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2009年12月31日 (木)

今日のぐり:「じくや」

年内最後の更新に何を取り上げるか迷うところなしとしないんですけれども、やはり当「ぐり研」の本旨から良いますと食べ物ネタを取り上げないでは済まされませんよね。
少し前の神戸新聞にこんな記事が載っていたのですけれども、世の中何ともすごい世界もあるものだなという感じです。

“動くマンション”神戸に入港 1部屋最高7億円超 (2009年9月26日神戸新聞)

 動くマンションと呼ばれる「ザ・ワールド」(4万3188トン)が26日朝、神戸港に入港した。分譲価格1部屋最高約7億円という世界初の洋上マンションは、同じ港に二度と寄港しないルールだが、来神は2006年以来2度目。神戸ビーフに魅せられた富豪たちが再入港を熱望したという。

 2002年建造。全168室の船室を分譲販売、1室の価格は8000万~7億3000万円ともいわれる。

 船の行き先は住民たちが「自治会」で決めるという。29日まで神戸牛を肥育する牧場などを見て回った後、瀬戸内クルーズを堪能する。

 午前8時すぎ、巨大な白い船体が中突堤に横付けされると、ジャズバンドが軽快な演奏で歓迎。神戸市長田区長田天神町6の男性カメラマン(54)は「どんな職業の人が乗っているのか想像できない。一度乗ってみたい」とまぶしそうに船を見上げていた。

同じ港に二度と寄港しないというのも面白いですけれども、そのルールを破ってまでも来るだけの価値が神戸ビーフにはあったということでしょうか。
そう言えばNBAのトッププレーヤーであるKobe Bryant選手なども、来日した父親が神戸牛のうまさに感激してその名前をつけたというのは有名な話ですから、うまいものは誰が食べてもうまいということなのでしょう。
しかし外国人が日本の食べ物をうまいと言うのは日本人にとっても歓迎すべきことではありますけれども、あまりにこれにハマりすぎて道を踏み外してしまうようですと「変なガイジン」などと後ろ指をさされかねませんので注意が必要です(苦笑)。
Chris Kohler氏と言えば「「日本のカレーライス」を熱愛する米国人記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』」などの記事で知られるように、「日本のカレー中毒患者」として日夜日本のカレーの研究に勤しんでいらっしゃる御方ですけれども(嘘です)、その後より体系的な日本のカレー研究に関するレポートを上梓していただいたようで、これが日本人にとってもなかなか面白い内容です。

日本滞在レポート:『ミツボシ』の欧風カレー(2009年9月24日WIRED NEWS)

Chris Kohler東京発――体力を温存させながら、ビデオゲームを買うために東京中を歩き回る最良のコツは何だろうか? もちろん、カレーライスを食べることだ

筆者は昨年、日本のカレーライスに関する記事(日本語版記事)を掲載して、かなりの反響を呼んだ。そこで今回の日本滞在レポートでは[筆者は現在、東京ゲームショウの取材に来ている(日本語版記事)]、日本の究極のソウルフードであるカレーライスのさまざまなバリエーションについても追求することにした。特に、ゲーム関連の人気スポットの近くにある店についてだ。
今回紹介するカレー店は、東京都の中野にある。中野には、規模は小さいが日本有数のコレクター向けゲームショップである『まんだらけ中野店』がある。まんだらけ中野店は、4階建てのショッピングモール『中野ブロードウェイ』ビルの中にあるのだが、このビルには、カプセル玩具からアニメのセルまで、オタクが大量のお金を費やしてしまいそうなあらゆる商品を販売する小店舗がひしめいている。

ブロードウェイの中を進み、裏口から出て通りをわたると、シックな小さいカレー店『ミツボシ』がある。ここでもお金を費やしてしまうわけだが、とても素晴らしい体験ができるだろう。

『ミツボシ』は「フレンチカレー」を出すが、これは日本では「欧風カレー」として知られるカレーの部類に入る。他のほとんどの日本風カレーと同じように、米飯の上にコクのある茶色いカレールーがかかっているのだが、欧風カレーはもっと甘みがあってフルーティーだ。ルーには、とろ火で煮込んだ肉や野菜の塊がたっぷり入っていることが多く、上に溶けかかったチーズがかかっている場合もある。

