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2009年10月14日 (水)

最近少し風向きが変わってきた?

先日こんな話がありましたけれども、ご覧になりましたでしょうか。
今や有名人となった地域医療の専門家、村上先生が再生を請け負ったという夕張市立診療所での出来事です。

心肺停止 受け入れず 夕張の中3自殺(2009年10月04日朝日新聞)

■夕張の中3自殺で市立診療所
■「情報伝達で不備」

 夕張市の中学3年の男子生徒(14)の自殺で救急隊が市立診療所に受け入れを求めた際、心肺停止状態で早急な措置が必要だったにもかかわらず、市外の病院に行くよう指示されていたことが分かった。最終的に生徒は市内の別の医院に運ばれ、死亡が確認された。市内に救急病院はないが、同診療所は唯一入院できる中核的医療機関。事態を重くみた市は、運営主体の医療法人財団「夕張希望の杜(もり)」(理事長・村上智彦医師)と救急体制改善に向けて協議を始めた。
(本田雅和)

 関係者によると、9月27日午後11時11分、生徒が自宅で首をつっているのを見つけた家族が119番通報した。5分後に到着した救急隊は、生徒の心肺が停止していたため、蘇生術を施しながら最も近い医院に連絡。不在だったことから同11時32分、次に近い市立診療所に電話で受け入れを求めた

 同診療所によると、最初に電話を受けた事務当直員や、医師に電話を取り次いだ看護師が救急隊員の使った「縊頸(いっけい)(首つり)」という言葉を理解できず、「いけい? 胃けいれん?」などと推測し、当番医の村上医師に連絡。同医師は心肺停止と報告を受けながらも「インフルエンザ脳症のような病気か事故だろう」と考え、同40分に「小児の重篤状態は対応できない。早急に小児科のある(重篤・重症専門の)3次救急病院に行くように」と看護師を通して救急隊に電話で回答した。

 市などによると、隊員はこの電話で「心肺停止状態なので受け入れてほしい」と再び要請。看護師も村上医師に伝えたが、回答は変わらなかったという。救急隊は市内の2医院に連絡し、同45分、1医院が受け入れを承諾。同55分に運ばれたが、28日午前0時24分に死亡を確認した。

 同診療所の診療科目には小児科もあり、村上医師は講演などで「心肺停止患者は直近の医療機関で早急に対応すべきだ」と説いている。市内の医療従事者は「診療所でも蘇生術や気管挿管などの措置はできたはず」と批判する。

 村上医師は「非常に残念だが救急隊と診療所の間に情報伝達の不備があり、正確に医師に情報が伝わらなかったのは事実。今後はこのようなことがないよう、救急隊との間で取り決めをし、職員にも周知していきたい」と話す。

 これを機に同市では、救急医療体制の整備に向けて医師会や道とも再協議していくことにしている。

若い方が残念な結果となりましたが、記事を読む限りでも意思疎通の問題というものは色々とあったようで、色々な情報を総合すると「村上医師には胃痙攣と伝わった」ことは確実なようで、一方「村上医師には首吊りの患者であることは伝わっていなかった」のも事実のようです。
しかしむしろこの場合の問題は医師にそうした状況であると伝わっていたかというよりも、胃痙攣で心肺停止という普通あり得ない情報に疑問を抱きながら(当然そうなのだと思いますが)相手に確認することがなかった看護師と、その意味不明の報告を受けていながらこれも確認することのなかった医師の対応ということになりますが、ただしこれも受け入れる前提に立った話です。

同診療所は常勤3名非常勤2名、救急指定は取っておらず「夜間・休日の受診はお受けしておりません(同診療所HP)」とのことですから、従来からその方針は救急隊も承知していたものと思われますが、つまり村上医師にとって夜間救急は受け入れないという大前提がまずあったのではないかとも感じられます。
同医師にすれば過去の言動からも「ここで救急まで受け入れれば残った診療所も潰れる」と考えていることは明らかですし、救急を受け入れたが診療所はなくなったとなれば市民にとっても結局損であると説く程度の腹は据わっている人物ですから、今後市と診療所も含めて開かれるだろう協議がどう紛糾するかは要注目というところだと思いますね。

