますよね。

2006年から2008年にかけて、人口1,000人当たり医療施設従事医師数の増加率が高かった二次医療圏は、青森県下北地域(むつ市、大間町、東通村、風間浦村、佐井村)17.7%増、奈良県西和(大和郡山市、生駒市ほか)16.2%増などであった(表 3.2.1)。
医療施設従事医師数に着目すると、青森県下北地域では14.7%(2006年95人、2008年109人)増加であった。むつ市で臨床研修医が2006年の7人から2008年には14人に増加した一方、佐井村では無医村になった。
奈良県西和では医療施設従事医師数が15.7%(2006年503人、2008年582人)増であった。このうち県立病院のある三郷町で49人増加した。
愛知県海部(津島市、愛西市、弥富市ほか)は、医療施設従事医師数が16.3%(2006年387人、2008年450人)増加した。整形外科医が20人増加しており、リハビリテーション病院などで採用があったのではないかと推察される。
長崎県対馬(対馬市)は、医療施設従事医師数は5.6%と微増(2006年54人、2008年57人)であるが、人口が減少したので、人口1,000人当たり医療施設従事医師数は10.7%増であった。
(略)
2006年から2008年にかけて、人口1,000人当たり医療施設従事医師数の減少率が高かった二次医療圏は、静岡県賀茂(下田市、東伊豆町ほか)21.8%減、長野県木曽(木曽町、上松町ほか)13.1%減などであった(表 3.2.2)。
静岡県賀茂では、医療施設従事医師数が23.9%(2006年117人、2008年89人)減少したが、当該医療圏では、診療報酬不正請求事件を起こした病院があったことが報道されている(医師数減少との関係は不明)7。
北海道南檜山(江差町、上ノ国町ほか)の医療施設従事医師数は16.2%減であった。江差町で2006年に3人いた研修医が2008年にはいなくなり、もともと医師数が2006年37人と少なかったため、減少率が大きくなった。

こうして見るとマスコミ諸社の報道通り、地方から逃げ出した医者が大都市圏に集中してきているという様相が見て取れるでしょうか?(苦笑)
いやあ、青森県下北地域あたりも最近では都会化がよほど進んでいるというこということなのかも知れませんけれども、不肖管理人などは寡聞にして存じ上げませんでしたけれどもね(笑)。
ちなみにマスコミと言えば、ここのところはさすがマスコミの尽力の賜物であると恐れ入るしかない影響力ですかね?

産婦人科・産科医師数の減少数がもっとも多い二次医療圏は、奈良県中和(橿原市、香芝市、大和高田市ほか)である(表 4.2.2)。奈良県中和には奈良県立医科大学附属病院があるが、同病院では、2007年8月に救急搬送の妊婦を受け入れることができず、その後、複数の病院でも受け入れられず、流産にいたった事例が報告されている。

レポートではまとめとしてこんなことを書いていますけれども、何故医者が次から次へと逃げ出していき、国の強権で強制配置をなどと叫ばなければならないのかと考えた場合に、耳の痛い施設も多いのではないでしょうか。

医師は報酬だけではなく、労働環境なども判断して勤務場所を決定する。医療機関が他の診療科の医師やコメディカルを安定的に雇用でき、安全対策や訴訟対策、教育研修、再生産などを不足なく行えるようになってはじめて、特定の診療科の医師の激務やリスクが解消される。

色々と見所は他にもあるのでしょうけれども、世の中で今までイメージだけで語られていた話が、ある程度データと照らし合わせて見てみるとどうも実態を反映していないんじゃないかということはままあって、これもまたそうした事例の一つになるということなんでしょうか。
あちこちで医師不足、医師不足と大きな声が飛んでいますけれども、逆に医師過剰という地域はまずあり得ないわけで、どこも大なり小なり医師不足という共通の問題を抱え込んでいる中で、声の大きい者だけが政策的優遇によって得をするということにでもなれば、それこそ公平性を欠くということにもなりかねないという懸念はあると思います。
医師強制配置計画の是非はまた別問題としても、強制配置を推進するというのであればそれはどこにどれだけの医者を送り込み、どこからその医者を引き抜いてくるというのか、その配置を決めた根拠となるデータは何なのかといったことが明らかにされないことには、最悪の場合年来の土建行政と同じく「医者が欲しければ…」と中央政府の地方支配カードが増えるだけということにもなりかねないでしょう。

まずはそのあたりの客観的指標をどのように設定して行くべきなのか、その前提としてとっくに鬼籍に入った人間や臨床に携わっていない人間までカウントしている(とされる)厚労省のデータだけで語ってよいものなのか、議論を尽くすべきところはまだまだ幾らでもあると思うのですが、あまりそうした方向に話が進んでいるという噂も聞きませんよね。
医療の世界はエヴィデンスに基づいて行動するように社会的にも求められているわけですから、社会の方でもそれなりのエヴィデンスを用意してから医療を語るのが筋なのではないかと思いますし、そうでなければ誰かの意図に沿って思いがけない話にいつの間にかなっていた、結局関誰も幸せにはなれなかったなんて、いつものパターンにはまりかねないと思いますね。

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2010年2月 4日 (木)

揺らぐ国民皆保険制度

医療関係の話題ではあちこちで「過去最低」というネタが近年多いですけれども、国民皆保険制度自体の根幹も過去最低を絶賛更新中というのがこちらのニュースです。

市町村国保の保険料収納率が過去最低に―厚労省(2010年2月2日CBニュース)

 2008年度の市町村国保(国民健康保険)の保険料(税)収納率が全国平均88.35%で、1961年の国民皆保険制度開始以降、最も低かったことが、厚生労働省が2月2日に公表した速報値で分かった。

 保険料(税)収納率の全国平均は前年度比2.14ポイント減。過去最低だった2004年度の90.09%を大きく下回り、初めて90%を割った
 都道府県別に見ると、収納率が最も高かったのは島根の94.19%で、以下は富山(93.76%)、愛媛(92.45%)など。一方、最も低かったのは東京の84.26%で、栃木(85.14%)や大阪(85.49%)も低かった。
 厚労省は収納率低下の要因について、収納率の高い75歳以上が市町村国保から「後期高齢者医療制度」へ移行した制度上の理由が大きいとみている。また、景気悪化などの影響も考えられるという。収納率向上に向けては、都道府県や市町村に対し、引き続き収納対策に力を入れるよう指導する。

 08年度の市町村国保の実質的な単年度収支は、2384億円の赤字。前年度と比べて1236億円の改善が見られたものの、厚労省は「依然として厳しい財政状況」と指摘している。
 一方、保険料(税)の滞納世帯数は、09年6月1日現在で445万4000世帯(前年同月比2万9000世帯減)。市町村国保の全世帯に占める滞納世帯の割合は20.8%で、データがそろっている1998年以降、最も高かった。厚労省は、分母となる全世帯数の減少(同27万8000世帯減)などが要因とみている。