伝統的な日本風カレーにはポークカツが乗っていることも多いが、欧風カレーにカツが乗っていることは少ない。しかしミツボシのカレーはカツ付きで、これがまた絶品だ。少量のハーブで風味が加えられていて、イタリア風チキンカツレツに味は少し似ているが、口の中でとろける点が異なる。ウェブサイトでは、カツを純粋に味わうため、カツだけ先に食べてみることを勧めている

さて、カレーの入った器を傾けて、カツとライスの上にかけてみよう。

ミツボシのカレールーは、大半のカレールーよりもかなり薄い(ライスに染み込んで皿の底にたまっている様子に注目してほしい)が、ライスとカツに実においしく絡む。見た目も何と美しいのだろう! それに、複雑に絡み合う様々な風味! 完璧にとろ火で煮込んだ肉の塊、キツネ色のカツ。ソースの中で溶けてライスにまで達しているチーズ。見て満足、食べて満足のカレーだ。私はいつも、隠れた逸品に出くわすことを期待して、新しいカレー店をいろいろ試しているのだが、ミツボシはまさに大当たりだ。
(略)
中野ブロードウェイビルで今度散財した時には、反省の気持ちを紛らわせるために、この店をきっとまた訪れることだろう。

日本滞在レポート:「金沢カレー」の探究(2009年9月25日WIRED NEWS)

Chris Kohler東京発――石川県の金沢市から名前が付いた「金沢カレー」は、日本のカレーの1種であり、濃厚でドロッとしたルーが特徴だ。その濃厚さゆえ、フォーク、あるいはいわゆる「先割れスプーン」で食べられる。

金沢カレーは、発祥の地で最も知られているのはもちろんだが、日本のあらゆるところで、さらには米国でも出会うことができる。筆者が以前紹介した(日本語版記事)、ニューヨーク市で最も有名な『ゴーゴーカレー』は金沢スタイルだ。

個人的には、これこそ慣れ親しんだ味だ。筆者の最初の日本体験は金沢大学で過ごした1年間だったのだが、ここの学食ではこの素晴らしいカレーが毎日登場していた。それで筆者は、マンハッタンの大勢のゴーゴーカレー・ファンと同じように、これこそが日本のカレーの作り方だと勘違いしたものだ。しかし、日本で人気のあるランチメニューであるカレーにはたくさんの種類があり、金沢カレーはその1つにすぎない。

日本のカレーは概して、インドカレーやタイカレーとは全く異なる――辛さに挑戦する料理ではなく、気負わずに食べられる料理だ。金沢カレーは日本以外ではほとんど知られていない(Googleで検索してみると、この記事を書いている段階で、筆者のTwitterアカウントが3番目に出てくる)が、日本語のWikipediaでは、カレーオタクが金沢カレーの特徴について詳しく説明している。

・ルーは濃厚でドロッとしている(カラメル等を加えている)
・付け合わせとしてキャベツの千切りが載っている
・ステンレスの皿に盛られている
・フォークまたは先割れスプーンで食べる
・ルーの上にカツを載せ、その上にはソースがかかっている
・ルーを全体にかけて白いライスが見えないように盛り付ける

たしかに、皿への盛り方なども興味深いのだが、金沢カレーの独特のおいしさは、カラメルを加えていることによる甘みにある。

最近、金沢カレーは最もありそうもない場所で増殖している――東京の電気街であり、オタク文化街でもある秋葉原だ。日本の他の報道が示すように、秋葉原の街では、ビデオゲームや漫画やフラットスクリーンTVなどと混じって、3つ以上の金沢カレー店が互いに100メートルも離れていないところに林立しているのだ。この街に住み、筆者のカレー史を知っている友人は、テレビ番組で金沢カレーの最近の躍進を観て、筆者のことを思い出したという。

最も有名なのはゴーゴーカレーだ(上の写真)。これまでは奥まったところに店があったのだが、昨年末、アキバ中心地に新しい支店がオープンした。アクションフィギュアとレトロゲームに大金をつぎ込むその合間に食するランチには最適だ。

ここは、心臓に悪そうな各種トッピングで有名だ。普通のポークカツやチキンカツも注文できるが、全部を載せた『メジャーカレー』もある。カツは2枚、ゆで卵、エビフライ、そしてソーセージ2本だ。さらに空腹な人には、先述のトッピングにライスやカレーソースが特盛りされ、2.5キログラムの総重量を誇る『ワールドチャンピオンカレー』もある

