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2010年1月

2010年1月31日 (日)

今日のぐり:「らーめん食楽(くら)」

何気なくニュースを見ていましたら、こんなちょっと愉快な?記事が出ていました。

ペット店長ペンギン泥棒、動物園でバッグ詰め(2010年1月28日読売新聞)

 長崎県西海市の動植物園「長崎バイオパーク」のペンギンをバッグに詰めて盗んだとして、県警西海署は27日、福岡市西区女原、ペットショップ店長本田旭容疑者(24)を窃盗容疑で緊急逮捕した。

 発表によると、27日午後3時半頃、雌のフンボルトペンギン1羽(体長約50センチ)をキャリーバッグ(高さ約55センチ、横約35センチ、奥行き約25センチ)に入れて盗んだ疑い。

 本田容疑者は「ペンギンを捕った」と容疑を認めているという。同署は、盗んだ方法や動機を追及している。

 「動物を捕る男がいる」との情報が同署に寄せられ、署員がパーク内を警戒していた。不審な動きをしていた本田容疑者に声をかけ、バッグを確認したところ、ペンギンが入っていた。けがなどはしておらず、本田容疑者は当初、「ペンギンを返しにきただけだ」と話していたという。

 フンボルトペンギンは、南米に多く生息。ワシントン条約で売買が禁止され、飼育するには環境省の許可が必要という。同パークでは2009年7月から8羽を飼育。屋外の水路に囲まれた敷地で放し飼いにしているが、水路の外の通路に出てくることもあるという。

 大宅貴之業務部長は「人懐っこいのかもしれない。巡回強化など対応を検討したい」と話している。

フンボルトペンギンと言えば結構大きいでしょうに、おとなしく狭苦しいバッグに入ってしまうというのは人懐っこすぎるにも程があるというものでしょう。
今日は世界各地の動物ネタを取り上げてみようかと思いますが、まずはこちら先ごろから時折ニュースになっていたあの御方のその後です。

スピード出世! たま駅長が役員に 和歌山電鉄(2010年1月4日産経新聞)

 和歌山電鉄貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市)のスーパー駅長「たま」が3日、役員に昇任。金帯が2本入った制帽を贈られた。

 低迷していた同線の年間利用者を約30万人増やすなど、絶大な集客力が評価された。役員報酬は夏に完成予定のたまモデルの新駅舎で、総工費約1億円。

 4月には11歳。人間の還暦ぐらいに当たる年齢だが「ニャー!」と意気盛ん。小嶋光信社長は「ネコ科の寅年だけに、ますます活躍に期待したい」。

この不景気の時代にスピード出世とはめでたい話ですけれども、この役員報酬が新駅舎というのは駅舎の私物化を容認するようでいささか問題ではないでしょうか(苦笑)。
さて、同じく猫の話題ながらこちらは少しばかり寂しいニュースとなってしまいました。

バスの常連だった英国の猫、ひき逃げで死ぬ(2010年1月20日ロイター)

 [ロンドン 19日 ロイター] 英南部の都市プリマスでバスに乗り市内を移動することで有名だった猫「キャスパー」が、ひき逃げ事故で死んだことが分かった。地元メディアが伝えた。

 毛の色は白と黒で12歳だったキャスパーは、通勤客らと自宅前の停留所でバスを待ち、3番のバスに飛び乗ると車内では空席を見つけ丸くなっていたという。バスの運転手らは顔なじみだったため、どの停留所で降ろせばよいか心得ていた。

 バスの運行会社は、キャスパーの死について「非常にショックで悲しんでいる」とコメント。スポークスマンは声明で「今は天国で探検を楽しみ、ほかの猫たちにも自分の冒険談を語っていることだろう」と述べた。

 飼い主によると、キャスパーは2002年に保護施設から引き取られた。自由な精神の持ち主でいつも迷子になっていたため、漫画の幽霊のキャラクターから名前が付けられたという。

12歳と言えばかれこれ良いお歳ではありますけれども、虎は死して皮を残しキャスパーは死して伝説を残すものとご冥福をお祈り申し上げます。
しかし自由な精神の持ち主と言えば聞こえはよろしいですがいつも迷子になっていたというと、やはりそれは方向感覚に多少問題がおありではなかったかとも懸念されるところなんですが、率直にいってバスになど乗せられているからどこにいるのか判らなくなっていたのではないかというのは、してはならない野暮突っ込みというものでしょうかね?
続いてこちら、何やら名前からして伝説を作りそうなものが実際伝説を作ってしまったと言う、何やら運命的なものすら感じさせる話題を取り上げてみましょう。

「天使」という名の飼い犬、11歳少年をピューマ襲撃から救う (2010年1月5日CNN)

カナダ西部ブリティッシュコロンビア州で2日、エンジェル(天使)と名付けられたゴールデン・レトリーバーが飼い主一家の11歳少年をピューマの襲撃から救い出し、話題になっている。エンジェルはピューマに引っかかれるなどして、首や顔などにけがを負ったが命に別状はない。ピューマは駆け付けた警官が射殺した。

ピューマは同州バンクーバーの北約210キロの町ボストン・バーで、オースティン・フォーマン君(11)が裏庭にいるところに現れた。

オースティン君は最初、自宅で飼うエンジェル(18カ月)とは違う犬だと思ったが、光に照らされた姿を見てピューマと確信。「家の中に駆け込まなきゃ」と思ったという。

ちょうどそのとき、オースティン君に何が起こったのかを理解したように、エンジェルがためらうことなく、ピューマとオースティン君の間に立ちはだかった。エンジェルのおかげでピューマに襲われることなく家に入ったオースティン君は、家族に知らせて警察に通報。ちょうど、フォーマン家の近くにいた警官が駆けつけ、ピューマを射殺した。

エンジェルはピューマと格闘した際に、顔と首、脚や 目にけがを負って、動物病院で手当てを受けた。診療した獣医師は、「警官が駆けつけるのが遅かったら、この犬はピューマに殺されていただろう」と話している。

ゴールデンレトリーバーも30kgクラスの結構大型の犬種ですけれども、ピューマと言えば大きいものでは100kgにもなると言いますから、これは一回りもふた回りも大きな相手によく挑んでいったものだと思います。
ところで話は飛びますけれども、ピューマと言う生き物はライオンなどのヒョウ亜科ではなく、イエネコやヤマネコと同じネコ亜科の生き物なんだそうで、同じネコとは言ってもこんなに大きなものもいるのだなと感心しますね。
さて、こちら最後はちょっと愉快な、しかし当人たちにとっては真剣そのものというニュースです。

海上の激闘!魚を巡って人間とアシカの争い勃発!(2010年1月10日ロケットニュース24)

南アフリカのウェスタン・ケープ州モス・ベイ近海で、人間とアシカの激闘が繰り広げられた。この付近ではよく釣れるkob、またはkabeljouと呼ばれる巨大な魚を釣った男性が目にしたものは、魚の尾をくわえて離さないアシカだった。

デイリーメールによると、釣り人たちはインド洋での釣り旅行からの帰りがけに劇的な争いに巻き込まれた。メンバーの1人が大きな魚を釣ったところ、突然、海面にアシカが姿を現した。アシカは獲物を取られまいとして必死に魚の尾に噛みついており、体が半分以上海面に出ても諦めなかった。釣り人も、負けじと魚を引っ張り上げようとした。歯を食いしばり、鳴き声をあげるなどアシカも健闘したが、勝利したのは釣り人側だった。(画像をもっと見る

この珍しいシーンを写真に収めたのは、写真家のLee Whittamさん。彼は「釣り人らのボートが波止場近くにあったために撮影できた」とし、「釣り人は最後まで獲物を離さなかった。アシカは、魚を持たずに海のなかへと去って行った」と激闘の様子を話した。

まあしかし釣り人も大人気ないという話ですが、面白いのはこの写真家のLee Whittam氏なる人物、他にも浮気者のオスライオンにジェラシーむき出しのメスライオンの撮影に成功したりと、妙な写真ばっかり狙って取ってるんじゃないかとも思われる節があるところなんですが…

今日のぐり:「らーめん食楽(くら)」

倉敷市街地から南方向に進んでいきますと、山へ登っていく登り口の手前あがりにあるのがこちらのお店です。
ネットで見ますと2009年6月にオープンしたというばかりですから新しい店なのでしょうが、確か前にこの場所には違うラーメン屋があったような…?
何にしろ今の時代、外食産業も栄枯盛衰が激しいということなんでしょうか。

「ぶちうま醤油らーめん」「ぶち盛りつけ麺」など色々と心惹かれるメニューがあるようなのですが、この日はとりあえず一番味が想像出来なかった汁無ラーメン「くら名物ぶちそば」を頼んでみました。
この汁のないラーメンというもの、色々な系統があってそれぞれに個性がありますけれども、この店のものは小ぶりの丼に入った麺の上に刻んだチャーシュー、ネギ、しなちくに半熟卵とトッピングされているというものです。
タレなどで好みの味をつけろと言われましたので何とも思わずにタレをかけて食べたのですが、意外にしっかり下味がついていたようで少し辛くなりすぎてしまいましたから(というか、辛口メニューが多いように基本的に辛い店のようです)、結果としてまずは何もかけずに試してみた方がよかったように思いますね。

食べてみるとまあそれなりにシコシコと触感のいい麺はまずまずいけるしタレもそう悪くない味なんですが、とにかくこの冷えたチャーシューの脂身が食べていてつらいですね。
サッパリ系のタレで冷やしてある冷やし中華などと違って、こちらは脂っぽいタレで温かい麺を食べさせるわけですが、そもそも器が小さい上にスープもなく熱容量が小さいこともあって、食べていると何とも微妙な温度に冷めてくるようですから、余計に脂が舌にまとわりついて感じられるのでしょうか。
加えてこの小さな器に盛られている時点で見た目が貧弱と言いますか、そもそもラーメンで味、ボリューム、見た目そしてコスト的に一番重要なスープがないわけですから、その分麺を増やすなりしないと同じような価格では何やら損したように思えますよね。
大盛りメニューでつけ麺300グラムなんてのもあるのですから、同じく麺主体のメニューとしてこれも少し量を増やしてみてもいいような気がするんですが、しかしそうするとこの器では入らないんでしょうねえ。

最近の店としては値段はそれほど高いわけでもないようですし、超大盛りやら脂ぎったコッテリ系やらピリ辛やらとそういった方面へアピールする要素も一通り取り揃えているようですから、後はこういう方向性が好きかどうかという問題になってくるのでしょうか。
色々とウケ線が一通り揃っているとも言えるし、今ひとつ方向性が定まらないのかなという印象もなくはないんですが、若い人がグループで行く分には取り敢えず何かしらピンと来るメニューの一つくらいはありそうですから、そういう面では入りやすい店ということなんでしょうか?
ちなみに何やら店内の漫画類などが異様に充実していることも特筆しておくべきなのかとも思うのですが、今後もメニューを増やして行く予定がある様子ですので、多少オペレーションに手間取っても時間を持て余さずにはすみそうですよね。

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2010年1月30日 (土)

妙に危機感のない人達 しかし崩壊の足音はすぐそばに…?

またあの新聞社か!という話ですけれども、先日はまたまたこういう記事が出ていました。
いちいち社外での個人的ゴシップまでは取り上げるつもりはありませんけれども、こういう業務の一環として行われたこととなるとやはり見過ごしには出来ません。

小泉氏引退の記事、毎日新聞に100万円賠償命令(2010年1月27日読売新聞)

 小泉純一郎元首相の引退表明を巡る記事で名誉を傷つけられたとして、元首相秘書官の飯島勲氏が、毎日新聞社に1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。

 松並重雄裁判長は「原告の発言をまとめた取材メモから、原告が小泉元首相の引退の報道を聞いて発言したものと思いこんで記事を作成し、名誉を傷つけた」と述べ、同社に100万円の支払いを命じた。

 問題となったのは、2008年9月26日の朝刊。小泉元首相が引退を表明したことについて、飯島氏が「『次期衆院選で小泉氏が応援しても小泉チルドレンは負けるだろう』と語った」などと報じた。判決は「発言の時期、場面を十分に確認しないまま不正確に引用し、重大な過失により誤った記事を作成した」と指摘した。

 毎日新聞社社長室広報担当の話「取材が適切だったことは認定されているが、承服できない点があるので、控訴を検討する」

他人の名誉を傷つけるということに関してはさすがに業界トップランナーたる毎日新聞だけのことはあると専らの評判ですけれども、この種の発言の切り貼りというものはかなりありふれた手法であるとも言われるだけに、これを単に重大な過失と言い切ってしまってよいものかという疑問は残るところです。
本日はこちらの会社の関わるネタを取り上げてみたいと思いますが、しかしどうも見ていて思うことに、奇妙なほどに危機感がないようにも感じられるのは自分だけでしょうか?
毎日新聞という会社が世間から見放されつつあるという状況は、発行部数低下やスポンサー離れといった客観的指標から明らかであろうと思われるのに、何かしら妙に世間を下に見ているのか「取材してやっているのだからありがたく思え」とでも言いたげなところが垣間見られるのが面白いですね。
今どき毎日新聞が取材に来たなどと言えばそれだけで警戒信号発令ものですけれども、御本人たちは「また羽織りゴロが…」という世間の冷たい視線を感じていないのか、あるいは無視しているということなのでしょうか?

きび談語:「取材は断る、帰れ」。取材で訪れた… /岡山(2010年1月20日毎日新聞)

 「取材は断る、帰れ」。取材で訪れたラーメン店。店主は厳しい視線で突っぱねた。どうしたものか、ラーメンを注文して思案していると、「あんたもお客さんの一人。うちは客を大事に思って50年間、商売してきた。閉店後に話を聞くわ」と店主▲ひと安心したものの、「誰でも取材に応じると勘違いしているのでは」と問い詰められるような視線が痛かった。「取材する側とされる側」、あの視線を常に心にとどめておきたい。【坂根真理】

こちらの店主さんが誰でも取材に応じるかどうかはともかく、最近では相手によって取材になど応じないという人も増えてきているようですけれどもね(苦笑)。
というかこの坂根記者、記事から推測するにアポも取らずに飛び込みで営業時間の最中に押しかけていきなり取材させろと主張したようにしか見えないんですけれども、それは「取材する側とされる側」なんて言う以前に一体社会人としてどれだけ非常識なのかと言う話ではないかと思うのですが。
自分たちにとってさえ良ければどこにでも何にでも噛み付くというのは業界としての特質もあるのかも知れませんが、こちらではむしろ見境のない噛み付きぶりを開き直ったかに思える発言をしているようです。

論説ノート:サメと大統領=布施広(2010年1月28日毎日新聞)

 最近、四半世紀も前の「イラン・コントラ事件」をよく思い出す。米国からイランへの秘密の武器売却が絡む、スパイ小説顔負けの構図そのものではない。レーガン米大統領は、マスコミを血のにおいに狂奔するサメにたとえたという。最高権力者の関与を懸命に調べる記者たちが、ほとほと嫌になったに違いない。

 だが結果は「サメ」たちの粘り勝ちと言えようか。事件発覚の翌年(87年)、米議会の調査委員会は大統領の責任を認めた報告書をまとめる。大統領も釈明のテレビ演説に追い込まれた。当時私は米国の大学にいて国際問題の知識も英語力も貧しかったが、「弁解はしない。間違いだった」という言葉を覚えている。

 さて2010年の日本では民主党が検察の情報操作やリークの有無を調査中だ。「関係者によると」という報道も問題にされた。が、このタイミングでの調査は、検察から任意の事情聴取を受けた小沢一郎民主党幹事長への配慮を思わせるばかりで、日本がよくなるという気はしない。

 洋の東西を問わず権力者は「サメ」をうるさがるものだ。だが米紙がベトナム戦争に関する極秘報告書(ペンタゴン・ペーパーズ)を報じなければ、また「ディープスロート」の情報に基づいて「大統領の犯罪」(ウォーターゲート事件)を暴かなければ、世界はどうなっていただろう。

 米国に範を求めるまでもなく、日本にもすぐれた調査報道は多い。国家が正しくあるための自浄作用としてにじみ出す情報。リークにはそんな側面があり、マスコミは貴重な情報を正しく生かす責任がある。そのためなら、私も喜んで「サメ」と呼ばれよう

基本的に相手の隠したがるものを暴くというのがジャーナリストに求められる要件なのかも知れませんが、こういう御高説を垂れて見せるくらいなら自ら記者クラブ制度などというマヤカシを撤廃するために動いて見せないことには、「またいつもの自己正当化か」と勘ぐられるのがオチなのではないかとも思うのですが(苦笑)。
ちなみにアメリカではサメと呼ばれるのかも知れませんけれども、日本ではこういう場合の表現として昔から「ダボハゼ」という言葉がありますから、毎日新聞も喜んで「ダボハゼ」と呼ばれるよう日々精進されるのがよろしいかのではないでしょうか。
さて、今どき世間では新聞離れが盛んに言われ、毎日新聞を始めとする新聞社の経営不振の原因とも言われていますけれども、最近ではこういう活動で若い人たちを洗脳…もとい、売り込み活動に熱心なようですね。

支局長からの手紙:教育に新聞を /鳥取(2010年1月18日毎日新聞)

 NIE(教育に新聞を)実践校の一つ、三朝町本泉の同町立三朝中学校(福嶋千寿子校長)で14日、読売新聞鳥取支局倉吉通信部の三浦康男記者(59)が出前授業をしました。

 NIEはNewspaper in Educationの略称。学校や家庭などで新聞を生きた教材として活用してもらう運動で、現代社会を生きていくうえで必要となる情報能力を育ててもらうのが目的です。1930年代にアメリカでスタートし、日本を含む世界60カ国以上で実施されています。

 県内では98年に県NIE推進協議会が設立されました。毎日新聞をはじめ、県内に取材活動拠点を持つ新聞社、通信社計10社や県教委などがメンバーです。出前授業もこの運動の一環で、各社がローテーションで記者を派遣しています。

 三浦記者は5年前に赴任。倉吉市など県中部エリアを担当し、写真を撮り、記事を書いています。出前授業には1年生の2クラス42人が出席。生徒の質問に三浦記者が答える形式で進められました。

 --働いていて大変なことは。

 ◆(事件や事故などが発生し)休みの日に呼び出された時、「因果な商売だなぁ」と時々思う。

 --どのようにして情報を仕入れていますか。

 ◆役場の情報だけに頼らず、まちの一般の人と交流を深めて、何かあったら情報をもらうようにしている。

 --記事を書くうえで気を付けていることや、工夫していることは。

 ◆淡々と事実だけを書くのではなく、エピソードを織り交ぜ、分かりやすく書くようにしている。

 --記事を書くのにどのくらい時間がかかりますか。

 ◆(小さい)火災や交通事故の記事は5~10分で書くが、(大きい記事など)調べるのに時間を要する記事は1日では書けない。

 --記事を書いて良かったと思うことは。

 ◆書いた記事について、「良かった」と電話があった時、ちょっとうれしいかなぁ。

 こうした後、三浦記者は記事を書くうえで基本となる「5W1H」(When=いつ▽Where=どこで▽What=何を▽Who=誰が▽Why=なぜ▽How=どのように)の大切さを強調しました。

 インターネットで情報が氾濫(はんらん)し、新聞を巡る環境は激変しています。しかし、インターネットでは、自分が必要とする、興味を持つ情報しかアクセスしないため、偏った情報になりがちです。一方で、新聞は新聞記者が情報の裏付けを取って確認し、見出しの大きさによって記事の重要度を示すため、記事に対する責任の所在が明らかで、価値基準が一目りょう然の、しかも広範な情報に触れることのできるメディアといえます。

 このインターネットと新聞の比較は、本を購入する時に似ています。購入する本が決まっている場合、インターネットで注文すれば時間や手間が省けます。しかし、リアル(本物の)書店に行くことによって、思ってもみなかった本を見つけることができるのです。

 生活するうえで、社会の情報を共有することがいかに大切であるかを知り、もっと新聞に親しんでもらいたいと願っています。【鳥取支局長・高橋和宏】

この記事を見ていて面白いなと思ったのは、毎日の記事であるにも関わらず語っているのが読売の記者であるということなんですが、さすがの毎日も自分とこの記者にこのテーマで語らせるほどの面の皮の厚さはなかったということなんでしょうか?(苦笑)
しかしインターネットが偏った情報になると言いながら、新聞記者の恣意的なセレクションが偏っていないかのような言い方は大いに誤解を招くところですし、今どき新聞の方がネットよりも広範な情報に触れることが出来るなんて、どんな誇大妄想気味の新聞原理主義者でも口に出せないかと思うような話ですが、逆に毎日の記者さんにとってネットはそのレベルでしか活用できていないということなんでしょうかね?
ところで世の中にはインターネットの普及などもあって新聞業界の経営が不安定だ、この際国が金を出して子どもたちに新聞を配ればいいなんて愉快なことを主張される方々もいらっしゃるようですけれども、まさか国家が正しくあるための自浄作用とも自認する毎日新聞ともあろうものが、公権力に飼われるようなことを認めるはずもありませんよね(苦笑)。

いずれにしても経営不振に記者クラブ制度など、日本の新聞業界が数々の構造的問題を抱え込んでいることは今さらの話ではありませんが、最近ではこうした問題は諸外国にも知れ渡ってきているようですね。
特に海外メディアの「日本離れ」が進んでいるなどと言う話に至っては、これは日本社会全体の停滞傾向とも無関係ではありませんけれども、長年お仲間だけに都合の良いシステムを強固に築き上げ「外夷」を排除してきた閉鎖性というものがその根底にあるのではないかという気がします。
さて、このあたりにどれだけの自浄作用を発揮出来るものか、普段から他人に対してはひどく弁舌厳しい彼ら業界の威信がかかっている問題ではないかとも思うのですけれどもね。

経営不振に記者クラブ問題 海外メディア続々「日本離れ」(2010年1月10日J-CASTニュース)

   

外国メディアの「日本離れ」が加速している。米大手紙や「タイム」といったメジャーな雑誌が、続々と東京支局を「店じまい」しているのだ。この背景には、メディア業界の不振があるとは言え、「関心が中国に移っているのはもちろん、記者クラブなどの『取材のしにくさ』が一因。このままでは日本の情報発信力が低下するばかり」と危惧する声が高まっている。

   財団法人フォーリン・プレスセンター(FPC)の調べによると、日本で活動している外国メディアの記者は188機関・570人(09年10月20日現在)。一見すると多いようにも見えるが、ここ数年で東京支局を廃止する例が相次いでいる。

米タイムもニューズウィークも東京支局を閉鎖

   例えば部数では全米第4位のロサンゼルス・タイムズは08年秋、東京支局を閉鎖。日本関連で大ニュースが起きると、ソウル支局の記者が東京に出張して取材するという。ニューヨーク・タイムズやワシントンポストも、東京での取材人員を縮小している。

   ここ1~2年ほどを見ると、それ以外にもシドニー・モーニング・ヘラルド(豪)、オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(同)、ニューズウィーク誌(米)といった報道機関が東京支局の閉鎖に踏み切っている。

   また、朝日新聞が10年1月7日に報じたところによると、国際週刊誌としてはニューズウィーク誌と同様に有名な米タイム誌も、10年1月に、東京支局を閉鎖する。

   このような現状に、日本の影響力低下を危惧する声があがっている。

   例えばニューヨーク・タイムズ東京支局での勤務経験もあるジャーナリストの上杉隆さんは、タイムの支局閉鎖に

    「タイムもですか…」

と落胆した上で、閉鎖の背景を

    「経営難に加えて、中国に比べて、各社が日本を取材するためのインセンティブが落ちている、ということがあります。加えて、日本特有の記者クラブ制度によって、会見に出られないことが多々ある。これでは、記者は記者クラブのない中国などに流れてしまいます」

と説明。

一度出て行ったメディアは戻ってこない

   つまり、(1)経営難(2)中国に関心が移っている(3)日本は取材がしにくい、といった大きく3つの理由があるとみている。さらに、「閉鎖後」についても悲観的だ。

   「支局を閉じるのは簡単ですが、開いたり復活させるのには非常に労力がかかります。一度出て行ったメディアは、まず戻ってこないと思ったほうが良いでしょう。実は自分が勤務していたニューヨーク・タイムズの東京支局では、日本以外にも韓国など周辺国をカバーしていました。相対的に韓国の情報については薄かった訳ですが、今後は逆に日本についての情報が薄くなり、日本の情報発信力が相当落ちてしまう。鳩山政権では記者会見のオープン化に向けての取り組みを進めていますが、もう手遅れなのではないでしょうか。もっとも、この責任を負うべきは、一義的には(会見を閉鎖的にしてきた)メディアの側だと思いますが…」

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2010年1月29日 (金)

救急医療 意外なところから意外な方向へ話が進んでいたりするようで

またもたらい回しか!なんて見出しが踊るのが見えるようですけれども、こういうニュースが出ていました。

東京消防庁が救急搬送ミス 5カ所断られた男性死亡(2010年1月28日産経新聞)

 東京消防庁が昨年12月下旬、東京都目黒区の男性(73)を救急搬送した際、救急隊員が搬送先の医療機関と連絡を取らずに搬送し、受け入れを断れていたことが28日、都などへの取材で分かった。男性は同病院を含む計5病院で受け入れを断られ、死亡した。第3者の医師らで作る「都メディカルコントロール協議会」がミスと死亡との因果関係を調べている。

 都救急災害医療課によると、昨年12月24日午後3時25分ごろ、男性の搬送を求める119番通報があり、救急隊が出動。救急隊員は搬送先に決めた東邦大大橋病院(目黒区)の連絡先を間違え、目黒病院(同)に受け入れを要請した。

 救急隊員はミスに気付かないまま大橋病院に搬送したが、大橋病院は他の救急患者の治療があったため、受け入れを断ったという。

 その後、目黒病院に向かったが、病状から医師の判断で転院を勧められるなど、計5病院で搬送を断られた。男性は119番通報してから約1時間45分後に6か所目の病院(同)に搬送されたが、大動脈解離で死亡した。

 東京消防庁は「救急搬送時に救急隊員がPHSの操作を誤り、病院連絡にミスがあったことは事実。遺族に説明し、謝罪した」としている。

ちなみに目黒病院のHPを見てみましたが、訪問看護などをやっている60床の小さな病院ですから、さすがにここにダイセクを受け入れろと言うのは無理がありそうですね(逆に言えば目黒病院への間違い電話でどういう情報を伝えていたのか、ですが)。
やはりとっさの時にはこういう間違いが起こりやすいということですが、いち早く謝罪をしたという消防庁がこの件に関して、どんな再発防止策を立ててくるのかといったことにも注目すべきかと思うところです。

救急搬送というものはもちろん全国どこでも同じような態勢であれば不公平感もないのでしょうが、医療資源や道路資源、地理的状況など各種の前提条件が異なっている以上は現実的に無理な話ですよね。
最近では何でも治療の標準化が進んでいるのは基本的にいいことなのでしょうが、あまりそのハードルが高すぎると「帝王切開は30分以内に」なんて話と同様、現場がついてくることが出来ず自分の首を絞める結果となってしまう場合もあるわけです。
最近ではt-PAだ、3時間ルールだと脳梗塞も時間との戦いですが、先ごろ脳梗塞急性期の救急搬送には(当然ながら)地域差が大きいという調査結果が一般紙に出ていまして、こういう現実の存在は存在として「医療水準に地域格差があってはならない」、故に格差是正の対策をと総括することが必ずしも正しいことなのかどうか、個人的にはいささか疑問無しとしません。

純粋に搬送の地域差をなくすためというのであれば、医療体制整備に金を使うより田舎の道路なり救急搬送用のヘリなりの整備に金を使った方が有効でしょうが、当然ながら財政難の折に土建行政に金をかければかけるほど医療行政に回ってくる金は減る道理で、各差は減ってもトータルの医療水準はかえって下がってしまうでしょう。
医療リソースが豊富な地域から貧弱な地域へ(国が強制的に?)再配置を行って医療水準を均一化した方が地域差はなくなる理屈ですが、基幹病院のレベルが引き下げられる結果、全体が低い水準の方に統一されてしまう可能性も考えないといけないでしょう。
医療提供体制を均一化することと医療の水準を引き上げることは全く別な話であるはずですし、多少遠くともいざとなったら何でも送れる高度なセンター施設が後ろに控えていた方が、どこも何かしら力量不足な中小施設が身近に林立しているより実際問題医療はやりやすいと思うのですが、格差是正という判りやすいキーワードが実戦的な医療システム構築の妨げになったのでは仕方ないと思いますね。

ま、それは余談としまして、周産期救急というものも近年非常にクローズアップされていまして、特に問題となっているのが以前にも墨東病院などで「たらい回しで妊婦死亡!」なんて大騒ぎになりましたけれども、「妊婦が脳出血を発症した」といった場合の対応施設をどうするかです。
各地に周産期医療センターが整備されていますけれども、これはあくまで母体と胎児の安全を図るための施設ですから当然ながら産科と小児科が整っていることが要件で、そうなりますと妊婦が重篤な他疾患を発症したという場合に対応できかねる場合も現実的にあるわけですね。
かといって例えば脳卒中専門の施設となると今度は産科や小児科がそろっていないから妊婦は対応出来ないという話になりがちで、その点で東京都が「周産期の重症は何でも受け入れます」とうたうスーパー総合の実効性にも疑問が呈されているわけですが、どうやら厚労省の方では同じような施設を全国に広げていく過程で、何やらもう少し違うことを考えているようです。

周産期母子医療センターが新指針 産科以外の救急疾患に対応(2010年1月27日47ニュース)

 厚生労働省は、出産前後のハイリスクな治療にあたる総合周産期母子医療センターが、母体の脳血管障害など産科以外の救急疾患にも対応することなどを盛り込んだ新たな整備指針を策定し、27日までに都道府県に通知した。

 東京都内で2008年に脳出血の妊婦が死亡した問題を受け、1996年に定めた指針を初めて全面改正。産科と他診療科の連携などを進め、母体救命を含む周産期医療全体の質向上を目指す。

 全国のセンター運営や態勢整備のため2010年度予算案に59億円を計上し、09年度の10億円に比べ約6倍に大幅増額した。

 新指針では、全国に77施設ある「総合センター」で、施設内外の関係診療科と協力して心疾患や敗血症などの合併症にも対応するよう明記。確保すべき職員として麻酔科医や臨床心理士、長期入院児を支援するコーディネーターを挙げた。

まあそれは、そういう施設が増えてくれれば心強いという心理は理解出来ますけれども、現実問題今現在そうした対応が出来ていない施設で、新規に何でもありに対応可能となりそうな施設がどこまであるものかという問題もあるのでしょう。
次の段階としては例によって何でもあり対応可能な施設には手厚く、そうでない施設は診療報酬を削りますという話に持って行く予定なんだと思いますけれども、一方でこうした施設を逆の視点から見た場合に、妊婦であってもあらゆる合併症に対応出来るような施設ということであれば、これは当然ながら妊婦以外のあらゆる救急医療にも対応出来るはずという理屈が成り立つわけです。
厚労省としてはかねて持論として分散配置されている医療リソースを集約化するということを掲げていますけれども、あるいはこれは周産期救急という誰でも異論を唱え難いあたりを取っ掛かりにして、救急医療体制、ひいては地域の医療システムそのものを組み替えて行くつもりであるのかなと邪推?も出来そうな話なんですが、どうもこれが邪推ではなさそうなんですね。

個人的にも(少なくともある程度の)集約化というものは医療への要求水準が高くなっていく以上は必須だと考えているのですが、そうした目で見てみますと「施設内”外”の関係診療科と協力して」云々の記述も非常に意味深に見えてきます。
実際に厚労省が出した通知では多少穏やかな内容になっていますけれども、その元ネタである「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会報告書」を見てみますと、「周産期医療体制は従来から一般の救急医療とは別に構築されてきた経緯がある」として、救急と周産期の医療リソース一体化が一つの大きな柱となっていますね。
施設内においても当然ながら周産期担当と一般救急担当との連携がうたわれているわけですが、最近問題となっているNICU長期入院児問題などとも絡めて「救急医療施設と後方施設との連携を強化」する必要があるとして、初期から高次に至る地域医療ネットワークの構築と高次施設への医師やスタッフの充実、そして低次施設への「戻り搬送」の促進を提言しています。

はて、こうして見ますとこれは単に周産期救急体制の整備などという言葉にとどまらない内容で、むしろ地域医療体制の再構築というにふさわしい、さらに言うならば厚労省の持論である医療集約化そのものを具体化していく道筋を示した話ではないかと言う気がしてくるではありませんか。
かねて厚労省は理念を唱えるだけは唱えているにしてもどうやってプランを実現させて行くつもりなのか、その道程、方法論が見えてこないなと思っていましたけれども、「周産期救急はもっと充実させなければ!」なんて言われると誰も反対しにくい話であるだけに、少なくとも行政レベルではこのままで話が進んでしまいそうにも思えてしまいます。
実際に厚労省では「一口に二次救急と言ってもレベルはさまざま」と、救急医療に手厚くすることを目指す今回の診療報酬改定の中でも、相対的に低レベルな医療しか行わない医療施設にはお金を出さない腹のようですが、医療業界を追い込んでおいての一気の再編を元から狙っていたということであれば、近年の迷走するように見えて実は筋が通っていた医療行政にもやはり理由があったということなんでしょうかね?

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2010年1月28日 (木)

ウィルコムさんピンチでアレはどうなる?

このところ微妙に関連があるようなないような話題が続いていましたけれども、今日は一転して全く無関係な話です。
さて、管理人はNTTの携帯が「9.6kの高速データ通信!」なんて謳っていた頃からのモバイラーでして、今も外出のさいにはノートと通信カードは手放しませんけれども、たまたま何気なくニュースを読んでいましたら、こんな記事が出ていました。

ウィルコム 更生法の活用も視野 再建策2月に先送り(2010年1月27日産経新聞)

 PHS最大手のウィルコムが会社更生法を活用した再建計画を検討していることが27日、分かった。金融機関や支援企業の合意を得た上で同法の適用を申請する「事前調整(プレパッケージ)型」を採用する見通し。企業再生支援機構とソフトバンクが出資を含む支援に乗り出すことを前提に、2月にも東京地裁に更生法の適用を申請する方向で調整している。法的整理と支援機構を活用することで、透明性を確保しながら早期の再建を目指す。

 ウィルコムと取引金融機関は、1000億円近い借入金の返済を巡り、私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決)での手続きを進めてきた。

 今月26日には、取引金融機関への返済を2月まで先送りすることで合意したものの、肝心の再建計画がまとまらず調整が難航している。

 現在ウィルコムは、現行のPHS事業を手がける会社と、高速無線通信の次世代PHS事業を行う会社に分割する案を検討しており、この案などをもとに、金融機関に債権放棄を求めるとみられる。ただ、一部ではPHS事業の将来性を不安視する向きもあり、難航も予想される

PHS最大手って、ウィルコム以外どこもやってないやん!と素朴な突っ込みが入りますけれども、そう言えば自分も数年前に通信カードを解約して以来ウィルコムさんとの取引はありませんし、周囲でも今どきPHSを使っているという人を見かけませんよね。
そう思って記事を検索してみますと、どうやらこのところ非常に経営的にも綱渡りな状態になってきているのかと思わされるような話が結構出てきますが、長年定額通信カードでお世話になっただけに個人的には頑張ってもらいたいのですけれどもね。

【ドラマ・企業攻防】ウィルコムが大ピンチ 社長更迭も前途多難(2009年8月30日Iza)

 ピッチのウィルコムがピンチだ。国内で唯一、PHS事業を手掛けるが、契約数の減少に歯止めがかからない。26日には、筆頭株主である投資ファンドの米カーライルにより、喜久川政樹前社長が事実上解任され、経営も迷走している。来月にも開始される次世代通信サービスに賭けるが、その前途は多難だ。

 ■ピッチを愛する男

 日本の通信業界を代表する“名物”社長は静かにその職を辞した。記者会見も開かれず、短いプレスリリース一枚が発表されただけだった。喜久川氏は副会長に退き、ソニー出身の久保田幸雄氏が後任に就く。

 「PHSを心から愛する男」。業界関係者は、トレードマークのるスキンヘッド姿でウィルコムを引っ張ってきた喜久川氏のことをこう呼ぶ。

 早稲田大学卒業後、第二電電(現KDDI)に入社。その後、ウィルコムの前身であるPHS事業のDDIポケットに出向する。京セラとカーライルがDDIを買収し、ウィルコムと名を変えた後も残った。平成18年10月には、NTTや電力系事業者が相次ぎPHS事業から撤退する中、日本で唯一のPHS事業者となったウィルコムの社長に43歳の若さで就任する。

 出足は好調だった。音声・データ通信の定額プランや、17年に発売した国内初のスマートフォン(高機能携帯電話)「W-ZERO3」が好調で、社長就任から半年後の19年4月には、新規契約数から解約を引いた純増数が500万件超を記録した。

 ■携帯各社が猛攻撃

 しかし、好調は長くは続かない。ウィルコムの強みである音声とデータの定額サービスを照準に、携帯電話各社が猛烈な攻撃を仕掛けてきたことから、ウィルコムの契約件数は減少に転じる。

 攻撃の口火を切ったのはソフトバンクモバイルだ。19年1月に月額980円の安さで午前1時から午後9時まで契約者同士の通話が無料になる「ホワイトプラン」を開始。月額2900円で24時間無料で通話できるサービスを展開していたウィルコムに強烈な打撃を与えた。ソフトバンクはその後、契約純増数で首位をひた走ることになる。

 データ通信でも携帯各社の猛攻を受けた。先行するウィルコムに対し、19年後半までに携帯各社も相次ぎ月額5000円程度の定額サービスを開始。通信速度も毎秒3メガ(メガは100万)ビット超と、数百キロビットのウィルコムよりも大幅に速く、顧客の流出が加速した。

 さらに新参組のイー・モバイルが20年7月に、データ通信サービスを契約すれば小型パソコンを事実上無料でもらるキャンペーンを開始。ウィルコムもPHSの通信機能を搭載し、パソコン同レベルの機能を持つ小型携帯端末「ウィルコム D4」を発売したが、圧倒された。

 ■起死回生なるか

 ウィルコムが、起死回生を賭けるのが10月に商用サービスを開始する次世代無線通信サービス「XGP」だ。19年12月にNTTドコモやソフトバンクと競り合いの末に、総務省から事業免許を取得した。XGPは毎秒20メガビットの高速通信が可能な技術で、速度の遅さに泣き続けたウィルコムにとり待望の切り札だ。

 だが、見通しは楽観できない。同じ高速無線通信ではKDDI系のUQコミュニケーションズが7月からすでに商用サービスを開始。さらに、来年には携帯各社が、毎秒100メガビット超の高速通信サービスを始める。ウィルコムは、両者の間で埋没しかねない危険性がある。

 XGPのもう一つの狙いだった海外展開でも、最有力市場と目された中国で政府がXGPの基盤技術であるPHSではなく、携帯電話を重視する姿勢を表明する誤算に見舞われた。

 5月には喜久川社長が当時の鳩山邦夫総務相らと中国を訪問し、現地企業とXGPの共同研究を行うことで合意したが、どれだけ市場に食い込めるのか、不安は尽きない。

 ■業を煮やしたファンド

 PHS事業が先細りし、XGPの先行きも不透明となるなか、業を煮やしたカーライルの下した決断が、人事の刷新だった。

 喜久川氏の後任の久保田氏は、カーライルの強い意向で社長就任が決まった。カーライルの安達保氏自らが会長に就くことからも、そのいらだちがうかがい知れる。

 人事が公表された際、今春にも実施されると報じられていたカーライルによる増資がいまだに行われていないことも明らかになった。増資はXGPのインフラ整備に必要な資金の調達が目的とされてきた。

 「ウィルコムに追加出資するため、カーライルが米国の親会社を説得する材料として今回の人事刷新を断行した」との見方がもっぱらだ。

 ただ、ファンドであるカーライルは、投資回収のため、いずれかのタイミングでウィルコム株を売却する。「追加投資のかさむXGPサービスにどこまで本気で取り組むつもりかわからない」と、その真意をいぶかる声もある。

 ウィルコム側は今回の人事について、「XGP開始に向けた経営の強化策」と強調。副会長に退いた喜久川氏も「引き続き経営に参画する」と説明する。

 だが、XPGサービスが伸び悩めば、カーライルが早々に見切りをつけ、売却による投資回収を急ぐ可能性も否定できない。ピッチを愛した喜久川氏が心血を注いできたウィルコムは、まさに正念場を迎えている。(黒川信雄)

大多数の人にとっては今更PHSの会社が潰れようが大きな影響はないんじゃないかと感じられるかも知れませんが、何故こんなニュースが気になったのかと言えば、今や全国の医療機関で導入されている医療用PHSというものがどうなるのかということが、ふと気になったからなんですね。
そもそも医療用PHSとは普通のPHSとはどう違うのかと感じていた人もいるんじゃないかと思いますが、一応は「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」というものがありまして、基地局、端末ともに出力の制限が課され医療機器に対する安全性が確認されたものを医療用と認定していることになっています。
しかし実際のところはもともとPHSというものが医療機器への干渉はそれほど強くないということもあってか、院内の基地局側の電波は制限しているものの端末側に関してはほぼ一般向け製品そのままということが多いという噂なんですよね(実際院外ではそのまま普通にPHSとして使えるものもあります)。

ウィルコムさんではかねてこの医療分野へのPHS普及というものに並々ならぬ熱意を持っていらっしゃるようで、医療専門職を対象にしたPHS研究会の開催だの、PHS収納ポケット付き医療用ユニフォームの販売だのと色々と頑張っていらっしゃるようですけれども、正直現場で実際に使っているスタッフにどの程度アピールしているのか疑問無しとしません(極めて控えめな表現)。
最近では医療機器側の干渉対策も進んできたということなのか、むしろ各地の病院では携帯電話の院内使用を解禁していくという方向で話が進んでいるようで、それによって大きなトラブルもない上に患者側のストレス発散などにも有用(それはまあ、病院に缶詰めで誰とも話も出来なければ現代人にはストレスですよね)だと言います。
実際医療関係者を対象にした調査によれば、携帯電話を原因とするトラブルに遭遇したことのある人が2.4%であったのに対して、各自が連絡用の携帯電話を持っていれば回避できた可能性のある問題に遭遇した経験を持つ人は22%にも上るなんて話もあるようですから、今後は次第に「病院では携帯の電源OFF」というのも過去の常識になっていくのかも知れません。

この上病院顧客までPHS離れとなりますとウィルコムさんにすればますます経営的に厳しいということになりかねませんが、医療関係者とすればPHSであれ何であれ院内で安全に使えるものであるなら構わないわけですから、万一の際には同等機能の代替品があれば支障がないというのも事実でしょう。
となると、何かしら良い品がないかと気になるわけですが、医療機器への影響と言うものを目安にした場合に一番低侵襲性なのは無線LANだと言うことですから、IP内線電話であるとか最近よくある無線LAN対応型携帯などをちょっと加工すれば、規制に適合する病院用端末は十分用意出来そうですよね。
そう思ってちょっとググってみますと実際すでにあちこちの病院でその種の新型端末導入が始まっているようですから、これは今までPHSに院内回線を独占されていた他社さんにとっては大きなビジネスチャンスでもあり、ウィルコムさんにとってはますます厳しい逆風にもなりと言うことなのでしょうか。

まあ何にしろ、安全で使い勝手がよくて、ついでにコストが安ければユーザー側としては言うことはないんですが、キャリアが減っていくのは競争原理の点ではちょっとどうかとは思うだけに、ウィルコムさんにもまだまだ頑張ってもらいたいところですね。

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2010年1月27日 (水)

地方公立病院は本当に終わっているのか? 改革の成功例に学ぶには

昨日取り上げました静岡の榛原総合病院などは公立病院の民営化という試みですけれども、公益性の高い医療に関しても既存の民間病院に公立病院の肩代わりをしてもらうという試みが2008年に始まった「社会医療法人」というものです。
休日夜間の救急診療や僻地・離島診療など採算性の厳しい医療分野に関して、公立病院に準じた役割を担う民間病院に対して色々と優遇措置を与えますというシステムですが、民間資本による効率的経営によって不採算分野の採算性自体も改善してもらうことを期待するという、これはある意味で非常に虫のいい制度でもあるわけですね。
当然ながらそんな夢物語に付き合わされる民間病院もそうそういないということなのでしょう、制度自体はさっぱり普及していない様子なのはある意味当然なんですけれども、話をよくよく聞いてみればこれは制度設計自体があまりに虫が良すぎて、とにかく「国は絶対損をしない」ということを前提に設計しているんじゃないかとも思えてくるところです。

社会医療法人認定進まず 制度発足から2年「壁」高く(2010年1月23日産経新聞)

 都道府県の医療計画に基づいて救急、周産期など医療の重要な役割を担う「社会医療法人」の制度が始まって間もなく2年になる。民間病院に公立病院と同等の役割を受け持ってもらうため、法人にはさまざまな優遇措置が適用されるが、認定のハードルは高く、これまでに全国で約70法人が認定されたにすぎない。一方、全国の救急搬送の6割は民間病院が受け入れているが、経営的に厳しい病院が少なくなく、社会医療法人制度のあり方は、今後の医療体制に大きな影響を与える可能性がある。

 社会医療法人は平成18年の医療法改正により、公益性の高い民間医療法人を認定するため創設され、20年度に制度がスタート。これまでに約70法人が認定されている。

 都道府県が認定する。地域医療と救急医療で中心的な役割を担ってもらう狙いがあり、認定には、経営の透明化のため同族経営を排除。また、救急や災害、周産期医療に高い実績があることが要件とされる。その代わり一般の医療法人よりも法人税が軽減されるほか、今年度の税制改正で、救急医療に関する施設の固定資産税が非課税にされた。

 ただ、課題や問題点はある。認定法人と認定を目指す医療法人約200団体でつくる社会医療法人協議会は、国会議員への要望のなかで認定のハードルが高すぎると主張。例えば救急実績では、夜間・休日の受け入れが年間750件以上とされているが、地方の中小医療機関にとって、認定の要件をクリアするのはほぼ無理とみている。

 さらに、認定後に要件を欠くことになると、減免されていた税金を一括納税しなければならない規定もある。実際に認定取り消し例はないが、これがネックで認定申請に二の足を踏む法人が少なくない。

 都道府県別の認定数は大阪府が11法人で全国トップ。背景には認定のベースとなる救急医療の実績があげられる。

 19年度の府内の救急搬送のうち、77%は民間病院が受け入れた。大阪市内に限れば9割近い。このため、救急医療の要件をクリアして社会医療法人となる民間病院が相次いだ。全国的にみても救急搬送受け入れ先の57%が民間病院だった。

 一方、近年の医師不足で2次救急指定を辞退する病院が増加。特に大阪市内では、ここ5年で14%減少し、その大半が民間病院という。病院関係者によると、300床クラスの民間病院で夜間救急を提供するには1日約40万円のコストが必要で、採算が合わない場合が多い。

 社会医療法人協議会の幹事を務める加納繁照・協和会理事長は「日本の救急医療は民間病院が支えていると言っても過言ではない。社会医療法人は民間病院を中心に地域医療を再構築するモデルだ」としている。

まあ国にすれば「ひょっとしてうまく行けば儲けモノ」くらいのつもりなのかも知れませんが、何しろ基幹病院の7割が診療科の縮小、廃止をしているというこの時代にあって、途中で撤退したらペナルティーという制度ではそれは怖くて手も上げられたものではないだろうとは想像できますよね。
どうも国(あるいは、厚労省?)は本気で医療に危機感があってやっているのかどうか、今ひとつピント外れなことをやっているんじゃないかという気がしないでもない局面が多々見受けられるんですけれども、それでは公立病院にはもう勝ち上がりの道はないのかと言えば、必ずしもそうでもなさそうだと希望を抱かせるに足る成功例というものが世の中にはまだあるわけです。
この点で最近の注目として取り上げられるのが総務省絡みの「公立病院経営改善事例集」なるもので、そもそもの第一報が少し前に総務省から出ました「近々公立病院経営の参考事例集を出します」という話だったのですが、そのアナウンスを伝えるこちらの記事を引用してみましょう。

公立病院経営の参考事例集を月内にも発行―総務省(2010年1月12日CBニュース)

 自治体病院の経営改善の参考にしてもらおうと、総務省は近く、経営状況が良好な公立病院の事例集を発行する。月内にも、全国に約900か所ある公立病院に送付する見通しだ。事例集では、病床規模や経営形態などで選ばれた10病院の事例のほか、各自治体の医師確保への取り組みや病院の建築単価の状況なども紹介する。同省の担当者は、「自治体病院の置かれる状況はそれぞれ異なり、どの事例が良いというわけではないが、参考にしてもらえれば」と話している。

 総務省は昨年6月、公認会計士や税理士らから成る「公立病院経営改善事例等実務研究会」を設置。各自治体やモデルとなる公立病院を対象に、7月に同省が行った実態調査の回答について、同研究会が検討した結果をまとめた。事例集は約100ページで、▽公立病院の経営改善▽経営改善の主な取り組み▽各自治体の医師確保対策▽公立病院の施設整備の状況―の4項目に関する自治体や病院側のモデル事例や実態調査の結果を掲載する。

 経営改善事例では、経営状況が良好な33病院に調査を実施。このうち10病院について、(1)経営損益が黒字(2)近年に経営形態を変更(3)経営形態の変更に合わせ、医療機能の再編・ネットワーク化を実施―の各ケースの事例を紹介する。

 (1)では、▽岩手・国保藤沢町民病院(54床)▽香川・綾川町国保陶病院(63床)▽秋田・市立大森病院(150床)▽広島・尾道市公立みつぎ総合病院(240床)▽香川・三豊総合病院(519床)―の5病院。大森病院では、病棟の再編などで病床利用率を改善したことに加え、「夕暮れ診療」といった患者のニーズにきめ細かに対応したという。
 (2)では、地方独立行政法人に変更したのが、▽岡山県精神科医療センター(252床)▽沖縄・那覇市立病院(470床)―の2病院で、指定管理者制度を導入したのは、▽愛知・東栄町国保東栄病院(69床)▽宮城・公立黒川病院(170床)―の2病院。このうち、那覇市立病院は地方独法化後、医療スタッフの大幅な増員で診療報酬加算を取得したことが奏功。また、黒川病院では、経営形態を公設民営化し、常勤医師を5人増やしたことなどで患者数が大幅に増加したという。
 (3)では、山形県の酒田市病院機構(760床)が医療機能の重複する県立、市立病院を地方独法化で経営統合し、診療科や病床数の再編などを行った結果、診療単価増や経費の節減につながったという。

言ってみればこれは「うまく行っていると言う国のお墨付き」とも取れるような話なのですから、それは事例集に載せられるようになれば病院にとっても、そして何より地域住民にとっても歓迎すべき話なんだろうなと思います。
公立病院が管轄なだけに総務省と言うところの医療に関するスタンスは面白くて、例えば厚労省はかねて一生懸命病院統合、医療資源の集約化というものを主張していますけれども、一方で総務省の方では過疎地の公立病院など潰れそうなところを補助金等で支えてきたという経緯があって、もちろん地域住民にとっては有り難い話ではあるのでしょうけれども、正直現場からすれば船頭多くして…と考えなくもない状況です。
その総務省から「対象病院の選定、個別の病院からのヒアリング、調査の回答に対する分析や検討などを経て、今般、「公立病院経営改善事例集」が取りまとまりましたので、公表します。」とアナウンスがあったのがこの1月25日のことなんですが、これも選定された公立病院の状況を見てみるとなかなか面白くて、総務省なりのスタンスが反映されているものと考えて良いのでしょうかね?

