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2009年9月15日 (火)

医療業界もワープア化が進行している?

先日のことですが、何かしら一部方面のイメージ戦略がひどく奏功しているのかなとも思わされるようなカキコがありました。

157 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/07(月) 12:05:29 ID:1huhSPwm0
http://77c.org/d.php?f=nk10054.jpg
2009年9月7日付中日新聞 発言
医師の開業に制限を設けよ
名古屋市守山区 無職(65)
“神の手”を持つ立派な医師がいる一方で、生活保護を受けている人を集めて高額な医療費の不正請求を
するなど、医師の社会的信用を落とすニュースが目につく。また、緊急時の医師不足が叫ばれて久しいにも
かかわらず有効な対策が出ていない。
医師不足と呼ばれている割には、整形外科、皮膚科、内科、眼科などの個人医院が乱立している現状がある
一方で、夜間も休日も時を選ばない産科の開業医が実に少ない。
つまり、医師の不足ではなく、必要なところに医師がいないということである。
この現状に対して、なぜ政治家などは手を打たないのか不思議でならない。ドイツでは開業に制限があり、
どうしても開業したい場合には無医村地区で開業させ、問題を解決している。
多くの議員が海外視察をしていながら、なぜドイツのシステムをまねて法整備をしないのだろうか。
現実の問題になんら手を打たない政治家などは社会的責任を放棄しているとしか思えない。

実際のところイメージというものは形作られるもので必ずしも実態を反映しないのも確かなんですが、世間で流れるのは馬鹿高い医療費をもっと増やせと医者が要求しているといった話ばかりで、このご時世にずいぶんと景気が良いんだなと言う認識を持っていらっしゃる方々も多いのかも知れません。
先頃には国民医療費が過去最高を更新!なんてニュースがありまして、実際厚労省の資料を見ても年々医療費が増える一方なのも事実なのでしょうが、その割に医療業界が儲かって左うちわだという話もあまり聞こえてこないと思いませんか。
実際不思議なことに医療機関の方でも医療費が年々増えているという割に、このところ史上空前の不景気にさらされていたりするわけで、しかも不景気に強いと言われていた医療業界の場合、世間のような景気変動によるそれとは少し事情が違う構造的要因によるものなのですね。

病院・開業医の倒産、7月までに昨年を上回る(2009年8月12日CBニュース)

 帝国データバンクが集計した「全国企業倒産集計」(7月報)によると、今年1-7月に発生した病院・開業医の倒産は38件で、昨年1年間の35件を7月の段階で上回った。今年1-7月の負債総額は204億9300万円で、これも昨年の累計182億2400万円を超えた。

 7月の倒産は5件、負債総額は7億6300万円だった。

 病院・開業医の倒産は3-4月に16件が発生するなど、昨年に比べ高水準で推移している。

医療系団体も繰り返し繰り返し診療報酬を上げろと叫んでいますが、他業界もこの不景気な世の中に「医者がまた給料値上げを要求!」などと新聞テレビで連呼されたのでは「また医者がぼったくりやがって!」と世論とそれを主導するマスコミのお叱りを受けそうですよね(実際にお叱りを受けていますけれども)。
実際には診療報酬=医者の給料ではないとはあちこちで繰り返し説明されているにも関わらず、メディア上では相変わらず「医者などの人件費にあてられる診療報酬」云々という表現が続いているあたりが諸悪の根源なのではないかとも思うわけですが、さすがにここまで来ると確信犯というやつなんでしょうね。
素朴な疑問として医療へ流れ込む金がこれだけ増えているのに現場は儲かるどころかますます貧乏になっていく、じゃあいったい誰が儲けてるんだ?と思うところでしょうが、そのあたりは決して触れてはならない聖域と言うことなのかも知れません。
ただ一つマスコミが大好きな国際比較(笑)をしてみて明らかなのは、高い高いと大騒ぎの日本の医療費というものはその質に比べて非常に安上がりに出来ているし、日本の医者の人件費というものは低値安定が続いていて、勤務医の平均年収など四半世紀も横ばいだったという事実があるということでしょうか。

