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2009年11月

2009年11月30日 (月)

産科・小児科待ったなし!と、誰に訴えます?

先日赤旗にこういう記事が出ていましたけれども、共産党さんも「国民目線」民主党の思わぬ裏切り行為に涙目ということなんでしょうか?

都立3小児病院廃止容認へ転換 都議会民主 公約どこへ(2009年11月19日しんぶん赤旗)

 都議会民主党は18日の総会で、第4回定例都議会(12月1日開会)に東京都が廃止を決めた都立3小児病院(清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院)を存続させる条例案を提出せず、廃止を容認する方針を確認しました。存続条例案は日本共産党都議団が民主党に働きかけ、共同提案することで合意し、具体案を協議してきたものです。

 日本共産党都議団の大山とも子政調委員長は同日、同党の対応について「都民の切実な願いに背を向けるばかりか、同党が都議選前後にとってきた立場とも矛盾しており、きわめて遺憾」とし、病院存続の立場を貫くよう再検討を求める談話を発表しました。

 民主党は、3月の都議会で3小児病院廃止条例に共産党、生活者ネットとともに反対しました。7月の都議選では、小児病院存続を掲げて当選した都議もいます。
(略)
 存続を求め活動している多摩地域の母親(39)は「都議選で病院存続公約を掲げていたから民主党に投票したのに…。都立病院がなくなったら大変になると娘の主治医も言っています。あきらめずにがんばりたい」と話しています。

都立病院の行方はともかくとしても、全国的に見ても産科、小児科はますます状況が悪化する一方のようです。

産科・産婦人科、3年間に9%減…厚労省(2009年11月26日読売新聞)

 厚生労働省は26日、2008年の「医療施設調査」を公表した。

 全国の産科・産婦人科のある医療施設(病院と診療所)は5451施設で、05年に比べると546施設(9%)減少し、1990年より3割減、98年よりは2割減で、減少傾向が続いている。

 施設別では、病院が1496施設(05年比約8%減)で、診療所は3955施設(同10%減)。分娩(ぶんべん)に対応できる医療施設は2713施設にとどまり、産科・産婦人科のある医療施設のうち、半数は分娩に対応していないこともわかった。

小児科と産婦人科、減少傾向続く=08年医療施設調査-厚労省(2009年11月26日時事ドットコム)

 厚生労働省は26日、2008年の医療施設・病院に関する調査結果を発表した。医師不足が深刻化している小児科、産婦人科のある病院の割合は、小児科が前年度比1.0%減の37.7%(2905施設)、産婦人科が同0.2%減の17.1%(1319施設)となり、依然として減少傾向が続いている
 08年10月1日現在、全国の病院数は同0.8%減の8794施設、一般診療所は同0.5%減の9万9083施設だった。
 3年に1度の分娩(ぶんべん)に関する調査では、08年9月中に分娩を実施した施設数が2567施設と前回に比べ366施設減った。少子化に加え、リスクの高い分娩を避ける傾向があるためとみられる。帝王切開の割合は高齢出産などの影響で増加を続けており、分娩件数に占める割合は病院で23.3%だった

事業仕分けという行為が必ずしも悪いというわけではなく、むしろ財政状況などを考えるとこういう行為は必須であるとも思いますけれども、もちろん無駄というに近い事業もあれば、迂闊に予算カットをすればそれだけで終わってしまう領域というものもあるわけです。
現在も続く診療報酬改定をめぐる議論でも産科・小児科については手厚くという方針では諸方面の認識が一致しているようですが、現代の医療は特定部門だけで成立するという性質のものではないだけに、果たして一方を削って他方に回す式のやり方で対応できるのかどうかは何ともいいかねるところでしょうね。
早い話が産科・小児科がいくら手厚く遇されても病院自体が大赤字でつぶれてしまえば周産期の難症例受け入れなど到底かなわないわけで、それで本当によいのかという部分もちゃんと国民にインフォームドコンセントをとっておいていただかなければ困るという話ですよ。

非常によろしくない傾向だなと思うのは、どうもこの仕分けが事業の重要性や意義づけというより、その場でのプレゼンテーションの在り方によって結論が左右されているように思えることで、その意味で残念ながら仕分け人はあまり良好な「予習」ができているようには見えません。
医療の中でも産科、小児科といったあたりはすでに半分以上終わっているというくらいに危ない領域なわけですから、こうしたところで対応を誤ると大変なことになると、東京都副知事の猪瀬直樹氏が警鐘を鳴らしていますが、こちらから引用してみましょう。

安易な事業仕分けが周産期医療の悲劇を招く 1つの事業につきわずか1時間のヒアリングでは危ない(2009年11月17日日経BP「猪瀬直樹の「眼からウロコ」」)より抜粋

結論ありきのパフォーマンス

 事業仕分け作業では、1つの事業につきわずか1時間のヒアリングで、事業仕分け人が判定を下している。結論ありきの誘導尋問だから意味がない。これではただのセレモニーである。

 447の対象事業のなかには、いかにもムダとわかる独立行政法人関連の事業も含まれているけれども、緊急性を要するような重要な事業までが乱暴にカットされている。短時間で個別の事業についての是非を決めるのはおかしい。

 たった1時間で削られたのは「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」で、NICU(早産児などを受け入れる新生児集中治療室)を増床するための予算が半分に減らされたことについて、僕は腹を立てているのだ。以前も書いたが、NICU増床には次のような経緯があることを知ってほしい。

 昨年発生した、重症妊婦を複数の病院が受け入れ拒否した問題に対応するため、僕が座長を務める東京都の「周産期医療体制整備プロジェクトチーム(PT)」は、収支モデル分析をして、NICU増床に伴うコストを算出した。NICUを増やせば増やすほど膨らむ赤字に対して、「診療報酬を実態に合わせて大幅に引き上げること」と同時に、「補助金を充実させる」ことで、周産期センターにNICUを増床するインセンティブを与えることを提言した。

 厚生労働省も出生数1万人あたり20床というNICUの整備方針を見直し、出生数1万人あたり25~30床を目標とする、という方針を打ち出しているが、そのための補助金制度が整っていなかった。厚労省の周産期センターへの補助金はNICUに対して出されておらず、M-FICU(母体・新生児集中治療管理室)という別の病床に対してのみ補助を出していた。これでは、インセンティブが働かない。

 東京都のPTが4月24日に提出した報告書では、NICUを補助金の対象にするだけでなく、GCU(回復した新生児を受け入れる回復期治療室)というNICUの出口にあたる後方病床に対しても「診療報酬上の再検討をするなど、その確保について抜本的な対応を図る必要がある」との提言を盛り込んだ。こうすることで、NICUをめぐる新生児の流れがよくなり、NICUの満床状態がより改善されることになる。

事業仕分け人は周産期医療の実態を把握しているのか

 病院にインセンティブを与えなければ、行政がいくら「増床しろ」と言っても事態は進展しない。わかりやすくするために、NICU病床数12床の平均的な総合周産期母子医療センターをモデルとして説明しよう。NICU1床あたり赤字額745万円に対して、従来の補助金は、国から57万円、都から57万円が支給されていた

 PTの提言を受けて、厚労省は概算要求でこの補助金を2010年度予算から引き上げて、国から175万円に引き上げる案を示した。都もこれと同じく引き上げて175万円とすれば、赤字額を507万円に低減することになっていたのである。

 しかし、その補助金が事業仕分けでカットされた。東京都では予算を計上する予定だが、国の補助金が減るとなると、効果が薄まるのではないかと危惧している。事業仕分け人は、どれだけ周産期医療の実態を把握しているのか。

 事業仕分けでは、「本来、病院の収入確保は診療報酬で対応すべき」という論点整理がされていた。もちろん、そうなればよい。PTでもその点は提言している。

 しかし、診療報酬の引き上げには、診療報酬体系全体を考慮した調整が必要であり、すぐにできることではない。それまでのあいだ、補助金で対応する必要がある。重症妊婦の受け入れ拒否問題は待ってくれない。

細かい異論は別として猪瀬氏の意見が傾聴に値すると思うのは、以前にも引用しました東京都NICU整備に関する問題でそれにかかる経費は幾ら、これに対する収入は幾らでこれでは作れば作るほど病院の赤字はかさむ一方であると、きちんと数字を挙げて看破するところから議論をスタートさせていたところです。
一般に医療にもっと金を出せ!と主張している人は大勢いますけれども、どこに幾ら金がかかってどれだけ足りない、あるいはこれこれのことをするためにここにこれだけの金がいるのだときちんと数字をもって検証しているのは稀であって、相変わらず診療報酬がマイナスになるのはけしからん!といったレベルの話に終始しているわけですよね。
今もし仮に大逆転で診療報酬大幅増!なんて話が出てきたとして、「それで、どこに幾ら出せばいいんですか?」と問われてきちんと答えられる人間がどれほどいるのかということを考えた場合に、診療報酬増額要求派はまずそのあたりの理論武装をもっとしておかなければならないのではないかと思います。

一方で面白いのは小児医療に関連して民主党の鈴木寛・文部科学副大臣がこんなことを言い出していることで、これはどう解釈するべきなのかなかなか迷うような話ではありますよね。

小児医療提供者は市民から直接支援受ける知恵を 鈴木・文科副大臣(2009年11月8日ロハス・メディカル)

 鈴木寛・文部科学副大臣は7日、都内で開かれたシンポジウムの席上で「小児医療をやっている機関は、これまで厚生労働省に税配分を求めるロビー活動をしてきたと思うが、子供手当ての創設に伴ってお金の流れが変わるので、今後は子供を抱える家庭に対してプレゼンテーションして直接支援を求めていくということが可能になるし、そうなることを期待している」と述べた。(川口恭)

 この日開かれた『現場からの医療改革推進協議会』の席上で以下のように述べた。

「来年から子供手当てができるはず。来年はまず1万3千円だが、それでも2兆5千億円。これは大変なこと。予算の捻出が大変というのもその通りなんだが、実はその持つ意味はそれだけに留まらない。

これまで小児医療をやっている機関は厚生労働省に対して税配分を増やすようロビー活動をしてきたと思うが、これからは子供手当てを受け取った市民に対するプレゼンテーションをして、パブリックサービスに対する支持を求めることが大切になる。寄付に不慣れな国民性はあるにせよ、来年でさえ一気に15万円収入が増える。そういう子供を抱える家庭に対して、来年4月から商業界でも支出を求める競争が一斉に始まる。その中にパブリックセクターとして、こういうことをしたいのだが支援してもらえないかということが起きるだろうし、そうなることを期待している。

私ども文部科学省の分野ではコミュニティスクールというのを進めているけれど、そういうものとの良い意味での競争知恵比べになる。そういう状況が、あと数ヵ月経つと条件整備されて現れるのだということを認識していただきたい」

「素人の妄言」などと切って捨てることは非常に簡単なんですけれども、先ごろ医師集めのために商店街がお金を出し合って支度金を用意した、なんて話もあるように、今後は医療業界もこうしたスポンサー対策というものにもっと真剣になっていかなければならないのではないかと思うのですがどうでしょうね?
医療業界のプレゼンの仕方を見ていて下手だなと思うのは、どうも基本的に「俺たちは正しいことを言っているんだ」という認識で行動している、しかし実際に言うほど正しいことをやっているのか疑問なのではないかということで、国民自身もそういうあたりに胡散臭いものを感じているのではないかと思います。
例えば今までは日医などが何かにつけて「それは患者さんが困るから」などというもって回った物言いをして医療政策に口を挟んできた、しかし口ではそう言いながら実際日医の目線の先に患者というものの存在がそれほどあったかと言えばはなはだ疑問だと思うんですよね。

例の仕分け作業においてもそうですけれども、例えばスパコン関連の予算を削るなんて言えば国中を挙げて「ヤメロ!ヤメロ!」の大騒ぎになった、一方で先日も取り上げましたように、医療業界が診療報酬をあげなければと言えば国中から「ヤメロ!ヤメロ!」の大騒ぎになる、こういうのも広い意味でのプレゼン能力なんだとすれば、医療業界は全く人材を得ていないなと思いますね。
何をどう訴えかけるべきなのかという内容の再検討と同時に、誰に向かって訴えかけるべきなのかということも早めに再検討しておかなければならないんじゃないかと思いますけれども、それを誰がやっていくのかと考えた場合に適当な個人なり組織なりもなさそうなのが問題でもあります。
そういえば民主党が大躍進した背景にテレビ業界などをはじめマスコミとツーカーの議員が大勢いたということが間違いなくあげられると思いますけれども、今テレビ業界とツーカーの医師免許保持者の顔ぶれを考えてみますと…ますます「誤解」を拡大再生産しかねませんかね(苦笑)。

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2009年11月29日 (日)

今日のぐり:出石蕎麦その三「そば処 天通」&「おうち」&「南枝(なんし)小人店」

先日こういう記事が出ておりましたが、ご記憶でしょうか。

探査機「はやぶさ」、奇跡の復活…予定通り帰還へ(2009年11月19日読売新聞)

 奇跡の復活――。4台あるエンジンのうち3台が停止し、小惑星イトカワから地球への帰還が危ぶまれていた日本の探査機「はやぶさ」について、宇宙航空研究開発機構は19日、故障していた2台のエンジンを組み合わせて、1台分のエンジンの推進力を得ることに成功したと発表した。

 もう1台のエンジンの温存が可能となり、予定通り来年6月に地球へ帰還できる見通しとなった。

 はやぶさは、2003年5月の打ち上げ直後に1台のエンジンがトラブルで停止。その後も様々な機体のトラブルに見舞われたが、05年11月に地球から約3億キロ・メートル離れたイトカワに着陸した。07年4月には、もう一つのエンジンの部品が劣化して、運用を中止した。

 満身創痍(そうい)の機体は、残る2台のエンジンを交互に運用して地球への帰還を目指した。しかし、うち1台が、今月9日に故障していた。

 エンジン復活に向け、宇宙機構は、故障した3台のうち、早い段階で運転を中止したエンジン2台に着目。正常に動く部品同士を電子回路でつなぐ「離れ業」で、互いの故障を補う形でエンジン1台分の推進力を出すことに成功。電子回路は、万一に備え、「エンジン間をつないでおいた」ものだった

 復活したエンジンは、順調に作動している。電力、燃料の消費は、2倍になるが、電力は太陽電池によって補給できる見通し。燃料にも余裕があるという。

 宇宙機構の川口淳一郎プロジェクトマネージャは「動いている方が奇跡的だ。予断を許さないが、万一に備えた回路が功を奏し、電力補給できるという幸運にも恵まれた」と話している。

「こんなこともあろうかと(略)」なんて言う、某宇宙戦艦技士長の声が聞こえてきたのは決して自分一人ではないと思います(苦笑)。
本日は本当にそんなことがあるのか?というびっくりな話題を紹介してみますが、まずはこちら中国からのニュースです。

上海市、パジャマ外出禁止 万博へマナー向上 市民『習慣』と反発も(2009年11月5日東京新聞)

 【上海=小坂井文彦】来年五月開幕の上海万博に向けて、上海市が出した「パジャマ外出禁止令」通達に、市民の反応が割れている。インターネット上のアンケートでは、約四割が「行儀が悪い」と答えたが、残りは「上海人の習慣」などと反発している。

 上海市は万博開催が決まった二〇〇二年以降、再三改善を訴えてきたが、パジャマのまま買い物や食事に出掛ける人は一向に減る気配がなかった。このため市は、七月に禁止通達に踏み切り、市政府の末端組織にあたる居民委員会を通じ市民に「禁止」を告げた。

 その後、「外国人客が上海に悪いイメージを抱く」との通達に賛成する声の一方、「日本人が和服を、西洋人がスーツを着るようなものだ」と、パジャマ外出禁止に反発する人もおり、中国紙上で議論が白熱している。通達に違反しても罰則はない。

こういう禁止令をわざわざ出す市当局もどうかという話ですが、夜な夜な街に繰り出す数多のパジャマ姿というのも何かしら想像するに難しいところがありますね。
日本のホテルで寝間着姿で廊下を闊歩するおじさん達というのもかなり奇異な光景ですから、国と地域によってはそういう習慣もあろうかと思うところですが、こうまで世間に滲透しているということになりますと本当に習慣なんですかねえ…
中国と言えば他にもいろいろと面白い話がありますけれども、これなどもちょっと日本では考えられないような話ではないかと思います。

幹部汚職の告発サイト開設=中国(2009年10月29日時事通信)

【北京時事】中国共産党中央規律検査委員会と監察省は28日、国民が党員や党幹部の汚職を告発する場となるインターネットサイトを開設した。幹部の腐敗横行で高まる国民の不満に配慮するとともに、党の求心力低下に歯止めを掛ける狙いがありそうだ。
サイトは「告発したい」というボタンをクリックすると、中央や各地方政府の苦情処理機関に対して告発内容を申告する画面が現われる仕組み。わいろや公費流用など告発したい問題点を選択し、具体的に記入するようになっている。
29日付の夕刊紙・北京晩報によると、2005年以降に各地で開設された同様のサイトを一本化したもので、告発しやすくしたという。

いや、告発しやすくしたって…
中国と言えばつい先日も政府への陳情者を闇監獄に拘禁しているなんて話がありましたけれども、こんなサイトを利用した途端にあっという間に身元を特定された挙げ句に闇監獄投獄…なんてことになりませんかね。
一方でこちらは途中まではそういうこともあるかと思う話ではあるのですが、ありえないオチが付いてしまうのがなんだかなあという話題です。

警察職員が共同で買った宝くじが大当たり! 街から警官がいなくなる事態に(2009年10月19日デジタルマガジン)

 ハンガリーの首都、ブダペストのブダオルシュという街で、街から警官が一斉にいなくなる事件がありました。

 先週火曜日、とある宝くじの当選結果が発表されました。その額、ハンガリー史上6番目となる22億フォリント(約11億円)。その宝くじを当ててしまったのが、ブダオルシュの警官たちだったのです。彼らは全員で宝くじを共同購入していました。

 当選が分かった瞬間、15人全員が即座に辞職。街からは警官が一瞬にしていなくなりました。もちろんほかの地域から代わりの警官が派遣されてきましたが、当然そんなにうまく機能するはずもなく、警察署長は頭を痛めているそうです。

思うんですが、昨今仕分け作業だ、人件費カットだと世に騒がしくやっていますけれども、こういう時にこそ士気低下の弊害というものが露骨に出てくるものなんだなと改めて思い知らされますね。
最後にいささか口直しと言いましょうか、まじめな話なんですが妙に微笑ましいというあり得ない話題を紹介してみましょう。

ボリビアの警察が「世界一ひどい似顔絵」を手がかりに殺人容疑者を逮捕(2009年11月24日GIGAZINE)

ボリビアの警察が、「世界一ひどい」と評判の似顔絵を手がかりにタクシー運転手殺害事件の容疑者を逮捕しました。

「オズの魔法使いに出てくるカカシにしか見えない」「こんなのが手がかりになるわけない」などと言われていたその似顔絵ですが、日本人が見ると「ちびまる子ちゃん」に出てきそうなキャラクターにも見えるのではないでしょうか。「世界一ひどい」とは言い切れないかもしれませんが、世界の犯罪史上でもまれに見る衝撃作であることは確かです。

詳細は以下から。

World's worst photo-fit helps capture suspected murderer - Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/howaboutthat/6638956/Worlds-worst-photo-fit-helps-capture-suspected-murderer.html
タクシー運転手のRafael Vargas氏の殺害はボリビアの警察により「麻薬がらみ、もしくは一時の激情に駆られた犯行」であると目されていました。今年3月に発見された遺体は刃物で11回刺された後に焼かれたものだったそうです。

当局により協力を依頼され、近所に住む女性が記憶をたよりに容疑者の似顔絵を描き上げましたが、周囲の人々は「オズの魔法使いに出てくるカカシにしか似てない」と似顔絵の効果には懐疑的だったとのこと。

これがその似顔絵。白目の広い目・直線的なまゆ・ゆがんだ口元・かやぶき屋根のような頭髪・骨折したような鼻・鋭角的なあご……といったあたりが特徴なのでしょうか。

事件は以下のようにニュースで紹介され、その似顔絵の素晴らしい出来栄えが話題を集めました。スペイン語なので何を言っているのかわかりませんが、アナウンサーの口調とシリアスな音楽も相まって実にシュールな映像となっています。

YouTube - Retrato Hablado Asesino Taxista en Bolivia XD

しかし、報道によると、この似顔絵が手がかりとなり、似顔絵の発表後に少なくとも1人の容疑者が警察により逮捕されたそうです。

こちらが容疑者。ボリビアの法律により容疑段階では実名や顔写真は出せないため、逮捕はこのような合成写真により報道されました。

ボリビアの警察の捜査能力が非常に高いということも考えられますが、「犯罪科学の証拠というよりは子どものらくがきのようである」と評されていたこの似顔絵が、実は特徴を的確にとらえた秀逸なものだったのかもしれません。

いや、まあ…画像が全てなんですけれども、似顔絵そのものよりも逮捕後の合成写真の方がいささかどうよ?と思われるのは自分だけでしょうか?
これで捕まえる警察の能力が凄いのか、これで捕まる犯人が凄いのか、何とも微妙なところではないですかね。

今日のぐり:出石蕎麦その三「そば処 天通」&「おうち」&「南枝(なんし)小人店」

出石蕎麦も結構食べてまわったつもりですが、まだまだ全体から見るとごく一部にしか過ぎませんね。
本日はやや町外れにあるこちら三店をいってみましょう。

そば処 天通

市営駐車場の入り口付近に位置する、いかにも観光客にとって入りやすそうなお店です。
場所柄こういう店はどうなのかなとも思ったのですが、見たところ普通っぽい蕎麦屋風の店構えなので大丈夫なんだろうと入ってみました(純粋に腹が減っていたという事もありますけれども)。
二階席もあってそれなりに広い店で、この界隈では珍しいことに皿蕎麦以外の蕎麦メニューも充実しているという、言ってみれば普通の蕎麦屋っぽい店のようですね。

出石皿そばと十割そば、おろしそばを注文しましたが、この十割そばには例によって塩が付いてきます。
薬味は鶏卵に山葵、ネギとだいたい定番どころですが、もちろん生粉打ちの十割そばにはそんなものは無用ということでそのままいただきました。
この蕎麦が打ち加減も茹で加減もやや硬めながら十割らしからぬほど食感がよく「なかなかやるな」という感じなんですが、当然ながらいわゆる田舎蕎麦に比べると香りは弱いもののすっきりした味わいは非常に好ましいものがあります。
ここの場合蕎麦つゆは蕎麦ほどには印象が強くなく、まあ格別どうこうと言うほどではないというところなんですが、この蕎麦であれば塩がどうとか言わずに美味しい蕎麦つゆを用意すれば更に印象がアップしそうなんですけれどもね。

あまりこういうものは食べないんですが意外なほど良かったのがおろしそばで、蕎麦にこういう強い薬味を合わせるのは個人的に苦手だったんですけれども、これだったら普通に美味しくいただけるなとちょっと見直しました。
普通にうまいこの十割の盛りを食べてしまうと皿そばはやはりいろいろと物足りないんですが、まあこういうスタイルも伝統ですし皿蕎麦としては悪くはないかなという感じです。
ここの蕎麦湯は柚子が少しばかり利かせてあるんですけれども、せっかくちょうど良い具合のすっきりした蕎麦湯にこういう手を加えるのが良いのかどうかは好みによるところですかね?
正直それほど期待していなかったんですけれども、これは意外に当たりだったなという感じでした。

おうち

ここはもう見るからに蕎麦屋!という感じの小さな店構えで、どう見ても観光地の店らしくない普通っぽさが逆に新鮮ですよね。
にしんそばなど温かいメニューは何種類かあるようなんですが、冷たいものとしては皿そばだけのようなので、ごく当たり前にこちらを頼んでみました。
面白いのは店内に「おせっかい。食べ方指南」なる張り紙があるんですが、本当なのかどうかこれが(出石での?この店での?)皿そばの食べ方なんだそうです。

一、つゆをお猪口に注ぎつゆの旨味を味わう。
二、まず、そばとつゆだけで、麺を味わう。
三、次に薬味。ねぎ・わさびでさっぱりと。
四、山芋・玉子で、違った美味しさを味わう。
五、最後はそば湯でしめて、ごちそうさま。

まあそれはそれとして、ここの場合皿そばをおかもちに入れて持ってくるのが面白いですよね(ここだけの流儀らしいんですが)。
やや柔らかめの茹で加減(というより、少し伸び気味というべきでしょうか)の蕎麦はさほど印象に残るほどのものでもないんですが、ここの蕎麦つゆが意外に舌に残る味なんですよね。
正直蕎麦つゆとしてはいささか弱いかなと思うのでその意味では今ひとつなんですけれども、純粋に出汁と調味料のバランスという点では非常にいい具合で、これでかけそばにしてみたら結構いいんじゃないかと思わされるものでした。
薬味は鶏卵に山葵などいつものような内容で特に目立つところはないんですが、何も特別なことをしていないごく普通の蕎麦湯は時間帯が良かったのかシンプルにうまくて、この蕎麦つゆの味を楽しむのにはちょうど良いという感じでしたね。

ちょうどかき入れ時ということもあってか、オペレーションはややまわってないようだったんですが、こういうところも蕎麦屋っぽくてまあ悪くもないのかなと思います。
正直なところ皿そば自体はそれほどでもないというところなんですが、逆にこういう当たり前の蕎麦屋というのも物珍しい感じでありなのかなと言うところなんですかね。

南枝(なんし)小人店

こちら出石でも老舗の蕎麦屋「南枝」の支店ということなんですが、よくよく話を聞いてみてびっくり、こちら南枝というのが出石蕎麦の元祖なんだそうですね。
こういうものの元祖というのも怪しいものだと思うところですけれども、例の仙石氏が信州から国替でやってきた時に連れてきた蕎麦職人の第一世代が出石で最初に蕎麦屋を開いたのがこの店の源流なんだと言いますから、あながちホラやデタラメというわけでもないようです。
比較的新しい創りながら見た目は結構雰囲気があり、中は客席もトイレもそれなりに広く団体客にも対応可能という、まさにこうした観光地の店のツボをおさえた造りになっているのはさすが老舗の経験と知恵ということなんでしょうか(ちなみに本店の方はいかにも老舗っぽい店構えのようですね)。

蕎麦のメニューは皿そばのみ、これに鶏卵や山芋といった薬味がついてくるところはごく一般的なスタイルで、蕎麦自体もいかにも出石蕎麦といった風情のやや太打ちの田舎蕎麦風ですね。
やや硬めなこの蕎麦、見た目に似合わずと言っていいほどののど越しのなめらかさで、つながり具合もよくいかにも田舎蕎麦といったこういう蕎麦こそが出石蕎麦本来の持ち味なんでしょうね。
ここの特徴はおそらくこの蕎麦つゆなんですが、蕎麦屋らしい濃厚かつ辛口の蕎麦つゆとこの田舎蕎麦のマッチングはなかなか悪くありません。
一番粉などで細打ちにした良くできた新蕎麦に薬味を使うというのもどうにも抵抗があるんですけれども、こういう強い蕎麦と強い蕎麦つゆであれば出石蕎麦の特徴である濃い薬味も合わせてみるに悪くないという話になってくるのでしょう。
時間がよかったのか蕎麦湯は良い具合に味が出てくる頃合いで、この蕎麦つゆと合わせてみるとなかなか楽しめるかなというところでした。

特に飛び道具もないんですけれども、これはこれで野趣あふれるという感じで悪くないし、こういうものであれば皿蕎麦というのも結構楽しいんじゃないかと思いますね。
しかしこの店で食べてみて改めて思ったことに、やはり皿蕎麦というのは品の良い蕎麦ではなく、あくまでこういう田舎蕎麦であってこそ成立するものなのかという思いを強くしたところでした。

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2009年11月28日 (土)

危機的状況にある毎日新聞 しかし実は…?

先日は天下の毎日新聞にこういう社説が掲載されましたけれども、ご覧になりましたでしょうか。

社説:療養病床 削減計画を実行せよ(2009年11月23日毎日新聞)

 「療養病床の削減計画を凍結する」と民主党のマニフェストにあり、長妻昭厚生労働相は改めて「凍結」を表明した。しかし、それでは医療が必要ない多くのお年寄りを病院に閉じこめておくことになる。どうして脱社会的入院の流れをせき止めるのか、理解できない

 療養病床は、70年代後半から増えた老人病院を前身とし、現在は医療保険を財源とする25万床と介護保険の13万床が存在する。06年、自民党政権は介護療養病床を全廃、医療療養病床を約22万床(当初は15万床)に削減する計画を発表した。それに対し「介護難民があふれる」「医療のない介護施設では不安」などの批判が起こり、民主党は削減計画を凍結する旗を立てたのだ。

 しかし、療養病床を削減するといっても、閉鎖して入所者を追い出すわけではなく、特別養護老人ホームや老人保健施設などへ転換させようというのである。そのために施設基準を緩め、税制優遇や各種助成金もある。医療が手薄になることへの入所者の不安は分からなくはないが、中央社会保険医療協議会の調査(05年)ではほとんど医療が必要ない人は約50%、週1回程度の医療の提供で済む人と合わせると8割以上になる。日本医師会や厚労省の調査でも4割前後の人は医療がほとんど必要ないという。むしろ狭い病室で寝かせきりでいるために症状が悪くなる人が多いとすらいわれているのだ。

 では、なぜ介護施設への転換が進まないのかといえば、経営側にとって収益が減るからだ。入所者1人当たりの1カ月の平均費用と床面積は、特養ホーム29万円(10・65平方メートル)、老健施設31万円(8・0平方メートル)、介護療養病床41万円(6・4平方メートル)、医療療養病床49万円(同)。療養病床が狭いのに費用がかかるのは医師や看護師を多く配置することになっているからだ。しかし、現実には医療が必要ない入所者が多い。その矛盾を解消するための削減計画であり、医療給付費も総額で3000億円くらいは節約できるといわれている。症状の重いお年寄りは存続する療養病床に集約して医療を提供すればいいのではないか。

 最近は特養ホームや老健施設で個室化が進み、家庭的な設備や雰囲気が重視されるようになった。いざという時の不安から狭い病室にとどまって結果的に寝たきりになるよりも、生活環境の整った介護施設で手厚いケアを受けながら暮らした方が良くはないか。精神科病院や一般病院にもお年寄りの社会的入院は多数ある。やはり、ここは削減計画を実行すべきだ。健康のためにも財政のためにも社会的入院から脱しよう。医療への過剰な期待はもうやめよう。

特養と言えば一年待ち、二年待ちが当たり前という状況を解消することなく療養病床を削減するとどうなるか、いずれにしても関係する国民にとっては非常に大変なことになりそうな気配なんですが、単なる一記事ではなく社説で主張してみるというあたりに毎日新聞の療養病床廃止にかける意気込みが伝わってきます。
この記事に関しては既に慢性期医療協会が抗議文を送りつけたそうですけれども、それ以上にどちらかと言えば国民に擦り寄る形の記事が多かった毎日新聞が社説でこういうことを言ってきたあたりに、何かしらの社内環境の変化があるということなのかなとも思わされるところです。
その原因なのか結果なのか、かねて言われている通り毎日新聞読者はやはり激減しているらしいのですが、やはりこういう主張をしてしまうほど今や国民目線から遠い別世界に逝ってしまったが故ということなんでしょうかね?

この1年、日経わずかに読者増。毎日・専門新聞激減!?(2009年11月21日Garbagenews)

マイボイスコムは2009年11月20日、新聞に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、この1年で多くの新聞が読者を減らしていることが明らかになった。調査対象紙においては唯一日経新聞のみが、読者が増える傾向を確認できる。逆に専門系の新聞や、5大紙の中では毎日新聞が大きく読者を減らしている可能性が見て取れる(【発表リリース】)。

今調査は2009年11月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万3700人。男女比は46対54、年齢階層比は30代33%・40代31%・50代以上22%など。

調査母体において、新聞を毎日必ず読んでいる人は38.8%。逆にまったく読んでいない人は16.9%に達している。

これらの人のうち、新聞閲覧者に限定し、普段読んでいる新聞について複数回答で尋ねたところ、もっとも多い回答が寄せられたのは「地方紙」だった。【「全国紙」の都道府県別トップシェア新聞を地図化してみる】にもあるように、新聞の主役は全国紙では無く地方紙であることを実感させる結果ともいえる。

いわゆる5大新聞(日経、読売、朝日、毎日、産経)も含め、用意された選択肢の中では唯一日経新聞のみが1年前より数字を増やしている。他はすべてマイナス。調査がインターネット経由で行われていることもバイアスとして存在している可能性はあるが、【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2009年11月発表分)】などのデータを見る限り、的外れとも言い切れない感はある。

また、これらの変移について増減率をグラフ化した上で、【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年7月~9月データ)】など雑誌系の定点観測記事上のグラフと同じような法則(5%以内の変動は誤差と見て薄く着色、それ以上の変動は実変動と判断しプラスは青・マイナスは赤で着色)で色を塗ったのが次のグラフ。

2008年11月から2009年11月における閲覧増減率

日経新聞のプラスが非常に頼もしく見える形だ。また、毎日新聞の減少が著しく大きな値を示しているが、これは多分に「WaiWai事件」をはじめとする問題や、その対処(特にインターネット回り)のずさんさを起因とし、ネットユーザーの読者の離反を招いた結果といえる。恐らく「世間全般」で計測すれば、この半数強くらいになるのではないだろうか。それでも5大紙では最大の値となるが。

全体の、より正確な閲覧数を知るには、各紙が発行している発行部数を知るのが一番だが、多くが最新値しか公開していない。さらにいわゆる「押し紙」問題もあり、最大で5割前後のマイナスを考慮する必要があるため、具体的な数は把握しにくい。「インターネット経由」というバイアスはあるものの、今回のデータ、特に最後のグラフの傾向は、案外「世間全体としても」的外れのものではないのかもしれない。

先頃には朝日新聞も二年連続の赤字を計上したというように、どこの新聞社もこの頃は大変なのは確かなのでしょうが、その中でもとりわけ毎日新聞が激減というのは、やはり変態報道を初めとする様々なイベントでことごとく裏目裏目の対応を繰り返してきたことにも原因があるのでしょうか。
さて、毎日と言えば先頃共同通信と手を組むという話が話題になりましたけれども、経営的に厳しいからとリストラを進めざるを得ない、その結果全国誌としての体裁を保つだけのスタッフが足りないから他からの配信記事を載せるだけということであれば、もはや毎日新聞自体が無くてもいいんじゃないかと考える人も増えてきそうですよね。

毎日新聞「共同通信加盟」に動く これでリストラ進むのか(2009年11月20日J-CASTニュース)

   経営不振がささやかれる毎日新聞が、共同通信社から国内ニュースの配信を受ける方針を固めた様子だ。「発表もの」は共同記事を使い、自社の記者を独自取材に振り向けられるという利点が期待できる一方、リストラ策の一環だとの見方もある。だが、「配信を受けたところでリストラは進まない」との指摘も出ている。

   地方紙は地元のニュースは自前で取材し、いわゆる「全国ニュース」については、共同通信に加盟費を支払って、同社から記事の配信を受けていることが多い。

「駐在」や「通信部」が大量廃止になる?

   一方、朝日・読売・毎日は、海外ニュースに限って共同から記事配信を受けているが、国内ニュースについては自前の取材網を全国に持っており、共同記事の配信は受けていない。ところが、毎日新聞が、共同通信に加盟し、国内ニュースの配信を受ける方針なのだという。11月下旬にも、役員会で決定されるとの情報もある。

   毎日新聞社の08年度の売上高(単体)は前年比7.2%減の1380億8500万円で、経常利益は前年度の21億6100万円の黒字から26 億9500万円の赤字に転落している。景気後退に伴う販売収入と広告収入の落ち込みが影響した形で、同社が09年6月に公表した有価証券報告書でも

    「当社グループにおいても新聞業界を覆う不況の影響は顕著」

とある。

   このことから、今回の共同加盟は、リストラ策の一環だと受け止められており、現場の記者の間では、

    「支局は減らないものの、2010年春の段階で、さらに小規模な『駐在』や『通信部』が大量に廃止になるらしい」

という話もささやかれている。もっとも、毎日新聞社側は「ご指摘のような取材拠点の縮小は予定していません」と否定している。

海外や東京のネタは強いが、地方は弱い共同通信

   毎日新聞社の常務取締役(営業・総合メディア担当)などを歴任し、「新聞社-破綻したビジネスモデル」(新潮社)などの著書があるジャーナリストの河内孝さんによると、01年頃にも共同加盟に向けた構想があったものの、一部役員や労組の反対で頓挫したという。ただ、加盟のメリットについては否定的だ。

    「発表ものでない独自取材が進むという面はあるのですが、毎日新聞にとって物理的なメリットは少ないといっていいでしょう。支局の記者をリストラするのは不可能です。なぜならば、共同は海外ネタや東京のネタは強いですが、ほとんど地方に記者は置いていません。例えばある県で言えば、毎日の支局には記者が30人いるのに対して共同は5。共同の最大の顧客は地方紙ですが、地方紙が必要としているのは海外や東京のニュースだからです」

   つまり、共同に加盟したとしても、地方の取材網については維持を迫られるとの見方だ。ただし、

    「もはや『朝・毎・読』ではない、という意識改革を促すことになる」

と、社員の危機感を煽る材料にはなりそうだ。一方、

    「かなりディスカウントしているとは思いますが、加盟費が入るのと、『朝・毎・読の一角が自らの軍門に下った』ということのインパクトは大きいでしょう」

と、共同側には大きなメリットがあるようだ。

   なお、当事者の2社は、

    「ご指摘の点について現段階で決まったものはありません」(毎日新聞社社長室広報担当)
    「決まっていません」(共同通信社総務局)

としているが、加盟に向けての交渉が行われていることについては否定していない。

こういう観測が事実だとすると、もはやこれは最後のひとあがきになりかねないんじゃないかとも危惧されるような話ですし、実際経営が厳しいのも確かなんでしょうけれども、どうもそれだけにとどまらないようなんですね。
むしろ毎日新聞の場合は経営云々よりもその取材体制、あるいは記者としての資質の部分に問題があるんじゃないかという指摘もこのところ根強いようです。
例の変態記事などのようにろくに裏取りもせず長年にわたって捏造報道を垂れ流すなど論外ですけれども、こういう話があるように業界内部でも「毎日さんのレベルは」と話題になっている気配すらあるようです。

NYタイムズの記者クラブ廃止についてのインタビューに毎日新聞の記者が「誰か自殺したら誰が責任とるの?」と意味不明な回答(2009年11月25日デジタルマガジン)

 日本特有の悪しき制度、記者クラブ。日本の大手マスコミしか基本的に加入できない会員制度を設けており、会員以外を記者会見からシャットアウトするこの制度を、ニューヨーク・タイムズが記事として取り上げていた。

 記事の主な内容は、この制度のために亀井金融相が週に2回連続して記者会見を開いているというものだが、この中で記者クラブの廃止について聞かれた毎日新聞の古田信二記者が、驚きの回答をしていた

 「(記者クラブは)そんなに閉鎖的ではありません。ケース・バイ・ケースで非会員の参加も認めています。(仮に廃止したとして)もし偽ジャーナリストが記者会見中に自殺や焼身自殺をした場合、一体誰が責任を取るのですか?

 この記者は何を言っているのだろうか? 記者クラブは国境なき記者団をはじめ、EUやOECDに「閉鎖的だ」として批判され続けている。外国政府が圧力をかけなければ門戸を開かない記者クラブのどこが“解放的”なのだろう。

 さらに自殺? 責任? もう意味が分からない。海外では記者の事前登録制によって保安性は高められているうえ、政府首脳などVIPの記者会見への出席はベテラン記者に限られている。どこの誰が自殺するのかぜひとも教えて欲しい。

 結局彼らは自分たちの利権を失いたくないがために、なんくせをつけているだけなのだ。毎日新聞の記者の発言にそれをみた。

(篠原 修司)

日本独自の記者クラブなんてものの弊害については以前からあちこちでさんざん言われていることですけれども、外国に向かって「自分たちは無能で怠惰な駄目記者で記者クラブがなければやっていけません」なんてことを公言してまわって楽しいのでしょうか?
どうも共同の配信を受ける件といいこの記者クラブの件といい、あまりに記者としてのプロフェッショナル意識に欠けたことが続くように思えて仕方がないのですけれども、それだけなら「毎日さんだからそんなもの」で終わる話です。

ここで改めて思い出すのが以前にも取り上げました佐々木俊尚氏の記事ですが、どうも上記の一連の「駄目毎日」な記事がひとつながりにつながってきそうな気配が見え隠れしているのですよね。
孫引きになりますけれども、この中で取り上げられていた元木昌彦氏の一文をもう一度取り上げてみましょう。

佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 記者クラブを楯にして新聞を有料化しようと企てる人たち(2009年8月17日CNET Japan)より抜粋

 元週刊現代編集長で、ついでに言えば元オーマイニュース編集長でもある元木昌彦氏の週刊誌は死なず (朝日新書)という新刊を読んだ。この中に、「ネットの影響を受けているのは新聞も同じである」として次のようなくだりがある。すこし長いが引用しよう。

         しばらく前に、朝比奈豊毎日新聞社長と若宮啓文朝日新聞元論説主幹と話す機会があった。私は、こうした人たちと会う時、必ず聞いてみることがある。それは「どの新聞社もネットを充実させればさせるほど紙の部数が落ち込んでいることで悩んでいる。ここら辺で、新聞社が”談合 ”して、情報(ニュース)はタダという風潮を断ち切り、有料化に踏み切ってはどうか」ということである。

         談合という言葉は刺激的すぎるが、要は、日本語という狭いマーケットの中で、バラバラに情報を垂れ流し合っていても、広告収入で採算をとるのは不可能に近い。「Yahoo!」など巨大ポータルサイトへのコンテンツ販売も、安く買い叩かれ、莫大なネットの維持費を穴埋めすることはできない。まだ、新聞討が体力のあるうちに有料化に踏み切らなければ、手遅れになりかねないからだ。

両氏も同感だとして、朝比奈社長は、ドイツの新聞社が同じようなことをやろうとしたが、たった1社が反対したために、できなかったという話をしてくれた。1社でも「協定」を守らず、無科配信を続ければ有料化はできないとよくいわれるが、そんなことはない。新聞の6割方は発表ものだから、新聞社お家芸の「記者クラブからの締め出し」をすれば、その社には情報が入らなくなる。共同、時事通信が配信しなければ独自取材をしなければならず、採算面でも追い込まれる

 驚くべき話。あきれ果てて声も出ない。

前述の記者クラブ擁護の記事とも照らし合わせてみると、何となく毎日新聞の考え方が見えてくるような話ではありませんか?
ものすごく深読みなんですが、共同との提携も一見負け組メジャー紙の凋落を思わせる話に見えて、あるいは毎日新聞なりの遠大な計画の一端であるのかも知れませんかね?
実際のところはどうなのか今後の経過を注意深く見ていかないことには判りませんけれども、まさかここで大逆転の一発を狙っているのだとすれば、さて…

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2009年11月27日 (金)

一見正論であるゆえに危うさを増す事故調議論

先日も事故調の記事が載っていましたけれども、議論はどこまでも堂々巡りと言うのでしょうか、すっかり暗礁に乗り上げたという印象があります。
この辺りも昨今の仕分けだ医療費切り下げだと大騒ぎになっている医療行政の混乱の中ではすっかり辺境になってしまったということなのでしょうか、関係者にしても議論をリードして結論を出そうというほどのモチベーションもないのでしょうね。

医療版事故調 議論再開のメド立たず 厚労省案VS民主党案VS医療界の事情(2009年11月22日産経新聞)

 医療事故の原因を究明する「医療版事故調査委員会(事故調)」の創設に向けた議論が1年半近くもストップしている。厚生労働省は昨年6月、事故調整備に向けた大綱案を公表した。だが、「刑事介入」の余地を残したことに医療界が反発している上に、政権をとった民主党が大綱案とは異なる対案を持っているためだ。22日から国の医療安全推進週間が始まった。しかし、安全な医療をどう構築していくのか、議論再開のきっかけは見えないままだ。(長島雅子)

 ■医療界に押され…

 事故調に関する議論が本格的に始まったのは平成11年。横浜市大病院の患者取り違え手術、東京都立広尾病院での消毒薬誤投与および事故隠しが連続したことが契機になった。

 以降、医療事故の調査に警察が乗り出すケースが増え、国民の医療不信に拍車をかけた。

 厚労省は「危機感を持った医療界の声に押される形で」(幹部)17年、事故調のモデル事業を開始した。刑事責任追及を目的にした警察の捜査にかわり、原因究明と再発防止を主目的にした調査の可能性を探る狙いだった。

 18年には、福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡、執刀医が逮捕(無罪確定)されたこともあり、事故調設置の機運はさらに高まった。

 ■民主の対案

 厚労省は20年6月に法案設置の大綱案を公表。医療事故で患者が死亡したケースを対象に、「医師のほか法律家など第三者を交えた事故調が遺体の解剖やカルテの精査、関係者への聞き取りにより事実関係を調査する」とした。

 第三者機関による調査に主眼を置いた大綱案に対して、民主党もほぼ同時期に、各医療機関内に設置した院内事故調での原因究明を重視した対案を公表した。民主党の医療政策を担う梅村聡参院議員は「民主党案は医療界の自律と患者の納得に主眼を置いている」と強調する。

 しかし、「院内事故調では透明性が担保できない」(医療問題弁護団の鈴木利広代表)という意見も根強く、それでまとまるには至っていない。

 ■被害者の思い

 「病死以外の異状死を警察に届け出ること」を義務づけた医師法21条の解釈が、大綱案と民主党案で異なることも、論議の停滞原因となっている。

 大綱案では、医療関連死を事故調に届け出た場合、警察への届け出を免除。さらに、事故調の届け出基準を「標準的な医療から著しく逸脱した場合」などと限定した。一方、民主党案では21条を削除し、事件性が疑われる場合や、死亡診断書などを発行できない死因不明の場合のみ警察への届け出が必要、としている。

 ただ、両案とも刑事介入の余地が残り医療界の反発は必至。議論再開のめどを一層立ちにくくしている。

 医療事故で長女を失い、厚労省中央社会保険医療協議会の委員を務める勝村久司(ひさし)さんは「刑事介入を避けたい医療界の要望で始まった議論だが、過去に医療の中で犯罪があったのは事実。制度設計には事故被害者の声も取り入れてほしい」と、被害者の思いをよそに宙に浮いた議論を憂慮している。

関係者のそれぞれに思惑はあるのでしょうけれども、どうも相変わらず再発防止と真相究明、そして責任追及という三本柱がそれぞれの論者によって不可分のまま一括りに議論されているという印象を拭えないところで、このままでは誰にとっても満足のいく結果には至りそうもありません。
思うに医療関係者が警察ら司法の関与というものを一番気にしているのであれば、今までの詳細な調査の後に届出の可否を決めるというやり方を反転させて、警察に届けるような事件性があるかないかという点のみに話を絞って真っ先に結論を出すということでもいいように思うのですけれどもね。
結局のところ再発防止策の検討と民事賠償などとも絡んだ責任問題とは往々にして証言者にとって相反する要素が多々ありますから、少なくとも別組織で行うようにするか、航空事故調のように免責を前提とした証言の真正性の確保(プラス患者救済のための無過失補償制度創設が望ましいのは言うまでもありませんが)が必要になるんじゃないかと思います。

医療事故というといつも議論を見ていて危惧するのが、事故には何かしら原因があったのであってそれを回避すれば防げたはずであるという論調を前面に押し出してくる人が必ず出てくることです(あるいは更に一歩進んで、回避義務を怠った責任があるとつなげたい向きも多いようですが)。
先頃ネット上でも話題になりましたけれども、例の福島県・大野病院事件に絡んでこのような話が出ていたことをご覧になった方も多いのではないかと思います。

大野事件で事故調査の実施を要望―医療問題弁護団(2009年11月24日CBニュース)

 「医療問題弁護団」は11月20日、昨年9月に無罪判決が確定した「福島県立大野病院事件」について、「刑事事件の無罪判決で解消されているとは思われない多くの疑問点、問題点が再発防止には必ずしも活かされないまま、なお未解明のままに残されている」などとして、事故調査委員会を設置し、調査を実施するよう求める要望書を「日本産婦人科医会」などに送付した。

 同弁護団では、今年2月に遺族の協力を得て訴訟記録を入手。弁護士13人で構成する検討班が、大野病院事件の刑事事件の審理と無罪判決により、事故原因の究明や、再発防止がなされたかどうか、資料や専門医からの意見聴取を基に検討を進めてきた。検討班は今月中旬、報告書をまとめた。

 報告書は、刑事事件では審判の対象が限定的なため、訴因以外のインフォームド・コンセントの有無や医療体制や医療制度上の問題点などが主要な論点にならず、再発防止のために本来議論されてよい論点が十分に解明されなかったと指摘。また、医学文献が16点しか証拠採用されていないことを問題視し、「ある医学的論点について一般にどのような議論がされてきたかを、文献の裏付けを持って正確にトレースするような立証は、必ずしも十分なされているとは思われない」とした。さらに、刑事訴訟手続きが刑罰権の発動を直接の目的としていることを挙げ、再発防止のための教訓をくみ取ろうとする指向性は極めて不充分と指摘。
 その上で、「死亡原因・死亡に至る機序は解明されたか」「事故後の対応は、適切だったか」など10項目を調査・検討すべき論点として挙げている。

 検討班の報告書を受けて同弁護団は、「同事件について、その後、『専門家集団による透明性のある事故調査』が遂げられ、あるいは『専門家中心の第三者機関』が設置されてその成果が広く国民に対して開示されるということは、今日に至るまでなかったように思われる」などとして、「日本産婦人科医会」「日本産科婦人科学会」「日本麻酔科学会」に対し、事故調査委員会を設置し、原因究明や再発防止を図るよう要望している。
(略)

「帝王切開死 刑事裁判に限界」(2009年11月25日朝日新聞)

 ●再発防止策 学会に要望/医療問題弁護団

 県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が死亡した事故をめぐり、医療問題弁護団(事務局・東京、鈴木利廣代表)は24日、業務上過失致死罪に問われた医師が無罪になった刑事裁判を検証した報告書を公表した。「再発防止の論点が刑事手続きでは十分解明されていない」などと指摘。日本産婦人科医会など関連学会に対し、事故調査委員会の設置と原因究明、再発防止に取り組むよう求めた

 裁判は04年12月、大熊町にある同病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が、手術中の大量出血で死亡したことについて、胎盤をはがした行為に医師の過失があるかが争われ、08年に執刀医の無罪が確定した。

 裁判の争点以外に、医師の判断や、手術法の選択などに、捜査当局が介入するのが妥当かどうかについても、社会的な議論となり、医療紛争解決についての新しい仕組みづくりの必要性を問いかけたことでも注目された。

 弁護団は、今年に入って、女性の遺族が入手した裁判記録の提供を受け、独自に集めた医学文献を参考にしながら内容を検証した。

 この結果、刑事裁判で採用された医療文献が16点だった点を踏まえ、通常は50~100点を超す文献が提出される民事訴訟に比べて少ないことや、手術前の説明が十分だったかなどの本質的な問題点に踏み込めていない点を指摘。原因究明や、再発防止については「刑事事件に限界がある」と分析している。報告書の全文は、同弁護団のホームページからダウンロードできる。

 厚生労働省で記者会見した鈴木代表は検証の目的について「無罪判決で、医療事故調査委員会のあり方を論ずるのがタブーになったのではないか。きちんとした事故調のあり方を専門家である医師の集団に問いかけたい」と話した。

 同弁護団は日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本麻酔科学会に報告書を送り、この件について事故調査委員会を設置し、専門家として自律的な原因究明と再発防止に取り組むよう求める要望書を出した。

 この日の記者会見に同席した、死亡女性の父親の渡辺好男さん(59)は、弁護団に協力した経緯について「目的が自分の意思、娘の遺志と合致していた」と説明。再発防止策作りを求めた報告書について「すばらしいなと思った。今のままでは医療事故がまた起きるのではないかという不安がある」と述べた。(権敬淑)

個々の見解について必ずしも全てがというわけではないのですけれども、全体としてどうも妙な方向に迷走してきているのではないかと危惧するのは自分だけでしょうか?
ネット上の反応を見てみると、そのあたり弁護団にとっても意図しなかっただろう受け取られ方が主流となっているようで、こういう反応を惹起するということは弁護団の皆さんにとっても不本意なのではないでしょうかね?
そうであるなら、何故そうした受け取られ方をしてしまうのかという点についても一度ならずご検討なさるのがよろしいかと考えます。

535 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/24(火) 14:41:33 ID:y4MdNAvH0
>>516

大野事件の裁判では、検察側は有罪に持ち込むためにあらゆる手段を講じました。
弁護側が提出しようとした論文や資料への証拠採用に同意しない、というのも
その一つの手口です。
どんな論文でも、検察が同意されなければ証拠として採用されません。

日本の刑事裁判は検察に極めて有利なシステムとなっています。

537 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/24(火) 15:18:04 ID:meY0zLf70
>>536
それで負けたとかどんだけ…

538 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/24(火) 15:20:43 ID:3HALzYNg0
採用したのは国試用テキストw

539 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/24(火) 18:31:38 ID:lTWXj4m/O
ステップ産婦人科

545 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/25(水) 07:53:02 ID:yNihzuiW0
>>530
あいかららず、ひどいなあ。
弁護士なら、無罪判決後に声明するのは、いかに起訴が不当で無理があったか?だろ。
いつから、医療事故再発を考えてくる機関になったんだ。
こいつら騒ぐと、No doctor,No error.という完全な再発防止は実現するけどw

546 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/25(水) 10:06:11 ID:hENECFGs0
STOP産婦人科(産科)

監修:福島犬警・福島痴検
出版社:福犬書房
価格:4,200円(税込) ストップシリーズの産科です。
産科医の追い込み方、産科のストップ(閉鎖)のさせ方
を具体的かつ執拗に解説しています。

547 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/25(水) 10:07:24 ID:JSV0j8Ly0
>>546
著者は腫瘍が専門のあのお方?

555 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/25(水) 11:21:57 ID:YgImVEck0
>>552
粘着乙としかいいようがない。

ていうか、産科専門医の総本山に「文献十倍読んだから俺達の意見を聞け」
とか言って素人ポエム送りつけちゃう門外漢って何なの?
そもそも、STOPもといSTEP産婦人科をバイブルにする一方で、医学文献の
証拠採用を頑なに拒否していたのは検察側じゃなかったっけ?

まあでも、こういう記事を見ると、産婦人科医の置かれた状況はあの頃と何も
変わってないんだなあと、つくづく思う。
もちろん、法律は全く変わってないわけだし、プロ市民のネットワークも健在
なんだから当たり前といえば当たり前なんだけどね。

努力してもなお年間数十人の母体死亡が厳然と存在する医学の限界に対して、
刑事・民事の同時攻撃で責め立てられ、挙げ句の果てに無罪になっても「再発
防止」の美名のもとに一生ストーキングされる・・・。
これでは「じゃあ辞めます」としか返事のしようがないわけで。

極論に走りがちなネットの声はともかくとしても、医療問題弁護団の方達の思考は典型的なゼロリスク症候群の迷路にはまり込んでいるように見えるのですが、そうした方法を追求する限り医療事故のリスクを正しく認識することは決して出来ないし、適切な社会的対応をとることを阻害しかねないという意味で有害ですらあると思います。
婦人科腫瘍学が御専門の大先生などはともかくとして、まともな周産期専門家の一致した意見として「非常にレアなケースであり、避けがたいリスクであった」といったものだったと思いますが、この場合の避けがたいという意味は、例えば末期癌で死亡は避けられないということとは意味が異なることに注意しなければなりません。
例えば帝王切開開始時点から多量の輸血を開始していれば失血死のリスクは避けられただろうなんて意見はあるかも知れない、しかしそんな方法論は現実的ではないという意味で避けがたいということであり、あるいは仮にそうした方法論によって出血には対応できたとしても、輸血による副作用死が発生するリスクはむしろ増えてしまうわけです。

お産に関わる思いがけない死亡のリスクを文字通りゼロにしようと思えば、それは施設側にとってはお産を一切扱わないということであり、妊婦側にとっては一切妊娠をしないということでしか解消できませんが、そんなことを主張する人間はまともであるとは見なされませんし、将来的に子供や孫がいないことに起因する別なリスクが増えるということでもあります。
そうだとすれば本質的にお産と言うものはどこかで一定のリスクを甘受しなければならない、それは常時多数の産科医、麻酔科医らスタッフが常駐しあらゆる処置に即座に完璧に対応できるような施設(福島にそんな施設があるかは存じませんが)でしかお産はしないということに決めたとしても、例えば一万人に一人であったリスクが十万人に一人になるだけにしか過ぎないわけです。
そしてリスクを回避しようとハードルを厳しく設定すればするほど、例えば病院が遠くなる、出産の待ち時間が長くなる(待てるものなのかどうかはこの際別の話として)、膨大なコスト負担を要求されるといった利便性の面での後退があるわけで、早い話が「1年かけて宇宙の果てのイスカンダル星に行けば限りなく安全なお産が待ってます」と言われても現実困るだろってことですよ。

医療ということで言い始めるとどうもリスク評価を冷静に判断できない傾向が意外に多くの人々に見受けられるようですが、例えば自動車事故で命を落とす人が毎年多いわけですから、メーカーに義務づけるなりして自動車の性能を厳しく規制し無用なスピードが出ないようにさせようと主張する人々は昔から一定数存在します。
交通死亡事故の原因として速度超過ということは少なからず挙げられており(何故そうなるのかはここでは議論しませんが)、そうであるからこそ無用な速度を出せるようにするなど百害あって一利無しという意見ですよね(もちろん、1000km出すためにロケットモーターつけてみました、なんて手合いはまた別な次元の話として)。
しかし速度を規制するとして何キロにすべきなのか、高速道路の法定速度は現行100kmですからそれにあわせようというのは一つの考え方ですけれども、高速道路という環境は実のところ以外に交通事故の少ない安全な道路環境であると言われている上に、高速道路上で停止していた、逆走していたといったことに起因する事故(多いですよね)は全く防げません。
一般道の法定速度は60kmですが、ではそれに合わせて規制をしたところで、車庫入れで子供を車に巻き込んで死亡させたなんてニュースはしょっちゅう報道されているわけですから、やはりこれも自動車文明のまん延による悲惨な犠牲者を出さないためには全く十分ではないということですよね。

いっそ車は一切走らないようにしようと言ったところで、停車中の車中で置き去りにされた子供が死んでいたなんて話は毎年枚挙にいとまがありませんし、いっそ強固な地盤に固定して車内に一切立ち入れないようにしようと言っても、これまた停まっていたトラックに競技用自転車が衝突して死亡したなんて話があるように完全な対策ではありません。
世界を見渡せば車なんて見たことも聞いたこともないまま平和に生活しているという人も何億人といるわけですから、いっそ車なんて全廃してしまえばいいという人も一定数いますけれども、そういう世界においても象に踏まれるとか崖から転落するとか、いずれにしても悲惨な事故死のリスクはゼロには出来ないわけです。

そろそろ馬鹿馬鹿しいとお思いでしょうけれども、要するに実社会において多くの人々がこうした各段階のどこらあたりかに立って車と共存するというリスクと、それによって得られる利益というものに折り合いを付けて受け入れている、なぜならその方が結局は得であるということを体感的に知っているからです。
医療においては利益は個人にしろ社会にしろ相応に得られるにしても、ことリスクに関しては個人にかかる部分が非常に大きいという点で少しばかり対策に工夫が必要ですけれども、基本的なリスクと利益のバランスに基づいた落としどころを探るという方向性は同じことですよね。
つまり社会として個人として得をしたいのであれば極論ではないどこか妥当な線でリスクも受け入れるべきなんですよと言うことなのであって、そのリスクを受け入れる一助として例えば第三者による紛争調停機関の設置であるとか、広範な無過失補償制度の創設であるとかいった、特に個人レベルの救済が可能な方向に話を進めていく方が、よほど建設的ではないかということですよ。

非医療業界の人々が行うべきは歪んだゼロリスク症候群にとりつかれた不毛な議論を繰り返すことではなく、コストや利便性も含めて一体どの程度のリスクであれば受け入れられるものなのかのコンセンサスを求め、そのために避けがたいリスクをいつか必ず背負うことになる誰か個人に対する社会的サポート体制を整備していくことなんだと思います。
そのあたりの落としどころを公平な第三者の立場から、口べたな医者などに代わって議論を主導できるようになれば、弁護士の先生方も医療業界からきちんとしたリスペクトを受けられるようになるんじゃないかと思うんですけれどもね。

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2009年11月26日 (木)

24時間働けますか?

