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2009年9月

2009年9月30日 (水)

マスコミ的な社会との関わり方

ちょうど昨日出たばかりのニュースなのですが、すでにご覧になった方も多いのではないかと思います。
既存メディアがネットにまで手を伸ばしてきたとも、経営的に厳しさを増す彼らがネットに擦り寄ったとも感じられるニュースですが、ネットをおもしろからぬ存在と見なしてきた彼らをしても無視をすることは出来ない存在になったとは言える話ではないでしょうか。

TBSとテレビ朝日 ユーチューブで番組配信(2009年9月29日産経新聞)

 TBSとテレビ朝日が、グーグルの動画投稿サイト「ユーチューブ」でニュースなどを配信することが29日、明らかになった。同日11時半より会見し、グーグルと「パートナー契約」を結ぶと発表する。

 両社はそれぞれ、ユーチューブ上で専用のコーナーを開設し、一部番組を視聴できるようにする。両社はそれぞれ、自社サイト上で一部番組の配信を行っていたが、利用者数でユーチューブなど動画投稿サイトに大きく差をつけられていた。両社は今後、ユーチューブの視聴者を取り込むことで、ネット上での番組視聴者数を拡大したい考えだ。

 テレビ局とネット企業の連携では、9月4日にフジテレビジョンと日本テレビがヤフー子会社のGyaO(ギャオ)に7%出資し、サイト上で両社の番組を閲覧できるようにすると発表していた。

こういうことになってきますと、今後次第にネット上の流出動画の類も削除が減ってくる可能性も出てきますかね?
それはともかく本日は両社のネット進出を記念して、既存メディア関連の最近の愉快な話題を幾つか拾い上げてみようかと思いますが、特にこの時期ですと折から政権交代に絡んだ政界絡みの話題には事欠きません。
まずはこちら、報道業界の高邁なる決意を示す素晴らしい講演から紹介してみましょう。

NIE:「世論を動かす調査報道重要」 西予・宇和高で毎日新聞記者が講演 /愛媛(2009年9月25日毎日新聞)

 新聞を学校教育に活用するNIE(教育に新聞を)の一環として、西予市宇和町卯之町4の県立宇和高校(松本喜一郎校長)で24日、新聞記者の派遣講演があった。毎日新聞松山支局の柳楽未来記者(29)が、同校の2年生約140人に新聞の必要性や書き方などについて話した

 柳楽記者は、アスベスト問題についての毎日新聞の記事などを示しながら「正確な情報を伝えるだけではなく、地道な取材で世論を動かす調査報道も重要な役割」と新聞の必要性について話した。同校2年生は来週に出発する修学旅行について新聞を作る予定で、柳楽記者は「現場に足を運んでしっかり話を聞くことが大切。環境や医療など関心の高い問題を身近なところから見つめ、考えてください」と話した。

 生徒たちからは「毎日どうやって記事を集めるのか」「正確に情報を提供するために努力していることは何か」などの質問が出された。

いやあ、世界中にその名を轟かせ世論を動かせた同新聞社だけに説得力があると言いますか、さぞや高校生も勉強になったんだろうと思いますが、しかし今どきの学生だけに「正確に情報を提供するために努力していることは何か」なんて質問の陰で会場からは失笑が漏れていたのかも知れませんね。
しかしここで重要なのは彼らマスコミが世論操作こそ報道の重要な役割であると公言していることではないかと思うのですが、そう考えると先日も書きました利権誘導まがいの政界との関係も納得できるものがあります。
結果として見事に彼らの思惑通りとなったわけですから笑いが止まらないとはこのことだろうと想像されるところですが、その思いが表れているかのようなこちらの社説を紹介してみましょう。

「政界の景色が変わった」(2009年09月22日紀伊民報)

 鳩山内閣がスタートして1週間。政界の景色が激変している。各閣僚が矢継ぎ早に政権公約の実現に向けた発言を繰り出し、競うように斬新な政策を打ち出しているからだ。

  ▼国交相が川辺川ダムや八ツ場ダムの建設を中止するといえば、厚労相も評判の悪かった後期高齢者医療制度の廃止を明言、障害者自立支援法も廃止するといった。財務相が「来年度予算の基準をご破算にして、一から作り直す」といえば、外相は核の密約について、期限を切って調査するように命令した。

 ▼彼らが記者会見などで発言する言葉の歯切れのよいことに驚く。役所が用意したペーパーに頼るのではなく、自分の言葉で自らの信じるところを述べているからだろう。政権が交代するとはこういうことかと、日々、目が洗われるような気がする。

 ▼長い間、政界では言葉が軽く扱われてきた。なかでも前の首相はひどかった。発言はぶれにぶれたし、記者の取材にバカにしたような言葉で応じている姿も、けんか腰で答えている姿もテレビに映し出された

 ▼質問する記者は一人でも、その背後には多くの国民がいる。そんなことさえ理解していないような政権が見捨てられたのは、ある意味で国民の健全性を証明するものだろう。

 ▼さて、歯切れのよい発言が、結局は言葉だけで終わるのか、それとも約束を実現するために頑張ってくれるのか。少なくともいまは、閣僚の発言を聞くのが楽しくてならない。 (石)

テレビに映し出されたなどと言うとまるで自然現象か何かのようにも聞こえますけれども、その行為の主体は誰であったかと考えるとなかなか興味深い一文ではあります。
没落した旧政権をどう言おうと勝手ではあるのですけれども、実のところ本当に国民から見捨てられつつあるのは誰かという話なんですけれどもね(苦笑)。
まさに彼らの言うテレビに映し出されてしまった取材現場などの状況を見聞するだけでも、ああいうお馬鹿な質問しかできない自称ジャーナリスト(笑)が国民を代表しているなんて思い上がりもたいがいにした方がいいと思うところですが、どうやら海外から見てもこうした現状はかなりお間抜けであきれ果てたものに見えているようです。

政権交代でも思考停止の日本メディア(2009年09月28日ニューズウィーク)

今週のコラムニスト:レジス・アルノー

 トイレを修理してもらうために呼んだ業者にこんなことを言われたら、どうだろう。「うーん。ちょっと待ってください。セカンドオピニオンを聞かないと」。さらに悪いことに、医者にこう言われたら?「おかしな病気ですね。医者を呼んできます!」

 8月30日の総選挙で民主党本部に詰めていたとき、私の頭に浮かんだのはこんなバカげた光景だった。日本のジャーナリスト5人に、次々と同じ質問をされたのだ。「政権交代をどう思いますか」

そういう疑問に答えるのが、ジャーナリストの役目ではないのか。そもそもそのために給料をもらっているのでは。その場に居合わせたイギリス人ジャーナリストが私に言った。「よくあんな質問に答えましたね。あんなものはジャーナリズムじゃない。日本の記者はただ騒いでいるだけ。今夜、この国が根本から変わったことを理解していない」

 総選挙を境に日本は根底から変わった──ただし、メディアをのぞいて。私は前回のコラムでも日本のジャーナリズムについて書いたが、この選挙報道を見た後では、もう一度取り上げないわけにいかない。社会に吹き荒れる歴史的変化の嵐にも、メディアだけはどこ吹く風なのだ。

■仲が悪い外国人記者と日本人記者

 岡田克也は外務大臣に就任した直後ついに、外国人やフリーランスのジャーナリストに記者会見の門戸を開いた。悲しいことに、日本人記者から排他的な記者クラブ制度の廃止を求める声が上がることはめったにない。日本人記者と外国人記者は、残念ながら仲が良くない。国内のジャーナリストが海外のジャーナリストを締め出す国など日本だけだ。だがオープンな民主党とは、外国人記者のほうが日本人記者より親しい場合もある。

 日本の主流メディア「ムダ話党」は健在だ。朝日新聞編集委員の山田厚史など独自の見解をもつ一握りのジャーナリストをのぞく主流メディアを、私はムダ話党と呼んでいる。頭を使わずただ社会の動きを記録する監視カメラのようなものだ。過去数十年間、自民党の歴代首相が君臨した官邸執務室に入る鳩山由紀夫総理の姿を撮影しながら、NHKの記者は何を思っていたのか。ひょっとしたら、政権党が民主党に変わったことも知らなかったのではないか。

 日本の報道機関はその規模と仕事熱心な姿勢で名高い。だが知性あふれる人材を多数そろえながら、ここまで非生産的なメディアも珍しい。やる気のなさは、まるで冬眠中のクマ。けれどもひとたび──めったにないことだが──獲物が現れるや、一撃で残酷に息の根を止める。

 酒井法子被告をたたきのめしたのもそうだ。テレビ局はヘリコプターまで動員し、謝罪会見に向かう酒井の車を追った。ヘリを飛ばすのに1分いくらかかると思っているのか。二酸化炭素をどれほど排出するか。それだけの価値がある情報なのか。人をリンチするのが報道なのか。

 ムダ話党の意見はその場かぎり。記憶力もない。10分しか記憶できない金魚みたいなものだ。昨日まで官僚から情報を仕入れていたというのに、一夜明ければ「国民の敵」としてよってたかってたたく。「天下り」は今や金正日(キム・ジョンイル)やオウム真理教より憎まれている。会食の席で「私は官僚です」などと自己紹介したら、新型インフルエンザの患者みたいにぞっとされるだろう。「事務次官」なら、間違いなく八つ裂きだ。

■客観性は無定見の口実にならない

 われわれが新聞に期待するのは世の中の出来事を解き明かしてくれることであって、理解の妨げになることではない。だが日本の報道機関がやっているのはまさに後者、インフルエンザ騒動がいい例だ。新政権にとって新型インフルエンザは最も憂慮すべき問題の1つだと朝日新聞は書いたが、それはちがう。多くの報道機関と同じで、朝日も危険性と感染力を混同している。新型インフルエンザはたしかに感染力がとても強い。だが致死率は通常のインフルエンザとそれほど変わらず、重病ではない。

 新聞の仕事は、今後の政治の見通しを読者に理解させること。そのためには、自らの立場を明らかにしなければならない。客観性を口実にどっちつかずの態度を取ることは許されない。八ッ場ダムの建設は中止するべきなのか。霞が関の「埋蔵金」はどこにあるのか。真に自立した外交政策は、どうしたら打ち立てられるのか。

 9月18日、イランのマフムード・アハマディネジャド大統領が、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)は作り話だと発言した。これに対し、ドイツの外相はアハマディネジャドはイランの恥だと抗議した。この件に関して、岡田外相に意見を求めた記者が1人でもいるだろうか。メディアにはこうした問題に光をあててもらわなければ困るのだ。

 総選挙の晩、私は「これで日本も普通の民主主義国家になりましたね」と、日本人記者に話しかけた。彼女は困った顔をした。「『普通』ってどういう意味ですか?」「二大政党が交互に政権を取る国家、政治家が国民に対して責任をもつ国家です。今まで日本の民主主義は異常だった」。私の言葉が飲み込めないらしく、記者はそそくさと逃げていった

まあそれは、こうまで恥を晒し続けている状況では、多少なりとも羞恥心の欠片でも残っている人間は逃げ出すしかないでしょう(苦笑)。
しかし某変態新聞に限らずこうまで海外に日本に対する誤解を広げられているということであれば、彼らメディアの役割とは何なのかと改めて考え込まざるを得ないところではありますよね。
マイク片手に何十人と並んだ知性のかけらもなさそうな連中が、判で押したように同じ事を叫んでいる光景というのも日本の報道現場においては全く日常的光景ですが、ああして誰も彼も判で押したように同じことしか言わないというのは自己判断能力の欠如が疑われるという以前に、欧米的感覚で言うなら監視の目が行き渡って言論の自由のない独裁国家のようで気持ち悪いというのもあるのでしょう。

ちなみに筆者であるレジス・アルノー氏の経歴は「1971年、フランス生まれ。仏フィガロ紙記者、在日フランス商工会議所機関誌フランス・ジャポン・エコー編集長を務めるかたわら、演劇の企画なども行」った方だそうですが、彼の言う「馬鹿げた質問」というのはどうも政治記者に限らない日本のメディアの特徴らしいですね。
野球にしろサッカーにしろ昨今外国人選手や監督は珍しくありませんが、彼らが日本に来て真っ先に苦労するのが意味不明のインタビューにどう答えていいか判らないことなんだそうで、「これで勢いに乗っていけます」と言われれば「ガンバリマスノデオウエンヨロシク」と阿吽の呼吸で答えられるようになってはじめて日本に馴染んだと言えるのだとか。
選手はまだしも監督ともなるとそうそう愛想を振りまいている人ばかりでもないらしく、サッカー前日本代表監督のオシム氏を始めとして思わず「お前は何が言いたいんだ」と切れてしまう人も結構いると言うことで、通訳の人はどう当たり障りなく「翻訳」するかと苦労が絶えないなどという話も聞くところです(やりすぎると「言ってもないことばかり新聞に載る」とまたクレームですが)。

ところで前述の記事中にも出ている八ツ場ダム問題といえば、どうもここでもマスコミに関わる怪しい影がちらついているらしいということですので、なかなか面白そうなこちらのリンクを紹介しておきますね。

【参考】ダム利権: TBSと毎日新聞が『八ツ場ダム中止』に肩入れする理由(ブログ記事)

しかし行政と擦り寄って御用メディアとしておこぼれを頂戴するというのもある意味で楽な生き方なのかも知れませんが、少なくとも民主主義国家におけるジャーナリズムの在り方からはずいぶんと遠いものという気はしますよね。
まあしかし、彼らとしても自分たちはジャーナリストなどという面倒くさいだけでうま味の乏しい存在ではなく、あくまでもエンターテイナーであるという認識なのだとすれば、確かに彼らの存在自体がこれ以上ないエンターテインメントであるという見方も出来るのかも知れませんが。

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2009年9月29日 (火)

終わる医師会 改革路線は待ったなし?!

先日は政権交代でとうとう医師会にも積悪の報い…もとい、組織崩壊も間近か?!といったことを書きましたけれども、実際内部においても相当に深刻なことになってきているようです。
さすがに何十年と続いてきた自民党との関係を一気に切って捨てるというのも薄情な話なのでしょうが、さりとて現実問題民主党政権とつき合っていかざるを得ない、そして当の民主党からは「まずは過去の総括をしろ。話はそれからだ」と迫られているとなれば、これは確かに身の置き場がないだろうと思われる話ですよね。

深まる日医の苦悩 民主党シフトか否かで路線対立に発展も(2009年9月25日産経新聞)

 自民党の有力支持団体である日本医師会(日医、唐沢祥人会長)が、民主党支持にシフトするかどうかで大きく揺れている。鳩山政権の「日医外し」の動きに、発言力低下を危惧しているためだ。自民党支持団体の象徴ともいえる日医が民主党に舵を切ることになれば、来夏の参院選への影響は計り知れない。(河合雅司)

 「民主党各議員に対して党幹部から『日医執行部とは会うな』との指示が出ているようだ」。9月上旬、日医幹部は医療関係者との会合で、ため息交じりにつぶやいた。

 8月の衆院選では一部地方医師会が民主党支持に回ったが、日医全体では自民党支持を明確にし、民主党の政策批判を展開した。

 当然のことながら、民主党は反発。選挙後、唐沢氏は鳩山政権にも政策提言したい意向を示すが、民主党医療関係議員の一人は「自民党ベッタリの日医の意見を、政策に反映させることは政党の信義としてあり得ない」と切り捨てる。

 民主党とのパイプが築けないことに日医の動揺は広がっている。来年の診療報酬改定において開業医の立場を反映させるためには鳩山政権との関係改善が急務だからだ。「民主党政権が4年も続けば、日医は完全に発言力を失う」(日医幹部)との懸念も膨らむ。

 「今後は自民党だけでなく、国会の議席数に応じて政治献金の配分を決めるべきだ」。15日に行われた日医の政治団体・日本医師連盟の執行委員会では献金先の見直し提案が出された。来年の参院選についても、自民党比例代表で出馬予定の西島英利参院議員(61)を「選挙区からの無所属とするか、擁立を白紙に戻すべきだ」との声が上がった。

 医療費削減を続けてきた自民党に不満を抱いてきた会員も少なくない。日医会長選が来年4月に迫り、政治路線対立はさらに激しさを増しつつある。

 日医の前回参院選における集票は約18万6千票だが、各選挙区での存在感は小さくない。民主党シフトとなれば、他団体の“自民党離れ”に拍車がかかる可能性もある。参院選で与党を過半数割れに追い込みたい自民党にとっては大打撃だ。「民主党が自民党支持団体に手を突っ込み始めたということだが、去る者を止める手立てもない」(自民党厚労族議員)との恨み節も聞こえる。

 一方、日医には「自民党とは長い付き合いがある。支持政党をコロコロ変えては世間の信頼を失う」との意見も強い。自民党支持の堅持か、民主党へのシフトか、それとも政治活動からの撤退か。「医師会がバラバラになることが最悪の選択肢だ。そうなれば医療政策は政治に翻弄(ほんろう)され続ける」(日医幹部)。日医の苦悩は深まっている。

いやまあ、支持政党を変えなければ世間の信頼を得られるのかと言えばそう単純な問題でもないのでしょうが、会ってももらえないとなればこれは民主党の医師会外しも言葉だけではない話なんだろうとは思えるところですよね。
さて、そんな中で総括を迫られている日医執行部ではこの危機的状況にあってどんな動きがあるのかと言えば、もはや笑うしかないとはこういうことを言うのでしょうか。

日医・唐澤会長、3期目へ出馬表明 <「私に責任持たせてほしい」>(2009年9月15日Japan Medicine Mail)

 日本医師会の唐澤祥人会長は14日、来年4月の次期日医会長選挙への出馬を表明した。
同日、都内のホテルで開かれた東京都医師会有志の政策勉強会「医療と医政研究会」で、自民党中心の政権与党に医療政策を厳しく提言してきた実績を強調。
民主党中心の新政権を見据え「今後も続けてやっていきたい。新しい方向性が見えるようになるまで私に責任を持たせてほしい」と述べ、3期目続投を目指す決意を示した。

いやいやいやいや実績って、責任を持たせてって、いくらなんでもこの期に及んでそれはあり得ないでしょうjk。
て言うか唐沢さんもさすがにこれは空気嫁って話ですが、ネタではなく100%本気で言っているということであれば正直自分としても唐沢氏の面の皮の厚さを読み違えていたことを率直に謝罪する用意があります。
しかし批判の声であふれているだろうと思われたネット上では意外にと言いますかこの続投宣言、何やら歓迎ムード一色なんですよね。

688 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/21(月) 11:20:09 ID:4NtQ6wjn0
自民の復活が無理なように、日本医師会も武見会長時代には戻れません。何故ならば、
市民の敵だから。

689 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/21(月) 11:22:44 ID:VVJF0uiW0
唐沢の馬鹿がまた出馬だと?
これはぜひ当選させて欲しい
自民党だって谷垣が勝てば崩壊確実だから、医師会も唐沢で崩壊して欲しい。

691 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/21(月) 11:35:59 ID:VVJF0uiW0
俺は非会員開業医。医師会が若返れば入会してもいいと思ってる。
そのためには労害会長を据えて崩壊を待つのが最短だと思っている。
医療崩壊と同じで自壊するに任せるべきだと思う。

697 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/23(水) 17:43:25 ID:i6OpjahT0
日医も自民党も時代の流れの中で崩壊していく運命だ。
まさに寿命だ。

698 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 16:52:34 ID:x0NIhYP60
権力者の腰巾着をやっていた人間には世の中の流れは見えないのだろうな。

しかしネットの感想はともかくとして、会長選にはいち早く民主党支持を打ち出した茨城からも候補が立つという話ですから、これは日医としてもある種の踏絵のような話になってくるのでしょうかね?

最近では一応変わらなければという自覚はあるようで、更新制の開業医認定制度なんて意味不明の改革をアピールしている(つもりらしい)日医ですが、政権与党からは切り捨てられ、国民からは蛇蝎の如く嫌われ、勤務医からは有害無益の老害と相手にもされず、ついに主たる支持層だった開業医からも失望されて求心力が低下している現状をこそ真っ先に改革すべきなのではないんでしょうか。
空気の読める日医なんてものもおよそ気持ちが悪いのも確かなんですが、ここまで周りが見えていないとこれはやはり時代の流れに取り残され消え去ってしまうのも仕方がないのかなという気はしてくるところです。

それはそれとしても、やはりこの団体と言えば厚労省ら行政と結託し過去の医療行政に貢献?してきた一面を見逃すわけにはいきません。
「どんな糞のような代表でも入っていないよりは入っていた方がマシ」と医療側代表として医師会が行政に関わることを肯定する向きもありましたが、先の日医委員の「勤務医ってホントに忙しいの?」発言でも見られるように現場の医師の代弁者どころか有害発言しか出来ない輩であるなら、まだしもいない方がよいと考える人間は着実に増えてきているようです。
今回の選挙でも日医に叛旗を翻した現場医師から熱心な支持を受けたと言われる民主党政権にしても同様の認識を抱いているようで、新政権下でこれから大胆な改革がなるかどうか注目されているところですが、特に医療行政の分野でひとつの改革の目玉になっているのが他ならぬ「日医外し」なのだと言うのですね。

中医協 日医出身3委員の留任なるか 長妻路線の試金石(2009年9月22日ロハス・メディカル)

 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療側委員7人のうち6人が10月1日に改選期を迎える。6人とも規約上は再選可能だ。また今年2月に前田雅英委員が再選を拒否されたような国会同意人事でもない。だが、特に自公政権時代に与党支持を明言してきた日本医師会や日本薬剤師会を出身母体とする委員たちがスンナリ再選されるのか、長妻昭厚労相の判断に注目が集まっている。(川口恭)

 改選を迎える診療側委員は、いずれも日本医師会の竹島康弘副会長、藤原淳常任理事、中川俊男常任理事の3氏と日本薬剤師会副会長の山本信夫氏、全日本病院協会会長の西澤寛俊氏、全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏の6人。

 このうち前4人の出身母体である日本医師会と日本薬剤師会は、先の総選挙で自民党を支持した。また来年7月の参院選でも、それぞれの組織内候補を自民党から擁立する構えだ。

 行政刷新会議の仙谷由人大臣は就任前に日本医師会のこれまでの姿勢を激しく批判しており、民主党の政治主導が貫徹されるなら4人はスンナリ再選とはならないとの見方がある。一方で、既に改選まで1週間しかなく、長妻大臣が4人の再選を拒否したとしても代わりの候補者が見つからないのでないかとの見方もある。

医師会はずし? 長妻厚労相が中医協の「日医」枠削減の方針(2009年9月28日産経ニュース)

 長妻昭厚生労働相は28日、診療報酬の具体的点数を決める中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)について、開業医中心の日本医師会(日医)の代表委員を削減する方針を固めた。中医協委員は厚労相が任命するが、慣例的に関係団体枠があり、歴代厚労相は日医などの推薦者を追認していた。

 長妻氏は、診療報酬改定で、自民党を支援する日医が開業医に有利な形で影響力を行使してきたとみており、日医枠の一部を人員不足が深刻な勤務医の団体関係者に振り替えることなどを検討している。

 厚労省の政務三役会議は同日、中医協の委員構成見直しを協議した。中医協の定員は20人で、現在は健保組合など支払い側委員7人、日医など診療側委員7人、学識経験者など公益委員6人の3者で構成。任期は2年で、10月1日で支払い側2人、診療側6人が任期満了となる。

 平成16年の中医協汚職後の改革で関係団体の委員推薦制が廃止され、3者の定員内で厚労相が委員を任命できるようになった。だが、実態は団体の意向通りの人選が続き、日医は3人の委員枠を確保している。

このあたりの経緯も含めて、ロハス・メディカルさんが長文記事を出していますので参考にしていただければと思いますが、先日の国策云々の話を見ても日医外しに限らず、やはりこの政権交代を一つの機会に医療行政は抜本的に変えていかなければならない時期なのではないかという気はするところです。
民主党政権にしても政策集にも公言し既にこれだけ注目もされてしまっているわけですから、今さら「抵抗勢力は切れませんでした」ではミスター年金さんも世間に顔向けが出来ないのではないかと思えるところですが、日医を切り、官僚を改革して代わりにどのようなシステムを組み上げていくのかというビジョンは早急に示してもらいたいですね。
何にしても次回の診療報酬改定も間近に迫っているわけですからタイムリミットということはあるわけですが、またぞろ旧態依然とした前例踏襲のそれと言うことになってきますと、死に体の日医はおろか新政権にとってもいきなりの大きなつまずきとなりかねないところでしょう。

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2009年9月28日 (月)

知ってますか?近ごろの新型インフルエンザ関連情報

新型インフルエンザ絡みの話題は既に事欠かないという状況になってきましたが、情報量が増えてくると「え?そうだったの?」という少しばかり意外性のある話題も多くなってきます。
今日は現場臨床家の日常診療にも役立つ(かも知れない)そんな意外性のある最近のニュースを集めてみました。
まずはこちらなんですが、「え?話違うじゃん」と言う方針転換の話題から紹介しておきましょう。

予防目的では飲まないで WHOがタミフルで新指針(2009年9月25日47ニュース)

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は25日、新型インフルエンザの主力治療薬であるタミフルなど抗ウイルス剤の処方について「予防目的での使用はWHOとして推奨しない」とする新たな見解を発表した。予防的な使用がタミフルなどに対する耐性のあるウイルスを発生させる危険性が高いためと説明している。

 新型インフルエンザはワクチン普及が遅れているため、タミフルなどの抗ウイルス剤の早期処方が最も有効とされている。日本を含む多くの国で予防的に服用している人は多いとみられ、今後、抗ウイルス剤の処方方針について医療現場などに影響もありそうだ。

 WHOは「症状が出た後の早期の処方は重症化のリスクを減らす」と指摘。

 しかし(1)免疫力が低下し、タミフルを投与されても体内のウイルス活動が収まらない(2)他のインフルエンザ患者に接触した後、タミフルを服用しても症状が重くなる―といった状況の場合、耐性ウイルスが発生している可能性が高いとした。

 既にタミフルを予防服用した患者には、別の抗ウイルス剤であるリレンザの服用を推奨している。

今までは患者と接触すれば予防的にタミフル投与ということもやってきたわけですが、こういう流行の状況になってきますと耐性化云々以前に始終予防的投与を続けなければならないという話になりかねませんから、薬剤備蓄の面からもこれは致し方ないところだと思いますね。
つい先日の9月15日には感染症学会から、患者と濃厚接触をした医療従事者は予防投与を検討するべきという提言が出ているようですが、今後も医療従事者に関してそうした方針を継続するとすれば一般市民との間の格差、不公平感といったものにも留意する必要はあるのでしょう。
しかし記事を読んで今さらながらの素朴な疑問なんですが、予防的に使うなら重症患者では使いにくい吸入薬のリレンザを用いた方が薬の使い分けとして効率が良いんじゃないかと言う気がするのですが、そのあたりマネージメントしている人はいないものでしょうかね?

お次は既に厚労省からの症例発表で多くの方々が感じておられることだと思いますが、やはりそうだったのかという話題です。

アジア太平洋でも基礎疾患なしの死亡例25%! (2009年9月23日新型インフルエンザ・ウォッチング日記)より抜粋

(略)
さて、こちらはシルバーウィークと無関係なWHOアジア太平洋事務局(WPRO)、葛西健氏が「アジア太平洋地域での死亡者の25%は基礎疾患の無い人。本当に困りました」と困惑の声をAFPに語っておられます。

    * アジア太平洋地域では、9月19日までに犠牲になった352例中25%(!)が基礎疾患なし
    * この事態に非常に困惑しており、現在調査中。他の地域でも基礎疾患なしの(死亡例中に)占める割合は20~50%
    * 有力な仮説に、(基礎疾患なき死亡例では)ウイルスがより急速に増殖しているのではというものがある。
    * WHOは青年層の死亡例に注目。
    * WHO西太平洋地域の受持ち範囲は中国からオーストラリア・ニュージーランド、フランス領ポリネシアに至る37カ国。

(略)
ソースはAFP↓
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5g-Czu2Er1oqIqAsMwkt1MUOiS9fg
http://www.flutrackers.com/forum/showthread.php?p=297025#post297025

従来型であれば小児の脳症はともかくとして、インフルエンザそれ自体で健常成人が亡くなるというのは極めて例外的な話ですから、やはり単なる弱毒型といったものではない新型特有の経過があって、特に一部症例では感染後あっという間に重症化し、中にはいわゆる突然死に近い経過を辿る場合もあるということなんだと思いますね。
この辺りは例のサイトカインストームで説明できることなのかどうかですが、どうも伝え聞く症例の経過からするとこれだけでは説明が難しいのではないかなという印象も抱いています。

ただ問題はいつだれが重症化してもおかしくないと言えばその通りなんですが、健常人の死亡率として見た場合極端に高いというわけでもない現状で、全ての人が重症化する可能性があるからと全例に徹底的な手厚い加療を行っていくのが社会的にみて正解なのかどうかですよね。
先の予防投与のニュースもそうですが、費用対効果や治療薬の備蓄、耐性化の危惧やマンパワーといったものも全て含めて、このあたりは「人が死んでんねんで!」で思考停止することなく、冷静に検討すべき話ではないかと思います。

さて、お次は一見して何やら相互矛盾しているかとも思える記事を二つ紹介してみますが、まずはこちら「え?足りてるの?」という意外性のあるニュースからです。

全国病院の空床14万、新型インフルの予想必要数上回る(2009年9月26日日経ネット)

 新型インフルエンザ対策で、厚生労働省は全国の医療機関の空きベッド(空床)や人工呼吸器の稼働状況をまとめた。一般病床は約71万床のうち57 万床が使用中で、空床は約14万。人工呼吸器約3万2000台のうち、約1万6000台が使用されていなかった。いずれも新型インフルエンザの流行ピーク時に必要と想定される数を上回っているが、同省は「都道府県内で連携してほしい」と万全の対応を求めている

 調査は都道府県に9月上旬の空床や人工呼吸器などの稼働状況を確認する形で実施された。

しかし9月上旬の状況を確認と言いますが、これから寒くなってくれば肺炎なども増えてきますからベッドは埋まってくるでしょうし、相対的に暇な今の時期のデータを元にこういう楽観的予測を示したところで何かしら意味があるのかと思わされる話ではありますよね。
そもそも場末の病院まで含めて病床もレスピレーターもフル回転という状況に今のマンパワーで対応できるかと言えば難しいところだと思いますし、これで「余裕があるんだから万全の対応を取れ」なんて言われても全国自治体の関係者も困るだろうと主うところですが、案の定と言いますかこういう記事も出ています。

半数が流行時の必要数判断できず ICUと人工呼吸器(2009年9月17日47ニュース)

 新型インフルエンザの拡大で不足が懸念される集中治療室(ICU)病床と人工呼吸器について、全国の21都道府県が、流行ピーク時の必要数をまだ判断できていないことが17日、共同通信のまとめで分かった。

 厚生労働省は、各都道府県に対し、8月末に発表した「流行シナリオ」に基づいてピーク時の重症者数を推計し、必要なICUと人工呼吸器を確保するよう要請。しかし多くの都道府県は「シナリオは実情に即していない」として、対応を決めかねているのが現状だ。

 各県ともICUなどの稼働率は高水準で推移しており、重症者が急増すれば不足が懸念される。
(略)

実際に国民の間では過半数が病床確保など医療面での対策に不安を感じているわけですから、もし厚労省がこうした恣意的とも取れるデータで後は勝手にやってねとばかり手を下ろすというつもりであるならば、これはいささか無責任と言われても仕方がないところですかね。
毎年の季節性の病床数変動に関しては既にデータもあるでしょうから、せめて冬の流行ピークの時期に予想される空きベッド数などから推定した需給状況の予測くらいは出していただきたいところです。

ところでその厚労省と言えば、先頃ついに新型と季節性インフルエンザのワクチン同時接種を容認するという発表がありました。
新型に対するワクチンの予防効果に関しては今だ明確なデータがありませんが、一方で国民の過半数は新型ワクチンについて接種を希望するという調査結果(この数字は他国と比べても高い方です)が出ているように、従来型インフルエンザのワクチンと比べて非常に前向きな反応を示しているようです。
従来型に関してはある程度ワクチンの効果というものは確立されているわけですから、これを併用できるならば手間も省けて予防効果もあるだろうと期待したくなるのが人情というものですが、先頃非常に興味深い話が出ていましたので紹介しておきます。

季節性ワクチン打ったらヤブヘビ?(新型インフルエンザ) (2009年9月24日新型インフルエンザ・ウォッチング日記)より抜粋

従来の季節性インフルエンザを接種したら、新型インフルエンザに感染しやすくなる という報告がカナダから上がっています。

    * CBCの報道。従来の季節性ワクチンを接種したら、新型インフルエンザに感染するリスクが高くなるという予備研究結果。
    * まだ予備的なものであると但し書き付き。
    * カナダにて4グループのデータ。合計で2000例対象。過去、季節性インフルエンザワクチンの接種受けたことのあるケースでは、より新型H1N1に感染しやすかった。

      Four Canadian studies involved about 2,000 people, health officials told CBC News. Researchers found people who had received the seasonal flu vaccine in the past were more likely to get sick with the H1N1 virus.

