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2009年10月15日 (木)

新型インフルエンザ、いよいよワクチン接種開始…のはずですが

新型インフルエンザがいよいよ本格的に猛威をふるっています。
夏の間も続いた流行は沖縄といった少しばかり意外な地域が中心だったようですが、いよいよ北海道でも流行が本格化しているということですから、これは寒い地域から全国へと拡大していく前兆と考えてよさそうですよね。
厚労省の取りまとめによる学級閉鎖などの数をみていきますと、現段階で既に昨冬並みの件数に達しているように見えますから、これで今後さらに寒い季節になっていくとどうなってしまうのかという話ですね。

さて、いよいよ今月中旬から新型のワクチン接種が開始されるという話だったのですが、これが予想通り?に大混乱となっています。
そもそも先日も紹介しましたように(医師会に対する意趣返しで?)現場への周知徹底が全く進んでいなかったというところも問題なのですが、実際に作業を始めてみますとこれがとんでもない大仕事だと、あちらからもこちらからも「無理無理!絶対無理!」の大合唱が聞こえてきているような状況なのですね。
すでに予定通りの接種開始はほぼ絶望的というより、実際に接種開始を遅らせざるを得ないという自治体が続出しているようですが、いわば身内である最優先接種対象者の医療従事者相手でもこの調子なのですから、これがその他大勢の患者相手となれば一体どうなってしまうのかと心配になってくるところです。

市町村 大量事務に困惑 新型インフルワクチン接種 /沖縄(2009年10月10日沖縄タイムス)

短期間に集中

 「あいまいな部分が多すぎる」「国はこれほどの作業を想定していないのではないか」―。国の新型インフルエンザワクチン接種事業に関し、県が9日に開いた市町村の担当者説明会。接種開始まで間もない中、ワクチンを接種する「受託医療機関」との契約書の取りまとめや、低所得者の負担軽減の仕組み作りなど、大量の事務作業が国から市町村に下ろされたことで、担当者からは困惑や不安の声が続出した。

 市町村は(1)県医師会に所属する医療機関以外で、ワクチン接種の受託を希望する管内の医療機関や接種を希望する医療従事者数の把握、取りまとめ(2)国と受託医療機関との契約書の取りまとめ(3)低所得の負担軽減対象者の確定、把握(4)広報、相談事業への協力―などの事務作業を担う。

 ただ、負担軽減対象者の範囲や金額など、市町村の裁量に任されている部分もあり、説明会では参加者から質問が相次いだ。「軽減対象者には、季節性ワクチンでは対象外となっている市町村民税非課税世帯も入るのか」「軽減対象者の医療費を市町村などが負担する際に必要な『代理受領契約』は、管内の全医療機関と結ぶのか」―。

 説明会終了後も「市部のみなさんは残って情報交換しましょう」。11市の担当者は自主的に呼び掛け合い、考えられる課題を話し合った。

 県南部の自治体の担当者は「短期間で一気に決まったことが、どっと下りてきた。市町村もワクチンについての広報を受け持つなど負担は増えるが、間違った情報を伝えないように注意しなければ」と戸惑う。

 那覇市の担当者は「事業実施が先立ち、細かいことが決まっていない。国は恐らく市町村の事務を知らないため、国が想定していない作業がいっぱいある。情報を随時確認しながら、急いで作業を進めたい」と語った。県福祉保健部の宮里達也保健衛生統括監は「必要な人から順序よく、冷静に接種を受けることを、広く県民に伝え、呼び掛けてほしい」と協力を求めた。

「準備間に合わない」 新型インフルワクチン接種、自治体悲鳴(2009年10月10日中国新聞)

 新型インフルエンザワクチンの接種開始を前に、地方自治体が態勢整備に追われている。2日に国の基本方針が示されてから19日のスタートまでわずか2週間あまり。準備が間に合わず、実施を遅らせる地域も出てきそうだ

 「国からの情報があまりに少なく、決まっていないことが多すぎる」。千葉県の担当者は頭を抱える。県の相談窓口には1日300~400件の電話が殺到。3分の1はワクチンに関する問い合わせだ。

 「どこで」「いつから」との質問が一番多いが「われわれにもまったく分からない」(担当者)。

 厚生労働省が示した標準的なスケジュールでは、19日以降、医療従事者を皮切りに順次、優先対象者への接種を始める。しかし、県側は接種を行う医療機関の取りまとめや対象者の人数把握、卸業者との納入量の調整などの膨大な作業に追われており、日程通り実施するのは難しいという。