■「広域連合」は1420億円の黒字-後期高齢者医療制度

 また厚労省が2日に発表した、「後期高齢者医療制度」の運営主体である後期高齢者医療広域連合の08年度財政状況(速報値)によると、実質的な単年度収支は1420億円の黒字だった。
 保険料の収納率は全国平均で98.75%。このうち、特別徴収(年金からの支払いのため収納率100%)分を除いた普通徴収では96.95%だった。
 また、08年度分の保険料を滞納している被保険者数は09年6月1日現在28万人で、全被保険者数に占める割合は2.08%だった。

国保の場合、制度的に非正規雇用者や無職の人々が入ってくるわけですから、未収が多くなるのは当然とも言えるかと思いますけれども、以前にも紹介しましたように各自治体では減免制度なども設けられていますから、低所得者であってもきちんと手続きを行っていれば保険証を取り上げられることもなかったのにという場合がままありますのでご注意ください。
このあたりの構図は年金の未納問題とも似通ったところがありますけれども、あちらでも「長年高い掛金を払ってわずかな年金をもらうより生活保護の方がマシ」なんて声が出ているのと同様、健康保険の方でも「高い保険料を払ってもどうせ元は取れないんだから、最初から払わない方がマシ」と考える人々が増えてきているという現実があります。
幸いにも年金制度と比べると健康保険の方では制度自体に関する信用はまだ崩壊していないように見えますけれども、「なぜ一部の人間の医療費を健康な俺たちが負担しないとならないのか」という声が大きくなってきた場合に、政府としてこれにどう答えるかという回答は用意しておかなければならないでしょうね。

さて、「他人の医療費を負担させられている」という不満に対する回答の一つであったはずの後期高齢者医療制度ですが、こちらも野党時代から民主党が悪の権化のように言い立てていた流れがある以上、政権与党になって冷静に考え直した後でも今更続けましょうとは言い出しにくい状況に追い込まれてしまいました。
またぞろ高齢者を国保に戻すとなれば一時的に未収率は改善するでしょうが、高齢者医療費を圧縮し皆保険制度自体の破綻を避けるという当初の長期目標からすると明らかな後退となりかねませんが、ちょうど先ごろ厚労省から新制度の原案が出てきたところです。

【社会保障】高齢者医療、65歳以上は国保に加入 厚労省が新制度素案(2010年1月12日日経ネット)

 厚生労働省は、65~74歳と75歳以上を区分した現行制度に代わる新しい高齢者医療制度の素案をまとめた。65歳以上は原則として、自営業者や無職の人が加入する国民健康保険(国保)に加入する。ただ、現役世代とは別勘定とし、医療の実態にあわせ、応分の負担を求める。保険料率は都道府県単位で決める。2013年度の創設を目指すが、負担の調整で曲折も予想される。

 現行制度では高齢者を65~74歳の「前期」と75歳以上の「後期」に分けている。74歳までは市町村単位で運営する国保や企業の健康保険組合など現役世代と同じ保険に加入。75歳以上は別枠の後期高齢者医療制度に加入、医療給付費の1割を負担する。

いや「負担の調節で曲折も予想」と言いますが、制度上同じ国保に入れると言ったところで中身は別勘定で給付に応じた負担をというのであれば、それは単に看板だけを変えたということと何か違うのでしょうか?
このあたりは厚労省から出た素案ということですから、あるいは官僚側が取り敢えずの叩き台としてまとめてみましたという話なのかも知れませんが、いかにも本質的には何も変えたくないという官僚の思惑がにじみ出ているということであれば納得は出来るところです。
逆に今後与党政治家の側からこういうシステムで話を推進するようなコメントが出てくるということになりますと、なんだ結局民主党も名前が気に入らなかっただけで、後期高齢者医療制度自体をやめるつもりはなかったんだなという話になってきそうですよね。

実のところこの高齢者医療費の押し付け合いというのは連鎖反応を引き起こしていまして、例えば以前にも紹介しましたように近年大企業が自前の健保組合を持つことをやめるようになってきた、その結果国が公費を投入している中小企業向けの協会けんぽに加入者が移り財政を圧迫しているという話がありました。
企業が自前で組合を持っていても高齢者医療費の負担で保険料率が高くなる一方である、そうであるなら自前で持つ意味がないということになるわけですが、実際大口破綻として話題になった西濃運輸などでは、保険料率を政管健保以上に引き上げざるを得なくなったことが組合解散を決めた動機になったということです。
政府の方では先ごろこの協会けんぽの財政を立て直すためとして、国費投入と共に大企業の持つ健保組合に負担を求めることにしたと言いますが、当然ながらこういう状況では反発も出ようかという話ですよね。

健保連会長、協会けんぽ救済「肩代わりは断固反対」(2009年12月4日日経ネット)

 健康保険組合連合会の平井克彦会長は4日、厚生労働省が協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)の救済案を発表したことを受け記者会見した。「国が負担すべき財源を健保組合に負担させるものだ」と指摘した上で「総力を挙げて断固反対する」と語った。厚労省は健康保険法の改正案などを来年の通常国会に提出する方針で、波紋が広がっている。

 厚労省は4日の社会保障審議会医療保険部会に、中小企業の会社員らが加入する協会けんぽの財政を支援する案を示した。協会けんぽが75歳以上の後期高齢者医療に拠出する支援金を来年度に約2500億円減らし、大企業の会社員らが加入する健康保険組合が約1400億円、公務員が入る共済組合が約1000億円負担する内容だ。

 厚労省は協会けんぽに比べ財政にゆとりのある健保組合と共済組合に肩代わりさせる意向だが、実現すれば健保加入者などの保険料は上がる可能性が高い。平井会長は「健保組合もかつてない財政危機に直面している」と指摘し、救済案は協会けんぽを優遇していると非難した。 (23:45)

いずれ更なる議論を必要とするだろうこうした制度的な問題はさておくとしても、国民皆保険という建前が揺るいで来ますと医療現場でも相応に大きな影響が出てこないわけにはいきません。
例えばやってくる患者の1割、2割といった比率で無保険者が入ってくるということになれば、いくら患者の金銭的負担に無頓着だった日本の医者とは言えど、患者を前に「支払額はどのくらいになりそうか」「そもそも支払えるのか」といったことを念頭に置いて診療にあたらざるを得なくなりますし、病院としても未収金対策というものをちゃんと行っていかなければ立ち行かないでしょう。
今の日本では治験などと言いますと被験者がなかなか集めにくいところもありますけれども、例えば製薬会社や医療機器メーカーにとっては治療費負担ということを餌に被験者を集めるという、海外で当たり前に行われているやり方が日本でもやりやすくなってくるかも知れないと考えれば、これはドラッグ・ラグなどの解消には有益となるかも知れないですよね。
もちろん患者の側も医療費の支払いということは今まで以上に意識せざるを得なくなってくる局面が多々出てくるでしょうから、民間の保険会社などにとっては例えば健康保険の掛金よりも安上がりで、そこそこの医療サービスを保証するような無保険者向けの第二の健康保険といったものも考えられるかも知れません。