【参考】公立病院経営改善事例集(2010年1月25日総務省)

以前にも当「ぐり研」で紹介させていただいた藤沢町民病院が真っ先に取り上げられているのは非常にアグリーなんですけれども、まず気付くことは単に医療のみならず介護をも包括する施設が当然ながら多いということで、その結果介護職員の数は一般の病院と比べると相対的に多くなっているわけですね。
ところがその一方で医業収益に占める人件費率は40%~50%などという公立病院にあるまじき率を達成している施設が多いと言うことが非常に注目されるところですけれども、その秘密は何かと言えば事務職など非専門職常勤職員の数や給与を削減し外部委託や非常勤等で置き換えていることにあって、実際の医療にあたる専門職スタッフはむしろ平均より充実させているという施設が多いのです。
そして単に事務職員を減らすだけでなく、急性期医療を行う中核病院では逆に医療補助員を導入したり、来院者の暴力、暴言からスタッフを守るための対策を取っていたりと、要するに専門職スタッフが働きやすくするための環境をきちんと整えるという、これまた公立病院にあるまじき(苦笑)システムを導入している、場合によってはそうした職員改革を行うためにも独法化を選択したという施設が見られることは要注目でしょう。

こうした話を聞くと何のことはない、公立病院改革というものは昔から言われている公立病院に特有な人事の諸問題を何とかするところから始まるのだと改めて思い知らされるような話ですけれども、公立病院の改革すべき悪癖というものはこれだけに留まりません。
例えば那覇市立病院などでは近年独法化した施設ですが、この理由として「病院当局が自ら危機意識を強く持ち、市の職員定数から離れ、看護師など医療スタッフの大幅増員による経営改善を目指す」ためと言うことを挙げていますが、これには少しばかり説明が必要かも知れませんね。
同じ沖縄からこんな記事が出ていますけれども、これなども何も知らない人が見れば「行政改革に逆行する不当な要求!?」などと思ってしまいそうな話です。

医師ら増員か 行革優先か 県立病院定数増要求に総務は二の足 現場「経営再建に必要」 条例案の提出不透明 /沖縄(2010年1月22日沖縄タイムス)

 県立病院事業の職員定数条例を県議会2月定例会で改正しようと、県病院事業局と総務部で調整が進められている。同局は医師、看護師らの増員を求めるが、国が公務員数の削減を自治体に課す行革の流れの中、職員増が県財政に与える影響を計りかねている総務部の立場の違いもあり、議案提出ができるか不透明だ。2009年度から3年間の県立病院の経営再建計画が成果を上げている一方、各病院では看護師や医師不足が収益減を招いていることから、病院現場も「経営再建には定数増が不可欠」と訴えている。(社会部・又吉嘉例)

 同局によると、看護師は現在の欠員を埋めた上で、南部医療センター・こども医療センターが今年4月、中部病院が11年度から、(患者7人に対し看護師1人を配置する)「7対1」看護体制に移行できるだけの増員を求めたという。移行日程を考えた場合、改正には2月議会が「タイムリミット」となる。

 現行条例の成立は1988年。小川和美病院事業統括監は「医療者は『人件費』である一方、『収益源』でもある。より良い医療を提供するために体が大きくなろうとしているのに、20年前の洋服を着ているようなものだ」と指摘する。

 仲里全輝副知事は「経営改善に定数が足かせとなるのであれば、外さなければならない」と理解を示す一方、「看護師や医師の適正な人数、平均給与の推移などの課題を病院事業局と総務部で共有し、経営上問題が出ないよう調整する必要がある」と慎重な姿勢を示す。

 県立病院は2009年度決算の純損益について、再建計画の目標値に比べ赤字幅を約8・5億円縮小するなどの成果を上げる見込みだ。

 「現場は努力している。条例改正はどのくらい具体的なのか」。13日、県庁であった県立病院経営改革会議。同センターの大久保和明院長は局側に質問をぶつけた。

 同センターの場合、09年度、診療加算の適切な取得で診療単価が増加。診療、看護、事務など各部門の職員が連携し、経費を縮減した。08年4~11月期は純損益で13億5000万円の赤字だったが、09年同期は約5億6000万円の赤字にとどめた。

 ただ、看護師不足で1病棟(45床)を休止した影響から、入院収益は7~8億円減少。大久保院長は「看護師を多数配置する特殊病棟の確保のため、閉じざるをえなかった」と惜しむ。

 「現在も不足分は1年採用の臨任で補っているが、裏を返せばそれだけ必要な業務があるということ。正職員採用なら看護師が定着し、経営改善につながる」。周辺の民間病院が「7対1」を採用し、過重労働の緩和や患者サービス向上、加算の取得を進める中で「民間と同じ土俵で相撲を取らせてほしい」と訴えている。

何も考えずに読んでいると「医者も看護婦も今どきどこでも求人難なのに、定数だけ増やしてもどうせ来ないんじゃないの?」と思ってしまうかも知れませんが、この公立病院の医師定数というものは実は病院で働いている医師数とは全く別な次元で決まっている話なのですね。
おおむね医療法の医師配置基準を元に定数というものを設定している公立病院が多いようですけれども、これは大昔の牧歌的な医療を行っていた時代や、今で言う田舎の療養型主体の病院でようやく間に合うような手薄い人数で、急性期を本格的にやっているような基幹病院では全く足りるものではありません。
しかし実際に病院に行くとはるかに大勢の医者がいる、そのからくりはどうなっているのかと言えば、定数外の医師を非常勤の日雇い身分で実質常勤労働をさせているわけですから、病院側とすれば週三日、半日づつしか働かせていない建前でその何倍もタダ働きをさせられるという、これ以上ない美味しい話になっている話になっているというわけです。
今どきどこでも医者など引く手あまたという時代に、こんな環境で奉仕活動をいつまでも続けたいと言う人間がいるとしたら、それこそマゾ奴隷と言われても仕方がないと思いますね。

実際に独法化後に那覇市立病院では医師、看護師の非正規職員の正規職員化を進めていて、結果として非正規職員も含めた医師、看護師総数は以前より大幅に増加しているということなんですけれども、それでも職員の若返り化や中高年での昇給抑制といった独自のシステムで人件費率は50%前後を維持しているというのですから、なんだ公立病院でもやる気になれば出来るじゃないかということです。
そして見ていただいて判りますのは、こうした総務省公認の改革の成功例というのは厚労省や財務省あたりを中心に最近にぎやかになってきた「医療費抑制政策」だの「医療崩壊」だのと言った大きな話とはまた別な次元の、言ってみれば昔からある公立病院の悪習をごく当たり前に民間並みに改善してみましたというレベルの話であって、実際やってみればこれだけ効果があったということなんですよね。
遠い世界まで旅をして戻ってきてみれば、案外青い鳥というものは身近なところにいたんだという話がありますけれども、何となくそんなことを連想させるような話ではないでしょうか。

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2010年1月26日 (火)

動き始めた地域医療再生 問題はどこに向かって動いているのか?

地域の病院の診療科が縮小するだとか、病院自体が崩壊するだとか言った話は昨今珍しくありませんが、逆に一度崩壊した病院が復活したという事例は比較的珍しいと言えますね。
以前から「市長が医者の引き抜き?!」なんてネタを提供いただいたりして、時々その消息が報道されていました榛原総合病院ですが、ようやく救急再開に向けて動き出したようです。

榛原総合病院:救急再開にめど 牧之原市長「3月の民営化から」 /静岡(2010年1月16日毎日新聞)

 牧之原市、吉田町が運営する「榛原総合病院」(牧之原市、茂庭将彦院長)が3月1日を目指す民営化に合わせ、救急患者の受け入れ再開のめどがつきつつあることが15日分かった。同市の西原茂樹市長が同日、市議会全員協議会で「3月1日から民営化できる場合、救急診療ができるようにしたいと考えている」と述べた。同病院は医師不足で新規の救急患者の受け入れを先月からストップしており、隣接する島田市の島田市民病院の診療を圧迫するなどの問題が出ていた。【浜中慎哉】

 病院で実務を取り仕切っている茂庭院長は15日、取材に対し、同病院の指定管理者になることを受諾した医療法人「徳洲会」が診療態勢を整えるため内科と外科の医師数人を派遣する見通しだと説明。病院に残る見込みの勤務医と徳洲会の派遣医と合わせ、救急診療の再開に必要な約20人の医師を確保できるめどがついたという。

 一方、看護師約100人の多くが民営化に反発して辞める意向を示しており、看護師不足に陥る事態も否めない。

 茂庭院長は、この問題について「医師がいても、看護師がいなければ診療はできない。徳洲会と協力して今後、看護師を募集するとともに、今の看護師の慰留にも努めたい」と強調した。

 また茂庭院長は島田市民病院の負担を軽減するため、8日に同病院に入院患者の受け入れを打診し、現在18人を榛原総合病院に転院させる方向で調整中であることも公表した。

さすがの徳洲会、こういう時には地域住民にとって頼りになるという話ですけれども、逆に言えば徳洲会が受けたということは医師を補充すればまだ目があると判断したということなんでしょうか?
この記事を見ていただいてもお分かりかと思いますけれども、こういう病院経営がうまく行っていないというのは必ずしも顧客が来ないからというわけではなく、例えば競合施設が潰れてウハウハであるはずの島田市民病院がかえって連鎖崩壊の危機にあるのを見ても判るように、いわゆる一般的な経営問題とはまた少し別な視点からの立て直し策が必要になってきます。
昨今では公立病院民営化などと言ってあちこちで民間からも参入していますけれども、オリックスの参入で有名な高知医療センターのようにスキャンダル続きは論外としても、畑違いからの参入例で劇的にうまくいっているという話もあまり聞かないだけに、こと病院経営に関しては強力なノウハウを持つ徳洲会というのも一つの落とし所ではあるのかも知れません。
しかし永年勤続してこそ旨みのある公立病院看護師ですから、それは確かに民営化、しかも徳洲会なんて話が出てきた時点で辞めざるを得ないでしょうが、そのあたりの地方公立病院独特な土着スタッフがどのくらい残るものかも今後色々な意味で注目すべきところではあるのでしょう。

ところでまさにこの種の事例を対象に国が主導するところの地域医療再生計画ですが、かつての医療に吝い(笑)自民党政権時代の計画でも「一兆円規模の基金を設立、雇用対策なども含め総額で四~五兆円規模」なんて大きな話が出ていたくらいで、これが医療再生を掲げ政権を奪取し、医療を経済成長の牽引産業にと意気込んでいる民主党政権ともなればどんな話になっていくのかと期待されるところですよね。
ところがこの壮大な計画、実施の初動の段階からしてすでに迷走しているんじゃないかという話が最近あちこちから聞こえてくるのですが、すでに例の100億円プランが消えて25億円プランのみに切り下げられた時点で「民主党になってもそれか!」と失望を招いた一方で、そもそも各地の自治体から上がってくる計画自体が杜撰で「これでは単なる壮大なバラマキだ」という批判もあったものでした。
ところが政権交代の余波ということなのでしょうか、今度は金を出す側も問題なしとしない状況のようで、例えばこんな話があります。

審議の前に交付額内示を強行 バラマキ優先の医療再生基金(2010年01月13日ダイヤモンド・オンライン)

 厚生労働省のドタバタ劇は、いったいいつまで続くのか──。

 崩壊する医療の立て直しを目指す地域医療再生基金の混乱は収まる様子もない。この基金は、医師の確保、急患センターの設置や検査機器の導入など、都道府県(各2エリア)がつくった再生プランに対して、国が50億円ずつ交付するもの。本来は、昨年12月中旬に有識者会議(6人)で各プランの審議を行なった後に交付額を内示・決定し、各自治体が基金条例を議決する段取りだった。

 ところが、厚労省は昨年12月18日、有識者会議を開く前にいきなり交付額を内示する“反則技”を繰り出した。計画どおり1月中に交付決定するための苦肉の策である。医政局指導課は、役所の事情を楯にこう弁明する。

「補正予算の見直しの影響もあり、時間が足りない。内示を18日に出さないと、2月議会の議決にも間に合わない。1月下旬に有識者会議を開いて交付決定する」

 そもそも厚労省には、各県の再生プランを事前審査する段階でもずさんさが目についた。5億円を超える事業でも、内訳金額と積算根拠が示されなくてもお咎めなし。事後検証のために設定する各事業の数値目標がないケースもあった。

 指導課は、内示前に内訳金額や積算根拠のみならず、この数値目標についても「全県から取った」と明言したが、疑問は大いに残る。

 内示後にある県を確認すると、高度なガン治療を行なう設備の導入は、他の設備のように「圏域内の入院治療の割合(50%)を県平均の70%まで引き上げる」といった数値目標がいっさいない。

 1月下旬、わずか1回の有識者会議で審議をどう深めようというのか。再生基金が、すでにバラマキへと突き進んだことは確かだ。
(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 内村 敬)

すでにバラマキへと突き進んだことは確かなんだそうですが(苦笑)、確かにこのノリはかつてのふるさと創生資金を彷彿とさせる既視感があって、正直これだけの大きなお金をかけた話をそうまで拙速に決めてしまってよいものかと疑問は残ります。
さらに悪いことには、この資金というものは当然ながら?その向かう先は例によって箱物のオンパレードですから、要するに形を変えた土建行政であって現場で苦労している人々には全く何のメリットもない、下手をすると箱物作ってスタッフおらずということになりかねないということなのです。
となると、箱物に人間を入れていくために何かしら別なコネクションも必要になってくるということは理解出来るわけですが、そこで急遽名前が上がってきたのがあの団体だというあたりが面白いなと思いますね。

地域医療再生計画「医師会の参加が大事」-厚労省有識者会議が初会合(2010年1月25日CBニュース)

 厚生労働省は1月25日、「地域医療再生計画に係る有識者会議」(座長=梶井英治・自治医科大地域医療学センター長)の初会合を開いた。委員らが都道府県の地域医療再生計画に対する意見交換の中で、計画に医師会が参加することの大事さや、住民との合意の必要性などを指摘した。厚労省は、早ければ月内にも都道府県に地域医療再生臨時特例交付金の交付決定を通知する方針で、この日出た意見を取りまとめ、併せて都道府県に示す考えだ。

 厚労省は今年度補正予算で、地域の医師確保や救急医療の強化など、地域における医療課題の解決を図るため、地域医療再生臨時特例交付金を交付する。これにより都道府県は「地域医療再生基金」を設置し、地域医療再生計画に基づく取り組みを行う。

 有識者会議は、地域医療再生計画の開始に当たり、基金のより効果的・効率的な活用に向けて、計画に対する技術的助言などを行うほか、計画の達成状況について確認し、今後の計画改善などに向けて評価などを行うことが目的。
 メンバーは梶井座長のほか、内田健夫・日本医師会常任理事、水田祥代・九大理事・副学長、田城孝雄・順天堂大医学部公衆衛生学講座准教授、藤本晴枝・NPO法人地域医療を育てる会理事長、正木義博・済生会横浜市東部病院院長補佐の5委員。

 初会合では、医師確保関係事業、医療機関の機能分担・連携関係事業、救急・周産期・小児医療関係事業、在宅医療関係事業など、それぞれの地域医療再生計画について意見交換した。
 医師確保関係事業について梶井座長は、「県と地元の大学、医師会が、医師をどういうふうに県下に配置していくか。その議論との共同作業がなくてはいけない」と指摘。
 また、医療機関の役割分担や連携事業について藤本委員が、病院の再編・統合は、住民との合意形成が一つのポイントとし、「地域全体でどうすれば医療機能が最適化されるのか。再編・統合することで、今よりも安定した医療提供ができるという情報をきちんと出して」と求めた。
 水田委員は、計画には「強いリーダーシップが必要」とし、「医師会に絶対に参加してもらい、一緒にやっていくことがものすごく大事だ」と主張。内田委員はこれを受け、すべての都道府県医師会に対し、計画の中心となって取り組むよう要望したことを説明した。

 有識者会議は年に1回程度の開催が予定されていたが、委員からもう少し頻回に開催すべきとの意見が上がり、厚労省側は今後、検討するとした。

厚労省としても一応は箱物ばかりでもいけないという危機感はあるということなのでしょうか、マンパワーの重要性に気付いたらしいのはまあよいとして、そのための使える手駒として結局は医師会(この場合は日本医師会ではなく、地区医師会主体でしょうね)人脈しかなかったのも事実なんでしょうが、しかしこうまで公に医師会の権限を認めて都道府県に押し付けると宣言するのもどうかと思う話です。
もちろん地域の医療資源のネットワーク化を行う上で、トップに号令すれば済む病院勤務医と違って開業医らは医師会のツテでもなければ難しいのも事実でしょうけれども、医師会と地域医療再生計画と言えば例の千葉県医師会が現場の要望を握りつぶした?!なんて話を思い出してしまいますからね(しかしこの記事、コメント欄がまた面白いですね)。
こういう記事を見ますと民主党が医師会と決別すると言っている中でも、現場の厚労省では相変わらず医師会医師会と言っているのかとも取れるような話ですけれども、旧政権時代には厚労省と医師会が衝突しているかのようなシーンも多々見受けられただけに、結局あなた達は仲いいのか悪いのかはっきりしろと言いたくなるのは自分だけでしょうか(苦笑)。

一説によると厚労省としては大学の医局による医師派遣システムを潰して、自分がその後釜に座るような構想を抱いていたようで、例えばこの記事に関してもこんな書き込みが散見されます。

604 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/26(火) 03:18:26 ID:wOy3IEaH0
>>県と地元の大学、医師会が、医師をどういうふうに県下に配置していくか。その議論との共同作業がなくてはいけない

全医師が自治医大の卒業生みたいな扱いになるのかな?
保険診療やめて美容にいくやつが激増しそうだな。

605 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/01/26(火) 07:52:39 ID:P9y7asZNO
ソ連の計画経済のようだなぁ。
医者の強制配置を進めるよりも
無駄に造ったハコモノを整理したほうがいいと思います。

606 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/01/26(火) 07:56:51 ID:+zTYPZzX0
昔、先輩から、卒後は行政にこないかと誘われたことがある。
公立病院の医師人事は今は大学医局に握られているが
いつか見ていろ、役所が人事権奪い取ってやる
といわれた。
あの先輩もいまは偉くなっているだろうな。

全医師派遣の自治医大化と言いますか、医師会と厚労省が強力?タッグを組んで医師の人事権を云々するような未来絵図が成立してくるということになれば、これは現場で今も汗水たらして働いている医師たちにとってはある種の悪夢かという気もしないではないんですが(苦笑)。
しかし昨今ではマスコミも巻き込んで一生懸命医師強制配置なるものを成立させようと絶賛キャンペーン中の御様子ですから、これも黙っていてはそんな方向に話が進んでいく危惧もなきにしもあらずなのでしょうが、恐らく実際に導入するとしても(医師会に配慮して?)新卒者や若手らを対象とした制度になりそうな気もします。
案外そういうことになっても、最初からその境遇しか知らない新卒の先生方はそんなものかと受け入れてしまうだろうという読みもあるのかも知れず、その意味では今どき医者になろうかという人間はストレス耐性だけは高いと認められているのかも知れませんね。

いささか脱線気味な公立病院関連の話ですが、明日以降ももう少し続けようかと思っています。

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2010年1月25日 (月)

医師不足という言葉には二つの意味がある?

年明け早々にいつもの話題が飛び込んできたなといった感じなのですが、地方病院における典型的なドミノ現象の一例として非常に判りやすい症例ですので、少し古い前振り段階からの記事も含めて紹介しておきます。

大田市立病院、外科医師が10月から1人減員(2009年8月5日山陰中央新報)

 大田市大田町の大田市立病院(岡田和悟同病院長)で10月以降、3人いる常勤外科医師のうち1人が退職することが5日までにわかった。同病院によると現時点で補充の見通しはなく、同病院の外科や救急医療の機能低下は避けられず、市は医師確保に全力を尽くす。

 同病院には現在、広島大学医学部第1外科から30代の外科医師3人が派遣されている。これまで3、4年をめどに退職するケースが多く、今回も2006年4月から常勤する医師が一定の在職期間を経ての退職。

 同病院によると、7月上旬に第1外科から医師1人の退職と、補充派遣を行わない意向の連絡があったという。今まで退職時には補充派遣が行われてきたが、今回は第1外科の所属医師が減少したため、との理由の説明があったという。

 10月以降は外科や救急医療を残る外科医師2人が、退職する医師が担当した患者を含めて担当することになるが、市も現場負担が大きいと認識しており、さらなる医師減員につながりかねないと医師確保を急ぐ考え。

 同病院の外科医師は05年時の6人をピークに年々減少。同病院は、新卒医師が研修先を自由に選べるようになった04年度の臨床研修制度改正や、同病院で08年度から消化器系専門医師が不在のため、人間ドッグが中止となり、手術患者数が減ったことが影響したと見ている。

 市は補充派遣の実施を要請するため、近く竹腰創一市長や同病院関係者が、第1外科を訪れる予定。竹腰市長は「市民の安全、安心が損なわれる恐れがある。医師確保にあらゆる努力をする」とした。

外科医3人が全員退職へ 大田市立病院(2009年8月5日中国新聞)

 ▽救急機能低下を懸念

 島根県の石見地方東部の拠点病院である大田市立病院(339床)で、3人の外科医師が全員、来春までに退職することが4日、分かった。現時点で補充見通しはなく、人口4万人の市で唯一の救急病院としての機能低下も危ぶまれている。

 3人を派遣してきた広島大医学部の第1外科が、所属する医師の激減などに伴い、引き揚げの意向を伝えた。1人は9月末、残る2人も来年3月末で退職する予定だ。

 同病院の外科の常勤医師はピーク時の2003年度、6人いた。だが、派遣元の広島大第1外科の入局者が年平均10人だったのが、ここ4年は同2・5人と激減。開業や内科転向も相次ぎ、計120人いた医局員が5年で約20人減り、派遣が難しくなったという。

 背景には、新卒医師が研修先を自由に選べるようになった04年度からの臨床研修制度がある。東京の大病院などが人気の半面、地方の大学や、外科や産婦人科など勤務のハードな診療科では志望者が減った。

 さらに大田市立病院では、内視鏡検査のできる専門医が不在となった08年度から人間ドックも中止し、手術の必要な患者が減った事情もある。第1外科の末田泰二郎教授は「医局員が減る中、腕を磨けない病院に若い医師を派遣する余裕はない」と説明する。

 竹腰創一市長は「救急医療もきわめて厳しくなる。一自治体の努力では限界だ」とし、「松江や出雲に偏在する外科医を石見にも回してもらうよう大学や県に働き掛けるとともに、国にも臨床研修制度の根本的な見直しを求めていく」と話している。(馬場洋太)

 ■腕磨けぬ環境に見切り 大都市集中是正を

 【解説】外科の常勤医師がゼロになる恐れも出てきた大田市立病院。来春までに退職予定の3人は伸び盛りの30代。専門医不在で内視鏡検査のできない同病院にはがん患者などが集まらず、若い外科医が腕を磨けない環境に、派遣元の広島大も医師不足の中で見切りをつけた。

 市も医師確保に努めてきた。昨年7月には一般会計からの繰り出しで手当の新設や増額をし、医師収入を2割増やした。12月には女性医師・看護師向けに院内保育所を開設。コンビニ感覚の救急受診抑制もPRし、医師の負担軽減に努めた。

 だが、目先の待遇より症例や手術件数の多さを求める若手医師も多い。新卒で研修先を自由に選べる2004年度からの臨床研修制度で、地方大学の医局に入る医師が減ったのは、症例の少ない田舎の病院への派遣が敬遠されるためでもある。

 島根大でも医師は激減。勤務のハードな外科では顕著だ。大田市立への派遣も本年度から中止しており、退職する広島大の3人の後任を送る余力はない。

 国もようやく、大都市の病院の研修医の人数制限など臨床研修制度見直しに乗り出したが、効果はまだ先だ。なんらかの強制力を伴う全国的な医師再配置の仕組みをつくらないと、大田市立のような地方病院の医師確保はできない。(馬場洋太)


大田市立病院の常勤整形外科医4人が3月末で全員退職へ(2010年1月21日山陰中央新報)

 大田市立病院(大田市大田町、岡田和悟同病院長)の救急医療を担う常勤の整形外科医4人が、連携して急患に当たる外科医が不在になるのに合わせ、3月末で大学病院に引き揚げることが21日、分かった。市立病院は島根県中部の1市3町をカバーする大田医療圏の中核医療機関。救急告示病院の指定取り下げの検討も迫られており、深刻な医師不足を背景にした異常事態に、関係自治体は危機感を募らせている。

 整形外科医を派遣している島根大医学部の内尾祐司教授は「医療過誤のリスクのある現場に整形外科医をとどまらせるわけにはいかず苦渋の判断をした」としている。

 大学側によると、今回の引き揚げは、広島大医学部から派遣されている常勤の外科医2人が3月末までに退職する見通しを受けた対応。整形外科医だけでは安全な医療サービスの提供が担保できないと判断し1月上旬、病院側に方針を伝えた。

 引き揚げ後の対応については整形外科外来は週に数日、非常勤の整形外科医を派遣するという。

 市立病院の救急医療は現在、整形外科医を加えた外科系と内科系の診療科医師27人でカバー。主に大田医療圏から搬送され、緊急手術や救命措置、入院などが必要な急患に対応している。同医療圏には救急告示病院機能を持つ公立邑智病院(邑南町)があるが、常勤の外科医はいない。

 市立病院によると、外科医と整形外科医計6人の退職方針の最終確認はできていないとし、岡田院長が28日開かれる市議会全員協議会で現状報告するという。岩谷正行・市立病院事務部長は「外科と整形外科の常勤医に退職の可能性があると認識しており、医師確保に全力で取り組んでいる」と話した。

整形外科医が全員退職 大田(2010年1月21日中国新聞)

 島根県中部の拠点病院、大田市立病院(339床)に4人いる整形外科医が3月末で全員、退職することが20日分かった。派遣元の島根大が引き揚げを通告した。同様に3月で退職する広島大からの外科医2人(全員)の補充見通しもないため、同病院は4月から救急告示病院の指定を取り下げる方針を決めた。

 整形外科医の引き揚げは、外科医不在だと救急などで専門外診療に関与して医療ミスを招く恐れを否定できない、として島根大医学部の整形外科学教室が判断した。週に数日、非常勤の医師を送ることで整形外科の外来は維持する考えだ。

 病院関係者によると、救急告示を取り下げる4月以降も夜間・休日などの救急外来は存続させる。ただ、内科系が中心で、外科系の処置が必要と分かった患者は救急車の段階で受け入れを断る方針という。重傷外傷などでは、市中心部から30~40キロ離れた出雲市や江津市の病院への搬送を余儀なくされる。

 救急告示の指定取り下げは、外科系医師が現在の15人から9人に激減して手術対応が難しくなることや、救急病院の看板を掲げながら受け入れを断ると混乱を招きかねないため、という。

 大田市と邑智郡からなる人口約6万人の大田医療圏では4月以降、公立邑智病院(邑南町)が唯一の救急病院になるが、同病院も常勤の外科医がおらず、開腹を伴う手術はしていない。

ま、腕が磨けない病院に魅力はないというのも事実なんでしょうが、ここに前提条件として存在している「どうせ医局派遣で嫌々行かされるのであれば」という一文を抜かしてしまっては、見えてくるべきものも見えてこないんじゃないかと思いますけれどもね。
それはともかく、そもそも常勤医師を飼い殺し的に置いておくことの是非が問われるほど医療需要の極めて乏しい絶対的過疎地は元より、医療圏人口数万人以下の地方中小都市圏での医療供給がどの程度であるべきかという点は議論が必要かと思いますが、その点でそもそもこの地域に外科系だけで15人も集めた「医療のデパート」が需要に見合ったものだったかどうかです。
何しろ「症例数が少なすぎて不人気」というくらいの病院だったそうですが、HPの診療科紹介を見ましても、こういう場所にこれだけ各科選り取りみどりで医者を取り揃えていては、それはさぞかし皆さん暇で症例数も揃わないだろうとは想像できるところです(と言いますか、本当にコイル塞栓やバイパスなどまでここでやっているのでしょうか?)。
ちなみにここのHPトップにも医師急募!と出ているのですが、条件面など一切公表していないところを見ましても、まあそれなりの待遇だったのだろうなあと想像してしまうところなのですが、その辺りの実情はどんなものだったのでしょうかね?

先ごろの中医協公聴会でも聖地・福島で公立病院院長をされている先生などが「地域医療がドミノ倒し的に崩壊している!」 と熱弁をふるっていらっしゃいまして、この種の問題が全国的に広がっているというのはすでに多くの一般人も含めて半ば常識化してきているのは確かでしょう。
しかし一般紙の論調を見ていますとやはりどこかで見たような話ばかりが相変わらず続いていると言いますか、何かしらこの現象における一面の真実のみが全てを表しているかのように報じられているのは、問題点の解決を図る上でむしろ逆効果になりかねないのではと危惧するところ無しとしません。

【社説】医師不足/具体的改善策見えてこない(2010年1月23日福島民友新聞)

 厚生労働省が昨年末に発表した2008年「医師、歯科医師、薬剤師調査」で、本県の医療施設で働く医師は人口10万人当たりで183.2人と、全国37位という低さだったことが分かった。全国平均に達するには、計算上であと約600人が必要になる。
 特に産科・婦人科医が不足しており、本県は10万人当たりで6.6人と、全国で42位の少なさだった。

 医師不足は住民の健康にかかわる深刻な問題だ。本県をはじめ地方では診療科がなくなり、産む環境が整わなくなって久しいが、都市部との医療環境格差は少しも縮まらない。本県でも医師確保にあの手この手で奔走するが思うように集まらないのが現状。地方自治体の医師確保は手詰まりの状況にある。

 これでは地方の医療は疲弊するばかりだ。民主党は「医療破壊を食い止める」と訴え、政権交代を果たした。鳩山由紀夫首相も所信表明演説で「地域医療や救急、産科、小児科などの医療提供体制を再建する」と明らかにしている。

 しかし、10年度政府予算案は医療分野でも削減が行われ、鳩山首相が唱える「命を守る政治」は視界不良のままだ。地方の医師をどのようにして増やすのかなど、医師不足対策の具体的な道筋を明確に示して実行する必要がある

 こうした中で、10年度から医療機関に支払われる診療報酬が全体で0.19%引き上げられることが決まった。大幅なプラス改定への期待が大きかった医療現場には、この程度ではという失望感があるかもしれない。だが、財政が厳しいという制約もある。診療報酬は小泉政権時代から引き下げが続いたが、民主党政権が10年ぶりのプラス改定を決めたことは評価したい。

 決定を受け厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)は10年度診療報酬改定の骨子をまとめた。診療所が病院よりも高く設定されている再診料の統一に向けた検討などが含まれている。22日には福島市で地方公聴会が開かれたが、従来以上に効率的、効果的な配分を目指してほしい。

 ただ、崩壊瀬戸際の地域医療を立て直すには、診療報酬の増額だけでは限界があるのも確かだ。地方での医師不足に拍車を掛けたとされる新人医師を対象にした臨床研修制度の見直しも、思うように効果を挙げていない。研修制度には新たに都道府県別の定員上限が新設されたが、10年度の本県研修病院の定員充足率は50%と前年度とほぼ同じ。医師偏在の是正にはならなかった。

巨額の公費で養成される医師は国民の財産と考え、一定期間は計画的に配置するなど、これまでのやり方にとらわれない思い切った再生策を求めたい

どこから突っ込んでいいものやら突っ込みどころに迷うくらいで、本題からも大きく脱線しそうですからここでは華麗にスルーしておきますけれども、逆に医療問題というものがこうした認識の元にその解消を図られているということであれば、恐らく現場で実際に働いている医師らスタッフのストレスは今後も増して行く一方なのではないかと思います。
医療はもちろん社会インフラとしての側面もありますから、消防隊や警察のように全く仕事がなくてもある程度圏域ごとに整備しておかなければならない部分もありますが、一方で医師、看護師を始めとして資格を要する専門職ばかりであって、しかも社会全体での供給量が限定されているい上は、まず需要の多く供給が足りない場所を最優先に供給を増やしていくのが社会全体での需給ミスマッチを削減する早道ですよね。
地方の医師不足と言いますが、都市部で需要に供給が追いつかず激務の中頑張っている仲間がいるのに、自分は田舎病院で今日も勤務時間をどう潰そうかと考えているという状況は、熱心でやる気のある真面目な医者ほど耐え難い状況なのは当然であって、まずはその辺りの需給バランスの感覚を地域住民自身がもう一度検証していかなければならないでしょう。

地方においては崩壊していく病院がある一方、長年にわたってうまく廻っている病院もありますが(印象的にそうした病院はまず全例が非公立の施設のように思います)、そうした病院を見ていて感じるのは長年勤務している病院の基幹となるスタッフがしっかりしていることで、医師確保は大学医局の派遣頼みで数年もすれば全部入れ替わっているなんて病院でうまく廻ってる施設は今どきほとんどないように思います。
大学医局の人事に乗って動いている医師というのは基本的に若くて腕を磨きたい連中が多いわけですから、そうした医者に田舎病院に定着してくれと言っても無理な話で、逆に言えばそろそろ一箇所に腰をすえていこうかと考えている程よく枯れた人材こそ狙い目ということになるはずなんですが、そんな人材は大学医局に日参したところで決して出てこない、むしろ医局人事から外れた場所にいるはずなんですね。
そしてそうした人達が勤務先を決める場合に、もちろん勤務条件など待遇面はもちろんですけれども、やはり今現在働いている医者達が「まるで休みに来ているよう。失礼な言い方だが、ばかばかしいとも感じる」なんて言っている地域で骨をうずめようと考える医者がそうそういるものかどうか、社会常識的に考えても判ることではないかと思います。

判で捺したように「国が強制的に医師を送り込んでくれなければ」なんてことを言っている人たちが例外なく公立病院関係者であることを考えた場合に、そうした場所に何故医者がいなくなっていくのかと言えば、ひとつには医局人事頼りで全く自前で医者を集める努力をしてこなかった自業自得な面もあるでしょうし、もう一つは広い意味での勤務条件ということもあるでしょう。
しかし勤務条件と言っても別に仕事が忙しすぎるとか給料が安いとかで来ないわけではなく、逆に地方や僻地の中小公立病院と言えば仕事は楽で給料も割増手当がついて高いという場合がほとんどなのですから、それでは仕事が楽で儲かる職場なのに何故人が来ないの?という当たり前の疑問に思い至ってみれば、何かしらそこにおかしな事が起こっているんじゃないかと推測できますよね。
都市部の大病院も地方の中小病院も同じように医者が足りない、医者が足りないと言っていますけれども、それじゃ今いるお医者さんは年中休みなく働いて激務にヒィヒィ言っているのかと言った当たり前のところからまず実態を見ていくと、同じ医者が足りないという言葉の背後に存在する需給ミスマッチの現実が見えてくるでしょうし、「医師偏在」をどう解消していくべきなのかという議論の取っ掛かりにもなるような気がします。

さて、国をあげて国策で医師強制配置をしようなんて話が現実的なものとなった場合に、あなたが為政者ならどこに医者を送り込みたいと思いますか?ってことですよ。
症例数が少なすぎて行っても仕方がないと医者が逃げ出す病院に医者を送り込むべきなのか、それとも日夜次から次へと患者が押し寄せてきて医者が激務で倒れていく病院に医者を送り込むべきなのか、別にこれは何が正解というわけではなくて、社会的インフラ整備ということと絡めて国民全てが議論して答えを出すべき問題だと思うのですけれどもね。
ちなみに現実的な医療政策の担当者である厚労省はとっくにその答えを見つけ出していますけれども、もしそんな政策が実現すれば一番割を食いそうな人たちが最も政策実施を熱望するようなことを言っている、何かしら面白い世の中だなとは思いますね。

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2010年1月24日 (日)

今日のぐり:「焼肉亀家」

今年の正月早々のニュースで思わず笑ってしまったのがこちらです(いや本当は笑い事じゃないんですが)。

橋に入った亀裂からゴミが!目撃者から「建築史に残る奇跡」との声-中国(2010年1月1日サーチナ)

  12月28日、上海で1月に開通したばかりの橋に亀裂が入り、亀裂の内部から発泡スチロールや廃材などのゴミ、廃棄物が現れた。中国の国営テレビである中央電視台(CCTV)がこの「おから工事」を番組で取り上げ、放映した。新浪新聞が伝えた。

  記事では冒頭で、「わずか1年の間で、橋の完成と橋の崩壊という二つのニュースを報じることとなった」とし、実際に現場を目にした人の驚きと皮肉の声として、「ゴミで橋を造りあげるなんて、世界の建築史とゴミ処理史に残る奇跡をなしとげた」という発言を紹介した。

  これに対し、橋を建設した業者は「亀裂が入ったのは橋の脚部の装飾部であり、橋の本体ではない。ゴミが入っていたのも橋本体ではなく、脚部の装飾部分だ」と語った。

  また、26日には武漢市でボルトが固定されていない橋も見つかっており、記事では「ゴミが埋め込まれていたり、手でボルトを外すことができたりと、われわれはどうすれば橋の安全性を信じることができるだろう」と指摘しながらも、橋の安全性を検査した専門家は「ゴミが埋め込まれていたのは建設業者の管理上の問題であり、通常の通行にはまったく問題ない」と語っているという。

  これに対し、中国のネット上では7万5000以上のコメントが寄せられており、「誠実さと信用がないことが問題の根源だ」、「四川大地震であれほど多くの人間が亡くなった理由が分かった」、「自分が通っている学校も 3年で亀裂が入ったぞ」、「多くのおから工事が発覚しているが、責任者が処罰されているのを見たことがない」、「また中国らしい創造品ではないか。ゴミで橋を作るなんて、高い科学技術がなければできないぞ」など、皮肉が寄せられている。(編集担当:畠山栄)

中国と言えば昨今ではブリに並ぶネタソースとしてたびたび登場いただいていますけれども、さすがにこれはちょっと洒落にならないですね。
今日はまたしても中国らしい?素晴らしく斜め上なニュースの数々を紹介していきますが、先日中国に新鉄道が開通したというこちらのニュースからご紹介しましょう。

中国新鉄道、1000kmを3時間 東京―新下関に相当(2009年12月26日朝日新聞)

 【広州=小林哲】鉄道の営業運転速度としては世界最高の時速350キロで走る中国の高速列車「和諧(わかい)号」が26日、武漢(湖北省)と広州(広東省)を結ぶ新路線(1069キロ)で運行を始めた。所要時間はこれまでの3分の1以下の約3時間だ。

 広州北駅で同日朝、開幕式後に始発列車が出発。12分後に時速350キロに達した。日本の新幹線の東京―新下関間に相当する距離。全路線の6割超を橋やトンネルが占める。着工から約4年半で開業にこぎ着けた。

 列車は16両編成で定員約1100人。独シーメンス社の技術供与を受けたものだ。ほかに、東北新幹線「はやて」をベースに開発した列車(最高速度250キロ)も同路線に投入される。

 運賃は片道で1等780元(約1万円)、2等490元(約6600円)。1日23往復、約30分に1本の運行を予定する。

 日本の鉄道関係者によると営業運転のこれまでの最高速度は仏TGVの時速320キロ。日本の最速は山陽新幹線の同300キロ。中国では、北京南―天津間(約120キロ)を結ぶ路線で時速350キロを出せる車両を投入しているが、長距離での本格運転は今回が初めてとなる。

 中国政府は、2020年までに5兆元(約67兆円)を投入し、計12万キロの路線整備を目指している。ただ、目標達成を急いでいる様子もうかがえる。建設責任者の一人は現地紙の取材に「ドイツ企業から安全確認に2年かかると言われた工程を半年で実現させた」などと述べている。

いや、「ドイツ企業から安全確認に2年かかると言われた工程を半年で実現させた」って、そこ端折っちゃいけないでしょjk!
噂によると当初は「はやて」系の車両も300km走行させる腹づもりであったのが、JRから「何が起こっても絶対にうちは責任取らないですから!」とさんざん言われてようやく250kmに制限されることになったとかならないとか。
もちろんそうした運用上の問題もさることながら、現場ではまた別な意味で大変な状況にあるようなのですね。

中国の高速鉄道「武広線」を全面密閉、警官1000人単位で監視(2009年12月1日サーチナ)

  広州日報によると、12月中に開業が予定されている中国の高速鉄道線「武広線」は、線路内などへの違法立ち入りを防ぐために高さ1.8メートルのフェンスで敷地を囲むだけでなく、1キロメートル当たり2人の警察官を配置し、「全面密閉・徹底監視」体制を採用する。

  武広線は武漢(湖北省)と広州(広東省)を995キロメートル結ぶ高速鉄道線で、営業最高時速は350キロメートル。武漢・広州の所要時間はこれまでの11時間から4時間に短縮する。

  中国の鉄道関係者は◆列車は最高で秒速約100メートル。近づくだけで、強風に巻き込まれる◆線路上に500グラムの物体を置くだけで、衝突時の衝撃力は500キログラム以上になり、列車転覆などをもたらす◆線路沿いに変電所まで引かれている電線には22万ボルトの電圧がかかっており、線路上方の架線は約3万ボルトで極めて危険――などを述べ、従来の鉄道線に比べ“次元の異なる”安全対策が必要と主張した。

  武広線の警備では警察官が1000人単位が投入される。全天候型の監視カメラも導入す。

  中国では高速鉄道に絡み、フェンスを乗り越えての敷地進入や物品放置だけでなく◆設備を破壊したり盗むこと◆周囲300メートル以内での風船や気球の使用◆施設近くでのごみの投棄や焚き火――などの禁止事項が定められている。

**********

◆解説◆
  中国では鉄道の高速運転が始まってから日が浅く、沿線住民の理解度も低いとされる。高速道路でも1990年代、北京市近郊で住民がフェンスに穴を開けて「近道」を作り、横断中に自動車にひかれる事故が発生した。(略)

いやまあ、慣れていないといってもやはりそこはそれ、馬鹿でかい鉄の塊が超高速で突進してくるわけですからねえ…無茶しすぎでしょうそれは。
何かにつけてこのように国による監視が行き届かないとならないというのも一面ではお国柄なのでしょうが、あまりそれが行き過ぎるとどうも堅苦しい社会になってしまいそうです。
こちらなどもその一例ですけれども、そもそもそんな曲を登録させないようにした方がよほど早い気がするんですが、わざわざ当局の監視所で警報が鳴るといったことからすると何かしら応用を期待しているということなんでしょうか。

“低俗曲”歌うと当局に通報! 中国、自動ソフト導入を義務化(2009年12月26日産経新聞)

【上海=河崎真澄】中国当局が全国のカラオケ店を対象に、客が“低俗曲”を歌おうとすると当局側の監視所で警報が鳴るシステムの導入を急いでいることが26日、明らかになった。

 何が“低俗曲”なのか定義は明らかにされていないが、同日の上海夕刊紙、新民晩報(電子版)は、不快感を伴う性的表現を含む曲のほか、民族分裂など政治問題にからむ曲や「日本方面の曲」も問題視されるとの関係者の話を伝えた。「日本の軍歌」などがやり玉に挙げられる可能性がある。

 同紙によると、重慶市や河南省などの当局が域内のカラオケ店に対し、店内の曲名選択のシステムに“低俗曲”を選別するソフトの装着を指導し始めた。当局が各店舗からインターネットで情報を吸い上げるしくみとみられる。年明けには文化省の指導で全土に規制を広げる方針だという。

 警報が鳴った場合、“低俗曲”を歌おうとした客にどのような“罰則”が待っているのかは不明。“低俗曲”そのものが今後は曲名リストからはずされ、歌えなくなる可能性が高い。

 中国当局は今年、国内で販売されるパソコンに有害サイトへのネット接続を規制する政府提供の“検閲ソフト”搭載を義務化しようとしたが、内外から「情報統制強化だ」との批判を集め、7月に予定した義務化を延期した経緯がある。

 カラオケへの規制もそうした情報統制強化の一環とみられ、今後の世論動向が注目される。

このあたりは先日も取り上げた検閲問題とも相通じるものがありますが、あまり厳しく締め付けすぎるとどこかでタガが外れてしまった時の反動が怖いという気はしますね。
最後はこちらなんですけれども、厳しくするならするでもう少し自らも身を律する必要はあるんじゃないかというのは、おそらく多くの中国国民も抱いている感情なのかも知れません。

屋外に立たされた生徒が凍死、教師は酒飲み忘れる…中国(2009年12月22日サーチナ)

  山東省〓坊市内の五井中学校で17日夜から翌18日朝にかけて、規律違反の罰として寮の外に立たされた生徒が、凍死したことが分かった。立たせた教師は酒を飲み生徒のことを忘れ、放置したという。22日付で大衆網が伝えた。(〓はさんずいに「維」)

  死亡した生徒は14歳で中学2年生。学校の寮で生活していた。普段は教師によく従う生徒だったが、17日は規則に違反して買い物に出ようとして見つかった。教師は生徒を殴った後、罰として屋外で立っているよう命令。その後、酒を飲み忘れてしまったという。

  生徒は翌朝、寮のそばの溝の中に横たわっていた。病院に運ばれたが死亡が確認された。現地では18日未明、最低気温が氷点下10度以下に冷え込んだという。学校側は当初、「予想できない事故だった」などと説明していた。納得できない保護者が、生徒が立たされた時の状況や教師のふるまいを見ていた他の生徒から事情を聞き、屋外に放置され死亡したことが分かったという。(編集担当:如月隼人)

今日のぐり:「焼肉亀家」

岡山市街地の中心からやや外れた大学病院の裏手に位置する、こちら見た目はどこにでもありそうな昔ながらの焼肉屋といった風情の店です。
しかし表に立っている電光掲示板を見ていると「ラーメン」なんて文字が踊っているのを見て思わず入ってしまいましたが、焼肉屋にラーメンとはこれ如何に?というところですよね。
メニューを見てみますと韓国風をうたうラーメン(激辛なのか、麺がインスタントなのかと想像は広がりますが)に限らず冷麺やビビンバなどおなじみのサイドメニューが以外なほど充実しているようで、見た目と違って案外侮れないなという感じでしょうか。

もともと価格帯的にそう高いという店でもないようですがきちんと炭を使ったグリルを用意してあるのは好印象で、特選ロース、特上ハラミ、上塩タンなど適当に織りまぜて注文してみましたが、最初に運ばれてきた塩タンをいざ焼こうとするとまだ炭があったまってないんですね…まあこういうところの反応性も炭ならではということでよしとしましょう。
この肉は全般にサシ過剰でちょっと好みから外れるんですが、幸い炭火ですので脂を落としながらじっくりと焼いていきますと、脂の味の下からそれなりにきちんと熟成された肉の旨味がにじみ出てくることが判ります。
韓国式をうたっていることもあってかもみダレ、つけダレと相乗効果でタレの味が濃厚なのは純粋に肉の味わいを楽しみたい向きにはどうかなとも思うところですけれども、残念ながら塩や胡椒といった調味料は用意されていないのですから店の味で食べるしかありません。

付け合せにトマトのピリ辛サラダや石焼ビビンバなども頼んでみましたが、ピリ辛と言うわりには案外辛くないこのトマトは焼き野菜よりも効率良く肉の脂を中和してくれるようで相性は悪くないですね。
きちんとコチュジャンと一緒に供される石焼ビビンバは味はごく普通におとなしく無難なといったところなんですが、昨今形ばかり焼いてみましたといった体の店もある中でガンガンに焼いてあるのはなかなかいい感じです(その御陰で扱いに注意しないと大変なことになってしまいますけれども)。
他にもメニューは豊富で、文字通り看板メニューとなっている?韓国風なるラーメンなども無論気を惹かれるところですけれども、やはり肉の脂で満腹感を刺激されてしまったのか今回は見送らせていただきました(残念!)。

韓国式といっても味自体は昔ながらの日本の焼肉屋という感じなんですが、やや甘口ながら濃厚なここのタレの味は焼肉はタレで食べるという向きには悪くないんじゃないかと思うんですがどうでしょうね?
肉以外にもチヂミや鍋などメジャーな韓国料理を中心にいろいろと楽しめそうな料理が揃っているようですから、ある程度人数を揃えていった方が良い店なのかも知れません。
ちなみに県北の方にも同じ名前の店があるようですが、資本関係があるのでしょうか?