 「県民の不安を取り除くために、早く具体的な日程を示したい」。開始までに、住民に情報を周知できるかどうかも大きな課題だ。

 「段取りを現場に丸投げするなら、もっと時間的な余裕がほしい」とぼやくのは大阪府の担当者。大阪府内で接種を行う医療機関は5千以上になる見込み。「すべての医療機関が一斉に始めるのは無理」といい、準備が整ったところから順次スタートする。

 ワクチン接種が1回で有効なのか、2回必要なのかについても国の最終判断はまだ示されていない。スケジュールが確定しない中、現場の医療機関にも混乱が広がっている

 「うちの子は優先接種の対象なのか」。横浜市港南区の診療所「竹田こどもクリニック」には、保護者からのこんな問い合わせが増えているという。ぜんそくなどの持病がある子どもは優先順位が上がるが、「継続して治療を受けている」などの基準がある。

 竹田弘たけだ・ひろし院長は「基準はあいまいで、最終的にはかかりつけ医が誰に優先して打つかという判断を迫られることになる。保護者が納得してくれるかどうか」と不安顔だ。

 日本小児科学会の新型インフルエンザ対策室長を務める岡山大の森島恒雄もりしま・つねお教授は「重症化のリスクが高い患者が対象から漏れないよう、かかりつけ医の判断で幅広く打てるようにすることが重要」と説明。「混乱が生じないよう、学会としても具体的な方法を示していきたい」としている。

新型インフル 都、接種1週間遅れ/東京(2009年10月14日東京新聞)

 新型インフルエンザのワクチン接種で、東京都内での接種開始が、厚生労働省の示した十九日の週に間に合わず、一週間ほど遅れる見通しであることが分かった。その他の関東六県では、予定通り十九日の週を目指して準備を進めている。

 ワクチンの優先接種対象者のうち、最初の接種は医師や看護師らで、厚労省は「一般の方々の接種開始にはスムーズに入れるようにしたい」と話している。

 都によると、ワクチン接種を行う医療機関の取りまとめに時間がかかり、接種開始は二十六日の週にずれ込む見通し。厚労省が接種スケジュールを示してから実施までの期間が短いこと、医師会との連携の遅れ、医療機関の数が多いことなどが理由という。

 厚労省は、接種を行う医療機関のリストを九日までに提出するよう各都道府県に要請していたが、十三日現在、茨城県以外の一都五県でリストがまとまっていない

いやしかし、やはり医師会との連携の遅れが響いていますか(苦笑)。
こうなってしまうともう出来る状況になったところから勝手にやれという話にならざるを得ないと思うところですが、現場レベルでみると単に遅れているというだけではない不備が幾らでも見つかってきている状況です。
かねて新型のワクチン接種は従来型と違って、いわば国がおすすめして国民に打たせるものだということで実費相当分だけ負担いただくという話ではあったわけですが、そうなりますと医療機関にとっては全くモチベーションが上がらず面倒なばかりの作業ということになりますから、「じゃあうちでは接種をやめときます」と言い出す施設も増えそうですよね。

特に問題となっているのが国の方針のうち「事前診察の結果、発熱などを理由に接種できなかった場合、診察費は不要」という部分なのですが、殺到するだろう接種予定患者(何しろ総計数千万人が医療機関にやってくるわけです!)をさばくだけでも大変でしょうに、これでは下手すると人件費も出ない作業でスタッフが忙殺され本来業務不能ということにもなりかねません。
特に前述のような事務手続きの遅れもあって、各地の末端医療機関には接種施設として手を挙げるかどうかの契約条件すら提示されていないようなところも多かったようですから、ネット上でも非難囂々となってしまうのは当然ですよね。

537 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/10/03(土) 00:15:59 ID:I1XRMdUZ0
>>533-536
>事前診察の結果、発熱などを理由に接種できなかった場合、診察費は不要となることも明らかにした

あれこれスケジュール立てるのも結構ですけど、まだ委託契約の条件も何も通知無いから
契約も何もあったもんじゃないんですけどー。   > 厚労省

>診察費は不要

当然毎回初診料ぐらいは払ってくれるんでしょうね。 >厚労省

538 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/10/03(土) 00:23:51 ID:PI7zymn70
現場無視して勝手にスケジューリングとか契約とかもうね・・・

そういうつもりなら通達無視してこっちも勝手にやらせていただく用意があるんだが

539 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/10/03(土) 00:26:37 ID:sL4TS4Vo0
これ医療機関が「こんなんだったらワクチンいらね、よそでやってくれ」っていう流れ期待したいんだが

