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2009年9月14日 (月)

新型インフルエンザ、情報はどんどん集まってきますが

そろそろ涼しくなってきたこともあってか、新型インフルエンザが一気に加速してきているようです。
本日まずは景気の良い話から行ってみましょう。

集団発生2318件、前週の1.7倍―新型インフル(2009年9月9日CBニュース)

新型インフルエンザの集団感染が8月31日から9月6日までの間に、前週の1.7倍に当たる2318件発生したことが、厚生労働省のまとめで分かった。結核感染症課の中嶋建介・感染症情報管理室長は9日の記者会見で、「学校での学級閉鎖などが増えており、感染の主体になっている」と述べ、学校が再開した影響が大きいと指摘した。

中嶋室長によると、新型インフルの集団発生の件数は▽7月27日-8月2日が369件▽8月3-9日が575件▽8月10-16日が687件▽8月17-23日が897件▽8月24-30日が1402件―と、増加が続いている。

都道府県別にみると、8月31日-9月6日に発生件数が100件を超えたのは、東京(350件)、大阪(316件)、千葉(170件)、北海道と神奈川(111件)、福岡(102件)の6都道府県で、中嶋室長は「大都市圏で目立っている」と指摘した。(略)

感染症研究所のデータでもまだまだ大流行には程遠いながらこの時期に流行が鎌首をもたげ始めている気配が見え、実際あちらこちらでそれらしい症状の患者が発生しているわけですが、特に健康で基礎疾患がなく軽症な患者の場合はどこまで診断をし治療をすべきか悩ましいところですよね。
ガイドライン通りであればこうした人たちは基本的に放っておいてもいいのではないかという扱いで、むしろ他の患者にうつることを考えれば病院に来ないで家で大人しくしているべきとも言われるのですが、世の中そういう風に割り切ってくれる人ばかりではないわけで、しかも例の急変のリスクもあるとなれば、当然こういう予想された通りの事態になってきます。

「心配患者」急増でインフル検査キットが足りない(2009年9月13日朝日新聞)

 新型の豚インフルエンザの流行のピークを前に、医療機関を受診する患者が増え、インフルに感染したかどうかをみる簡易検査キットが不足し始めている。早めの検査を希望する「心配患者」が多いことも一因だ。キットを有効利用しようと、検査結果が出にくい段階では使わず、「節約」に努める医療機関も目立ち始めた。
(略)
 医薬品卸会社「東邦薬品」(東京)によると、キットは8月中旬から品薄状態となっている。8月の販売実績(金額)は前年同月比で約120倍と大幅に増加。また、キットを生産している検査薬メーカー、ミズホメディー(佐賀県)の場合、フル稼働で3倍近い増産を続けているが注文に追いつかないという。

 厚生労働省によれば、キットを製造・輸入する国内メーカーは15社。同省が8月、来年3月までの生産見通しを業界から聞き取ったところ、昨年同時期の2.2倍の2800万回分だった。発症者は約2500万人にのぼると推計されているが、「心配患者」を含めるとその2~3倍が受診するとの予測もあり、キット不足が懸念される

 もっとも、タミフルなどの治療薬の処方にキットの検査は必須ではない。だが、平熱でも検査を受けないと心配だったり、勤務先に出社するため「陰性」の証明が必要だとして検査を求めたりする人が目立つようになった。

 こうした事態を受け、キットの利用方法を工夫し始めた医療機関もある。発症初期はキットで検査しても「陽性」と出にくい。そのため、受診初日は帰宅させ、翌日も高熱やせきが続くなら再度訪れるよう指示。明らかに感染の疑いが強い濃厚接触者には検査をせずにタミフルを処方するなどしている。

 キットは感染の有無を正確に見分ける能力はさほど高くなく、検査結果をあてにしすぎると必要な治療が遅れる可能性もある。厚労省新型インフルエンザ対策推進本部は「キットはあくまで補助的なもの。ただ、診断には役立つので供給態勢を維持していきたい」としている。(稲垣大志郎、浅見和生)

それはまあ、調べれば患者はいくらでも出るだろうし、診断がつけば保険診療上は治療薬の適応ではあるのですが、近い将来の大流行が確実視されるこの時期にそういう考え方だけでいいのかという話です。
もちろん必要はないけど心配だからが通用する間はいいのですが、診断キットがない、薬がないとなると問答無用で治療が必要という患者が来てしまっても対応できなくなる場合が出てくるわけですよね。
しかも更に悪いことにこちらでも予想通りの話が出てきているということですから、患者の我が儘がいずれは患者自身に跳ね返ってくるということをきちんと社会的にも教育していかなければならないわけです。

