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2009年10月 2日 (金)

中医協改革 抵抗勢力も最後の踏ん張りどころ?

先日は終わる医師会というネタで民主党の日本医師会(以下、日医)外しの方針などを取り上げてみました。
これに対して早速日医が反論をしていますが、世間的に見れば既得権を失いつつある抵抗勢力の負け惜しみ混じりの妄言といったことになるのでしょうか(苦笑)。

日医が慎重審議を要請 中医協の日医委員削減方針(2009年9月30日産経新聞)

 日本医師会(日医)の中川俊男常任理事は30日の定例会見で、長妻昭厚生労働相が中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)の日医代表委員の削減を検討していることについて「適切な委員構成はもっと議論を深めてから決めてほしい」と述べた。

まあ日医としても業界団体を自認している以上は黙ってフェードアウトするわけにもいきませんでしょうから、こういうしかないだろうことは理解できるのですが、社会がそれを受け入れるところになるかどうかはまた別問題ですよね。
この発言に対する某所での反応がこちらなんですが、今や四面楚歌どころではない日医の状況が判りやすすぎて素敵です(苦笑)。

313 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 10:29:47 ID:XtADdir10
医師以外からは蛇蝎のごとく嫌われ
医師からも大して支持されていない団体が
意見を言うと逆効果ですね

大喜びで逆のコトされるだけ

314 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/10/01(木) 11:35:15 ID:yeh4ZWhH0
まんじゅうこわいww

既に支持も影響力も喪失した日医が何を言おうがしょせん負け犬の遠吠えに過ぎないという話もありますが、彼らに限らず中医協改革と言えばそれなりに関係諸団体の利害も絡んできますから、これはおいそれと一筋縄ではいきそうにありません。
一方でこうした中医協改革の影響を回避する狙いなのか、いっそ中医協そのものを骨抜きにしようとでも言いたげな動きすら見られているようで、最近この方面ですっかり良い仕事をしていただいているロハス・メディカルさんからまたこちらの記事を引用してみましょう。

「中医協改革」に抵抗? 改定の主戦場を移すか(2009年9月30日ロハス・メディカル)

 診療報酬の決定プロセスを見直す「中医協改革」が叫ばれる中、厚生労働省と支払側、診療側、公益委員らが「診療報酬だけでは無理だ」という大合唱を繰り広げて団結した。改定の主戦場を厚労省の「社会保障審議会」に移し、中医協をその「下部組織」に位置付けて骨抜きにするというシナリオが見える。(新井裕充)

 中央社会保険医療協議会(中医協)委員30人のうち17人が10月1日で任期満了になるため、委員の改選に関係者の注目が集まっている。
 民主党は先の総選挙のマニフェストで「中医協改革」を挙げており、仙谷由人行政刷新相ほか、鈴木寛文部科学副大臣、足立信也厚生労働政務官らも現在の中医協を見直す発言をしている(※)。さらに、長妻昭厚労相が9月28日に日本医師会(日医)の委員を「削減する方針を固めた」との報道もある。

 こうした中、9月30日に中医協(会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の基本問題小委員会が開かれた。いつもなら開会前に委員らが賑やかに談笑するが、この日は違った。厳しい表情が目立ち、重苦しい空気が流れていた。

 同日のテーマは、周産期・救急医療について。保険局医療課の佐藤敏信課長が約40分間にわたって救急医療体制の不備などを資料に基づいて説明。「ルールでできること、補助金でできること、診療報酬でないとできないこと、こういったものをある程度見極めていただいて、診療報酬の議論に役立てていただきたい」と、暗にくぎを刺した。

 これを受け、竹嶋康弘委員(日医副会長)は、「中医協は決められたところ(財源)を分けるだけではなく、一番現場を分かる、いろいろな患者さんを分かる方々が集まって議論する場だと思っている。こういうところで、貴重なデータに基づいてやっていきたい」と述べ、今後も中医協委員として参加していく意欲を示した。
 その上で、「(資料説明の)端々で事務局(保険局医療課)が言った。『診療報酬だけで、こういうもの(救急受け入れ困難の解消など)がいくか』と。診療報酬だけでは私は無理だと思う。やっぱりこれは政策的にやっていかなくてはいけない。これは別の所で考えなければいけない

 「別の所」とは、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会を指すのだろうか。2004年の「中医協汚職事件」を契機に中医協の権限が縮小され、社保審の両部会が決めた基本方針に従うことになっている。
 しかし、社保審の両部会は厚労省の所管。中医協は厚労相の諮問機関。いずれも厚労省が下絵を描く。前回改定では中医協が"改定の主戦場"で、社保審の両部会は関係団体の"ガス抜き会議"だった。今回は、社保審両部会の役割を重視し、中医協を骨抜きにする、つまり"ガス抜き会議"にしてしまう計画だろうか。