それでもさすがに最近では、多少の出費を覚悟しても待遇を改善し多くのスタッフを集めなければ結局収入増にはつながらないと認識する医療機関も増えてきているのは、良い傾向だと思います。
おかげで昨今では各地の公立病院でもようやく医師の待遇改善ということを言うようになりましたが、内容を見てみますと時期を外していたり、いささか的外れなのではないかと思われるものも結構あるようですね。
例えば少し前には医師相手に手当新設などで給与総額増という手法が流行りましたが、あれも退職金アップにつながる医者の基本給だけは意地でも上げたくないという固い決意の表れか、などと揶揄されていたものでした。

そんな中で新臨床研修制度導入以来研修医が増加し勝ち組地域とも目されている沖縄県からは、こんなニュースが飛び込んできています。

研修医の正職員化検討 県立病院、36協定年度内締結も /沖縄(2009年9月11日琉球新報)

 県立病院の運営や経営効率化について提言などを行う県立病院経営効率化アドバイザリー会議が10日、南部合同庁舎であった。小川和美病院事業統括監は現在、嘱託や臨時任用(臨任)となっている5年目以降の研修医を本年度中に正職員にする方向で検討していることを明らかにした。また、労働基準法に基づき時間外労働の限度などを決める労使協定「36協定」の本年度中の締結に向け作業を進めていることも報告した。
 7月23日現在、県立6病院全体で5年目以降の研修医は32人で、うち9人が臨任、23人が嘱託。これらの研修医を院長の推薦があれば、正職員化していく方向。
 県立病院では専門研修中の研修医も現場での診療に当たり「労働力」となっているが、その処遇の悪さが問題となっていた
 嘱託医の報酬は日額2万1000円で勤務日数は20日以内のため、基本給は月42万円。病院事業アドバイザーの伊関友伸氏は「3~5年目の研修医は一線で働けるので、他病院なら正規で雇い年収1000万円を超える。月42万円は低すぎる」と指摘した。
 臨任の場合、給与水準は正職員と変わらないが、1年ごとの契約のため次年度の身分保障がない

しかし36協定もなしで働かせる法令無視の姿勢もさることながら、勤務日数が20日以内って、例によって例の如く実態は全く異なるんでしょうね(苦笑)。

これも一昔前なら研修医を正規職員待遇にと言えば喜ぶ研修医もいたかもというニュースですが、今どき公立病院にとどまること自体が地雷ですし、そもそも5年目以降というのは通常の場合すでに研修医とは呼ばれない連中で、今さら常勤扱いで恩を売る?何それという感じでしょう。
要するに今まで日雇い非常勤の捨て値同然かつ法律無視で使い潰してきた若手奴隷たちを、ようやく制度上は人間扱いしてやってもいいぞというだけの話であって、いちいち破格の待遇改善のように言われる筋合いでもない話です。
そして何より当然のように天下の公立病院がただ給料を上げるというだけで終わるはずもありませんが、同じ沖縄の実例からそのあたりの実態を見てみるのも面白いかなと思いますね。

北部病院、産科医また退職 2人体制で影響必至 /沖縄(2009年9月13日琉球新報)

 【北部】医師不足で2005年から一時休止し、08年11月から診療を再開した県立北部病院(大城清院長)の産婦人科医師が退職届を病院に提出していることが12日、分かった。同病院はことし4月から1人減の3人体制となっているが、医師退職後は2人体制となり、診療体制に影響が出る可能性がある。
 病院側は医師の退職届を受理しており、今月か来月にも退職する予定。病院はホームページで常勤医師を募集し、県病院事業局と協力して新しい医師確保に向けた調整を進めているが、難航している。
 北部病院は05年4月に医師不足を理由に休止。08年11月には4人体制の診療を開始し、ことし1月に24時間の救急診療が再開した。その後1人が退職して3人体制となっている。