そう考えていくと、ちょうど海の向こうのアメリカでは国民皆保険制度導入を巡って未だ激論が続いていますけれども、何やら日米双方がお互いの医療制度を参考にシステムを組みなおしてきているようにも見えますかね(実際には全くそういうわけではないにしても)。
日本の場合はアメリカほどには医療費が高騰していませんから、案外皆保険制度を離れて各人が身の丈に応じた「応分の医療、応分の負担」という自己選択を行っていくにはよい環境なのかも知れませんが、そのためにはまず医療従事者の認識もさることながら、「よく判りませんから先生の判断でよろしくお願いします」なんていう、妙なあなた任せの医療習慣を患者の側からも改めていかないといけないでしょう。
何にしろ55年以来続いてきた自民党政権も案外あっさりと終焉を迎えたわけですから、61年に発足した国民皆保険制度もそろそろ抜本的な制度改革があっても全くおかしくないわけですが、少なくとも「命はお金にかえられない」などといった古き良き牧歌的な医療というものはもはや取り戻せそうにもない時代情勢なのは確かなのでしょう。

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2010年2月 3日 (水)

全ては誤解のせいなんです(?)

ちょうど昨日取り上げました毎日新聞の記事で、厚労省の官僚が財務省と示し合わせて診療報酬プラス改定を捏造したのでは?という疑惑が表沙汰になってきました。
これと関連してということになるのでしょうか、これまた昨日2月2日の公開ですが、厚労省から「それは誤解ですよ」という告知が出ていましたので、紹介しておきましょう。

平成22年度診療報酬改定の改定率について(2010年2月1日厚生労働省HP)

○ 先日、一部報道において、平成22年度診療報酬の改定率に関して、後発医薬品の置き換え効果の精算分約600億円が、改定率の計算に盛り込まれていないことから、実質ゼロ改定である旨の報道がありました。

○ 厚生労働省としては、従来から後発医薬品の使用促進、すなわち、「先発品から後発品への置き換え」による財源は、本来的に医療機関の収入とみなされるべきものの減少につながる訳ではないことから、一貫して、診療報酬改定の財源とはしてこなかったところです。

○ 今般の後発医薬品の置き換え効果の精算分600億円についても、後発医薬品の使用促進が進んでいない現状を是正するために実施するものであり、後発品の使用促進と同様、診療報酬の改定財源とはしていないところであります。

○ このように、平成22年度の診療報酬の改定率については、従来と同様の考え方で計算しているところであり、その率は、これまでの説明のとおり、診療報酬本体の改定で+1.55%、薬価等の改定で△1.36%、合計で+0.19%であります。

○ なお、報道にあった当省の幹部が、診療報酬の改定率に関して、報道にあったような打ち合わせを行った事実はありません

いやいや、厚労省もいろいろと誤解?を受けることが多くて大変だなと感じ入るところですけれども、何にしろ例によって毎日新聞が無から有を捏造(笑)したのか、あるいは厚労省が官僚の知恵(笑)で国民を煙に巻こうとしているのか、いずれにしても信頼性に関しては丙丁つけがたい対決の様相を呈してきたところでしょうか。
この件に関してはもう少し詳細な検証が必要になってくるのだろうと思いますが、医療行政絡みではこのところ色々と誤解?を受けることが多い様子で、例えば先ごろの仕分け作業の最中に突然勃発した「漢方薬保険外し問題」などもその一つですよね。
漢方薬が保険適応から外されるなんて話が突然出てきまして、漢方の大手が「こんなことをされては漢方薬メーカーは潰れるしかない!」と大騒ぎしたあの問題ですが、ネット上での患者側なども加わっての反対署名呼びかけなども相乗効果を発揮し、三週間で27万通もの反対署名が集まった結果もあってか、引き続き保険適応継続という方針がまとまったようです。
いずれにしても漢方も医療に組み込まれている以上はこれは混合診療問題などとも絡みかねない大ネタですから、おいそれと仕分けされても現場は大混乱だろうとは思う話ですけれども、この件に関して当の仕分け人は全くの誤解であったという弁明を行っています。

漢方薬保険適用除外は【誤報】です! 仕分け人枝野議員が明言(2009年12月9日JANJAN)

 民主党連立政権の行政刷新会議による事業仕分け作業の統括役である枝野幸男議員が、12月8日夜、CS朝日ニュースター「ニュースの深層」に出演した。

 上杉隆キャスターと「事業仕分け」について語る中で、枝野議員が「事業仕分け結果の誤解・悪用」の実例としてまず挙げたのが、【漢方薬】が「保険適用から除外される」とマスコミで一斉に報道された問題だった。

◆ 仕分けのほとんどは【中抜き・ピンハネ・重複・縦割り】のムダ指摘

 11月27日に終了した事業仕分け作業は、様々な批判的な報道をされながらも、結果的に国民一般からは7割を超える高い評価を受けた。前政権時代には「アリエナイ」画期的な「情報公開」の一種であることが理解されたのだろう。

 しかし、仕分け現場での実際のやりとりの内容を確認せずに、恣意的とも見えるマスコミ報道がいくつもなされた、と枝野議員は言う。

 ノーベル賞受賞者の野依良治博士が理事長をしている文科省所管の独立行政法人「理化学研究所」に関しては、その組織内に高給取りの役員として文部科学省のOBが何人も天下りしている。

 野依理事長は仕分けの現場には来なかったが、科学研究現場の為の予算が削られるかのような前提で、「仕分け」に対する批判の会見をした。そのときにマスコミの記者たちは研究所内の「天下り役員」の存在について質問していない

 宇宙飛行士として有名な毛利衛さんが館長である「日本科学未来館」についても、仕分け人が問題にしたのは、予算「中抜き」のムダな組織が寄生していることだ。ここにも文科省の天下りがいる。

 仕分け人から、「なぜ同科学館の予算が国から直接出されずに、間に科学技術広報財団を経由させているのか」という問いかけがあり、毛利さんは「そうなんです。アメリカに、館の運営についてアドバイスを求めたところ、二重構造に問題があるとの指摘を受けました。これについて、3年前に文科省に改善を求めました。しかし、いまだ現状のままです」と答えている。
 つまり、毛利氏は仕分け人の言い分に納得したのだが、報道は「対立」「激論」というニュアンスだった。

