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2009年9月 3日 (木)

新型インフルエンザ 増え続ける死亡例(追記あり)

新型インフルエンザで国内8人目の死亡患者が出たところですが、この患者のことが医療関係者の間で話題になっています。
と言いますのもこの患者、もともと役所に勤める保健師で、新型インフルエンザ患者の聞き取り調査を行っていた方だと言うのですから、言ってみれば医療関係者初の死亡例ということになるわけですよね。

新型インフルエンザ:40代女性保健師が死亡 医療従事者初、集団感染の調査担当/北海道(2009年9月1日毎日新聞)

 北海道は31日、新型インフルエンザに感染した稚内保健所利尻支所(利尻町)に勤める40代の女性保健師が死亡したと発表した。女性は新型インフルエンザ患者の聞き取り調査などに従事していたが、感染経路などは不明。感染者の死者は国内8人目。医療従事者の死者は初めて。道によると、女性には高血圧症の基礎疾患があったが、高血圧症は厚生労働省が注意を呼び掛けている「重症化しやすい疾病」には含まれていない。新型インフルエンザと死亡との因果関係も不明という。

 女性は29日に稚内市内の医療機関でインフルエンザA型と診断された。女性は同日、稚内のホテルに宿泊したが、30日午後2時ごろ、意識不明の状態で倒れているのをホテル従業員が発見。その後、医師が死亡を確認した。死因は急性心不全だった。道は31日の検査で女性の新型インフルエンザ感染を確認した。

 女性は21日、利尻町の隣の利尻富士町の公立中学校で新型インフルエンザの集団感染が確認された際、マスクなどを着用したうえで患者から聞き取り調査をしていた。患者との接触時はマニュアル通りに防護措置が取られ、道は「問題はなかった」とみている。【鈴木勝一、仲田力行】

いやこの期に及んで感染経路不明って(苦笑)。
もちろん医療従事者の中からも続々と感染者が出ているわけですからこうした事例も時間の問題であったわけですが、当然ながら罹患の危険性が高いと予想されるだけに慎重の上にも慎重を期した感染予防対策を徹底しなければならないですよね。
ところで、国内での8死亡例に関して厚労省の発表をもとに、自分なりに少しまとめてみました。

                                                                                                                                               
発症後日数年齢・性別基礎疾患地域感染源死因抗ウイルス薬特記事項
7日50代・男慢性腎不全(透析)、陳旧性心筋梗塞沖縄不明心不全?4日目5日目に状態急変
3日70代・男糖尿病性腎症(透析)、肺気腫兵庫不明肺気腫増悪2日目3日目に状態急変
7日80代・女多発性骨髄腫・心不全愛知不明重症肺炎不明(2日目?)施設入所中
2日70代・女なし(虚弱体質)愛知院内感染?誤嚥性肺炎不明(2日目?)長期入院中
8日30代・男慢性腎不全、糖尿病、喘息長野不明インフルエンザ肺炎7日目7日目に状態急変
3日60代・女消化器癌術後、肺転移あり鹿児島不明成人呼吸窮迫症候群2日目2日目に状態急変
3日30代・女てんかん兵庫施設内感染?不明2日目3日目に状態急変、社会福祉施設通所中
2日+α40代・女なし(高血圧)北海道患者から?急性心不全1日+α2日目+αに状態急変、患者聞き取り作業歴あり

抗ウイルス薬について不明とあるのは使用の有無に関して情報がない場合ですが、インフルエンザの診断確定日以降と推定しその日数を記載してみました。
面白いのは発症後あっという間に悪化してなくなってしまうというパターンと、最初は軽症のように見えて途中から重症化してくるパターンと二通りがあるようにも見えることです。
もう一つ面白いのはいずれも抗ウイルス薬の投与を開始した頃と前後して状態が急変しているようにも見えることで、案の定と言いますか既に一部の方々は「タミフルは使用すべきでない!」と熱心に主張をされているようですよね。
一応経過をみてみますと重症化と前後してインフルエンザの診断がついた、あるいは重症化してきたため見込みで投与したと思われる症例が多いように思えるのですが、今後こうした懸念の声が広がってくる前に国もある程度のデータを収集しておく必要はあるかもですね。

【追記】前述の北海道の症例ですが、結局患者さんは処方された抗ウイルス薬を服用していなかったということが確認されました。

新型インフル死の40代、タミフル服用せず(2009年9月4日読売新聞)