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2010年1月23日 (土)

未だ迷走するgoogle問題 「中国と敵対する者にチャンスはない」のか?!

中国と言えばかねてネット検閲の厳しい国ですが、百度(バイドゥ)のような国内検索エンジンは元より海外検索エンジンに対しても検閲を行わせていることが知られています。
日本でもネット掲示板に常駐する「工作員」の存在が証されてしまいましたが、中国では政府お抱えの工作員が何百人といて、常時ネット上の書き込みに目を光らせては「世論を正確な方向に導く」ことを仕事にしているのだとか。
このあたりは表現や言論の自由であるとか言った近代的な人権問題との絡みでどうなのよと思う一方、巨大市場としての中国に対する進出欲との兼ね合いで各社痛し痒しのところなんでしょうが、先日とうとうgoogleが「キレた」と大きな話題になりました。

中国事業から撤退辞さず=人権活動家狙ったサイバー攻撃で-米グーグル(2010年1月13日時事ドットコム)

【シリコンバレー時事】インターネット検索エンジン最大手の米グーグルは12日、昨年12月に中国国内から「高度に洗練された」サイバー攻撃を受けたことを明らかにするとともに、2006年に中国語サイト「グーグル・チャイナ」を開設して以来、当局の事前検閲に従い順守してきた検索結果表示の自主制限について、廃止を目指し「中国政府と交渉する」と表明した。
 グーグルは、サイバー攻撃は同社メール送受信システムに仕掛けられ、中国人権活動家のアカウントが狙われた組織的なものだと指摘。「表現の自由」をめぐる統制状況次第では、中国事業からの全面撤退も辞さないとしている。
 グーグルによると、人権活動家2人の個人情報が不正アクセスされたが、被害はメール件名など限定的だったという。
 しかし、グーグルのドラモンド最高法務責任者(CLO)は、同様の不法行為が「金融、化学、IT(情報技術)などのグローバル企業20社以上にも及んだ」と証言。当該企業や米当局も把握済みとしており、今後は多国間の政治問題に発展する恐れもある。

「これ以上、検閲を容認しない」 グーグル、中国からの全面撤退も視野(2009年1月13日IZA)

【ニューヨーク=松尾理也】米インターネットサービス最大手グーグルは12日、昨年末に中国を発信源とする大規模なサイバー攻撃を受けていたことを同社ブログで明らかにするとともに、中国からの全面撤退も視野に対応を進めるとの姿勢を示した。グーグルは、サイバー攻撃の主体については具体的に名指ししていないものの、「われわれはこれ以上、検閲を容認し続けることはしないと決断した」と述べ、今後中国政府との交渉に入るとしている。

 声明によると、同社は昨年12月中旬、「中国を発信源とし、グーグルの事業インフラ(基盤)を標的とする極めて高度な攻撃」を検知。結果として知的財産が盗まれる事態に発展したという。

 その後の調査で、同様の攻撃はグーグルだけでなく金融やメディアを含む20社以上の事業体にも仕掛けられていたことが判明。さらに、グーグルへの攻撃を分析したところ、攻撃者の主な目的は中国の人権活動家が使用するGメール(グーグルが提供する無料電子メールサービス)のアカウントへのアクセスだったことがわかった。

 グーグルは、こうした攻撃は「言論の自由に関する世界的な議論にかかわる問題」と事態を重視するとともに、「中国でわれわれが事業を続けることが本当に可能なのか、見直しに入る」と表明。グーグルの中国でのサービスであるグーグル・チャイナに対する検閲をこれ以上容認しないと表明するとともに、今後数週間のうちに中国政府との協議に入ると述べた。

 協議が不調に終わった場合、中国からの全面撤退も視野に入れているという。

 グーグルは2006年、中国でのサービスを開始する際、「インターネットによる情報量の増大は、検閲を受け入れることのマイナスを補ってあまりある」との判断により、中国当局からの検閲を受け入れた経緯がある。

そもそも最初に検閲を受け入れても中国に進出すると決定した時点でずいぶんと評判が悪かったのも確かですが、ここに来てサイバー攻撃にまでさらされてとうとう決断をしたということになるのでしょうか。
非常に面白いのがこの検閲問題に関しては、欧米的価値観からすると受け入れがたいものなんじゃないかと思える一方で、例えばマイクロソフト社のように検閲よりも利益優先と言う企業もあるということで、今や中国という巨大市場は無視出きないものになっているということでしょう(マイクロソフトの場合、撤退しても違法コピーが出回るだけである以上、多少なりとも正規版で稼いだ方がマシと考えているのかも、ですが)。
いずれにしてもアメリカやインドの政府すら巻き込んだこのサイバー攻撃騒動、どうやら攻撃を仕掛けていたのが中国政府関係者だったのでは?!なんて話が出てきたあたりから、これは単に一部企業に対する問題ではなく国家対国家の大問題に展開する気配すら出てきています。

米中サイバー摩擦に発展 グーグルの検閲撤廃要求(2010年1月15日産経新聞)

 【ワシントン=渡辺浩生】インターネット検索最大手の米グーグルが、中国からの撤退も視野に検閲撤廃を要求している問題は「米中サイバー摩擦」に発展しつつある。米議会では、他のネット大手もグーグルに追随するよう迫る声が上った。中国によるサイバー攻撃は国家の安全保障上の脅威であり、人権問題でもある。それだけにサイバー摩擦は通商、人民元問題に次ぐ米中間の新たな懸案事項になったといえる。

 国務省のシアー副次官補(東アジア・太平洋問題担当)は14日、在米中国大使館の高官と会い、グーグルへのサイバー攻撃は「インターネットの自由とセキュリティーに疑念を起こさせる深刻な問題だ」とし、中国政府に説明を要求した。

 攻撃を受けたのが特に、中国の人権活動家の情報だったことから、ギブズ大統領報道官も同日、インターネットの自由は「普遍的な権利だと大統領は信じている」と述べ、中国の検閲をこれ以上受けることを拒否したグーグルの決断を支持した。

 議会では、共和党のウルフ下院議員が記者会見で「他の企業もグーグルと一緒に行動してほしい」と呼びかけ、民主党のペロシ下院議長も、グーグルの決断は「他の企業や政府の模範となるべきだ」との声明を発表した。

 ただ、米マイクロソフト(MS)のバルマー最高経営責任者(CEO)は米CNBCのインタビューで、中国でのネット事業から撤退する計画はないと強調し、経済的利益を優先させ、検閲を容認する姿勢を変えていない。

 米国内では、中国を発信源とするサイバー攻撃は「経済と国家安全保障上の重大な問題だ」という危機感が高まっている。米中経済安全保障調査委員会が昨年11月に議会に提出した年次報告書によると、国防総省を狙った攻撃が年々増加し、電気、水道、ガスの供給インフラや、中国の人権、通商問題を批判する議員を標的にした攻撃も起こっている。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、サイバー攻撃で侵害された米国の知的財産権は、年間400~500億ドルに相当するという。

 オバマ大統領は昨年12月、サイバー防衛策を統括する調整官を新設し、元MS幹部を任命した。その矢先に、米グローバル企業の代表格に対する執拗(しつよう)な攻撃が明らかとなっただけに、政府と議会が受けた衝撃は大きい。

インド政府、中国からハッキング攻撃を受けたと発言   今回が初めてではないし、十分な証拠もある(2010年01月19日COMPUTERWORLD)

 インドの国家安全保障担当官であるM・K・ナラヤナン(M.K.Narayanan)氏およびそのほかのインド政府関係者によると、インド政府のITシステムが中国に潜伏していると思われるハッカーの攻撃目標にされたという。

 ナラヤナン氏は英国ロンドンのTimes紙に、「われわれのシステムがハッカーに狙われたのはこれが初めてではない」と語った。

 同氏によると、インド政府のシステムに攻撃が仕掛けられたのは2009年12月15日であり、同日には複数の米国企業もシステムに対するハッキングを報告している。

 Googleも先週、2009年12月にハッカーの攻撃を受けたことを明らかにしている。同社の話では、中国国内から仕掛けられたと考えられる巧妙な攻撃が同社のインフラをターゲットに定め、その結果、Googleは知的財産の一部を盗まれたとのことだ。

 インド政府への攻撃では、「トロイの木馬」ウイルスを含むPDFファイルが添付された電子メールが悪用された。ハッカーは、このウイルスに感染したコンピュータに遠隔地からアクセスし、ファイルをダウンロードしたり削除したりすることができると、ナラヤナン氏は説明している。

 今回の件について、ナラヤナン氏およびそのほかの関係者に取材を試みたが、回答まだ得られていない。

 同氏はTimes紙に、「犯人は中国人だと確信している。攻撃の正確な拠点を突き止めるのは難しいが、中国からの攻撃であることは、ほぼまちがいない。われわれには十分な証拠がある」と話している。

 インドと中国は1962年に戦争を始め、両国の国境紛争はこの1年間でさらに悪化した。

 インド政府は、Huawei Technologiesなど、中国系の技術企業がインド国内で事業を営むのを禁止している。また、とりわけ中国との国境付近では、中国ベンダーの通信機器を使用することにはセキュリティ上のリスクが伴うとも言明している。
(John Ribeiro/IDG News Serviceバンガロール支局)

グーグルサイバー攻撃に中国政府関与か(2010年1月15日日刊スポーツ)

 米インターネット検索大手グーグルが会員の電子メールへの不正侵入といったサイバー攻撃を受けていた問題で、米情報セキュリティー会社「アイディフェンス」は14日までに、攻撃元となったサーバーなどが中国政府関係者のものと同一だったとの調査結果を公表した。

 もし事実なら、グーグルに対するサイバー攻撃に中国政府が関与していた疑いが強まり、国際社会から中国政府が釈明を求められる可能性もある。中国政府による検閲などを嫌って中国事業からの撤退も検討しているグーグルの動向にも影響を与えそうだ。

 アイディフェンスは、グーグルを含む30社以上の米企業に対し最近行われたサイバー攻撃に使われたサーバーを特定。その機器が持つIPアドレスを調べたところ、中国政府関係者のものと一致した。また、昨年7月に米企業に対して行われた大規模な攻撃についても、ほぼ同様の手口で行われたとしている。

 中国外務省は14日、こうしたサイバー攻撃は中国でも禁止されていると強調していた。(共同)

米政府、グーグル問題で中国に正式抗議へ(2010年1月16日日刊スポーツ)

 米インターネット検索大手グーグルが中国からサイバー攻撃や検閲を受けたとして、中国からの撤退を検討している問題で、米国務省のクローリー次官補(広報担当)は15日、来週初めにも中国政府に文書で正式に抗議し、説明を求める考えを記者団に示した。

 米中両政府間に貿易摩擦や台湾問題などの懸案が横たわる中、今回の問題が新たな火種として浮上した。

 クローリー氏は「中国政府に公式な申し入れ書を出す」とした上で「われわれの懸念を伝え、なぜこのようなことが起きたのかや今後どう対応するのかについて中国に説明を求める」と述べた。

 中国からのサイバー攻撃をめぐっては、クリントン国務長官が12日の声明で「深刻な懸念と疑念」を表明。14日に中国担当のシーア国務副次官補が在米中国大使館の幹部に説明を求めたが、国務省高官によると、回答はなかったという。(共同)

さて、こうして国際間紛争にまで発展しそうな勢いの話になってきますといきおい世間一般の注目もひこうと言うものですが、西側諸国の報道は基本的に中国政府の検閲を非難する論調が主体で、中には変態捏造記事で鳴らした某新聞社のように「検閲は中国の品位の問題だ」などと、一体どの口が品位を云々しているのかと思われるような論説もあるのはご愛嬌という感じでしょうか(苦笑)。
これに対して中国国内報道や西側一部メディアなどでも「中国に敵対しても負けるだけ」といった論調もあるようですが、一方でこれまた面白いのが普段からわりあい盲目的とも言える愛国的言動が目立つ中国国内のネットユーザーの一部から、この問題でgoogleを支援するといった声が出てきているということでしょうか。
基本的にかの地でのネット言論は当局の検閲済みというのが定説ですから、このあたりはある程度欧米諸国の「言論弾圧」といった論調にも配慮して手綱を緩めてかかっていると言うことなのか、あるいはコントロール可能な範囲内で一定のガス抜きを図っているということなんでしょうか?

【環球異見】グーグルVS中国、欧米では「グーグル、よくやった」(2010年1月18日産経新聞)

 米インターネット検索最大手のグーグルが12日、中国当局の統制をこれ以上容認できないとして、中国からの全面撤退も辞さないと宣言した。巨大ネット市場ほしさに過酷な検閲要求に耐えてきた同社も、大がかりなサイバー攻撃まで受けるに至って、ついに堪忍袋の緒が切れた形だ。米中政府間の摩擦にも発展しそうな今回の事態をめぐり、欧米では、「グーグル、よくやった」と快哉(かいさい)を叫ぶ論調が大勢のようである。

 ▼環球時報(中国)
  ■撤退で損するのはグーグル自身

 14日付の中国共産党機関紙、人民日報傘下の環球時報は「グーグルが中国からの撤退を検討」と一面トップで伝え、「撤退すれば今後の世界のインターネット企業の勢力図を大きく変える可能性もある」と予測した。一方、国内の専門家の意見を引用する形で「撤退で損するのはグーグル自身であり、一企業は賭けに出る形で中国政府を脅迫すべきではない」とグーグルのやり方を批判している。

 記事は、グーグルの今回の一件の経緯を簡単に紹介したうえで、「ある国で企業を経営しようとすれば、その国の法律を守るのは当然であり、中国が国内の一部のサイトを検閲するのは国家主権の表れだ」と検閲の正当性を主張。「中国政府は、これまで欧米諸国からさまざまな問題で圧力を受けてきたが、イデオロギー面で譲歩したことはほとんどない」とし、「中国側は絶対に妥協しない」という強気の見方を示した。

 さらに、インターネット関係者の話として、「グーグルは人材育成や営業などの面で現地化に遅れ、中国市場での経営がうまくいっていない」とし、ワイセツ画像を垂れ流したため、昨夏に中国当局から警告されたり、この1月に著作権を侵害したとして中国の作家らに謝罪したりした点にも触れ、“問題企業”であると印象付けようとした。

 ただ、記事は、一部の強硬なネットユーザーのように「グーグルを追い出せ」といった主張はせず、「中国のネットに対する管理はまだ模索段階で、今後は開かれる方向にいくのは間違いない。中国から撤退すべきかどうかについて、グーグルはもっと理性的に判断した方が良い」との中国メディア大学の劉笑盈教授のコメントで締めくくっており、グーグル側に再考を求めるにとどまっている。(北京 矢板明夫)

 ▼ウォールストリート・ジャーナル(米国)
  ■電子空間舞台に冷戦構造が復活

 14日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙は、グーグルに対する今回の攻撃を、電子空間という新たな舞台での冷戦構造の復活だと大きくとらえている。

 在ワシントン中国大使館は「中国におけるインターネットはオープンであり、中国政府は健全なネットの開発に努めている」と、木で鼻をくくったようなコメントを出しただけだった。同紙はしかし、「グーグルへの攻撃は、軍事目標だけでなく、地球規模で広がる米国の力を反映する企業群をも標的にしつつある中国の意図を感じさせる」と見る。「グーグルはもはや米国の国力であり、一般的な軍事力と同様、安全保障の一部でもある」からだ。

 この結果、グーグルに対するサイバー攻撃は、米国の国家安全保障に対する直接の脅威と受け止めるべきだと指摘するのである。

 人民解放軍の電子戦能力の急激な伸びには、すでにさまざまな形で警鐘が鳴らされている。今回、中国を発信源とする攻撃を受けたとされる30社以上の事業体には、ノースロップ・グラマン社など米国防関連企業も含まれており、同種の企業に対する中国からのサイバー攻撃はこのところ、激しさを増す一方だという。

 こうした事態を受けて、攻撃が検知された場合、単に遮断するだけではなく、逆に虚偽の情報を流すなど虚々実々の駆け引きさえ、日常化しているという。

 同紙は、今後、米議会でこの問題が取り上げられるのを踏まえて、中国政府の関与をどの程度まで、証明できるかが重要になってくると予測。同時に、「こうした攻撃が、北大西洋条約機構(NATO)条約が定義する『武力攻撃』に相当するのかどうかといった論議も、同盟国の間で必要になってくるだろう」としている。(ニューヨーク 松尾理也)

▼フィナンシャル・タイムズ・アジア版(英国)
 ■統制に立ち向かった初の大企業

 14日付の英紙フィナンシャル・タイムズ・アジア版は、「中国の検閲に立ち向かうグーグル」という見出しの社説を掲載し、この中で、グーグルが中国からの全面撤退も辞さない姿勢を示したことを「勇敢だ」と称賛しエールを送った。

 社説によると、13億人の人口を擁し新興富裕層が台頭する中国は検索サイトにとっても魅力的な市場であり、グーグルは2006年以来、マイクロソフトやヤフーと同様、中国が求める検閲基準に配慮したサイト運営をしてきたという。

 社説は、それがしかし、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスでき使えるようにする」というグーグルの使命を傷つけていると指摘、創業の理念に立ち戻り、情報統制と闘うと決めたからこそ、「今日、グーグルは再び格好良く見える」と称賛した。

 社説は、今回の決定により、すでに3億人のネット人口を持つ国で市場を失いかねないというリスクにも言及し、「グーグルは、プロパガンダの統制に対する挑戦を許さない、抜け目ない中国に対応しているのだ」と覚悟も促している。

 社説は最後に、会員制交流サイトの「フェースブック」やミニブログ「ツイッター」へのアクセスの制限▽風刺やジョークさえも抑圧の対象とする当局の姿勢▽相次ぐサイバー攻撃-などと、中国による情報統制の具体例を列挙したうえで、たとえグーグルが中国からの撤退を余儀なくされても、中国政府に立ち向かう行為自体に重要な意義がある、と強調している。

 そして、「グーグルは中国の統制要求を断固として拒否した最初の大企業である。これが最後とならないことを願おう」と、毅然(きぜん)とした態度を取る企業が後に続くことに期待を寄せつつ締めくくりとしている。(大内清)

<グーグル問題>“未来の支配者”中国と敵対する者にチャンスはない―米誌(2010年1月20日レコードチャイナ)

2010年1月25日、米誌ニューズウィークは「中国と敵対する者にはいかなるチャンスもない」と題した記事でグーグルの中国撤退問題に触れ、「戦いの勝者は中国だ」と論じた。以下はその内容。

過去30年、西側の中国に関する予測は十中八九間違っていた。これは疑いの余地がない事実である。西側メディアは、「中国経済の成長率は誇張されたもの」「国の統制力に陰りが見え始めている」「海外メディアの報道が中国共産党の権力を弱らせている」などと報じて来たが、これらはすべて西洋人の考え方に基づいたものに過ぎない。

インターネットは、西洋では「思想と情報の自由な交換」の象徴と見られてきたが、中国政府はこれを効果的に制御できることを世間に知らしめた。グーグルの「世界中の情報を取りまとめ、誰もが簡単にアクセスして有益な情報が得られる」という理念は、中国の統治者が抱く「統制の必要と責任」という古い観念と衝突した。

だが、この戦いの勝者は「中国」以外にない。グーグルは中国当局の要求に従うか、この世界最大の市場から撤退するかの2つに1つだ。西洋人は中国政府の統制を「恐れ」によるものと解釈しているが、それは違う。中国人にとって国家とは「社会の化身」であり「守護者」でもある。中華文明を完全な形で継承することが、国の最も重要な政治任務で神聖な使命なのだ。

中国が米国を抜いて世界最大の経済国家になることは、もはや時間の問題。中国が支配する新しい世界では中国人の考え方(儒教的な思想から国家観、家庭のあり方や子供の養育に関してまで)が主流になってくる。我々は早いうちからその本質を知るべきだ。そうすれば、もっと上手く中国と付き合えるようになるだろう。(翻訳・編集/NN)

グーグル 「よくやってくれた」中国ユーザーが集結(2010年1月14日毎日新聞)

【北京・浦松丈二】中国政府の検閲廃止を訴えるインターネット検索エンジン最大手の米グーグルの中国本社前で14日、同社を支持する中国のネットユーザーたちが集まり、花束などをたむけた

 本社前にある同社ロゴ上には「グーグルに自由を」「よくやってくれた」と中国政府の検閲を批判するビラが張られ、その前で記念撮影をする若者たちの姿も。

 近くのIT企業に勤める男性技術者(27)は「グーグルは生活の一部。できれば中国に残ってほしいが、(検閲反対など)商業道徳を守るための撤退ならば支持したい」と話していた。

いずれにしてもこうなってきますとgoogleの一挙手一同にいわば検閲反対、言論の自由といった近代自由主義的価値観までかかってきているとも言えるような大騒ぎになってきましたが、ここに来て少しばかり風向きが変わってきているようにも見えます。
一頃にはすでに撤退準備を開始か?!だとか、天安門事件などのタブー画像を検索可能になった!?などとも言われて中国政府との決別は既定路線のようにも言われていたgoogleですが、このところ妙に擦り寄ったかのような発言が見られるようになってきました。
逆に一度撤廃したはずの検閲を受け入れて事業を続けるのでは?!なんて話も出るに及んでは、今度は西側諸国からその変節ぶりを批判されかねない勢いですよね。

<グーグル撤退>態度一転?!ネット検閲を受け入れ中国事業続行か―中国メディア(2010年1月19日レコードチャイナ)

2010年1月18日、環球時報は、中国からの撤退を示唆していた米検索大手グーグル社が劇的に態度を変えたと報じた。

ブルームバーグは16日、匿名希望のグーグル女性報道官にインタビューしたところ、中国の従業員は仕事を続けており、今後も続ける見通しと回答を得たという。ロイターはグーグルが中国からの撤退を否定し、中国政府のネット審査制度を順守した上で、今後、数週間にわたり中国政府との協議を続けると報じた。

またグーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は15日、米誌ニューズウィークのインタビューに答え、「われわれは中国と中国人民を愛している」と表明している。環球時報は、「中国人を愛しているって?神様もバカ笑いするよ。おまえが愛しているのは人民元だろ」という中国人ネットユーザーによる辛らつなコメントを掲載した。

中国商務部の姚堅(ヤオ・ジエン)報道官は15日、グーグル撤退に関する報告は受けていないとコメントした。(翻訳・編集/KT)

「中国に残りたい」 グーグルCEO、検索検閲問題で(2010年1月22日産経新聞)

 米インターネット検索大手グーグルのシュミット最高経営責任者(CEO)は21日、「われわれは中国に残りたいとずっと思っている」と述べ、撤退するかどうかについては結論を出していないことを明らかにした。決算発表後、電話会見した。

 シュミット氏は中国での事業について「これまで通り継続している」と強調した上で、同社の検索サービスに対する検閲の撤回を求めて、中国政府と協議を進める考えを示した。グーグルは12日、検閲をこれ以上受け入れないとして、中国事業からの撤退も検討していることを明らかにした。

 一方、米メディアによると、ソフトウエア最大手、米マイクロソフトのバルマーCEOは別の会合で21日、「国の法律を尊重すべきだ」と述べ、検閲も含めて中国の法律に従う必要があるとの考えを示した。(共同)

最終的にどんな結論が出てくるかはまだ先の話になるのでしょうが、終始首尾一貫した対応を続けているマイクロソフトなどに比較すると、どうも社内での意思決定の過程に何かしら問題でも抱えているということなのか、あるいは経営基盤の安定性の差といったことなのか、何にしても煮え切らない態度と言う印象は拭えないところですよね。
まあ「中国に残りたい」というのも経営者としての本音なんでしょうが、正直こんなことを言ってしまうと今度はgoogleの方が批判にさらされかねないんじゃないかという気もするところですが、どうなんでしょうか?
政府レベルで盛り上がってしまったこの問題が今後どのように終焉して行くのか、今日の世界経済を考えるとそれこそ中国と事を構えて得する国もそうそうないでしょうから、各国ともほどほどの落とし所を探っているのだと思いますが、肝心の火付け役がこういうことになっているとなれば、これは泰山鳴動して…と言った類の何ともしまらない幕切れを迎えてしまいそうな悪寒すら漂ってきましたかね。

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2010年1月22日 (金)

面子が変わると今までにない話も出てきます?

診療報酬は総枠横ばいということで今後は業界内部で報酬の奪い合いになるのでは…とは誰しも予想しているところだと思いますが、実際に細部を詰める作業となってきますとこの辺りの立場の違いがくっきりと現れてきているようですね。
先日出た話で面白いなと思ったのはこちらの記事なんですが、嘉山先生いくらなんでもそれは言い過ぎというものでしょう(苦笑)。

【中医協】勤務医対策、病院側の立場の違いくっきり(2010年1月18日CBニュース)

 「病院の人件費率を下げないことを条件に、チーム医療に診療報酬を付けてほしい」(嘉山孝正委員)、「病院の人件費率に縛りを掛けるのは、病院を経営する上で無理な話だ」(西澤寛俊委員)―。来年度に実施する診療報酬改定の「現時点の骨子」を取りまとめた1月15日の中央社会保険医療協議会(中医協)・総会では、診療報酬上の勤務医対策をどう盛り込むかが焦点になり、病院側委員の立場の違いが鮮明になった。

 最終的には、厚生労働省による当初案で「負担を軽減するための取組を推進」としていた文言を、「処遇を改善し、負担を軽減するための取組を推進」に修正することで決着。その上で、負担軽減と共に処遇改善につながる体制づくりを要件にする点数を拡大する方向性が示された。

 山形大医学部長の嘉山委員は意見交換で、これまでの診療報酬改定で病院の勤務医のモチベーション向上に直結する仕組みを担保せず、病院からの「立ち去り」を防げなかったことが、病院医療の崩壊につながったと主張。厚労省が提示した当初案に対し「勤務医対策と書いてあるが、何のための対策か。病院の収入が増えるだけだ」と指摘し、人件費率を下げない病院に算定を認める点数をつくって対策を促すなど、より具体的な文言を「現時点の骨子」に盛り込むよう求めた。
 全日本病院協会の会長で、自らも札幌市内で民間病院を経営する西澤委員がこうした点数の設定に難色を示すと、嘉山委員は「“悪徳病院経営者”がもうかるシステムではなく、現場で働いている人に(報酬が)行くような制度をどこかに入れていただきたい」とさらに強く求めた。

 全国公私病院連盟の副会長で、公立病院の経営に長年携わってきた邉見公雄委員は、「嘉山委員の言う方向は正しい」と理解を示す一方で、「どういう方策を取るかが難しい。われわれ自治体病院は『人件費率を下げろ』と言われている。地方の病院では、雇おうにも人がいなくて雇えない場合もある」とも述べた。

 すると、茨城県内で民間病院を経営する鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)が、「自治体病院の先生方は、たとえ経営が赤字になって事実上倒産するような状態になっても、自分の財産を全部投げ出すようなことはない」「われわれ民間病院では、(経営者個人が)責任を負って経営している」などと強調。嘉山委員が主張する点数の設定に、「経営者だったらお分かりいただけると思うが、ちょっと難しい」と難色を示した。

 これに対して嘉山委員が「病院経営の目線ではなく、患者目線で見てほしい」「ここまで言いたくはなかったが、先生(鈴木委員)の病院が国民に必要とされているのかどうかもまだ評価されていない」と述べるなど、病院側の足並みは最後までそろわなかった。

 しかし、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「個人診療所の経営者なので、黙って聞いていた」としながらも、「2号側(診療側)が建設的な意識の中で議論をしているのは大変に意義がある」と、一連のやりとりを評価した。

嘉山先生と言えば先ごろ11月6日に開かれた中医協の診療報酬基本問題小委員会でも、各方面から悪評高い外来5分ルールについて「まるで人頭税のような概念を持ってくるのは非人道的だ」などと発言して長妻大臣直々に廃止の腹を固めさせたなんて話がありますけれども、相変わらず飛ばしてますよねえ(苦笑)。
しかしここで注目すべきは邉見医員の発言にある「われわれ自治体病院は『人件費率を下げろ』と言われている」の部分で、確かに医師の待遇改善を評価する上で人件費率をその指標としてしまうと、これはこれで特に公立病院においては実態を見誤る元になるのではないかという気がします。
個人的にはとりわけどの立場に肩入れするというわけではありませんけれども、例えば嘉山先生のいらっしゃるような大学病院であるとか各地の自治体病院が慢性的な赤字を計上しているのは、多少の診療報酬分配のさじ加減でどうこうなるものではない問題なのだという認識は議論の前提としておかなければならないとは思いますね。

さて、特にこの改訂作業でどこを減らすのかという議論になってきた場合に、真っ先にターゲットになることがほぼ確定的なのが地域の開業医だとはもっぱら噂されているところですけれども、例えば現行では診療所の方が高くなっている再診料統一の問題一つ取ってみても、これを統一するのに病院側に合わせて下げるか、診療所側に合わせてあげるのかで大騒ぎになっていますよね。
そもそもどれだけ患者が来るかも判らない外来業務で予算が先に決まっているというのもおかしな話だと思うのですけれども、具体的に支出切り下げ効果についても数字を出して検証中ということですから、これは本気で削りにかかってくるのだろうとは予想されるところです。
ところでこの再診料に関しても非常に興味深い話が出てきていますが、まずは一般紙の記事から引用してみましょう。

再診料「地域医療へ貢献なら加算」 厚労政務官(2010年1月19日朝日新聞)

 来年度の診療報酬改定で焦点となっている、再診料の病院(600円)と診療所(710円)の格差見直しについて、厚生労働省の足立信也政務官は19日、診療所の再診に対する報酬水準を下げて、時間外対応など地域医療に貢献する診療所には加算する意向を明らかにした。

 再診料の価格差は、開業医に手厚い報酬体系の象徴として批判されており、統一する方向で議論が進んでいる。

 足立氏はこの日の記者会見で、「時間外で電話に応じたり、自分が診察できなくても他の病院を紹介するなど、地域医療で頑張っている方々の診療料を下げるつもりは全くない」と強調した。そのうえで、「薬だけ処方されているようなところや、9時~5時でいなくなって、その後は連絡の取りようがないところ」と例示し、こうした診療所は「若干の低下はあるだろう」と述べた

 厚労相の諮問を受けて、中央社会保険医療協議会(中医協)が具体的な報酬配分について協議を始めたが、診療側委員が再診料引き下げに強く反対している。

再診料統一問題に関してやはり開業の診療所側では切り下げで病院側水準に統一されるのではないかと危機感を抱いている、それに対して必ずしも診療所を切り下げるわけではありませんよという足立政務官の発言は、自民党支持基盤であった医師会排除に続く民主党の医師票取り込み策の一環だろうとは容易に想像できるところではあるところです。
問題は「地域医療で頑張っていれば切り下げない」云々の発言が意味するものですが、いったいこれはどういうことなのか、診療所の中でも報酬に格差をつけていくということなのかと誰しも疑問に思うところですよね。
このあたりはいつものロハス・メディカルさんの方でもう少し詳しい発言内容が掲載されていますから、そちらを引用させていただきましょう。

地域医療しっかりやる開業医は診療報酬減らさない 足立政務官(2010年1月19日ロハス・メディカル)

 厚生労働省の足立信也政務官は19日、15日に中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問した来年度診療報酬改定案の基本的考え方として「地域医療をしっかりやっている開業医の再診料と外来管理加算の合計額を減らすつもりはない」と述べた。来年度改定では、診療所(71点)と病院(60点)とで異なっている再診料を同一に揃えることが決まっており、開業医らからは診療所の点数が引き下げられるのでないかと警戒する声も多く出ている。(川口恭)

 ロハスメディアの取材に応じた。発言の要旨は以下の通り。
「中医協に諮問した診療報酬改定案について、今は諮問してパブリックコメントもいただいている段階なので、強制するわけではないが考え方を少し説明しておきたい。開業医の再診料を全部下げるとかいう報道もなされているが、そんなに狭い話ではない。

 地域医療をしっかりやっている所。たとえば24時間とまでは言わないまでも時間外の対応や紹介、日常の診療や説明もしっかりやっている開業医について、再診料と外来管理加算の合計額を減らすつもりはない。しかし、そうじゃない人たち、今後、退院後の紹介管理や通院での検査や化学療法などが重視されるという流れの中で、ほとんど投薬しかしてなくて9時5時であとの時間は連絡も取れないというような、その人たちと同じ評価でいいのかが問題だ。

 大原則として、しっかり地域医療をやっている人の外来診療報酬は守りたい。そういうことをやってない条件を満たしてないような人のものを減らすのはやむを得ない。そこを削らないとプラスする財源が出てこないのだから」

足立氏のキャリアは純然たる勤務医のそれですから、いわゆるビルクリに代表されるような「時間が来たらハイそれまでよ」な開業医に対してそれなりに鬱積した感情を抱いているところなきにしもあらずなのではないかとも推測出来るのですが、さてこれは現実問題としてなかなか微妙な話を出してきたなと思わざるを得ないところですよね。
要するに足立氏の考えとしては今後多忙な病院業務をどんどん開業医に移していくというビジョンを描いているのかも知れませんが、そういうミニ病院的なことをやりたい人がどれほど開業という道を選択しているのかという素朴な疑問が第一点で、あるいはこれは昨今巷間でも議論盛んな逃げ道潰し作戦の一環かという穿った見方も出来そうな話でもあるわけです。
ついで一点、現実的な疑問として「しっかり地域医療をやっている人」なんて抽象的な言葉をどう診療報酬に結びつけていくかということがありますが、まさか時間外受信者数や逆紹介比率で算定しようなんて考えているのであれば、現状ですら時間外加算を切られまくりでやってられないと嘆く全国の「しっかり地域医療をやっている診療所」が全く見えていないお気楽な元勤務医の妄言とも言われかねません。

そしてもう一点、開業医というのは大勢の医者が揃っている病院と違って原則医師一人でやっているところが多いわけですから、時間外診療をやると言えば当然通常勤務をこなし、その上で時間外もやれと言うことであればこれは明らかに過重労働ということになりますが、それをどう考えるかということです。
別に時折必要があってそういうことをやるというのはもちろんどの職業でも同じことで仕方がない話でしょうが、足立氏の言うところによればこれからは「日常業務として」そうした超過勤務をこなさないと金は出しませんよと言っているわけですから、何のことはない国が率先して労基法無視で働くことを強いていきますよということですよね。
厚生労働省政務官と言うくらいで足立氏も(少なくとも形式上は)医療行政のみならず労働行政にも責任なしとしない立場のはずですけれども、「時間外労働をしっかりやらないと金は払わないぞ」なんてことを労働者のための省庁の役人が公に口にしちゃっていいのか?という素朴な疑問があります。

そもそも勤務医が疲弊している原因として労基法無視のトンでもない労働条件がある、だから民主党政権になれば医者の人権を尊重しもっと人間らしい生活が送れるようにしますと言うのが足立氏を始めとする民主党医療畑の皆さんの選挙前の売り文句だったように記憶していますし、実際それに期待して民主党に一票を投じたと言う医療関係者も多かったわけです。
ところが実際に政権を取ってみれば一番の売り文句だった医療費引き上げが空手形に終わったことは置くとしても、肝心の労働条件に関してもいつの間にか国から直々に違法労働を強要されるような話になってきているわけですから、これは話が違うぞと思い始めている人間もそろそろ増えてきているのではないでしょうか。
おそらくこの政策が実施されるとこれを良い契機にと地域の老開業医が一斉廃業することもあり得るかなと思っているのですが、そうした「ほとんど投薬しかしてなくて9時5時」の先生方でも医療業界内で一定の業務分担を果たして来たという事実に想いを馳せるとき、果たしてこれが残った医師の負担軽減になるのかどうか疑問の余地なしとはしないところです。

重い神輿などを皆で担ぐ時などもそうですけれども、一部の担ぎ手がどんなにさぼっているように見えても「いないよりはマシ」なのであって、やはり担ぎ手の頭数を減らすようなことをやっていると短期的にはいざ知らず、長期的にはうまく回っていかないということがままあるものです。
いずれにしても日本で一番働いていないレベルの医者でも多くの国における医者の水準程度には働いているんだという現実もまたありますから、足立氏も「俺並に働けない医者なんていらねえ!」なんて感覚でやってると今後もどこかで大コケする可能性がかなりあるかなと思いますけれどもね。
何にしろ中医協メンバーなどもそうですが、色々と医療行政の中核に関わるメンバーが変わってきて、今までにない視点での発想が結構出てきているというのは確かなようですから議論を眺めていても面白いですし、案外斬新な発想が思いがけない大成功につながるなんてこともあり得るかも知れないと、ここは一つ前向きに考えておくことにしましょう。

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2010年1月21日 (木)

うっかりミス?が意外な問題につながっていたり

民主党政権が小沢氏らの問題で大きく揺れているようですが、その余波がマスコミ業界にも波及しているようです。
見ていてなかなか面白いなと思ったのは、民主党と言えば従来マスコミと蜜月関係を築き上げることで躍進した政党と言うイメージがあったものが、ここに来て同党関係者からマスコミ批判が続出している様子なのですね。
それだけであればまあそういうものだろうと言う話なんですが、マスコミ業界自身の中からもこんな発言が出てくるあたり、何やらシンクロしているようで興味深いものがあります。

民主党の高嶋、平田両氏がマスコミに八つ当たり 「報道で世論は動く」「無罪と言ってるのに罪人扱い」(2010年1月18日産経新聞)

 民主党の平田健二参院国対委員長と高嶋良充筆頭副幹事長は18日午前、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査で小沢一郎幹事長の辞任を求める声が7割を超え、内閣支持率が急落したことについて、小沢氏をめぐる報道が原因だとマスコミ批判を行った。

 平田氏は「報道によって国民世論は大きく動く。国民はマスコミやテレビの報道を正しいと思っているから、(小沢氏をめぐる疑惑が)事実かどうかわからない状態で報道することでそうなるだけだ」とマスコミを非難した。

 そのうえで「菅谷(利和)さんの事件だって冤罪(えんざい)だったじゃないか。あの時のマスコミの報道の仕方はどうだったんだと、もっと反省しなきゃいかんではないか!」とまくし立てた。

 「そういう報道に基づいた世論調査だから、そうなる(=幹事長辞任論7割超)のは当たり前の話でね。別の報道していたらそうはならない! 小沢幹事長がああいうふうに(潔白だと)話しているのは事実だと思いますよ」とも語った。

 高嶋氏も「検察がマスコミに情報をタレ流している。情報が検察から出ない限り、皆さん方書けるのか? 基本的には世論操作になっている」とマスコミ批判を展開。「小沢さんが無実だと言っているのに罪人扱いしてマスコミが報道してきたから、国民の皆さんがそう思っているだけの話だ」と述べ、世論はマスコミに誘導されているとの認識を示した。

【小沢問題】 鳥越俊太郎 「今回、私たち世論は操作されている!」「鳩山内閣の支持率低下、マスコミの小沢報道が原因」★3(2010年1月18日ニュース速報+@2ch掲示板)

・18日、テレビ朝日「スーパーモーニング」の中で、鳥越俊太郎氏が小沢問題について語った。

---以下、発言引用---
鳥越俊太郎氏「ただね、あのね、支持率が下がってきているってことがありましたよね。
これは当然、マスコミの論調に連動しているわけね。マスコミが全部、『小沢疑惑報道』を
ずっとやってますから、そりゃ当然、支持率下がってくるんですよね。
民主党の支持率は、内閣の支持率も下がってくる。
ここにちょっとね東京新聞のね、論説の人が書いた『論説室から』というのをちょっと読んで
みたいんですけどね、これは非常に示唆に富んでいる。
えー『読者として多くの記事を読む限り、正直言ってこれはいったい、なんなんだという感じも
抱いてきた。なぜなら、当事者本人か捜査当局しか知り得ないような情報がしばしば
盛り込まれているからだ。ときには当事者が捜査当局に供述したとされる内容が報じられている。
ということは、当事者が取材記者に話したか、あるいは当局が記者にリークしたのではないか。
疑惑があるならば解明されねばならないのは当然である。現場で取材する記者の苦労は
理解できるし、多としたい。だが、結果的に当局の情報操作に手を貸す捜査になっているとしたら、
それもまた見逃せない』という風に、東京新聞の論説員が書いてるんですね。
僕もやっぱり同じような疑問を持ってるわけ。
やっぱり今回は相当ね、リーク情報でね、私たち世論は操作されている
---以上、ばぐ太書き起こし---

※有志による動画:http://www.youtube.com/watch?v=HWjBURY_UAk

ま、鳥越氏の場合いつもの検察批判の流れで自然と小澤氏擁護の形になったということなんでしょうが、マスコミの当事者が他人事のように「”私たち”世論は操作されている」もないものでしょうけどね。
いずれにしてもその主張されるところの世論操作ですが、先日はこの道具としてマスコミは世論調査と言うものを非常に重宝に使ってきたという話を紹介させていただきました。
さて、先日また世論調査がらみでこういう怪しげな話が出ていたのですが、なかなか普通の人は気づかない話なんじゃないかという気がしますね(というか、よくこんなところまでチェックしてますね)。

【マスコミ】朝日新聞の世論調査、%はそのまま母集団が「名護市の有権者」から「全国の有権者」に差し替えられる(2010年1月19日ニュース速報+@2ch掲示板)

永住外国人に地方選挙で投票する権利を与えることに賛成する人が60%にのぼることが、
16、17日に朝日新聞が実施した全国世論調査(電話)の結果わかった。「反対」との意見は29%だった。

政府と民主党は、地方選挙権付与法案を今国会に提出することで合意している。
民主支持層では賛成が70%とさらに多く、反対は23%にとどまる。内閣支持層でも賛成70%、反対23%だった。

自民支持層では賛成と反対がともに45%で並んだ。自民党内では反対意見が優勢だが、
支持者の意識とは必ずしも一致していないようだ。

世代別では、30、40代で賛成が7割台なのに対し、60代では54%、70歳以上では37%にとどまる。

ソース
修正前
http://megalodon.jp/2010-0119-1030-08/www.asahi.com/politics/update/0118/TKY201001180431.html
修正後
http://www.asahi.com/politics/update/0118/TKY201001180431.html

〈調査方法〉16、17の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける
「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した。
世帯用と判明した番号は3628件、有効回答は2182人。回答率60%

〈調査方法〉17、18の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で、
名護市内の有権者を対象に調査した。
世帯用と判明した番号は1291件、有効回答は844人。回答率65%

なかなか判りにくい話ですが元記事を見てみますと、全国を対象とした世論調査とうたいながら初期の記事では対象が名護市民だけに限定されているように書かれていた、その後特に訂正記事も出ないまま「こっそり」対象が全国民に書き換えられていたということらしいですね。
この件に関してはおそらく下記の書き込みが正解なんでしょうが、間違いを訂正したにしろその事実を何ら知らせないままというのは、何しろ朝日だけに何かしら後暗いところでもあったのかと邪推されかねない話だとは思います。

355 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/01/19(火) 16:07:55 ID:/N7H8NFs0
稲嶺氏と島袋氏が激戦 名護市長選情勢調査
http://www.asahi.com/politics/update/0118/TKY201001180460.html

 調査方法 17、18の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で、
名護市内の有権者を対象に調査した。世帯用と判明した番号は1291件、有効回答は844人。回答率65%。

外国人参政権に賛成60%、反対29% 朝日世論調査
http://www.asahi.com/special/08003/TKY201001180431.html

 〈調査方法〉16、17の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で、
全国の有権者を対象に調査した。世帯用と判明した番号は3628件、有効回答は2182人。回答率60%。

単純にコピペして間違っただけ。新聞が間違うなよと言いたくなるが、今回のは単純ミス。

 

161 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2010/01/19(火) 16:56:18 ID:/Tq767tl0

今、朝日新聞に電話した。
曰く、
「この記事の母数は『全国』で間違い無く、『名護市』と書いたのが誤りだった。
 市長選挙の報道と錯綜した為、最初の記事が間違えであって、今の「全国」が正しい。」
と言うのが正式見解だそうだ。
因みにその責任の所在を糺した処、それは明確に出来ない、「朝日新聞・お客さまオフィス」
がそのように回答するとだけしか言わない。
飽く迄も責任は「朝日新聞」であり、個人名や所属は一切明らかにされなかった。

まあこんな感じ。

朝日の失敗?はともかく、この件を巡っては何やら非常に謎めいた陰謀論までがささやかれていたりもしまして、あちらこちらに興味深い書き込みが散見されていることの方が目を引くのですね。
特にこの在日外国人参政権問題に関しては、つい先日日本テレビの調査で「支持しない」が「支持する」を上回ったという報道があったばかりと言うことで、「なぜこんな大差で逆の結果になるんだ?」と当初から疑問視されていたのが厳しい検証に結びついたようなのです。
先日の話でも色々と世論調査のテクニックというものが紹介されていますけれども、下記の書き込みのようなことが事実行われているということであれば、ここにも世論調査のマジックが発揮されていると考えておくべきなのでしょうか。

http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1263830000/69
69 名前:名無しさん@十周年 投稿日:2010/01/19(火) 00:58:16 ID:/nER6CTN0
これ、もしかしたらうちにかかって来た世論調査かもしんない
ちなみに16日午後

まず、マスコミ関係者が家族にいるか聞かれたて性別・年齢・支持政党聞かれた後、こんな感じ
・政権与党はマニフェストを遵守してると思いますか? NO
・財政難克服と景気対策のどちらを優先すべきと考えますか? 景気
・子供手当て以外の働き盛りの労働者に対する支援を拡充させるべきだと思いますか? YES
・マニフェストに載っていなくても個人の権利利益を増進させる法案を推進させるべきだと思いますか? YES

なんか一番下が引っかかったんだよね

 

http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/livemarket2/1263815052/
221 名前:Trader@Live![sage] 投稿日:2010/01/19(火) 02:43:16 ID:Mp4kvIDE
こんばんわ某新聞社に勤めてる者です。
法案提出に合わせて都合の良い時に都合の良い結果の出る不思議な世論調査がまたあったみたいですね(笑)
とあるTV局がリアルタイムで同じ内容について質問したところ、反対が90%を超えてたんですが
いやはや本当に不思議です(笑)
世論調査に関してはリアルタイムで質問と集計を行える物以外は信用しないで下さい
どんな内容や結果でもです。
例えばランダムで電話番号を選出して~というのが良くありますが、これ下4桁だけがランダムだったりしますから(笑)
酷いのになるとアンケート実施前に何故か結果が解ってるのまであります(笑)

234 名前:Trader@Live![sage] 投稿日:2010/01/19(火) 02:51:01 ID:Mp4kvIDE
ちなみに各社の世論調査でどれだけ賛成率が高くなろうとも
"一刻も早く国民投票を行い憲法改正をすべきだ"という主張は出ないでしょう。
憲法改正してしまえば、憲法違反を盾に反対する事もできないのに本当に不思議です。

さて、世論調査のテクニックに関してはいつものことと言うことも出来るのかも知れませんが、この件に関連して乱立したスレッドを見ていますと何やら別なきな臭い話も持ち上がっているらしいのですね。
ネット上の書き込みだけに信憑性のほどは全く保証の限りではありませんけれども、あちこちでこんな書き込みが行われていることをどう考えるべきかというところでしょうか。

http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/livemarket2/1263290833/381-383
381 :Trader@Live!:2010/01/13(水) 04:53:40 ID:2v42IriS
某新聞社の人間なんだが、外国人参政権関連で上から圧力がかかった
簡単に言ってしまうと、嘘でも何でも良いので世論を誘導しろという内容、
後で問題にならないのか聞いた連中もいたみたいだが、どうやら政府のお墨付きらしい。
うちだけでなく他の新聞社やテレビ局なんかも似たような動きみたい。

383 :Trader@Live!:2010/01/13(水) 04:58:38 ID:2v42IriS
どんな些細な嘘も見逃さずどんどん声を上げてほしい。
新聞社やテレビ局などへの直接クレームだけでなく、
スポンサーへの抗議活動や不買運動(実はこれが一番痛い)を頼む。
戦前なんかとは比べ物にならないほどの異常事態、このままじゃ日本が無くなってしまう

 

http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1263537867/392
392 :名無しさん@十周年:2010/01/15(金) 21:54:45 ID:+NF14BG70
俺地方のメディア関係の社員なんだけど、今日、民主関係者?から圧力がかかったようだ

外国人参政権に関する懐疑的な意見は封殺しろとの事だった。
社としても、民主?と朝鮮人関係団体?の両方から「要請」という名の警告があったらしく
従わざるを得ない・・・との事だった。

正直、長年勤めていて、ここまであからさまな圧力は異例で、社内でも反発する動きが
あるが、恐らく簡単に解雇されてしまうと思われるので、皆何も出来ないのが現状だ。

正直この何かと忙しい時期に政権与党がこの問題にこうまで入れ込むものなのか?という疑問はありますが、伝えられる小澤氏の発言からするとこの外国人参政権をかなり大きな参院選への課題に位置づけてはいるようですよね。
冒頭の表メディアによる記事にもありますように、かつてはマスコミと蜜月関係とも言われた民主党から、このところ一転してメディアへの攻撃が強まってきているのは確かなようです。
しかしまさかつい先日まで万年野党だった民主党にそんな権力があるはずが…と誰しも感じるのではないかと思うのですが、一方で最近急にこういうニュースが出ていまして、こういう事実があるのであれば確かにこれは圧力をかける材料には成り得るのかなという話ではありますよね。

新聞・テレビの猛反発は必至 総務相「新聞社の放送支配禁止」表明(2010年1月15日J-CASTニュース)