逃げた逃げた!また逃げた!な話ですが、せっかく医者を集めたと言うのにたった4人で24時間救急診療復活って、単純に考えても労基法無視の労働環境を当たり前に強いていたのが逃散の大きな原因なんじゃないですか?
医者も逃げ出す病院といえば今どき地雷認定されて敬遠されるのは確実でしょうし、難航どころかこのまま全員逃散という可能性も高いんじゃないかと思いますね。
しかし某所界隈の噂話などから実態を聞いてみると、ここも帳尻合わせで医者をかき集めたは良いが内部ではずいぶんと素晴らしい状況になっているようですから、やはり地雷病院ともなると医療レベル的にもいささか…と言う懸念を持たざるを得ないところですかね。

584 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/13(日) 15:13:09 ID:rJ92U7vTP
>>575
ここ、3名の産科医師どうし、みんな出身が違うらしいよ。
それぞれ治療方針も違うし、チームワークとしては最悪の状態らしい。
北部を避けて、うちに流れてくる妊婦から聞いた話だけど、病棟でも
看護師どうしにも派閥があって、常時対立状態らしい。

実は北部の妊婦って、もともと北部病院志向はゼロ、みんな開業医か
中南部の体制のしっかりした病院を選択してるから、閉鎖してしまう方が
一番の正解かもww

まあこんな感じで、内部からもモラール(志気)が失われつつある組織というのは死亡フラグ立ったなという感じなのですが、面白いことに明らかに無理がある体勢をわざわざ組み上げて更なる逃散を目指そうと努力していらっしゃる施設もあるようなのですね。
大阪府泉大津と言えばこの6月にも市立病院から院長以下大量逃散が発生したとして話題になった土地柄ですが、その泉大津市立病院の敷地内に今度はこんな立派な施設が出来上がったんだそうです。

周産期母子医療センター完成~大阪・泉大津市(2009年09月13日MBSニュース)

 大阪府泉大津市にリスクの高い妊婦や新生児に対応できる「地域周産期母子医療センター」が完成しました。
 泉大津市立病院の敷地内に完成した周産期母子医療センターは1階に小児科、2階に産科、3階には未熟児や疾患のある新生児を受け入れるNICU=新生児集中治療管理室が設けられています。
 産婦人科救急を充実させ、ハイリスクの分娩に対応するということです。
 13日の竣工式典には大阪府の橋下知事も駆けつけました。
「大学の医学部も、医者をここにもあそこにもと派遣できない。大きな医療体制を考えれば機能集約しないと、いまの公立病院はもたない」(大阪府・橋下徹知事)
 泉大津市立病院では医師不足の影響で2004年に産婦人科を一旦休止したことがあり、これをきっかけに市は安心して子どもを産める環境を整えようとセンターの整備を進めてきました。
 周産期母子医療センターは今月28日にオープンします。

この周産期星医療センター、地域の周産期医療の中でもハイリスク症例を担当する施設として期待されつつオープンにこぎ着けたそうですが、同市の計画案によればその概要はこのように素晴らしい施設に見合った重厚な布陣となる予定だったと言うことです。

産婦人科は、現行の医師5 名体制に常勤医師3 名と後期研修医2名を加えた10名体制とし、基本的には2名で当直オンコール体制を構築し、産科救急を充実させる。

何しろもともとが医師不足を理由に休止していた産科診療を、以前よりはるかに高度かつ大規模なものとしてしまうわけですから、これはさぞや素晴らしいスタッフが大勢集まったのだろうと誰でも思いますよね。
さて、実際のところどうなのかということは同病院のHPからも確認できることですが、端的に言えばこんな感じなんだそうです。

594 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/14(月) 10:41:33 ID:Lbtkulpa0
泉大津市立病院の産科医は常勤4人非常勤3人で、他に助産師外来wとかもやってる

いや無理!それで二人当直維持なんて絶対無理ですから!て言うかあからさまな労基法違反前提じゃないですか!(笑)
こういうことをするからこの病院は一斉逃散なんて事態に至るのだとも思われるところですけれども、どうもハコモノには熱心でもそのあたりにはところん無頓着ということなんでしょうかね?
公立病院もそろそろマンパワーこそ最大の医療資源であるという当たり前のことに気付いて改革を図っていかないと、今いる世代が抜けた後は本当に誰もやってきませんでした、なんてことになりかねないと思うのですけれども、その頃には医師強制配置法なんてものを成立させてるから無問題という腹づもりなのでしょうか(苦笑)。