 新型インフルエンザに感染し、8月30日に死亡が確認された北海道・利尻島の40歳代の女性保健師が、医療機関から処方されていた抗ウイルス薬タミフルを服用していなかったことが、道の追跡調査でわかった。

 タミフルを使用しなかったため症状が悪化し、急性心不全を引き起こした可能性もあり、道は国立感染症研究所(東京)などに依頼して、採取したウイルスの病原性や変異の有無などについて詳しく調べる方針。

 道によると、保健師は先月29日午後4時頃に滞在先の稚内市内の医療機関でインフルエンザA型の感染が確認されたため、タミフルを処方された。その後、市内のホテルに宿泊したが、翌日昼過ぎに室内で死亡しているのがみつかった。部屋からは未使用のタミフルが発見されたという。

 道健康安全室では「タミフルの服用は、新型インフルエンザの早期治療に有効で、医療従事者でもある保健師がなぜ使用しなかったのかわからない」としている。保健師は、職場の定期健康診断で高血圧症と診断されており、同室では引き続き死因との関連性について調べている。

ちなみに先頃国立感染症研究所から抗ウイルス薬投与のガイドラインが発表されていますので、同じく同HPより公開されている治療薬の使用指針とあわせて臨床の先生方はHPから一読されておかれるのもよろしいでしょう。
しかし「ほとんどは典型的なインフルエンザ様症状を呈し」という記述については、以前北米からのレポートにあった典型的な高熱などの症状を呈する患者はむしろ少数派という話と解離している印象を受けるところなのですが、これはその後の知見によって訂正されてきたということなのでしょうか?

「新型」治療、抗ウイルス薬のガイドラインを公表―感染研(2009年8月28日CBニュース)

 国立感染症研究所は8月26日、WHOがこのほど発行した新型インフルエンザ患者への抗ウイルス薬の使用方法に関するガイドラインをホームページ上で公表した。

 ガイドラインは、初期治療の判断について「臨床症状」と「地域のウイルスの流行状況」で決定すべきと指摘。ウイルスがまん延している地域でインフルエンザ様症状を呈している患者については、新型インフルエンザと推測すべきとして、「治療開始の判断は検査結果を待つべきではない」としている。

 ただ、新型インフルエンザ患者について、ほとんどは典型的なインフルエンザ様症状を呈し、治療薬を服用しなくても完治していると指摘した上で、もともと健康な患者で合併症を呈していない場合は、「抗ウイルス薬で治療する必要はない」としている。

 一方、受診時に既に重症であるか、状況が悪化し始めている場合は、妊婦や小児、乳幼児なども含むすべての患者に対し、できる限り早くタミフルによる治療を開始することを推奨。症状出現後48時間以内に治療を開始することと良好な治療成績には強い関連があるとの研究結果を示すとともに、こうした患者については、治療の開始時期が遅くなってもタミフルによる治療を行うべきとした。また、タミフルがなかったり、何らかの理由で使用できなかったりする場合は、リレンザを投与することも可能としている。
 また、「重症化」のリスクの高い基礎疾患を持つ人についても、タミフルとリレンザによる治療を勧めている。
 小児については、重症であるか症状が悪化している患者、重症化や合併症併発のリスクが高い5歳以下の患者に対しては、速やかな抗ウイルス薬の投与を推奨。一方、5歳以上の健康な児童については、病気が長引いたり、症状が悪化したりしている場合を除き、投与は「必要ない」としている。

 さらに、基礎疾患を持っていることが重症化の確実な条件ではなく、世界の重症例の約4割が罹患前は健康な子どもや50歳以下の成人だったことや、重症例の中には症状発症5-6日後に突然、症状が悪化するケースがあったことを紹介。臨床医や自宅での加療に携わっている人などに、重症化の兆候を注意して観察することを求めている。
 重症化の兆候については、「活動中あるいは安静時の頻呼吸」「呼吸困難」「蒼白」「血痰もしくは着色した痰」「胸部の痛み」「精神状態の変化」「3日以上続く高熱」「低血圧」を挙げた。また、小児の場合には「促迫呼吸」「注意力散漫」「起床困難」「遊ぶことへの興味の減退」も含まれるとしている。

 これらの兆候が見られた場合は、タミフルによる治療開始など緊急対応を取るべきとし、重症であるか、症状の悪化が進行した場合は、通常よりもタミフルの投与量を増やしたり、投与期間を延長したりすることを考慮すべきとしている。