   「プレス(新聞)と放送が密接に結びついて言論を一色にしてしまえば、多様性や批判が生まれない」。原口一博総務相は2010年1月14日、新聞社が放送局を支配する「クロスオーナーシップ」を禁止する法律を制定したいという考えを明らかにした。

   現在は「日本テレビ=読売新聞グループ」というように新聞とテレビが系列化しているが、先進国では異例で「言論の多様化を阻んでいる」との批判がある。もし実現すればメディアの大改革につながるが、オールドメディアの激しい反発が予想される

「クロスメディアの禁止を法文化したい」

   原口総務相は1月14日、東京・有楽町の外国特派員協会で開かれた講演で、新聞・テレビの「クロスオーナーシップ」に関する記者の質問に次のように答えた。

    「マスメディア集中排除原則、これを法案化します。そして、クロスメディアの禁止、つまり、プレス(新聞)と放送が密接に結びついて、言論を一色にしてしまえば、そこには多様性も、民主主義の基である批判も生まれないわけであります。これを法文化したいと考えています」

   日本では、放送局の寡占化を防ぐ「マスメディア集中排除原則」が総務省令で定められている。原口総務相はすでに、この原則を法律レベルに高める考えを記者会見などで示している。法案の具体的な内容はまだ明らかでないが、特派員協会の会見で、クロスオーナーシップの禁止を法案に盛り込む意向を表明した。

   欧米の先進国の多くでは、言論の多様性やメディアの相互チェックを確保するため、新聞社が放送局を系列化する「クロスオーナーシップ」を制限・禁止する制度や法律が設けられている。日本でも、総務省令(放送局に係る表現の自由享有基準)にクロスオーナーシップを制限する規定があるが、一つの地域でテレビ・ラジオ・新聞のすべてを独占的に保有するという「実際にはありえないケース」(岩崎貞明・メディア総合研究所事務局長)を禁止しているにすぎない

   その結果、読売新聞と日本テレビ、朝日新聞とテレビ朝日といった新聞とテレビの系列化が進み、テレビが新聞の再販問題を一切報じないことなどに見られるようにメディア相互のチェック機能が働かず、新聞もテレビも同じようなニュースを流すという弊害が生じている。原口総務相が表明した「クロスオーナーシップ禁止」の法制化は、このようなメディアの歪んだ状態を正す可能性をもつ。

「言論が一色になることはジャーナリズムの世界ではあってはならない」

   だが、クロスオーナーシップで利益を得てきた新聞・テレビからは激しい反発が起こることが予想される。テレビ朝日や東京MXテレビで働いた経験をもつ独立系映像メディア「アワープラネット・ティービー」の白石草代表は

    「問題はどこまで本格的に踏み込んで規制をするか。欧米のようなクロスオーナーシップ禁止が実現すれば放送業界も大きく変わるだろうが、新聞業界の反発はすごいだろう。現在はまだ大騒ぎになっていないので、騒ぎにならないうちに民放連(会長は朝日新聞出身)がつぶそうとするのではないか」

と推測する。新聞業界の抵抗を暗示するように、新聞・テレビの主要メディアはどこも、原口総務相の「クロスオーナーシップ禁止」の法制化に関する表明を報道していない。講演翌日の1月15日には総務省で定例会見が開かれたが、新聞やテレビの記者からはクロスオーナーシップについての質問は出なかった。つまり、黙殺したのだ。

   唯一、ネットメディア「ビデオニュース・ドットコム」の竹内梓カメラマンが質問すると、原口総務相は

    「一つの大きな資本体がテレビも新聞もラジオもとると、言論が一色になる。そういうことはジャーナリズムの世界ではあってはならないと伝えられているわけで、いろんな国が出資規制を置いている。そのことについては、私たちもしっかりと、国会でも議論いただいている。その議論をふまえた一定の結論を出していくということを言ったわけです。主要メディアが報じなかったかどうかは、私のコメントできるところではありません」

とクロスオーナーシップ禁止の目的について、改めて説明した。実は、前日の特派員協会での質疑応答で原口総務相の発言を引き出したのも、ビデオニュース・ドットコムを運営する神保哲生さんだ。神保さんは

    「原口さんの回答の全体的な印象として『既得権益を壊さないといけない』という強い意志が感じられた。政治家がメディアに手をつっこむのはリスクが大きいが、これはぜひやりたいと考えていると思う。ポイントは、このような問題があるという認識が世論に広がるかどうかだ。新聞・テレビがまったく報じようとしないなかで、どのように世論形成していくかが課題となるだろう」

と話している。

いや確かにこういった原口発言が存在していること自体ほとんどの国民が知らないだろうと思いますけれども、それなりに大きなネタであるにも関わらずこうまで黙殺されているというのは、やはりこれもマスメディア一流の世論誘導ということなんでしょうかね?
テレビ局とズブズブ」とまで言われた原口総務相の口から今更こんなことを言われたのでは、これはメディアの側からすればとんだ裏切りとも思えるような話だと思いますが、どうも民主党側としてはこれに限らず本気でマスコミと事を構える腹を決めたという気配すらあります。
昨今の小澤氏に関わる諸問題と関連して色々とマスコミ側からの政権批判も出てきているようですけれども、それにシビレを切らしたのか今度はこんなことまで言い出しているようなのですね。

「検察リーク」で調査チーム=捜査や報道けん制の狙いも-民主(2010年1月18日時事通信)より抜粋

 民主党は18日、小沢一郎幹事長の資金管理団体の土地購入をめぐる政治資金規正法違反容疑事件に絡み、「捜査情報漏えい問題対策チーム」を設置した。同党は東京地検が報道機関に捜査情報をリークした疑いがあるとみており、元検事の小川敏夫広報委員長を中心に、報道の在り方を検証する。報道の情報源についても調査するとしており、検察の捜査や同党に批判的なマスコミをけん制する狙いがあるものとみられる。 
(略)

産経新聞などはこれに激怒して「疑惑解明を妨害する気か」なんて言っていますけれども、さすがに情報源の調査とまで言われては報道の自由を侵害するものだと、読売など主要各紙とも総じて反対する意見が多いようです。
報道の自由云々はさておくとしても、マスコミをけん制するという狙いが実際の行動にどう結びつくかという話ですけれども、少なくともこういう話が出てきた時点で「不都合なことを載せるメディアには今後党としてお付き合いは控えさせていただきます」というブラフにはなりそうですよね。
普通の国のメディアであれば「勝手に取材しますからどうぞ」と別にどうということもない話だったのかも知れませんが、哀しいかな自前の取材力がないこの国の大手メディアは記者クラブ制度というお上からの情報提供がないことには商売が出来ないわけですから、これは案外大きな圧力にはなりそうですよね。

さて、こうなりますとお互い引くに引けない状況に追い込まれつつあるのではないかと思いますが、結果としてマスコミ業界の古い体質が一挙に破壊されるといった結末が待っているのであれば、これはこれで面白い話になってくるんじゃないかという気がします。
しかしまあ、結果としてどう転んでいった方が国民の利益になるものなのか、何とも先の見えにくい話ではあるのかなとは思いますが…

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2010年1月20日 (水)

何事も使いようでうまくいくようになるかも、です

これは非常に自戒を込めてという話ですけれども、人間色々な面で余裕がなくなってくると理屈の上では理解できてもなかなか行動が追いついてこないということになりがちです。
とりわけ平素から様々なしがらみがあったりすると、本来は知性もあり理性的な判断力も持つ人であってもなかなか感情を理性に優先させることが難しくなるものですが、結局は自分が損をしているのに…と周囲からは見えてしまうこともままあるものですよね。
特に医療業界は昨今色々な意味で殺伐としているところがありますから、そのあたりの気持ちの持ちようにもう少し余裕が持てるようになれば、何かと改善出来る部分も多々あるんじゃないかと言う気がしているところです。

そうした余談はともかくとして、本日まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

助産師外来認識深めて 産科医不足、和歌山でシンポ(2010年1月17日読売新聞)

 産科医不足時代の助産師の役割についてのシンポジウム「より豊かなマタニティライフを目指して~和歌山での助産師外来、院内助産所の可能性を考える~」が16日、和歌山市吹上5の市保健所で開かれた。医療関係者や市民ら約60人が参加、意見交換した。

 地域の産科医と医療機関の分娩(ぶんべん)施設の不足が深刻となるなか、助産師が可能な範囲で、妊婦への健診や指導の役割を果たす「助産師外来」を積極的に取り入れることで、周産期医療の充実を探ろうと、同保健所などが企画した。

 日赤和歌山医療センターと和歌山労災病院の助産師が、それぞれの院内助産所の現状を紹介。その後、和歌山市の長野真理子さん(29)が、助産師外来を活用して出産した経験を語った。長野さんは「第一子だったので、妊娠生活を全く知らず、ささいな助言でも参考になった。一対一でじっくり話をきいてもらえて安心できた」とメリットを強調。「看護師と助産師の違いがよく分からなかった」と、妊婦の立場から、率直な疑問も述べた。

 また、同医療センター産婦人科部の中村光作副部長は、助産師外来はまだ一般に知られておらず、医師が積極的に薦めない傾向もあるため、受診率が低いと指摘。「リスクの低い妊婦は、一度は助産師外来を受けてもらう、という態勢を整えてもいいのでは」と提案した。県看護協会助産師職能委員会の芝佳子委員長らは、医師の理解や実践研修の必要性などを訴えた。

 最後に質疑応答があり、会場からは「リスクの低い妊婦でも、急に容体が変化することもある。そういった危険性も考慮すべきではないか」「助産師と医師が共通の認識を持って勉強していくことが大事なのでは」といった声が上がった。

今や産科医が絶滅危惧種とも言われるほど深刻な不足に陥っていることは次第に知られるようになってきましたが、この状況に産科医のかわりに助産師を活用することを考えてみてはどうかという意見は世間的に一定の支持を得ているところのようです。
ところが一方で記事中にもありますように「医師が積極的に薦めない傾向」があるというのは、やはり同じ妊婦を相手にする商売であっても、しばしば産科医と助産師では(特に一部の「自然派」助産所などでは顕著ですが)みているものも行動原理も異なるということもネックになっているのではないかという気がしますね。
このあたりは少なくとも過去何十年という単位で全く違う教育課程を経て、異なる独自の体系の元にやってきた両業界の埋めがたい溝と言うものはあるのでしょうが、実のところ外から見ている人たちにはそうした差異がさほど理解されているようにも見えません。

一応助産師は正常分娩のみを扱うというのが法的ルールですが、正常分娩か異常分娩かというのは無事にお産が終わってはじめて判ることですから、助産所でお産を扱う限り産科医の目が届かないところで助産師が異常分娩を扱う可能性は決して零にはなりません。
そうなりますとなにかあった場合の責任の所在がどこにあるのかということが問題ですが、一昔前のお産は命がけという認識が一般的だった時代ならともかく、今の訴訟社会で他人の招いた面倒事まで引き受けられるほど今の産科医に余裕がないという言い方も出来るわけですね。
たとえば病院勤務でない開業の助産師による助産所出産のリスクに関しては過去にも取り上げてきたところですが、やはりそれなりのハイリスクであるということはデータとして出ているわけですから、この利用を拡大することに関してはあくまで妊婦側のリスクに対する理解と承諾が大前提となるのではないかという意見もあります。

その一方で産科医と緊密に連絡を取り合いながら助産師を積極的に活用していくといったことも業務分担ということから考えられるはずですが、実際に各地の産科を擁する病院では今まさにそうした医師と助産師との連携が図られているところが出てきています。
特に病院勤務の助産師というものは普段は看護師として勤務している場合も多いですから医師としても気心も知れていますし(これが何かあった時に非常に重要な要素です)、当然こうした医療資源を有効活用できれば産科医の負担を軽減出来る、あるいはその役割を補完出来るという可能性が出てきます。
この一例として数年前に産科医のお産取り扱いを停止していながら、最近流行りの院内助産所開設によってお産取り扱いを復活しようとしているこちら桑名市民病院の取り組みを紹介してみましょう。

桑名市民病院,今春にも「院内助産所」と「助産師外来」開設へ(2010年1月14日読売新聞)

 医師不足から現在、分娩(ぶんべん)を行っていない桑名市民病院(桑名市北別所)は、赤ちゃんを取り上げることができる病院にしようと、助産師が出産を扱う「院内助産所」と「助産師外来」を開設する準備を始めた。院内助産所は全国的にも開設している病院は少なく、医師のバックアップ体制も整えて、安心して子どもを産める病院を目指す。

 同病院は、診療科として産婦人科を設けているが、産婦人科医の不足で2005年3月から分娩を取りやめている。市民生活を支える役割を果たす必要があるとして、再開を目指すことにした。

 院内助産所は、助産師が病院内の施設で通常の出産ができる妊婦の介助を行う。緊急時には医師が対応し、安全に出産できる体制を整える。

 助産師外来は、医師と助産師が協力して妊婦健診や保健指導、産後の育児、授乳相談を行い、妊産婦の不安を解消し、自然な出産を支援する。

 同病院によると、全国でも院内助産所の開設例は少なく、県内では設置されていない。今年4月からの開設に向け、産婦人科医や助産師を募っている。しばらく使用していなかった分娩室などがある産婦人科病棟も改修する。

 同病院の水野雄二事務局長は「市民病院でお産ができない状態が続くのはよくない。安心して出産できる病院にしていきたい」と話している。

これを見て「結局なにかあったら医者が呼ばれるのであれば、結局産科が復活したのと同じことなのではないか?」と考えられる方もいるかと思いますが、なかなか時代に即したうまい落とし所を見つけてきたなという印象を受けているところです。
外に向かってはあくまで当院では産科はやっていません、ただし院内助産所がありますからそちらでよろしければお産は出来ますという形で、それに同意した顧客のみ扱うということであらかじめ顧客側の期待値を切り下げることに成功しているわけですよね。
そして実際の分娩においては通常分娩であれば助産師任せで産科医は見ているだけということも多いわけですから、助産所レベルではなく産科レベルに近い質を確保できる、無論同じ院内に普段顔を突き合わせている医者がいるわけですから、何かあった時には助産師も無理に引っ張らずに早期の相談、引継ぎをしてくるだろうということも期待できるわけです。
緊急時に医師が対応云々を院内に限定せず場合によっては他院に搬送するといったことも加えておくならば、産科医が了解可能な勤務条件も整えやすいでしょうから、案外これはうまくいくかも知れないシステムではないかという気がしてきます。

もちろんこうした院内助産師の活用が非常に重要なのは当の産科医も異論がないところだと思いますけれども、社会的、あるいは医学的に問題になってくるのはむしろ病院と直接のつながりのない開業の助産師の方ではないかという気がします。
ご存知のように2007年4月の医療法改正で助産所の嘱託医が産科医に限られることになった(まあ当然の話ではありますが)と同時に、新たに救急対応可能な連携医療機関を定めることも義務付けられたわけですが、その際には当然ながら産科医側から嘱託を引き受ける条件を提示され助産所側が「厳しすぎる!」と大騒ぎになったという騒動がありました。
面白いのは全国産科医にこの嘱託医契約のモデル案を示した日本産婦人科医会の文書には「嘱託医契約は個人の立場で行われるものであり、本会が強制するものではありません。従いまして、本契約の締結に当たっては、先生のQOLを十分考慮されまして対応いただければと思います。」なんて文言が盛り込まれているところだと思いますが、要するに本音の部分では引き受けたくなかったわけですよね。

それは産科医側にすれば「分娩費用は助産所に入り、訴訟の賠償金は産科医負担で」となれば嘱託に何一つメリットがないと考えるのもある意味当然かと思いますが、もちろん助産所の側にも言うべき主張があり、それなりの立場があるのは当然です。
最終的には有床助産所は全部嘱託医を見つけられたと言うことではあるのですけれども、このあたりに懲りたと言うことなのか、最近では助産師の方々もまた新たな生き残りの方策を検討しているようではあるのですね。
ところがこれを見てみますと、またうまいところに道を見つけ出してきたなという感じの内容になっているようです。

産褥期母子:フォローを 医師不足などで早期退院も--助産師ら研修会 /東京(2010年1月18日毎日新聞)

 産科医不足や分娩(ぶんべん)施設の減少などを背景に、分娩後に従来より早く退院する例が出ているとして、助産師が産後6~8週間の産褥(さんじょく)期の母子をフォローしていこうと、台東区鳥越の日本助産師会館で、「産褥早期退院母子のフォローアップスキルを磨く!」という研修会が開かれた。【田村彰子】

 今年度の厚生労働省の補助事業「次世代育成支援政策における産後育児支援体制の評価に関する研究」の研究グループが開いた。

 同省が昨年11月に公表した調査結果では、08年時点で全国で分娩を扱っている施設は2567カ所。05年から3年間で1割以上にあたる366カ所も減少した。

 日本助産師会の加藤尚美会長ら今回の研究グループによると、分娩後の入院期間は、5~7日が一般的とされてきたが、最近では2~3日目の早期退院を実施する病院も出始めたという。

 また、研究グループは、08年6月~09年2月に複数の産婦人科病院で聞き取り調査も実施。その結果、▽早期退院者と一般的な退院者の不安に差はない▽早期退院者は、専門家の訪問を受けることで諸問題を解決できる▽海外では早期退院を実施し、支援体制も整備されている--などと分析・指摘している。

 この日の研修会では、早期退院を実施している神奈川県立汐見台病院(横浜市)の助産師や、産褥早期の訪問活動を実施する助産師らが出席。「産後にも助産師の役割はたくさんある」などと体験を語った。

 研修会は、大阪でも来月開催する予定。加藤会長は「特に産褥期は、病院での一律のケアではなく、個別のケアが必要、99%が施設で分娩をする時代に助産師が対応し、産後ケアに力を入れていければ」と語った。〔都内版〕

なんだかんだと言っても分娩前のリスクというものは一定あるわけですから、やはり産科医側としてもここの部分を目の届かない助産所の助産師任せにしてしまうことには不安が残る、しかしその一方で産科医が業務量過多であっぷあっぷしているのも事実となれば、どこかで業務を割り振っていく道を探した方が全体としての安全性向上に寄与するだろうとは想像できますよね。
この点でお産が済んだ後のフォローアップを助産師が行うというのは、様々なリスクを低く抑えながら産科医の負担を減らすひとつのアイデアかとも思いますが、このあたりで身近な助産所が助力出来ることがあるというのであれば産科医と助産師、そして妊婦も含めたwin-win関係を構築する足がかりになりそうにも思えます。
ネットなどでは一部に「また楽しておいしいところだけ持っていくつもりか!」なんて感情的な意見もあるようですけれども、実際最もお金がかかるのはお産部分そのものなのですから、例えば心配だからもう少し入院をしたいといった顧客を満床なので助産所に移ってもらうといった使い方であれば、それぞれに妥当な報酬をいただいた上での棲み分けは出来そうに思うのですけれどもね。

何よりも質が厳しく問われる今の時代、医療側からは質の面で何かと言われることの多い助産所という存在ですけれども、やはり一定のリソースとしてそこに存在している以上はうまいこと使っていく方策を模索していくことで、結局産科医自身も過労による質の低下から逃れられるというメリットはあるわけです。
もちろん助産所も21世紀にふさわしいレベルへと質を高めていく必要があるのはもちろんだろうし、産科医の側も妥協と言えば言葉は悪いですが、純然たる医学的水準の向上ばかりでなく社会的要請といったものにも思いを致していくべき時代なのではないかという気がしますね。

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2010年1月19日 (火)

暴走を続ける環境テロリスト あの方もお怒りです

先日は日本の捕鯨船と衝突して沈没したなどという話があった環境テロリスト(エコテロリスト)「シー・シェパード」の高速船ですけれども、結局のところ沈没したのではなく放棄されていたということだったようですね。
おかげで南極の海は流出した油でずいぶんと汚染されてしまったという話なんですけれども、それ以上に物騒なことにこの放棄船を調査してみると中からボウガンが発見されたということで、後述する動画などを見てみましても確かに日本の船に向かって撃ってきている様子が判明しています。
テロリストがテロのための武器を所持しているのも当然ではありますが、何にしろ船を一隻失って多少なりとも意気消沈したのかと思いきや、さすがスポンサー企業も数多あるだけに再び攻勢を強めているようで、現地のみならず世界各地で相変わらずの活動をやっているようです。

シー・シェパードが発煙弾を投げ込み妨害(2010年1月16日毎日新聞)

 日本鯨類研究所によると、南極海で反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の監視業務にあたっていた調査船「第2昭南丸」(712トン、小宮博幸船長)が、日本時間15日午後8時半ごろから午後10時20分ごろにかけて、SSの抗議船「ボブ・バーカー(BB)」号に搭載されたゴムボートから、発煙弾を投げられたり、スクリューを狙って繰り返しロープを投げ込まれるなどの妨害を受けた。第2昭南丸の船体に被害はなく、乗員約20人にけがはなかった。

 第2昭南丸は、先月から数回にわたりSSの抗議船から薬品入りのびんを投げ込まれたり、レーザーとみられる緑色の光線を照射されたりするなどの妨害を受けた。6日にはSSの抗議船「アディ・ギル(AG)」号と衝突し、AG号が大破している。【デジタルメディア局】

反捕鯨組織「恥を知れ日本」と抗議=大使館前で調査中止求める-ロンドン(2010年1月16日時事通信)

 【ロンドン時事】英国の反捕鯨組織は15日、ロンドン市内の在英日本大使館前で抗議行動を行い、日本に調査捕鯨の中止を求めた。併せて米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の高速船が南極海で日本の調査船に破壊されたと訴え、参加者らにSSへの寄付を呼び掛けた
 抗議行動は、英国の「捕鯨廃止のためのロンドン委員会」が主催。同委員会のメンバーでもあるSSの活動家ら約100人が捕鯨を批判する垂れ幕を掲げ、「恥を知れ日本。今すぐ捕鯨を中止しろ」とシュプレヒコールを上げた。
 抗議行動に参加したSSの活動家は、「調査捕鯨によって多くの鯨が殺されている」と日本を批判。欧州議会の「緑の党」議員も、「(日本に)科学的調査と称される捕鯨の中止を求め、欧州レベルでさらなる活動に取り組みたい」と強調した。

ちなみに彼らのテロ活動の実際の動画がこちらだったりこちらだったりなんですけれども、うっかり海にでも投げ出されれば命の危険が極めて高い南氷洋での出来事であるということに留意していただければ、単に違法行為という以前にこうしたテロ行為がどれほど危険な活動であるかは容易に理解出来ることだと思います。
こうした傍若無人な無法ぶりについにキレたのが、以前にもご紹介しました「テキサス親父」ことプロパガンダバスターなのですが、かねてシーシェパードの無法ぶりに宣戦布告までしてしまったという御仁だけに、今回も当然ながら大激怒の真っ最中といったところのようです。

テキサス親父「アディギル号よ永遠に」 Sea Shepherd エコテロリスト撃沈!(youtube動画)

【テキサス親父】続・シーシェパード/アディ・ギル号 Sea Shepherd Ady Gil(youtube動画)

おおよそのところはテキサス親父が語ってしまっていますけれども、一応幾つか補足しておきますと、未だにネット上でも一部に誤解されているように見えるのが「日本船が船首をふって当たりに行っているように見える」という点です。
我々は陸の上を走っている時の感覚でよく勘違いしやすいですが、船と言うものは支えのない水の上に浮かんでいるので、舵を切った場合に「外側へ」傾くということは知っておかなければなりません。
船上からの動画で衝突直前に船首が右へ振れているように見えるのは、波浪の影響とともに衝突をさけようと船が左に変針を試みているからで、こちらの多方面から撮影された動画を見れば静止したテロ船を避けようと旋回を試みる日本船の進路上に、急加速したテロ船が飛び出していることが明確に見て取れると思います(しかし本気で荒れた海ですよね…)。

南氷洋お笑い劇場 アディ・ギル号 Ady Gil の冒険 Its a Comedy Show

ここまでの証拠も上がっていながら日本船の船長を殺人未遂で刑事告発したというのですから、彼らの頭のネジはどこか斜め上方向に逸脱しているのではないかと疑わざるを得ませんが、最近ではさすがに一部方面でも多少引かれているところがあるようですね。
たとえばグリーンピースと言えば、かつて日本の核燃料運搬船や南氷洋での捕鯨船と衝突事故を起こしたり、最近では捕鯨船の鯨肉を盗んだりといった数々の実績から元祖エコ・テロリストとも称されていますけれども、日本では社民党の福島瑞穂党首のご主人さんが一頃理事長を務めていたことなどで妙に有名な団体でもあります。
もともとシーシェパードと言う団体はグリーンピース内の過激派が分離・独立して成立した組織だと言われていますが、その母体であるグリーンピース側では今や「やつらと一緒にされるのは心外」と言っているようなのですね。

あの人たちはフリーター?反捕鯨シー・シェパードの実態(2010年1月7日ZAKZAK)

 南極海で6日、調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に反捕鯨団体「シー・シェパード」の小型高速船「アディ・ギル号」が衝突・大破した。この危険きわまりない抗議行動に、かつての“身内”からも反発の声が挙がっている。2008年に鯨肉盗難騒動で物議をかもした「グリーンピースジャパン」(GPJ)の幹部は、「シー・シェパードと一緒にされるのは心外」と怒り心頭だ。

 「報道などで誤解されている部分がある。あそこはうちとはまったく別の団体です」

 怒りの表情で訴えるのはGPJの事務局長、星川淳氏(57)。シー・シェパードの中心人物は元グリーンピースのメンバーで、グリーンピース自体、2007年までは南氷洋で体を張った抗議活動を展開していた。そのため、両者を同一と見なす人はまだ多い。

 「グリーンピースは08年から南氷洋への船舶派遣は中止しています。われわれは、生命や身体を傷つけずに環境破壊活動を止めるという『非暴力直接行動』がコンセプト。シー・シェパードとは違うのです」

 そう語る星川氏は、半ばあきれ顔でシー・シェパードの無法ぶりを説明してくれた。

 シー・シェパードは元グリーンピースの環境保護活動家、ポール・ワトソン氏が1970年代に米国で結成。オーストラリアの環境保護活動家から名前をとった母船「スティーブ・アーウィン号」のほか、数台の船舶を所有している。海賊をモチーフにした旗を掲げ、世界各地で海洋生物や動物の保護を訴える活動を展開。日本では「お騒がせ集団」のイメージしかないが、「欧米の一部では英雄視されている」と星川氏は言う。

 「ワトソン氏は“船長”を自認し、メンバーもワトソン氏をカリスマ視している。反捕鯨の抗議活動に作戦名を付けるのが特徴で、昨年は日本の剣豪・宮本武蔵からとった『ムサシ』。今年は、オーストラリアの歌の題名から『ワルチング・マチルダ』と命名している。酪酸ビンやレーザー光線などの“兵器”導入にも積極的で、今回事故を起こした船も最新型との触れ込みで昨年末に導入したものです」

 まるで海賊気取りだが、実際に捕鯨船団とのやり取りは戦争に近い。星川氏は「放水銃でやり合ったり、捕鯨船側も音響兵器まで持ち出すなど、争いはエスカレートする一方」と危惧する。だが、そういうGPJも08年に横領告発のためとして鯨肉盗難騒動を起こした。逮捕された幹部2人の裁判は現在も進行中だ。その点はどうなのか。

 「裁判によって、捕鯨の根本的な問題が分かってきた。当面は(海には出ず)国内の活動を通して問題の解決を目指します」(星川氏)

外野から見れば正直目糞鼻糞という気がしないでもないところですけれども、彼らなりにそれぞれこだわるところはあるということなんでしょうが、こうしたところでエコテロリスト同士妙な連携を図られるという危険性が薄らいできているのは幸いなことではないかと思いますね。
いずれにしてもこうした無法集団に関してはきちんとした対応をしていかなければなりませんが、まずは暴力によって自分の意見を押し通そうとする行為は断固許してはならないというのが基本的なところであって、例えば日本でも法律によってテロリストに対する資金提供は厳しく処罰されることになっています。
しかし中にはテロに屈しその主張を飲んでしまえば問題は解決するなどと言う方々もいらっしゃるようですが、この点では同じ捕鯨国であるノルウェーの対応などが参考になるんじゃないかと思いますね。

今年の捕鯨枠1286頭 ノルウェー、過去最多に(2010年1月17日産経新聞)

 商業捕鯨を実施しているノルウェーの漁業・沿岸問題省は17日までに、今年の商業捕鯨枠を過去最多のミンククジラ1286頭にすると発表した。例年五、六百頭前後の捕獲にとどまっているため、実際は大きな影響はないとみられるが、反捕鯨団体は反発している。

 同省は、捕鯨が不振だった昨年は885頭の同枠に対し484頭しか捕獲せず、401頭分の未捕獲分があるため、昨年と同じ885頭の「基本枠」に未捕獲分を上乗せしたと説明した。

 日本は昨年、鯨肉1トン強を約20年ぶりにノルウェーから輸入。英米などに拠点を置く非政府組織(NGO)、クジラ・イルカ保護協会(WDCS)は捕鯨枠拡大について「非論理的で、健全な捕鯨管理とは言えない。鯨肉需要は下落し、買い手がつかない中、今回の枠設定は政治ショー以外の何物でもない」と批判した。(共同)

日本が輸入しているというのに買い手がつかないと言うのはどういうことなんだと素朴な突っ込みは入れておきますが、基本的に現在の捕鯨は国内消費用主体になっていますから、別に輸出産業が賑わうような話でもないとは思うのですけれどもね。
それはさておき、捕鯨国ノルウェーと言えば鯨資源の継続的利用を討議する場であるはずのIWCが商業捕鯨を認めないことからこれを脱退、独自の基準に従って捕鯨を継続している国として知られていますが、かつてはシーシェパードもこのノルウェーの捕鯨を妨害していた時期がありました。
ところがあちらにおいて捕鯨船を何隻も撃沈するという無法行為を働いた結果、現在では護衛船がつくようになったことからパッタリとテロ活動は収まったということです(ノルウェーの場合領海内捕鯨ですから、こうした対策がやりやすいという側面もあるのでしょうが)。
同様にカナダにおいてもテロ活動に勤しんだ挙句警備隊に追い払われた経歴がありますが、その後かの地での活動も収束に向かっているようですから、やはり無法集団には法に基づいて粛々たる対応を行っていくことが最も効果的であるということが結論になるのかと思います。

ところで当ぐり研的にはやはり鯨肉の味ということに関心がないというわけにはいかないと思いますが、鯨肉は基本的にうまいと思いますけれども、他の肉と同じくちゃんとモノを吟味して正しく手当をされての話であるというのが大前提ですよね。
ときおり海辺の街のスーパーなんかに並んでいるのはたいていがOGも大好きなイルカの肉だったりする場合が多いとも聞きますが、残念ながらしばしば扱いの悪さもあってか正直さほど美味しいものではないように言われますけれども、きちんと扱われたまともな肉をちゃんとした店で食べると「鯨肉はくさくてまずい」なんて妙な偏見がはびこるはずもないんですけれどもね。
以前にとあるツテで食べさせてもらった鯨肉などは海原雄山曰く「別格」というのも理解できる味でしたが、流通が改善されてもう少し手軽に鯨肉が楽しめるようになればよいと思います。

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2010年1月18日 (月)

次第に姿を現し始めた診療報酬改定の内容

本日まずは今更と言う記事ですけれども、こちらの紙面記事から引用させていただきましょう。

患者も勤務医も限界 外科医不足→患者集中→激務で疲弊 「このままでは崩壊」拠点病院に危機感(2010年1月12日付中日新聞)

拠点病院の勤務医たちは、押し寄せるがん患者の治療で休む暇がない。特に大都市圏以外では外科医が不足気味で、疲労感は強い。

岐阜県立多治見病院。呼吸器外科医伊藤正夫医師(44)は、肺がん手術を担当する同病院唯一の医師だ。「年々手術数が増え、私一人で担当するのは限界。将来のことを考えるときつくなるから、目の前の患者のことだけ考えるようにしている」と顔を曇らせる。
肺がんや気胸、交通事故の外傷患者など年間90~95件の手術を執刀している。手術前の説明や執刀、術後の容体管理、保険請求書類や紹介病院への報告書作成まで、土日や早朝深夜に関係なく追われ続ける。
このままでは自分がつぶれる」。こう感じた昨年は、仕事を何とかやりくりし、年間の休日を前年までの二倍に増やした。それでもたった十日間でしかない。
秋田県で生まれ育った子ども時代、体の弱かった母親の病気を治したいと医者を志した。二十、三十代は手術がどんどんうまくなるスキルアップの喜びが仕事の大変さを上回っていた。しかしこの数年、手術後に目がチカチカするなど異様な疲れを感じるようになった。
「さらに患者が増えたらどうするか? うーん、医者を増やすしかないが大学の医局にも呼吸器外科医は少ない。自分で責任がとれる範囲以上のことは難しいですね」

アンケートの回答でも、医師の勤務の過酷さを訴える声は多かった。
以前より患者への説明や治療準備、経過観察の負担が増加した。このままでは地方のがん医療は崩壊する」(岐阜県の病院)
働くほど訴訟リスクは高まる。患者とコミュニケーションを十分とることが求められるが、忙しい医師には対応できない」(同)
患者集中の背景には、地域の中堅病院が外科医不足などで手術数を減らしている事情もある。
「近隣の医師が減少し、今後ますます患者が集中するだろう」(静岡県の病院)、「処理能力で限界に来た」(愛知県の病院)のほか「医師不足で手術件数に制限を付けた」という石川県の病院も。

多忙さや訴訟リスクにより燃え尽きる医師も出ている。愛知県の病院は「医師は当直で寝られなくても、翌日には8時間かかる肝臓手術をしなければならない場合がある。燃え尽きて中堅クラスが辞めていく」。
責任の重さに外科を選ぶ若い医師が減り、外科医8人すべてが40歳以上。将来手術できるのか心配」(富山県の病院)と、外科医不足がさらに深刻化することを危惧する声も出ている。

こういうものを見ますとやはり現場の疲弊と言うのは一過性のものなどではなく、少なくとも10年、20年といったスパンでの構造的問題であるということははっきりしているかと思いますけれども、となればそれに対する対策も一朝一夕ののもので済むはずがなかろうというのは現場を知る人間の等しく共有する認識ではないかと思います。
先日はすったもんだの末に診療報酬の大枠がほぼ横ばいということで決着しましたが、たとえ総枠が増えずとも不足する勤務医対策などを手厚く行っていくことで崩壊叫ばれる医療への対策は十分に可能であるというのが、財務省筋の強く主張するところでした。
となれば、今後その配分がどうなるのかといったあたりに関心が移ろうと言うものですが、そろそろそうした部分の議論も進んできているようなのですね。

勤務医の処遇改善を明記 中医協が診療報酬改定の骨子(2010年1月15日朝日新聞)

 厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は15日、2010年度の診療報酬改定の骨子をまとめた。医療崩壊を止めるため病院勤務医の処遇改善を明記した一方、意見が対立している病院と診療所で110円の差がある「再診料」については、「統一する方向で内容を検討」とするにとどまり、具体的な水準は今後の議論に委ねられた。

 骨子は同日から22日まで、一般から意見を求める「パブリックコメント」の手続きにかけられる。

 骨子の取りまとめで最後まで議論が白熱したのは、重要課題の一つとされた「病院勤務医の負担軽減」。病院への報酬を手厚くする項目が並ぶ原案に対し、山形大医学部長の嘉山孝正委員は、「病院の収入が上がるだけでは、勤務医は何にも喜ばない」と指摘。「職場環境をきちんとしていないから医療崩壊した」と強調した。

 最終的に、勤務医の負担を軽減する体制を整えた場合に報酬を厚くする項目の拡大に加え、「処遇改善」につながる体制を要件とした報酬支払いを明記。メッセージを強く打ち出すことで決着した。

 再診料をめぐっては、診療所(710円)と病院(600円)の格差について、診療側委員が「710円を引き下げての統一には同意しない」との立場を強調。一方、支払い側は診療所を引き下げて統一するよう主張しており、溝は埋まっていない。

 長妻昭厚労相は同日、来年度の改定について中医協に諮問。中医協は2月中旬に答申する予定で、4月の改定実施を目指す。

民主党政権になって医師会を外して中医協改革だと大騒ぎしていた割には、結局あまり代わり映えしない光景だなという印象もないでもないんですが、総枠で現状維持の一方一部を優遇ということになれば当然どこかが今までよりも削られるというのは自明である一方、優遇すると言っても具体的にどう優遇するのかといったあたりにも興味がわくところです。
嘉山委員の言う通り、診療報酬を幾ら重点配分したところで全く勤務医の処遇改善には結びつかないとは現場を知る人間の等しく強調するところですけれども、そうした要求を入れた結果が「勤務医の負担を軽減する体制を整えた場合に報酬を厚くする項目の拡大に加え、「処遇改善」につながる体制を要件とした報酬支払いを明記」ということであれば、その内容がどうなるかが注目されるところですよね。
そこで打ち出されてきた具体的な処遇改善策というのがこちらだと言うんですが…まああくまで患者負担金が増えると言うことであれば、医療財政が緊迫している折でも国の懐は痛まないという点では良い考えだと考えているのでしょうか?

症状軽い救急外来患者から特別料金 中医協が検討開始(2010年1月15日朝日新聞)

 症状が軽いのに救急外来を受診する患者から特別料金を徴収できるよう、中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)が15日、検討を始めた。救急医療に携わる病院勤務医の負担を軽くする狙い。2010年度の診療報酬改定に合わせて、4月から導入される可能性がある。

 救急医療の現場では、軽症患者が自分の都合で休日や夜間に受診することが問題化している。07年中に救急搬送された約490万人の過半数は軽症と診断された。高齢者の軽症患者は07年までの10年間で2.5倍近くになった。こうした状況が医師らの負担を増やし、医療崩壊を招いたと指摘されている。

 中医協で検討されている案では、救急外来に来た患者の状態を医師らが事前に確認し、軽症の場合には特別料金がかかることを説明する。それでも患者が希望して受診すれば、特別料金を徴収することができるようにする。

 対象機関は、重度の患者を受け入れる救急救命センター(全国で221施設)に限定。救急外来での診療の優先順位を決める「トリアージ」を参考に各医療機関が判断基準を決め、値段もそれぞれ設定する。

 現在も200床以上の大規模病院では初診料への上乗せが認められているなど、特別料金を導入している医療機関もある。例えば、昨年8月から診察料とは別に5250円の「時間外診療特別料金」を徴収し始めた鳥取大学医学部付属病院では、軽症患者が減っているという。

 中医協では、幅広く特別料金を課すことで救急医療現場への軽症患者を抑制する方向で検討する。ただ、中医協の患者代表ら支払い側委員には導入に慎重な意見が強い

まだまだ決定には遠い案の段階ですけれども、まず救命救急センターに対象施設を限定という時点でどの程度実効性があるのかはっきりしないのではないかという危惧が一つありますよね。
そしてもう一つ、「救急外来に来た患者の状態を医師らが事前に確認し、軽症の場合には特別料金がかかることを説明する。それでも患者が希望して受診すれば、特別料金を徴収することができるようにする」といったあたりの運用面がポイントですかね。

特にこの「医師らが事前に確認」という文言が例によって「そんなこと私たちには判断出きませんから先生がしてください!」なんてことになりますと、ことに国公立系病院では何の医師処遇改善かと新たに問題化しそうですけれどもね(苦笑)。
そうでなくとも事前確認ということになれば、来院時に症状を偽って重症を装い、後で「聞いてないぞゴラ!」なんて騒ぎになってきそうに思いますけれども、病院側の対応としては原則的に全患者に対して「診療の結果軽症と判断され特別料金が必要になる可能性もある」ということで事前に説明と同意を得ておくということになるんでしょうか。
昨今では救急医療にどこまでインフォームド・コンセントを要するかなんてことでたびたび議論になりますけれども(心肺停止の人を相手に説明と同意に基づく医療も何もないですよね?)、こういう新しい話が出てくるたびに何ともますます殺伐とした救急外来になってきそうな気がしないでもないんですよね。

どうせ重症であればそちらの対応だけで特別料金分どころではなくお金もたっぷりかかるわけですから、救急医待遇改善が期待される折りですから来院患者は全例特別料金を徴収としても全く問題ないんじゃないかと思うんですが、こうして新たな手間をかけさせることで現場の負担をますます増大させるというのはどうなんでしょう?
何故こんな面倒くさく現場に負担と混乱だけ広げかねないシステムにしたがるのかと言えば、やはり記事中にもありますように「中医協の患者代表ら支払い側委員には導入に慎重な意見が強い」といったあたりがポイントということになるのでしょうか。
しかし考えてみればこのシステム、おそらく保険側からの支出ではなく全額患者負担になるんじゃないかと思いますけれども、そうなりますと患者代表ということになっているあの方などはともかくとして、保険者側の代表としてはむしろ不要不急の受診が減って総支払額が減るという、支払側には歓迎すべき事態になるんじゃないかという気もするところなのですけれどもね。

何にしろこの件も含めて、診療報酬改訂作業の詳細に関してはもう少し情報を待っていく必要があるのかと思いますし、その実効性がどうなるのかということは新年度以降の現場で証明されていくことになるのでしょうね。
今のところあまり画期的なアイデアというものもないように見えるだけに、今まで通りの流れを突き崩すような劇的な変化というものは到底期待出来そうにないという感じではありますけれども…

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2010年1月17日 (日)

今日のぐり:「にぼし家」

以前にイギリス国防省のUFO部門が60年の歴史に幕を降ろすことになったという話を紹介しましたが、同部門からとうとう最後のレポートが提出されたようです。

英国防省UFO部門が最後のレポート、09年目撃報告は史上2番目の643件。(2010年1月10日ナリナリドットコム)

昨年12月にサイト上でひっそりと発表され、世界中の専門家やマニアを驚かせた英国防省UFO部門の廃止。国の機関が50年以上にわたってUFO目撃報告を受け付け、「UFOは国の脅威となりうる存在か」を調べ続けていただけに、突然の発表は英メディアでも大きな話題となった。そして先日、英国防省が 2009年に寄せられた目撃報告をまとめた「UFO Reports 2009」を公表。それによると昨年は機関が活動していた11月30日までに、史上2番目の件数となる643件の目撃報告があったという。しかし件数の増加も虚しく、これが最後のUFOレポートとなった。

ここ数年、UFOの目撃報告は増加傾向にあったが、昨年はそれにも増して英国内での報告が急増。英メディアでは2009年が「UFOの当たり年」とも伝えられ、テレビや新聞の紙面を賑わす機会も多かった。2006年の97件、2007年の135件、2008年の285件と比べれば、昨年の643件がいかに多いのかがわかる。春先からたびたびUFOに関する話題が出ることも多く、専門家の間には「記録的な年になる」と期待する声もあった。ちなみに、昨年の目撃報告件数は、1978年の750件に次ぐ2番目の多さだったそうだ。

それだけに、昨年限りで国防省がひっそりとUFO部門廃止の発表をしたという話題は、大きな驚きと落胆を伴って、瞬く間に英国内、そして世界へ伝わることに。国防省も記者会見などを開かなかったため、メディアが伝え始めたのは発表から数日経ってからという点も、驚きが増す要因となった。

そして先日、国防省が最後のUFOレポートを発表。その中身は国防省のサイトに掲載されている。PDFファイルで39ページにも及ぶレポートは、昨年1月から11月までに寄せられたすべての情報について、日時や場所、目撃されたUFOの詳細などをまとめたものだ。

なお、レポートの終わりには「2009年12月1日をもってUFO部門の方針が変わったため、この日以降の報告、記録、調査は行われません」と、これが最後のレポートになる旨が記されている。

こうまで報告が多いというのもまた驚きなんですけれども、それでも廃止になってしまうというのもまた時代の要請と言うことなんですかね?
このようにどうでもいい…もとい、いささか人とは違ったこだわりを持つことに関しては世界に冠たるのがブリ魂というものですけれども、今日は彼らのそんなこだわりが垣間見える話を幾つか紹介してみましょう。

トイレ後の手洗い、他人の目意識すると念入りに=英研究(2009年10月15日ロイター)

 [ロンドン 15日 ロイター] 英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のチームが、トイレ後の手洗いについて、人々は恥ずかしく思ったり誰かに見られていると思った場合に念入りに行う傾向がある、との研究結果を報告した。

 同チームでは、複数の高速道路のサービスエリアに設置されたトイレで32日間にわたり、約25万人の手洗い行動を調査。その後、トイレの入り口に電光掲示板でさまざまなメッセージを表示し、人々の行動の変化について調べた。

 その結果、通常のトイレ後の手洗い時に石けんを使う人の割合は、男性で32%、女性では64%。しかし、電光掲示板に「隣の人は石けんを使って洗っているか」という文字を点滅させた実験では、男性では通常より約12%多く、女性では通常より11%多くの人々が石けんを使用した。

 この研究結果は、アメリカ公衆衛生ジャーナルに掲載されている。

いや、まあ、研究の結果もさることながら、研究手法もいささかどうよと思われるようなブリ的諧謔に満ちている気がするのは自分だけでしょうか?
一方で以前にドイツの研究で女性は男性より駐車が苦手という報告を紹介しましたけれども、どうも欧州ではこの駐車問題というものはよほどの社会的関心を集める問題であるということなのか、このたびこんな話まで飛び出してきています。

「縦列駐車の完璧な公式を発見」と、英国の数学者(2009年12月13日CNN)

ロンドン(CNN) 英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ・カレッジのサイモン・ブラックバーン数学教授が11日、CNNに対し、「縦列駐車の完璧(かんぺき)な公式を発見した」と語った。この公式を使えば、駐車できる最も小さなスペースを算出できる」としている。

ブラックバーン教授が見つけた公式は、円と三角形の基本的な幾何学を利用したもので、中学生までに習う算数の範囲で理解できるという。前輪駆動の車であれば利用できるが、同教授自身はまだ、試していない。

ブラックバーン教授による詳しい公式は、以下のページ(英語)「http://personal.rhul.ac.uk/uhah/058/perfect_parking.pdf」で公開されている。

英国の成人1000人を対象としたある調査結果によると、57%が車の駐車に自信がなく、縦列駐車しなければならなくなった場合は、32%が目的地より遠くなったりより駐車料金がかかったとしても、止めやすい場所を選ぶと回答していた。

こういうものを見て個人的に考えることに、もちろんそうした完璧な法則の追求ということもまた重要なことではありますけれども、その実践と言うものも同等以上に重要なことなのではないかという気がするのですが、ブラックバーン教授はそのあたりをいかがお考えなのでしょうかね?
一方これは日本ではあまり真面目な研究対象とはなりそうにない話ですけれども、あちらでとなると逆に大きな議論を呼びそうな研究ということになるのでしょうか。

「天使は空を飛べない」英国の生物学者の研究に批判的な意見が続々。(2009年12月25日ナリナリドットコム)

ユダヤ教やキリスト教、イスラム教で“神の使い”とされる天使。そのイメージを問われれば、宗教画やさまざまな創作物の印象から、翼を持つ姿を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。“神の使い”として地上に舞い降り、また神のもとへと帰るためにも、翼は必要不可欠なモノとして描かれているが、英国の生物学者の研究によると実はこの翼、空を飛ぶには全く役に立たないのだという。

英紙デイリー・テレグラフによると、この研究者はロンドン大学ユニバーシティ・カレッジで生物学を教えているロジャー・ウォットン教授。ウォットン教授は先日、学内誌「Opticon magazine」でこの持論を展開し、これまでに描かれた天使を客観的に分析した結果、「空を飛ぶことはできない」と結論付けた。その中で、「代表的な芸術作品を軽く調べただけでも、飛び立つことはおろか、力を使っても飛べないことを示している」とバッサリと切り捨てている。

また、天使が空を飛ぶためには「翼が必要ないほどの激しい風」が必要で、それがなければ浮かぶことすらできないという。人間と同サイズの身体を持った天使では、背中についた翼の大きさ程度では身体を浮かせるには至らず、例え子どもの天使でも「翼を羽ばたかせるための筋肉が足りない」としている。

同様にウォットン教授は「BELIEVING THE IMPOSSIBLE(不可能を信じること)」というテーマの発表の中で、ドラゴンや妖精などにも言及。これらも「空を飛ぶことはできない」としている。その上で、空想上の生物・動物などが翼を持つ意味について「空を飛ぶ夢が楽しいように、翼は“良い精神の象徴”と考えられた」との見方を示した。

「天使は宗教を信じる人にとって重要なアイコン」と、ウォットン教授は天使が大切な存在であることを、決して否定しているわけではない。天使が人間以上の存在として、天国との行き来に翼が必要とされている点は十分に理解している。それでも「これらを見ることは、私たちが信じているモノ、形あるモノとは何なのかということを教えてくれる」と、今回の研究にも意義があると考えているようだ。

しかし、今回の発表を伝えた米紙USAトゥデーの記事に寄せられたコメントを見ると、世間の共感は得られていないようだ。「天使は肉体ではなく、“魂の体”を持っているはず」「この教授は、子どもたちに教えないで欲しい」など、やはり否定的な意見が多い。

また、デイリー・テレグラフ紙に寄せられたコメントでは、「スーパーマン、サンタクロース、妖精も存在していないのだから、空想の世界では何でもできるのでは」「天使が飛べないことは誰でもわかっているけれど、いちいち教授が言うことではない」と、こちらも手厳しい。天使を信じる人にとっても、現実的な人にとっても、今回の発表は「野暮な研究はしてくれるな」ということなのかもしれない。

思うにこの研究、対象が天使であったからまだこれくらいの反論ですんでいるのかも知れませんけれども、時節柄「サンタクロースとトナカイの引くソリは空をとぶことは出来ない」なんてことを言っていたとしたら、これはもうこんなレベルではない反撃が待ち構えていたのではないかという気がしますけれどもね。
ちなみにサンタといえばこれは蛇足ですけれども、先日見た古い映画で「三十四丁目の奇蹟」というものがありまして、これが何も飛び道具がないんですけれどもなかなか印象深い佳作でおすすめしておきます。
さて、最後は研究というよりは実践ではあるのですが、いかにもブリらしいこだわりが感じられるとともに非常に印象的な画像がありますので、是非とも鑑賞いただければと考える次第です。

ヒト文字ならぬ「ヒツジ文字アート」でモナリザ再現-英国(2009年3月21日ロケットニュース24)

イギリスのメエスタッドというチームが、無数の羊を使って「ヒツジ文字」を作るという、大がかりなアートを完成させた。人文字なら日本でも小学生などがイベントのひとつとして行うこともあるが、言葉が通じない動物を使って巨大文字を一体どのようにして作るのだろうか…。

舞台となったのは、イギリス・ウェールズ地方の山の麓。高度な技術を必要とする羊たちを使ったアートが、小さいビデオカメラで映画のように撮影されている。スタッフの指示に従って羊たちを追いこんでゆくのは、もちろん牧羊犬の役割。彼らが正確に素早く羊を所定の位置まで追い込み、どんどん広大な草原一杯に何かが描かれていく様子には誰もが驚くだろう。

こうして最初にお目見えしたのは「巨大なヒツジ」! 羊1匹1匹が持つ、黒と白の毛色の違いによってパーツが区分けされ、大きな目や鼻などが表現されているのには圧巻だ。しまいには、4本の足が動いて、まるで本当に歩いているみたい! 

