« 今日のぐり;「おらんく家本店」 | トップページ | 新型インフルエンザ 病気による混乱ならまだ救いがありますが »

2009年11月 9日 (月)

青息吐息の病院経営 戦犯捜しが斜め上方向に逸脱しても困りますが

少し前にこんな記事がありました。

病院倒産件数が過去最悪 小泉改革が経営直撃(2009年10月27日zakzak)

 病院、医院などを運営する医療法人の経営破綻が急増している。今年に入ってから9月末までの倒産件数が53件に達し、この時点で年間の過去最悪記録を突破。競争激化や診療報酬引き下げなどで経営が悪化、資金繰りが行き詰まるケースが多い。医療業界からは「小泉政権の医療制度改革が倒産急増という形で吹き出している」との批判も出ている。

 今年4月には、大手総合病院の「平野同仁会」(岡山)が民事再生法の適用を申請。負債総額は医療業界では今年最大となる59億円だった。
 5月には、診療所経営「きのだ会」(大阪、負債総額21億円)、人間ドックが中心の「社団アース」(東京、同7億円)がそれぞれ破産を申請している。
 東京商工リサーチによると、総合病院や小規模クリニック、医院などの医療法人の倒産件数は9月末現在で53件。「統計を取り始めた1989年以降で最多だった07年の年間52件をすでに超えている」(商工リサーチ)ほどの惨状だ。
 おもな原因は、一般企業の収益にあたる診療報酬急減による資金繰りの悪化だ。
 羽振りのよさでは金融業界にも劣らないといわれた医療業界。しかし、いまや「(倒産は)明日はわが身とおびえている病院は少なくない」(医療関係者)という。

 大手総合病院を経営する50代の医師が次のように明かす。
 「小泉政権が打ち出した年間2200億円の社会保障費削減が相当響いている。この削減策を受けて始まった『後期高齢者医療制度』で、75歳以上の高齢者の受診が急激に減り、さらに『療養型病床』を大幅に削減する政策がとられたことで、診療報酬の減少に拍車がかかった」
 後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者が全員加入する公的医療保険制度のことで、08年に創設された。制度導入以前に扶養家族となり、保険料を払う必要がなかった高齢者も新たに保険料を支払わなくてはいけなくなり、高齢者の医療負担が増加した。
 「この制度には国民の批判が集まり、自民党が8月の総選挙で惨敗する一因にもなった」(永田町筋)
 療養型病床とは高齢者を中心に慢性疾患を抱える患者を受け入れる病床を指す。先の大手総合病院経営の医師がいう。
 「このほか、小泉政権下で改正された研修医制度も大きい。大学の研修医が自由に研修先を選べるようになり、一部の人気病院に研修医が集中して、本当に医師が必要な病院や地方の病院に人手が回らなくなった。医師不足で診療体制が手薄になった大学病院のなかには、関連病院から医師を引き揚げる現象も起きている」
 大学から医師を引き揚げられた関連病院や地方の病院では、医師不足による診療サービスの低下が進んで、受診者離れが加速。病院経営を直撃しているという。

 民主党はマニフェスト(政権公約)に、後期高齢者医療制度の廃止や医療崩壊に歯止めをかけることを盛り込んでおり、「医療業界もかなり期待している」(先の医師)という。
 商工リサーチは「民主党の制度改革が実現するにしても、時間がかかればその間に倒産件数は増加する。受診者が多い大都市の病院は何とかなるが、地方の病院が置かれた立場はかなり深刻だ。医療機関は余談を許さない状況が続いている」と警戒している。

実のところ大型倒産だと騒いでいますけれども、もともと利益を出さなければ生き残っていけない民間病院だからこそこの程度でも赤字になればやめているわけで、今も青息吐息で運営を続けている公立病院の赤字などというものは、あちらでもこちらでも到底こんなレベルではないということは承知しておかなければならないでしょうね。
今どきどこの業界でも倒産だ経営不振だという話題には事欠きませんから、医療業界だけが未来永劫健全経営というのも違和感があるのは確かですが、この記事にも見られますように最近ではあちこちから「戦犯捜し」の声が高まってきているようですね。
最近少しばかり話題になったのが以前に市職員全員の給与額を公表してみたり、市議の不人気投票をしてみたりといろいろと話題に事欠かない竹原信一・阿久根市長のブログですが、こちらでは「医師が金儲けに走っている為」と非常に明快です(苦笑)。

医師不足の原因は医師会(2009年11月8日阿久根市長ブログ記事)

 医師不足が全国的な問題になっている。特に勤務医の不足は深刻だ。
医師が金儲けに走っている為だが、この体質を後押ししてきたのが医師会だった。

以下 池田信夫blogから引用
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f65bacae249f66488dc8bfc3e9fbe384

