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2009年11月28日 (土)

危機的状況にある毎日新聞 しかし実は…?

先日は天下の毎日新聞にこういう社説が掲載されましたけれども、ご覧になりましたでしょうか。

社説:療養病床 削減計画を実行せよ(2009年11月23日毎日新聞)

 「療養病床の削減計画を凍結する」と民主党のマニフェストにあり、長妻昭厚生労働相は改めて「凍結」を表明した。しかし、それでは医療が必要ない多くのお年寄りを病院に閉じこめておくことになる。どうして脱社会的入院の流れをせき止めるのか、理解できない

 療養病床は、70年代後半から増えた老人病院を前身とし、現在は医療保険を財源とする25万床と介護保険の13万床が存在する。06年、自民党政権は介護療養病床を全廃、医療療養病床を約22万床(当初は15万床)に削減する計画を発表した。それに対し「介護難民があふれる」「医療のない介護施設では不安」などの批判が起こり、民主党は削減計画を凍結する旗を立てたのだ。

 しかし、療養病床を削減するといっても、閉鎖して入所者を追い出すわけではなく、特別養護老人ホームや老人保健施設などへ転換させようというのである。そのために施設基準を緩め、税制優遇や各種助成金もある。医療が手薄になることへの入所者の不安は分からなくはないが、中央社会保険医療協議会の調査(05年)ではほとんど医療が必要ない人は約50%、週1回程度の医療の提供で済む人と合わせると8割以上になる。日本医師会や厚労省の調査でも4割前後の人は医療がほとんど必要ないという。むしろ狭い病室で寝かせきりでいるために症状が悪くなる人が多いとすらいわれているのだ。

 では、なぜ介護施設への転換が進まないのかといえば、経営側にとって収益が減るからだ。入所者1人当たりの1カ月の平均費用と床面積は、特養ホーム29万円(10・65平方メートル)、老健施設31万円(8・0平方メートル)、介護療養病床41万円(6・4平方メートル)、医療療養病床49万円(同)。療養病床が狭いのに費用がかかるのは医師や看護師を多く配置することになっているからだ。しかし、現実には医療が必要ない入所者が多い。その矛盾を解消するための削減計画であり、医療給付費も総額で3000億円くらいは節約できるといわれている。症状の重いお年寄りは存続する療養病床に集約して医療を提供すればいいのではないか。

 最近は特養ホームや老健施設で個室化が進み、家庭的な設備や雰囲気が重視されるようになった。いざという時の不安から狭い病室にとどまって結果的に寝たきりになるよりも、生活環境の整った介護施設で手厚いケアを受けながら暮らした方が良くはないか。精神科病院や一般病院にもお年寄りの社会的入院は多数ある。やはり、ここは削減計画を実行すべきだ。健康のためにも財政のためにも社会的入院から脱しよう。医療への過剰な期待はもうやめよう。

特養と言えば一年待ち、二年待ちが当たり前という状況を解消することなく療養病床を削減するとどうなるか、いずれにしても関係する国民にとっては非常に大変なことになりそうな気配なんですが、単なる一記事ではなく社説で主張してみるというあたりに毎日新聞の療養病床廃止にかける意気込みが伝わってきます。
この記事に関しては既に慢性期医療協会が抗議文を送りつけたそうですけれども、それ以上にどちらかと言えば国民に擦り寄る形の記事が多かった毎日新聞が社説でこういうことを言ってきたあたりに、何かしらの社内環境の変化があるということなのかなとも思わされるところです。
その原因なのか結果なのか、かねて言われている通り毎日新聞読者はやはり激減しているらしいのですが、やはりこういう主張をしてしまうほど今や国民目線から遠い別世界に逝ってしまったが故ということなんでしょうかね?