次は、なんとレオナルド・ダ・ヴィンチのアートが表れる! 着色されたライトを羊に装着。絶妙な色の違いに分けられたパーツをどんどん組み立ててゆくと、あの有名な「モナリザ」が完成されるのだ。これぞまさに究極の芸術。拡大すると、全部羊でできているのだから、これにはダ・ヴィンチもビックリだろう。これらはチームの高度な技術なくしては作ることができない。

日がすっかり暮れると、今度もまた全部の羊にクリスマスツリーのような白光ネオンを装着させて、草原をひたすら走り回らせる。とはいえ、ただ走っているのではない。ひとつひとつの動きは、ちゃんと計算しつくされているのだ。羊たちが秩序を持って花火のように美しく散っていく様子はとても幻想的。

最後に、フランス映画さながらの「fin」という文字を形成して終わるという、ひとつの物語のような作品。ここまで説明しておいてなんだが、文章を読んでいてもよく伝わらないと思うのでコチラの動画(youtube)をご覧あれ。 この究極の芸術を前に、あなたも感動せずにはいられないだろう。

まあ感動もさることながら、正直この行為に要しただろう時間と労力というものを考えると、この徹底ぶりこそやはりブリ的なのかなという気がするところで、どちらかというと開いた口がふさがらない系の深い感動を覚える話ではありましたね。

今日のぐり:「にぼし家」

新倉敷駅に程近い一角に店を構えるこちらは、昨今では近隣のとんこつラーメン「あかり」と並んでなかなかの人気店なんだとか。
時期をおいて何度か訪問しましたのですが、個人的にはにぼし系の味が結構好きなので嫌いではない系統の店です。
夜と昼とでは結構味が違うという噂なんですが、ちょうど双方の訪店経験がありましたので並べてみましょう。

まずは一回目、この日は夕食にしても遅い時間での訪店ですが、ほぼ席は埋まっている状態でビールなども飲みながら皆さんのんびり楽しんでいるようです。
煮卵ラーメンにネギ大盛で何気なく頼みましたが、この煮卵はあくまで煮卵であって半熟煮卵ではないことには注意が必要でしょうね。
ところでこの店、カリカリに揚げた唐揚げというのもなかなかに人気で、この辺りも組み入れたセットメニューが昔はA~Cまであったんですが、Aはいつの間にか削除されてなくなったんですね。
それはまあいいんですが、さすがに線で消しただけというのはみっともないと思ったのか新しいメニューを印刷してるんですが、これがやはりAがなくてBとCだけとよく判らないことになっていました。
ん~常連客に混乱を招かないようにという配慮なのかも知れませんが、初めて来た客はなんじゃこりゃ?と思いかねない謎のメニューになってしまってますかね。

山盛りのネギは程々にスープで日を通しながら食べるとそれなりに良い感じなのですが、これだけの量になるとスープが冷めてしまうのはマイナスですかね。
少しスープの温度を高めておけばいいんだと思いますが、さすがにトッピングのためにスープを一人分ずつ小鍋で加熱するなどという手間は無理なんでしょう。
麺の茹で加減はやや硬めで安定していますから悪くないですが、シナチクの食感は残念ながら少しいただけない感じでした。
すぐにちぎれてしまうほど超薄切り状態のチャーシューは個人的にはあまり存在感がないかなと言う印象で、一枚だけに減らしてももう少し厚切りの方がいいようにも思いました。

ここは比較的味の日差があるかなと思っていたのですが、どうも日差というより日内差のようで、色々な人の意見も総合すると、昼の営業に比べて夜遅くになるほどスープの味にキレがなくなっていくようです。
ちなみにこの日は閉店間際の時間帯でしたが、確かに以前に食べた味からするとぼんやりしてしまっているかなとは感じますね。
近ごろのラーメンというのはかなり濃いスープを使っているだけに毎回同じ味を出すのは難しいのかも知れませんが、特にここの場合煮干しの味が引っ込むと途端につまらない味になっちゃいますから、そのあたりの個性はしっかり守っていただきたいと思います。

そして二回目ですが、過去何度か訪れた時には夜の営業がほとんどだったのですが、この日は昼の時間帯にお邪魔してみました。
ちなみにこの日入ってみてびっくりしたのが、さほど広くもない店内にも関わらず厨房、フロアとあわせてスタッフが10人ばかりも詰めていたことで、そんなに客が殺到するということなのでしょうか?

最もベーシックなラーメンにトッピングでネギ大盛というものを頼んでみましたが、この山盛りのネギのおかげかいささかスープが温く感じられるのはこの日も変わりません(ただし上だけでなく底の方をさらってみても、いわゆる熱々ではないという感じですから、わざとそういう温度設定にしているのでしょうか?)。
夜の場合は時折スープの味のバランスがいささかどうよと思われることがありましたけれども、噂に聞く通り昼の方がそのあたりはきっちりしているということなのか、すっきりしたスープの旨味に適正量の醤油ダレがあわさってなかなか完成度の高いスープになっていると思いますね。
麺はしゃっきり茹で上がっていて、しかも固茹でではないというのはなかなかいい感じで、どうもラーメン業界では一部にやたらと固茹で好きがいらっしゃるようですけれども、本来麺類も小麦粉を練ったものである以上ある程度最低限の湯で加減というものは必要なはずなんですよね。

ここのトッピングのネギはいつも好みの辛さ加減でちょうどいい塩梅だと思っているのですが、チャーシューなども値段を考えるとそれなりにまともに出来ていて、以前に来たときには少し存在感がないようにも感じましたけれども、この日くらいのスープの出来であればこの方が邪魔をせずに丁度いいかも知れませんね。
今の時代入っているだけで御の字のシナチクですが、味加減はちょうどいいもののシナチクとして考えればもう少し食感を保っていてくれた方がいいのかなという感じなんですが、全体の食感的に考えてみるとちょうどこのあたりがバランス点かとも思えるのが難しいところなのでしょうか。
ところで以前に来た時と比べるといくらか煮干しの風味が弱くなってきたか?とも感じられたのですけれども、一部界隈ではここの煮干し風味がキツ過ぎるという声もあったようですから、そうした評判を気にして店の看板を引っ込めたということであれば残念なことだと思いますね。

全般的にはバランスの取れた良質なラーメンで、一帯の人気店として君臨しているのも納得なんですが、やはり話に聞く通り昼と夜ではかなりスープの味が変わっているように感じられますね。
それと、せっかくこれだけ大勢のスタッフが揃っているのですから、終日通しての営業も考えていただけるといいんじゃないかなという気もするところでした。

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2010年1月16日 (土)

またTBSが…

一年程前の記事ですけれども、こんなものがありました。

加藤登紀子『川は流れる』想い出の1曲(笑)(2008年11月12日I-LOVE-NOBUKO)

 1993年3月21日にソニー・ミュージック エンタテインメントからリリースされたオリジナルシングル。作詞作曲も加藤登紀子。編曲は倉田信雄が手掛けている。

 僕は加藤の楽曲は全て好き。少年時代にリアルタイムで聴いた『赤い風船』は高齢間近の現在もソラで歌える。

 PCの横にはレコード各社から送られてきたリリース前のプロモ音源を積み重ね。そして、お気に入りのベスト盤も何枚か置いてある。その中の1枚が『加藤登紀子 全曲集』だ。

 全曲集は93年4月21日にリリース。僕がTBS系列の放送局でラジオ番組のパーソナリティーをしていた時代に、東京のソニー・ミュージックから僕個人へと送られてきたサンプル盤である。

想い出の1曲『時代おくれの酒場』加藤登紀子

 8月8日放送は加藤登紀子をゲストに迎えた。オンエアはサンプル盤から選曲。しかし、冒頭に収録されている『川は流れる』は遠慮というか無視した。理由は『筑紫哲也NEWS23』のエンディング・テーマだからである。

 僕はラジオやテレビの仕事とも性に合っていた。活字媒体にはない魅力もあり、東京時代のノウハウも生かすことができた。しかし、しかしである。局内の人間関係は複雑怪奇だった。

 局の正社員ディレクターと、北海道出身のアナウンス部長から執拗なアムウェイ勧誘。それは僕にだけではない。

 フリーランスで仕事しているパーソナリティーらに職権乱用する。正社員の報道記者やキャスターらは見て見ぬふりせせら笑う女性の論説委員もいた

衆院選の立候補者もマルチ商法と関わらないほうがよい

 TBSのキー局も系列局も同レベルと思っている僕は『NEWS23』を見ないし、モラルを疑う報道番組のエンディング・テーマなんてオンエアするはずがない

 加藤登紀子さんは内部事情を知る必要がないアーティスト。ゲスト出演後も何度か会うが、僕は『川は流れる』に関わる話しは一切してない。想い出の1曲には深いエピソードもある(笑)

マルチまがい商法の勧誘員までされているとは、なかなか面白いTBSの内情であると言うところなんですが、この話自体はもう一昔も前の時代のことではあるのですよね。
あれから幾星霜を経てTBSも様々な事件で社会を賑わせてきましたけれども(笑)、幾らかでも成長しているのかと言えばあいも変わらずというよりますます悪化している気配すらあり、近頃ではネット界隈でも怒りを通り越して「またTBSか!(笑)」と失笑混じりに呼ばれ始める始末です。
しかし以前にも紹介しました「TBSが犯罪者を国外逃亡させた?!」という事例にも見られるように一向にモラルの向上など見られないばかりか、掘り下げれば掘り下げるほど新たなネタが噴出してくるという状況のようなんですね。

偽造紙幣報道で「不適切取材」…TBS謝罪(2010年1月15日読売新聞)

 TBSが昨年12月5日放送の「報道特集NEXT」などで取り上げた「ブラックノート」と呼ばれる偽造紙幣についての特集で、この企画を持ち込んだ制作会社のスタッフが、容疑者とみられる外国人男性の本名を確認するため、自宅ポストにあった郵便物を無断で開封し、修復して戻していたことが分かった。

 TBSは14日夕放送の「イブニングワイド」で、「不適切な取材があった」として謝罪した。16日の「報道特集NEXT」で詳しい経緯を説明する。

 容疑者とみられる男性は取材スタッフが接触した直後に逃走、その様子もこの特集で放送されたことから、視聴者から「なぜ警察に通報しなかったのか」と批判が相次いでいた。放送倫理・番組向上機構(BPO)にもTBSの対応について批判が多数寄せられたことから、BPOも審議入りするかどうかを検討している。

取材過程で個人郵便物を無断開封 TBS系番組の特集(2010年1月15日47ニュース)

 TBS系「報道特集NEXT」などで放送された詐欺手口の特集の取材過程で、制作委託先の担当者が個人に届けられた郵便物を無断で開封し、中を見て戻していたことが15日、分かった。

 TBS広報部は「(取材方法など)事前にチェックする責任があり反省している」とし、14日放送された「イブニングワイド」の番組内で謝罪した。

 TBSによると、特集はAPF通信社(東京)が詐欺の手口について企画、制作した。同通信社の担当者が、取材対象の外国人男性の本名を突き止めるため、アパートの郵便受けから公共料金請求のはがきを抜き取り、開封して記載事項を確認。その後修復して郵便受けに戻したという。

 TBSは同通信社からこの事実を伝えられないまま、昨年12月に複数の番組で放送した。

取材中に他人の郵便物を開封 TBS系番組で謝罪(2010年1月15日産経ニュース)

 TBS系の「報道特集NEXT」などで放送された特集番組を作った制作会社の担当者が、詐欺事件の取材過程で他人の郵便物を無断で開封し、中身を見ていたことが15日、分かった。

 TBS広報部によると、特集が放送されたのは、昨年12月5日放送の「報道特集NEXT」と、同8日の「イブニングワイド」。

 両番組では、外国人の男性がかかわっているとみられる詐欺の手口について特集。企画を持ち込んだのは制作会社「APF通信社」で、同通信社の担当者は取材過程で、取材対象の男性の本名を突き止めるため、男性のアパートの郵便受けから公共料金の請求書を抜き取り、シールをめくって中の記載事項を確認した。その後、修復して元に戻したという。

 TBSはこの事実を知らされないまま、同番組を放送。今月14日の「イブニングワイド」で「今後、このようなことが生じないよう全力を尽くしていきたい」などと謝罪した。

さあ皆さん、本日もご一緒に「またTBSかっ!(激笑)」
ここまでやってもまだ審議に入るかどうかすら検討中というのであればBPOなる組織の存在意義が問われるところですけれども、TBS側では1月14日付けでこんなお詫びを発表していまして、これを見ますとさっさとトカゲの尻尾を切ってしまったようですね。
報道などを見ていますとまた今回も下請け会社の勝手な暴走ということにしたい意向が見え見えですけれども、毎度毎度こういう事件を起こしてしまうほどにTBSという会社は下請けによほど選りすぐりの人脈を数多抱え込んでいらっしゃるのでしょうか(苦笑)。

ところで常識レベルで考えても他人宛の郵便物を無断で開封して良いかどうかなど子どもでも判りそうな話ですけれども、郵便法には信書開封罪というものがありまして、これは立派な犯罪行為にあたることは明白です。
ところがこの信書開封罪というものが実は親告罪でして、要するに被害を受けた当事者、すなわち今回の場合は詐欺事件の容疑者と目される外国人男性がTBSを訴えないことには、罪に問われることはないということになってしまうわけです。
そういうことを考えあわせてみますと、どうせ相手は犯罪者だから訴えられることはないだろう…なんてことまで考えてやっていたのだとすれば、これはあまりに手慣れすぎているとも感じられるところですよね。

ちなみにかれこれ四年も前の話になりますが、TBSの放送した健康番組を信じた大勢の人たちが健康被害にあうという事件が起こり、大きな問題になったことがありました。
このときにも総務省はTBSに文書による行政指導を行い、「同様の問題をまた引き起こした場合、電波停止などの行政処分もあり得る」とまで警告しているわけなんですが、あいも変わらず犯罪行為を繰り返すTBSに対して一向にお咎めがないというのはどうしたことなんでしょうね?
ちなみにネット上でこんな調査が行われていますけれども、毎日新聞や朝日新聞といった歴史と伝統を誇る錚々たる顔ぶれと並んで、TBSはテレビ業界ダントツ首位という好位置につけていることも理由のないことではなさそうですよね。

【投票】最低の報道機関はどこだ

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2010年1月15日 (金)

岩槻脳神経外科病院続報と絡めて

先日もお伝えしました岩槻脳神経外科病院の閉鎖問題ですが、皆さんの関心も高いようでたくさんのコメントをいただいております(情報を送っていただいた皆さん、本当にありがとうございます)。
当面20日までは診療を続けるということに決まったようですが、お寄せいただいた情報などを拝見しておりますと結局のところ倒産ということになりそうで、新年早々今年もまた一つ病院が消えたということになるのでしょうか。
現在も職員の方々は無給奉仕を続けられているようで、地区の医師会などと相談しながら入院患者の転院先を探しているということですが、地元紙報道などからも状況を見るとなかなか大変な騒ぎになっているようですね。

説明なく転院手続き 給与未払い、職員困惑 岩槻の病院閉鎖問題 /埼玉(2010年1月13日web埼玉)

 さいたま市岩槻区の岩槻脳神経外科病院が今月4日に突然、一時閉鎖の方針を打ち出した問題は、病院側が20日まで外来窓口を継続することでひとまず収束した。患者が放り出されるという最悪の事態は回避されたものの、病院を長年利用してきた地域住民には動揺が広がる。背景に経営難があるとみられるが、21日以降はどうなるのか。病院側から市民にはっきりした説明はなく、入院患者の転院と外来患者のほかの病院への紹介手続きが進められている。

 仕事始めの4日、同病院は混乱から始まった。外来の診療窓口が開いた直後、医師や看護師らに病院を運営する医療法人社団「双樹会」の理事長から「一時閉鎖する」と記された文書が配られた。

 話を知って駆け付けたさいたま市保健所が「患者への説明なしの休診は避けてほしい」と理事長に要望する一方、院内では製薬会社の社員が卸していた薬を回収する光景も。外来終了後、理事長と職員の話し合いは深夜まで及んだ。

 給与は昨年11月から未払いになっており、職員に病院側はこれまで「資金融資先との契約が遅れている」などと繰り返し説明していた。しかし、事情を知らされていなかった患者には青天のへきれきになり、報道で知った大勢の患者が詰め掛ける事態になった。

 7年前から狭心症などの治療で通院している自営業男性(61)は7日の朝一番に来院。「前日は2時間待たされたので、あらためて来た」とCT画像や血液検査の結果などを受け取ったが、「できれば1年分のカルテのコピーが欲しかった。自分で一から説明するのは大変だ」と困惑した。

 5年前に脳梗塞(こうそく)で入院し、今も松葉づえが手離せない無職男性(72)は「脳神経外科というのは少なく、ここはいい先生が多いのに」と残念がった。

 一昨年に経営破綻(はたん)した春日部市の順生会病院(当時)では、業務停止表明後、1週間かけて患者の転院手続きをした後、自己破産を申請している。

 「報道を見て閉鎖を知らされた。混乱を起こさないためにも患者に伝える準備をするべきだった。企業の総務を長年してきたが、こんな無責任なやり方はない」。8日に岩槻脳神経外科病院に来た伊奈町の男性(65)は批判した。

 同病院は今、初診患者や新たな検査の申し込みは断り、入院患者の転院や外来患者には、ほかの病院を紹介している。20日までの勤務分の給与が支払われる保証はないが、ある職員は「病院存続へいちるの望みを持っている。多くのスタッフも病院に愛着がある。そうでないと、ここまで頑張れるものでない」と打ち明けた。

 一人で子ども2人を育てている看護師女性(34)は「貯蓄も底を尽き、週3千円で生活している。患者への使命感だけで続けているが、もう限界。示されたのが倒産でなく“一時休診”だったので、雇用保険の関係で辞めるに辞められない人が多い。今後どうするのか、早くはっきりさせてほしい」と嘆いている。

埼玉「岩槻脳神経外科病院」運営の「双樹会」が弁護士一任(2010年1月14日不景気.com)

さいたま市岩槻区の医療法人社団「双樹会」は、自己破産申請を視野に事後処理を弁護士に一任したことが明らかになりました。

1997年に設立の同法人は、岩槻区にて「岩槻脳神経外科病院」(病床数80床)と「双樹クリニック」を運営。脳外科専門病院として、他県からの患者も診療に訪れるなど相応の知名度を有していました。

しかし、2000年の病院新設における借入金が資金繰りを逼迫。2009年には給与未払いが表面化、今年に入ると突然の休診発表など対応も慌ただしくなったことで、事業継続を断念し弁護士一任の決断に至ったようです。

帝国データバンクによると、負債総額は約30億円。なお、両院とも1月20日までは診療の継続を明らかにしています。

病院側では経営は黒字であるといっていた(いる?)ようですが、そうであればこうまで給与や薬代の支払いも滞り唐突な閉鎖をする理由もないということになるわけで、現実的に負債総額30億という数字が表に出た以上は、職員の皆さん方もきちんと権利は主張していかなければ大変な事になりかねませんね(病院だけに給与がわりの現物支給ってのもなさそうですし)。
一方で今や病院の半数が赤字とも言われる時代で倒産件数も過去最多を絶賛更新中、そして民主党政権となって期待された診療報酬面でも実質的に大した変化はなかったということになれば、今後もこうした事例は幾らでも出てきておかしくないという話です。
病院と言うと不景気にも強くかつては銀行側も結構気安く融資をしてくれるなんて時代もあったようですけれども、これからは経営者も病院の潰し方というものをもう少し予習してもらう必要があるということになるのでしょうか。

今回に関しては関係者一同場慣れ?していないということもあってかなりゴタゴタが続きそうな気配ですが、患者側の視点に立ってみると長年通った身近な病院が突然なくなるという自体は、今後も増えこそすれ減ることはないだろうということは覚悟しておかなければならないですよね。
病院側の相変わらずの経営難、人材不足もさることながら、そもそも医療行政の元締めである厚労省が地方の中小病院は潰して医療リソースを集約するということを長年の悲願に掲げているわけですから、言ってみれば現状は「勝手に潰れてくれる分にはウェルカム」だとも言えるかも知れません。
もちろん医療の効率ということを考えると資源を集中した方がお得であるという声は一定の説得力を持つわけですが、問題は集約化した先がきちんと機能しているという大前提がなければ単に地域医療の荒廃だけで終わってしまうわけですから、果たして厚労省の計算通りに医療リソース集約化が進むのかどうかが最も気がかりですよね。
この方面で実感とも合う話ですけれども、少しばかり気になるニュースが先日出ていましたので、こちらに紹介しておきましょう。

がん拠点病院の半数「手術待ち延びた」 (2010年1月12日中日新聞)

 日本人に多いとされる胃と肺、乳がんについて、診断確定から手術までの「手術待ち期間」に変化がないかを、中部地方のがん拠点病院に本紙がアンケートしたところ、ほぼ半数が3つのがんのいずれかで、最近5年間に「延びたと感じている」ことが分かった。現在の手術待ち期間は最長で「3カ月」との回答もあった。病院側は拠点病院への患者集中や外科医、麻酔科医不足を主な理由に挙げている。

 アンケートでは2009年の手術待ち期間は05年と比べてどう感じるかを「延びた」「変わらない」「短縮された」の3択などで聞いた。

 3つのがんで1つでも「延びた」と答えたのは、回答のあった63病院のうち32、51%に上った。がん別にみると、肺がんでは35%、乳がんは34%、胃がんは31%が「延びた」と答え、いずれも3割を超えた。

 がんの進行度にもよるが、医学界では一般的に1カ月未満が望ましいとされる手術待ち期間は、肺がんでは1カ月以上の回答が4割を占めた。岐阜県のある病院は「2~3カ月」と答えたほか、「2カ月」「1・5~2カ月」「1・5カ月」とした病院が、それぞれ1病院ずつあった。

 1カ月以上の回答は、乳がんでは45%、胃がんでは37%を占め、どちらも最長は2カ月だった。

 ほとんどの病院は「がんの進行度によって優先順を調整しており、患者が危険になった例はない」と答えたが、中には「手術時にがんの進行を感じた」(静岡県の病院)や「腫瘍(しゅよう)が増大した」(愛知県の病院)との回答もあった。

 延びた理由は、32病院のうち72%が患者の大病院志向や、中小病院の手術数減少による患者増を挙げた。外科医不足の影響は53%が指摘。麻酔科医不足などによる手術室稼働時間の減少も5割が挙げ、手術室が空いている他院に出張して執刀したり、午後5時以降に手術を組んでいる所もあった。

 愛知県がんセンターの二村雄次総長は「基本的には告知から手術まで1カ月以内が理想で、2カ月も待たされたら患者は地獄だろう。しかし、がん拠点病院には患者が集中し、激務で勤務医がどんどん辞めていっているのが共通の悩みだ」と話している。

 【調査の方法】 昨年11月20日~12月末、中部9県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡、石川、富山)にある全67のがん診療連携拠点病院に調査。書面を基に面会や電話で聞き取りした。手術待ち期間は、担当医らの現場感覚で答えてもらった。

非常に主観的な調査で学術的なデータとしては多少アレではありますけれども、おそらく多くの拠点病院勤務医が感じている実感ともよく合う話なんじゃないかと思います。
これはかねて懸念するところですけれども、厚労省の病院集約化計画の一番のネックが何かと言えば医者を単なる数字の上でしか考えておらず、それぞれの医者の個性を無視して話を組み立てているところにあるんじゃないかと言う気がするんですよね。
ナショナルセンターと地方の基幹病院、田舎町の二次急レベルの総合病院と、同じ診療科名を掲げていてもそれぞれにやっている内容は異なるし、同じ個人の開業医と言っても大病院のサテライトで専門外来をしている先生と、地域密着でプライマリケアをしている先生とでは全く仕事が違うわけで、そこで働いている医者も同じ専門を名乗っていても全く違うキャラクターを持っているわけです。

昔なら多少合わない仕事でも医局派遣でいずれ動くことを前提に無理をしてやっていたものが、今は無理をしたところで何のメリットもないという時代になった、そもそも無理をしても長く務まるほど甘い業界ではなくなっているわけですから、そうなると医者が自分の体力ややりたい仕事の方向性と相談しながら腰の落ち着け先を探していくのが当たり前になってきます。
同じ料理人と言っても静かな厨房で他人に邪魔されず思い通りの料理を作りたいという人間もあれば、カウンター越しに客の顔を眺めながら腕を振るうのが好きだと言う人間もいるのと同じで、これを同じ料理だからと互いの職場を入れ替えてみたり、合併して業種転換したから明日から二人でハンバーガーを作ってくれと言われても、よほど他に行き場がない人間ででもなければ残ってはくれないだろうと誰でも思うじゃないですか。
それぞれの病院の状況に応じてそれに適合している人材が集まってやっと廻っている仕事場を、病院を統合するから今度はこっちの病院に合わせた仕事をしてくれと言われてどれくらいの人間がついていくかと言えば、「それならもう辞めさせてもらいます」と去っていく人間が多いのも道理で、そうなると果たして厚労省の思うように人材の集約化が進むかどうかは大いに疑問の余地なしとしません。
最悪の場合近くの病院は潰れた、紹介された基幹病院では幾ら待っても診察の順番が回ってこないなんて状況にもなりかねませんけれども、そうなった場合に得をするのは統合新病院建設で一儲けできる人たちだけだった、なんてことにもなりかねませんよね。

そこで世間の人が抱くだろう素朴な疑問は「そんなにあちらからもこちらからも逃げ出して、それじゃ医者はどこで働くつもりなんだ」と言うことなんじゃないかと思いますけれども、考えても見てください、あまりの激務に医者が逃げ出すほどに幾らでも仕事自体はあるのですから、ほどほどに無理をしない範囲でワークシェアリングをしていても十分皆が勤労意欲を満足して働ける理屈ですよね。
マスコミ曰く医者への報酬(笑)であるところの診療報酬のうち実際の医者の取り分は一割程度だと言いますから、病院にとって医者への報酬を多少増やしたところで知れていますが、医者が一人増えればその分確実に総収入は増えて行くわけですから、実のところ医者を酷使するより厚遇して無理のない範囲で働かせた方が病院にとっても経営改善にお得だという計算が成り立つわけです。
加えて中堅以上の先生方は同級生を見回してみると思いのほかドロップアウトしていたり、臨床医以外の稼業をやっている人が多くなっているんじゃないかと思いますけれども、別に医師免許を持っているから現場で医者働きをしなければいけないというルールはないわけで、結構医者もつぶしが効くものだなと実感しつつある方々が最近増えてるんじゃないかと思います。
そういう時代に勤務先を潰せば残った病院に集まらざるをえないだろうなんて甘い予測を立てて行動しているのだとしたら、厚労省もとんだ赤っ恥をかくことになる可能性が高いんじゃないかと思うんですが、もちろんその望まざる結果を引き受けるのは厚労省ではなく国民であるというのも、これまたいつものお約束ではありますよね。

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2010年1月14日 (木)

規制緩和というけれど

規制緩和というのも言われて久しいところですが、実際にはいろいろとしがらみがあってなかなかうまく進むものではないようですね。
世の中には強権をもってでもさっさと実現した方がよい規制緩和もあれば、それなりに意味があって存在(少なくとも、一部の人々はそう考えている)していて実施すべきか迷わしい規制緩和もあると思いますが、医療の分野で最近言われているのが看護師の業務拡大という話です。
表向き言われている正論としては「医者がそんなに忙しいなら、業務分担すればいいんじゃない?」ということなんですが、これもなかなか根強い反対論があるようで、こういう記事を見ていますとなるほど既得権者の抵抗とはこういうものなのかと考える人々も多いんじゃないでしょうか(苦笑)。

患者の9割は、看護師の業務範囲の拡大に賛成(2010年1月6日日経BP)

「看護師ができる医療行為を拡大すべき?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。
今回のテーマについても前回(「診療報酬は引き上げるべき?」)(※)と同様に、日経メディカルオンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)の投票結果に大きな差が出ました。
「看護師ができる医療行為を拡大すべき?」との問いかけに対して、NMO(医師)では「Yes」が36%で「No」が64%。約3分の2の回答が「No」です。
一方、NBO(患者)では、「Yes」が圧倒的多数で92%となっています。

コメント欄を見る限り、投票結果が好対照となった大きな理由の1つは、看護師に対する医師の不信感にあるように思えます。
看護師の質のバラツキが大きすぎる」「結局、(ナースプラクティショナーのような)新職種の尻ぬぐいを医師がしなければならないのかと思うと、げんなりしてしまう」「悪貨は良貨を駆逐する」「看護師の権限拡大のみが目的」「現行の法律下でもできる点滴などの業務を嫌がるのに、業務範囲の拡大を望んでいる看護師がどれほどいるのか?」といった声がその代表例と言えます。
このほか反対意見としては、「医療の質に大きな影響を与える問題が、医療費削減や医師の負担軽減、医師不足の解消を目的に議論されるのはおかしい」「看護師の業務範囲の拡大により、責任の所在が不明確になってしまうのではないか?」「看護師不足が一層深刻化する可能性がある」といった指摘が目立ちました。

★課題は医療の質の担保

一方、看護師の業務拡大に賛成する理由は、NMOもNBOもさして変わりません。「医師の業務負担の軽減に貢献する」「医療費の抑制に役立つ」「看護師でも高い能力とやる気を持ち研鑽を続ける人の中には、初期研修医ややる気のない医師よりも確かな見立てをする人もいる」といった声がNMO、NBOの双方から聞かれたほか、実際に米国でナースプラクティショナー(NP)と働いた方からの、NPに対する賞賛のコメントも寄せられました。
ただし、基本的に賛成の立場を取る方の中にも、「医療の質」の低下に対する懸念は少なからず見られます
「講習を受けてすぐなれるような資格でなく、欧米のようにきちんと教育して、厳格な試験を課し、できる医療行為をきちんと定めたうえで新たな資格を与えるべき」「業務範囲の拡大を、看護師資格の保有者全員に適用するのは非常に危険」――。

実は、「医療の質」への不安を抱いているという点では、NMOで「No」と投票した方とNBOで「Yes」と投票した方にそれほど大きな違いはないのかもしれません。
業務範囲の拡大を進めるとすれば、質の担保をどう図るかが、最大のハードルとなります。
この点は賛成派・反対派の共通認識でしょうから、ここを論点にすれば、建設的な議論ができるような気がします。
いろいろな意見があるかと思いますが、最初から「無理」と議論の門戸を閉ざすのはどうでしょうか?

このほか、NPのような新しい資格を創設するのであれば、業務の責任範囲や待遇などに関してもきちんと検討しておかないと、導入の効果は上がらないという指摘も複数ありました。
業務範囲の拡大の議論の中で新資格の話が浮上した場合には、こうした視点も忘れてはならないと思います。
なお、NBO側には、「NPの導入は、医療界の既得権益擁護体質、および医師が儲かるための現在の医療の在り方に、一石を投ずる効果を持つものと思われる。一刻も早い導入を希望する」といったコメントも寄せられました。
NBOで「Yes」の投票が多数を占めた背景には、一部、医師に対する不信感もあるのかもしれません。

最後に。「看護師の業務範囲について議論するのであれば、同じくチーム医療の一員である薬剤師などの他職種も取り上げるべき」とのコメントが寄せられました。
確かに、その通りです。チーム医療には、薬剤師や理学療法士、作業療法士など様々な職種が参加しています。
今回は便宜上、看護師だけを取り上げましたが、今後は様々な職種を交えて議論する必要があるでしょう。(終わり)

個人的に看護師の業務拡大には賛成派を自認していますが、記事中にも取り上げられていますけれども、ぶっちゃけ医者には看護婦の技能は信用しても、その知識は信用していないという人は結構多いんじゃないかと思いますね。
相応に多くの医者が大学医局などとの絡みで看護師教育というものにも携わった経験があるんじゃないかと思いますが、やはりその辺の専門学校に何年か通って習い覚えたハンパな(失礼)知識だけで看護師になり、その後技能面ではともかく知識面でのアップデートは全くされていないままという人たちが大勢いるというのも事実です。
看護師などは年中医者の処方や指示を見ていて、何となくこういう患者にはこういうことをやるんだなといった知識は下手な研修医なんかよりずっとたくさん持っていたりする、それじゃ「何故そうするの?」ということを聞いてみると全く理解していなかったり、見当外れな考え方をしていたりする場合がままあるものです(これは能力や資質というより、学生時代からのトレーニング法の差が大きいと思いますが)。

効かない治療を延々とやっているくらいならまだ可愛げがありますけれども(医療財政逼迫する折り、本当はいけないんですが)、背景知識がないが故にやっちゃいけないことをしちゃう可能性をどう排除していくかが患者側から見たひとつの課題でしょうが、医師側にとってはこれに加えて責任の所在はどうなるのかという問題も大きいところですよね。
ナースプラクティショナー(NP)なりが最初から最後まで自己判断と自己責任でやっていただけるというのであればいいだろうと言う意見もあるかも知れませんが、同じように大きな裁量が認められている助産師と産科医の関係がどうなっているかということを考えると、正直理念は理解できても頭が痛いと考えている人も多いのではないでしょうか。
結局今の現場の医者に他人の責任までかぶっていられる程の余裕が無いのが全ての原因だとなれば、それじゃ医師の負担軽減のためには一部の権限を他に移して…と議論が堂々巡りになっているところもあります。

こうした問題をきちんと解決するには、やはり行為の責任を取れる程度に見合ったきちんとした知識を身につけるべくしかるべき医学教育を受けさせなければならない、それだったら結局社会人入学なりで医学部に入っていただくのとどう違うの?という話になってくるわけで、実際近頃では看護師など現場経験者の社会人入学というのは増えてきてもいるし持て囃されているところがありますよね。
さて、ちょうどこの1月12日に行政刷新会議が開かれたそうで、例の新成長戦略と絡めて一層の規制緩和が必要だとかいった話になっているらしいのですが、そこで配布された資料の中にこんなことが書かれているようなんですね。

資料2-1 規制・制度改革の進め方(2010年1月12日配布資料)より抜粋

○ 「新成長戦略(基本方針)(平成21 年12 月30 日閣議決定)」も踏まえ、新たな需要の創出に向け、本年前半に行政刷新会議において取り組む規制・制度改革の重点分野は以下の分野とし、具体的テーマ、見直し方法等を早急に決定し、改革を行う。このため、行政刷新会議に規制・制度改革に関する分科会を設ける。(略)
○ また、許認可や各種申請に係る書類の簡素化など、行政の無駄根絶・効率化にも重点を置く。
○ 見直しに際しては、国民の目に見える形で検討を進めるとともに、1月18 日から受付を開始する「国民の声」についても、積極的な活用を図る。
○ 6月を目処に対処方針を取りまとめる。

資料2-1 参考資料1 重要取組課題(平成21 年12 月4日規制改革会議)

◎ 下記のうち、囲い線を付したものを、特に緊急性が高い「チャレンジテーマ候補」(13 項目)として選定。(管理人注:★印)

1.医療分野
①保険外併用療養(いわゆる「混合診療」)の在り方の見直し★
②医療情報に係る改革(レセプト等の電子情報の利活用の促進と直接審査など保険者機能の強化)★
③診療看護師資格の新設
④医師国家試験受験資格の拡大

⑤公立病院の医師の兼業禁止の在り方の見直し
⑥(独)医薬品医療機器総合機構の改革
⑦再生・細胞医療の臨床環境整備
⑧一般用医薬品の郵便等販売規制の緩和
(略)

ここで注目しておきたいのが、規制改革会議で今後の重要取組課題として取り上げられたもののうちでも下記の二つです。
直接的に結びつけられて語られているわけではありませんけれども、看護師の業務範囲を拡大していく上でNP導入というのはすでに既定路線化している、さらに一歩進んでやる気のある看護師に関しては何かしら別ルートで医師免許を取得する道を用意してもいいんじゃないか、なんてシナリオが想像できませんでしょうか?

③診療看護師資格の新設
④医師国家試験受験資格の拡大

ご存知のように医師国家試験というものは非常に合格率が高くて例年ほとんど9割近くに達するという「ぬるい」試験だと言われていますが、実際人並みに気の利いた学生ならちゃんと受験勉強さえしておけば滅多に落ちることはないという状況でした。
司法試験などと違って医師国試がこういう状態だと言うのは、昔は医師のトレーニングは免許を取ってから実地に鍛えるものだという認識が一般的だったからというのもあるのでしょうが、医師国試受験の条件として「医学部を卒業していること」という一項があったことも大いに関係しているのでしょう。
要するに少なくとも建前として「医学部で六年間学ぶことを義務付けることで、受験する学生に一定の質は担保されているはずだ」という大前提があったはずなんですが、そこへバイパスルートを入れると当然前提条件が崩れてくるわけですから、これは当然医師国試と言うものもきちんと医師としての能力、資質を問う試験へと変えていかなければ質が担保できないということになりそうじゃないですか?

そう考えてみると、今の学生は地域枠だ、定員拡大だと入学時点でこそずいぶんと優遇されていますけれども、なんだ卒業する時のハードルはむしろ今まで以上に高くなるんじゃないか?なんて想像も成り立つわけなんですよね(苦笑)。
しかしこの点、昔から言われているように医師国試には採点基準も合否ラインも公表されていないけれども、毎年の試験の難易度はその都度違っているのに合格者数はほとんど一定に保たれている以上、何よりも数で足切りしてんじゃないかと噂されていた話とも通じるところがあると思うのですけれどもね。
厚労省が今後も同じように国試のさじ加減で医者の数を一定でコントロールしていくつもりがあるのであれば、大々的に医学部定員を拡大したり現場からの別ルート受験者を受け入れるようになったところで、結局のところさして医者免許合格者の数は変わらないんじゃないかという想像も出来るかも知れません。

まあしかし、数多い中からきちんと成績優秀者をセレクションして合格させるという機能がきちんと働くようになるということであれば、結果として新卒医師のレベルアップに繋がり国民にとっては万々歳ではないかという考え方もあるかと思いますが、そのあたりは医師数増によるアクセスの容易化とクオリティー維持という相反する要素をどうバランスさせていくかという話なんでしょうね。
すでに歯科医師試験や司法試験では合格者数を急増させたばかりに様々な問題が噴出しているなんて話を聴くと、足りないからと迂闊なことをしてしまうとこれまた大変なことになってしまう危惧もありますが、その点で今年の医師国試の難易度や合否判定のさじ加減などにも注目しておいた方が良いのかも知れません。

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2010年1月13日 (水)

一難去ってまた一難?!

厚生労働医系技官である木村盛世(きむら もりよ)氏と言えば以前にも新型インフルエンザに関する厚労省批判で取り上げさせていただいたことがありますが、かねてから厚労行政に関する歯に衣着せぬ批判を展開して話題になった御仁です。
その木村氏ですが、先ごろ東京女子医大での心臓手術に関わる医療事故で無罪判決が出た佐藤一樹氏についてTwitterでこんなことを書いているのですが、これは果たしてどうなんでしょうね。

#   佐藤一樹医師は無罪が確定したにもかかわらず、厚労省医療政策局医事課長のみが行政処分を行使しようとしている。自分の権限をひけらかすためとしたら職権乱用も甚だしい。http://obgy.typepad.jp/blog/2008/07/post-1341-38.html    4:56 PM Jan 10th   webで   

#   行政処分の事務を行っている医師資質向上対策室(局長伺定めの組織)は行政処分に反対しているが、医事課長のみが佐藤医師の処分に前向きというおかしな話。    5:04 PM Jan 10th   webで   

#   医事課長は文科省出向の事務官。臨床医を処分することで権限がますと考えたらしく、これに医系技官が同調する。本来医療を守るべき医系技官の幹部達が医療現場に恐怖政治を敷いている許しがたき構図である。    5:06 PM Jan 10th   webで   

#   医療崩壊に拍車をかけて喜んでいる医系技官幹部を裁くのは、国民しかいないだろう。    5:12 PM Jan 10th   webで   

#   厚労省医政局杉野医事課長は冤罪被害者である佐藤一樹医師の聴聞を強硬に推し進めようとしている。職権濫用の杉野氏こそ処分に値するだろう。    約2時間前   movatwitterで   

え?佐藤先生裁判で勝ったのにそんなこと出来るの?!と思うところなんですけれども、そこでwikipediaの「行政行為」の項目などを参考にしながらにわか勉強してみますとこの行政処分(行政行為)というもの、かなり恣意的に(あるいは、好き勝手に)やっちゃってしまえる性質のものであるようなのですね。
例えばこれが法に基づく処分ですとまず対象となる行為を犯罪であると規定する法律が存在しなければならない(当然国会での審議が必要です)、そしてそれに従って裁判所が判断をして、有罪と決まって初めて処分が行われるという非常に長ったらしい話になりますから、昨今では新種の犯罪登場に法律の方が追いつかないなんてことがしばしば言われるところですよね。
ところが行政処分というものは迅速に行われてナンボですから法律の裏付けなど必要としないわけで、wikipediaから抜き出してみますとこんなことが書いてあります。

行政行為(ぎょうせいこうい

    * 行政行為(ぎょうせいこうい)とは、日本の行政法学で用いられる概念であり、行政庁の処分(行政事件訴訟法3条2項)とほぼ同義で用いられる行政処分とも呼ばれる。
(略)
行政行為(ぎょうせいこうい)とは、行政が国民に対して働きかける行為のうちでも、合意に基づくことなく一方的に、具体的な場合において、国民の権利義務に直接的・観念的影響を与える行為である。行政行為の概念は行政主体による他の行為形式、すなわち行政指導、行政契約、行政立法、行政計画、および事実行為と対比することによって説明されることが多い。その際の定義は様々だが、上記したような「一方的(合意に基づかない)」「個別具体的」「直接的」「観念的(法的なものであって実力による強制ではないという意味)」という4つの要素を含む。まれに行政行為のことを行政処分という場合もあるが、通常「処分」とは行政事件訴訟法などの争訟法上で用いられる概念である。しかし両者はほぼ重なる概念でもある。
(略)
行政の行為の中には、公益を実現するため相手方の反対を無視してでも実施でき、その正当性がとりあえず確保されなければならないものがある。公共の安全を確保するため私人の自由な経済活動に一定の制約を課す、いわゆる規制行政はその典型例である。この種の行政の行為を正当化しつつ、法律による規律を加えようとして構想されたのが、行政行為という概念である。
(略)
行政行為における公定力とは、行政行為の効力のうちの法論理的効力である。行政行為が不当行為であっても重大かつ明白な瑕疵がなければ、権限ある国家機関(行政庁または裁判所)がこれを取り消さない限り、一応有効なものとして公定される効力のことをいう。法論理的な効力であるので実定法上にはない効力である。しかし本来、契約は違法であれば無効であるのが大原則であり(民法90条)、契約の効力に疑いを持つ当事者は、これを有効とする裁判があるまでは、その契約に従うことを強制されないはずである。

そこで、公定力を認める意味は、行政法秩序を安定させるためである。仮に一人一人の国民が行政行為の有効性を勝手に判断して行動すると、行政行為に従う者もいれば従わない者もいるということになる。これでは行政の実効性と信頼性が損なわれる。そのため行政行為の有効性は行政庁または裁判所という専門機関にその判断を委ねることとした。そしてその結果、行政行為には公定力といわれる効力を認めることになったのである。

これを言い換えれば、公定力を取消訴訟の排他的管轄(とりけしそしょうのはいたてきかんかつ)によって根拠づけ、あるいは取消訴訟の排他的管轄と同視するということである。すなわち、行政行為の法的効果を失わせるには取消という制度を用いなければならないという政策を採用したために公定力と呼ばれる効果が生じるのであって、行政行為だから公定力があるわけでないと考えられているのである。行政行為の取消は取消訴訟制度や不服申し立てを利用する争訟取消と、行政庁自らが行政行為を取消す職権取消がある(後述)。
(略)
行政行為が違法であるなど、行政行為に瑕疵があれば行政事件訴訟法による取消訴訟や行政不服審査法などの不服申立てによってそれを取消すことができる。しかしこれらの訴訟を提起したり申し立ては一定の期間内に行わなくてはならない。この期間を出訴期間というが、これを経過した後に行政行為の取消しを争訟によって争えなくなる効力を不可争力という。形式的確定力ともいう。
(略)

つまり処分の内容が明らかに違法であるとかいったものでない限り、いつどんな処分を下すかもいつまで続けるかもお上のお考え次第と言う、見ようによってはずいぶんと便利なシステムだなと思わされるものなんですね。
こうしてみますとこれが一部の人間の恣意的に運用されるということにでもなれば大変だろうなとは誰しも思うところでしょうが、実際に過去にはたびたび「勇み足」が発生してその後問題になっていることはしばしば報道などでも取り上げられるところです。
公益を守るためにとにかく迅速果断でなければならない局面があるのは当然に理解出来るところで、その結果後で間違いでしたと言うことになるリスクは仕方がないことも判りますが、当然それだけの権力を振るうわけですから何らかの厳格な指針と言うものがなければ処分される方もたまったものじゃありませんよね。

厚労省においては平成14年の医道審議会医道分科会において医師の行政処分に関する基本的方針が決まっているようですが、その骨子の部分を抜き出してみるとこんな感じになります。

医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について(2002年12月13日厚生労働省医政局医事課通達)より抜粋

(はじめに)
 医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づいて行われるものであり、医師、歯科医師その他の医療の担い手は、医療を受ける者に対し良質かつ適切な医療を行うよう努めるべき責務がある。
 また、医師、歯科医師は、医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保することを任務としている。

 医師法第7条第2項及び歯科医師法第7条第2項に規定する行政処分については、医師、歯科医師が相対的欠格事由に該当する場合又は医師、歯科医師としての品位を損するような行為があった場合に、医道の観点からその適性等を問い、厚生労働大臣はその免許を取り消し、又は期間を定めて業務の停止を命ずるものである。

 医師、歯科医師免許の取消又は業務の停止の決定については、基本的には、その事案の重大性、医師、歯科医師として求められる倫理上の観点や国民に与える影響等に応じて個別に判断されるべきものであり、かつ、公正に行われなければならない。
 また、より公正な規範を確立する要請に基づき、一定の考え方を基本としつつ処分内容を審議することが重要である。

 このため、今後、当分科会が行政処分に関する意見を決定するにあたっては、次の「行政処分の考え方」を参考としつつ、医師、歯科医師として求められる品位や適格性、事案の重大性、国民に与える影響等を勘案して審議していくこととする。

 この「行政処分の考え方」については、行政処分における処分内容が社会情勢・通念等により変化しうるべきものであると考えるため、必要に応じて、当分科会の議論を経ながら見直しを図っていくものとする。

 なお、行政処分は、医師、歯科医師の職業倫理、医の倫理、医道の昂揚の一翼を担うものでもあり、国民の健康な生活の確保を図っていくためにも厳正なる対処が必要と考えている。

 国民の医療に対する信頼確保に資するため、刑事事件とならなかった医療過誤についても、医療を提供する体制や行為時点における医療の水準などに照らして、明白な注意義務違反が認められる場合などについては、処分の対象として取り扱うものとし、具体的な運用方法やその改善方策について、今後早急に検討を加えることとする。

(基本的考え方)

     医師、歯科医師の行政処分は、公正、公平に行われなければならないことから、処分対象となるに至った行為の事実、経緯、過ちの軽重等を正確に判断する必要がある。そのため、処分内容の決定にあたっては、司法における刑事処分の量刑や刑の執行が猶予されたか否かといった判決内容を参考にすることを基本とし、その上で、医師、歯科医師に求められる倫理に反する行為と判断される場合は、これを考慮して厳しく判断することとする。

     医師、歯科医師に求められる職業倫理に反する行為については、基本的には、以下のように考える。

    (1)     まず、医療提供上中心的な立場を担うべきことを期待される医師、歯科医師が、その業務を行うに当たって当然に負うべき義務を果たしていないことに起因する行為については、国民の医療に対する信用を失墜するものであり、厳正な対処が求められる。その義務には、応招義務や診療録に真実を記載する義務など、医師、歯科医師の職業倫理として遵守することが当然に求められている義務を含む

    (2)     次に、医師や歯科医師が、医療を提供する機会を利用したり、医師、歯科医師としての身分を利用して行った行為についても、同様の考え方から処分の対象となる。

    (3)     また、医師、歯科医師は、患者の生命・身体を直接預かる資格であることから、業務以外の場面においても、他人の生命・身体を軽んずる行為をした場合には、厳正な処分の対象となる。

    (4)     さらに、我が国において医業、歯科医業が非営利の事業と位置付けられていることにかんがみ、医業、歯科医業を行うに当たり自己の利潤を不正に追求する行為をなした場合については、厳正な処分の対象となるものである。また、医師、歯科医師の免許は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療を担い得る者として与えられるものであることから、経済的利益を求めて不正行為が行われたときには、業務との直接の関係を有しない場合であっても、当然に処分の対象となるものである。
(略)

一応補足しておきますと、マスコミなどからさんざんカルテ書き換えを云々されていたのは執刀医の方で、佐藤先生の方はその点については問われていません。
さて、ここで注目すべきは処分の対象となるものが「医師が相対的欠格事由に該当する場合又は医師としての品位を損するような行為があった場合」という、極めて抽象的な定義をされていることではないかと思います。
どのような行為が医師としての相対的欠格事由に該当したり、品位を損するのかがはっきりしないわけですから、その気になれば「患者様とトラブルがあって医療訴訟にまでもつれ込んだ!医師として相対的欠格事由に該当する!」なんてことを言われても文句は言えないということになりかねません。

ついで注目すべきなのが「国民の医療に対する信頼確保に資するため、刑事事件とならなかった医療過誤についても、医療を提供する体制や行為時点における医療の水準などに照らして、明白な注意義務違反が認められる場合などについては、処分の対象として取り扱う」という文言です。
佐藤先生の行為にこうした明白な注意義務違反があったとは法廷でも立証できなかったところでしょうが、認める主体が誰かによってこの辺りの基準が大きくブレてくることは、たびたび問題視される一部のいわゆるトンデモ鑑定医の例などを見ても明らかですよね。
ちなみに今回の場合有罪とはならなかったにせよ刑事事件として扱われたわけですから、この辺りの処分のハードルは一段引き下げられて名分が立ちやすくなっていると見るべきなのでしょうか。

いずれにしても今のところ「そういう動きもある」という程度の話にしか過ぎないのでしょうが、厚労省の医療に対する振る舞い方と言うものを考える上でも今後の経過を注目していくべき話ではあると思います。
ちなみに医政局医事課長杉野剛氏と言えば前職が文部科学省私学行政課長だそうですから医療行政の新参ということになるのでしょうが、それだけに教育といったところには一家言なしではいられないようですね。
現職についてそう長いわけでもないのに、昨年始めには例の研修医計画配置計画絡みで「研修医はお金をもらって働いている医者なのだから医師偏在問題に貢献すべきだ」なんて素晴らしく厚労省的なコメントを出されているくらいですから、元よりお国の方針に従わない医者=ダメ医者という認識で行動されていらっしゃる可能性なきにしもあらずといったところなのでしょうか(苦笑)。
いやあ、何にしろ不謹慎ながら、これは案外大きな火種になるかも知れないなんて、少しばかり楽しみになってくるような話ではあるのですが。

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2010年1月12日 (火)

医者は患者の敵ですか?