 「スポーツ」関連の予算の「見直し」の意図も、「現場」の為の予算を削ったのではなく、枝野議員の言い方によれば【中抜き・ピンハネ・重複・縦割り】によるムダを指摘したのにもかかわらず、それが正しく報道されず、誤解に基づいて、関係有名人が「仕分け」が不当であるとして抗議の会見をしたことが大きく報道された

 枝野議員にすれば、「抗議する相手が違う。予算を効率的に使うためには、独法や財団などにOBを天下りさせている文部科学省に文句を言うべきだ」ということになる。

 ここまでに挙げたのは、「ムダな予算削減に抵抗する側」に加担するような報道の例である。ところが、逆の「誤報」もある。

◆ 財務省にコントロールされたメディア

 【漢方薬】についてのマスコミ【誤報】は、「予算削減したい」財務省側に加担した格好だ。
 薬品の健康保険適用範囲についての仕分け作業に先立って、予算を「削りたい」ほうの財務省と、「守りたい」ほうの厚生労働省の双方から、おなじくらいの分量の資料(ペーパー)が仕分けチームに提出されている。

 仕分け人たちは、それを事前に読み込んだ上で、公開の場での約1時間の、仕分け人と担当官僚などとの質疑応答に臨む。それはすべて記録されているし、ネット上で中継された。

 ここでは仕分け人の誰一人として「漢方薬」について言及していない
 うがいクスリ、湿布薬、ビタミン剤については、具体的に薬品名を挙げて「同等の市販品が安く入手できるもの」については、保険適用から外すことも検討すべき、としたが、財務省の事前ペーパーにあった「漢方薬」には仕分け人は触れておらず、除外する薬品の判断は厚労省と財務省でよく協議検討すべし、という結論になった

 そのことは、現場で取材していた記者たちは正しく理解したはずだし、枝野議員は、日本テレビの全国放送番組などで「漢方薬を保険から外すとは決まっていない」と何度も述べたのに、系列の新聞さえもが、逆の誤報を前提として「仕分けチーム批判」の社説まで書いたのだという。

 なぜか、他紙もテレビニュースも、いっせいに同様の報道をしたので「署名運動」などの大騒ぎになったのは周知のことである。11月11日の事業仕分けの翌日に、漢方薬大手の「ツムラ」の社長が自ら、誤解に火をつけるような発言をした。経営者としてはおかしな行動だと筆者は感じる。自社の株価などにただちに跳ね返る情報を、この社長は、自ら確認しなかったのだろうか?

 また、短期間に27万人もの署名を集めた「東洋医学会」も、仕分けの音声や映像の記録を確認しなかったのだろうか? 筆者は、どうも腑に落ちない。

◆ 予算を巡る各方面の思惑が渦巻く

 仕分けの対象になる事業については、「頼んでいないのに財務省が勝手に持って来た」リストを、参考にはしたが、仕分けチームに直接「垂れ込み」もたくさんあったという。
 予算のムダを探し出す本来の役目は「会計検査院」の仕事だが、そこで詰め切れていない事業も参考にして、7割ほどは重なったが、対象事業全体の3割ほどは、財務省のリストにはなかったものが加えられたそうだ。

 財務省の主計官が「仕分け作業」に同席した。それをもって「財務省主導だった」と批判する向きもある。しかし枝野議員によれば、実際の予算査定に関る主計官が、すべてのやりとりを知っているのだから、それを適切に予算編成に反映させてくれ、という意味合いだそうだ。

 ところが、どうも「裏切り」があるらしい。【中抜き・ピンハネ】の部分で予算2割削減としたはずのものが、そこは温存されて、現場の予算が2割削減、などという、仕分けの意図に反した予算編成がされる例があるという。

 してみると、マスコミの【仕分け批判誤報】は、官僚組織とグルか、と勘繰りたくもなる。

 事業仕分けの現場には、【記者クラブ】のための机も電源もなかった。一般報道陣や見学者と同じ扱いだったわけだ。

 自民党時代の長いあいだ、役所の中に占有専用の場所をタダで提供され、政官業など各界のVIPの会見では特権的に質問し、国際会議にはアゴアシつきで招待され・・・、という「優遇」に慣れてきた大手メディアにとっては、天木直人さんの言い方を真似れば、「腰を抜かす」ほどの大変化なのだろう。

 役所でもメディアでも、仕分けの現場に来ていない『上』のほうが、事業の意義に抵抗しているのかもしれない。

 考えてみれば、還暦を過ぎた「民主国家ニッポン」にとって初体験の「事業仕分け」という大掛かりな「情報公開」で明らかになったのは、税金の使われ方のデタラメさ・政官業の癒着と同時に、「大手メディアと権力との癒着」の実相なのではないだろうか?

まああの時点でまだ何も決まったわけではなかったのも確かだったのかも知れませんが、決まってから動いても遅いというのも過去の医療行政を見ていてこれも確かなことですから、根拠が誤報であれ何であれ「それは仕分けされては困る」と当事者が大きな声を出したことは非常に真っ当な反応であったと思います。
一方で財務省や厚労省ら官僚たちの思惑が複雑に交錯して仕分け作業というものが何やら意図を歪めて?煮詰められていったという実態も、まあそういうことは多々あるだろうと言われているところではあったのですけれども、ここで言及されているのはその官僚組織の思惑を実現化するために、どうもマスコミが手を貸していたのではないかとも取れるような行動があったという話なんですよね。
具体的に官僚と手を組むことでマスコミの側にどんなメリットがあるのか、記者クラブを今後もよろしく…と便宜を図ってもらう程度のことで手を打ったのかといった状況は判りませんし、仕分け人側の自己弁護的な話である点を割引いて考えなければなりませんけれども、日本のマスコミの取材力では官僚と本気で喧嘩をすれば全く記事が書けなくはなるだろうなという程度の推測は、状況証拠として成立しそうではありますよね。

しかし政と官の主導権争いといった構図で語られる機会の多い現政権ですけれども、誰が主導権を握っているのかという話はなかなか表に出てこない、出てきたと思えばそれは誤解だと訂正が出てくるとなると、一体何が本当なのか素人目には判りにくいのですけれども、これも誰かが意図的に混乱させようとしているのでしょうかね?
近頃では政治家から官僚、マスコミと、何かあれば「誤解だ誤解だ」という弁解ばかりが出てくる時代ですけれども、ある程度情報を集めてみれば誤解かどうかもかなり判明し突っ込みも入れられる時代になってきた中で、逆に誤解させようとしている主体の意図というものも考えていかなければならないということなのでしょうか。

ところで誤解と言えば、先日唐突に降って湧いたように出てきたこちらの話も、今のところどこもあまり大きく取り上げる気配がないことから世間の注意を引いているようには見えませんけれども、実施するということになればこれまた各方面で誤解数多ということになりそうで、今から注目しているのですが(笑)。

処方せん記述方法 基準通知へ(2010年1月28日NHK)