先日こういう記事が掲載されていましたけれども、ご覧になりましたでしょうか。

過労状態で長時間運転命令、運送会社社長逮捕(2009年11月23日読売新聞)

 2人死亡の追突事故を起こしたトラック運転手に過密で無理な運行をさせたとして、福島県警本宮署は23日、茨城県石岡市上曽、運送会社社長萩原昇容疑者(60)を道交法違反(過労運転下命)の疑いで逮捕した。

 事故までの4日間、運転手は連日十数時間~20時間超の運転を命じられ、睡眠は3~5時間だったという。

 発表によると、萩原容疑者は10月下旬、トラック運転手御崎春彦被告(44)(自動車運転過失致死罪で起訴)が過労状態と知りながら、長時間の運転を命じた疑い。

 御崎被告は10月22日深夜、福島県本宮市の国道で信号待ちしていた車に追突。「居眠りしていた」と供述したため、同署が勤務状況を調べていた。

この「過労運転下命」というのは運送業界では結構これで裁判沙汰になっているトピックスのようですけれども、道路交通法では過労運転というものに関して次のように定められていますが、このあたりに関しては2002年の法改正で従来より厳罰化されたというあたりに、社会的関心が現れているということなのでしょうか。

(過労運転等の禁止)
第66条 何人も、前条第1項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。

(自動車の使用者の義務等)
第75条 自動車の使用者は、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることを命じ、又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認してはならない。
4.第66条の規定に違反して自動車を運転すること。

医師法には残念ながら同種の規定はないようで、例えば医師法19条に規定される例の応召義務との絡みで「極度の過労状態での診療は拒否出来るのか?」という問題がありますけれども、残念ながら今のところあまり判例の蓄積もないようで、実際に応用するには至っていない状況です。
あるいは平成18年に改正された医療法に追加されました第3章「医療の安全の確保」には下記のような条文がありますけれども、以後に続く条文を見てもこれは患者側の安全に直接関わる部分に関しての規定であって、未だ「医療従事者の過労防止が患者安全に寄与する」という視点はないようですね。

第6条の9 国並びに都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発その他の医療の安全の確保に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第6条の10 病院、診療所又は助産所の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の当該病院、診療所又は助産所における医療の安全を確保するための措置を講じなければならない。

となりますと、医師の過労に関してこれを防止するための法的裏付けは労基法頼りということになりそうですけれども、これがまた非常に寂しい状況にあるというのがこちらの記事からもお分かりいただけるかと思います。

時間外労働の協定、締結7割=医師含まないケースも-主要病院調査・労組など(2009年11月22日時事ドットコム)

 地域の拠点病院のうち、時間外労働に関する労働基準法の「36協定」を直近1年半以内に結んだ所は7割にとどまることが22日、医師の労組「全国医師ユニオン」などの調査で分かった。協定があっても医師以外の職種を対象とする病院も多かった。
 同ユニオンは「公的医療機関の多くに労基法違反があることが判明した。勤務医の労働問題に関する行政の無作為が過重労働を促進し、医療崩壊を引き起こした」と抗議、法律に基づく労働条件の改善を求めた。
 調査は、全国約8000の病院の中から大学病院、国公立病院、赤十字病院など地域の拠点となる1549病院を選び、労働基準監督署に直近1年半に結ばれた36協定を開示請求した。
 開示されたのは約7割にあたる1091病院。残りは「該当文書なし」などだった。
 協定に医師が含まれると確認できたのは6割弱。看護師などを対象とし、医師が除外されているものも少なくなかったという。

168か所の公的病院が「過労死ライン」の36協定を締結-全国医師ユニオン調査(2009年11月22日ロハス・メディカル)

 大学附属病院や国公立病院など地域の拠点となる国内1549か所の病院のうち168か所が、「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業を認める36協定を結んでいたことが22日、全国医師ユニオン(植山直人代表)の調査で分かった。協定を締結する職種に医師が含まれていないものもあることなどから、ユニオンは「全国の公的な医療機関の多くに労働基準法違反がある」との声明を発表。政府与党や厚生労働省に対し、勤務医の労働環境改善や、労基法を順守する医療機関を評価するような診療報酬の創設を求めた。(熊田梨恵)

ユニオンの調査結果は下表の通り。

 調査は国内の病院の36協定の内容を調べるため、大学附属病院や国公立、労災、赤十字、済生会、JA厚生連、国保や一部の民間病院など、地域医療の拠点を担う50床以上の病院を対象に、2008年末から行われた。各病院を管轄する労基署に対し、直近一年半の間に締結された36協定について開示請求し、7 割を占める1091病院の情報を得た。

 36協定の内容で、一日の最大残業時間で長かったものには、「20時間」(大阪)、「16時間」(秋田、佐賀)、「15.5時間」(東京、神奈川、静岡)などがあった。一か月の最大残業時間では、「200時間」(愛知)、「125時間」(山梨)、「120時間」(山形、千葉、東京、滋賀)など。1年間の最大残業時間では「1470時間」(愛知)「1200時間」(東京)「1080時間」(長野)などだった。

 「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業を認める協定を結んでいた病院は41都道府県に168か所あった。最も多かったのは東京で25か所、次に兵庫14か所、愛知12か所だった。

 協定が開示されなかった458病院についてユニオン側は、直近1年半で協定が締結されなかったとの見方を示しており、「36協定はその趣旨から毎年締結することが基本。1年半の間に36協定を締結していない病院が30%もみられることは大きな問題」とした。また、協定の内容について申し立てがない限り、自動的に更新することを認める記載が「月120時間の時間外労働を認めている協定に多くみられる」として問題視している。

 また、医師が職種として含まれていない協定があったことを「極めて重大な違法行為」と批判した。さらに、328病院の協定は職種欄が黒塗りされており、「個人情報の公開と全く関係なく、情報公開の趣旨に反する」とした。

 このほか、月の残業を「45時間以下」とする病院が594病院あったことについて、「日本では医師の交代制勤務がほとんどみられず、多くの病院の当直業務が32時間連続労働を前提としている現状を考えれば、45時間以内という協定内容は全く守られていない」との見解を示している。

 ユニオンは同日開いた記者会見で、「医療機関における全国的な労働基準法違反及び勤務医への賃金不払いに抗議する」と題する声明を発表。医師不足の中で地域医療を守るには、勤務医が一定の長時間労働を担うことになるのは事実としながらも、「そのことを理由に漫然と長時間労働を認めることは許されない」とした。受診行動に関して住民の理解を求めるなど勤務医の労働環境を改善するための取り組みや、医療事故につながる可能性のある連続の長時間労働を防止する対策が必要とした。

 また、「一定の当直料を支払うことで、労基法に定められた時間外割り増しや深夜割り増し賃金を払わないことにより、莫大な不払い賃金が発生している」ことの可能性も指摘。ただ、診療報酬で手当てされたとしても病院経営の赤字補てんや修繕費用などに回される可能性が高いとして、36協定締結など労基法を遵守する病院を評価するような診療報酬の創設を求めた。

 今回の調査は公立病院など一部の病院に限った調査だったことから、植山代表は「所管している厚労省だったすぐできること」と述べ、国内すべての病院の締結状況などを調査するよう求めたいとした。

 今回の調査に協力した全国医師連盟の黒川衛代表は会見で、「当直して夜間外来をして、そのまま(夜勤明けに)処置すると危ない。睡眠不足で患者さんを手術することは危ない綱渡りで、患者のためにも労働安全は跳ね返ってくることなので、この実態でいいのかと知っていただきたい」と、国民の理解を求めた。

「医師だけは労使協定から除外」であるとか「結んだ協定が既に過労死レベル」であるとか、いかにも「あるあるあるある」と全国から声なき声が聞こえてきそうな話ですけれども、全医連の黒川代表も言うように何より「医者の過労は患者にとって危ないこと」という認識を、当事者である患者すなわち国民がもっと危機感と共に共有しなければならないはずなんですけれどもね。
このあたりは長年「医者は責任感もあって辛抱強いからついつい頑張ってしまう」などと妙な具合の自己正当化をしてきた業界内部にも責任の一端が無しとは考えませんけれども、エビデンスに基づいた診療だ、ガイドラインによる医療の平準化だと医療の質の担保に躍起になるくらいなら、まず過労こそが現実的に最も医療の質を下げている行為だと大騒ぎしなければおかしいと思います。
最近ではことに厳しい現場から医者が逃げていく、その結果医療が崩壊するなどと一般社会でも話題になってきていますけれども、過労死レベルの労働環境を常時強いられても責任感と辛抱強さで何とかしてしまえるような特殊な人たちにしか務まらない職場というのは、所詮安定的に持続することなどできないという一つの証明でしょう。

医師(勤務医)が病院から守られていない、そして医師を守るつもりがない病院から医師が逃げ出しているということは既に多くの人々の看破するところとなってきていますけれども、まずそのあたりの状況改善の第一歩として当事者である医師自身がもっと問題意識を持たなければならないところだと思いますね。
最近は全医連傘下の医師ユニオンなどという組織も出来て声をあげ始めていますけれども、先日から書いていますように金銭的報酬という面で大きな上積みが期待できるような環境に現在の医療行政はない、何より国民がそんなことを望んでおらず全く支持が見込めない、となればもっと労働環境改善に訴えの主軸を移していってもいいと思います(表立って反論もしづらいですし)。
「もっと金出せゴラ!」と言えば「じゃあ金は出すから今まで以上に働いてね」という話になりますけれども、実際問題3000万出されようが「もうこれ以上無理。勘弁して」という限界はあるわけですし、何よりそういう限界を極められるほど心身の耐性が高い医者ばかりではないという現実を見据え対策しなければ、いつまで経っても最前線を支えるスタッフは増えないと思いますね。

仕分け作業との絡みで医療行政はますます医療現場にとって厳しいものになりかねない勢いのようですが、そういう逆境であるからこそ現場の医師達の意識改革が一気に進むチャンスとなるかも知れないと、ここは無理矢理に前向きに捉えておきましょうか(苦笑)。

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2009年11月25日 (水)

いつの間にそうなったのか話がまとまりつつありますが

診療報酬改定の議論が進んでいるようですが、今のところは原則総額引き下げ、最大限良くて横ばいといったところで、引き上げという話はついぞ聞こえてこないようですね。
官僚、政治家、支払い側そして患者と、およそ医療を行う側以外は国を挙げて一致団結しての結論ということであればこれはやはり既定の路線と考えるべきなのでしょう。
しかし官僚はともかく政権与党の政治家さん達は、総選挙の頃には引き上げ肯定論で医師会組織を切り崩したり、医師偏在ではなく医師不足だと熱心に主張されていたような気がしていたのですが、あれは結局何だったのでしょうか?(苦笑)。
まずはこちら、財務省および財務大臣・副大臣らの方針を拝聴してみましょう。

次期報酬改定の本体部分「原則引き下げ」―財務省が方針提示(2009年11月20日CBニュース)

財務省は11月19日に記者会見を開き、年末にかけての来年度予算編成に向け、医療予算についての査定の方針を明らかにした。医師不足問題に対応するため、診療報酬本体部分の配分を抜本的に見直すほか、国民負担軽減のために先発品の薬価の引き下げを目指すとしている。同省によると、本体部分は引き上げの環境にはなく、増減率は「最大で0%」としており、原則引き下げの方針を示している。

査定の方針では、▽官民の人件費カットやデフレ傾向の反映▽収入が高い診療科の報酬を見直す▽開業医の報酬を勤務医と公平になるように見直す―の3点を論点として提示している。
収入や医師数については、診療科によって偏りがあると指摘。収入の高い診療科の報酬は見直し、医師不足が深刻化している産科や小児科、外科などに重点的に配分する方針を示した。また、開業医の年収(約2500万円)と病院勤務医の年収(約1500万円)との間に1.7倍の格差があるとのデータを示した上で、診療所に対する報酬を見直すべきなどとしている。

薬価については、先発品と後発品の間に数倍の価格差があると指摘。後発品のある先発品の薬価を後発品の水準まで下げることで、8000億円程度の医療費の削減につながるという。

診療報酬の配分をめぐっては、11月11日に行われた事業仕分けでも、「見直しを行う」との評価が下されており、見直しの例として「収入が高い診療科の見直し」「開業医・勤務医の平準化」が挙げられている。

■医療の偏在と薬価が問題―藤井財務相
藤井裕久財務相は11月20日、閣議後の記者会見で、19日に財務省が示した医療予算の査定方針に関連し、診療報酬には2つの問題が焦点として挙げられると指摘。診療報酬については「医療の中の偏在」があるとした上で、「(こうした点が)小児科や産婦人科のなり手がいなくなっている問題と関連している」との認識を示した。また、薬価の問題については、後発品の使用を促進すべきと述べた。

「医師だけ高止まり」 診療報酬引き下げ、予算に反映へ(2009年11月20日朝日新聞)

 財務省の野田佳彦副大臣は記者会見で、10年度に改定時期を迎える診療報酬を引き下げる方向で予算編成に臨む意向を明らかにした。予算編成の過程を公開する試みの一環として、財務省の主張をインターネット上のホームページでも同日公開。ほかの主な事業についても毎週、考え方を公表するという。

 野田氏は、医師らの人件費や物件費について「民間給料が伸び悩み、(公務員給与を左右する)人事院の勧告もマイナス2.4%。ドクターだけが高止まりでいいのか」と指摘した。

 記者会見やネット上では、病院の勤務医より開業医の年収が1.7倍も多いことを示すグラフを提示。全体として報酬を引き下げても、不足している勤務医や産婦人科などには手厚く配分するよう厚生労働省に求める方針を示した。

 また、診療報酬の一部を占める薬価についても、成分が同じ後発品がある先発品の薬価を引き下げることで、数%のマイナス改定を要求する。

 厚労省は診療報酬の引き上げを主張しており、財務省は今後、両論をネット上で公開する考え。野田氏は「(予算の)議論の経過とともに、(査定に関する情報)内容が厚くなっていくようにしたい」と話した。

この「両論をネット上で公開」という下りに留意しておいていただきたいと思います。
ちなみにこの野田副大臣の引き下げ発言に対してはおひざ元の千葉から医療政策集団「医療構想・千葉」が抗議文を送りつけたという話ですけれども、国民の信任を得て圧倒的多数を確保している現政権が今更その程度のことで大騒ぎするはずもなさそうです。
しかし民主党というところは官僚と対決姿勢を示す決意といったふうに聞いていた気もするのですけれども、どうもこうまで官僚の作文通りといった感じのコメントがそろってしまうと何やらキモチワルイですかね。

それでもこのあたりは財務省だからこんなものかという感じではあるのですけれども、先日もご紹介しましたようにその財務省にも噛みつこうかという勢いだった中医協の方でも医療側委員あ相変わらず孤立しているということで、何のことはない日医を外そうが別に何の変りもないんじゃないかという様子を呈しているようですね。
しかしこうして見ますと今や医療費というもの、この財政難の時代にあっては財政的にも国の行方をも左右しかねないくらいに大きな存在感を発揮するような規模のものとなってきたのかと、医療亡国論とまでは言いませんが何やらそれなりに感慨深いものがあります。

中医協総会 診療側「診療報酬引き上げを」、支払側「引き上げ反対」(2009年11月19日ミクスオンライン)

中医協総会が11月18日に開かれ、10年4月の次期診療報酬改定について診療側と支払い側がスタンスを明確に示した。診療側はこれ以上医療崩壊が進まないためにも診療報酬の引き上げが必要と訴える一方、支払い側は賃金・物価が下がり、失業率も高い社会環境の中で国民負担増、保険者負担増につながる診療報酬の引き上げに反対と表明した。新メンバーとなった中医協でも、改定前の恒例のやり取りが繰り広げられた。

厚労省はこの日の総会に、改定率の決定にあたって参考にする賃金・物価の動向を示した。人事院勧告を基にした賃金動向は08年度、09年度の2年間でマイナス2.4%、消費者物価を基にした物価動向は同マイナス0.5%で、賃金・物価ともマイナス基調。前回08年度改定(全体マイナス0.82%、診療報酬本体プラス0.38%、薬価等マイナス1.2%)では賃金がプラス0.7%、物価がプラス0.6%だった。

総会では診療報酬の上げ下げに関して、診療側の鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)が、医療従事者は専門職であり、その確保も難しく、中小医療機関は公立機関に比べ賃金も低いことを挙げ「(引き下げを)おいそれとはできない」と口火を切った。これに支払い側の白川修二委員(健保連常務理事)が、賃金・物価動向、高い失業率、経済成長の低迷といった社会環境の中で「診療報酬だけを上げるのに我々は反対の立場だ」と表明した。

その後も各側が応酬。診療側は安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が「看護師、理学療法士、医師らを雇用しようとすると赤字基調。病院でこの基調が強い」、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)は「現場を預かっている我々の仕事は、国民の求める医療をいかに担保するかということ。(診療報酬引き下げとなると)国民に対して医療の質を保証できるか不安」と述べた。西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「国民に医療や介護を提供したくても人が集まらない。もう少し報酬を上げて職員の処遇を改善しないと日本の医療介護は崩壊する」と声を荒げ、全病院が算定する入院基本料の大幅増額を求めた。

一方、支払い側は北村光一委員(日本経団連社会保障委員会部会長代理)が「医療で是正すべきところはしないといけないが、賃金物価の低下や失業問題の中で負担は患者や健保。ここも大変厳しいことも念頭においてほしい」と診療報酬引き上げに難色を示した。中島圭子委員(連合総合政策局長)や伊藤文郎委員(愛知県津島市長)は、人材確保が困難な医療現場の現状に理解を示しながら、「全てを診療報酬だけで解決できるのか。地域間格差の問題もある」(中島委員)として、診療報酬と補助金のあり方を検討すべきと指摘した。遠藤会長は、補助金は中医協のテーマでないとしたものの、「地域の事情を反映した診療報酬のあり方」の議論には関心を示した。

これもお互いそれぞれの背負って立つ立場がありますし、何しろ今の時代ですと銭金のことに関してはどこも余裕などないですから必死なんでしょうが、いずれにしても金を出す側はもうこれ以上は出す気がないということで、これもすっかり話がまとまっているようですよね。
そうなりますと医療の受益者たる国民世論の動向というものが気になってきますが、これもこの懐具合の厳しい折、やはり誰も金など出したくないというのが正直なところなんだろうなと思いますが、注目すべきはその理由の部分です。

「報酬引き上げ」に医師はYes! 患者はNo!(2009年11月18日日経メディカル)

 「診療報酬は引き上げるべき?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについては、日経メディカルオンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)の投票結果に、はっきりとした差が出ました。NMO(医師)では、「診療報酬は引き上げるべき?」との問いかけに対して、「Yes」が94%と圧倒的多数を占めました。一方、NBO(患者)では、「Yes」が42%で「No」が58%。一転して、「No」が多数派です。

 ただし、コメントを見る限り、「No」を支持する理由には、NMOとNBOでそれほど大きな違いはないようです。その主張は大きく分けて2つあり、1つは「削れる部分もまだまだあるはずで、必ずしも全体的に引き上げる必要はない」というもの。もう1つが、「報酬を引き上げても経営者の懐が暖かくなるだけで、勤務医には回らないから無意味」という見方です。

「まだまだ削る部分はあるはず」との声が多数

 前者の意見の背景には、「高い」と言われる開業医の報酬への疑問、経営に“ムダ”が多いと言われる自治体立病院への批判などがあるようで、これらの声は、NMO、NBOの双方から聞かれました。一方、後者は主にNMOの読者からの意見です。この問題に関しては以前から、医師に直接報酬を支払う方式(ドクターフィー方式)を求める声があり、診療報酬改定を話し合う場である厚生労働省の中央社会保険医療協議会でも議論の対象となりましたが、実現はなかなか難しそうです。

 このほかでは、「診療報酬の不正請求で不当な利益を得ている医療機関がある以上、それらの存在を無視して“引き上げ”を支持するのはいかがなものか?」「診療報酬を引き上げても、医薬品や医療機器メーカーの利益になるだけ」といった声も聞かれました。

 また、今回のNBOの結果を見ると、景気の影響も否定できない気もします。国民医療費は年々増加し、2006年には34兆円を超えました。一方で、世界同時不況の出口は見えず、新聞では最近、冬のボーナスは大幅減と報じられました。寄せられたコメントには窓口負担の増加を懸念する声はほとんどありませんでしたが、診療報酬の引き上げを納得してもらうのが難しいのは当然かもしれません。

 ここで1点だけ、前回の記事に対する補足をさせていただきます。診療報酬の改定率は、国民医療費の伸び率(もしくは減少率)とイコールではありません。同じ患者数と同じ医療行為を前提に、改定により国全体の医療費がどれだけ増減するかを試算したものです。つまり、高齢化などによる医療需要の伸びなどは加味されていません。その点は、誤解されませんようお願いいたします。

救急や小児科、産科などへの重点評価には異論なし

 以前にもこのコラムで取り上げましたが、開業医の報酬の適切性を判断するのは非常に難しいのが現実です。そもそも、開業医は中小企業のオーナーと同じで、また、開業の際に多額の借り入れをしている例も多く、同列には論じにくいからです。なお、開業医の間でも診療科目間格差があると言われますが、その点は次期改定に向けた議論の俎上に載る可能性はあるかもしれません。

 また、自治体立病院の経営に関しては、診療報酬改定とは分けて話し合うべきではないでしょうか。公立病院の“ムダ”を前提に診療報酬のあり方を議論すれば当然引き下げの方向になってしまい、その結果、ほかの多くの病院に大きなダメージを与えてしまうことになりかねません。

 ちなみに、救急や小児科、産科など、医療崩壊が深刻化していると言われる分野への評価を引き下げるべきという意見は見られませんでした。そう考えると、「Yes」と「No」は、上記以外の分野への評価をどう考えるかで分かれたのかもしれません。多くの医師は他分野も現状は厳しく、全体的に引き下げるべきじゃないと考えており、一方のNBOの読者は、まだまだ引き下げの余地はあると感じているのでしょう。

 ただし、「救急、小児科、産科などは重点評価すべき」という点で同意見であるならば、「Yes」と「No」の間の“距離”は、それほど離れていないとも言えそうです。その距離を縮めるためにも、医療従事者と国民、行政が、さらに深く話し合うことが必要だと感じます。
(略)

非常に興味深いなと思ったのが、先に挙げました財務省筋のコメントと照らし合わせて上記国民の声にあるところの「まだまだ削れるもの」というものを見た場合に、どうやら財務省の広報は非常にうまくいっているんじゃないかという印象を受けるところです。
開業医はもうけ過ぎ、製薬会社はぼったくり過ぎ、だから奴らから金を取り上げて勤務医に回せば医療問題なんて即解決!といったシナリオを思い描いている現場勤務医の先生というのも自分の知る限りあまり多数派ではないように思うのですけれども、当事者が予想も期待もしていない対策で問題が解消されると考える根拠が一体どこにあるのかと、むしろそちらの方が不思議なのは自分だけでしょうか?
となると、この一連の非常に統一感のあるシナリオを描いたのが誰かという話になってくるわけですが、色々な意味で政権奪取後ドタバタの混乱ぶりが続いている民主党ら政権与党の皆さんがお得意の「政治主導」でこんなことをやっていたと考えるのも無理がありますよね(苦笑)。

いずれにしてもただでさえ医療行政を厚労省以上に仕切ってきた感があった財務省が、今また例の仕分け作業などという願ってもない後押しを得た訳ですから、今まで以上に医療行政との関わりを密接なものにしていくだろうことは想像に難くありません。
この財務省と医療という関わり合いという話に関して言えば、先日11月7日に開かれた「現場からの医療改革推進協議会」における財務官僚の松田学氏の講演内容をロハス・メディカルさんが文字起こししてくださっているのですけれども、これがなかなかに面白いので御参照いただければと思いますね。

【参考】財務官僚の提唱する新しい医療提供の形 ~『現場協議会より』(2009年11月19日ロハス・メディカル)

雑多なメモ書きからの文字起こしですので元記事を参照していただければと思うのですが、興味深いなと思ったのが「問題は医療費を増やすのを国民負担で増やすのかどうか。それが、本当に可能なのかどうか」「財源投入の解とは財政投入なのか」という文言でしょうか。
要するに他国に類を見ない高齢化が進行している日本は元々社会保障の前提条件が悪く、たとえ中福祉を選択したとこころで国民には高負担となる、加えて先進諸国随一の財政状況で国は金を出せないどころか今後はどんどん福祉から手を引いていくことになりかねない、さらに国民に負担を求めると言ってもこれも現実的に無理であろう、となれば何をどうすればいいかという話なんですね。

ここから先は未整理で非常に雑然としていますけれども、個人的に要約してみますと国が社会保障として等しく国民に提供する部分はどんどん縮小しよう、その最低限の社会保障の上にビジネスとしての医療産業を上乗せする形にしようと、こんな感じになるのでしょうか。
ま、要するに混合診療導入と民間企業参入といういつもの話に戻ってくるのかということなんですけれども、こうした制度が受け入れられるためには国民が医療というものを「最善を保障されたもの」から「最低限のみ保障されたもの」へと価値転換できるかどうかということなんでしょうか。

いずれは医療の需要側を規制するという方向性にいかなければ医療はもたないと考えられますから、こういう話も今後遠からずどこかで出てこざるを得なくなるんだと思いますが、今の仕分け作業の混乱の陰でいつの間にやらこんな話が既定の方針にされつつあるのだとしたら、国民にしろ政治家にしろそのうちのどれほどの人が承知し納得しているものなんですかね?
ネットの片隅などではよく「また糞馬鹿役人が」なんてことを言う人がいますけれども、さすが高学歴を誇るだけあって彼らは決して馬鹿ではないだろうし、そうであるからこそ時として余計に始末に負えないんだとも思いますね。

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2009年11月24日 (火)

新型インフルエンザ 結局あれはどうだったのか

すでに新聞報道などで御存じの方も多いかと思いますが、新型インフルエンザワクチンに関して色々と副作用報道が相次いでいます。
まずはカナダからこんな話題を紹介してみましょう。

新型インフルワクチン、カナダで副作用相次ぐ 厚労省、調査団派遣(2009年11月23日日経ネット)

 英グラクソスミスクラインが製造、カナダ国内で接種された新型インフルエンザのワクチンの一部で重い副作用が相次ぎ、同社が同国州政府に使用中止を要請していたことが23日、分かった。中止要請の対象は同国内の工場で製造した約17万回分で、日本も同じ工場で作ったワクチンを輸入する予定。厚生労働省は今後カナダに調査団を派遣するなど情報収集を進める。

 関係者によると、カナダ中部の州で同社製のワクチンの一部で、アレルギー性のショックなど重い副作用が、通常の発生割合より高い6例発生したという。症状はいずれも短時間で治まり、すべての患者が既に回復しているという。

 日本は同社と約7400万回分のワクチンを輸入する契約を結んでおり、来月に輸入し、安全性を確認したうえで手続きを簡略化した「特例承認」を適用して来年1月から供給する予定。このため長妻昭厚生労働相は23日、「遅くとも12月上旬までに現地に調査団を派遣、情報収集を進める」と述べた。

カナダと言えば以前にも「季節性インフルエンザワクチン接種で新型に罹患しやすくなる?!」という話が出てきたところですけれども、何かしらワクチンの副作用に対して厳しい視線でもあるということなのでしょうかね?
ちょうど医療従事者に対する先行投与のデータがそろそろ出てきたところで、厚労省は今のところ国産ワクチンに関しては安全性には特に問題ないという見解をとっているようですけれども、気になるのは高齢者においてワクチン接種後の死亡例報告が相次いでいるところです。
いずれも接種と死亡との直接の関連については否定的という話になっているようですが、そもそも高齢者を優先接種対象に含めるべきかどうかという議論もあって、今後さらに疑わしい症例が増えてくるようですとさすがに何らかの社会的対応が要求されるのではないかという気がします。

新型インフルエンザ:ワクチン接種後、医療従事者の424人から異常(2009年11月21日毎日新聞)

 厚生労働省は20日、医療従事者約2万人を対象にした新型インフルエンザワクチン副作用調査の中間報告をまとめ、入院相当の6人を含め424人に接種後の異常(有害事象)が見られたと発表した。因果関係が疑われると医師が判断したのはうち337人で後遺症が残る事例はなかったとしている。入院相当の異常は▽意識低下▽嘔吐(おうと)・吐き気--など。

 また2万人調査とは別に、ワクチン接種を受けた基礎疾患のある高齢者3人の死亡が新たに報告され、接種後の死亡は計13人になった。厚労省は21日に専門家検討会を開きワクチンの安全性を改めて議論する。【清水健二】

ワクチンの安全性議論=厚労省、接種後死亡例を検討-新型インフル(2009年11月21日時事通信)

 新型インフルエンザのワクチンについて、厚生労働省は21日、副作用検討会の第1回会合を開いた。持病のある高齢者ら21人が接種後に死亡したとの報告などを基に、研究者や医師がワクチンの安全性を検討。「急速に悪化する持病を持つ場合は注意が必要」「在宅療養中でほとんど外出しない患者にまで打つ必要があるのか」などの意見が出された。

 持病のある人への接種では、がんや肺気腫の持病を抱える50~90代の男女計21人が接種後に死亡したことが判明。大半は持病による死亡で、ワクチンとの明確な関連はないと報告されているが、一部はワクチンが持病を悪化させ死亡につながった可能性があると報告されている。

正直この時期は何もなくとも基礎疾患のある高齢者にとっては死亡率が上がってくる時期ですから評価が難しいところもあるかと思いますが、担当医が一応安定していると判断してワクチン接種を行い急変したのだとすれば、それが期待される死亡確率を上回っているのかどうかを調べてみないことには結論が出そうにないですね。
近日中に結論が出る問題でもないとは思いますが、その間も臨床現場においては特に接種対象者の厳密な選別を行うと同時に、やはり本人、家族に対して事前に十分なインフォームドコンセントを得ておくことが重要なのではないかと思われます。

さて、最近新型インフルエンザの疫学絡みでいくつか面白いなと思ったデータが出ていましたので紹介しておきましょう。
まずはこちら、臨床の現場でも小児患者が増えているとお考えの先生も多いのではないかと思いますけれども、実際そうらしいという話のようです。

新型インフル、流行の中心が9歳以下に 国立感染研(2009年11月10日朝日新聞)

 国立感染症研究所感染症情報センターは9日、インフルエンザ患者の年齢群別割合で、流行の中心が、これまでの10代前半から、9歳以下に低年齢化しているとの分析結果を発表した。ほとんどが新型の豚インフルエンザという。同研究所は、流行のピーク時期と、新型インフルワクチンの接種時期が重なって、小児科医の負担がさらに増えることを懸念し、早期のワクチン接種を求めている。

 同研究所の8月24日~11月1日の週別のまとめでは、夏休み明けには5~19歳の割合が増え、特に10~14歳が流行の中心だった。その後、9月28日~10月4日の第40週以降は9歳以下の患者の報告割合が増え、最新の10月26日~今月1日の1週間では、5~9歳が36.7%(5万8533人)となり、10~14歳(33.4%、5万3268人)と逆転した。0~4歳も11.9%(1万9053人)と増加傾向にある。

 厚生労働省は今月6日、新型インフルのワクチン接種について、1~9歳の健康な子どもの接種時期を従来のスケジュールよりも早めるように都道府県に求めている。

このデータをどう解釈するかですが、ひところ新型と言えばどうも小児よりも若年者に多いんじゃないかなんてことが言われていた、それが次第に幼児・小児にシフトしてきているというのは実際の現象というよりデータ取りのバイアスではないかという意見もあって、個人的にもそういうことなのではないかという印象を受けています。
国内では当初海外からの修学旅行帰国者や高校などでの集団発生が話題となって若年罹患者数を押し上げていたところがありますけれども、実際のところやはり患者が殺到しているのは小児科であったという話なので、この点では結局季節性インフルエンザと本質的な差はなかったという結論に落ち着きそうです。
一方でもう一つの興味深い話として、どうも日本はそれなりに頑張っているんじゃないかというWHOからのお墨付きがこちらです。

新型インフル、日本の入院・死亡率は低水準 WHO報告(2009年11月16日朝日新聞)

 世界保健機関(WHO)は、世界的に流行している新型の豚インフルエンザで入院したり、死亡したりする人の割合が日本では他の国より低いと、疫学週報最新号で報告した。

 北半球と南半球のそれぞれ5カ国の入院率や死亡率などを6日現在でまとめた。人口10万人当たりの入院患者は日本が最も低い2.9人。米国は3人で、最も高いのはアルゼンチンの24.5人だった。人口100万人当たりの死亡者でも日本は最低の0.2人。オーストラリアは8.6人。最も高いのはこれもアルゼンチンで14.6人だった。

 WHOの分析では、北半球は流行が始まってすぐ夏になったが、本格的な冬を迎えていた南半球の数値の方が、インフルが本来流行するときの実態に近い。北半球が冬を迎えれば、南半球の状態に近くなるかもしれないという。

 入院患者のうち妊婦が占める割合も日本(0.3%)が最低で、次いでチリが2.4%。それ以外の国は5~8.3%だった。

 WHOは「新型インフルが季節性と大きく違うのは、持病がないのに重症化する人が多い点」と指摘。入院患者で持病がない人は、一番少ない米国でも27%に達し、ブラジルの79%が最高だった。

 国立国際医療センターの工藤宏一郎・国際疾病センター長は「日本では発熱して具合が悪くなればすぐに医療機関を受診し、抗ウイルス薬をのむ人が多い。医療保険制度が異なる海外では、発熱だけでは受診せず、かなり重症化してから受診するケースが多いことが、死亡率が高い一因だろう」と話す。(大岩ゆり)

公衆衛生学的に見れば生活環境や国民の健康状態、そして清潔を好む国民性など色々と考慮すべきファクターは多々あるのでしょうけれども、やはり誰しも気になるのは「結局”インフルエンザとみたらとりあえずタミフル”は有効なのかどうなのか?」というところですよね。
もちろん罹病期間を短縮する効果を認められて用いられている薬なわけですから使えば有効なのでしょうが、費用の面はおくとしても今後の耐性株出現の問題なども考慮して総合的にどうなのかといった評価は、まだまだこれから先の話になってくるのではないかと思えます。
そろそろタミフルのドライシロップあたりは品切れになっているそうですけれども、ひと頃薬剤耐性菌続出で「日本は抗生物質乱用大国だ」なんて騒がれていた時代の教訓を思い出してみれば、「効くのだから遠慮なく使う」の姿勢でよいのかどうかは医学的のみならず社会的、経済的にもしっかり検討していくべきところだと思うのですけれどもね。

何にしろ、ようやく実社会からのデータが次々と上がってきつつあるわけですから、これらを適切に検討して随時方針を練り直していかなければならないのは当然ですし、それもなるべく早急に行うべきだろうということでしょう。

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2009年11月23日 (月)

今日のぐり:「そばの館」&「レストランファーミー@蒜山高原センター」

非常にローカルな話なのですが、先日地方紙にこういう記事が載っていました。

犬が不明児童を発見 出動から3分で /福島(2009年11月12日福島民報)


 行方不明小学生の発見に貢献したとして、福島県会津若松署は11日、会津若松市門田町の県警捜査嘱託犬クヴィレット・フォン・ワカミシンドー号=メス4歳=に署長感謝状を贈った。
 クヴィレット号は1日、市内で所在不明となった児童の捜索に出動。児童の靴のにおいをかいだ場所から100メートルほど離れた住宅街で児童を見つけた。出動から発見まで3分ほど。あまりの素早さに捜査関係者も驚くほどだった。
 感謝状は所有する渡部七郎さん(66)と連名で受けた。会津若松署で行われた贈呈式では渡部さんの左腕につかまって起立するなどかしこまった様子。感謝状を読み上げる小野寺照男署長をじっと見詰める姿に署員から称賛の声が上がった。
 渡部さんは「よくやってくれた。これからも一緒に地域に貢献したい」と喜んだ。

「かしこまりながら、渡部さんとともに感謝状を受けるクヴィレット号」なる写真がなかなかいかしているのですが、これは本当に手を差し出しているということなのでしょうか?
本日はこのクヴィレット・フォン・ワカミシンドー君(って、貴族なんですか?)にならって、ちょっと不思議な動物ネタを取り上げてみましょう。
まずは少し古いですがこちら、21世紀にもなっても世の中やはり広いなと思わされるような新種発見の話題から。

メコン川流域で鳥を食べるカエルなど163の新種発見 (2009年9月30日カラパイア)

 東南アジアを流れるメコン川流域の調査で、鳥類やヤモリを餌にするヒョウ柄のカエルなど新種の動植物が2008年だけで163種類も見つかったとする報告書を、世界自然保護基金(WWF)がこのほど発表したそうなんだ。
(略)
 「Close Encounters(未知との遭遇)」と題された報告書によると、植物100種、魚類28種、は虫類18種、両生類14種、ほ乳類2種、鳥類1種が発見されたそうで、中には、鳥を餌とする歯を持ったカエルや、飛ぶというよりむしろ歩く方が好きな鳥、報告書の題名の元となった宇宙人のような風ぼうを持つヤモリなどがいたという。
メコン川流域では1997以来、1200あまりの新種が見つかっているという。その多くはこの地域にのみ生息する固有種だといい、WWFによると、この地域ほど大型の哺乳類がたくさん見つかった場所はほかにないそうで、まだ未知の部分も多く、生物多様性の観点から見ると、これからも大量の新種の発見があるのではと予測しているのだそうだ。

しかし急ピッチで進む流域の開発や地球温暖化の影響でこうした種が絶滅の危機にさらされているとして、今回発見された全ての新種生物も既に絶滅の危機に瀕しているのだという。

リンク先の多彩な画像を参照いただきたいのですが、特に「牙を持つカエル:コラート・ビッグマウス・フロッグ。アカガエル科の仲間であるこのカエルは、牙を使って獲物を襲う待ち伏せ型の捕食動物である。主に昆虫やほかのカエルを狙うが、羽根混じりの糞(ふん)が見つかったことから鳥も捕食することがわかっている。 」なんてのは何やらどのように食べているのか見てみたいですね。
こうした新種発見の一方で、よく知られた生き物を有効利用という話がこちらです。

デンキウナギで点灯、クリスマスツリー(2009年11月13日読売新聞)

 札幌市厚別区のサンピアザ水族館に、今年もデンキウナギの放電を利用したクリスマスツリーが登場した。

 同館で飼育しているデンキウナギ(体長約1メートル)が、獲物をとる際に放電する性質を利用し、放電すると水槽の中に設けた高さ約70センチのツリーのスイッチが入り、点灯する仕組み。毎年この時期に設置し、訪れる子どもたちの人気を集めている。

 12月25日まで、午前10時半、午後0時半、2時半、4時半の1日4回、餌をやり、デンキウナギの放電を促す。

こちらも「デンキウナギの放電を利用したクリスマスツリー」の写真が掲載されていますけれども、なかなかこれは立派なツリーですよね。
一転して少しばかり別な意味で驚くのが以下の二題の記事なんですが、まずはこちら、ある意味で非常に「らしい」ニュースかなという気もします。

海南でワニ46匹脱走―当局発表「食べてもいいから、捕まえて!」(2009年10月30日サーチナ)

  中国・海南省のウェブサイト「南海網」によると、同省万寧市長豊鎮のワニ飼育場で21日、ワニ46匹が逃げ出した。鎮政府は29日までに、住民に対して「捕獲に協力してほしい。食べてもよい」と発表した。

  飼育場は「ワニ8匹が逃げた」と発表したが、住民の間では「本当に、それだけか」と疑問視する声が広まった。事態を重視した万寧市政府は、「できるかぎり速やかに、すべて捕獲せよ」、「逃げ出した数を、あらためて確認せよ」と命じた。

  飼育場には8049匹のワニがいるはずだった。池の水をくみだして確認したところ、生きているワニが7585匹で、418匹は死んでいた。そのため、逃げたワニは46匹と断定された。

  29日までに飼育場が捕獲したワニは20匹、村民により捕獲・捕殺されたワニは8匹で、現在も18匹が「逃走中」とみられる。

  長豊鎮の呉亜和鎮長によると、日数が経過しているため、ワニが潜んでいる可能性がある場所は相当に広がっている。鎮政府は、ワニを捕獲した住民には200元(30日為替レートで約2660円)の報奨金を支払うことを決めた。さらに、一層の積極性を引き出すため、「ワニを当局に渡す必要はなく、その場で殺してかまわない。その後、自分で処分してよい」として、食べてしまっても、「法的な責任は問わない」と発表した。(編集担当:如月隼人)

ワニを処分させるのに「食べてもいい」と言えば事がうまく運ぶ国というのもなかなかすごいなと思いますけれども、やはりこれも中華料理4000年の歴史ということなんでしょうか?
もう一題、こちらも実際にその場に居合わせればそれは驚くだろうという話です。

「アッ!」公衆トイレで便器のフタを上げると、そこにいたのは・・・(2009年11月13日サーチナ)

  公衆トイレで便器のフタを上げる時、誰しも少しは緊張するのではないだろうか。例えば便器の中にサメがいたら・・・。

  先週8日、米国、サウスカロライナ州ビューフォートの浜辺を歩いた2人の女性は公衆トイレに入った。ひとりの女性がドアを開けるとなんと出くわしてしまったのだ。そう、そこにいるはずのない『サメ』に。女性は「アッ!」と悲鳴を上げるしかなかったという。

このニュースを伝えた女子アナの反応

  発見されたサメは子供のサメで既に死んでいた状態だった。一体誰がこんな悪い悪戯をしたのかまた不明だというが米国メディアは「犯人を捕まえることは難しい」と伝えている。(情報提供:ロケットニュース24)

これはもう、リンク先の画像を見れば状況は一目瞭然なんですが…何でしょうねこの強烈な違和感というものは。
向こうでは水洗トイレに流したワニが下水で成長して…なんて類の恐怖映画もありますけれども、これはさすがに流すにはいささか大きすぎたということなんでしょうか。

今日のぐり:「そばの館」&「レストランファーミー@蒜山高原センター」

ちょうど紅葉が良い季節ですけれども、この時期は蒜山高原も紅葉狩りで休日は人出が多いようで、もう少しすると今度はスキー客が出てくるのですかね。
本日はたまたまこの界隈に立ち寄ったついでに一度蒜山焼きそばなるものを食べてみようかと思ったのですが、この時期蕎麦処の近所を通りかかったならば立ち寄らないわけにはいかないですよね。

そばの館

米子道の蒜山インターを降りてすぐ、道の駅に併設されているのがこちら「蕎麦の館」です。
お向かいの道の駅で野菜を買い込む人々が立ち寄るということなのか、普段も昼食時には結構込むお店ですけれども、休日ということもあってかずいぶんと行列が出来るようなことになっていました。
新そばののぼりを眺めながら待つことしばし、ようやく席についてざるそばを注文。

こちらは以前から少しずつ蕎麦つゆの味が変わってきているなという印象を抱いていたのですが、この日はさらに変化していかにも蕎麦屋らしい蕎麦つゆになったなという味で、以前は少しつゆが弱いかなと思っていましたがこれならば十分合格点をつけられますね。
ところが世の中なかなかうまくいかないもので、この日に限っては肝心の蕎麦が今ひとつ、というよりも、蕎麦つゆが強くなった分蕎麦が負ける感じになってきたということもあるのでしょうか?

新そばらしい香りはあるのですが、いつものしゃっきりした食感もなければ、やたらと溶けかけたような上に切れやすい茹で上がりも今三つというところで、普段を85点以上とすればせいぜいが60点台というところでしょうか。
蕎麦打ちというよりもこれは茹での問題なのかも知れませんけれども、確かにお客が殺到して修羅場っていたのも確かなのでしょうが、もう少し丁寧な仕事ぶりを期待したいところですかね。
例年この時期であればいかにも蕎麦好きらしいお客が一人や二人は喜々として蕎麦をすすっているものなんですけれども、この日はどのお客もただ黙々と蕎麦を腹に収めているといった様子であったのが印象的でしたね。

ま、この日は単純に日が悪かったということなのか(この時期それでは困るんですが)、これは近日中にもう一度きちんとした再検をしておくべきなのでしょうが、残念ながらというべきか幸いにしてというべきか本日の本題はこの店ではありません。

レストランファーミー@蒜山高原センター

蒜山高原と言いますとジンギスカンを中心にいろいろと食べ物屋がありますけれども、おそらく見た目で言うと一番派手なのがこちらではないでしょうか。
とにかく広い広い駐車場に遊園地まで併設、広大なおみやげコーナー(というよりほとんど洋菓子屋モールと化していますが)に併設のレストラン、カフェと、まさに観光客幾らでも来い!状態となっています。
さすがにこの時期の休日ともなりますと朝からお客も結構多いようで、早くも席が埋まってきているレストランでお目当ての蒜山焼きそばと、ついでに特上ラムジンギスカンを試してみました。
ちなみにこちら、お昼時にはどうもサラダバーのサービスがあるようなんですが、ジンギスカンにしろ結構焼き野菜も量がありますから、調子に乗って食べていると割合お腹にこたえるという点には注意が必要です。

本日一番の目的とも言えるのがこの蒜山焼きそばなんですが、味噌を加えた特製のタレと鶏肉を具材に入れた焼きそばということで、最近ホルモンうどんなどと同様に改めて売り出し中のメニューということなんですね。
こういう観光地の焼きそばと言えば大抵はどうでもいいような味のものが出てくるというのが通り相場なんですが、意外にここの蒜山焼きそばは食べ応えがありましたね。/
何やらご飯に味噌汁がついて定食風になっているのは焼きそば的にはどうかとも思うのですが、独特のこくとともにやや酸味があってちょっと不思議なこのタレの味も鶏肉の食感も面白く、また意外にこの麺がぷるぷるかつしこしこした歯ごたえを残したもので悪くありません。
敢えて欲を言えば地元の特産ともいうキャベツももう少ししゃっきりした食感を残して炒め上げておいてくれれば言うことはないのですが、何も知らずに頼んでもこれなら納得できるかなという満足感はあります。

こちらのジンギスカンはもちろんラム肉使用で、これを下味をつけずにそのまま焼いてタレにつけて食べるというスタイル(「後たれジンギスカン」と言うのだそうですが)です。
ラム肉というのは確かにマトンの臭みもなくあっさり食べやすいんですが、こうして食べてみるとやはり乳臭い幼獣の味だなという感じで、これもさっぱりしてうまいと言えばそうなんですが、うま味の深みという点では少し物足りないとは感じるところですね。
こういうあっさりした肉であればわざわざこの濃厚なタレにつけるよりは、さっと塩胡椒くらいで試してみたいかなとも思うのですが、残念ながらテーブル上にはそうした用意はないようで(というより、見事に何もないんですよ)、この点はぜひお店の方でも用意していただければありがたいなと思ってみたりもしたところでした。
ちなみに焼き野菜の方は量もたっぷりある上に地元の食材なのでしょう、さすがに味の濃さは街の安い焼き肉屋などのそれとは比較にならないもので、こちらの方は単なる付け合わせと言う以上になかなか好印象でしたね。

もちろん観光地価格とは言ってもそれなりに量もあり、内容的にもまずまず値段相応に妥当なのではないかなと言う感じですから、これでしたら「高い、まずい、量が少ない」などと不満も抱かないで済むのかなと思われるところではあります。
むしろ問題はあっさりしているとは言ってもこのジンギスカンを食べてしまうとお腹ももちろんですが口もかなり満腹してしまいますから、レストランを出たところで待ちかまえている菓子の大群に立ち向かう気力がかなり萎えてしまうところでしょうかね…

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2009年11月22日 (日)

今日のぐり:出石蕎麦その二「永楽蕎麦」&「手打ち皿そば 如月」

本日はまたもブリネタです。
先日こういう記事を見かけましたが、これはどう解釈すべきなんでしょうか。

庭に落ちていた銃を警察に届けたところ逮捕されてしまった男性。陪審員も有罪の意向/英(2009年11月17日デジタルマガジン)

 イギリスにて、庭に落ちていたゴミ袋の中から見つけたショットガンを警察に届けた男性が、“銃の不法所持”で懲役5年の刑に処される可能性が高いことが明らかになった。
 その男性は元兵士のポール・クラーク氏(27)。今年3月20日、クラーク氏は自分の家の庭の隅にゴミ袋が落ちていることに気付き、調べたところ中にはソードオフ・ショットガンと弾丸のカートリッジが2箱入っていた。
 翌朝、クラーク氏は警察署のチーフに電話し、アポイントメントを求めた。その後、警察署へと赴き、受付でバッグからショットガンを取り出してテーブルに置いたところ、なんとその場で逮捕されてしまったのである。罪状は“銃の不法所持”。
 クラーク氏は、その銃が庭に落ちていたものであること、拾ったものであることを話したが、警察は耳を貸さず、哀れクラーク氏は刑事裁判へ。
 裁判でもクラーク氏は同じ主張をしたが、クラーク氏を逮捕した警察は「普通、銃を見つけたら一切触らずに警察に通報する。彼が話していることは嘘だ」と主張。陪審員も警察の主張に同意しているという。
 裁判を受け持つクリストファー・クリックロウ判事は「これは非常に稀なケースである」としながらも、クラーク氏の主張は通らないと語った。判決は12月11日に言い渡される予定。外国で銃を拾ったときはくれぐれもご注意を。

こういう記事だけを見ますとなにやらよく判らない話だなと思うところですが、善良なる紳士に訪れた類まれなる不幸な偶然の積み重ねというべきなのか、記事に表れない部分に実は意外な真実が隠されているのか、果たしてどちらなんでしょうね?
その答えはブリ気質というものを解明していくことで徐々に明らかになっていくのではないかと思いますけれども、例えばこちらなども素晴らしいほどの偶然が積み重なったと考えるべきか、それとも何かしらの背後事情が隠されているのかは、これは多方面から検討してみなければならないでしょうね。

夢の中で敵にプロレス技、「目覚めたら妻が死亡していた」 英男性(2009年11月20日AFP)

【11月20日 AFP】侵入者と争っている夢を見ていた男性が、寝ている間に誤って妻にプロレス技を掛けて殺害した事件で、被告男性の審理が英国のスウォンジー(Swansea)刑事法院で17日行われた。
 ブライアン・トーマス(Brian Thomas)被告(59)の供述によると、2008年7月に夫妻でキャンピングカーで旅行中、ウェールズのある駐車場に車両を止めて宿泊した。だが、その駐車場に集まって来た若者たちの車両のエンジンの回転音やブレーキ音が騒がしくて眠れなかったため、自分たちのキャンピングカーを別の駐車場に移動させた。その晩、夢の中で駐車場で騒いでいた若者たちとケンカをし、その中の1人にプロレス技の「ヘッドロック」をかけたが、目が覚めた時、技をかけた相手が妻のクリスティーン(Christine)さんだったことが判明。そこで午前3時49分に「妻を自分で殺したらしい」と警察に通報したという。
 睡眠障害を患っている被告は妻を殺害したことは認めているが、心神喪失による無罪を主張している。
 一方、検察側によると、睡眠障害の専門家は「被告は妻を殺害したが、無意識に行動していた」との判断を下したという。検察側は陪審員団に対し「極めて異例なケース」だと述べた上で、有罪評決は求めておらず、心神喪失を理由に無罪評決を受け入れる方針であることを明らかにしている。

国民性ということではプロフェッショナルの世界にもそれが表れてくるものですが、世界に冠たる英国人ともなれば女王陛下の前でも自らのスタイルは崩さないというのがこちらの記事。
しかし率直に申し上げて、この場合のボールペンに何かしら意味があるものなのかどうか疑問なしとしないところなんですが、それ以上に人生唯一の「ボールペンが必要だったのに持っていなかった時」というのは…

英国のお肉屋さん、女王からの勲章授与式でも耳にボールペン(2009年11月08日AFP)

【11月8日 AFP】英ロンドン(London)のバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)で行われた大英帝国勲章の授与式で、耳にボールペンを挟んでエリザベス女王(Queen Elizabeth II)から勲章を授かった男性がいた。英各紙が7日伝えた。
 この男性はウェールズ(Wales)西部のマハンスレス(Machynlleth)で精肉販売業を営むウィリアム・ロイド・ウィリアムズ(William Lloyd Williams)さん(49)。食肉産業への貢献をたたえられ受勲した。 ウィリアムズさんはこれまでも数多くの賞を受けている。
 式典に出席するにあたり帽子を脱ぎエプロンははずしたが、ボールペンだけはどうしても手放せなかったとウィリアムズさんはBBCの取材で語った。「これは肉屋の習性なんです。大工なら鉛筆を持ち歩きますが、私の場合はいつもボールペンです。今まで一度だけ、ボールペンが必要だったのに持っていなかった時がありました。結婚した時でした」
 その日、大英帝国勲章を受けるために宮殿の式典会場に集まっていたおよそ100人のうち30人が、ウィリアムズさんのところへやってきて「耳にボールペンがはさまっていますよ」と教えてくれたという。
「その人たちには『女王さまが七面鳥をご所望になり、肉のサイズを書き取る必要が出てくるかもしれないからですよ』と説明しました」とウィリアムズさんは話している。
 英国紙デーリー・メール(Daily Mail)がウィリアムズさんの話として伝えたところによると、女王はウィリアムズさんのボールペンに気づき、ほほえんでいたという。「私は昔ながらの肉屋の代表として勲章を授かりました。私の知る限り、ボールペンは町の肉屋のシンボルです」とウィリアムズさんは語った。

このあたりですとまだほほえましい話ですむところですが、どこの世界でも陰湿な話というものはあるものですが、特に伝統と格式に彩られたブリ社会ともなればそれも格別というもの。
それでもどのようなストレス下にあろうとも格式を守ろうとするその姿勢もまたプロフェッショナルというべきものではあるんでしょう。

初の女性衛兵にいじめ=頭髪失いかつら着用-ロンドン塔(2009年11月4日時事ドットコム)

 英国を代表する観光名所ロンドン塔で2007年、史上初の女性衛兵に採用され有名になったモイラ・キャメロンさん(44)に対し、同僚男性がねたみからいじめを繰り返しているとして塔の管理団体が内部調査を始めている。英紙サン(電子版)が4日までに伝えた。
 モイラさんはいじめのストレスで頭髪を失い、現在はかつらを着用して勤務を続けている。衛兵は赤と黒の色鮮やかな独特の制服を着て「ビーフイーター」の呼称で観光客に親しまれてきたが、同紙によると、モイラさんの制服を汚すなど陰湿な仕打ちが繰り返されたもよう。

我々の目で見るとノーマル状態でもすでに十二分にあれなブリ的観点から見ても陰湿というくらいですから、これはさぞや…と思わせるような話ではありました。
さて、お次はいささか反社会的な話が二題ですけれども、まずはこちらはなんと評価するべきなんでしょうか、何事にもほどほどにというべきなんでしょうかね?
しかし「声をコントロールしようと努力した」結果の解決法というのが騒音で隣人が眠れないことのないように…というのは、やはりこの感性がブリ的ということなんでしょうか。

【こぼれ話】セックスの時の大声で裁判=まるで殺人のよう-英国(2009年11月11日時事ドットコム)

【ロンドン10日AFP=時事】英国の報道によると、セックスの時に出す声が大きすぎて眠れないなどの迷惑を被っているとして争われている裁判の審理がニューカッスルの裁判所で10日行われ、その声を録音したテープが流された。法廷では、まるで人が殺されているようだとの声も聞かれた。 訴えられているのはスティーブ・カートライトさんと妻のキャロラインさん。隣人のオコーナーさんは、「聞こえてくる声はまるで2人がひどい苦痛で苦しんでいるようで、それはもうひどいもの。寝室のテレビの音をできるだけ大きくしてその声を消している」と証言。また、子供を学校へ連れてゆくためにカートライト家の前を通る女性や郵便配達人からも苦情が寄せられている。 夫妻は法で定められた音量以上の「叫び声」などを上げないように通告を受け、それを守らなかったとして有罪の判決を受けたが、キャロラインさんがこれを不服として控訴した。 この日の法廷では、2人のセックス時の声をオコーナー家で録音した10分間のテープが流された。環境委員の1人からは「非常にヒステリックで騒がしく、まるで女性が殺されているようだ」との声も上がった。 キャロラインさんは、「声をコントロールしようと努力した。枕を使って声を押し殺そうともした。騒音で隣人が眠れないことのないように、午前中にセックスをすることもやってみた」と話している。

そしてもう一題、こちらはまさしく正真正銘、ブリ的紳士の鏡ともいうべき美談なんですが、しかし警察写真の前に立つ自分の写真を送るというのもずいぶんと大した根性なのか、いささか頭のネジがブリ的に歪んでいるというべきなのか、微妙なところですね。
こうして記事になるくらいですから結局逮捕はされたのでしょうけれども、やはりこういう殊勝な心がけに免じて罪一等を減じるということになるのでしょうか?