    * 理論的には、細菌やウイルスに暴露したとき、免疫系を刺激して抗体を産生する。この抗体が、他のウイルスの侵入を容易にすることがある。デング熱がその一例。
    * この研究成果から、(カナダ当局による)季節性ワクチン接種勧奨に対する疑問が呈されている。カナダ全体で、季節性インフルエンザワクチン接種キャンペーンを短縮、遅延、あるいはいっそ廃止してはと当局が議論。流行のほとんどが新型である以上、季節性インフルワクチン接種のキャンペーンを行うのは時間と資源のムダではないかと。
    * ケベック州当局では、ある種のグループ、たとえば、健常青年の季節性インフルワクチンキャンペーンを中止あるいは延期を実際に検討している。
    * 最後に、「うちには赤ちゃんがいるから毎年、(季節性)ワクチンを受けているわ。でも、(今年は)新型H1N1にかかるリスクになってしまうってわかったから、打たないわ。ただ、罹らないように注意する。それだけ」と主婦の声を紹介。

(略)
ソースは9月23日付CBCニュース↓
http://www.cbc.ca/health/story/2009/09/23/flu-shots-h1n1-seasonal.html
Seasonal flu shot may increase H1N1 risk

あくまでも可能性レベルの話で何とも言い難いところがありますが、この件については「NATROMの日記」さんのところでもう少し詳しく取り上げていただいていますので是非ご一読いただければと思います。
ただし他のウイルスでは確かにそうした現象が認められる場合がありますが、今までのところインフルエンザが属するオルソミクソウイルス科では報告されていない現象ということですから、可能性としてはかなり低いと見るべき話のように思いますね。

むしろこの記事の場合その社会的影響の方が心配ですが、実際一部の人たちにとってはそれなりにインパクトのある話ではあるようで、すでにあちこちで引用されているようです。
「ほら見ろ!こんな大規模に予防接種をするなどとんでもない!」などと接種反対の世論が巻き起こるくらいならまだしもですが、事後に何かあったときに「そら見ろ!どう責任を取るんだ!」で社会的バッシングを受けるということにでもなれば、現場の医療従事者にしてもやり切れないところでしょう。

しかし先日も乳児へのインフルエンザワクチンは接種量が少なすぎる、もっと量を増やさなければ効果はないという話が出ていましたが、あれもその昔ワクチンの副作用ということが強調されて過度に慎重に対応してきた歴史的経緯というものを思い出さずにはいられない話ですよね。
エヴィデンスに基づいた診療というものが今の時代にあっては基本的大前提ではあるのですが、同時に何かあったときに誰に責任がいくのかということも考えた場合、果たして純医学的側面だけを考えて「もっと積極的に!」と国や厚労省を突き上げるばかりで良いのだろうかと現場の先生方も頭が痛いところではないでしょうか。
かつてない大勢の国民を巻き込んでのイベントが進行しているわけですから、このあたりをとっかかりにもっと無過失補償などの議論が盛り上がってきてもいいのではないかという気がするところです。

もちろん昨日まで正しかった対応が今日には否定されているということがあるわけですから、前線で実働されている皆さんは常に知識のアップデートを行い、何かあっても誰に恥じるところもない社会的に認められた方法での対応をしていくということが大前提になることは言うまでもないことですけれどもね。

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2009年9月27日 (日)

今日のぐり「麺屋哲 倉敷インター店」

夏は夏でセミの鳴き声などがうるさいですが、この時期になってきますとそろそろ秋の虫たちが賑やかになってきます。
今日は生き物ネタを幾つか紹介してみますが、まずはこちら動物の世界も色々と大変なんだろうなという話題からです。

オスと浮気の夫戻り…ペンギン老夫婦、より戻し子育て(2009年9月22日朝日新聞)

 大阪市の水族館「海遊館」で、ジェンツーペンギンの老夫婦が7年ぶりの子育てをしている。一時は夫がオスペンギンとの恋に落ちたが、今春、待ち続けた妻の元に帰り、よりを戻した。危機を乗り越えた夫婦の愛に育まれたヒナはすくすくと育ち、今月末には3羽で仲むつまじく水槽で泳ぐ姿も見られそうだ。

 夫婦は90年の開館当時から暮らしている。名前はなく、妻は「135番」、夫は「170番」と呼ばれている。23歳の同い年で、寿命が25~30年のペンギンでは、人間で言えば80代の老夫婦だ。

 2羽は同館に来て間もなく結ばれたが、子どもになかなか恵まれなかった。02年、ようやく待望のヒナがかえったが、その直後、悲劇が起きた。新たに来たオスと夫が仲良くなり、4年後にはペアを組んでしまったのだ。

 オス同士、メス同士のペアはペンギンの世界では珍しくない。とはいえ、夫に逃げられた妻を見た飼育員の角本浩太郎さん(39)は心を痛めた。「なんとか新しい夫を見つけようとしたが、誰ともペアにならなかったんです」

 角本さんら飼育員は今春、夫とペアを組んだオスを別の場所に移してみた。すると、徐々に夫が妻に近づき、愛のシグナルのあいさつをしたり、一緒に寄り添ったりし始めた。そして6月、妻は巣に小さな卵を産み落とした。

 「年を取ったし、7年ぶりの産卵。ちゃんと卵を抱けるだろうか。子育てできるだろうか……」。飼育員らの不安をよそに、夫婦は仲良く交代で卵を温め、7月19日、無事にヒナが生まれた。

 夫婦はエサも交代でヒナに与えた。生まれた時は重さわずか80グラム、体長10センチだったヒナは、みるみる成長。2カ月後の体重は5キロと、成鳥なみに大きくなり、夫婦の後をついてヨチヨチと歩いている。今月中には、茶色の柔らかい羽が生え替わり、泳げるようになりそうだという。

 「波乱を経て、きずなが深まったんじゃないか。夫婦が水槽で、泳ぎを子どもに教えている幸せな風景を早く見たい」。角本さんらは心待ちにしている。(丸山ひかり)

え~…飼育係さん的にはすごくいい話なんでしょうけど、客観的に見るとそれいったいどんなドラマかと言うようなすごい話なんですが、ペンギンの世界ではこういうのは結構当たり前な話なんでしょうか?
いやまあ、色々と突っ込み所は多々あるんですが、とりあえず「人間で言えば80代の老夫婦」ってところが一番のポイントなんでしょうかね?
しかしそれでもちゃんとヒナまで生まれたというんですから、これは人間に換算すると何やらとんでもない偉業と言うことでしょうか。

さて、ある意味で非常に生々しいニュースはそれとして、次は少しばかりほのぼの系?の話題です。

ネコの顔をマッサージしてあげるオウムと、それに悪い気がしてないネコ(2008年12月01日トレンドニュース)

 鳥のように動き回るモノは、追っかけ回すのがネコの常だと思っていましたが、何とも言えない癒し動画として今人気を博しているのがこちらのオウムとネコのコラボレーション動画。オウムのCocoちゃんとネコのLuckyちゃんの信じられない可愛さは一見の価値アリです。
寄り添うようにしているのはオウムのCocoちゃんとネコのLuckyちゃん。その寄り添っている姿だけでも可愛らしいのに、オウムのCocoちゃんが何とはなしにネコちゃんの顔をマッサージし始めます。
ネコちゃんも、オウムの足でもしゃもしゃとヒゲを触られて「怒るかな?」と思いきや、以外に悪い気がしていない様子
とにかく信じられないほど可愛いこの2匹の組み合わせ。是非動画でご覧下さい。

で、その動画がこちらなんですが、撫でるというのかマッサージというのか、悪い気がしていないと言いながらこれって普通に猫迷惑がってんじゃね?と言う気がしないでもない映像です。
しかし猫という生き物、ヒトがちょっと肉球触らせろと迫っただけでも逃げていくような根性なしかと思っておりましたが、意外にこういうところでは辛抱強いものなんでしょうかね?
猫と鳥という意外な取り合わせの妙ということでこれはこれで面白いんですが、面白いというより怖いということで話題になっているのがこちらの話で、まずは元記事と思われる方を紹介してみましょう。

ペリカンがハトを丸呑みに 英国(2006年10月28日国際時事通信)

 ロンドンの公園でペリカンがハトを丸呑みにし、観光客を驚かせたと、英タイムズ紙が報じた(The Times 2006年10月25日)。

 ハトを丸呑みにしたのはロンドンにあるセントジェームズ公園のモモイロペリカン。24日、観光客らの前でハトに近づくと大きなくちばしでハトを捕らえ、丸呑みにした

 この光景を撮影した写真家のカハル・マクノートンさんによると、ペリカンは口の中で暴れるハトにてこずりながらも20分ほどで飲み込んだという。

 ペリカンのとった予想外の行動を見て子供がおびえるなど、観光客らのショックは大きかったとのこと。英国王立鳥類保護協会の広報担当者も「ペリカンが鳥を食べるなどちょっと聞いたことがない。彼らがえさにするのは魚だけのはずだが」と話しており、専門家の間でも衝撃が走っているようだ。

まあ確かに目の前で鳩を丸呑みにされれば観光客や子供ならずともショックは大きかろうと思うところですが、どうやらこの映像が流出したのがこちらなのではないかと思われます。

衝撃映像! ペリカンが生きた鳩を丸飲みして食べる動画(2009年9月23日ガジェット通信)

信じられないことに、鳥が鳥を食べてしまうという衝撃映像が『ニコニコ動画』に掲載されて話題を呼んでいる。まあ、ヤキトリを食べるインコもいるらしいので、鳥が鳥を食べるのはありえることかもしれないが、この映像の鳥はちょっとレベルが違う。なんと、巨大なペリカンが生きた鳩を丸飲みして食べてしまったのである!

この鳩を食べるペリカン動画は『ニコニコ動画』に掲載されるとジワジワと約20万再生を達成し、その衝撃度がうかがえる。ガジェット通信ムービー班が実際に動画を観てみると、公園の池のほとりで鳩とペリカンが仲良く(?)日向ぼっこをするかのようにウロウロしていたところ、突然ペリカンが鳩をついばみ、ゴクリと飲み込んでしまったではないか!

皆さんもご存知のとおり、ペリカンは喉の部分が大きな袋状になっている。びっくりした鳩はペリカンの喉から脱出しようと、袋と喉を行ったり来たり。逃げようとしてはペリカンに飲み込まれ、また逃げようとしてはペリカンに飲み込まれ、何度もそれを繰り返すうちに、とうとう鳩は生きたまま胃袋まで運ばれていってしまったようである。

鳩も命がかかっているゆえ、必死になって暴れていた。「これ以上暴れたらペリカンの袋が破けるんじゃないだろうか?」と思うほど暴れていたが、ペリカンは絶対に吐き出すことをせず鳩を食べてしまったのだ。もともとペリカンは魚や海老などを食べるとされているが、この動画を観た感じでは雑食のように思える。

食べられてしまった鳩は、まさか鳥類(同類)であるペリカンに食べられるとは思わなかっただろう。どんな気持ちで消化されていったのか、それを考えるとちょっと鳩が可愛そうな気がしなくもない。

こちらもオリジナル版ロングバーションの動画をご覧いただければと思うのですが、しかしこれは踊り食いどころではないという感じのすさまじい暴れっぷりではありますね。
衝撃の捕食映像といえばこちら「鮫vs蛸」などもなかなかなんですが、実はこの鳩丸呑み動画の方はネット界隈では大人気となっていて、その理由というのが「やられてしまったのが鳩」と言うところにあるらしいんですね。
それにしても思いがけず犠牲になった鳩には罪もないでしょうに「鳩ざまあww」などと書き込まれてしまうあたり、どこかの鳩さんのどこかの界隈での不人気ぶりで善良な鳩も思わぬとばっちりということなのでしょうか(苦笑)。

今日のぐり「麺屋哲 倉敷インター店」

岡山市に本店がある人気ラーメン店の「麺屋哲」が倉敷市に支店を出しています。
この界隈は近ごろ色々とラーメン屋も入っていて、それなりの激戦区なのではないかと思うのですが、看板は見えるものの少し奥まったここの店舗は表から確認しづらいのが弱点でしょうか?
岡山の店もそうですが、ラーメン屋としては比較的小綺麗な内外装で客層を選ばず誰でも入りやすい店なのではないかと思いますね。

今回は「カツオのうまみがきいた哲そば」を頼んでみましたが、昨今の魚介系スープが売りの店などと比べると別段がつんと強烈!という感じでもなく、名前から想像したものとは少し違った感じでした。
底に厚削りのかつおぶしがそのまま入っているのですが、ダブルスープにしているのではなくかつおぶしを入れた上から名物そばのスープを注いでいるのですかね。
ためしに名物哲そばのスープと比べて見たのですが、こちらの方が良く言えば少しまったり、悪く言えば名物そばの切れ味鋭い味が散漫になったのかなという印象でしょうか。
個人的にはこの味だったら風味の強い焦がしネギはなくてもいいかなとも思ったのですが、あっても悪いというほどでもないですかね。
しゃっきりした茹で加減の麺は結構いけるという感じで、しなちくの食感まずまず合格なんですが、焼き豚は…入ってたんですかね?と言うくらいにほとんど印象にない味でした。

こってりなのにあっさりと言うべきなのか、あっさりなのにこってりと言うべきなのか微妙ですが、一口食べて激烈に「うわっ!こりゃうまい!」と言うほどでもないこの微妙な控えめさがここの持ち味なんでしょうかね。
どちらかと言えば名物そばの方がこの店の味をシンプルに感じさせる出来かなと思うのですが、まあ好みでどちらを選んでもという感じでしょう(トッピングはシンプルな方がいい気がしますが)。
しかし実際に支店も出していることですし、ネット上の評価などもまずまずで、それなりに繁盛している店のはずなんですが、何故か自分が来た時には決まって他にお客がいないのはどうしたことなんでしょうかね(苦笑)。

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2009年9月26日 (土)

蜜月時代はいつまで続く?

先日ひっそりとこんな記事が出ていましたけれども、御存知の方はいらっしゃるでしょうか?
「流行りもの」に一番敏感であるように言われる世代というものが、実のところ案外醒めているんじゃないかとも思わされるような話ですかね。

女中高生「新政権支持しない」が「6割以上」 若者は民主に期待せず?(2009年09月21日J-CASTニュース)

大手新聞が行った世論調査ではいずれも新内閣支持率が70%以上となり、発足時で「歴代2位」という高さだった。しかし、女子中高生の間では様子が違うようで、アンケート調査で6割以上が民主党政権を「支持しない」と答えていることがわかった。若者を対象にしたほかの調査でも民主政権への期待は低いようだ。

「高速道路無料化は矛盾している」

   モバイルコンテンツを提供するビジュアルワークスは、女子中高生1021人に「民主党政権」に対する意識調査を2009年9月9日から15日にかけて行った。
   女子中高生が今、もっとも気になる政治テーマは「景気対策」で41%。「お小遣いが減った」「外食する回数が減った」といった理由だ。次に多かったのは「教育問題」で22%。自分に関わりのあることに関心があるようだ。
   一方、「民主党政権を支持しますか?」には、66%が「支持しない」と答えている。その理由は、

    「温室効果ガスを25%削減すると言っているのに高速道路無料化は矛盾している」
    「鳩山さんも小沢さんも色々と問題があるのにそれを説明しないのはおかしい」
    「どうせ票集めの無謀なマニフェストだから、結局半分も実現しない」

というもの。

    「大勝したのは他に入れる政党がなかっただけ」
    「何も期待できない」
    「アメリカに楯突くのはやめてほしい」

という批判も多かった。

ニコ動調査、55%が民主に「期待していない」

   大手紙が鳩山政権の発足を受けて行った世論調査では、朝日新聞「鳩山内閣支持率は71%」、読売新聞「同75%」、毎日新聞「同77%」、日本経済新聞「同75%」となった。
   ところが、夕刊フジが行った「ニコニコ動画」調査では民主政権への期待は低い。同紙が9月10日にニコニコ動画上で実施し、10歳代以上の3万5167人から回答を得た。
   「鳩山新政権に期待するか」という質問で、「あまり期待していない」と「まったく期待していない」を合わせて約55%と回答。ネット上では20歳代の若者を中心に「自民党好き」「麻生ファン」が多く、同調査でも20歳代が多く回答したのではないか、とみられている
   J-CASTニュースが選挙当日の8月30日に首都圏の20~30歳代の100人に行った街頭調査でも、「期待しない」が半数にのぼった。「期待する」と答えた人も「自民よりはいい」といった消極的な支持が目立った。

記事中にも少し話が出ていますけれども、少し前に話題になりましたのがニコ動などの調査と一般マスコミによる調査でずいぶんと民主党支持率の結果が違うということなんですね。
このあたりはネットと一般紙では調査方法も対象も違うからということで一応決着がついているようですが、記事から引用してみましょう。

「鳩山政権は?」意外な結果 ニコ動+フジが調査(2009年9月11日ZAKZAK)

 民主党の鳩山由紀夫代表が新政権の人事を進める中、夕刊フジは10日、ニワンゴが運営する動画サイト「ニコニコ動画」の協力を得てネット世論調査を行った。それによれば、16日に誕生する民主党政権に「期待している」のは約29%で、「期待していない」の約55%を大きく下回った。ネットでの支持率が高かった麻生太郎首相とは、対照的な滑り出しとなりそうだ。

 調査は10日午後0時半ごろから200秒間、ニコニコ動画上で行い、10代以上の男女計3万5167人から回答を得た。

 まず、民主党が大勝した8・30総選挙の結果については「良かった」が26.4%で、「良くなかった」の34.1%を下回った

 「鳩山新政権に期待するか」との質問では、「とても期待している」が5.7%、「ある程度期待している」が23.1%で計29%。「あまり期待していない」が21.5%、「まったく期待していない」が33.6%で計55%。「期待」と「不安」のどちらが大きいかを尋ねた質問では、「期待」の12.2%に対し、「不安」が51.5%と4倍以上にのぼった。

 民主党大勝=自公大敗の要因を尋ねたところ、1位「自民党に対する不満」(56.7%)、3位「政治実績への不満」(37.4%)、4位「麻生首相に対する不満」(27.4%)など自民党への不満が上位にのぼり、逆に「民主党への期待」は7位の13.8%にとどまり、「鳩山代表への期待」はわずか2.8%だった。

 一方で、民主党に期待する政策は「税金のムダ遣いや天下りの根絶」が62.8%でダントツ。最低賃金の引き上げや年金制度の一元化が続いた。

 同サイトに番組を持つ政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「回答者は20代の若者が多いのだろうが、それだと『不安』が多くなる。ただ、役人と結託して好き勝手にしてきた自民党への怒りは強い。自民党ではやりきれないムダ遣い根絶を実現してもらい、そのうえで、再生した自民党に政権を取り戻してほしいと思っている。彼らが望む“政治家の使い方”が出ているのではないか」と分析した。(略)

「民主に期待」読売7割・ネット3割 なんでこれほど違う(2009年9月13日J-CASTニュース)

  読売新聞が2009年9月13日、早稲田大学と共同で実施した全国世論調査結果を朝刊で発表した。「民主党に期待している」という回答が72%と高い数値を示した。一方、10日に夕刊フジがニコニコ動画上で行った調査では「民主新政権へ期待」は29%にとどまり、読売・早大調査と比べると「真逆」ともいえる結果だった。「本当の世論」はいったいどちらなのだろうか。

読売・早大調査「60歳以上」が4割超

   読売新聞社と早大の調査は、衆院選後の9月5~6日に面接方式で行った。全国250地点の有権者3000人が対象で、1827人の男女が回答した(有効回収率は60.9%)。「民主党に期待しているか」という質問に対し、「期待している」と「ある程度」がともに約36%で、計72%が「民主に期待」と答えた。衆院選前の6月下旬に行った前回調査の52%から大きく上昇し、同社と早大が08年10月から計7回実施している調査では最高だった。回答者の内訳を見ると、20歳代が8%と最も低く、最高は60歳代の23%だった。70歳以上も18%と高く、「60歳以上」が40%超と半数近くを占めていることになる。
   読売新聞はこれまでに、早大との共同調査以外の世論調査結果も公表している。衆院選前の09年8月21日には、「民主300議席を超す勢い」などと報じていた。

ニコ動・夕刊フジ調査「20代の若者が多い」?

   一方、9月11日に発表された夕刊フジのニコニコ動画調査では、民主新政権への期待は低かった。
   調査は同紙が10日にニコニコ動画上で実施。「午後0時30分ごろ」から200秒(3分20秒)間行い、「10代以上の3万5167人から回答を得た」。「鳩山新政権に期待するか」という質問では、「とても期待している」(5.7%)、「ある程度期待している」(23.1%)を合わせて約 29%が「期待している」と回答。一方、「あまり期待していない」(21.5%)と「まったく期待していない」(33.6%)とで計約55%と半数以上が「期待していない」と回答している。また記事中、回答者の年齢層について、政治ジャーナリストの角谷浩一さんは「20代の若者が多いのだろう」と推定している。読売・早大とニコニコ動画の調査結果にかい離があった理由の一つには、年齢層の違いがあるかもしれない。

   2ちゃんねるでは、
    「あの組閣内容を聞いて、更に期待できる国民って一体どういう脳みそなんだろうか??」
と、読売・早大調査結果に疑問を呈しているとも取れる声が一部で上がる一方、
    「早い話、ニコ動も2ちゃんも有権者の動向を反映してないということだろ。そりゃ常連さんがほとんどだからな。あまりにも層が偏り過ぎてる」
    「麻生を支持してたニコニコだから 一切信頼できないな」
といった見方が多数出ている。

   確かに、ニコニコ動画のユーザーについては、従来から「自民好き」「麻生ファン」が少なくない。衆院解散直後の7月24日にニコニコ動画が行った支持政党調査では、トップが自民で31%、2位の民主(15.7%)を大きく引き離し、新聞社などの「民主優勢」の結果とは異なる傾向が現れていた。
   ちなみに、13日放送されたフジテレビ系「新報道2001」の調査でも、「鳩山新政権を支持する」が66%、で「支持しない」(22.2%)を大きく上回っている。

実際の総選挙の結果を見てみれば、一見して読売新聞社の調査結果の方が信用できるとも受け取れる話ではあるのですが、むしろここから読み取るべきはそれぞれの対象者達のリアル社会での影響力がどの程度なのかと言うことなのかなとも思います。
あるいは別な言い方をするならば、新聞やテレビと言った既存メディアからしか情報を仕入れていない世代が未だ社会的には多数派である一方、ネットに軸足を移しつつある若年世代の声を既存メディアは拾い上げることが出来ていないということでしょうか。
実際ひとたびネットに染まるともう既存メディアには満足できないという人間も増えてきているようですから、今後こうした情報の受け手の二極化はますます顕著になってくるのではないかとも思いますね。

新聞、テレビといった既存メディアがネットとそのユーザーを敵視してきた経緯は当「ぐり研」でも幾度となく取り上げてきましたが、その背景事情として例の毎日新聞変態問題などで明らかになったネットへの恐怖と反発心や、日々ネットメディアにシェアを奪われ業績が悪化していくことへの恐れも確かにあるのでしょう。
これに対して政治を味方につけることで既存メディアを救済させようと画策する人々が存在するといった話も以前に紹介したことがありましたが、そうなりますと自民党政権に対する捏造混じりの批判で一生懸命民主党政権誕生に協力してきた既存メディアの狙うところは何だったのかとも気になるところですよね。
麻生前総理個人はネット世論を味方につけていたなどと言われますけれども、これに対して鳩山総理をはじめとする民主党政権のネットに対する態度はどうであるのか、こういう記事を見てみるとなるほど既存メディアが協力する意味が見えてくるとも思えるのは自分だけでしょうか。

★首相記者会見「オープンにする」 鳩山政権「公約」破り、ネット「締め出し」(2009年9月16日J-CASTニュース)

   記者会見をオープンにすることを約束していた、民主党・鳩山由紀夫首相の就任会見が2009年9月16日行われた。外国特派員記者など一部の記者が新たに会見に参加したが、ネットメディアは「締め出し」で、公約は守られなかった。会見でも、質問したのは朝日、読売といった大手新聞がほとんどだった。

「マスコミは、参加枠が広がったように報じていますが違います」

   鳩山首相は、09年5月の党代表就任会見で、首相就任の暁には記者会見をオープンにすると明言。小沢幹事長も3月の公設秘書逮捕を受けて開かれた会見で同様の発言をしていた。
   政権交代後、記者会見が開放され、記者クラブに加入していない雑誌やネットメディアなどの記者が首相会見に参加できるようになると期待されていた。就任会見前日の15日、民主党から首相官邸報道室を通して、外国特派員記者10人程度と雑誌記者10~15人程度が会見に参加出来るようにして欲しいという要望が記者クラブ「内閣記者会」にあった。記者会側はこれを認めたものの、従来通りネットメディアやフリー・ジャーナリストの会見参加は認められなかった

   記者クラブの閉鎖性を追及しているフリー・ジャーナリストの上杉隆さんは、
    「何も変わっていません。特派員協会も雑誌協会の記者も、元々内閣記者会から許可があれば入れました。マスコミは、参加枠が広がったように報じていますが違います
と話す。朝日新聞は15日に「新首相就任会見、雑誌記者の参加認める」と報じ、時事通信も同様の記事を出していた。
   日本ビデオニュース社の神保哲生さんも「インターネットメディアとフリー・ジャーナリストが入れないようでは実質的に何も変わっていない」と話し、
    「小沢さんは、記者会見を『どなたにでも』オープンにすると宣言していた。そもそも、広げる広げないと話している時点でおかしい。これは公約違反です」
と指摘する。

公約が破られたのに、マスコミはどこも報じない

    「会見に入れる権利が守られていなければ、政治家に自由に質問できません。『フルオープン』であることに意味があるのです。今回は、政権発足してすぐ公約が破られたことになるのですが、マスコミはどこも報じません
と話している。
   16日18時から開かれた就任会見では、海外通信社ブルームバーグからの質問があったが、他に質問したのは朝日、読売、東京、産経、共同の5社。社名を名乗らず質問した記者が1人いたものの、従来の大手新聞・通信社主導の会見だった。
   民主党関係者はJ-CASTニュースに対し、
    「会見をオープンにするよう努力して記者会側と交渉しています。ネットメディアも会見に参加できるよう要望していると聞いています」
と話している。もっとも、記者会幹事社の共同通信によると、ネットメディアに関する要望は民主党側からはなかったという。

まあそれは「次官会見廃止なんてケシカラン!新聞が出せなくなるじゃないか!」などと言うくらいに記事は足で拾う精神の欠片もないような方々が闊歩している業界ですから、うっかりこんなところまでネットメディアに入り込まれては一次ソース独占が出来ないと既存メディアが危惧するのはわからないでもありません。
しかしどうもこれだけでは今までの協力に対する「報酬」として少しばかり手薄いのではないかなと思っておりましたが、どうやらちゃんと大口の見返りを用意してあったようなのですね。
このあたりはあからさま過ぎるほどの「持ちつ持たれつ」の関係が透けて見えるわけなのですが、もちろんこんな話は既存メディアの触れるところではないことは言うまでもないわけです。

原口総務相と「テレビ局」のズブズブ 「電波オークション消極」「利用料値下げ」(2009年9月18日J-CASTニュース)

  民主党政権が発足し、大きく変わると期待されている分野のひとつが、情報通信分野だ。これまで民主党が掲げてきた政策パッケージによると、日本版FCC(連邦通信員会)の創設や、法体系の見直し、電波オークションの導入検討など、これまでの政策からは大きく方向転換するものも多い。ところが、いざ政権交代してみると、担当大臣からは日本版FCC以外については後ろ向きとも取れる発言が相次いでいる。さらに、過去のテレビ出演では、民主党の公約に反するともとれる発言をしており、早くも情報通信政策は迷走気味だ。

既存の放送事業者の体力に不安があることを強調

   民主党が総選挙前に発表した政策集「インデックス(INDEX)2009」では、21の分野についての政策が掲げられており、そのうちのひとつが「郵政事業・情報通信・放送」。通信放送行政を総務省から切り離して「通信・放送委員会」(日本版FCC)を設立することや、NHK改革などが骨子だ。また、「通信・放送行政の改革」という項目では、「現代の通信・放送の融合時代に対応した法制のあり方を検討する」としているほか、「電波の有効活用」という項目では、「(1)電波利用料に電波の経済的価値を反映させることによる電波の効率利用促進(2)適当と認められる範囲内でオークション制度を導入することも含めた周波数割当制度の抜本的見直し」とあり、電波利用料を市場価格に近づけ、事実上の値上げをすることや、電波オークションを前向きに検討したい考えが示されている

   ところが、政権が交代してみると、これに逆行するかのような発言が次々に明らかになっているのだ。発言の主は、原口一博総務相。原口氏は、民主党が野党だった時から、党内の「NC(ネクストキャビネット、次の内閣)総務相」という役職についており、そのまま「本物の総務相」に横滑りした形だ。
   原口氏は、09年9月17日の初登庁後の会見で、これまでの政策を覆すととれるような発言を次々に繰り出した。
   例えば、竹中平蔵総務相(当時)の私的懇談会がNTTグループの完全資本分離案をまとめ、10年から具体的な議論を始めることになっていたのだが、
    「自公政権で決めた2周遅れの改革論議」
と、事業者間の競争を促進するために始まった改革論議を、いわば「仕切り直し」する方向性を示す一方、電波オークションについても、地上波の完全デジタル化を控え、既存の放送事業者の体力に不安があることを理由に、「前のめりでやる環境にあるのかな、という思いがある」と、消極的な姿勢を示した。

「それ(電波料)を思いっきり下げますから」

   一方、日本版FCCについては、「国民と約束したこと」、実現に前向きな姿勢を改めて強調した。
   また、前出の「電波利用料」の価格についても、原口氏は政権交代前の段階で、民主党の政策とは相容れないと取れる発言をしている。09年4月、よみうりテレビの「たかじんのそこまで言って委員会」に出演した際、
    「民主党政権になれば、テレビは明るくなりますよね?」
という問いに対し、
    「明るくなりますよー。だって今、電波料いくら取られてます?一生懸命稼いでるものが、天下りとかいろいろなものに使われているじゃないですか。それを思いっきり下げますから。それから、規制が多すぎるでしょ。『あれやるな、これやるな』って」
と発言。電波利用料と天下りとの関係は明確でないものの、電波利用料の値下げや、テレビ局にとって有利な規制緩和に意欲的なことは間違いない。電波利用料をめぐっては、「テレビ局があげている収益に比べて安すぎる」との批判が根強く、一連の電波行政に関する発言は「既存テレビ局の応援団に等しい」といった批判を呼びかねない。

   ちなみに、原口氏は、ワイドショーや討論番組などに多数出演して持論を展開する「論客」としても知られている

しかし叩かれ放題だった前政権でも、マスコミと「ズブズブ」の関係だった自称介護経験者の大臣などはマスコミもずいぶんとバッシングしにくそうな様子でしたけれども、同様にマスコミと良好な関係を築いてきた方々が多い民主党政権ともなりますと、これはうっかり政権批判も出来そうにない雰囲気ですかね?
政権交代で急にワイドショーの論調が政府絶讚一色!なんてことになったらそれはそれで面白いと思うのですが、もちろん喫緊の課題山積の状況で全てがうまくいくなどと言うこともおよそあり得ないわけで、双方がいつまで蜜月の関係を続けていられるかといったあたりも今後非常に楽しみなのではないかという気がします。

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2009年9月25日 (金)

国策推進は何にも勝る至上命題?!

近年の日本の医療というものは国策に沿って様々な変革をすすめて(強いられて?)きたことは今さら言うまでもないことですが、今までであれば一応は「国策は周知の事実だけど表向きではないこと」という扱いになってきていたものでした。
それは医療費は削ります、不採算な病院は片っ端から統廃合します、不便になりますが国民は我慢してくださいではクレームも殺到するだろうとは容易に想像できるところですが、そこまでやってもやはり国策批判の声は大きかったというのが先の選挙の一つの解釈ではないかとも思えるところですよね。
さて、民主党政権となってみると今まで阿吽の呼吸でやってきたことが全てひっくり返りそうな勢いですから、どうも厚労省はじめ中央省庁や医療政策に関わる人間にも焦りがあるのか、国策などと言う言葉が表立って語られるようになってきたらしいですね。
本日は非常に興味深いロハス・メディカルさんの記事から引用してみましょう。

山形大病院は、「国策に反している国立大学」? ─ DPCヒアリング(2009年9月25日ロハス・メディカル)

 「先生、それは病院として恥ずかしい発言ですから、やめてください」「国策に反している国立大学ということになります」─。厚生労働省の陰湿な反撃が始まったというべきか。厚労省の医療事故調査委員会や臨床研修制度などに対し、歯に衣着せぬ積極的な発言をしている嘉山孝正氏が医学部長を務める山形大学医学部附属病院が、DPCのヒアリングで集中砲火を浴びた。(新井裕充)

 2010年度の診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)DPC評価分科会が9月24日に開かれ、9病院からヒアリングを実施した。
 このヒアリングは毎年秋に行われ、別名「査問委員会」とか「懲罰委員会」などと呼ばれている。DPCによる診療報酬の請求方法が全体の平均と比べて大きく異なる病院をピックアップして厚労省に呼び付け、公開の場で聴聞する。
 この分科会の委員は厚労省の意向に従う御用"とも言うべき医療者ばかり。招集された病院の院長らを厚労省に代わって厳しく追及し、質問攻めにする。この"儀式"を済ませてから、DPCルールを変更するというのがこれまでのパターン。
(略)
 ヒアリングで、同院の細矢貴亮副院長は、「基本的には、『今までの診療を変えないでいきましょう』『自分が信ずる最良の医療をやりましょう』という方向で、ずっと指導してきている。その結果、ジェネリックに関しても各診療科の裁量に任されている」と説明した。調査票の回答欄には、「統一的に安全性が確立されていないため、積極的には導入していない」との理由が記載されている。

 質疑では、後発品の使用に消極的な姿勢を示す細矢副院長に対し、委員らが集中砲火を浴びせた。オブザーバー出席の邉見公雄氏(全国自治体病院協議会会長)は、「国策に反している国立大学」と批判。西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)は、「大学の一番いけないところを主張されているような気がする。大学病院といえども、やはり国民の医療を担当している病院なので、教授が勝手にやっていいなんていうルールはどこにもない」と厳しい口調で責め立てた。
 細矢副院長は、各診療科の裁量に委ねていることを説明したが、西岡分科会長は「先生、それは病院として恥ずかしい発言ですから、やめてください!」と叱責した。
(略)

まあジェネリックに関しては色々と言いたいことはある人も多かろうでしょうが、とりあえず同一成分同一効果をうたうのであれば適応症くらい先発品と全く同じにしていただきたいところですかね。
元記事では以下延々と実際のやり取りが引用されているわけですが、これがまた笑える内容でロハス・メディカルの記者さんもノリノリなようですね(苦笑)。
まずはいきなりジェネリックのかなり本質的な部分に突っ込んでいますが、こんなやり取りがあります。

[相川直樹委員(財団法人国際医学情報センター理事長)]
 山形大学にお聞きしたい。調査票の記入欄では、(後発品の使用割合が全国平均と比較して非常に少ない理由として)「統一的に安全性が確立されていないため、(積極的には導入していない)」ということが書かれている。
 先ほどのご説明でも、院長あるいは各診療科が、そのようなことがあるからジェネリックを採用していないというご説明だったかと思うが、後発医薬品といえども、厚生労働省、それから医薬品医療機器総合機構が調査して承認しているものだが、「統一的に安全性が確立されていない」との......、証拠は......(会場、笑い)、どのようなところにあるんでしょうか?

[山形大病院・細矢副院長]
 私は個人的にそのような経験を持っておりまして......、私は放射線科ですから造影剤をよく使うが、造影剤の本質は(先発品も後発品も)みな同じ。ジェネリックも同じはずだが、添加物はもともとのメーカーは全く公表していないので、ジェネリックは違うもの(添加物)を入れたらしい。
 その結果、副作用が一時的にすごく増えた例が実際にありました。ありましたので、ジェネリックの添加物を評価しないで、それを承認してしまうということは、私はちょっとおかしいんじゃないかと

 それから、ジェネリックを使った後に、きちんとフォローして、副作用のデータをきちんと出すということをジェネリック(メーカー)はやっていないんじゃないか。実際、そのMRの担当者に聞いても全く分からない。自分が売っている薬を。わずか100症例とか、そういうことがあるので、私はどうしても......。

 ま、厚生労働省が認可しているのは分かっているのですが、それを信じられない......(会場、大爆笑)、正直申し上げて。ですので、長年使っていて、治験から携わってきた造影剤をずっと使っている。これが真実でございます。

相川直樹委員には今さらこんなことを説明する必要もないことだと思いますけれども、ジェネリックの安全性とは厚労省やメーカーといった使用をすすめる側が証明し保証すべきものであって、ユーザーである各病院が提示すべきものではないわけですよね。
この場合ユーザーの側としては単に「過去にこういう事例があった」という一例報告であっても反証としては十分なわけで、それを受けて「いややはり安全性に差はない」と証明する義務はそれを保証した側にあるのは当然なのです。
ところが、このいたって当たり前の発言を受けての相川委員の言うことがまたなかなかケッサクなんですよね(苦笑)。

[相川委員(国際医学情報センター)]
 (不機嫌そうな低い声で)確かに、造影剤あるいはいくつかの薬では、添加物等が違うということで......、先進の医薬品と違うところはあったかと思うが、「統一的」と書かれた意味はどういうことなんですか。病院として、例えば、そのような造影剤は使用しないという......。

[山形大病院・細矢副院長]
 要するに、「統一的」というのは、かかる所がたぶん違っているんじゃないかと思う。「安全性が確立されていないために、統一的にすべての所に積極的には導入していない」という意味の文章ですね(笑い)。そのように書いたつもりだが、ちょっと、場所が悪いために......。 (相川委員がさえぎる)

[相川委員(国際医学情報センター)]
 「(安全性が確立)されていないために」の後に点がありますから、文章としては、「統一的に」というのは、「(安全性が)確立されていないため」(にかかる)と普通は考えて私は質問したわけ......。(今度は細矢副院長がさえぎる)

[山形大病院・細矢副院長]
 その通りでございますが、私も実はこの文章を出した後に、「統一的」は後ろかなと思って......。

[相川委員(国際医学情報センター)]
 これ、訂正ですね!?