 厚生労働省は、医師が処方せんに書いた投薬の指示が不明確で、医療事故が起きているとして、記述する服用の量は1回の量を基本とするなどとした、処方せんの記述方法の基準を取りまとめ、29日に全国の医療機関などに通知することになりました。
 処方せんは、医師が投薬の量や回数を記述し、薬剤師に指示するものですが、厚生労働省によりますと、医師や医療機関によって、服用の量について1回の量で書いたり、1日の量で書いたりするなど、書き方にばらつきがあるということです。そして、指示の行き違いによって、患者が必要な量よりも多く服用して体調を崩すといった医療事故が起きています。このため、厚生労働省は、医師の指示が明確に伝わるようにする必要があるとして、記述方法の基準を取りまとめました。
それによりますと、▽記述する服用の量は1回の量を基本とし、▽服用の日数は、毎日は服用しない薬もあることから、実際に服用する日を合計した日数とするとしています。このほか、1日の服用の回数やタイミングは、日本語で明確に記述することなども盛り込まれており、厚生労働省は、29日に全国の自治体や医療機関、それに薬局でつくる団体などに通知することにしています。

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2010年2月 2日 (火)

診療報酬改訂作業に見る医療行政の主導権争い

政治主導をうたう民主党政権となって初めての診療報酬改訂作業が、中医協を主戦場に少しずつ進んでいまして、関係各方面では「今までとは違う」「いや何も変わっていない」と意見も感想もさまざまに出ているようですよね。
そんな中で先日こういう記事がひっそりと出ていまして、ああそう言えば一昔前にはそういう団体もあったなと改めて遠めの目線で思い出したところです。

日医、診療報酬改定に意見公募で反対投稿 中医協外され(2010年1月22日朝日新聞)

 2010年度の診療報酬改定をめぐり、日本医師会(日医)は、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)がまとめた骨子に対する見解を公表した。骨子で「検討」とした救急病院で受診した軽症患者への「特別料金」の導入には反対を表明。再診料の引き下げも容認しない考えを示した。

 中医協の骨子については、15日から22日までを「パブリックコメント」手続きの期間とし、一般からの意見を募集している。政権交代後、日医の執行部は中医協メンバーから外されたため、今回初めてパブコメ手続きにのっとって意見を出すことになる。

 中医協が、救急病院などを受診した軽症患者から特別料金を徴収する仕組みを検討していることについて、日医は「現段階では時期尚早」と、議論の不十分さを指摘。そのうえで「患者は自ら判断できるわけではなく、かえって重症化を招く恐れもある」と主張している。この項目は、病院勤務医の負担軽減策として中医協の医師ら診療側委員が検討を求めたものだが、日医は逆の姿勢を示した形だ。

 また、病院(600円)と診療所(710円)で格差がある再診料については、「診療所を下げて統一することは認められない」と強調。診療所分を引き下げたうえで、地域医療への貢献度に応じて加算するという厚労省の足立信也政務官の考えを批判した。

まあ日医さんも何を言おうが発言の自由は存在するという話なんですが、ここでは元医師として厚労行政の主導権を握っていくべきだと内外から期待されている足立氏に対して、日医が批判的姿勢を示していることにまず留意しておいていただきたいと思います。
しかし面白いのは、救急病院の特別料金徴収によって開業医に軽症患者を誘導するという方針によって、開業医の利権団体である日医にどんな損があるのかということが見えないんですが、見てみますとこの日医の見解というものが、先日ご紹介しましたところの中医協での患者代表ら支払側委員のスタンスと非常に似通っていることにも気付かされます。
元より日医と言う組織は決して医師達の代弁者などではないとは昔から言われていたところで今さらの話なんですけれども、こういうのを見ると今更ながらに「日医=医者の代表」なんて世間の見方には無理があると感じざるを得ないところですよね。

さて、この短い記事からもうかがい知れる足立氏と日医の確執というものがどこから出てきているのかという話なんですが、ちょうどこちらの記事などが参考になるかと思いますので紹介しておきたいと思います。

ガバナンス・国を動かす:第1部・政と官/3(その1) 日医退けた「病院族」(2010年1月4日毎日新聞)

 ◇審議会崩しを官僚警戒

 「密会」の場所は、東京都文京区のJR御茶ノ水駅に近い日本救急医学会の事務所が主に指定された。昨年11月初めから月末まで計5回、厚生労働省の足立信也政務官(52)は通称「検討チーム」の医師6人と人目を避けて会合を重ねた。

 チームは、診療報酬のあり方を議論するため、足立氏の肝いりで作られた。医師不足が深刻な周産期医療の再生策を提言している海野信也・北里大教授ら大学病院系の医師が中心だ。6人は足立氏の非公式アドバイザーとして、診療報酬の改定に深く関与した。

 診療報酬の配分を決める正式な機関は「中央社会保険医療協議会」(中医協)だ。健康保険組合など支払い側と医師ら診療側、学者ら公益委員をメンバーとする審議会だが、複雑な利害調整は厚生官僚が担ってきた

 医師で元筑波大助教授の足立氏は、長妻昭厚労相と連携しながら、中医協主導の配分方式を見直したかった。ひそかに検討チームとの会合を重ねたのは、動きを知られたくなかったからだ。

 足立氏らの最終目標は、診療報酬の配分を医師不足の病院に手厚くすることだった。そのためには開業医の利益を代表し、自民党厚労族と結びついている日本医師会(日医)を、中医協メンバーから排除する必要があった

 ただ、中医協の新メンバーはすんなりとは決まらなかった。

 「長妻さん、本当にしっかりしてほしいところです」。昨年10月12日夜、足立氏や仙谷由人行政刷新担当相に後任選びを催促する携帯メールが送られた。送り主は、東京大医科学研究所の上(かみ)昌広特任准教授。長妻厚労相が日医の排除をためらっているのではないか、との危機感がにじみ出ていた

 上氏は全国の勤務医と幅広いネットワークを持ち、足立氏らと医療改革に取り組むグループを作っている。日医に代わる中医協人事についても相談を受けてきた。

 10月26日、長妻氏は足立氏らの意向に沿って、日医の代表3人全員を排除する人事を発表した。

 「病院族」。厚労省内には、検討チームのメンバーや上氏らをこう呼ぶ官僚がいる。自民党の族議員や日医に代わり、自分たちの知らないところで政策に影響力を及ぼしつつあることに対する官僚の警戒感がそこに表れている。

 10年度の診療報酬は昨年12月23日、プラス0・19%と10年ぶりの引き上げで決着した。予算案には「急性期入院医療におおむね4000億円程度を配分」と異例のただし書きがあった。中医協で決まるはずの配分を、先取りしたものだ。これにより救急患者を受け入れた病院の報酬が手厚くなる。病院族の勝利だった。