----------------------
かつて「医師過剰」の是正を繰り返し求めたのは日本医師会出身の議員だった。たとえば1993年に参議院文教委員会で、宮崎秀樹議員(当時)は
次は、大学の医学部、医科大学の学生定員の問題でございます。これに関しましてはいろいろ定員削減という方向で文部省と厚生省との話し合いができておりまして、一〇%削減、こういう目標を立ててやっているのですが、実際にはそこまでいっていない。[・・・]例えば昭和六十三年には十万対百六十四人だった。これが平成三十七年には三百人になるんです。三百人というのはいかにも医師の数が多過ぎる。
と医学部の定員削減を求めている。宮崎氏は日本医師会の副会長を歴任した。
----------引用おわり

 勤務医師不足を解消する為に勤務医の給料を現在の1500万円程度から開業医(2500万円程度)に近づけるべきなどとの議論が出てきている。
しかしこんな事では問題は解決しない。医者業界の金持ちが増えるだけのこと。

医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。できてもいない。例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。
「生まれる事は喜びで、死は忌むべき事」というのは間違いだ。個人的な欲でデタラメをするのはもっての外だが、センチメンタリズムで社会を作る責任を果たすことはできない。
社会は志を掲げ、意志を持って悲しみを引き受けなければならない。未来を作るために。

まあ記事を見ても判るようにかなり独特な感性をお持ちの方なんでしょうが(苦笑)、そう言えば阿久根市では市職員である医師が市長の倍額以上というとんでもない高給取りであったことが判明してひと頃「諸悪の元凶?!(笑)」と話題になりましたけれども、ああいう金儲け主義の医者はとっくに同市から排除されたと言うことなのか、その後消えてしまっているようですね。
特に自治体病院の経営は近年ますます深刻化してきていて、「医師が金儲けに走っている」ことが諸悪の根源と言い張っていれば市長として住民に言い訳がしやすいのは確かなんでしょうけれども、ところが実際に誰が金儲けに走っているのかというと、これはお得意の情緒的発言ではなく客観的データを元に示さなければならないところですね。

国公立病院、放漫経営で8割赤字も年収は民間の1.8倍と判明(2009年11月7日MONEYzine)

 自治体病院のうち約8割が赤字という状況の中、国公立病院の事務職員の平均年収は600万円台で、民間病院の約1.8倍に及ぶことが判明した。

 厚生労働省がまとめた2008年度の医療経済実態調査で、国公立病院の事務職員の平均年収は600万円台で、民間病院の約1.8倍に及ぶことが判明した。

 全国に957ある自治体病院のうち約8割が赤字決算(2007年度)という状況の中、国立病院の事務職員の平均年収は08年度時点で687万円となり、民間病院の事務職員(351万円)の1.95倍に達していたことが明らかとなった。公立病院の職員の年収は625万円で民間の1.78倍だった。

 国公立病院の経営が悪化している背景には、もともとコスト意識に欠ける役所体質だったところに医療費抑制を目的に診療報酬のマイナス改定が相次ぎ、医師不足から診療科を縮小、医業収入が大幅に落ち込むという悪循環に陥っていることが挙げられるが、職員の給料が民間より高いことも高コスト体質を招き状況を悪化させている。自治体病院には、自治体の一般会計から繰り入れが行われており、これが医業収入に含まれるが、国公立病院の医業収益に占める給与費の割合(今年6月の単月ベース)は約59%。国公立を除く病院の約53%より高かった

 民間より優遇されているにもかかわらず赤字は拡大を続け、放漫経営が問題になっている一方で、現場では手術件数を増やすなど病院経営を維持するために必死だ。しかしこれが逆に慢性的に医師が不足する状況を生み出し、医療の質の低下へつながっている。医師不足対策として長妻昭厚生労働相は、来年度の診療報酬改定で国公立などの大病院に手厚く配分する考えだが、給与の官民格差が浮き彫りになったことで議論も起こりそうだ

 今回の調査対象は独立行政法人の国立病院機構が運営する病院、労災病院、都道府県立や市町村立の公立病院など。個人経営の病院を含め、160の施設から回答を得た。自治体の体力により多くの繰り入れが可能なところもあるので、赤字がその病院の経営努力を必ずしも反映していない場合もあるが、経営形態を自治体の直営に執着しない改革が求められている。

いやまあ、今さら判明なんて言っていますけれども、そんなことははるか昔から当たり前の常識なのであって、ただ単にマスコミが今まで全くといっていいほど報道していなかったというだけの話なんですけれどもね(苦笑)。
そんなものは公立病院=糞病院という評価がとっくに定着しているネット界隈では「公務員様の足許にひれ伏す奴隷医者」という構図は定説なのであって、今どきそんなところで医療をやろうなどと考えているのはよほどの情弱か奴隷根性が染みついた奇特な御仁かと言われるくらいなものです。