[山形大病院・細矢副院長]
 はい、そのようにさせていただければと思います。

[相川委員(国際医学情報センター)]
 (元気な甲高い声で)もう一回お伺いしますが、「安全性が確立されていない」ということが、ほとんどのジェネリックに対してお考えなのか、それとも今言われたような数例、いくつかの経験があったものだから、そのように思われているということなんでしょうか。

[山形大病院・細矢副院長]
 あの、ひじょーに難しい質問をされますのでお答えにくいが、100に1個(副作用が)あったらやっぱり信じられない。これは私の信条でございます。ですので、私の所は造影剤しかないので、ほかの薬は全く知らない、正直申し上げて。

 うちではジェネリックは今、4.9%、品目数としては採用しているので、安全性がありそうなやつ、問題がなさそうなやつはもちろん入れているが、あとは各診療科にお任せしているというのが現状なんですね。「ジェネリックにしましょう」とか、そういう体制もとっていませんし。

ジェネリックの安全性がヤバイなどと公の場で言われると誰かが非常に困るんだろうなあと推測されるような話ですが、なかなかこれは医療というものの本質的な部分にも関わってくる話ではないかという気がします。
最終的に治療に対して責任を負うのは現場の医師であって厚労省の役人でも相川委員でもありませんから(苦笑)、責任を負う者が自分で信用できるものを使いなさいというのは至って当たり前の話かなと思いますが、どうもそうではないとお考えの方々もいらっしゃるらしいということなんですね。
患者への安全性の担保であるとか、責任ある医療の実施といったことよりも国策推進が優先であることが更に明らかになってくるのが、この次のやり取りです。

[山形大病院・細矢副院長]
 すみません、私の疑問をちょっと......(質問)させていただいてよろしいでしょうか。ジェネリックは、なぜ入れなくてはいけないのでしょうか? (委員ら、一様にあきれたような表情でざわつく。医療課の担当者らは、誰が発言すべきか相談している模様)

 根本的な問題で申し訳ございませんが、ジェネリックを入れるということは、ジェネリックを作っている薬品メーカーを救うためなんでしょうか? それとも、やっぱり新薬を開発するための薬品メーカーを支持したほうがいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか、その辺。
(略)

[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
 あの、難しい質問を......。私は医療課で薬剤管理官をやっております礒部と申します。

 今の話にどこまでお答えできるかということもありますが、私がジェネリックの推進を担当させていただいているので、私のほうから考えを述べさせていただきたい。

 基本的に、今、医療費、OECD諸国の平均と比べてまだまだ低いという言われ方、いろいろあるわけですが、やはり34兆円、35兆円という金額が使われていることは事実でございます。

 先生もご存じのように、医療費の内訳を見ますと、半分ぐらいは人件費でございまして、実際に高齢化社会の中では医療費がある程度増えざるを得ないのは仕方ないと思っているが、やはり国民にこれだけのご負担をお願いしている立場から考えますと、やはり節約できるものは節約をしていくということもしていかないと。
(略)

[山形大病院・細矢副院長]
 はい、それはよく理解しています。理解していますが、例えば、造影剤の話をさせていただくと、外国に比べて倍以上しております、値段がですね。もともとのジェネリックではないやつがですよ。
 それから、診療器具、私が使っているカテーテル、心臓カテーテルで使う道具ですね、3倍、10倍というのがあります。(強い口調で)これを下げるのがずっと大事じゃないでしょうか? と私は思う。ジェネリックなんかよりもずっとずっと大事だと私は思いますが、いかがでしょうか? (会場から笑い声。委員や医療課は不機嫌そう)

[西岡分科会長]
 ちょっと......、これは議論が外れますので......。(会場、爆笑)
 申し訳ないですが、先生、あとのところはカットさせてください。ちょっと違う議論になりますので......。
(略)

金がないんだから節約しろと主張する、ところが一番の無駄をどうして放置しているのかと突っ込まれれば話が違うと逃げるでは、やはりこれも公の記録に残されては困るんだろうなと思われる話ですが、さすがにこれで医療費節約のためでは説得力に欠けると言わざるを得ないのではないでしょうか?
このあたりはまあ色々としがらみもあるだろう(苦笑)厚労省の役人だから当然そういう発言も出てくるだろうと了解できる話ではあるのですが、ここからは一転して業界人からの吊し上げ?状態となってきます。

[邉見公雄氏(オブザーバー出席、全国自治体病院協議会会長]
(略)
 我々も、同じようなことを自治体病院、薬事委員会などでやっていますと、やはりドクターでなかなか賛成しない人が一杯いる。その中でも、私も礒部管理官に申し上げたが、医学、薬学教育の中でジェネリックというのは1行も1コマもない。その辺を直してほしいと申し上げたが、それが別の(文部科学)省ですね、という話になってしまう。いわゆる縦割りということで。
(略)
 だから、一番の問題は、(中医協)薬価専門部会でも(意見が)出ましたが、DPCに一番初めに入った大学病院、特定機能病院が進んでいないんですね。やはり、どこの病院(の医師)も、しばらく大学にいてから来る人が多いわけですから、そこがちゃんとやらないと、これはジェネリックが進まないんですねぇ。

 そうしますと、国策に反している国立大学ということになりますので......(会場、爆笑)、ぜひ、その辺のところはお考えいただきたいと思います。

[山形大病院・細矢副院長]
 今、国立大学ではないですね。国立大学法人でございますので......(会場、笑い)。

 文科省あるいは厚労省の話はできるだけ聴くようにはしているが、「病院の方針としてどうか」と言われますと、これは帰ってきちんと協議してからでないとお答えできませんが、基本的に診療内容をですね、病院としてこれを使えとか、いうことは......、病院の管理者としてはしない方針なんですね、我々としましては。

 ですから、(当院の)薬事委員会で「このジェネリックを使いましょう」ということをいただければそうなるが、薬事委員会の方針がどうなるか。(中略)

[小山分科会長代理(東邦大医療センター大森病院)]
 あ、そうですか。
 それから、もう1つ。我々が絶対守らなければならない療養担当規則がある。その中に、後発品の使用に努めろという項目があるんですが、先生のお考えは(病院の)執行部として、「(後発品に変更)しない」というお話だが......。

[山形大病院・細矢副院長]
 執行部として、病院全体にそういう規制をしないということでありまして、先生に、それはお任せするということでございます。
(略)

[西岡分科会長]
 あの......。細矢先生のお話を聞いていますと、私も大学(病院)にいたから分かるんですけれども、大学の一番いけないところを、先生、主張されているような......(会場、大爆笑)......、気がするんですね。

 大学病院といえども、やはり国民の医療を担当している病院ですので、各診療科の長、いわゆる教授ですね、教授が勝手にやっていいなんていうルールはどこにもないはずなんですね。だから、やはりそこのところはもう少し、用心してご発言いただけると非常にありがたい。

[山形大病院・細矢副院長]
 例えば、病院長にしろ副院長にしろ、自分の診療科に関してはよく分かっていますが、ほかの科の診療に関してはやっぱり分かりません、基本的に。

[西岡分科会長]
 (怒った顔で)先生、それは、病院として恥ずかしい発言ですから、やめてください! ええ、ええ。病院として統括されているのが病院長ですし、その下にいろいろな委員会があって、いろいろなことをやられていると思うんですね、そういうシステムが働いていないということを先生、おっしゃっていることになりますので......。(ここで細矢副院長が発言をさえぎる)

[山形大病院・細矢副院長]
 そんなことはございませんですよ。きちんと薬に関しては薬事委員会で、1つの効能に関してできるだけ少ないものにしようと、非常に少ない薬剤品目を買って、医療安全にはすごく貢献していると私は思います。その中のジェネリックが4.9%で、努力していないわけでは決してございません。
(略)

[西岡分科会長]
 よろしいですか、確かに、言葉の端々にかなり矛盾している点がありますので、これ、大学のほうにお持ち帰りいただきまして、後発医薬品を病院全体としてどういうふうにするのか、やはり絶対に使わないという形にされるのか、日本の国策上、(後発品を)導入しようと、しかもそれによって、先ほど邉見委員がおっしゃってくださったような形で医療費の再配分をしようということもございますので、ぜひともお持ち帰りいただいてご議論をお願いできればと思います。

医師の裁量権よりも国策を優先すべしと主張するその背景には、もちろんここが国策推進を強要する場であるということもあるのでしょうが、好意的に?解釈すれば医療費再分配に関わる利害関係もあって、要するに「お前のところで無駄金を使わず俺のところに回せ」という本音もあるようにも感じられますね。
このあたりは民主党政権となって医療費増額を言っていますけれども、そうなると仮にパイが大きくなって皆がそれなりに満足出来るようになっても、未だ切り分け方を医療安全性よりも優先せよと主張されていくのかどうかも気になるところです。

ただこれらの議論を見ていて一つ確実に言えることは、国の医療政策を決定したり遂行したりしている方々にとって「人の命は地球より重い」などと言う認識はさらさらなく、「命の沙汰も金次第」という考え方こそが常識であり推進されるべき国策だと捉えられているという事実でしょう。
彼らの認識の是非はここで論ずるべきものでもないし、別にそうした考えが政策遂行上一概に悪いものでもないだろうと思うのですが、まず国民はこうした考え方に従って医療政策というものは行われてきたのであり、今現在もそれに反する医療に対しては強力な指導(と言いますか、吊し上げですか(苦笑))が行われているのだという事実を認識しなければならないのでしょうね。

この辺りの国策遂行ということに関しては今までもたびたび取り上げて来ましたが、ちょうど民主党政権となってあちこちで今までと全く逆方向に方針転換を図っているという状況が沢山出てきていますから、こういう国策推進の手足となってきた方々が今後どう過去の路線と整合性を取っていくのだろうというあたりも興味深い見物だと思いますね(苦笑)。
まあしかし、最近ロハス・メディカルさんも面白いネタばかり拾ってきていますが、そういうのが好きな人がいるんでしょうねえ。

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2009年9月24日 (木)

うっかり関わると大変なことになりますよ

当「ぐり研」でも割合ちょくちょく引用させていただいている河北新報社に、先日こんな記事が載っていました。

河北新報:河北抄(2009年09月10日河北新報)

 宮城県内で初めて、新型インフルエンザに感染した疑いのある患者が、先日死亡した。90歳の男性だった。

 この方が生まれたころ、大流行していたのが「スペイン風邪」だ。世界で4千万人が死亡し20世紀最悪のインフルエンザとされる。次代を担う赤ん坊は、大事にされたはずだ。

 仙台の眼科医小田泰子さんは「当時も今も、人間のできることはそんなに変わっていない」と言う。大正期の新聞記事や記録を丹念に調べ、現代への教訓を知ろうとしている。

 当時、学校や軍隊で若者の被害が拡大したり、患者の増加で病院の対応が後手に回ったりする様子が、本紙記事からもうかがえる。

 うがいやマスクの効能、せきエチケットを的確に説く文書も。大昔から繰り返されてきた人とウイルスとの闘い。90年前も今も予防策に大した差はない。

 「軽症者は当時3日寝れば治るとされ“三日熱”と言われていた。基礎疾患のある人はしっかり自分を守るべきだが、社会の過剰反応は避けたい」と小田さんは、医師らしい落ち着いた見方をする。
 ここまで来たら、慌てず騒がずに、ということだろうか。

記事自体は特別毒にも成らなければ薬にもならないといった内容の話なのですが、素朴な疑問としてインフルエンザネタなのに何故眼科医?とは思わないでしょうか。
仙台の眼科医で小田泰子氏と言いますと、どうやらブログを開設して普段から情報発信されている小田眼科医院の院長先生なのではないかと思うのですが、この先生は眼科女性医師活性化委員会を務められたり、日本女医会会長を務められたりしているようで、それなりに熱心にお仕事をされているのは理解できるのですけれどもね。
それでも国立医療センターでの研修歴があるというだけの皮膚科医に内視鏡処置についてコメントを求めるなどと言う大技をかます某社と比べれば、ちゃんと眼科医と書いて出すところがマスコミにしてはまだ良心的なほうでしょうか。

近ごろではマスコミに登場する人間のコメントは鵜呑みにするなとも言われますが、その意味として一つには彼らと要領よくつきあえるような御用学者の類は果たして信用できるのか?と言うことがあって、例えば前述の元国立医療センター勤務医氏(笑)などのように畑違いのジャンルに頓珍漢なコメントを出して悦に入っている自称専門家が大勢いるという背景事情があります。
そしてもう一つにはマスコミに取材される過程で好き放題にコメントを切り貼りされ、いつの間にか思ってもいないことを言っていたと捏造されてしまう危険性があるということで、以前にも話題になったNHKの台湾問題捏造報道事件なども、捏造の被害にあった現地の方々まで訴訟に参加するという事態になってきているようです。

最近では彼らの技も進化していて、例の裁判員制度では発言してはいけないことをわざわざ発言させようと素人の裁判員相手にトラップを仕掛けるという高度な技?まで駆使するようになってきたそうですから、一介の市民であってもいつどこで報道被害に遭遇するか知れたものではないということですね。
このあたりの彼らの海千山千のテクニックを知る上で参考になるのが最近話題になったこちらの一件なんですが、まずは第一報から紹介してみましょう。

漫画家、唐沢なをきさんがNHK放送を中止要請 「取材が不愉快だったから」(2009年9月14日産経新聞)

 「ヌイグルメン!」などの作品で知られる漫画家の唐沢なをきさん(47)が、NHK衛星第2「マンガノゲンバ」の取材を途中で打ち切り、番組放送中止を要請したことが、14日、わかった。妻でエッセイストの唐沢よしこさんが自身のブログで明らかにした。番組では漫画家の仕事現場に密着し、作品の魅力に面白さの秘密をさぐる。ブログによると、中止を要請した理由について、「インタビューが誘導尋問的」だったと説明。「この番組の取材、ほんっっっと~~~~に不愉快だったから」とも綴られており、取材方法をめぐってトラブルがあったようだ。

これだけですと一体何の事やらわからないという話ですが、世間的にはマスコミと持ちつ持たれつの関係にあると見られているだろう漫画家というものが、敢えてメディアと決別するかのような態度に出たわけですから、よほどの事情があったのだろうとは想像されるところですよね。
一昔前であればこうした事例の背景は一切表に出ることもなく、それ故に情報流通を一手に握っているマスコミのやりたい放題が続いてきたという歴史もあるわけですが、昨今ではブログ等で自ら情報発信をするという手段もあれば、彼ら既存マスコミの対抗勢力たるネットメディアの存在もありますから、いずれ事情が流出してくるようになっているのはありがたいです。

漫画家がNHKの「ほんっと~に不愉快!」な対応に取材拒否! 真相を語る(2009年9月13日ガジェット通信)

人気漫画家の唐沢なをき先生をご存知だろうか? 『週刊アスキー』で『電脳なをさん』を連載しているので、インターネットユーザーには知られている漫画家といえよう。さらに、『コミックビーム』では『まんが極道』、『ガンダムエース』では『機動戦士ぶよガンダム』、『イブニング』では『ヌイグルメン!』を連載中で、たとえ名前は知らなくても一度や二度は絵柄を見たことはあるはずだ。

そんな唐沢なをき先生と妻でありエッセイストのよしこ先生が、NHKの人気番組『マンガノゲンバ』の取材を受けていたところ、あまりに失礼な取材だったため取材を途中で拒否。放送の中止が決定していたことが判明した。このことをよしこ先生がブログ『からまんブログ』で激白。NHK取材を拒否したことを伝える報告は以下のとおりだ。

<よしこ先生のブログコメント>
「NHK-BSで放送している『マンガノゲンバ』の取材を受けたと書きましたが、残りの取材を拒否してしまいました。つまり、放送も中止です。放送を期待してくれていた方もいらしたと思うんですが、大変申し訳ありません。また、残りの取材で協力してもらう予定だった方々にもご迷惑かけました。申し訳ありません。『ヌイグルメン!』を取り上げる予定になっていたんで、「新たにこの漫画を知ってもらえるいい機会だし、より多くの人に読んでもらえるようになるかも!」と、ガマンしようと思ったんですが、耐えられなかったです。すみません」(ブログより引用)

この文面からすると、NHKの取材班と唐沢先生との間になんらかのトラブルがあったことが予想できる。その後、新たにブログを更新して「NHKと何があったのか」詳細を語っている。

<よしこ先生のブログコメント>
「『マンガノゲンバ』の取材、放送を中止してもらった理由ですが、この番組の取材、ほんっっっと~~~~に不愉快だったからです。びっくりしました。なんというか、インタビューが誘導尋問的なんですよ。ディレクターさんがなをさんに質問し、それになをさんが作画しながら答えるというところを撮影してたんですが、なんか、このディレクターさん、勝手に頭の中で「ストーリー」を作っちゃってるんですよね。唐沢なをき像というか。なをさんは子供の頃から、ずーっと特撮の舞台裏の漫画を描くことだけ考えてた人で、ほかの漫画は全部イヤイヤ描いた漫画で、今、『ヌイグルメン!』で特撮の舞台裏が描けて幸せだあ! ってな感じの筋立てになってるようでした」(ブログより引用)

<NHKの考えと態度・唐沢夫妻の考えを要約>
・事前取材で先生の考えを勝手に解釈して番組の流れを作ってる
・ディレクターが描いた返答をしないと「いや、そういう答えじゃなくて~」とインタビューやり直し
・ディレクターの「ストーリー」に即した答えを言うまで許してくれない
・インタビューで先生が返答する内容を質問する前から想定してる(想定とずれるとやり直し)
・それでも道筋にない返答だと「あーそれじゃあですね!」と、あからさまに嫌そうに別の質問
・嫌そうな態度されると「この漫画家、使えない答えしか言わない」と思われてるようで不愉快
・「良い答えがいえない俺」という罪悪感から相手が望む返答を本意ではないのに言ってしまう
・先生はヤラセに対して否定的ではなく出演者も視聴者も楽しいヤラセのウソはアリだと考える
・仕込みやヤラセに協力させたいならば、ちゃんと漫画家に事前に協力要請するべき
・『ヌイグルメン!』のネタを夫婦で考えてると言ったら会議の様子を勝手にストーリー化された
・こんなの勝手に考えてくる前に、どういう風に会議やってるのか、なぜ聞いてこない?
・自分のストーリーに合わないことには、聞く耳持たないディレクターだった
・ネタ会議のシーンの撮影で、実際に漫画に使うネタを考えてくれとディレクターに言われた
・「撮影されつつネタ考えるなんて無理」と言っても「いや、それじゃリアルじゃないから」と拒否
・「会議撮影中に考えたネタをそのまま漫画に載せて欲しい」とディレクターから無理難題
※漫画用語では「ネーム」ですが一般的にわかりやすく「ネタ」という表現にしています

などなど、この数倍のムカツキシーンが夫妻にはあったようだが、詳細はブログ『からまんブログ』を読んでみるといいだろう。しかし、なかでもいちばん驚いたのは、『ヌイグルメン!』の漫画取材のためスーツアクター(着ぐるみを着用して演技をする俳優)の方に先生が取材をするシーンを撮影することになり、打ち合わせをしたときのディレクターの発言だ。

「このスーツアクターさんに取材したおかげで、漫画の主人公のイリヒトが成長したって感じにしたい。このスーツアクターさんの言葉が、実際に漫画に影響を与えた、という流れにしたい」と、ディレクターが夫妻に注文してきたというのだ。「したい」とはどういうことなのだろうか? 「する」のは先生なのだが、どうしてディレクターの思惑がそこに入ってくるのか理解できない。

この取材、唐沢先生がスーツアクターとしてNHKに言われるがままの演技を要求されたようなものである。そんな皮肉も言いたくなるNHKの取材、あなたはどうお思いだろうか? 最後によしこ先生は「うちの『マンガノゲンバ』の取材はかように不快なものでしたが、ほかの漫画家の先生方の取材がどんな様子だったのかはわかりません。全部が全部、ウチのケースと同様とは限らないことをお断りしておきます」とコメントしている。

当の「からまんブログ」の方も参照していただければ状況はかなり明確であるかと思える話なんですが、「「絶対に放送されたくない!」と思わせる決定的な誘導尋問がひとつあったんですが……それ、今月の『まんが極道』のネタ、というかオチに使ってしまった」んだそうで、このあたりは転んでもただでは起きないたくましさということなんでしょうか(笑)。
ブログによればその後「件のディレクター」は抜きでNHK側から謝罪を受け、一応この件については一件落着したということなんですが、こういうのは思わぬ高い授業料についたと考えるべきなんでしょうかね?

「ヤラセ」に激怒 漫画家唐沢なをき 「NHKの謝罪受けることにした」(2009年9月17日J-CASTニュース)

   NHKのディレクターが取材の際、ありえないストーリーを持ってきて、誘導尋問までしたーー漫画家の唐沢なをきさんの妻でエッセイストのよしこさんがブログでこう暴露し、その結果NHKの謝罪を受けることになった、と記している。

取材初日からNHKとトラブル

   このブログは「からまんブログ」といい、漫画家の唐沢なをきさんと妻のよしこさんが2人で綴っている。よしこさんは2009年7月9日付けで、NHK-BSで放送されている「マンガノゲンバ」の取材を夫なをきさんが受けることになった、と報告した。この番組は話題のマンガや作家を紹介するもの。そして、取材初日からNHKとのトラブルがあったとしている。まず、NHKスタッフが取材時間を間違えて伝えてきた。そして、NHKが想定している夫のイメージと実際の夫との間に違和感がある、というのだ。

   そして09年9月12日、よしこさんは「マンガノゲンバ取材中止しました」と書き、翌日にその理由を「この番組の取材、ほんっっっと~~~~に不愉快だったからです。びっくりしました」と長文で綴った。NHKのディレクターについて、まず「インタビューが誘導尋問的」。ディレクターは勝手に頭の中でストーリーを作っていて、なをきさんがインタビューに答えると「いや、そういう答えじゃなくて~」と要求し、ストーリーに合った答えを言うまで許してくれない

   また、実際にはやっていない「夫婦によるマンガ制作会議」を強要。さらに、なをきさんがある人物にインタビューするシーンを撮影。そのインタビューのおかげで、なをきさんが描くマンガの主人公が成長、「実際に漫画に影響を与えた、という流れにしたい」という要望まであったのだそうだ。

ディレクターは連れてこないで

   このブログがアップされるとネットの掲示板などでNHKを批判するカキコミが溢れた。よしこさんは09年9月15日のブログで「すごい騒ぎになってびっくりしました」。そして、励ましのメールが十数通メール来て、その半分は「自分も取材でひどい目にあったので、共感した!」という内容で、非常に興味深かった、と明かした。

   そして同日付けで、「マンガノゲンバ」スタッフが謝罪に来ることになり、今週会うと報告している。実は今回の騒動になる前に、2回ほど謝罪に伺いたいという話しが担当の編集者を通して来ていたのだという。謝罪を断っていたのは担当したNHKのディレクターに会いたくなかったことと、嫌な取材を思い出したくなかったから。しかし、これだけ騒動になってしまったため、会わないわけにはいかなくなった。会う条件は「くれぐれもディレクターさんは連れてこないでください」ということだそうだ。

今回の一件では自らブログで発信しているような作家の方だっただけにこれだけ事態が公になりましたが、世の中には当然泣き寝入りをしてきたという人々の方が多いでしょうし、実際唐沢夫妻のところには「自分も取材でひどい目にあったので、共感した!」というメールが殺到しているということです。
この件はそれなりに大騒ぎになりましたのであちこちで取り上げているブログもあるようですが、個人的に「なるほど」と思ったのはこちらの記事でしょうか。

演出? いや、そうじゃなくてー、現実改変の「お仕事」?(2009年9月17日ブログ記事)より抜粋

そういえば、ものすごく些細な話 (しかもチラ裏) だけど、友人が昔、「私の部屋」みたい
な雑誌に載ったことがあって。その子は普段、トイレのドアの向かいの壁が斜めになって
いる構造なのは使いにくいと愚痴っていた。それがなぜか雑誌掲載時には、この斜めの
壁がカッコよいから気に入っています――と、正反対の話になっていたという。

その友人は、インタビューにこたえたことと逆のことを書かれちゃったと笑っていたが、
傍でみていたこちらは記事を書く人って何でこんなことをするんだろうと思い、そして、
いまだに不思議に思っていたりする。

思想信条によるものとか、読者に受けるために面白おかしくするとかだったら、批判的な
気持ちにはなっても、理解不能な動機だとまでは思わないんだけど。でも、嘘を書いて
話が面白くなったわけでは別にないし、嘘ではない記事をつくることだって簡単 (住んで
いる人間の意見としてではなく地の文で書けばよいだけ) なのに、何でわざわざそんな
ことするんだろう、と。

だけど、広告会社勤務の別の友人にたずねてみたら、その手の違和感自体を、あまり
理解してもらえなかった。記事を書いた人は、それでよい記事になると信じて一生懸命
書いたのだからオッケーみたいな。そもそも、事実と違うことを書くのはあまりよくない、
嘘は少ないほどよい、なんて感覚を共有してもらえないというか……。

んで、今思っているのは、そういう人たちって、むしろ本当のことじゃないことを混ぜない
と、「仕事」をした気になれないのかもということ。優秀な寿司職人のやるような「仕事」
だったらともかく、刺身とかで食べたらそこそこおいしいものを、下手に料理して激マズ
料理にしてしまうってなことは、やめて欲しいと思うんだけど……でも、自分が優れた
料理人だと誤解している (または無理にでもそう信じようとしている) 人は、おいそれとは
やめてくれないんだろうなあ。あるいは、現実を改変する作業自体が、電信柱への犬の
オシッコみたいに、一種のマーキングになっていて、やめられないとか。

放っておいてもどうでもいいようなことなんだけども、ついつい一手間加えてしまうってことはどこの世界でも結構あることですよね。
全くの余談ですが、その昔スモンが問題になったころには何でもかんでもとりあえず整腸剤をついでに出すという先生が結構各地にいて、必要もないと思われる症例にもキノホルムが出されていたことがあれだけ全国的被害を招いた要因と考えられています。
その時代を知るご老人によれば「病院にいって帰ると、まず飲む薬と飲まない薬とを仕分けするのが最初の仕事だった」なんて笑い話のような状況もあったようですが、逆に現代ではEBM(根拠に基づいた医療)という考え方が滲透した結果、「この薬を出せ」「あの注射をしろ」と必要もない投薬を要求する患者とのトラブルの方が多くなってきたのは時代の流れでしょうか。

いずれにしてもどうせ一手間かけるということであれば、より美味しくなる方向で一手間かけた方が料理人もお客も幸せになれるのは道理ですから、「こんな糞まずいものが食えるか!」とお客が激怒して帰って行くような仕事をしていてはいけないということでしょうかね。
しかしそう考えると、何一つ見習うべき点がないようなどうしようもない勘違い料理人さんでも、少なくとも反面教師にはなるということなんでしょうか(苦笑)。

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2009年9月23日 (水)

今日のぐり「支那そばや 岡山分店」

先日はイギリスの学校給食があまりにアレであるという話題を紹介しましたが、どうもアレなのは学校だけではないようです。
本日もブリネタを幾つか取り上げてみますが、まずはこういう話題から紹介してみましょう。

病院食にうんざり!英入院患者の献立ブログ(2009年09月20日AFP)

 病院食のあまりの質の低さにうんざりした英国の入院患者が、携帯電話のカメラで毎食の写真を撮ってブログにあげ、ブログの読者たちに写真のメニューは何かを当てさせる「病院食ビンゴ」ゲームをやっている。

 この男性患者のブログ上には現在までに、病院食メニュー35種類の写真が載っているが、ビンゴに参加した人たちは、約半分について何のメニューか当てることができなかった

 写真には、そのメニューを食べた男性患者の「感想」もついている。マカロニチーズの感想は「壁紙用ののりだったんじゃないかと思える物体。誰かの作業着にこれをまき散らし、そのまま飛行機の底にべたっとはりつけて、そのへんを曲芸飛行でひとっ飛びしても大丈夫そう」といった具合だ。

 ブログの主は「トラクション・マン(Traction Man)」とだけ名乗っている。デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙によると、この患者は珍しい骨の病気で2月から入院している。

 病院の名前は明かされていない。なぜなら、トラクション・マンによると病院の治療は「文句なしに素晴らしく」、スタッフも「最高」だからだそうだ。

食に関しては著しく耐性が高いだろうブリの方にとっても「あまりの質の低さにうんざり」するほどのものがどういったレベルにあるのかは興味あるところですが、しかし見ても食べても正体不明の料理が出てくるというのは…
まあ病院食というのは一般的に治療上の目的というものが優先される傾向にありますから、病気によってはとても人間の食べるべきものとも思えないような味のものも出てくることはあるでしょうけれどもね。
それでも治療に関しては素晴らしいと満足されているようですからまずは良かったということなのでしょうが、危うく治療どころではない状況から生還したというブリな方の話題がこちらです。

パラシュート開かず3000m落下の英国人男性、奇跡的生還(2009年8月17日サーチナ)

 英国中西部のシュロップシャー州で14日、スカイダイビングの撮影をしていた男性カメラマンが、パラシュートが開かないままで落下した。男性は飛行機の格納庫の屋根に激突したが、命に別状はないという。中国新聞社が17日、香港メディアなどを引用して伝えた。

 「奇跡の生還」を果たしたのは、英国人のカメラマン、ポール・ルイスさん。40歳で、20年あまりのスカイダイビング撮影の経験があるという。ルイスさんは、現地のスカイダイビング会社の撮影依頼により、他の2人ともに、高度約3000メートルの上空からスカイダイビングを始めた。

 高度900メートル(3000フィート)でパラシュートを使用する予定だったが、開かず。予備のパラシュートにもトラブルが発生し、地上600メートルからは「自由落下」の状態になった。

 ルイスさん地上の飛行機格納庫の屋根に激突した。屋根には傾斜がありルイスさんの体は縦方向の運動量をそぐ形で、横方向にバウンドしたとみられる。同時に、屋根の頂上部分に開かなかったパラシュートが引っかかり、それ以上の落下を食いとめた。

 ルイスさんは頭部と首に負傷して、ヘリコプターで病院に空輸されたが、命に別状はないという。翌日にはけがの状態も安定し、精神的にも落ち着いているという。「パラシュート・センター」の責任者によると、ぶつかった屋根は金属の板で作られており、へこむことで衝撃を吸収した。落下位置が3メートルずれていたら、コンクリート部分に激突した。比較的軽いけがですんだのは、「奇跡的なほど、運がよかった」という。

 これまで、スカイダイビングの様子を撮影してもらったという女性は「ルイスさんはよい人。プロフェッショナルでユーモアのセンスもある。助かってうれしい」と語った。(編集担当:如月隼人)

超高空から落下して大丈夫だったというケースは時々ありますけれども、木の梢や雪原がクッションになったという場合が多いようですから、比較的こういうケースはレアなのではないですかね。
しかしこれ、仮に助かったとしても精神的なダメージは相当なものではないかと思いますけれども、再び元の仕事に戻れるのかどうかは気になるところですかね。
このあたりは単に珍しいというだけでブリ的精神あふれる、とまではいかないところですけれども、このあたりになってきますと目的達成のための方法論の選択という部分でかなりブリ風味が濃厚になってきたと感じられるところです。

交通安全狙い信号撤去=運転手・歩行者に注意促す-ロンドン(2009年9月19日時事通信)

 【ロンドン時事】大都市ロンドンの市街地から信号機などを一部撤去する計画が動き始めた。交通渋滞の解消のほか、運転手や歩行者に注意を促して安全性を向上させるのが狙い。実施主体のウェストミンスター区は「400基の信号機のうち20%は撤去できる」(広報)と目標を掲げる。
 計画は市長の公約の一環。11月には、市中心部の同区がウェストミンスター寺院前の道路で信号を2週間消灯、監視カメラで安全性を確認する実験を始める。来年夏にはビクトリア駅近くの交差点で15基ある信号機を完全に撤去。実験の成果を踏まえ、対象を他地域に拡大する。
 似たような取り組みは既に始まっている。ハイドパーク近くの大通りでは、道路標識などを大幅に削減。この結果、利用者の安全意識が高まり、交通事故が44%減少した。
 同区責任者は「信号機に頼るよりも運転手はより注意深くなるだろう」と狙いを説明。計画を主導する市長も「人々の移動や街の美観が改善される」と意義を強調する。 

まあ、それもうまくいくということであれば結構なんですが、交通事故は減るとしても交通の状況であるとか、他のいろいろな部分はどうなっているのでしょうかね?
ちなみに日本でも都市部ではかなり一般的なスクランブル交差点が最近あちらでも注目されてきているということなんですが、こちらは効率性という点から評価されているということですから、このあたりにも国民性の違いというものが現れているとも感じられるところです。
さて、最後は本日のメインディッシュと申しましょうか、これぞブリという非常に「らしい」ニュースを紹介させていただきましょう。

交わした約束は、「どちらかが死んだらドレスを着て葬式に出ること」(2009年9月18日HEAVEN)

もちろん、2人とも本当に約束を果たす日がくるとは思いたくなかったにちがいありません。

15日、アフガニスタンで戦死したブラックウォッチ(英陸軍スコットランド高地連隊)の兵士、ケビン・エリオットの葬式に、明るいグリーンのミニドレスにピンクのレッグウォーマーという出で立ちであらわれたのは、エリオットの戦友、バリー・デレーニです。

戦死したエリオットは先月31日、アフガニスタン南西部の州、ヘルマンド川でパトロールをしている間に殺されました。24歳でした。
生前、エリオットとデレーニはこんな約束を交わしました。もしどちらかが死んだら、生き残った方はドレスを着て葬式に出ること。

スコットランドのダンディーでおこなわれた軍葬に、戦友との約束をたがえずドレスを着て参列したデレーニは、弔砲が鳴らされると感極まったのか墓の前にひざまずいて涙ぐみました。