 「彼らはこんなに世の中を動かせるんだと分かってしまったから、今は楽しいだろう。ただ下手をすると、火遊びになる」。厚労省の幹部官僚はいまいましそうに語った。

要するに日医を主たるアドバイザーに官僚が主導して決定されてきた従来の診療報酬改訂作業というものに対して、民主党政権では政治家と病院側代表とが主導して政策を決めたがっている、その結果主導権を奪われつつある厚労省官僚が面白からぬ思いをしているという記事です。
ここでは「病院族」などという新しい用語が登場していますけれども、開業医を代表するとされてきた日医のスタンスからすると病院側の声が大きくなってくる状況というものは確かに面白くはないでしょうから、この辺りに日医と足立氏の確執の芽が生まれていたのだとすれば確かに納得できる話ではありますよね。
実際に診療報酬改定作業の流れを報じられている範囲で見ている限りでも、診療所など開業医に対する報酬を削って病院に回すというのが厚労省、財務省を問わず既定の路線視されているところがありますから、ここまでを見ていれば記事にある通り、政治家と病院族によって厚労行政が主導され始めているとも受け取れる状況ではあるわけです。

ところが一転して、同じ毎日新聞社の手になるこちらの記事になりますとずいぶんと印象が異なって感じられるのですが、まずは記事を引用してみましょう。

読む政治:診療報酬増を「偽装」 「長妻氏主導」空回り(その1)(2010年1月31日毎日新聞)

 ◇玉虫色の数字、実質ゼロ改定 官僚、巧み操作

 「財務省との激しい交渉では、基本的な社会保障を守っていくため神経を使った」

 14日、厚生労働省の講堂に都道府県の担当幹部らを集めた会合で、長妻昭厚労相は0・19%増と10年ぶりにプラスとなった診療報酬改定など、10年度予算の成果を誇った

 10年度予算の社会保障費はほぼ同省の意に沿う内容に落ち着いた。最近顔がふっくらし、口数も増えた長妻氏を周囲は「自信を深めている」と見る。ただ長妻氏が「政治主導の実績」と誇示する診療報酬のプラス改定を巡っては、官僚が数字を操作しプラスを「偽装演出」していたことが明らかになった。

 「プラス改定は公約同然」。昨年12月末、診療報酬の交渉で長妻氏が「押し」の姿勢に終始し、藤井裕久財務相(当時)を辟易(へきえき)させていたころ。その少し前から、水面下で別の動きが進んでいた。

 「玉虫色で工夫できませんかね。計算方法を変えるなりして

 12月上旬、財務省主計局の会議室。財務省側から木下康司主計局次長、可部哲生主計官、厚労省側から大谷泰夫官房長、岡崎淳一総括審議官らが顔をそろえる中、最後に財務省側は診療報酬の決着方法を示唆した。

 「財務省から見ればマイナス改定でも、厚労省から見るとプラスということか」。厚労省側はそう理解した。

 診療報酬の改定率は、医師の技術料にあたる「本体」(10年度1・55%増)と、薬の公定価格などの「薬価」(同1・36%減)を差し引きした全体像(0・19%増)で表す。

 厚労省は当初、薬価の下げ幅を1・52%減と試算していた。ところがそれでは「本体」との差が0・03%増で実質ゼロ改定になってしまう。長妻氏は「プラスが前提」と強調していただけに、厚労省は財務省の示唆を幸いと、ひそかに数字の修正に着手した。

 その手口は1・52%の薬価削減幅のうち、制度改革に伴う新薬の値下げ分(0・16%、約600億円)を診療報酬の枠外とし、みかけの削減幅を1・36%に抑えることだった。制度改革で浮く金は診療報酬の内か外か--そこに明快なルールがない点に目をつけたのだ。これで「プラス改定」と説明できるし、何より浮いた600億円を、財源探しに苦心していた中小企業従業員の医療費に充てられることが大きかった。

 財務省が一転、0・19%増を受け入れたのは、真の薬価削減幅は1・52%のまま、診療報酬改定率は0・03%増で実質ゼロ改定と言えるからだ。「脱官僚」を掲げる長妻氏も、巧妙な官の振り付けで踊った形となった。

 「こういうのが役人の知恵なんだよ

 厚労省幹部は、そううそぶいた。

 10年度予算の編成を乗り切り、自信を深める長妻氏は、硬軟取り交ぜて省内の統治に乗り出した。しかし依然、空回りも目立つ。

こちらの記事では政治家側が政権のメンツが掛かっているとしてプラス改定にこだわった、ところが実際に財務省との折衝を担当する厚労省官僚は阿吽の呼吸で実質ゼロ改訂を見た目プラス改定という表看板だけを掲げられるように「工夫」した、「これで政権のメンツが保たれた!」と大喜びした大臣以下政治家達は結局官僚の手のひらで踊らされたに過ぎなかったというシナリオになっています。
実際問題あれをプラス改定だと大喜びしているのは民主党の先生方くらいなもので、医療現場では政権が変わっても相変わらずこの調子かと冷めた見方が一気に広がったわけですから、少なくとも政治主導でプラス改定を勝ち取ったと長妻大臣が胸を張って言えるような内容には到底思えない話であるのも確かですよね。
さて、「藪の中」ではありませんが、当事者それぞれの視点でこうまで同じ現象の別な側面が描かれてくるということになりますと、結局のところ診療報酬改定作業で一体誰が主導権を握っているのかと疑問に思うところですけれども、少なくとも相矛盾しているかに見える記事の中で一致していることは、名目上の厚労行政トップである長妻大臣があまり実質的な主導権を発揮出来ていないということになるのでしょうか。

しかし毎日の記事ではすっかり悪役扱い(笑)の厚労省官僚ですけれども、総額で実質ゼロ改訂という財務省との折衝の結果はすでに済んだ事として、今後その実際の割り振りを行っていく作業の中で、彼らがどういう医療の未来絵図を思い描いているのかが見えてくるということになるのでしょうか。
一流大学を卒業した知的エリート中のエリートであるはずの彼らが、まさか得意技は目先の数字のごまかしだけで、医療の行く末?何それ食べられるの?なんてビジョン欠如のその場しのぎの仕事しか出来ないなんてオチは、今更あるまいとは思うのですが…

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2010年2月 1日 (月)

受診抑制策を排した中医協の論理 ゼロリスク症候群はここにも?