英国の犯人が手配写真を自ら提供、警察は謝意(2009年11月8日ロイター)

 [ロンドン 7日 ロイター] 英国で住宅強盗の容疑で警察から追われていた男が、警察が捜査のため公開した手配写真が気に入らないとして、地元紙に自ら自身の写真を送り付けた。
 サウスウェールズ警察は、スワンシーで起きた住宅強盗事件で指名手配しているマシュー・メイナード容疑者(23)の写真をメディアに公開。サウスウェールズ・イブニング・ポスト紙にその写真が掲載されたが、メイナード容疑者は、警察車両の前に立つ自分の写真を同紙に送り、同紙がその写真を1面に掲載した。
 警察は「スワンシーの人々は、現在の彼(同容疑者)がどのような風貌(ふうぼう)なのかを知ることができる」とコメント。捜査に協力したとして同容疑者に謝意を表明した。

今日のぐり:出石蕎麦その二「永楽蕎麦」&「手打ち皿そば 如月」

前回に続いてでいし…もとい、出石蕎麦ですが、実はこの出石の街はずれには出石神社というものがあります。
但馬国の一宮とは言っても小振りな国らしい小振りな神社なんですけれども、ここでお祭りしているのが「天日槍(あめのひぼこ)」という人物なんですね。
仮にも神様に人物もないだろうという話ですが、なぜそういう話になるかというと、どうもこの神様(あるいは、そのモデルになった人物)は実在の人物だったんじゃないかとされているからです。

古事記などによればこの人物、もともとは朝鮮半島は新羅の王子であったものが、たまたま良い仲になった女性とささいなことで別れて女性が祖国に帰ってしまった、そのあとを追って国を捨て身分を捨てて日本にやってきて最終的に但馬国に定住し神様となったということで、何やらずいぶんと情熱的な御仁だったんだなと想像させられます。
面白いのは都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)という同じく半島系の王子にも同じように「女性を追って日本にやってきた」という話が伝わっていることで、両者が同じ人物だと考えるのが自然だろうという話ですが、天日槍の系図をたどっていくと数代後に神功皇后(日本書紀では卑弥呼との関連が示唆されている方です)につながっていますから、このあたりは古代史の年代測定上もなかなか重要な部分ですよね。
そもそも天日槍という名前からしていかにも太陽神信仰に直結していそうで仰々しく、単なる一外国人につけるような名前でもなさそうに思えるのですけれども、国を超え身分を超えてひたすら愛に生きた御仁ということで、折からの韓流ブームにも乗って今の時代ならそれなりに受けそうなんで、いっそ誰かドラマ化でもしてみませんかね?(笑)

永楽蕎麦 (えいらくそば)

出石の街中の賑やかなあたりからは少し外れた閑静なあたりにあるこちらのお店は相当な老舗なんだそうですが、観光客向けというより純然たる蕎麦屋という感じなんでしょうかね。
店内に入ると老舗らしく色々と年代がかった楽しいものが飾ってあるのですが、特に感銘を受けたのが彫り物も見事なこちらのテーブルで、なかなか年季の入っているところと言い蕎麦を待つ間に見ていて飽きないものがあります。
蕎麦屋と言っても出石蕎麦の店ですから盛りなんてものはいらないということなのか、メニューは文字通り皿蕎麦だけというあまりに割り切った構成なのは潔くて良いですよね。

他の店に比べてもかなり硬めの食感に特徴があるこちらの蕎麦なんですが、田舎蕎麦風の見た眼に似合わず味、香り、舌触りにのど越しとどれも相当レベルが高いもので、特に新蕎麦ともなりますとまさしく口福香福これに過ぎたるは無しという心持ちになってきます。
蕎麦好きからするとこの時期のこの蕎麦に薬味を薬味を合わせるのはどうよとも感じるのですが、このお店も出石蕎麦らしく鶏卵、山芋、ワサビにネギと一通りの薬味がついてきます(まあ使いませんけれども)。
蕎麦湯は至ってシンプルに甘さ、香りといったものが楽しめるもので、他店と比べるとやや甘口の濃厚なこちらの蕎麦つゆと合わせていただくとこれもなかなかに満足させてくれるものがありますね。

店構えや蕎麦の味に関しては文句なしにおすすめの店ということになるのですが、こちらもやはりオーダーは一人前五枚単位のようで、しかも器から箸まで頼んだ人数分しか出さないというのですから徹底しています(そこまで店員教育を徹底しているのが逆に興味深いな、とも思えるところですが)
良く言えば観光客に媚びない(というより排除している?)老舗のこだわりなんでしょうが、同行者が限界に達してもまだ蕎麦を食い続けたいという食い意地の張った向きにはいささか居心地の悪い店ではありますよね。
別に蕎麦屋に限ったことではありませんけれども、味で勝負と言えば一般的には飲食業に対する褒め言葉ということになっていますが、味と接遇とは相加的ではなく相乗的に顧客満足度に関わると思っている自分らのような人間にすれば、ずいぶんともったいないことをしているなと鼻白むところもあったお店ではありました。

手打ち皿そば 如月(きさらぎ

街の中程にあるこちらのお店、いちばん賑やかなあたりということで近隣にはいかにも観光地っぽいお店も並んでいる中で、なかなかまじめに蕎麦屋しているらしい雰囲気が好ましいお店ですよね。
この界隈ではどこもたいていそうなんでしょうが、こちらもいわゆる盛りに相当するものはなくて単純な冷蕎麦は皿そばだけとなっている一方、逆にこの界隈で少し珍しいのはいろいろとトッピングに工夫した蕎麦系メニューが結構充実しているところで、何かしら街の蕎麦屋さん的な雰囲気もあります。
当然のように皿そばと、温かいメニューからたまたま目に付いた「にしんそば」をオーダーしてみました。

やや太打ちで比較的加水率も高そうな蕎麦に合わせるのは割合シャープな辛口ながらすっきりした味わいの蕎麦つゆですが、新蕎麦らしい風味は十分に楽しめるもののこの緩さ(ま、まさに田舎蕎麦ってことですけれどもね)は蕎麦打ちとしてはやや個人的好みから外れるという感じで、総合的には今一つといったところの評価でしょうか。
付け合わせの薬味は店毎のこだわりがあるところなんですが、こちらはちゃんと丸のままのわさびに山芋、刻みネギにウズラの卵といったところで、鶏卵ではなくウズラであるのはどちらかというとこのあたりでは珍しいのかも知れませんけれども、蕎麦に合わせるにはこちらの方がいいんじゃないかなと個人的には思います。
にしんそばはニシンに合わせるにはもう少し甘辛いのかと思いましたら意外にすっきりした出汁の味でいいんですが、やはりこの店の蕎麦の打ち方に加えて温蕎麦ですからどうもダレてしまいがちで、食感という点ではあまり高い評価は出来ないところで、やはり冷水で締めてから食するべき蕎麦という感じなんですかね。
関係ないですがこの界隈の名物らしい器は店ごとに特徴があるらしくて、あまり飾り気はないんですが白い器と蕎麦との色合いの対比は楽しくていい感じですよね。

そんなこんなで純粋に蕎麦としては旨い不味いとは別にいささか個人的好みから外れてしまうのも確かなのですが、こちら店員さんの仕事ぶりはなかなか丁寧かつ工夫を凝らしたもので好感が持てますね。
この日も開店時間ぎりぎりの微妙な時間帯にも関わらず快く迎え入れてくれましたが、例えば蕎麦湯にはさりげなく柑橘の風味がつけてあったりするのはなかなか普通にはないアイデアで、(柑橘系が苦手な人間としては味の評価はおかせていただくにしても)こういう見えにくいところでのちょっとした工夫は非常によいと思いますね。
また観光地の料理屋と言えば回転を早くしなければお客がさばけないと言うことでどうしても気忙しい空気が漂いがちなものですが、蕎麦湯と一緒に御茶請けのかりんとうが出てくるのは「食後の時間をゆっくり楽しんでいってください」という明確なメッセージ性が感じられて、非常な感銘を受けました。
蕎麦に関しては逆にこういうものが好みという人も多々あるわけですからお客さんの好みで選んでいただけばいい話だと思いますが、こんな田舎にありながら(失礼)なかなか接客業としてはよく気構えの出来ているお店なんだなと思わせるところが相当な好印象でしたので、料理だけでなくこういう部分も込みでの「店の味」なんだなと改めて思うところですけれどもね。

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2009年11月21日 (土)

かの業界も今や資金難の時代なんだそうですが

先日は毎日新聞地方版にこういう記事が載っていたようです。

多趣閑言:メールは気持ちを伝えられるか /静岡(2009年11月17日毎日新聞)

 送ったメールの真意が伝わらず、的外れの返信を受けることが度々ある。高校生の娘や息子からそんな返事をもらった時に送信メールを見返し、「こんな表現が誤解を生んだのか」と反省する。

 そんなことを繰り返し「誤解のない文を」と考えて長時間を要したり、文章が長くなったりするから、何のためのメールか、とふがいなく思ってしまう。

 メールは携帯での通話より料金は安く、早いレスポンスを相手に求める必要のない時には好都合だ。一方で、誤解を生じる危険性もあると感じていたところ、そんな問題意識を共有できる行事に出席する機会があった。

 函南町内で14日開かれた「青少年健全育成強調月間県大会」だ。教育関係者らが集う年1回の大会で、今回テーマは「青少年とのコミュニケーションについて考える」だった。

 コーディネーター役の研修企画運営会社社長の須見庸子氏によると、若者のコミュニケーション手段は対面からメールへ変わりつつある。大会で活動内容などを発表した中高校生に、須見氏が大事なことを伝える方法を尋ねたところ、対面とメールが半々だった。

 対面派は「言葉だけでなく、表情や声で伝えることができ、誤解も少ない」、メール派は「よく考えた文を送れる」「面と向かって言えないことも伝えやすい」とそれぞれの利点を説明していた。

 やり取りを見て考えたのは、メールにおける絵文字の存在だ。私と子どもたちが送るメールの決定的な違いは、そこにある。子どもたちからのメールを見直すと、絵文字で感情を表現するなど誤解を生まない仕掛けになっていることに気付く。絵文字がメールに対面型の長所も取り入れているというわけだ。

 ただ、記号では微妙なニュアンスは伝わらない。どんな時代でも「コミュニケーションの基本は対面」と改めて思った。【静岡支局長・照山哲史】

文章のプロが書いたメールでもこんなに度々誤解を受けることはあるんだから新聞も度々誤解を受けるのは仕方がないとでも言いたいのかと、何やら若干裏読みしたくなるような話ですけれども、実際にまじめに書いたつもりが冗談で返されたり、軽く言ったつもりが妙に深刻に受け取られたりといった経験は誰しもあるところだと思います。
メールやネット上でのコミュニケーションというのはいまだにそのフォーマットが確立されつつある最中といったところだけにある程度は試行錯誤せざるを得ない部分はありますけれども、数十年の歴史と伝統を誇りながら未だにということであれば、やはり何がしかの改善策は取っていかざるを得ないのは当然の話ですよね。
以前ならばメジャーマスコミに対抗する一部週刊誌あたりの定番ネタだったものが最近ようやく一般紙でも取り上げられるようになってきたということなのか、このところ例のBPO勧告絡みでこの手の記事が紙面を飾るようになってきました。

「イジメ、バカ騒ぎは視聴者不快」民放連に意見書(2009年11月17日読売新聞)

 バラエティー番組の下品な表現への苦情が相次いだのを受け、放送倫理・番組向上機構(BPO)は17日、日本民間放送連盟(民放連)に番組制作の指針作りなどを求める意見書を送った。

 意見書では、BPOに寄せられた26件の苦情を、「イジメや差別」「内輪話や仲間内でのバカ騒ぎ」など5項目に分類し、「多くの視聴者が不快に感じている」と指摘している。

 これに対し、民放連の広瀬道貞会長は同日、記者会見を開き、「趣旨と正面から向き合い、制作者レベルまで広げて議論を深めたい」と語った。

放送界全体で議論を バラエティー番組(2009年11月18日東京新聞)

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は十七日、テレビのバラエティー番組について意見書をまとめ、民放連に提出した。現状を「視聴者意見を見ると、相当数が不快感を持っている」としつつも、機械的な倫理基準を適用すれば「もっともテレビらしいジャンルを窒息させる」として、放送界全体で議論・検討することなどを訴えている。 (高橋知子)

 近年、バラエティー番組の内容について、視聴者から多数の不快感や嫌悪感を趣旨とする意見が同委員会に寄せられており、九カ月にわたって討議・審議を重ねていた

 意見書は、イラストを添え「よーく考えてください」などと砕けた表現でまとめられた。「バラエティーが『嫌われる』五つの瞬間」=表参照=として視聴者の声を分類し、放送局・番組名を伏せ二十六の具体例を掲載。視聴者の反発を招いた要因として、制作者側との意識のズレなどを挙げた

 また「放送倫理として放送表現に課せられた枠組みを四角四面に適用したのでは、バラエティーという表現形態の特性を殺してしまう」と理解を示した上で、シンポジウムの開催をはじめ、民放連の放送基準にバラエティーに関した項目を設定したり、放送基準とは別にバラエティーについての実効的な指針を作ったりすることが適切な場合もあると言及。ただ「意見をたたき台に現場の制作者に考えてほしい」としてそれ以上は踏み込まなかった

    ◇

 「意見書を受け“べからず集”を作るのでは意味がない」。この日の会見で、川端委員長はこう話し「現場がより自由な表現ができるものを考えてほしい」と促した。

 放送の質向上・倫理について考える委員会が、個々の番組ではなく、バラエティー全体に対して意見することについて、漫画家の里中満智子委員は「バラエティーに対して抱いていた危惧(きぐ)が現実的なものになって、本来の役割とはちょっと違うが、こういう立場にいる責任感もあり意見をまとめることになった」と説明。「どの現場も大変だと分かる。仕事に誇りを持って頑張ってもらうためのエールと思って意見書を読んでほしい」と話した。

 また、作家の吉岡忍委員は、「視聴者もあるワンシーンだけを見て意見している場合もあり、意見のすべてが正しいとはいえない」と視聴スタイルや受け止め方の変化にも触れ、「視聴者に対しても『寛容さを持つ』という一言を意見書に入れた」と説明した。

 意見を受け会見した民放連の広瀬道貞会長は「バラエティーの意義を高く考えていただき、良いバラエティーを作るよう激励されたと受け止めた。放送基準審議会や小委員会、制作者レベルまで範囲を広げて議論を深めたい」と語った。

まあしかし、こうしてみるとBPOという組織もやはり身内の団体という感じなんでしょうね。
一方でこの一連の報道で注目すべきは近年バラエティー番組を見た視聴者のうち「相当数が不快感を持」つようになったことではなくて、以前から誰しも感じていただろうことに関してそうした事実が存在することをメディアの側が公に認めるようになったということなんじゃないかと思いますね。

もちろん表現の自由などと大上段に振りかぶらずともモンティ・パイソンは面白いしシンプソンズも(絵はいささかアレですが)全然ありだと思う、しかしああいうものはあくまでちょっと外れたところから主流派を皮肉って見せるから面白いのであって、たけしがゴールデンタイムに文化人面したところで毒も何もないだろうって話ですよ。
その意味ではバラエティーが俗悪であることが必ずしも問題なのではなく、どのチャンネルを回しても俗悪なバラエティーばかりしかやっていないということの方が問題なんだと思うのですが、どうも最近は金がない、予算がないということでこの種の安上がり番組量産やむなし、と正当化するような態度が見え隠れしているのは気になります。
NHKが番組ごとの製作費というものを公開していて、これを見ると確かにまともな番組は金がかかるのは理解できるんですが、安上がりであることと質が低いことは全く違う問題であるということも認識しておいてもらわなければならないでしょうね。

資金難と言えば最近新聞もテレビも収益悪化の一方だと言いますけれども、ちょうどこの時期は国とマスコミの関わり方というものも見直しの時期に来ているようです。
民主党政権になれば例の原口氏の「電波料を思いっきり下げますから」発言に見られるようにマスコミへの恩返しには事欠かないだろうとは言われていたところですけれども、例の仕分け作業などの件もあってか実際には「飴と鞭」という感じになってきているようで、これは全面支援をしてきたはずのマスコミにしてもいささか当てが外れて大慌て、ということになるのでしょうか?

地方テレビ局:総務省が新法で支援へ 資本参加規制を緩和(2009年11月12日毎日新聞)

 総務省は11日、景気悪化が続き業績悪化が深刻化している地方のテレビ局の経営をテコ入れするため、外部の資本参加の規制を緩和する新たな法律を策定する検討に入った。

 民放連会員全201社のうち108社が、08年度決算の純損益で赤字を計上した。景気の悪化による地方局のCM収入の落ち込みは深刻で、地デジへの設備移行の費用負担も経営を圧迫している。

 地方局への資本参画については、メディアの多様性、地域性を確保する「マスメディア集中排除原則」により、持ち株会社でない場合はキー局からの出資は2割未満であるほか、原則地元資本などの規制がかけられている。そのため地方局は広く出資を求められず、経営体力が強化しにくかった。総務省はキー局からの出資緩和や地元外の出資を可能にするため通常国会で、新法制定する方向で検討を始めた。【望月麻紀】

【事業仕分け】「本当にいいのか」民放連会長が地デジ予算半減に懸念(2009年11月19日産経新聞)

 民放連の広瀬道貞会長は19日、政府の行政刷新会議による事業仕分け作業で、地上デジタル放送の普及促進事業が「半額に縮減」と判定されたことについて、「(受信できる人とできない人の)情報格差になる心配がある。本当にいいんですかと話していきたい」と判定に懸念を示した。

 議論で効果が疑問視された高齢者や障害者への説明会についても、「もともとドブ板的なもので、集まりにくい人を対象にしていた。集まる人数が少ないことを理由に削られるのでは筋が通らない」と話した。

ちなみにドブ板(活動)というと元々選挙運動などで使われてきた言葉で、ドブ板を踏みしめて裏通りの一軒一軒まで回って支持を訴えるといった程度の意味合いがありますが、今時テレビを見ている視聴者を対象にするならテレビ上で説明をすれば事足りる話で、それも見ない人はもともとテレビを見る意思がないと考えるべきなんじゃないでしょうか。
地上波をいっせいに切り替えるのもすでに各方面で賛否両論出尽くした感がありますけれども、どうしても広報活動が不安だというなら一軒一軒回るというような非効率なことをするよりも例えば切り替え後も暫定的にアナログを残し、一日中草薙氏のCMだけリピートしている方がよほど効果がありそうですしね。

どうも民放連としては国民全てテレビを見ているという建前なんでしょうが、その結果国民すべてがテレビに関して熟知していなければならないという妙な自縄自縛にとらわれているような気がします(あるいはあんなことこんなことのために頑張っているのか、とも勘ぐってしまいますが)。
政府公報などもテレビや新聞を通じて流しているという建前ですから、全ての国民が何かしらのマスメディアと接点がなければならないというのはその通りなのでしょうが、今時そうまで情報をシャットアウトしている人間は逆に選挙にもいかない、国のやっていることなど関心がないというようなタイプの人なのではないかなという気もします。
原理原則をあまりに突き進めてしまうと加速度的にコストがかさんでしまうのは当然ですから、ほどほどのところに納めておいてその分の予算は「なんだ!急にテレビが映らなくなったぞ!」と大騒ぎしている人に素早くサポートできるような体制の構築に回した方がよさそうに思うのですけれどもね。

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2009年11月20日 (金)

情けは人のためならずと言いますが

先日水戸地裁で婦人科手術後の死亡症例に対する損害賠償請求が認められた記事がありましたが、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
こういう事例こそ無過失補償制度の対象になればよいと思うのですが、それはともかくこの件で興味深いのがあの高名なる打出喜義先生が非常に重要な証言をしていたらしいのですね。

筑波メディカル病院・術後死:7600万円支払い命令 粘り強い追及実る /茨城(2009年11月17日毎日新聞)
 

◇遺族「医師らしく罪認めて」
 「原告勝訴が難しい医療過誤訴訟で、今回は全面勝訴だ」。卵巣腫瘍(しゅよう)摘出手術後、腹腔(ふくこう)内の大量出血で死亡した坂東市の小林佳子さん(当時25歳)の遺族が筑波メディカルセンターと執刀医2人を訴えた損害賠償訴訟で、病院側に約7600万円の支払いを命じた水戸地裁土浦支部(犬飼真二裁判長)の判決について、担当弁護士は勝利の重みをかみしめるように強調した。「勝訴」を導いたのは、病院側説明や記録の問題点を突き、証拠の信ぴょう性を揺るがせた、粘り強い追及だった。【橋口正】

 小林さんは02年6月28日午後2時40分ごろ手術を終え、9時間後の午後11時半、心肺不全の状態に陥っていた。司法解剖の結果、腹腔内に2リットルもの大量出血が確認された。

 訴訟で病院側は、同11時ごろは「異状はなかった」と主張し、わずか30分の間に2リットルもの出血があったと説明していた。

 これに対し原告の千葉憲雄弁護士らは、産婦人科分野の臨床研究で実績のある金沢大学の打出喜義講師に意見聴取を行い、「大動脈破裂でもない限り、大量出血は考えられない」という証言が得た

 原告側は「看護師のノートは改ざんされた可能性がある」として、午後11時の所見記録を記した看護師の証言を要求。口頭弁論で看護師は、ノートの記載は小林さんが死亡した翌29日の昼ごろ「清書した」もので、28日夜に書いたのではないと認めた。これが病院側の証拠を打ち崩すきっかけになった。

 小林さんの父・真二さんは判決後の会見で「病院の管理は、あまりにもずさん。医師なら医師らしく自分の罪を素直に認めてほしい」と厳しい表情で語り、「命を返してもらいたい」と訴えた。

打出氏と言えば数年前にもES細胞をめぐる発言で物議を醸したりとマスコミも御用達のコメンテーターとしてもなかなか多彩な経歴を誇る先生ですけれども、大野病院事件における発言などを見てもどうやら妙に一部方面から便利使いされていらっしゃるのではないかと心配になってくるのですが、案の定さっそく大人気になっているようです。

429 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/18(水) 00:28:59 ID:IE9l34zp0
でも
>大動脈破裂でもない限り、大量出血は考えられない

こいつの臨床能力ってかなりアレだと思うんだけど・・

439 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/18(水) 12:53:06 ID:CbsjsbJg0
>>「大動脈破裂でもない限り、大量出血は考えられない」

付属器切除もしたことない産婦人科講師って...
ああ、産科専門なんだっけ。それなら卵巣動脈が
どこから出てるか何て知らないよなw

452 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/18(水) 21:39:41 ID:hnSf5C/f0
つまり、この出血は骨盤内の婦人科手術由来のものではありえない
という証言ですよね

打出氏の見識はともかくとしても、近頃では事故調などの流れもあって死因究明ということへの関心が高い、転じてその矛先が責任追及に向くのではという懸念は相当に広がっているようにも感じますが、先ごろ報道された産科関連の論文激減というニュースもあるいはそういう流れの中に関連付けられる話でしょうか(やや記事の内容はピントはずれな印象もありますが…)。
避けがたい民事のリスクは別としても、どうも医者は訴訟リスクというものを心配し過ぎであるという司法関係者の声が多かった時期がありましたが(今でも基本的にはそうなのでしょう)、一方で多くの医療従事者が抱えているのは具体的なリスクの大小ではなくもっと漠然とした不安感に近いものでしょうから、具体的に数字を挙げて「ほら、こんな程度なんですよ」と言われてもなかなか払拭しがたいんだと思いますね。
このあたりは交通事故のリスク(あるいは違反でお巡りさんに御厄介になるリスクの方がより近い感覚でしょうか)に対する運転態度の決定と同様に、最終的には各人の考え方や業務内容に応じて自分なりに対応していくしか仕方がないのかなとも思うところですが、そうは言っても現実的にリスクに対する当事者の恐れから社会が不利益をこうむる状況ともなれば、状況を改善すべきボールは社会の側にあるのだと思いますね。

医療の世界でも最近は裁判以前の段階での調停制度もいろいろと整備され利用の呼び掛けもされるようになりましたが、ようやく医療が社会資本であるという認識が広がりつつあるところ、それが効率よく働くように整備し維持していく環境を整えていくのは社会の仕事であるという考え方も広く認められるようになってきたのだとしたら非常に良い傾向だと思いますね。
その意味で産科医療保障制度の報告書に関する議論がなかなか興味深いものがありますので、紹介しておきましょう。

責任追及の質問には「答えられない」-産科補償制度で事務局案(2009年11月9日CBニュース)


 日本医療機能評価機構の産科医療補償制度原因分析委員会(委員長=岡井崇・日本産科婦人科学会常務理事)は11月9日、第9回会合を開いた。前回会合で再び争点となった「結果回避の可能性」の原因分析報告書への記載について、事務局は「(家族からの)医療提供者の責任追及につながる質問には答えられない」などとする案を提示したが、意見はまとまらなかった。

 事務局は、「産科医療補償制度の原因分析は、責任追及を目的とするのではなく、『なぜ起こったか』など原因を明らかにすることを目的としている」とする原因分析の基本的な考え方を改めて示した。その上で、家族からの質問には「可能な限りお答えしたい」とする一方、医療提供者の責任追及につながる質問については、基本的な考え方にのっとり、「答えられない」とした。

 これに対し弁護士の鈴木利廣委員は、「責任追及につながる可能性のある質問については一切答えないことが原則ならば、賛同できない」などと述べた。
 豊田郁子委員(新葛飾病院医療安全対策室セーフティーマネージャー)は、「親のためにもある報告書。読んで親御さんが分からない答え方であれば、お金を出してどこかで調べてもらおうという方向に考えてしまうと思う」との懸念を示した。鈴木委員も、「脳性まひ防止が可能であることについてきちんと書けば、示談交渉によって訴訟にならずに、この報告書がまさに紛争解決に役立つ」などと述べ、弁護士の宮澤潤委員も、「よほど金額的な要求の差が大きくない限りは、訴訟は落ち着いていくだろう」との見方を示した。
 これに対し岡井委員長は、責任追及につながる言葉を書き込むことは「全くゼロということはあり得ない」とし、結果回避の可能性の記載について、「『何時何分に帝王切開をしていれば、脳性まひを防げた可能性が高い』という表現はせず、その一歩手前で線引きをしたい。(報告書には)事実は事実として書く。仮定の状況をつくった書き方はしたくない」とした。

 結局意見はまとまらず、岡井委員長は同委員会での決着は難しいとして、別途話し合う場を設けたいとした。

 次回会合は12月15日に開かれる予定。

思うのですが、今回の産科補償制度では先天性のものを除いた周産期の事故によるものを対象にしている(少なくともそういう建前です)、となれば元々非常にトラブルにつながりやすい状況での症例ばかりが集まってくるはずだとは予想できるわけですよね。
そういう状況で言われているような形でのレポートを作成するということになりますと、これは火に油を注ぐことにもなりかねない、医療従事者のメリットはなどと言えば何やら利己的な話のように聞こえますがそもそもひっ迫する産科の現場におけるトラブルを少しでも減らすという当初の目的に適った話なのかと疑問に感じるところです。
てっきり北欧方式にみられるように、事故というものを挟んで不毛な対立の連鎖に陥りがちな患者家族と医療側との関係を補償金請求といういわば共同作業を通じて同じ側に立たせる効果を狙ったものかと思っていましたが、どうもこういう議論の風向きを見てみると認識を改めざるを得ないのかなという気がしています。

今更の話ではありますけれども、こういうことになるのだったらそもそも妙な制限を設けずに全症例一律補償という形にした方が認定の作業などもはるかにシンプルであるし、現場での患者家族と医療側とのやり取りもずっとスムーズにいく(すなわち、後に遺恨などを残しにくい)ようになるんじゃないかと思うんですけれどもね。
今ちょうど例の財政刷新会議絡みでこんなところで支出を増やすような話などあり得ないとは思うのですけれども、医療の危機を救済するといった話で医療従事者の支持を受けた民主党政権でもありますし、何より少子化時代にあって近年小児重視の政策が続いているわけですから、ここは政治的決断力というものを発揮していただければと期待しておきます。

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2009年11月19日 (木)

救急搬送問題 着実に話を進めている人々もいるようです

先日以来奈良県から立て続けに救急搬送絡みの話題が報じられました。

透析患者、7病院が搬送断る 奈良、3日後に死亡(2009年11月13日朝日新聞)

 奈良県生駒市で10月24日、意識が低下した腎臓病の人工透析患者の男性(83)が、県内や大阪の7病院・医療施設に計8回受け入れを断られ、通報から約1時間45分後に大阪府の病院に搬送されていたことがわかった。男性は3日後に肝臓がんで死亡した。同県では救急患者の搬送不能問題が相次いでおり、県地域医療連携課は「今回のケースを調査し、対応を検討したい」としている。

 生駒市消防本部などによると、男性は同市在住。24日午後4時半ごろ、家族から「発熱があり、体が震えている」と119番通報があった。3分後に救急車が到着。男性が診察を受けたことのある同市内の病院をはじめ、2次救急の当番病院や県立病院、大阪市内の病院などに照会したが、男性が透析患者だったため、「専門医がいない」「専門外」との理由で断られた。

 9回目の照会で受け入れ先となった大阪府大東市の民間病院に午後6時15分ごろ到着したが、27日、持病の肝臓がんで死亡したという。

 奈良県では06年8月、入院中に意識不明になった妊婦が同県や大阪府の19病院に受け入れを断られ、8日後に死亡。07年8月にも下腹部の痛みを訴えた妊婦が、11病院に断られて死産した。今年3月には意識を失った男性が6病院に断られ、約1時間半後に大阪府の病院で死亡した。(東裕二)

9病院に断られ1時間20分後に搬送 奈良で発作の男性(2009年11月17日朝日新聞)

 奈良県生駒市で7日、自宅で低血糖発作を起こした男性(69)が県内や大阪の9病院に搬送を断られ、通報から約1時間20分後に大阪府の民間病院に運ばれたことがわかった。男性は今も治療中。同市では3月と10月にも患者が6~7病院に搬送を断られ、その後死亡しており、県地域医療連携課は「根本的な救急受け入れ態勢を整備する必要がある」と話している。

 市消防本部などによると、7日午後11時45分ごろ、男性の家族から119番通報があった。救急車は6分後に到着。救急隊員は脳卒中の疑いもあるとみて、2次救急の当番病院や県内、大阪府の病院などに照会したが、「処置中」などの理由で断られた。10回目の照会で大阪府大東市の民間病院に搬送が決まり、8日午前1時6分に収容された。

 奈良県は5月、消防が受け入れ病院を検索するシステムに、従来の診察科別のほか「心筋梗塞(こうそく)」「脳卒中」など症状別の可否情報を加えた。市消防本部は今回、「脳卒中」を受け入れ可とした県内2病院に照会したが、いずれも「処置中」で断られたという。(東裕二)

朝日新聞の東裕二記者大活躍という感じなんですけれども、こういう記事で定型的な表現である「~ことがわかった」という表現、自然にこれだけの情報が湧いて出るわけでもないでしょうから、東記者が熱心に取材をして回ったということなんですかね。
どちらも受け入れ先というのが大阪府大東市の民間病院だということですが、かの地で受け入れそうなと言えばやはりこれは昨今話題のあの病院ということなのでしょうか、さすがに救急は断らないことを標榜しているというだけにこういうときには頼もしいですね(当日の当直の先生は大変だっただろうと思いますけれども)。
末期肝臓癌で透析患者というと普段の医療はどうしていたのだろうとか、低血糖発作であった患者を脳卒中と判断して搬送先を探したことは検索システムの改善点がありそうだとか、どちらも色々と考えさせられる症例ではあるようですけれども、いずれにしてもこうして記事になって出てくるというくらいに世の中の関心は高い、ニュースバリューがあるということではあるのでしょう。

ひところのインフルエンザ騒ぎがやや安定期に入ってきたこともあってか、最近また救急搬送絡みの話題が増加中という印象ですが、一番身近に医療崩壊という現象を実感しやすいキャッチーなネタであるだけに、マスコミの方でも読者・視聴者の反応が違うという手ごたえはあるようです。
数ある医療関連問題の中でもこの件に関しては供給する医療の側だけでなく利用者側の問題も比較的取り上げられるようになってきているということで、平素は医療に手厳しい見解の多い一般紙などでも比較的擁護的な記事なども掲載される傾向にあるようですね。

急患“たらい回し”防げ 搬送時間増で対策/栃木(2009年11月18日東京新聞)

 県内の消防本部が一一九番を受けてから患者を病院に救急搬送するまでの昨年の平均所要時間は三六・八分で、十年間で一〇・二分増えたことが分かった。病院の受け入れ拒否による“たらい回し”の増加が原因とみられ県は十七日、専門家による協議会を発足させ、消防と医療との連携を円滑化させるルール作りに乗り出した。本年度末をめどに救急患者の受け入れ基準策定を目指す。(小倉貞俊)

 県消防防災課によると、昨年の救急搬送人数は約六万千人で、うち重症者は六千三百六十一人。三回以上受け入れを拒否されたのは重症者の5%を占める三百二十人(前年比三十九人増)で、年々増加傾向にある。

 背景にあるのは、医師不足をはじめとする地域医療の危機だ。やけどを負った足利市の女性は「専門医がいない」などの理由で十二回拒否されたといい、救急現場で三十分以上収容先が決まらなかったケースは二百八十七件に上っている。

 全国で社会問題化するこうした現状を受けて先月施行された改正消防法は、関係機関による協議会の設置を都道府県に義務化。消防・医療機関の連携体制を強化し、患者受け入れのルールを策定するよう求めていた。

 十七日は、学識者や関係機関の担当者ら十九人でつくる「県救急搬送受入協議会」(会長・新沢敏章県医師会常任理事)の第一回会合が県庁で開かれた。今後は、患者の症状や緊急度別にした受け入れ可能な医療機関をリストアップするほか、たらい回しが起きた際の対応などを検討していく。新沢会長は「今ある県内の医療資源の中で、いかに有効な連携を図れるかを話し合いたい」と語った。

救急車の出動不要 3か月で56件 「車がない」や「見舞い」も/静岡(2009年10月13日読売新聞)

 「病院に行く車がない」「家族の見舞いに行きたい」――。

静岡市消防防災局が、救急車が出動したケースで緊急性のない軽症患者の割合を初めて調査したところ、明らかに救急車の必要がないケースが少なからずあったことがわかった。消防防災局は「ほかの緊急を要する患者に影響が出る恐れがある。適切な利用を心がけてほしい」と呼びかけている。

 調査は今年4~6月末の3か月間行われ、実際に現場に出た救急隊員の判断に従って、本当に必要な救急出動だったかどうかを調べた。その結果、この間の全出動件数6252件のうち、56件が「明らかに出動の必要がなかった」と判断されたという。

 56件の内訳は、「明らかに軽症で自分で病院に行けた」が34件で最も多く、「心配なのでとりあえず呼んだ」が8件、「病院がわからない」が2件、「お金がない」と「病院に行く車がない」が1件ずつ、「その他」が10件だった。

 4月には、静岡市内の70歳代の女性から「気分が悪い」と119番があり、救急隊員が現場に駆けつけて話を聞いたところ、女性は「家族が入院していて心配になった。その病院に行きたい」と話したという。

 同じく4月には、同市内の50歳代の男性から「気持ちが悪い」と119番があり、救急車が男性を病院に搬送した。だが、男性は軽症で、「以前、タクシーで行ったら料金がかかってしまった」などと話したという。

 県内の救急の緊急出動件数は年々増加しており、1997年は8万7778件だったのが2007年には約1・57倍の13万8600件に増え、搬送された人は13万2389人に上った。07年に搬送された人のうち、6万6770人(50・4%)が軽症者だったという。

 静岡市消防防災局の辻泰消防司令(55)は「救急車を呼ぶ時は、通報する側も必死なので、救急車の使い方が不適切と決めつけていいかどうか、微妙な場合もある」と断ったうえで、「今回の調査は医師ではない救急隊員が判断しており、『明らかに使い方が不適正』とわかるものに絞った。だから、不適正な使い方は実際にはもっとあると思う」と指摘する。

 辻消防司令は、「現場の救急隊員からは、『不適正な利用のために、本当に救急車が必要な患者の搬送に支障が出た』という話を聞いたこともある」とも語る。

 市同局は今後、調査の項目を検討したうえで再度調査を行い、結果を同市の広報誌に掲載するなどして、適正な利用を呼びかけていくことにしている。

栃木の記事のように近頃では救急搬送ルールに絡めた話も多いですが、興味深いと思うのは先日行われたネットの調査では救急出動要請時の患者選別に関しては8~9割がこれを必要であると考えている、しかもその割合が20代から40代まで差がなかったというのですね。
もちろんネット利用者を対象とした調査で若干のバイアスはあるだろうし、ネットリテラシーの低い地方の高齢者を対象に含めて行くほど答えは変わってくるだろうとは思いますが、かつては非常に総論的な話ばかりが語られていた(それはそれで重要なのですが)医療現場の様子もネット上で生々しい話が直接聞けるようになってきたことの意味は決して小さなものではなかったということでしょうか。
しかし一方で、そうした医療現場の生の声を折に触れて聞かせて回るばかりでは今や必ずしも現場にとって良い結果に結び付かないのではと問題提起をした興味深い記事がこちらで、これもまた医療に対する外部からの生の声ではあるわけですよね。

救急医療の"エピソード"を"データ"化へ-消防庁(2009年11月18日ロハス・メディカル)

 「心肺停止の祖父母を救命センターに運ぶことが最近の家族の"儀式"なので、センターは看取りの場。ベッドが埋まって新患を受け入れられない」「救急隊の搬送時間が長いのは現場で救命処置を行っているから」など、救急医療の搬送・受け入れには様々なエピソードが飛び交っている。来月から消防庁が全国で実施する心肺停止状態の患者の搬送・受け入れ実態調査は、こうしたエピソードの数値化につながり得るため、医療政策の決定プロセスを変える可能性と、医療現場が"言い逃れ"できなくなる可能性の両方を秘めている。(熊田梨恵)

 厚労省や消防庁には救急医療について議論する国の検討会がいくつも設置されており、委員からはさまざまな現場のエピソードが聞かれる。「都会の3次救急には、野宿者や精神疾患を持つ患者など"社会的弱者"が多く搬送され、治療後に行き場がなくてベッドを埋めてしまい、新しい患者を受け入れられない」「家族関係が希薄になってきたので、もう駄目だと分かっていても救命センターに搬送して延命を行うことが家族の"儀式"。特に普段つながりのない親戚などが出てくるとうるさい。今の日本人は死生観が欠けており、教育の問題もある」「都会で搬送に時間がかかっているのは、救急救命士が行う医療行為に時間を取られている。これは救命士が存在意義を主張しているから」など、挙げれば切りが無い
 
 多くは医療現場の疲弊や混乱の例として挙げられるものだが、こうした救急医療のエピソードを現場に聞いてみると「その通り」と答える医療者もいれば、「違う」と反論する人もいる。そもそも検討会の委員には都会の大学病院などの教授クラスが多く、救急医療は地域や時々の状況によって全く異なるため、皆が同じ答えになることなどないのが当たり前だろう。山間部などの医療に詳しい委員からは「地方はそもそも病院がないから、ベッドが空いてなくても受け入れて疲弊している。患者を受け入れないのは都市部特有の問題」とも言う。だがこれも意見の一つだ。
 
 委員は医療現場が疲弊しているという惨状を示しながら、「こんなに大変なんだ。だから手当をくれ」と補助金もしくは診療報酬というインセンティブを求めている。しかし、大体は事務局が、「それは中医協の議論になるので......」などと言って議論は終わりにされ、委員も半ば諦め顔をしている。これらの発言は大体が医療側委員のガス抜きになっているだけだ。
 
 しかし、こうした医療者からの意見を聞きながら、「お金が要ると言うなら、根拠が要る。医療界は『これが大変、あれが苦しい』といつも言っているが、事実としてそれを示すだけの覚悟はあるのか」と話す官僚もいる。データとして客観的に事実をあぶり出し、疲弊している現状とともに、厚労省と医療界の慣れ合い構造の中で隠されてきた「適正」ではない部分も出した上で、国民に納得いく形で予算を求められるか、ということだ。

 消防庁はここに切り込んでいる。昨年度に消防庁が東京消防庁管内で実施した、搬送・受け入れに関する実態調査では、傷病者の「背景」を調査した。救急隊が搬送に困ると言われる、いわゆる「ブラックリスト」の患者や、精神疾患のある人、アルコールや薬物に依存する患者、ホームレスなど一部の医療機関は明らかに受け入れを拒否すると言われる傷病者の搬送と受け入れに関する実態を調べた。医療機関からは「こういう患者は受け入れられなくて困る。搬送にも時間がかかる」というエピソードが上がるが、実態はどうなっていたかというと、「医療機関が受入困難理由として明確に回答した傷病者背景としても、急性アルコール中毒や精神疾患などが多くなっている」(傷病者の搬送及び受入れの実施基準等に関する検討会報告書)(左図が実態として示されたデータ)。

 消防庁の開出英之救急企画室長は「医療側の琴線に触れるものだったと思うが、実際の数字が出てきて、医療機関から『やってよかった』という声も聞いている」と話す。調査にも関わった有賀徹氏(昭和大医学部救急医学教授)も「実際にこういう状況があるということが分かった。これで次は、医療機関が福祉行政とも連携してどう取り組んでいくかというステージ。そして自分たちでできないところのサポートを国に求める」と話す。見えなかった部分がデータとして示され、課題解決のための次のプロセスに進める土台ができたという。ここからの取り組むかは地域の力であり、それでも足りない部分を支援するのが国の役割ということだ。
 
 来月から実施する調査も、救急医療の中の別のグレーゾーンに切り込むものになることが予想される。
 
 例えば「都会で搬送に時間がかかるのは、救急救命士が医療行為を行っているからで、それがなければもっと早く搬送でき、患者も助かるのでは」とよく言われるが、大いに賛否が分かれている。今度の調査では、「現場出発時間」を調べるため、救急隊の「現場滞在時間」が分かる。救急隊の救命処置内容や患者の転帰も調べるため、「処置」と「搬送」についての効率性を考える素材になる可能性がある。
 
 さらに、心肺停止状態の患者が搬送された医療機関の種類(初期、2次、3次)、「家族及び関係者が傷病者への救急救命処置等を望まない旨、言われた事案」に該当するかどうかも調べる。この項目は、「3次救急は看取り」の現状について議論する際のデータにも成り得る。
 
 委員からも意見が出たため、まだ項目は調整中であり、調査結果としてもどのように出るかは分からないが、少なくとも「心肺停止時状態の患者の搬送・受け入れ」に関してエピソードではないデータが出てくる。ただ、そのデータを使っての議論や、どう今後の政策決定につながっていくかは注視する必要がある。 

近年医療業界の主張が各論に傾きすぎたのではないか、あまりに医療は大変だ、疲弊しているんだと叫び過ぎた結果「またか…」と世間から辟易され始めているのではないかといった懸念はすでに一部の業界内部からも出されるようになってきているように感じますが、もはやデータといった形で客観的指標でもなければ手厳しい仕分け人のお眼鏡に適わなくなってきているのも事実でしょう。
その意味で非常に注目すべきなのが記事中にもありますように最近救急隊を管轄する消防庁が搬送する側としてどんどんデータを収集しているということで、救急搬送とは当然受け入れる側である医療との綱引きという側面もありますから、これはうっかりすると例の救急搬送ルールに関する議論の主導権を全て消防救急側に握られてしまう可能性もあるわけですね。
ロハス・メディカルさんはこの件に関してかなり精力的に切り込んだ記事を随時出していらっしゃるようですが、特に注目していただきたいのは消防庁側の非常に着実かつ積極的な歩みぶりで、仮にこれが現場救急隊員からの「こんなことじゃ救急搬送なんてできない!なんとかしてくれ!」という突き上げを受けてのものだとすれば、正直消防庁という組織は官庁にあるまじき精励ぶりと言っていいくらいに称賛に値すると思いますね。

消防庁が医療界に豪速球(2009年11月18日ロハス・メディカル) 

 都道府県に救急患者の搬送・受け入れのルール策定を義務付けた改正消防法が先月末に施行された。「ルール策定」という部分だけがクローズアップされて伝わり、否定的な見方をする医療者も一部いるようだが、この法改正は、これまで一部の業界団体や永田町・霞が関だけで決まってきた医療政策決定のプロセスを変えていく可能性も秘めている。(熊田梨恵)  

※改正消防法そのものの概要はこちら

 医療界には様々なエピソードが渦巻くが、現場の実情を反映し、かつ政策決定の根拠となるような客観的"データ"は多くない。厚生労働省が診療報酬や介護報酬決定の資料とするため行っている医療経済実態調査や介護事業経営実態調査も、それに基づいて決められた報酬が今の"医療崩壊"を産んでいる現状を見れば、他にもデータがあるべきでないかとの意見は当然に出てくる。

 超党派の医療議連の幹事長を務める鈴木寛文部科学副大臣は政権交代後、「一部の声の大きい人たちだけの意見が『医療現場の実態』として永田町や霞が関に届けられてきた。しかし、本当の現場の実態は日医などが言うことと全く違った。厚労省の官僚が『実態だ』と言って我々にレクする内容も違う。しかし、それ以外の声はまったく我々には届いていなかったわけで、その構造を医療界自体も許してきた」と語った。

 医療界が自ら立ち上がる前に、この構造に踏み込んできたのが消防庁だ。昨年度、東京消防庁管内で『搬送・受け入れに関する実態調査』を行って、傷病者の「背景」を"データ化"。来月からは、『心肺停止状態の患者の搬送・受け入れ実態調査』を全国で実施することにしている。

 さらに一歩踏み込み、このような"データ化"を、全国それぞれの都道府県で行わざるを得ないようにしたのが改正消防法だ。各都道府県に救急搬送・受け入れのルール策定を義務付けたのだが、まず医療資源や患者特性など実態を出してからでないとルールは作れない。「照会回数などについても救急隊員が個人で知っていながら、全体像として把握できていないというところがあった。都道府県レベルでデータを出して実態を調査・分析していくことでディスカッションができるようになっていくと思う」(開出英之救急企画室長)。また、搬送・受け入れの検証を毎年行うことも役割になっている。

 見えたデータから課題を見つけ、課題解決に取り組むのは、その地域の自治体や医療機関、消防機関などの現場で、国はあくまでも足りない部分のサポートに徹する。今ある医療資源をどう捉え、どう効率的に生かすか、地域自身がデータを出して現場に即した内容に考えていけるような枠組みを作ったことになる。

 国がガイドラインを作っている時、医療者側委員から「今ある地域医療体制を壊さないように。医療崩壊に拍車をかけないように」と懸念する声がしきりに上がったのに対し、消防庁側は「地域の実情に応じて策定を。データで議論を」との返答を繰り返していたのも、このような意図があったからだ。
 
 既にいくつかの地域は実際に動き始めている。大阪や栃木ではルールを策定するために議論の素材になるデータを出そうと、救急隊が疑った疾患と、実際の診断名が合っていたかどうかのマッチング調査を12月から1か月間実施する。堺市では12月に同様の調査を開始し、継続していく方針だ。他の自治体に先駆けて議論を開始した東京都では、2月をめどにルールの大枠を決める。

 では、なぜ、このような動きが必要になったのか。 

■厚労省と業界内権力者で決められてきた医療政策

 医療政策を担う厚労省では、審議会や検討会を立ち上げて予算要求や法改正を行っているが、これらの会議は最初から事務局を担う官僚が落とし所を決めていることがほとんどだ。「官僚にとっての最大の関心事は人事なので、いかに予算を多く取れるか」(厚労省のキャリア官僚)。予算要求につなげやすい旬なテーマ、厚労省として規制をかけたい分野や、医療費や介護給付費を抑えたい分野の検討会ができやすい。

 呼ばれる委員は、有識者としていわゆる"御用学者"が多く、現場系委員も日医や日看協については言うまでもなく、国立病院の医師や官僚・団体OBなど、厚労省に盾つかない者ばかり。事務局からは委員に事前レクが行われて発言も刷り込まれ、当日はその通りに議事が進む。たまに否定的な意見を述べる委員が"ガス抜き役"や"調整役"として入っていることもあるが、意見は大体無視される。検討会が中盤に差し掛かると事務局が作成した「論点メモ」などがこっそり資料に紛れ込んでいて、その方向に議論は誘導されて報告書がまとめられる。
 
 補助金、通知で現場を縛る「通知行政」も時々の情勢に左右されることが多く、現場の実態にそぐわない支配構造の一つだ。

 医療業界内の一部の権力者と行政が寄生し合い、医療界自体もそれを許してきた。こうした構造の中でブラックボックスになってきた医療界は、国民からは見えにくく、理解されにくい。医療界の中には、医療崩壊するほどの疲弊している現場がある一方で、甘い汁を吸っている人々もいる。

 「こんなに疲弊していて大変な医療現場の惨状がある。だから手当を」--。声の大きい人たちからの医療現場のエピソード、もしくは歪曲したデータが示され、厚労省は自分たちの利益にもつなげながら、こうした意見とうまく付き合い共存してきた。しかし、その政策プロセスが限界に来ているのは今の"医療崩壊"を見れば明らかだ。さらに、政権交代によって、このしがらみを断ち切ることが可能になるかもしれない。
  
 データとして客観的に事実をあぶり出していく作業の中では、疲弊している現状とともに、厚労省と医療界の慣れ合い構造の中で隠されてきた「適正」ではない部分も出ざるを得ない。そうしたものも明るみに出した上で、国民に納得いく形で予算を求められるか。これは国に任せるなどということではなく、医療界自体が示していかねばならないことだ。

 一部の声の大きい人たちの意見が政治家や厚労省とともに医療政策を変えていくのではなく、地域医療の現場が実態をデータとして出し、地域の実情に合った形で運用面から変えていく。消防庁の投げ込んだボールを打ち返すことができるか否か、今後の医療界の取り組み次第だ。 

消防側が医療側に乗り出す"転換期"-救急搬送・受け入れルールに、有賀徹昭和大教授(2009年11月2日ロハス・メディカル) 

 昭和大医学部の有賀徹教授は2日、都道府県に策定が義務付けられた救急患者の搬送・受け入れルールについて、これまでほとんど医療側のみで議論されてきた医療提供体制について、消防機関側が医療機関側と同じテーブルで議論し、医療提供体制の構築に乗り出すという"転換期"をもたらすものになるとの見方を示した。(熊田梨恵)

■搬送・受け入れルールについての詳細は、こちら

 国内で頻発する受け入れ不能問題を解消するため、10月30日に施行した改正消防法は都道府県に救急患者の搬送・受け入れルールの策定を義務付けている。有賀氏は、国が示したルール策定の指針となるガイドラインの作成にも関わり、東京都でルール策定の具体的な業務を行っていく委員会の委員長も務めている。
 
 このルールを策定するためには、医療機関側は消防機関に対して、どんな患者なら受け入れることができるかという患者の状態像や、受け入れ可能な時間帯や曜日など実際に対応が可能な要件を示さなければいけないことになる。ホームレスや薬物中毒の患者などいわゆる"ブラックリスト"への対応など、現場レベルのルールで対応してきたケースについても議論せねばならず、搬送実績をデータ化していく必要に迫られる。有賀氏は、「消防側から医療機関側の"クオリティ"を出せと言っているということ。このルール策定は、『医療』を『電気』や『水道』と同じ、地域のインフラストラクチャとして把握していく、ということに発展する話。救急業務と救急隊が地域のインフラストラクチャをする、ということ」と述べた。
 
 ただ、「改正消防法は消防機関に(ルールの)遵守を義務付けているが、医療機関には『ルールを尊重するよう努める』という、協力するという趣旨。"お願い"ベースでは何も起こらない。そういう問題をはらんだまま進むことになる」との懸念も示した。

救急隊と受け入れ医療機関とは本来良好な協力関係を築いていかなければ救急搬送が円滑に回るはずもありませんし、実際医療機関の選択肢の乏しい地方ともなれば身内同然の関係になっている場合も少なからずあるようですが、供給過少需要過多で地域の医療機関が疲弊しているとか、いわゆる地雷症例といった場合の押し付け合いともなれば、最終的に力関係がものをいうのは言うまでもありません。
もちろん医療も消防もどちらも真摯に救急体制の改善を考えて動いていたとしても、一刻も早く病院に運ぶことが仕事の救急とそこから仕事が始まる医療とではそもそもの視点が異なる以上、どちらか一方に偏った政策というものがとられたならばそれは新たな歪みを生みだす可能性が高い、結果として今よりもさらに救急搬送事情は悪化しかねないわけですね。
これ以上仕事を増やされてやっていられるか!というQOML重視派にとっても、いい加減な政策では救急医療は確実に終わると危惧する憂慮派にとっても、まさに今こそ大きな声を出すべき時期ではあって、しかもそれは今までと同じやり方であっては今までと同じように無視されて終わる可能性が高いということを認識すべきだということでしょう。

記事も見ていて一つ危惧することは、消防側がこうしてデータをもとに「ここがボトルネックになっているから改善を」と着実に話を進めている中で、医療側から大きな声で聞こえてくるのは「これこれの事情でこれはできない」といった話ばかりで、国民が求めている「ではそれはどうしたら改善するのか」という問いに対する答えが見えにくいと感じられているのではないかということです。
むろんたとえば救急をやる医者を増やすと言えば「その教育はどうする」「誰がいまどき救急なんてやるのか」「今時の病院に赤字部門をやっていられるような体力は」と幾らでも反論は出てきますけれども、それではその問題点の改善のためにはこういう施策が必要である、そのための予算は幾らくらいと、筋道だって為政者側に説明する努力と根拠となるデータ集めがどうも不十分だったかなということは率直に反省すべきだと思いますね。
別に全ては日医の怠慢によるものだ!(苦笑)と押しつけるつもりもないですけれども、お役所である消防庁ですらこれだけ着実に足元を固めてきている中で、医療側も単なる不平屋(失礼)の悪評を脱してもう少し実効性のある動きを見せていくべき時期なのだとすれば、その方法論に関しても議論していかなければならないということでしょうか。

しかし消防側の非常に統制だった動きを見た後で改めて思うことですが、ひと口に医療業界と言っても別に内部は一枚板でもなんでもないだけに、実のところそのあたりの話をまとめていくのが一番難しいところなんでしょうね(まとめるべきなのかどうかという議論は別としても)。

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2009年11月18日 (水)

聖域なき仕分け作業 さてその実態は

例の行政刷新会議による仕分け作業が大騒ぎになっているようですけれども、そんな折にかねて医療問題においては極めて斜め上方向に見識が高いと評判の産経新聞がこんな記事を載せています。

【主張】行政刷新会議 聖域なく歳出に切り込め(2009年11月11日産経新聞)
 行政刷新会議が来年度予算概算要求の無駄を削る「事業仕分け」対象を決めた。診療報酬や地方交付税、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)など広範な分野が盛り込まれている。

 これらの分野は予算規模や政治判断が必要な点からみて、個別事業の要不要を判断するという単なる「事業仕分け」の域を越えており、本格的予算編成作業に近い。ならば、聖域を設けず大胆に切り込むよう求めたい

 鳩山由紀夫首相も「聖域なき見直し」を表明してはいるが、額面通りには受け取れない。民主党議員と民間有識者によるいわゆる「仕分け人」が短期間で広範な分野をどこまで判断できるか疑問だし、作業を通じて政権公約との矛盾も生じかねない。

 来年度が改定年に当たる診療報酬では、医師不足解消を目的にした大幅引き上げが民主党の主張だった。しかし、民間給与が下がる中で医師の診療報酬を上げることに国民が納得するだろうか

 本来なら優遇されすぎた開業医の報酬を削減し、その分を不足する勤務医などに配分すれば済む。その意味で配分見直しの権限を厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会から刷新会議に移したのはいいが、これにも閣内で異論が出ているという。
(略)
 このように、いざ歳出を削減しようとすれば鳩山政権は返り血を浴びる。しかも、95兆円に上る概算要求から目標の3兆円を削ったところで、国債増発を行わないとする公約は危うい。

 今年度税収は当初見込みの46兆円から30兆円台後半に落ち込むのが確実で、来年度も税収増は期待できない。国債増発の判断基準を今年度補正予算後の44兆円という甘い水準に置いたとしても、財源はまだまだ足りない。

 子ども手当や高速道路無料化など財源の裏付けが希薄な政権公約にはやはり無理がある。現実に則して見直すべきではないか。

いまどき開業医が優遇されているというのもどのようなソースに由来するものなのか興味深いところだと思いますけれども、これはあるいは先日も中医協で大騒ぎになった例の大本営発表を鵜呑みにしているということなのでしょうか(苦笑)。
いずれにしても開業医の報酬を削減し勤務医に配分すれば医師部側が解消されるというのも素晴らしいですが、かねてからの主張通り「民間給与が下がる中で医師の診療報酬を上げることに国民が納得するだろうか」というに至っては、近年国民の懸案ともなってきたこの問題に対する快刀乱麻ともいうべきその卓見ぶりには毎度のことながら恐れ入るしかありません。
もちろん聖域なく切り込んだ末に出てきた結果というものも等しく国民が享受するという大前提に立った上で、国民の信を得た政権与党が大胆な改革をなすことは結構なのですが、問題はその改革なるものの話の出所がいささか怪しいものとしない点です。

事業仕分けで極秘マニュアル=財務省の視点を指南-政治主導に逆行・行政刷新会議(2009年11月17日時事ドットコム)

 政府の行政刷新会議が2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」で、事務局が極秘の査定マニュアルを作成し、民間有識者など仕分け人に配布していたことが17日、明らかになった。財務省の視点に基づき、仕分け対象事業の問題点を列挙、各担当省庁の主張に対する反論方法まで具体的に指南する内容。政治主導を掲げた事業仕分けが、財務省主導で進んでいる実態が明らかになった格好だ。
 事業仕分けは、予算圧縮に向けて国会議員や民間有識者ら仕分け人が、各省庁が要求した事業項目を外部の目を通じ、「財務省には無い視点」(枝野幸男ワーキンググループ統括)でチェックする仕組み。すべて公開で実施され、鳩山政権初の予算編成に当たって導入された。
 査定マニュアルは、事業仕分け前に「参考メモ」として仕分け人に配布され、事業ごとに「論点」を提示し、問題点などが個条書きされている。マニュアルに従えば、対象事業に詳しくない仕分け人でも、厳しく問題点を指摘できる仕組みだ。

要するに国民目線の財政刷新会議などと言っていますけれども、その実態は何のことはない財務省のシナリオ通りの進行であったということですから、いやどうも民主党政権は脱官僚、政治主導ということを言っていたような気がしたのですけれども、気のせいだったですかね?
もともと財務省と言えばこと医療問題においては鬼門とも総本山ともいえるような組織ですから、その財務省主導になる財政刷新会議の仕分けぶりが医療側委員に受けが良いはずもなく、さっそく中医協は紛糾しているようです。

中医協・基本小委 行政刷新会議WGの結論巡り、一触即発状態に(2009年11月13日ミクスonline)

11月13日に開催された中医協・基本問題小委員会では、11日に開かれた政府の行政刷新会議のワーキンググループ(WG)の事業仕分けの結論を巡り、委員から多くの意見が挙がった。会議の冒頭、厚労省が事業仕分けの俎上に上がった「診療報酬の配分(勤務医対策等)」のとりまとめを報告。それに対し、委員からは中医協としての声明を出すか否かの意見が相次いだ

口火を切ったのは診療側の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)。WGの結論が最終的なものではないため、静観する構えをみせた遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)に対し、「(WGは)中医協の議論を全く無視している」と否定的な立場を表明し、中医協として慎重な議論を希望する声明を出してほしいと主張した。

この意見に診療側、支払側の双方から賛成の意見が相次いだ。診療側では安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が「個々の診療科の技術をどう評価するのかが診療報酬の点数設定であり、伸びたから下げるのはあまりに乱暴」、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)も「あらかも人民裁判でも見ているような感じがして、怖い気がした」と批判的な意見が相次いだ。また、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、膨大な資料をもとに時間をかけて議論している中医協の現状を踏まえ、「そういうところを尊重してもらわないと、わたしたちも何のために集まって議論しているのかわからない」と主張した。支払側も白川修二委員(健康保険組合連合会常務理事)が「仕分けチームがどのような法律の枠で、あのような意見を出すのか理解できない」との意見を表明し、嘉山委員の意見に賛意を示した。

一方、支払側の委員からは慎重な意見も出された。北村光一委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会部会長代理)は「中医協では冷静に議論を見守り、決まったら議論したらどうか」と提案。勝村久司委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)も「きちんとした議論をするなら資料を出して、やっていく手続きをしてほしい」とした。

遠藤部会長は「中医協の意思決定は全会一致がルール」であるため見守ることとしたが、嘉山委員が「(静観すべきと)そういう意見を言った方は責任を取ってほしい」と発言したことで議論が紛糾した。白川委員は「中医協はそれぞれの立場はあるが、委員が自由に意見を発言できる場。意見と合わないからといって、責任をとれという言葉は個人の意見を無視することになる。わたしは嘉山委員と(声明を出すべきとの)意見は同じだが、反対の人もいる。その人格を無視するというのは非常に失礼」と批判した。嘉山委員は「政策は一度決まってしまうと、変えるのは非常に困難。心のなかで責任を感じてくださいということ。人格を無視した発言ではないので、誤解しないでいただきたい」と釈明した。

行政刷新会議のWGでは、診療報酬の配分において、皮膚科や整形外科などの収入が高い診療科の見直しと開業医と勤務医の平準化を見直しの対象とすることとしていた。WGの結論は今後、同会議の本会議で最終的な結論をまとめることとしている。

中医協炎上、「激しく、時には優しく」と長妻厚労相(2009年11月14日ロハス・メディカル)

 診療報酬の配分を見直す「事業仕分け」への対応などをめぐって中医協が炎上した。診療側委員は中医協として慎重を求める声明を出すよう主張したが、支払側委員は時期尚早論。診療側委員の「責任を取ってください」との発言に支払側が逆上したところで長妻昭厚生労働相が入室、「激しく、時には優しく議論を活発に」などと挨拶した。(新井裕充)

 政府の行政刷新会議ワーキンググループ(WG)は11月11日、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」で、病院・診療所間や診療科ごとの点数配分を見直すことなどを決めた。

 13日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会の冒頭、厚生労働省保険局医療課の佐藤敏信課長が結果を報告。「これで終わりではなく、恐らく本会議のほうで報告、議論されて最終的な意見が取りまとめられる」と述べ、今後の動向を見守る構えを見せた。
 遠藤久夫・中医協会長(学習院大経済学部教授)も、「最終報告」が出た段階で何らかの意見を表明する意向を示したが、診療側の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)は早急に声明を出すことを提案、次のように述べた。
 「国家が一度決めてしまうと、それをひっくり返すことは非常に困難。会長は『まだ決まってはいませんね』とおっしゃったが、決まる前に『慎重にやれ』ということを中医協から言ったほうがいいのではないか」

 これに対して、支払側の白川修二委員(健保連常務理事)も、「行政刷新会議はどういう法律の裏付けであのような意見をおっしゃられたのか理解できない」として、WGの決定プロセスを疑問視。「法治国家だから、法律に基づいてきちんと手続きを踏んでやることを我々としては主張すべき」と述べた。

 他の委員からも、WGの議論の在り方を批判する意見が出されたが、支払側の北村光一委員(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)、勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)がブレーキをかけた。北村委員は「中医協では清々と冷静にその動きを見守って、その結論を頂いてから議論されてはどうか」と慎重論。勝村委員は次のように述べた。
 「中医協に関連する話なので意見交換は多少はいいが、何らかの資料や文書が出ていないので、『ちょっとテレビで観た』という形での議論には一定の限界がある。(国立大学)医学部長会議などで声を出すのはいいと思うが、中医協として今この段階で意見を出すということはちょっと無理がある」

 この発言に対し、嘉山委員は「そういうことをやってきたから、この日本がおかしくなってきた」と反論。財務相の諮問機関「財政制度等審議会」が6月4日に出した建議を引き合いに、「エビデンスもなく検証もなくサイエンスもない中身のディスカッションをして、政策立案が出てきた。我々のような専門家がここで議論しているので、『慎重に』という声明を出さない限り、我々の存在意義はない」と返した。その後、嘉山委員がさらに「一言」を加えた。

 「そういう反対意見を言った方は、責任を取ってくださいね。日本の制度は、一番問題なのは、その責任の所在が明らかでないこと。『言っておけばよかった』という不作為の罪はしたくない。例えば、『慎重にしていただけないか』というぐらいの意見は言っても構わないと思うが、それすら言えないという中医協は一体どういう意味を持っているのか?」

 この発言で炎上、その最中に入室した長妻昭厚生労働相は、最後にこう挨拶した。
 「国会では、もっとさらに激しい議論がございますので、本当にご遠慮なさらず、激しく、時には優しく議論をですね、議論を活発にしていただくことがですね、論点を曖昧にせずに、詰めて詰めて合意を得ると。安易な妥協は決裂への道というふうに私は自分に言い聞かせてこれまでいろいろな活動をしておりましたので、また今後とも、ご助言を頂きますよう、よろしくお願いします」

 長妻厚労相の挨拶の後、委員席から拍手がわき起こった。拍手をしなかった傍聴者は、今回の議論をどうとらえたのだろう。議論の詳細は次ページ以下を参照。(以下略)

まあこういう話になりますと支払い側は少しでも安くすむということであればその方がありがたいというのも本音でしょうし、その意味で中医協で統一して反対声明をというのもいささか無理があるとは思うのですが、いずれにしてもその結果としてまとまった政策については国民がそのすべてを引き受けることになるわけですから、少なくとも議論の最中から興味と関心を持って注視していくべき話題ではないかと思いますけれどもね。
さて、記事中に「行政刷新会議のWGでは、診療報酬の配分において、皮膚科や整形外科などの収入が高い診療科の見直しと開業医と勤務医の平準化を見直しの対象とすることとしていた」というくだりがありますけれども、これに関して非常に興味深い書き込みがありましたのでまたしても紹介しておきます。

50 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 12:25:54 ID:UGyxoVNE0
事業仕訳で整形外科の収支差額4200万は高すぎると吉田が言ったけどどこから持ってきた資料なんだろう?
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/pdf/nov11-pm-shiryo/05.pdf 最後のページ
美容整形外科を無理やり持ってきたんじゃないのか?