「対応できないものは対応できないと断ることが正しい」とは既にネット上では広く受け入れられる見解となっているようなところがありますから、そのためもあってかネット上で議論になったのは受け入れの是非といった話ではなく、主に記事中にある「村上医師は講演などで」云々の部分であったように思います(いわゆるブーメランという奴ですね)。
ただ村上先生の講演内容は把握していないのですが、首吊り患者をこうした診療所で診ろと言われてもまず意味のある対応は無理というより、この状況で出来るのは実際問題形ばかりの対応の後の死亡確認くらいではとも思われます(それが明らかな状況だからこそ救急隊も真っ先に近場の開業医に依頼をしているのでしょうが)。
この種の若年者自殺となれば医療行為そのものよりも家族に死を受容させることこそ最大の仕事になりがちで、後述の記事にあるようにわざわざ救急隊が誤解を呼ぶような「家族に配慮」した表現をしていることからも、結局救急そのものというよりそのあたりの役の押し付け合いに端を発し、それを契機にかねて同医師に反感を抱いていた層から批判が噴出というところなのでしょうか。
その点で朝日の記者が村上医師の過去の発言全てを網羅していたとも思えないですから、そうなりますと誰がこの講演情報を記者の耳元にささやいたのかにも興味が出るところですが、記事中にある市内の医療従事者などという(失礼ながら)この種医療問題にコメントすべき権威とも何とも思われない方が唐突に登場している意味が何なのか、ですよね。

ちなみにこれも全くの余談ですが、健康保険法では「故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない」という規定がありまして(第116条)、文字通りに解釈しますと自殺(未遂)に対する治療は健康保険の給付対象外ということになってしまいます。
一応は昭和26年3月19日保文発第721号によって同条文の除外対象になるということになっているようですが、未だに保険の査定で全部切られて大赤字!なんて話を時々聞きますから、ご注意いただいた方がよろしいかと思いますね(同様に精神病その他で行為結果に対する認識能力がない場合も除外対象となります)。

まあそれはそれとして、実のところそうしたことは本日の話題の中では全くの余談であって、肝心なのはこの事件に関する続報の方なのですが、以下にやたらと張り切っている朝日新聞の記事から引用してみましょう。

受け入れ拒否を謝罪 夕張中3自殺(2009年10月05日朝日新聞)

■村上医師「判断ミス」

 夕張市で、自殺を図って心肺停止状態だった中3男子生徒(14)の受け入れを拒否した市立診療所の理事長、村上智彦医師(48)は4日、自らの「判断ミス」を認め、「ご遺族と市民の皆さんに申し訳ない」と謝罪、「こういうことは2度と起こさない」と述べた。市内で開かれた北海道自治体学会など主催の「まちづくり」集会に討論者として参加した同医師が冒頭、事件について釈明を求めて発言、採算の取れない救急医療を財政破綻(はたん)の街でどう保証していくかが議論された。
(本田雅和)

 同医師は、事件当夜の先月27日、救急隊が現場から受け入れ要請の電話をした際、目の前の家族に配慮して首つりを「縊頸(いっけい)」と表現したことを改めて指摘。電話を受けた事務職員や看護師が専門用語を理解せず、「間違った情報伝達」の中で集中治療室のある札幌などの救急病院に運ぶよう指示、「間違った判断をしてしまった」と語った。

 市民代表として参加した討論者は「聞き間違い」の問題ではなく、「たとえ助からなくても、命を委ねる医師にまず診てほしいという親の気持ちを分かっていただけているか」と質問。村上医師は「気持ちは分かるが、コンビニ受診などで医師は疲弊している。破綻前の市立病院の医師らは夕張には2度と戻りたくないと言っている」とした。

 そのうえで同医師は「心肺停止患者を断ったのは間違いだった。近くにいる人が蘇生措置をし、田舎の診療所でも直近の医療機関につなぐのが一番生存率をあげる。救急医療をしていたプロとして恥ずかしい」と反省を示した。

 また、同診療所が在宅支援診療所として87人の訪問医療をしているのを始め特養老人ホームやグループホームの200人以上を対象に24時間診療体制を続けていることを説明。19床の入院ベッドと救急で「年間5千万円近い赤字」が出るのを「職員給与の削減と理事長個人の借金」などで維持しているが、予算が確保できない場合に備えて「今冬の病棟閉鎖や救急廃止も検討している」と明らかにした。

 住民が必要とする救急医療の中身や水準の確定、そのための国や道からの財源支援の実現――などが課題として残った。

この記事を見ていて非常に興味深いのは、一昔前であればひたすら平身低頭していただろうと思われるこの局面においても、ちゃんと「いやうちは救急は無理だから」と主張しているということだと思いますね(村上先生のキャラクターもあるのでしょうけれども)。
むしろ村上医師とすれば救急の更なる縮小(診療時間内やかかりつけ患者も含めて?)を画策しているようですから、いっそこれを機に入院病床廃止や夜間院内無人化など、やりたくとも物理的に出来ないという状況にもっていくという考えもあるのかも知れません。
ちなみに夕張市の藤倉肇市長はこの件に関して「診療所に受け入れてほしかった」「二度とこうした事態が起きないよう市内の救急医療体制の改善を図りたい」とコメントを出しているようですが、改善を図りたいと言っても実際に改善するのは市長本人ではありませんから、要するに現場がついてくるかどうかが市長の指導力なり人望なりを示すということになるのでしょうか?