タミフル耐性「新型」、米で人から人へ感染か(2009年9月11日読売新聞)

【ワシントン=山田哲朗】インフルエンザ治療薬「タミフル」に対する耐性を獲得した新型インフルエンザのウイルスが、米国で、人から人へ感染した可能性が高いことが分かった。

 米疾病対策センター(CDC)が10日、週報で発表した。

 タミフルを製造しているスイスの製薬大手ロシュによると、耐性ウイルスは日米などで7日までに13件が報告されているが、いずれのケースも1人の患者から検出されただけで、周囲への感染は確認されていなかった。

 CDCは、健康な成人にタミフルを事前に飲ませる「予防的投与」など、耐性ウイルスの出現をまねく過剰使用を控えるよう呼びかけた。

 CDCの報告によると、米ノースカロライナ州でキャンプに参加していた10代の少女が7月8日、インフルエンザの症状を訴えた。同じ小屋に泊まっていた別の少女も11日に発熱、2人からタミフルに耐性を持つ新型ウイルスが検出された。

 キャンプ場では、6月から新型インフルが流行、発症していない子供や職員計600人以上が、感染予防のため10日間、タミフルやリレンザを服用した。

 2人は、タミフル服用中にもかかわらず発症したため、医師が耐性ウイルスを疑い検査した。キャンプ場では、ほかにも6人がタミフル服用中に発症。最初の少女からもう1人へ感染したか、別の患者から2人に感染したものとみられる。

日本のように世界一のタミフル大国などと言われるような無茶な使い方をしていればいずれこれ以上に耐性株がまん延してきて当然なのですが、未だにインフルエンザ=タミフルと条件反射的に出す医者、無条件に要求する患者が結構いるのが現状です。
少し以前には抗生物質乱用で同様に薬剤耐性菌が社会問題となったことがありましたが、その後そちらではいくらか使用を見直す動きが出てきたように感じていたところでしたのに、また同じようなことを繰り返しているというのはどういうものなんでしょうか。
多忙な臨床に当たられている先生には「10分かけて説明し説得するくらいなら、一分で処方した方が早い」という意識も働いていると思いますが、このあたりはちょっとした診療上の工夫を行っていくことでかなりの部分が改善できるだろうし、するべきではないかという気がします。
そして無論、患者の方でもこれだけ大騒ぎになっているのですからきちんと知識を仕入れておくのが常識であって、妙なオレ流診療の強要などということがあってはならないのは言うまでもないですよね。

一方で以前に死亡患者の症例をまとめた折にも疑問に感じられたことですが、新型インフルエンザ死亡例の経過を見ていくとどうも二通りの明確なパターンがあるのではないかという疑問が湧いてくるところです。
一つは従来北米などの知見からも言われていた「最初は軽症だと思っていたのに、途中から急に悪化」というパターンで、全経過は発症後7日程度と比較的死亡までの期間が長いのが特徴です。
一方で発症後1~2日くらいで(時には突然死という形で)あっけなく死亡してしまう症例もかなりあるようで、どうもこれらの差は単純に患者の基礎疾患がどうとか言うだけではない、ウイルス側の要因にもよるものなのかなという印象も抱いていたところです。

世間的にも一部で明らかに経過の異なる症例があるという認識は広まってきているようで、例えば小児科領域でもこんな記事が出ていますが、はたしてこれは強毒型のウイルスを示唆するものなのかだとか、あるいは軽症急転型なども感染中に弱毒型から強毒型へ体内でウイルスの交代現象が起きていたりするのではないかだとか、様々な疑問が湧いてきますね。

【新型インフル】短時間で子供が呼吸困難に 特異な症例相次ぐ(2009年9月12日産経新聞)

 新型インフルエンザに感染した子供の呼吸状態が短時間で急激に悪化する症例が相次いでいる。持病のない健康な子供でも、高熱が出てから数時間後に呼吸困難に陥った例もあり、小学生の患者に多くみられる。季節性インフルにはみられない新型特有の症状として、医療機関が警戒を強めている。(今泉有美子)

元気だったのに…

 「朝になっても、熱が下がらないんですが…」

 8月上旬の朝。小学4年の男児が、母親に連れられて東京都文京区の診療所「森こどもクリニック」を受診した。

 男児は前日夕方、39.7度の発熱で同クリニックを受診。子供が高熱を出すことはよくある。森蘭子院長は解熱剤を処方し、男児は一度、帰宅したが、高熱が治まらないという。