奈良女子大と言えばその方面では結構有名なところですけれども、その奈良女子大で今年もこうしたシンポが開かれているという話題を因縁浅からぬ毎日新聞の記事から引用してみましょう。

シンポジウム:医療事故と裁判考える 遺族ら40人が意見交換--奈良女子大 /奈良(2010年1月10日毎日新聞)

 奈良市の奈良女子大で9日、シンポジウム「医療事故と医療裁判を考える 真の再発防止と被害者救済はどうしたら可能か」が開かれた。医療事故の遺族ら約40人が、自身の体験や今後のあるべき姿について意見を出し合った

 97年に日本医大病院であごの修復手術を受けた後で急死した女性(当時20歳)の父、高橋純さん(67)=埼玉県鴻巣市=は、東京高裁の判決で固定用のワイヤが脳に刺さるミスがあったとした主張が認められなかったことについて「専門家のアンケートでは大部分が刺さったミスを認めていた。裁判官がどのような判断をしたのか疑問」と話した。

 また、東京都杉並区で99年、割りばしがのどに刺さり死亡した杉野隼三君(当時4歳)の母文栄さん(52)は「裁判では主張が認められなかったが、後悔はしていない。これから同じようなことをされる方に『あんな体験をするくらいならやめよう』と思わないでほしい」と呼び掛けた。

 参加者からは、「訴訟で負けても(裁判官の罷免を求める)訴追委員会にかける方法もある」という意見や、公正かつ中立な医療事故調査機関の設置を求める声が上がった。【花澤茂人】

いつも思うのですけれども奈良女子大さんの場合、こうして関係する著名人の方々をこれだけ集めてこられる人脈というものには頭が下がります。
さすが奈良であり毎日新聞であるだけに?裁判で主張が認められなくてもやめないとか、訴訟で負けても裁判官の罷免を求めることも出来るとか、この記事だけを見ていますとまず何よりも裁判の場とは自分たちの主張を認めさせることがお二方の目的であったのかとも誤解してしまいそうなところですが、実は民事訴訟においてはまさにこれこそが正しいことなのですね。
以前に聞いた話で非常に納得がいったのが、とある裁判官の「(民事の)法廷とは真実を明らかにする場所ではない。お金で償うためにその金額を決める場所だ」といった言葉がありましたけれども、その手段として法廷で互いに自分の主張が正しいという材料を提示する、裁判官はその提示された材料だけを元に賠償の必要性や金額を決めるのが民事訴訟なのだと言うことは、多くの司法関係者の語っているところです。
まさにそうした民事訴訟の性質が、何よりも真実を知りたいという多くの患者側にとって医療訴訟を不毛なものとしているんじゃないかなという気がするところですが、このあたり例えばこういう記事など非常に興味深いと思うのですがどうでしょうか。

俳優は医師と弁護士 医療事故の演劇 “呉越同舟”立場超え競演(2009年12月18日産経新聞)

 医療事故が起きたとき、病院側の事故調査はどうあるべきか-。こうしたテーマに演劇で解決策を探るシンポジウムが20日、東京・お茶の水の明治大学で開かれる。舞台に上がるのは現役医師や医療事故を専門に扱う弁護士たち。現実に向き合ってきたキャストの“迫真”の演技で、立場を超えた話し合いを促進するのが狙いだ。関係者によると、普段は対立した立場にある両者の“競演”はきわめて珍しいという。

 シンポは2部構成。第1部で医療事故をモチーフにした演劇を行い、浮き彫りになったテーマについて、第2部でパネルディスカッションを行う。企画した医療ジャーナリストの秋元秀俊さんは「シンポジウムの質を上げるため、演劇が有効と考えた」と話す。

 医療事故の際、患者や家族と病院、医師との間に摩擦が起きる例は多い。秋元さんは「医療事故を医師は医学的な論拠で語り、患者や家族は経験で語る。同じ事象を経験しながら、違う時間を生きている」と指摘。両者が一歩引いた目で見られるよう、演劇をツールにすることにした。

 舞台では、大腸の内視鏡検査が発端となって男性患者が死亡したケースをめぐり、病院が事故調査を行う様子までが描かれる。劇中のセリフには、「医療関係者以外を調査委員会に入れるのか」など、医療事故調査に関する論点を盛り込んだ。

 注目すべきは、現場の医師と医療事故専門で患者側に立つ弁護士が“俳優”として参加する点だ。呉越同舟ともいえるステージの見どころは、最終幕となる調査委員会での議論。台本なしの完全アドリブで、医療者側と患者側の代理として、現実さながらのつばぜり合いを繰り広げることになる。

 出演する男性弁護士(41)は「演劇という一種の疑似体験を使って、医療事故や事故調査に対する互いの不信感をなくすきっかけになってくれれば」と話している。(佐久間修志)

個人的な感想を言いますと、医者の世界も弁護士の世界も個人的人脈や人間関係が非常に重要であることは共通していますから、こうした試みというものは非常に面白いんじゃないかと思いますね。
さて、産経新聞の記事によれば現場の医師と医療事故専門で患者側に立つ弁護士が同じ演劇に参加することが「呉越同舟」なんだそうですが、ちなみに辞書を引きますとこんなことを書いてあります。

呉越同舟(ごえつどうしゅう)
(意味)仲の悪い者同士が一緒に行動すること。
兵を死地に置いて戦うことの重要さを説明するために、孫子は呉越同舟の話を用います。

「呉と越は仇敵(きゅうてき)同士だが、仮に呉人と越人が同じ舟に乗り合わせ川を渡る場合、強風で今にも舟が転覆しそうになれば、呉人も越人も普段の敵対心を忘れ、互いに助け合って危機の乗り越えようとする。」

こういうのを見ますと世間的には医者と弁護士とは不倶戴天の敵のように見なされているのだなと改めて感じさせられますが、しかし考えてみるとこれは多くの医療事故被害者にとっては本来非常に困惑するべき、あるいは悲しむべき話なんですよね。
現実問題多くの医事紛争において弁護士というものは患者側の代弁者として医療側と対峙することになっていますが、患者側の主要な希望の一つとして「まず真実を知りたい」ということがあるわけですから、本来的には医者が進んで真実を語ってくれるような協力関係を築けることこそベストなはずなんですよね。
まさにベテラン取調官が犯人が自ら語りたくなるように導いてやるという話と一脈通じるところがありますけれども、現実がどうかと言えばこのように医療側は患者側の敵という対立関係となるのが世間的常識としても当然氏されているわけで、多くの医療従事者が患者に害をなすどころか健康を取り戻して幸せになって欲しいと思いつつ日夜重労働に勤しんでいることを考えると、これは双方にとっての不幸というしかない構図でしょう。
このあたりの不合理を医療訴訟の当事者となりやすい産科医である桑江千鶴子氏がス・メディカルさんに寄せた言葉からも引用してみましょう。

 「医療裁判で真実が明らかになるのか」―対立を超えて・信頼に基づいた医療を再構築するためにー(2008年09月10日ロハス・メディカル・ブログ)より抜粋

(略)
 医療裁判を起こす理由として、「何が起きたのか真実を知りたい」という家族の願いがある。裁判所は真実を裁判で明らかにしてくれるだろう、あるいは明らかにしてくれるに違いない、という家族の期待がある。そして、家族の医療側への不信感として、医師は嘘をついている、カルテの改ざんが行われている、医療者は口裏を合わせてかばい合っているに違いない、といった感情があるし、現在は、残念ながらそういった事実もあるであろう。

 しかし、ここで冷静になって考えて欲しいのは、「正直に何があったのか事実を話してほしい。でも正直に話せば、罰を受けますよ。」という状況で事実を話すということが、人間の性(さが)として有り得るのか、ということだ。有名なワシントンの桜の木の話は、お父さんの大事にしていた桜の木を誤って切ってしまった、という事実があって、正直に話したら怒られるだろうから話したくなかったが、正直に話したら、意外なことに褒められた、だから勇気を出して本当のことを話せばいいことがありますよ、ということだ。後にアメリカの初代大統領になるくらいの人物であるから、普通の子供ではなかったであろうが、それでも結果がまずくいっているときに正直に話すということはすごく勇気がいることだという逸話があるくらい、何か結果が悪く出たのを自分で知っていて、正直に話すということは大変苦痛を伴うことである。「褒められる」というご褒美があるかもしれないから、正直に話しなさい、と逸話はいっているのである。これがご褒美どころか、正直に話せば話すほど自分が罰せられるという状況で、医療という仕事をしているの(はあなたが悪いの)であるから、そのような罰則付きであろうが、逮捕され勾留されるかもしれないが、正直に事実を話さなければならない、と言っているのが、現在の医療裁判の論理である。これでは、我々医療者は苦しくて仕方がない。こんなつらい仕事はやめてしまおう、と言って現場を離れているのである。人間の性(さが)を理解しないで制度を作れば、破たんするあるいはうまく機能しないことは目に見えている

 いざ裁判になれば、自分に不利になる事実は話さなくても良い、ということで人権が守られているので「黙秘権」が適応されるし、行使することも当たり前にできる。医療者といえども日本国民であること、人権が守られている存在であることは何人も否定しようのない事実であろうから、医療裁判でも黙秘権は行使できる。しかしそうした場合には、「何が起こったのか真実を知りたい」という願いは永遠にかなわないことになる。

 人間性についての理解が共通認識でなければ、深い溝はいつまでも埋まらない。

 まず何よりも、そこで働いている人・かかわったすべての人に事実をありのままに話してもらうことが絶対に必要だというのであれば、「事実を正直に話してもらう」ためには、そうしたところで個人は不利な扱いを受けない、ということを共通理解としなければ無理だと思う。目の前に鞭を持っていて「正直に話せば鞭で打ちますよ。」と言っていたら、人間は弱い存在であるので、誰も話しはしないだろう、という想像力を持ってほしいと思う。おおむね日本以外の国ではそうした制度になっていることは、理由があると考えて欲しい。
(略)

何であれ人間の行為というものには目的がある以上、その目的達成のために何をどうしたら良いかということは常に考えておかなければならないでしょうが、その意味で言うと医療訴訟というものは非常に非合目的的なものになってしまっているという現実を、目的を達成したい当事者はまず認めなければならないでしょうね。
かねて医療事故調設立を目指している厚労省によれば、中立な第三者機関による調査の必要性を医療関係者も含めてほとんどの人が認めている、つまり当事者はまさに自ら語りたくなっているわけですから、じゃあ何がそれを邪魔しているの?と考えてみるのが筋というものではないでしょうか。
「人間の性(さが)を理解しないで制度を作れば、破たんするあるいはうまく機能しないことは目に見えている」とは桑江氏の卓見ですけれども、今まさに民主党政権下で事故調議論が振り出しに戻っているような状況なのですから、もう一度この辺りの基本を関係者それぞれが考えてみることも大事なんだと思いますね。

医療事故で第三者機関必要97% 厚労省アンケート(2009年12月26日47ニュース)

 医療事故が起きた場合、中立的な第三者機関が原因を調査する必要があると考える人が97%に上ったことが26日、厚生労働省のアンケートで明らかになった。医療従事者に限った場合でも「必要」は95%に上っている

厚労省が、医療事故への対応について国民の意識を調べたのは初めて。担当者は「シンポジウムの一環として行った企画で、政策に反映させる公式の調査ではないが、第三者機関設立に高い関心を示している状況は把握できた」としている。

 医療事故調査の第三者機関をめぐっては、厚労省が昨年、設置を定める法案大綱案を発表。しかし悪質事例を警察に通知する項目に医療界が反発、民主党は院内調査に重点を置く法案を示すなど議論は進展していない

 調査は、10月15日~11月8日にインターネットのホームページで受け付ける形式で実施、医療従事者311人を含む10代以上の664人が回答。「航空機事故や鉄道事故と同様に、原因調査のための中立的な第三者機関が必要」と答えた人は641人(97%)で「不要」の23人(3%)を大幅に上回った。

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2010年1月11日 (月)

今日のぐり:「マルハチ」

日本でも最近は公務員に向けられる視線は厳しいものがありますけれども、お隣中国においてはアメリカにおける弁護士くらいに公務員の評判が悪いらしいですね。
特に汚職に関しては少しばかり桁が違っているようで、先日はこんな驚くようなニュースが出ていました。

中国、国外逃亡した公務員の持ち逃げ額1人13億円(2010年1月10日産経新聞)

 9日付の中国紙、法制晩報によると、中国で不正に蓄財して国外に逃亡する公務員は過去30年で約4千人に達し、1人当たりの持ち出し資産は約1億元(約13億6千万円)に上っている

 こうした事態を受け、中国政府はこのほど国外逃亡・持ち逃げを阻止する目的で監察省、公安省、外務省などによる横断的な監視の枠組みを立ち上げた。共産党員の不正を監視する党中央規律検査委員会が8日、明らかにした。

 逃亡先はオーストラリアやニュージーランドが多いといわれている。(共同)

日中の物価差などを考慮すると日本で言えば何十億にも総統するような巨額の蓄財と言うことになりますけれども、ちょっと想像もつかないような状況にあるということでしょうか。
今までアレな話題といえばブリだブリだと言っていましたけれども、日本のごく近隣にこんなおいしい話題を提供してくれる東の大国があったなどと言うことになればこれは放置しておくわけにもいきません。
年末といえばどこの国でも10大ニュースなんてものを発表するものですけれども、昨年末に出ましたこちらの10大ニュースもなかなか素晴らしく見ごたえがありますよね。

サーチナ発!2009年中国“トンデモ”10大ニュース(1)(2009年12月30日サーチナ)

  パワーあふれる躍進中国。そのパワーがありあまってしまうのか、中国は「トンデモ・ネタ」の宝庫でもある。笑えるニュースだけならよいが、他国人であっても、怒りがじわりとこみ上げる事件も多い。今回は、まず5つの話題をご紹介しよう。急成長に伴い、社会全体にひずみが生じるのは、やむをえない面もある。自国の問題点を一番痛感しているのは中国人自身のはずだ。ここ数年の特徴として、メディアも告発記事を多く取り上げるようになっている。「もっときちんとした社会が必要だ」と中国人が考えている以上、将来は中国をめぐる「トンデモ・ネタ」も、ずいぶん少なくなるに違いない。たぶん。

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■上海・マンション転倒事件…「でたらめ・不正」が出るわ出るわ

  上海市内で6月27日、建設中の13階建てマンションが「バッタリ」と倒れた。完成直前で、市政府は「建物の構造に問題はなかった。デベロッパーが、工事監督会社の警告を無視して、大量に掘り出した土を建物近くに積んでいたため、土中の圧力バランスが不均衡になり建物の地下部分が破壊された」と発表した。同建物が市の「誠実・信用できるな品質管理の建設プロジェクト」、「市品質優秀建築構造」などとして表彰されていた。同事故に絡み、上海市閔行区梅隴鎮の闕敬徳鎮長助理が汚職の疑いで逮捕された。ただし、闕容疑者の「鎮長助理」の地位は、同鎮共産党委員会トップの蔡建忠書記が、「私的」に与えたものだったことが分かった。関係者のでたらめさや不正が次々に暴露され、怒りや嘲笑が広まった。

■新型インフル発表―専門家「うそ」指摘後に、なぜか死者数が急増

  中国工程院院士で呼吸器疾病などの専門家である鐘南山氏は11月18日、「新型インフルエンザの死者数で、わが国の発表は信じられない」と述べた鐘氏は、03年のSARS(サーズ、新型肺炎)流行時も、早い時期から政府の「ごまかし」を指摘したことで知られる。「SARSと戦った真の英雄」として知られるだけでなく、新型インフルエンザでは各地を視察した上で「死亡者が出た場合、わざとウイルス検査を行わない。その結果、統計上は新型インフルエンザ感染者に数えられないことになる」と、ごまかしの手法についても触れたことで、多くの人が「またも隠蔽(いんぺい)か」と考えるようになった。鐘氏が死者数についての疑念を明らかにした後の24日、北京市衛生局は、同市内で「新型インフルエンザに感染し、死亡した人が累計で26人になった」と発表した。それまでの「3人」から8倍以上に、一気に増やした

■最大の敵は怪獣でなかった!―中国共産党が「ウルトラマン攻撃」

  中国で3月末、「ウルトラマン攻撃」が発生した。きっかけは、アニメ制作会社を視察した温家宝首相が、「私の孫は、ウルトラマンばかり見ている」とグチったことだった。温首相は「世界に向けて、中国のソフトパワーを示してほしい」と激励したのだが、首相発言を契機に、ウルトラマンは「暴力的。日本人は正義の化身だとのイメージ」などの批判が火を噴いた。ウルトラマン攻撃の主力部隊になったのは、人民日報傘下のポータルサイト「人民網」。中国人ジャーナリストによると、人民日報側に「政治的意図は皆無」という。中国ではメディア各社も「収益を上げる」ことに懸命。受けるネタ探しに血眼という。中国では日本のアニメ・キャラクターなどの人気が高い。一方では、根強い反日感情がある。あれやこれやと理屈をつけてウルトラマンを攻撃すれば、喜ぶ読者がついてくる。党・政府への批判ではないので、お咎めを受ける気遣いはない。ということで、ウルトラマン最大の敵は怪獣でなく、中国に根づく「仁義無用の商魂」であることが分かった。

■火をふくセダン、動かぬ新品バス…メイド・イン・チャイナの現実

  中国政府・企業関係者は品質の向上に努力していると言う。努力を認めるのにやぶさかではないが、そう簡単ではない。特に自動車といった鉄鋼・ガラス・合成樹脂・精密機械・電子など幅広いパーツを組みあわせ、正確に、しかも大量生産しなければならない分野では、ちょっとした「いい加減さ」が製品全体を台無しにすることになる。中国では、走行中の自動車が突然火を吹く事故が多発している。12月18日には広東省深セン市で、BMW車も生産している華晨汽車が「自主ブランド」として売り出している「中華」が炎上した。重慶市では7月に納品された東風汽車のバス40台が次々に故障。修理してもすぐに使えなくなるケースも相次いだ。

■あまりにも凶悪な脱獄事件、あまりにも腐った刑務所幹部“懲りない面々”

  内モンゴル自治区フフホト市内の刑務所から10月17日、受刑者4人が脱走した。ゲート通過のため、殺害した刑務官から指を切断するなど、残虐な手口が衝撃を与えた。20日になり4人は警官隊に包囲され、1人が射殺、3人が逮捕された。事件がこれで終わったわけではなかった。当局が同刑務所の管理体制を調査したところ、張和平前所長らに汚職の疑いが浮上。同所長は11月20日までに逮捕された。その他の刑務所幹部も取り調べの対象になった。ジャーナリストの劉志明氏は8月、自らのブログで「広東茂名監獄、高い塀の中の黒い実態」と題する文章を発表。刑務所内では不正が横行しており、金銭の授受で刑期を短くすることも珍しくないなどと告発した。中国の「塀の中の懲りない面々」は、受刑者だけではないという。
(編集担当:如月隼人)

サーチナ発! 09年中国“トンデモ”10大ニュース(2)(2009年12月31日サーチナ)

(略)
■人と猛獣、「食うか食われるか」のバトルを展開

  海南省のワニ飼育場で21日、ワニ46匹が逃げ出した。地元政府は29日までに、住民に対して捕獲の協力を要請。成功した場合には200元の報奨金を支払うだけでなく、「ワニは生け捕りでなくともよい。その場で食べてもかまわない」と発表した。一方、雲南省では現地当局が、「保護動物である虎を殺して食べた」として、農村部住民4人に対して損害賠償48万元を求める裁判を起こした。住民側は「夜に、虎とは知らずに銃で撃ってしまった」として、寛大な処分を求めた。

■飲酒による死亡事故…厳しい判決の一方で、非常識女性「胸触らせる」

  中国でも、飲酒運転による重大事故がしばしば発生している。そのため、多くの死亡者を出した事故では、運転者に死刑判決が言い渡されるようになった。また、飲酒運転に対する罰則も強化。呼気から微量なアルコールが検出されただけの「酒後駕駛」でも、「即、免許取り消し」になった。事故を起こした後の、卑劣な行為が人々の怒りを買うこともある。広東省広州市では11月2日、猛スピードで走ってきたセダン車が停車中のタクシーに衝突。タクシーの運転手は死亡した。セダン車に乗っていた若者らは、取材陣から撮影機やテープを奪って妨害。20代とみられる女性は、記者の手を取り自分の胸に押しつけ、「触られた」などと騒ぎ立てた。彼らが乗っていた車の中は、酒の匂いで充満していたという。交通事故を起こし常識外の振る舞いをする若者の多くが、裕福な家庭の出身とされる。権力とも結びついている場合が多く、恐いもの知らず。「トンデモ事件」発生の背景には、社会の不公平さがある。

■偽札横行、1000元札で“ありえぬ”詐欺事件も

  中国では偽札事件の多発が続いている。多くは現行の100元札を模した偽札だが、北京市内では10月、ありえないはずの1000元札を使った詐欺事件が発生した。通行人に「新たに発行されたばかりの1000元札で給料を受け取ったが、つかいづらくて困っている。(従来の)100元札に両替してほしい。急いでいるので800元分をもらえばかまわない」と持ちかけ
100元札8枚と交換する手口だ。中国では物価上昇にともない、1990年代後半から「500元札などの高額紙幣が発行される」との噂が繰り返し出発生。インターネットでは、「1000元札のデザインはこれだ」などと主張する、いたずらと見られる画像が大量に掲載されている。

■温首相“クツ辱”で「愛国炎上」…米大統領の時は「喝采」したけど

  英国のケンブリッジ大学で2月2日、講演中の温家宝首相が聴衆のドイツ人学生に靴を投げられた。中国国内では怒りが爆発。「同大学は除籍処分も考慮」などの情報も伝わったが、それでも収まらず、インターネットでは「銃殺刑にしろ!」などの過激な書き込みも殺到。憂慮した温首相が駐英国大使を通じて「寛大な処置を望む。学ぶ機会は奪わない方がよい」などとの声明を出した。靴を投げた学生は英当局に追訴された。裁判所は「犯罪を構成するにはいたらない」として無罪を言い渡したところ、中国のインターネット調査では「不満」の声が7割を占めた。なお、イラクのバグダッドで08年12月に行われた記者会見でブッシュ前米大統領がイラク人記者に靴を投げつけられた事件では、「喜び」を示す中国人が相当に多かった。

■「自慰隠し」にティッシュ燃やして火事―泣くに泣けない農民工

  浙江省の倉庫で08年7月26日夜、火災が発生した。倉庫経営者は09年になり、泊まりの警備員を相手に損害賠償600万元(約8460万円)を求める訴訟を起こした。調べによると、警備員は性的欲求を覚え午後10時半ごろ、自慰行為をした。人に知られるのがいやで、ちり紙に火をつけて燃やし、そのままごみ箱に投げ入れた。10分ほどして気がつくと、ごみ箱が燃え上がっていたという。元警備員の男性は火災発生の約1カ月前に雇われた。故郷の江西省に、妻を残しての生活だった。現金収入の方法に乏しい農村部などでは、稼ぎを得るために家族が離れて生活することも珍しくない。中国社会の矛盾が噴出した悲劇と言ってよい。なお、この火事で負傷者などは出なかった。
(編集担当:如月隼人)

何しろこれ、全てネタではありませんと断っておいてもあまりにネタ臭いような話ばかりなのですが、これもごくごく一部ということですから恐れ入るしかありませんね。
しかしこうして見ますと人災の中でも官の関わる汚職紛いの事件が目立つように思うのですが、やはりそれだけの下地があるということなのでしょうか。
こういう素晴らしい実例を拝見してしまいますと、今後もますますお世話になる機会が多いのではないかと期待してしまうところですね。

それはそれとして変なニュースばかりだとアレですから、最後にちょっとハートウォーミングな記事を紹介してみましょう。
今の時代どこの国の人も生きていくのが大変だと思いますけれども、他人事ではないと感じるお父さん方も多いんじゃないでしょうか?

「パパ病気でいて」と祈る娘(2010年1月10日ココログニュース)

経済成長著しい中国・重慶市で、今年の願いに「パパがずっと病気でいますように」と書いた小学生がニュースになった。書いたのは重慶市内の小学校2年生の瑶瑶ちゃんで、担任の先生もびっくりしたという。

ほかの子は「テストで満点を取りたい」「模範児童になりたい」という前向きなものばかり…。しかし、瑶瑶ちゃんは「パパがずっと病気でいますように」と書いて提出したという。担任が家庭内での虐待を心配し、母親を呼びだした上で3者面談を行ってみると、瑶瑶ちゃんは願いの真意を語り出した。

仕事が忙しくこれまでほとんど自分にかまってくれなかったパパが、年末に体調を崩し、年明けまで休養を命ぜられた。その間、パパと一緒にご飯を食べたり、宿題をしたり、買い物に出かけたりできた瑶瑶ちゃんは、「パパが病気でさえいてくれれば…」と本気で思い、その気持ちを素直に「願い」として書いたという。

話を聞いた父親は「父親失格です。でも実際どうすることもできない」と答えたそうである。中国では近年、大都市を中心に父親と子どもが触れ合う時間が少なくなってきているという統計が出ている。急速な経済発展の裏側で、これまで重んじられてきた「家族」のつながりが犠牲になり始めている。
(やながわ)

今日のぐり:「マルハチ」

倉敷市街地から県道をひたすら南に進み、付近の住宅地からもやや離れた場所に立っているのがこちら「マルハチ」です。
ちなみに看板などでは漢字の「八」を丸で囲ったマークを頻用していますからこちらの表記が正式なのかも知れませんが、以下マルハチで統一したいと思いますね。
唐辛子を練りこんだ麺なども選べるようなんですが、ここは至ってベーシックに屋号を冠したマルハチラーメンを頼んでみました。

基本的には脂もたっぷりと浮いた豚骨醤油ラーメンで、麺の上に薄切りのチャーシューをたっぷり敷き詰め刻みネギを添えてあると言うスタイルですが、残念ながら(苦笑)こちらではシナチクは入っていません。
この刻みネギが、最初運ばれてきた器を見たときに「うわっ?!ここは乾燥ネギ使ってんの?!」と思ったくらいに状態的にはアレなんですけれども、スープに浸して戻しながら?食べてみましてもやはりネギらしい風味はあまりしませんでした。
麺はわりあい低加水の細打ちで、これ自体はそこそこ嫌いではない風なんですけれども、この麺でしたらもう少しシャッキりと茹で上げてくれたら…と思わずにはいられないほど微妙に茹で過ぎなのが玉にキズですかね。
ちなみにここのチャーシューはちゃんと焼いてあるのはいいんですが、昭和時代ならいざ知らず今どきうまい肉料理などどこにでも満ち溢れている時代に、この旨味も何もない脂身だけのバラチャーシューをてんこ盛りされてもどうよと思わないでもないところです。
ここの店の場合一番賛否両論分かれそうなのがこのスープなんだと思うのですが、醤油ダレが妙な具合に熟成?しているせいもあるのか、上にたっぷりと浮いた脂を中心に妙に劣化しているような風味を放っているのがどうにも口にも鼻にも合わず、ちょっとこれは今どきのラーメンに慣れてしまうとつらいなと言うしかありませんでした。

それなりに古くからこの味でやっているのだとすれば、当時としては結構濃いめの脂ぎったこのスープがこの界隈では稀少価値を生んでいたのかも知れませんけれども、今の時代の周辺店と比べて果たして競争力的にどうなのかという思いは拭えないところですかね。
と言うわけで、正直ラーメンとしては個人的好みには合わないものではあったのですけれども、噂によると結構この味にはまるという人もいるようですから、この独特の癖の強さが人によってはストライクということなんでしょうか。
あるいはテーブルの上には唐辛子などのスパイス類も装備されていますから、好みに応じてカスタマイズすると何かしら劇的に味が変わってくるということなのかも知れませんが、やはり全般的にもう少し素材と調理法を吟味していただきたいかなという気はします。
ただこれも噂によると日によって、あるいは時期によってひどく味が変わるということですから、この日はたまたま大外れの時期だったというだけなのかも知れませんが…

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2010年1月 9日 (土)

世論調査というものもなかなか奥が深いらしいのです

最近では民主党政権の支持率も一頃のような勢いが無いだとか各方面で騒いでいますけれども、およそマスコミと言うところは世論調査というものが大好きですよね。
その世論調査に関連して年明けにこういう記事が出ていまして、なかなか面白いので紹介してみます。

朝日新聞の世論調査を批判したら、本社に呼ばれて怒られた(2010年01月05日livedoorニュース)より抜粋

 内閣支持率○○%――。こういった大手新聞社やテレビ局の世論調査に対し、どのようなイメージを抱いているだろうか。ノンフィクションライターの窪田順生氏は著書『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』の中で、「報道機関はこの『世論調査』において、とても『調査』とはいえないようなイカサマをおこなう」と指摘している。

 しかしこの本の内容をめぐって、朝日新聞からお呼びがかかった窪田氏。本社に足を運んだ彼は、朝日新聞の担当者からどのようなことを言われたのだろうか。

●日本の記者クラブを世界遺産に

上杉 記者クラブがあるというのは「非常に珍しいことである」ということを知っている人は少ない。韓国では盧武鉉(ノムヒョン)政権が崩壊し、記者クラブはなくなりました。いま日本以外で記者クラブがあるのは、ジンバブエくらい。

窪田 つまり独裁政権のような国で、記者クラブが残っているんですね(笑)。

上杉 またジンバブエの場合、日本の記者クラブ制度を真似して、作り上げたと聞いています。それほど世界的にも珍しいのです。そこで思い切って、日本は記者クラブを世界遺産に登録申請してみてはどうだろうか?

窪田 “無形文化財”みたいな感じで(笑)。

上杉 “負の世界遺産”でもいいですけどね(笑)。

土肥(編集部) メディアに関することで、気になっていることはありますか?

窪田 世論調査ですね。著書『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社プラスアルファ新書)にも書きましたが、新聞の世論調査というのは質問内容によっていかようにも変えることができます。例えば「Aという問題が大問題になっていますけど、どう思いますか?」と聞かれたら、ほとんどの人は「問題があります」と答えてしまう。世論調査をする新聞やテレビが、スピンを仕掛けて世論を作っている――といったことを知らない人は多いのではないでしょうか。

窪田 実はこの本の冒頭で、かつて朝日新聞が一面を使って掲載した世論調査に「情報操作」があったケースを紹介しています。これは朝日新聞のさる編集委員が『新聞批評』という業界誌に発表した論文を引用させていただいた。自分の新聞に対して非常に厳しい目をむけ、「悪しき誘導」と表現していて素晴らしいことだと思って、こういう話を業界紙ではなく新聞の一面で読者に伝えていないのは残念だと書いたんです。

 すると、ご本人から朝日新聞の本社に呼び出され、「私はオピニオン面で評論家の宮崎哲弥氏との対談でこの問題にふれている」とお叱りを受けた。それが朝日新聞の読者800万人に伝わっている事実なのかはさておき、「それは気づきませんでした」と謝りました。それはいいのですが、驚いたのはそこで「朝日新聞の世論調査がインチキだというように読めるじゃないか」と怒られたことです。「私は世論調査を是正するために努力をしたのに、こんな書かれ方をしては台無しだ」と。

上杉 「是正する」ということは、世論調査が正しくないことを認めていることじゃないですか(笑)。

窪田 でも面白いなあと思ったのは記者クラブと同じように、世論調査はメディアにとってアキレス腱のひとつ。自分たちが、世論誘導していることを薄々感じているのです。

上杉 痛いところをつつかれると逆ギレするか、無視するしかない。でも朝日新聞に逆ギレする勇気はないんじゃないでしょうか。

窪田 最近よく「新聞は最も信頼できるメディア」だという世論調査の結果がでていますが、それはこのような質問をしているから。 「2ちゃんねるのような巨大掲示板やブログには誹謗中傷がありますが、新聞についてはどのように思いますか?」――。誰だって「信頼できる」と答えるに決まっているじゃないですか(笑)。

上杉 まさに誘導尋問ですね。

窪田 あまりにも各社の世論調査がヒドイので「日本新聞協会などで質問の基準を作ればいいのではないでしょうか」と聞いたんです。でも「う~ん」といった感じで、お茶を濁していましたね。

上杉 窪田さんが言っていることはまったく正論なんだけど、彼らは絶対に否を認めないですよ。今頃、朝日新聞社内では「窪田が、こんなことを言ってきやがった」などと話しているはず。

窪田 朝日新聞の編集委員の人は報道機関で働いているのだから、文句があるのであれば文字で説明すべき。このように言うと、また「むにゃむにゃむにゃ」といった感じでお茶を濁していましたけど。

上杉 メディアは絶対に争い事や問題を表に出さないですから。裏でなんとか誤魔化そうとします。問題があれば紙面で書けばいいのに、裏で誤魔化そうとするからさらに突っ込まれてしまう。問題があればきちんとそのことについて反論すればいい。それでも相手が何か言ってきたら、さらに反論すればいいだけのこと。そうすることによって、いい意味での緊張関係が生まれるんですよ。
(略)

ジンバブエと言うと最近何かとネット界隈で人気のあのジンバブエのことでしょうが、そうですか「フリーザ様すら超えた!」と話題のジンバブエにとうとう日本も並びましたか。
世論調査なるものにメディアの誘導があることは、同時期に行われた同種の調査であってもメディアによって結論がガラリと変わることからもうかがい知れるところですけれども、面白いのが自分らの身内が真摯に自己批判しているのを公にされると困るかのように叩きにかかる、一体これはどうしたことだと誰でも理解に苦しむ話ですよね。
記事中で窪田氏が言う朝日新聞のさる編集委員が発表した論文なるものですが、どうやら元ネタは結構有名な話のようで、ちょいとググッてみるだけでもあちこちに引用されているのが判りますが、試しにこちらの記事などを紹介してみましょう。

『毒書亡羊記』 第36回 「劣化する世論調査」by 佐藤卓己 (2005年9月2日柏書房)より抜粋

(略)
 さて、世論について『新聞研究』(日本新聞協会)2005年7月号は、「今、調査の現場で」を大特集していた。とくに、巻頭論文、峰久和哲(朝日新聞東京本社世論調査部長)「世論調査が直面する大きな壁―本当の<民意>を映し出しているか」は、調査責任者が自ら執筆した大変勇気のある力作である。劣化する世論調査の現場を鋭く分析し、自社の「誘導的質問」も事例として引きながら、世論のポリティックスを鋭く批判している。多くの人に直接読んで貰いたいのだが、ひとまず要点だけ紹介しておきたい。

 世論調査の品質劣化は、面接調査の回収率の著しい低下が如実に示している。一九八〇年代後半までは80%を超えていた朝日新聞面接調査の回収率も、現在では60%にようやく届く程度である。そこで最も深刻な問題は、調査対象者の拒否である。プライバシー意識が高まり、理屈ぬきの非協力が急速に増大している。多忙な都会人にとって、直接自分の利益にならないことに貴重な時間を奪われることは不愉快なことだからである。
 それは電話によるRDD(ランダム・ディジット・ダイヤリング)でも同じことで、論文ではたまたま「西日本の某暴力団の大幹部宅」の「隠し番号」に掛かった際のエピソードが紹介されている。いずれにせよ、私生活の空間に突然侵入する調査依頼の電話に快く回答してくれる人は、「民意」の平均像からは逸脱している。しかも、電話調査での回答者は多くの場合、ただ質問に機械的に「反応」しているだけであり、質問の内容を十分考えて答えているとは限らない。つまり、「軽やかに答えてくれる回答者」は誘導に乗り易い。「悪しき誘導」例として2002年7月22日付『朝日新聞』朝刊に掲載された「住民基本台帳ネットワーク」に関する世論調査が紹介されている(13-14頁)。

  ◇住民基本台帳ネットワークシステムについてうかがいます。これは、すべての国民に番号をつけて、住所、氏名、生年月日などの情報をコンピューターでひとまとめに管理するシステムです。住基ネットとも呼ばれます。あたなは、住基ネットという言葉を見たり聞いたりしたことがありますか。 〔ある 59%  ない40% その他・答えない 1%〕
  ◇住基ネットについては、個人情報が漏れたり、不正に使われたりする可能性がある、という指摘があります。あなたは、このことにどの程度不安を感じていますか。
 〔大いに感じている 49% ある程度感じている 37% あまり感じていない 9% 全く感じていない 2% その他・答えない3%〕

 そもそも最初の質問の段階で、住基ネットについて「知らなかった」40%がなぜ第二の「不安の有無」に答えることが可能なのか。「すべての国民に番号をつけて、・・・コンピューターでひとまとめに管理するシステム」、「個人情報が漏れたり、不正に使われたりする可能性がある」と一方的にマイナス・イメージのみを強調した質問によって、回答者は「学習」するわけである。こうした誘導後に住基ネット導入の延長の是非が問われれば、結果がどうなるかは明らかである。

  ◇住基ネットは八月五日から始まる予定ですが、今のままではプライバシーの保護が十分でないと、延長を求める声もあります。あなたは住基ネットを、予定通り始めるほうがよいと思いますか。それとも、延期するほうがよいと思いますか。
 〔予定通り始める 14% 延期する 76% その他・答えない 10%〕

 これは極端な事例だが、他の新聞でも似たような質問は珍しくはない。ただ、ここでは著者の内在的な批判が唯一の救いだろうか。

 「当時、政治部の取材現場にいた私は、個人的には住基ネットの導入には賛成できなかった。しかしここまで誘導して住基ネット導入反対の世論を「作り上げる」のは、明らかに行き過ぎであり、二度とこのような調査をしないことが私の務めだと思っている。」(14頁)

 この峰久論文は、世論調査を考える最良のメディア・リテラシー教材というべきだろう。だが、ここでは現状との比較のために、半世紀前に峰久氏と同じ朝日新聞東京本社世論調査室の主任が執筆した、今村誠次『世論調査の基礎知識』(国民図書刊行会・1951年)を紹介しておきたい。「世論調査」が「民主政治」の同義語であった時代の著作である。
(略)
 今日の電話調査では回答者が機械的に「考えもせず」反応するため、DK(「わからない」回答)問題は相対的に小さくなっている。当時は、DKは「政治的無知」と判断されていた。朝日新聞世論調査室の政治調査(1948年4月、1949年10月、1950年4月)で「わからない」と答えた回答者を、今村は次のように総括している。

 「これらの人たちは、「どの政党に投票するか、どの政党を支持してよいのか。」がわからないのであって、政治的無知、無関心は国民のほぼ三分の一を占めているということになる。この政治的無知はどういう階層に多いかを分析してみると女性に多く、五十才以上のものに多く、大部分が小学卒業者で占められ、郡部の住人が過半数であるということがわかる。」(159-160頁)

 今回の選挙に限れば、私も「どの政党に投票するか、どの政党を支持してよいのか」判断に迷っている。つまり、熟慮の上で「わからない」と答える一人である。そうした私が脳裏に想い描く今日の無党派層のイメージは都市部の若い男性であり、郡部の年配の女性とは対極にある。当然、それが「政治的無知」で括れるわけではありえない。
 半世紀を隔てた二つの文献を読みながら、日本社会と世論調査の変貌に改めて驚いた。いずれにせよ、「戦後六十周年」節目の総選挙を世論調査はどう映し出すか、9・11の結果が待ち遠しい。(了)

ま、今どき猿でも反省すると言う時代ですから、反省した結果何をどう改めるかということが問われるわけですけれども、冒頭の窪田氏の言説からするところ朝日新聞の方では反省するという態度すら不明確と言うしかなさそうですよね。
面白いのは今日とは別な形とは言え、半世紀以上も前にも無党派層問題というものが存在していたということなんですけれども、筆者も言うようにこれを単に無知であるとか、現代人が不真面目で政治に関心がないとか言ってしまうのは自体を見誤ることになると思いますね。
この変貌する無党派層における現代的な感覚というものを見ていきますと、現代社会における「悪しき誘導」の効果と言うものがどんなものなのかが非常にクリアーになってきます。

考えはどこに 「面白いかどうかで決めるだけ」気分が選挙を制する!(2009年1月4日産経新聞)より抜粋

【キブンの時代】第1部 考えはどこに(1)

 千葉県市川市の会社員、松尾一也(32)=仮名=は昨年夏の民主党が圧勝した衆院選で、テレビやインターネットを欠かさずチェックしていた。

 政治への意識は高いと自負している。選挙は欠かさず投票するし、政治家についての話題にもついていける。

 しかし、選挙情報に目を通したのは政権公約(マニフェスト)のチェックより、仲間で盛り上がれる候補者の印象的なフレーズや裏話を探すためだ。「マニフェストへの共感は必要ない。仲間同士の気分が高まるような話題がベスト」(松尾)

 テレビは民主党の報道ばかりに見えた。世の中に「一度変えた方がいい」「このままよりはほかの政権に」という気分が充満していた。松尾もテレビやネットを見ながら「政権交代が実現したらどうなるのか」と想像すると、少し胸が躍った

 昨年夏の衆院選の投票行動とテレビの視聴時間を検証した調査がある。「平日30分以内」では自民、民主への投票の差は小さかったが、「2時間以上3時間未満」は自民17%、民主38%。視聴時間が長いほど民主党に投票する傾向が強かった自民党が圧勝した平成17年の郵政選挙では視聴時間が長いほど自民党に投票していた。

 「選挙を制するかどうかは、時代の気分を作り出せるかにかかっている。その気分はテレビが醸成する

 調査を監修した明治学院大教授(政治心理学)の川上和久(52)はこう断言する。

 メディアが気分を作り、気分を感じ取った国民が投票に行く-。皮相的でもあるが、松尾は「投票はゲームと同じ。投票先は面白いかどうかで決めるだけ」と意に介さない。
(略)

改めて振り返ってみると、いろいろと思い当たるところが多々あるという方も多いのではないでしょうか(苦笑)。
かねて一般メディアとネットメディアの利用者層では政治的傾向も大いに異なるなどとは言われていましたけれども、具体的に視聴時間との綺麗な相関を示されると知らず知らずに踊らされているんだろうなと改めて思い知らされる気がしますよね。
踊らされているのを自覚して踊っている分には個人の自由かなと思いますけれども、知らずに踊らされるのが嫌だと言うのであれば自ら動いて努力しないとならない、それが今の時代に求められる情報との付き合い方ということなのかとも思います。

ところで「世論調査なんて家に来たことがないけれど、本当にやってるの?」という疑問は多くの人が抱いているところではないかとも思いますが(笑)、実際に担当者として調査をやりましたという人がいる以上はその何倍か何百倍かの数で調査を受けたという人もいるはずなんですよね。
これはよく言われることですが、世論調査というのはNTTの固定回線を持っている家庭に対してしか行っていないわけですから、「平日の真昼間から家にいて電話に出られる人が相手という時点ですでに対象のバイアスが掛かっている」という批判は根強くあります。
そうした批判もさることながら、この調査をやりましたという人が色々と内部事情というものを書いていらっしゃるわけですが、これがまたなかなかに面白い話がてんこ盛りで、幾らでも問題点が指摘出来そうな方法論が平然と続けられているようなんですね。
特に前述の佐藤卓己氏の記事中にありました「私生活の空間に突然侵入する調査依頼の電話に快く回答してくれる人は、「民意」の平均像からは逸脱している」という言葉と照らし合わせながら読んでいただければと思います。

非通知 VS 非通知 (2009年8月30日ブログ記事)より抜粋

 共同通信社が行う衆院選の世論調査、全国の有権者へ発信する電話には非通知設定がされていた。架ける側の会社や地域が特定されないためだ。

 例えば、僕のところへ非通知で架けてきたら、相手が不明だから絶対に受話器を取らない。携帯も含めて拒否設定。これは今どきの常識である。

 しかし、自分が架けた場合には必ず番号通知を付ける。相手を不安がらせてはいけないのが理由。これは受け取る以上の社会常識ともいえる。

 全国の有権者宅はNTT回線。非通知設定された電話器が多く、架けると『186を付けて下さい』の案内が流れる。僕は良い傾向だなと感心しながら、次の有権者宅へ電話。また非通知設定である。

 世論調査側も非通知設定だから、まるでバトルごっこ。設定されていない有権者宅へ繋がっても「あなたは、本当に通信社の方なの?」と鋭く突っ込まれる
(略)
 発信者にはコルセン初体験の人もいて、調査開始前の周知で「186を付けても良いですか?」と管理者へ問いかける。

 管理者というか、責任者の一人が「意味ないわよ。ここの電話は完全設定機能が付いているのよ」と大声で嘲笑う。責任者はアラサー前半、問いかけた発信者はアラフォー後半らしき女性である。
(略)

全国の有権者に「ご家庭の電話回線はいくつありますか?」と質問  (2009年8月31日ブログ記事)より抜粋

 7月下旬に衆院選の世論調査員の募集があり、ずっと以前から興味津々だった僕にチャンス到来。お金は二の次三の次十の次で、後先も考えずに速攻応募した。
(略)
 受話器を取ってくれた有権者は、衆院選に「大いに関心がある」が圧倒的。現状の政治不信と政権交代の不安からか、調査後は僕に5分以上も話しかけてくる高齢者も多くいた

 有権者の熱弁には耳を傾けたが、選挙後の開票速報にも熱視。僕が世論調査を担当した2つの選挙区では、現職の立候補者が当選した。

 ちなみに、世論調査業務の質問事項には疑問も残る。有権者へ「携帯を除く、ご家庭の電話回線はいくつありますか?」とも聞く

 回線の件、職業は何をしているかと、報道機関に勤務する新聞記者の家族へ同じ質問をしたら、詳細に答えてくれるだろうか

 有権者の個人情報を知り得て、何に利用するつもりだろうか。最後の質問で憤慨させたことを、心から申し訳なく思う。

自分の手の内は電話番号すら徹底的に隠す一方で、相手の無関係な個人情報まで洗い出しですか(苦笑)。
ここまで徹底されるといっそあっぱれと言うしかありませんけれども、そこにどの程度誠意というものがあるかということを考えた場合に、果たしてこういう人達が一生懸命「悪しき誘導」を行っている調査結果も信用出来るものなのかという疑問は湧いてきますよね。
騙しや引掛けのプロが相手では素人がおいそれと引っかからないようにするのも大変だと言う声もあるでしょうけれども、まずは彼らの見せたいものは何であるのかと常に疑ってかかることと、そして何より判断の根拠として自ら努力して情報を集めていくことも必要な時代なのでしょうか。

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2010年1月 8日 (金)

地域医療だからこそ誰でもいいからは通用しない

本日は地域医療の話題ですけれども、昨年末に広島の方ではこんなイベントがあったようなんですね。

町外からの応援で当直維持 広島・安芸太田病院シンポ/広島(2009年12月27日中国新聞)

 ▽救急医療の窮状報告

 医師が不足し、厳しい救急医療運営を強いられている広島県安芸太田町の安芸太田病院は26日、シンポジウム「県西部中山間地域の医療を考える会」を町内ホールで開いた。参加した住民たち約200人に窮状を訴え、病院への支援を求めた