最近また相次いで勤務医の労働環境に関する話が出てきましたが、表向きの数字と実態との乖離など色々と言われるところは多々あるとしても、少なくとも以前と比べて改善はしていないということは確かなようですよね。

勤務医の超勤、月100時間11%  京都府医師会部会が報告書(2010年1月28日京都新聞)

 医療現場の労働実態を把握しようと、京都府医師会勤務医部会は「勤務医・女性医師の労働環境等に関する緊急意識調査」を行い、報告書をまとめた。勤務医の中には、1カ月の時間外労働が100時間を超えたり、宿直が11回を数えるなど、過酷な現状が明らかとなった。

 全国各地で医師不足や偏在が起こり、勤務医の働く環境は悪化しており、府内も例外ではないという。同部会では、府内の66施設で働く勤務医約3千人を対象に実施。2008年12月から09年1月までの間に、668人から回答があった。昨年12月までに集計した。

 調査では、最近1カ月の時間外労働で「100時間以上」が11・8%、「80~100時間」が7・8%、「45~80時間」が24・9%。宿直明けの勤務で「休日になる」医師は3・9%にすぎず、70・7%が「連続勤務」だった。中には、宿直回数が「11回以上」という医師が1・2%あった。

医師の過重労働は、患者への影響が懸念されるという。最近6カ月以内の「ヒヤリ・ハット」体験は、半数以上が「ある」と回答した。

 また、女性医師に対する調査では、29%が休職や離職を経験。産休や育休が取得しにくかったり、保育施設が整備不十分だという声が多かった。府北部地域の医療状況に関する質問では、「地域住民の危機」と認識しつつ、生活上の問題などを理由に勤務が難しいと回答した。

 このほか、電子カルテ導入にともない、「作成する書類が多すぎる」との声が目立つ。医療が高度化しており、患者への説明に要する時間が増えているという。
 府医師会の上田朋宏・勤務医担当理事(京都市立病院泌尿器科部長)は「多くの勤務医は使命感だけでがんばっている状態。長期的に見れば、医療崩壊どころか、過重労働を強いられている診療科が無くなる」と懸念している。

勤務医の労働環境、「非常事態宣言したい状況」-全医連代表(2010年1月25日CBニュース)

全国医師ユニオンと全国医師連盟(全医連)は1月24日、第1回医療労働研究会を都内で開き、全医連の黒川衛代表が病院勤務医の労働環境について「非常事態宣言でも出したいような状況」だと指摘した。

その上で黒川氏は、▽雇用創出や技術革新につながるような医療費の活用▽医療医学への予算の10%以上アップ▽病院の適正な集約・分業化による医師の過労死防止▽患者も医師も救済できる法体系の見直し―の実現を呼び掛けた。

また、過労死弁護団全国連絡会議代表幹事・日本労働弁護団副会長の岡村親宜弁護士は、▽「特別条項付協定(特別な事情で1か月の残業時間が限度基準を超える場合、臨時に結ばれる協定)」の締結が常態化している▽全医連と医師ユニオンの調査では、過労死ライン(1か月80時間以上の時間外労働)を超えた協定が、全体の15%に達した―など、勤務医を取り巻く労働環境の劣悪さを提示。

こうした問題の根底には医師不足があると分析した上で、「すぐに裁判に訴えるのではなく、法に違反した現状を“梃子”に、国や病院に労働条件の改善を求めていくべきではないか」と提案した。

研究会に先立ち、医師ユニオンの植山直人代表は「まだ小さな団体だが、着実にさまざまな活動に取り組んでいく」とあいさつ。今後、ユニオンとして国会議員や厚生労働省への働き掛けを強化する方針を示した。

よくこういう話が出てきますと「いや俺はもっときつい仕事をしている!」と見当違いな奴隷自慢を始める方がいらっしゃいますけれども、別に医師の過労を避けるべきだというのは単に医者が逃げているからたまにはアメもしゃぶらせろといった話ではありません。
24時間眠らないと、集中力は運転免許の停止処分を受けるのと同等の酩酊状態にも匹敵すると言いますが、医師の過労を何故避けるべきかと言えば、それは何より患者自身の健康と安全に直結する最も大きな因子の一つであるからです。
医療ミスが原因でなくなる人の数は、自動車事故、乳がん、エイズで志望する人数より多いなんてデータがあるアメリカなどではその方面の研究も進んでいて、長時間労働をしている医師では重大な医療事故に遭遇する確率が3~6割も高くなるという報告があったりで、レジデントの過労死も契機として近年法的にも医師の過労防止のための対策が進んできています。
要するに医者を酷使しすぎるとかえって患者の不利益になる、であるからきちんと医者を休ませるための方策を患者側である国民も我が事として考えていかなければいけませんよという、これは大きな問題提起でもあると言えるんだと思いますね。

ひるがえって日本ではようやく医師の労組たる全国医師ユニオンが発足したばかりという状況ですが、残念ながら「医師の過労はかえって患者に迷惑をかける」という認識を当事者である医師自身ですらしっかりと認識していない場合が未だに多々見られるのも現状です。
このあたりは勤務医の場合、病院など施設側からの不当な勤務状況の強要がしばしば見られるというものも大きな問題ですが、最近ではようやく労基署もこのあたりに対して警告を発するようになってきたことにも見られるように、少しずつではありますが社会の認識も変化しつつあるようにも思えます。
一方でアメリカと異なり国民皆保険制度化で「いつでもどこでも誰でも同じ医療を」が建前の日本においては、年々増え続ける医療需要に無制限に応え続ける一方での供給側の対策だけでは自ずから限界がありますが、近年ようやく需要側の対策も顧みられるようになってきました。

先日の中医協で軽症患者の救急外来受診に対し追加料金徴収をという話が出てきた件で、患者代表ら支払側医員からは導入に慎重な意見が出ていたと言う件を紹介しました。
この件に関しては結局来年度での導入は見送られる方針が決まったとのことなのですが、ともすれば患者側からの反発を招きかねない案件だけにまずは拙速を避けたということなのでしょうが、一般紙での記事を見る限りではその反対の理由と言うものがいささか説得力にかけるようにも思えるところですよね。

軽症の救急患者から特別料金、10年度は見送り(2010年1月27日朝日新聞)

 症状が軽く必要性が低いのに救急外来を受診する患者から特別料金を徴収できる仕組みについて、中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)は27日、新年度の診療報酬改定での導入見送りを決めた。委員間で合意が得られず、断念した。ただ、救急医療の適正な利用を求めていく点では一致し、当面は啓発活動を充実させることで対応する。

 軽症患者が、自分の都合で夜間や休日に受診するケースがあり、救急医療現場の負担増加につながっていると指摘されている。中医協は、医師らの負担軽減策の一環として特別料金の徴収を検討。対象を重度の患者を受け入れる救急救命センター(全国で221施設)に限定したうえで、診療前に患者側に周知することや診療の優先順位の基準を各医療機関で策定する――などを条件に徴収できる仕組みが検討されていた。徴収対象の典型例として「虫さされがかゆい」「海外旅行なので、いつもの薬をたくさんほしい」が示されていた。

 この日の中医協では、患者ら支払い側委員が、「患者自身が(軽症か)判断できないことが多い」「逆に、お金を払えば(救急に)行っても良いとなりかねない」など導入に反対。患者に適正利用を働きかける取り組みをしたうえで、検討すべきだとの意見が出た。