 男児は待合室で比較的元気だったが、新型感染が疑われたため、別室で診察を待っていた約30分の間に容体が急変した。森院長が別室に入ると、男児の顔は真っ青で、話ができない状態。重度の呼吸困難を起こしていた。隣にいた母親は男児の弟と絵本を読んでおり、変化に気付かなかった。

 男児の急変に驚いた母親は「朝は元気だったのに…」と声を詰まらせた。森院長は「30分であそこまで容体が変わった例を季節性インフルで見たことがない」と説明する。

 男児は総合病院に搬送され、回復した。森院長は「もし、容体急変に気付くのが遅れていたら、最悪の事態を招いていた可能性もあった」と振り返る。

 新型インフルが拡大を続けた今月上旬、森院長は都内で開かれた小児科医の勉強会で男児の症例を報告した。すると、同席した小児科医のうち3人が同じような症例を経験していたことが分かったという。

小学生に集中?

 東京都府中市の都立府中病院でも同様の症例が出ている。

 同病院では7月下旬以降、新型と診断された子供のうち、呼吸状態が24時間以内に悪化して入院した子供が8人に上った。季節性では乳幼児が重症化するケースが多いが、患者の年齢は3~13歳で半分以上が小学生だった。

 同病院小児科の寺川敏郎医長は、「長く医師をやっているが初めての経験。重症化する子供が小学生に集中している理由も分からない」と話す。

 入院した子供のうち4人にぜんそくの持病があったものの、ほかの子供にはなかった。
(略)

小学生にばかり集中しているとか、喘息持ちの子供が多かったといった話にご注目ください。
通常小児のインフルエンザ症例では5歳未満の乳幼児の死亡が多いのですが、今回の新型の場合何故か5歳以上の喘息持ちの小児に死亡例が集中していることは、既にCDCのレポートにも出ている通りです。
ここでも前述の成人死亡例でのケースと同様に、やはり発症早期の急変ということが起こっていることには注意すべきで、このあたりは新型の中でも病原性を異にする株が出てきているのではないかと気になるところですね。

ところで先頃は産科学会から「妊婦はさっさと積極治療しなさい」というガイドラインが出たわけですが、こうした事態も受けてか小児科学会の方からもガイドラインが出てきました。
タミフル副作用問題を考えれば「使えと言うならガイドラインで推奨しろ」とは以前から当ぐり研でも主張してきたところですが、しかしこれは色々と異論を呼びそうな話という気がしないでもない内容です。

1~5歳、軽症でもタミフル…小児科学会(2009年9月13日読売新聞)

 日本小児科学会は13日、子供の新型インフルエンザ患者について、タミフルなど治療薬の投与方針を公表した。

 外来では脳症などの危険性が高い1~5歳は軽症でも処方し、6歳以上については重いぜんそくなど持病を抱える場合には、症状にかかわらず投与対象とすることなどが柱。
(略)
 入院患者は年齢に関係なく原則的に投与し、安全性が確立されていない1歳未満でも、医師が必要と判断した場合は投与する。

10代などでは例のタミフルと異常行動との関連でなかなか処方も難しいところがあり、今後インフォームドコンセントなどで現場は難しい対応を迫られそうではありますが、それらを抜きにしても前述のように今回の新型では6歳以上の方がより危険性が高いのではないかという疑いもあるわけですよね。
そうした状況で相対的に危険度の下がっている5歳以下は全例投与、6歳以上は選択投与ということになると、何かしらちぐはぐな印象も受けるところではあるのですが、果たして現場の小児科医の先生方としてはどうお考えなんでしょうかね?

一方で妊婦症例に関しては基本的に「かかりつけの産科医”以外”で」対応するという話になっているとのことなんですが、少し考えただけでもこれも現場で一騒動ありそうだなという話ではないかと思います。
妊婦救急搬送問題があれだけ揉めていたのも、診たことも聞いたこともないような妊婦にいきなりやってこられても責任を持てないという現場の感覚があると思うのですが、ごく単純に考えただけでもこうした妊婦患者に治療をしたとして、もし母子に何かあった場合にその責任だけ取らされるの?と二の足を踏む医者が多そうではないですか。