この1年、日経わずかに読者増。毎日・専門新聞激減!?(2009年11月21日Garbagenews)

マイボイスコムは2009年11月20日、新聞に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、この1年で多くの新聞が読者を減らしていることが明らかになった。調査対象紙においては唯一日経新聞のみが、読者が増える傾向を確認できる。逆に専門系の新聞や、5大紙の中では毎日新聞が大きく読者を減らしている可能性が見て取れる(【発表リリース】)。

今調査は2009年11月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万3700人。男女比は46対54、年齢階層比は30代33%・40代31%・50代以上22%など。

調査母体において、新聞を毎日必ず読んでいる人は38.8%。逆にまったく読んでいない人は16.9%に達している。

これらの人のうち、新聞閲覧者に限定し、普段読んでいる新聞について複数回答で尋ねたところ、もっとも多い回答が寄せられたのは「地方紙」だった。【「全国紙」の都道府県別トップシェア新聞を地図化してみる】にもあるように、新聞の主役は全国紙では無く地方紙であることを実感させる結果ともいえる。

いわゆる5大新聞(日経、読売、朝日、毎日、産経)も含め、用意された選択肢の中では唯一日経新聞のみが1年前より数字を増やしている。他はすべてマイナス。調査がインターネット経由で行われていることもバイアスとして存在している可能性はあるが、【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2009年11月発表分)】などのデータを見る限り、的外れとも言い切れない感はある。

また、これらの変移について増減率をグラフ化した上で、【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年7月~9月データ)】など雑誌系の定点観測記事上のグラフと同じような法則(5%以内の変動は誤差と見て薄く着色、それ以上の変動は実変動と判断しプラスは青・マイナスは赤で着色)で色を塗ったのが次のグラフ。

2008年11月から2009年11月における閲覧増減率

日経新聞のプラスが非常に頼もしく見える形だ。また、毎日新聞の減少が著しく大きな値を示しているが、これは多分に「WaiWai事件」をはじめとする問題や、その対処(特にインターネット回り)のずさんさを起因とし、ネットユーザーの読者の離反を招いた結果といえる。恐らく「世間全般」で計測すれば、この半数強くらいになるのではないだろうか。それでも5大紙では最大の値となるが。

全体の、より正確な閲覧数を知るには、各紙が発行している発行部数を知るのが一番だが、多くが最新値しか公開していない。さらにいわゆる「押し紙」問題もあり、最大で5割前後のマイナスを考慮する必要があるため、具体的な数は把握しにくい。「インターネット経由」というバイアスはあるものの、今回のデータ、特に最後のグラフの傾向は、案外「世間全体としても」的外れのものではないのかもしれない。

先頃には朝日新聞も二年連続の赤字を計上したというように、どこの新聞社もこの頃は大変なのは確かなのでしょうが、その中でもとりわけ毎日新聞が激減というのは、やはり変態報道を初めとする様々なイベントでことごとく裏目裏目の対応を繰り返してきたことにも原因があるのでしょうか。
さて、毎日と言えば先頃共同通信と手を組むという話が話題になりましたけれども、経営的に厳しいからとリストラを進めざるを得ない、その結果全国誌としての体裁を保つだけのスタッフが足りないから他からの配信記事を載せるだけということであれば、もはや毎日新聞自体が無くてもいいんじゃないかと考える人も増えてきそうですよね。

毎日新聞「共同通信加盟」に動く これでリストラ進むのか(2009年11月20日J-CASTニュース)

   経営不振がささやかれる毎日新聞が、共同通信社から国内ニュースの配信を受ける方針を固めた様子だ。「発表もの」は共同記事を使い、自社の記者を独自取材に振り向けられるという利点が期待できる一方、リストラ策の一環だとの見方もある。だが、「配信を受けたところでリストラは進まない」との指摘も出ている。

   地方紙は地元のニュースは自前で取材し、いわゆる「全国ニュース」については、共同通信に加盟費を支払って、同社から記事の配信を受けていることが多い。

「駐在」や「通信部」が大量廃止になる?