医療経済実態調査 平成21年6月の資料には診療科別データは無い。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/10/s1030-6.html

医療経済実態調査 平成19年6月
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/s0601-5.html
 資料 一般診療所集計1 第10表では、
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0601-5n.pdf
(11ページめ P140  有床診療所(個人))
収支差額 (月額)
精神科  2371万 ?
内科    247万
外科    314万
整形外科 100万
眼科    615万
・・・
平均    336万

有床診療所(その他)では赤字になってる
無床診療所では、整形外科は平均

やり玉に挙げられて整形外科はとんだとばっちりを食いそうだな。

51 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 13:08:57 ID:UGyxoVNE0
pdf の方にはあったが、たまたまサンプリングが偏っていただけみたいだな。 
サンプル数が少なすぎるよ。 こんなデータを持ち出すなんて仕訳資料としては最低だな。
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/75dd15c9af02447d4925765f001e0a21/$FILE/20091102_2shiryou_all.pdf

52 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 14:19:50 ID:UGyxoVNE0
>>51 データを抜き出してみたがひどいサンプル数。
厚労省は何のためにデータをとってるんだ。
こんなひどいデータを国政に使うなんて財務省は小学生並みの数字判断能力しかないのか。
整形外科の4200万という数字は、下の数字の加重平均を使ったみたい。
(108*2 + 362*40 )/42*12=4200万 何の意味もない数字
もうバカか、あほか、故意に国民をだまそうとしている下心が見え見え
マスコミも何とか言えよ。

------------------平成21年6月
一般診療所(個人)(集計2)入院診療収益あり
サンプル不足で統計データの意味なし。(サンプル数)
内科    37万 (4)
外科   173万 (1)
整形外科 108万 (2)
眼科   408万 (3)
平均   206万 (18)

一般診療所(個人)(集計2)入院診療収益なし
こちらも信頼できるサンプル数ではない。
内科   191万 (240)
外科   154万 (21)
整形外科 362万 (40)
眼科   252万 (41)
平均   200万 (492)半数が内科なので平均の意味なし

53 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/17(火) 18:03:26 ID:EULmLHJn0
> マスコミも何とか言えよ。

お前はマスコミをなんだと思ってるんだ?記者クラブで教わったとおりに記事を書くのが仕事だぞ。

例の開業医の報酬を切り下げて勤務医へまわせとの主張の根拠となった平均年収の数字も実感とあまりにかけ離れすぎていると異論百出でしたが、どうもこういうところで地味にデータを操作して議論を誘導したい方々が明らかにいらっしゃるようですし、それに見事に乗せられているのが「国民目線」の方々なんだとすれば、これは国民に対する詐術ともいえるのかも知れません。
かねて勤務医平均年収はレジデントなど非常勤扱い(その実態は紛れもない奴隷労働ですが)を除外して管理職級の常勤医だけを取り上げているだとか、開業医の収入とは借金返済などの諸経費を差し引く前の数字ばかり出してくるだとかいろいろと言われていましたが、確かにこれだけネット等で現場が騒いでいてもマスコミは一切取り上げないのも伝統というものなのでしょう。
冒頭に取り上げましたような産経新聞的スタンスというのもいささか極端ではあるのかも知れませんが、それを是としているという点では国民の多くが同様の認識であるということだとすれば、ここにも大きな認識の乖離というものが存在していることを認めざるを得ないようですし、敢えてそうした情報格差を作り上げてきた方々の努力は見事に実っているということになりますかね。

行政刷新会議のメンバーの皆さんはいずれもその道では相応に名の知れた、おそらく自らの知識なり技能なりに誇るところ少なからずという方々が多いのだと思いますけれども、こうやって他人の思惑に乗せられたまま猿回しの猿を演じている現状をどう考えているのか、そのあたりも興味深いものがあります。
いずれにしても歪んだデータを元に立てられた対策なるもので医療がはたして立て直せるものなのかどうか、その結果をやがて国民は身をもって検証していくことになるのだと思いますから、長妻大臣ではありませんが遠慮せず言いたいことは今のうちに全て出し切って激しく、時には優しく議論をしておくのがよさそうに思えますね…もちろん、正しいデータに基づいての正しい議論が大前提ですけれども。

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2009年11月17日 (火)

新型インフルエンザ ワクチンに絡んだ話あれこれ

新型インフルエンザのワクチン接種を巡って混乱が続いていますけれども、先日以来紹介しております10mバイアル問題というものも相変わらず現場にとっては大不評のようですね。
そんな中で並べてみるとなかなか興味深いという二つの記事がありましたので、本日まずはこちら朝日新聞さんの記事から紹介しておきます。

余った新型ワクチン、職員の親族に接種 鳥取の病院(2009年11月12日朝日新聞)

 鳥取県南部町の町国民健康保険西伯(さいはく)病院(田村矩章=のりあき=院長)の医師が、医療従事者用に配られた新型インフルエンザワクチンの余りを、同病院職員の親族の2歳と11歳の女児に接種していたことが、11日わかった。県では2歳児は12月上旬、11歳児は来年1月中旬から接種を始める予定だった。病院側は「ワクチンを無駄にしたくなかったためだが、身内に接種したことは反省している」と話している。

 同病院によると、接種が始まった10月21日、10ミリリットル用の瓶に入ったワクチンを大人1人の基準量0.5ミリリットルずつ20人分に分けたところ、余裕分の0.2ミリリットルが残った。感染症対策を担当する30代の男性医師は「余りを活用できないか」と看護部長に相談。0.2ミリリットルは1歳以上6歳未満の接種1回分の基準量だったため、当てはまる子がいる病院職員に呼びかけたが希望者が見つからず、看護部長の2歳の孫に接種した。

 また10月30日にも10ミリリットルを取り分けたところ、6歳以上13歳未満の基準量に当たる0.3ミリリットルが余ったため、薬剤部職員の11歳の女児に接種した。

 厚生労働省によると、医療機関には「ワクチンの有効利用に努めるように」との要請を出しているものの、余ったワクチンの使い道の指針などは示していないという。

 病院の陶山清孝事務部長は「安易に身内に接種したことは反省している。今後は接種の優先対象者をリストアップするなどの対応を考えたい」と話した。

新型ワクチン、不便な大瓶 10ミリ、一度に使い切れず(2009年11月14日朝日新聞)

 不足する新型の豚インフルエンザのワクチンを効率よく供給しようと、全国で流通し始めた10ミリリットル入りの大瓶が、医療機関によっては容量が大きすぎ、ワクチンが余る事態となっている。24時間以内に使用しなければならず、一度に十分な人数が接種に集まらないと無駄が出るため、医療機関は対応に苦慮している。

 14日から小児向け接種が始まる大阪府。豊中市のさもり小児科には12日、大瓶2本と1ミリリットルの小瓶15本が届いた。大瓶なら、1日に子ども40人前後に打てる量だ。現在、約100人の予約が入ってはいるが、佐守友仁院長は「この中から40人のスケジュールを調整するのは容易ではない」と嘆く。

 思い余って大阪府に問い合わせたところ、回答は「余ったら捨ててください」。厚生労働省も、開封後24時間たって余ったワクチンは品質が保証できないとして廃棄するよう求めている。ただ、ワクチン不足から医療機関には要望量の3割程度しか配られていないのが現実。佐守院長は「廃棄しろなんて本末転倒」と憤る。

 徳島市の城南公園内科には10月下旬、慢性疾患の小児用として大瓶が3本届いた。だが、予約が入っていたのは55人。これでは大瓶1本では足りず、2本では余ってしまう。急きょ、カルテを繰って予約のない患者に連絡、ちょうど大瓶2本分の約70人をかき集めた。

 ただ、残された大瓶は1本。これでは70人全員の2回目の分に足りず、宮本泰文院長は「どうしたらいいか分からない」と思案に暮れる

 大瓶は梱包(こんぽう)などの手間が省け、生産量も増やせるとの意見もあって国が導入を決めた。ワクチンは国の配分で都道府県に届けられるが、その先でどう配るかは都道府県の判断。厚労省は、大規模な医療機関には大瓶を、個人病院や小児科には小瓶を供給するよう求めているが、思惑通りにはなっていない。

 埼玉県には、県内の小児科などから「できるだけ小瓶がほしい」といった声が相次いでいるが、「すべての要望に応えることはできない」(疾病対策課)のが実情。小瓶に注文が集中しないよう、県は1医療機関あたりの小瓶の注文数に上限を設けた。

 鳥取県の病院では、医療従事者用に配られた大瓶で残量が出たため、病院職員の親族に接種したことが表面化。だが、医療現場では「余った分は、優先順位の対象外ではあっても、その日に接種できる人に回す」と言い切る関係者も少なくない。

 こうした中、東京都小平市の医師会では、集団接種の実施を決めた。鈴木昌和会長は「大瓶は本来、集団接種向き。なるべく余らせたくない」と話す。(稲垣大志郎、浅見和生)

バイアルの底に残った0.2mlという雫までも無駄にしないよう努力した現場の医師・看護師を褒めるべきなのか(普通そこまでやりませんよね)、そこまでネタとして追求した朝日さんの努力を揉めるべきなのか微妙なところですかね。
要するに「どうしたらいいか分からな」くても迂闊に「ワクチンの有効利用に努め」たりすると大変なことになりますよという、これは非常に教訓的な話ということなんでしょうか?
で、その朝日さんが「ワクチンの無駄がこんなに!」とぶち上げるわけですから、いつもながら朝日新聞のネタを創り出す…もとい、どこからでも探し出してくる能力の高さには感心するところです。

いずれにしても厚労省もようやく重い腰を上げたようで、今後は1mlバイアルを中心に製造していくという方針に変更するということですけれども、元々見かけの出荷本数が増えるだけでこうした騒動に要する手間も含めた現場のロス分を考えれば果たしてどちらが得だったのかという話ではありました。
ワクチンの出荷量自体もどうもウイルスの増えが悪いということで予定より低迷しそうだということですが、上述のようなロスに出荷の遅れも重なって一部地域ではワクチンが足りないと大騒ぎになっているようです。
しかしそこで迂闊なことをしてしまうとまた新聞沙汰になってしまうのではと心配しておりましたら、案の定こんな記事がありました。

接種の順番、くじで決める=新型インフルワクチン不足で-京都(2009年11月11日朝日新聞)

 新型インフルエンザのワクチン接種をめぐり、透析治療を専門とする京都市伏見区の桃仁会病院(岩元則幸院長)が、患者に対する接種の順番をくじで決めることが9日、分かった。供給されるワクチンが少ないためで、同病院は「一番公平と考えた」と話している。

 同病院と、併設する診療所の患者552人が接種を希望したのに対し、京都府から配布されたのは52人分。年齢や透析期間、糖尿病の有無などで接種の順番を決めようとしたが、希望者に番号が書かれたくじを引いてもらう方法にした。順番はコンピューターで無作為に決め、患者自身は接種直前まで何番目か分からないという。

 同病院の森下福美看護部長は「ふざけているわけではなく、それしか思い付かなかった。患者は神経質になっており、あらかじめ遅い順番と分かると『打てないのでは』と悲観してしまう」と述べた。

そこまでして打ちたいものかとも正直思わないでもないのですが、しかし記事末尾の病院側の言わずもがなのコメントに情熱的な取材の様子が丸わかりって感じで素敵ですね(苦笑)。

全国何千万のワクチンを待望している方々にはいささか冷や水ですけれども、ここで少しばかりワクチンの副作用問題ということも取り上げなければなりません。
まずはワクチン接種後の死亡例というものが相次いで二件報告されたということですが、今のところいずれもワクチン接種と関連ある死亡だとは結論づけられていないことにはご注意ください。
同時に、今のところ関連が無いとも言い切れませんが、いずれにしても高齢に加えて基礎疾患のある患者さんですから、今後もっと接種対象が広がってくるまでこのあたりの安全性の結論は出せないんじゃないかと思いますね。

新型ワクチン、接種後初の死亡も「関連なし」―厚労省(2009年11月13日CBニュース)

 厚生労働省は11月13日、70歳代の男性が新型インフルエンザワクチンの接種後に死亡したと発表した。受託医療機関からの死亡報告は初めてという。厚労省では「持病である慢性呼吸不全の悪化による死亡で、ワクチン接種との関連はない」としているが、念のため因果関係の評価を速やかに行う方針だ。

 厚労省によると、死亡したのは富山県の70歳代の男性で、肺気腫による慢性呼吸不全のためクリニックに通院していた。男性は11日昼に主治医から新型ワクチンを接種され、その後特に変わった様子はなかったが、12日夜に死亡しているのを家族が発見した。その後、主治医と警察の検視で、急性呼吸不全による死亡と診断された。

 厚労省の担当者は、男性が接種されたワクチンは、推計でこれまでに約48万人に接種したが、副反応報告の頻度は他のワクチンとほぼ同じと説明。男性の持病が重症だったことからも、主治医の報告と同様、「もともとの病気が原因の死亡で、ワクチンとの関連はない」としている。
 ただ、基礎疾患を有する人に対するワクチン接種が既に始まっており、今後は基礎疾患による病状や死亡も含めて報告されるため、厚労省は念のため、この事例の因果関係やワクチン接種の安全性の評価を行い、情報提供するとしている。

新型インフル:ワクチン接種後2例目の死者 80代男性(2009年11月16日毎日新聞)

 厚生労働省は16日、長野県の80代男性が、新型インフルエンザワクチン接種の4日後に死亡したと発表した。ワクチン接種後の死亡報告は2例目。男性は肺気腫の基礎疾患があり、主治医は「接種と死亡の因果関係は評価不能」と報告した。今後、専門家が精査し、ワクチンの安全性を改めて評価する。

 厚労省によると、男性は11日午後に接種した。13日午後から家族に「動くのが苦しい」と訴え、15日未明にトイレを済ませたところで転倒。意識はあり、家族がベッドに運んだが、同日朝に死亡していた。死因は呼吸不全という。男性は接種の2日前に頭痛があったが、主治医が検温や肺炎の検査をして、接種可能と判断していた。

 使われたワクチンは阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)製で、同じ製品番号のワクチンは約13万7000本(約27万回分)が出荷済み。15日までの副作用報告は入院相当1件を含む19件で、報告頻度は他製品と同程度という。【清水健二】

新型ワクチンの副作用に関しては先頃「ショック症状などの比較的重い症状が出たのは10万人に2人の割合」という厚労省の発表が出ていましたけれども、従来の季節性インフルエンザワクチンより10倍高いということをどう評価するかですよね。
確かに報告する側が通常よりも熱心に報告しているということで実際の発生率としてはおそらく季節性のワクチンと大差ない程度だろうと言う推測もその通りなのでしょうが、問題は今回の場合国が音頭を取って全国的・大々的にやっているわけですから、発生実数としては今までよりも多く出てくる可能性が高いだろうとは想像できるわけです。
政府も先頃新型ワクチンの補償問題に関する法案を国会に提出したと報じられていますけれども、今後の報道如何によってはひと頃からすると最近沈静化していたワクチン接種渦騒動がまたぞろ再燃してくるかも知れず、国民は安易なアジテーションに踊らされることなく過剰なゼロリスク追及の弊害も廃した上で冷静に判断し行動することが重要ですよね。

ワクチン絡みの騒動と言えば例の接種回数の問題というものも避けて通るわけにはいきませんが、結局のところ成人は皆が一回接種ということで統一するようですね。
この件を巡ってもまたいろいろと興味深い話があるようですが、まずは記事から紹介してみましょう。

新型インフルエンザ:ワクチン2回接種「抗体上乗せなし」--厚労省(2009年11月11日毎日新聞)

 厚生労働省は11日、新型インフルエンザの国産ワクチン接種の効果について「2回接種することによる抗体の上乗せは認められなかった」という結果を公表した。有識者意見交換会を開き、当面2回接種することになっている基礎疾患者などの接種回数を検討する。

 治験は健康な成人200人に対して、通常量(15マイクログラム)を皮下注射した。2回目を追加接種することによる効果を調べた結果、血液中で免疫として働く抗体の量が4倍以上上昇するなどワクチンの有効性を示す基準を満たした人が98人中70人(71・4%)だった。1回の接種では72人(73・5%)が基準を満たしており、2回目の接種による効果の大幅な上昇はみられなかったという。しかし、いずれもワクチンとして有効と評価される国際基準の40%を上回っていた。

 一方、倍の量(30マイクログラム)で比較しても、1回接種で100人中87人(87%)、2回接種で88人(88%)で大きな差はなかった。接種後の副作用は1回目と2回目とは同等だったという。【関東晋慈】

妊婦、「基礎疾患」なども1回接種に―新型ワクチン(2009年11月11日CBニュース)

 長妻昭厚生労働相は11月11日の記者会見で、新型インフルエンザワクチンの接種回数について、これまで1回接種としていた「健康な成人」だけでなく、「妊婦」や「基礎疾患を有する人」、「高齢者」を含め、成人は原則1回接種にすると発表した。中高生については、12月中に判明する1回接種の臨床試験の結果を踏まえて判断する。これまで厚労省が提示していた接種人数やスケジュールは、妊婦などの2回接種が前提で、今回の見直しを受けての新しいスケジュールなどは、週明けにも示すという。

 長妻厚労相は会見で、今回の接種回数の見直しは、国立病院機構4病院で健康な成人200人を対象に実施した2回接種の臨床試験の結果が判明し、1回接種から「上乗せ」が認められなかったためと説明。妊婦については、米国での臨床試験で、健康な成人と同様の免疫反応があったとの情報が新たに得られたことも踏まえ、1回接種とした。ただ、妊婦を対象にした1回接種の臨床試験の結果が12月中旬に分かるため、これを受けて1回接種でよいかどうかを検討するとした。

 「基礎疾患を有する人」については、糖尿病など免疫反応が抑制されていない場合は、健康な成人と免疫反応に差がないと考えられるため、1回接種とする。白血病などで著しく免疫反応が抑制されている人については、個別に医師と相談の上、2回接種でも差し支えないとした。
 高齢者については、これまでの季節性インフルエンザでの知見や、「基礎疾患を有する人」で免疫反応が抑制されていない人との整合性などを考慮し、1回接種とした。

■中高生は臨床試験結果見て結論
 一方、「中高生に相当する年齢の人」については、従来通り2回接種が原則だが、12月中に判明する1回接種の臨床試験の結果を踏まえて、1回接種にするかどうかを判断するとした。これについては、妊婦を対象にした臨床試験と結果が分かる時期がほぼ同じだが、長妻厚労相は、妊婦は2回目接種が予定されている時期が早く、臨床試験の結果が出るのと前後するため、早期に判断する必要があったと説明。中高生の接種は、従来のスケジュールでは1回目でも年明けになるため、「12月中に出る結果を見て判断しても、接種の時期とはかぶらない」とした。

長妻大臣(というより、厚労省の描いたシナリオでしょうか?)によれば、国立病院機構による健康な成人を対象とした臨床試験の結果が出た結果、一回接種と比べて二回接種で特別の上乗せ効果がなかったということが判明した、故に成人は全て一回接種とします、小児はまだはっきりしたデータがないので今後出てくるデータを見て検討しますと言うものです
一見して非常にクリアーな論理に裏打ちされた科学的根拠に基づいたもっともな話のように見えるのですが、よく見てみますと相変わらず妊婦は海外のデータ(当然国産ワクチンとは異なります)が根拠であったり、有病者などはデータに基づかない推測であったりと、一体足立政務官に突っ込まれたところはどうなったの?と思うような話です。
そこで先日も紹介しました接種回数絡みの足立政務官らの議論の流れなどももう一度振り返っていただきながら、例によって例の如くネット上での反応というものを見てみましょう。

153 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/11(水) 22:53:42 ID:ta3z0MhS0
>>152

> 国立病院機構4病院で健康な成人200人を対象に実施した2回接種の臨床試験の結果が判明し

結果が判明したのは9月末なんだが、こじつけ連続www

155 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/11(水) 23:18:26 ID:8+1/UjPR0

>12月中に出る結果を見て判断しても、接種の時期とはかぶらない

必要ワクチン量を申請する医療機関のことは全く考慮していないようです

160 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/12(木) 07:58:05 ID:D3FCsyzk0
10月中旬の専門家会議の時点で、健康成人200人では1回接種が2回接種と同等だったので、
基礎疾患持ちも高齢者も含めて成人は1回接種で良いだろうと結論づけていたはず。
それを足立政務官が、健康成人のデータはあくまでも健康成人のデータであり、
それを基礎疾患持ちや高齢者に適応できるのかのデータがない、といってひっくり返した。
ところが、今回も根拠となったのは結局のところ健康成人のデータのみのようだ。
これについて、足立政務官の意見はどう反映されたのか?
データをひっくり返すもの政治判断、ひっくり返したデータをまた拾ってくるのも政治判断か?

まあ、厚生省の仕事は、一人一人の発症率・重症化率を抑えるのか目的でなく、国民全体の発症率・
重症化率を抑えるのが目的だから、1回接種で広く浅く接種になるのは、当たり前だけどね。
素人でも分かるこの結論を導き出すのに、1ヶ月も現場をイライラさせている

いろいろと関係者の皆さんにも言いたいことはあったのでしょうが、結局あれだけ大騒ぎして一から議論をひっくり返したような話だった割には大山鳴動して鼠一匹と言いますか、いささか龍頭蛇尾な結論に至ったのかなという印象は拭えないところです。
科学的な態度でデータを一から再検討してみましたというならそれはそれでいいのですが、この場合政治家の仕事としては拙速によるリスクも全て飲み込んだ上での断固たる決断というものではなかったかなという気はするところで、政権交代直後ということを割り引いてもどうも求められている決断が遅かったなとは感じましたね。
別にいつもの調子で勝手に話を進めていた厚労省官僚の肩を持つつもりは全くないのですが、トップの長妻大臣は医療の素人でこうした場合には役に立たない、それを補佐する立場にある医師出身の足立政務官は政治家としての正しさよりも医師、科学者としての「正しさ」を優先させた、結果としていたずらに問題を先送りするだけに終わったことは今後を考えると一つの不安要素でした。

まあしかし、これも全て将来予想される強毒型流行へ向けての予行演習であるくらいに考えておけば、政府の行動の遅れからマスコミや社会の過剰反応なども含めて、今の日本はかつてないほどのペースで危機管理の経験値をためまくっていると良い方にも解釈できるわけですよね。
問題はそのころにはまた政権交代で全てをリセットしてレベル1から出直しになりました、なんて話が決して少なからぬ確率で起こりそうなことなんですが(苦笑)。

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2009年11月16日 (月)

国民目線で行われる診療報酬改定作業

先日こういう記事が出ていましたので紹介してみますが、一応申し添えておきますと信濃毎日新聞はあの毎日新聞とは関係ない長野県の地方紙ですのでお間違えなきように願います。

診療報酬 格差の是正に力点を (2009年11月14日信濃毎日新聞)

 政権交代により診療報酬を改定する道筋にも変化が起きている。

 その一つが中央社会保険医療協議会(中医協)の人事である。委員にはこれまで日本医師会(日医)が推薦する3人の枠があった。長妻昭厚生労働相はこの枠をなくし、地域の医師会幹部と大学の医学部長を指名した。

 診療報酬を決める過程にも変化が見られる。来年度予算概算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」は、診療報酬にもメスを入れた。

 診療報酬は、公的医療保険から病院や診療所に支払われる医療行為の公定価格で、ほぼ2年ごとに見直される。個々の診療行為の報酬額を議論するのが中医協。厚生労働相の諮問機関である。

 開業医中心とされる日医は、長年自民党を支持してきた。その影響力を行使して、診療報酬が開業医に有利に配分されてきた面は否めない。病院勤務医の待遇改善を遅らせる一因ともなってきた。

 “重し”が取れたいま、診療報酬を根本から見直す好機である。バランスの取れた報酬体系に組み直して、地域の医療態勢の立て直しにつなげたい。

 事業仕分けでは、格差の是正を求める意見が相次いだ。その最たるものが、勤務医と開業医の収入の差である。

 前回の改定でも勤務医対策は焦点だった。勤務医への配分を手厚くするため、開業医の再診料を削る案が出たものの、日医の反発で見送られ中途半端に終わった。

 勤務医は当直や夜間の呼び出しなど厳しい労働環境にあって、年収は開業医の6割弱しかない。

 長妻厚労相は勤務医の待遇改善に力を入れる考えだ。腰を据えた取り組みを求めたい。

 収入の格差は診療科間にもある。小児科、産科、外科、救急など医師不足が深刻になっている診療科に重点配分して、激務に見合った報酬を用意すべきだ。

 拠点病院も、かかりつけ医も、ともに地域に欠かせない存在である。両者の役割分担と連携が無理なく取れるよう、報酬の配分にきめ細かな目配りが要る。

 事業仕分けではさまざまな意見が出た。安い後発薬「ジェネリック医薬品」が出ている先発薬の価格を、後発薬並みに引き下げてはどうか-。入院したときの食費、居住費の負担額を見直すべきではないか-。医療の質や患者の自己負担にはね返る問題だ。

 見直しの方向を決めるのは中医協である。患者の視点を忘れずに、議論を進めてもらいたい。

しかし、総選挙前には診療報酬削減はもう限界だとか言っていた話が、いつの間にか格差是正と言い換えられるようになっているんですね(苦笑)。
いずれにしても診療報酬改定の議論が本格化してきましたが、今回は記事中にもありますような中医協の改革や例によって例の如くな財務省からの縛りに加えて、例の行政刷新会議による「事業仕分け」の方からもいろいろと横やりが入っていることで、なかなか議論が錯綜したことになっているようですね。
この事業仕分け人という人々もなかなか背後関係を見てみると彼らの言う「国民目線で」という言葉の意味とも絡めて非常に興味深いのですが、議論の内容もなかなか香ばし…もとい、興味深いことになっているようで、医療関係の議論から幾つか抜き出してみますとこんな大胆なやり取りが交わされているようですね。

行政刷新会議「事業仕分け」評価者のコメント「事業番号2-4 診療報酬の配分(勤務医対策等)」より抜粋

整形外科、眼科、耳鼻科、皮膚科の点数を下げ、産婦人科、小児科、救急医療の点数を上げるべき。開業医の点数を下げ、勤務医に合わせて欲しい。
●再診料、特定疾患療養管理料の診療所優遇を廃止すべき。
報酬の平準化、開業医の過剰投資の問題など、保険料でまかなう国民の負担も考えるべき。
医師の人件費カットは医師充足後にすべき。総合診療科の評価の引上げ。医師優遇税制の廃止。

WGの評価結果
診療報酬の配分(勤務医対策等)
見直し
(廃止0名 自治体/民間0名 見直しは行わない0名
見直しを行う16名:うち
ア 公務員人件費・デフレの反映8名
収入が高い診療科の見直し14名
開業医・勤務医の平準化13名
エ その他5名)

とりまとめコメント
全員の意見が一致したため、「見直しを行う」を結論とする。
見直しの例として、「収入が高い診療科の見直し」「開業医・勤務医の平準化」は、評価者の圧倒的な支持があったため、第2WG の結論とする。

行政刷新会議「事業仕分け」評価者のコメント「事業番号2-5後発医薬品のある先発品などの薬価の見直し」より抜粋

●医療業界は全体的に閉鎖的。健全な市場形成に向け取り組むべき。
●処方された薬を全て保険適用にすべきではなく、数量の制限、金額の制限を導入すべき。
●薬剤の先発品を後発品価格まで下げることが望ましい。
国民目線が欠如している。安全な薬を安価で提供すべき。医師・薬剤師が本人に説明し選ばせることも必要。国からももっと情報提供が必要。
市販品類似薬は保険対象外とすべき。単価比較をすれば、市販品の方が安くなるデータもある。材料の内外価格差も同様。

後発医薬品のある先発品などの薬価の見直し
見直し
(廃止0名 自治体/民間0名 見直しを行わない0名
見直し15名
先発品を後発品薬価を目指して見直し 13名
イ 医療材料の内外価格差解消 12名
ウ 調整幅2%の縮小 9名
市販品類似薬は保険外 11名
オ その他 3名)

とりまとめコメント
アの先発品薬価を後発品薬価を目指して見直すことについては当WGの結論としたい。但し、保険適用範囲をジェネリック価格に絞るべきという意見と、一般名処方を原則として後発品シェア拡大の為の情報提供を進めるべきという意見の双方が出ている。いずれにしても、トータルの薬価を大幅に削るという方向性で全体のコンセンサスは取れた。

見直しとか平準化とか言いますけれども、要するにもう十分に低いから引き上げようというのではなく、未だに高いから低い方にあわせて引き下げようと言う話ばかりが並んでいるというころですよね(苦笑)。
この結論に関していろいろと意見はあるかと思うのですが、まずはここでの結論として診療報酬削減方針はもう限界などという総選挙前にさんざん連呼されていたような話は全く出ていない、その代わりに平準化、優遇の廃止といった名目での切り下げ論が非常に目立っているという点は先の記事の論点とも共通するところがありますね。
薬価見直しの論調などを見てもそうですけれども、国にしても国民にしても「安ければ安いほど良い」というのが本音でしょうから、とりあえず「国民目線」という点では予定通りに事が運ばれているという風に解釈しておくべきだと思いますが、ネット上の反応はどうでしょうか。

478 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/13(金) 00:21:28 ID:qQ+BjaNC0
>>472

● 国民目線が欠如している。安全な薬を安価で提供すべき。医師・薬剤師が本人に説明し選ば
せることも必要。国からももっと情報提供が必要。

 こいつら、Ca拮抗薬もARBもACEもβブロも利尿薬も、み~んな『血圧のくすり』で、患者が
自由に選べばいいって思ってるんぢゃないだろうな。

 『医師・薬剤師が本人に説明し選ばせる』ってのはある意味正論かも知れんが、そのconsult
に要する人件費を正当に評価すりゃあ、たぶん、医療費総額は高くなると思うぞ。

479 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/13(金) 00:40:07 ID:20t82yX30
ありふれた病気とか安い検査が保険で、レアな疾患とか高価な検査が自費じゃないのか。
保険という性質的に。

そうじゃなければ、コントロール不良のDM患者でさえPET希望だわ。

480 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/13(金) 02:10:28 ID:8SQiW9wq0
結局、医療費の負担を抑制したい保険者(国など)と医療サービスを安価で
たくさん受けたいという被保険者(国民)が話し合って決める問題なのだがな。
保険者が、国民に保険の対象をしぼると説明すればよい話。
それをすることなく、医者が必要のない薬や検査をして暴利を貪っていると
逆ギレするから話がややこしくなる。

こうした議論を受けて、切り捨てられる側からは早速大いに反発の声が挙がっているようですが当面それは置いておくとしても、興味深いのはこの国民目線での診療報酬改定という路線がかねて財務省の進めるものと軌を一にしているように見えることです。
元々予算編成に反映させるための仕分けですから当たり前と言えば当たり前の話なのですが、かねて医療費を削り込みたい財務省が仕分け人の鶴の一声を存分に活用しているという側面もあるようで、ただでさえ財布を握って強大な権限を持つ財務省が国民目線というこの上ない後ろ盾を得たわけですから、これは活用しなければ馬鹿だと言う話ですよね。

診療報酬改定、攻防が本格化 財務省、2~3%下げ要求へ (2009年11月15日日経ネット)

 財務省は2010年度予算編成で、公的保険や患者が医療機関に支払う診療報酬を2~3%引き下げるよう求める方針だ。行政刷新会議の事業仕分けで、眼科など収入が高い診療科への配分や薬価の引き下げを求める判断が出たことを重視。同報酬を下げても、医師不足などの課題に対応できると判断した。ただ、引き上げを求めている厚生労働省が反発するのは必至。年内決着に向けた攻防は難航が避けられない。

 診療報酬は最近では2年に一度ずつ改定しており、来年度が改正の年に当たる。医師の技術料である本体部分と薬価などの総枠の増減は、政府が予算編成に合わせて年内に決める。財務省は(1)本体部分は最大でも横ばいに抑制(2)薬価は先発品の見直しなどで2千億円程度引き下げ――を求める方針。診療報酬1%の増減は国費800億円程度に相当する。

クローズアップ2009:聖域、一喝仕分け人 (2009年11月12日毎日新聞)

 10年度予算の概算要求を公開の場で査定する事業仕分けが11日、始まった。国会議員と民間有識者の仕分け人は初日から「廃止」判定を連発。財務省は、過去最大に膨らんだ概算要求の削り込みに仕分け結果を活用する考えだ。これに対し、「密室」での予算編成に慣れていた各省庁からは「1時間の議論で決められるのか」との不満が噴出、巻き返しを図る動きも出ている。どこまで結果を生かせるのか。鳩山政権の「政治主導の予算編成」が試されることになる。

 ◇診療報酬も見直し

 「産科など必要とされている診療科に診療報酬の比重をかけるのは当たり前なのに、なぜできないのか」。医師、病院の収入源となる「診療報酬」の仕分けでは、厚生労働省への厳しい意見が相次いだ

 社会保障関連費が増え続ける中、予算規模を抑えるには「診療報酬の見直しが必要」と財務省は主張。しかし、日本医師会の政治団体は自民党の強力な支持母体で、厚労省と日医は「医療向上には報酬全体の底上げが必要」との方針で足並みをそろえている。自民政権時代、なかなか切り込めずにいた財務省は、仕分けを使って、医療費を抑える流れを作ることを目指した

 一方、医療危機への対応も待ったなしの課題。財務省は、全体の診療報酬を抑えながら「眼科などの報酬を見直し、医師不足の産婦人科や小児科に反映する」考えを提示。これに沿って、診療科間のほか、開業医と勤務医の報酬格差がこの日の議論の中心になった。

 結果は「見直し」。財務省にとって「非常に有意義」(幹部)な結果になった。厚労省幹部は「こんなところでできる話ではない」と批判。日医の中川俊男常任理事も会見で「診療報酬の内容をよく分からずに議論しているのでは」と切り捨てた。対立の背景には、行政刷新会議を予算削減の場に使いたい財務省と、中央社会保険医療協議会という診療報酬の議論の場を奪われたくない厚労省、制度見直しにまで守備範囲を広げたい刷新会議という3者の思惑がある。

 とはいえ診療報酬についての仕分けで、他の事業のように「どうするか」が示されたわけではない。今後、政治的に難しいテーマでは具体的な見直し策を提示できない可能性が高い。【平地修、佐藤丈一】

 ◇財務省主導に「不満」

 民主党は、一般傍聴人も参加した公開の場での議論が透明性向上につながるとして仕分け作業を導入。与党、財務省、要求官庁の水面下の攻防の世界だった予算編成が、一部とはいえ一般公開されることになった。

 予算編成の仕組みの大幅な見直しを迫られた財務省だが、この日の仕分けでは議論をリードする場面が目立った。冒頭、財務省の担当主計官が査定方針を説明すると、その後の作業が事実上、この方針通りに進むこともしばしば。地方自治体への事業移管が決まった国土交通省の下水道事業では、終盤での主計官の「(低コストの)合併浄化槽でも下水道と同程度の機能を果たせる」との発言がほぼそのまま判定結果に盛り込まれた。

 鳩山政権の身内であるはずの山井和則厚労政務官でさえ、「若者自立塾」(3億円)の「廃止」に対し、「ニートから脱出した人たちにとって(塾は)命綱。いとも簡単に廃止と結論が出たことに違和感とショックを感じた」と、財務省ペースでの仕分けに怒りをぶちまけた

 財務省は仕分け結果を「一字一句漏らさず」(大串博志政務官)予算削減に活用する方針。一方、攻め込まれる側の各省庁は、存廃を判断する明確な基準が示されないまま、次々と廃止宣告されることへの不満を隠さない。12月の予算編成に向け、各省の政務三役を巻き込みながら「仕分けはあくまで参考。本番はこれから」(事業官庁幹部)と反撃の構えを見せる。【谷川貴史】

一部に小さな異論の声はあるようですが、いずれにしても民主党政権としては「政治主導」で仕分け人の国民目線を大々的に予算編成の大筋として活用していくつもりであって、そのスタンスは決して医療分野を除外するものではないということですね。
こうなりますと、もともと診療報酬改定の議論を主導する立場であったはずが、例の日医委員外しなどと大騒ぎしている間にいつの間にかメインストリームから外されかかっているとも言われる中医協が面白かろうはずがありません。
医師側委員の「人民裁判でも見ているような気がする」「町のおじさんおばさんが集まって医療の議論をしている」なんて批判は国民目線からすれば「は?その通りですが何か?」というくらいの話だと思いますが、興味深いのは長妻厚労相自身が医療費総額抑制政策を堅持するという財政刷新会議-財務省ラインと軌を一にするコメントを出してきたところにありますかね。

事業仕分け:診療報酬見直し「乱暴だ」--中医協(2009年11月13日毎日新聞)

 事業仕分けで、診療報酬の総額抑制基調が示されたことに対し、診療報酬改定を議論する中央社会保険医療協議会(中医協)は13日午前、大荒れとなった。頭越しの結論に、「中医協の議論を全く無視して、かなり乱暴だ」などと批判的な意見が相次ぎ、行政刷新会議に「意見書」を提出する寸前までいった。

 11日の事業仕分けでは、診療報酬を抑えつつ「病院と診療所(開業医)の配分を見直す」と判定された。これには医師の委員らから、「人民裁判でも見ているような気がする」「町のおじさんおばさんが集まって医療の議論をしている」との批判が噴出した。

 複数の委員は、意見書の提出を主張した。結局、この日は見送ったものの、長妻昭厚生労働相は「安易な妥協は決裂への道。大いに議論を」と語った。ただ、13日の記者会見で長妻氏は、10年度の診療報酬改定について「できる限りネット(総額)での上昇幅は抑える」と述べた。

かねて長妻大臣と厚労省官僚との間はあまりうまくいっていないのではとも囁かれているようですけれども、厚労省が診療報酬は引き上げなければ無理だと主張する一方で厚労相は引き上げは抑えると言う、どうもこのあたりに省内の意思統一はどうなっているのかとも疑問に思えてくる話ではあります。
そもそも診療報酬上げの議論の発端となった医療崩壊云々はどうなったんだという意見もあるかも知れませんが、医療従事者を含めて国民の圧倒的信託を受けて発足した民主党政権と国民目線で財政を考える行政刷新会議が揃ってこういう結論になっているわけですから、国民の許容する範囲の負担で応分の医療を行っていくのが医療従事者に求められるところだと思いますね。
いくら製作者側が「俺の作ったこの皿には100万円の値打ちがあるんだ!」と主張したところで市場が100円の値付けしかしなければそれが社会的な値打ちだと言うことですし、その評価を承知した上で敢えて売れない皿に100万円のコストをかけると言うのであれば、それは既に商売とは全く別次元の話で趣味の領域と言うべきものです。
ワンコインでマクドナルドならそれなりに楽しめるかも知れないが高級フレンチは無理であるのも当たり前のことで、医療も社会経済と無縁でない以上はいつまでも高級店の厨房にいたころを懐かしんでいるのでなく、ファーストフード店なりの創意工夫をこらしていく経済観念というものが現代の医療人には社会的に要求されているのだと言うことを、そろそろ理解しなければなりません。

いずれにしても国民目線を標榜する仕分け人と財務省、そして政権の意向を反映しているだろう厚労相がタッグを組んで診療報酬引き上げ待望論に待ったをかけた形になったわけですから、こうなりますと昨今ようやく「もしかして医療ってヤバイのでは…?」と診療報酬削減政策に異論を呈し始めた気配があったマスコミ諸社がどうコメントするかが注目されます。
冒頭の記事にあるように大本営発表そのままという内容を伝えるのか、あるいは今まで陰に日向に下支えしてきた民主党の意向に異を唱える路線を敢えて突き進むのか、そちらの方が面白いようにも思われるのですが。

医薬品など患者負担増も 社会保障抑制に逆戻りか(2009年11月12日中国新聞)

 診療報酬や医療の効率化が取り上げられた行政刷新会議の第2作業グループでは、湿布やうがい薬など市販されている医薬品は医療機関で処方された場合でも保険を適用しない方向が打ち出されるなど、患者負担増につながる判定も示された。

 医療費削減を目指す財務省の主張に賛同する意見が相次ぎ、社会保障費抑制路線に逆戻りしたかのような様相となった。

 薬価の見直しでは、湿布などを市販品で買った場合は全額自己負担なのに対し、医師に処方された場合は3割など一部負担で済む点を財務省が指摘。こうした市販品の類似薬は保険給付の対象外とするよう提案すると、多くの仕分け人が同調した。ただ、具体的な品目までは決まらず、今後の火種になりそう。

 このほか入院時の食費・居住費も「保険給付の額を減らすべきだ」などの意見が出され、「見直し」と判定。ある厚労省幹部は「(医療費削減を進めた)小泉改革以来の荒っぽさだ」と吐き捨てるように言った

 ただ、一方では国民の利益につながる無駄や不正への切り込みも。医療機関や薬局に支払われる診療報酬を審査する厚労省の外郭2団体については「審査の手数料が高すぎる」などと統合を要請した。

 整骨院や接骨院の柔道整復師をめぐっては、1回の治療で多くの部位の治療費を架空請求するなどの不正が問題になっていることから、保険給付の水準引き下げなどが議論され、「見直し」と判定された。

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2009年11月15日 (日)

今日のぐり:出石蕎麦その一「官兵衛」&「近又」

本日はふたたびブリネタを取り上げてみますけれども、先頃こういう調査があったそうです。

「ヒトラーはサッカー代表監督」「日本は核使用国」 英子ども調査(2009年11月7日AFP)

英国の子どもの20人に1人が、第2次世界大戦中のナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)は「サッカーのドイツ代表チームの監督」で、6%が「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)は大戦終結の祝賀式典」だと思っているという結果が、最近の調査で明らかになった。

 また5人に1人はヒトラーの右腕だったナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)と、ナチスから逃れた隠れ家で『アンネの日記(Diary of Anne Frank)』を書いたユダヤ人少女、アンネ・フランク(Anne Frank)との区別がついていなかった

 質問は9~15歳まで2000人の子どもたちを対象に多項選択式で行われ、欧州の多くの国で第1次大戦終結の日とされる11月11日(休戦協定の締結日)を前に発表された。

 今回浮き彫りになったのは、二つの世界大戦について大半の子どもは基本的な知識はもっているものの、なかには少数だが、まったくなにも知らない子どもがいるという点だ。

 ヒトラーに関する質問では、77%の子どもが「ナチスの党首」という回答を選んだが、一方で13.5%が「1650年の重力の発見者」を、7%が「サッカーのドイツ代表監督」を選んだ。

 ゲッベルスについては61%が名前を知っていたが、21%が「屋根裏部屋で日記を書いた有名なユダヤ人」という回答を選び、14%が「第2次大戦開戦時の英国の国防相」を選んだ。

 また85%が「ホロコースト」とは何かを正しく回答した一方で、6%は「第2次世界大戦終結の祝典」という選択肢を選び、70%がアウシュビッツ(Auschwitz)は強制収容所だと正しく認識している一方で、15%は「第2次世界大戦を素材にしたテーマパーク」という回答を選んだ。

 さらに世界で初めて核兵器を使用した国を選ぶ質問でも混乱がみられ、41%が米国と正答した一方で、被爆国であるほうの日本を31%が選んだ。またドイツを選んだ回答も19%あった。

 結果を発表した退役軍人のための慈善団体アースキン(Erskine)のジム・パントン(Jim Panton)少佐は「今回の調査の回答のなかには、衝撃を受けるものも少なくなかった。わが英国の将来を担う子どもたちの歴史学習を支援する必要がある」と語った。

 調査の全結果は同団体のウェブサイトで見ることができる。

まあしかし、他項選択式の設問となりますと知らないことは間違っている選択肢を選ぶしかないわけですから、こればかりは敢えてひねりすぎの選択肢を用意した方も共犯という言い方も出来るでしょう。
この報道を受けてのネットでの反応がこちらですが、さすがブリネタにご執心となれば読者層の見方も少しばかりひねりが利いているようですね。

188 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 21:50:14 ID:???
>>184

>また85%が「ホロコースト」とは何かを正しく回答した一方で、6%は「第2次世界大戦終結の祝典」という
>選択肢を選び、70%がアウシュビッツ(Auschwitz)は強制収容所だと正しく認識している一方で、
>15%は「第2次世界大戦を素材にしたテーマパーク」という回答を選んだ。

アメリカ人の子どもだったら「やっぱりアメリカ人はバカだなあ」という感想になるけど、
イギリス人の子どもとなると正解を知りつつあえてそう回答したという疑念を払拭できない。

190 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 21:54:21 ID:???
そうした教育を幼少の頃から積み重ねることで、純真な少年少女たちは日々立派なブリ人へと成長してゆくのです

193 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 22:10:55 ID:???
どんなに幼くても油断しちゃ駄目だ。ブリの子はブリなのだから。

ちなみにブリは出世魚ですから、稚魚の間はモジャコなどと呼ばれるようですけれどもねって、そんな話でもありませんか(笑)。
さて、これが並みの国であればここまでのネタで済んでいたところなんですが、天下のブリともなるとネタのような話の中に真実が紛れ込んでいる場合がありますから注意が必要です。

ムソリーニは英スパイだった=ファシストに意外な過去(2009年10月14日時事ドットコム)

 英紙ガーディアン(電子版)は14日、第2次大戦中のイタリアの独裁者ムソリーニが一時期、英国のスパイとして働いており、報酬として週100ポンドを受け取っていたと報じた。ケンブリッジ大の歴史家ピーター・マートランド博士の研究で明らかになった。
 同紙によると、第1次大戦末期の1917年秋、革命を受け戦線を離脱したロシアにイタリアが続くことを恐れた英国は、当時ジャーナリストだったムソリーニに接近。報酬を与えムソリーニ編集の伊紙「ポポロディタリア」で戦意高揚の報道を続けさせた。当時の100ポンドは、現在の6000ポンド(約85万円)に相当するという。

まさかとも思えるような話ですけれども、そういうつながりを考えてみますと「ヘタリア」などと揶揄される後のイタリア軍の戦意の低さも納得できない話でもないような?!
しかしこうした伝統はどうやらその後も連綿と続いているらしいというのですから、さすがというべきなんでしょうかね。

サッチャー氏長男が共謀?=赤道ギニアのクーデター未遂事件(2009年11月6日時事ドットコム)

【ロンドン時事】2004年に赤道ギニアで起きたクーデター未遂事件を首謀し、同国で服役していた英国人雇い兵サイモン・マン受刑者がこのほど、恩赦により釈放され、英国に帰国した。サッチャー元英首相の長男マーク・サッチャー氏と「共謀」したと主張するマン氏は、サッチャー氏も裁きを受けるべきだとして捜査協力を申し出ており、サッチャー氏の関与が改めて焦点となっている。
 マン氏は石油利権目当てに赤道ギニアの政権転覆を謀ったとして逮捕され、同国で昨年、禁固34年の判決を受けた。しかし、ヌゲマ大統領は11月初め、「人道的見地」から恩赦を決め、マン氏は4日に帰国。英警察は、事件が英国内で企てられた可能性があるとして同氏から後日事情聴取する構えだ。
 マン氏はサッチャー氏が計画立案や資金調達に関与したとかねてから主張している。帰国後、「サッチャー氏や他の共犯者も裁きに掛けられるよう強く望む。(裁判になった場合)喜んで法廷で証言する」と表明した。
 これに対し、サッチャー氏は友人を通じ、事件への直接の関与を否定。ただ「(必要があれば)捜査に全面協力する」と述べている。

すべてはネタでしたという可能性も十分ある話とも思えますし、実際そうであったのかとも思える話でもありますし、何にしろ彼らに関しては常に予想の最悪を想像しておいて間違いはありません。
そう考えますと、案外皆さんの身近なところにもブリの魔の手が忍び寄っているかも知れないですよね。

今日のぐり:出石蕎麦その一「官兵衛」&「近又」

新蕎麦の季節真っ盛りとなってきました。
今の時代でこそヘルシー健康食などと持て囃され、特にこの時期には全国名産地で色々とイベントまで繰り広げられるようになってきましたけれども、もともとは昔から「蕎麦自慢は自慢にならぬ」「蕎麦の自慢はお里が知れる」なんて言葉がありました。
蕎麦と言えば痩せ地でも育つということで、江戸時代あたりに蕎麦ブームが起こって「粋な食べ物」という認識が定着するまでは飢饉時向けの救荒作物として認識されていた、要するに蕎麦の名産地と言えばろくに米もとれない貧しい地域という意味になってしまうわけですから、これはあまり自慢になることではなかったというのも歴史的事実ではあるのでしょう。
しかし逆に言えば蕎麦の名産地と言えば田舎であるということですから、今のような地方の村おこしが叫ばれる時代にはもってこいの特産品ということも言えるわけですよね。

でいし…もとい、出石蕎麦の歴史と言うのもなかなか面白くて、最近では唐突に漫画の主役になってしまったりして妙に名前が売れてしまった仙石氏が国替で信州からこちらに移ってきた際に彼の地の名物であった蕎麦を蕎麦職人共々こちらに持ってきたということですから、言うなれば作られた名物という言い方も出来るわけです。
蕎麦としての特徴としては小皿に盛って出される「皿蕎麦」という形態を取られていること、一番粉のみでなく全粒を挽き込んだ蕎麦に様々な薬味を絡めて食べることなどが挙げられていますけれども、もちろんこのあたりも店毎にいろいろな工夫をこらしているわけですね。
とにかくこんな小さな田舎町に何十軒もの蕎麦屋が集中している、しかもどの店に入っても外れなくそれぞれにうまいというのですから、まさに蕎麦好きにとっては「地上の楽園とはこのようなところであったか」と恍惚の一時を過ごせるという夢のような土地柄ではあります。

官兵衛
いかにも観光地然とした「お食事とおみやげ」系のお店が建ち並ぶ中で、ここは見るからにストレートな「蕎麦屋」という感じの店構えがかえって異彩を放っていますね。
間口が狭く小さな店に思えるのですが、入ってみると奥に結構広がっていて意外に広いのかという意外感があり、比較的新しいらしい店構えのせいかトイレなども清潔感があってよい印象です。
ここは定番の皿そばの他にいずれも蕎麦粉100%で官兵衛そばと田舎そばというものがあり、これら全部を試してみることにしました。

官兵衛そばというのはこのあたりでは珍しいいわゆる更級系に近いもののようですが、非常にさわやかな新蕎麦らしい甘みが楽しめる一品で、蕎麦好きなら誰でも顔が綻ぼうというものです。
これに対して田舎そばの方はいかにも蕎麦殻までひき込んだという田舎蕎麦らしい外見なのですが、驚いたことにこの粉にしてこのなめらかな食感、この上品な味とは良い意味で期待を裏切られましたね。
この田舎そばは「塩でもどうぞ」と言われたので少し試してみたのですが、昨今こういうのも取り入れている店が結構あるようですし幾らか試してみるのも面白いとは思いますけれども、個人的な好みで言えばこれで蕎麦一枚食えと言われたらちょっとね…というところでしょうか。
皿そばの方はこれらいずれとも違うもののようで少し繋ぎを混ぜているのでしょうか、非常になめらかな舌触りが好印象で、これはこれで十分うまい蕎麦だなと言う感じですね。

薬味で面白いなと思ったのは自分はわさびは使わないのですが、「わさびに砂糖を一匙加えると辛さが引き立つ」ということで実際テーブルの上に砂糖が用意してあって、いろいろと薬味にはこだわるという出石蕎麦の中でもこういう独創的な試みというのはかなり意外性があるなと思いますね。
ひとつ気になったのは開店直後だったので蕎麦湯には全く期待していなかったのですが、出てきたものを見るとどうも蕎麦粉を溶いているのでしょうか、確かにこういうのを出す店も結構ありますけれども、ここまで粉っぽいほどの蕎麦湯というのは本来的な意味からするとどうなんでしょうね?
それと別に文句をつけるというほどのものでもないんですが、ここのお茶のちょっと不自然なくらいの緑色加減は抹茶も入っているのか知りませんが、せっかくの蕎麦に合わせるにはいささか味も香りもきついのかなという印象で、すっきり蕎麦茶でも出してくれればありがたいのにと思わないでもありませんでしたね。

皿蕎麦というのも確かに伝統なんでしょうが、純粋に蕎麦の味から考えると表面積が増えて蕎麦が乾きやすい、その割に底は水がたまってふやけやすいと、純粋に蕎麦の味を楽しみたい人間にはいささか余計なギミックとも思えてしまうものでもあるのですね。
もう少し吸水性の良い皿でも使ってみるなりもう一工夫欲しいなと思われるところなのですが、こちらのように皿蕎麦のみならずちゃんと当たり前に盛られた蕎麦を用意していただいているのはうれしいもので、しかもその蕎麦がなかなかいけると言うのですからありがたいことだと思いますね。
なお、ネットの情報では9時開店のようになっているのですが、実際は10時からの開店なんでしょうか、これは朝一で蕎麦を食いに出かけようという方には少しばかり注意がいるところだと思います。

近又
出石の街中のちょうど中程、古風な時計台(正確には辰鼓楼、と言うのだそうですが)にもほど近い場所にあるこちらは、もともと立ち寄るつもりはなかった員数外のお店なのですが、ちょうど前を通りかかった際にふと感じるものがあって立ち寄らせていただきました。
開店から間もない時間帯らしいのですがなかなか雰囲気のある店構えで、店名はどうも「近江屋又兵衛」に由来するようなんですが、こうした表通り沿いにありがちなことに間口の割に中にはいると結構広いお店らしく、座敷が奥にまで続いています。
料理と言えるのは皿そばだけで、あとはちょっとした飲み物くらいしかないという非常に割り切ったメニュー構成なんですが、こういうのも蕎麦処らしくていいと思いますね。

こちらでは敢えて一番粉をではなく二番粉を使っているらしいのですが、いかにも田舎蕎麦風の色調に反して細打ちに仕上げた蕎麦をしゃっきりと茹で上げているという、少しばかり意表をつく蕎麦ですね。
蕎麦というものは外皮に近いところまで挽き込むほど風味も色合いも強くなっていかにもそれらしく仕立てやすいものですが、実際には製粉作業としては質の落ちる部分をわざわざ混入させるわけですから、技術の劣っていた時代ならいざ知らず今の時代にあっては味や食感などはやはり今ひとつということになりがちです。
ところがこちらの蕎麦は田舎風の野暮ったい味を予想していると意外なほどくどくなくあっさり食べられ、この粉にして食感もなかなか洗練されていると来るのですから、これは一度試してみる価値のある蕎麦だと思いますね。
薬味は大根おろし、ネギ、山芋とろろにワサビ、そして生卵と一式ついてきますが、この丸のままの卵というのもこの界隈の特徴なのでしょう、うずらならまだしも鶏卵って蕎麦にはどうよ?と思うようでも、山芋などと混ぜてみますと案外いい食味のアクセントになるのかも知れません。
蕎麦湯は開店後もう少し時間がたってくるとまた味が出てくるのだと思いますけれども、まさしくストレートな茹で汁という感じで、最近は蕎麦湯の味を追求するあまりいろいろと手を加えてくる店もあるなかで、あくまで蕎麦を中心に厨房を回しているのかなと思わせるような味ですね。

印象的なのは親父さん?がやたらと店内を歩き回っていて、あちこちでお客に話しかけているのが何か少しばかり不思議な光景なのですが、総じて店員さんの愛想はよくこんな田舎にもかかわらず(失礼)それなりにトレーニングされているという印象です。
それだけに開店時間が来ているのに完全に準備が整っていないとか、お客が来ているのに客用スペースで内向きの業務をしているだとか、この店だけのことではないんですけれどもいささかダレて見える部分に目が行きがちではありますよね(広い店内なんですから奥の一角を封鎖してやっていれば誰も不満はないはずなのですが…)。
あと気になったのが、これもこの店だけのことではなくこの界隈では一般的なことのようですが、店内のやり取りでは皿の枚数で通している割には注文は一人前五皿単位でしか受け付けていないようで、これは一体皿単位で数えている意味があるのかないのか微妙な気がします。
まあしかし、何と言うことはなく足を踏み入れた店でもこれだけ食べさせてくれるのですから、これはありがたい話だと蕎麦の神様に感謝しなければならないでしょうね。

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2009年11月14日 (土)

もはやそれは伝統芸の領域に?