感染のリスクは別としても、金銭的にも新型の診療は持ち出しだという状況で、こういうリスクまで負わされるならちょっと遠慮しておこうかというのが正直な人間の気持ちだと思うのですが、どうも行政側の方ではそうした危機感は薄いのか動き出しが鈍いようなのですね。

新型インフル「妊婦診療できぬ」医療機関の4割(2009年9月12日読売新聞)

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の診療体制について、感染症治療の中核となる全国の主な医療機関に対し読売新聞がアンケートしたところ、妊婦など周産期(妊娠22週以降)の患者を「診療できない」とする施設が4割近くに上った

 妊婦の治療は国の指針で、他の妊婦への感染を防ぐため、かかりつけの産科以外で受けることを原則としており、妊婦の患者を受け入れる治療体制の整備が急がれそうだ。

 アンケートは、国や都道府県が指定する感染症指定医療機関と日本感染症学会認定研修施設の計668施設に対し8月に行い、352施設(回答率53%)から回答を得た。

 新型インフルエンザの多くは軽症で治るが、妊婦や腎臓病、糖尿病など持病を持つ人は重症化しやすく、国は患者の1・5%で入院が必要と試算している。アンケートで、受け入れ可能な最大病床数を尋ねたところ、1施設平均19・2床で、施設により0~300床まで差があった。0床の施設は8か所あり、人員に余裕がないなどが理由だった。

 周産期の患者の診療を「できない」と答えた施設は132施設(38%)に上った。小児の診療が「できない」も66施設(19%)あった。腎臓病患者に対する人工透析も対応できない施設が91か所(26%)に上った。

 周産期の患者を診療できない理由を尋ねたところ、「産科はなく対応は難しい」などのほか、「産科はあるが医師不足」との声もあった。
(略)

新型インフル:妊婦など専門医療機関への協力要請半数以下(2009年9月11日毎日新聞)

 新型インフルエンザで重症化しやすい透析患者や妊婦、小児らについて、専門治療ができる医療機関に協力を依頼している都道府県は半数に満たないことが、厚生労働省の調査で分かった。こうした医療機関に設備購入補助などの支援をしている都道府県は約3分の1にとどまり、厚労省は国の補助制度の活用を呼び掛けている。

 厚労省は先月、都道府県に対し、専門医療機関の状況把握と協力依頼を要請。4日までに対応状況の報告を求めていた。

 透析患者や妊婦、小児らに新型インフルエンザ感染者が出た場合、専門治療が可能な医療機関を把握し、協力を要請しているかを聞いたところ、「既にしている」とした自治体は20~21道県にとどまった。人工呼吸器の購入や施設改修への補助、患者向けリーフレットの配布などの支援策を取っていたのは15~17道府県。27都県は何の支援策もしていなかった

 人工呼吸器などの整備や、待合室の院内感染防止用の間仕切り設置などは、9月から一般の病院や診療所でも国の補助制度の対象になった。厚労省の担当者は「対策が済んでいる都道府県は少ないが、今後、医療体制の確保が進むと考えている」と話している。【清水健二】

このうち費用面の公的支援に対しては以前から病院関係者の支援の要請に色よい返事が返ってきていませんでしたが、このところ政権交代の影響が及んできたと言うことなのか、少しばかり風向きが変わってきているようです。
しかし厚労省の「各自治体は補助金制度を利用し、医療機関への積極的な支援を展開してほしい」は良かったですが、このあたりの行政との絡みにつきましてはまた話が長くなる話題も多いところですので、後日にまわさせていただきましょう。

全医療機関に補助金 新型インフルで厚労省(2009年9月11日47ニュース)

 新型インフルエンザの本格的流行を受け、厚生労働省は11日、これまで全国約600の感染症指定医療機関に限定していた施設整備の補助金支給対象を前倒しして拡大、感染者を受け入れるすべての医療機関とすることを決めた。今月中にも各都道府県に通達する。

 インフル患者の診察を全医療機関に拡大する国内対応指針の改定に伴い、来年度からの支給対象拡大を決めていた。

 厚労省は同日、小児や妊婦ら「ハイリスク患者」受け入れに関する調査結果を発表。医療機関を支援している都道府県は約3割にとどまっており、「各自治体は補助金制度を利用し、医療機関への積極的な支援を展開してほしい」としている。

 厚労省によると、適用する補助金は「保健衛生施設等施設・設備整備費」。人工呼吸器や簡易陰圧装置などの設備を整備する全医療機関に対し、費用の半分を支給する。本年度計上している計約24億円のうち、既に約17億円の支出が決定しており、残額を充てる方針。(略)

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