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2009年9月11日 (金)

ついに医師会崩壊間近?!

今日はまず少し古い話になりますが、経済学者であり著明なブロガーでもある池田信夫氏の記事より紹介させていただきます。

医師会には社会的常識が欠落している人が多い(2008年11月20日池田信夫blog)

麻生首相の「失言」が次々に問題になっている。きょうは「医者には社会的常識が欠落している人が多い」という発言が槍玉に上がっているが、これは文脈を無視した引用である。もとの発言は、朝日新聞によれば、

    (医師不足が)これだけ激しくなってくれば、責任はお宅ら(医師)の話ではないですかと。しかも「医者の数を減らせ減らせ、多すぎる」と言ったのはどなたでした、という話を党としても激しく申しあげた記憶がある。

というもので、これは正論だ。小倉秀夫氏も指摘するように、かつて「医師過剰」の是正を繰り返し求めたのは日本医師会出身の議員だった。たとえば1993年に参議院文教委員会で、宮崎秀樹議員(当時)は

    次は、大学の医学部、医科大学の学生定員の問題でございます。これに関しましてはいろいろ定員削減という方向で文部省と厚生省との話し合いができておりまして、一〇%削減、こういう目標を立ててやっているのですが、実際にはそこまでいっていない。[・・・]例えば昭和六十三年には十万対百六十四人だった。これが平成三十七年には三百人になるんです。三百人というのはいかにも医師の数が多過ぎる

と医学部の定員削減を求めている。宮崎氏は日本医師会の副会長を歴任した。

実は、私もこのころ医師会に取材して驚いたことがある。カルテの開示について、社会部の記者と一緒に某常任理事にインタビューしたところ、彼は「あなたがたは勉強が足りないから教えてやる」といって演説を始めたのだ。「医者と患者は同格の立場ではない。患者は判断能力がないのだから、カルテなんか見るのは混乱するだけだ。黙って医者のいうことを聞けばいい。医師会は、インフォームド・コンセントなんてまやかしの流行には乗らない」とカメラの前でぶちまくる彼に、われわれは唖然とした。

私もいろんな職業の人とつきあったが、こんなふうに特権意識丸出しで相手を見下してしゃべるのは、全銀協と医師会だけだった。医師全体がどうかは知らないが、医師会に社会的常識の欠落した人が多いことは間違いない。医師会は官邸に抗議に行く前に、自分たちが過去にどういう政治的圧力をかけてきたのか、思い出したほうがいいのではないか。

日本医師会(以下特に断らなければ、医師会=日本医師会)という組織は何かしらひどく評判が悪いところで、マスコミなど一部の方々からは蛇蝎の如く嫌われているらしいのも今さらですが、近ごろでは地区医師会で理事をしているような世間的に見れば医師会どっぷりと見える先生方の口からも悪口が途絶えることがないようです。
先の選挙に絡んで茨城県医師会が医師会に反旗を翻したということが保守組織票崩壊の象徴として非常に話題になりましたが、ひとたび医師会所属の烙印を押されると乗り換えたら乗り換えたでまた批判されるというのも何かしら哀れを催す光景ですね。

実際には日本共産党がソ連共産党と必ずしも一枚板でなかったのと同様に、地区医師会と日本医師会が単純に上意下達の関係であると捉えるのは実態を見誤る元であって、地区医師会は単なる日医の代弁者ではない、むしろ最近やつらのやり口にはらわたが煮えくりかえると憤慨されている先生方も多いようです。
やはり末端会員に不評なのは事故調試案の件にも見られるように、全く民主的運営がされていないという医師会の組織運営上の問題が大きいようですが、理事を務めるような地域で根付いて何十年という開業の先生でもそうなのですから、ましてや形ばかりの(特に病院が勝手に入会させたような)勤務医会員こそ「あいつらと一緒にするな!」と文句たらたらでしょうね。

勤務医と開業医では全く目指すところが異なるでしょうし、同じ勤務医と言っても都市部基幹病院の常勤救急医と場末の老人病院の非常勤皮膚科医では全く視点も異なる上に、単一の組織としてまとまるには医者という人種は我が強すぎるので医師会も大変でしょうが、そもそも医師会は民主的組織ではないですから船頭多くして船山に上るということだけはないのでしょう(苦笑)。
昨日も民主党の仙谷由人議員から行政側と医師会とを一括りで批判されていることを紹介しましたが、もしあれを悔しく思っている医師会幹部がいたとすれば、同様に医師会所属の医者だと一括りにされて悪の組織の一員でも見るかのような世間の冷たい視線に晒されている末端医師会会員の悔しさにも思いを馳せなければならないでしょうね。