   一方、朝日・読売・毎日は、海外ニュースに限って共同から記事配信を受けているが、国内ニュースについては自前の取材網を全国に持っており、共同記事の配信は受けていない。ところが、毎日新聞が、共同通信に加盟し、国内ニュースの配信を受ける方針なのだという。11月下旬にも、役員会で決定されるとの情報もある。

   毎日新聞社の08年度の売上高(単体)は前年比7.2%減の1380億8500万円で、経常利益は前年度の21億6100万円の黒字から26 億9500万円の赤字に転落している。景気後退に伴う販売収入と広告収入の落ち込みが影響した形で、同社が09年6月に公表した有価証券報告書でも

    「当社グループにおいても新聞業界を覆う不況の影響は顕著」

とある。

   このことから、今回の共同加盟は、リストラ策の一環だと受け止められており、現場の記者の間では、

    「支局は減らないものの、2010年春の段階で、さらに小規模な『駐在』や『通信部』が大量に廃止になるらしい」

という話もささやかれている。もっとも、毎日新聞社側は「ご指摘のような取材拠点の縮小は予定していません」と否定している。

海外や東京のネタは強いが、地方は弱い共同通信

   毎日新聞社の常務取締役(営業・総合メディア担当)などを歴任し、「新聞社-破綻したビジネスモデル」(新潮社)などの著書があるジャーナリストの河内孝さんによると、01年頃にも共同加盟に向けた構想があったものの、一部役員や労組の反対で頓挫したという。ただ、加盟のメリットについては否定的だ。

    「発表ものでない独自取材が進むという面はあるのですが、毎日新聞にとって物理的なメリットは少ないといっていいでしょう。支局の記者をリストラするのは不可能です。なぜならば、共同は海外ネタや東京のネタは強いですが、ほとんど地方に記者は置いていません。例えばある県で言えば、毎日の支局には記者が30人いるのに対して共同は5。共同の最大の顧客は地方紙ですが、地方紙が必要としているのは海外や東京のニュースだからです」

   つまり、共同に加盟したとしても、地方の取材網については維持を迫られるとの見方だ。ただし、

    「もはや『朝・毎・読』ではない、という意識改革を促すことになる」

と、社員の危機感を煽る材料にはなりそうだ。一方、

    「かなりディスカウントしているとは思いますが、加盟費が入るのと、『朝・毎・読の一角が自らの軍門に下った』ということのインパクトは大きいでしょう」

と、共同側には大きなメリットがあるようだ。

   なお、当事者の2社は、

    「ご指摘の点について現段階で決まったものはありません」(毎日新聞社社長室広報担当)
    「決まっていません」(共同通信社総務局)

としているが、加盟に向けての交渉が行われていることについては否定していない。

こういう観測が事実だとすると、もはやこれは最後のひとあがきになりかねないんじゃないかとも危惧されるような話ですし、実際経営が厳しいのも確かなんでしょうけれども、どうもそれだけにとどまらないようなんですね。
むしろ毎日新聞の場合は経営云々よりもその取材体制、あるいは記者としての資質の部分に問題があるんじゃないかという指摘もこのところ根強いようです。
例の変態記事などのようにろくに裏取りもせず長年にわたって捏造報道を垂れ流すなど論外ですけれども、こういう話があるように業界内部でも「毎日さんのレベルは」と話題になっている気配すらあるようです。

NYタイムズの記者クラブ廃止についてのインタビューに毎日新聞の記者が「誰か自殺したら誰が責任とるの?」と意味不明な回答(2009年11月25日デジタルマガジン)

 日本特有の悪しき制度、記者クラブ。日本の大手マスコミしか基本的に加入できない会員制度を設けており、会員以外を記者会見からシャットアウトするこの制度を、ニューヨーク・タイムズが記事として取り上げていた。

 記事の主な内容は、この制度のために亀井金融相が週に2回連続して記者会見を開いているというものだが、この中で記者クラブの廃止について聞かれた毎日新聞の古田信二記者が、驚きの回答をしていた

 「(記者クラブは)そんなに閉鎖的ではありません。ケース・バイ・ケースで非会員の参加も認めています。(仮に廃止したとして)もし偽ジャーナリストが記者会見中に自殺や焼身自殺をした場合、一体誰が責任を取るのですか?