 病院側は、現在の常勤医6人では24時間態勢の当直を維持できず、町外から医師の応援を受けている現状を報告。武沢厳院長が「病院が大学、行政とタッグを組み、地域医療を守るのは当然のことだが、住民も一緒に地域の医療をどうするのか考えてほしい」と呼び掛けた。

 基調講演で、広島大医学部の河野修興学部長が医師不足の実情を説明。続くシンポジウムでは、広島市立安佐市民病院の日高徹院長が病院間の広域連携の必要性を強調。広島国際大医療福祉学部の宇田淳教授は「住民も地域の医療づくりを担っている。医師が働きやすい環境づくりを支えてほしい」と注文した。

 町内の無職佐々木利(とし)乗(しげ)さん(81)は「地元の病院がここまで苦しいとは知らなかった。救急が地域からなくなると困る」と話していた。(田中美千子)

安芸太田病院のホームページをみますと200床の病院で、精神科病床や療養病床を含んだよくある慢性期患者主体の自治体病院なのかなという印象を受けますけれども、トップ以下の幹部に外科系の先生が並んでいたり臨床研修指定病院だったりするところを見ると、まだまだ血の気は残っているという感じなのでしょうか。
「地元の病院がここまで苦しいとは知らなかった」というのも住民の正直な感想なのでしょうが、昨日今日の話ではないでしょうに今まできちんと広報をし住民に協力を呼びかけていたのかどうかも問われるところで、その意味ではここで200人に窮状を訴えてよしとするだけでは未だ問題解決には遠いかなとも思います。
もちろん住民ばかりが問題というわけではなくて、長年「医者とは幾らでも大学から送られてくるもの」という認識でやってきた危機感のない病院運営が自ら現状を招いているという側面も多々あるわけで、例えば同じ中国地方からこちらの記事を見てみましょう。

中山間地の救急医療に赤信号(2010年1月3日中国新聞)

 中国地方の山間部の救急医療が危機にひんしている。JA吉田総合病院(安芸高田市)の休日夜間救急診療所は赤字が膨らみ、運営に行き詰まっている。庄原市立西城市民病院や岩国市立美和病院も、医師不足から救急体制の維持が瀬戸際に立たされている。

 JA吉田総合病院は市内で唯一の救急病院。24時間態勢の休日夜間救急診療所は、重症患者を含む年間約2900人を診る。医師、看護師、検査技師たち5人に病院の当直医1人の計6人が常駐する。

 救急診療所の赤字額は昨年度は5700万円に上った。本年度は7100万円に膨らむ見込みだ。2007年度に小児科の救急は三次市立三次中央病院に集約したため、収入が減少。常勤医が5年で8人減って28人となり、非常勤の医師10人の応援を受けるため人件費がかさんでいる

 さらに08年に労働基準監督署の指導で看護師や技師の人件費も見直して支出が増大。住元一夫院長は「病院だけでは支えきれない。このままでは救急を縮小せざるを得ない」と訴え、市、市医師会と対策を協議している。

 西城市民病院は常勤医6人で年間約千人、美和病院は常勤医4人で年間約1900人の救急処置に当たる。日曜日に丸1日診療した医師が、月曜日の診療もこなす

 04年度の臨床研修制度導入で地方大学の医局に残る医師が減り、地域の基幹病院に派遣する余裕がなくなった。県が過疎地などに派遣する自治医科大出身の医師の数にも限りがある。

 中国地方では過去5年で東城病院(庄原市東城町)、渡辺病院(新見市)、津和野共存病院(島根県津和野町)などが、救急の看板を下ろした。

 広島大大学院の谷川攻一教授(救急医学)は「これ以上態勢が細ると、救える命も救えなくなる」と警鐘を鳴らしている。

こういう地方病院の経営が傾いている根本原因が何かと言えば記事中にもあるように医師が減っていることだと思いますが、一方で労基署の指導で見直されていたのは医師以外のスタッフの人件費支出増のみだとか、医者は長時間の連続労働を相変わらず強いられているというのであれば、この人達は原因とそれに対する対策というものをどのように考えているのか興味があるところです。
これが例えばとっくの昔に医局派遣など切られてしまっているというような私立の病院であったとしたら、「そのうち誰かが助けてくれるさ」とばかりにこんな悠長なことをやっているだろうかと考えてみた場合に、医師が消えていく病院の現状にあまりに危機感がなさすぎるという印象は拭えないですかね。
公立病院の場合は院長あたりが幾ら危機感があったところでどうやっても組織が動かないなんてこともよくあることですから全く同情の余地なしとはしませんが、今どきそんな組織に人材を送り込みたいと考える人間も、そんな組織に所属してみたいと考える人材もいるだろうかという話で、全国でこんな病院が「国が医者を強制派遣してくれないと困る」なんて言ってるのかと思うと暗澹たる思いに駆られる人も多いことでしょう。

医療問題というものを考える場合に、都市部における問題と地方における問題とを同列に論じることはやはり無理があると思いますが、基本的にはある程度医療インフラは存在していて救急受け入れなど急性期が問題となりやすい都市部に比べると、地方での問題というのは慢性的、構造的なものが多いと言えるでしょうか。
とりわけ言われるのが医師不足問題ですが、大学医局による半強制的な医師派遣システムが国民の多大な反発の末にいざ消滅してみると、誰も田舎に行きたがらなかったというのもその構造的問題の大きな要因になっているわけですが、それが何故なのか、どうしたら解消できるのかということを考えないと仕方がないですよね。
もちろん田舎暮らしは嫌だと言うのは医者に限らず誰しも大なり小なり抱く感情で、何より住民自身がそうであったからこそ田舎は今も田舎なのだとも言えるわけですが、都市部とは違う地方独特の空気と言うものもまたあるわけで、「田舎は人の少ない都会ではない」ということから話を始めないといけません。

例えば最近は人間関係が希薄なのがデフォルトになってきているところがありますから、どちらかと言うと田舎特有のマイナス要因と見なされがちですが、閉鎖された地域共同体の中に存在する濃厚な相互関係というものはありますよね。
下手をすると「あの先生は〇〇さんのとこだけ贔屓してる」なんて言われて買い物一つするにも多方面への配慮が必要なんてことになりかねませんけれども、逆にうまくコントロール出来れば都市部と違って基本的に患者も患者以外も皆顔見知りと言う間柄だけに、多少無理目と思えるようなローカルルール設定でうまく対処できてしまう場合もあるわけです。
そういううまく地域の状況に適応しているケースの一例として、見る者の立場によって非常に見解の分かれそうなこちらの記事を参照してみましょう。

<共に生きたい>(6)へき地医療を守る 医師と住民 苦労分け合う(2010年1月7日中日新聞)

◆「地域包括ケアセンターいぶき」 畑野秀樹さん

 「具合悪いの!?」。医師の畑野秀樹(45)の姿を見て、近所の女性が外に飛び出してきた。

 往診日でない日、認知症で一人暮らしの堀み津ゑ(97)宅に医師が来ただけで周りが機敏に反応する。「様子を見に来ただけ」と答えると女性は笑顔になった。

 滋賀県米原市の「地域包括ケアセンターいぶき」所長の畑野は「一人では何もできなかった」と十七年間の活動を振り返る。車で一時間かかる北部の伊吹山近くには限界集落も点在する。老老介護も高齢者の一人暮らしも当たり前。「みんながちょっとずつ苦労するから温かい地域ができる」

     ◇

 畑野は二十八歳で同市北部の伊吹診療所に。循環器専門だったが「丸ごと『人』を診たい」と診療所を選んだ。当初は戸惑った。子どもに発疹(ほっしん)ができて診療所に来た母親から「先生、なんでしょう」と聞かれ、「なんでしょうね」と首をかしげると、隣の看護師が「それ、水ぼうそうですよ」。最初の一年間は「ごめんなさい」の連続だった。

 妻で看護師の弘子(44)も感謝する。「最初の子が一歳にならないうちに診療所に。『家で採れたから』と大根や白菜を持ってきてくれて、いつも家には野菜があった」。それから子どもは四人に増えた。

 診療所で十年が過ぎたころ、畑野は「医学的知識が遅れているのでは」と、孤独のトンネルに入り込んだ。そんなとき「いぶき」設立の話がきた。診療所とリハビリ施設、老人保健施設などを備えた、医療と福祉の壁を取り払った市の施設。「いぶき」には、診療所で地元の人々の暮らしを見つめてきた畑野の考えが強く反映されている。
(略)

 高齢者を「家に帰す」を目標にリハビリに力を入れる。老人保健施設の入所期間は原則上限三カ月に定めた。目標がなくてリハビリへの意欲がなえ長期入所になりがちな施設も多いからだ。その成果で退所後約九割が自宅に戻る。全国平均二割をはるかに上回る実績だ。

     ◇

 脳梗塞(こうそく)で左半身がまひしている田中義信(71)は退院したばかりで自宅でほぼ寝たきり。往診にきた畑野と研修医の鈴木良典(27)に「どうしたら元気がでるんやろ」と妻の豊子(68)。ベッドの手すりをつかみ起き上がろうとする義信を助けながら畑野は問いかける。「動きたいですか?」「はい」。リハビリに取り組む話し合いを始めた。

 「いぶき」のリハビリルーム。常喜(じょうき)きみゑ(82)が、左足をかばいながら歩行車で訓練に励む。脳梗塞で二年前は立つこともできなかった。「来る人同士励まし合えたから、がんばれた」と常喜。

 往診先からは二十四時間、畑野らの携帯電話につながる。それで安心するのか連絡はほとんどない。患者も家族も医師もスタッフも「お互いさま」の信頼感でつながる。

 前堀八三郎(91)、ひさを(92)夫妻は二人暮らし。ともに脚と耳が不自由だが一緒にご飯を作り、はいずり回りながら畑仕事も。二人が動いた後の土はつるつるになり、陽光で輝く。そんな姿を見つめて、研修二カ月目、東京からきた鈴木はこう話す。「病院にいるときは病気を治すことしか考えていなかった。往診先にはいろんな暮らしがあり、生きる上で何が大事か気付かされる」=敬称略(鈴木久美子)

都市部と僻地では同じ医療と名前はついても異なるゴールを目指して違った方法論で行われているという実情がよく判る記事なんじゃないかと思いますが、これを見てどう思われるでしょうかね。
例えば同じ医師という立場からの視点であっても、これを見て「へえ、案外面白そうじゃん」と感じる人もいれば、「うわっ!これだから田舎って絶対いや!」と感じる人もいるだろうと思うのですが、特に僻地医療ということになりますと患者にしろ医者にしろ関係する各個人、地域自体のキャラクターというものが最も大きなファクターなのかなという気がします。
もともと医療のリソースが限られているのは最初から分かりきった話なわけですから、突き詰めればお互いの我慢がどこまで出来るのかということになりますが、この我慢が出来ない医者ではもともと適性がないだろうし(俺は嫌だからと他の医者に振れないわけですしね)、我慢が出来ない住民が一定数以上出てくるとこれまた聖地として敬して遠ざけられることになるわけです。

日本では全国どこでも同一料金で同じ内容の医療というのが建前になっていて、さらに妙な方向に均一化を目指しているのか近頃では「地方にももっと専門医を」なんて言っている人もいるようですけれども、それでは僻地の小病院に何かしら専門分野の大家を置いておくのが良いのかと言えば、おそらく医者にとっても住民にとっても不幸な結果に終わるだけだと思いますね。
よく医者不足の地方で「誰でもいいから医者を」なんて地域の総力を結集して医者集めをしているところがありますけれども、医者が大勢来る見込みが無いからこそ誰でもいいのではなく、きちんと適性のある人間を呼ばないことには幾ら大金を積もうが「もう限界、勘弁してくれ」とまた逃げられてしまったということになってしまうか、あるいは先日も取り上げたように最後は住民から石もて追われることになるかのどちらかでしょう。
地域の状況というものはおいそれと変えるわけにはいかないのでしょうが、キャラが合っていない人を無理に呼び込んだところでどうせお互い不愉快な目にあって喧嘩別れして終わるだけなら、最初からきちんと適性というものを見極めていかなければならない、その前段階として「医療は決して均一でもなければ、医者もそれぞれ個性と適性がある、それも優劣とは別な次元で」ということを認めていかなければならないでしょう。

今の医療現場の卒後教育を見ていて少しばかり残念に思うのは、「医者のレベルアップを」を掛け声に専門医をとったり高いスキルを身につけることが王道(それは確かに重要なんですが)という方向に偏るあまり、初期研修の段階で「医者ってやっぱ俺には無理」とドロップアウトしていく人間が結構多いことなんですけれども、見ているといかにも田舎の患者受けの良さそうな人も多くて勿体無い話だと思います。
昔はそういう人材もきちんと適材適所で活かしていくのが医局長の手腕だ、なんて言って程々に自律調節が働いていたものですけれども、循環器の専門家だとか肝臓病の専門家だと胸を張って言えるのと同じくらいに「俺は地域医療の専門家だ」と胸を張って言える価値観を業界内でも形づくっていかなければ、せっかくの適性ある人材が流出していくばかりでしょう。
最近では医師と看護師の中間的存在としてナースプラクティショナーを導入しようだとか、一部界隈では沖縄の医介輔にならって医師免許を二種類作れなんて人もいるようですけれども、そうした制度が既存の医者のヒエラルキーとの間で上下の関係ではなく横の関係に出来るかどうかが大きな課題ですよね。

そして何より、「田舎病院に来る医者=三流」なんて考えてしまう患者側の価値観を是正していくことも非常に大事なんじゃないかと思いますが、多分これが一番困難なんでしょうかね(苦笑)。

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2010年1月 7日 (木)

今どき珍しくない病院閉鎖 しかし民間病院が潰れると色々と…

年明け早々にこんな記事が出ていました。

岩槻脳神経外科病院:あすにも一時休診 患者に説明を、さいたま市指導 /埼玉(2010年1月6日毎日新聞)

 さいたま市岩槻区の岩槻脳神経外科病院が経営上の問題から、7日にも一時休診することが、市保健所への取材で分かった。入院患者にも事前に知らされておらず、市保健所は患者への説明や適切な対応を指導した。

 市保健所によると、経営している医療法人社団双樹会は4日午前、5日から入院患者の受け入れをやめ、外来も一時休診するとした理事長名の文書を職員に配布した。職員から相談を受けた保健所の担当者が病院を訪れると、宗像克治理事長が「資金難に陥った。職員の給与は2カ月分が未払いになっている」と説明したという。

 4日時点で36人が入院中。1日約300人が外来を利用し、地域の休日夜間診療も担ってきた。保健所が患者の混乱を避けるため診療を続けるよう要望したところ、宗像理事長は6日までの診療継続を約束したものの、7日以降の方針は未定という。【稲田佳代】

今どき病院が経営難なのは当たり前ですし、潰れるなんてことも全く珍しくはありませんけれども、とっくの昔に給料も払えないような状態になっているのに救急もやって入院も取っていたというのであればそれは混乱もするでしょうね。
企業が潰れる時と言うのはたいてい事前にアナウンスなどないもので(近々潰れます、なんて公言して回っては誰も取引してくれませんからね)こんなものだと言ってしまえばそれまでですが、当然ながら関係各所では大騒ぎになっているようです。

岩槻脳神経外科病院 経営難で一時閉鎖へ 36人入院中(2010年1月5日読売新聞)

 医療法人社団「双樹会」(宗像克治理事長)が経営するさいたま市岩槻区の「岩槻脳神経外科病院」が、経営難で近く一時閉鎖することが4日、わかった。病床数は80床で、4日現在36人が入院している。5日から閉鎖する予定だったが、さいたま市からの要請を受け、患者への説明を5日以降に行ってから手続きに入るとしている。

 市や病院関係者によると、宗像理事長が4日、医師や看護師らに5日から診療科を休診し、入院病棟を閉鎖する方針を文書で伝えた。しかし、情報を得たさいたま市から「患者への説明がないまま、いきなり休診するのは避けてほしい」との要請を受け、休診・閉鎖は当面、先送りしたという。

 病院関係者によると、同病院は脳神経外科や内科、整形外科などの診療を行っている。昨年11月から看護師らの給与は未払いで、一部の薬剤が業者から納入されない事態になっているという。

突然の閉鎖方針、県が調査  岩槻脳神経外科病院 「救急病院」指定解除も(2010年1月5日読売新聞)

「救急病院」指定解除も

 医療法人社団「双樹会」(宗像克治理事長)が経営するさいたま市岩槻区の「岩槻脳神経外科病院」が、患者らに十分周知しないまま病棟の一時閉鎖などを打ち出した問題で、県は5日、実態調査を始めた。調査の結果、救急病院としての要件を満たさないと判断した場合は、救急病院の指定を外す方針だ。

 県によると、同病院は、県知事の認定を受け救急病院に指定されている。現時点で同病院から県に対し、指定撤回の届けは出ていない。

 同病院は4日、さいたま市や医師会などに、病棟を5日に一時閉鎖するなどの方針を伝えていた。

 病院には5日、説明を求める患者らが詰めかけた。春日部市南中曽根の男性(66)は、「先月に診察の予約を入れた際、閉鎖について何も言われなかった」と語った。さいたま市岩槻区の男性(62)は、「受付で『明日閉鎖になるかもしれない』と言われたが、紹介状はもらえなかった休診や閉鎖について張り紙すらないのはおかしい」と憤っていた。

 この問題に関し、さいたま市は「人の命を預かる医療機関として、突然閉鎖することは極めて問題だ。医師会や近隣の病院に、患者受け入れなどの協力を求めていく」としている

患者ら広がる困惑 問い合わせ相次ぐ 岩槻の病院閉鎖問題(2009年1月6日web埼玉)

 岩槻脳神経外科病院(さいたま市岩槻区)が経営難のため一時閉鎖を検討している問題で、同病院には5日、大勢の患者が訪れ、職員に今後の診療などを問い合わせた。突然の事態に、患者らは「これからどうしたらいいのか」と困惑の表情を浮かべた。

 病院には朝から患者を乗せたタクシーや車が続々と詰め掛け、午前10時には150台分の駐車場はほぼ満杯に。受付には患者が列をつくり、ロビーも人であふれた。

 病院の内外に事情を告知する掲示はなく、売店の休業を知らせる張り紙があるだけ。新聞報道を見た患者が説明を求めたのに対し、職員は「6日までは運営するが、その先は分からない。私たちも運営したい」と話していた。

 同病院で診療を受けていた春日部市の主婦(66)は「病院に電話をしたら『7日は開いてないので、5日か6日に薬を取りに来てください』と言われた。2時間待って、やっと薬を2カ月分もらった」と疲れた様子。事情を知らずに初診で来た蓮田市の農業女性(85)は「新規治療はできない」と断られたという。

 白岡町の夫婦は「先生が『もう病院は運営できないかもしれない』と言っていた。病院がなくなっても先生についていきたい」と話した。

 病院の処方せんを扱う近くの薬局は「病院が閉鎖に向かっていることを知り、残念です」などと記した案内を患者に配布。受け取った蓮田市の無職男性(72)は「病院から説明はまったくなかったが…」と戸惑っていた。

 同病院と同じ医療法人が運営する岩槻区の別のクリニックでは、関係者が取材に対して「6日は運営するが、7日は分からない」と話した。

 さいたま市によると、病院は5日から外来診療の一時休診と病棟の一時閉鎖を考えていたが、市の要請で5、6日は業務を続けると回答した。岩槻医師会は4日に病院側から患者の転院協力を求められ、5日に話し合いを開く予定だったが、病院の理事長が出席できなくなったため延期された。

病院が閉鎖するとなると大抵の場合は入院患者がいますから、通常ならまずはこれを退院させるなり他院に転院させるなりして出ていってもらい、外来患者なども今までの経過を記載した診療情報提供というものを用意するという手順を踏むことになります。
有名な銚子市立総合病院を始め多くの公立病院が昨今閉鎖騒動を起こしていますけれども、概ねこうした手続を踏んでいるのは道義的責任ということもさることながら、言ってみれば公立施設は親方日の丸で赤字垂れ流しでも営業を続けられるからという言い方も出来るかと思います。
民間病院で経営母体に体力がないのでしょうが、今回のようにすでに薬も入ってこない(支払いが滞っているんでしょう)という状況では現実問題医療など出来るわけもないのですから、真っ当な手順など取る暇も金もないんだろうなとこの件を見ていて改めて思いましたね。

その意味で気になるのが、さいたま市が「人の命を預かる医療機関として、突然閉鎖することは極めて問題だ」とコメントしていますけれども、病院が閉鎖するということになった場合に何かしらの法的義務が存在するのかどうかという点ですよね。
今回の場合医療法人を解散するというわけではなく、病院業務を一時中止するということなんですけれども、医療機関に関する法律である医療法を見てみましても、医療法人の解散などの規定はかなり細かくあるものの、病院の一時閉鎖ということに関する直接的な法的義務は届出義務くらいで後は努力義務しかなさそうなんですね。
やや引っかかりそうなところも含めて引用してみますとこの辺りになってくるんじゃないかと思いますが、「当該患者が適切な環境の下で療養を継続することができるよう配慮」云々といったところを解釈すると、とりあえず診療情報提供くらいは行うよう「努めるべき」だというのが法的結論になるのでしょうか。

第一条の四  4  病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所を退院する患者が引き続き療養を必要とする場合には、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携を図り、当該患者が適切な環境の下で療養を継続することができるよう配慮しなければならない

第六条の四  3  病院又は診療所の管理者は、患者を退院させるときは、退院後の療養に必要な保健医療サービス又は福祉サービスに関する事項を記載した書面の作成、交付及び適切な説明が行われるよう努めなければならない
5  病院又は診療所の管理者は、第三項の書面の作成に当たつては、当該患者の退院後の療養に必要な保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携が図られるよう努めなければならない

第八条の二  病院、診療所又は助産所の開設者は、正当の理由がないのに、その病院、診療所又は助産所を一年を超えて休止してはならない。ただし、前条の規定による届出をして開設した診療所又は助産所の開設者については、この限りでない。
2  病院、診療所又は助産所の開設者が、その病院、診療所又は助産所を休止したときは、十日以内に、都道府県知事に届け出なければならない。休止した病院、診療所又は助産所を再開したときも、同様とする。

さて、そこで極めて現実的な問題になりますが、給与もすでに二ヶ月にわたって未払になっているわけですから、職員の士気は有り体に言って最悪でしょうし、これ以上のタダ働きは御免とばかりに我先に逃げ出していくだろうことは想像に難くありません。
一般的に転院の手配(実質的には、転院先の担当医からオーケーを取れるかどうかが主な仕事になるでしょう)は担当医がやるもので、診療情報提供なども当然ながら担当医が今までの診療経過をまとめることになるわけですが、一方で上記の配慮をする義務を負わされているのは施設の開設者、管理者であるわけですよね。
となりますと、ものすごく責任感の強い先生が残ってボランティアで上記作業に従事するというのでなければ、下手をすると開設者である理事長先生が一人黙々と入院36人の転院の手配をし、外来一日300人(おそらく患者全体で最低数千人規模にはなるでしょう)の紹介状を用意するという楽しい未来絵図が待ち受けていることになりそうです。

いやあ、今度は理事長が夜逃げしたくなりそうな話ですが(苦笑)、しかし考えてみますとこういう法律が出来た時代には、今のように当たり前に病院倒産件数新記録更新!なんてニュースが年末の風物詩になるなんてことは想像もしていなかったんだろうと思うんですね。
言ってみればそういう切迫感のない状況だからこそ関係者の持ち出しでの努力に頼るしかないという法律で良かったんだと思いますが、今後こうした話は幾らでも増えていくだろうだけに、いつまでもそれで良いのかという疑問はなしとしません。
例えば病院閉鎖後の当面の活動資金を緊急融資するような制度でもないことには、民間の施設では毎度毎度患者の放り出しが起こってきそうですし、どこかで大きな事故すら起こりかねないという話ですよね。

正直今の財政状況でそんなところにまで手が回るかと言えば大いに疑問ですから、完全に行き詰まって墜落する前にうまく軟着陸させるだけの分別が施設側にも求められると言うことでしょうが、個人病院など一代で築き上げた施設をそうそう簡単に決断出来るのかどうか、なかなか難しいところではありますよね。
そんなことを言っていますと、最終的には厚労省の持論である病院病床再編なんて話に結びついてきそうなんですけれども(苦笑)、世の中いつまでも成長成長という時代でもないわけですから、攻めの一手ばかりではなく時には引くことも必要だろうと言うのは経営も医療も同様に覚えておくべきことなのでしょう。

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2010年1月 6日 (水)

新成長戦略に見る課題

世間では相変わらず不景気の寒波が吹き荒れているようで、この冬も派遣村は盛況だそうですね。
そんな中で「医療は成長産業」と主張し野党時代から医療政策の方針転換を示唆してきた民主党政権が、新成長戦略の根幹として医療・介護分野での雇用拡大を目指すとの方針を掲げてきました。

医療・介護で新規雇用約280万人―政府が新成長戦略の基本方針(2010年1月4日CBニュース)

 政府はこのほど、「新成長戦略」の基本方針を決定した。新たな需要の創造によって雇用を生み、国民生活の向上を目指す。「高い成長と雇用創出が見込める」として、成長けん引産業と明確に位置付けた医療・介護分野では、2020年までに新規雇用約280万人、新規市場約45兆円を創出することを目標として掲げた。

 「輝きのある日本へ」と題した新成長戦略の基本方針では、重点分野として、▽健康▽環境・エネルギー▽アジア▽観光・地域活性化▽科学・技術▽雇用・人材―の6分野を挙げた。

 医療・介護など健康分野では、サービスの基盤強化を柱の一つとして挙げた。具体的には、医師の養成数を増やすとともに、勤務環境や処遇を改善することにより、勤務医や医療・介護従事者を確保する。医療機関の機能分化や高度・専門的医療の集約化、介護施設や居住系サービスの増加を加速させ、質の高い医療・介護サービスを安定的に供給できる体制の整備を目指す。

 また、日本発の革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発促進も盛り込んだ。創薬ベンチャーの育成を推進するほか、新薬や再生医療などの先端医療技術、情報通信技術による遠隔医療システム、医療・介護ロボットなどの研究開発や実用化を促進する。そのため、ドラッグラグやデバイスラグの解消を喫緊の課題と指摘しており、治験環境の整備や承認審査の迅速化を進める。

 さらに、高齢者が住み慣れた地域で暮らすため、地域主導で地域医療の再生を図ることが重要と指摘。その上で、医療・介護・健康関連サービス提供者のネットワーク化による連携や、情報通信技術を活用した在宅での生活支援ツールの整備などを進めるとした。

 このほか、今後独居や介護が必要な高齢者が増加することを踏まえ、バリアフリー化された住宅の供給を促進することや、アジア市場での医療関連サービスの展開や医薬品などの海外販売を促進することなども盛り込まれている。

 政府はこの方針を基に、具体的な政策を盛り込んだ「新成長戦略」を今年6月をめどに取りまとめる。その際に、今後実現すべき目標を時系列で示した「成長戦略実行計画(工程表)」を併せて策定する方針。

これを見るだけでも色々と議論の余地はありそうな話ですけれども、そのあたりの詳細に関してはいずれまた具体案が出てきてからということになるのでしょうね。
よく「新たにものを生み出さない社会保障費に金をつぎ込むと国が衰退する」なんてことを言う人もいますが、公費負担の拡大に関しては確かに未だどこまでつぎ込むのか検討の余地はあるとしても、雇用の場として大きな国内人材需要を生み出すと考えればこれは国の経済成長に寄与する一大産業と考えることが可能ですよね。
その意味で医療・介護を巨大な内需と捉えるという大方針は非常にアグリーなのですけれども、問題は今後詰められていくことになるのだろう各論がどうなっていくのかという部分で、特に人材不足、供給過少が深刻化している介護領域においては早急に何かしらの方針を打ち出していってもらいたいものですが、問題はその人材確保ですよね。
先日も少しばかり取り上げましたように介護業界と言えば仕事がきつい、そのくせ低収入と不人気職種として圧倒的な評価を得ているのは世に知られた話ですが、単に介護報酬を引き上げれば良いといったレベルでない問題も多々あるというのがこちらの記事です。

介護・失業、二重苦の中高年 勤務に制約、難しい再就職(2010年1月3日朝日新聞)

 家族の介護と失業に同時に直面した中高年の「介護失業者」たちが、再就職の壁に突き当たっている。親や配偶者の世話を1人で担うため、勤務時間に制約があり、バイトでしのがざるを得ないケースが目立つ。介護が引き金となる貧困。二重の苦境にあえぐ人を支える安全網は見えてこない。

■認知症の母、残業できない

 長野県千曲市の男性(46)は05年に仕事を辞めて以来、再就職先が見つからない。認知症の母親(79)と2人暮らし。母がデイサービスから帰ってくる夕方5時ごろには家にいなければならず、残業ができない。20社以上の面接を受け、落とされた。

 そもそも仕事を辞めたのも介護が理由だった。母は火をつけっぱなしにして台所を黒こげにし、自分が押し入れにしまったのに、「通帳がない」と涙ぐんだ。母をみながら工場で臨時職員として働く生活に疲れ、抗うつ剤を処方してもらった時期もあった。

 そんな時、勤務先から「より高度な作業についてほしい」と打診があった。責任の大きな仕事につけば夕方に終わる保証はない。これまでも入院した母に付き添うために休むことがあり、これ以上は迷惑をかけられない、と退職を決めた。

 10月、朝食を食べ終わった母が言った。「勤めに行かねえんか」。思わず声を荒らげた。「誰のおかげで仕事が決まらないと思ってんだ。ばかやろう」。母の言葉は認知症のせいだと分かっているのに、感情をコントロールできない自分が怖くなった。

 母の厚生年金と、遊歩道の草刈りなどたまに入る単発の仕事だけでは生活費は足りない。貯金を崩しながらの日々。12月、特別養護老人ホームへの入所申し込みの手続きを始めた。会社の面接で「母が入所すれば残業できる」と言えるからだ。ほかに方法はないと思う。

■合い間に職探し、年齢の壁

 「先の見通しが全くたたない」。築50年以上の木造借家。入浴などに介助が必要な「要介護2」の母親(83)と2人で暮らす京都府の男性(55)はため息をつく。レンタルした介護ベッドのそばの壁には、日ごとに母に飲ませる薬を入れるポケットがついた「投薬カレンダー」がかけられている。

 家電メーカーの工場に情報処理技術者として派遣されていたが、08年11月、業務縮小で人材会社から突然、リストラの通告を受けた。派遣切りだった。同じ時期、入院していた母が退院し、自宅で介護が必要な状態になった。

 家事を切り盛りしていた母は週3回の透析が必要となり、介護保険で週2回、ホームヘルプサービスを利用する。食事の支度や洗濯、買い物などの家事、入浴介助が男性にのしかかった。

 介護の合間にハローワークに通う。母の体調変化もあり、定時の仕事は厳しい。フレックスタイムを導入する3社に応募したが、年齢の壁もあり、すべて不採用だった。

 今秋、失業給付も切れた。パート勤めだった母の年金と自分の貯金を取り崩して暮らす。役所で生活保護について聞いてみたが、貯金が残っていることもあり、「現段階で申請相談には乗れない」と告げられた。

 最近は、新聞よりもスーパーの特売広告のチラシを読む時間のほうが長くなった。「いつまで経済的に持つかわからない。でも、どこにも頼る先がない」

■離・転職急増、14万人超える

 介護が原因で仕事を失う人の数は増え続けている。総務省によると、2006年10月から07年9月までの1年間に、家族の介護や看護を理由に仕事を辞めたり転職したりした人は約14万4800人。97年10月からの1年間に比べ、6万人近く増えた。

 一方、厚生労働省の07年の調査では、同居の家族を介護する人の4割弱が40代と50代。介護の担い手としては少数派だった男性も全体の28.1%に達し、01年調査時の23.6%から増えた。

 昨秋以降の急激な雇用悪化で、10月の有効求人倍率は0.44倍、正社員では0.27倍と低迷。安定した仕事を見つけにくい状態が続く。介護生活を続けながらの再就職は元々ハードルが高いが、不景気がそれに追い打ちをかける。

 介護のプロに家族を託して働こうにも、介護保険の施設は順番待ちの待機者があふれる。生活保護は預貯金や資産、扶養義務などの審査が厳しく、特に現役世代は利用しにくいと指摘されている。(十河朋子、清川卓史)

 〈「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長の津止(つどめ)正敏・立命館大教授(地域福祉論)の話〉 少子高齢化や非婚化などによって家族のあり方が変化し、働き盛り世代が家計を支えながら介護を担う時代になった。介護を機に離職して収入が激減し、残業や出張ができないことで再就職もままならない。期間やサービスが限定された介護休業制度や介護保険制度では不十分だ。介護による貧困を食い止め、安心して介護ができる生活をどのように支えるか。行政や企業、社会全体が多方面から模索する必要がある。

基本的に老いと言うものは改善することがない状態ですから、短期的・一時的な対応でどうこうできるものではないはずであって、まずはきちんと受け入れるだけのキャパシティーを社会的に確保しておかなければならないでしょう。
多くの地域ですでに簡単には入所できないほど待機待ちのハードルが高くなっていますけれども、実際問題介護報酬の低さなどから来る事業としての採算性の乏しさはもちろん、資本力があっても需要増大に対応して業務拡大を図ろうとしても人材が集まらない、需要過多なのに人手不足だからこそ余計に労働環境が悪化して余計に人が来ないと言う悪循環が発生しています。
本来こうした方々の場合こそ介護業界に加わって自分の親と一緒に他の方々の介護にもあたって下されば言うことはないはずですし、そのために国が経営面や人材確保の配慮をすべきなのでしょうけれども、長年他業界で済む暮らしてきた中高年者の場合「親の面倒だけならともかく他人の面倒までは」と尻込みをされてしまうのが難しいところですよね。

一部の地域ではデイサービスやグループホームなど比較的負担の軽い領域でこうした中高年の(セミ)リタイヤ層を活用してうまく回しているところもあるようですけれども、考えてみると昔は地域の共同体で行っていたことが生活形態の変化で一度崩壊してしまっていたものを、今改めて再構築しているのだという考え方も出来るかと思います。
昔はとにかく子供から老人まで同じ共同体内で生活していたものですからどこの子供であっても身近に爺ちゃん婆ちゃんが大勢いて、それは中にはボケてきて妙なことを言う人もそれなりにいましたけれども、そういうのも含めて老人の個性ということで「あの爺ちゃん面白いわ」と笑って受け入れられるような老人への慣れがあったものですが、今は核家族化もあって下手すると年寄りなんて帰省時くらいしか見ないという子供も多そうですよね。
そういう視点で見てみると単に「人手が余っているから人手が足りないところに回そう」というレベルの話ではなくて、例えば小児期からの教育で地域の老人たちと触れ合う場として介護の現場を活用していくといったことが老人に対する忌避感の軽減に繋がりそうなんですが、将来を見越して今のうちから動いておかないとますます介護アレルギーが深刻化していきそうで心配です。

そういう長期的な話は置くとしても、昨今ではケシカランことに失業者、貧困者を食い物にする商売、俗に言う「貧困ビジネス」というものが結構あちこちであるようですよね。
今の時代「介護をやります」という志を持った人はそれだけで保護対象にしてもいいくらいに貴重な原石だと思うのですけれども、その社会の宝をすら犯罪まがいの行為の対象にしてしまうというのは極めて大きな社会的損失なんじゃないかと感じさせられる話題がこちらです。

新規採用者に多額の出資金要求 各地でトラブル (2009年12月29日神戸新聞)

 新規採用された人たちが会社から多額の「出資」を求められたという相談が、各地の消費生活センターなどに寄せられている。兵庫県立生活科学総合センターは、雇用情勢の悪化を背景に「職を手放したくないとの思いから我慢するため、問題が表面化しにくい。おかしいと思ったら相談を」と呼び掛けている。(小林伸哉)

 神戸市の男性(49)は今春、物流会社を辞めた。5年ほど前から何度も適性検査を受けさせられては「結果が悪い」と給料を減額された。既に年約150万円カットされたが、さらに減額を通告されたのだ。16年勤めた会社の退職金は、約540万円だった。

 約30社の求人に応募。妻と2人の娘を養うため、正社員にこだわった。多くは書類選考で落とされ、望みを失いかけた5月、特別養護老人ホームを建設、運営の準備を進めているという会社(神戸市中央区)のチラシに目が留まった。

 「正社員大募集」。21~35万の月給。面接だけですんなり採用された。総務担当として法人登記の手続きやオフィス確保などに奔走した。間もなく「配当金は5%。必ず返す」と会長(60)らが出資を求めてきた。預金を取り崩し100万円を手渡した。

 入社から数週間で常務を任された。同時期に入社した男性(38)も老人ホームの運営に携わったことすらないのに、入社から5日で社長に指名された。会長は「素人の発想が必要だ」といったが、業務の見通しや経営の状況は知らされず、雑用と経費負担を押しつけられるようになった

 「給料が出せない」。「融資が出るまでつなぎ資金を」。数万から数十万円単位で負担を求められるたびに「会社存続のため」と自らに言い聞かせ応じた。出資は計約370万円に上っていた。

 賃金未払いに陥っていたのに、会長らはハローワークで新たに求人を計画。「出資できる人を集める」のが理由という。耐えられなくなり、8月、約20人の従業員と退社。10月、会長は姿を消した。事業はまったく手つかずで、出資金は戻らず4カ月分の給与約66万円のうち支払われたのは26万円ほど。それも大半は、自分の出資金が原資だった。他に従業員4人が計260万円を出していたという。

 男性は9月から警備員になり、寒空の下、慣れない仕事を続ける。「安定した仕事に就きたい気持ちを利用された。許せない」。警察にも相談するつもりだ。

実際問題として介護業界もどこも経営が厳しいのは分かりますけれども、これはやはりあからさまに黒と思われる反面、当事者として考えるといかにも引っかかってしまいそうな話ではありますよね。
医療など特にそうですが、基本的に日本の社会保障システムというのは性善説で組み上げられているところがあって、皆が少しずつ我慢をすることで初めて上手く回っていく、それ故にモンスターなんてものが紛れ込むと大騒ぎになるという(ある意味冗長性が乏しいとも言えますが)現実があります。
逆にそれだけに悪いことをしようと思えば結構できてしまうところもあるわけですが、悪いことをした結果被害をこうむるのが一番の社会的弱者だと言うことになればこれは何ともやりきれない話ですよね。

医療分野というものは一応民間資本も参入していますが、例えば医療法人というものは剰余金の配当が出来ないなどで営利法人とは区別されていることからも判るように、基本的に儲けを求めてやるものではないということになっています。
民主党政権が医療・介護領域を産業としてもっと大きなものにしていくつもりなのであれば、パイが大きくなっただけうまい分け前も増えると喜び勇んで参入してくる人々もまた多いのではないかと思いますけれども、例の病院の株式会社化の議論などとも絡めて、巨大産業となれば当然そこに企業としての営利の追求という話も出てくるはずなんですよね。
今後具体的な話を進める前に今までの医療の経営理念との整合性というものをどう取っていくべきなのか、そのあたりに関しても早急に議論を深めておいた方がよさそうに思いますね。

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2010年1月 5日 (火)

海外医療事情 東アジアから

しかしアメリカの新医療保険絡みの議論などを見ていても思いますが、相対的に見て日本の医療制度は質とコスト、アクセスの容易さが高いレベルで保たれているにしても、さすがに今現在すぐに他国でそのままを導入せよと言うには色々と難しいところがあるのも確かですよね。
すでにある程度出来上がってしまっている欧米先進国の医療制度はしばしばあちこちで取り上げられていますけれども、比較的取り上げられることが少ないのが近場のアジアの医療事情で、そのなかから最近面白いなと思ったニュースを今日は二つばかり紹介してみます。
まずはこちら、中国人からみた日本の病院事情ということなんですけれども、逆に向こうの医療事情というものが垣間見える話ですよね。

【中国ブログ】日本の病院、スタッフみんな「模範労働者」?(2009年12月23日サーチナ)

  来日間もなく日本での診療を余儀なくされた中国人にとって、日本の医療機関におけるスタッフのサービスは「至れり尽くせり」だととらえられることが多い。日本在住の中国人ブロガー、房麗燕さんもこのほど、自身がかつて医療通訳を務めた際の、病院側の「サービスのよさ」について触れている。

  房麗燕さんは、日本では中国とは違い、医師が患者に対して、患者の病状や対処法を説明する義務があると紹介、専門用語も分かりやすく説明してくれると伝えた。また、自身が医療通訳を受け持った際、医師らは来日間もない中国人の患者に対し、専門用語をオンラインの翻訳機にかけるなどして、病状や治療法を何とか伝えようと努力していたと紹介、その懸命な姿に「語句自体はトンチンカンなものもあったが、伝えようとする患者への心配りに目頭が熱くなった」と振り返っている。

  房麗燕さんはまた、看護師らをはじめとする医療スタッフの働きを「一人ひとりが模範労働者のようだ」とも評し、清拭(せいしき)や食事の介護、排泄物の処理に至るまで、仕事と割り切っていやな顔ひとつせずこなすスタッフの姿に感動したという高齢者の、「自分の子どもでもここまでしてくれるか分からない」との“声”を紹介、日本における一般的なサービスと、その意識の高さを伝えた。

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  日本の医療現場には現在、医師をはじめとする医療スタッフらの労働条件の悪化や、医療の地域格差、医療費の負担など、医療を施す側、受ける側ともに深刻な問題が存在する。

  一方、中国では、高額な医療費が深刻だ。中国での医療費の自己負担率は、たとえ保険に入っていたとしても、日本と比べて相当に高いといわれる。

  また、貧しい農村地域では、保険料自体を支払えず、保険に加入できない層もあるといい、完全自己負担、という高額な医療費を負担できず、医療を受けられない「医療難民」の存在も問題視されている。このため、中国では、治療費の不払いなど“踏み倒し防止”を目的とした「前払い」制度を採用する病院も存在。「地獄の沙汰(さた)も金次第」を地で行くスタイルに驚く外国人は多いという。(編集担当:金田知子)

色々な人が取り上げていることに、中国では「お金を払わなければ治療は受けられない」という前払いの原則が徹底されていて、それこそ緊急時であってもまずは支払いが優先されるのだと言う話は聞くところです。
このあたりは実際問題として保険にも入っておらず支払能力がない人も多いという現実がありますから、病院の方でも倒産したくなければきちんと取り立てをしなければ立ち行かないという事情もあるのだと思いますが、そうした点は実のところ日本でも人事ではありません。
特に公立病院などですと従来未払金の取り立てにもあまり熱心でないという歴史的経緯があり、近年では「あそこに行けばタダでみてもらえるコンビニ病院」などと一部に好評を博している施設もあるやに側聞しますが、すでに半数が赤字と言う日本の病院に未払者を抱え込めるほどの余裕などどこにもないはずなんですよね。

一昔前から病院ごと、地域ごとに様々なブラックリストの存在が噂されていますけれども、以前であれば薬物中毒者などが中心であったものが常習的未払い者もリストアップされるようになってきているとかいないとか。
もちろん意図的に支払い拒否ということになればこれはこれで問題ですけれども、例えば急病を患った時にちょうど手元に持ち合わせがないといったようなことは誰にでもあるわけですから、夜間救急などの保証金支払いが高騰するだとか、支払い能力が確認出来ない患者は公立病院に転送するといったことが多くなってくると結局困るのは善良なその他大勢の善良な人々であったということになりかねません。
最近では失業者の増加ともあわせて無保険者の救済ということが日本でも言われるようになりましたが、このあたりの金銭的保証というものをある程度公的に担保しておくと一部患者層の救急受入などもずいぶんとスムーズに運ぶようになるんじゃないかとも思うのですが、一頃騒がれた無保険児童の救済措置などとセットで是非とも恒常的対策として考えていただいきたいものです。

さて、こちらお隣韓国ではまた少し変わった話題が出ているようですけれども、これも決して人事だとは思えないような話ですね。

「皮・眼・整でなければ…」浪人するインターン/韓国(2009年12月23日東亜日報)

志望していない科に進むぐらいなら、もう1年準備したほうがましだと思った」。彼は、検診センターや療養病院など一般医として働き、来年、再受験する計画だ。「一般医の給料は500万ウォン台で悪くないけれど、しばらく臨時職で仕事をしなければならない不安はあります。それでも、三浪する友人もいるので…」。

公衆保険医として勤務する金某氏(27)は、早くも浪人を決めた。「08年のレジデント募集で整形外科を志望したけれど、落ちました。悩んだ末、修了予定のインターン課程を途中で辞め、軍隊に入りました」。インターンの成績や筆記試験、面接などでレジデント審査が行われるが、落ちたため、インターンの成績を上げようと判断したのだ。彼は、落ちた同期男性の半分以上は自分のようにインターン修了を辞め、軍隊に入ったと説明した。「もちろん、除隊後、また大変なインターン生活が待っていると考えただけで呆然とするけれど、インターンの成績を確実に上げ、整形外科に進みたいです」。

12月2日に締め切られた2010年度レジデント前期募集で、85人の定員の皮膚科に134人、95人定員の整形外科に130人が志望するなど、相対的に楽で収入が多い「皮眼整(皮膚科、眼科、整形外科)」が依然として人気だ。一方、外科は305人の募集に対し、145人だけだった。収入が多い専攻への「なだれ現象」が厳然と存在する中、人気の専攻を選択しようとし、浪人する医師も増えている。定員割れの専攻の追加募集に応じるよりも、人気の専攻に再挑戦することが良いと判断しているのだ。今回の募集で、146人定員に対し270人が志望し、最高倍率(184%)を記録するなど新たに人気を集めている精神科に志望したあるインターンは、「以前は、事前に科長に相談し承認を受けたり、別の専攻を狙ったけれど、今は成績が届かなくても人気専攻に志望し、落ちても再挑戦する人が大半です」と話した。

インターンを控えた医大生や専門医も、「浪人する医師」が多い現実に共感している。胸部外科医師を夢見ていた医学生も、病院で実際に医療点数や劣悪な勤務環境を経験すれば、心が変わらざるを得ないということだ。また、給料を考えず、研修を終えた後も大学病院で教授として残らない限り、専攻を生かすことが難しい外科の不確かさが、「浪人」を煽いでいるということだ。

大韓専門医協議会の朴チヨン事務局長は、「過去に人気の科がなかったわけではないが、ここ数年間、『皮眼整』へのなだれ現象がひどくなり、浪人する人が増えている。今年、政府の支援で、胸部外科など不人気の科でも多くの『ニンジン』を提示した。果たしてこれらの科が追加募集をした時に、どれだけ多くの医師が心を変えるかは未知数だ」と話した。

日本でも診療科毎の定員を制限せよだとか、医者が来ない地方には国が強制的に派遣せよだとか色々と言う人がいますけれども、その結果何が起こるのかというひとつの未来絵図がこちらなんだろうと思います。
それは志望してもいないところであっても妥協して働くという人も一定数はいるでしょうけれども、果たしてそういう人が患者のために自らの知識と技量を日々高め精進しようなどといった「志の高い医者」になるものだろうかという素朴な疑問はありますよね。
しょせんは食っていくために仕方がなく我慢しているだけなんだから、適当に最低限の仕事だけをこなして手を抜けるだけ抜いた方が楽だという考えに一度染まってしまうと、医者と言う仕事はこれがまた非常に裁量の余地が大きなもので、何しろ全ての医療行為は医者が指示を出さない限り始まらないわけですから幾らでも手抜きは出来るわけですよね。

公立病院と言えば事務職の働かなさぶりはよくネタに取り上げられますけれども、他方で公立病院一筋何十年という「大先生」が外来は予約のみでせいぜい日に数人、入院は全部若い人に丸投げで毎日医局で新聞を読んで時間を潰しているなんて光景が時々あります。
あれが院内全ての医者に蔓延してしまった光景と言うものを想像するだけでもなかなか楽しいものがありますが、「こんな病院辞めてやる!」なんて言う奴はむしろまだ元気いっぱいな方で、士気が低下するとは結局そういうことなんだろうと思いますね。
医者と言うのは基本的にマゾ属性の人間が多いなんてことを言う人間もいますけれども、確かにうまいことおだてて使いこなせばこれほど辛抱強く勝手に働いてくれる人種もいない反面、うっかり「俺ってもしかして不当に虐待されてる?」なんて世の不条理(笑)に目覚めてしまうと幾らでも戦う手段を思いつく程度の知恵は持っているわけで、実際近頃では「公立病院マターリ穀潰しコース」なんてものを狙ってかかる人もいるとかいないとか。

余談はそれとして、アジア諸国などはまだまだ公的医療制度自体がまともに機能していないとか、逆にオイルダラーで医療費全て無料なんてちょっと他国では参考にし難いようなシステムであったりとか、なかなか参考にするのに良いモデルケースになりそうな国が限られてきます。
そんな中で比較的日本と近いシステムを組み上げた韓国などは割合見ていて学ぶところが多いなと思っているのですけれども、そう言えばマスコミなどから欧米の医療は素晴らしい!なんてことを言う声は聞こえても、医療界からどこの国のシステムを参考にこんな風に改善しようなんて声が上がることはあまりないように思いますね。
日本の医療はともかく日本の医療システムが改善の余地がないほど万全であるとは到底思えないのですが、そのあたりは長年の各方面の折衝から組み上げられたなどという日本的事情からにわかに動かし難いものとなっているのだとすれば、せっかく政権交代もしたのですから思い切った制度改革を行っていくチャンスではあると思うのですけれどもね。

例えば医療の経営面だけを見ても漠然と診療報酬が低いなんて話ばかりが話題に上りますが、無保険者の増大であるとか、未払金の増加などといった話題を見ても、皆保険で取りっぱぐれないことを前提とした医療体制はそろそろ限界だと思えますし、実際現場が困っているのだから対策を考えないといけないはずです。
医療制度改革なんてことは長年念仏のように言われてきましたけれども、結局後期高齢者医療制度も潰されそうですし、医療費も相変わらず上げるでもなく下げるでもなくという状況ですし、どこがどのように改革されつつあるのかよく判らないんですけども、ここらで業界団体の方から思い切った改革案の一つでも出してみれば良いだろうにとも思います。

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2010年1月 4日 (月)

地域医療を崩壊させたのはだれか

改めまして、新年おめでとうございます。
今年一年が皆さまにとって実り多きものとなりますことを祈念いたしております。

さて、先日第5回日本放送文化大賞グランプリを受賞した「赤ひげよ、さらば。~地域医療“再生”と“崩壊”の現場から~」という番組が年末に全国ネットで再放送され、あちこちでちょっとした話題になっているようです。
さすがグランプリ受賞!素晴らしい作品だ!というのであればよろしいのですが、ネット上での反応は「本当にこんな人っているんだね…」と衝撃を受けたという声が多いようですね。
管理人は残念ながら直接番組を目にする機会を得ていないのですが、口性ないことで有名な某所でのコメントから幾つか引用してみましょう。

784 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/12/31(木) 19:22:01 ID:I2WUbg4L0
医者は24時間働いて当然、とはっきり言ったババアが本当にいたんだなあ。
生瀬棚を初めて観た。

808 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2010/01/03(日) 16:58:50 ID:sVEJ3qBA0
>>784

ばあさん、「医者に感謝しろって言われても、医者は患者のために夜も寝ないで働くのが当たり前じゃないですか?!!」
って言ってたねw

タイトルどおりの発言だ
「赤ひげよさらば-地域医療を崩壊させたのはだれか」


812 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2010/01/03(日) 18:04:21 ID:t2wUZqfZ0

TVカメラが入っているのにあんなせりふが出てくる、
そんなところに来る医師がいるとでも思っているのでしょうか?