 これに対し、医師ら診療側委員は「本当に救急医療が必要な人が受けられないことがある」など導入の必要性を訴えたが、新年度からの導入は時期尚早と結論づけられた。

 ただ、現在も一定の条件を満たして救急外来で特別料金を徴収している場合は、今後も継続できる。

ところで患者ら支払い側委員が反対したと記事にはありますが、一般論として受診抑制は保険者側の支払いの抑制にもつながる話だけに、支払側の中でも保険者の側からこういう理由で反対意見が出て見送りになるというのは少し意外な気もします。
このあたりはまだ当日の議事録が公開されていませんので実際の議論の内容に関しては何とも言い難いところがありますけれども、ちょうど患者側代表として中医協に参加している「陣痛促進剤による被害を考える会」での御活躍などでも御高名な勝村久司氏がそのあたりに言及しているようですので、記事を紹介してみましょう。
しかしこの記事、抜粋した後半部分が該当部分ですけれども、レセプト発行義務化についての前半部分に関してもなかなか興味深い内容で、このあたりからも推察するに中医協の場においても同氏は長年の持論を徹底して繰り返しているのだろうなと推察できるところではありますね。

日本中の患者を“中医協委員”に(2010年1月30日CBニュース)
より抜粋

【第94回】勝村久司さん(中央社会保険医療協議会委員、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)

 診療行為ごとの医療費を記載するレセプト並みの明細書をめぐっては、2008年度診療報酬改定でレセプトのオンライン請求を行う病院(400床以上)に対し、患者が希望する場合の発行が義務付けられた。今年1月15日の中医協総会が取りまとめた来年度報酬改定の「現時点の骨子」では、発行を義務付ける医療機関の対象を拡大する方針が示されている。これに対し、05年から中医協委員を務めている勝村久司さんは、全患者への無料発行を断固として主張してきた。 4月に任期中最後の報酬改定を迎えるに当たり、実現に向けた思いなどを聞いた。(木下奈緒美)
(略)

■軽症患者からの特別料金徴収、「効果的でない」

-病院勤務医の負担軽減策として、一定の条件の下で、救急外来を受診する軽症患者から「特別な料金」を徴収することが検討されています。
 目的は理解できますが、手法がよくないため、目的を達成できるどころか、かえって混乱を招くと感じ、この手法には反対しています。腹痛を訴える子どもを連れて行って、大丈夫だと言われて帰ったものの、腸閉塞で死んでしまった子どもの事例だけでも複数聞いています。軽症かどうかの判断をするにしても、安易にすれば医療過誤になるし、かといって「間違いなく軽症だ」と判断するためには、相当の時間がかかることが多いかもしれません。これでは勤務医がますます大変になってしまいます。
 高校を例にすると、定期試験終了前になって、「トイレに行きたい」と言い出す生徒がいたとします。教室で座っているのが退屈だからなのか、保健上の理由なのかの見極めはとても難しく、わがままや自分勝手な言動の生徒でも、その時だけは本当にトイレに行く必要があるかもしれません。変に偏見を持って「我慢しろ」と言ったところ、実は本当に体調が悪かったとすれば、教師としてあってはならないことです。これと同じで、軽症と思って来ているのかそうでないのか、実際に軽症なのかどうかの区別ができないから危険なのです。こうした判断は、人間相手の仕事では非常に難しいと思います。楽になろうとするのではなく、難しいと思い続けて、その中で一生懸命、精いっぱいやることが、人間相手の仕事ではベストなのです。何らかのルールを導入すれば簡単に解決できるのではないかという論理は、生活指導が大変な学校などで既に多くの教訓がありますので、そのあたりから学ぶこともできるでしょう。お金を払わせるというルールを作れば、お金を持っている人でわがままな人は、お金を払うことで堂々と軽症でも優先して受診できることになります。お金持ちであろうとなかろうと、救急の現場では軽症は優先しないと、受付で毅然と対応しようと努力している人にとって、軽症でもお金を払えばよいというルールを作れば、そうした対応が取りにくくなってしまいます。

-基本的な考え方に問題があるということですか。
 いいえ。軽症患者がたくさん来て救急が困っているから何とかしたいという考え方は分かります。この議論は20年以上、救急の現場で言われ続けていることだとも認識しています。もちろん、勤務医の負担軽減に向けた議論はすべきだし、患者への啓発はどんどんしていくべきです。ただ、料金を徴収するのは、患者の行動形態を変えるやり方ですし、その手法は効果的ではありません。そうではなく、例えば深夜や早朝に診療をしている診療所には、これまでの加算以上に、より多くの手当を付ける。また、週1回でも深夜に診療をするなら加算を増やす。こうした手法を取れば、実際の救急外来で働いている勤務医の負担が軽減していくのではないでしょうか。差額ベッドのように、料金を徴収することで個室希望を減らそうというような安易なやり方は、命にかかわる救急では、貧困に苦しむ人が救急の受診抑制をする事態をもたらしかねません。方向性自体が危険だと感じています。

どうもいささか方向性がずれていると言いますか、供給が一杯一杯で需要制限しかないと言う状況があって、患者の行動形態を変えるにはどうしたらよいかという議論をしている最中に、それは患者の行動形態を変えるから駄目だ、それより供給側をもっと手厚くせよと言われてもどうなのよと感じてしまう話ではあります。
今回の件に限らず勝村氏の言動を見ていると「それは万一〇〇のことがあるかも知れないから駄目」というリスクのみを取り上げて行く論法で主張している場合が非常に多いように感じますけれども、医療現場の声を代弁して診療側委員が今言っていることは、突き詰めれば「”日常的に”破綻している現場を維持するためには、”万一の”リスクは患者に負ってもらわなければ仕方がない」という話なんだと思うのですけれどもね。
もちろん氏としても患者側の代表として中医協に呼ばれているわけですから、医療側に擦り寄ったことばかり言って患者側の権利を十分に主張しないようでは話になりませんけれども、まさにこうしたゼロリスク症候群とも言うべき患者側の認識をどう変えて行くかという方法論こそが、今この瞬間に医療を守るために求められている議論なんだと言う気がしますね。

ゼロリスクを追求し続けるとかえって社会がうまく回らなくなってしまう、すなわちリスクを避けているようで実はより大きなリスクを負う結果になってしまうとは現実世界ではしばしば見られることですが、今医療で起こっていることもまさに同様で、過度に医療に要求を続ける需要側の自己抑制がなければ結局今以上に需給バランスが崩壊し、かえって需要に応えることができなくなってしまう理屈であるわけです。
その意味で言いますと、恐らく最も強固な患者側権利意識の体現者であろう(苦笑)勝村氏らを中医協の場で如何に説得して行くかということ自体が、広く国民に対してこの問題をどう啓発して行くかということの良い予行演習にはなるのかも知れません。

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