 この記者は何を言っているのだろうか? 記者クラブは国境なき記者団をはじめ、EUやOECDに「閉鎖的だ」として批判され続けている。外国政府が圧力をかけなければ門戸を開かない記者クラブのどこが“解放的”なのだろう。

 さらに自殺? 責任? もう意味が分からない。海外では記者の事前登録制によって保安性は高められているうえ、政府首脳などVIPの記者会見への出席はベテラン記者に限られている。どこの誰が自殺するのかぜひとも教えて欲しい。

 結局彼らは自分たちの利権を失いたくないがために、なんくせをつけているだけなのだ。毎日新聞の記者の発言にそれをみた。

(篠原 修司)

日本独自の記者クラブなんてものの弊害については以前からあちこちでさんざん言われていることですけれども、外国に向かって「自分たちは無能で怠惰な駄目記者で記者クラブがなければやっていけません」なんてことを公言してまわって楽しいのでしょうか?
どうも共同の配信を受ける件といいこの記者クラブの件といい、あまりに記者としてのプロフェッショナル意識に欠けたことが続くように思えて仕方がないのですけれども、それだけなら「毎日さんだからそんなもの」で終わる話です。

ここで改めて思い出すのが以前にも取り上げました佐々木俊尚氏の記事ですが、どうも上記の一連の「駄目毎日」な記事がひとつながりにつながってきそうな気配が見え隠れしているのですよね。
孫引きになりますけれども、この中で取り上げられていた元木昌彦氏の一文をもう一度取り上げてみましょう。

佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 記者クラブを楯にして新聞を有料化しようと企てる人たち(2009年8月17日CNET Japan)より抜粋

 元週刊現代編集長で、ついでに言えば元オーマイニュース編集長でもある元木昌彦氏の週刊誌は死なず (朝日新書)という新刊を読んだ。この中に、「ネットの影響を受けているのは新聞も同じである」として次のようなくだりがある。すこし長いが引用しよう。

         しばらく前に、朝比奈豊毎日新聞社長と若宮啓文朝日新聞元論説主幹と話す機会があった。私は、こうした人たちと会う時、必ず聞いてみることがある。それは「どの新聞社もネットを充実させればさせるほど紙の部数が落ち込んでいることで悩んでいる。ここら辺で、新聞社が”談合 ”して、情報(ニュース)はタダという風潮を断ち切り、有料化に踏み切ってはどうか」ということである。

         談合という言葉は刺激的すぎるが、要は、日本語という狭いマーケットの中で、バラバラに情報を垂れ流し合っていても、広告収入で採算をとるのは不可能に近い。「Yahoo!」など巨大ポータルサイトへのコンテンツ販売も、安く買い叩かれ、莫大なネットの維持費を穴埋めすることはできない。まだ、新聞討が体力のあるうちに有料化に踏み切らなければ、手遅れになりかねないからだ。

両氏も同感だとして、朝比奈社長は、ドイツの新聞社が同じようなことをやろうとしたが、たった1社が反対したために、できなかったという話をしてくれた。1社でも「協定」を守らず、無科配信を続ければ有料化はできないとよくいわれるが、そんなことはない。新聞の6割方は発表ものだから、新聞社お家芸の「記者クラブからの締め出し」をすれば、その社には情報が入らなくなる。共同、時事通信が配信しなければ独自取材をしなければならず、採算面でも追い込まれる

 驚くべき話。あきれ果てて声も出ない。

前述の記者クラブ擁護の記事とも照らし合わせてみると、何となく毎日新聞の考え方が見えてくるような話ではありませんか?
ものすごく深読みなんですが、共同との提携も一見負け組メジャー紙の凋落を思わせる話に見えて、あるいは毎日新聞なりの遠大な計画の一端であるのかも知れませんかね?
実際のところはどうなのか今後の経過を注意深く見ていかないことには判りませんけれども、まさかここで大逆転の一発を狙っているのだとすれば、さて…

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