先日こういう記事が出ていましたが、報道したメディアといい内容といいなかなか興味深い話ですよね。

【ネット】鳩山内閣の高支持率の背景に、拡大する「情報源の世代間ギャップ」(2009年11月10日朝日新聞)

 鳩山内閣発足を受けた新聞社・テレビ局の世論調査では、内閣支持率が軒並み70%を超えた。小泉内閣に次ぐ「歴代2位」という見出しがあふれ、その報道をみて多くの国民や政治家も圧倒的な期待と支持があるように感じたことだろう。

 一方、前回(2009年8月号)のコラムでもとりあげたニコニコ動画上で実施されたアンケートでは、支持25%、不支持36%と、全く異なる結果になっている。

 新内閣が発足した翌日夜11時にすべての動画をストップして回答協力を要請するという方法で、約3分間に約6万人が回答した。マスメディアで結果が報道されることはなかったが、ブログやツイッターなどで一気に広がった。特徴的だったのは支持・不支持について「どちらともいえない」が約4割を占めたことだ。新聞・テレビの熱狂的な報道の中で冷静な対応をみせるネットユーザーの姿が浮かぶ。9割が支持・不支持の態度を明確にしている大手メディアの世論調査の方がむしろ不自然に思えてくる。

 この調査で注目されたのは、「政治に関する情報をどの媒体から多く入手しているか」という設問への回答別支持状況に無視できない違いがあるという分析だ。結果は次の通り。

・「新聞報道」から入手

 →支持37%〉不支持25%

・「TV報道」から入手

 →支持38%〉不支持14%

・「インターネット」から入手

 →支持14%〈不支持56%

 深夜にニコニコ動画を見ているようなネットユーザーでも、政治に関する情報源として新聞・テレビの報道を主にする人と、ネットを主にする人になぜこれほどの大きな違いが出るのかを考えることは価値があろう。

 例えば内閣発足の翌日、ブログ論壇では、鳩山首相が以前から、政権をとったら首相記者会見をフリージャーナリストやネットメディアにも開放すると言っていた約束が実現されなかったことに対して、「最初の公約破り」であるとの批判があふれた。私も当日、ツイッターで「民主党」のリアルタイム検索を行ったが、膨大なエントリーがこの問題に言及していた。個別の閣僚に関しても、期待も失望も、絶賛も酷評も、ごった煮のように流通していた。

 ネットの政治情報も新聞記事が元になっているケースは多い。同時に、ネットでは新聞などの報道内容に対する他人の反応も判断材料になる。それはアルファブロガーとよばれるネット論壇の著名人たちの投稿だったり、ミクシィやツイッターに流れる友人の日記だったりする。ネットのコミュニケーション空間では、新聞やテレビの情報をそのまま信じるのではなく、批判的にみるというフレームが自然に形成されており、それが態度保留という反応をもたらしているのではないだろうか。

 多くの新聞愛読者は購読している1紙しか読まないだろうし、そこに書いてあることが本当と思っている人は多い。新聞は信頼性の高いメディアであるとよくいわれるが、それが批評的に読む力を削いでいるとしたら皮肉である。

 テレビ報道もまた時代の主流に沿った情緒的なムードを増幅する機能がある。読売新聞の継続的な研究では、テレビ視聴時間が長い人ほど、郵政民営化を争点に自民党が大勝した前回の総選挙では自民を支持し、政権交代が争点の今回の総選挙では民主を支持する傾向がみられたそうだ。

◆若年層と高齢層との情報ギャップの顕在化

 情報源の変化についてはさまざまな調査で検証されている。カタカナ言葉の浸透や慣用句の意味の取り違いなどを毎年調査している文化庁「国語に関する世論調査」では、メディアの影響も継続的に測定している。9月に発表された最新の調査レポートでは、「毎日の生活に必要な情報を何から得ているか」という設問について、01年と08年のデータが比較されていた。掲載した図は、01年と08年の比較を年齢別にみたもので、ネットが上昇するのは当然としても、新聞の減少ボリュームがネットの増加分のボリュームと同じくらい大きい。若年層ではその変動がより大きいため、結果的に01年時点よりも情報源に関する世代間ギャップが拡大している。

 新聞記者出身のジャーナリスト佐々木俊尚氏は近著『2011年 新聞・テレビ消滅』(文春新書)のなかで、新聞の抱える問題を「どんどん読者が高齢化し、紙面もそれにあわせて高齢者向けになり、それがさらに若い読者の離反を招くという縮小再生産のスパイラル」と指摘した。文化庁の調査結果をみても、新聞読者は急速に高齢化しているのが現実だろう。若年層は新聞に何が書かれているかわからず、高齢層はネットで何が議論になっているかがわからないというケースが、今後さらに顕在化するだろう。

 電話世論調査(RDD調査)という手法はどうしても高齢者やテレビ・新聞接触率が高い層の構成比が高くなる。鳩山内閣の高支持率は、情報を批評的に読めるネット上のリテラシーの高いグループを把握できていないためではないだろうか。ネットアンケートに表れたような、民主党政権に対して厳しくチェックする人たちの動向も継続的に把握していくべきだろう。(「ジャーナリズム」09年11月号掲載)

   ◇

萩原雅之(はぎはら・まさし)

トランスコスモス株式会社エグゼクティブリサーチャー。

1961年宮崎県生まれ。84年東京大学教育学部卒。日経リサーチなどを経て、99年から約10年間ネットレイティングス代表取締役社長を務める。2009年8月より現職。

格差拡大に貢献してきた側であるところの一般紙にもついにこういう認識が広がってきたということなんでしょうか、しかしそれだったら状況を改善するために黙って努力しろという話なんですけれどもね(苦笑)。
何の情報であれ知っているかどうかだけで人間の出す結論が大いに変わってくるということは大いにあり得る話ですが、逆に情報を持つ側からすればその出し方を操作するだけで容易に他人の考えを支配できるということにつながります。
他人に支配されっぱなしでも不愉快なのでせめて彼らが隠蔽しようとするものを掘り出して白日の下にさらしてみるわけという人々が多いのがネットの世界ですが、これが始めてみますともう出るわ出るわでネタには不自由しないのは良いことですね(苦笑)。

先日9月8日にはマスコミにも大人気の有名医師が五億円の申告漏れ!という記事を毎日新聞が掲載しましたが、わざわざ本人へのインタビューも行うなどなかなかに気合いの入った記事でした。
ところがどうやらこの記事自体が毎日新聞お得意のアレだったらしく、9月28日に当の医師が抗議声明を出すという騒ぎになってしまいます。

新聞報道の虚偽記載に関して(2009年9月28日福島孝徳氏HP)

 先般、某新聞社会面に私の課税に関するひどい記事が掲載されました。私がある医療機器販売会社を恒久的施設として事業体を運営し、法外な所得を得ていたという虚偽の内容です。しかも国税局の調査を受けて指摘されたという『事実誤認と歪曲』の文面です。

1.福島はそのような高額の収入を得ていませんし、申し上げた事もありません。

2.東京国税局からは、いまだ申告漏れとか加算税という指摘はございません。

3.私にはそのような事業体はございません。

 新聞記者の取材に際し、私がすべての点について否定した事を、福島が語ったかのごとく虚偽と誇張の文章を作成し、かつ確定した事実が未だない状況でゴシップ記事を報道された事は非常に許しがたく甚だ遺憾に思います。記事を読まれた国民の方々における私への評価、そして私の人格と尊厳を著しく傷つけるものにほかなりません。
 私は現在、米国の大学教授としてノースカロライナ州を拠点に、世界各国で手術困難な脳外科疾患の患者さんの手術を行っております。日本へは約2ヶ月毎に帰国しまして日本の医療保険制度に従いまして患者さんを助ける事に全力を注いでおります。私は常に正直に、そして誠実に社会に奉仕する姿勢を忠実に守り今日に至っています。また私が行っている日本での手術に於きましては、各病院から「非常勤の一医師」として勤務内容に見合った給与を頂いております。経理につきましては公認会計士に任せております。決して報道にあるような法外な額にはなり得ません。
 一米国永住者として昨年度の申告は全て終了しておりますがこれは記事の内容にあるような「修正申告」ではございません。
 周知の通り、米国に於きましては個人のプライバシーは固く守られております。仮に病院側を調査中であったとしましても事実の確定が未だなされていない状況で、また本人への事情聴取もない状況で国税当局が調査段階の個人情報を第三者にリークするはずはないと信じております。
 専任の公認会計士および関係の方々によりますと、今のところ新聞に書かれたような国税局からの指摘はありません
 また、顧問弁護士より新聞社の方へ抗議書を送付致しました。

これに対して長らく沈黙を守ってきた毎日新聞が10月10日になってようやく捏造報道を認めたということなんですが、それが紙面の片隅にわずかこれだけの文章を載せただけだったというのですから、それは捏造被害にあった本人も「では記事のどこに事実があったんだ」と立腹しようと言うものです。

おわび(2009年10月10日毎日新聞夕刊)

9月8日夕刊「『神の手』医師申告漏れ」の記事で、脳神経外科医の福島孝徳氏に対する税務調査の内容が「福島氏の話で分かった」とあるのは誤りでした。また、見出しに「東京国税局指摘」とありますが、課税処分は出ていません。おわびして訂正します。

毎日新聞社を提訴致しました(2009年10月15日福島孝徳氏HP)

 9月8日付発行毎日新聞夕刊社会面に掲載された私に対する虚偽および事実誤認の報道に対し、毎日新聞社と同社朝比奈豊社長に全面謝罪の交渉を行って参りましたが、同紙10月10日付社会面にお詫びとして小さな記事が掲載されただけで、数々の虚偽の事実については何ら訂正されておりません。私の受けております社会的な被害は甚大であるにも関わらず、同社から誠意有る対応が見られませんので、10月15日に名誉毀損罪で毎日新聞社担当記者とデスクを東京地検に告訴致しました。また、同社ならびに朝比奈豊社長と担当記者に2千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求め、東京地裁に提訴致しました。上記民事訴訟の賠償金は、患者の福祉と医療教育を推進する日本脳神経財団へ寄付させていただくこととしております。

面白いのはこれに対する当の毎日新聞の反応ですが、まずは報道されたものがこちらです。

提訴:米在住の医師、毎日新聞記事巡り(2009年10月16日毎日新聞)

 脳腫瘍(しゅよう)摘出手術の権威として知られる脳神経外科医、福島孝徳(たかのり)・米デューク大教授は15日、東京国税局の税務調査で申告漏れがあると毎日新聞に報じられて名誉を傷付けられたとして、毎日新聞社と記者らを相手取り、計2000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地裁に起こした。記者らに対する名誉棄損容疑の告訴状も東京地検に提出した。

 毎日新聞は9月8日夕刊で、福島氏が日本で06~08年に得た5億数千万円について所得税と消費税の支払いを求められていると報じた。これに対し福島氏側は「記事は事実無根で申告漏れはない。5億数千万円もの所得も得ていない」と主張している。

 毎日新聞は、この記事の一部について誤りを認め、おわび記事を掲載している。

 ◇小泉敬太・毎日新聞東京本社社会部長の話

 福島医師側とは誠実に話し合ってきました。今後は、司法手続きの中で適切に対応します。

相手を激怒させる毎日新聞の誠実という基準もどうなのよと思わされるような話ではありますけれども、面白いのはどうも先のおわび文書というもの、誌面のみでネット上では掲載されていなかったらしいのですね。
ネットリテラシーの高い層にこんなネタを提供してしまうと「また毎日か!」と大騒ぎになるだろうと言う毎日なりの知恵を働かせたということなのかも知れませんが、結果として更なる燎原の大火を呼び込むことになったということなんでしょうか(苦笑)。

先日は英国人女性に対する殺人容疑で潜伏していた容疑者が逮捕されるという一件がありましたが、これに関しても思わぬ香ばしい話題が山積しているようです。
まずはこちらから紹介してみますけれども、今どきフジテレビの番組に出演してこんなことを公言するような方々もさぞや思考力が低下しているんどえはないかと考える人も少なからずいたのではないでしょうか(苦笑)。

フジテレビ報道番組で肉体労働者に対する差別発言か(2009年11月10日ロケットニュース24)

  11月10日に放送されたフジテレビの報道番組『FNNスーパーニュース』で、肉体労働者に対する差別発言があったとしてインターネット掲示板やブログで大きな批判の声があがっている。差別発言があったのは英国人女性リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害し逃亡していた市橋達也容疑者に関する話題のシーン。犯罪心理学者であり『性的攻撃』や『性犯罪の心理』の著者でもある作田明氏

あまりに差別的な発言のため言葉を変えて紹介するが(いくらオブラートに包んでも差別的になってしまうが)、番組中に「単純な作業(仕事)をしていると思考力が低下する」という内容の発言をしたというのだ。これはフジテレビの取材で「市橋達也容疑者は工事の仕事をしていた」と報道したときの発言であり、作田明氏の発言した「単純な作業」は「工事の仕事」を意味することになる。

  これにはインターネットユーザーも激怒。インターネット掲示板では「テレビでこんな事言えばどうなるかとか考えないのか思考力が足りないな」や「こんな事を公共の電波使って言っちゃう学者ってアホすぎ」などの怒りの声があがっているのだ。

  「建設業で家族養ってる立派な会社員も多いだろうにフジテレビ最低」という声もあるが、まさにその通り。仕事のレベルとして事務職と肉体労働に上も下もなく、どちらも日本の社会や家庭を支えている仕事である事に違いはない。肉体労働によって思考能力が低下するという発言は多くの肉体労働者に対して非常に失礼な発言であり、見下している発言でもある。

  もう少し内容を考えてモラルある発言をしてほしいものだが、作田明氏の仕事が単純な作業だったのか、思考力が低下していたのかもしれない。

普段はどちらかというと肉体労働者に厳しい論調が多いとも言われるネット上でこういう非難がわき起こるというのも何かしら興味深いところではありますけれども、ところがこの事件、どうも他にもいろいろと関連事件を引き起こすことになっているようなんですね。
TBSと言えば先日芸能リポーターが全く事件に無関係の一般市民宅に無理矢理押しかけた挙げ句怪我を負わせ傷害容疑で書類送検されたという香ばしい話題がありましたけれども、どうも事件後のTBSの態度というものが「Yが外部スタッフであることや、すでにYとの契約を打ち切ったことなどを理由に「自分たちには関係ない」と知らんぷり」だったんだと言うから恐れ入ります。
TBSという会社がこれほどスタッフに対して手厚く遇するものであるということを承知いただいた上で、まずはこちらのニュースを紹介させていただきましょう。

【市橋容疑者逮捕】送検の際の混乱でTBSの男を公務執行妨害で逮捕(2009年11月12日産経新聞)

 千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人の英会話講師、リンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=が他殺体で見つかった事件で12日午前、市橋達也容疑者(30)が送検される際、千葉県警行徳署周辺で整理に当たっていた警察官の職務を妨害したとして、同署は公務執行妨害の現行犯で、TBS所属の男を逮捕した。

 行徳署によると、男は同日午前11時半ごろ、市橋容疑者が送検される際、警察官の制止を振り切り市橋容疑者を乗せた車に近づいて、公務の執行を妨害したなどとされる。

 同局の関係者によると、男は「みのもんたの朝ズバッ!」のディレクターとの情報があるという。

 男は市橋容疑者送検の取材のため、行徳署の門の脇にいたが、市橋容疑者を乗せたワゴン車が門を出たところで、県警が張っていた規制用のロープを越え、警戒していた警察官の制止を振り切り車を追い掛けた。

 すぐに数人の警察官に取り囲まれたが、男は警察官の手を振りほどき車に接近。数十メートル走ったところで、追い掛けてきた警察官に取り押さえられた。

 現場では、警察官が「公務執行妨害で現逮(現行犯逮捕)だ」「ワッパ(手錠)だ、ワッパかけろ」と叫ぶなど、一時騒然とした雰囲気となった。

逮捕のTBS社員、即日釈放=市橋容疑者送検の現場取材-千葉県警(2009年11月12日時事ドットコム)

 千葉県市川市の県警行徳署で市橋達也容疑者(30)の送検現場を取材していたTBS社員の現行犯逮捕について、同署は12日、「容疑者を乗せた車の前方に立ちふさがり、警備の警察官を突き飛ばすなどしており、悪質と判断した」と説明した。
 同署は同日夜、逃亡の恐れはないとしてこの社員を釈放した。今後も任意で調べるとしている。
 同署によると、公務執行妨害などの容疑で現行犯逮捕されたのは、TBSテレビ情報制作局ディレクターの男性社員(30)。
 社員は同日午前11時半ごろ、行徳署前の路上で警備に当たった警察官を突き飛ばした上、市橋容疑者を乗せた車の前に立ち進路を妨害し、制止しようとした別の警察官を振り払ったとして逮捕された。
 車両側面のガラスを数回たたき、容疑者の名前を呼んだという。大谷毅副署長は「飛び出さないよう注意したが警告に従わなかった」と話した。
 社員は釈放後、「撮影しなければという思いに駆られ、体が勝手に動いてしまった。軽率だった。申し訳ありません」と話した

市橋容疑者の取材でTBS『朝ズバ』スタッフ公務執行妨害で逮捕(2009年11月12日ガジェット通信)

千葉県市川市のマンションで、イギリス人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害したとして逮捕された市橋達也容疑者。11月10日に大阪府内のフェリー乗り場で逮捕された市橋容疑者は新幹線で都内に入り、千葉県の行徳警察署に移動した。

そして12日午前、行徳警察署は死体遺棄容疑で市橋容疑者を千葉地検に送検することになったのだが、警察署から市橋容疑者を乗せた自動車が出た際、とんでもない事態が発生した。TBSの人気報道番組『みのもんたの朝ズバッ!』スタッフが、警察官の制止を振り切り、ハンディビデオカメラを片手に自動車を追いかけ出したのだ。

もちろん、『みのもんたの朝ズバッ!』スタッフはその場で現行犯逮捕。まさか容疑者を取材にきて自分が逮捕されることになるとは思わなかっただろう。しかし、本当にTBSのスタッフがそんなことをするのか? この情報は産経ニュースにしか掲載されていないため、事実確認のためTBSに取材をする必要があるのでは?

ということで、ガジェット通信編集部がTBSの『みのもんたの朝ズバッ!』編集局に取材をしたところ、「確かに逮捕されたのはこちらのスタッフです。スタッフはまだ行徳警察署にいるようで、こっち(TBS)に戻ってきてないんですね。なので、こちらも事態をこれから把握していくといった状態です」との返答を得ることができた。どうやら逮捕されたのは事実のようだ。

また、『みのもんたの朝ズバッ!』編集局自体が逮捕の経緯を把握していないことから「スタッフの処分に関しても何も決まってない」という。

市橋容疑者に対する報道が過熱している状態だというのは、テレビを観ている視聴者なら誰でも気がついていることだとは思うが、警察官の制止を振り切ってまで取材をするというのはやりすぎだ。ましてや、『みのもんたの朝ズバ!』はTBSの人気番組のひとつであり、そこのスタッフならば当然モラルを持って取材していると思っていたのだが……。

最後の「そこのスタッフならば当然モラルを持って取材していると思っていた」がなかなかスパイスが利いていて素敵ですけれども、身体が勝手に動くようになるまでトレーニングされていたというのですから、TBSの社会規範破りにかける平素からの情熱が社員教育にも現れているということなのでしょうかね(笑)。
しかしこの手のワイドショーネタには全く興味がない人間のものすごく素朴な疑問なんですが、この容疑者が車に乗って連れて行かれるシーンをそうまでして見たいと考えている視聴者って全国でどれくらいいるものなのでしょうか?
何しろ平素からトレーニングまで積んで犯罪行為に手を染めるというくらいのニュースバリューがあると判断しているくらいですから、よほどの視聴率に直結するくらいの一大ニュースなんでしょうけれども、どうにもそのあたりのワイドショー視聴者の嗜好というものも外野には正直理解に苦しみます。

いずれにしても問題のTBS社員に関してはさっそくネット上で画像まで公開されるような騒ぎになっていましたけれども、この前代未聞の事件が発生した当時の本人はもちろん、周囲のTBSスタッフの行動というものも次第に明らかになってきました。
これがなかなか素晴らしいものなんですが、まずは現場の状況が判るのがこちらの記事です。

TBSディレクター、市橋容疑者に突撃取材で逮捕(2009年11月13日スポーツ報知)

 過熱する市橋達也容疑者(30)=死体遺棄容疑で逮捕=への報道で12日、ついに逮捕者が出た。千葉県警行徳署は、同容疑者が送検される際に車両に突進し、警官を突き飛ばすなど暴行を加えたなどとして、TBSの男性ディレクター(30)を公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕。異例の事態に、現場は大混乱に陥った

 市橋容疑者を乗せた護送車が、千葉地検へ向け出発した5秒後の出来事だった。警官の怒声が響く。「ワッパ(手錠)だ! ワッパをかけろ! 逮捕だ」。ハンディーカメラを片手に持った男性ディレクターは、巨体を丸めたような格好のまま2人の警官に羽交い締めにされ、署内まで連行。現行犯逮捕となった。

 逮捕されたのは、TBS社員で情報制作局ディレクターの代田直章容疑者(30)。行徳署によると、代田容疑者は取材の規制線を突破、警備の機動隊員(24)を突き飛ばし、手の甲に擦り傷を負わせた。そして、制止を振り切って車両前方に立ちふさがると、護送車の窓ガラスを叩きながら「市橋! 市橋!」と連呼。制止に入った行徳署員(45)を振り払ったとして、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。

 同署は「絶対に規制線は越えないように」と再三にわたって報道陣に警告。結果的には約30人が規制線を越え、車両に殺到したが、「口火を切った」(同署関係者)形のTBS社員のみ逮捕された。また、その時の混乱で全国紙記者が転倒し骨折。病院に搬送された。

同僚が逮捕されたTBSスタッフは、署員に対し「なぜ彼だけが逮捕されるんですか」と詰め寄るシーンも。女性スタッフも「みんなやってるでしょ」と援護したが、他社カメラマンから「やってねーよ」と否定されていた。

 逮捕の約1時間後には男性幹部2人が同署を訪れ、署員と面談。同署は一時的にTBS関係者を出入り禁止にする措置を取った。TBSの広報担当者は「当社の社員が逮捕されたことは事実ですが、取材中に起きたことなので、事実関係を確認中です」とコメントしている。

 代田容疑者は入社時はカメラマン。司法記者を経て1~2年前からディレクターとして「みのもんたの朝ズバッ!」などを担当していた。大学時代はラグビー部でNO8。TBS関係者は「カメラマン出身だけに、いい画(え)を撮りたいという気持ちが、人一倍強かったんじゃないか」と話している。

 12日夜、釈放された代田容疑者は「何か撮影しなければとの思いに駆られた。自分が一番先に車の前に立ちはだかった意識はないが、申し訳ないと思っている」と話した。行徳署では「書類送検するかどうかは今後の捜査次第」としている。

同僚愛にあふれたTBSスタッフは身内のあきれた行動を恥じるでもなく、「みんなやっているのに何故彼だけが逮捕されるんだ!」と警察官に詰め寄ったんだそうです(苦笑)。
どうなんでしょうね、ずいぶんと常軌を逸した人たちばかりが集まっている会社だと判断するべきなのか、それともマスコミ的にはこういうのがごく普通のことなんでしょうか?
TBS側は皆が一斉に車に押し寄せたのであって、自分達だけが悪いのではないと主張しているようなのですが、あきれ果てたことに実はこれが例によって例の如く捏造だったということが次第に明らかになってきました。

★社員逮捕のTBS 「誰がいつ逮捕されてもおかしくない現場だった」は本当か(2009年11月13日産経新聞)

 英国人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=死体遺棄事件で逮捕された市橋達也容疑者(30)の送検中に警察官を突き飛ばし、けがをさせたとして、TBS社員(30)が公務執行妨害の現行犯で逮捕された事件で、TBS広報部は13日、「取材中に起きたことで、今は事実関係を調査中」とした上で、「混乱した中で、報道陣の誰がいつ逮捕されてもおかしくない現場だった」と釈明した。

 だが、現場の本紙記者やカメラマンによると、送検現場は警察、報道陣双方とも冷静で、突撃取材をしなければならないような状況ではなかったという。

 市橋容疑者は12日午前11時ごろ、千葉県警行徳署裏門に姿を見せた。送検される市橋容疑者は逮捕時と違い、ヨットパーカーのフードをかぶっているものの、ゆっくりワゴン車まで歩き、顔は表情まではっきり確認できた。報道各社は混乱もなく、整然と撮影や取材を続けた

 ところが、市橋容疑者の車が裏門を出て曲がろうとした瞬間、逮捕された社員が車に向かって突進。県警の警察官に取り押さえられると、さらにこれを振り切り、車に向かおうとしたため、現場は混乱を極めた。決して「誰が逮捕されてもおかしくない現場」ではなかったという。

 社員はビデオカメラに内蔵された「ナイトショット」と呼ばれる赤外線撮影機能を生かし、暗い車内にいる市橋容疑者を撮影しようと試みたとみられる。関係者によると、社員は朝の情報・報道番組「みのもんたの朝ズバッ!」などの担当ディレクターだったという。

どう見ても「自分の軽率な行動で壮大なる混沌をもたらした」としか言いようがない状況なんですが、それはこうまでのことをやった上で「みんなやってる」と他人まで犯罪者扱いをすると言うことであれば、他社カメラマンから「やってねーよ」と突っ込まれても仕方ないところではありますよね。
これも門外漢の素朴な疑問と言うものですが、犯罪行為に手を染めてまで容疑者に詰め寄るよりも、今回の産経さんのように一歩引いてそんなマスコミ関係者の醜態をさらしてまわる方がよほど面白そうなんですけど、一度そういう番組も作ってみれば視聴率的にどうなんでしょうかね?(笑)

問題の容疑者は1~2年前からディレクターとして「みのもんたの朝ズバッ!」を担当していたと言いますけれども、TBSとみのもんたという最強タッグと言えば先日も素人でも思いつくようなデタラメで重大な放送倫理違反を問われ謝罪に追い込まれたと言う経緯があったばかりです。
しかしこうまで毎回同じような犯罪行為ばかり繰り返すということになれば、こういうのは「類が友を呼んだ」と呼ぶべきなのか、「朱に交われば赤くなった」と呼ぶべきなのか、なかなかに微妙な話ではないかと思うのですけれどもね。

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2009年11月13日 (金)

耳障りの良い話ばかりではない時代になってきましたが

少し前にこんなシンポジウムがありました。

地域医療再生へ「自分たちの目で見直しを」―日病・山本会長

 日本農村医学会は11月2、3日の両日、横浜市で第58回学術総会を開いた。3日の「地域医療再生に向かって」をテーマとしたシンポジウムで、日本病院会の山本修三会長は、「7対1入院基本料」や臨床研修制度などについて個々の制度の意義は認めたものの、「一つ一つの要素が全体に与える予測できない効果がある」と指摘し、地域医療を自分たちの目で見直すことが必要だと主張した。

 山本氏は、「地域医療再生への途」と題して講演。医師の臨床研修制度を「良い制度」と考えて導入したものの、「地域や賃金の差などにより、医師が移動してしまうことは予想できていなかった」などとした上で、臨床研修制度や「7対1入院基本料」の看護配置などについて、「一つ一つの要素を小手先でいじっただけでも、全体像はかなり変化してしまう」と指摘。「結果的に医療機関の中で競争を起こすような施設基準は有害無益と考えている。この辺のことは医療の現場に任せてほしい」とした。さらに、「本当の意味で地域医療を自分たちの目で見直すことが大切」と訴えた。

 また、パネルディスカッションでは、診療報酬や臨床研修制度について意見が交わされた。
 茨城西南医療センター病院の鈴木宏昌氏は、救急医の立場から、一般外来の診療が1日のうち8時間なのに対し、残りの16時間を救急医療が受け持っていることを挙げ、「救急医療に係る診療報酬は別に考える必要がある」と指摘。また、岩手医科大の若林剛氏は、臨床研修制度について「病院によっては、マンパワーとして後期研修を募集する所がある」と指摘。消化器外科専門医がほとんどいないにもかかわらず、消化器外科専門医を募集している医療機関などについて、「どのようにキャリアパスを提示できるのかと思うことがある」と懸念した。

こういう話を拝見しますと、どこの職場でもあるように現場の皆さんはそれぞれに言いたいことがあるのでしょうが、改革をパイの奪い合いという構図に落とし込んでしまうのはデメリットが大きいと思いますね。
資金的にも人材的にも厳しい総量規制を課してきた国の医療政策もあって、近年「病院vs診療所」「勤務医vs開業医」といった対立の構図の中での奪い合いというものがあからさまになってきているところがありますが、こうした分断統治が誰を利するのかということを考えてみれば、逆境の中にある医療現場の人間もおいそれと他人のシナリオに乗るべきではありません。
そうした中で、いささかそれは人の道としてどうよ?と思われるような話が先頃出ておりましたのはどうなんでしょうね。

榛原病院医師に勧誘の手紙 焼津市長、14人へ /静岡(2009年11月7日静岡新聞)

 焼津市の清水泰市長は7日までに、牧之原市の榛原総合病院の一部医師に焼津市立総合病院への勤務を要請する手紙を送付した。榛原病院は経営悪化に直面し、民営化による再建と常勤医確保に努めている最中。手紙は焼津病院の医師誘致の熱意の表れだが、榛原病院関係者の反発を招く可能性もある。
 清水市長によると、手紙は太田信隆焼津病院長との連名。榛原病院に在籍する県外大学出身の医師14人に2日付で発送した。焼津病院の医師不足の現況を伝え、「焼津市および志太榛原地域の地域医療維持のためにぜひ当院に常勤医として赴任していただきたい」と求めた。7日までに榛原病院医師からの連絡はないという。
 志太榛原地域は両病院を含む公立4病院の連携を軸に地域医療を維持してきた。協力関係にある病院からの医師引き抜きとの指摘に対し、清水市長は「民営化で当地域から去る可能性がある先生に絞って送付した。榛原病院側にも事前に説明済みで、引き抜きの意思はない」と述べた。
 焼津病院は循環器科が外来休診中で、麻酔科は常勤医が不在。全般的に医師が不足している内科系は開業医からの紹介患者のみを診る完全紹介制を導入している。

榛原病院医師焼津市が勧誘 牧之原市長「再建図っている時に」/静岡(2009年11月7日読売新聞)

牧之原市長「再建図っている時に」

 経営悪化に伴い公設民営化の方針を打ち出している榛原総合病院(牧之原市)の一部の医師に対し、焼津市の清水泰市長と同市立総合病院の太田信隆院長が連名で、同病院で勤務するよう呼びかける文書を送っていたことが6日、わかった。榛原総合病院の公設民営化を巡る関係者間の折衝が大詰めを迎えているなかでの動きについて、同病院の管理者である西原茂樹・牧之原市長は「病院の再建を図っている時にこうした行為があったのは残念」と不快感を示しており、今後波紋を呼ぶ可能性もある。

 清水市長が同日の記者会見で明らかにした。焼津市によると、文書は11月2日付で、榛原総合病院に勤務する医師のうち、民営化された際に退職する可能性が高いとみられる14人の医師に個別に送った。「焼津市や志太榛原地域の公立病院による地域医療維持のためにも、当院へ常勤医師として赴任していただきたい」との内容。

 清水市長は「医師を引き抜くつもりはないが、もし榛原病院を辞めるのであれば焼津に赴任して志太榛原地域に残ってほしい」と話している。6日現在、医師からの返答はないという。

勤務医16人を「ヘッドハンティング」!?/静岡(2009年11月07日朝日新聞)

 医師不足などで経営難に陥っている榛原総合病院(牧之原市)の勤務医師16人に、同じ医師不足に悩む焼津市立総合病院から勧誘の手紙が送られていたことが、6日わかった。同市の清水泰市長が定例会見で明らかにした。榛原総合病院組合管理者の西原茂樹・牧之原市長は「引き抜き行為で非常に残念だ」と不快感をあらわにしている。

 清水市長によると、手紙は太田信隆・市立総合病院長と連名で2日に郵送。榛原総合病院の経営は医療法人「徳洲会」に委ねられる方針だが、徳洲会が受託条件としていた茂庭将彦院長の辞意撤回が10月30日に実現したことから、「病院存続が明らかになったため行動に移した」という。

 手紙は茂庭院長を派遣する浜松医大出身の医師を除いて出され、「退職する場合は喜んでお迎えする」としている。清水市長は「双方の院長が了解している。決して引き抜きではない」と述べた。

 榛原総合病院の民営化移行をめぐっては、医師や看護師の流出が続いており、西原市長が慰留に努めている。同病院によると、4月に41人いた医師は12月には30人、来年1月には23人まで減る見通し。医師不足で、整形外科は12月に外来診療を中止、呼吸器科は11月中に新規の入院・外来受け付けを終えるなど規模縮小を余儀なくされている。

榛原総合病院:医師大量退職 争奪戦に? 焼津市長が16人に勧誘の手紙 /静岡(2009年11月7日毎日新聞)

 ◇焼津市立総合病院に勧誘 牧之原市長は不快感

 民営化で揺れる榛原総合病院(牧之原市細江)の医師の大量退職問題をめぐり、焼津市の清水泰市長は6日の記者会見で、同病院の医師16人に焼津市立総合病院に勧誘する内容の手紙を送ったことを明らかにした。榛原総合病院の管理者である牧之原市の西原茂樹市長は取材に「私に事前に話はなかった。手紙が送られたことは非常に残念」と不快感をにじませ、医師不足問題の深刻さを浮き彫りにする事態となっている。

 経営危機に直面している榛原総合病院は、指定管理者制度の導入に向け医療法人「徳洲会」と交渉している。牧之原市によると医師数は1日現在33人だが、このうち指定管理者制度の導入に反発する医師7人は来年1月までに退職する意向を示している。

 清水市長によると、勧誘の手紙は2日付で、焼津市立総合病院の太田信隆院長との連名で送った。榛原総合病院の茂庭将彦院長の了解を得て送付したといい、清水市長は「地域医療全体を考え、焼津市に来てもらうことで引き続き地域の患者が診てもらえると考えた」と説明している。【浜中慎哉】

各紙面によって微妙にニュアンスは異なりますけれども、とりあえず気分を害しているという主体は引き抜かれる側の牧之原市の市長一人であるということでよろしいんですかね。
いずれにしても他の自治体の市長と院長の連名という言ってみれば公式の文書が、トップである自分を通さずいきなり現場に送られてきたわけですから、無視された牧ノ原の市長は驚きもするし不愉快でもあるでしょうね。
それは勤務先が天下に名高い徳洲会傘下に移管されるともなれば離脱を図る医師・スタッフも一人や二人と言うことはないでしょうから、「どうせ辞めるのであればうちへ」というのも正直なところなのでしょうが、こういう交渉は個別にひっそりとやるのが一般的だと思っていましたが、先方にいきなり勧誘の手紙を送りつけるというのは変わってるなあとは感じます。

昨今では自治体も医者の確保に四苦八苦していますから、首長が自ら音頭を取って知らずに常識に外れたことをやってしまったのかも知れませんが、文書に名を連ねているという焼津市立総合病院の院長がそのあたりに対して何らコメントもしなかったと言うのであれば、これは病院間の今後の関係を考えてもいささか不親切であったかなとは思われるところです。
一方で先方の病院には話を通しているということですから、医師や病院間ではすでにある程度の意思疎通が出来ていて、一人牧之原市市長だけが蚊帳の外だったということになれば、これは何やら市と病院との関係を示唆するような話になってしまいます。

徳洲会と言えば先日も奈良・生駒市の新病院の件で取り上げた経緯がありますけれども、あちらでも反発する地元医師会が市の協議の場である「病院事業推進委員会」から委員を引き上げるなんて騒ぎがあって、結局医師会側の意見にも配慮するとする形でようやく元の鞘に収まったという一件がありました。
あの団体も非常にポリシーがはっきりしていますから敵は敵、味方は味方と白黒つきやすいのも確かなんでしょうが、どうも昨今のように医療業界の人心穏やかならずといった状況下では、いささか望まずともトラブルメーカーになっているところもあるようですね。
何にしろさすがにこういう引き抜き合戦ばかりやっていますと病診・病病連携も何もないと言う話になってしまいますから、もう少し穏やかに問題解決を図っている地域も多いのだと思いますが、問題なのはその解決法の実効性というものですよね。

県境越え医療提携(2009年11月08日朝日新聞)

 医師不足に悩む新潟を含む「東北7県」の病院がそれぞれの得意分野の情報を共有し、県境を越えて医療連携を進めようという実務者の協議会が発足し7日、仙台市で初会合を開いた。各県の計9病院の担当者が地域連携の現状を報告。定期的に研修会などを開き、情報や課題を共有していくことを決めた。

 国は都道府県に対し、がんや脳卒中、急性心筋梗塞(こう・そく)、糖尿病について、地域の病院の役割分担を明確にする医療計画の策定を求めている。急性期に高度・専門的な治療をした病院と、退院後にリハビリや後遺症のケアをする病院・施設とで患者情報をスムーズに引き継ぎ、切れ間のない医療を提供するのが目的だ。

 しかし、病院の廃止・統合や診療科閉鎖などで医師不足が深刻になっている東北では、行政区域ごとの医療計画が立てにくい。そこで、東北厚生年金病院(仙台市)と鶴岡協立病院(山形県鶴岡市)、済生会新潟第二病院(新潟市)で地域医療連携を担当する職員が中心になり、協議会設置を呼びかけた。

 この日の会合には7県のほか関東、九州地方から約230人が参加した。都道府県単位の連携組織は全国で41あるが、県境を越えた組織は初めてという。代表世話人の一人、東北厚生年金病院医療連携センターの作間宏教課長は「道路網などを考えれば、他県の病院とともに治療方針を立てるほうが患者さんのためになる例も多い」という。

いやまあ、「それぞれの得意分野の情報を共有し、県境を越えて医療連携を進めよう」とは理屈の上ではその通りなんですが、東北各県で協力と言っても実際問題として患者が行き来するには広すぎませんか?
またぞろこれで道路建設だのドクターヘリ導入だのと、何かしらの余録を期待しているということであればまた理解できない話でもないのですが、まじめに患者のことを思って推進している計画であるというのであれば各自治体に是非ともお願いしたいのは、広域医療連携の利益とともに問題点についてもきちんと住民に説明し同意を得ておいていただきたいということです。

先頃にも東北大で脳梗塞患者の脳梗塞の診断が遅れたと民事訴訟沙汰になっていましたが、地方の高齢者に多いこうした疾患も昨今では例の3時間ルールなどで時間要件が厳しくなっていますし、今後はますます「得られる医療のレベルとそこに至る距離や時間を比較検討した病院選択」と言ったことも大きな課題となってくると思います。
不謹慎なようですが、最善の医療を求めて数時間がかりで搬送したらすでに患者は不幸なことになってしまっていただとか、なまじ遠くの病院という選択肢が増えたばかりに後々トラブルを抱え込むことになったとあっては目も当てられませんし、最終的にはそのあたりの選択は住民自身の価値観に基づいて決めてもらうしかないところだと言う気がするのですけれどもね。

さて、もう少し現実的?な計画というのはこちら、最近研修医絡みで何かと話題にのぼることも多い某地方にもあるようです。

取材ノート09:医師不足 研修医の流出阻止に懸命 /鹿児島(2009年11月8日朝日新聞)

 ◇14病院が連携し学生にPR

 県内で研修を受ける“医師の卵”が減っている。04年から臨床研修制度が変わり、県外に出る鹿児島大卒業生が増えたためだ。研修医が減ると、既に慢性的な医師不足に悩む地域医療が将来、さらに危機的状況に陥るおそれがある。そこで病院がタッグを組んで学生への働き掛けを強めたり、県医師会が基金制度を設けるなど、研修医の流出阻止に懸命だ。【福岡静哉】

 10月17日、鹿児島市の鹿大医学部。県内14の臨床研修病院がブースを構え、医師らが並んだ。「小児科の研修内容を知りたい」。医学部生が尋ねると、研修医が「いつでも見学に来て」と応じ、パンフレットを手に詳しい説明を始めた。

 臨床研修を実施する全14病院が5月に発足させた「県初期臨床研修連絡協議会」が初めて企画した説明会。来夏から研修先選びが本格化する5年を中心に60人が集まった。「循環器系に強い」「症例数が多く幅広く学べる」。各ブースでPRの言葉が飛び交う。

 5年の毛利翔悟さん(22)は「多くの病院の医師や研修医と話せて、具体的なイメージができた」と話す。

  ×   ×

 協議会発足は、県内の研修医激減が背景にある。04年の制度改定で研修先を選びやすくなり、症例が多い▽最先端医療▽研修プログラムの充実--などを理由に、鹿大医学部(定員95人)卒業生の一部が福岡など都市部に流出。04年に105人いた研修医は09年は54人と半減した。

 人口10万人あたり医師数(06年調査)で、鹿児島市以外はすべて全国平均未満と、県内の医師不足は深刻だ。

 県立北薩病院(伊佐市)の常勤医は4年前から5人減り、14人。鹿大からの非常勤医師5人が穴埋めする。脳出血など緊急手術が多い脳神経外科は昨秋に医師不在となり、熊本県人吉市の人吉総合病院に搬送している。南裕介事務長は「宿直や夜間呼び出しもあり医師は疲弊している。今でもギリギリの状況」と訴える。

 地域医療を支えているのは鹿大病院からの派遣医だが、研修医の県外流出が増えれば、県の医療体制が崩壊しかねないという。

  ×   ×

 危機感を抱いた県医師会は4月、研修医らへの生活費支援を目的とした基金を設立。来春からの運用と年1億円の積み立てを目指し、9月中旬で約6800万円が集まったという。

 一方、協議会は鹿大での説明会を今後、毎年春と秋に開催する。県外の鹿児島出身者らにも働き掛けるため年3回、東京や福岡で開かれる合同説明会にも参加する。7月の東京での説明会では14人と面談したという。

 一連の取り組みが早くも奏功したのか、来年4月に始まる研修の県内希望者は83人と、4年ぶりに80人を超えた。例年、国家試験不合格で1~2割減るが、増加に転じることはほぼ確実。

 だが、協議会長を務める中村一彦・鹿児島医療センター名誉院長の表情は厳しい。「将来の鹿児島の医療を維持するには最低でも研修医が100人必要で、これからが正念場」。研修プログラムの充実や、より効果的な学生へのPRなど、課題は多いという。

あまり本筋とは関係ないですが、「例年、国家試験不合格で1~2割減る」って国立にしてはずいぶんと多いなと思っておりましたら、結構有名だったんですね…
それはともかく、理屈の上では中小病院がそれぞれの得意分野を生かしてタッグを組んで研修医を呼び集めるというのは、やる気のある研修医に対するアピールという上でも本筋であると思うのですが、この場合県内医療ヒエラルキーのトップに腰を据える桜島…もとい、大学病院の求心力というものもやはり問われるところではないかとも思いますけれどもね。

しかしこういう記事を見ていてやはり思うのは、地域医療の崩壊などと言えばその原因にしろ対策にしろいろいろと言われますけれども、最終的にはあくまで患者ではなく医者の問題であるということなのかなと言うことです。
早い話がろくに人も住んでいないようなど田舎の僻地であっても亀田総合病院のように医療は成立しますが、どんなに医療需要が多かろうが医者がいなければ医療は成立しないわけで、まずその点を勘違いした?対策というのは結局うまくいかないのではないかなと言う気がしますね。
需要側に偏った医療体制が今まで現場に無理を強いたりモチベーション低下の原因となってきた、そして結果として地域から医療そのものを失わせてきた経緯を考えると、遠回りなようですが今はまず供給側の論理優先で無理のないシステムを組み上げるべきだと思いますが、当然ながら一番問題となるのは抵抗勢力の存在(苦笑)でしょう。

その意味では先日も取り上げましたけれども、「公立病院は赤字でも補填してもらえるなどと甘えていてもらっては困る」だとか「医療に犠牲と奉仕ばかり求めるシステムは駄目だ」だとか、今までであればネットの片隅の本音トーク(笑)でこっそり語られていたような言葉がある程度公の場所で出てくるようになった、その意味は決して小さくないのかなという気がします。
これは「医療僻地の住民=保護されるべき医療弱者」といった従来のステロタイプな構図からするとずいぶんとぶっ飛んだ話で、世が世であれば弱者の味方を自称する良識的なマスコミの皆さんから「何たる暴言!弱者の切り捨てだ!」とバッシングされかねない話なんですけれども(苦笑)、見たところそういう論点からの批判記事もあまりないようですよね。
うがった見方をすれば、近い将来確実視される医療費増額に伴う国民の負担増に対する不満をあらかじめ押さえつける意図もあるのかなとも思えるのですが、いずれにしても「国民も際限無しにただ医療を求め続けるだけではいけない」という社会的コンセンサスが出来つつある、あるいはそうした世論を形成していこうという動きが出てきているということなんでしょうか。

厚労省・木下経済課長 医療再生に向け「国民の理解と参加が必要」(2009年10月20日ミクスonline)

厚生労働省医政局経済課の木下賢志課長は10月20日、東京都内で開かれたIMSジャパンヘルスケア・シンポジウム2009で基調講演し、民主党政権が掲げる医療崩壊の是正に向けて、「(医療への)国民の理解と参加が必要だ」と強調した。医療従事者の過酷な労働環境などに対する国民の理解や評価が進むことで、医療従事者のモチベーションの向上や医療資源の有効活用につながるとの見方を示し、「どう火をつけるかだ」と語った。厚労省で医療政策を担当する足立信也政務官も10月10日に大分県で行った講演とその後の囲み取材で、医療に対する国民の理解向上を課題のひとつに挙げた。現政権の医療政策では、「国民の理解」がキーワードのひとつとなりそうだ

また、木下課長は、「これからの医療は製薬企業、医薬品卸を含めた関係者が医療との関わりをどうやって地域に作り、どうやって関わりを高めていくかだ」とも強調。医療再生のプレーヤーに製薬企業や卸も挙げ、地域医療支援などの役割に期待を寄せた。

一方、現政権が掲げる医療費の引き上げについて木下課長は、医療費が公費(税)、保険料、患者窓口負担で構成されていることから、「負担とのバランスをどうとるかは新政権でも悩むところ」と指摘。特に「保険料負担増が出てくる。ここをどう議論するかが課題になる」と見通した。民主党はこれまでに、10年4月の診療報酬改定で本体部分のプラス改定を行う方向とともに、入院の診療報酬を増額する方針を示している。木下課長は10年度政府予算の概算要求で、「入院の診療報酬の増額を要求した」と話した。

また、入院医療に関連して、入院患者の希望が「完治まで入院したい」から「(ある程度で退院して)自宅から通院しながら治療・療養したい」に変化していることから、「この患者の気持ちにメーカーがどう対応するのか。対応が求められる」と語った。がんや精神疾患系に入院患者が多いことを紹介しながら、革新的新薬によって在宅生活にスムーズな移行ができるようになることに期待感を示した。
(略)

もちろん厚労省などの考え方が今になって急に変わったというわけでもなく、今までの水面下からの流れがあっての話なんでしょうが、弱者としての国民の味方 として売ってきた民主党政権になってこういう動きが顕在化してきたということは、なかなか逆説的で面白いかなと思いますね。
しかしまあ、お役人さんというのは相変わらず見てきたかのように国民の声なき声を代弁してくださいますねえ(苦笑)。

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2009年11月12日 (木)

相変わらず改革を求められている公立病院、しかし

先日こんなシンポジウムが開かれたそうですが、今をときめく厚労省の仇氏政務官や前大臣の舛添氏が関わっていることなどを見ても判るとおり、今後の医療行政を占う上でそれなりに参考になりそうな話なのかなという気がするところです。
そこで一つの議論になった話題の一つが、公立病院というものがひたすら赤字を積み上げている現状をどうするのかということで、しかも今までのように公立も私立も一緒くたに「診療報酬切り下げが病院経営を圧迫し」云々といった議論とはやや趣が異なっているようにも見えるのですね。

「現場からの医療改革推進協議会」がシンポ(2009年11月9日CBニュース)

厚生労働省の足立信也政務官や舛添要一前厚労相などが発起人を務める「現場からの医療改革推進協議会」の第4回シンポジウムが11月7、8の両日、東京都内で開かれた。医療改革や医療費、医療者教育などをテーマにした講演や議論が行われたほか、傍聴者が発言する場面もあった。協議会の発起人の一人でジャーナリストの黒岩祐治氏が、公立病院と民間病院の間には「不公平」があるとした上で、「ここ(公立病院)こそ、ばさっとメスを入れるべきと思う」と述べると、傍聴していた公立病院の女性医師が、命懸けで医療現場を支える公立病院の医師の存在を訴える一幕もあった。

 シンポジウムは、患者と医療スタッフが現場の視点から具体的な問題提起を行い、その適切な解決策を議論する機会と場を創出することを目的に開催された。
 7日は、▽医療改革の現在▽医療費▽先端医療・がん難民▽救急医療-の4つがテーマ。仙谷由人行政刷新担当相や医療法人鉄蕉会の亀田隆明理事長、「卵巣がん体験者の会スマイリー」の片木美穂代表、昭和大救急医学講座の有賀徹教授などが出席した。
 8日のテーマは、▽医療者教育▽公益法人改革▽新型インフルエンザ-の3つ。山形大の嘉山孝正医学部長、全国骨髄バンク推進連絡協議会の大谷貴子会長、東北大大学院医学系研究科の森兼啓太講師らが発言した。

■公立病院改革、「命懸けで働く医師への理解を」

  7日の「救急医療」で司会を務めた黒岩氏は、仙谷行政刷新担当相の医療改革についての発言後、公立病院について言及。民間病院との違いは患者の視点では不明確とし、「同じことをやっていながら、公立病院だけは赤字になってもどんどん補てんしてくれるという妙な構図がある」と指摘。「極論」とした上で、「公立病院はいったん全部をやめて、本当に必要な公立病院は何かということを考え、必要なものだけをもう一度つくり直すぐらいダイナミックなメスを入れることが必要。無駄を削ると言うなら、こここそ、ばさっとメスを入れるべきと思う」と仙谷行政刷新担当相に求めた。

 黒岩氏のこの発言に対し、傍聴していた千葉県の公立病院に勤める耳鼻咽喉科医で乳がん患者の小倉恒子氏が、現場の状況を訴えた。
 小倉氏は勤務先の公立病院で医師不足となった時、胸水を抜きながら診療を続けたことや、精神科の医師が過酷な勤務で倒れた末、現在は車いすに乗って診療を行っていることを説明。その上で、「公立病院をすぱっとやればいいって、その『すぱっ』って何ですか。収益がいいのがいい病院で、悪い病院はすぱっとやるんですか」と反論し、「非常にまじめにやっている公立病院の医師もいるということを、命懸けでやっている人もいるということをよくお考えの上、すぱっとやってください」と述べた。

この黒岩祐治氏もフジテレビを途中退社し、「日本の医療を変えたい」と国際医療福祉大大学院の教授(医療福祉ジャーナリズム分野)に転身したということが先頃話題になっていましたが、救急医療報道を長年手がけるなどかねて医療問題に関わってきたマスコミ関係者の一人です。
当「ぐり研」でも大野病院事件に絡んだ「検証!医療報道の光と影2~大野病院妊婦事件 メディアの功罪」などという氏の自己批判的な報道を取り上げさせていただいたことがありましたが、フジテレビを退社する以前からこの種のシンポジウムで司会をしたりと手広く活動しているようですね。

氏の主張するところの「ばさっとメスを入れるべき」というのも一面の真理なら、これに対する小倉氏のコメントもまた一面の真理なんだろうとは思いますけれども、こうしたある程度厚労省関係の公的メンバーも顔を出している場で「同じことをやっていながら、公立病院だけは赤字になってもどんどん補てんしてくれる」などという発言が出てきた意味は何なのでしょうか。
実のところこれに呼応するような形で、最近政権担当者の側からも「いったん白紙に戻して」だとか「公立病院にメスを」といった発言が出てきていることは注目に値すると思いますね。

「独法医療機関の経営、いったん白紙に」 仙谷行政刷新相(2009年10月28日ロハス・メディカル)

 仙谷由人行政刷新担当大臣は28日、独立行政法人化されることが決まっているナショナルセンターや社会保険病院・厚生年金病院の経営について「日本の医療の世界を覆う大変な権威とパワーというものが、その延長線上で現在の日本の医療を再建できるとは限らない。いったん白紙に返して、今の事態を憂慮する専門家の方々と、そのことを理解するガバナンス・マネジメントの分かる方々の共同作業で新たなモデルから」と延べ、ゼロベースで検討する必要があるとの考えを明らかにした。(川口恭)

 この日開かれた医療クラスター研究会シンポジウムで述べた。

 この問題に関する仙谷氏の発言は以下の通り。

「今日も日経新聞の経済教室の欄に『危機の地域医療』とかいうタイトルで自治体病院がベッド数で3割持っているという話が出ていた。そういうことでいうと、国立病院機構もあって、来年の4月からナショナルセンター6法人が独立行政法人になる、それから宙にさまよいながら崩壊しそうになっているのが社会保険病院と厚生年金病院。地域から見ると、この程度の規模の病院であればなくなっても何とかなるぞという話には、都市部ではそうかもしれないけれど、例えば徳島、私の地元にもあるけれど、これが簡単になくなる、あるいは病院はあるけれどもドクターがいなくなるということになったら大変な事態になる。ここの再建に手をつけないといけない。

 基本的な考え方の法律を足立君中心で今度の臨時国会に『地域医療支援機構法案』というものを出してもらうのだが、よくよく考えてみたら、この経営を、ナショナルセンターなんかまさにそうだが、 誰がどのようにするのかの問いに、実は医療関係者も政府の関係者も突き当たっているわけだ。今のまま、たとえば国立がんセンターを今までのやり方の延長線上で、経営を任して果たしてうまくいくのかという大問題が実はある。大げさに言うと、医療経営とか医療ガバナンスの観点から今後発展的にこういう所(医療クラスター)に突き進んでいけるように、ガバナンスを国立がんセンターがとりあえず今度の4月から発足の時点で持たないと、官僚的に予算を手を出してもらってくればいいとか、あるいは今600億円くらいある借金支払いだけで何もできないということが極めて明らかなような独立行政法人になるのであればやめた方がいいとまで考えている。

 今の時点で6法人とそれから社保も年金も、それから改めて国立病院機構の病院も、それから大学病院も含めて、医療機関のガバナンスというものが、医療専門家つまりドクターと事務局というのがいて、国には医政局というややこしい存在がいる。皆さんはどう思っておられるのか分からないが、私が聞く範囲では、現場で苦労している人々にとっては嫌がらせをする部署以外の何者でもないと、そういう声が聞こえてくる。どうして言ってこないのと聞くと、言うと後でしっぺ返しがある、嫌がらせがある、とそれが怖いんだ、と。だったら時代が変わって政権交代したんだから、我々の所に直接言ってきていただければ吟味しますと、こないだからこういう集会がある度に、まあ医政局の人から見たらイヤなこと言うなあと思うだろうけど、そういうことで改革を進めていきたい。

 根本は、最近こういう時代だから、お金、ファイナンスの分かる人も経営陣にいなければならない。もちろん医療の専門家が、どうやって人材をスカウトしながら自らの医療機関の特色を創って行くのか。そして、がんセンターなんかは先端医療の中に、どうしていくのか。あるいはコンプライアンスの問題とか、メディエーションとか患者さんとの関係、構造としても意識的に作られなければならない、そういうことに最近少々思い至っている。

 中医協の人事なんかでも新聞を読むと必ずしも100%とは言えない。だけど、日本の医療の世界を覆う大変な権威とパワーというものが、その延長線上で現在の日本の医療を再建できるとは限らない。いったん白紙に返して、今の事態を憂慮する専門家の方々と、そのことを理解するガバナンス・マネジメントの分かる方々の共同作業で新たなモデルから作っていく。その先にひょっとしたら例えばクラスターの構想があって、ここで治験の問題も医療機器の問題も、新たな転換が出てくるのかもしれない。あるいは患者さんとQOLの問題も含めて、だんだんと国民の皆さんがいい医療を受けるには、もう少しちゃんと負担をしないとアメニティも質も、日本の医療が全体としても個々にもよくならないということがお分かりいただけるモデル、見本を作るんだということで土屋先生(シンポジウムの主催者である土屋了介・国立がんセンター中央病院院長)に、これからも益々頑張っていただきたいなあと思って今日は来た。
(略)
 行政刷新も直接は関係ないけど、独立行政法人の改革というのは我々の守備範囲。たまたまナショナルセンター6つと社保と年金54病院が対象に入ってこざるを得なくなる。ということもあって、そういう切り口で公的医療機関のガバナンス改革という観点から取り組んでみたいと思っている」

国公立病院にメス入れ、適切な対価出る医療システムを 仙谷行政刷新相(2009年11月10日ロハス・メディカル)

(略)
「私の担当は行政刷新で、さてどうやって医療に取り組むかと考えておると、都合がいいのか悪いのか分からないが、日本の冠たる国民皆保険というのは、実は公的保険制度というか税金と保険料で賄われている、つまり公的支出になるわけで、また日本の病院というのは、これから問題になるナショナルセンターをはじめ社会保険病院、地域の公立病院その他、公的部門が非常に大きな領域を占めている。反対から言うと、このパブリックセクターの病院を改革をすることなしに日本の医療の改革というのは一歩も二歩も進まない状況に今立ち至っているのでないかという気持ちになっている」

「国立・公立の医療機関、大学病院も含むが、公立であることによって発生しているガバナンスのなさというかモラルハザードというか、これをどうやって改革していくかというのも、一つの大きな問題だなと最近思っている。

そんな所に行政刷新という何でもやれる都合のよいポストが舞い込んできたので、鈴木寛さん(文部科学副大臣)や足立さん(信也・厚生労働大臣政務官)や、何より現場からの改革を考えてきた皆さん方の経験と知恵、まことに素晴らしい力を持っている方々が色々いるので、その方たちの力を借りて、公的部門にメスを入れて日本の医療サプライサイドを改革していくことにチャレンジしようと、そういうことで動いている。

 ただ行政刷新会議の部内では、あなたが医療にまで手を出すとロクなことがない。だからやめておけという声も多いのだが、独立法人改革というのは公益法人改革と共に、私の所管ということになぜかなっているので、ナショナルセンター以下に手出しをしないわけにいかないという話になる。皆さん方の知恵と経験と見識をお借りして、これから日本で国民1人1人がいきいきと輝ける社会、そのど真ん中にあるのは多分医療の世界で、国民も心から医療従事者にありがとうと言いえるそういう医療システムを作り、今のような犠牲と奉仕だけを求めるのではなくて、然るべき適切な対価が出るような医療のシステムを作れるうように頑張ってまいりたい」

自民党政権下での財務省に続いて、またしても医療行政に口出しする組織が増えたと言うことなんでしょうかね(苦笑)。
仙谷大臣と言えば行政刷新相の立場ゆえか、先頃にはロハス・メディカルさんの取材に対して「ナショナルセンターに経営学や経営術、そして医療が分かる人が必要」と国立病院の経営改革に乗り出すべきだとコメントしていましたけれども、どうもこれは政権の方針として国公立病院の改革を厚労省とは別筋でも推進するということなんでしょうか?
こういう話を聞くとどうも「船頭多くして船山に上る」という言葉を思い出してしまうのですが、政権内部できちんとすり合わせくらいはやってもらえるんですよね?(苦笑)

もちろん破綻に貧している国民皆保険、あるいは日本の医療というものの改革ということも一つの狙いではあるにせよ、どうもよく言葉の裏を読んでいくとその方法論における官僚との対決路線というものが見え隠れしているように見えて、極端に言えば医政局など官僚組織の影響力低下を狙っての話なのかという気配もなしとはしないところです。
まあ現場とすれば志がどうあれ風通しが良くなって今よりマシになるというのであれば何であれ歓迎という見方もあるんだと思いますけれども、政権の思惑を離れて考えてみた場合にも経営改善ということになった場合、よくある公立病院事務方の「先生方、もう少し頑張っていただかなければ困りますね」なんて声が脳裏に響いてきそうな人も多そうですよね(笑)。

どうも医療業界は他所から見ると無駄だらけに見えるらしいし実際無駄も多々あるんでしょうが、鳴り物入りで高知医療センターを手がけたオリックスが予想通りに大コケしたとか、何故か無駄だらけの日本の医療が世界でトップクラスに安上がりであるとか言ったことを見るに付け、いわゆる営利の商売の世界でいう無駄というものとも少し違うような気がするんですけれどもね。
例えば「A社から仕入れれば100円のものがB社から仕入れれば95円」式の無駄というのは判りやすいですけれども、公立病院が大赤字を垂れ流している主因というのはそういう問題ではなく、高すぎる人件費率やその逆に低すぎるスタッフの志気、そして病床あたりの建設コストの高さなどといったところにもちゃんと切り込まなければならない。
そして一番の無駄と言えば不採算医療ですけれども、そういうものも世間並みに赤字だから省くという考えで良いのか、それとも社会保障の一環として公費で維持していかなければならないものだと甘受するのか、そのあたりは「消防署は大赤字だから廃止しよう」とは誰も言わないのと同様に、経営というより公的サービスのあり方と関わる問題だと思いますね。

今どき公立病院に来ている医者など他施設では使い道のない定年待ちの爺医でもなければ、医局人事で嫌々来ている逃げ遅れた医者が多いわけですから、「犠牲と奉仕だけを求め」ないシステムなんてものが本当に出来るのであれば、ずいぶんと士気向上には役立つような気はします。
ところが実はそういう数字に出ないところに配慮した公立病院の経営改善なんて今までほとんど無かったというのが現実ですから、結局医療はマンパワー集約型産業であって現場が気分良く働けなければうまく回らないということを経営的にどう評価し実現するか、そういうことを理解し実現できる経営者が今の日本にどれだけいて、そしてその人材が医療にまわってくるかどうかですね。

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2009年11月11日 (水)

アグネスさんの言うところのあの問題

先日こういう記事が出ていましたけれども、ご覧になりましたでしょうか。

少年のワイセツ画像DLで有罪に(2009年11月9日アメーバニュース)

 カナダのニューグラスゴーに住む双子の兄弟(20)は、少年を性的対象にした画像をダウンロードしたとして、禁固3ヵ月執行猶予18ヵ月の有罪判決を受けた。

画像は日本のアニメ絵で、虚構の子供達に苦痛を与えることも大きな罪であるとされた。彼らはDNAサンプルを提出した上で子供との接触を禁じられ、「性犯罪者」として記録されるが、アチラのオタク系サイトでの反応はどんなものだろう。

「もしもオレがグランドセフトオートで人を撃ったら捕まるのか?」
「アルコールは現実の人間を殺す。だけどこれは猥褻だけど害にならないだろう」
「もしも二次元のポルノを収集したかどで捕まるのなら、僕は最高裁判所とでも戦うよ」
「カナダ人に対して悲しくなってくる。絵と現実の人々に関係がある訳じゃないのに」
「フィクションを罰したら、現実の方に行くんじゃない?」
裁判官に偏りがあるみたいだから、審理無効を訴えられるんじゃない?」
「もしも自分が殺される絵を描いたらどうなるの?殺人未遂?殺人?」
「メイプルシロップ(カナダの特産品)も禁止。樹木を傷つけてるから。体操も禁止。みんなをマゾと曲芸師にするから。子供がナメクジの上に塩をふりかけても牢獄いきだな」

問題が問題だけに、判決を不服とする書き込みばかり。架空のイラストは誰かを傷つけることになるのか。

あの日本ユニセフなる団体もアグネス氏を旗頭に一生懸命運動を繰り広げているというこの児童ポルノ規制問題ですが、日本国内ではいろいろな意味でその深刻さというものが今ひとつ盛り上がっていないようにも感じられます。
ところが「子供のポルノ?そりゃ規制しなきゃ駄目よねえ」なんて次元の話だと思っていると、海外ではすでにこのレベルにまで達しているということがよく判る話ですが、少し前にもこういう記事がありましたように、海外では実際にこういう状況になりつつあるのだという現実をまずどう考えていくかですね。

「猥褻な日本マンガ」+「創作物をEメールで送付」で20年の収監(2009年6月19日WIRED NEWS)

電子メールを介してわいせつな性的空想をやり取りするのは、米国では罪に当たり、合衆国憲法修正第1条による言論の自由の保障が適用されない、という内容の米連邦控訴裁判所の決定が15日(米国時間)に下った。決定に際しては判事の1人が強く反対しており、おそらく最高裁判所に持ち込まれることになるだろう。

連邦第4巡回控訴裁判所は、バージニア州の男性、Dwight Whorley被告の再審請求を10対1で棄却した。この刑事裁判において同被告が有罪判決を下された罪状のうち2つは、米国の裁判史において初めてのものだった。1つは、わいせつな日本のマンガの所持、もう1つは、ポルノ的な創作物を執筆し、それを電子メールで送信したことだ。

連邦第4巡回控訴裁判所のRoger Gregory判事(下の写真)は、今回の判決に関して、「個人の考えへの政府の規制」に懸念を示しており、最高裁がこの事件を取り上げて決定を覆すよう主張している。

同判事は、「個人的な空想を、その内容に同意している他の成人に対して私的に通信したという”被害者のいない犯罪”に関して有罪にする」ことに関して異議を唱えている。

Whorley被告は2006年に有罪となり、20年の収監を言い渡された。罪状の一部は、実写による児童ポルノを所持していたことだ。しかし米司法省は、Whorley被告が好ましくないマンガを所持していたことも告発した――おそらく、今回の被告人が同情の余地のない状態であることを利用して、「悪法」という議論のある法律を背負わせるチャンスを嗅ぎ付けたのだろう。この悪法とは、制定されたばかりの児童ポルノ禁止法『Protect Act』で、未成年者が性的な行為に関わる様子を露骨に描いたわいせつなマンガを違法とするものだ。

さらに驚くべきことに、検察は、既存の別の法令についてもWhorley被告を罪に問うた。これは「(陪審員が判断するところの)わいせつで、みだらで、好色で汚らわしい書籍、冊子、図画、映画フィルム、書類、文書、手稿、印刷物など、品性を欠いたあらゆる品目」の所持を違法とするものだ。

Whorley被告の場合は、児童の絡む性的な空想を記述し、それをインターネット上の同好の士に電子メールで配布したことが、この法律に違反しているとされた。なおWhorley被告の場合は小児性愛が問題になったが、この法律は本来、すべてのわいせつ物に適用される

3人の判事による委員会の昨年12月の判決では、マンガと電子メールの件は2対1で有罪とされた(PDFファイル)が、Gregory判事はこれに反対した(PDFファイル)。今月15日には、所属裁判官全員による投票でWhorley被告の再審請求が棄却されたが、Gregory判事は持論をさらに展開して声を上げている。

George W. Bush大統領の任期中に任命されたGregory判事は、児童の性行為を描写したマンガ作品を理由に有罪にするのは誤っていると主張した。わいせつ物を規制した各種の法律は、「完全に想像上のものである児童の画像」には適用されるべきでない、と同判事は書いている。

一方、同判事が特に懸念しているのは、電子メールの件での有罪判決についてだ。1969年の最高裁判決により、米国民はプライバシーの保たれた自宅において、わいせつ物を所持する権利を認められている。ただしこれらの品目を、州をまたいでやり取りする場合は、この判決では違法とされた。「州をまたいだやり取り」とは、今日では、インターネットを介した取引も含まれることになる。

Gregory判事は、この法律は技術の進歩に追いついていず、修正されるべきだと主張している。「本件は難しいケースだ。問題の電子メールは確かに、州をまたいだ商取引チャンネルを通じて送受信され、陪審によってわいせつと判断された」と判事は述べ、つけ加えて、「今日の世界においては、われわれの電子メール受信箱は、われわれの家と同様、考えや夢想を貯蔵しておく場所になっている」と述べている。

Whorley被告の昨年12月の有罪判決に続いて、先月には、アイオワ州の男性が、児童の性行為を描写したマンガ作品の所持を理由に有罪になった(日本語版記事)。ただしWhorley被告の場合と異なり、この件の被告人は、裸の児童が性行為をしている実写によるわいせつ画像は一切所持していなかった

海外では今や「hentai」で通じるというくらいに日本の漫画は性的描写が多いと定評があると言いますけれども、言ってみれば児童ポルノと見なされるような漫画の世界的な一大供給元となっている日本が未だに満足な規制を行っていないということが、規制推進派の方々にはいたくお気に召さないようです。
先頃にはユニセフの事務局長がこんなコメントを発していましたけれども、失礼ながら「完全に想像上のものである児童の画像」から現実世界での性犯罪に至る可能性と、この事務局長が現代社会で一般的ならざる自らの価値観を他人に強要している可能性とどちらが高いのかと言われれば、これはなかなか難しい判断になるのではないかとも思いますね。

「子どもポルノの単純所持を禁止に」ユニセフ事務局長(2009年10月6日朝日新聞)

 来日中の国連児童基金(ユニセフ)のアン・ベネマン事務局長が6日、都内で記者会見し、「G8の中で、日本とロシアだけが子どもポルノの単純所持を禁止していない」として、日本政府に対して単純所持を禁止する法律の早急な成立を求めた。

 「子どもポルノは虐待であり子どもの権利の侵害。日本で所持が認められていれば、インターネットで他国の人もアクセスできる」と注意喚起した。規制が表現の自由を侵すとの意見があることについては、「子どもに危害を与えるものならば、その表現の自由は制限されるべきだ」との見解を示した。

実は国内の論客に至ってはこのレベルどころではないようで、こちらの議事録などを拝見すると、それこそ表現の自由どころの話ではない人権侵害てんこ盛りという発言が相次いでいるということもまた知っておかなければならないところです。
個人的にこういうのを見て思うのですが、一見して議論の余地無く正しそうな話ということと、一見して議論の余地無く正しそうな話を推進している方々もまた正しいということとは、これは厳密に区別して論じるべきなのではないかと言う気がしますね。

「規制に反対するヲタクは認知障害者」(2009年10月2日ブログ記事)より抜粋

    『【表現の自由】第28期東京都青少年問題協議会【問答無用?】』
    弁護士山口貴士大いに語る(2009年09月30日)
    http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2009/09/post-cce7.html

    表現の自由について一顧だにしない、問題発言がてんこもりです。都民以外の方々も是非、ご一読を。
(略)

 議題は児童ポルノ法改正について。一読した感想は、酷いの一言。酷すぎて思わず爆笑してしまいました。

 まあ、青少年問題協議会(青少協)委員がこの偏り過ぎた面子で固められていては、問題発言も次々と飛び出すでしょうよ。キング・オブ・御用学者の前田雅英大先生(彼が部会長)。インターネットホットラインセンターのモーレツ営業マン、吉川誠司大先生。日本ユニセフ協会とエクパット東京の用心棒、後藤啓二大先生。過去に「北の系」さんでブッ叩かれた事もある名誉御用学者、加藤諦三大先生。ネット規制マンセーの木村忠正大先生と安川雅史大先生。そして野田聖子大先生・・・・は同姓同名の別人です(笑)。