基礎疾患については死亡症例だけでは症例数が少なく今ひとつ関連性が明確ではないのですが、厚労省によれば、重症化しやすい基礎疾患、および重症化することがある場合として次のようなものが挙げられています。

・慢性呼吸器疾患
・慢性心疾患
・糖尿病などの代謝性疾患
・腎機能障害
・ステロイド内服などによる免疫機能不全
・妊婦
・乳幼児
・高齢者

もちろんこれらの人々も相対的なものであって、普通に軽症で済んでいる人も幾らでもいるわけですが、一般論として考えてもすでに基礎疾患の状態が良くない場合には感染時の予後も悪かろうとは想像できるところですよね。
こうした点からもハイリスクな人々に対しては発症予防という意味でワクチン投与というものがすすめられているわけですが、先日もお伝えしましたように行政サイドでは未だこの辺りの話が固まりきっていないのが現状のようです。
とりあえず少数例ではあっても輸入ワクチンには治験を行うということに決まったようですが、このあたりも政権交代に伴って未だ流動的と考えておくべきなのでしょうか。

さて、先日も報道されました通り、厚労省の予測によれば案外流行のピークは早くに来るんだなと感じさせられるニュースがこちらです。

新型インフル、9月下旬にも発症のピーク(2009年8月29日朝日新聞)

 厚生労働省は28日、新型の豚インフルエンザの今後の患者数の推計を初めて公表した。国民の2割が発症すると想定し、その場合、約38万人が入院し、約3万8千人が重症になり、ピーク時には1日に約76万人が発症する見込み。現在は流行が拡大し始める初期段階にあるとみられる。入院ベッドの確保など、重症化しやすい子どもや持病のある人ら向けの医療態勢の確立が急務だ。

 厚労省は各都道府県が医療態勢を整える際の参考にしてもらうために推計した。海外の流行状況などを踏まえ、季節性インフルの2倍程度に当たる国民の2割(約2500万人)が発症するものとしたほか、新型インフルのこれまでの傾向などから入院率や重症化率を試算した。

 ピークの時期は具体的に示していないが、国立感染症研究所の推計にあてはめると、9月下旬から10月にかけてピークを迎えるとみられる。

 ピーク時には全国で約4万6千人が入院していると想定した。世代別では乳幼児(0~5歳)3500人、小児(6~15歳)1万1800人、成年(16~64歳)2万人、高齢者(65歳以上)1万1100人。大半の患者は軽症で回復する見込み。

 流行は9週目でピークになり、19週目にいったん終息するとしている。ピークや終息の時期、発症者数などは変動する恐れがある。ウイルスの病原性が変化したり、薬が効きにくくなる耐性が出たりすると、流行の規模が大きくなる可能性がある。国民の3割が発症した場合も推計しており、約95万人が入院し、19万人が重症化するとしている。

 また、都市部など人口密集地は患者数が多くなり、持病を持つ高齢者の多い地域では重症者が増えるなど、地域ごとに状況は異なってくるとみられる。厚労省の担当者は「感染症の流行には必ず終わりがくるが、正確な予測は難しい」としている。季節性インフルの流行が重なる可能性もあり、注意を呼びかけている。専門家は流行の第2、3波も警戒している。

 試算をもとに厚労省は、都道府県などに対し、各地域の人口や年齢構成を踏まえて、患者の受け入れ態勢を整えるよう求めた。多数の入院患者が出た場合に備え、現在使っていない結核病床などを活用することも盛り込んだ。夜間の外来診療態勢を整えるため、診療所の診療時間延長や輪番制の導入など、地域の中核病院と診療所の連携も求めた。(権敬淑、野瀬輝彦)

9月下旬から10月にかけてがピークと言えばちょうど国産ワクチンの出荷開始と重なる時期ですが、ワクチンの効果発現までの期間を考えると当然ながら間に合いそうにはないという話です。
ピーク時に4万6千人が入院と言われても今ひとつスケール感が涌きにくい話だと思いますが、患者調査によれば全国入院患者数が約150万人と言いますから、ざっと入院患者の30人にひとりくらいがインフルエンザで占められるという計算になってくるのでしょうか。
実際にはこうした患者を引き受けられない施設も多いでしょうから、呼吸器をやっている急性期病院を中心に一部施設にはもっと患者が集中するものと思いますが、毎週このペースで患者がやってくると考えると現場が対応できるかどうか相当に微妙なところですよね。