追記 : 米欄で指摘がありましが、名前をとり違えていたようです。戦死した方がエリオットで、ドレスを着て葬儀に参列したのがデレーニでした。訂正し、謹んでお詫び申し上げます。
それと、追加情報として、2人の間の約束は「グリーンの水玉模様のついたピンクのドレスを着ること」だったそうです。デレーニはピンクのドレスをさがしましたが見つからず、「より愚かに見えることを望んで」グリーンのドレスにピンクのレッグウォーマーを着けることにしたということです。

恐らく想像するところではスコットランドの方ということですから、戦友達と「おいお前、今日はスカートはかないのかよ(笑」「あっお前!我らが民族の伝統を馬鹿にしたなっ!ゆるさねえ!」「へっ!お前が葬式出す時には俺もスカートはいてやるよ」なんてやり取りがあったのではないかと思われるところで、そのあたりがこの一見奇妙な約束につながる伏線となっていたのかも知れません。
いやまあしかし、これはですね…たぶん本当はすごく泣けるようないい話なんでしょうけれども…あれ、おかしいですね、何故か写真を見ていますと鼻から涙が…

今日のぐり「支那そばや 岡山分店」

たまたま通りかかって見かけたので入ってみたこの店、どこかで見たことがあるような店名だと思いましたら、有名店ののれん分けなんだそうですね。
見た感じは今風のラーメン屋といったところでごく普通なんですが、一歩足を踏み入れてみてびっくり…店内に誰もいないんですよ。
いや客がいないのはまだいいとして、店員も一人もいないってどういう…?営業中の看板は出ていたように思ったんですが…

席に座ってしばらくメニューなど眺めたりしていたのですが何も変化がないようなので、仕方なく奥に向かって繰り返し呼びかけること数分間。
いい加減店を変えようかと思い始めたころになって、ようやく「あ?」という感じで親父さんらしき人物が登場しましたので、鶏白湯醤油ラーメンを注文しました。
ちなみにこの店、調べたところによるともともと昔懐かしい系の支那そばというのがメインで、どうもこの鶏白湯というのは後で追加されたようですね。
どちらも醤油ダレと塩ダレの二種類が基本で、さらに加えて激辛系もあるらしいですね(もちろん食べませんが)。

ちょうど作るところを見ていましたが、どうも釜の湯が少なすぎる印象で、振りザルの先端付近しか浸かっていないのを無理矢理?箸で手荒くほぐしながら茹でるものだから、麺の表面も傷むし食感も悪化してしまいます。
スープ自体はそこそこすっきりしている感じなんですが問題はタレの方で、この日は大汗をかいたところで結構塩気が欲しい気分だったんですが、それでも塩加減がきついなと感じるくらいですから、ちょっと醤油ダレが強すぎたかなという気はしましたね。
トッピングはネギとシナチク、チャーシューといったところですが、チャーシューなどあぶっているのかちょいと今風な感じもする一方で、シナチクなんて昭和っぽい食材も使ってあったり、この手の新しいチェーン店にしてはどうも今ひとつコンセプトがつかみがたい印象でした。

ついでに言うとトッピングを扱うにもお客と伝票のやり取りをするにも片手でやるものではなくて、それは見せるのも接客のうちなんですからちゃんと両手を使ったほうがよろしいでしょうね。
結局この日は他に誰も出会わないまま店を後にしましたが、レジの伝票の数や麺の仕入れなどを見るとそう過疎っている気配でもないのに、やはりこの日は何かしら悪いときに来てしまったということなんでしょうか。
しかし店員一人なのかと思っていましたら奥にまだいる気配で、それではみんなして営業中の店放り出してどこで油を売っていたのかと他人事ながら接客業として心配なところがあります。
正直この日はさほど感銘を受ける店でもまた来たいと思わせる店でもない印象だったんですが、結構評判はそう悪くはないようですから何かしら調子が悪かったのでしょうか。

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2009年9月22日 (火)

今日のぐり「あかり」

先日はクマが人を襲ったという話が結構大きなニュースになっていましたが、やはり生物というものは人間にとって最も身近な親しむべき存在であると同時に、大きな脅威でもあるのだなと言うことを実感させられますね。
近ごろでは人混みの中を歩いているだけでもいつ新型インフルエンザに襲われるかと気が気ではない人もいらっしゃるかも知れませんが、ふと足許をみればそこには思いがけない何かが転がっているかも知れないと警鐘を鳴らしているのがこちらの記事です。

バンカーにカメが産卵 松茂のゴルフ練習場で20個 /徳島(2009年8月25日徳島新聞)

 松茂町中喜来のゴルフ練習場「モリカンランド」のバンカーからカメの卵が見つかった。約20平方メートルのバンカーの砂の中に、長さ4センチの卵が約20個産み付けられている。

 コースを回っていた前川光英主任(37)らが、バンカーをはう40センチほどのカメを発見。回り終えた約1時間後に姿はなく、砂を掘ると卵が出てきたという。埋め直した上で、お客さんに踏まれないよう「修理地」の立て札を置き、四方をロープで囲った。

 カメの種類は不明だが、バンカーの約70メートル北側にある水路から産卵のため上陸し、砂場を探り当てたとみられる。森寛八郎取締役(68)は「25年間営業してきて、こんな経験は初めて。ふ化したら水槽で育てたい」と心待ちにしている。

いやあ、こんなものいきなり遭遇したらそれはびっくりしますよねえ。
現場となった松茂町と言えば吉野川河口近くで海からもさほど遠からぬところのようですが、しかしわざわざこんなところまでやってきたのはどんな奇特な亀なのでしょうか。
同じく水棲生物の脅威と言えばこちらもそうなのですが、どちらかと言えば「強敵(ライバル)」と書いて「とも」とルビを振る世界という感じなのでしょうかね?

巨大コイ「ベンソン」の死、英釣り人から悲しみの声/英(2009年8月5日ロイター)

英国最大のコイとされていた「ベンソン」が湖で死んでいるのが見つかり、釣り人らから悲しみのメッセージが寄せられている。

 「ベンソン」は重さ29キロで、20─25歳とみられていた。釣り人の間では有名で、これまで60回以上釣られたことがあったという。

 死因は分かっていないが、餌に使われることがある生のナッツを食べたことが原因である可能性も指摘されている。

 2005年に釣り雑誌「Anglers Mail」で読者からお気に入りのコイに選ばれた「ベンソン」は、今は展示のために冷凍されている。

こちら記事の写真も参照いただきたいところですが、しかしこんな巨大なコイが生のナッツにあたって死ぬというのもどうなのよという感じなんですけれども、「これまで60回以上釣られたことがあった」って…もしや紳士淑女のおもちゃ状態?
コイの20歳と言うと人間の何歳に相当するのか知りませんけれども、それはいい歳をしてこういう目にあい続けていればいずれ衰弱死もするだろうとは誰も考えなかったんでしょうかね…ブリだけに。
ブリと言えば同じく生物絡みでこういう話題もありますけれども、やはり昨今ではどこの国でもこういう話はあるのだなと感じさせるところではありますね。

このフライはタラ?ナマズ? 英国名物料理にも偽装騒ぎ/英(2009年9月20日朝日新聞)

 小麦色にカリッと揚げた衣に酢や塩をかけガブリとかみつくと、中にフワッとした白身魚が現れる。フライドポテトとともに食べる「フィッシュ・アンド・チップス」は英国を代表する食べ物だ。

 どんな魚を使うかは決まっていないが、定番はタラだ。大西洋の冷たい海水で育った、身の引き締まった肉は一番人気だ。

 しかし、この伝統に異変が起きた。

 英国から遠く離れたベトナムで養殖されたナマズの一種「コブラ」が、タラの代わりに使われているという。見た目はまったく違うが、切り身にして揚げると、たいていの人は区別がつかない。

 冷凍で空輸されたコブラは1キロ当たり約5ポンド(約760円)。一方、タラは約12ポンドと倍以上もする。

 これに目を付けた英中部ウースタシャー州の店が昨年、経費を抑えるため、タラと偽ってコブラをフィッシュ・アンド・チップスに使っていたという事件が発覚した。食品安全条例違反で摘発され、約4千ポンドの罰金を命じられた。捜査当局はこれをきっかけに全国調査を始めた。

 8500店が加盟する英国魚フライ業者連盟の幹部は「消費者への信頼と同業者の誇りをおとしめる行為」と偽装行為に激怒する。しかし一方で「金融危機で人々の懐が寂しい中、安価なコブラの利用は悪いことではない。確かにタラより味は落ちるが、正当なメニューとして共存できるはずだ」と消費者の理解を求めている。(土佐茂生)

まあナマズという魚もアジアでは代表的な淡水食用魚の一つで、まともなナマズなら決してまずいというものでもないんですが、安かろう悪かろうの品を輸入したというのであれば味も良くもなかろうでしょうし、何より意図的に騙して売ったとなれば問題ですね。
このあたりの「もともと似ても似つかない食材の流用」というのは日本でも回転寿司だとか、いわゆる「白身魚のフライ」なんてものでも幾らでもある話ではありますけれども、「普通魚料理って魚の名前を出して売ってるのに何故白身魚のフライは何の魚か書いてないの?」という素朴な疑問を大事にしてみるあたりから始めて見るのも良いんでしょうね。
さて、最後は怖い怖い生き物の話ですが、怖いからと言って悪さをするかと言えばそうでもないということには留意いただく必要があるでしょうね。

ホラー映画にも登場できる、怖い生物3選(2009年9月16日WIRED VISION)

子供達から「怪物は本当にいるの?」と尋ねられたとき、「いないよ」とは簡単に言えなくなるような生物たちを紹介しよう。まるでH.P.ラヴクラフトの恐怖小説[クトゥルフ神話シリーズ]に出てくるような生物だが、本物の生物たちだ。

巨大クラゲ

海洋生物学者によると、この夏、巨大クラゲの存在が世界中の海で増殖しているという。巨大クラゲの拡大は、天敵の多くが乱獲で激減していることに加え、海水温の上昇で餌が増えているのが理由ではないかとも言われている。

よくある映画なら「巨大モンスターに恐れをなして人が退散する」ところなのだろうが、少なくとも日本の起業家、福田金男氏の場合はそうではない。同氏は捕獲された大型クラゲを使った、さまざまな商品の開発に取り組んでいる。[リンク先は、2007年に行なわれた米国のラジオ番組でのインタビュー。福田氏は株式会社「くらげ普及協会」に属している]

[巨大クラゲには各種あるが、平均重量や大きさではエチゼンクラゲが最大とされる(傘の直径が2メートル、重さ150キログラムになるものもある)。日本では人が刺されたという報告は殆どされていないが、毒性は高め。

近年日本沿岸で大発生を繰り返しており、漁業に障害が出ている。温暖化や富栄養化、魚類の乱獲によって動物性プランクトンが余り、それを餌とするエチゼンクラゲが大量発生、さらにはエチゼンクラゲによって魚の卵や稚魚が食害されてさらに魚類が減るという悪循環のメカニズムになっていると指摘されている。天敵はアジやカワハギで、寿命は8カ月程度。

学名は「Nemopilema nomurai」。nomuraiは、1921年に福井県水産試験場の野村貫一氏から標本が届けられたところから取られた。英語名は「Nomura's jellyfish」。なお、福井県では「エチゼンクラゲ」の名称が報道される度に同県産の海産物のイメージダウンになることを危惧して「大型クラゲ」などと言い換えをするように報道各社に要望している]

あばら骨が飛び出すイモリ

オーストリアの研究チームの報告によると、イベリアトゲイモリについて新しいことがわかったという。イベリアトゲイモリは防御行動として、自らの肋骨を使うことがあるのだが、その詳しい仕組みはこれまでわかっていなかった。[イベリアトゲイモリはスペイン南部からモロッコ北西部に生息。全長17-20cm。最大全長30cmとイモリ科最大種]

窮地に追い込まれたイベリアトゲイモリは、肋骨を回転させて相手に向け、そのとがった先端を自らの皮膚越しにぐっと突き出す。驚きなのは、ネコのつめのように皮膚に特別な穴やさやの構造があるわけではないことだ。単純に、自分の胸壁と皮膚を貫通させて骨を突き出す。小さな穴が残るが、イベリアトゲイモリはこれを強力な免疫システムで再生する。すぐに頭に浮かぶのは、コミックスの『ウルヴァリン』(Wolverine)だ[出し入れが可能なカミソリのように鋭い爪があり、どんな怪我からも回復することができる治癒能力がある]

口の中のエイリアン

フランスの北の沿岸で、かなりぞっとする寄生方法を進化させた、寄生性等脚類(寄生虫の仲間)を漁師が見つけた。

この生物は魚の口に入り込みその舌をむさぼり食う。その後、魚の喉の奥に陣取り、おそらくはそこで宿主の魚が食べるものを餌にしていると思われる。とても奇っ怪な話だが、舌を失ったことを別にして、宿主にされた魚は病的影響を受けていないように見える。

[ウオノエ(魚の餌)と呼ばれ、甲殻綱等脚目ウオノエ科に属する魚の寄生虫の総称。アジ、タイ、サヨリなどの魚の口内やえら、体表面にへばりつき、体液を吸う。宿主の魚の口内に入り込む方法として、食料に見せかけて魚に食われたふりをし、口内に入り込み、口内の一部を壊死させそこに住み着き、魚が得た食料をそのまま食す。

宿主の魚が息絶えると離れるため、魚を釣った後クーラーボックスの中を泳いでいるのが見かけられることもある。またスーパーに売っている魚でも、稀に口などからウオノエが覗いている場合もあるという。日本におけるウオノエの研究はあまり進んでおらず、種類や宿主などについては不明な点が多い。このため、広島大学などではウオノエを見つけたら送ってほしいと呼びかけている]

しかし身体張りすぎだろイベリアトゲイモリ…
ウオノエと言えば日本でも時々釣ったタイの口の中から!なんてショッキングな目撃報告が出てくるものですけれども、確かにこういうのが出てくると幾らうまそうな魚でも食欲が湧かなくなりますよね。
ぜひともここはリンク先の画像も参照いただいて、大自然の驚異というものを感じ取っていただきたいものだと思いますね。

今日のぐり「あかり」

ひと頃は県下でも一番それらしい長浜ラーメンを出す店として大評判だった「あかり」は、今もって大人気のラーメン店の一つではあります。
わりあい豚骨系は好きなものでこちらも時々訪問もするし、以前にも当「ぐり研」で取り上げたこともある当店ですが、本場で修行されたというオーナーさんが代代わりしてからいささか迷走?している印象でしょうか?
今回たまたま以前(今春頃)に訪問したときのメモもありましたので、そちらとセットで掲載してみます。

その一、2009年春

久しぶりに豚骨ラーメンでも食べてみようかということで「あかり」を訪問しました。
しかし相変わらずお客が多いのはいいんですが、微妙に狭い駐車場も満車状態で出し入れには気を使いますね。

この日はネギラーメンを頼んだのですが、見ているとやはり一度に沢山は麺茹でしないというスタイルを守っているようで好印象です。
しかしどうも記憶が定かでないのですが、ここのラーメンの器は変わりましたでしょうか?
それ以上に驚いたのがラーメンのスープが変わっていたことなんですが、ここは何か来るたびに味が変わっているような気がするのは自分の勘違いなのでしょうか?

前回来たときはちょっと山下商店入ってる?みたいな妙にクリーミーなスープになっていて、まあこういうのも良いかなと思っていたんですが、今回はまた以前の状態に近い感じなんでしょうか。
上に油も浮かせているようですが、豚骨臭さも程よく抑えられていてこってりの割にすっきりと食べやすいかなという感じでした。
一番最初にここに来た頃に比べると多少濃くなってきているようなんですが、最近の流行からするともっと濃くても受けるかも知れませんね。

麺は特に茹で方は指定しませんが、以前の記憶にあるデフォよりやや硬めか?と言う印象で、ここの場合細麺ですから食べている間に程よくなってくるのも事実です。
しかしこの日は珍しく替え玉をしてみたんですが、スープが薄く、ぬるくなって来ますと今度はこの硬さが残り気味で味との絡みも悪くなるのがちょっと気になってくるところで、少し柔らかめで頼んだ方がよいのかも知れません。
まあ替え玉と言うと麺が来るまではワクワクするものなんですが、色々な部分を突き詰めて良くできたラーメンほど、実際に二玉目を口にしたときの失望感が出てくるのはちょっと残念なところでしょうか。
このあたり店の方も把握しているらしく卓上に追加の醤油ダレなどを置いている店は珍しくないですが、以前に替え玉を小皿に入れて少量のタレをかけて出してきた店があって、店の側もそうやってより良い味を追求しているんですという姿勢を見せられると客としても悪い気はしないですよね。

昔は結構豚骨臭い店内だったんですが、最近は比較的改善されてきたんでしょうか、入った瞬間の「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!」という感じは薄まって来ましたかね。
トッピングに関してはもやしは個人的には要らないかなと思っているのですが、チャーシューは結構臭みをうまく抑えていて食べるのに苦労するようなことはありませんでした。
ちなみにこの日がとりわけそうだったのかも知れませんがネギが何故か無茶苦茶からくて(苦笑)、前回来たときのようなクリーミーなスープならまだ救われたのかも知れませんが、この日に関してはちょっと後悔しないでもありませんでしたね。
総じて豚骨ラーメンとしては結構安定株的になっているのですが、場所的にやや辺鄙なところにあって思い立ってすぐに行きにくいのが少しばかりマイナスなんでしょうかね(苦笑)。

しかし毎回来るたびに味が変わって感じられるのが意図して変えているのかたまたまそうなのか自分の勘違いなのか判らないのですが、しょっちゅう来店する常連さん達はどう感じているのでしょうかね?

その二、2009年秋

例によってとんこつラーメンが食べたくなり、久しぶりに長浜ラーメン「あかり」を訪問しました。
昼食時ですが客席は満席状態に近く、やはり安定的な人気を誇っているのだなと再確認させられるところです。
例によってネギラーメンと、この日は餃子も注文してみました。

以前にこれは…と思うほどクリーミーな濃厚スープであった時期から、その後次第に普通の濃度に低下してきている印象なんですが、この日は更に薄いと言いますか、こうなるといわゆる白濁とんこつスープと言うのもためらわれるほどの透明度になってきました。
前回目立った表面の脂もすっかり抜けてしまった感じで、濃厚とんこつからあっさりとんこつに変化したかというくらいな感じです。
味はどうなんでしょう、見た目ほどではないにしてもやはりあっさりしてきたと言いますか、ひと頃目立ったこってり感はもはや全く感じられませんでしたね。

ちなみにここのネギラーメンは以前にも頼んでいるのですが、この日のネギがまた辛いんですよね。
特にスープが薄くなった分ネギの風味が強烈すぎるのが鼻につくと言いますか、もはや少しさらしてでもくれなければ辛くて食べられない感じです。
それでもスープにつけ込んでしばらく置いておくと普通にいただけるようになりましたが、この日ばかりは久しぶりに刻みネギで涙が出ましたよホント。
あと、これは全く好みの問題だと思うんですが、トッピングのモヤシはどうも極細麺に対して食感が勝りすぎている感じで以前からどうなのかなと思っていましたが、このスープになるとますます気になるのは自分だけでしょうか。

ちなみに今回初めて頼んでみた餃子なんですが、まあ餃子という名前がついて何かしらそれらしいものが出てくれば満足という方にはおすすめですかね?
ある意味で非常に家庭的な味と言う言い方も出来るのかも知れませんが、これだったら替え玉でもしておいた方がずっと安く満足出来そうな気がします。
もっとも今日のスープで替え玉をする気になるかと言えば、これもまた非常に微妙な問題ではあるのですが…ああなるほど、そのために長浜の店なのに大盛というものがあるってことなんでしょうか?

しかしこの来るたびのスープの変化、意図してやっているものならお客も混乱するでしょうし、製造上のバラツキであればこれも困ったことですよね。
もはやどの状態がこの店の味なのかもよく判らないのですが、ネット上で見かける評価も何かしらその時々の味の差を反映しているようにも見えて、そういう面では面白いんですけれどもね。
またしばらくしてからどんな味になっているか再訪してみたくなるという点では、あるいは店の戦略に乗せられているということなのかも知れませんが(苦笑)。

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2009年9月21日 (月)

新型インフルエンザ 火に油を注いでどうする?

前回のインフルエンザネタの引きで、どうも一連のパニックの原因となっているのは病院に押し寄せる患者ではなく、彼らにそうし向けている職場なり学校なりなのではないかという疑問を呈しました。
様々な報道を見ても「インフルエンザでない証明をもらってこい」なんてことを強要している一部の人たちが一番の元凶なんだろうなとは明らかに思えるのですが、どうやら現場においてもその弊害がどんどん顕在化してきているようなんですね。
例えばこちらは某所の書き込みからの引用なんですが、多かれ少なかれ同様のことを言ってくる患者に遭遇した臨床家の先生方は少なくないのではないかと思います。

509 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:09:56 ID:6l4hqZ6O0
学校の先生達、新型インフルの恐怖で「ちょっとでも熱が出たら、すぐ近くの
医療機関でインフルエンザ検査を」と言いまくっているみたいで、「平熱が
35℃台。今朝、熱を測ったら36.2℃。インフルエンザ検査して欲しい」なんて
小学生が続いてやってくる。
12歳の子供が亡くなったのがよっぽどこたえたのか?
今、陰性でも熱が上がったり咳が出てきた時に検査したら陽性になることも
ある。インフルエンザではない、と言い切れるわけではない、と説明すると
「じゃあ誤診だった、ということですか?」とか、
「藪医者ということを自ら認めるわけですね」とか、平気で親は言う。
何という時代だ。

今こそ政府やマスコミが戦闘に立ってこうした誤解を一掃しなければ、今後更なる流行のまん延に伴ってトンデモない大騒ぎになってくるんじゃないかと思うのですが、どうも誤解を解くどころか更なる助長を図っているかにも見えるような話題が相次いでいるのでは?とこのところ気になるところです。
その一例を示す上でこんな記事を取り上げてみますが、新型インフルエンザ絡みの死者報道は今や決して珍しいものではなくなった感がありますけれども、一つの症例がかなり大きな波紋を広げているようです。

12歳男児が死亡 新型インフル ぜんそく持病(2009年9月18日東京新聞)

 横浜市は十七日、新型インフルエンザに感染し、重症となっていた同市都筑区の小学六年男児(12)が死亡したと発表した。男児には気管支ぜんそくの基礎疾患(持病)があった。

 厚生労働省によると、国内の死者は感染の疑い例を含め十五人で、この男児が最年少。

 市によると、男児は二日午前、発熱し嘔吐(おうと)とぜんそくの症状を訴えて、病院で受診。いったん帰宅したが、熱が下がらず意識がもうろうとしたため、翌日入院。三度の簡易検査は陰性だったが、血液検査で十日にA型インフルエンザの可能性が高いと診断され、十四日に横浜市衛生研究所の検査で新型インフルエンザと確認された。

 集中治療室(ICU)で治療を受けていたが、十七日夕、頭蓋(ずがい)内出血で死亡した。心臓の筋肉に炎症が発生したため、この治療を続けていた。タミフルなどインフルエンザ治療薬は服用しなかった。同市健康安全課は「炎症の治療を優先させたのは適切だったと思われる」としている。

何にしろ新型に対する迅速キットの感度は低いとは以前から言われていたことを再確認させられたような症例であり、その症例がこうした重篤な経過を辿って不幸な結果となったことは残念なことだと思いますね。
ところでこの症例ではなかなか診断がつかなかったこともあって結局抗ウイルス薬は使用されなかったようなのですが、この症例が表に出てくるのと相前後してこういう報道が出てくるわけなのですね。

検査無しでもタミフル投与可能 厚労省が注意喚起(2009年9月18日朝日新聞)

 新型インフルの治療について、厚生労働省は18日、簡易検査やウイルスの詳しい遺伝子検査をしなくても、医師の判断でタミフルなどの抗インフル治療薬を使えるなどとする事務連絡を都道府県や保健所を持つ自治体に出した。

 抗インフル薬の投与は、政府の基本的対処方針などに「医師の判断で可能」と位置づけられている。17日に横浜市で男児が死亡した例で、簡易検査で陰性が続き、抗インフル薬が使われなかったことから、改めて周知した。併せて、簡易検査なしでの投与を診療報酬上も認めていることを知らせた

まあ厚労省がいくら診療報酬上認めていようが別に支払いを義務づけているわけでもなし、実際に支払いするかどうかを決めているのは「切れば切るほどボーナスが増える」という保険の査定をする方々ですからねえ(苦笑)。
しかし本症例の場合は抗ウイルス薬投与がされなかったということをもって批判のネタになり得ると考えている方は案外多いようで、しかも厚労省がわざわざこうしたコメントを出してきたということもあってネット上ではかなりな騒ぎになってきています。
一見すると「患者思い」の通達に見えるこの話なんですが、現場では明らかに診断確定も抗ウイルス薬も必要ではなさそうな人々が「もっと検査を!もっと薬を!」と日々大量に押し寄せてきている状況でお上からこういうコメントが出てくれば、どういうことになるかは火を見るよりも明らかではないかと思うのですがねえ…

209 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/18(金) 16:29:41 ID:zAVLmxMD0
治療法に質問集中、新型インフルで県内初の死者/神奈川
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909502/

 新型インフルエンザの感染が確認され、横浜市内の病院の集中治療室(ICU)で治療を受けていた
同市都筑区の小学6年生の男児(12)が17日夕、亡くなった。県内初、しかも、感染者の死亡例としては
国内最年少の事例だけに、同日午後9時すぎから市役所で行われた市の緊急会見も、終始重苦しい雰囲気に包まれた。
 会見した岩田真美新型インフルエンザ対策担当部長によると、気管支ぜんそくの既往症のある男児の直接の死因は、
頭蓋(ずがい)内血管腫からの出血。男児が3日未明に緊急入院した病院では、ウイルスが感染して心臓の筋肉に炎症が起こる
「心筋炎」と診断され、人工呼吸器を付けたまま、意識不明の状態が続いていたという。
 会見では、男児が受けた治療が適切だったかどうかについて、報道陣の質問が集中した。
 岩田部長は、心筋炎発症の原因が新型インフルエンザに起因するものかは「分からない」。同席した修理淳医務担当部長は
「心筋炎で体全体の状態が悪くなり、腫瘍(しゅよう)からの出血を招いたのかもしれない」と推測した。
 男児は最初に体調の不良を訴えた近所の診療機関、亡くなった病院のいずれでも、タミフルなどの投与は受けていなかった。
岩田部長らは、「タミフルは発症から48時間以内に投与される。簡易検査の結果が陰性だったため、
投与が行われなかったのではないか」「治療が適切だったかどうかは市の立場ではコメントできない」と繰り返した。

 林文子市長は男児の死亡を受け、「亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。ご家族の方に対してお悔やみを申し上げます。
今後とも感染拡大防止と重症化への対応に努める」との談話を出した。

212 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/18(金) 17:10:38 ID:dd9PbfVh0
>>209
初診医が訴えられる悪寒。

213 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/18(金) 19:33:16 ID:wAHM8KfwO
致死的急速進行例はsuper-antigen diseaseじゃないか?
サイトカイン・ストームになってんだろ。
ステロイドパルスが効くかもな。

214 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/18(金) 23:03:16 ID:JKCpImWe0
なんか「感染疑い例でもタミフル投与」と厚労省から通達が出たとのことだけど、
これって風邪症状が出た全員に投与しておかないと、もしもの時に責任を問われるってことですよね?
すごいことだと思うんだけど・・・・

215 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/18(金) 23:07:13 ID:g9Guuc2Z0
ところで「インフルエンザの疑い」でタミフル投与はレセ的にOKなのか?

216 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/18(金) 23:08:02 ID:nTUynpac0

 簡易検査は体内のウイルス量が少ないと感染していても陰性となり、見逃される可能性がある。
東京慈恵医大感染対策室の中沢靖室長も「新型に感染していても約3割が陰性反応だ。なぜ、
もっと早い段階でPCR検査を実施しなかったのか」と疑問を呈する。

お前の発言に疑問を呈する。

>209 危うい流れだな。熱出たって患者にタミフル出さなかったら訴えられるよ。

217 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/18(金) 23:16:43 ID:be/vvdzr0
>なぜ、もっと早い段階でPCR検査を実施しなかったのか」と疑問を呈する。

はあああああああああああああああ????????

224 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/19(土) 00:23:19 ID:NI4uKpI2O
もう、キットいらねってことね!
ああ、臨床的にインフルエンザです
タミフルだしとくから、はい次ぃ

225 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/19(土) 00:27:14 ID:9Dwpyw280
もう駅の自動販売機でタミフル売れよ

226 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/19(土) 00:31:18 ID:s8k50I0n0
>>225
ワロタ それいいかも

227 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/19(土) 01:07:07 ID:ZbJankgU0
>>225
そんなことしたらトラブル時に医者に責任がいかなくなって
厚労省やメーカーに責任が及んでしまうじゃないか。

229 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/19(土) 01:39:50 ID:LkKAuxiq0
死んだ方には気の毒だが、死んだ症例の経緯を読むと、
たいていのケースで、なぜ死亡に至ったのかが理解できる。
(例えば心筋炎など、心筋炎になるのは運が悪いが、なってしまえば死亡は当たり前)
>>209 などは、会見する方も、報道する方も、それを分かっているのかねえ。

それにしても、検査陰性でもタミフル・リレンザ推奨ですか。そうですか。
検査キットは今後必要ないと言うことですね?
微熱でもインフル陽性があり得るから、今後は微熱=感染の疑いあり=タミフル・リレンザ ですね

頭、全く使わないで済みます。

232 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/19(土) 07:41:42 ID:rQkQDD/v0
簡易検査陰性でもインフルって診断するのは、いいと思うんだよ。 
そもそも100%じゃないし。それで、疑わしい症例は、陰性でもインフルって診断してタミフルってのもわかる。
が、ちょっと熱があるって程度の人をどう扱うかだな。
風邪ですね、はいさようなら→数日後あぼん、は危険すぎる。しょうがないから、「熱が続くならまた来い」になるから、
外来が、発熱患者であふれるぞ。始めから、どんな症例にでもタミフル処方しまくるしかないな。
そうなると、タミフル無くなるんだろ?どうしろと

233 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/19(土) 07:51:01 ID:aYzea16W0
>>232
>そうなると、タミフル無くなるんだろ?どうしろと
日本感染症学会の提言によると、タミフルは十分あるらしい。
検査陰性でもじゃんじゃん処方し、それでも余れば途上国に援助物資として送れと申されている。
......

251 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/19(土) 19:15:45 ID:TeKd8U6A0

856 :卵の名無しさん:2009/09/19(土) 12:52:23 ID:I3seU5Fx0
>>847
東京だが査定されることはありえない。
医師が臨床症状や所見からインフルエンザと診断できないなんて
あり得ないだろ。
検査はあくまで補助手段。
別に今年に限ったことではないよ。

857 :卵の名無しさん:2009/09/19(土) 12:53:18 ID:+TGxACzF0
神奈川社保は「検査しないと切りますよ~ん」と審査員が言ってた

で、この報道。  信じられませ~ん。

さらに混乱に追い打ちをかけるように、今度はこういう通知が出てきているようです。
これがまたなかなかに突っ込み所のありそうな話ではあるんですけれども、まずは黙って記事を引用してみましょう。

電話診察でタミフル処方OK 厚労省、現場に周知徹底へ(2009年9月20日47ニュース)

 新型インフルエンザ感染者の急増による医療機関の混乱を防ごうと、厚生労働省は「再診に限り、電話による診察のみで抗ウイルス薬の処方を認める」との新対策を、先月まで2度にわたって都道府県に伝えた。しかし、現場に行き届いていないことが20日までの同省の調査で判明、あらためて周知徹底を図る

 対象となる患者は、慢性疾患があり定期的にかかりつけ医の診断を受けている人と、過去に発熱などの症状があり、同じ医師の診察を受けたことがある人。いずれも医師が薬の投与に問題がないと判断することが条件。

 処方せんは患者が希望する薬局に医師からファクスなどで送られる。患者には外出自粛を求め、家族らがタミフルなどの薬を受け取る。患者本人は医療機関に足を運ぶ必要がなくなる。

 医師法20条は、医師が薬剤を処方する際、原則として患者に直接会って診察しなければならないと定めているが、厚労省は「過去に直接診察を受けた患者に限っての措置なので、この規定には該当しない」と判断。5月と8月にそれぞれ、この方式を認める通知を都道府県に出した。

いやこれはね、一見すると患者の利便性と医療機関の感染防御を両立させているように思わせる通達ではあるのですが、いかにも「にわかかかりつけ患者」がの無診療投薬希望が殺到しそうな御反ですよね。
しかし無診療投薬を厚労省自らが推奨しますか…この内容を「周知徹底」などと、この一件でここまでの言質を取られてしまう通達とはまたずいぶんと思い切ったなという印象なんですが、案の定これも騒ぎになってきています。

260 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/20(日) 19:14:58 ID:dbVANSXN0

「再診察であれば対面診察後ではなくとも医師法にいう無診察処方には該当しない」

こりゃぁ便利な言質がとれましたわな
医師法を根拠に薬だけは不可とした過去の経緯はどうなるんだか

263 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/20(日) 20:30:57 ID:GDh/qoTb0
>>259
ネタかと思ったがきちんとソースはあるようで・・・
しっかし、患者の顔も見ずにタミフル処方などできるわけないだろ、
現場をなめんな、厚生省はあほか、
そんなら発熱患者には保健所でタミフル配給するようにしろ!!!

この理論が通用するなら、一見さん以外の無診察投薬解禁なわけで、
天動説→地動説にかわったくらいの衝撃を感じるのはおいらだけか?

264 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/20(日) 20:37:53 ID:tUhiN/+w0
こりゃ完全に薬だけ処方容認時代の幕開けだな
>  医師法20条は、医師が薬剤を処方する際、原則として患者に直接会って診察しなければならないと定めているが、
> 厚労省は「過去に直接診察を受けた患者に限っての措置なので、この規定には該当しない」

この報道がどういう形で一般に広められていくのか判りませんけれども、ひとたびこういう話が公の通達として出てしまうとワイドショーあたりで妙な「誤解」をした人たちが病院に殺到してきそうですよね。
誰でも思いつく疑問として「診察も検査もしなくて薬を出せと言うなら、どの人にでも求められれば薬を出せってこと?」ということになりますが、今後各地の病院は「俺は絶対インフルエンザのはずだ!テレビで聞いたぞ!さっさと薬を出せ!」なんて殺到する電話対応で謀殺されそうな悪寒ですよね。
…と、思っていましたらすでに、そういう実害が出ているのだそうで、これは今後とんでもない混乱を巻き起こすような話になってきそうではありますけれども、もちろん厚労省は責任を取るつもりなんてないんでしょうね?

501 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/17(木) 11:57:39 ID:a/p8nrL/0
電話で具合が悪いから、薬を出してくれ、と言う、初診の男性。年齢不詳。
初診なので診察してお薬出しますので、来院して下さい、と言ったところが、
「あんたね、インフルエンザが流行っているのに、病院なんか行けるか。
テレビでも薬だけ貰える、と言っていた。それとも何か、てめえのところは
インフルエンザうつしてがっぽり儲けようという魂胆か? 俺はマスコミとは
ちょっとツーカーなんだよ。おぼえてろよ」
あんたが、てめえになり、何をおぼえていたら良いのか、どういった症状が
あって、何の薬をもらいたいのか、さっぱりわからず。
対応するのも、ほんと、疲れる。
(最初変換したら「憑かれる」と出てしまった。何か取り憑いているのかな?)