アルバのカレー

角を曲がると、『カレーの市民アルバ』がある。ゴーゴーカレーと良く似たカレーを出し、トッピングを山盛りにした『ホームランカレー』もある。アルバには、ゴーゴーには無いトッピング(目玉焼きとクリームコロッケ)もある。なお、アルバのルーは若干薄く、ライスの方にまで落ちて行く。これに対してゴーゴーのルーは大変濃厚でライスの上にそのまま載っている。さらに、ゴーゴーのほうがカツが大きい。

キュアメイドカフェのカレー

だが秋葉原に行くなら、あちこちにある有名なメイドカフェ(日本語版記事)の1つをひいきにすべきではないだろうか。金沢カレーよりも短期間で秋葉原に広がったものがあるとすれば、それはメイドカフェだ。

メイドカフェとは、ビクトリア朝の家具を揃え、おいしい軽食を提供する、小さくてかわいらしい喫茶店だ。ここで最も重要なのは、テーブルの間を優雅に歩き回り、客を「ご主人様」や「お嬢様」と呼びつつ、何かにつけて深くお辞儀をする、フランスのメイド服を着た若い女性店員だ。

ここでは、さまざまなフェティシズムについて議論するのはやめて、カレーの話に集中しよう。アキバで最も古くて最も有名なメイドカフェの1つ、『キュアメイドカフェ』は、アルバの向かい側にあるビルの6階にある。このビルには、大量のガチャポンで埋め尽くされている有名な店も入っている。

このメイドカフェでは普通のビーフカレーも出すが、金沢カレーのひとつである『チャンピオンカレー』も出している[『カレーのチャンピオン』からルーを取り寄せている]。ここのカレーは今までの2店とはちょっと違う。キッチンのメイド(そう、もちろん、キッチンにいるスタッフもメイド服を着ているのだ)は、カツをかなり薄く切る。しかし全部は切っていないので、食べながら切っていく必要がある。また、ルーは余り多くない。

秋葉原のさまざまな金沢カレーを試した後で、筆者としてはゴーゴーカレーをイチオシにしたいと思う。彼らは優れた品を提供しており、店も繁盛している。それでも、世界のオタクたちの首都に行き、カレーを食べることが習慣になっている読者にとって、アルバやキュアメイドカフェのカレーを試してみる理由は充分にある。

何かしらこう、カレー中毒になるということは健全な日常生活を営む上でそれなりに障害にもなるのだろうなとも思わされる記事なんですけれども(苦笑)、やはり金沢で住み暮らしたChris Kohler氏としては金沢カレーにご執心のようですよね(スタンダードな日本のカレーとはそういうものだと勘違いしていた、なんてことまで言っていますけれども)。
人間と言うものはどこにあっても食べていかないと生きていけないのは当然ですけれども、我々が外国にいってもやはり食べ物というものはそれなりに気を使うところがありますから、外国人から見ても日本の食習慣が気になるのは当然ではあるでしょう。
アメリカ人のサイトなどでは「なんにでもマヨネーズが気になる」という声もあったようですけれども、他にも彼らの目を惹くのが日本の弁当文化のようで、確かにコンビニに入ると多種多様の弁当が並んでいる光景というものは日本の特徴ではありますよね。
最近では一部の濃い人々の間で日本のキャラ弁が注目されているという話は以前にも紹介したところですが、とうとうキャラ弁作り方指南の本まで出してしまった人もいるのだとか。

しかしこれ、サイトの表紙写真をクリックすると掲載されているレシピが紹介されるんですけれども、アニキャラなどの真面目な?キャラ弁も多々ある一方で「JR東日本」とかもう何がなにやら(苦笑)、ちょっとそれは悪乗りしすぎでしょって感じも一部あるにはあるんですが(笑)。
いやはや、日本文化というものもこうして見ると結構妙な方向にも奥深いものなんだなと、改めて再認識させられるような興味深い視点ではありましたね。