それでもさすがに最近ではネットなども発達していますから、マスコミがいくら黙殺しようが「医師会=全国の医師達の代弁者」ではないという認識は次第に広まっているようで、例えば今まで医師会との関係が(控えめな表現をするならば)必ずしも濃厚とは言えなかった民主党界隈からもこんなコメントが出てきています。

現場開業医と日医の声が違う―民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月4日ロハス・メディカル) 

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、「病院と協力して頑張ってやっている開業医から聞こえる声と、民主党の診療報酬引き上げ策に反対している日医と、どちらを信じていいのか判断がつかない」と述べ、開業医の"実態"を知りたいと要望した。(熊田梨恵)

 民主党の今後の医療政策に関するロハスメディアの取材に答えた。茨城県、兵庫県、諫早市、世田谷区医師会を引き合いに、「開業の現場も大変と聞いている」として、医療費抑制政策を支持する日医とは主張が食い違っていて実態が把握できていないとの見解を示した。その上で、「私たちが聞きたいのは、毎日患者さんを診ている開業医の実態がどうなっているかについての、正確な情報」と述べ、各都道府県や郡市医師会の実態を知りたいと求めた。

しかし本当に現場医師の声をダイレクトに政権が取り上げるようなシステムが出来てしまったら、今まで全国医者の代弁者を自称してきた医師会も色々と困ることになるかも知れないですけどね(苦笑)。

いずれにしても政権の行方がこういうことになりますと、医師会としても今までの方針の大幅見直しをせざるを得ないようなのですが、どうもこの方達の場合は自分たちのことを主張するばかりで、相手から自分がどう見えているのかという視点が欠けているような気がしてなりません。
自ら推薦する候補すら落選させてしまうような「圧力団体」が、今まで敵対的関係にあった相手に向かって大きな口を叩いてみたところで、それは相手としてもそれなりに言うべきことはあるだろうとは普通の人間であれば誰でも想像できる話だと思うのですけれどもね。

新政権に「一層強力な政策提言」-日医(2009年9月2日CBニュース)

 日本医師会の唐澤祥人会長は9月2日の定例記者会見で、今回の衆院選について、政治が地域医療崩壊の現状をどのように方向転換させるかが問われた選挙だったなどと総括した上で、新政権に対して医療現場の声を反映した「一層強力な政策提言」を行っていく考えを示した。

 会見で唐澤会長は、「新政権にのぞむ」と題した見解を読み上げた。
 見解では今回の衆院選について、地域医療の崩壊が現実化した状況を政治がどのように方向転換させるのかを問う選挙だったと言えるとした上で、選挙結果について、国民が医療を含めた社会保障制度をより充実したものにすることを強く求めた結果であるとした。
 また、政府は国民の生命と生計を守る社会保障について明確な理念を示し、国民に対し安心を保障する責務があるとし、そのために日医ではさまざまな形で医療における政策提言を行ってきたとした上で、新たに発足する政権与党に対しては、国民が安心して健康な生活を送れるよう、充実した医療提供体制の確立を目指し、一層強力な政策提言を行うとしている。

 また唐澤会長は、民主党をはじめ連立協議に入る各党が後期高齢者医療制度廃止のスタンスで一致していることに関して、「今後、ご高齢者は増えていく。きめ細かな医療体制をつくることが重要だと思う」とした上で、「今の制度は十分だと思っていない」などと述べた。
 さらに、「政権与党は政策立案と実行という面では格段の実現力がある」とした上で、これまでの自民党に対する姿勢と同様に、今後は民主党に対して「十二分にわれわれのスタンスで医療の現場を反映するように意見を申し上げようと思っている」などと強調した。

 会見に同席した中川俊男常任理事は、今後民主党内の役割分担が明確化した段階で協議を行いたいとの考えを示した。

医師会は自民の医療費抑制政策の総括を-民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月3日ロハス・メディカル)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長)は3日、「唐澤(祥人日本医師会会長)さんの自己批判というか反省がないと、我々もまともな話ができない」と、医療よりも利権拡大に寄ってきた従来の医師会の体質を改めるべきと求めた。(熊田梨恵)

 今回の衆院選について、ロハスメディアの取材に答えた。「厚労省の言う通りにべちゃっとひっついてて、自民党にお金を出して選挙していればいいとか、そんな話ではないということが(医師会は)まだ分かっていない。自民党に渡すお金を減らして、民主党に持っていけばどうにかなるのではないかという程度の話。情けない」と、医師会の体質が基本的に変わっていないと苦言を呈した。