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2009年9月20日 (日)

今日のぐり「花菱」

本日も前回に引き続いてブリネタを取り上げようと思います。
さて、ブリの話題を語る上で、今や国際的常識とも言われる「飯の不味さ」を抜きにするわけにはいきません。
「朝飯だけは結構イケル」だとか「あれは料理でなく自分で調理して食べるための素材」だとか諸説乱れ飛ぶ状況ですが、そもそも当のイギリス人達はこの状況をどう受けとめているのか、一例としてこちらの記事から紹介してみましょう。

「実戦配置に支障? 英兵の肥満増」(2009年8月3日東京新聞)

二日付の英オブザーバー紙は、漏えいした英国陸軍の内部メモを基に、英国陸軍に太り過ぎの兵士が増えて部隊の実戦配置に支障をきたす懸念も出ている、と報じた。AP通信によると、英国防省は報道内容についてのコメントを避けたが、否定はしなかった

内部メモは、陸軍約十万人のうち八千百九十人が病気などで配属先が限定されるほか、肥満のため三千八百六十人が実戦配置が困難だと警告している。英陸軍の身体管理担当者がまとめ、七月初旬に全師団に送った。

中には一週間に二時間という最低限の運動も実行できていない兵士がいると指摘。アフガニスタンなどの戦闘地域で困難をくぐり抜ける鋭敏さが必要だと戒める内容という。

英軍は三年前から志願兵をより多く獲得するため採用条件を緩め、体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割った体格指数(BMI)は32まで許容した。世界保健機関(WHO)の基準では30以上が肥満に当たる。

英軍はアフガニスタンに約九千人を配置するが、反政府武装勢力タリバンとの戦闘で七月には英兵二十二人が死亡。二〇〇一年にアフガンでの戦闘に参加して以来、月間最多の死者数となり、英社会には厭戦(えんせん)ムードも拡大している。

しかしBMI30以上で肥満って、いささか基準自体が緩すぎるような気がしないでもないですが、何にしろ事実としてしっかりアレを食べているのだなと感じられる話です。
それはともかく今日に至ってもイギリス軍のミリメシというものは国際的に決して高い評価を得ているわけでもありませんが(注:極めて控えめな表現です。ちなみに一般に評価が高いのがフランスとイタリア)、それでもやせませんかそうですか…ま、軍隊の場合食に対する受容範囲が広いというのは決して悪いことではないでしょうからね。
イギリス軍人のミリメシというものに対する認識がどういうものであるかについて、こういうジョークがありますが(まあどちらかと言えば「砂漠で戦争してる最中にもパスタを茹でてる連中」を揶揄した話でもあるのですが)、やはり昔から定評があったということなのですかね?

イギリス軍兵士がイタリア軍に捕まり、捕虜になった。

夜となり、牢獄に入れられた彼のもとに夕食が届けられたが、これが前菜から始まって、
パスタに肉料理、食後の果物にワインまで付く不自然なまでに豪華な食事。
補給が絶たれろくな食事をしていなかったパイロットは思った。
「これが俗にいう最後の晩餐、ってやつか…」

明日は銃殺されるんだ…と思ってまんじりもせずに迎えた翌朝、彼の繋がれている
牢獄の前に階級の高そうな将校が従卒を伴ってあらわれた。
こいつが銃殺を指揮するやつなのか?と思っているとその将校が何事かを彼に向って
話し始めた。連れの従卒が通訳する。

「昨日は間違って将校である貴殿に一般兵卒の食事を出してしまった。
決して捕虜虐待のつもりはない。私の顔に免じて看守を許してやってくれないか?」

まあかつての日本軍にしても地方の貧困農家の過剰人員の受け皿で、「兵隊に取られてはじめて白米なんてものを口にした」といった時代があったわけですから、時代的に見ると必ずしも他人事でもない話ではあるのですけれどもね。
しかし数十年前の戦時ということであればまだしも、現代社会の一般人が食べているものがどうであるかとなれば、これは決して他国に誇れるような状況になかったということも事実ではあるようです。
ところが一方で、近年ようやくイギリス人も食に対する保守性というものを少しばかり改めはじめている様子なのですね。

イギリスのトリビア第5回 イギリス料理は本当にまずいの?(2008年2月22日eikokutabi.com)

何かと評判の芳しくないイギリス料理。その典型的なイメージとしては、たりない塩味、茹ですぎの野菜・パスタ、彩がよくない盛り付け、などなどあげればきりがありませんでした。ほぼ伝説化していたそんな「まずいイギリス料理」に変化があらわれたのが、10年ほど前からのモダン・ブリティッシュの台頭。モダンブリティッシュは、伝統の英国料理にフレンチやほかのキュイジーヌのエッセンスを加えた新しいスタイルの料理です。

そしてここ近年、セレブ・シェフのTV番組ブームがイギリス料理の改革に大いに貢献したことは特筆すべきでしょう。悪評高かったイギリスの学校給食改善運動に乗り出して、一躍国民的ヒーローになったジェイミー・オリバー。人気料理番組で名をはせながら日本・NYにもレストラン進出し、辛辣な口調で有名なゴードン・ラムゼイ。イギリスでの知名度は抜群、実力派のギャリー・ローズ。調理中のセクシーな仕草で男性にも人気の美女シェフのナイジェラ・ローソン。イングランド南西部コーンウォールのさびれた漁村をレストラン建設によって活性化させたシーフード料理のリック・ステインズなど。これらのセレブ・シェフの活躍によって、味もプレゼンテーションも優れるレストランがロンドンや海辺の町を中心に次々に誕生しました。

このブームは、外食産業だけでなく家庭にも。セレブ・シェフが料理本をぞくぞくと出版し、彼らのレシピで作ると料理音痴でもおいしいものができると、ベストセラーに。もともと料理に対してあまりチャレンジ精神のないイギリス人の料理術に新風を吹き込みました。セレブ料理本のレシピを取り入れるのは若い世代が中心ですが、この料理本効果によって、茹ですぎ野菜と伸びきったパスタ撲滅の日が少しずつ近づいているかもしれません。

またこの国の在住者である私の持論は、きちんと手間隙をかけて愛情たっぷりでつくられたイギリスの伝統的な家庭料理は美味しい、です。おなじみのロースト料理、フィッシャーマンズパイ、地元の農場から購入した卵やお肉を使った料理、庭で収穫した小ぶりのりんごで作られたアップルパイ。いい素材を使い、時間をかけて料理されているので、素朴ながらもとても美味。旅行者や短期留学生の方にとっては、これらの家庭料理を味わう機会がなかなかないかもしれませんが、それに近いものをいただく方法があります。

地元の人々で予約がいっぱいの田舎のガストロ・パブ(料理自慢のパブ・レストラン)を目指すことです。こうしたローカルに愛される場所では、その土地でとれたものを使って丁寧に調理されているため、心をこめて作られた家庭料理に近い味を楽しむことができるでしょう。

ロンドンやそのほか観光地では、客席の回転率をあげるために作り置きを提供するレストランや、コストを押さえ利益をあげることのみに神経をついやすようなレストランであふれているのも事実。このようなレストランで食事をした結果、「やっぱりイギリス料理はまずい」という感想がでるわけで、在住者としては心が痛みます。フランチャイズのレストランは極力避けましょう。口コミが一番有効な方法ですので、ちょっと下調べに時間をかけて、イギリスの美味しいものをぜひ探してみてください。

まあわざわざイングランドではなくイギリスのと言うのであれば、今や伝説ともなったあの伝統料理も取り上げないことにはフェアではないとも思うわけですけれどもね(苦笑)。
しかし記事中にもありますが、学校給食があまりにひどすぎるのではないかという議論も状況改善が進む大きな要因の一つとなっていたようなのですね。
最近は日本でも昔と比べればずいぶんと学校給食が良くなった一方で、給食費未納問題やら残さず食べようは人権侵害だ!なんてクレームもあって、なかなか現場の人たちも苦労しているらしいのですが、イギリスの方でも給食を改善するとなるとまた一騒動あって、そのあたりもブリ流ということでしょうか。

第9回「イギリスの学校給食に革命!」(2008年2月22日eikokutabi.com)

悪評高いイギリスの学校給食の話題が、昨年あるひとりのセレブ・シェフによって、政治的関心事までにまで発展しました。その名はジェイミー・オリバー。キュートな風貌とノリの良いトークとともに、簡単かつお洒落なレシピを紹介することで、一躍人気シェフとなったジェイミー。日本でも彼の番組が紹介されたので、その名をご存知の方もいるかもしれません。いまや30代になった彼はやや中年体型になってしまいましたが、現在も人気者。そんな彼の転機となったのが、イギリスの学校給食の現状を紹介したTV番組「ジェイミーズ ・スクール・ ディナース」。

チップスと呼ばれる厚切りのポテトフライ、出来合いのピザ、ポテトチップス、チョコレート・バー。こんなものが典型的な子供達の学校給食なのですから、自らも子供をもつジェイミーがショックを受けたのも無理はありません。番組を通して、安い予算でいかにおいしく、栄養のバランスのとれた給食をつくるか、それがジェイミーに与えられた課題でした。ジャンク・フードにならされた子供達は、最初は半信半疑、強い拒否反応を見せる子供も。しかし、ジェイミーの情熱と努力、給食のおばさんの協力によって、野菜たっぷりのパスタ、ビタミン豊富なメイン、彩豊かに工夫が凝らされたサラダなど、安い材料でも栄養価の高い学校給食が受け入れられていきました。

大反響をよんだこの番組がきっかけとなり、イギリス全土で学校給食改善に注目が集まるようになります。大手新聞でも学校給食の悲惨な状況が大きく取り上げられ、署名運動が広がりました。ついに署名は30万人にも及び、ジェイミー・オリバーがトニー・ブレア首相邸を訪れるまでに。そして、今後2.8億ポンドの予算が学校給食改善(質のよい材料のための費用、設備の改善費、給食担当調理師たちの教育費)のためにあてられるという公約を取り付けたのです。

先日、そんな風潮に反発を覚えた北イングランド・ヨークシャーの親たちが、ある行動にでて世間を騒がせました。学校のフェンス越しに、油ギトギトのフィッシュ&チップスを子供たちに差し入れするという強硬手段に出たのです。こういった親たちの信じられない姿が、TVのニュースでも放送されました。栄養バランスのとれた改善後の給食代が高いという理由から、学校に給食を強制する権利はないと激怒した一部の親たちのとったこの行動は、大いに論議を醸しました。

ここでもうひとつ問題なった点は、給食の時間が短いため、子供達が給食の長蛇の列に並んでいる間に時間が終わってしまい、食べる時間がないということ。だから、温かい出来立てのフィッシュ&チップスを自分たちが運んでいるのだというのが、この親たちの主張。子供達は値段が高いうえに「ごみのような」学校給食を強制的に食べさせられている、私たちは子供達が食べたいものを与えているだけだと言い切ります。

しかし、本当に子供たちの成長のことを考えたら、このようなファーストフードではなく手作りのお弁当、野菜たっぷりの手作りサンドイッチを持参させるべきでしょう。しかし、そういう考えはこの親たちには全くないようです。こういう親たちこそ、普段からジャンク・フードを食卓に並べ、自らの子供たちの味覚を狂わせている張本人。子供がお菓子やスナックを好むのは自然な姿でしょうが、子は親の姿を見て育つもの。一部に限られたことだと信じたいのですが、まずこういった親の食生活改善教育から始める必要がありそうです。

このように、学校給食だけに限らず、家庭での栄養管理にも問題点が多く、本当の意味でのイギリスにおける子供達の食生活改革は、まだまだこれからが本番のようです。そしてこの9月、昨年大好評を得た「ジェイミーズ・スクール・ディナース」のリターン版が放映されました。一時期のブームで終わらせないためには、やはり人々に現状を伝える続ける必要があるでしょう。今後もジェイミー・オリバーの更なる改善運動に期待したいところです。

いやしかし「そんな風潮に反発を覚えた」って、そこ反感を覚えるところなんでしょうか?
まあ昨今どこの国でもこういう親は多くなっているということなんでしょうが、やはり記事中にもあるように背景として普段の家庭での食生活がどうなのかということが問題になってくるわけで、ということはやはり彼の地の食事情とはそういうこと、なんでしょうかね。
ちなみに記事中にも出てくるジェイミー・オリバーというのがなかなか興味深い人物で、アイドル的な人気を博する一方で料理ということを通じた社会活動も熱心にやっている御仁だそうですが、こういうのを見ると日本でもまたひと頃のようにレギュラー枠の人気料理系番組が増えてくると面白いのかなとも思うんですけどね。

今日のぐり「花菱」

初めて高野山に行ってきたのですが、あれはなかなか興味深い土地ですよね。
そもそも人家もない山中を延々走り続けて、突然警察消防は元より小学校から大学まで揃っている町がぽっかり出現する不思議というものがまずあります。
そこにあり得ないようなでかい多宝塔があったり、伽藍が立ち並んでる中に何故かお社があったり、酒屋の看板が般若湯であったりと、見れば見るほど不思議な光景が満載という、なかなか愉快な体験ではありました。

さて、その表通りの一角で店を構えるこちら、わざわざ「高野山料理」を名乗っていますが、実態は会席が主体のお店なんでしょうね。
ちょうど食事時ということもあってか比較的広い店内は満席状態ですが、どうやら二階にも席があるようで収容能力はそれなりに大きそうな店でした。
同行者の分とも併せてハモの御膳、にぎりずし、松華堂弁当などを頼んでみましたが、比較的小綺麗にしている店構えでトイレなどもきちんとしているのは好印象ですかね(もっとも歴史的建造物が建ち並ぶ中でいささか雰囲気的にどうよという気がしないでもないですが)。

さて、ハモの午前のメインであるハモは、少しばかり瑞々しさが薄れてヘタレ気味という感じではありますが(輸送の劣化というより調理後の保存の問題でしょうか?)、特にまずいというほどでもなく標準的でしょうか。
松花堂は刺身や天ぷらなどごくありきたりな料理が並んでいて、こちらの味も見た目通りにごく普通と言いますか、良くも悪くも土地柄や店らしい特徴がない仕上がりとしか言いようがないですね。
にぎりはシャリなどもちゃんと寿司になっていますが、ネタだけ見ていると全く高野山と縁遠いものばかりで、日本全国どこに行っても「本日の上にぎりです」と言って出されてもさほど違和感のなさそうなものです。
ちなみにこのにぎりにもハモが入っていてにぎりとしては初めて食べたのですが、スシだねとしては少し炙ってみたりしても面白いのかとも思ってみたり、これはこれで楽しめましたね。

しかしそもそも高野山料理を外した時点でメニューの選択を間違ったのかも知れませんが、どれもこれも並んでいるのは全然山とも高野とも関係ない海の幸で作られた、どこの町にもあるようなありきたりの料理ばかりなんですよね。
味は総じて悪いというわけでもなくて、値段を考えなければごく普通に食えるという程度には並みなのですが、おそらくこんな山の中で食べるより地元で食べたほうがずっと新鮮でうまいだろう料理を、しかもはるかに高い値段で食べているという現実をどう考えるかです。
まあこういうところでコストパフォーマンスがどうとか言っても仕方がないんですが、僻地輸送料で○割増、観光地割増で○割増という感じで考えれば納得できないことはないか?と思える人にとってはともかく、顧客中にそれなりに多いだろう「安くてうまくて量が多い」が当たり前と思っているナニワのオバちゃま達にとってはどうなのでしょう。
しかも肝心の高野山料理らしいものを食べようとするとずいぶんと高いものに付きそうですから、その辺の店で何か買い食いでもしていた方がよほど安価に「らしい」ものが食べられるのではと言う疑問も湧いてきます。

店員も手が足りない状況なのは判りますが、奥のカウンター前に立ちっぱなしで仕事をしているだけで自分から進んでお客の状況を確認するでもなく、用でもなければ客席側に出てこないというのはちょっとどうかなと思いますね。
値段については確かにこういう特殊な地理的環境ですから仕方がないとは思いますが、それなりに高い料金を払って食べさせられるのはともかくとして内容がこうも無個性なものばかりでは、一体この店なりの売りはどこにあるのかと言うことですよね。
場所柄リピーターというものはまず期待できないのも確かだろうとは思いますが、なまじ味自体はそう変なものでもないだけに、ちょいと豪華そうな料理が並べば満足という時代ならいざ知らず、今どきこの内容では旅先での食の楽しみもスポイルされてしまうのではと気になったところではありました。

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2009年9月19日 (土)

福岡市立こども病院、PFI採用を可決

本日は以前から時折取り上げておりました福岡市立こども病院の続報です。
前回は通うのに不便な人工島に移転してハイリスク分娩のみに専念するのかと思いきや、何故か正常分娩も扱うなどと言う話で一体何がしたいんだと疑問符のつく話を紹介しました同病院ですが、またぞろこんな記事が登場しているようですね。

こども病院 PFI採用 可決へ 福岡市議会 自民市議団が賛成/福岡(2009年9月17日西日本新聞)

 福岡市立こども病院の人工島移転をめぐり、施設建設などにPFI方式(民間の資金や手法の活用)を採用する議案について、市議会(定数63)の最大会派、自民党市議団(19人)は16日、賛成する方針を固めた。公明党(12人)と民主・市民クラブ(10人)、みらい福岡(7人)も賛成の意向で、議案は18日の本会議で可決される見通しとなった。

 PFIは公共施設の建設や運営を民間に委ね、行政が対価を払う仕組み。長期契約で一括発注することでコスト削減につながるとされる。しかし他都市の病院で経営悪化による契約解除などが続出したため、市は当初予定を変更し、PFIの対象を施設建設など8業務に絞り込んだ議案を9月議会に提出した。コスト削減効果は「約30年間で約85億円」から「約15年間で約17億円」に下方修正した。

 自民党市議団では、「PFIの規模が中途半端でメリットがない」「市側の説明が不十分」などと議案に反対する意見と、賛成意見が拮抗(きっこう)し、対応が注目されていた。

 同市議団は16日の会議で「人工島での新病院建設を主張している立場から、議案反対で(2014年3月の)開院が遅れることは望ましくない」として、賛成で一致することを確認。自民党が敗れた衆院選直後でもあり、会派の結束を優先させた面もあるとみられる。

しかしまあ、全国各地の公立病院で失敗失敗また失敗と、半ば結論が出た感すらあるこの期に及んでまだPFIですか(苦笑)。
福岡のような財政規模の大きな自治体が症例数を増やすのに協力していただけるというのであれば、PFI病院に対する評価をさらに確定していくためにはありがたい話だとは思いますけれどもね。
ちなみに、この一報を受けての某所での反応はこんな感じですが、まあそう考えるのが普通でしょうか。

786 名前:福岡は馬鹿[] 投稿日:2009/09/17(木) 10:29:36 ID:WdbvoknE0
>>783
またまたPFI利権話ですねw

787 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 10:37:13 ID:fe+/OWEc0
PFI…
福岡完全にオワタ

788 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/17(木) 11:22:12 ID:ShDqj4eJ0
>>787
福岡は昔っから終わってますが何か?

789 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 11:24:12 ID:zglDa62D0
今時PFIって、、、 すでにオ㍗ルな。

いつも思うのですが、PFIでうまくいった病院がないのにどうやって議会を説得しているのか、そもそも計画通りにいったことがないのに毎回バラ色の未来図を提出してくるというのは、予想の正確性としてどうなんでしょうね?
もっともこの新こども病院の場合、もともと人工島開発と言う目的が先にあっての移転計画だなどと言われていたり、相変わらずハコモノにだけは目一杯金をつぎ込む公立病院体質はしっかり温存されているようですから、PFIも含めて最初から誰かにとっての用意されたシナリオということであったのかも知れませんが。

福岡市立こども病院:市、計画通り「260床」想定 県医療審の答申超え /福岡(2009年9月17日毎日新聞)

 福岡市が14年春の開院を目指す新こども病院の病床数について、市は16日、当初計画通り「260床」を想定して整備する考えを示した。開会中の9月市議会委員会で、中山郁美委員(共産)の質問に答えた。県の医療審議会は新こども病院について「233床」が適切であると知事に答申。県は開院時に「233床」の病床数しか許可しないことも考えられるが、市は「将来的な医療環境を考えればたとえ経費(維持管理費)がかさんでも、造っておくべきだ」と説明した。

 質疑で、市立病院担当の永渕英洋部長は「医療環境はかなり早いペースで変化しており、その変化に対応し、新病院の機能を最大限発揮するには260床が必要だ」などと理由を説明。保健福祉局の井崎進局長も「過分なもの、無駄なものを造っているのではない」と理解を求めた。

 市が「260床」にこだわる背景には、市内の産科医の高齢化が進むのに伴い、将来的に産科医不足が予想されることや、ハイリスク患者の受け入れ拡大を求める現場の声が出ていることなどがある。しかし、この日、委員からは「願望に基づく数字で収支を計算することは許されない。税金をもてあそぶべきではない」との批判の声もあがった。【鈴木美穂】

どこまで言っても「こうなってくれたらいいなあ」と願望が先走っていくのは多かれ少なかれ何にでもあることですが、全国公立病院で医者集めに苦労していて、黒字化など夢のまた夢というニュースが連日のように流れている中で、逆にこうまで楽観的になれるというのはある意味賞賛に値することなのかも知れません。
たしかに民間が経営難で不採算部門からどんどん撤退していることを考えるならば、公立病院というのは公費を投入しても整備すべきという意見もありだと思いますが、それならば将来ずっと巨額の赤字補填を続ける必要があるということを市民に説明し同意を得てからにすべきであって、作ってから「赤字なのでやっぱり止めます」となったのでは意味がないですよね。
さすがに財政事情も厳しい昨今ではこうした杜撰な見積もりに厳しい目が注がれることは必須の情勢でしょうが、案の定突っ込みが入っているという状況のようです。

PFI効果 疑問の声 ―こども病院―(2009年09月17日朝日新聞)

■市、コスト削減 下方修正

 福岡市立こども病院のアイランドシティ(人工島)移転問題で、市が施設の建設や運営に採用するPFI方式(民間資金・手法の活用)の内容を見直した。開会中の市議会で関連議案を審議中だが、他県の公立病院では経営悪化を招いた例もあるだけに、16日の常任委員会では懸念の声も上がった。

 「民間万能論と決別し、自治体として責任をもってやるべきだ」。常任委では共産議員がこう主張し、PFIの撤回を求めた。

 14年3月に開院予定の新病院について、市は施設の建設と維持・管理に絞ってPFIを導入する計画だ。市はこれらの業務に必要な経費を174億円と試算。この価格を上限に、公募で選んだPFI事業者と一括で約19年間の長期契約を結び、建設と維持・管理の業務を委託する。

 174億円のうち建設費は99億円。利子返済分を除いた額の1割に当たる10億円は金融機関から、9割の86億円は市債で調達する。

 病院は来春に地方独立行政法人化するが、これらの借金は法人がすべて負担し、原則として収益の中から返していく。10億円はPFI事業者を経由する形で15年かけて金融機関に、86億円は30年かけて市に、それぞれ返済する。

 だが、この内容に落ち着くまで、市の方針は曲折をたどった。

 当初はPFI事業者に医療事務や医療機器管理、消毒滅菌など、幅広く業務を委託する計画だったが、PFIを採用した滋賀県近江八幡市と高知市の病院で経営が悪化。3月議会で「危険」との指摘が相次ぎ、福岡市は対象業務を大幅に縮小した。

 建設資金の調達方法はさらに二転三転した。当初は民間の金融機関と市で半分ずつ調達し、PFI事業が妥当かどうかを金融機関に「監視」してもらう計画だった。

 だが、業務縮小で「監視の対象」も小さくなるため、資金を借りる必要性が薄れたとして、6月議会では「全額市債で調達する方向」と説明した。ところが、9月議会では一転、金融機関を関与させる効果を認め、1割を借り入れることに

 コスト削減効果も、「30年で85億円」から、「15年で17億円、30年で41億円」に下方修正した。

 市議会では、与党会派の民主が「安定的な病院経営が期待できる」と見直しを評価したが、自民など他会派からは「コスト削減効果があまりにも少ない」「ここまで(方針が)変わると、どの手法が最良な選択肢か、全く信用できなくなる」との指摘も出た。

 ■リスク内包の長期契約

 PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)は、民間事業者が資金調達から設計、建設、管理・運営などを担う仕組み。長期間、業務を一括契約することで事業者が経営改善に努めるため、行政は安くて質の高いサービスを提供でき、民間事業者は安定した収入を得られる利点があるとされる。病院の場合は、診療報酬改定や医療設備の技術の進歩など、長期契約ゆえのリスクもある

 内閣府によると、公立病院ではこれまで4病院が導入した。このうち、近江八幡市の市立総合医療センター(06年開院)は経営難に陥り、08年度末に20億円の違約金を払って契約を解除。高知医療センター(05年開院)も、契約を解除する方針だ。

 近江八幡市が出した報告書は次のように原因を指摘した。(1)民間事業者が施設整備費の全額を銀行から借り入れたため、市の起債より金利が高く、金利負担が経営を圧迫した(2)30年契約で支払総額があらかじめ決まっていたため、経営効率化を追求する意欲が働かない仕組みになっていた ――。「PFIが病院経営の足かせになる危険性を認識すべきだ」と、報告書は警鐘を鳴らしている。

しかし「病院は来春に地方独立行政法人化するが、これらの借金は法人がすべて負担し、原則として収益の中から返していく」って、まさかこの期に及んで金利負担込みで借金を返していけるほどの利益が出るなどと考えているのではないでしょうね…
おそらく今の時代に公立病院がそこそこ大赤字にならずにやっていくには、建設費などの設備投資は全額自治体負担にでもしていただいて、ランニングコスト部分だけを診療報酬から捻出するといった方法でもない限り難しいと思うのですが、それもよほど診療の内容を吟味して赤字部門を削減した上でないと過剰な人的コスト(苦笑)の負担は困難でしょう。

福岡市では移転見直しを表明しながら実質事業を継続してきた吉田宏市長以下、民主党が与党を形成しているそうですが、面白いことにこの件では公共事業削減を叫んできた民主党のくせにこの無茶なハコモノ優先の計画は何だと、批判する声が以前から結構あったようなんですね。
ものすごくうがった見方をするならば、中央政界でちょうど政権交代がなったタイミングでこういうニュースが出てきた、民主党政権では医療費増額といったことを主張しているということから、何かしら経営状況を楽観できるような裏情報でもあるのかと勘ぐれないでもない話です。
中央とのパイプをつかってのウルトラC的解決法でもあるというのであれば話として面白いとは思いますが、こういうずさんな計画でも黒字化してしまうほど大幅な医療費支出増額なんてことがもしあるようなら、色々な意味でかなり凄いことになるんじゃないかとも思うのですけれども(苦笑)。

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2009年9月18日 (金)

新型インフルエンザ ワクチン接種でまた一騒動

先日こんなニュースが出ていまして、なかなか面白いことをするものだなと興味深く拝見させていただきました。

富士フイルム、銀塩技術でインフル検出、簡易検査の見逃し防ぐ(2009年9月14日日経BPネット)

 富士フイルムは9月14日、写真の現像に使う「銀塩増幅技術」を応用し、従来の100倍の高感度でインフルエンザウイルスを検出する技術を開発したと発表した。簡易検査の精度を大幅に向上でき、発症直後の見逃しを防げるとみている。

 現在流行している豚由来の新型インフルではなく、強毒性を持つ鳥インフル「H5N1」ウイルスの変異に備えて開発した技術。ウイルスに別の物質を「標識」として結合させ、存在を発見しやすくする「イムノクロマト法」の精度を大幅に高める。この手法は以前からインフルの簡易検査で使われているが、発熱などの症状が出てから半日前後が過ぎないとうまく検出できず、感染を見逃すという問題があった。

 富士フイルムの技術では「標識」となる金コロイドがウイルスと結合したあと、金コロイドの周りに銀を付着させてサイズを拡大し、より発見しやすくする。こうした金コロイドの銀増感は白黒写真の現像の仕組みを応用しており、富士フイルムが写真や医療分野で蓄積してきた技術を生かしたという。

 独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、2011年2月までの期限で助成を受けて開発した。富士フイルムでは新技術を採用した診断システムを2011年秋にも商品化する計画だ。

市場に出回るのはまだまだずいぶんと先の話ではあるのですけれども、今流行中の新型インフルエンザも迅速キットの検出率が低いと言われますから、こうした方法で感度が大幅に改善するというなら歓迎される話です。
銀塩カメラ市場は今や消滅寸前という状況とも聞きますけれども、長年培われてきた技術が他方面に応用が利くということであればそれに越したことはないですよね。

こういう皆が喜びそうな話ばかりであれば医療というものは何と素晴らしいものなのかと思うところですが、残念ながら現実ははるか程遠いところに存在するようです。
ワクチン接種という、ひと頃であれば「あの難病が克服された!」と皆が涙を流して喜んだようなイベントでさえ、今の時代にあっては様々な問題の存在なしにはいられないのですね。

新型インフルエンザのワクチンが近く流通を開始する予定ですが、その接種対象者を巡って色々と議論があったことは既にお伝えした通りです。
結局は国がワクチンを全量管理し指定した優先対象者から接種を行っていく、その際の接種を行うのは普段のかかりつけ医ではなく指定医療機関で行うということになったようですが、これがまた議論を呼ぶ状況になっているようなのですね。

ワクチン接種は予約制 国指定の施設、来月公表(2009年9月9日中日新聞)

 厚生労働省は8日、新型インフルエンザ用ワクチンの接種について、国と委託契約を結んだ医療機関で、原則として予約制で行うなどとする方針をまとめた。優先接種の対象者は、母子健康手帳や健康保険証などで確認する。

 ワクチンの供給量が限られ優先対象者に確実に接種する必要があることから、国が直接関与することにした。都道府県や政令指定都市の担当者を集めて同日、都内で開催した全国会議で説明した。席上、厚労省は接種料金について全国一律としたい考えも示した。

 方針によると地域の医師会が接種実施を希望する医療機関のリストを作成、機関数が不十分な場合は市町村が追加選定する。国はこれらの医療機関と委託契約を結び、10月中旬をめどにリストを公表する。接種は個人が医療機関に予約して受ける方式が原則だが、地域の実情により医療機関以外での集団的な接種もあり得るとした。

 ワクチンは生産量に応じて国が都道府県ごとの配分量を決定。都道府県は対象者の人数を把握し、医療機関ごとの配分を決める。

 優先対象者のうち妊婦や1歳未満の乳児の両親は母子健康手帳で、それ以外は健康保険証などで本人確認をする。基礎疾患(持病)のある人が、かかりつけ以外の医療機関で接種を受ける場合には、主治医が発行する「優先接種対象者証明書」を持参する。

接種費用は実費相当額を徴収するが、低所得者については公費による負担軽減措置を検討する。この日の会議では「自治体の財政力の差で県民、市民に不利益が生じない制度設計を」(神奈川県)などの要望があった。

 また、厚労省は接種費用について「全国一律とする方向で進めたい」としたが、実現には国産と輸入品の価格差の調整や地域によって異なる流通コストなどの課題があるという。

この報道を受けて真っ先に反応したのが医療従事者で、記事中にある「かかりつけ以外の医療機関で接種を受ける場合には、主治医が発行する「優先接種対象者証明書」を持参する」という下りが問題となったわけです。
この辺りの議論をいささか乱暴なことで有名な(苦笑)某所のコメントから幾つか引用してみましょう。

15 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 17:25:38 ID:rJvL2/sN0
>>12
また日頃受診もしてない、あるいは他の病院の世話になってるのに、
あるいは、全然持病も何も無いのに「優先接種対象者証明書を書け」
とか言う奴が来るんだろうな。  鬱陶しいな。

自院でフォローしてる人じゃ無ければ、 最低初診料2700円+規定文書料1000~3000円
およそ3000~5000円ぐらいが常識だろうな。

16 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/09(水) 17:32:40 ID:GLLMpEDk0
任意接種で副作用が出たときのわずらわしさを考えたら、まったく気が乗らない。
臨時で定期接種扱にすべき。このままでは、高価格にして寄ってこないようにしたい。

18 名前:ゴミ開業医[] 投稿日:2009/09/09(水) 19:11:14 ID:4SoBY5cB0
>>15
そのまま解釈すると、普段からかかりつけで、少なくとも医学管理料
を取っている患者以外は拒否できるんじゃない。
高脂血症でメバロチン飲んでいるおばちゃんなんかは当てはまるか
どうか分からないけど。w

面白いのが「うちの患者をなぜうちで接種しちゃいけないんだ」という話よりも、「また余計な仕事をさせられるのか」という声が多いように聞こえることですね。
なぜこうまで関わりたくないという声が出ているかと言えば、新型のワクチンは副作用が心配だと言う報道が相次いでいる一方、実際どの程度危ないのかに関するデータがない状況で何とも答えようがないという状況にあって、既に一部の方々がこの状況にクレームをつけていらっしゃる様子だからです。

インフルワクチン接種、慎重な対応を 市民団体、厚労省に要望(2009年9月9日日経ネット)

 新型インフルエンザのワクチン接種について、市民団体「新型インフルエンザ市民対策会議」は9日、「副作用被害の危険性もあるため、慎重に対応してほしい」と厚生労働省に申し入れた。副作用被害が起きた場合、「疑わしい場合も含めて迅速で十分な補償を」と求めた。

 ワクチン問題に取り組む市民などで構成する同会議は「今回の新型インフルエンザは弱毒性であり、接種は希望者が納得したうえで行うことを基本としてほしい」とした。そのためにワクチンに関する情報公開を求めた。

 輸入ワクチンについては「必要とする根拠が不明で反対」とした。仮に輸入する場合は国内産と同じ承認手続きを行い、安全性を担保することを求めた。

あまり有効性がはっきりしないものを使うということにはかねて医師達の間でも抵抗のあったところですが、国が対象を指定してまで管理するという割にかかりつけ医とワクチン接種担当者との責任分担が今ひとつ明確でない、そうなると何か起こったときに一体誰の責任になるの?という懸念が非常に強いわけですね。
先日の報道では民主党側からワクチン副作用に対する補償をもっと拡充しようという話が出てきたようですが、御存知のように例え無過失補償を行ったところで日本では民事訴訟を妨げるものではありませんし、通常の季節性インフルエンザワクチンと違って国から指定され接種した人からすれば「言われた通りに受けたら副作用が」と面白くない気分にもなろうとは想像できますよね。

国の方では指定した優先接種対象者でも実費は取ると言っていますが、裏を返せば医者としても儲けになることではないわけで、面倒くさいだけでさほどの収入になるわけでもない対象者証明書(紹介状の類を書くのも意外と手間なのです)にしても収益性は同様に高くないでしょうから、リスクに対する見返りとしてどうなのと感じているところでしょう。
このあたりは国策として行う事業である以上は、国が最終的なリスクをかぶるべきところのように思えてならないのですが、民主党政権下でどこまで踏み込んで対策を取ってくるのか、それも肝心の接種時期までに間に合うのかといったあたりは非常に注目されるべきところでしょう。