今日のぐり:「じくや」

岡山駅の西口側にある商店街というと昭和の雰囲気を色濃く残す奉還町商店街がありますけれども、この商店街から少し脇道に入ったところにある蕎麦屋がこちら「じくや」です。
場所柄どうしたって目立ちようもないと言ってしまえばそれまでなんですが、とにかく店の所在自体も知っていなければ見過ごしてしまいそうなくらいに目立たない店なんですね。
外観もどこか喫茶店っぽい雰囲気もあったりして手打ちそばの看板がなければ蕎麦屋とも思わず通り過ぎてしまいそうなんですが、中に入ってみると足つき白黒テレビやら真空管ラジオやら昭和系レトロアイテムがところ狭しと並んでいるところにもってきて、かかっているのが洋楽のオールディーズですから、これは一体何の店かと少しばかり戸惑うところなしとしません。
おかげで?テーブルは四人がけにしてはずいぶんと小ぶりなものが並んでいるのですが、この上に予めお盆と箸がセットされていまして、最初「あれ?予約席?」と勘違いしてしまいましたよ(しかしこのお盆のサイズでは四人分並べるのはかなりきついのでは…実際各テーブル二つずつしかお盆が用意されていないんですが)。

いわゆるざるに相当するものが普通のそばである「せいろ」と、読んで字のごとくな「更科」があるのですけれども、この日は両方とも食べてみました。
席についてごそごそとしていたんですがふと香りに気づいてテーブルを見てみますと、ここまで香り立つのは今まで見たことないというくらいに香ばしい蕎麦茶が用意されているではありませんか(蕎麦には煎茶の香りより蕎麦茶の方が合うような気がします)。
せいろの方がいわゆる普通のもり蕎麦なんですが、これがなかなかの逸品で見た目の色つや、口にしての味、香り、舌触りそしてノド越しとどれも合格点をつけられる仕上がりですから、これだけで腹をふくらませたくなるような誘惑にかられて大盛りを頼んでしまう人も多いのかも知れません。
一方で更科の方は冷や麦か何かと思うくらいに真っ白な色合いが美しい一品ですが、全般にさらに繊細な味となめらかな舌触りはさらに一段上をいく一方、濃厚な蕎麦の香りが好きという向きにはせいろの方が合うんだろうなとも思います。
いずれにしてもどちらもなかなかに満足のいく出来上がりで、他にもいろいろと蕎麦メニューはあるようですけれども、シンプルにこの二つだけ食べているだけで十分じゃないかと思わされるくらいの力はあります。

ここの蕎麦つゆは本格的な江戸風蕎麦というには少し出汁の味優位で関西入っている的な味かなという感じですけれども、このあたりの土地柄でこの蕎麦の味でしたらこれくらいが丁度いいんじゃないかとも思いますね。
入店した時間帯からするとひどく濃厚な蕎麦湯はいかにも粉を溶いていそうな見た目と味なんですけれども、まあ今の時代純然たる茹で湯だけだと「味が薄い!」と納得しないお客さんが出てくる可能性がありますから、こればかりは仕方がないところなのでしょう。
細かいところですが薬味でついてくるネギは白ネギの部分だけ丁寧に薄切りにしてあるあたり、自前の蕎麦の味が判っているんだなと感じさせられます(ただし、それでもこの時期のこの蕎麦に敢えて用いるべきかと言われると微妙ですけれども)。
今時こういうところで蕎麦なんてものを食っているような客はそれほど価格破壊だなんだとうるさいことは言わないのかも知れませんけれども、特筆すべきはこの蕎麦のレベルにして極めて庶民的なお値段であるということで、コストパフォーマンス的に見てもこれは文句なくお値打ちであるということは断言できます。
強いて個人的な好みから難点を言わせてもらえば、蕎麦はもう少し静かな環境で味わいたい気がするところですけれども、ここまで蕎麦の味以外の部分で自分の流儀を押し通されてしまうとそれもまた店の味ということになってしまうんでしょうね(苦笑)。

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コメント

カレーの嗜眠からは外れますが、金沢に八番ラーメンという一大ラーメンチェーンがあって、岡山にも支店があるという話ですが、おあじは如何でしょうか?

投稿: 18R-GEU | 2010年1月 1日 (金) 02時06分

たしか以前に早島のお店にお邪魔したことがあったと思います。
いかにもチェーン店のラーメンという感じで、今時のラーメンとしてはごく普通といったところでしょうか?
http://gurikenblog.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/8-d94f.html

投稿: 管理人nobu | 2010年1月 1日 (金) 13時35分

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