折しもアメリカなどでは例の公的医療保険制度問題でオバマ政権がのっけから大ピンチという状況になってきているようですが、そのアメリカでは日本の医療制度に対してこんな評価を下しています。

日本の医療保険制度紹介=低コスト評価、持続性は疑問-米紙(2009年9月8日時事ドットコム)

 【ワシントン時事】7日付の米紙ワシントン・ポストは、オバマ大統領が目指す医療保険改革の是非をめぐって世論が過熱していることを踏まえ、日本の医療保険制度を特集し、米国と対比した。受診できる機会が国民に平等に確保され、米国より低コストで運営されていると日本の利点を挙げる一方、高齢化社会を迎え、日本が現行制度を持続できるか疑問視している。
 同紙は1面などに東京発の記事を掲載。日本の医療費は、診療報酬改定などにより抑制されていると指摘した。また、管理型医療が進む米国では、受診できる医療機関が指定されるケースが多いが、日本では患者が自由に医師を選べ、日本人が1年間に医師に掛かる頻度は米国人の4倍以上、入院期間も米国の4倍としている。
 一方、気軽に受診できる日本の医療制度の弊害として、長時間の診察待ち時間と短い診察時間、産婦人科勤務医らの過酷な長時間労働や救急医療の専門家不足などを挙げた。

一部の方達は医療費は天井知らずに増加している!何とかこれを削減しなければ!と大騒ぎし、また一部の人たちは身近な病院がなくなってしまう!救急車を呼んでも病院に運んでくれない!と悲鳴をあげているという状況で、聞いていると日本の医療制度というものはどんなにひどいものかと思えてきますよね。
しかし外から眺めてみれば非常に安上がりで誰でも好きに病院にかかれるということが日本の医療の長所であると評価されている一方、こんな無茶な制度でいったいいつまで保つんだろうと心配されてもいるわけです。

さて、こういう場合にあなたならどういう解決方法を模索していくのが正しいと考えるでしょうか。
どうせボロ儲けしているんだから医者などもっとこき使え!という主張ももちろんあっていいと思うわけですが、その結果どういう未来絵図が待ち受けているかという想像力もまた必要となってきた時代ではあるのでしょう。
折しも政権交代で世間では医療の諸問題に関しても快刀乱麻の切れ味を期待しているのではないかと思いますが、全国各地で人生の決断をするわずかなきっかけを待ち望んでいる医者も多い今日この頃、さてどのような素晴らしい政策が飛び出してくるのかとワクワクしながら待ち受けているのは国民だけではないんだろうと思いますね。

新政権の政策の行方次第では、また当「ぐり研」のネタを沢山提供していただけるということになりそうで、不肖管理人としても大いに期待しているところですけれども(笑)。

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コメント

日本を動かしている連中はアホですから。(笑)

コンピュータ化、ロボット化出来る分野とそうでない分野は分けて考えなければいけないのに、何でもかんでも合理化しようとしている。真性のアホです。

あと、クリニック等が過剰なのも気になります。街中を観察してると、コンビニ跡地に歯科クリニックが開業するケースが目立ちます。コンビニも過剰状態ですが、歯科医も過剰になりつつあるのではないでしょうか?

投稿: ponpon | 2009年9月15日 (火) 11時21分

コンビニは、全国で4万件。歯科医院は、全国で7万件。すでに十分過剰です。
私立歯科大の6年分の学費はすでに回収不能になっています。
30歳歯科医師よりも、30歳夜勤アリの常勤看護師のほうが年収が100万以上です。

投稿: 子持ししゃも | 2009年9月15日 (火) 12時49分

歯科医の場合最終的に開業がほとんどですし、一足早く増えてきていますから過当競争になりやすいですね。
口腔外科あたりをとっかかりに少しずつ歯科医に医業を分担させようという動きも出てきそうに感じていますけれども、実際そういうことをやりたい歯科の人がどれくらいいるものなのか…

投稿: 管理人nobu | 2009年9月16日 (水) 09時33分

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