夕張の件では基本的に個人レベルの話でしたが、こちら名古屋の事例では組織としてさらに少しばかり変化の兆候が明確になってきているようにも感じられます。
まずは第一報から紹介してみましょう。

死因めぐり2カ月安置 手術後死亡の1歳男児(2009年9月30日中日新聞)

 名古屋大病院(名古屋市昭和区)で胃の手術を受けて死亡した中国籍の男児=当時(1つ)=の遺族が手術などに不信を抱き、「第三者機関の解剖で死因を調べてほしい」と訴え、遺体が2カ月半も院内に安置された状態になっている。名古屋市健康福祉局は「火葬や埋葬まで期限はないが、病院でこれほど長く保管した例は聞いたことがない」という。

 遺族と病院側によると、男児は、名古屋市中区の中国籍の夫婦の長男で、今年3月、ぜんそくに似た症状で同病院に入院。胃液の逆流で食道や肺に炎症が起きて肺高血圧症を引き起こしていると診断された。7月13日に胃の位置をずらす腹腔(ふくくう)鏡手術を受けたが、15日になり容体が急変、心拍や血圧が低下して死亡した。

 病院側は7月末に院内検討会を開き「医療過誤は指摘できない」と報告。ただ、手術の危険性について事前説明が不十分で、唯一の小児循環器専門医が手術翌日から出張するなど、術後の管理が万全でなかったことは遺族に謝罪した。9月中旬には名古屋簡裁に和解調停を申し立てた

 一方、遺族側は男児の体力が弱ったまま手術に踏み切ったことなどから「医療過誤の可能性が高い」と主張。病院側から死因究明のため病理解剖を求められたが、「病院は信用できない。第三者機関に遺体を調べてもらい、遺族や専門家を交えた会議を開いてほしい」と訴えている。

 愛知県では実際、日本内科学会が中立的に死因を調べる「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」が実施されている。ただ、同病院は「医療事故ではないので事業の対象外」と判断し、依頼しなかった。病院側はその一方で同県医師会などを通じて病理解剖の引受先を探したが、見つからなかった。

 遺体は傷みを防ぐため、院内霊安室の冷蔵庫内で最低の2度で保管。病院側は「細菌が増殖する恐れがあり、衛生的に良くない。死後1週間以上たてば病理解剖の意味がない」と困惑。2室ある霊安室の1室を占め、支障が出ているという。病院側は引き取りを求めて内容証明郵便を遺族側に送付したが、遺族側は応じていない。

こちらも小さなお子さんが不幸な経過を辿ったということで状況の如何を問わず同情すべき点は多々あるのですが、同時に病院側にとってもご遺体を放置されるのは困るというのも実際のところではあるだろうとは理解できます。
冷蔵保存ですからいつまでも放置していては危ない状況になるだろうことは素人考えでも分かりそうな話ですが、これも一昔前であればなし崩しにいつまでもずるずると状況を継続してしまうか、せいぜいがやんわりと引き取りを求めるという程度で、公立病院等であれば場合によっては見舞金で決着という話だったのではないかと思います。
ところが明らかに変わってきたのかなと思わされるのが、こういう続報が出てきているところなんですよね。

男児遺体安置問題 名大病院、遺族に1日2万円請求(2009年10月2日朝日新聞)

 名古屋大病院(名古屋市昭和区)で死亡した中国籍の1歳男児の遺体が2カ月以上にわたって病院内に安置されている問題で、病院側が男児の遺族に対し「遺体を引き取らなければ、1日あたり2万円を請求する」などとする内容証明付き文書を送っていたことがわかった。遺族が望む病院外の中立の立場の医師による解剖はめどが立たないままで、遺族側は不信感を強めている。

 文書は病院側代理人の弁護士名で9月7日付。「貴殿らは埋葬・火葬の義務があり、このままではご遺体を遺棄されたとの評価にもなりかねない」として、1週間以内の引き取りを要請している。