ところで、実のところこうした訴訟リスクは患者と医者との間のみならず、国と企業の間にも存在しているというのがこちらの話題なのです。

民事訴訟の流れができてしまう―民主党・足立信也参院議員(2009年9月9日ロハス・メディカル)

 民主党の足立信也政調副会長は8日、海外企業が新型インフルエンザワクチン輸入に関し、不利益が起こった場合に日本側が補償するよう求めていることについて、厚労省は補償額に上限を定めて対応しようとしているとして、「補償額が低い」事を理由に民事訴訟を起こされる流れができると懸念を示した。(熊田梨恵)

 厚労省は約5400万人分のワクチンが必要と推計しているが、年度内に国内で生産できる量は1800万本と足りないため、現在海外企業との交渉を行っている。ただ、企業からは、副作用被害などが起こって今後その企業から薬を買わなくなるなど、企業側への不利益が起こることに対する日本側からの損失補償が求められており、交渉が難航しているという。企業が求める内容で契約を締結するには立法措置が必要になるが、10月に開かれる臨時国会を待つことになる。

 足立議員は、7日開かれたインフルエンザ対策に関するヒアリングで厚労省から、「財政法を改正して国の補償額に上限を定めるという。12月中に接種するようにするには、10月中に可決成立すれば間に合うかもしれない」と説明されたと述べた。その上で、「『10月中に成立すれば間に合う』と言われてしまうと、過去自民党がそうだったかもしれないようにそれに頷きそうになるがそれは危ないこと」として、本来はワクチン接種の無過失補償制度が必要と強調。上限を定めても海外企業が求めている補償額は"青天井"であるため、補償額が低いとして民事訴訟を起こされると危惧した。同じような民事訴訟が続くことを懸念し、「訴訟天国になってしまう」と述べた。

輸入ワクチンと言えばちょうど臨床試験が開始されたというニュースがあったばかりで今ごろ着々と投入に向けた準備が進んでいるはずですが、この辺りの話がまとまらない事には海外からのワクチン輸入で必要量を確保という青写真も早速瓦解しかねなくなるという、厄介な問題ではありますよね。
まだまだ訴訟慣れしていない日本人と違って海外ではそのあたり非常にシビアなところがありますから、拙速でうかつなことをやってしまうと後でとんでもない結果が待っていたということだけは避けたいところですが、選挙絡みでこの重要な時期に時間を浪費した形になったのが後々の作業に大きく響いてくるのかも知れません。

そしてもう一つ、こちらはあまりおおっぴらに語られることは少ないようですが、素朴な人間感情の発露として決して見過ごしには出来ない話題だと思います。
まずはこちらの記事から紹介しておきましょう。

医療従事者なぜ最優先? 情報提供を―新型ワクチン(2009年9月0日CBニュース)

 厚生労働省は9月9日、有識者や患者団体代表などを招き、「新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会」を開いた。新型インフルエンザワクチンの優先接種の対象者などを盛り込んだ素案を発表してからは初めての意見交換会で、出席者の多くが素案の優先順位を「妥当」と評価したが、医療従事者を最優先する理由を国民に知らせるべきだとの声も一部にあった

 厚労省は、優先接種の対象を▽医療従事者▽妊婦と、基礎疾患を有する人(中でも1歳から就学前までの小児を優先)▽1歳から就学前までの小児▽1歳未満の小児の親―の順とする素案を4日に発表。13日正午までパブリックコメントを実施している。

 神戸大大学院医学研究科の岩田健太郎教授は、素案について「国際的な推奨とほぼ同じ。非常に良くできている」と評価。東北大大学院医学研究科の森兼啓太講師も、「落ち着くところに落ち着いた」と述べた。

 茨城県保健福祉部の染谷意次長は、「全体的に妥当」としながらも、医療従事者を最優先していることについて、「死亡者、重症者をできる限り減らすための適切な医療を提供する『医療従事者』を守ることが、すべての市民を守ることにつながる。こうした基本的な考え方を市民が十分理解できるよう、情報提供が必要だ」と指摘した。東京都健康長寿医療センター病院感染症科の稲松孝思部長も、「なぜ医療従事者が最優先なのかよく説明されていない。病院の医療機能を維持することが、インフルエンザ以外の患者を守るためにも大変重要だと、国民の理解を高めてほしい」と要望した。
(略)
 日本患者会情報センターの栗山真理子代表は、「高病原性でも、季節性のインフルエンザでもない今回の新型インフルエンザでは、(重症化しやすい)基礎疾患を有する人も優先対象になることを、対象にならない人たちに十分説明してほしい」と述べた。

 栗山氏はまた、厚労省が今後、「基礎疾患を有する人」の定義を公表する考えを示していることに関して、優先対象から外れた疾患の扱いを明確にするよう要望した。NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」の小林信秋専務理事も、「例えば小児慢性特定疾患なら514種類あるが、(優先対象となる基礎疾患の)具体的な病名を挙げると、必ず漏れる患者が出て不公平感が生まれる」と指摘し、配慮を求めた。

ま、不公平感を感じるほど良いものなのかという疑問はさておくとしても、接種を受ける市民側の立場としてはまことにお説ごもっともという話ではあるのですが、現場の状況はもう少し露骨なことになってきているようです。
こちらもいささか言葉遣いの乱暴なことでは定評のある(苦笑)某所のカキコから引用してみましょう。

414 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/08(火) 08:44:35 ID:yVf5gQHV0
朝から、「新型インフルエンザワクチン打ってくれ」という輩来院。
まだ、ワクチンが配られていない、と言うと、「そんなことはない。
お前ら医者には優先的に配るって言っていた。隠しとるんだろう。
医者は患者のためなら自分の命をなげうって仕事しなくちゃならん。
最近の医者は自分の命を守るのを優先している。なっちゃいない」
医者が先にインフルにかかったら、具合の悪い持病のある患者にうつす
ことになる。医者がインフルで休んでしまったら、インフル治療出来ない
医療機関が出てきて、周囲の医療機関に迷惑をかける、云々言っても、
聞く耳持たず。
マスゴミがまた何か変なこと言ったのかな?

マスコミが何か言ったかどうかは寡聞にして存じ上げませんが、そもそもインフルエンザの予防接種自体がさほど劇的な効果というほどでもない割に、今回の騒動を通じて一部で妙な期待感みたいなものだけが先走っているのは確かなんでしょうね。

これは全くの余談ですが、昔から「身内の特権で医者は自分たちだけに良く効く薬を使っているに違いない」なんてことを言う人たちは結構いたものですが、実際のところ見聞する範囲ではむしろ比較的身内の特権の少ない業界なのではないかと思いますね。
癌研究の大家であったとある老先生が晩年に自ら末期癌を患われ大学病院に入院した、後輩が見舞いに行くと「いや今度はね、こんな治療法を試してみようと思ってるんだよ」と喜々として新治療(もちろん国内未承認の治療法)の説明をしてくれたなんて話がありますが、それも副作用やデメリットなどに対して十分な知識がある上で自らリスクを選択しているということですよね。
薬の中には確かに裏技的に用いると意外な効果を発揮するものがありますが、効果があるのに承認されていないのは何故なのかと考えてみれば、しばしばメリットを上回る大きなデメリットが出るからであって、「裏メニュー」を要求するということはそうしたリスクを全て承知し受け入れた上での話であるということを理解してもらわなければなりません。

そうした余談はともかくとしても、まさしくこのあたりは国が主導してきちんと説明責任を果たしてもらわなければならないし、とりわけ今後流行が本格化し各地の医療機関が混乱するようになると、いちいちこんなことで説明(というより説得)の手間を取っていては到底診療が成立しません。
先に流行が本格化した沖縄に続いて近ごろでは本土の各地でも不要不急の検査を求める人々が診療の現場に殺到していると言いますが、すでに検査キットも薬も需要に追いつかなくなってきたせいか検査をやらないことにした、予防投与はやめたといういじましい節約術を実施している先生も多く、それが一層のトラブルを呼び込んでいるところもあるようです。

新型インフル「陰性証明」求め無用受診殺到(2009年9月15日読売新聞)

 新型インフルエンザの流行が広がる中、「感染していない」証明のために簡易検査を求める人の受診が相次ぎ、医療現場で混乱を招いている。

 幼稚園や保育園、学校、会社などが、感染の拡大を恐れ、検査を受けるよう求めるためとみられるが、医師らは「少しの発熱で受診して、医療機関で逆に感染したり、重症者の治療が遅れたりする危険もある」として、無用な検査受診をしないよう訴えている。

          ◇

 東京・文京区の森こどもクリニック。新型インフルエンザが増え始めた夏ごろから、「微熱程度でも、幼稚園に行くのには、検査で陰性の証明が必要と言われた」「子どもの発熱がインフルエンザでないという検査結果がないと、夫が出社できない」などの理由で受診する例が増えた。

 インフルエンザは高熱やせきなどが特徴だが、症状から明らかに違う人もいる。森蘭子院長は「検査は不要と説明して理解いただくのに時間がかかり他の患者の待ち時間も長くなる」とため息をつく。さいたま市で先月開かれた日本外来小児科学会でも、全国の医師から同様の声が上がった。

 同区教育委員会は「季節性インフルエンザなどでも治癒証明書は求めているが、検査結果を必要とはしていない」と話す。文部科学省でも「出席停止などは校長の判断だが、検査は指導していない」としている。

 大阪府門真市のばば小児科でも9月に入り、「幼稚園のクラスで感染者が出て、園から検査を求められている」「家族が感染したので、子どもにうつっていないか、保育園に証明を出さなければならない」などの受診が増え、これまでに約30人を検査したという。だが、「簡易検査キットが不足し始めている。出荷を制限せざるを得ないかもしれない」と、検査機器業者に聞かされ、症状がない人の検査は行わないことを決めた。

 沖縄県では、検査などを求める受診者の増加が医師の負担につながるとして、先月中旬、「完治証明書などは必要ありません」との県知事メッセージを発表。症状のない人の受診を控えるよう求めている。

 そもそも、簡易検査で陰性だからといって、「感染していない」ことの証明にはならない。米疾病対策センター(CDC)によると、感染していても陽性となる確率は10~70%。感染当初は検査しても陰性に出ることも多い。

 日本小児科学会長の横田俊平・横浜市立大小児科教授は「このままでは検査キットが足りなくなり、ピーク時に重症の患者の検査に使えなくなる危険もある。必要のない検査は控えてほしい」と呼びかけている。

こういう記事を読めば問題の根本原因となっているのは個々の患者というより、明らかに間違ったことを求めている企業なり学校・保育施設なりの方であるということが判る話なのですが、どうも患者教育を云々と枝葉を言うばかりで、一向にそちらの原因対策が進んでいないように見えるのは気のせいでしょうか。
国や厚労省も全国医療機関に新型インフルエンザ診療に協力せよなどと言う割に現場に丸投げな姿勢が目立ちますが、強力な政府公報は当然の義務として、電話一本でこの種の人々に説明するためどこでも駆け付けますというくらいの努力は払ってもいいんじゃないですかね(苦笑)。

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2009年9月17日 (木)

読売新聞社は喜んでいる、かも知れませんが

いい話がない医療業界の中でも、とりわけ外科、救急、産科、小児科といったあたりは一般社会にも知られ始めているほど危機的状況にあると言います。
ところがその産科領域では何やら最近よい兆しが現れているのだと、非常に喜んでいるらしいのですね。

「医療崩壊」の産婦人科に希望の光…学会の新規会員数が増加(2009年9月14日産経新聞)

 深刻な医師不足で、「医療崩壊の象徴」とされてきた産婦人科に明るい兆しが見えてきた。平成20年度の日本産科婦人科学会(日産婦)の新規会員数が447人となり、医療崩壊を加速させたといわれる16年の臨床研修制度導入前の水準を上回ったのだ。医学生の獲得に向けた日産婦や大学病院による活発なリクルート活動や国の支援策が奏功し、若手医師が産婦人科に戻りつつある。

10年以上前から減少

 産婦人科の医師不足は18年2月、福島県立大野病院で手術を受けた産婦が死亡し、執刀医が逮捕された事件(20年9月に無罪確定)をきっかけに表面化。勤務医の過酷な労働状況や医療訴訟リスクの高さなど産科医療を取り巻く厳しい環境が明らかになり、若手医師の産科離れが進んだといわれる。

 しかし、実際には事件の10年以上前から産科を敬遠する医師は増えていた。厚労省の調査では、18年までの10年間で医師の総数が約15%増える一方、産婦人科は6%減と右肩下がり。日産婦の新規会員数も医師免許を取ったばかりの医師に2年間の臨床研修を義務づける制度が導入された16年度まで減少傾向をたどった。16、17年度は新制度導入で研修中の医師の入会が減ったため激減。18年度から増加に転じ、20年度にようやく制度導入前の15年(415人)を32人上回った。

やりがい大きい

 8月上旬。長野県松本市のホテルに約300人の研修医と医学生が全国から集まった。日産婦が主催するサマースクールに参加するためだ。1泊2日の日程で、講師を務めるのは大学病院の教授や中堅・若手医師。参加者は新生児の蘇生(そせい)法や超音波診断の実技に取り組んだ。

 サマースクールは今年で3年目。最初の年に87人だった参加者は翌年174人に増え、今年は約300人に拡大した。男性研修医(29)は「参加者が多いので驚いた。命が誕生する瞬間に立ち会えるのは産科だけ。その分やりがいも大きい」と希望を語った。

 若手医師離れに危機感を抱きサマースクールを発案した富山大産科婦人科学の斎藤滋教授は「どうしたら産婦人科の魅力が伝わるかプログラムを真剣に考えた。1年目は手探りだったが、2年目に参加した研修医(129人)の7割が産科医になっている。産科医は少しずつ増えている」と話す。

都市部に風

 一方、大学病院も医学生獲得に動き出している。横浜市立大の産婦人科には今年度15人(関連病院も含む)の若手医師が入った。2年前の3人に比べると大幅な増加だ。

 若手医師が戻りつつある背景について、同大産婦人科の宮城悦子准教授は「『少ない、大変、入らない』の悪循環が続く中、医学生に声をかけ、産婦人科の魅力をみんなで懸命に伝えてきた。地方はまだ厳しい状態が続いているが、都市部には風が吹きつつある」と語る。

 国が産科医の待遇改善策に乗り出し、医療現場に安心感を与えたことも影響しているようだ。

 厚労省は今年から出産時のトラブルで新生児が重度の脳性まひになった場合、母親側に総額3千万円を支払う「産科医療補償制度」をスタート。医師に対する分娩(ぶんべん)手当や研修医への手当ての支給も助成している。

 日産婦の吉村泰典理事長(慶応大教授)は「待遇改善の影響は大きい。学会としても女性医師が働きやすい環境整備などさらなる改善に取り組んでいきたい」と話している。(長島雅子)

これだけを見ますと待遇が良くなった、結果として医者が増えてきた、万々歳!という話に見えるのですが、実態はどうもそうではないようなのですね。
こちらの記事などを見ますと確かに現場の雰囲気は好転しているとしても、それは決して待遇改善などといった「現実的な御利益」だけが理由ではないということが感じられます。

産婦人科医の状況、「悪化」が半減(2009年9月15日CBニュース)

 産科医不足や分娩施設の減少など産科医療の崩壊が叫ばれる中、産婦人科医を取り巻く全体的な状況が1年前と比べて悪化したと感じている産婦人科責任者の割合が、昨年の前回調査から半減したことが、日本産科婦人科学会の医療改革委員会がこのほど発表した「産婦人科動向意識調査」の集計結果報告で分かった。

 調査は今年7月、同学会の卒後研修指導施設743施設の産婦人科責任者を対象に実施。462施設から回答を得た(回答率62%)。

 現場の産婦人科医を取り巻く全体的な状況について、1年前と比較してどのように感じているかを尋ねたところ、「変わらない」が39%(前回35%)で最も多く、以下は「少し良くなっている」34%(17%)、「少し悪くなっている」16%(26%)、「悪くなっている」8%(21%)、「良くなっている」 3%(1%)の順だった=グラフ=。
 前回調査と比較すると、「少し良くなっている」の割合が倍増する一方、「悪くなっている」と「少し悪くなっている」を合わせた割合は半減した。
 自由記載で寄せられた、良くなっていると感じる理由を類型化したところ、「一般の方・マスコミの理解の深まり」が50施設で最も多く、これに「人員増」(40施設)、「待遇改善傾向」(35施設)、「産婦人科志望者増」(19施設)などが続いた。

 また今後、同学会が優先的に取り組むべき課題として自由記載で寄せられた意見を類型化すると、「勤務医の待遇・労働条件改善」が207施設で最も多く、これに「医学生・研修医対策」115施設、「医療体制(の整備)」82施設、「学会のあり方(学会のスリム化など)」46施設、「社会啓発活動」37施設、「診療報酬関連」28施設、「医事紛争・訴訟対策」16施設などが続いた。

 同委員会は考察で、「昨年の調査と比較してポジティブな認識が増加し、ネガティブな認識が減少していることは、状況が最悪の時期を過ぎて改善傾向が認められてきたという認識が広がりつつあることを反映しているものと考えられる」などとしている。

実際に待遇が改善してきたと言える状況ならいいのですが、むしろそれは今後の課題であって、何かしら世間が産科医を人間扱いしてくれるようになったのが嬉しくてハッピー!と舞い上がっているだけなんじゃないかとも取れるような話です。
今の時代なぜ産科医が増えないのか、田舎に行かないのかといった点について中井章人氏がロハス・メディカルのインタビューで「割に合わなくなったからだ」と看破していますが、ひと頃の逃散騒動でリスクマネージメントが理解出来てきたようでいて、結局何が根本の問題なのかを理解していなかった医者も多かったということなのでしょうか。

せっかくリスクとベネフィットが釣り合っていない現状を改善する絶好の機会であったにも関わらず何となく元の位置へ安住してしまう、本人達は最悪だった時期を知っているから我慢できるのかも知れませんが、後に続く者にとっては「アタシもこうされてきたんだから」と嫁虐めを正当化する姑を見るようなもので、「お前ら老害爺医どもが一番悪い」と言いたくなる話かも知れません。
どうもこういう話を見ていますと、医療従事者の労働環境改善を阻害している最大要因は当の医療従事者自身であるという説に一票を投じたくなってきますが、 結局何も状況が改善せずとも医者って適当におだてていれば働くんじゃないかという理解をされてしまうことが一番危惧されるところですかね。

それだけにとどまらず、「安全な場所から他人の背中を撃つ」というのも昨今では世にまん延する悪習となった感がありますが、どうも医者という人種の背中は撃つのに手頃なターゲットに見えるようです(苦笑)。
先日も少しばかり紹介しました9月7日付中日新聞の「医師の開業に制限を設けよ」なる投書に対して、当の愛知県下で開業内科医をされている先生からこんな反論がついたようです。

638 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/15(火) 22:11:12 ID:B2TFmZm50
ttp://www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up42940.jpg.html
2009年9月14日付中日新聞「声」欄
賛論異論 限定免許で産科医不足解消
大島恵介 医師 46 (愛知県豊川市)
7日の本欄「医師の開業に制限を設けよ」を拝読しました。医師不足といわれますが、本当に足りないのは
産科医であり、他科の開業を制限したところで、産科医が増えるわけではありません。
現行法では6年間の医学部教育の後、医師免許の受験資格が与えられ、合格すれば全科対応の医師免許を取得できます。
産科を希望する医師が少ないのは少子化で食べていけないということと、母親と胎児の二人の命を扱い、
トラブルが起きるとすぐ提訴される恐れがあるからでしょう。
医師に過失がなくても裁判を起こすことは可能なので、多額の弁護士費用を負担させられるのです。
提案ですが、自動車運転免許に「オートマチック限定」というのがあるように、「産科限定」という
別枠の医師免許を創設し、短期間で産科専門医を育てたらどうでしょうか。

前半は「リスクが高すぎるくせに得るものが少なすぎて、誰もそっちに行かないんですよ」と言う常識的な反論なんですが、何故そこからその結論に結びついてくるのでしょうか(苦笑)。
かつてそうやって卒業したての新卒医師を特定診療科にさっさと押し込めて、他科に転科などしたくても能力的に出来ないようにするという医局制度というものがありまして、そんな専門馬鹿養成制度はおかしいと世論の声を受けて誕生したのが、今の全部の科を一通り経験する新臨床研修制度というものなんですが、また時代を逆行させますか?

どうもこういう「誰か適当に赤紙送って戦地送りにしとけばいいんじゃないの?まあ俺には関係ないけど」なロジックを見るとあまり気分の良いものではないのですが、恐ろしいことに今の時代、せっかく叩きつぶしたはずの医局制度なるものを更なる強力な医師強制配置システムとして拡大再生産しようという声は少なくないのですね。
読売新聞社を始めそうした主張をなしている主体が誰かと言うことを考えてみた場合に、あるいはこれも牟田口症候群発現かと感じさせられるものがありますが、中でも今日はこんな事例を紹介してみましょう。

鳥取大学名誉教授・中村宗和 職業選択の自由と反倫理(2009年9月10日Business i)

■自由権 過剰な重視への戒め

 地域や診療科間による医師不足や偏在を解消するために、財政制度等審議会や厚生労働省の研究班は、医師の適正配置を進める仕組みを作ろうと提言した。すると、職業選択の自由(憲法22条)を制約するという議論が登場した。国会議員の世襲禁止が話題になったときも、世襲者の自由を制限するのではないかという議論があった。法律の専門家や然(しか)るべき審議会委員の発言が慎重になるのは、これが基本的人権の一つであるからである。法学者ではない私がこの問題に黒白的議論をするのは適当でないかもしれないが、法律とは大人の常識であるとの理解のもとに、庶民感覚の主張を展開してみる。

 ◆ドラフト制度との類似性

 昔、プロ野球のドラフト制度が職業選択の自由に反するのでないかという議論があった。医師の適正配置問題はこれと似ている。医師(プロ野球選手)という職業にはつけるのだが、赴任先が希望地ではない(好きな球団ではない)。ドラフト制度の場合は、憲法論議にふさわしくないという意見が多かったように思う。憲法で保障されている人権は「国との関係で」保障されているもので、私人間では私的自治が原則であると。ドラフト制度が人権を侵害する契約であるとすれば、それは民法90条の公序良俗違反であると。

 そもそもこの自由は、士農工商などの身分により、自由に職業を選択できなかった封建制を解体するために生まれたことを考えれば、医師の適正配置は医師という職業の中の問題ではないだろうか。ましてや、激務の診療科や僻地(へきち)への赴任を忌避するようでは、医道にとって反倫理性さえ感じる

 大学生が希望の企業に就職できないことをもって、職業選択の自由が束縛されているといえば、誰もが疑問に思うであろう。職業選択の自由権を履き違えてはいけない

 国会議員に2世議員、3世議員が増えてきたため、これを制限しようという動きがある。選挙において、世襲者が有利になる看板・地盤・カバンという特権を排除しようというものである。しかし、ここでも職業選択の自由が侵されるという議論が出る。

 世襲者は立候補できないという逆差別なら、職業選択の自由を侵害しているだろうが、議論となっている世襲制限は、政治家になる自由を確保しているではなかろうか。そもそも、憲法22条でいう職業選択の自由には、「公共の福祉に反しない限り…」と条件が付いている。これを抜きにして自由ばかり標榜(ひょうぼう)するのは、権利の濫用(らんよう)といえないだろうか。公共の福祉による制約は法令によってのみ許されることであるから、看板・地盤・カバンが特権とならない制度を作ればいい。

 世襲制限は、憲法14条にいう法の下の平等に反すると大上段に振りかぶる人もいる。これぞ、ためにする議論でなかろうか。特権を有しない人も公平に選挙を戦うことができることこそ、法の精神といえるのでなかろうか。

 ◆義務や責任 果たしてこそ

 職業選択の自由は、思想および良心の自由、信教の自由、表現の自由、学問の自由などと並ぶ重要な自由権である。一方、これに先立って憲法12条は「国民は、自由及び権利を濫用してはならない。常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」とクギを刺している

 にもかかわらず、日本経済が発展し物質的に豊かになったころから、自由や権利を標榜する人が多くなったと感じるのは私だけの危惧(きぐ)であろうか。中には、自由を我田引水に拡大解釈する風潮もある。

 そもそも権利や自由は、われわれの不断の努力によって保持できる貴重なものであって、義務や責任を果たしてこそ保障されるものであることを思い直したい。

しかし国立大学名誉教授の主張する庶民感覚というのも、年収5億を豪語するみのもんたが「我々庶民は」なんて言うようなもので、まあ庶民というものもずいぶんと間口が広いんだなと思わされるところなんですが、あるいは庶民なるものに一致しているのは「医者は庶民に非ず」という認識ということなんでしょうか?

ちなみにこんな御高説を垂れるくらいならこの名誉教授センセ、まず自ら率先して範を示せよとも思ったわけですが、そのあまりに輝かしい御経歴を拝見したところさらに驚きましたね。
いやはや、今や石油屋さんが医の倫理や法律上の権利までも云々するようになりましたか!さすが不断の努力によって権利や自由を保持してきた方々は素晴らしいと感じ入った次第ですが、恐ろしいことにこうしたロジックは今や一定の社会的支持を得てきているようにも見えるわけです。

確かに公共の福祉の観点から見るならば、給与増額や労働条件改善といったインセンティブで医者を釣るよりも、さっさと医師強制配置法なりとも法制化して好き放題に人事権をふるった方がはるかに安上がりなのも事実でしょうが、この場合権力をふるわれる側にもそれなりの自意識があるということを承知しておかなければならないでしょう。
そもそも新臨床研修制度導入以前の段階で既に医局制度は崩壊しつつあったわけですが、その最大の理由が医局による医師派遣システムが医師達に適当なインセンティブを提供できなくなったからという事情がありました。

かつては「しばらく僻地に行ってもらうけど、そのうち必ず良いところに呼び戻すから」といった阿吽の呼吸があったわけですが、全国的な医師不足の中で医療現場の労働環境が全般的に悪化してくると支給すべき飴が減ってくる、結果として俺はどうもハズレばかり引かされていると不満を募らせ脱局する医者が増えてくるわけです。
働けど働けどと言う意味では医者もワープア化している側面は確かにあるのですが、一方でこの世界の面白いところはひとたび楽して金を稼げるなら良しと決断してしまえばそうした職場は沢山あって、普通の業界であれば真っ先に埋まっていくだろうそうしたポストこそ最後まで売れ残ってきたという歴史的経緯があったということなのですね。

ひと頃なら「老人病院で寝当直してのんびり食ってます」だとか「老健の常勤して晴耕雨読の毎日です」なんて安楽な身分などは、日々不断の努力を払ってマゾのような生活を送るべき医師としての真っ当なヒエラルキーから外れた可愛そうな存在だと見下されているようなところがありましたが、さすがに世間がこういう対応をしてくるような時代になると医者側の考え方も変わってきます。
学生や研修医の考え方が根本的に変わってきているとは最近よく言われるところですが、かつては「医療の現場を知らないからだ!俺が根性をたたき直してやる!」と叱責していた指導医達が、今ではいつ逃げ出そうかと機会をうかがっている状況となってきました。
締め付ければ締め付けるほど当たり前の世の中の常識に目覚めていく医者が増えてくるという意味では、今ほど医者の認識が変わった時代もなかったと後の世から言われることになるかも知れませんね。

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2009年9月16日 (水)

本日誕生・民主党政権下での医療政策の行方は?

よほどの異変でもなければ新政権発足の日となっているであろう本日は、言ってみれば昨日の続編とも言うべき話題でもあるのですが、まずはこんな話から紹介してみましょう。
今は国務長官をやっているヒラリー氏は昔から熱心な国民医療保険の導入論者として知られていますが、オバマ政権もその流れをくんでか現在医療保険導入に奮闘中(かつ国を挙げての大騒動中)と言います。
その大統領が少し前にはこんなコメントを出して話題になりましたが、これも白黒つけるアメリカ流ということなのでしょうが、日本であればそれなりに大騒ぎになりそうな内容ではありますよね。

オバマ氏、国民は保険業界の人質  抵抗勢力に反攻(2009年8月11日47ニュース)

 【ワシントン共同】オバマ米大統領は11日、ニューハンプシャー州での対話集会で、焦点の医療保険改革に反対する保険業界や保守派が、既得権益を守るため虚偽情報を流して世論をミスリードしていると非難。多額の補助金を受給する同業界は不当な巨利を得ているとして「米国民は保険会社の人質だ」と述べるなど、従来にない激しさで “抵抗勢力”の切り崩しに攻勢を強めた。

 オバマ政権は公的保険の導入と希望者全員の保険加入を目指しているが、保守派は「政府が介入すれば医療の選択肢が狭まる」と反対。民主党議員が開く対話集会で厳しい質問を連発し、電子メールやテレビCMで宣伝戦を展開している。

 オバマ氏は「改革で高齢者医療の質が低下する」とのデマが出回っていると指摘。特定の利益団体が政治力を駆使し「現実の法案とは似ても似つかない不正確な内容」を流布して「米国民を脅し、道を誤らせる」と警告した。

 また、現行制度では保険業界に1770億ドル(約17兆円)の無駄な補助金が流入していると批判。加入者の病状悪化などを理由にした保険金支払いの停止が横行して「保険会社だけが利益を得ている」と述べた。

こうしてみると日本は医療費が安い時期に皆保険制度を導入できて幸いだったとも思えるような話ですが、逆にそのことが毎年膨れあがる一方の固定的出費としての医療費支出を招いているのだと考える人もいることは、それなりに理解できるところです。
実際には膨れあがったところで国際的に比較してみればさほど大きな金額でもないし、そのうち政府支出分はもっと少ないわけですけれども、人間誰しも一度手にしたものは手放したがらないものですから、医療が高度化していくほど国民全てに同じ医療を保証すると言うシステムでは支出は増えていくということは確かですよね。
いずれにしてもかつてヒラリー氏からも手本にされかけたという日本の医療保険制度も、やはり近ごろでは様々なほころびが目立ち始めているようで、特に近ごろ話題になるのが医療崩壊の一因とも言われる医療費削減政策というものの見直しということになるのでしょうか。

長年続いた自民党政権下では、厚労省などが中心に主に診療報酬の増減(もっぱら減?)によって医療をコントロールするという手法をとってきたわけですが、こういう金銭的モチベーションを主体としたやり方は現場にある程度弾力的に対応できる経済的、能力的余力がなければ、生き残るための最善解以外は選択できないという硬直化をもたらすものでもあるのですね。
近年の医療費削減政策の結果、一部の勝ち組や赤字を気にしない公立病院を除く多くの医療機関では儲けにならないことに手を出す余力がない状態となってしまいましたから、例えばいつ来るかも知れない救急患者のためにベッドを空けておくなどという「非合理的な無駄」を残そうと思えば、そろそろ医療機関に栄養を与えて少し太らせてやらなければならないというわけです。

もちろん金を出せば全てが解決するというほど簡単な話ではありませんが、国民皆保険制度というものは性善説を前提としなければ成立しないシステムであって、長年これを続けてそれなりに安くて良質な医療が出来てきたわけですから、基本的に医療業界人とは善人なのだろう、余裕が出来ればちゃんと国民の利益のために自ら動くだろうという推測にも一定の根拠はあるわけです。
そしてなにより医療や介護と言った分野は非常に裾野が広いマンパワー集約型産業であり今一番の成長産業でもありますから、言われ初めて久しい内需主導型産業構造への転換を図るという目的の上でも大きな見返りが期待できる分野でもあるわけです。

さて、そんな事情もあって総選挙前の時点で与野党共に総論として医療費削減政策の見直しという点では一致していたようですが、厚労省筋では今までにも民主党を無視してきた経緯がありますから、当然今後の政策も従来の自民党政権の方針継続が前提で組み立てていた気配があります。
ところがこのところ民主党が何でもゼロから見直しますとぶち上げてしまったものですから各省庁とも大慌てなんだそうですが、そうなりますと早速来年に迫っている次回の診療報酬改定はどうなるのかとは誰しも気になるところですよね。
民主党としても医療にもっと金を出すという意思はあるとしても、報道されているところから見てみますとこれがなかなか心配になってくると言いましょうか、とりあえず気合いだけは入っているのは判るけれど…という状況のようなのです。

診療報酬改定めぐる議論、政権交代で先見えず(2009年9月2日CBニュース)

 8月30日の衆院選によって政権交代が実現するのに伴い、来年度に予定されている診療報酬改定に向けた議論の行方に医療関係者の注目が集まっている。昨年度に実施された前回の診療報酬改定では、前年の10月から本格的な議論がスタートしたが、新政権が発足するまで具体的な指示は伝えられないため、厚生労働省では次の報酬改定に向けた対応を決めかねている

 診療報酬の改定は通常2年に1回実施され、来年が改定年に当たる。現在の仕組みでは、社会保障審議会(社保審)の医療部会と医療保険部会が、改定で重点評価する項目などを盛り込んだ基本方針を固め、改定率は年末の予算編成の過程で内閣が決める。手術や検査など医療行為ごとの報酬の配分については、基本方針や改定率を踏まえ、中央社会保険医療協議会(中医協)が話し合うという流れ。

 社保審医療部会はこれまでに2回開催され、基本方針の策定をめぐり意見交換したが、事務局を務める医政局総務課の担当者によると、今後の流れは現時点では未定。次の部会の開催日も決まっていない。新政権の発足後、正式に方針が伝えられてから、中医協の事務局を担当する保険局医療課とも協議して段取りを決める。

 一方、中医協ではこれまで、急性期病院の診療報酬を一日当たりの定額制にするDPCの見直しなどについて、基本方針の策定に先立って話し合ってきた。昨年度の報酬改定では、前年の10月から議論が本格化したが、民主党はそもそも中医協の構成や運営自体を見直す方針を示している。
 保険局医療課は、報酬改定に向けた今後の段取りや対応については、従来通り基本方針や改定率を踏まえつつ、新大臣と相談して決める方針だ。ただ、医療課の担当者は、今後の議論の流れについて、現時点では「全く見通しが立たない」と話している。

 民主党は7月に公表した「政策集インデックス2009」の中で、▽総医療費対GDP比を今後、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均まで引き上げる▽ 医師確保を進め、看護師や医療クラーク、医療ソーシャルワーカーなどの増員に努め、地域医療を守る医療機関の入院による診療報酬を増額する―などの政策も掲げている。
 厚労省のある職員は、これらの方針は政策集やマニフェスト、新聞などの報道で把握している程度で、いわば「一般の人たちと全く同じ次元」と話す。来年度の診療報酬改定については、「(新政権に)具体的な指示を頂いてから、淡々と進めていく」。

 民主党は、各省庁による来年度予算の概算要求についても見直す方針を示している。厚労省は概算要求を8月28日、財務省に提出済みだが、大臣官房会計課の担当者は、「見直し」の方向性がまだ見えないため、現時点では「何もできない状態」と困惑気味だ。

診療報酬改定プロセス、12年度までに抜本見直し-民主・鈴木寛氏(2009年9月2日CBニュース)