僻地人の恐ろしさを改めて認識した次第です。

まあ地域の方々の本音は本音としてもこれも一方での本音でもありましょうし、心身ともに消耗して「もう限界、勘弁してくれ」と逃げ出そうとする人々に向かってこうした言葉が出てくる以上、それは医者も人間ですから色々と感じるところは多々あるのだろうとは思います。
最近のネットでは地域の民度なんて言葉を使うことが多いようですけれども、やはり誰でも働きやすい環境で働きたいのは当然ですし、ひとたび地域の民度が明らかになればこのネット全盛の時代ですから、全国津々浦々まであっという間に情報が広まって「聖地」認定ということになるわけで、常に他人から見られていることを考えて行動すべきなのは今や医者だけではないということです。
ところが医療従事者にとっても地域住民にとっても悲しむべきことに、こうした事例は別に特定地域だけで発生しているというような珍しいことでもなく、あちこちで似たような話が当たり前のように飛び出していることは認めないわけにはいきません。

昨年末には沖縄の久米島病院で医師三人の退職後に後任が未定であるという話が報道されましたけれども、残る四人の医師では到底24時間対応など無理だと言うことで地元ではかなりの危機感を募らせているようです。
かの地においてもこうした離島勤務というものが医師にとっては医療の進歩に取り残され技量も落ちるという魅力のない職場であるという認識はあるようで、中核施設からの機械的なローテートで医師を回すのみならず「地元自治体や住民も共に医師にとって魅力的な環境をつくることが不可欠」という呼びかけもなされているわけです。
ところが実際の状況はどうなのかと言えば、やはりここでも「石もて追われる」ということが長年繰り返されているようなのですね。

久米島病院医師退職 住民、医療不安解消訴え(2009年12月20日琉球新報)

 公立久米島病院の医師3人が来年3月末で退職し、後任の医師が決まっていないことに対し、久米島町内からは、救急など緊急時の町民への影響を懸念する声が上がった。今回だけでなく、産科、小児科などこれまで幾度も直面してきた同院の医師不足の問題。医療不安のない生活を送れ、医師も赴任しやすい環境づくりに向けて、町民からは、医師確保ができ、離島医師が技術向上を図れる医療システムの構築を求める声が聞こえた。
 平良朝幸町長は「緊急医療に対応できない状況になれば住民生活に大きな支障を来す。福祉だけでなく、経済的にも多大な社会的損失が発生することになる」と強い懸念を示した。
 久米島を含む離島が医師不足の危機に何度も直面する事態にも触れ、「研修などのため、医師の異動はつきもので、毎年というほど医師不足の問題が発生し、そのたびに離島住民は不安になる。離島の行政だけでは対処できる問題ではない。問題解決に向けた抜本的なシステムづくりが急務だ」と述べ、国も含めた対応策の検討を訴えた。
 町観光協会の饒平名留美さん(30)も、8歳の女の子を育てる母親の立場から医師不足に懸念を示し、「赴任時だけ喜ばれながら、退職時に肩身の狭い思いをしたまま医師が島から去る状況はやるせない」と述べた。「医師が離島でも技術向上を図ることができ、島を離れる際は島民も喜んで堂々と送り出せるシステムづくりが重要だ。そのような環境がないと、医師は離島に赴任しなくなる」と指摘した。
 町婦人会の松山悦子会長は「医師不足となれば沖縄本島まで通うことになり、町民の負担が増す。医師不足の解決に向けた特別措置の検討など、関係機関が一丸となって問題に取り組む必要がある」と話した。

自分なども日常生活を送る上で「この店がもう一時間遅くまで開いていたら」などと色々感じるものですし、地域住民が医療に対してであれ他の何に対してであれ様々な要求をぶつけるのはこれはごく当然のことだと思います。
住民はそれぞれの立場に基づいて何であれ要求をする権利があるだろうし、その声を受けて自治体にしても企業を誘致するのに工業団地を整備し道路を広げ税金面で優遇措置を取るなどといったことと同様に医療に対してもそれぞれの努力をするだろうし、それら全てを総合的にみて医者が行くも行かぬもまた企業進出と同様にメリット、デメリットを勘案しての判断の結果ですよね。
僻地と呼ばれる土地柄であっても喜んで医者が集まってくる施設もあれば、都心部であっても医者が逃げ出して行く施設もある、そもそもどの程度の医療体制を整備するべきなのかといった必要性の検証も含めて各地域、各施設で条件設定していただき、その条件相応のスタッフが集まってくるのが自由主義社会の仕組みと言うものですから、言うなれば手厚く遇するほどその見返りも大きいというわけです。

その意味では世に医療崩壊と言う現代の医療業界においても、きちんとスタッフを大切に扱う施設はこのご時世でもやる気のある人材を大勢集め、経営的にも安定するとともに地域の医療環境を改善しているわけですから、これは労働者の権利擁護、労働環境改善という点もさることながら地域住民にとっても良貨が悪貨を駆逐していっているという良い側面もあると考えることも出来るかと思います。
本来であれば医療系諸団体がこうした局面にこそ声をあげて「スタッフを使い捨てるのではなくきちんと人間として扱いなさい。そうすれば結局あなた達自身も得をすることになるのですよ」と世の道理を主張して行くのが筋ではないかと思うのですが、残念ながら労働者としての医師、特に勤務医の立場の代弁者として社会的に認められるような組織はほぼ存在しないという悲しむべき現実があるわけです。
一方で使う側にしてみれば医者など奴隷労働をさせてでも安く使い潰した方が断然良いに決まっているわけで、どうもこの世間的に注目を集める医師不足と言う現象を、そうした「安あがりに好き放題に」という使う側のロジックを公に強要させていくための錦の御旗に使われているのが気がかりですよね。

医 療 危 機 '09ふくしまの現場から 医療は公共の財産(2009年12月30日福島民友)

 医師不足でかつてない危機に直面する県内医療現場の現状をリポートした「医療危機 09ふくしまの現場から」。連載の締めくくりとして、医師の育成と定着に努める福島医大の医療人育成・支援センター長の藤田禎三さん(64)と、医師不足に悩む公立病院の立場から公立岩瀬病院長の吉田直衛さん(61)の2人に、地域医療を守るための考えを聞いた。

― 医師の県内定着が課題  ―

 福島医大に昨年4月に開設された医療人育成・支援センターは「教育は大学、研修は付属病院」と、従来は分けて考えられがちだった教育と研修を一体的にとらえ、それぞれの質を高めることが目的。特に卒後の臨床研修を充実させることで、県内に定着する医師を増やすのが狙いだ。
 「ただ医師の数が増えれば良いわけではない。(初期研修2年間の後に進む)後期研修は大学に進んだほうがメリットがあることを、学生や研修医にアピールしたい」。藤田さんは、医師の県内定着には大学の魅力を高めることが必要との考えを持つ。
 2004(平成16)年にスタートした新医師臨床研修制度の影響で、学生が大学での研修を敬遠する「医局離れ」が進んだが、同医大では、後期研修医の数は同制度開始以前の水準に回復しつつある。藤田さんは「大学の魅力を高める即効薬はない。教育と研修の質を高めていくという『王道』を進めるしかない」と話す。
 全国自治体病院協議会県支部長でもある吉田さんは「病院運営をしっかりさせるためには、医師がもう少しでも増えないと厳しい」と、公立病院共通の願いを語る。国に対し「医師の地域ごとの配置について、何らかのコントロールは必要。医師の人権も大事だが、医療が崩壊してしまっては地域の患者の人権が守られない」と提言する。吉田さんは「『地域の病院を守りたい』という意識が地元で盛り上がれば、われわれも何とか踏みとどまれる」とも語る。
 公立岩瀬がある須賀川市では「いわせ須賀川の地域医療を考える会」が組織され、コンビニ受診を控えるよう呼び掛ける活動などを展開している。「医療や教育は公共の財産。サービスは一方的なものではなく、みんなで守っていくという意識が必要」と吉田さんは指摘する。

何故大学での研修が敬遠されるようになったのか、なぜ地域の公立病院から医者が逃げ出して行くのかということを考えれば、結局国にお願いして医者を強制配置してもらったところで後になって損をするのはやる気の無い医者達を押し付けられることになる地域住民であるということは明らかです。
「この財政難の時代に医者の待遇改善など無理だ」という人もいるかも知れませんが、前述の記事などを見ても分かりますように、ただ「給料が安いから」と逃げていっている医者というのは実のところそんなに多いわけでもないし、実際問題僻地と呼ばれる地域ほど金銭的にはむしろ恵まれている方が多いものです(経済原理からして当然ですが、日本一医者の集まる東京都の給料が日本一安いのは有名ですよね)。
遠回りなようですが王道を進むことが最も確実に医者と住民の双方がwin-win関係を結ぶことが出来る方法だとすれば、実のところ自治体や病院以上に地域住民の努力こそが最も大事であることは医者が逃げ出して行く地域での逆説からも明らかなところなのですから、それならば他人任せでなく誰にでも協力出来る解決策をやっていくのが誰よりも住民自身のためなのではないかという話です。

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2010年1月 3日 (日)

今日のぐり:「焼肉処 蛮番」

本日は世界各国著名人の話題をお送りします。
先日こういう記事が出ていましたけれども、ご覧になりましたでしょうか

素顔も「鉄の女」、サッチャー英元首相の機密文書が解禁(2009年12月30日AFP)

厳しい要求、短気な性格、そしてウイスキー好き――。英国のマーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)元首相が1979年に首相に就任後数か月間の素顔が、30日に解禁された英公文書館の外務省機密文書で明らかになった。英国では、法律で定められた国立公文書の30年の保管期間が過ぎた文書は公開される。

■カラテ・レディースお断り

 文書に書き込まれたストーリーの中でも最もユニークなのは、サッチャー氏が初の女性首相に就任して1か月後の1979年6月、東京サミット(主要国首脳会議、Tokyo Economic Summit)で訪日を控えたサッチャー氏が「カラテ・レディース」の警護を断ったという話だ。

 サッチャー氏は、日本がサッチャー氏の警護のために20人の女性ボディーガードを準備していると聞き、それを固く辞退したという。

 外務省の文書には「首相は他国の首脳と同じ待遇を希望している。問題は警備の度合いではなく、その方法だ。例えば、ほかの首脳にも各20人のカラテ・ジェントルメンがつくのであれば、首相はなんの異論もない。しかし1人だけ特別扱いされることは望んでいない」と記されている。

(略)

■「厳しい」チェック

 ほかにも、米国初訪問の際、スタッフが考案した1日目の旅程が「十分に面白くない」と叱りつけ、ニューヨーク(New York)の旅程は「充実したプログラム」にするよう要求している。

 文書には、怒ったサッチャー氏が、青いインクの万年筆で下線を引いたりメモを書き入れた跡が散見され、ときにはスタッフの間違った文法に修正まで入れられていた

 ドイツのヘルムート・シュミット(Helmut Schmidt)首相(当時)との晩さん会の準備では、「首相はユーモアの通じる人だったかしら」と聞き、さらに、ジェフリー・ハウ(Geoffrey Howe)財務相(当時)の提出した書類を見て、「非常に出来の悪い文書で、大臣はこのとき『別件で忙しかった』と好意的に考える以外ありませんね」と書き残したことも明らかになった。

まあ女性宰相だからと「カラテレディース」という歓待側のセンスもいささかどうよという気もしないでもないところですが…まあこのあたりはあちらの文書の方が例によってブリ流の諧謔に満ちていた可能性もありますかね。
しかし国際外交の場でブリ流のユーモア精神を発揮されてしまうと、これは下手をすると国際問題になりはしないかと心配にもなるところですが…
さて、一国を代表するような著名人ともなりますとそれなりに興味深い逸話には事欠かないものですけれども、怖いものなしとも思われそうな独裁者でもやはり怖いものがあったというニュースがこちらです。

演説上手で恐れ知らずの総統ヒトラーも歯医者だけは怖かった(2009年12月11日GigaZINE)

数千万人の血に染まり史上最も恐れられた独裁者の一人として知られるアドルフ・ヒトラーですが、民衆の前では「恐れ知らずの勇敢なリーダー」というイメージを提示した彼も歯医者に対する恐怖だけは生涯克服できなかったようです。

ヒトラーお抱えの歯科医Johannes Blaschkeについて書かれ今年11月にドイツで出版されたMenevse Deprem-Hennen著「Dentist des Teufels(悪魔の歯医者)」では、これまで公開されたことのないJohannes Blaschkeの手記やヒトラーほかナチス要人のカルテを含む興味深い記録がひも解かれています。

詳細は以下から。
'He couldn't stand the pain': Nazi records show how Hitler hated going to the dentist | Mail Online

ヒトラーの歯医者嫌いは内輪では有名だったとのこと。Johannes Blaschkeの手記ではヒトラーが「痛みに耐えきれず、単純な歯根管の手術を8日間に分けて行った」ことや、「膿瘍(のうよう)や歯周病があり、非常に臭い息の持ち主だった」ことが明かされています。

20年間ヒトラーのお抱え歯科医だったJohannes Blaschke。武装親衛隊の少将の地位にあったBlaschkeはヒトラーの歯科医であることを非常に誇りに思っていましたが、ヒトラーの方はというとBlaschkeに会わねばならない機会を忌避していたようです。

自らも歯科医である「悪魔の歯医者」の著者Menevse Deprem-Hennen博士は、数奇な経緯により、これまで公開されたことのなかったJohannes Blaschkeにより記録された1930年代から40年代のヒトラーを含むナチスの要人たちの歯のカルテを研究する機会を得ました。
(略)
Blaschkeは、ヒトラーの後年の歯周病や歯のトラブルの主な原因は、第一次世界大戦前のウィーンで浮浪人のような生活を送っていたときの粗末な食生活のせいだろう、とも書き留めています。

ヒトラーのほかにも、空軍総司令官であったヘルマン・ゲーリングもBlaschkeの患者であり、ゲーリングもまた歯医者を非常に恐れていて、Blaschkeによると「イスに座る前から泣いていたほど」とのこと。「ドイツ空軍の総司令官として歯が欠けた姿は部下に見せられないとのことで、歯を抜くときは事前にプロテーゼを用意し、その日のうちに入れなければいけなかった」と、当時見られたら命が危なかったのでは?と少し心配してしまうような内容も赤裸々に書かれています。
(略)

ヒトラー総統もさることながらゲーリング元帥もずいぶんと逸話の多い人物ですけれども、こうして見ると意外に気を使っているところおあるのだなと認識を新たにするところですね。
さて、大統領職を降りても未だ現代ロシア最大の権力者とも言われるのがこちらプーチン首相ですが、昨年は「虎狩り」を報じられるなど柔道で鍛えたタフガイぶりは相変わらず、そしてまた権力者ぶりも健在のようですよね。

プーチン首相一喝、解任の嵐 ナイトクラブ火災(2009年12月10日朝日新聞)

【モスクワ=副島英樹】ロシア中部ペルミで5日未明に発生したナイトクラブの火災は、10日までに死者が計132人に達し、行政当局者が相次いで解任される事態になっている。8日未明に現場を視察したプーチン首相が、当局者らを「怠慢だ」と叱責(しっせき)したことが引き金となった形だ。

 プーチン首相は多くのロウソクや花が供えられた現場を自ら訪れ、赤い花束をささげた。その後に開かれた特別会議で、このクラブが消防検査で安全対策上の違反の改善を命令されながら、放置してきたと指摘。「検査後、1年間もだれもチェックに訪れなかった。怠慢としか言いようがない」と国家・地方レベルの消防当局を厳しく批判した。

 これを受けてショイグ緊急事態相は8日、ただちに国家消防監督局のペルミ地方長官ら7人を解任。9日にはペルミ地方政府が閣僚の総辞職を表明し、ペルミ市長も辞意を表した

 メドベージェフ大統領が8日にチャイカ検事総長と会談し、「怠慢は国家的脅威だ」と発言したことも影響しているようだ。

 今回の火災は花火の不適切な使用が原因とされ、出口の位置など構造上の欠陥が多数の犠牲を招いたともいわれている。これまでに、クラブの支配人や設立者ら計4人が防火安全規則違反などで刑事訴追された。

 新年やクリスマスで花火の需要が高まるのを前に、人が大勢集まる場所での花火使用を法的に禁止する動きも出ている。ロシア南部・北オセチア共和国ではすでに、消防当局の同意なしに室内や多くの人が集まる場所での花火製品の使用を禁止。モスクワのルシコフ市長も9日、ナイトクラブやレストランなどでの花火使用を禁止する命令書に署名した。

ロシアらしいとも思う一方で、こういう一刀両断ぶりがかの地でのプーチン氏の圧倒的人気に結びついている側面も大いにあるようですけれども、まあ何にしろ大変なものですよね。
怖いといえばプーチン氏とはまた別な意味で怖いのがこちらギニアからの話題です。

ギニアで大人気のテレビ番組!カマラ大尉、恐怖のインタビュー(2009年10月30日X BRAND)

答えるんだ、この野郎! キサマが答えないなら、この番組は朝まで続く」 怒声が響くスタジオ。無言の観客。震え上がるゲスト……。

なんとこれは現在、ギニア共和国で国民に大人気のテレビ番組の一場面だ。その名も『ダディ・ショー』。国営テレビ局で放送中のこの番組では毎回、VIPゲストを呼んではインタビューの模様を生放送で見せている。

そこまではよくあるインタビュー番組と変わらない。だが、この番組はちょっと変わっている。なんと、ホストを務めているのがクーデターを起こしてギニアの政権を握った軍人、ムーサ・ダディ・カマラ大尉なのだ。

ギニアでは、ランサナ・コンテ大統領による25年間の長期政権が続いていた。長期政権は政治腐敗を招き、政府要人が南米の麻薬カルテルに買収される事態にまで発展。ギニアはコカイン流通の一端を担っていたのである。

ボーキサイトなどの天然資源に恵まれながら、政府関係者が富を独占し、国民はひたすら貧窮に喘ぐ日々。

だがそんなギニアに転機が訪れる。昨年の12月にコンテ大統領が死去するや、すかさずカマラ大尉が暫定大統領に就任。前政権で汚職に携わったとされる政府要人を番組のVIPゲストとして“招待”し、冒頭のようにカメラの前でじっくりと話を聴くのである。画面越しには苦汁を舐めてきた国民が見ている。番組の冒頭でホストのカマラ大尉が視聴者に向かって吠える。

「麻薬と汚職がこの国を滅ぼしかけた。だが、これからは違う。麻薬カルテルは、オレの買収は考えないほうがいい」

そして、今日もまたゲストはカラシニコフを手にした兵士に囲まれながら、ダディこと、カマラ大尉に恫喝されるのだ。ちなみに、番組の名場面を集めたDVDボックス『ベスト・オブ・ダディ・ショー』も出回っているそうだ。

いやあ、「じっくり話を聴」けるような状況なのかどうか、なにか想像するだけでも正直かな~り怖いというか沙羅にならないような話なんですけれども、人民裁判もメディアを利用する時代になったってことですかね?
最後はこちら、やはり締めはブリの誇る王子殿下にご登場いただかないわけにはいきませんでしょう。

英ウィリアム王子、自ら「ホームレス」を体験(2009年12月23日AFP)

英国のウィリアム王子(Prince William)が、ホームレスの窮状に関心を寄せてもらおうと、ロンドン(London)で一夜の路上生活を体験した。ホームレス支援団体「センターポイント(Centrepoint)」が22日明らかにした。

 英国の王位継承順位第2位のウィリアム王子は前週、気温がマイナス4度まで下がるなか、テムズ川(River Thames)のそばの路地で段ボールの上に寝そべり、眠れぬ夜を過ごした

 王子に同行したセンターポイントのセイ・オバキン(Seyi Obakin)氏は、「厳しい寒さや硬いコンクリートを和らげてくれるものはなにもない。麻薬密売人などに声をかけられたり、誰かに蹴りつけられたりする恐怖もある」と語る。

 そして、王子とオバキン氏らは実際、危険な目に遭いそうになった。彼らに気づかずに進んできた道路清掃車にひかれそうになったのだ。

 この体験のあと、王子は「一夜体験した後でも、毎晩ロンドンの路上で寝るということが本当はどういうことなのか、私には想像もできない」と語り、路上生活者が直面しているあらゆる問題について深く理解しようと決心したと語ったという。

 1997年に交通事故で亡くなった母親の故ダイアナ妃(Princess Diana)も、センターポイントを支援していた。英国政府の統計によると、ロンドン市内には現在4500人以上の路上生活者がおり、その40%は国外、主に東欧の出身者だという。

色々とにぎやかな話題の絶えない英王室ではありますけれども、こういう体当たりなところは率直に偉いものだなと思うところですが、綺麗にオチがついてしまうあたりもブリ流ということなのですかね…

今日のぐり:「焼肉処 蛮番」

岡山市役所からもほど近く、大学の玄関前から続く商店街の中程に位置するこちらの焼き肉屋は、一見すると洒落た飲み屋か何かのようにも見えてしまう店構えですね。
焼き肉屋であることが判るだけでメニューなり見本なりが飾ってあるわけでもなく、しかも中が全く見えないので初めて来るともしかして高いんじゃないか、なんて心配になりそうですけれども、大学の近所にあるということからも判る通り極端な値付けということはなく、このあたりの標準からやや高めという程度の価格帯になるようですね。
ちなみに一階が普通のテーブル席、二階はテーブル席もありますが座敷が用意してあって小宴会にも対応できるようです(もっとも宴会となれば貸し切りにしてもおかしくない程度の広さではありますけれども)。

ここは肉以外にもわりあいメニューが充実しているようですが、この日は同行者が数人いましたので焼肉からユッケ、石焼きビビンバにカルビクッパ、チヂミにテールスープなどなどいろいろと頼んでみました。
肉は並、上、特上、和牛などいろいろと能書きがついていてそれぞれ持ち味があるのでしょうが、上あたりは赤身中心で特記するような美味というほどではないにしろ、常識的な価格で脂の味ではなくきちんと肉のうま味が楽しめるところは良いのかなと思いますね。
特上の神戸牛はいささかサシ過剰で脂ぎりすぎている上に味自体にも深みはなく、コストパフォーマンスのことをさておいても最上級の肉と比べると明確に見劣りしますから、ここは素直に上あたりを中心に食べておいた方がいいんじゃないかと言う感じでしょうか。
ちなみに焼肉五種十人前のセットメニューがあって値段も内容も手頃ですから、数人のグループで特にこだわりがなければこういうのも簡単で良いのかなと思います。

肉の味としては概ね値段相応と言うところで特に印象に残るほどではないのですが、こちらの場合いろいろとサイドメニューが豊富にそろっているのはありがたいですね。
個人的にそれが存在していれば必ず頼むという石焼きビビンバですが、コチュジャンの塩梅かやや全体の味に切れ味がないかなとも感じますが、逆に辛さが苦手な向きにはこういう味の方が食べやすいのかも知れません。
韓国料理が並んでいても辛さ控えめというのは全般に共通する傾向のようで、タレなども通常の濃厚な味のタレよりたっぷりの大根おろしを添えたさっぱりタレの方を推しているようですし、ユッケもややタレが甘口ですが生肉が苦手な人間にも食べやすく、ほっくりさっくり焼き上がったチヂミもあっさり味で食べやすいと、どれも日本的と言いますか万人向けな味という印象です。

全般にはやや味に特徴がないのが欠点かと言う気もしますけれども、最近は各地に本格的な韓国料理屋もあって、刺激や特徴ある味の求める向きには最初からそちらにいくでしょうから、いろいろな客層がやってくる町の焼き肉屋にはこういう味の方が無難なんじゃないかという気もしますね。
場所柄大学や官公庁絡みなどでの需要も相応にあるのかも知れませんが、味の方向性に加えてセットメニューもいろいろとあるようですから、グループなどでちょっとした宴会をやるには手頃な店なのかも知れません。

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2010年1月 2日 (土)

今日のぐり:「そば処 甚五呂」

最近では季節感がなくなったとは言われますけれども、冬にもなって夏の花が咲いていると言うのはやはりどうかと思わされるニュースがこちらです。

季節はずれのヒマワリ大輪 富山の休耕田 原因分からず(2009年12月11日朝日新聞)

 富山県上市町の休耕田で、季節はずれのヒマワリが10アールあまりにわたって黄色の大輪を広げている。

 土地を管理する土井純一さん(59)によると、一帯ではお盆明けまで咲いていたヒマワリを裁断し、土を耕してソバの種をまいていた。だが11月末、ヒマワリがいっせいに広がったという。

 開花の原因ははっきりしない。「年越し用にでも」と楽しみにしていたソバを収穫できなかった土井さんも「暖かい日が多かったからかな……」と首をひねっている。(久保田一道)

せっかくの蕎麦を収穫出来なかったのも哀しいというしかない話ですけれども、残っていた種が発芽してしまうほどに暖かかったということなんですかね?
本日は生き物の不思議とも言うべきニュースを取り上げてみますが、こちらも奇跡は奇跡でも少しばかりアレな感じもする奇跡というものもあるというのがこちらの話です。

「奇跡のミカン」抽選配布 ゴリラが投げたフンから発芽 (2009年12月28日中日新聞)

 犬山市の日本モンキーセンターで27日、ゴリラのふんに交じって種が生き残り、実を付けた「奇跡のミカン」の摘み取りがあった。収穫は昨年に続き2回目。今回も正月に縁起物として配り、来園者らに“奇跡のおすそ分け”をする

 収穫したのは芽が出て18年目になるハッサク。ゴリラは自分のふんをすみかの外へ放り出す習性があるといい、木は現在おりの横で高さ約6メートルに成長している。

 同センターがふんに種が交じって成長し結実する確率をミカン類の給餌数などを基に計算したところ、結果は実に200万分の1。ゴリラが実を食べる時、種も一緒にかみつぶすなどするためで確率は奇跡的な数字だった。

 この日は職員らがはしごを掛けたり、おりの上に乗ったりしてミカンを収穫。はさみで実を切り取ると布で汚れをふき、のし紙付きの専用紙袋に一個ずつ納めた。

 ミカンを配布するのは1、2の両日で、各日60個。いずれも入園時に整理券を配布し、正午からビジターセンター前で公開抽選する。

 同センターではニシローランドゴリラの夫婦1組を飼育していたが、今年2月に雌のハナコ(推定42歳)が死んで現在は雄のタロウ(36)1頭だけ。

 学芸員の赤見理恵さんは「きれい好きだったハナコは、ふんをよくおりの外へ放り投げていた。ミカンはハナコの形見かもしれません」と話していた。

ゴリラの投げる糞に当たると「運がつく」からおめでたいんだという話もありますけれども、どうもウンのお裾分けとしては微妙な嬉しさが漂うプレゼントという感じなのでしょうか?
科学の進歩というものでいろいろと新しい生き物も誕生してくる世の中ですが、こちらなどは見るからにSFチックな雰囲気ですよね。

透明な金魚…生殖力も旺盛です(2009年12月9日読売新聞)

 うろこが透明で、体内を生きたまま観察できる金魚を、三重大と名古屋大の共同研究チームが開発した。

 金魚は最大で約1キロ・グラムまで成長、血液の成分や、内臓の変化の観察に適するという。9日、横浜市で開かれる日本分子生物学会で発表する。

 研究チームは、色が薄い金魚を選んで約3年がかりで交配実験を繰り返し、うろこが透明な系統を作り出した。一度に数千個の卵を産み、内臓や血管が透けて見えるため解剖せずに観察できる

 これまで研究には、産卵数が多い、ゼブラフィッシュという透明な魚がよく使われていたが、重さ3グラム程度と小さいため、血液の成分や内臓の変化を調べる研究には不向きだった。研究チームの田丸浩・三重大准教授は「色が薄い金魚は商品価値が低かったが、逆転の発想」と話している。

しかし解剖しなくても見えてしまうというのは生物学の教材向けではあるのでしょうけれども、これが金魚だからまだしも犬や猫だったらと思うと何とも微妙なところだったのでしょうか。
教材といえば非常に個人的な感想なんですけれども、鶏などの大きめの卵で卵殻が透明な有精卵といったものが出来れば発生学の教材にちょうどいいような気がするのですができないものですかね。
さてお次も科学の成果とも言うべきニュースではあるのですが、これは世の男性諸氏にはいささか微妙な話ですかね?

寿命1・3倍、体はスリム 雄なしで誕生のマウス(2009年12月12日47ニュース)

 雄が全く関与せず、2匹の雌の卵子から誕生させたマウスは、通常の精子と卵子の受精を経て生まれたマウスより1・3倍長生きだとの研究を、河野友宏東京農業大教授と川原学佐賀大准教授が12日までにまとめた。

 体重は通常マウスの3分の2しかなく、免疫機能が強い傾向もあった。

 河野教授らは「哺乳類で雌の方が長生きなのは、精子の遺伝情報が寿命にマイナスの影響を与えているためかもしれない」と話す一方「寿命には多様な側面があり、人間にも当てはまるかは分からない」としている。

 哺乳類には、父母のどちらから受け継いだかによって働いたり働かなかったりする「インプリント遺伝子」がある。河野教授らは、精子から伝わった場合にだけ働く遺伝子のうち、胎児の発育に必要な遺伝子を働くようにした「雄型」の卵子を作製し、その核を別の卵子に入れてマウスを誕生させる方法を開発。これを「二母性マウス」と名付け、最初のマウス「かぐや」の誕生を2004年に発表した。

「精子の遺伝情報が寿命にマイナスの影響を与えている」なんて言われてしまっては、男性がたも立つ瀬がなさすぎるというものですかね。
しかしこちらは小さくて長生きという話でしたけれども、一方でデカイ方が偉いという価値観も世に根強いわけですが、デカすぎてもまたどうなのかというニュースを紹介しておきましょう。

デカすぎて逆に怖い!身長2メートル超の犬が話題に(2009年12月24日ロケットニュース24)

鼻先から尻尾までの長さがなんと7フィート3インチ(約210センチメートル)もある超巨大なブルーグレートデン種の犬が話題だ。TwitterやFacebookなどのSNSでも紹介され、“世界一背の高い犬”との呼び声も高い。22日、イギリスのデイリーメールが伝えた。

注目を集めているのはアメリカのアリゾナ州に住むナッセル夫妻の愛犬ジョージ(4)。立ちあがると足元から肩までが43インチ(約110センチメートル)で、体重は245ポンド(約111キログラム)という驚異的な大きさだ。

ナッセル夫妻によると、ジョージは毎月110ポンド分(約50キログラム分)の食事をするそうで、「生後7週目から飼っているが、こんなに大きくなるとは思いもよらなかった」と話す。初めは夫妻と同じベッドで寝ていたが大きくなりすぎたため、今ではキングサイズのベッドを1匹で占領している状態だという。

同夫妻は、ギネス申請に向けて準備を進めている段階で、申請に必要な証人を務めた獣医のウィリアム先生は「僕は45年間、大型犬の飼育をしてきたがジョージはそのなかでも最も背の高い犬だ」と太鼓判を押す。

だが、ほかの犬も世界一の座を狙い、ギネスに申請を出しているというから目が離せない。昨年の8月に他界した現記録保持犬のギブソンから記録を譲り受けるのは果たしてジョージなのだろうか。

しかしこのジョージ君、写真を見ていただければ一目瞭然なんですけれども、デカイからとか何とか言う以前にお顔がすでに十分怖いんですけれども…
こういう番犬がいると確かに誰でも裸足で逃げ出したくなりそうですかね。

今日のぐり:「そば処 甚五呂」

寒い時期には蕎麦がうまいですね。
岡山駅西口から少し離れた地下道の近くにある比較的小奇麗で新しそうな店構えなんですけれども、割合最近こちらに移転したらしく結構地元では老舗の蕎麦屋なんだそうですね。
駐車場がとにかく狭い上に幹線道路に直面していて出し入れしにくいんですが、思いがけないほど広い店内が満席になっているあたり、結構地元の歩き客も入っているということなのでしょうか。
目立つところに石臼を飾ってあって本格的な蕎麦屋をアピールしている?割には、丼物とのセットメニューからコースメニューまで手広く取り揃えていたり名物料理が鍋だったりと今ひとつ店のコンセプトがつかみにくいところがあるのですが、この日はごく無難にざるそばを頼んでみました。

この日は混んでいたこともあって結構待たされた時点で少しばかり条件が悪かったかなと言う気もしたのですが、結論から言えば蕎麦自体の出来はそれなりに及第だと思うのですが、出来上がったざるそばとしては表面も荒れて乾き気味かつパサパサと、いささか麺茹で以降の取り扱いに問題があったように思えるものでした。
ここの蕎麦つゆはかなりかえしに特徴があってこの界隈では滅多に見ないくらいの濃い目辛口で、藪系というのでしょうか蕎麦をちょいづけして食べるとうまいという奴ですけれども(何気なくどっぷり漬けこむと大変なことになりますが)、この辺りではそれなりに物珍しさもありますしなかなかいい塩梅だと思います。
このかえしの濃さだともう少しさば節あたりの出汁の味を濃くした方が料理としては味のバランスが取れるのかなとも思うのですが、蕎麦の場合あまり出汁が前に出てくると蕎麦を味わうのに邪魔に成るということを言う人がいますから、蕎麦食文化としてはこういうのが正解なのでしょうね。
ちなみにこういう濃口の蕎麦つゆらしく器の底にごく控えめに注がれていますけれども、こういうつゆの場合ほとんど蕎麦で消費されるということがありませんから蕎麦湯で目一杯希釈してもまだまだ濃いなという感じで、可能であれば器と別に蕎麦つゆを出していただいた方がありがたいですかね。

この界隈では珍しいあちら風の蕎麦つゆといい、それなりにちゃんと打たれた蕎麦といい、老舗らしく決してクオリティーの低い店ではないように思いますけれども、それだけにこの日の蕎麦の扱いが気になりました。
以前に一度空いていた時間帯に来た時にはごく真っ当だったように記憶していますから、この日のような混雑する時間帯だけのオペレーションの問題なんでしょうけれども、せっかくいい蕎麦を打ってもこういう最後のところで雑な扱いをするとずいぶんと印象が悪いですよね。
値段としては昨今よくある高価格帯の蕎麦屋に相当するあたりで、その分店構えから接遇までそれなりにちゃんとしているようには見えるのですけれども、やはり蕎麦屋は他の何より肝心の蕎麦がビシッとうまい方がいいんじゃないかと思います。

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2010年1月 1日 (金)

今日のぐり:「炭火焼 かんべ」

新年明けましておめでとうございます。

新春と言うことでまずは七転び八起きのニュースと言いましょうか、小惑星探査機の「はやぶさ」は色々とトラブル続きで大変らしいですが、それがかえって人気に結びついているようですね。

小惑星探査機「はやぶさ」の健気 ファンが「帰って来い」大合唱(2009年12月5日J-CASTニュース)

  2010年6月に地球帰還を予定している小惑星探査機「はやぶさ」への人気がネット上で高まっている。何度も故障や通信不能状態を繰り返しては修復・補填し、再び軌道修正する健気な姿に魅せられてか、「はやぶさ」ファンが急増しているようだ。

   動画サイト「ユーチューブ」には、アニメーションなどを駆使した約50の関連動画がアップされ、「絶対帰って来い!待ってるから…」「日本を支える技術者達に乾杯!!」などと「はやぶさ」の帰還とそれを支える技術者たちを応援するコメントが多数あがっている。

トラブルに見舞われ続けた

「ユーチューブ」上にアップされた「はやぶさ」の関連動画    「はやぶさ」は2003年5月、火星軌道近傍の小惑星「イトカワ」にある物質(サンプル)採取を目的に、宇宙科学研究所(現:独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙科学研究本部」)が打ち上げた小惑星探査機だ。

   日本の宇宙開発関係者の期待を背負った「はやぶさ」は、マイクロ波放電型イオンエンジンの運用や小惑星の精密な科学観測、地球と月以外の天体からの離陸成功など、いくつもの「世界初」の快挙を成し遂げてきた。また、2005年夏には「イトカワ」に到着しており、サンプル採取に成功している可能性もある。

   ただ、トラブルに見舞われ続けた。4基のイオンエンジンA~Dを搭載していたが、打ち上げ直後にAのイオンを噴射する装置の出力が不安定となり、運転を見合わせた。また、2005年12月には燃料漏れ、機体の姿勢喪失、通信の途絶など難題が相次ぎ、当初の2007年6月の帰還予定を延期せざるを得なくなった。さらに、07年4月にはエンジンBの推力を維持する中和器が故障。09年11月4日にはDの中和器の故障も判明し、異常を検知した「はやぶさ」が自動で停止していることが確認された。

「はやぶさには命が宿ってるとしか思えん」

   一方で「はやぶさ」は、度重なるピンチをその都度、補助エンジンや代替システムなどを駆使して故障箇所を補填、軌道を修正して乗り切ってきた。Dの中和器の故障が確認された2週間後の2009年11月19日には、過去に故障して停止していたエンジン2基の装置を組み合わせて、止まっていたエンジンの噴射に成功。「はやぶさ」は10年6月の帰還に向けて再び動き出している。

   この「はやぶさ復活」のニュースが報じられると、大手SNS「ミクシィ」や個人ブログには、

「はやぶさには命が宿ってるとしか思えん」
「涙が出てきてとまらない」
「日本の科学技術力の鑑!」
「待ってるぞ~必ず帰って来いよ~!」


といった感動し、帰還を願う声が多数書き込まれた。

   はやぶさプロジェクトマネージャーの川口淳一郎教授は、こういったネット上の応援について、「大変心強いです。そういった声は何よりの励みになります」と喜びを隠さない。

   しかし、10年6月に「はやぶさ」が帰還する可能性は、五分五分だという。

「これまで幾度となく危機を乗り越えた『はやぶさ』の運に賭けてみるしかない部分があるのも確かです。現在『はやぶさ』のエンジンは、地上で実験したことのない特殊な状態で動いており、私たちも手探りで運用している状況です。ただ、どんな形になろうとも帰還に尽力したい、プロジェクトをやり遂げたいと考えております」

こういう物や道具の擬人化というのはどんなものにも神様が宿っていると考える日本人の哲学に由来するものなのか、これも日本人の美質の一つなんじゃないかと思いますね。
本日は世界各地から「お国柄」というものを示すニュースを紹介してみますけれども、まずはこちら「リアルロボコップ」の話題です。

車いすの立てこもり犯人が投降 ロボットがホールドアップ 米バージニア州(2009年12月24日産経ニュース)

 AP通信によると、米バージニア州ウィザビルの郵便局で、銃を持った車いすの男が人質5人をとって立てこもっていた事件で、約8時間後の23日深夜、男が警察の説得に応じて投降し、身柄を拘束された。

 男は軍用爆弾を所持しているとの情報もあったため、警官隊もうかつに近づけず、警察側は最新式の銃携帯ロボットを車いすの男に向けて「ホールドアップ」。男は両手を上げたまま、爆弾が装備されている疑いのある車いすから離れ、地面にうつぶせの姿勢をとった。

 詳しい状況は分かっていないが、死傷者はいないもよう。

 男が郵便局に押し入ったのは23日午後2時半(日本時間24日午前3時半)ごろ。地元警察によると、男は元海兵隊員と称しているという。片足がなく、車いすを利用しているという情報の一方、車いすは押していただけとの情報もあり、詳しい犯人像は明らかになっていない。男はまた元海兵隊員と自称し、プラスチック爆弾(C4)を車いすに仕掛けていると話していた。手りゅう弾を所持しているとの目撃もあり、現場には爆発物処理班も待機していた。

 ウィザビルはバージニア州西部に位置し、人口約8000人。

デトロイトならぬこんな田舎町でロボコップ登場というのが面白いですけれども、こういう事件が普通にあって警察が当たり前に対応できるというのも頼もしいというべきなのかアメリカ的と言うべきなのか微妙なところですね。
一方でさらに危機管理が進んで?イスラエルあたりになりますと、日常生活の中でこんなことが起こってしまうようです。

イスラエル、パソコンを銃で破壊 米女子大生の入国検査で(2009年12月19日47ニュース)

【エルサレム共同】米国人の女子大生(21)がエジプトから陸路でイスラエル入りする際に検問所で執拗に尋問された末、パソコンに銃弾3発を撃ち込まれて破壊されたことを、19日までに自身のブログで写真付きで公表した。イスラエルの入国検査はたびたび行き過ぎが批判されている。

 ブログは11月30日付。女子大生がエジプト東部タバからイスラエルに陸路で入国する際、国境警察が約2時間にわたり「どこに行くのか」「ボーイフレンドはいるか」「それはアラブ人かエジプト人かパレスチナ人か」などと尋問したという。

 その後「乗客の疑わしい荷物を爆破する必要があります。銃声がしますがご心配なく」と場内アナウンスが流れたかと思うと、別の場所に連れて行かれ「申し訳ないが、あなたのパソコンを爆破した」と告げられた。実際には3発の銃弾を受け破壊されていたという。

 女子大生はほかに、アラビア語用例集などの「疑わしい物」を持ち歩いていた

日本でこんな調子で「疑わしきは罰する」をやっていれば大騒ぎになりそうなところですけれども、常在戦場の国となるとこういう対応になってくるということなのでしょう。
さて、、四足なら机と椅子以外何でも食べるなんて話が伝わってくる国ともなりますと希少生物も食材扱い?というニュースがこちらです。

野生のトラ殺して食べた男に禁固12年の判決 中国(2009年12月23日産経ニュース)

 中国で野生のトラを殺して食べた男が、禁固12年の判決を受けた。男が食べたのは、中国では最後の野生インドシナトラかもしれないという。現地メディアが22日報じた。

 雲南省出身の男は2月、ラオスとの国境近くの自然保護区でしじみを採っていたときにトラと遭遇し、自衛のために殺したと主張していた。

 中国で最後に確認された野生インドシナトラは同自然保護区で2007年に撮影されたものだが、地元紙によると、男が食べて以降は目撃情報はない

 ただ、森林管理当局は、そのトラが野生インドシナトラの国内最後の1頭である証拠はないとしている。

 現地のポータルサイト(Yunnan.cn)によると、裁判所は男に対し、希少動物を殺した罪で10年、銃器の不法所持で2年の禁固刑を下した。(ロイター)

ま、猛獣を駆除するところまではどこでもよくあることなんですが…しかし中国というと虎のイメージがありますけれども、今ではそれだけ希少になってしまったということなんですかね。
ニュージーランドと言えば牧羊が有名でのんびりしたイメージがありますけれども、あまりにのんびりしすぎるとこうなるということなのでしょうか。

全裸でサイクリング…でも警官に止められたのは別の理由/ニュージーランド(2009年12月27日スポニチ)

 ニュージーランドのビーチで、全裸でサイクリングをしていた男性2人が警官に止められ、注意を受けた。

 理由は服を着ていなかったからではなく、ヘルメットをかぶっていなかったから

 同国の法律では、自転車運転時のヘルメット着用が義務付けられている。裸だったことに対するおとがめはなかった。(DPA=共同)

まあ色々と突っ込みどころは多々あるニュースではありますけれども、やはりこれも英連邦諸国ということでブリの血が騒いだということもあったのでしょうか。
さて、最後に控えますのはやはりこの方々、本家本元のブリの血が騒ぐとこういうことになってくるようです。

脱走の受刑者が逃走中の日常をSNSで更新、英国(2009年12月24日CNN)

ロンドン(CNN) 今年9月に刑務所から脱走したクレイグ・リンチ受刑者(28)がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブックで定期的に情報を更新し続けていると話題になっている。英国の警察は、リンチ受刑者の居場所を突き止めるためフェイスブックに連絡、行方を追っている。

リンチ受刑者は強盗罪で禁固7年が言い渡され、英国東部サフォーク近くの刑務所に収監されていた。しかし、今年9月に脱走。その後、食事の内容や「ガールフレンドが横にいる」など、日常の様子を更新していた。

警察は、リンチ受刑者がどこから更新しているかを突き止めるため、フェイスブックに連絡した。しかし、23日の時点では拘束されていない

このニュースが報道されて以来、リンチ受刑者のフェイスブック(http://www.facebook.com/pages/Craig-Lazie-Lynch/222129176243)には、世界各地から書き込みが寄せられている。一方で、リンチ受刑者は「こっちは気にしてるのに、ホテルの従業員は全然気付かなかった」とも書き込んでいた。

CNNが確認した最新の書き込みは、「逃走劇はもうすぐ終わりだ」などとなっていた。

ま、ネット上の追跡というのもリアルタイムで出来るというわけではないのだと安心するべきなのかというニュースでもありますけれども、わざわざこうして情報公開してしまうあたりがブリということなんですかね。
しかしああ見えてブリの方々、妙に自己顕示欲というものが強いと言うことなんでしょうか、それともブリ流の諧謔精神ということなのでしょうか?

今日のぐり:「炭火焼 かんべ」

福山市街地から少し外れた高台の住宅地の只中という、どう見ても食べ物屋があるようには見えない場所にある鶏料理(特に焼き鳥などの串焼)中心のお店がこちら「かんべ」ですが、これが予約なしではなかなか入れないと評判の知る人ぞ知る人気店なのですね。
ちなみに以前はもう少し街寄りの裏通りに小さなお店を構えていたものが、数年前にこちらに引越してきたというのはこちらにお住まいになっていらっしゃると言うことなのか、それともここの窓から見える夜景が綺麗だからとかいった理由でもあったのでしょうか?
いずれにしても一見さんが通りがかりに立ち寄るなどということはまず考えられない、それ以前に知っていても迷いそうになるような立地ですけれども、公共交通機関もなにもあったものではありませんから訪問には自家用車かタクシーが必須ということになりそうですね。

こちらはセットメニューも一応あって、串焼中心に無難に楽しみたい向きには安上がりでいいのかも知れませんけれども、もう少し捻ってみたいということであればのんびりとメニューを眺めながら随時好みのオーダーを入れていく方が楽しめるのではないかと思います。
この日まずは鶏の刺身や鶏のレバ刺し、そして照り焼きなどから入りましたけれども、生でもうまいこの鶏が皮目に少し火を入れると脂の旨味が活性化され、半生に留められた身肉の甘味と一緒に口の中に広がるのが何ともうれしい一品ですね。
焼き物は皮やササミなど部位によってそれぞれ焼き加減を違えてあってそれぞれに楽しめるのですけれども、特にわさび焼きの表面に火が通っているんだけれども中はほんのり暖かい瑞々しさを保った焼き加減はいつもオーダーせずにはいられません。
揚げ物も軟骨のコリコリした食感、鶏からあげのしっとりした食感の中に香ばしい風味と鶏の旨みを十分楽しめる味わいなど、ついついカロリー過剰になると思いつつ食べてしまうのはどうしたものなんでしょうね。

ご飯物も幾つかあるのですが、せっかくなのですから単に焼きおにぎりなどと言うよりは鶏系のメニューをいってみたいところで、ここでおすすめなのは親子丼よりも店の名前を冠したかんべ丼の方だと思いますね(いや、親子丼もいいんですけどね)。
これはご飯の上にもみ海苔をふってネックの串焼を乗せたというものなんですが、このやや濃い目ながらくどすぎない醤油ダレがご飯と絡まると、もう満腹だと思いながらも箸が進んでしまうという一品です(ちなみに、メニューには乗っていないようですが頼めば小さいサイズでも作ってくれるようです)。
少し予想していなかったところでは最後に甘いものをということでアイスを頂きましたけれども、これが意外なほどまともなもので少しばかり驚きました(もっとも脂気の強い食事が続いた後だけに、こういう濃厚コッテリ系の本格派よりはあっさりしたシャーベットなどの選択肢もあった方がいいのかも知れませんが)。

全般に鶏肉など素材自体の味もよいんですが、その上に単純なようできっちりした仕事を加えて満足の行く一品に仕上げてくるあたり、なかなか侮れない店だなと改めて思いますね。
この焼きに名人芸的なものが要求されるということなのか、混んでくると少しばかり回っていないようなところも見られるのは確かなんですが、そういうところでイライラせずにじっくりと味わうのが正解なのかなという気がします。
何にしろお出かけになる前に予約と地図なりナビなりの用意をしておくのがよろしいかと思いますね。

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