 遺族が医療過誤を主張している点については「法律上、過誤の有無と遺体引き取り義務は全く別」と指摘し、「賠償を条件にされてご遺体を引き取られないということは、威力によって当院の業務を妨害するもの」と主張。その上で、文書が届いてから引き取られるまでの間、1日あたり2万円を支払うよう要求している。一方、遺族側は、現時点では賠償を求めていないとしている。

 病院側の弁護士は朝日新聞の取材に応じ、「1カ月以上も進展がない中、ちゅうちょもあったが、打開策として病院側の考えを示す必要があった」と語った。金銭を求めたのは「遺体の早期引き取りを促す意味合いだった」とし、金額の根拠は「一般の葬儀社が遺体を保管する場合の平均」と説明した。

 文書の内容に驚いた遺族は、文書の原本を病院に突き返したという。母親(43)は「子どもに何が起きたのか知りたいだけなのに。なぜ、お金目当てのように言われなければならないのか」と悔しさをにじませる。遺体は、病院内に2室ある霊安室のうち1室で低温保管され、遺族は今も毎日、霊安室に通っているという。

 病院側は「遺族が推す医師立ち会いの下、解剖する案を遺族に再三確認したが、回答がなかった」と説明している。しかし、母親は「身近にそんな医師はおらず、死亡当日に断った話。その後も打診を受けた記憶はない」と、言い分は対立している。

 同病院の松尾清一院長は「遺体の引き取りが進展すれば、内容証明郵便を撤回する」としつつ、文書の内容について謝罪するかどうかは「現段階ではコメントできない」と述べている。

朝日新聞の主観はともかく、この状況で「それはそれ、これはこれ」とこうまできっちり筋を通すとは、名大の対応には驚かれた方も多かったのではないかと思います。
名大にしてもこんなところで多少何かあろうが担当者の首が飛ぶとか給料が削られるとか言う話でもないんだろうと思うのですが、大学病院という大きな組織がこうまで積極的に動くというのも今までなかなかなかったことですよね。
この件に関してはその後さらにオチがつきまして、どうやらいかにも大学病院らしい当事者能力の欠如というところに話が落ち着きそうな気配ではあるのですが、まずはこうした行動が取れるようになってきたという院内の空気の変化というものは重要なのでしょうね。

男児遺体「他病院で解剖可能」 名大病院が確認不足認める(2009年10月2日中日新聞)

 名古屋大病院(名古屋市昭和区)で7月中旬に手術を受け死亡した男児=当時(1つ)=の遺体が院内に2カ月半安置されている問題で、同病院が愛知県医師会の「剖検システム」を利用し、遺族側が求める第3者機関による解剖を行うことが分かった。病院側は当初「システムの利用は無理」と説明してきたが、医師会側からの指摘で利用可能だったことが判明。遺族は、病院のお粗末な対応に憤りを強めている。

 松尾清一病院長は「われわれの確認不足で遺族に長い間、つらい思いをさせてしまい、重大な責任を感じる。無知と言われても仕方がない。なるべく早く申請して解剖してもらい、遺族に謝罪したい」と話している。

 病院側は当初、遺族に院内での病理解剖に同意するよう求めたが、医療過誤を疑う遺族側が拒否し、第3者機関による病理解剖を望んだ。

 剖検システムは、医学部を持つ同県内の4大学が月ごとに当番となり、病院からの依頼を受けて解剖する。県医師会によると、対象の病院に制限はなく、10年前には藤田保健衛生大病院の依頼で名大病院が解剖を行った例があった。今回も同衛生大病院で解剖を行うことが決まった。

 名大病院はこれまで、会見などで「死亡直後に剖検システムの利用を模索したが、県医師会と当番の愛知医大から『解剖能力を持たない病院のための制度で、解剖できる名大病院は対象外だ』と説明を受けて断念した」と話していた。

 しかし、県医師会は「相談を受けた記録がない。報道で知って誤解があると指摘した」と話す。病院側は「同会と愛知医大の2カ所から同じ説明を受けた」と説明しているが、同会側のだれから聞いたのかは確認できないという。

 また、病院側は9月7日付で、遺族に内容証明文書を送付。文書では「賠償を条件に遺体を引き取らないのは威力によって当院の業務を妨害するもの。引き取らなければ1日あたり2万円を請求する」などと遺体引き取りを強く求めていた。