こうした事務手続き上のドタバタに加えてもう一つの問題は、ワクチンの供給がどうも通常の1ml単位ではなく、10ml容量が主体となりそうであるということです。
一般にインフルエンザワクチンは成人に0.5mlを使用しますが、開封後はその日の内に使い切らなければなりませんから、従来の季節性ワクチンでは医療機関側で無駄が少なくなるよう(廃棄分は仕入れ価格分が丸損ですからね)二人分に相当する1mlバイアルが主体となっていました。
ところが実際にはバイアルの中に入っているのは正規容量+1~2割増しくらいとなっていまして、これは注射器で扱う時のロスを考えれば多少余分に入れておく必要があるのは当然なのですが、そうなりますと製造側での無駄は増える(同じ量のワクチンから少ない人数分しか出荷できない)ということで、今回は10mlという大容量を中心にしてはということになってきているようです。

実はこのあたりの話は例によって結構長い前振りがありまして、興味がおありの方は以下のロハス・メディカルさんの一連の記事をご参照いただければと思いますが、要するに厚労省によるワクチン確保量の数字水増しという意図があったのかとも取れるような、医療現場の都合とは全く縁遠い話ではあるのですよね。

【参考】新型インフル 「ワクチン輸入ありきは大問題」 民主党・蓮舫参院議員(2009年9月9日ロハス・メディカル)

【参考】"10mlバイアルなら国産3000万人分" 9日のワクチン意見交換会(2009年9月9日ロハス・メディカル)

【参考】ワクチン量の上方修正「1mlバイアルを10mlに変更が要因の一つ」-足立信也政務官(2009年9月29日ロハス・メディカル)

【参考】インフルワクチン、生産量の半分を10mlバイアルに-厚労省(2009年9月29日ロハス・メディカル)

このような大瓶主体となりますとワクチンの見かけの出荷量は確かに増えますが、使い切れない端数も増えるということで現場での廃棄は増えそうですから、結局出荷した人数分は確実に患者に打てるように現場の医療機関に労力および金銭的な自助努力を強要するということになるわけです。
極めて好意的に解釈すれば、新型の場合指定医療機関だけで接種を行うということで少人数しか打たない零細医療機関は排除される、そうであるなら大瓶にした方が無駄が少ないという判断なのでしょうが、地域内に小医療機関しかない数多の地方の実情は置くとしても、それだけの数の患者に優先接種対象の証明書やら紹介状やらを用意する手間とコストは考えないものでしょうか?
これはひどく揉めそうな話だなと思っておりましたが、案の定ネット上では批判的コメントが相次いでいます。

430 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/30(水) 09:36:42 ID:QFgTVE1e0
零細医院ですが、新型インフルエンザワクチンを接種する医療機関になるかどうか(手上げするかどうか)のアンケートが来ました。
うちみたいな所まで手を広げると、ワクチンの死蔵が多くなるのでは無いかと思われます。2回接種になるなら、2回目の分を
確保しておくことになり、その分を見越して在庫をしなくてはいけなくなります。また、1Vで2~3人接種出来ますが、
一人しか来なければ、残りは捨てることになります。接種する病院はある程度絞る方が効率的に接種出来ると思うのですが。

967 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/10/14(水) 17:01:16 ID:0LWwZ/uZ0
県は10mlの集団接種用のワクチンが送られるかも知れません、と説明している。
一気に大人20人を集めないとダメだが、クリにそんなもの送りつけてくるかねぇ、
24時間ルールはあるし。

971 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/10/14(水) 18:30:38 ID:zuTaixyR0
>>967
おまけに公定価格で買わされて、返品不可だろ。
やっぱり委託受ける奴が負けって事か。

こういう事務的な部分こそ医系技官をはじめとする厚労省幹部が行政と医療現場との間を取り持って円滑に話を進めなければならないはずなのですが、どうも政権交代のドタバタというだけではこうまでの現場無視のデタラメぶりは説明できないような気がするのですがどうなのでしょうね?
先年来続いていて未だに解決に至っていない年金問題などもそうですが、どうも突っ込んでみればみるだけ厚労省内部の仕事ぶりが相当にアレであることが明らかになるばかりという気がしてくるのですが、これはやはり一度全てをぶち壊してゼロから再建した方が早いなんて話になりかねないですかね。
このところ医療現場はすっかり厚労省離れが進んでいて「生き残りたければ奴らの言うことを信用するな」という感じになってきていますから、案外彼らがいなくても適当にやっていけるものなんじゃないかという気がしないでもないんですけれど(苦笑)。

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