 民主党の鈴木寛参院議員は9月2日、キャリアブレインに対し、医療行為ごとの点数配分を中央社会保険医療協議会が決める現在の診療報酬改定プロセスを、 2012年度に予定されている報酬改定までに、抜本的に見直す必要があるとの認識を明らかにした。一方で、来年度の報酬改定については、「一つ一つを根本からやるのは時間的に厳しい」と指摘し、現行の方式が継続するとの見通しを示した。

 鈴木氏は、来年度の報酬改定について「命に直結する救急や小児、産科、外科、4疾病5事業を主体にしている医療機関が存続できるよう、入院医療費を中心に増額していきたい」と強調。ただ、改定率を決める時期については、「やってみないと分からない」と述べ、新政権発足後に検討する考えを示した。(略)

民主党筋からは「改定の内容は来年(参院選)のマニフェストづくりでより具体化される」なんて声まで出ているようですが、気が長い話と言いますか何と言いますか、ある意味で素人であることを武器にしているような側面も見え隠れしているように感じられるのは自分だけでしょうか。
もちろん削減政策を改め最悪現状維持というだけでも今より悪くはならないという考え方もありますが、こうなりますと民主党を熱烈に支持した非医療関係者である一般人の方々は、彼らの掲げる医療政策というものをどう受け止めているかというところも気になってきます。

「病院寄り」ではなく「政策の社会的トリアージ」―民主マニフェストを鈴木寛参院議員が解説(2009年9月4日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛政調副会長は4日、一部の有識者から「民主党のマニフェストは病院寄り」との声が上がっていることについて、「今の地域病院の置かれている状態はまさに"瀕死の重傷"という認識なので、そこにまず"救命"をするということ。これは政策の"社会的トリアージ"」と述べ、優先順位の問題との認識を示した。(熊田梨恵)

 民主党のマニフェストについてロハスメディアの取材に答えた。財政難のために休止に追い込まれた銚子市立総合病院(千葉県)の例を引き合いに、「"予備軍"が本当にたくさんいる」と、地域医療が崩壊の危機に瀕しているとの認識を示した。その上で、「そこについて一刻も早く病院の維持存続のために策を講ずる。"止血"と"輸血"をまずする、というのが我々の現状認識。それと異なる見解をお持ちの識者がいれば、日本の医療の現状について、意見交換をしたい」と述べた。

やはり業界に媚びているなんて批判する声はあるわけですか(苦笑)と感じる話ですが、民主党側としても国民全てが「医療はヤバイ」という認識で固まってはいない、無条件で医療業界厚遇?に賛成している人ばかりではないとは承知していると見るべきでしょうね。
そしてそうした文脈で記事を眺めた場合、ここで注目すべきは医療機関へのテコ入れはあくまで緊急避難的な処置であって、未来永劫医療に飴ばかりしゃぶらせようと言うわけではないといったニュアンスが感じられるところかも知れませんね。

このあたりは民主党が来年以降目指しているという診療報酬決定の主体である中医協の改革に関連して、委員には「もうちょっと患者とか納税者が入ってくることになる」といった発言が出てきていることにも注目すべきではないでしょうか。
良く言えばどこまでも利用者側の一般人の目線でやっていくという決意表明とも取れるのですが、ひねた見方をするならば民意を粘り強く説得し導くと言うよりは、最後の局面では民意に敢えて反するよりは擦り寄る道を選ぶ、悪く言えばその責任転嫁先として民意代表を入れておきますとも受け取れる話です。
今回の総選挙で民主党は民意に担がれて上昇気流に乗ったとも言えるわけですが、そうであるからこそ民意に反する行動は取りにくいだろうとも予想されるわけですから、今後の政策を予想する上で民意の所在というものを考慮すべきなのだとすれば、例えばこうした調査結果などはなかなか興味深い話ですよね。

勤務医の収入は高過ぎない。でも開業医は「?」(2009年9月15日日経ビジネス)

 「医師の収入は高過ぎる?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについては、日経メディカルオンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)の投票結果に、大きな差が出ました。NMOでは、「医師の給与は高過ぎる?」との問いかけに対して、「Yes」はわずか 2%。ほぼ全員が「No」と答えています。一方、NBOでは「Yes」が27%で、「No」が73%。「No」が多数派であることは同じですが、約3割は「Yes」という点が大きく異なります。

 コメントを見ると、「No」の理由は、NMOもNBOもそう違いません。「優秀な人材を集める必要性を考えれば、現状の医師の収入は決して高過ぎない」「人の命を預かるという仕事の重要性からして、決して高いとは言えない」「過重労働を強いられている今の労働環境からすれば、まだ低過ぎるのでは」といった見方が、その中心です。また、医師からは、「転勤が多いため、退職金はわずかな額。退職金を含めた生涯収入で考えれば、決して高いレベルではない」といった声も少なからず聞かれました。

 一方、NBOの「Yes」の理由として最も目立ったのは、「多忙な勤務医の収入は高過ぎるとは思わないが、開業医の収入は高過ぎる」「医師という仕事が、他の職種と比べて特別扱いされるべきものだとは思わない」との意見。このほかでは、「職業に貴賎はない。仕事は“志”ですべきで、収入で報いる必要はない」「医師が高収入であるため、理系の優秀な人材が医師に流れてしまう。製造業などの将来を考えても是正すべき」といった声のほか、感情的な非難とも思えるコメントもいくつかありました

あらゆる治療は生死につながっている

医療従事者と国民との意識の差は、この「Yes」の意見に集約されているのだと思います。私が特に注目したのは、「開業医の収入は高過ぎる」「努力している医師や優秀な医師とそうでない医師について差をつけるべき」「医師の激務に対しては、金銭面ではなく、労働環境の改善で報いる方がいいのではないか」といった意見です。

 ただ単に収入の高さを問題にしているというよりは、「医師間のある種の不公平感を正すべき」と考えている方が多いのではないかと感じました。

 “腕”の良しあしによって診療報酬に差をつけるという議論は以前からありますが、客観的な指標作りが難しいこともあり、いまだ実現には至っていません。また、労働環境の改善は喫緊の課題といえますが、医師の絶対数が限られている以上、改善を進めれば医療の供給量が下がってしまう可能性もあります。話が一筋縄にいかないのは確かですが、これらのテーマについて一歩ずつでも議論を進めることが、医療崩壊を食い止め、医師と患者の信頼関係を再構築するのにつながるのではないかと思いました。(略)

要するに一般人の少なからぬ割合が医者は儲けすぎだし、これ以上医者に金をつぎ込むなど許せないと思っている、とりわけ開業医は楽して儲けすぎでケシカランという認識を抱いていると言うことでしょうか。
その点で思い出されるのが先日は民主党側から痛烈な医師会批判のコメント続出という話がありましたが、彼らの認識的には「医師会=開業医の圧力団体」といった感じらしいことが言葉の端々から見え隠れすると同時に、そうした団体は医療政策の根幹に関わるにはふさわしくないと考えているらしい気配も察せられるところです。
となると上記のような民意の所在と併せて、一般人寄りとならざるを得ないだろう民主党政権の医療政策がどういう方向付けになっていくのか、それなりに想像図は描けそうな気がしてくるところではないか、とも思えてきます。

あくまでも全くの想像にしか過ぎない話ですけれども、政権交代でみんなで一緒に幸せになれるかと言えば、やはりここでも誰かは泣くような羽目になりそうですかね。

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2009年9月15日 (火)

医療業界もワープア化が進行している?

先日のことですが、何かしら一部方面のイメージ戦略がひどく奏功しているのかなとも思わされるようなカキコがありました。

157 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/07(月) 12:05:29 ID:1huhSPwm0
http://77c.org/d.php?f=nk10054.jpg
2009年9月7日付中日新聞 発言
医師の開業に制限を設けよ
名古屋市守山区 無職(65)
“神の手”を持つ立派な医師がいる一方で、生活保護を受けている人を集めて高額な医療費の不正請求を
するなど、医師の社会的信用を落とすニュースが目につく。また、緊急時の医師不足が叫ばれて久しいにも
かかわらず有効な対策が出ていない。
医師不足と呼ばれている割には、整形外科、皮膚科、内科、眼科などの個人医院が乱立している現状がある
一方で、夜間も休日も時を選ばない産科の開業医が実に少ない。
つまり、医師の不足ではなく、必要なところに医師がいないということである。
この現状に対して、なぜ政治家などは手を打たないのか不思議でならない。ドイツでは開業に制限があり、
どうしても開業したい場合には無医村地区で開業させ、問題を解決している。
多くの議員が海外視察をしていながら、なぜドイツのシステムをまねて法整備をしないのだろうか。
現実の問題になんら手を打たない政治家などは社会的責任を放棄しているとしか思えない。

実際のところイメージというものは形作られるもので必ずしも実態を反映しないのも確かなんですが、世間で流れるのは馬鹿高い医療費をもっと増やせと医者が要求しているといった話ばかりで、このご時世にずいぶんと景気が良いんだなと言う認識を持っていらっしゃる方々も多いのかも知れません。
先頃には国民医療費が過去最高を更新!なんてニュースがありまして、実際厚労省の資料を見ても年々医療費が増える一方なのも事実なのでしょうが、その割に医療業界が儲かって左うちわだという話もあまり聞こえてこないと思いませんか。
実際不思議なことに医療機関の方でも医療費が年々増えているという割に、このところ史上空前の不景気にさらされていたりするわけで、しかも不景気に強いと言われていた医療業界の場合、世間のような景気変動によるそれとは少し事情が違う構造的要因によるものなのですね。

病院・開業医の倒産、7月までに昨年を上回る(2009年8月12日CBニュース)

 帝国データバンクが集計した「全国企業倒産集計」(7月報)によると、今年1-7月に発生した病院・開業医の倒産は38件で、昨年1年間の35件を7月の段階で上回った。今年1-7月の負債総額は204億9300万円で、これも昨年の累計182億2400万円を超えた。

 7月の倒産は5件、負債総額は7億6300万円だった。

 病院・開業医の倒産は3-4月に16件が発生するなど、昨年に比べ高水準で推移している。

医療系団体も繰り返し繰り返し診療報酬を上げろと叫んでいますが、他業界もこの不景気な世の中に「医者がまた給料値上げを要求!」などと新聞テレビで連呼されたのでは「また医者がぼったくりやがって!」と世論とそれを主導するマスコミのお叱りを受けそうですよね(実際にお叱りを受けていますけれども)。
実際には診療報酬=医者の給料ではないとはあちこちで繰り返し説明されているにも関わらず、メディア上では相変わらず「医者などの人件費にあてられる診療報酬」云々という表現が続いているあたりが諸悪の根源なのではないかとも思うわけですが、さすがにここまで来ると確信犯というやつなんでしょうね。
素朴な疑問として医療へ流れ込む金がこれだけ増えているのに現場は儲かるどころかますます貧乏になっていく、じゃあいったい誰が儲けてるんだ?と思うところでしょうが、そのあたりは決して触れてはならない聖域と言うことなのかも知れません。
ただ一つマスコミが大好きな国際比較(笑)をしてみて明らかなのは、高い高いと大騒ぎの日本の医療費というものはその質に比べて非常に安上がりに出来ているし、日本の医者の人件費というものは低値安定が続いていて、勤務医の平均年収など四半世紀も横ばいだったという事実があるということでしょうか。

それでもさすがに最近では、多少の出費を覚悟しても待遇を改善し多くのスタッフを集めなければ結局収入増にはつながらないと認識する医療機関も増えてきているのは、良い傾向だと思います。
おかげで昨今では各地の公立病院でもようやく医師の待遇改善ということを言うようになりましたが、内容を見てみますと時期を外していたり、いささか的外れなのではないかと思われるものも結構あるようですね。
例えば少し前には医師相手に手当新設などで給与総額増という手法が流行りましたが、あれも退職金アップにつながる医者の基本給だけは意地でも上げたくないという固い決意の表れか、などと揶揄されていたものでした。

そんな中で新臨床研修制度導入以来研修医が増加し勝ち組地域とも目されている沖縄県からは、こんなニュースが飛び込んできています。

研修医の正職員化検討 県立病院、36協定年度内締結も /沖縄(2009年9月11日琉球新報)

 県立病院の運営や経営効率化について提言などを行う県立病院経営効率化アドバイザリー会議が10日、南部合同庁舎であった。小川和美病院事業統括監は現在、嘱託や臨時任用(臨任)となっている5年目以降の研修医を本年度中に正職員にする方向で検討していることを明らかにした。また、労働基準法に基づき時間外労働の限度などを決める労使協定「36協定」の本年度中の締結に向け作業を進めていることも報告した。
 7月23日現在、県立6病院全体で5年目以降の研修医は32人で、うち9人が臨任、23人が嘱託。これらの研修医を院長の推薦があれば、正職員化していく方向。
 県立病院では専門研修中の研修医も現場での診療に当たり「労働力」となっているが、その処遇の悪さが問題となっていた
 嘱託医の報酬は日額2万1000円で勤務日数は20日以内のため、基本給は月42万円。病院事業アドバイザーの伊関友伸氏は「3~5年目の研修医は一線で働けるので、他病院なら正規で雇い年収1000万円を超える。月42万円は低すぎる」と指摘した。
 臨任の場合、給与水準は正職員と変わらないが、1年ごとの契約のため次年度の身分保障がない

しかし36協定もなしで働かせる法令無視の姿勢もさることながら、勤務日数が20日以内って、例によって例の如く実態は全く異なるんでしょうね(苦笑)。

これも一昔前なら研修医を正規職員待遇にと言えば喜ぶ研修医もいたかもというニュースですが、今どき公立病院にとどまること自体が地雷ですし、そもそも5年目以降というのは通常の場合すでに研修医とは呼ばれない連中で、今さら常勤扱いで恩を売る?何それという感じでしょう。
要するに今まで日雇い非常勤の捨て値同然かつ法律無視で使い潰してきた若手奴隷たちを、ようやく制度上は人間扱いしてやってもいいぞというだけの話であって、いちいち破格の待遇改善のように言われる筋合いでもない話です。
そして何より当然のように天下の公立病院がただ給料を上げるというだけで終わるはずもありませんが、同じ沖縄の実例からそのあたりの実態を見てみるのも面白いかなと思いますね。

北部病院、産科医また退職 2人体制で影響必至 /沖縄(2009年9月13日琉球新報)

 【北部】医師不足で2005年から一時休止し、08年11月から診療を再開した県立北部病院(大城清院長)の産婦人科医師が退職届を病院に提出していることが12日、分かった。同病院はことし4月から1人減の3人体制となっているが、医師退職後は2人体制となり、診療体制に影響が出る可能性がある。
 病院側は医師の退職届を受理しており、今月か来月にも退職する予定。病院はホームページで常勤医師を募集し、県病院事業局と協力して新しい医師確保に向けた調整を進めているが、難航している。
 北部病院は05年4月に医師不足を理由に休止。08年11月には4人体制の診療を開始し、ことし1月に24時間の救急診療が再開した。その後1人が退職して3人体制となっている。

逃げた逃げた!また逃げた!な話ですが、せっかく医者を集めたと言うのにたった4人で24時間救急診療復活って、単純に考えても労基法無視の労働環境を当たり前に強いていたのが逃散の大きな原因なんじゃないですか?
医者も逃げ出す病院といえば今どき地雷認定されて敬遠されるのは確実でしょうし、難航どころかこのまま全員逃散という可能性も高いんじゃないかと思いますね。
しかし某所界隈の噂話などから実態を聞いてみると、ここも帳尻合わせで医者をかき集めたは良いが内部ではずいぶんと素晴らしい状況になっているようですから、やはり地雷病院ともなると医療レベル的にもいささか…と言う懸念を持たざるを得ないところですかね。

584 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/09/13(日) 15:13:09 ID:rJ92U7vTP
>>575
ここ、3名の産科医師どうし、みんな出身が違うらしいよ。
それぞれ治療方針も違うし、チームワークとしては最悪の状態らしい。
北部を避けて、うちに流れてくる妊婦から聞いた話だけど、病棟でも
看護師どうしにも派閥があって、常時対立状態らしい。

実は北部の妊婦って、もともと北部病院志向はゼロ、みんな開業医か
中南部の体制のしっかりした病院を選択してるから、閉鎖してしまう方が
一番の正解かもww

まあこんな感じで、内部からもモラール(志気)が失われつつある組織というのは死亡フラグ立ったなという感じなのですが、面白いことに明らかに無理がある体勢をわざわざ組み上げて更なる逃散を目指そうと努力していらっしゃる施設もあるようなのですね。
大阪府泉大津と言えばこの6月にも市立病院から院長以下大量逃散が発生したとして話題になった土地柄ですが、その泉大津市立病院の敷地内に今度はこんな立派な施設が出来上がったんだそうです。

周産期母子医療センター完成~大阪・泉大津市(2009年09月13日MBSニュース)

 大阪府泉大津市にリスクの高い妊婦や新生児に対応できる「地域周産期母子医療センター」が完成しました。
 泉大津市立病院の敷地内に完成した周産期母子医療センターは1階に小児科、2階に産科、3階には未熟児や疾患のある新生児を受け入れるNICU=新生児集中治療管理室が設けられています。
 産婦人科救急を充実させ、ハイリスクの分娩に対応するということです。
 13日の竣工式典には大阪府の橋下知事も駆けつけました。
「大学の医学部も、医者をここにもあそこにもと派遣できない。大きな医療体制を考えれば機能集約しないと、いまの公立病院はもたない」(大阪府・橋下徹知事)
 泉大津市立病院では医師不足の影響で2004年に産婦人科を一旦休止したことがあり、これをきっかけに市は安心して子どもを産める環境を整えようとセンターの整備を進めてきました。
 周産期母子医療センターは今月28日にオープンします。

この周産期星医療センター、地域の周産期医療の中でもハイリスク症例を担当する施設として期待されつつオープンにこぎ着けたそうですが、同市の計画案によればその概要はこのように素晴らしい施設に見合った重厚な布陣となる予定だったと言うことです。

産婦人科は、現行の医師5 名体制に常勤医師3 名と後期研修医2名を加えた10名体制とし、基本的には2名で当直オンコール体制を構築し、産科救急を充実させる。

何しろもともとが医師不足を理由に休止していた産科診療を、以前よりはるかに高度かつ大規模なものとしてしまうわけですから、これはさぞや素晴らしいスタッフが大勢集まったのだろうと誰でも思いますよね。
さて、実際のところどうなのかということは同病院のHPからも確認できることですが、端的に言えばこんな感じなんだそうです。

594 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/14(月) 10:41:33 ID:Lbtkulpa0
泉大津市立病院の産科医は常勤4人非常勤3人で、他に助産師外来wとかもやってる

いや無理!それで二人当直維持なんて絶対無理ですから!て言うかあからさまな労基法違反前提じゃないですか!(笑)
こういうことをするからこの病院は一斉逃散なんて事態に至るのだとも思われるところですけれども、どうもハコモノには熱心でもそのあたりにはところん無頓着ということなんでしょうかね?
公立病院もそろそろマンパワーこそ最大の医療資源であるという当たり前のことに気付いて改革を図っていかないと、今いる世代が抜けた後は本当に誰もやってきませんでした、なんてことになりかねないと思うのですけれども、その頃には医師強制配置法なんてものを成立させてるから無問題という腹づもりなのでしょうか(苦笑)。

折しもアメリカなどでは例の公的医療保険制度問題でオバマ政権がのっけから大ピンチという状況になってきているようですが、そのアメリカでは日本の医療制度に対してこんな評価を下しています。

日本の医療保険制度紹介=低コスト評価、持続性は疑問-米紙(2009年9月8日時事ドットコム)

 【ワシントン時事】7日付の米紙ワシントン・ポストは、オバマ大統領が目指す医療保険改革の是非をめぐって世論が過熱していることを踏まえ、日本の医療保険制度を特集し、米国と対比した。受診できる機会が国民に平等に確保され、米国より低コストで運営されていると日本の利点を挙げる一方、高齢化社会を迎え、日本が現行制度を持続できるか疑問視している。
 同紙は1面などに東京発の記事を掲載。日本の医療費は、診療報酬改定などにより抑制されていると指摘した。また、管理型医療が進む米国では、受診できる医療機関が指定されるケースが多いが、日本では患者が自由に医師を選べ、日本人が1年間に医師に掛かる頻度は米国人の4倍以上、入院期間も米国の4倍としている。
 一方、気軽に受診できる日本の医療制度の弊害として、長時間の診察待ち時間と短い診察時間、産婦人科勤務医らの過酷な長時間労働や救急医療の専門家不足などを挙げた。

一部の方達は医療費は天井知らずに増加している!何とかこれを削減しなければ!と大騒ぎし、また一部の人たちは身近な病院がなくなってしまう!救急車を呼んでも病院に運んでくれない!と悲鳴をあげているという状況で、聞いていると日本の医療制度というものはどんなにひどいものかと思えてきますよね。
しかし外から眺めてみれば非常に安上がりで誰でも好きに病院にかかれるということが日本の医療の長所であると評価されている一方、こんな無茶な制度でいったいいつまで保つんだろうと心配されてもいるわけです。

さて、こういう場合にあなたならどういう解決方法を模索していくのが正しいと考えるでしょうか。
どうせボロ儲けしているんだから医者などもっとこき使え!という主張ももちろんあっていいと思うわけですが、その結果どういう未来絵図が待ち受けているかという想像力もまた必要となってきた時代ではあるのでしょう。
折しも政権交代で世間では医療の諸問題に関しても快刀乱麻の切れ味を期待しているのではないかと思いますが、全国各地で人生の決断をするわずかなきっかけを待ち望んでいる医者も多い今日この頃、さてどのような素晴らしい政策が飛び出してくるのかとワクワクしながら待ち受けているのは国民だけではないんだろうと思いますね。

新政権の政策の行方次第では、また当「ぐり研」のネタを沢山提供していただけるということになりそうで、不肖管理人としても大いに期待しているところですけれども(笑)。

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2009年9月14日 (月)

新型インフルエンザ、情報はどんどん集まってきますが

そろそろ涼しくなってきたこともあってか、新型インフルエンザが一気に加速してきているようです。
本日まずは景気の良い話から行ってみましょう。

集団発生2318件、前週の1.7倍―新型インフル(2009年9月9日CBニュース)

新型インフルエンザの集団感染が8月31日から9月6日までの間に、前週の1.7倍に当たる2318件発生したことが、厚生労働省のまとめで分かった。結核感染症課の中嶋建介・感染症情報管理室長は9日の記者会見で、「学校での学級閉鎖などが増えており、感染の主体になっている」と述べ、学校が再開した影響が大きいと指摘した。

中嶋室長によると、新型インフルの集団発生の件数は▽7月27日-8月2日が369件▽8月3-9日が575件▽8月10-16日が687件▽8月17-23日が897件▽8月24-30日が1402件―と、増加が続いている。

都道府県別にみると、8月31日-9月6日に発生件数が100件を超えたのは、東京(350件)、大阪(316件)、千葉(170件)、北海道と神奈川(111件)、福岡(102件)の6都道府県で、中嶋室長は「大都市圏で目立っている」と指摘した。(略)

感染症研究所のデータでもまだまだ大流行には程遠いながらこの時期に流行が鎌首をもたげ始めている気配が見え、実際あちらこちらでそれらしい症状の患者が発生しているわけですが、特に健康で基礎疾患がなく軽症な患者の場合はどこまで診断をし治療をすべきか悩ましいところですよね。
ガイドライン通りであればこうした人たちは基本的に放っておいてもいいのではないかという扱いで、むしろ他の患者にうつることを考えれば病院に来ないで家で大人しくしているべきとも言われるのですが、世の中そういう風に割り切ってくれる人ばかりではないわけで、しかも例の急変のリスクもあるとなれば、当然こういう予想された通りの事態になってきます。

「心配患者」急増でインフル検査キットが足りない(2009年9月13日朝日新聞)

 新型の豚インフルエンザの流行のピークを前に、医療機関を受診する患者が増え、インフルに感染したかどうかをみる簡易検査キットが不足し始めている。早めの検査を希望する「心配患者」が多いことも一因だ。キットを有効利用しようと、検査結果が出にくい段階では使わず、「節約」に努める医療機関も目立ち始めた。
(略)
 医薬品卸会社「東邦薬品」(東京)によると、キットは8月中旬から品薄状態となっている。8月の販売実績(金額)は前年同月比で約120倍と大幅に増加。また、キットを生産している検査薬メーカー、ミズホメディー(佐賀県)の場合、フル稼働で3倍近い増産を続けているが注文に追いつかないという。

 厚生労働省によれば、キットを製造・輸入する国内メーカーは15社。同省が8月、来年3月までの生産見通しを業界から聞き取ったところ、昨年同時期の2.2倍の2800万回分だった。発症者は約2500万人にのぼると推計されているが、「心配患者」を含めるとその2~3倍が受診するとの予測もあり、キット不足が懸念される

 もっとも、タミフルなどの治療薬の処方にキットの検査は必須ではない。だが、平熱でも検査を受けないと心配だったり、勤務先に出社するため「陰性」の証明が必要だとして検査を求めたりする人が目立つようになった。

 こうした事態を受け、キットの利用方法を工夫し始めた医療機関もある。発症初期はキットで検査しても「陽性」と出にくい。そのため、受診初日は帰宅させ、翌日も高熱やせきが続くなら再度訪れるよう指示。明らかに感染の疑いが強い濃厚接触者には検査をせずにタミフルを処方するなどしている。

 キットは感染の有無を正確に見分ける能力はさほど高くなく、検査結果をあてにしすぎると必要な治療が遅れる可能性もある。厚労省新型インフルエンザ対策推進本部は「キットはあくまで補助的なもの。ただ、診断には役立つので供給態勢を維持していきたい」としている。(稲垣大志郎、浅見和生)

それはまあ、調べれば患者はいくらでも出るだろうし、診断がつけば保険診療上は治療薬の適応ではあるのですが、近い将来の大流行が確実視されるこの時期にそういう考え方だけでいいのかという話です。
もちろん必要はないけど心配だからが通用する間はいいのですが、診断キットがない、薬がないとなると問答無用で治療が必要という患者が来てしまっても対応できなくなる場合が出てくるわけですよね。
しかも更に悪いことにこちらでも予想通りの話が出てきているということですから、患者の我が儘がいずれは患者自身に跳ね返ってくるということをきちんと社会的にも教育していかなければならないわけです。

タミフル耐性「新型」、米で人から人へ感染か(2009年9月11日読売新聞)

【ワシントン=山田哲朗】インフルエンザ治療薬「タミフル」に対する耐性を獲得した新型インフルエンザのウイルスが、米国で、人から人へ感染した可能性が高いことが分かった。

 米疾病対策センター(CDC)が10日、週報で発表した。

 タミフルを製造しているスイスの製薬大手ロシュによると、耐性ウイルスは日米などで7日までに13件が報告されているが、いずれのケースも1人の患者から検出されただけで、周囲への感染は確認されていなかった。

 CDCは、健康な成人にタミフルを事前に飲ませる「予防的投与」など、耐性ウイルスの出現をまねく過剰使用を控えるよう呼びかけた。

 CDCの報告によると、米ノースカロライナ州でキャンプに参加していた10代の少女が7月8日、インフルエンザの症状を訴えた。同じ小屋に泊まっていた別の少女も11日に発熱、2人からタミフルに耐性を持つ新型ウイルスが検出された。

 キャンプ場では、6月から新型インフルが流行、発症していない子供や職員計600人以上が、感染予防のため10日間、タミフルやリレンザを服用した。

 2人は、タミフル服用中にもかかわらず発症したため、医師が耐性ウイルスを疑い検査した。キャンプ場では、ほかにも6人がタミフル服用中に発症。最初の少女からもう1人へ感染したか、別の患者から2人に感染したものとみられる。

日本のように世界一のタミフル大国などと言われるような無茶な使い方をしていればいずれこれ以上に耐性株がまん延してきて当然なのですが、未だにインフルエンザ=タミフルと条件反射的に出す医者、無条件に要求する患者が結構いるのが現状です。
少し以前には抗生物質乱用で同様に薬剤耐性菌が社会問題となったことがありましたが、その後そちらではいくらか使用を見直す動きが出てきたように感じていたところでしたのに、また同じようなことを繰り返しているというのはどういうものなんでしょうか。
多忙な臨床に当たられている先生には「10分かけて説明し説得するくらいなら、一分で処方した方が早い」という意識も働いていると思いますが、このあたりはちょっとした診療上の工夫を行っていくことでかなりの部分が改善できるだろうし、するべきではないかという気がします。
そして無論、患者の方でもこれだけ大騒ぎになっているのですからきちんと知識を仕入れておくのが常識であって、妙なオレ流診療の強要などということがあってはならないのは言うまでもないですよね。

一方で以前に死亡患者の症例をまとめた折にも疑問に感じられたことですが、新型インフルエンザ死亡例の経過を見ていくとどうも二通りの明確なパターンがあるのではないかという疑問が湧いてくるところです。
一つは従来北米などの知見からも言われていた「最初は軽症だと思っていたのに、途中から急に悪化」というパターンで、全経過は発症後7日程度と比較的死亡までの期間が長いのが特徴です。
一方で発症後1~2日くらいで(時には突然死という形で)あっけなく死亡してしまう症例もかなりあるようで、どうもこれらの差は単純に患者の基礎疾患がどうとか言うだけではない、ウイルス側の要因にもよるものなのかなという印象も抱いていたところです。

世間的にも一部で明らかに経過の異なる症例があるという認識は広まってきているようで、例えば小児科領域でもこんな記事が出ていますが、はたしてこれは強毒型のウイルスを示唆するものなのかだとか、あるいは軽症急転型なども感染中に弱毒型から強毒型へ体内でウイルスの交代現象が起きていたりするのではないかだとか、様々な疑問が湧いてきますね。

【新型インフル】短時間で子供が呼吸困難に 特異な症例相次ぐ(2009年9月12日産経新聞)

 新型インフルエンザに感染した子供の呼吸状態が短時間で急激に悪化する症例が相次いでいる。持病のない健康な子供でも、高熱が出てから数時間後に呼吸困難に陥った例もあり、小学生の患者に多くみられる。季節性インフルにはみられない新型特有の症状として、医療機関が警戒を強めている。(今泉有美子)

元気だったのに…

 「朝になっても、熱が下がらないんですが…」

 8月上旬の朝。小学4年の男児が、母親に連れられて東京都文京区の診療所「森こどもクリニック」を受診した。

 男児は前日夕方、39.7度の発熱で同クリニックを受診。子供が高熱を出すことはよくある。森蘭子院長は解熱剤を処方し、男児は一度、帰宅したが、高熱が治まらないという。

 男児は待合室で比較的元気だったが、新型感染が疑われたため、別室で診察を待っていた約30分の間に容体が急変した。森院長が別室に入ると、男児の顔は真っ青で、話ができない状態。重度の呼吸困難を起こしていた。隣にいた母親は男児の弟と絵本を読んでおり、変化に気付かなかった。

 男児の急変に驚いた母親は「朝は元気だったのに…」と声を詰まらせた。森院長は「30分であそこまで容体が変わった例を季節性インフルで見たことがない」と説明する。

 男児は総合病院に搬送され、回復した。森院長は「もし、容体急変に気付くのが遅れていたら、最悪の事態を招いていた可能性もあった」と振り返る。

 新型インフルが拡大を続けた今月上旬、森院長は都内で開かれた小児科医の勉強会で男児の症例を報告した。すると、同席した小児科医のうち3人が同じような症例を経験していたことが分かったという。

小学生に集中?

 東京都府中市の都立府中病院でも同様の症例が出ている。

 同病院では7月下旬以降、新型と診断された子供のうち、呼吸状態が24時間以内に悪化して入院した子供が8人に上った。季節性では乳幼児が重症化するケースが多いが、患者の年齢は3~13歳で半分以上が小学生だった。

 同病院小児科の寺川敏郎医長は、「長く医師をやっているが初めての経験。重症化する子供が小学生に集中している理由も分からない」と話す。

 入院した子供のうち4人にぜんそくの持病があったものの、ほかの子供にはなかった。
(略)

小学生にばかり集中しているとか、喘息持ちの子供が多かったといった話にご注目ください。
通常小児のインフルエンザ症例では5歳未満の乳幼児の死亡が多いのですが、今回の新型の場合何故か5歳以上の喘息持ちの小児に死亡例が集中していることは、既にCDCのレポートにも出ている通りです。
ここでも前述の成人死亡例でのケースと同様に、やはり発症早期の急変ということが起こっていることには注意すべきで、このあたりは新型の中でも病原性を異にする株が出てきているのではないかと気になるところですね。

ところで先頃は産科学会から「妊婦はさっさと積極治療しなさい」というガイドラインが出たわけですが、こうした事態も受けてか小児科学会の方からもガイドラインが出てきました。
タミフル副作用問題を考えれば「使えと言うならガイドラインで推奨しろ」とは以前から当ぐり研でも主張してきたところですが、しかしこれは色々と異論を呼びそうな話という気がしないでもない内容です。

1~5歳、軽症でもタミフル…小児科学会(2009年9月13日読売新聞)

 日本小児科学会は13日、子供の新型インフルエンザ患者について、タミフルなど治療薬の投与方針を公表した。

 外来では脳症などの危険性が高い1~5歳は軽症でも処方し、6歳以上については重いぜんそくなど持病を抱える場合には、症状にかかわらず投与対象とすることなどが柱。
(略)
 入院患者は年齢に関係なく原則的に投与し、安全性が確立されていない1歳未満でも、医師が必要と判断した場合は投与する。

10代などでは例のタミフルと異常行動との関連でなかなか処方も難しいところがあり、今後インフォームドコンセントなどで現場は難しい対応を迫られそうではありますが、それらを抜きにしても前述のように今回の新型では6歳以上の方がより危険性が高いのではないかという疑いもあるわけですよね。
そうした状況で相対的に危険度の下がっている5歳以下は全例投与、6歳以上は選択投与ということになると、何かしらちぐはぐな印象も受けるところではあるのですが、果たして現場の小児科医の先生方としてはどうお考えなんでしょうかね?