 男児の母親(43)は「全身が震える思い。本当に知らなかったとは思えない。こちらには1日2万円の請求までしておいて、逆に『子どもを使って金を要求している』とまで言われた。絶対に許さない」と憤慨。「2カ月半もたって遺体が傷んでしまい、今解剖しても何も分からないだろうが、最後まで死因を追求する」と話した。母親は2日午後、名古屋市内で記者会見する予定。

 松尾病院長は、1日2万円の請求について「早く解決するためと考えていたが、不適切だった。撤回したい」と話している。

遺体の長期安置、名大病院が謝罪(2009年10月7日中日新聞)

 名古屋大病院(名古屋市昭和区)で手術後に死亡した中国籍の男児=当時(1つ)=の遺体が2カ月半安置されたままの問題で、同病院の松尾清一病院長らが6日会見し、「確認不足と認識不足で、ご遺族に多大な心労をおかけした」と謝罪した。また、判断ミスをした経過の検証と病院の対応、管理体制の改善に向け、外部委員による調査委員会を設置することを表明した。

 この問題は、遺族が「医療過誤があった」として他病院での解剖を希望したのに対し、病院が「現在の仕組みでは不可能」と回答し安置が長期化。今月になって愛知県医師会からの指摘で、同会の「剖検システム」を使えば他病院での解剖が可能と分かった。

 松尾院長は「死亡直後の電話相談で『できない』と思い込み、正式ルートで確認しなかったことが大きな誤り。その後も2カ月以上再確認せず、ご遺族の心情を推し量らなかった」と反省。内容証明郵便で遺族に、安置1日につき2万円の費用負担を求めたことも「決裁書類に判を押したのは私だが、心より反省している」と要求を撤回した。

ひと頃マスコミが盛んに喧伝していた図式に「医療に対する弱者としての患者」という構図があり、特にこの10数年ほどはその路線に沿って学部教育レベルから「医者の上から目線の是正」ということが言われてきた時代であったと認識しています。
しかし他方では近年モンスターペイシェントだの医療崩壊だのと色々現場の問題が騒がれてくるようになった、それらを読み解いてみると逆に現場では「患者に対する弱者としての医療」という構図が浮き彫りになってきた感があります。
もちろん人間関係における強弱などその場の状況で幾らでも変わることがあるのは当然ですけれども、少なくともマスコミが先導して長らく喧伝してきた一方的かつステロタイプな強者弱者論はすっかり崩壊しているし、そんなものに安住している認識の古い施設は片っ端からスタッフが逃げ出して真っ先に崩壊していっているという事実もまた認めなければならないでしょうね。

医療現場の代表者としてやり玉に挙げられやすい医者という存在が基本的に超売り手市場の住人で、近年ではすっかり「嫌なら辞めろ」という認識が広まって我慢する人が少なかったこともあり目立たなかったのも確かですが、考えてみれば応召義務などと法律まで用意して「相手に金がなかろうが必ずみなければならない」なんてことを定められている業界はそうそうないわけですよね。
特に看護師や窓口事務などは多くが女性であるという事情もあってこうした「強い患者」に直面せざるを得ない場合が多いわけですが、これらの職種はまた離職率が高いことでも知られていますから、既に現場では警察などと合同で「譲れない部分は譲らず」「自信を持った態度で」などとトレーニングを積み、一生懸命もっと強くなろうと努力している真っ最中でもあるわけです。
別に医療に限った話でもなんでもありませんが、人間関係において一方が神様などと祭り上げられるような間柄ではまともな信頼関係など構築できるはずもないのであって、そんな勘違いがあるのなら互いに適切な距離感を維持した人間同士の関係へと移行を図った方が長期的に見ればお互いの利益になると考え直すべきではないでしょうか。

二昔も前の時代のように、お医者様が神様過ぎて人生で医者と会うのは亡くなった「後」の死亡確認の時だけ、なんてことも極端だろうと思いますし、全く同じ程度に患者様が神様過ぎて何をしようが好き放題の自由勝手というのもまた極端なんだろうと思います。
両極端の間のどこかに程々のバランス点を見いだそうと皆が試行錯誤しているのが今現在の医療現場なのだとすれば、最終的にこれが適正な結論に落ち着くために最も望ましくない行為とは途中経過における小さな齟齬を捕まえて、鬼の首でも取ったかのように大騒ぎしては関係改善の意思そのものを叩きつぶしてしまうということなんだろうと思いますね。
その意味で現状で最も自省と自制を求められているのが誰であるのかということを、何より当の御本人さん達に認識していただかなければならないのかなという気がしていますが、恐らくそれが最後まで残る最大の障壁であったなんてことになるんでしょうね(苦笑)。

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