    内山絢子 目白大学教授
    大葉ナナコ 有限責任中間法人日本誕生学協会代表理事
    加藤諦三 早稲田大学名誉教授
    木村忠正 東京大学准教授
    後藤啓二 ECPAT/ストップ子ども買春の会顧問
    近藤彰郎 東京私立中学高等学校協会会長
    新谷珠恵 東京都小学校PTA協議会会長
    鈴木茂克 公募(会社役員)
    住田佳子 公募(保護司、人権擁護委員)
    徳本広孝 首都大学東京 准教授
    野田聖子 弁護士
    前田雅英 首都大学東京法科大学院 教授
    安川雅史 全国Webカウンセリング協議会理事長
    吉川誠司 財団法人インターネット協会主幹研究員
    http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/28meibo.pdf

以下に延々と「発禁もの」の発言の引用が続くのですが、試しに幾つかだけでも拾い上げてみましょう。

大葉ナナコ
バースコーディネーター/有限会社バースセンス研究所代表取締役、一般社団法人日本誕生学協会 代表理事、へルスカウンセリング学会会員。官公省庁の委員や、大学や学会での調査研究にも従事。21歳大学生から7歳小学2年まで2男3女の母。

「酷い漫画の愛好者達はある障害を持っているという認識を主流化していくことは出来ないものか。」
「何とか法規制しようとしている人達に対し、漫画家達が凄い数の抗議メールを送ってきたのは、どう考えても暴力だ。法規制の根拠を示す必要も無いぐらいの暴力だ。」
「性同一性障害と同じく持って生まれた嗜好だという事で、子供に対する性暴力漫画を好む人達を放免とするのであれば、彼らは認知障害を起しているという見方を主流化する必要があるのではないか。」
彼らに認知障害があり、暴力的だという事が分かっていれば、証拠が無いのに法規制出来るのかという主張を論破出来る。そうした対策を考えていきたい。」

新谷珠恵
(社)東京都小学校PTA協議会会長。お茶の水女子大学文教育学部卒業後、都内中学校教諭を経て、渡米。海外の教育事情に触れた経験を活かし、社会福祉法人内教育研究所相談室専門相談員及びボランティアコーデイネーターとして、教育支援を行なう。

「雑誌・図書業界の為にも、きちんとした規制をしてあげる事が、悪質な出版社が淘汰されていくという事にもなる。健全な出版社を生かす為に、どんどん悪質な物はペナルティーを科して消していくという仕組みが業界の為にも良い。」
「細かい議論が沢山あると思うが、何で反論している人の事まで考えなきゃいけないのか。不愉快で子供に危険が及ぶ物と公共の福祉とのどちらに重きを置くのか、ガンと後者に持っていけば良いと思う。マイノリティに配慮し過ぎた挙句、当たり前の事が否定されて通らないというのはどうしても納得出来ない。」
「他の先進国には子供の人権に配慮した規制がある。日本だけが法整備を進めないというのは凄く不思議。漫画家団体に対して説明や調査データを示す必要も無いくらい規制は当たり前の事だ。正論でガンと言ってやれば良い。(※漫画家団体とはおそらくAMI)」

まあこのあたりは「そういう人たち」なんだという期待通りのコメントであるとある意味言えなくもない話で、こういう人たちが一生懸命議論を主導しているんだなと現実を認識しておくしかないところではあります。
しかし一応は学者と名前が付いている方々がおよそサイエンスとは縁遠いような話ばかりされているということになりますと、これは一体この人たちは何を学んだ者なんだと言う素朴な疑問も湧いてくるところですよね。

内山絢子
目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。科警研出身の犯罪心理学者。

「実在しない児童への性描写は子供の人権が考慮されていない。性に対する理解度が著しく欠けている幼い子供を性対象として考える事自体が非常に配慮を欠いたものだ。実在しない児童を性対象とした漫画であっても、それは実在する児童がそうなり得る可能性があるので描いてはいけない。」

このロジックを推し進めていくところ、実在しない犯罪であってもそうなり得る可能性があるので処罰しないといけないという話にもなりかねませんが、さしずめこの方は特高のご出身ですかね?(笑)
凡百の人間がこういうことを主張するとキティちゃんかと言われるところですが、さすがに科警研出身の犯罪心理学者が仰ると説得力がありますが、さらに大御所の前田大先生ともなると素敵というしかありません。

前田先生
説明不要(笑)。

「児童ポルノ漫画みたいな物があるから幼児に対する虐待が増えるのか、増えないのか、データが有るのか、無いのか、エビデンスを示せみたいな議論が必ずある。これに関しては、こういう物に刺激されたから奈良女児殺害事件などが起きたという事実がある。だが、統計的にこういう物があるから増えたという立証は、データとしては明確には無い。無いから影響していないというのも間違いだと思うのだが。」
「最後は、法律の世界では常識で、こういう物があったら犯罪が増えるとする人が多い感じがあれば法的に禁止する。これは当然。統計データがなければ禁止出来ないというのはナンセンス。」
「漫画家団体(おそらくAMIの事)の人達は、統計データが無いのにそういう事を主張している学者のグループはインチキであるとか滅茶苦茶だと、私なんかも槍玉に上げられて10万単位のメールが来ちゃったりした。」

なんだ、結局は私怨ということですか(苦笑)。
ちょっと議論の内容以前に人格的・能力的にどうなのよ?というこの一件は世間も無視できなかったようで、「児童ポルノ=けしからん」という正論は別として反論すべきところは反論するという姿勢で検証記事を挙げているメディアもちゃんと存在しているようです。

児童ポルノ禁止法改正推進派のトンデモ発言(2009年10月7日JANJAN)

 少し前に一部ブログ等で話題になったので、ここでも紹介したい。

 この件は弁護士である山口貴士氏も自身のブログで「問題発言がてんこもり」と紹介している。

 【表現の自由】第28期東京都青少年問題協議会【問答無用?】: 弁護士山口貴士大いに語る

 ことの発端は、ネット上で公開されている「第28期東京都青少年問題協議会・議事録」から始まる。

 第28期東京都青少年問題協議会議事録

 とりあえずは上記リンク先の第8回にあたるPDFファイルを開いていただき、まずはその中の29ページ目に注目していただきたい。

(引用開始)
 例えば児童に対する児童ポルノの愛好者の人たちが児童に悪影響を与えるとか、漫画のひどいものが出ているといったら、その人たちはある障害を持っているんだというような認識を主流化していくことはできないものかというのを、お話を聞いていて思いました。
(中略)
 性同一性障害という同じ位置づけで、子どもたちに対する性暴力を好む人たちを逃がしていくとしたら、障害という見方、認知障害を起している人たちという見方を主流化する必要があるのではないかと思うんです。
(引用終了)

 発言者は大葉ナナコ委員。以下の企業の代表取締役を務める人物である。

 バースセンス研究所オフィシャルサイト

 要するに、改正反対論者を病気の持ち主という事にしてしまえば、反論する必要もないし、改正の必要性を裏付ける根拠も提示する必要がなくなる、という事らしい。もし「本物の」認知障害を持っている人やその家族がこれを読んだら、さてどう思うだろうか。
 以下、なかなかに「ぶっ飛んだ」発言が続く。

 「証拠もないのにという議論を突破できるような対策も考えていきたいなと思いました。」
 「漫画家の方たちがすごい議論を持ってきて、何とか法制化するという人たちに対して攻撃をするということだったんですけれども、どう考えても暴力で、エビデンスを出す時もない、必要もないぐらい暴力ですね。」
※エビデンス(evidence)…証拠、根拠。

 記事が冗長になるため省略するが、他の委員達の発言も負けず劣らずな内容なので、通読を強くお勧めする次第だ。

 「児童ポルノ」の定義の中に漫画、イラスト、アニメーションといった、被写体が実在しない架空の存在である事が明確な作品を含めるべきかどうかは未だに議論が続いているが、そういった作品の流布と実在する児童への性犯罪との相関関係は未だに学術的に証明されていない(近年はむしろ減っているという調査もある)。
 上記の発言からは、それに業を煮やした推進側の本音が垣間見えるのと同時に、いかに彼らが「結論ありき」で行動しているのかがよく分かる

 確かに、こういった作品は(そういう嗜好の持ち主でない限りは)あまり愉快な存在とは言い難い。出来れば目の届く範囲に存在して欲しくないという意味では、私も上記の協議会員もあまり差はないのかも知れない。

 しかし、何の根拠もなく、ただ不愉快だからという理由だけで創作物を法規制せよ、取り締まれと言ったり、反論する相手に「彼らは病気だから」とレッテルを貼り付けて議論そのものを回避しようとしたりする姿は理解の範疇を越えている。反体制的な文学・芸術作品の作者を精神異常者と決めつけ、収容所に隔離した過去数多の独裁国家のやり方と何が違うというのか。

 記者自身、果たして本当にこういった作品と児童への性犯罪に本当に有意な相関関係があるのかどうかについては結論を出しかねるが、彼らのやり方、考え方があまりにも酷い事だけは前回の記事「児童ポルノ禁止法改正に狂奔する議員達の妄念」同様、重ねて主張したい。

ネットの方でも当然ながら反証は数多という状況なのですが、面白いのは前述のように世間的には学者と呼ばれる先生方が「根拠など不要。ただ規制せよ」と主張しているのに対して、名も無きネットの民草はきちんとソースを出して反論していることですよね。
こういう社会的ネームバリューと無関係にきちんと説得力ある議論が成立し得るというのもネットがもたらした一番の恩恵なのだと思うのですが、規制推進派の文化人、マスコミをはじめ声の大きい人たちにとっては単に圧殺すべき「ある障害を持っている」かわいそうな方々であるという認識なのでしょうかね?

51 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/10(火) 08:43:36 ID:jxfjmj3Q0
日本はポルノが充実しているからこそ性犯罪が少ないんだよ
ポルノを規制すれば自分と自分の家族が性犯罪に遭う確率が上がる
このことに気付こうじゃないか
理性があるならポルノ規制など狂気の沙汰だということがよくわかるだろう
(略)

カナダは1993年に絵も規制する児童ポルノ法を実施したが、
カナダの統計を見る限り、性犯罪の低下は見られない。

カナダの犯罪件数の推移
(レイプを含む violent crimes 最初の図の赤線に注目。property crimes は不法侵入、盗難など)
http://www.statcan.ca/Daily/English/050721/d050721a.htm

カナダの児童ポルノ法は1993年から(二次元も禁止)
>THE 1993 LAW: Canada’s current child pornography law was passed in 1993
http://www.cbc.ca/fifth/landslide/laws.html

67 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/10/08(木) 03:14:05 ID:bS4t2dxP0
>>1
×「G8の中で、日本とロシアだけが子どもポルノの単純所持を禁止していない」
○「G8の中で、日本とロシアは子どもポルノの単純所持を禁止する緊急の必要性がない」

<G8の1999年ないし2000年の強姦(件/10万人)>
カナダ  78.08件 単純所持禁止 二次元禁止
アメリカ. 32.05件 単純所持禁止 二次元禁止(ただし違憲で無効)
イギリス 16.23件 単純所持禁止
フランス 14.36件 単純所持禁止
ドイツ.  9.12件 単純所持禁止
ロシア...  4.78件 ○
イタリア  4.05件 単純所持禁止
日本.   1.78件  ◎
ttp://ms-t.jp/Statistics/Data/Crimerate2.html

【強姦の発生件数(件/10万人)】
    カナダ  78.08件 (二次元ロリエロは違法)
    アメリカ 32.05件 (二次元ロリエロは違法)
    日本    1.78件 (エロアニメ帝国)
 日本では、性犯罪の申告率は13.3%(平成20年調査)。
ただし、統計上は「性的事件」となっているので、強姦も
草ナギ君の「何が悪い」も合わせた値である事に注意。
日本にとって最悪の仮定をする:
  (1)申告されなかった「性的事件」は全て強姦(実際は大半が軽犯罪)
  (2)アメリカとカナダでは申告率100%(実際は違う)
これで補正をかけると、強姦の発生件数は 1.78件/0.133 = 13.7件
この仮定の下ですら、強姦の発生件数はアメリカやカナダの半分以下。
割り算を一回すれば、「エロ漫画やエロアニメが性犯罪を~」なる話が
根拠の無いデタラメだと分かる。

ポルノと性犯罪の関係については更なる詳細な検証に委ねるとしても、発禁と言うと何やらとてつもなくエゲツナイものを想像してしまいますけれども、実際にそれぞれ個別に見てみますと書籍にしろ歌曲にしろ、到底思いがけないような理由で消えていっているまともなものが沢山あるのだと言うことが判ります。
今の時代にも通じる歴史的名作と言われる「ブラックジャック」なども消えてしまった話が幾つもあると言うのは有名ですけれども、これだけ情報があふれている時代であっても消える時には案外あっけなく消えてしまうものであるだけに、規制というものにはくれぐれも慎重でなければならないと思いますね。
多くの人々が楽しんで育っただろう「鉄腕アトム」も「ドラえもん」も「となりのトトロ」も全部「児童ポルノ」として公に出来ない時代がやってくる…という可能性があると言っておくのは、間違いでも嘘でもないですよね。

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2009年11月10日 (火)

新型インフルエンザ 病気による混乱ならまだ救いがありますが

患者への新型インフルエンザ予防接種が始まっていますが、これがまたどこもかしこも大混乱の大騒ぎという状況のようです。
準備期間も少ない、初めての経験であると幾らでも弁解の余地はあるのですが、こういうことになりますとやはり国家的規模での非常時に対する備えというものをもう少し見直した方がいいのではという気になってきますね。

県内、予約の調整つかず混乱 新型インフル一般優先接種 /徳島(2009年11月6日徳島新聞)

 新型インフルエンザワクチンの一般向け優先接種が6日から徳島県内でも始まる。県は重症化のリスクが高い基礎疾患(持病)のある人のうち、小児(20歳未満)の慢性疾患患者を対象に前倒しするため、既に118の医療機関に4800人分のワクチンを配布。しかし、急きょ決まった優先接種に、予約の日程調整がつかないなどの混乱も見られる。6日に間に合わないという医療機関は多く、開始時期にばらつきが出ている。

 徳島市民病院(北常三島町2)には10月29日、慢性疾患の小児向けに20人分のワクチンが届いたが、前倒しはしない。同病院にかかっている小児の基礎疾患患者は計200人おり、既に、ワクチン接種はほかの基礎疾患患者や妊婦らと同じ19日以降に予約済みだった。小児科医の診察の都合もあり「日程変更は不可能」といい、当初の予定通り19日からとした。

 ただ、幼い子を持つ親からは「うちの子は6日から打ってくれないのか」との問い合わせが相次いでいる。三輪俊之医事課長は「県は現場の都合を考えずに接種日程を変えるように言ってくるが、最優先すべき疾患の絞り込みも難しく困っている。数量と日程を事前に示してくれないと対応できない」と訴える。

 10日から接種を始める田山チャイルドクリニック(徳島市北矢三町3)では、ワクチンが希望の15人に対して12人分しか届かなかった。田山正伸院長は「6日から接種したかったが、日程調整が間に合わなかった。慢性疾患という線引きも難しい」と嘆く。

 えもとこどもクリニック(同市北沖洲3)は予防接種を火・木曜と決めているため、接種は10日から。しかし、ワクチンが10ミリリットル瓶(20人分)で届いたため、使用期限の24時間以内に使うには「希望者をまとめて接種せざるを得ない。予約の調整が大変だ」と頭を抱える

 6日から始める医療機関のうち、徳島市内の小児科は10月29日のワクチン配布後、一週間で予約を取った。院長(52)は「少しでも早く打ってあげたくて、対象者に1人ずつ確認の電話をかけた。県は一方的に指導するのではなく、現場の混乱ぶりを理解してもらいたい」と話した。

好意的に解釈すれば、県の方でも相応に混乱ぶりを呈しているのではないかとも思われるところですが、現場の混乱とはいささか質、量ともに異なっているのも確かでしょうね。
すでに対応し切れていなかった状況で小児向けのワクチン接種を予定より前倒ししようというのですから、これはどうしたって混乱が今以上に広がることは必至という話ですけれども、足立政務官の記者会見での答弁を聞いている限りではいささか現場の状況に疎いのではないかとも感じられる点は気がかりですかね。
いずれにしても小児相手の接種スケジュールも組むとなれば学校での集団接種にするのか、病院での個別接種にするのかとまた現場では計画を立て直さなければならないわけですが、そんな中でこんな妙に呑気な記事が出ていたことをご記憶でしょうか。

長妻さん、舛添さんに「大臣」…参院予算委(2009年11月6日読売新聞)

 「激励ありがとうございます。『舛添大臣』にお答え申し上げます」。6日午前に開かれた参院予算委員会で、長妻厚生労働相が、前厚労相の舛添要一議員(自民)から質問を受け、思わず「大臣」と呼びかける一幕があった。

 野党時代、国会論戦で厳しく厚生労働行政を追及してきた長妻厚労相。この日の予算委で、政権交代後、初の新旧大臣対決が実現し、まずは「(舛添氏の後任となり)感慨深いものがあります」と緊張した表情で切り出した。

 一方の舛添氏は、「長妻さん、私の後任で体を壊さないで」と、穏やかな口調で激励した後、新型インフルエンザ対策について質問。この答弁の中で、長妻厚労相から舛添氏への「大臣発言」が飛び出すと、他の議員からは笑いが漏れ、舛添氏も苦笑して応じていた。

いやそんなほのぼのしてるような話じゃないんですけども、肝心の新型インフルエンザ対策に関しては全く触れられていないような記事で、大臣はもとよりマスコミにもどうやらこの問題に関して危機感が希薄にも感じられるのは気がかりです。
新型インフルエンザワクチンが何故現場で取り回しが難しい10mlバイアルでの供給が主体となったのか、その「水増し」の構図につきましては以前にも取り上げたところですが、結局のところ見かけ上の出荷数が増えるという以外にはデメリットばかりなんじゃないかということがようやく世間でも騒がれるようになってきました。
この取り扱い要注意な10mlバイアルの問題点については既にあちこちで書かれていますけれども、長妻大臣も前任者に突っ込まれた結果ついついいろいろと口を滑らせてしまっているようで、上記の記事では触れられなかった部分でなかなかに興味深いコメントが飛び出しています。

10ミリバイアルはメーカーの事情 長妻厚労相(2009年11月6日ロハス・メディカル)

 長妻昭・厚生労働大臣は6日の参議院予算委員会で、国産ワクチンの供給量が上方修正される要因となった10ミリリットルバイアルの使用について、「(国内4社のうち)1社が、1ミリリットルの容器で新型のワクチンを作るとすると季節性インフルエンザワクチンの製造を中止しなければいけないという話もあって、我々としては量を確保するためにギリギリの判断をさせていただいた」と述べ、積極的に選択したわけではないことを明らかにした。(川口恭)

 舛添要一・前厚生労働大臣の質問に答えた。舛添氏は前大臣として、「私はその話を認可しなかった」「新たな薬害になりかねない」「官僚に騙されないように」などと追及。大臣の答弁は途中から首尾一貫しなくなり、鳩山由紀夫首相も加勢して何とかしのいだが、もし10ミリバイアルが原因で健康被害を生じた場合は首相の責任も免れない状況になった。

 この日の主なやりとりは以下の通り。

 舛添
「私がおった時、新型インフルエンザワクチンの培養で1800万人までしかできないということだった。私が辞めてすぐ2700万人分まで上がった。この上方修正の理由をお聞かせいただきたい」

 長妻
「当初見積もっていた時点では、ワクチンを出荷する時の容器、バイアルと言うが、容器の大きさを全て1ミリリットルで出荷しようとしていた。しかし昨今のワクチン不足ということで、容器の半分については10ミリリットル10倍大きな容器で出荷しようと、そうすると梱包とか色々な手間としてその部分が製造量が大きくできる。もう一つ、当初発表する時に間違いがあってはいけないということで予想される培養量から2割減らして発表した。実際にやってみないと分からないので予想されるものより低まっては大変なことになるので、8割の量で国民の皆さんに発表した。その後、試験を繰り返したところ実際に予想通り10割で培養量が確保できることになったので、その2つの大きな要素で上方修正した」

 舛添
「10ミリバイアルの安全性については確信を持たれているか」

 長妻
「1ミリリットルなら2回で中身が空になるので廃棄処分。10ミリリットルは、そこから何人分も注射針を刺して接種するということになるので、そこについてはきちっと消毒の徹底、打った後は冷蔵庫に保管する、24時間以内に使わない場合は廃棄するということを徹底している。海外でも10ミリリットルでの提供はなされているので、基本的に注意喚起したうえで使っていただければ問題ないと認識している」

ここで出ている「10mlバイアルは安全性に問題があるのでは」という話と関連して実際に厚労省から出ている注意喚起というのがこちららしいのですが、全量を大人用として使用しても18人分、子供が入るともっと多数に使い回すということのリスクをどの程度に考えるかですかね。
もともとワクチンの類は100%の安全性を云々といったゼロリスクの考え方とは馴染まないものですから、このあたりはあくまでリスクを承知で納得いただいた方にのみ接種するという現場での対応を徹底するのが防御策として必須ということではあるのでしょう。
むしろ興味深いのはこの後の舛添前大臣の追求の方なのですが、舛添前大臣が「10mlバイアルは危険だから許可しなかった」と言う話は自分はここで始めて聞いたことなので、そうまで認識していたのであれば在任中に公式の場でちゃんと公表しておけば、政権交代のゴタゴタに紛れて有耶無耶の内に「官僚に騙され」ることもなかっただろうにとも思われるところですけれどもね。

 舛添
「赤ちゃんは0.2ミリ。50人に打てる。50回やる時に、人間のやることだから針を換え忘れたら新たな薬害にならないか。24時間以内、ひょっとして雑菌が入る危険性もある。色々な問題がある。いつ大臣は決定したのか。私はその話を聞いた時に認可しなかった

 長妻
「そういう意味で10ミリリットルだけでなく1ミリリットル容器での提供もして、比較的ワクチンを打つ方が少ない所等々で差配をしていくということを考えている。いずれにしても広く、このワクチン接種に関しては、医療関係者、地方自治体、国民の皆さんにも中身をきちっと広報していくのは大事なので、これからもその努力を続けていきたい」

 舛添
容器の大きさを工夫をすることでワクチンの人数を増やすのは本末転倒。最初にやるべきことは安全。そこはしっかり大臣頑張って官僚に騙されないようにしないと困る。海外で10ミリは保健所のようなところで確実に50人その時にいるような時しか使ってない。10ミリ使って3人しか来なくて残りを破棄するようなことなら増えるどころか減る。どういう計算の元で生産をどうするのか考えないといけない。私は、最初は2500万人分作れると言っていたのを下方修正したのは、CDCからもらったワクチンの株の能力がなかったから。こういうことはきちんと公表している。記者会見で大臣がきちんと説明しなきゃ。お願いしますよ」

 どちらが与党か分からない雰囲気になってきたが、それは長妻大臣自身も感じていたらしい。

 長妻
「舛添大臣にお答えする。ワクチンの確保は非常に喫緊の課題。一つでも多くのワクチンを確保したいとの思いもあった。国産のワクチンを製造する会社は4社、国内にある。ところがそのうち1社については、1ミリリットルの容器で新型のワクチンを作るとすると季節性インフルエンザワクチンの製造を中止しなければいけないという話もあって、我々としては量を確保するためにギリギリの判断をさせていただいた。それらの使い方、中身については国民の皆さんにも医療関係者にも十分説明しているのでご理解いただきたい」

 舛添
その説明は初めて聞いた。大臣やった人間、前まで。インフルエンザ対策の本部、本部長は総理だ。官邸でやった時に、今のような説明をきちんと役人が、その会議でやったか」

 長妻
「舛添大臣にお答えする。あ、舛添委員にお答えする。失礼した。私も本部のメンバーなので答えると、官邸で開かれた本部でもワクチン接種の方法あるいは優先接種の方法などなどにちいてはきちっと専門家も交えて議論をしている

 舛添
「総理にお願いする」

 鳩山
「ただ今、長妻委員が答弁したとおり」

 舛添
「委員長ねえ」と言いかけたところで野党委員たちが委員長席に詰めかけ一時中断。
「官邸の対策本部が最高意思決定機関だが、随分その中にいる役人に抵抗されて苦労した、総理しっかりしないと今のようなことになる。きちんと説明をもらったか」

 鳩山
「官僚の皆さんから詳細な説明があった。長妻大臣が申した通り、この問題に関しては一方では安全性をしっかり確保しないといけない、しかし他方で安全性の意味でも多くの方にワクチンを提供しないといけない、その二つをいかにして生かしきるかが工夫ということ。ワクチンを欲しい方が全国にたくさんいる。その方々への目的を満たすために提供量を増やそうではないか、しかも色々な工夫の中で安全性の確認を徹底的に行ってやろうでないかと、そのような判断をなされたそのように理解している」

 舛添
「量の確保は相当苦労して二つの外国の会社とやった。そのために新しい法律を作らないといけないところまでやった。しかし総理、安全性第一。それから量の確保と矛盾する、その日のうちに使い切らないと無駄になって捨てるのだから。これ以上時間を取りたくないので正確な資料を出していただきたい。それからワクチン対策本部を開いてきちんと議論していただきたい」

 長妻
「資料は基本的に公表しているものなので整理して提出したい」

 鳩山
「人の命が大事というのは、ワクチンの提供を増やすのも人の命を大事にする政策だから、そこをいかに両立させるかで判断させていただいている」

 舛添
「10ミリリットルを使ったら無駄に破棄することになるから、その論理が成り立たない」

 長妻
「今、ワクチンを接種したいという希望を持っている方は多い。ワクチンを打ちたい方が来られて次が何日も来ないということではなくて、連続して来られることが想定されるので、そういう意味でもその問題も、生産量・提供量を増やすということとの兼ね合いで考えさせていただいた」

 鳩山
「破棄されてはならないと思っている。そこで色々と考えて、使い分けさせていただいて、0.5ミリが140万人、1ミリリットルが約1380万人、10ミリリットルが1180万人分、このように分けて10ミリリットルというのは一気に多くの方々に提供できることにさせていただくことにしている」

 舛添
「私の質問にきちんとお答えいただいてないので、ぜひ総理、今のような問題をきちんと話し合っていただきたい。人の命には代えられないのだから」

まあ舛添前大臣もここでゼロリスクの魔の手にはまりつつあるということなのか、あるいは野党としての政権攻撃のテクニックとして敢えて為にする議論をしているのかどうかは知りませんけれども、端数が出て無駄になるということと、10mlバイアルの物理的特性からコンタミネーションが発生しやすいということとはきちんと分けて論じるべきかなとは思いますね。
逆に言えば厚労省の言うやり方で分注の安全性が確保されると担保していただけるということであれば、前倒し予定という小児向けは基本的に10mlバイアルでの集団接種のみとするといった行政レベルの鶴の一声で在庫分程度は程よくさばけそうにも思います(これ以上の増産はやめていただいて、ですが)。

安全性に関する議論はそれとしても他方で現場、特に末端の中小医療機関ではなかなか状況は深刻で、特に送りつける行政側が発注分をなるべくまとめて10mlバイアルから先に納品しようと画策しているらしく、あちらでもこちらでも大騒ぎになっているようです。

876 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/05(木) 12:17:26 ID:Yom2n1Af0
>>856
小児に集団接種でもないのに10mlバイアルを送るのは阿呆だよな。
予約で詰めるにしても、そもそも小児は当日の体調でできないとかが
ボコボコ出てくるから、10mlなんかじゃロスが大きい。

机上の計算で10mlなら見かけの数が増やせるぜ。考えた俺、ヤッホーイ!
とか決めた奴が居るんだろうが…。

877 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/05(木) 12:44:59 ID:k5LkbkZ30
10mlバイアルも来たので納入拒否して、
1mlだけ納入したよ。

返品はできないが、納入取消はできるんだってさ。

928 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/06(金) 19:06:21 ID:a7atEWmN0
申し込む時は1週間単位なのに、納品時は2週間分。
週30人で申請したら、10mlバイアル3本納品しやがった。
どうやって、3バイアルを2週間に割り振るんだ!

946 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/11/07(土) 09:10:16 ID:Z2NICTsZO
新型インフルエンザのワクチン、奇数人数分頼んだら端数は切られるの?

ウチ13人分で申請したんだけど、初回に8人分、次に4人分きて
残り1人分はどうなるか分からないって…

医師会の説明会ではそんなこと言ってなかったのに…

947 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/07(土) 09:45:09 ID:/rvQvo/+0
>>946
削られるも、不要の一人分押しつけられるも向こうの都合次第のようで。

しかし、ここまで行政が無能だとは・・・ わかってたつもりだったけど
それでも甘かったかも。  A/ H1N1だからこんな事言ってられるけど、
H5N1 でこの感染力だったら日本終了だな。

行政側も現場の手順まで熟知しているとも到底思えませんから、これは明らかに予想された混乱というもので、製造元なり官僚なりが数合わせで得をした分のしわ寄せが一番多忙を極めるだろう現場に回されてきたということでしょう。
こういう状況になりますと理由が何にしろ責任問題ともなりかねないような話なんですけれども、これに関して足立政務官がなかなか興味深いコメントを連発しているのが注目に値します。

「10mlバイアル認めたのは前政権」-舛添前厚労相質問に、足立政務官(2009年11月6日ロハス・メディカル)

 厚生労働省の足立信也政務官は6日、同日の参議院予算委員会での舛添要一前厚労相の質問についてコメントし、「質問の中で、前政権では(10mlバイアルの導入を)認めていなかったのに、政権が代わって認められたという内容の質問がありましたが、そこは事実と認識が違う」と述べた。(熊田梨恵)

同日の記者会見で、次のように述べた。

「本日予算委員会で、舛添前厚生労働大臣から、ワクチンの10ミリバイアルについてのご質問がございました。その中で、汚染の危険性とか、針を刺す回数が増えれば汚染の機会は増える。これは私も舛添前大臣と認識は共有しております。しかし、その質問の中で、前政権では認めていなかったのに、政権が代わって認められたという内容の質問がありましたので、そこは事実と認識が違うということがありましたから、その点だけ最初に申し上げます。

10ミリリットルのバイアルを作って、そのことによって接種する人が増えるんではないかという検討は、8月31日と9月2日に開催された専門家の意見交換会で出てきたことでございます。そして、その意見の内容を厚生労働省としてまとめ、パブリックコメントを9月6日から13日まで行いました。そのパブリックコメントの中に、『可能な限り10ミリリットルバイアルによる効率的な接種を行う計画を策定し』と書かれております。ご案内のように、パブリックコメントの時期、これは前政権下でございます。9月16日に鳩山内閣が発足いたしましたけれども、そのパブリックコメント、厚生労働省の方針を受けて、ワクチン製造企業から今年度の生産の見込みが提示されたのが9月18日、でございます。それで(年度末までに可能なワクチン確保量が)2700万人ということが明らかになってきたわけです。ですからちょうど、10ミリリットルバイアルを導入することについては前政権下ですけども、その数、生産見込み等は政権交代の時期であったという、多少混乱があったのではないかという認識にですね、という気がいたしております。それは資料として参議院厚生労働委員会の方に、提出する予定でございます」

 このコメントは、舛添前大臣が質問中に「私はその話を聞いた時に認可しなかった」と述べたことへの反論。9月に厚労省が出した新型インフルエンザワクチンの接種に関するパブリックコメントには、「可能な限り10mlバイアルによる効率的な接種を行う計画を策定し、それに応じた10mlバイアルと1mlバイアルの生産割合を決定する」と書かれている。現政権からすれば、パブコメが出された当時の厚労相ならこの方針を知っていて当然ということだ。

■「医系技官が勝手にやったこと」
 ただ、当時の厚労相周辺に話を聞くと、「医系技官から舛添大臣へのレクで10ミリバイアルの話はあったが、『国産ワクチンをどうすれば増やせるか』というベースで話をする中で、『10ミリバイアルという方法もあります』といった"ついで"程度の話があったぐらいで、まさか本当にそうするとは思えない雰囲気だった。もちろん大臣も認めたりしていないが、パブリックコメントを見たら10ミリバイアルについて書かれていて驚いた。パブコメにそんなことが書かれているとは大臣も当然知らないことで、医系技官が勝手にこっそりやってしまった」と、政権交代という"エアポケット"の時期に、厚労省の医系技官が進めた事だとしている。

足立氏の言うパブコメ云々というのは発言内容からすると、こちら9月4日に厚労省から出ている「新型インフルエンザワクチン(A/H1N1)の接種について(素案)」のことだと思いますけれども、政権交代の端境期に出された官僚の作文になる下書きレベルの素案を元に「前政権が認めていた」というのはいささか無理筋な発言ではないかとは思うところです。
民主党政権としてみればいきなり妙なことに巻き込まれて迷惑という事情も判るのですが、足立氏ともあろう方がそんな道理も理解できないはずがありませんから、これはいささか足許をみられかねない蛇足であったかなという気はしますね。
どうも足立氏も頭に血が上っているということなのか、今度は返す刀でマスコミに対しても噛みついているようで、これは今まで蜜月を維持してきた民主党とメディアとの関係も思わぬところからひびが入るのか?と妙な期待もされてくるところではありますね(苦笑)。

足立政務官、マスメディアへの憤りぶちまける」(2009年11月9日ロハス・メディカル)

 昨日の『現場からの医療改革推進協議会』に登壇した足立信也厚生労働大臣政務官が、6日夜の会見に関して「これだけ重要なデータを出したのに一紙も出てない」とマスメディアに対して憤りを見せた。会見の発言内容は既にお伝え済みだが、グラフをお示ししていなかったので、ここに掲載すると共に昨日の政務官発言のうち該当する部分をご紹介する。(川口恭)

メディアの方々にちょっと私も今困っています。具体的な例が、例の1回か2回かという話になるんでしょうが、10ミリリットルの話も出ましたけど、この10 ミリリットルを決めたのも、決めたというか意見が出たのも専門家の意見交換会です。それを厚生労働省がその後判断してパブリックコメントに10ミリリットルでやるとなったわけで、今まで専門家の意見交換会で何か決まった決めたということは一度もない。なんで今回だけこういう報道になったか非常に疑問

 中には、『足立が仲のいい昔の友達を呼び集めて』というような報道もありました。私は、あの時、山形や神戸から駆けつけて下さった方々に大変感謝していますけれど、森兼先生、岩田先生とはあの時初対面です。森澤先生も、その2週間くらい前に初めて会った。どうしてメディアの人って確認しないんだろうな、と。あの場で、森兼先生に名刺を渡したのを、みんな見ているんですよ」

先週の金曜日に7時から記者会見をしまして、新型インフルエンザワクチン接種の前倒しということについて自治体あてに希望を出させていただきました。なぜ先週だったかということから申し上げたい。(中略)(先週の金曜日が3回目の出荷で)やっと600万回分になった。11月後半にようやく600万回分が現場に届く、だから前倒しが可能だろうということで、先週発表させていただいた。それで、これは厚生労働省のインフルエンザ対策本部でずっと私が検討させて作らせたものですが、こういうデータは世界にもないと思います。これは分母が人口で、分子が入院サーベランスから取ったものです。

「(中略)これが重症患者の発生率です。重症患者というのは、脳症または人工呼吸器の乗った人です。こういう分布です。金曜日に記者会見して、世界で多分初めてのデータですと言って、この後で接種前倒しのスライドも出ますけど、土曜日の朝刊はそれが全部出るだろうと私は思いましたよ。国民にとって、もの凄く大事なことだから。一社もなかったです。長妻さんが『舛添大臣と言った』というのがいっぱい出てて、このデータを出している所、それから次に出すスケジュールの前倒し、一社もないですよ。これがメディアですか。

 今これだけ国民の方から要望されていて、今このタイミングであればできると思ってやったことを誰も伝えない。これ、重要なことは、基礎疾患を持つ方が、お子さんのところも圧倒的にハイリスクなんだということですね。これをぜひ理解してもらいたい。特に14歳以下ですね。で基礎疾患のない方は5歳から9歳がやっぱり高い、この2点です。これだけのデータができたからこそ変えたのです」

しかしまあ、データがでたから変えましたというのも確かに事実なんでしょうけれども、週末お休みの厚労省でこのところ「大事なことだから金曜日に発表しましたよ」なパターンが続いているのもまた事実のような気がしますけれどもね。
これはやはりお上の言う事に対しては異議や質問はいっさい受け付けないという断固たる決意の表れと見ていいということなんでしょうかね?(苦笑)というのは冗談半分としても、反論を封じ込んだ状態で既成事実化を進めるという、すっかり官僚のペースに乗せられているのは確からしいと思えるところです。
足立氏も臨床のキャリアが長いということである意味現場感覚を持っているというのが売りになっているわけですけれども、こういうコメントが続くと妙に政治家ズレしてきたのかなと言いますか、その売りも怪しくなってくるのではないかなと懸念されるところなんですがねえ。

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2009年11月 9日 (月)

青息吐息の病院経営 戦犯捜しが斜め上方向に逸脱しても困りますが

少し前にこんな記事がありました。

病院倒産件数が過去最悪 小泉改革が経営直撃(2009年10月27日zakzak)

 病院、医院などを運営する医療法人の経営破綻が急増している。今年に入ってから9月末までの倒産件数が53件に達し、この時点で年間の過去最悪記録を突破。競争激化や診療報酬引き下げなどで経営が悪化、資金繰りが行き詰まるケースが多い。医療業界からは「小泉政権の医療制度改革が倒産急増という形で吹き出している」との批判も出ている。

 今年4月には、大手総合病院の「平野同仁会」(岡山)が民事再生法の適用を申請。負債総額は医療業界では今年最大となる59億円だった。
 5月には、診療所経営「きのだ会」(大阪、負債総額21億円)、人間ドックが中心の「社団アース」(東京、同7億円)がそれぞれ破産を申請している。
 東京商工リサーチによると、総合病院や小規模クリニック、医院などの医療法人の倒産件数は9月末現在で53件。「統計を取り始めた1989年以降で最多だった07年の年間52件をすでに超えている」(商工リサーチ)ほどの惨状だ。
 おもな原因は、一般企業の収益にあたる診療報酬急減による資金繰りの悪化だ。
 羽振りのよさでは金融業界にも劣らないといわれた医療業界。しかし、いまや「(倒産は)明日はわが身とおびえている病院は少なくない」(医療関係者)という。

 大手総合病院を経営する50代の医師が次のように明かす。
 「小泉政権が打ち出した年間2200億円の社会保障費削減が相当響いている。この削減策を受けて始まった『後期高齢者医療制度』で、75歳以上の高齢者の受診が急激に減り、さらに『療養型病床』を大幅に削減する政策がとられたことで、診療報酬の減少に拍車がかかった」
 後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者が全員加入する公的医療保険制度のことで、08年に創設された。制度導入以前に扶養家族となり、保険料を払う必要がなかった高齢者も新たに保険料を支払わなくてはいけなくなり、高齢者の医療負担が増加した。
 「この制度には国民の批判が集まり、自民党が8月の総選挙で惨敗する一因にもなった」(永田町筋)
 療養型病床とは高齢者を中心に慢性疾患を抱える患者を受け入れる病床を指す。先の大手総合病院経営の医師がいう。
 「このほか、小泉政権下で改正された研修医制度も大きい。大学の研修医が自由に研修先を選べるようになり、一部の人気病院に研修医が集中して、本当に医師が必要な病院や地方の病院に人手が回らなくなった。医師不足で診療体制が手薄になった大学病院のなかには、関連病院から医師を引き揚げる現象も起きている」
 大学から医師を引き揚げられた関連病院や地方の病院では、医師不足による診療サービスの低下が進んで、受診者離れが加速。病院経営を直撃しているという。

 民主党はマニフェスト(政権公約)に、後期高齢者医療制度の廃止や医療崩壊に歯止めをかけることを盛り込んでおり、「医療業界もかなり期待している」(先の医師)という。
 商工リサーチは「民主党の制度改革が実現するにしても、時間がかかればその間に倒産件数は増加する。受診者が多い大都市の病院は何とかなるが、地方の病院が置かれた立場はかなり深刻だ。医療機関は余談を許さない状況が続いている」と警戒している。

実のところ大型倒産だと騒いでいますけれども、もともと利益を出さなければ生き残っていけない民間病院だからこそこの程度でも赤字になればやめているわけで、今も青息吐息で運営を続けている公立病院の赤字などというものは、あちらでもこちらでも到底こんなレベルではないということは承知しておかなければならないでしょうね。
今どきどこの業界でも倒産だ経営不振だという話題には事欠きませんから、医療業界だけが未来永劫健全経営というのも違和感があるのは確かですが、この記事にも見られますように最近ではあちこちから「戦犯捜し」の声が高まってきているようですね。
最近少しばかり話題になったのが以前に市職員全員の給与額を公表してみたり、市議の不人気投票をしてみたりといろいろと話題に事欠かない竹原信一・阿久根市長のブログですが、こちらでは「医師が金儲けに走っている為」と非常に明快です(苦笑)。

医師不足の原因は医師会(2009年11月8日阿久根市長ブログ記事)

 医師不足が全国的な問題になっている。特に勤務医の不足は深刻だ。
医師が金儲けに走っている為だが、この体質を後押ししてきたのが医師会だった。

以下 池田信夫blogから引用
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f65bacae249f66488dc8bfc3e9fbe384

----------------------
かつて「医師過剰」の是正を繰り返し求めたのは日本医師会出身の議員だった。たとえば1993年に参議院文教委員会で、宮崎秀樹議員(当時)は
次は、大学の医学部、医科大学の学生定員の問題でございます。これに関しましてはいろいろ定員削減という方向で文部省と厚生省との話し合いができておりまして、一〇%削減、こういう目標を立ててやっているのですが、実際にはそこまでいっていない。[・・・]例えば昭和六十三年には十万対百六十四人だった。これが平成三十七年には三百人になるんです。三百人というのはいかにも医師の数が多過ぎる。
と医学部の定員削減を求めている。宮崎氏は日本医師会の副会長を歴任した。
----------引用おわり

 勤務医師不足を解消する為に勤務医の給料を現在の1500万円程度から開業医(2500万円程度)に近づけるべきなどとの議論が出てきている。
しかしこんな事では問題は解決しない。医者業界の金持ちが増えるだけのこと。

医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。できてもいない。例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。
「生まれる事は喜びで、死は忌むべき事」というのは間違いだ。個人的な欲でデタラメをするのはもっての外だが、センチメンタリズムで社会を作る責任を果たすことはできない。
社会は志を掲げ、意志を持って悲しみを引き受けなければならない。未来を作るために。

まあ記事を見ても判るようにかなり独特な感性をお持ちの方なんでしょうが(苦笑)、そう言えば阿久根市では市職員である医師が市長の倍額以上というとんでもない高給取りであったことが判明してひと頃「諸悪の元凶?!(笑)」と話題になりましたけれども、ああいう金儲け主義の医者はとっくに同市から排除されたと言うことなのか、その後消えてしまっているようですね。
特に自治体病院の経営は近年ますます深刻化してきていて、「医師が金儲けに走っている」ことが諸悪の根源と言い張っていれば市長として住民に言い訳がしやすいのは確かなんでしょうけれども、ところが実際に誰が金儲けに走っているのかというと、これはお得意の情緒的発言ではなく客観的データを元に示さなければならないところですね。

国公立病院、放漫経営で8割赤字も年収は民間の1.8倍と判明(2009年11月7日MONEYzine)

 自治体病院のうち約8割が赤字という状況の中、国公立病院の事務職員の平均年収は600万円台で、民間病院の約1.8倍に及ぶことが判明した。

 厚生労働省がまとめた2008年度の医療経済実態調査で、国公立病院の事務職員の平均年収は600万円台で、民間病院の約1.8倍に及ぶことが判明した。

 全国に957ある自治体病院のうち約8割が赤字決算(2007年度)という状況の中、国立病院の事務職員の平均年収は08年度時点で687万円となり、民間病院の事務職員(351万円)の1.95倍に達していたことが明らかとなった。公立病院の職員の年収は625万円で民間の1.78倍だった。

 国公立病院の経営が悪化している背景には、もともとコスト意識に欠ける役所体質だったところに医療費抑制を目的に診療報酬のマイナス改定が相次ぎ、医師不足から診療科を縮小、医業収入が大幅に落ち込むという悪循環に陥っていることが挙げられるが、職員の給料が民間より高いことも高コスト体質を招き状況を悪化させている。自治体病院には、自治体の一般会計から繰り入れが行われており、これが医業収入に含まれるが、国公立病院の医業収益に占める給与費の割合(今年6月の単月ベース)は約59%。国公立を除く病院の約53%より高かった

 民間より優遇されているにもかかわらず赤字は拡大を続け、放漫経営が問題になっている一方で、現場では手術件数を増やすなど病院経営を維持するために必死だ。しかしこれが逆に慢性的に医師が不足する状況を生み出し、医療の質の低下へつながっている。医師不足対策として長妻昭厚生労働相は、来年度の診療報酬改定で国公立などの大病院に手厚く配分する考えだが、給与の官民格差が浮き彫りになったことで議論も起こりそうだ

 今回の調査対象は独立行政法人の国立病院機構が運営する病院、労災病院、都道府県立や市町村立の公立病院など。個人経営の病院を含め、160の施設から回答を得た。自治体の体力により多くの繰り入れが可能なところもあるので、赤字がその病院の経営努力を必ずしも反映していない場合もあるが、経営形態を自治体の直営に執着しない改革が求められている。

いやまあ、今さら判明なんて言っていますけれども、そんなことははるか昔から当たり前の常識なのであって、ただ単にマスコミが今まで全くといっていいほど報道していなかったというだけの話なんですけれどもね(苦笑)。
そんなものは公立病院=糞病院という評価がとっくに定着しているネット界隈では「公務員様の足許にひれ伏す奴隷医者」という構図は定説なのであって、今どきそんなところで医療をやろうなどと考えているのはよほどの情弱か奴隷根性が染みついた奇特な御仁かと言われるくらいなものです。

231 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/08(日) 22:31:48 ID:S0HLZcEX0
田舎の某公立病院勤務なのですが・・・。改めて思うのは、所詮公立病院とは役場の一部門に過ぎない、ということ。
いえ、町長から指図されるのはわかるんです。病院の管理者ですから。でも、日頃病院にやってこない小役人
相手にいろいろ指図されるのはどうも性に合いませんね。
院内会議でも、あらかじめ役場で調整済で結論を動かしようのない案件を事務長が院内会議にかけて、さも病院
職員で討議したような体裁をとりつつも、実際には会議でどんな提案がなされようとも事務長は医師の提案にも
技師や職員のアイディアにも適当に愛想を振りつつも結論にはまるで影響を及ぼさない。「そんな意見も出まし
たね・・・」で終わってしまう。現場の意見を取り上げてくれないとモチベーションも下がるし、こちらも徹底
的な防衛医療に走るしかなくなってしまいそうです。
熱くならずに、流れに身を任せていれば楽なんですが、こんなところで数年くすぶっていると、自分の精神が田
舎公務員化して堕落しそう。厳しいけれどあえて民間に行こうかなあ。

232 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/11/08(日) 22:43:01 ID:OI3NmZV60
>>231
> 所詮公立病院とは役場の一部門に過ぎない、ということ。

結局は、そこに行き着くんでしょうね。

もちろんあちこちでしたり顔の評論家の先生方が仰っているように、公定価格で医療をやっている以上は診療報酬削減にしろ政策的な赤字要因も多々あるでしょうし、医学部定員削減にしろそれに反対するどころか後押ししてきた医師会ら諸団体の心得違いも確かにあるでしょう。
一方で自分は特定個人なり集団なりに戦犯を求めるという姿勢は、こと医療崩壊という現象に関してはあまり意味がないんじゃないかという気がしますけれども、その理由として問題の根本原因は当事者である医者自身が闇雲に突っ走ってきた足をふと止めて周りを見回した時、「あれ?何かそれっておかしいんじゃない?」と気づき始めたということにあるように思うからです。
何も知らない素人がいい加減な方針ばかり立てているだとか、身を粉にして働いても報わないだとか、その程度のことならと思うような小さな各論が集まって何となく嫌な雰囲気を形成してしまっているのだとすれば、これはどこかに存在する問題点を解消すればいいというような単純な解決策はないんじゃないかということにもつながります。

こういう問題も今どきどこの業界でも大なり小なりあることだと言ってしまえばそれまでなんですが、専門性と希少性が高く超売り手市場という医者稼業においてはそれが特に顕在化してしまったということなんだと思いますし、その解消のために敢えて専門性のハードルを下げ需給バランスを逆転させるというのは誰しも考えつく話です。
その意味では医者を山ほど増やして使える連中だけ使っていったらいいというのも一面で確かにその通りなんですが、その副作用とも言うべきは「全ての医者に最高度の技術を求める必要はない」ではなく、「全ての国民が最高度の医療を受ける必要はない」と言うべきであって、実はそれこそ国民皆保険制度下で政治家の皆さんが口を閉ざしてきた大きなテーマでもあるわけですよね。
竹原市長の卓見を広く世に受け入れられるものとするためにも、市長はまず阿久根市民に向かって「皆さんにはこれから粗製濫造、安かろう悪かろうの医療を受けてもらうことになるが、未来を作るために納得してもらいたい」と、選良として説明と同意の義務を果たすべき責任というものがあるんじゃないかと思いますね。

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2009年11月 8日 (日)

今日のぐり;「おらんく家本店」

先日こういうニュースを見かけましたが、ちょっとそれはどうなのよという話です。

電柱に登る女、道を塞ぐ裸男(2009年10月12日ココログニュース)

頭に血が上ると何をしでかすかわからない、という人はいつの世にも世界のどこにでもいるようだが、特に広くて人の多い中国ではとんでもない行動に走ってしまう方々のニュースが日常茶飯事として伝えられる。

湖北省武漢市では7日、1人の40代女性が電柱によじ登る騒ぎが発生した。その理由はバクチ好きで家の金をさんざん使い込んだ夫が最近2万元(約 27万円)勝ったにもかかわらず、一銭も女性に渡さなかったことらしい。警官らが必死に説得工作に当たり事なきを得たようだが、あと30センチ登っていたら電線に触れて感電死していただろうとのこと。

やはり7日の午前中、同じく武漢市で中年男性が全裸になって道路に寝転がり道をふさいで騒ぎとなった。こちらは、前日に不動産屋と結んだ借家の賃貸契約を解消しようと談判していたところ交渉が決裂、興奮した男性がいきなり服を脱ぎだし、そのまま飛び出して生まれたままの姿で道路に横たわったという。その後、警官の仲介で契約解消が成立したそうである。

殴られたり刺されたりするよりはマシかもしれない。でも、人様に迷惑をかけるような奇怪な行動は、やっぱり良くない。

まあ…どこの世界にも少しばかり変、と言う人はいるものですけれども、一時の感情で突っ走ってしまうと後々大きなことになってしまうということはよくよく承知しておいた方がよさそうですよね。
今日はそんなちょっと変わり種という人たちの話題を集めてみましたが、まずはこちらの話題からいってみましょう。

改造「走るチェア」で飲酒暴走 男に有罪 米ミネソタ州(2009年10月23日産経新聞)

 いすにエンジンをつけた手製の「走るチェア」で飲酒事故を起こした男に対し、米ミネソタ州の裁判所は23日までに、禁固180日、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。

 男は、デニス・アンダーソン被告(62)。

 地元警察などによると、アンダーソン被告は、いすに芝刈り機のエンジンを装着するなどして「走るチェア」を作製。昨年8月、いすに乗り込み、地元のバーでビールをコップで8、9杯飲んで帰る途中、駐車中の車に衝突する事故を起こした。

 いすにはステレオやカップホルダーもついていたという。(AP)

この問題の「走る椅子」なるものの写真がありまして、いろいろと言いたいことは多々あるのですが、もう少し美的センスが…
ところでこの一件、飲酒運転で事故を起こしたということで有罪判決となったように受け取れる記事なんですが、こういう改造車輛で走ること自体はあちらでは犯罪行為にはならないんでしょうかね?

一方では同じアメリカから日本でも人気の肉体俳優の一人として有名な方が、妙な仕込みをやってしまった?!とちょいとした話題になっているというニュースです。

シュワ知事 公式書簡に隠し文字で怒りの「Fuck You」(2009年11月4日産経新聞)

 米カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事が議会にあてた書簡が、物議をかもしている。重要案件の扱いをめぐって州議会の対応を批判する内容だが、文面自体は常識的で穏当なもの。ところが、この文章をよーく眺めてみると…。

 シュワルツェネッガー知事は今月7日、州議会に対し、水道や刑務所問題の改革、保健行政に関する重要法案が棚上げされている一方で、緊急を要しないと考える財政改革法案が議決されたことに不快感を表明。同法案に対し、拒否権を発動したことを写真のような文面で議会に通達した。

 知事がこうした文書を出すこと自体が異例というが、それ以上に関係者を仰天させるメッセージが文章中に隠されていた。公式書簡の定型文である書き出しと終わりの2行を除いた、各段落の文頭の文字をつなぎ合わせて縦読みすると、「I Fuck You」となるのだ。

 シュワルツェネッガー知事と州議会との仲の悪さは周知の事実。しかも、この書簡は知事から議会への“抗議文書”だけに、米国で最も忌み嫌われるNGワードで議会を中傷したとの憶測が広まるのも不思議ではない。

 知事報道官は「単なる偶然だ」と弁明しているが、26あるアルファベットのうち特定の8文字が一定の法則で規則正しく並ぶ可能性は天文学的確率。「I」「F」「Y」が、きちんと大文字になっている点も、できすぎの印象だ。

 地元紙の取材に、サクラメント州立大のバーバラ・オコーナ教授(政治学)は「あまりにも辛辣で市民の反感も深いが、この文章を知事自身が作ったかどうかは疑問。ひそかにほくそ笑んでいるスタッフがいるかもしれない」と話している。

これはもう写真を見ていただければ一目瞭然で、どこからどう見ても「縦」ですよねえ…
ちなみにこの一件に関して彼の地の友人に意見を求めましたところ「奴にそんな知性はない」と一刀両断されましたが、そうでなくともこの種の文章は元原稿ならともかく改行などまで知事がいちいち合わせるとも思いがたいですから、誰かしら代筆者がいることは確実なんでしょうね。

さてこちら、ロンドン市長はもしかするとシュワ知事よりも肉体派かも?!というニュースです。

ロンドン市長、夜道で襲われていた女性を救出(2009年11月5日ロイター)

 英ロンドンのジョンソン市長が、金属棒を持った少女らに襲撃されていた女性を、サイクリングの途中で助けていたことが分かった。市長の報道官が4日発表した。

 報道によると、被害にあったのはドキュメンタリー映画制作者のフラニー・アームストロングさんで、3日夜にロンドン北部を歩いていたところ、少女らに襲われたという。

 アームストロングさんは、英ガーディアン紙に「自転車に乗った人が通り過ぎたので、『助けてください』と叫んだ。『ロンドン市長だわ』と言うと、(少女たちは)逃げていった」と語った。

 その後、同市長はアームストロングさんを自宅まで送り届けたという。

 アームストロングさんは、昨年のロンドン市長選挙ではジョンソン氏の対立候補だったリビングストン前市長に投票したが、夜道でトラブルに巻き込まれた時に頼りになるのはジョンソン氏かもしれないとコメント。「輝く自転車に乗った騎士だった」と話している。

「夜道でトラブルに巻き込まれた時に頼りになるのはジョンソン氏かもしれない」というコメントがさすがブリだなという感じですけれども(苦笑)、この市長さんは写真を見るかぎりではごく普通の人のようにも見えますけれどもね。
しかし街を歩いていて少女達に襲われたという状況がどうも想像しにくいんですが、ロンドンではこういうことが一般的なのかと妙な好奇心もそそられるような話です。

最後に控えますのはこちら、いささか品がないお話ではあるのですけれども妙に微笑ましいという、何とも面白い記事です。

暴言連発! ハードコアおばあちゃんがプレイする『Br?tal Legend』(動画あり)(2009年11月4日Kotaku JAPAN)

アメリカはクリーブランド在住のゲーマーおばあちゃん、通称「Old Grandma Hardcore(オールド・グランマ・ハードコア)」。そんなハードコアゲーマーなおばあちゃんが毒吐きまくりで今回プレイしたのはヘヴィーメタル系アクションゲームの『Brütal Legend(ブルータル・レジェンド)』です。

以下、毒舌だけどなぜか憎めない、愛嬌たっぷりのハードコアばあちゃんのプレイ風景をどうぞ。

        *  ハードコアばあちゃん名言集、『Brütal Legend』編

    「おら、死ね! あ~何だよ、二方向から攻撃されてるじゃないか。ファ○ク!」

    「ゲームを始めたときはシンプルなゲームだと思ったけど、ちょっと遊んでみてどんなに複雑か気づいたわ。」

    「ファ○ク・ヘッド! (腐れ脳みそが!)あ゛ッーーー! 飲み物もってきてちょうだい。」

    「子供達が大きくなってヘヴィーメタルを聞いてたときは我慢できなかったわ。今聞いてみると悪くないね、うっふっふ。変だけどね。」

    「はハッ! 奴らに稲妻が撃てるようになった。」

    「(敵に稲妻を浴びせながら)はっはっは! 死にな、雑魚が。」

しゃべり方はまるでやんちゃな若者のようですが、おばあちゃんのブログを管理しているお孫さんによれば、ファ○クの連発は愛嬌をこめて使われているそうです。

お孫さんいわく「今までのどのゲームよりもおばあちゃんが喜ぶと同時にブチ切れるゲームだった、と言ったら嘘になるかな。そんなこと言ったら、今までおばあちゃんが気に入ったゲームすべてがそうだな。でも(ブルータル・レジェンドを)とても気に入ってくれたよ。」とのこと。

いやあどうしましょう!お婆ちゃんマジで熱くなっちゃってますよ!て言うかあだ名までついてるってどうなんですか!
しかし考えてみればもう数十年もすればヲタク世代と言われる人々もそろって高齢者の仲間入りをしていくわけで、これは今までのご老人像というものが全く通用しない時代がやってくるということなんでしょうかね?
何かおそろしいような楽しみなような…

今日のぐり;「おらんく家本店」

高知市内以外にも、大阪や東京にも支店を構えるというそれなりに大きなチェーン店となっているのがこちら「おらんく家」です。
比較的リーズナブルな価格帯の寿司チェーン店でありながら、寿司のみならず各種土佐料理なども結構食べさせるとなかなか好評のようですね。
寿司屋とくればたいていはカウンターで寿司をつまむのですが、この日は座敷で適当に高知っぽい料理を頼んでみることにしました。

さて、高知と言えばこれがなければ始まらないというカツオのたたきですけれども、こちらやや小ぶりなカツオかなと言う感じなんですが、ちゃんとぶっとく厚切りされた(これ重要です!)中に濃厚な血の風味とうま味があってなかなか良い具合ですよね。
こちらでも塩たたきを扱っているのですが、これがなかなか同行者にも好評で、お腹に余裕のある向きには是非ともセットで味わってみていただきたいところです。
ところで今の今までカツオのたたきを巻き込んだ太巻きが土佐巻きだと認識していたのですが、こちらでは珍しく細巻きになっているんですね。
カツオというと厚切りにした身のあのぶりぶりの食感もご馳走の一つと思っているのですが、こうして細巻きにしてみると味もなにかさっぱりしたように感じられて食べやすいのは確かですね。
高知と言えば四万十を始めいろいろと川の幸も名高いところですが、こちら鰻のかばやき、白焼きは養殖の鰻なのかなとも思うのですが、なかなかしっかりした身質のうまい鰻だと思いますね。
白焼きはほっくりした焼き加減が香ばしく酒に合い、蒲焼きはまさに「これで飯食いて~!」状態です(残念ながら寿司屋だけに白飯というのはなさそうですが)。

寿司屋に来て寿司も食わなければ嘘だろうということで、肝心の寿司の方はにぎり一式を注文しましたが、今風に比較的大振りなネタが目立つ一方でなかなかシャリもうまいのは好印象ですね。
ネタなどを見ますとリーズナブルな値段相応で特別高価なものは入っていないんですが、見た目の豪華さよりも実質本意に安くてもうまいものを選んできたという感じでこの選択には好感が持てますね。
鯛なども最上のものと比べればもの凄くうまい鯛というわけではなく普通にうまいというレベルなんですけれども、ともすれば見てくれと食感だけで味も何もないような鯛を出してくる店も多いなかで、ちゃんと味重視で熟成させてきたのは良いことだと思います。
個人的ににぎりの締めに卵というのが定番で、ここの卵は大振りのふんわりと焼き上げてある卵でなかなかうまいと思うのですが、今回気がつきましたことにこの卵の流儀は同じおらんく家の中でも店毎に違うものなんですね。
以前に愛宕店に御邪魔しました時には妙に遊び心のある卵を出してもらいましたけれども、そういった面で言えばやはりカウンターに座った方が職人の腕との対話が楽しめるのかなとも思うところでした。

寿司屋としては価格帯的には回転寿司よりは少し上という程度で格別高い方でもないのですが、絶品とまでは言わないものの普通においしくいただける寿司を庶民的な値段で食べられるというのはありがたいことだと思います。
しかしおらんく家と言えば最近は改装で消えていっているようですが、以前は動く鯨の張りぼて(店外に頭が、店内に尻尾があってそれなりに場所を取るものなんですよね)があったり、改装したらしたで愛宕店のようにやたらと招き猫だらけになってみたりと、この独特の店構えというものは誰のセンスなんでしょうね?
その招き猫の効果か(笑)あまり格式張らずに入りやすく、コストパフォーマンスもそれなりに高い店という感じで、他県人からするとこういう店が当たり前にある土地柄というのは結構うらやましいものなんじゃないかなとも思いますけれどもね。

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2009年11月 7日 (土)

自省するマスコミ業界 その効果は果たして?