231 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/08(日) 22:31:48 ID:S0HLZcEX0
田舎の某公立病院勤務なのですが・・・。改めて思うのは、所詮公立病院とは役場の一部門に過ぎない、ということ。
いえ、町長から指図されるのはわかるんです。病院の管理者ですから。でも、日頃病院にやってこない小役人
相手にいろいろ指図されるのはどうも性に合いませんね。
院内会議でも、あらかじめ役場で調整済で結論を動かしようのない案件を事務長が院内会議にかけて、さも病院
職員で討議したような体裁をとりつつも、実際には会議でどんな提案がなされようとも事務長は医師の提案にも
技師や職員のアイディアにも適当に愛想を振りつつも結論にはまるで影響を及ぼさない。「そんな意見も出まし
たね・・・」で終わってしまう。現場の意見を取り上げてくれないとモチベーションも下がるし、こちらも徹底
的な防衛医療に走るしかなくなってしまいそうです。
熱くならずに、流れに身を任せていれば楽なんですが、こんなところで数年くすぶっていると、自分の精神が田
舎公務員化して堕落しそう。厳しいけれどあえて民間に行こうかなあ。

232 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/08(日) 22:43:01 ID:OI3NmZV60
>>231
> 所詮公立病院とは役場の一部門に過ぎない、ということ。

結局は、そこに行き着くんでしょうね。

もちろんあちこちでしたり顔の評論家の先生方が仰っているように、公定価格で医療をやっている以上は診療報酬削減にしろ政策的な赤字要因も多々あるでしょうし、医学部定員削減にしろそれに反対するどころか後押ししてきた医師会ら諸団体の心得違いも確かにあるでしょう。
一方で自分は特定個人なり集団なりに戦犯を求めるという姿勢は、こと医療崩壊という現象に関してはあまり意味がないんじゃないかという気がしますけれども、その理由として問題の根本原因は当事者である医者自身が闇雲に突っ走ってきた足をふと止めて周りを見回した時、「あれ?何かそれっておかしいんじゃない?」と気づき始めたということにあるように思うからです。
何も知らない素人がいい加減な方針ばかり立てているだとか、身を粉にして働いても報わないだとか、その程度のことならと思うような小さな各論が集まって何となく嫌な雰囲気を形成してしまっているのだとすれば、これはどこかに存在する問題点を解消すればいいというような単純な解決策はないんじゃないかということにもつながります。

こういう問題も今どきどこの業界でも大なり小なりあることだと言ってしまえばそれまでなんですが、専門性と希少性が高く超売り手市場という医者稼業においてはそれが特に顕在化してしまったということなんだと思いますし、その解消のために敢えて専門性のハードルを下げ需給バランスを逆転させるというのは誰しも考えつく話です。
その意味では医者を山ほど増やして使える連中だけ使っていったらいいというのも一面で確かにその通りなんですが、その副作用とも言うべきは「全ての医者に最高度の技術を求める必要はない」ではなく、「全ての国民が最高度の医療を受ける必要はない」と言うべきであって、実はそれこそ国民皆保険制度下で政治家の皆さんが口を閉ざしてきた大きなテーマでもあるわけですよね。
竹原市長の卓見を広く世に受け入れられるものとするためにも、市長はまず阿久根市民に向かって「皆さんにはこれから粗製濫造、安かろう悪かろうの医療を受けてもらうことになるが、未来を作るために納得してもらいたい」と、選良として説明と同意の義務を果たすべき責任というものがあるんじゃないかと思いますね。

|

« 今日のぐり;「おらんく家本店」 | トップページ | 新型インフルエンザ 病気による混乱ならまだ救いがありますが »

心と体」カテゴリの記事

コメント

本当に勤務医の年収を開業医の平均収支差に近づけるというのなら、喜んで医院を閉めて勤務医に戻らせてもらいますよ。わたし。
現状でも勤務医時代よりも大幅に可処分所得は減りましたから(笑)

投稿: Seisan | 2009年11月10日 (火) 00時59分

正規分布でないものを平均値で代表させてどうするんだとか、償還費用などさっ引いた手取りのデータを出せとか、いろいろ言われてますけどね。
出してこないというところに意図が明瞭なんじゃないかという感じでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2009年11月11日 (水) 10時50分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/46716674

この記事へのトラックバック一覧です: 青息吐息の病院経営 戦犯捜しが斜め上方向に逸脱しても困りますが:

« 今日のぐり;「おらんく家本店」 | トップページ | 新型インフルエンザ 病気による混乱ならまだ救いがありますが »