■ 「診療報酬だけでは対応できない」、委員が一致

 竹嶋委員の発言に対し、遠藤委員長は「非常に重要で本質的なご意見だったと思う」と珍しく日医を持ち上げた。これに、全日本病院協会会長の西澤寛俊委員も続いた。
 「なんぼ診療報酬で(評価して)みても、(救急医療は)体制の整備ができていなければ何の意味もない。とすれば、中医協には限界があると思うので、例えば他のしっかりした所、(社保審の)医療部会とか、そういう所で制度上のことをしっかりやっていただいて、もっと体制をしっかりつくる。そこら辺がはっきりしないまま中医協だけで議論しても、どこまで診療報酬の議論をしていいのか、ちょっと私にはまだ分からない。『できるだけすべての点数を上げてくれ』としか言えないところが虚しい。そこら辺をぜひ、ほかの所でやっていただいて、それを中医協に出していただいて、それを基にして良い診療報酬上の対応をしていければと思う」

 社保審の両部会には、中医協の診療側委員のほとんどが参加している。だから、中医協の委員が大幅に改選されても、社保審の両部会で議論すればいい。そんな思惑がにじむ。
 小島茂委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)も、「NICU(新生児集中治療室)が700床不足しているというデータも出ているので診療報酬だけでは対応できない」と同調した。
 「社会保障審議会の医療部会なり医療保険部会で議論されている診療報酬改定の基本方針の中で、周産期医療の課題などについてどう対処していくかという全体的な方向性を示していただいて、その中で診療報酬の役割がきちんと整理されれば、中医協での議論がもっと建設的になるんだろう」

 まるで、事前に示し合わせたかのように委員らの意見は一致。笑い声が漏れるなど、和やかな雰囲気になったところで遠藤委員長が、「ちょっと私から皆様にお諮りしたいことがある」と切り出した。
 「周産期と救急について皆さんのお話を承って、やはり現場でどういうことが起きているのかということは非常に重要な情報だと感じた。現場でどういう状況になっているのかということも我々の共通認識として知っておく必要があるのではないか。そこで、もし皆様のご同意が頂けるのであるならば、中医協の基本小委としてやったことはないかもしれないが、一度、関係者からヒアリングをしたいと考えているが、いかがだろうか。関係者とは医療関係者、場合によっては患者さんを代表するような方でよろしいわけだが......」

 この提案に、支払側も診療側も一斉にうなずいた。遠藤委員長は「(ヒアリングの)人選について腹案はないが、私に一任させていただいて、場合によっては1号(支払)側、2号(診療)側にご相談させていただくこともあるかもしれない」と提案。事務局(保険局医療課)に対して、「そういう話になってしまいましたが、対応は可能でしょうか?」と、まるで突然の思いつきで決めたかのように尋ねた。
 この"猿芝居"に佐藤課長も乗った。「あの......、決まったようですから......、努力いたします」

■ 大枠は社保審、個別議論は中医協

 今後、総合的な医療政策にかかわるマクロの部分は社保審の両部会で決め、具体的な点数設定などミクロ的な部分は中医協で議論するという形で両者の役割分担を図る方針か。とすると、救急医療の諸問題に対し、どのような政策で臨むつもりだろう。
 厚労省は救急医療対策として、「ヒトよりもハコ」という考えを重視しているように見える。同日の説明で、佐藤課長は次のように述べた。
 「医療機関の受け入れが困難になる例、あるいは短い時間で受け入れ先が確保できない例というのは、たいていは『医師不足があるのではないか』とか、『医療機関の数が少ないからじゃないか』というふうに思われがちだが、実を言うと、この図(救急搬送における医療機関の受入状況)を見ていただくと、(受入照会)4回以上の事案や、(現場滞在時間)30分以上の事案が意外に首都圏とか、大阪圏のように比較的人口が多く医師も多く、医療機関も多いはずの所なので、なかなかこの問題、難しいということが理解できると思う。つまり、単純に医師が多ければすぐにすんなり受け入れ先が決まるというわけでもない。(救急受け入れ困難は)かなり難しい事案であるということが分かると思う」

 診療報酬改定の主戦場が社保審なら、古巣である医政局が議事をリードすることになる。保険局医療課で影が薄い佐藤課長にとっては、肩身の狭い中医協より過ごしやすいかもしれない。

まあこの種の出来レースというのも今さらの光景ではあるのですが、今までどちらかと言えば医療側と敵対的な関係で捉えられがちであった厚労省という組織も今度は民主党から迫害される側にまわってくる、となると民主党政権に対する反発という部分で厚労省幹部と日医など一部医療系団体の結びつきが今後強化されていく可能性はあるかも、でしょうか。
民主党では日医らの言うことが信用できないということで、今後は現場の診療に関わっている人間から直接ヒアリングをしていくようですが、彼らは不平不満多々あれど行政に何をどう要求すれば現場が改善するかを知らず、また民主党にしてもビジョンはあったとしても官僚ら政策実行部隊との折り合いがついていないですから、これは当分混乱が続きそうに思われますね。