先日とある新聞にこういう記事が出ていました。

洛書き帳:ある民放テレビ番組でキャスターが… /京都(2009年10月23日毎日新聞)

 ある民放テレビ番組でキャスターが「鳩山内閣の支持率が○○%となったことが調査で明らかになりました」と述べた。ちょっと待て。おたくが世論調査をしたら、その数字だったんだろ▼ある公共放送では、独裁政権を倒した革命後、米国による経済封鎖で困窮するキューバについてキャスターが「貧しさを分かち合う平等でした」と一言。そうじゃない。できる限り分かち合おうとしてきたのに邪魔され、仕方なく貧しいんじゃないか▼どちらも言葉の使い方を誤っただけだろうが、社会や物事のとらえ方そのものがおかしいとも受けとられる。報道に携わる者の一人として、あきれつつも気をつけよう。【太田裕之】

何の仕事であれ人間関係が重要である以上、言葉の使い方に気をつけるべきなのは言うまでもないことですが、ましてや言葉を売りにして飯を食っているマスコミ関係者が言葉をおろそかにするなどということは決してあってはならないことです。
うどん屋が小麦粉にこだわり、寿司屋が魚にこだわるのと全く同様に、一語一句であっても十分に考え、言葉を吟味して使うというのが当たり前に求められる職業的態度というものであって、これを怠るようではプロフェッショナルとして求められる水準を満たしていないということにもなりかねません。
さて、同じ新聞に数日後に掲載された別な記事にこういうものがありました。

泉:もう一度、初心に戻りたい /山梨(2009年10月27日毎日新聞)

 今月上旬、学生時代の友人や東京本社で働く同期数人に久しぶりに会った。全員に言われた言葉が「強くなったね」。どうやら「神経がずぶとくなった」ということらしい。

 記者になって7カ月。確かに自分でも思い当たることはある。ある事件の加害者について、近所の住宅一軒一軒に「どのような暮らしぶりだったのか」など聞いて回った。すると60代くらいの男性から、こう言われ、そのままドアを閉められた。「あんたは人の不幸を楽しんでいる顔をしている

 そんな気持ちは全くなかったが、「マスコミ」に対する世間一般の厳しい見方を感じ、その言葉がしばらく胸に刺さって抜けなかった。

 だが、次々に起こる事件や事故の取材をするうち、そのショックは次第に薄れていった。記者になったばかりのころは、毎日県内のどこかで事故が起き、誰かが逮捕されていることに驚き、人々の人生に思いをはせていた。どこかに「慣れ」が出ていないか。「ずぶとい」という友人たちの言葉をきっかけに、もう一度初心に戻りたい。【甲府支局・山口香織】

山口香織氏曰く新聞記者になると「神経がずぶとくなる」んだそうですが、世間ではもう少し別な見方をしているようにも感じられるところなんですけれどもね。
試みにネット界隈での評を見てみますと、こんな感じに見えるようです。

569 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/27(火) 14:12:16.51 ID:nWcr3PZ90
>>567
そのスレでもきっと指摘されてると思うけど……

「あんた」に言ったんだよね、その60台くらいの男性は。
「マスコミ」に対してじゃなくてね。

想像力が無く、すり替えや責任転嫁しかできないのが変態記者クオリティ。

570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/27(火) 14:22:55.61 ID:zYXCFvJ+0
(略)
>>569
どんな顔か見てみたいなw

この山口香織って、つい最近も見たような記憶があって調べたら・・・
オクで女性の服を購入した男が、それを着たチ●コ写真をメールで送った件を嬉々として書いていた記者だたw

<わいせつ容疑>落札した服着て下半身露出 出品者にメール
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091020-00000135-mai-soci

581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/27(火) 16:27:37.20 ID:2dmr2bJu0
>>567
男性にこう言えば良かった
「私たちはプロの野次馬です 誇りを持ってやってるんです!><」

582 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/27(火) 16:38:49.37 ID:FuhciJV8O
>>581
つ  忘れ物【パンツから爆弾まで幅広い泥棒稼業もやってます】

いずれにしても彼らマスコミ業界もようやく「世間の厳しい見方」なるものを自覚するようにはなってきたという話ですが、問題は自覚した結果その行動がどう変わるかということですよね。
先日も驚くような人権感覚で世間を賑わせたTBSですが、残念ながらその後も相変わらずという状況は続いているようです。
ギネスブック男のみのもんた氏がまたまたやってくれましたが、このパターンももはやお約束という感じなんでしょうかね?

「朝ズバ」で重大な放送倫理違反 BPO、TBSに勧告(2009年10月31日J-CASTニュース)

   放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は、TBSの報道番組「みのもんたの朝ズバッ!」で「重大な放送倫理違反」があったとして、同テレビ局に2009年10月30日に勧告した。

   問題の番組は08年2月13日に放送されたもの。1999年に東京都杉並区で割りばしがのどに刺さり死亡した男児を診察した医師に過失はなかったとした民事訴訟の判決について、司会のみのもんたさんが「素人でも、脳に損傷はないのかな、と考えますよね」などと述べた。医師は「名誉棄損に当たる」と訴え、謝罪放送などを求めてBPOに審理を申し立てていた。BPOは、みのさんの発言が「医師の社会的評価を低下させた」と指摘した。


「朝ズバ!」BPO勧告でTBS社長が再発防止徹底を指示(2009年11月2日産経新聞)

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会から重大な放送倫理違反があったとして勧告を受けたTBS「みのもんたの朝ズバッ!」について、TBSの石原俊爾社長は2日の定例会見で「勧告を真摯(しんし)に受け止め、今後の番組づくりに生かしていかなければいけない」と述べた。

 同番組で司会のみのもんたさんが不適切な発言をしたことについては「事前の打ち合わせ、事実関係の精査をきちんとやった上で、プロデューサーが(裁判の争点をコメンテーターらに伝えるという)一連の流れがうまくいっていなかった」と釈明。「(裁判の)判断を正確に伝えるため、コメンテーターに事前によく説明し、その上で発言してもらうようにしなくてはいけない」とし、再発防止を図るよう、制作現場に指示したことを明かした。

 TBSは昨年2月13日の同番組で、割りばしがのどに刺さった男児が死亡した事故の民事裁判の一審判決の内容を放送。司会のみのさんが「素人でも脳に損傷がないかを考える」などとコメントした。

 BPOは同番組について「放送構成、判決要旨のまとめ方において不正確、不公正な報道で重大な放送倫理違反がある」と判断し、10月30日、今回の決定内容を放送するよう同局に勧告した。

みのが番組で謝罪「真摯に受け止めます」(2009年11月2日日刊スポーツ)

 タレントみのもんたが2日朝、司会を務めるTBS系テレビ「みのもんたの朝ズバッ!」の放送中に謝罪した。

 同番組は先日、NHKと民放でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会で、昨年2月、99年に割りばしがのどに刺さって男児が死亡した事故を報じた際、重大な放送倫理違反があったとして、制作者が十分な事前準備をすることなどの勧告を受けた

 番組ではBPOから勧告を受けたことを説明。みのは「BPOの勧告を真摯(しんし)に受け止め、今後の番組に臨んで参りたいと思います」と謝罪した。

さあ皆さんご一緒に、「またTBSか!」
みのもんた氏の「朝ズバ」と言えば以前にも杏林割り箸事件の報道で「報道とはとても言えない、ただのお涙頂戴のショー」「ショーどころか偏向番組」とさんざんな言われようだったり、撮影を拒む一般市民を無許可で全国放送して裁判所から損害賠償を命じられてみたりと、当ぐり研でも非常にお世話になっているほどその内容・質には定評のある番組です。
何を言われようが意に介さないというのもまた問題ですが、毎回毎回反省しているかのような口ぶりを繰り返しながら一向に改善がなされているようには見えないところを見ると、どうも彼らの考えるところの番組の問題点というもの自体が一般人の考えているそれとは大幅に異なっているのではないかとも思われるところですね。
昨今はスポンサーも視聴者の意向に敏感だと言いますけれども、こういうことを体質的に繰り返す組織というのはそれは各方面からそっぽを向かれるのも仕方がないのかなという気がします。

TBSが初の赤字 視聴率低迷で「おくりびと」効果も帳消し(2009年11月4日産経新聞)

 TBSホールディングスが4日発表した平成21年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比1.5%減の1757億円、最終損益は9000万円の赤字(前年同期は46億円の黒字)だった。中間決算の公表を始めた12年以降、最終赤字は初めて。

 本業の放送事業は広告収入の激減に加え、視聴率がNHKを含む在京キー局で6社中5位に低迷し、39億円の営業赤字を計上した。米アカデミー賞受賞作の邦画「おくりびと」のロングラン上映があった映像・文化事業や「赤坂サカス」などの不動産事業は予想より堅調に推移したが、赤字を埋めきれなかった。

 22年3月期の通期予想では、売上高が前期比5.5%減の3520億円、最終損益が29億円の赤字(前期は16億円の黒字)を見込んでいる。

そもそも今回のBPOの勧告もよく見てみれば、これは医師に対する名誉毀損でもなければ、家族に対する精神的圧迫も社会通念上許されない範囲でもない、ただ放送するならもう少しよく準備して放送しなさいねと言っているだけなのですよね。
これではあまりに市民感覚とかけ離れていると言いますか、業界の自主規制団体なるものの存在それ自体に何の実効性があるのかはなはだ疑問と言わざるを得ない話です。

このBPOという組織に関して言えば、最近では予算不足もあってテレビ業界も番組の質的低下が著しいなどともささやかれていますけれども、特に槍玉に挙がりやすいのがバラエティー番組のジャンルであって、「低劣、俗悪、悪趣味」と今の業界体質を体現するかのような番組が並んでいるのをさすがに何とかしろと各局に提言するという話になっているようですね。
もともと外部からの規制を嫌う放送業界が自主規制しますという名目で行っているものという側面が強い組織ですけれども、こうした提言への反応と言うものによっても自主規制の実効性が評価されるのではないかなという気がします。

バラエティー番組、民放連が指針づくりを BPO提言へ(2009年10月30日朝日新聞)

 NHKと民放でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は30日、バラエティー番組制作にあたって制作者が留意すべき実務的な指針をつくるよう日本民間放送連盟に提言することを決めた。規範や倫理からの逸脱が特徴の一つであるバラエティー番組に倫理上のルールを求めるのは異例だ。

 委員会の中にも「表現の自由」の観点から慎重論が根強くあった。だが、性的表現やいじめ、差別と受け取れる表現などに視聴者の抗議が相次いでいることを重視し、指針を求めることに踏み切った。

 民放の多くは、民放連の倫理規定「放送基準」に従って番組をつくっている。だが、この「放送基準」には、報道番組には1章をあてて規定を設けているものの、バラエティー番組に関してはまとまった規定がなかった

 委員会は、放送基準とは別に、バラエティー番組に特化した新たな指針をつくるよう来月半ばまでに求める。川端和治委員長は「バラエティー番組が表現の自由の幅を広げてきたことは生かしつつ、厳しい指摘に対応することが必要」と話した。(赤田康和)

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2009年11月 6日 (金)

診療報酬改定の議論始まる

先日某新聞がこういうことを書いていました。

質問なるほドリ:診療報酬ってどう決まるの?=回答・佐藤丈一(2009年11月4日毎日新聞)

 ◆診療報酬ってどう決まるの?
 ◇2年に1度、中医協で議論 勤務医重視へ日医代表排除

 なるほドリ 診療報酬改定の議論が始まったと報道されていたね。診療報酬は「医師の収入」だそうだけど、誰が支払うの?

 記者 診療報酬は、公的医療保険の保険者から医療機関に支払われる報酬のことです。病院や診療所は、患者が窓口で直接支払うお金だけでなく、皆さんの保険料を集めている「保険者」からも報酬を受け取っています。保険者とは、自営業の人らが加入する国民健康保険、大企業の従業員だと健康保険組合、公務員なら共済組合です。

 Q 保険者は、どうやって支払う金額を決めているの?

 A 薬の値段や検査費、初診料や入院基本料などの診療費は、公定の単価が決まっていて、1点10円の点数で示されます。治療ごとの点数をすべて積み上げたものが医療機関の収入となり、全部で1000点なら収入は1万円です。この場合、医療機関は保険者から7000円を受け取り、残りの3000円を患者から窓口で徴収します。これが患者の「3割負担」です。保険者からのお金は保険料と税が財源です。

 Q 点数はどうやって決めているの?

 A まず、物価や医療機関の経営状態を見ながら、診療報酬の総額を左右する全体の改定率を決めます。約34兆円の国民医療費に対し、何%増減させるかを年末の予算編成時に確定し、その後、各治療行為の単価を決定します。これが診療報酬改定で、ほぼ2年に1度やります。

 Q 誰が決めるの?

 A 何点を配分するかという専門的なことは、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)から聞いた意見に基づき、厚労省が決めています。一方、全体の改定率は、自民党政権時代は厚生族議員らが日本医師会(日医)などと水面下で調整して決まることが多かったですね。

 Q 政権交代で変わるのかな。

 A 長妻昭厚労相は、中医協の中で「最も発言力が強い」とされていた3人の日医代表を全員排除しました。日医は開業医の意向を代弁しがちで、病院勤務医の待遇改善が進まないと判断したためです。民主党は、改定の基本方針や改定率を、厚労相直属のチームで事前に決めることも検討しています。そうなれば、中医協などの役割は小さくなるでしょうね。(政治部)

「診療報酬は「医師の収入」」だの「中医協の中で「最も発言力が強い」とされていた3人の日医代表」のくだりで爆笑ですが、天下の毎日新聞政治部ともなるとこの程度の認識でも解説が書けるということなのか、毎日新聞社では新聞購読料が記者の収入だというローカルルールでも設定されているのか、果たしてどっちなんでしょうね(苦笑)。
いずれにしてもこうまで博識で社会常識に満ちあふれている毎日新聞政治部の佐藤丈一氏ですら今回の診療報酬改定作業はどうも今までとは違ったことになりそうだと注目しているということですから、これは先日紹介しました各紙社説の件とも合わせてそれなりに世間の注目も集めているのかと思わざるを得ないところです。
特に話題となっているのがやはり今回は「日医外し」の中医協であると言うことなんですが、まずは再開した中医協の様子を伝えるこちらいささか興味深い二つの記事を並べてみましょう。

再開した中医協、新体制でも従来路線か(2009年10月30日ロハス・メディカル)

 「私の身分は日本医師会に所属する日本医師会の会員。日本医師会も可能な限り私をバックアップする」─。1か月ぶりに再開された中医協で、新任の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が力強く言い放った。厚生労働省の担当者が資料をダラダラと説明する議事運営も従来通りで、中医協の位置付けも変化がない。1人気を吐いたのは新任の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)だけだったと言うべきか。(新井裕充)

 今月1日で任期が切れた診療側委員6人のうち、日本医師会(唐澤祥人会長)の副会長や常任理事ら「日医執行部」の3人を外すかどうか、さらに11の病院団体でつくる「日本病院団体協議会」からの推薦枠2人を維持するかどうかなど、水面下の攻防で紛糾していた中医協人事が26日に決まった。

 これを受け、新体制の中央社会保険医療協議会(中医協)が10月30日午前9時過ぎから、東京都千代田区の九段会館で開かれた。2010年度の診療報酬改定に向け、新体制の中医協がどのような議論を展開するか─。

 新人事では、日医の影響力を排除するため日医執行部の3委員を外し、その枠に京都府医師会副会長、茨城県医師会理事、山形大学医学部長が入った。

 しかし、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は次のように述べ、日医が集計・分析したデータなどを中医協に提出する意向を示した。日医の影響力は今後も継続するとみられる。

 「私の委員会における立場は何なのかは(委員の)皆さん方も、マスコミの皆さん方も、宙ぶらりんで訳の分からないことになっているという理解があるのかもしれないが、1つだけ明らかにさせていただきたい。今回の政権の方針でもあり、私は日本医師会の執行役員としてここに選任されているわけではない。しかし、私の身分は日本医師会に所属する日本医師会の会員でございます。日本医師会も、基本的には記者会見で申し上げている通り、可能な限り私をバックアップするということになっている」

■ 「中医協が生まれ変わらなくてはいけない」 ─ 嘉山委員

 同日の総会で厚労省は、診療報酬改定の基礎資料にする「医療経済実態調査」の結果を示した。これまで日医は同調査の信頼性などに疑問を呈しているため、もし日医執行部の3委員がいればデータの取り扱い自体で激論になることが予想された。

 ところが今回は、同調査の報告はすんなり了承。議事がスムーズに進行すると思われたが、安達委員が「日本医師会として公表した資料を提出させていただきたい」と、"待った"をかけた。西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)と邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)は、「日本病院団体協議会」としての意見を提出する構えを見せた。

 これに対して、新任の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)は「政権が代わって中医協が生まれ変わらなくてはいけない」と指摘。「パイの取り合いのような会ではなくて、国民が適切な医療を受けられるような制度設計をするのが大きな目的だ」と主張したが、遠藤会長は「お気持ちはよく分かるが、とりあえず直面の平成22年度改定で点数をどうするかを議論しないといけない」と一蹴した。「ここでのルールに従え」ということだろうか。

 総会に続いて開かれた基本問題小委員会は「小児医療」と「勤務医の負担軽減」が議題だった。総会で遠藤会長が「説明は簡潔に」と指摘したが、その言葉は保険局医療課の佐藤敏信課長には届かなかったようだ。いつものように、小児医療で約15分、勤務医の負担軽減で約20分の"基調講演"が行われた。これまでの中医協と何ら変わりはない。

 注目された中医協の位置付けについても特に意見は出なかった。中医協の上部組織として、「診療報酬改定の検討チームを設置する」との声もささやかれているが、次期改定についてはとりあえず従来通りに進めていく方針だろうか。
 「政治主導」で診療報酬の決定プロセスを見直すように思われた新体制の中医協。だが、足立信也政務官は冒頭の挨拶で次のように述べている。

 「私たちは政府で決めた方針を審議会で認めさせ、それを中医協で具体化していただく、そういう縦のつながりの考えは持っていない。お互いの立場でキャッチボールをしながら、何が今大事なのか、崖っぷちに立っている部分はどこなのか、あるいは崩壊と言われているところはどこなのか、今まず何をやるべきかということを一緒になって考えていただきたい。期間は限られているが、まずは来年度の改正でどこに手を付けるべきか、私たちの考えもしっかりお互いにキャッチボールしながら、それを具現化していっていただきたい」

 「現場主義の議論に期待する」との見方もできるが、「放り投げた」と解釈することもできる。タクトを振る指揮者は変わらず、演奏者が少し入れ替わっただけと言うべきだろうか。しばらくは、一流のソロ演奏家がバラバラに奏でる音を聴くことになるかもしれない。安達委員の発言、足立、山井両政務官の挨拶は次ページ以下を参照。
(以下略)

中医協の新委員は、「決して誘導されません」?(2009年11月2日ロハス・メディカル)

 「決して誘導されませんから、もう少し踏み込んだ形のものを書いたほうが議論になりやすい」─。新体制で再開した中医協で、遠藤久夫会長が厚生労働省側に要望した。「シナリオはもう変わらない」という自信だろうか。民主党が掲げた「中医協改革」が頓挫したことへの勝利宣言だろうか。(新井裕充)

 委員の改選をめぐって1か月中断した中央社会保険医療協議会(中医協)が10月30日、来年度の診療報酬改定に向けた審議を再開した。議論が紛糾することはなく、委員から時折笑い声が漏れるなど終始和やかな雰囲気の中で議事が進行した。

 総会に続いて開かれた基本問題小委員会の冒頭で、中医協会長を兼務する遠藤久夫委員長が次期改定に向けた検討項目として、「救急医療」「周産期医療」「小児医療」「勤務医の負担軽減」など22項目を示した。
 9月30日の前回会合では、「救急医療」と「周産期医療」について議論した。今回は、「小児医療」と「勤務医の負担軽減」が議題。このことから、次期改定に向けた審議は「厚労省の予定通りに進んでいる」との見方もできる。

 この日、厚労省は「小児医療」と「勤務医の負担軽減」について論点を示したが、新政権での「政治主導」という方針に配慮したのか、ややあいまいな記載にとどまった。そこで、事務局を務める厚労省側に対し遠藤会長が次のように注文を付けた。
 「論点は、事務局(保険局医療課)として我々の議論を最初から誘導したくないという配慮だと思うので、どちらかというと、たたき台としては明確さを若干欠いたところがある。もう少し、事務局案という形でもう一歩踏み込んで構いません。決して誘導されませんから、もう少し踏み込んだ形のものを書いていただいたほうが議論になりやすいと思いますので、少しその辺のところも次回は修正していただきたい」

 小児医療の説明で厚労省は、「小児救命救急センター」や「トリアージ体制」などを評価する方針を暗に示した。これに対して、新任の委員から「センターと名が付くものに点数を付けるから(地域医療が)崩壊する。補助金ではなく、医療行為の内容を評価すべき」など、厚労省の方針に迎合しない意見が出された。
 こうした新任委員らの活発な発言を踏まえた上での要望とみられるが、中医協改革が挫折して既定路線に戻った安心感かもしれない。次期改定に向けた議事は、多少の"ガス抜き"をしながら、スムーズに進むことが予想される。

 もし、政治主導で診療報酬の決定プロセスを見直すなら、厚労省が示すデータや検討項目、論点などにメスを入れなければいけないが、そんな気配は全くない。厚労省にとって厄介な「日医執行部」の3人がいなくなったことから、今後は厚労省の誘導に従って円滑に進んでいくだろう。なお、小児医療について厚労省がどのような方向に「誘導」したいのか、詳しくは次ページ以下を参照。
(以下略)

最近爆弾投下したばかりの山形大の中でもとりわけ強面で知られる嘉山先生を入れてきたということで、これは何かしら腹でもくくったのかとも思っていましたところが、意外に平穏無事と言いますか予定調和的な展開に終始している印象で案外拍子抜けという人も多いのではないでしょうか?
厚労省の思惑通りというロハス・メディカルさんの見方が正しいのかどうかは別としても、せっかく新任されたのに敢えて波風立てるような人もいないのかとつまらなく思っておりましたら、例の方(笑)が予想通りに早速爆発して議論の口火を切った格好のようです。

新体制の中医協で、ついに"開戦"(2009年11月5日ロハス・メディカル)

 「この資料はもう渡されている。DPCの医療費を決めるのであれば何が問題になっているかを議論したほうが国民のためになる。ただ座って説明を聴いているだけ。委員になる先生方のようなIQがあれば分かることだ」─。新体制で再開した2回目の中医協で、新任の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)が中医協改革にのろしを上げた。(新井裕充)

 厚生労働省は11月4日、中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会と基本問題小委員会を開催した。診療側の改選をめぐって1か月中断した後、新体制で再開した10月30日の前回会合は厚生労働省のペースで進んだが、今回は違った。薬価専門部会に続いて開かれた基本問題小委員会の冒頭で、西岡清・ DPC評価分科会の説明を嘉山委員が突然さえぎった。
 「さっきの会議もですね、安達委員の質問が13分、そのほかの説明が45分なんですよ。私、西岡先生は学部長会議からよく存じ上げていて尊敬している先生の1人なんですが、この資料はもう(事前に)渡されている。DPCの医療費を決めるのであれば、何が問題になっているかということを議論したほうが国民のためになる。そのことを優先していただかないと、ただ座って説明を聴いているだけ。これ、もう渡されている。ここの委員になっているような先生方のようなIQがあれば分かることだ。今までの会の流れを見ていると、(資料説明で)あまりにも議論がない」

 嘉山委員はさらに、「いわゆるハコをつくってDPCをやれている病院は良い結果が出ているようになっている。今の日本の医療の崩壊を防ぐためには、人口が少なくて医師も少ない所を考慮しないと、さらに崩壊していく」などと、現行のDPC制度の問題点を指摘した。途中、遠藤久夫委員長が嘉山委員の発言を遮るなど、久しぶりに中医協が荒れた

 同日の基本問題小委員会の議題は、DPCと勤務医の負担軽減など。DPCでは、「調整係数」の廃止に伴って来年度から導入される「新たな機能評価係数」の絞り込みの議論を進める予定だったが、嘉山委員の発言を突破口にして、新任の鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)も続いた。
 「そもそも、DPCの導入は前政権における医療費抑制政策の一環として導入された気が強くする。厚労省は、質の向上と効率性が同時に達成されつつあるという評価をされているようだが、やはり質の向上には基本的にコストが掛かるということを前提にしないと、医療がどんどん荒廃してしまう。私どもは地方の過疎地にある民間病院だが、9月の収支差益はたった12万円。1か月、朝から晩まで頑張っても1か月に12万円しか病棟として利益が出ない。もともとが安すぎる。今、なんとか頑張ってDPCになっている病院はもう大幅に減収になるということが予想されるので、地方の医療をさらに混乱させるようなことはやめてほしい」

 さらに、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)はDPCによる平均在院日数の短縮化を問題視した。
 「DPCで平均在院日数を決めている。しかも、それをだんだん短縮していく傾向にこれまであった。その結果として、いわゆる再発率、あるいは完治に至らないままの退院というものが増えているという実感がある。平均在院日数の欠点はそこにあるのではないか。質の評価として、そういうものを何かお考えになっていらっしゃるのか。『抗がん剤の効果に限界がきた』という医学的判断をした時に、そこで治療が止まる。『受け皿として何があるか」を考えると、結局ホスピスしかない。けれど、ホスピスまでの距離というのは相当あり、その方の限られた生活、命というものをどういう受け皿でやるのかというのが、今の日本の診療報酬体系も含めた医療システムの中には欠落しているんじゃないか」

 新任の3委員はこのように、医療費抑制策を進める自公政権下での制度設計を激しく批判。「勤務医の負担軽減」の議論では、ドクターフィーの導入をめぐって激しい議論が交わされるなど、厚労省の下書き通りに進まない様相を呈してきた。
 同日の会合では、遠藤委員長が"防波堤"の役割を果たしたが、今後も続くかどうかは見えない。医療課の専権事項となっている診療報酬改定の細部に切り込めるか、新委員と厚労省との攻防が始まった。この日のDPCをめぐる議論は次ページ以下を参照。
(以下略)

この実際の議論というのが以下に続くわけですけれども、これも詳細に見ていくとずいぶんと香ばしい内容になっているようなんですね。
とりあえず目に付いたところを適当に抜き書きしてみましょう。

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 はい、西岡でございます。よろしくお願いします。DPC(分科会)におきまして、「調整係数」の廃止および「新たな機能評価係数」の設定という作業を行っております。
(略)
 平成20年12月17日の中医協・基本問題小委員会の合意におきまして、「前年度並みの収入確保」ということは段階的に廃止し、「診断群分類に基づく評価のみでは対応できない病院機能の評価」という意味の、この役割を「新たな機能評価係数」として評価することとされています。
 今般、(新たな機能評価係数の項目を絞り込むため)特別調査を行いました。これにつきまして、ご報告させていただきます。(昨年のDPC評価分科会で)「新たな機能評価係数」の項目を具体的に挙げましたところ、30を超える項目が出てまいりました。
 その項目の設定の基本的な考え方が、お手元の参考資料にございます7つの項目です。急性期医療を評価する、あるいは医療全体の質の向上が期待できること、それから社会的に求められる機能、地域医療への貢献......。(中略)

 最終的には、「次期改定での導入が妥当と考えられた項目」、これ4項目ございます。これについては、この基本問題小委員会において、「それは妥当ではないか」というお答えを頂いております。

 ▼ どこで、いつ、誰から「お答え」を頂いたのか。平均在院日数の短縮を評価する項目に対しては、当時の藤原淳委員(日本医師会常任理事)が反発したため、継続審議になっていたはず。「複雑性指数による評価」については、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が疑問を呈していた。(詳しくは、こちらを参照)

 西澤委員が医療課と調整して了承してしまうことは十分に考えられるが、中医協人事のドサクサに紛れて日医委員の反対意見を無視して進めてしまうやり方には疑問を感じる。

(略)
[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。事務局(保険局医療課)から補足はございますか。

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 特にございません。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 それでは、ご議論を......と言ってもですね、せっかく調査もされていますので、調査の中身と結果について、どういうことが議論されているのか、簡潔で結構なんですが、少しご説明いただくと議論が、とっかかりができますので、よろしくお願いいたします。

[西岡分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 ちょっとはしょりまして、申し訳ございません。まず、このグラフの所を......、(資料)「新たな機能評価係数に係る特別調査」でございますが、ここに救急車搬送に関するデータがあります。
(略)
(救急外来でのトリアージ体制、診療ガイドラインについて説明した後)さらに、診療ガイドラインと同様に、(院内の)クリニカルパスがDPCを導入いたしまして、かなり多く使われるようになってきております。これについても同様に、平均在院日数との関係等につきまして、どれぐらいの効果が出ているかというのをグラフ化したものでございます。

 ▼ 西岡分科会長がボソボソと話すので、傍聴席からはほとんど声が聴き取れない。この日の中医協は午前9時の開始だが、一般の傍聴希望者は早朝6時すぎから並んでいる。約1時間半の薬価専門部会で疲れているせいか、眠っている傍聴者も多数発生。委員らも退屈そうに、長い説明の終わりを待っているような雰囲気。

毎回毎回こういうことをやって時間を潰し結局適当に数字を操作して終わりというのであれば、それは現場から不平不満の声が挙がるのも当然だとうと言うところですよね(苦笑)。
まあこういうあからさまな「予定調和」を目指した話ばかりでまとめられてはそれこそ中医協など無くしてしまえ!でFAというものですけれども、ここで切れて見せるのが嘉山先生の真骨頂です。
恐らく現場の傍聴者一同内心で「よく言った!」と拍手喝采だったんじゃないでしょうか。

[西岡分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 それからもう1つ、チーム医療ということで、どういった人員配置が行われているかというのが......。(ここで嘉山委員が説明をさえぎる

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 会長、ちょっと......、よろしいですか?

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 はい。

[嘉山委員(山形大)]
 さっきの会議もですね、安達委員(京都府医師会副会長)の質問が13分、そのほかの説明が45分なんですよ。私、西岡先生は学部長会議からよく存じ上げていて尊敬している先生の1人なんですが、この資料はもう(事前に)渡されているわけですから......。(遠藤委員長が発言をさえぎる

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 (強い口調で)私が(説明を)促して......。(嘉山委員が発言をさえぎる。眠っていた傍聴者は目を覚ました様子)

[嘉山委員(山形大)]
 ですから、DPCの医療費を決めるのであれば、何が問題になっているかということを議論したほうが国民のためになると思うんですよ。ですから、そのことを優先していただかないと、ただ座って説明を聴いているだけ。これ、もう渡されている。
 ここの委員になっているような先生方のようなIQがあれば分かることだと思いますので、かいつまんで(の説明)で構わないですから。このままいくと何分......。(遠藤委員長が発言をさえぎる

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 いやいやいや......、あの......(ヒートアップ。強引に発言を抑え込もうとするが)

[嘉山委員(山形大)]
 (語気を強めて)議論が全く......

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 その辺が斟酌されて、西岡委員長......、分科会長は......、あ、あの、ご報告をされなかったんだと思いましたけれども、基本的に今回初めて、この調査というのを認めて、調査報告が出てきたものですから......、それはまあ......(動揺している様子)

[嘉山委員(山形大)]
 それは了解するんですが、今までの会の流れを見ていると、(資料説明ばかりで)あまりにも議論がない......(遠藤委員長がさえぎる

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 それは私も前回、(説明を簡潔にするよう)申し上げたように......

[嘉山委員(山形大)]
 それは先生、おっしゃった通りで......

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 議論をできるだけ多くしようと......

[嘉山委員(山形大)]
 ですから、西岡先生にはかいつまんでお願いしたいと思うのですが。

[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
 いえ......、もう......、終わりですよね?

[西岡分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 はい、もう終わっておるんですが......(傍聴席などから笑い声あり)、実際には......、えっと......、ご質問を頂いたために、ごく簡単にご説明させて......。

ネタですか…(笑)
いずれにしても今回の中医協で議論の中心となるはずなのが、DPCの調整係数(従来の出来高払いから定額払いのDPCに移行した結果、病院が赤字にならないように履かせているゲタ)を廃止する代わりに病院毎の仕事の内容を評価してお金を出すように機能評価係数というものを設定しようという件だと思います。
ところがこの調整係数というもの、理屈の上ではこれを良い具合に設定してやることでDPC病院を望ましい方向に誘導してやることも可能だろうというまことに結構なものなんでしょうが、10月26日のDPC評価分科会では色々な係数を設定して試算してみても病院間で差別化できるほどの大きな差は付きそうにないという話でした。
要するにDPCを導入している病院と言えば地域でそこそこ大きな病院で、今の時代ですから儲かる方法、損する方法というのは既に決まり切っていて、どこの施設でもとっくに対応しているからやっていることにそうそう大きな違いはない、故に差が付かない係数を新たに導入するくらいなら今まで通りの調整係数でもいいんじゃないかと言う極論まで出ていたわけです。

逆に言えば何かしら差が付くとすればDPCを入れているような病院と入れていない病院との間に発生するのだろうとも思われるところで、言葉は悪いですが患者のセレクションなど出来ず来た患者を全部受け入れるしかないような地方の孤立している中小病院ほど取り残されて言っているのではないかなとは危惧されるところです。
要するにDPCに対応できるような病院だけが勝ち組となって生き残っていき、そうでない施設は淘汰されていくのだとすれば、最終的にそのツケはDPCに乗らないような非典型的経過を辿る(要するに普通より手のかかる)「儲けにならない患者」はお断りということにもなりかねないわけですよね。
このあたりDPCの弊害というものは新任の委員の方々もかねがね気になっていたようで、にわかに発言が相次ぐという状況になってくるわけですけれども、それに対する回答と言いますのが何とも曖昧と言いますか、何やらはぐらかしてばかりとも獲れるような話なのですね。
まずは話の口火を切った形の嘉山委員の発言がこちらです。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 この調査を拝見しますと、やはり大都会で医師が十分というか、日本は東京でも足りないんですが、そういう状況の中でのデータを取っていて、いわゆる「ハコ」をつくってDPCをやれている病院は良い結果が出ているようになっている

 やはり、今の日本の医療の崩壊を防ぐためには、田舎というか、人口が少なくて医師も少ない所を考慮しないと、DPCの係数を決めるときにですね、さらに崩壊していく。政権が代わって、「今の医療崩壊を食い止めたい」というのが今の政権の考えですから、その辺のところを西岡先生はどのように対応されるんでしょうか。
(略)
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 この集計された資料でございますが、これは全国の小さな病院も全部入っております。DPC(対象病院)は今、1283病院ですか、広がっていますので、ここでは(DPC準備病院も含めて)1544のものが入っています。その中で、特に地域の場合、どういうふうにするかという議論も現在行っているところでございます。

 我々の分科会の中には、地域出身の委員の方もおりまして、地域に手厚い形でできないかということで考えています。(地域医療への貢献を評価する係数について)実際には、この基本問題小委員会でお決めいただくことになると思いますが、DPCはありがたいことにデータがございますので、データを出して、そのデータに基づいて行っていくという提言をさせていただきたいということが我々の役割です。

 ▼ DPC評価分科会は大病院の立場で発言する委員で固められていたが、9月24日のヒアリングから、中小病院を代表する立場の委員として、美原盤委員(財団法人美原記念病院院長)と、金田道弘委員(特定医療法人緑荘会理事長兼金田病院長)が新たに加わった。しかし、「新たな機能評価係数」の項目の絞り込みを終えた後の参加であり、地方病院の意見はほとんど反映されていないといえる。

地方病院の意見が反映されないと言いますか、厚労省は地方の中小病院を潰して基幹病院に集約させるという大方針があるわけですから、その方針に則っての運営をしている御用学者の先生方がお上に逆らうような議論など許すはずがないんですけれどもね(苦笑)。
ついで日医造反か?!と話題になりました茨城県医師会から選出された鈴木委員の発言がこちらですが、時間がないとか検討中とか言っていた話がいつの間にかうやむやのうちに既定路線となっていたりと、狙ってやっているのだとすればなかなかの運営手腕ですよね。

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 そもそも、DPCの導入は私どもの感覚からしますと、前政権における医療費抑制政策の一環として導入された気が強くいたします。厚労省は、質の向上と効率性が同時に達成されつつあるという評価をされているようですが、やはり質の向上には基本的にコストが掛かるということを前提にしていただかないと、医療がどんどん荒廃してしまうと思います。

 私どもは地方の過疎地にある民間病院ですが、なんとか頑張ってDPCを7月から取りましたけど、9月の収支差益はたった12万円ですよ。1か月もう、本当に朝から晩まで頑張っても、1か月に12万円しか病棟として利益が出ないなんていうね、そういう......、もともとが安すぎるんです。

 この「調整係数」の廃止ということが言われていますが、そうすると「新たな機能評価係数」というのは、かなり高度医療とか救急医療とか、そういったものをやらないと上乗せされていかない
 そうするとですね、今、なんとか頑張ってDPCになっている病院はもう大幅に減収になるということが予想されますので、そういった地方の医療をさらに混乱させるようなことはやめてほしいと思いますので、ぜひ、調整係数の廃止が行われても、普通にですね、まともにやっていれば経営が成り立つような基本的な収支が取れる点数にしてほしいと、強く希望いたします。
(略)
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 私たちは最終決定まで出す所ではございませんので、それに向かっての提案というのをやってきているところでございます。例えば、これまでにも......。
 今回は、(新たな機能評価係数として)この10項目だけになっているんですが、それまでに挙がりました項目は35ぐらいあるんですが、(医療課が)「これは今回は間に合わない」ということで、「時間的に合わない」ということで、この10項目だけに絞らせていただいています
その中に、例えば、(臨床研修など教育体制を評価する項目について)「大学病院をどういうふうにしてくれるんだ」という意見もあるわけです。そういった意見も出て、特定機能病院の点数をもうちょっと上昇させるべきであるという意見も出ております。

 それから、地域での活動にうまく合うような形での「機能評価係数」を引っ張り出せということも項目として挙がっておりますので、それらについて、ずっと議論を続けているところでございます。

 ▼ 中小病院が潤うような係数はほとんど外された。唯一残っているのは、救急ぐらいか。「救急患者をたくさん受け入れれば点数を付けてやる」という成果報酬のような意味合いの係数だが、具体的な基準について意見がまとまっていない。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございます。高機能の病院を今後どうするのかという議論、それから地方の病院をどうするのかという議論も十分にされてきているということであります。はい、嘉山委員、どうぞ。

 「地方の病院をどうするのか」という議論は、ほとんどされていない。

さりげないロハス・メディカルさんの突っ込みがなかなか素敵ですが(苦笑)、こういうことは本来現場の委員から突っ込まれていてしかるべきであるのに、新委員相手ということでなかったことをあったことと言いくるめようという姿勢がありありですかね。
同様に民主党支持の京都府医師会から選ばれている安達委員の発言がこちらですが、そのあたりをさりげなくチクリとひと刺ししてみたというところでしょうか。

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 (支払側委員から)「質の向上を期待する」という意見がありました。(新たな機能評価係数として)質の内容を公表するというお話もあったのですが、前から問題なんだと思います。私は新任なので、ここでどれぐらい議論されたか分かりませんけども、議論された形跡は過去にもあると思いますが......。

 要は、DPCで平均在院日数を決めている。しかも、それをだんだん短縮していく傾向にこれまであった。その結果としての、いわゆる再発率、あるいは完治に至らないままの退院というものが増えているという実感は、我々開業医にとっても、ご紹介して診ていただいて患者さんが帰ってくる、その後の経過を見ていてもございます。(ここで保険局医療課の佐藤敏信課長が補佐らと相談を始める)

 質の評価をするときに、疾患によって難しいでしょうが、再発率というか......。では、もう少し入院期間があったらこういう再発は起こらなかったのかどうか、これも難しいと思いますが......。(事務局は慌てて資料を探している様子)

 本当はそれを評価しないと、医療を受ける人にとっては、「治ったという実感はないんだけれども、帰りなさい」という話がしばしばあるわけでございまして、医療現場では。
 これはやはり、非常に大きなDPCの1つの......、平均在院日数としての欠点はそこにあるのではないかと思います。質の評価として、そういうものを何かお考えになっていらっしゃるのかどうか。

 ▼ 日医の主張とほぼ同じだが、執行部の3委員とは説得力が違うように感じる。業界記者の間では、「安達先生によって日医はかなりイメージアップするのではないか」との声も出ている。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 従来、DPC評価分科会でやった調査の中では、DPCの経過をずっと追っかけていまして、質の評価ということで、転帰とか再入院率の変化みたいなものを追っている。
 ただ、ここでの議論では、「それでは不十分だ」という議論も一方であったということで......、何かこの辺について、分科会長ございますか。

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 えっと......、これはもう繰り返されたご議論でございますが、私たちの所では、6週間以内の再入院率というものを出しております。その中身が......、再入院の理由というものを挙げています。実際には、DPCが始まってから再入院率が高くなってきております
 その内容は何かと言いますと、化学療法の繰り返しとか、放射線療法の繰り返しが主でございます。その他の「予期しない再入院」はほとんど変わっておりません。がんの化学療法などに関しましては、各施設の方々が非常に効率的におやりになっておられるのでないかと考えております。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございます。そのような形で従来は評価してきたということです。安達委員、どうぞ。

[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
 今、がんのお話が出ましたが、効率良くやってくださっているんです、大学病院たちも。これは、DPCと直接の議論ではないかもしれませんが、「抗がん剤の効果に限界がきた」という医学的判断が当然ございます。その時に、そこで治療が止まるんです。「あと、受け皿として何があるのか」って考えてみると、結局ホスピスしかないんです。

 けれど、ホスピスまでの距離というのは相当ありまして、その方の限られた生活、命というものをどういう受け皿でやるのかというのが、全く今の日本の診療報酬体系も含めた医療システムの中には欠落しているんじゃないか。
 そこのところを、非常に個人的に頑張って請け負う療養施設等がごくわずかにございます。ですから、そういう療養施設には例えば、姫路市にある施設は、大阪にある病院からも依頼を受けるという状況になっている。

 これはもう、どうしても考えなければいけないことでありまして、がんという宿命的なというか、生命に最終的に終わりがあるということに見舞われた方が残りの部分をどれだけ生き生きと人間らしく生きられるかという点で、ホスピスまでの距離、治療有効が終了した後のホスピスまでの距離、これをどうするのかということは、ぜひ、どこかで議論されるべきだろうと感じております。

 ▼ 会場内が静まり返ってしまった。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 重要な......、ご指摘だと思います。DPCの議論ではないと思いますが、療養病床の中で緩和ケアをどうするのかといった、そういう議論の一環になるのかなあと気がしますけれども......。また、ご指摘を頂きたいと思います。(中略)

 ▼ そういう指摘なのだろうか。療養病床を減らし、在宅医療などの受け皿が不十分な中で平均在院日数の短縮ばかりに力を注いでいることを問題視していると理解したが......。この後、「調整係数」の廃止に伴う激変緩和について、北村光一委員(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)から質問あり。

他にも嘉山先生のクリニカルリサーチ絡みの話などもなかなかに興味深いところがあるのですが、非常に面白いのは何をしに出てきているのかさっぱり判らないような方々も結構いらっしゃるらしいということなんですね。
発言の記録をしていますと何も言わないままの人たちというのは存在自体が記録されませんから判りにくいわけですが、ロハス・メディカルさんの注釈を追っていくとこんなことが記載されています。

 ▼ いや違う。厚労省が決めて、それを"御用委員"が追認しているだけ。ただ、厚生科学研究費などでズブズブの御用委員が厚労寄りの発言をするのは理解できなくもないが、国民の意見を代表する立場の「公益委員」が"御用"であってはいけないと思うのだが......。ところで、公益委員の3人のおばさんはなぜ全く発言しないのだろう。中医協はいつも予定時間をオーバーするのだが、時計の針が昼の12時を指すと、白石小百合委員(横浜市立大国際総合科学部教授)はそそくさと退出してしまう。パートタイマーのように割り切りすぎるのもいかがなものかと思ったりする。

 ▼ このように、嘉山委員の発言を皮切りにして、現場の疲弊を訴える声が診療側から相次いだが、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)はやはり貝になったままだった。この後、支払側の勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)が、「新たな機能評価係数」としてなるべく多く評価するよう要望。また、「複雑性指数」の名称について、患者にとって分かりやすい言葉にすることを求めた。

こういうところもまとめた記事だけでは判りにくいところですが、こうして見てみますと現場の空気のようなものが見えてくる気もしますよね。
もう一つ面白いのは厚労省からこれら会議の記者説明というものがありまして、大多数のマスコミはこういうものを参考に記事を書いているのだと思いますけれども、上記のような経過を厚労省がどのように発表しているのかというのがこちらです。

11月4日の中医協 (ブリーフィング)(2009年11月5日ロハス・メディカル)

 厚生労働省は11月4日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の薬価専門部会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)
(略)
■ 基本問題小委員会① ─ DPC
[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
 DPCについて、簡単にご説明いたします。

1. DPCについて
 本日はまず、「診─1─1」(調整係数の廃止および新たな機能評価係数の設定)の資料を(DPC評価分科会の)西岡分科会長が説明いたしました。

 その後に、いくつか基本的な質問がございました。例えば、(支払側委員から)「段階的廃止とは何なのか」とかですね。そこで、邉見先生(全国公私病院連盟副会長)が「少なくとも2回以上」というコメントをされたと思います。

 あとは、(安達秀樹委員・京都府医師会副会長から)「DPC病院で平均在院日数がどんどん短くなっているが、医療の質は大丈夫なのか」ということですが、これは毎年、基本問題小委員会にDPC評価分科会からご報告しておりまして、「質は一定の担保がされている」ということになっております

 その後、要望事項がいくつかあったと思います。まずは、勝村委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)から、「医療の質の評価をできるだけ前向きに考えてほしい」と。

 それから、名称が難しいと。例えば、「複雑性指数」とか「診断群分類のカバー率」などについて、西岡分科会長は「1回は分科会で検討しました」とお答えしましたが、遠藤会長から「再度考えるように、複数の案を考えるように」という宿題を頂いております。

 最後は、今後DPC評価分科会で(新たな機能評価係数の)参考資料(の項目)をさらに絞り込んで、最終的に基本問題小委員会に上げるようにとのご指示でした。

 その後、私どもの(佐藤)課長からスケジュール感について説明いたしました。「次回、次々回のDPC評価分科会で詰めて、その後に基本問題小委員会に上げたい」という説明をした次第でございます。私からは以上です。

ロハス・メディカルさんの記事と比べてこちらのブリーフィングを見た場合に、何かすごい要約だなと思うのもそうですし、こういうことをもう二回やってそれで結論が出たことにしようと方針が定まっているのもすごいなと思いますね。
冒頭の記事のようにマスコミの方々があまりに適当な内容の記事を書き散らしているのがしばしば批判されるところですけれども、確かにこういう大本営発表から適切な記事などというものもそうそう書くのは難しいだろうなと妙に納得させられるところではあります。
民主党政権ではもっと現場の医療従事者の声を拾い上げなければと色々考えているとのことですけれども、こういう身近なところに大きな関門ががっちり扉を閉ざして立ち塞がっていることに対してはどのように考えているのか、そちらの方も興味があるところですけれどもね。

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2009年11月 5日 (木)

最大の紛争解決法はそもそも紛争に至らせないこと

以前にも紹介しました名古屋大病院での事件ですが、三ヶ月たってようやく一定の解決に至ったようです。
もちろんここから先にまだ長い道のりが待っているのではないかと思いますが、亡くなった患児にとっては到底望ましい状況ではなかっただけに、まずは喜ばしいことではないでしょうか。

死後3カ月半やっと解剖、別の病院で 名大男児遺体安置(2009年11月4日朝日新聞)

 名古屋大病院(名古屋市昭和区)で7月に亡くなった中国籍の1歳男児が院内に安置され続けていた問題で、医療ミスを疑う遺族が望んだ第三者による病理解剖が3日、行われた。当初、安置が長引いた要因は遺族側にあるとしていた病院が「第三者による解剖が実は可能だった」と確認不足を認めて謝罪するなど、異例の展開をたどった問題は、男児の死亡から3カ月半を経て一区切りを迎えた。

 遺体は同日昼過ぎ、霊安室から運び出され、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)に向かった。解剖は遺族側弁護士立ち会いの下、約2時間行われたが、遺族によると、遺体の傷みが進んでおり、担当医の説明では死因に結びつくような話は特になかったという。病理的な分析は今後1カ月ほどかかる見込みだ。

 遺族は「事前の説明でも、解剖はほぼ意味がないと言われたが、わずかな望みにかけるしかなかった」と話した。遺族は5日にも遺体を引き取り、火葬する予定だ。

 今回の解剖は、付属病院を持つ愛知県内の4大学が当番制で県内の医療機関から解剖を受け付ける「剖検運営システム」を利用した。名大の説明では、この制度の利用を模索したが、名大の確認不足で当初は断念したという。

 窓口になる愛知県医師会によると、この制度は元々、自前で病理解剖ができない病院や開業医の利用を念頭に置き、死因を学術的に調べるケースがほとんどだった。

 このため、遺族が医療ミスを疑う今回のケースは「剖検システム」よりも、厚生労働省が愛知県でも実施している「医療関連死調査分析モデル事業」の方がなじむという声が医療関係者の間には少なくない。「診療行為に絡んだ死亡例を扱う事業の趣旨にもマッチし、速やかに解剖できたのではないか」と指摘する声もある。だが、名大はモデル事業の利用を見送った。その理由を「愛知ではモデル事業を異状死に限定して運用しているが、今回は医療過誤には当たらないと院内の検討会で結論づけており、対象外だと判断した」と説明する。

 名大病院は今後、弁護士を長とする第三者委員会を立ち上げ、遺体安置の長期化につながった管理態勢の問題や、医療ミスの有無について検証すると表明している。(兼田徳幸)

前回の折にも書きましたように色々と行き違いもあって無用に長引いた話という印象ですが、名大側も解剖に回す意思があったということであれば、今の時代こうしたシステムは次第に整備されつつあるわけですから、もう少し積極的に手だてを探してみても良かったようには感じるところです。
いずれにしても根本的には病院側と患者・遺族側との意思疎通の問題が最初の出発点ということになるかと思いますが、今回の件でも遺族が名大ではなく他施設での解剖を主張したことが長引いた原因となったことでも判るように、当事者間だけで問題解決を図ろうとしてもどうしても限界があります。
最近では弁護士などが中心になって医療版ADR(裁判外紛争解決手続き)の設立が各地で進んでいますけれども、紛争に至るもう少し前の段階で両者の対話を促す医療メディエーションという事業も次第に盛んになってきています。

医療メディエーション(2009年10月13日47ニュース)

「メディエーション」には、法律上の手続きである「調停」の意味もあるが、医療界では医師や病院など医療側と、患者側とが向き合う場をつくり、両者の対話を仲介、促進する手法のことを指す。メディエーションで中心的役割を果たすのがメディエーターで、病院では通常、研修などで専門的技法や能力を身につけたスタッフが、偏りのない第三者として医療側と患者側の対話の仲立ちをする。院内で進められるメディエーションでトラブルが解決しない場合、裁判や調停のほか、第三者機関が解決を促す裁判外紛争解決手続き(ADR)も各地で取り組みが進んでいる。

メディエーター普及を 医師ら支部設立シンポ /愛媛(2009年10月13日愛媛新聞)

 医療訴訟などの増加で、病院と患者のトラブルを両者の話し合いによって解決に導く「医療メディエーター」(医療対話仲介者)が注目される中、日本医療メディエーター協会四国支部がこのほど発足、記念シンポジウムが12日、松山市三番町4丁目の県医師会館であった。患者側や医療現場からの講演があり、その意義や役割について考えた。
 医療メディエーターは、中立的立場で医療者側と患者側の「橋渡し役」として当事者に対話を促すことで紛争解決を目指す。
同協会が専門トレーニングを受けた医療関係者を認定している。医療の安心の観点から、民主党は政策集に、一定規模以上の医療機関へのメディエーター配置を盛り込んでいる

導入後に紛争減少も 開業医も研修受講(2009年10月13日47ニュース)

 医療メディエーター養成の研修プログラム認証などを行っている日本医療メディエーター協会によると、2004年度に試行的に始まった研修の受講者は年々増え、09年度は1500人を超えると予想されている。
 愛媛県医師会は会員の医療機関の50床に1人の割合でメディエーター配置を目指しており、08年に約80人、今年も7月までに計90人の医師や看護師、事務職員らが研修を受けた。
 会員の病院や診療所で起きたトラブルで、医師会の紛争処理委員会が扱った件数は、01年以降、毎年15件以上が続いていたが、08年には7件に減少。「紛争防止策として初期対応の重要性が認知され、メディエーション普及とも関係していると考えている」(事務局)という。
 規模の大きい施設の職員が中心だった研修の受講は、開業医にも広がっている。「ハシイ産婦人科」(京都市西京区)の橋井康二院長ら、メディエーションに関心を持つ産婦人科、小児科医らは9月中旬、都内でグループを立ち上げ、各施設の看護師らとともに研修を受けた。
 橋井さんは3年前まで勤務していた京都市内の総合病院で、緊急手術の説明をめぐり患者側から苦情を受けた。この際、メディエーターの仲介で理解を得られたことから、コミュニケーションの重要さに関心を持った。
 小規模の施設では、第三者として活動するメディエーターを置くのは難しいといい、橋井さんは「われわれ自らがメディエーションの考え方を身につけ、一対一で対応していくことに主眼を置いている」と説明する。
 メディエーションの姿勢は親子関係や教育にも応用が可能ではないかといい、産婦人科医や小児科医が機会をとらえて伝えていくことで、育児放棄、虐待といった問題にも貢献したいという。
 医療メディエーターの認定は、弁護士以外の者が紛争処理を含む法律業務に携わることを禁止した弁護士法との兼ね合いで、医療機関の職員に限定されている。
 だが、メディエーションの考え方は医療者と患者のコミュニケーションのさまざまな場面に適用でき、両者のよい関係をつくるのに役立つとして、同協会は各地の市民団体などと協力し研修などを行っている。

記事中では「小規模の施設では、第三者として活動するメディエーターを置くのは難しい」云々と書かれていますけれども、もちろんきちんとした「紛争解決のプロフェッショナル」を用意することは職場管理者の果たすべき責任である一方、こうした対処能力というのはある程度最低限のスキルを全職員が持っていることが望ましいのは言うまでもありません。
考えてみれば一昔前には「お医者様」などと呼ばれた時代から今は「患者様」と短期間で180度の価値観の転換が起こっている、そんな中で現在の医療現場は昔風の「(誤用的な)由らしむ可し、知らしむ可からず」をよしとする教育を受けた世代も、今風の「インフォームドコンセント至上主義」を是とする教育を受けた世代も混在しているという、なかなか面白い状況にあるわけですよね。
どちらの態度が正解というよりこれら両極端の中間にあって、しかも相手のキャラクター等を見ながらのケースバイケースでスタッフと顧客との適切な距離感をその都度保っていくというのが医療に限らず接客業の基本なんだと思いますけれども、最近ようやく教育の方面でもこうした生の顧客対応が取り入れられるようになってきたのは良いことだと思います。

模擬患者ボランティアが医学研修を支援(2009年09月25日福島放送)

患者と良好なコミュニケーションがとれる医師を育てようと、福島市の福島医大医療人育成・支援センターは模擬患者の養成に取り組んでいる。
臨床現場でどのように患者と接すればいいかを、医学生や研修医らが実践的に学ぶのを支援する市民ボランティアだ。
11月に養成講習を修了して以降、教育現場などで活躍してもらう。

講習に参加しているのは、県内などの主婦を中心に農家、サラリーマンなど40歳代から60歳代の約20人。
今年3月から月1、2回、「がんの告知」や「頭痛」など教員らが作成したシナリオをもとに、患者になりきって学生らの問診に的確に答えられるよう練習を重ねている
石川和信医学教育副部門長は「医療の満足度アップにつなげたい。今後、学生の臨床実習や研修医教育における模擬患者の活用状況をみながら人数を増やしていきたい」と話している。

一昔前には医療従事者は性善説に立つあまりにトラブルに対して無防備すぎた時代もありましたが、最近ではいわゆるモンスターペイシェントであるとか、クレーマーであるとかいった問題もあって、医療従事者側がいささかトラブルに対して過敏になってきているところがあるように思います。
要するに少しでもトラブるかな?という予感がしたところで強固な障壁を築き上げてしまうというわけで、これではクレーマー以前の段階にある患者さんにしても「こいつ、俺に含むところでもあるのか?」と良い気持ちにならないのは当然ですから、そのつもりはなかったとしても余計に態度を硬化させてしまうのは当然ですよね。
このあたりの対応の要領はある程度は場慣れと言いますか、どれだけの修羅場をくぐってきたかという経験次第というところがあって、ある程度色々な状況を経験して自分に余裕があれば多少相手が突っかかってきても自然に受け流せる、結果として顧客との関係がうまくいくというのは接客業の皆さんであれば当たり前に体感しているところだと思います。
医者など受験勉強や奴隷医生活などでストレス耐性が高そうに思えますが、案外他人の悪意というものには弱いなんてかわいいところがあったりするもので、ちょっと厳しめに突っ込みを入れると途端にオタオタしてしまう人間が結構多いのは正直いざというときこの人は頼りになるのかね…と不安を感じさせる要素にもなることは自覚しておいた方がよいでしょうね。

ここからは全くの余談かつ個人的見解ですが、飲食業などでも厨房担当者に敢えてホール係をやらせるといったことがあるようですけれども、医者という職種も良くも悪くも色眼鏡で見られ何をしていても医者の立場から離れられないところがありますから、いっそ医者稼業はおろか医療からも完全に離れたところで修練を積んだ方がいいのかなという気もしています。
学生時代なども実入りの言い家庭教師のバイトばかりしていた奴よりも、安くても小売り業や飲食店で不特定多数相手に鍛えられてきた人間の方がこと接遇スキルに関しては明らかに上だと感じさせられるなんてことが多々ありますが、医者としてのトレーニングしか積んでこなかった人間はどこまで上達しても結局医者としての会話しか出来ないもののようです。
総合大学などでも医学部はしばしば地理的に隔離されていたりして部活などでも他学部と交流が乏しかったりしますが、世の中どんな地位、職業の人間でもおよそ病院に来ない人間はいないというくらいに顧客のレンジが広い仕事なんですから、白い巨塔(笑)に籠もっていないで色々な価値観に積極的に関わってみるのもいいんじゃないかなと思うんですけれどもね。

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2009年11月 4日 (水)

新型インフルエンザ 思いがけないところにも現れるその影響

先日こんなちょっといじましいと言いますかアレな記事が出ていましたけれども、皆さんご覧になりましたでしょうか。

新型ワクチン、ケチケチ作戦 接種量減、注射器に工夫…(2009年11月2日朝日新聞)

 新型の豚インフルエンザのワクチンを一人でも多くの希望者に打とうと、医療従事者用に接種量を少しずつ減らしたり、無駄が出ないようワクチンの注射器を変えたり、「あの手この手」の不足解消策が試みられている。ワクチンの生産量に限りがあり、全体的に不足気味だからだ。

●接種量を減らす病院

 東京都健康長寿医療センター(板橋区)では、医師や看護師に接種する際、1人あたりの接種量を従来の0.5ミリリットルから、0.45ミリリットルに減らすことにした。

 ワクチンが必要な医師や看護師は600人以上いるが、届いたのは550人分。院内で検討し、接種量を、基準より1人あたり0.05ミリリットルずつ減らすことで、全員に打てるようにするという。

 あくまで医療従事者に限っての「苦肉の策」だ。費用は病院の負担。健康な成人に対する国の臨床試験では1回の接種で十分に抵抗力がついたことを示す指標(抗体価)が上がっており、0.05ミリリットル減っても、一定の効果は見込めると判断した。

 稲松孝思・感染症内科部長は「医師や看護師の間で感染が広まれば、手術などにも支障が生じ、患者さんにも影響が及ぶ。必要な対象者にはすべて接種したい」と話す。

●節約できる注射器も

 医療機器メーカー大手のテルモ(東京都渋谷区)は10月19日、インフルエンザワクチン用の新しい注射器を発売した。これまでの注射器は内部にワクチン液が残ってしまい、有効利用できない分があったため、注射器と針の接続部分を改善した。

 実験では0.5ミリリットルの接種時に、これまでより、残ってしまうワクチン液を約10%減らせたという。月100万本を生産する予定だ。

 新型インフル対策に貢献できるとして、製造販売の承認は通常8カ月かかるところを、半分以下の3カ月で取得できたという。

●大きな瓶で生産増加

 厚生労働省は当初、来年3月までの国内産ワクチンの生産量を1800万人分としていたが、9月に約2700万人分に上方修正した。その理由のひとつが、ワクチンの瓶(バイアル)の大きさだ。

 季節性用ワクチンは1ミリリットル入りの瓶が使用されてきたが、新型用は海外で使われる10ミリリットルも使うことにした。大きな瓶にまとめると検査の手間が減り、効率よく生産できるという。

 ただし悩ましいのは、1人0.5ミリリットル接種の場合、10ミリリットル瓶では20回分ではなく約18~16回分になってしまうこと。瓶の内壁にワクチン液が残ってしまう無効分が出るためだ。一方、小さな1ミリリットル瓶では10本で20回分とれるという。

 また、10ミリリットル瓶ではワクチンを注射器に移すのに注射針を瓶に入れる回数が増え、細菌による汚染が増えかねないとの懸念もある。厚労省は10月20日、都道府県などに10ミリリットル瓶を使う際の注意を文書で呼びかけた。(小堀龍之、武田耕太)

新型の場合本当に容量に余裕が無くて1mlぴったりしか入ってないなんて不満の声も現場から出ているようで、しかもどこも必要量より少なくしか送ってこないというのですから、これは施設内で接種対象者を決める現場の責任者も頭が痛いところでしょう。
恐らく効果の面でも有意の差はないとも思われるケチケチ作戦も気持ちは判らないでもない話なんですが、こうして公に語るべきことではなかったかなという気はしますけれどもね。

新型インフルエンザのワクチン接種を巡っては未だに混乱が続いていまして、例えば優先接種対象者の選定についても未だに「薬剤師が最優先でないのはおかしい!」なんて声が挙がっていたりするように、何やら一部ではパニック映画のごとき様相すら呈している気配があります。
ひと頃は「従来型ワクチンよりヤバいんじゃないか」とも騒がれた副作用に関しては結局そう懸念するほどでもなさそうだというのが現段階での統括のようですが、正直事情をよく知っている人間ほどさほど接種に熱心でないとも言われる新型のワクチンでこうまで大騒ぎをしていては、将来本物の強毒鳥インフルエンザでも出た時にはどうなるか心配ですよね。