こうなりますと外来レベルでのトリアージを行わざるを得ないでしょうが、突然重症化するとも言われている新型だけに現場の担当者もなかなか悩ましいところではないかと思います。
ちなみにトリアージと言えばこういう話題も出ていましたので紹介しておきますが、これをそのまま受け取ると下手をすれば入院していくのはお年寄りばかりということにもなりかねない気もしますが(苦笑)。
今のところ参考にとどめておくのがよいということなのかも知れませんが、何にしろ突然重症化する症例というもののサインを早急に見いださないことには患者側の不安も募るでしょうから、予防的に全例入院なんて話になりかねないのは頭が痛いところです。

早期診断に有効、肺機能測定(2009年8月28日新潟日報)

 流行期に入った新型インフルエンザで、新潟大大学院医歯学総合研究科の鈴木宏教授らの研究チームは27日までに、患者の血中酸素飽和度(SpO2)を測定して重症化の恐れがある人を見分ける方法を、福島県での集団感染で導入した。一般的な医療器具「パルスオキシメーター」で1分以内に測定できる簡単な方法で、患者が医療機関に殺到する感染拡大時の早期診断・治療に有効だとしている。厚生労働省に28日、報告する。

 研究チームはウイルス増殖により肺機能が低下する新型インフルの特性に着目。同県で今月初旬、集団感染した27人に同器具を用い、肺機能の低下度合いを調べた。全員に発熱などの症状はあったものの、胸部聴診では異常が認められず、呼吸困難などの自覚症状もなかった。

 しかしSpO2の数値をみると、肺機能低下を示す「97%未満」が10人を占めた。うち2人は軽度の呼吸不全状態を示す「95%未満」で、重症化の可能性が認められた。27人には抗ウイルス剤などが処方された。

 同メーターは多くの医療機関で使われ、指や耳に装着することで皮膚を傷つけずに動脈中のSpO2を測定する。世界保健機関(WHO)は、新型インフル患者の重症度を判断する指標の一つとして、治療の優先順位を決めるトリアージなどに用いるよう推奨している。研究チームは初期症状の患者診断に応用した。

 鈴木教授は「子どもや妊婦、糖尿病、腎不全患者など重症化しやすい人の肺の状態を簡単にチェックでき、治療の遅れを防げる」と話している。

 報告内容は、週刊日本医事新報9月12日号で発表される。

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コメント

マスクだけがインフルエンザ対策じゃないんですね。
私は「超ミネラル水」を飲んで健康な体に戻りました。
これを教えて頂いた方には、とても感謝しています。

知人の「高血圧」も「糖尿病」も、正常な数値まで戻りました。
「薬」ではないので「治る・効く」ではないそうです。
人間の持っている「自然治癒力」が正常なレベルに戻るそうです。

商品名を書くと宣伝だと思われるので、
私が教えてもらったリンクだけをお伝えします。
商品名でネットで検索してみてください。

  http://bikou1.p-kit.com/

色々な体験談がありますのでご参考までに・・。
(これまでに、15万件以上の症状の改善例があるそうです。)

私にとっては、本当に良かったです。
これを読まれた方々が「健康」を取り戻されます様に・・。

投稿: ブルーチップ | 2009年9月 3日 (木) 13時13分

インフルエンザに限らずあらゆる疾患に効くと言われている話題のDHMOはお試しになりましたでしょうか。
全世界で劇的に症状が改善したという方々のほぼ全員がDHMO利用者だったと言われています。
あまり詳しく書くと宣伝になってしまうのでネット検索してみてください。

投稿: | 2009年9月 4日 (金) 10時09分

私もDHMOは、毎日愛飲しています。一日の始まりにはDHMOがかかせない体になってしまいました。これを飲まないと、疲れが取れません。まわりの先生方にも紹介しましたが、「これは効く!」と、とても感謝されています。

投稿: 某救急医 | 2009年9月 5日 (土) 23時14分

先生方、三重項酸素をお忘れではありませんか。

投稿: | 2009年9月 7日 (月) 10時50分

熱所作業中の方なども夏の最中に時折「身体にいいと思って」とDHMOを乱用された結果、病院に担ぎこまれたという話を側聞いたします。
特に基礎疾患を有する患者さんの場合、DHMOの無闇な乱用は健康を損ねる恐れがありますので、担当医とよく相談することが必要でしょう。

投稿: 管理人nobu | 2009年9月 7日 (月) 12時01分

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