医師会は医療について考える視点が欠けているとして、「日本の医療や患者の医療のためにどうすべきなのか。『我々開業医もどうすべきか』という視点から政策議論をしながら、『これを我々は受け持つけども、そうするにはこれぐらいの診療報酬は必要です』とか、『ベッドをここは削るけども、ここは増やしてもらわないと今の社会情勢ではうまくいきません』とか。そういうお付き合いの仕方というのか、関係性の作り直しを考えてもらわないといけない」と述べた。

 読売新聞の報道によると、日医の政治団体「日本医師連盟」は、政権交代に伴い今後は民主党にも理解を求めていくとして、献金も含めて活動のあり方を見直していくとの方針を示している。

日医・唐澤会長は自己批判と反省を-民主党・仙谷由人衆院議員(2009年9月4日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛政調副会長は、各医師会が医療費抑制政策など自民党の医療政策について意見を表明しない限り「自民党支持」と判断するとして、今後のスタンスを明確にするよう要望した。(熊田梨恵)

 今後の民主党の医療政策に関するロハスメディアの取材に答えた。民主党がどの党よりも強く"医療崩壊"を脱するために医療費増額などの資源投入を求めてきたとした上で、「マニフェスト評価の中でも、各県医師会に対して民主党を支持をされないということを明確に仰ってきたが、それがなぜなのかという理由がまだ分からない」と、日医の姿勢を批判。「茨城県や兵庫県の医師会は、意思を表明して反論しているので、我々と意思を共有していると思っている。反論していない都道府県郡市医師会は、医療費削減に対して形式的に支持している格好。そこについての方針を明らかにしていただかないと、我々と基本的な政策は異なっていると考えざるを得ない」と述べ、各医師会に総括を行うよう求めた

「政権取ったんだってな。それじゃ俺様が色々と教えてやるよ」「あ?お前ら偉そうな口きくより先に言うことあんだろうがゴラ!」って感じでしょうか(苦笑)。
いずれにしても現状では政権担当政党は元より末端医師会会員や地区医師会も誰も医師会幹部の言うことなど聞く気がない、と言うより医師会のご老人方とつき合って泥船に乗り込むなどまっぴら御免だという状況ですから、これは一気に組織として求心力低下が進むのか、あるいは大幅な組織改革を強いられるかでしょうかね。
折しも与野党問わず医師会ではなく現場の医療者を相手にしていくというスタンスでの発言が相次いでいるように見えますけれども、この状況を単に自民党負けちゃった、それじゃ民主党に鞍替えしようかと言う程度にしか捉えていないというようであれば、案外医師会という組織も先は長くないかも知れませんね。
ひと頃QOML問題と絡めてよく議論されたことですが、「糞みたいな組織でも団結の象徴として何かしら組織はあった方がよい」という意見が正しかったのか、それとも「医者は個別に戦っても十分やっていける」という声が正しかったのか、どちらが正解だったとしても、そろそろ現場医師たちも「医師会後」の時代も見据えて身の振り方を考えておくべきなのでしょう。

医療現場の声を次期参院選マニフェストに―民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月 4日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、「毎日患者を診ておられる医療者の方々の声は一つでも多く、ぜひ聞かせて頂きたい。そのことを来年の参議院選挙のマニフェストの中に生かしていきたい」と述べた。(熊田梨恵)

 今後の民主党の活動に関するロハスメディアの取材に答えた。現場の医療者の声を生かして次期参院選に臨みたいとして、「ご協力していただける方々とは、日本の国民や患者さんへの医療水準を、QOLを上げるという観点でぜひコラボレーションしていきたいと思っている」と述べた。

「政治を動かすのも医師の仕事」―自民党・世耕弘成参院議員(2009年9月3日ロハス・メディカル)

 自民党の世耕弘成参院議員(参院議院運営委員会筆頭理事)は3日、「政治を動かしてよりよい環境を実現するということもお医者さんの仕事の『外』ではなくて『中』だと思う」との見方を示し、医療者は政治に声を届けてほしいと求めた。(熊田梨恵)

 医療界が政策決定過程に影響を与えていくためのプロセスについて、ロハスメディアの取材に答えた。「政治を動かすというのも医療の仕事の一つ」と述べ、医療者に意識してほしいと要望。今後の活動として医療者の声を吸い上げるネットワークを作っていくとした上で、現場の医療者からもEメールなどで現場の声を届けてほしいとした。

 民主党の鈴木寛参院議員も医療界が意識改革をしてロビー活動を行っていかなければ、自民党内の"族議員"の二の舞を演じることになると指摘している。

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コメント

今後日医はどうなるんでしょうね。

投稿: 医師 求人 | 2009年9月12日 (土) 17時23分

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