新型インフルエンザに関連してあちこちで影響が出ているのは既に皆さんも御存知の通りだと思いますが、例えば先日は発売前の新しい抗ウイルス薬「ペラミビル」について、アメリカのFDAが「他の薬が使えないときは使って良いよ」と特別にお達しを出したという一件がありました。
するとあっという間に日本での販売権を持っている塩野義さんの株価が急騰したというくらいで、今やインフルエンザというと医療や公衆衛生だけでなく、社会経済などにも大きな影響を与えるものとなっているということですよね。
薬関連で言えば例の抗ウイルス薬による異常行動絡みで小児科領域を中心に改めて見直されている漢方薬の麻黄湯ですけれども、この時期さぞや商売繁盛なんだろうなと思えば全く逆で、下手をすると供給が途絶えるのではないかという懸念すらあるというのですから困った話です。

インフルエンザに効く漢方薬 逆ザヤで供給不安説(2009年11月 1日ロハス・メディカル)

 インフルエンザの解熱までの期間がタミフルより短いという研究もある漢方薬の麻黄湯に供給不安説が出ている。薬価が安すぎてメーカーが売れば売るほど損をするうえに、原料が生薬(植物)で生産量が限られているためだ。専門の医師からは「こんな大事な時に使えないなんて。薬価の仕組みを根本的に変えないと国民の利益を損ねる」との声が上がっている。(川口恭)

 麻黄湯は感冒初期に処方される代表的な漢方薬で、サイトカイン産生を抑制する作用を持ち、インフルエンザにも効果があるとの報告が相次いでいる。耐性ウイルスを生み出す心配がないことから、タミフルやリレンザなどが使えない場合の有力な治療選択肢だ。研究報告の中には、治療開始から解熱までの時間を、1タミフル単剤、2タミフルとの併用、3麻黄湯単剤で比較したところ、なんと3が最も短く、次いで2、1の順だったというものもある。

 ところが、この麻黄湯に供給不安説が出ている。

 理由は二つあり、お互いに関連している。まず1日薬価が55円と極めて低いため既に原価割れしており、メーカーは売れば売る程赤字になるという。一方、原料は、杏仁、麻黄、桂皮、甘草といった生薬でその生産量は限られており、需要が高まれば高まるほど価格も上がることになる。また、その多くを中国に頼っていることから、中国など他国で需要が高まってもやはり価格は上がり、国際的な価格競争に負ければ原料を確保できなくなる。実際、SARS禍の際は、タミフルの原料だった八角の価格が10倍まで跳ね上がったことがあるという。

 さらに事情を複雑にしているのは、原料が他の製剤の原料と重なることも多く、たとえば花粉症に使われる小青竜湯には麻黄が必要だし、肝炎治療に使われる強力ミノファーゲンには甘草が必要と、麻黄湯ばかり生産すると他の製剤を作れなくなることだ。

 最初の問題である漢方薬の薬価が不当に安い理由は、薬価制度が工業製品を前提としていて、生産設備の減価償却などを見込んで年々下がっていく仕組みになっているからだが、相手が植物で栽培もそう容易ではないという場合、むしろ原料の価格は年々上がっていくので、その製剤の良さが社会に認められ定着するほどにメーカーは赤字が膨らむことになる。

 薬価が安いのは患者にとってありがたいことだが、供給されなくなるほどの低価格は明らかに患者にとっても有害と言えるだろう。

 慶應義塾大学医学部漢方医学センターの渡辺賢治准教授は「今回のように漢方が大いに役に立つはずの場面で国民の利益にならないというのはメチャクチャな話。薬価制度を根本的に見直していただくと同時に、栽培可能な生薬は国内でも生産を始めるなど原材料確保のために力を注ぐべきだ」と話している。

特に小児科領域では深刻な話で、厚労省では例の小児への抗ウイルス薬使用制限を緩和しようという動きもあるようですけれども、あれだけ副作用だ薬害だと騒がれた後で敢えて火中の栗を拾う度胸のある先生がどれだけ残っているかということです。
そうなりますとこういう肝心のところで供給が途絶えると「困る!」という先生方も多いと思いますから、厚労省も緊急に何とか対策を講じていただきたいものだと思いますね。
医療機関の側でもひと頃は新型騒動で患者殺到!さてどうしよう!といったキャパシティー絡みの話がずいぶんと騒がれていたものですけれども、最近は少しばかり違った方向での問題も出てきているようで、考えようによってはこちらの方がむしろ深刻なんじゃないかという気がします。

インフル患者6割増、ほかの患者が「受診控え」する悪影響、3割の医療機関で(2009年10月27日日経BP)

 医療情報サイトのQLifeが10月20―23日に医師へ行ったアンケート調査によると、風邪・インフルエンザの症状で医療機関を受診した患者の数は前年より64%増えた。一方で30%の医療機関では、ほかの疾患の患者が「受診控え」する悪影響も出ている。インフル患者の殺到が、ほかの患者の足を遠ざけている恐れがある。

 平均すると、病院の風邪・インフル患者数は前年比77%増、診療所では48%増となった。QLifeは病院での増加が著しい理由を分析している。それによると、病院の方が混雑していても検査などの受け入れ能力があると患者が考えているか、または新型インフルを実態より危険な病気とみているためという。

 新型インフル患者を前年の季節性インフル患者と比べた医師の印象は、「過剰に心配・恐怖している」が最も多く、20%がそう感じている。また学校や職場が「陰性証明」「治癒証明」を求めるため受診せざるを得ない患者も多く、医療機関の負担になっている様子がうかがえた。

 30%の医療機関で、糖尿病・高血圧などの患者が内科の受診を控える傾向がみられた。こうした患者は、インフル患者の増加で待ち時間が長くなっていることを敬遠したり、院内でのウイルス感染を恐れて、足を遠のかせたりしているとみられる。

 また新型インフルのワクチンについては、医療従事者や妊婦のほかに「基礎疾患がある人」が、優先接種の対象となっているが、57%の医師が「(行政機関から基礎疾患の)明確な定義が届いていない」とした。特に病院では61%がそう答えた。

 ワクチン接種に関して、医師が政府に望んでいることは「ワクチンの供給量を増加/十分にすること」が4人に1人(25%)で最も多かった。このほか全体としてはし迅速、正確な情報提供を求める声が多かった。

 調査は全国の内科医師300人を対象にインターネット上で行った。所属する医療機関は病院56%、診療所44%。

■関連情報
・QLifeのWebサイト http://www.qlife.jp/

新型インフルに高齢者施設はどう備える?(2009年10月28日CBニュース)

 新型インフルエンザに、特別養護老人ホームなどの高齢者福祉施設はどう備えるか―。東京都社会福祉協議会は10月27日、社会福祉施設の関係者らを対象にセミナーを開いた。講師として、東京都総務局総合防災部情報統括担当課長の齋藤實氏や、厚生労働省の医系技官の木村盛世氏が登壇。有症者は出勤させないようにすべきと強調したほか、発症者の続出で施設のマンパワーが不足した時にどのサービスを優先するかなどの計画を、あらかじめ立てておくべきと指摘した。

 齋藤氏は講演で、都の新型インフルエンザ対策について紹介。また、施設では「集団発生を防ぐことを重視してほしい」と求め、職場に感染者を入れないよう、有症者は「積極的に休ませて」と呼び掛けた。さらに、発症した職員は「熱が下がってから2日間は出勤しない」ようにすべきと指摘。特養などの入所者が発症した場合は、個室などに隔離することが必要だとした。
 木村氏は「新型インフルエンザ対策を検証する」と題して講演し、厚労省の新型インフルエンザ対策の問題点などを指摘。また、日本の職場では「熱があっても仕事に出る」ことがしばしばあるが、かえって周囲に迷惑を掛けることになり、有症者は休むべきとした。

 続いてセミナーでは、講師2人に都内の施設関係者が質問する形でシンポジウムが行われた。
 齋藤氏は、新型インフルエンザの流行で職員が休まざるを得ず、施設の配置基準を満たせなくなった場合にどうすべきかとの質問に対し、「(厚労省からは) 今の施設基準を弾力的に運用していいとの通知はない」とし、人員が減った場合にどのサービスを優先すべきかなどを事前に考えておくことが必要だと述べた。
 また、職員の家族が新型インフルエンザにかかった場合に、職員が仕事を休まざるを得なくなると、施設のマンパワーが不足し、休む職員も心苦しいとの意見に、齋藤氏は「都では、家族が感染した場合でも休む必要はないとしている」と説明。職員を休ませる余裕がある施設は差し支えないが、「休むべきとは考えていない」と述べた。木村氏も、そもそも「濃厚接触者」という概念は、封じ込め可能な感染症に適用可能なものだと指摘。今回の新型インフルエンザの場合、「家族が感染しているからといって、休む必要はない」とした。

末端の診療に携わっている先生方はよく御存知だと思いますが、未だに結構来る困った人たちというのが「家族がインフルエンザにかかった。職場(学校)に出すから感染していない証明を書いてくれ」なんてことを言ってくる方々で、そのたびに「そういう証明をするのは科学的にも無理であるし、書くことは出来ないんですよ」などと説明するだけでも手間取りますよね。
悪いのはそういう馬鹿げた証明を求める職場なり学校なりの方であって、上司と医者との板挟みになってしまったこの人たちはむしろ被害者と言ってもいいくらいなんですけれども、上記の記事を見ても判るように病院慣れしているはずのかかりつけ患者さんはおろか、医療や介護の関係者も含めて必ずしも皆が正しい認識を持っているわけではないことも混乱を招く大きな要因です。
政府が率先して正しい情報を広報し周知徹底していくのは当然ですけれども、例えば外来でのインフルエンザ診療についてもガイドライン自体がしょっちゅう二転三転しついていくのがやっとという状況で、果たして誰の言っていることが本当に正しいのかもよく判らないというのが正直なところだと思いますね。

実際の報道を行うマスコミについても、ことこの件に関しては確かに素人さんには判りにくい議論が多いだろうなといささか同情的に見ていないわけではないのですけれども、そうではあっても事が事だけにいたずらにセンセーショナルな見出しで煽るといった行為は厳に慎むべきであることは言うまでもないですよね。
先日もお伝えしました予防接種の回数を巡る一連の騒動なども、結局最終的には「やってみなければ判らない」としか言えない状況で科学的にはこれが正解という明確な答えはない、だからこそ政治家の果断な、そしてなるべく素早い決断が必要な局面であったはずなのです。
その意味ではあれは非常に政治的な問題であったと思っているのですが、何かしら政治家対官僚であるとか、行政対科学であるとか、使い慣れたいつもの対立の構図に落とし込んでの報道が行われていたとすれば、それはミスリードであると言うしかないように思いますね。

新型インフル 「マスコミ報道に憤り。議論続け、逐語で公開を」 森兼氏(2009年10月31日ロハス・メディカル)

 ワクチン接種回数に関する厚生労働省の迷走は、足立信也政務官が政治の力で科学をねじ伏せた結果であるかのようにマスメディアで報道されバッシングされている。しかし19日の会合の内容は、科学的根拠のない行政決断に政務官が疑問を呈し、専門家もそれを支持したというものであり、傍聴していた身からすると、一連の報道内容には違和感を禁じえない。19日に出席した専門家の1人である森兼啓太・東北大大学院講師も同じ思いのようだ。簡単にインタビューした。(川口恭)

――19日に厚生労働省で行なわれた意見交換会、お疲れさまでした。先生の「尾身先生の主張は、科学ではない」との発言で全体の流れが決まったような気がしました。ところで、あの交換会の招集はいつかかったのですか。

森兼 足立政務官担当の事務官から連絡が入ったのが、当日のお昼ごろです。私に夕方までの所用があり、それを済ませた後で仙台から駆けつけたので、あのような遅い時間の開催になってしまい出席の方々には申し訳ないと思っております。

――そうでしたか。意見交換会の後で足立政務官をはじめとする政務三役が16日の専門家会議の方針に一部待ったをかけたところ、マスコミに大バッシングを受け、29日の衆院厚生労働委員会では自民党の大村秀章氏が集中審議を求めました。

森兼 意見交換会の中身をちゃんと聴いていたら、足立政務官の判断の方が科学的に妥当だというのは理解できたはずです。16日の専門家会議をおまとめになった尾身先生も、19日の議論の場では最終的に16日の方針を変更することに反対されませんでした。政治の力で科学判断を覆したかのようなマスコミの報道内容に対しては、憤りを覚えています

――記者たちは、自分たちが先走って書いちゃった記事を"誤報"にされて、社内的な言い訳として政務官が悪いことにしないといけなくなったんだと思います。

森兼 記者の側の事情は知りませんが、こんなに捻じ曲げて書くんだなというのが分かって驚いています。書かれっぱなしだと、一般の人には足立政務官が悪いという印象だけが残ってしまうので、そうではないんだという情報発信を私も行なっておりますし、あちこちでお願いもしております。

――その通りですね。

森兼 新型インフルをめぐる状況は刻々と変化します。政務官も、19日から20日にかけて表に出られたわけですが、路線を変えることなくさらにフォローすることが大切ではないでしょうか。具体的には、16日や19日に集まった専門家をはじめとする様々な人々との会合を定期化していただいて、週1回程度、新型インフルの現状分析とワクチンに関する最新情報の共有、それに基づいた接種回数や優先順位の議論を行なうことが必要だと思います。

 8月から9月にかけて行なわれたワクチンの優先順位に関する議論は、相当多くの方々の意見を聞きながら決定されましたので、その方式を政党が変わっても踏襲するよう事務方に働きかけて頂きたいと思います。また、会議の形式は公開の対面方式がベストですが、メール・電話会議などで行って、その内容を逐語で公開することでも構わないかもしれません。逐語にしないとマスコミに捻じ曲げられますから。政務官も、お忙しいとは思うのですが、元外科医の政治家として、他の政治家とはひと味違うというところを是非見せてほしいです。

19日の会合の内容というものを見ていただいても判る通り、尾身氏ら専門家会議の方では行政が方針を決めるのに専門家としてのコメントがいるだろうから取りあえずの結論として出したんだと言うことですが、こうした言わば素人向けの配慮というものはデータの読み方を知っている足立氏にすれば「リザルトとディスカッションを一緒にしないでほしい」と言いたくなるのも確かでしょう。
むしろ今回の問題は正式に決めるのは議論後の週明けにしようと言っていた話が週末に決定事項であるかのように報道されていたことで、岩田氏などによれば「これまでも朝、新聞の1面で厚生労働省の方針を読まされることが多かった。それが私たちが意見交換会に呼ばれる前日だったりする」などということがしばしばあったということですから、これは誰が悪いのかということです。
専門家の意見を踏まえて政治主導でこれこれの決断をしました、決まったからには迅速に実施できるよう頑張りますと言えば何も波風が立つこともなかったでしょうに、わざわざこういう火元になるようなリークまがいのことをしてまわっているというのは誰か、そしてどういう意図でやっているのかということですね。

こういうところを見ていても、今回の新型インフルエンザは来るべき高病原性パンデミックへの予行演習だという話を思い出してしまいますけれども、思いがけないところで思いがけない獅子身中の虫があぶり出されつつあるようにも思えるのは気のせいでしょうか?
マスコミの人々も対立対立と単にあおり立てるのではなくて、何故そういうことになっているのかというところまできちんと報道出来るようになればいいんですけれどもね。

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2009年11月 3日 (火)

今日のぐり:「三崎漁師物語」

「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に与えられるイグ・ノーベル賞というものがありますが、本年は日本人が受賞したというニュースが先頃流れたのは御存知のところかと思います。

日本人研究者が獲得=ふんで生ごみ減量-イグ・ノーベル賞(2009年10月2日時事通信)

 【ニューヨーク時事】奇想天外で人をうならせる研究を表彰するイグ・ノーベル賞の授賞式が1日、米マサチューセッツ州のハーバード大で行われ、パンダのふんから取り出した菌を使って生ごみの大幅な減量に成功した田口文章北里大名誉教授が「生物学賞」を受賞した。日本人が賞を獲得するのは3年連続。
 米メディアによると、田口氏はパンダのふんの中に分解能力の高い菌がいることを発見。家庭生ゴミの90%以上を水と二酸化炭素に分解する技術を確立した。田口氏は中国人研究者2人と共に受賞。
 イグ・ノーベル賞は10部門で構成。思わず笑ってしまう要素も持ちながら、科学や医学に対する興味をそそる秀逸な研究に対し、1991年から賞を贈っている。 

多少詳しい紹介記事がこちらなんですが、どこからどう見ても間違いなく有用かつ真っ当な研究であるのは確かだとしても、どうしてもひっかかるのが受賞の理由でもあるだろう「何故にパンダのふんなのか?」という部分でしょうかね?
田口氏いわく「あんなに消化の悪そうな笹を食べて暮らす動物ですから、腸に笹を分解するなにか特別な菌がいるのではないかと最初に考えた」そうですが、言われてみると確かにそういう考え方もあるかと納得できそうな話ではあるものの、恐らく実用化に至るまでには周囲の無理解にずいぶんと悩まされることもあったのではないかと思います。
本日はそんな「後になってみるとすごいことだったと言われるかも知れないが、どうにも変に見える話」というのを幾つか紹介してみますが、まずはこちら、あからさまに怪しすぎる話題からはじめさせていただきましょう。

【米国】形を変えるスライムのような新型ロボット「ケムボット」、米軍の資金提供で開発される(2009年10月16日Sun)

ただの不格好なスライムではない。この小さな物体ケムボッ<ChemBot>は、最新のロボットテクノロジーだ。
スライムが膨れたり縮んだりしながら床の上を動く様は、凶悪な地球外生命体のようにも見える。

開発したのは技術系企業のiロボット<iRobot>社。ロボットはあらゆる隙間や割れ目に侵入する能力を持つ。
楽しいギミックというだけではない。実はこのスライムの開発には軍が資金提供している。この手のひらサイズのロボットをわずかな空間に入り込めるよう形状を変えさせ、偵察、探索、救助といったミッションを支援させようというものだ。
ロボットの動作の秘密は、「ジャミング<jamming>」と呼ばれる、物質が半流体の状態になったり固体になったりするのを密度の変化によりとらえる手法だ。

ケムボットはケミカル・ロボットを縮めた言葉。物体の外殻は、多数の部分(小室)に分かれており、空気と微粒子が詰められたフレキシブルなシリコン樹脂だ。
空気がなくなると圧力が下がり、空気のあった空間に微粒子がわずかに移動し、小室の固さが変化する。

外殻の下(物体内部)には、液体(圧縮しても密度が変わらない)と、体積を変えられるアクチュエータがある。開発はまだ初期段階だが、宇宙探査、軍事作戦、人体内で動作する医療機器といった分野で応用が期待されている。また地下や海面下の鉱道や洞穴といった厳しい環境での救助ミッションでも役立つと考えられている。

開発プロジェクトには330万ドルの資金が米陸軍研究所及びDARPAから提供されている。

文字にすると何やら意味不明なのですが、これが写真を見るともっと意味不明で、果たしてこれはロボットなのか?と素朴な疑問が湧いてくる話ではあります。
これが動画の方を見ていただきますとさらに疑問がいや増すというものなのですが、最大の疑問は洞窟なりに閉じこめられた時にこんな「救助ロボット」がやってきたとして、果たしてこれを助けだと認識できる人間がどれほどいるのかということではないかという気がしますね(たぶんマイクやカメラの運び役にでもするのでしょうが)。

こちらもものすごく壮大な計画に基づいた非常に素晴らしい実験なんだろうと思うのですが、何故か妙に笑えてしまうのは自分だけでしょうか?

「急募!火星へ行く資質を持つ被験者」、欧州宇宙機関(2009年10月21日AFP)

見ず知らずの人と17か月間、狭いカプセルの中に閉じこめられることを、「快適な時間の過ごし方」と感じられるような人ならば、欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)が好条件の仕事を提供してくれる可能性がある。

 ESAは、20年後に実施されるかもしれない火星探査ミッションに向けて、地球上でシミュレーション実験を行う。その実験に参加する健康な男女4人を探しているというのだ。

 条件は身長185センチメートル以下で20-50歳、ロシア語か英語を話すことができて、そして狭い空間に長期間監禁されることを興味深い挑戦だと感じられるような人であること。医学や生物学、工学の博士号を持っていればなお良い。現在候補者を募集中だという。ESAが20日、発表した。

 来年にはモスクワ(Moscow)の施設で520日間の予行演習が開始する。すでに同施設で今年、6人を対象として実験が実施されたが、こちらは105日間で終了した。

 550立方メートルのモジュールは、火星への有人宇宙飛行の状態を再現することがねらい。火星の地表への着陸もシミュレートされるという。また、通話の遅延は最大で20分。緊急事態の状況も再現される。

 前回の実験は2年前に募集があり、6人の枠に対し5600人以上が応募した。

 ESAが20日に発表した「求人」によると、追加要員で2人、病気や事故の際の交代要員として2人の計4人を募集する。選抜は、「教育、専門的経験、医学的な適性、社会的習性などに」基づいて実施され、候補者の選抜過程は「本物の宇宙飛行士を選抜する際に用いられるのと同様のものになる」という。

 その時の地球と火星の位置関係にもよるが、火星への有人探査ミッションが実施された場合、往復に約490日間かかり、火星には1か月滞在することになる。

もちろん不愉快で苦痛だけれども我慢は出来るというよりは快適で興味深い挑戦だと感じられるくらいの人の方が適性はあるんだろうと思うのですが、こういう言われ方をすると何かしら変○さんの我慢大会のように聞こえてくるのは気のせいでしょうかね?
やはりそうなのだろうと思えるのは、17ヶ月と言いながらすでに行われた6人での実験が105日間で終了しているということで、やはり相当なストレスになるということなんでしょうか(まあ当然そうなのでしょうけれども)。
こういう話は昔からSFなどでは非常にありふれたネタですから、案外まじめな科学者などよりは引きこもり気味なSFヲタ(失礼)みたいな人の方が「僕はディスプレイさえ眺めていれば何年でも!」って感じの人材が多そうな気もしますけれどもね。

お次はむしろ日本人などがやってもよさそうなことを、はるか欧州で先を越されてしまいそうだという話です。

世界最高層70mの木造ビル計画 オーストリア、20階建て(2009年10月6日47ニュース)

【ウィーン共同】オーストリアの建設会社が20階建て、高さ約70メートルの木造“高層ビル”の建設を計画している。会社側によると、世界で最も高い木造ビルで、同国の工科大学と共同考案した。事前加工した木材を使うプレハブ工法で、工期を大幅に縮めた上、軽さと耐久性を両立できるという。同社は来年にも着工したいと意気込んでいる。

 木造の高層建築では、ロシアや南米ガイアナに高さ40メートルを超す住宅や教会があり、ノルウェーでも16~17階建ての木造ビルが計画されている。

 オーストリアの建設会社「ロームベルク・バウ」によると、鉄鋼など建材価格が高騰する中、価格が安定した木材に着目した。20階建てビルは商業用、住宅用などさまざまな用途を想定。1~2階部分は従来の鉄筋建築だが、上階の本体構造に工場で加工した木材を用いる。

 建物の外枠をロの字形に組み、各階をブロックのように積み重ねていく工法で、耐久性を確保。工期は従来のビルの半分に短縮できるという。

日本の木造建築などを見慣れた目からするといささか残念にも思うのですが、予想写真を見る限りこれはどこまでいっても「ビル」ですよね。
ちなみに木造高層建築といえば、古代の出雲大社本殿は現在の倍の16丈(48m)もの高さがあったとも言われていて、近年それを裏付けるような伝承通りの巨大な柱などの発掘が相次ぎ話題になりましたけれども、一説には大昔にはさらに倍の32丈(およそ96m)の高さがあったとも言います。
出雲大社の方は高すぎて何度も倒壊したと伝えられていて、その結果次第に今のような常識的な高さになっていったとも考えられますけれども、この計画も実現性もさることながら思わぬ蟻の一穴ならぬシロアリのひと囓りから倒壊…なんて不吉なことにはならないようにしていただきたいですね。

さて、最後はブリからのネタを紹介しておきましょう。

全身「丸見え」のスキャナー、英空港で試験運用開始(2009年10月14日AFP)

英イングランド北西部マンチェスター(Manchester)の空港で、セキュリティーチェック用のX線写真撮影装置の試験運用が開始された。体中を触る「わずらわしい」検査を免れる代わりに、性器やボディーピアスのほか、胸に埋め込まれた豊胸バッグまで「丸見え」になってしまうという。同空港当局者が13日明らかにした。

 装置は白黒写真を撮影し、セキュリティー担当者1人がチェックした後、画像は消去される。旅行者はコートや靴を脱いだりベルトをはずす必要がなく、大幅な時間短縮が図れるという。

 新装置に賛成できない旅行者は、従来通りのボディーチェックを選択することができる。

 同空港の顧客担当責任者サラ・バレット(Sarah Barrett)氏は、旅行者の大半は従来の体中を触る検査を「わずらわしい」ものとして好ましくないと感じているとした上で、新装置は着衣をとる面倒もない上に、画像も「いやらしい」とか「ポルノっぽい」ということもなく、「決して画像が保存されることもない」と新装置の利点を強調した。

 同装置は武器や爆発物の機内持ち込みを防ぐために開発されたもので、米国の多数の空港ですでに導入されている。

これに関してはどういう状況であるのかリンク先の画像を参照いただくのが一番判りやすいかと思うのですが…いやまあ、確かにこの画像に関しましては「いやらしい」とか「ポルノっぽい」ということは決してないですけれどもね、ええ…
テロの本場アメリカではすでにかなり導入されているということなんですけれども、もともとこのあたりの危機管理意識の乏しい日本あたりでこういう装置を導入するなんて話になりますとどういう騒ぎになるかと思うような素敵な…いやいや、画期的なハイテク装備ですよね。
ところでこのモデルの方、おそらく不審物を隠し持ってるという設定の被検者なんだと思いますけれども、単なる偶然にしてはあまりに似合いすぎな配役がブリ流のこだわりということなんですかねえ?

今日のぐり:「三崎漁師物語」

道の左右両側は断崖絶壁の彼方に海が広がっているという不思議、そしてどこまでも続く巨大な風車の列、列、列…佐田岬半島と言えば全長50kmにも及ぶという日本で最も長い半島なんだそうですが、その最先端に位置するこちらのお店は、あるいは日本でもっとも「端っこ」に近い飲食店かも知れません(?)
なんとも垢抜けない店構えも、いきなり伊勢エビの大群がお出迎えしてくれる店内も、いかにも観光地に良くあるお食事とおみやげの店という感じのセンスなんですが、三崎漁協直営と聞けばそのセンスにも納得出来るものがあります(かね?)。
正直もう少し見た目にも今風の感性を働かせてもらってもいいかなとも考えないでもないのですが、そういうことを愚痴愚痴言うのも漁師らしくない気もしますし、逆にこういう飾らない方が一般のお客には入りやすいという考え方もありますよね。

こちら一番の売りらしいあわびなどのグリル焼きをメインに据えたセットメニューも色々とあるようなのですが、漁師らしく豪快なのは確かだとしても料理のバリエーション的に今ひとつ訴えなかったので、適当にアラカルトで頼んでみました。
刺身の盛り合わせで一方の主役っぽいのがあわびなんですが、ちゃんと食感とのバランスを考えて薄造りにしてあるのは漁師料理らしくないですかね(苦笑)。
中華料理でアワビと言えば文句なしでうまい!という最高の食材の一つなんですが、あれは手間暇をかけてうま味を引き出した干しあわびだからこそというものなのでしょうか、正直こうして生で食べてもひたすらこりこりした食感があるだけで特別うまいとも何とも…という印象を、残念ながらこの日もぬぐい去ることは出来ませんでした。
個人的に生牡蠣が食べられないというくらいに生の貝類の潮の風味が苦手という人間ですから、このあたりの味の評価は割り引いて考えていただければとも思うのですが、世間ではあわびのお造りと言えば豪華でうまい料理として通っているわけですから、一度ちゃんとしたうまいお造りというのを食べてみたいとは思うところですね(刺身向きのあわびは種類が違うとも聞きますが)。
伊勢エビの方はあわび以上にぷりぷりした食感です、以上という感じで、これだったら別に高い伊勢エビでなくとも…とついつい貧乏性な事を考えてしまいますが、残念ながら伊勢エビとは見た目の豪華さの割に料理するには帯に短したすきに長しな食材なのかなという印象を持ってしまいます。

最初にやや辛口の評価をしましたのはいささか申し訳ないんですが、個人的に今日のお楽しみはこちらのサバ、アジのお造りでして、最近でこそかなりあちらこちらで食べられるようになったサバの刺身ですが、ここ佐田岬突端と言えばちょうど対岸の九州側は関サバ、関アジという天下に名だたるブランドものの産地なんですよね。
何しろ元々海峡部で潮の流れが速い、しかも海底地形が複雑で水流が荒れるからプランクトンが豊富で好漁場になる、ついでに根掛かりしやすいから網でごっそり根こそぎに獲れず地道に釣り上げるしかないと、資源乱獲が言われる中で商業的に漁業をするには不向きな環境であったからこそ良い魚が沢山生き残っているという言い方も出来そうに思います。
となれば同じ場所で魚を釣ってくるこちらも不味いはずがない道理ですが、近ごろではこちらで水揚げした魚も岬(はな)さばなんて名前で売り出し中なんだそうで、これはお試しになりたい向きには高騰する前にお早めにとあらかじめお伝えしておかなければならないでしょうね。
実際に食べてみますともちろんうまいのもうまいんですが、それ以上にとにかく嫌な雑身が全くない純粋なうま味というものはこういうものかと非常に印象的な一品で、生魚は嫌いという人もこの自然にすっと消えていく後味なら文句の付けようがないんじゃないでしょうか?(そんな奴に食わせるものじゃねえ!というお叱りを受けそうですが)
刺身でうまい青魚として有名な魚にサワラがありますけれども、こういうのを食べるとサバとサワラは確かに近縁の魚なんだなと感じますが、ともするとひたすら過剰なほどうま味を押し付けてくるサワラよりも、どこまでも嫌みのないうま味だけが後に残るこちらの方が食べやすい気もします(ま、いささかサワラには飽きているというのもありますけれどもね)。

一方で刺身の定番と言いますか、アジがうまいのは当たり前というくらいに普通に食べているアジの刺身ですが、もちろんこれも文句のつかないアジなんですけれども、こうしてサバと食べ比べてみるといつもうまいうまいと食っているこちらの方がどこか下卑た味にも感じられてくるから不思議ですよね(苦笑)。
それだけサバのインパクトが強かったということなんでしょうが、これはもう素材の勝利というしかないような産地だからこその味ですね。
ついでに主食として産地の定番とも言うべきうに丼を食べてみましたが、さすがに北海道あたりで見るそれと比べるとウニの盛り具合は控えめな感じなんですが、しかしウニの味、タレの味とご飯とのバランスは悪くないですし、実際他のおかずと合わせていただくにはちょうど良い具合でした。
つけあわせに伊勢エビの味噌汁なんですが、汁の味は確かにうまいんですけれども好みから言うと少し味噌が甘口で、そのせいかやや散漫な味になったかなという気がしないでもないですかね?
ちなみにこのエビの身は少し火が通りすぎで硬くなったかなという感じなんですが、伊勢エビってやはり実際に食べる前が一番幸せな食材なのかなという印象をここでも受けたところではありました。

味以外の面でいささかケチを付けさせていただけば、スタッフ不足も確かにあるんでしょうけれども、それを込みで考えてもフロア係はあまりに目の前のことしか見ていないと言うのでしょうか、もうトレイをテーブルに運ぶというその一事しか見えていないような状況なのは少し困りものですね(こういう立地ですとあまり人材セレクションの余地もなさそうですが)。
またあわびなどの焼き物が売りなのも判るのですが、テーブルの上の邪魔なグリルはなんなんだと、豪快に網焼き!が売りならちゃんとテーブル埋め込みのものを用意しておけば済むことなのに、「お前はベルリンの高射砲塔か!」というくらいに異常にかさ高で邪魔なグリルをテーブルの真ん中に載せてるものですから、向こうの人の顔も見えません(ちょっと誇張入ってます)。
とはいえ、こういう場所で外食チェーン店のようなマニュアル通りの接客というのも味気ないものですし、他では食べられないここだけの味という売り物があるのだったら、食べ物屋として大抵のことは許せるかなという気がしないでもないんですけどね(苦笑)。
何にしろ訪問するなら他のお客さんの少ない日程と時間帯で、景色と料理とを合わせてゆったりと楽しまれることをおすすめしておきます。

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2009年11月 2日 (月)

聖地奈良より 生駒総合病院廃院の経緯とその後

奈良県生駒市と言えばいまだ救急「たらい回し」報道が盛んであった2009年3月に、突然倒れた新聞販売店従業員の男性が県内6病院に受け入れられずに大阪まで搬送されたが結局亡くなったという事件があり、「ここでも救急崩壊が!」と盛んに報道されたという事例があったところです。
元々この地域には200床クラスの生駒総合病院があり救急医療の中核施設として機能していましたが、2005年に同病院が廃院になった結果なかなか救急医療体制もうまくまわっていないようです。
この廃院に絡んだ経緯というのもなかなか興味深いもので、色々と情報を羅列してみるとこんな感じらしいんですね。

・生駒総合病院は11診療科を有する国保病院だが患者数は多く、当時の経常収支は黒字であるなど経営はまずまず堅調だった
 →生駒市から総計1.5億の補助金が出ていたようですが、この時代としてはこれはかなり少ない方だと思いますね。

・施設老朽化で立て替えを検討していたところ、唐突に「国保病院の役割は終わった」と更地にして近大に無償譲渡する話がもちあがった
 →ちなみに当時の市長さんは近大OBだったそうですが、その後2007年に別の土地売買が絡んだ業務上横領罪で逮捕されました。

・近大側では11診療科から3診療科程度への大幅な業務縮小を計画、当然折り合わないまま廃院だけ予定通り実施しいきなり病院消滅
 →生駒市が開いた「生駒総合病院後医療に関する検討委員会」によれば、厚労省からはこんなコメントをいただたそうです。
  「このような後医療を検討していない病院の廃院のしかたは日本で初めて

もうすでにこれだけでもお腹いっぱいという気がしないでもないのですが、いずれにしても堅調な運営を続けてきた市の基幹病院がいきなり消えてしまったのですから、これは市民や医療関係者にすれば寝耳に水と言いますか、さぞや混乱することになるだろうとは想像に難くない話ですよね。
早急に後継の病院をということで、生駒市側は当初医師会と交渉を進めていたようですがどうもうまくいかない、ケチの付いた病院に指定管理者で応募してくる団体もないと難航していたところ、唯一名乗りを上げてきたのがあの団体であったということで、2008年初めにこういう記事が流れました。

生駒市新病院、徳洲会が運営主体に正式決定 奈良(2008年1月19日産経新聞)

 奈良県生駒市の新病院建設問題で、市は18日、12月から交渉を続けてきた医療法人「徳洲会」が新病院の運営主体に正式決定したと発表した。これにより、同市東生駒の民有地を市が借り受け、診療10科の総合病院が新たに開院する方向性が固まった。病院建設は市が行い、徳洲会が指定管理者方式で運営する形態。市は、平成19年度内にも開かれる県医療審議会に事業計画を提出し、許可が得られれば20年度中の着工、22年内の開院を目指すとしている。

 18年2月に就任した山下真市長が選挙公約に掲げながら難航した同問題にようやく道筋がついた形。山下市長は「就任から2年がたち、迷走していたのでほっとした」と話した。

 計画によると、新病院には内科や外科、小児科、産婦人科などを設置し、開院時のベッド数は174床。医師や看護師は徳洲会がグループ内で確保するとしている。同会が提案した「年中無休24時間」の救急医療体制については、今後、市医師会などと調整を行う。

用地は、所有者の近鉄から市が借り受け、建物は市の負担で建設。建設費は約50億円と見込まれ、企業債で賄う方針。市は、用地の賃貸借契約についても近鉄との間で合意に至ったことを明らかにしたが、具体的な地代については「市議会で報告する」としている。

 同市では、平成17年の旧生駒総合病院閉院に伴い、新病院の建設問題が浮上。市は当初、同病院跡地での建設を目指したが、所有者の県国民健康保険団体連合会との間で希望売買価格に開きがあり、交渉が決裂。その後市は、指定管理者方式での運営を念頭に、5つの医療機関と交渉を行った。しかし、支援体制や病床数などで条件が折り合わず、山下市長が「最後の勝負」として昨年11月に行った公募でようやく徳洲会が名乗りを上げていた

徳洲会と言えば(主にはアレな意味での)噂が絶えることがない有名な団体ですけれども、とりあえず24時間救急医療や僻地・離島診療を熱心にやっている組織であること、そして伝統的に医師会という組織と折り合いが悪いということは確かな事実であるようですね。
病診連携といったことを考えても新病院は既存の地域中小医療機関との関わりが欠かせないでしょうが、こういう組織が割って入ってくるということになりますと、当然ながら地元の医師会としては面白くないということでしょう。
それでもこれで病院が出来てくれれば市民としては一安心だったのでしょうが、議会での与野党攻防も絡めてこれでもかと思えるくらいに議論は紛糾してしまったようです。

生駒の新市立病院:徳洲会指定案否決 市長、再提案も--生駒市議会委 /奈良 (2009年9月15日毎日新聞)

生駒市の新病院設立問題で、同市議会市民福祉委員会(矢奥憲一委員長、6人)は14日、新病院の指定管理者を医療法人徳洲会とする案を否決した。同案は25日の本会議で採決されるが、可否は不透明な状況だ。山下真市長は、本会議で否決された場合、12月定例市議会への再提案も視野に、即座に計画を凍結しない方針を示した。

委員会では、樋口清士議員(民主・草創)が「徳洲会との協定書案などが示されておらず、市民が望む病院事業をやってくれるか不安。判断材料が十分でない」などと主張。指定管理者を決める前に、市が設置する病院事業推進委員会で、事業計画策定などを先行させるよう求めた。

山下市長は「推進委で事業計画案をまとめても、その後に指定管理者が否定されれば議論が無駄になる」などと反論した。

委員会は、樋口議員が提案した継続審査の動議を否決。続いて、市が提出した徳洲会を指定管理者とする案も反対多数で否決した。

終了後、山下市長は「徳洲会自体に反対なら事業を進める意味がないが、時期尚早という理由なら、市として凍結を宣言する段階ではない」と発言。今議会で否決や継続審査となった場合、病院事業推進委員会での議論を先行させ、12月議会で再度判断を求める可能性を示唆した。

一方、樋口議員は「病院事業を動かすのが私たちの思いだが、今の段階では判断できない」と述べ、今議会での採決は時期尚早との考えを示した。【中村敦茂】

生駒の新市立病院:「徳洲会」管理者案を撤回 12月市議会に再提案へ /奈良(2009年9月26日毎日新聞)

 生駒市の新病院設立問題で、同市議会は25日、新病院の指定管理者を医療法人徳洲会とする案の撤回を承認した。同案は市が提案したが、可決される見込みがないとして、山下真市長が今月18日の全員協議会で撤回を申し出ていた。市は、諮問機関「病院事業推進委員会」の答申を踏まえ、12月定例市議会に再提案する方針。
 推進委の10人の委員については、8月の臨時議会で徳洲会専務理事だけが否決されたため、代わりに公募で決めた元私立病院事務長の男性(61)を委員にする案を追加提案し、可決された。また、樋口清士議員(民主・草創)が提案した、病院事業開始に向けて取り組むよう市に求める決議案も可決した。
 山下市長は市議会終了後、報道陣に対し「県からは年内に開設許可申請書を出してほしいと言われており、12月議会が最後の場になる。指定管理者案の成立を目指し、推進委で実のある答申を出してもらえるよう全力を尽くしたい」と話した。
 市は10月に推進委の第1回会合を開き、答申を受けた上で年内にも県に事前協議書と開設許可申請書を提出する方針。しかし、徳洲会の指定管理者案には反対意見が根強く、12月議会でも曲折が予想される。【石田奈津子】

生駒の新市立病院:推進と慎重、対立激しく--推進委会合 /奈良(2009年10月23日毎日新聞)

 ◇県医師会の委員、辞任表明も

 生駒市の新病院設立問題で、市の「病院事業推進委員会」(委員長、長瀬啓介・金沢大教授)第2回会合が21日、同市役所であった。新病院の診療科目や病床数、救急医療体制などについて、推進派と慎重派の意見が激しく対立。県医師会の委員が途中で辞任を表明する事態となった。次回は11月1日に予定されているが、今後の審議に影響が出そうだ。

 新病院の指定管理者を医療法人徳洲会とする市の案について、県医師会の大澤英一委員は「決定したプロセスが不透明で不可解」と慎重な姿勢を示してきた。この日は、審議の進め方を巡って「徳洲会ありきで進んでいて、十分に議論されていない。辞めさせていただく」と述べ、途中で退席した。

 市病院設立条例は、推進委の委員に県医師会の代表者を含めることを規定している。医師会が代わりの委員を出さなければ、推進委が成立しなくなる可能性が出てきた。山下真市長は終了後、「正式に辞表を受け取っていない。慰留させていただく」と話した。

 市は推進委の答申を踏まえて、徳洲会案を12月定例市議会に再提案する方針だが、「市議会の審議に影響する可能性がある」(病院建設課)と懸念を示している。

 会合では、徳洲会の医療態勢について、慎重派から「小児科医が2人では、救急までとても対応できない」「NICU(新生児集中治療室)がないのは、皆が期待している市民病院とは違う」などの声が上がった。

 これに対し、事務局席の徳洲会関係者は「全国に65病院を持っており、人員が足りないなど困ったら十分に対応できる」と説明。別の委員から「市民のために必要なことをやると言っている」と肯定的な意見もあった。このほか、県外の徳洲会病院を視察することが決まった。【岡奈津希】

徳洲会というところは収支計算にはかなりシビアだという話も聞きますけれども、逆に言えば生駒市での病院運営には十分な勝算を見込んでいるということなんでしょうし、実際に経過を見る限りそれなりにお買い得な物件のようにも見えます。
救急医療に関して言えばもともと近大奈良病院などもあるからいいんじゃないかなんて声も一部であるようですけれども、徳洲会の先生方というのは心身ともに平素から厳しい環境で揉まれている(苦笑)ことには定評がありますから、ことこの方面に関して言えば医師会などが前面に立ってくるよりは安心感はあるのではないかという気がしますね。
いずれにしても市民としては誰が指定管理者になるかよりも医療体制がどうなるのかということの方に興味が向くところだと思いますけれども、こうまで揉めてしまってはいずれにしても病院の空白期間はまだまだしばらく続きそうで、タイムリミットとされる今年中に議論がまとまるのか、続報が待たれるところだと思いますね。

開業医から信頼 連携へ ◆生駒市立病院問題 徳洲会進出、宇治の場合は(2009年09月24日朝日新聞)

◎小児救急受け入れが突破口

生駒市立病院の建設計画が難航している。指定管理者の全国公募に唯一応じた医療法人「徳洲会」に地元医師会が反発し、市議会も慎重な姿勢を崩さないため だ。救急医療態勢の弱さが指摘されるなか、徳洲会を軸にした計画はなぜ進まないのか。奈良から近く、開院後は市立病院との連携が想定されている宇治徳洲会 病院(京都府宇治市)の状況を知るため訪ねた。(下司佳代子)

住宅や大型チェーン店などが並ぶ宇治市の繁華街に、宇治徳洲会病院はある。79年に開院し、現在は30診療科、400床を備える。年間約6千件、一日当たりに換算すると16件もの救急搬送を受け入れ、府内では屈指の多さだという。

年中無休・24時間オープンをうたう徳洲会は、国内65病院のほか、診療所や老健施設などを多数運営する。理事長の徳田虎雄氏(71)はかつて医師会批判を公然と展開。こうしたこともあって、病院計画が持ち上がった各地で地元医師会と衝突したという。

■拒絶と歓迎

開院当初から勤める外科医の増田道彦総長(68)は、宇治徳洲会病院の開院当時について、「『徳洲会はダメ』という地元の医師を慕う市民と、救急に力を入れた大きな病院が出来るのを歓迎する市民と、対立は宇治市民を二分する感じだった」と振り返る。

当時の様子は、「徳洲会を拒む」生駒市の今の状況と似ている。だが開設から約5年で、大きな転機を迎えたという。「突破口を開いたのは、小児科の診療、特 に夜間救急だった」という。「『紹介状は書かないけど行ってきなさい』と、かかりつけ医に勧められてやって来る患者が相次ぎ、それが普通になると今度は紹 介状を持ってくる人が増えた。そのうち、当時の医師会長が私たちの姿勢を評価し、医師会への入会を勧めてくれた

増田氏はその後、地元の「宇治久世医師会」の理事に就任。「病診・病病連携」を担当し、各診療所や病院の得意分野が分かる連携マップ作りにも携わった。同 医師会事務局は「開院後は、全国の医師会から『徳洲会を受け入れて、どうか』という問い合わせが相次いだ。基幹病院として、地域連携がうまくいっている、 と答えてきた。開業医にも頼られているようだ」と話す。

生駒市は、市立病院の診療方針を決める「病院事業推進委員会」の委員候補として増田氏を挙げたが、市議会では「まだ指定管理者に決まったわけではない」と 不同意になった。増田氏は「私から特に訴えたい、ということはないが、医師会の先生たちとも直接話せば『何となく変な組織』『怪しげで宗教っぽい』などと 言われる徳洲会のイメージは変わるのではないか、と思う」と話す。

■判断は市民

生駒市立病院を運営する指定管理者を徳洲会とする議案は、9月定例会市議会の市民福祉委員会で否決され、市は本会議を前にいったん取り下げた。12月定例会で再度、市は提案するが、その可否は不透明なままだ。建設計画の今後について、増田氏はこう指摘した。

「一般的に新病院が出来ると、どの医療機関もより安く親切に丁寧にと、切磋琢磨(せっ・さ・たく・ま)し合うようになる。それは市民から見れば、いいことだろう。ただ、最終的には市民がどう判断するかに尽きる」

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2009年11月 1日 (日)

今日のぐり:「食事処かもめ」

世に食欲の秋なんてことを言いますが、本日も食べ物関連のネタを取り上げてみようかと思います。
今日はカレーネタを三題ほどいってみますが、手始めにこちらから。

第72回「なぜ秋葉原にカレー店が急増したのか」(2009年9月28日BizPlus)

 ここのところ、「スーパーJチャンネル」「ズームイン!!SUPER」「サンデーNEXT」と、立て続けに3つの番組で「秋葉原のカレー店がなぜ増えているのか」についてコメントを求められた。どうやら世間の関心は秋葉原のカレー店にあるらしい。

インド人説と日本人説

 現在、確認できただけでも秋葉原には20軒以上のカレー店が営業している。正確な数は分からないが、そのうちかなりの部分がここ数年で開業している。中央通りに建つシディークAkiba館というカレータワーは、1階がキッチン付きのテークアウトとイートインのコーナー、2階と3階がレストラン、4階が厨房(ちゅうぼう)となっているが、ここも開業は2007年3月だ。

 秋葉原にカレー店が増えた理由については、諸説がささやかれているが、大きく分けてインド人説と日本人説がある。まずインド人説だが、インド人の食事場所としてカレー屋が立地したというものだ。確かに秋葉原にはインド・パキスタン系の人が多く歩いている。その要因の一つは観光客だ。インド人はエレクトロニクスが大好きで、秋葉原に買い物に来る観光客がとても多い。秋葉原には5年ほど前から外国人向けの免税店が増えてきて、インド人の従業員が顧客対応をしてくれるため、それを目当てにインド・パキスタン系の観光客がやってきているのだ。

 もう一つのインド人説は、秋葉原周辺で働くインド人が増えたということだ。駅前のダイビルが開業したのが05年3月、UDXは06年3月だが、それと前後して秋葉原駅周辺にはオフィスビルが林立するようになった。そこにはかなりの確率でIT(情報技術)系の企業が入居しており、そこで働くインド人のIT技術者が増えているのは間違いない。一説によると、2000年のITバブル崩壊に伴って、米国から日本に就業先を移したインド人IT技術者が数多く来日したという。秋葉原周辺で働くインド人は、交通が便利なところに居住しているケースが多く、秋葉原から地下鉄で8分、私の事務所のある八丁堀にも10 軒以上のインド料理店がある。

食事よりデジタル機器やフィギュアに

 ただ、秋葉原のカレー店急増の原因がインド人だという説の弱いところは、実際に秋葉原のカレー店で食事をしていて、インド人を見かけることがあまりないということだ。

 やはり私は、秋葉原のカレー店は、アキバ系日本人の食事場所として発展したのではないかと思う。現に秋葉原のカレーはインド人が好む本格インド料理ではなく、500円から800円程度の手軽なものがほとんどを占めている。特に秋葉原でいまブームになっている「金沢カレー」は、アキバ系日本人にとって理想的なカレーなのだ。

 金沢カレーの特徴は、深めの皿の中にご飯とカレーとトンカツとキャベツが一緒に入っていて、カレーの色が普通のものよりもやや黒っぽいという点だ。この色はカラメルで出しているらしいが、アキバ系日本人たちは、そんなところにあまりこだわってはいない。アキバ系日本人は、さっさと食べられてコストが安く、そしてしっかりと腹持ちしてくれればよいのだ。食事にはあまり時間やコストをかけたくない。そんな時間やお金があったら、もっとたくさんのデジタル機器やフィギュアやコスプレ衣装などを見て回りたいと考えるのがアキバ系の思想なのだ。だから、金沢カレーといいながら、金沢への思い入れがあるわけではない。合理的だから、金沢方式を採り入れているだけなのだ。現に秋葉原初のメイド喫茶であるキュアメイドカフェでは、少なくとも2年以上前から金沢カレーを定番メニューとして出していた。

 そして、アキバカレーには「ファストフード」としての新しい展開がすでに現れている。例えば、オリジナルカレーパンやシシカバブとカレーを組み合わせたものなどだ。カレーはおでん缶に次ぐ秋葉原の新しい食文化として定着していきそうだ。

色々と説はあるのでしょうが、秋葉原と言えば若い人を中心にヲタクと電気の街でしょうから、やはり安上がりで気取らず手軽に食べられるものということでファーストフード的なものに人気が出るだろうことは想像に難くないところです。
その中でも全国どこでも同じ味の牛丼やハンバーガーと比べればカレーというのは店毎の個性にあふれ、なおかつ安くてもうまく腹も膨れるというものですから、やはりこれは来たるべくして来たブームということになるのではないですかね?

ラーメンとカレーは今や日本の二大国民食とも言うくらいにすっかり庶民の食生活に定着してしまいましたが、この二つとも比較的新しい食文化であるということは興味深いですね。
御存知のように銀座あたりで出される高級な洋食として出発したカレーという料理は、日露戦争頃に海軍での食事に導入されたのを契機にして一気に国民の間に滲透していった経緯がありますが、このカレーという料理は同じ材料で肉じゃがも作れるということで補給上も非常に都合がよろしいと好評であったのか、旧海軍では週末土曜日には必ずカレーと決まっていました。
今は週休二日になった関係で自衛隊では金曜日にカレーを作っているそうですが、ラーメンも同様に諸説あるものの19世紀末から20世紀初め頃にかけて誕生したと言いますから、非常に短期間の間に相次いで二大国民食が世に生まれ出たわけで、となればこれら二つが結びつくのは言わば自然の摂理とも言うべきものではあるのですが…

3倍辛いシャア専用カレーヌードル、日清食品が発売(2009年10月6日ITmedia News)

 

通常の3倍辛いというシャア専用カレーヌードルを日清食品が10月26日に数量限定で発売する。スープの色も赤いという。

 ガンプラ付きカップヌードルに続く、「機動戦士ガンダム」コラボレーション企画の第2弾。詰め替え式カップヌードルの専用ガラスカップとリフィル(詰め替え用のヌードル)がセットになっている。

 耐熱ガラスカップはハリオグラス製で電子レンジ調理にも対応。赤をベースにシャアの顔とシャア専用ザクのイラストを配したオリジナルデザインだ。

 カップにリフィルを入れてお湯を注ぐとできあがり。シャアをイメージした赤いカレースープは、赤唐辛子とペッパーをカップヌードルカレーリフィルの3倍使った辛さながら、チェダーチーズのまろやかさがマッチしたうまみのある辛口になっているという。

 ガラスカップとリフィルのセット(オープン価格)と、リフィル単品(税別122円)を販売する。

だからなんで三倍?なんでシャア専?しかもリフィル製品で何気にエコロだったりするし…ヲタクか?これもヲタク文化なのか?
実は管理人も極めて個人的なことですが、以前に一時の気の迷いでシャア専用ひげ剃りなるものを購入したことがありまして…いや別にヲタクであるとかそういうことは全くないのですが、たまたま店先で並んでいる品の中でスペック的に要求に応えるものがそれだけでしてね…いや人生のささやかな汚点というものなのでしょうかねこれも…
敢えて全国のガノタに喧嘩を売ってみますと、こういうキャラものってマニアの人にはいいんでしょうが、普通に辛口カレーヌードルを食べたい向きには同じ味で版権料分安くしてくれよって不満はあるんじゃないですかね?
このあたりは結局ニッチマーケットにターゲットを絞った方が売れるのかどうか、勝負はニッチマーケットの購買力次第ということになりそうなんですが、現実に秋葉カレーが繁盛しているということを見ると彼らは決して侮れない顧客であるということなんでしょうか。

それはそれとして、同じカレーネタでもこういう話になりますといささか趣が異なると言うのでしょうか、とうとう野生動物もカレーに目覚めたかという話がこちらの記事です。

ヒグマ、テント破りカレーを食う 知床半島(2009年10月9日朝日新聞)

 北海道羅臼町の知床半島先端付近で9月下旬、ヒグマがテントの中の食料を食い荒らした。環境省釧路自然環境事務所は、知床岬へのトレッキング利用の自粛要請を決めた。「クマが人の食料の味をしめた可能性がある」との判断からだ。実は現場では7月にも、同様の被害が報告されていた。8月には現場近くで威嚇射撃の中をハンターに近づいたクマも目撃されており、地元ではクマの行動の変化を指摘する声も出ている。同事務所は「クマの特性、性格の変化を監視していかねばならない」と話している。

 今回の被害は9月25日、知床岬の手前約5キロの「念仏岩」と呼ばれる地点であった。クマがテントの一部をツメで破り、レトルトカレー、コーンスープの素などを食い荒らしたという。道外の女性がテントを置いて、徒歩で知床岬までを往復している間の出来事だった。

 同事務所などによると、女性は、利用者のルールである「知床半島先端部地区利用の心得」(08年1月、知床国立公園利用適正化検討会議策定)が強く求めている、クマから食料を守る携帯保管容器「フードコンテナ」を使用していなかった。これが被害を引き起こした最大の要因と考えられている。

 念仏岩は、岩肌が海岸付近でえぐれて大きな洞穴になり、屋根の代わりになるため、トレッキングやシーカヤックで知床岬へ向かう人たちの野営ポイントになっている。クマが人の持っている食料の味をしめ、テントなどに執着している可能性があるという。

 同じ場所で7月22、23両日にも、トレッキングで知床岬を目指していた男性2人が野営中、食料を荒らされていた。同町などによると、2人は知床岬への往路も帰路も狙われた。2人はクマに襲われないように、離れた場所の岩の下に食料を隠していたが、その岩が動かされ、食われていたという。今回、テントを荒らしたクマの仕業ではないかとみられている。

 このほかにも、知床岬付近の海岸にある番屋(漁業用の作業小屋)近くで作業する人に頻繁に接近したり、海岸に一時的に置かれたクーラーボックスの近くをうろついたりするクマもいる

 これらのクマの中には、ハンターが追い払おうとして、威嚇用の轟音(ごうおん)弾を繰り返し撃ち込んでも、おびえる様子を見せず、山の斜面の草むらから海岸に下りて近づき、ハンターらを接岸中の船に退散させるものまでいる。

 このような状況に、同町内の半島先端付近では、6月に1頭、8月に3頭を駆除した。今年度の同町でのクマの有害駆除数は、既に過去10年で3番目に多い13頭に上っている。(神村正史)

いやあ、日本のカレーにはまったと言えばこちら日本のカレーにはまった米国人記者の逸話が有名ですけれども、最近ではクマもカレーにはまりましたかそうですか…
こういう記事をみますとずいぶんと近ごろのクマは人間の食べ物に馴染んでいるようですが、彼らもまた「ヘロイン中毒者がヘロインを注射するのが大好きなのと同じように」日本のカレーを愛してしまっていると言うことなんでしょうかね?
一般的に動物というものは香辛料を嫌うのではないかというイメージがあったのですが、スパイスよりうま味重視の日本風のカレーであったことが彼らに幸いしたのかどうか、いずれ彼らによる被害が増えてクマの捕獲作戦でも展開されることになればエサに仕掛けられるのは鹿肉ではなく、熱々のカレーであったなんてことになるかも知れませんですな。

今日のぐり:「食事処かもめ」

山陽本線の笠岡駅近くのショッピングモールの側、線路脇の商店街?の一角にある、いかにも昭和の時代のローカル線駅前にあるお食事処といった風情を濃厚に漂わせるお店です。
店構え自体はどこにでもあるようなありふれたものなんですけれども、店の奥にはカブトガニの剥製などが飾ってあるのは笠岡らしいでしょうか?
カブトガニと言えば天然記念物だそうですが、今の時代でもこういうものを作るのって許されてるんですかね?こちらの店のはそういう指定がなされる前からあったっぽいんですが、死んだ後の抜け殻であれば問題ないのでしょうか?

ところでこちら、あるいは店としては元々は寿司がメインなんでしょうか、造りはさほど寿司屋らしくもないんですが、寿司系が妙に充実している(というか他のメニューがあまり…)なことが目に付きます。
メニューの半分くらいがにぎりと各種巻き物、残りが丼物やうどん、そばといった、良くあると言えば良くある構成ですが、うどん、そばに加えてラーメンもあるというのがこうした店らしいこだわりのなさと言いますか、最近こういう店にあまり来ることがなかったのでちょっとばかり新鮮でした。
笠岡ラーメンなどという地ラーメンがある地域だけにラーメンというのも気になるのですが、そっちを食いたいというのであればここではなく近場の老舗「坂本」あたりを訪れた方がよさそうですから、たまたまこの日のおすすめらしくホワイトボードにあったかつをのたたきをメインに、五目めしを合わせてみました。

さて、本日のメインディッシュとも言うべきたたきなんですが、このところ季節ものということで高知遠征でたたきを食べまくっているのですが、どうもそれに比べると見た目からしてね…
あちらは皿にどーんという感じですが、こちらこの戻り鰹の旬の時期にも関わらず冷凍ものらしいのは土地柄仕方がないとしても、小鉢の底に見るからに鮮度もアレそうな貧相なのが三切れ、四切れ…副菜ではなくて主菜としてこれなのですよ。
これで値段は高知のあれとほとんど同じというのですから、目の前に並べられてどちらを選ぶと言われればまあ迷う余地はないでしょうけれどもね。
薬味はネギにしょうが、カイワレが上に少しばかり乗っている程度で、これも高知とはずいぶんと風情が違いますけれども、あちらではほぼ必須扱いのニンニクというのはそれなりに地域の理解でもなければ日常的においそれと口に出来るものでもありませんから、これはこれで良いのかなとも思います。

実際に口に運んでみますとこれがまたなかなか、皮目ではなく全周に均等に火を入れてあるのもそうなんですが、どうも旬のかつおのたたきの良さがあのぶりぶり、もちもちした噛み応えにあるということを理解していなさそうなこのへたった食感はどんなものなのでしょうね?
味もまあ見た目を裏切らないと言いますか…そうですね、少なくともこれよりもアレな自称かつおのたたきを食べたことも過去にはあるということで勘弁していただきたいです。
五目めしは量も値段もサイドメニュー的で(じゃあ何がメインなんだよという話になりますけれども)、お盆の上でたたきと並べてみると同行者から「あれ?それだけですか?」と思わず声がかかったりもしましたが、出しゃばりすぎない素朴な味わいは量を問題としないのであれば主食としては悪くありません。
これで五目か?三目くらいじゃないのか?だとか、米が吸水しすぎではないか?とか、そういう細かいことを気にしていたらこういうところで飯を食ってはいられないんだと言い聞かせながら、飯粒一つ残さず完食させていただきました。

全然関係ないですが、ちょっとネットで調べてみますとこちらのお店、こんな小さいようでも有限会社になっていて仕出しなどをやっているようなんですが、あるいは店舗での営業はいわば副業ということなんですかね?
正直今の時代の基準として見ると味にしても何にしても色々と不満もありますけれども、こういうのはSLを復活させておいて「エアコンが効いてない!車内に電源がない!」などと文句をつけるようなもので、これはそういうものなんだと納得できない人間が来るところではないということでしょう。
車で来るのではなくあくまで列車で訪れる、それも快速サンライナーなどという小洒落たものではなくあくまで鈍行で、いかにも「ちょっと乗り換えの時間待ちに寄ってみました」といった風なさりげない様子で暖簾をくぐりたい店ということでしょう(笠岡駅で乗り換えがあるのかどうかは知りませんけれども)。
となれば選ぶメニューはただ一つ、ラーメンにカツ丼、そしてビールの「高倉健セット」ということになるんでしょうかね。

そんなわけで、今回少しばかり気になりましたこちらのラーメンなんですが、こちら有名ラーメン系サイトの「ご麺の覚書」さんではちゃんと試していらっしゃるようで、鶏ガラ系醤油スープながら普通に焼き豚が載っている「いわゆる食堂系ラーメン」と言うことですから、典型的な笠岡ラーメンとは少しばかり異なっているようではありますよね。
「ご麺の覚書」さんは「丼物や寿司もあるので次回はそちらを頂いてみようと思う」なんてことを書いていらっしゃいますけれども、この方面でしたら他にシャコ丼の店でありますとか話のネタがてら試してみるべきお店はあるように思うんですが…
たまにはこういう店もいいとまでは言いませんけれども、逆にこの古さが今の時代には新しいというのでしょうか、何かしら久しくなかった新鮮なものを感じた一日ではありました。

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