ところで民主党では中医協改革は行政刷新会議が扱うと言っているようですが、未だ実態のないこの組織がいつ実際に動き始め結果を出してくれるのかというのも疑問ながら、では誰がこうした高度に専門性を求められる領域の議論を主導していくのかという話も見えてきてはいません。
さらに厚労省の官僚筋を中心に中医協の件に限りませんが、最近では「長妻大臣=医療の素人」の構図を利用することで実質的な大臣外しを画策している向きもあるやに聞くところで、いずれにしても大臣の手駒としてきちんと動ける人間は必要とされるところでしょう。
民主党医療政策のブレインとして臨床医としてのキャリアが長い足立信也参院議員・厚生労働大臣政務官の名がしばしばあがりますが、医療現場の状況も知る同氏が中心となって医療と行政の橋渡しを行っていくということになるのか、今後も彼の言動には要注目だと思いますね。

さて、民主党政権下で診療報酬がかなり上げられると確定的に報じられていますが、そろそろそれに対する反応も出てくるようになりました。
自民党政権下で厚労行政に関わっていた方々の中にはこの診療報酬アップに対する強固な抵抗勢力というものが大勢いらっしゃったようにお見受けしていましたが、どうやら今も根強い抵抗を続けているようです。
やはりこうした点では世論の支持を受けた側が強いのではと思うところですが、世論を占う上で最近ではこうした記事も出ているようですね。

「自民流」を超えて(2009年9月30日毎日新聞)

 10年度診療報酬改定の年末決着に向けたゴングが間もなく鳴る。医療の公定価格、診療報酬は小泉政権以降4回連続で引き下げられてきた。しかし、政権交代の実現で医療界の関心は、早くも「アップ幅」に移っている

 医療界と経済界が綱引きした揚げ句、政治家の介入で決着--。自民党政権時代、2年に1度の診療報酬改定はその繰り返しだった。新政権のスタイルはまだ見えない。それでも、「医療の充実」を掲げる民主党からは「10%アップが必要だ。財源は8000億円で済む」といった声も聞こえてくる。

 07年度の国負担分の医療費は8・2兆円。10%増には8000億円強で足りる。が、総医療費は34兆円で国負担分はその25%に過ぎない。12%は地方が払い、また49%を保険料(国民負担29%、企業20%)で、残る14%分は患者の窓口負担でまかなった。

 つまり診療報酬増は、税ばかりか保険料、窓口負担にも跳ね返る。10%(3・4兆円)アップなら、4人世帯で11万2000円。「補てんすればいい」との論もあるが、それも税財源なのは言うまでもない。

 もちろん、疲弊した地域医療の再生は待ったなしだ。とはいえ、住民に一方的にしわ寄せする形では不可能だろう。新政権には自民党流ではなく、負担と給付の最適バランスを探ることに英知を傾けてほしい。【吉田啓志】

負担と給付のバランスを探ると言うのであれば、安い医療費で世界トップクラスの医療を実現している日本ではもっともっと負担を増やしていかなければバランスが取れないわけですから、要するに10%などと言わずこの際更なる大幅な診療報酬アップを検討すべきという主張だという理解でいいわけですよね(笑)。
世界に名だたる毎日新聞の見識はともかくとして、かねて医療崩壊の主犯かつ医療再生の抵抗勢力として悪名高い経済財政諮問会議をはじめとする経済界を批判する声は強く、中でも奥田氏あたりになるとあちらこちらから怨嗟の声が聞こえてくるという状況です。
しかし医療関連産業の進展を巨大な内需拡大の好機と捉えてそのパイを狙っている企業もあるわけですから、単純に経済界=医療の抵抗勢力と決めつけるべきでもないことは知っておかなければならないでしょうね。

何にしろ抵抗勢力排除と言えばマスコミの見出し的な見栄えは良いのでしょうが、排除するという行為によってどんな結果を実現させるというビジョンを明確にしておかなければ、単なる一過性の破壊だけで終わってしまう危惧もあろうかと思われるところです。
ぶっ壊した後の再生は早い者勝ちで美味しいところの奪い合いにもなりかねませんから、国民にしても単に「もっと医者を!近くに病院を!」と叫ぶだけでなく、自分が医療に何を要求するのか、その実現のために幾らまで金を出せるのかといったところも決めていかなければならない時期だと思いますね。
その意味で中医協改革の一環として患者や市民の代表を入れるという話も出ていますが、そこで金を出す側、医療を利用する側として何を言うべきかということも重要でしょう。

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