一方で妊婦症例に関しては基本的に「かかりつけの産科医”以外”で」対応するという話になっているとのことなんですが、少し考えただけでもこれも現場で一騒動ありそうだなという話ではないかと思います。
妊婦救急搬送問題があれだけ揉めていたのも、診たことも聞いたこともないような妊婦にいきなりやってこられても責任を持てないという現場の感覚があると思うのですが、ごく単純に考えただけでもこうした妊婦患者に治療をしたとして、もし母子に何かあった場合にその責任だけ取らされるの?と二の足を踏む医者が多そうではないですか。

感染のリスクは別としても、金銭的にも新型の診療は持ち出しだという状況で、こういうリスクまで負わされるならちょっと遠慮しておこうかというのが正直な人間の気持ちだと思うのですが、どうも行政側の方ではそうした危機感は薄いのか動き出しが鈍いようなのですね。

新型インフル「妊婦診療できぬ」医療機関の4割(2009年9月12日読売新聞)

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の診療体制について、感染症治療の中核となる全国の主な医療機関に対し読売新聞がアンケートしたところ、妊婦など周産期(妊娠22週以降)の患者を「診療できない」とする施設が4割近くに上った

 妊婦の治療は国の指針で、他の妊婦への感染を防ぐため、かかりつけの産科以外で受けることを原則としており、妊婦の患者を受け入れる治療体制の整備が急がれそうだ。

 アンケートは、国や都道府県が指定する感染症指定医療機関と日本感染症学会認定研修施設の計668施設に対し8月に行い、352施設(回答率53%)から回答を得た。

 新型インフルエンザの多くは軽症で治るが、妊婦や腎臓病、糖尿病など持病を持つ人は重症化しやすく、国は患者の1・5%で入院が必要と試算している。アンケートで、受け入れ可能な最大病床数を尋ねたところ、1施設平均19・2床で、施設により0~300床まで差があった。0床の施設は8か所あり、人員に余裕がないなどが理由だった。

 周産期の患者の診療を「できない」と答えた施設は132施設(38%)に上った。小児の診療が「できない」も66施設(19%)あった。腎臓病患者に対する人工透析も対応できない施設が91か所(26%)に上った。

 周産期の患者を診療できない理由を尋ねたところ、「産科はなく対応は難しい」などのほか、「産科はあるが医師不足」との声もあった。
(略)

新型インフル:妊婦など専門医療機関への協力要請半数以下(2009年9月11日毎日新聞)

 新型インフルエンザで重症化しやすい透析患者や妊婦、小児らについて、専門治療ができる医療機関に協力を依頼している都道府県は半数に満たないことが、厚生労働省の調査で分かった。こうした医療機関に設備購入補助などの支援をしている都道府県は約3分の1にとどまり、厚労省は国の補助制度の活用を呼び掛けている。

 厚労省は先月、都道府県に対し、専門医療機関の状況把握と協力依頼を要請。4日までに対応状況の報告を求めていた。

 透析患者や妊婦、小児らに新型インフルエンザ感染者が出た場合、専門治療が可能な医療機関を把握し、協力を要請しているかを聞いたところ、「既にしている」とした自治体は20~21道県にとどまった。人工呼吸器の購入や施設改修への補助、患者向けリーフレットの配布などの支援策を取っていたのは15~17道府県。27都県は何の支援策もしていなかった

 人工呼吸器などの整備や、待合室の院内感染防止用の間仕切り設置などは、9月から一般の病院や診療所でも国の補助制度の対象になった。厚労省の担当者は「対策が済んでいる都道府県は少ないが、今後、医療体制の確保が進むと考えている」と話している。【清水健二】

このうち費用面の公的支援に対しては以前から病院関係者の支援の要請に色よい返事が返ってきていませんでしたが、このところ政権交代の影響が及んできたと言うことなのか、少しばかり風向きが変わってきているようです。
しかし厚労省の「各自治体は補助金制度を利用し、医療機関への積極的な支援を展開してほしい」は良かったですが、このあたりの行政との絡みにつきましてはまた話が長くなる話題も多いところですので、後日にまわさせていただきましょう。

全医療機関に補助金 新型インフルで厚労省(2009年9月11日47ニュース)

 新型インフルエンザの本格的流行を受け、厚生労働省は11日、これまで全国約600の感染症指定医療機関に限定していた施設整備の補助金支給対象を前倒しして拡大、感染者を受け入れるすべての医療機関とすることを決めた。今月中にも各都道府県に通達する。

 インフル患者の診察を全医療機関に拡大する国内対応指針の改定に伴い、来年度からの支給対象拡大を決めていた。

 厚労省は同日、小児や妊婦ら「ハイリスク患者」受け入れに関する調査結果を発表。医療機関を支援している都道府県は約3割にとどまっており、「各自治体は補助金制度を利用し、医療機関への積極的な支援を展開してほしい」としている。

 厚労省によると、適用する補助金は「保健衛生施設等施設・設備整備費」。人工呼吸器や簡易陰圧装置などの設備を整備する全医療機関に対し、費用の半分を支給する。本年度計上している計約24億円のうち、既に約17億円の支出が決定しており、残額を充てる方針。(略)

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2009年9月13日 (日)

今日のぐり「かつ将」

本日まずはこちらのニュースを紹介してみましょう。

UFOの目撃例は「Xファイル」が放送されると急増、英国防省の資料で明らかに(2009年8月19日テクノバーン)

英国防省が収集した英国内での1981年から1996年までのUFOの目撃事例から、UFOを題材としたTV放送や映画が公開されるとUFOの目撃例も増えていたことが8日、英公文書館が公開した資料により明らかとなった。

資料編纂にあたったシェフィールド・ハラーム大学のデビッド・クラーク(David Clarke)博士の見解によると、「1995年には目撃数が117件だったものが、1996年には609件に急増した」とした上で「これは明らかに1996年に宇宙人を題材にしたTVドラマ『Xファイル』と映画『インデペンデンス・デイ』が放送されたことと関連があるものと考えている」と述べ、こうしたUFO目撃事例はTVや映画に大きく影響を受けているとの考えを明らかにした。

1996年の目撃者は、子供から大人まで、一般人から警官、航空機のパイロットなど、その職種は様々。クラーク博士は、その90%は気球や雲の見間違いとして、科学的に立証することが可能だとも述べているが、残りの10%に関しては正体不明だとも述べている。

資料の詳細は、英公文書館のウエブサイトを通じて公開されている。

まあ色々と言いたいことはあるのですけれども、取りあえず税金使って大まじめにこんなことを調べてしまうイギリス国防省が素敵過ぎるという感じでしょうか。
ブリと言えば変態とは今や世界の定説ですが、単に変態であるだけでは大英帝国の繁栄など築けたものではありません。
本日は彼らの研究熱心ぶりが高じていささか斜め上方向に疾走してしまっているのではないか?というニュースを紹介してみますが、まずは遊園地ネタを二題ほどいってみましょう。

理由は「ワキ汗の臭いが不快だから」、ジェットコースターの手挙げ禁止。(2009年08月20日ナリナリドットコム)

遊園地でジェットコースターに乗るとき、高ぶる気持ちや解放感から、歓声を上げたり、手を挙げる人も多いだろう。ところが英国のある遊園地では、ジェットコースターで「手を挙げる」行為を禁止するという珍妙なルールを作った。その理由も「多量にかくワキの汗が、ほかの人を不快にさせるから」というから変わっている。

この遊園地は英国南部サリー州にある英国最大級のテーマパーク「ソープパーク」。ジェットコースターを豊富に揃えているという、さしづめ日本の「富士急ハイランド」のようなイメージの遊園地だ。それだけに、ジェットコースターが好きな人も多く集まりそうだが、そんな「ソープパーク」が、なぜ定番の「手を挙げる」行為を禁止するに至ったのだろうか。

「ソープパーク」で監督責任者を務めるマイク・バリスさんは、このルールができた経緯を「気温が25度を上回るとき、不快な臭いのレベルが受け入れられなくなると判った」(英紙デイリー・ミラーより)からだと説明する。実際にこうした臭いの苦情を受けたこともあるという。さらにバリスさんは「『ソープパーク』のジェットコースターの怖さは折り紙つき」「乗るのを待っている間にも、恐怖心から乗客が汗をかきやすい」と主張。「お客さんが最も楽しい体験をするために、ワキの臭いを晒さない確実な方法」として、「手挙げ禁止」のルール(※気温が25度以上のときのみ)を作ったそうだ。

ジェットコースターに乗る人の生理学を研究したという、航空エンジニアのブレンダン・ウォーカー氏は、英紙デイリー・テレグラフに、ジェットコースターと汗の関係について解説のコメントを寄せている。まず、「列に並んでいるときから、ジェットコースターの恐怖を予測するため、交感神経が刺激されて汗をかき始める」と生理学的に分析。この段階から汗の臭いレベルが上がり、実際に乗車するまでには多量の汗をかき、さらに「ソープパーク」にはいくつものジェットコースターがあることから、「列に並ぶたびに多量の発汗を繰り返す」と説明している。

秋を迎えて気温が下がれば、このルールは解かれるそう。8月19日のルール適用初日の入場者の反応も気になるところだが、とりあえずは夏に「ソープパーク」でジェットコースターに乗りたいと思ったら、このルールを守るしかないようだ。

まあそれはその通りではあるのでしょうかね、あちらは総じて体臭濃いとも言いますし…えらく具体的なところがひどく嫌な感じではあるのですけれども。
いやしかし「ジェットコースターに乗る人の生理学を研究したという、航空エンジニアのブレンダン・ウォーカー氏」って。
技術者が学位論文か何かでこういうことを研究したのかも知れませんけれども、もう少しテーマを選べと指導する教官もいなかったんでしょうかねえ…

さて、同じジェットコースターネタでもこちらは少し毛色が異なっていながら、やはり同じくブリ的という話題です。

英遊園地、乗り物の恐怖克服に「催眠術」用意(2009年8月31日ロイター)

英南部サリー州のテーマパーク「チェシントン・ワールド・オブ・アドベンチャーズ」で、ジェットコースターに乗りたがらない親でも、子どもたちと一緒に高速の乗り物を楽しめるよう、催眠術をかけるサービスを開始する。
 同パークが今年実施したアンケート調査では、親がスピードのある乗り物を敬遠することについて、子どもたちは不愉快に思っていることが分かった。総支配人のデビッド・スミス氏は「ファミリー向けの施設としては、子どもたちと同じように大人が楽しんでくれることも重要だ」と語った。
 催眠術療法士のスティーブン・リグビー氏によるセッションは、10月9日からスタートし、ウェブサイト(www.chessington.com/shoutabout)に応募した子どもの両親が対象となる。
 リグビー氏は「子どもたちの親は、叫んだり目を閉じたままでいるなど、様々な方法で恐怖を克服しようとするが、この方法を使ってくつろいで楽しんで欲しい」と説明している。

いや、まあその、そうまでして乗らなければならないようなものなんでしょうかね、ジェットコースターというものは…このあたりの執着ぶりもまたブリ的ということなんでしょうか。
彼らの妙な執着ぶりが現れているものの一つに、他国ではとっくに消え去ったものへの過度の愛着というものがありますが、さすが歴史と伝統を重んじる国だけにこのあたりは彼らなりのこだわりと言うことなのでしょうか?

イギリスで半世紀ぶりに”新造”の蒸気機関車「A1」完成(2008年08月03日Garbagenews)

【Mail Online】によると、先日イギリスで「新造」の蒸気機関車が完成し、お披露目の運転が行われた。元々1948年から1949年に建造され、1966年まで稼動していた A1タイプ(Peppercorn Class A1 Pacific 60163 Tornado)の車両を出来うる限り忠実に再現したレプリカで、ダラム州の州都ダーリントン(Darlington)にて建造された。1990年にボランティアグループによって計画がスタートし、実に20年近い歳月と300万ポンド(6.3億円)もの費用が費やされている

今回新造された蒸気機関車A1は、国立鉄道博物館に保存されていた1966年まで稼動したタイプの図面を元に建造されたもの。もちろんそのまますべてを再建造したわけではなく、ブレーキなどの安全装置をはじめ随所に新しい仕組みが追加採用されている(現在の生産技術などを応用し、高速化にも寄与している)。ただし肝心の「蒸気機関」の部分は昔のまま。燃料である石炭をスコップでくべる部分などは今世紀になっても変わらない

全体的なスペックは19.05メートル、高さ3.9メートルでオリジナルの機関車より1インチ(2.54センチ)ほど低くなった。幅は2.6メートル、重さは170トン。最高時速は160キロとなかなか速い。なお通常使用時には1日で8トンもの石炭を使用していたのこと。吐き出す二酸化炭素は1キロメートルの走行あたり15キログラム(軽自動車90台分)。

建造のために用いられた労力は全部で15万時間・人力。今回建造されたレプリカは300万ポンドかかったが、当時は1.5万ポンドで作れた。これは現在の価格で37.6万ポンドに相当し、ディーゼル機関車の建造費150万~200万ポンドと比べると案外お買い得。ちなみに建造費はスポンサーからの援助や個人を中心としたファンからの寄付金(「一週間にビール1杯分(1パイント)の1.25ポンドをA1建造のために寄付しよう(当時の価格。現在では 1.25ポンドは265円)」という運動が展開された)でまかなわれている。

軸配置は4-6-2。要は横から見ると「(前)○○●●●○(後)」という車輪配置で「●●●」の部分が大きな動輪となる。この動輪部分は直径約2メートル、それぞれの重さは約2トン。
この建造プロジェクトのリーダーであるMark Allatt氏は、蒸気機関車について次のように語っている。

    蒸気機関車は人類が今まで作った創造物の中でもっとも”生き物”に近い、素晴らしいモノに違いない。迫力ある動きと蒸気を吐き出す様子はまるで生きているようで、今の機関車には出来ない芸当だ。子どもが最初に描く列車はディーゼル機関車ではなく、蒸気機関車だろう? それが(蒸気機関車の素晴らしさの)すべてを表しているんだよ。
(略)

そうですか、それが全てを表しているのですか。
リンク先の動画などを見ると確かにこのあたりまでであれば「あり」なのかなと思うような迫力なんですが、話がここまでで終わってしまってはブリではありません。
彼らの蒸気機関に対する歪んだ執着が現れているようにも見えるのがこちらの記事ですが、なんと100年ぶりの記録更新なんだそうです。

ブリテン、蒸気自動車の最速記録を103年ぶりに更新(2009年08月27日AFP)

蒸気自動車の陸上走行の最速記録を、英国のチームが103年ぶりに塗り替えた。チャールズ・バーネット3世(Charles Burnett III)氏が運転する蒸気自動車「British Steam Car」は25日、米カリフォルニア(California)州モハベ砂漠(Mojave Desert)のエドワード空軍基地(Edwards Air Force Base)で、時速139マイル(約222キロ)を記録。1906年にフレッド・マリオット(Fred Marriott)氏が「Stanley Steamer」で樹立した最高時速127マイル(約203キロ)を破った。

こちらに動画まであるんですけれども、畜生、なんだかブリのくせに格好良いじゃねえか!(苦笑)。
ちなみに今までの記録保持車であったアメリカの「Stanley Steamer」号についてはこちらで詳細に紹介されていますが、見た目的にはこちらの方がはるかにブリっぽい気もしますけれどもね(しかしこの車、ワンオフかと思っていたら量産市販車だったんですね)。

さて、最後は少し古い記事ですが、口直しにいかにもブリらしい話で締めておきましょう。

核戦争の最大の懸念は放射能ではなく紅茶不足、50年代の英公文書(2008年05月05日AFP)

もし核戦争が起きたら政府は何について最も憂慮するべきか――答え、紅茶不足。こんな内容の英政府の公文書が4日、公開された。

 英国立公文書館(National Archives)で保管され、このたび機密指定解除された1954-56年の英有事対策会議の議事録には、英国が原子爆弾や水素爆弾の攻撃を受けた場合の懸念について、放射能汚染ではなく、英国人の主飲料である紅茶が不足する「非常に深刻な事態」に陥ると記されていた

 議事録によると、核攻撃で「英国内の紅茶用茶葉の75%が損失し、茶葉の輸入も大幅な遅れが予測される」うえ、「配給制度も確立されていないため、1人当たり週28グラムの茶葉の配給すら困難と思われる」。その上で、「こうした紅茶不足に対する有効な解決策は、現在のところまだない」と結んでいる。

 また、1955年の議事録では「核融合爆弾の開発によって、われわれが講じるべき食料防衛対策はより先進的かつ困難なものとなった」と警告。核戦争の有事対策として、食料備蓄の確保とともにパン、牛乳、肉類、油脂類、そして紅茶と砂糖の安定供給を挙げている。

いやあ、そこまで紅茶切れは深刻な事態ですかそうですか…って、ネタに思えるネタでない話ですかね、これは。
彼らのその後の研究で、この紅茶不足問題に対する有効な解決策が見つかっているといいんですけれどもね(おそらくは彼ら以外の世界の人々にとっても)。
まあしかし、この熱意と努力をもう少し有意義な方向に活かしていれば大英帝国の繁栄も更に百年続いたかも知れないとは思うわけですが…

今日のぐり「かつ将」

山陽高速の福山東インターチェンジを降りてほど近く、福山市街地のやや東寄りあたりに位置する、一見すると最近どこにでもあるようなとんかつ屋です。
付近は大型商業施設があったりで年中渋滞しているような状況なんですが、この店も市内でも屈指の人気店らしくいつもお客で一杯ですね。
ちなみにこの店、雰囲気的にてっきりチェーン店か何かだと思っていたのですが、話を聞いてみるとそういうわけでもないらしいんですね。
この日は食事時に入りかけといった頃合いで入店しましたが、座って待つ間にあっという間に満員になってしまいました。

とりあえず黒豚ヒレかつをメインに同じく黒豚ロースかつもつまんでみましたが、ここの場合定食のオーダーに少し特徴があります。
主食が白飯か麦飯、汁が豚汁かその日の味噌汁を選べるようになっているんですが、このその日の味噌汁というのが毎回色々と工夫しているようで楽しいですね(もっとも大抵豚汁を頼むわけですが…)。
ちなみにこの飯と汁、そして付け合わせのキャベツはおかわり自由なんですが、お陰で腹具合に応じて誰でも黙って満腹になれるというありがたいお店でもあります。
自分は使いませんがソースも二種類、ドレッシングも二種類と、それぞれ選択肢を用意してあるのもお客からすると嬉しいところですよね(ちなみにここのドレッシングは食べたことはありませんが、結構好評なんだそうです)。

このヒレかつは比較的太い肉を使っているせいか中心がロゼに保たれているのはなかなか好感が持てるところで、味、食感もなかなか良くて楽しめますね。
ただ薄めにカットされた中央部は良いとして、端の部分はやや肉の食感が勝りすぎという気がして、個人的好みで言えばカツとしては少しアンバランスでしょうか(豚肉好きにはこういうのもいいんでしょうけれども)。
個人的にトンカツと言えばヒレよりロースで脂の味を楽しむというタイプなのでこの日も少しつまんでみたのですが、この黒豚ロースかつに関しては脂の味はいいんですか肉の味がやや物足りないかなという感じで、これだったら脂はなくともヒレの方が楽しめるという印象でした。
ところで油と言えば揚げ油は健康に気を使っているのは判るんですが、純粋にトンカツの味だけを追求するならもっと不健康な油の方がうまいのは仕方ないですかね(苦笑)。

麦飯は保温の関係なのかややへたり気味ではありますが、珍しさもあってか味はまずまずというところでカツの風味との相性もよく、丁寧に切られたキャベツも甘みを含んだ味、パリパリ過ぎもしない食感ともまず合格といえそうです。
こってりと脂の乗った豚汁は多種多様な具材も結構それっぽくて悪くないんですが、せっかく表面にたっぷりの脂の効果もあって熱々を楽しめるのに、惜しむらくはやや量が多すぎて(同行者は残してしまいました)後半冷めてしまうので、どうせおかわり自由なのでしたら少し小盛りにしてみたらどうでしょうかね?
漬け物はあからさまにアレな見た目でないところはいいんですが、味、食感は(最近はこのレベルでも十分水準はクリアしてるとはいえ)もう少し頑張ってもらってもいいかなと言うところでしょうか(まあ最近は漬け物にうるさい客も多くはないんでしょうが)。

決して最良とは言わずとも全般的に味、ボリュームともに十分値段分の価値があると思うのですが、このお店を語る場合に人気店となっている理由である(のでしょう)顧客満足度ということに言及せずにはいられませんよね。
「よく気がつく」と評判(らしい)のスタッフは比較的余裕のある人員配置にしていることもあって人気店の割に動きにゆとりがあるのも好印象なんですが、見ていますとお互いにしっかり声を掛け合ってサービスの水準を維持しているのはいいですよね。
実はまだ慣れてないんだろうなと思えるようなスタッフでも、個々の接客におけるちょっとした気遣いが出来ているというのを顧客に「見せる」のが非常にうまいなと感心して見ているのですが、これはマニュアルを作った人がよほどしっかり接客というものを研究しているということなんですかね。
とんかつ屋としては珍しいことにトイレにディスポの歯ブラシが用意してあったりするのも一部の人には非常に好評なようですが、何にしろ庶民的な価格でお腹いっぱいになってもらい、かつ気分良く食べていってもらおうという姿勢を明確に示せているのは商業モデルとしては非常に正統的であろうし、こういう店が流行るのは地域にとってもいいことだと思いますね。

とんかつ屋というものも現代の外食産業の中ではポジション取りになかなか苦労しているのかも知れませんが、ここの場合は日常生活の合間に何気なく立ち寄って、気分良くごちそうさまと言って出て行けるお店、そんな感じでしょうか。

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2009年9月12日 (土)

アレなのは医師会だけではないらしい?!

昨日登場いただきました経済学者の池田信夫氏によれば「いろんな職業の人とつきあったが、こんなふうに特権意識丸出しで相手を見下してしゃべるのは、全銀協と医師会だけ」なんだそうです。
それらの方々が確かにアレなのはナニなんでしょうがが、「だけ」と限定してしまってはいささか社会人としての交友関係が狭いのではないかとも思われるところでしょうかね。
例えば全銀協と医師会以外の特権階級の代表例としてしばしば名前が挙げられる方々の実例に関して、少し前ですがこんなブログ記事が一部界隈でちょっとした話題になったことがありました。

【第6回】臓器移植に際しての体験談 変態毎日新聞記者の資質(2009年7月18日名和伯耆守戯言)より抜粋

実は自分の勤めている病院は、かなり初期に脳死からの臓器提供を行っています。
「どうも臓器提供カードを持った患者さんが脳死状態になったらしいぞ」
その一報を受けてから、脳死確定に至るまで約1日半。
いよいよ正式な臓器提供に至るということで、その日は休日にもかかわらず出勤。(略)
とはいえ、自分は一兵卒ですので、病院にやってきた新聞記者を会見場に案内する役所。
一番最初に来たのは準地元新聞の女性記者、次は地元新聞の記者が。続いて全国紙の記者が続々とやってきました。
いずれの皆さんも、キビキビした動きをしていて、案内を終えた自分に「有り難うございます」と言葉を掛けてくれました……ただ一社の記者を除いて。

会見の時間が始まっても、自分はまだ後から記者の人が来るといけない、ということで、その場に待機。
会見が終わり「後片づけ頼む」と会見を終えた上司に云われ、会見場の後片づけに。
会見場に入った瞬間でした、その怒声が投げかけられたのは。

おい、どうなっとるんや! 説明しろ!
「はいっ?」
いきなり訳が分かりません。自分は詳しい会見内容知らされていないし、会見場にもいませんでした。
「いえ、私はあなた方の案内をしていたので会見内容については分からないのですが」
「分からないんじゃ困るんだよ、分からないんじゃ!」
言葉だけ聞いていると、殆どヤクザです。
そもそもあなたをここに案内してきたのは自分で、その後、持ち場に戻っていたでしょう?
しかし今から思えば、会見場に案内した時にも鼻を括ったような態度でしたので、ろくに自分の顔すら見ていなかったのでしょう。
おまえじゃ、話にならん。上司を呼べ、上司を!
やっぱりヤクザです。

その場にいても怒声を投げかけられるだけなので、とっとと上司の所に行くと、この記者が怒鳴っている理由が判明しました。
臓器提供者の名前と住所を教えろ! お前らには教える義務がある!
これがその記者の主張だったのです。
絶句しました。
明確な臓器提供ガイドライン違反の強要です。しかも最も重大な違反です。
少しでも臓器提供法案の内容を知っていれば、そんな居丈高になれる筈がありません。
いや、今から思えば、この記者の脳内では「法律の遵守<<<(越えられない壁)<<<スクープ」の明確な図式が成り立っていたのでしょう。

その後も、全ての臓器が提供されるまでその記者はうちの上司にまとわりつき、臓器提供者の名前と住所を聞き出そうとしました
勿論、そんな要求を飲むわけにはいきませんので、上司は最後まで跳ねつけました。
「ひどい記者がいるもんだ」
その場はそれだけで済みました。腹は立っていましたが。
しかし、この男の真正の屑っぷりが明らかになるのはこの後のことでした。

ある一定規模以上の病院の場合、患者さんには非常に申し訳ないことですが、一定程度の割合で医療ミスが発生します。
しかも民間の場合は示談が成立すれば新聞沙汰になりませんが、公的病院は全て公表されます(現にうちの県内の大規模公的病院は全て、自分が赴任してからの7年内で医療ミスによる示談が成立しています)。
うちもこの間に二度、医療事故を発表していますが、その際の記事が某一社だけ突出して扱いが大きい
「偶然かな?」と思いました。
うちの病院の外部監査の結果が発表された際のことが記事になるまでは。
普通新聞記事で外部監査の結果が載るなんて、よほどおかしな結果が出た時くらいです。
勿論うちの結果はそんなことはなく、その某一社だけが載せているのを見つけた時は首を捻りました。
そして記事を読んだ次の瞬間、上司に抗議の電話をかけるように談判に行くことに決めていました。
明確な捏造でした。しかも自分の担当分野の領域で。
ですが、結局抗議の電話はかけられませんでした。
その記者は元は業界紙の記者で、当時から悪名高く鼻つまみ者だったのに、いつの間にかその全国紙の記者に成り上がっていたのでした。
しかも自分の気に喰わないことがあると、その相手への嫌がらせ記事をねちねち書くことで有名だそうで。
歯ぎしりしながら引き下がりましたが、その後もこの記者のねちねち報道は続きました。
……もっとも、その記者が転勤になってからも、その新聞社だけがやたら当院に対して悪意ある記事を書きまくっているのですが。

流石、公務員を性的に籠絡して機密を奪うスパイやクラスター爆弾を機内に持ち込もうとして無辜の空港職員を爆殺したテロリストを育成したり、日本人=変態の記事を全世界に発信しても、その責任を取って社長になれる新聞社は末端の記者からして質が違いますね。(略)

元記事ではもちろんどこの新聞社か明確にしているわけですけれども、ここまで言われれば敢えて明記せずとも「ああ、いつもの変態さんか」とお分かりですよね(笑)。
もっともこうした行為は別に変態新聞社に限ったことでも何でもなく、かつては新聞記者を称して「羽織ゴロ」などと呼び習わしていたくらいですから、今でも田舎の方に行きますと色々と愉快な(今だから笑い話で済みますが)逸話を語ってくれるご老人が生きていらっしゃったりします。

最近ではこれにテレビ業界というものが新規参入していて、例えば某放送局の大河ドラマなんてものも地元では色々とアレな話題てんこ盛りなんだと言いますが、そこは彼ら業界の大好きな勧善懲悪と言いましょうか、この不景気の世の中でそうそう彼らだけがいつまでも美味しい思いを出来るものではありません。

放送業界、初の赤字転落=09年3月期-総務省調べ(2009年9月9日時事通信)

 総務省が9日発表した国内放送事業者の2009年3月期収支状況によると、地上波テレビ・ラジオ局計195社全体の純損益は212億1900万円の赤字だった。前年度は620億4200万円の黒字だった。赤字転落は資料上確認できる1976年3月期以来初めて
 195社中、純損益が赤字だったのは半数以上の107社で、前年度の64社から大幅に増えた。
 同省は「広告費の減少傾向が続いており、経営に影響を与えている」と分析している。 

テレビ業界と言えば今年の始めに総務省と相談して下請けいじめに関する自主ルールを作ったと言うくらいに搾取体質どっぷりな業界であることは有名ですが、こういうことになってきますとまたぞろ下請けいじめに精出さないことにはやっていけないということになるのでしょうか。
そういう人々が「大企業は下請けいじめをやめろ!」などと叫んでみたところで空しいというものですが、さすがに近ごろでは彼らの欺瞞に気付き始めた人々も増えてきているようです。

そもそも既存メディアの退潮傾向は今や一過性の話題などではなく、例の変態新聞事件など様々な事件を通じてメディアウォッチャーたるネットリテラシーを身につけた市民の側が、マスコミへの対処法というものを学んだ、その結果例えば電突するならマスコミよりスポンサーにといったマスコミ対応のゴールデンルールが明確になってきたわけです。
ひと頃の厚労省バッシングに絡んだトヨタの奥田氏の「あれだけ厚労省が叩かれるのはちょっと異常な話。正直言って、私はマスコミに対して報復でもしてやろうかと。スポンサー引くとか」発言でテレビ局が一気に腰が引けてしまうといった事件もありましたが、それだけ彼らもスポンサーには気を使っていたわけですよね。
ところがどうもそのスポンサー側の意識変化が出てきたと言うことなのでしょうか、このところ単なる不景気による広告費削減などといったレベルにとどまらない動きがあって、現状は彼らマスコミにとって単なる一時的な景気後退などではないという見方も出てきているようなのですね。

広告主の意識変わった TV「この世の春」の終わり(連載「テレビ崩壊」第4回/日本アドバタイザーズ協会 小林昭専務理事に聞く)(2009年8月18日J-CASTニュース)

   新聞の倍以上の広告費を集めるテレビも広告の落ち込みに苦しんでいる。2008年後半からの経済危機の影響だけなのか、それとももっと構造的な変化が起きているのか。広告主の意識の変化について、社団法人日本アドバタイザーズ協会の小林昭(ひかる)専務理事に話を聞いた。

爪に火を灯して出す広告費をもとにテレビ局は高給取り集団になっていた

(略)
――テレビ広告減は景気の影響でしょうか。新興のインターネットにくわれた部分もあるのでしょうか。

    小林 1番影響が大きいのは、やはり景気です。もちろんインターネットの影響もあります。広告主の意識も変わり、「何が何でもテレビ」という感覚ではなくなってきました。テレビだけに集中投下するのではなく、販売促進キャンペーンやネットを連動させ、以前より大きな効果を出そうとし始めています。広告費総枠を増やせる情勢ではないのでネットに流れた部分はあるでしょう。

――ネット広告費は、ラジオや雑誌を追い抜きました。テレビは優位を守れるでしょうか。

    小林 少なくとも5-10年というスパンでは、ネットがテレビを凌駕するということはないでしょう。一瞬にして、広くまんべんなく情報を送ることができる、という点でテレビの存在感はまだまだ大きなものがあります。また、個人的意見ですが、テレビはゆったりと待ちの姿勢で流れてくる情報を楽しむもの、ネットはユーザーが前のめりになって自分から情報を取りにいくもの、と両者には差があります。前者の楽しみ方をする人は、やはりこれからもいるでしょう。

――では、景気が回復すればテレビ広告も戻るでしょうか。

    小林 ある程度は上向くでしょう。しかし、完全に以前のように戻ることはないと思います。広告主は以前よりアカウンタビリティー(説明責任)を求められています。3か月ごとの四半期で、場合によっては月次で成果が要求されている所もあります。そうした中、テレビ広告の効果・成果はすぐには見えないということが影響し、テレビ広告を見直すところはある程度増えるでしょう。替わりに販促キャンペーン導入が目立ってきました。

――景気の影響ではなく、戦略的にテレビ広告を減らす広告主も出ているのでしょうか。

    小林 名前は言えませんが、ある大広告主がびっくりするぐらいテレビ広告を減らそうとしています。まあ、耐久消費財関係のところと言っておきましょうか。あくまで実験的な試みではあるようですが、その結果次第では他社へも大きな影響を与えるかもしれません。

――構造的な変化の兆しについて、テレビ局側は危機意識をもっているのでしょうか。

    小林 制作費が大幅に減らされたこともあり、さすがに危機感は出ています。しかし、例えばスポット広告のあり方について、我々が現行の「15秒枠」にとらわれない柔軟な対応を求めても、「そうですね」だけで実行に移す気配はありません。まだまだ危機意識は足りないようです。
       もっともテレビが危機だ、などと言い始めたのは、わずかこの6、7か月のことです。それまではこの世の春を謳歌していたのです。我々が爪に火を灯すようにして出す広告費をもとに、テレビ局は高給取り集団になっていた訳です。ようやくリストラ云々の話も出始めましたが、普通の民間企業はとっくにリストラをやって、さらにどう削るかと戦っているのです。これまでのテレビ局員は浮世離れしていたと思いますね。テレビに本当の厳しさがくるのはこれからです。
(略)

――テレビの未来は安泰でしょうか、それとも倒産の可能性を含めた危機的状況でしょうか。

    小林 媒体としての魅力・可能性は依然として持ち続けていると思います。しかし、現状のままでは厳しいでしょう。変わらないと生き残れない。変わらざるを得ない。テレビの人は、視聴者が大事、広告主のため、とよく言いますが、言ってることと、やってることがこれまでは違っていたと感じます。生き残れるかどうかは、視聴者や広告主の声にどれだけ敏感になれるか、にかかっている気がします。

日本ではあまり新聞社やテレビ局の倒産という話は聞きませんが、彼らも一営利企業として市場原理に沿って活動する身でもあるわけですから、未来永劫潰れもせず我が世の春を謳歌してばかりとはいかないのは当然ですよね。
そこで新たな収入源として記事中にもありますように、今の時代に広告費という点でも新聞、テレビに迫る第三のメディアとなってきたネットというものの存在感は無視できないはずですが、どうも既存メディアの方では明らかにネットへの認識が浅い、というよりむしろ敵視している気配が濃厚なのは以前から当ぐり研でも取り上げてきたところです。
彼らもネットというものに商売の手を広げなければという認識はあるようなのですが、先日も取り上げました通り肝心のコンテンツが捏造ばかりで支持を失っている現状で視聴者に金を出せと主張したところで、果たしてそれが社会的に受け入れられ彼らの求めるような新たな収入源となり得るかということですよね。

「ニュースサイトが有料化したら読みたくない」人は96%(2009年08月31日Business Media 誠)

 経営状況の悪化に苦しむ新聞業界。米国ではルパード・マードック氏がニューズ・コーポレーション傘下にある新聞のWebサイトを1年以内にすべて有料化する、と発表したが、日本で同じことが起きたとき、ネットユーザーはどのように反応するのだろうか。

 アイシェアが20?40代の男女に対して行った調査によると、ニューズ・コーポレーション傘下の新聞社Webサイトが有料化することに対しての印象は、「利用料が発生するのは好ましくない」が最も多く33.1%、「新しい読者が増えなさそう」が26.0%と続き、「記事の質が良くなりそう」(6.7%)、「正確な情報が得られそう」「情報量が豊富になりそう」(いずれも3.0%)を大きく引き離した。

●「PCや携帯でニュースをチェックする」人が95%

 テレビ番組、新聞、Webサイトなどでニュースを見る上で最も重要視することを聞くと、最も多いのは「情報の正確さ」(34.8%)と「情報伝達の早さ」(34.6%)。3位は「情報量の豊富さ」(12.2%)となった。

 ニュースを見る人に、携帯電話での閲覧も含め、Webサイトでニュースを見ることがあるか聞くと、全体の66.3%、男性と30代では70%前後が「よくある」と回答。「たまに見る」もあわせると94.8%がWebニュースを閲覧しており、ネットユーザーにとってPCや携帯でニュースチェックするスタイルが定着していることが分かる。

●無料ニュースサイトが有料化したら購読を続けたくない人は96%

 「Webニュースサイトを読むときの利用料は、有料・無料どちらを選びますか?」という問いに対し、「無料だけ選ぶ」と答えた人は97.9%。「有料だけ選ぶ」は0.2%、「有料・無料どちらも気にせず選ぶ」は1.9%しかいなかった。

 また「無料のニュースサイトがもし有料になった場合、利用料を払ってニュース購読を続けたいと思うか」という問いに、「続けたくないと思う」と回答した人は69.7%。「どちらかというと続けたくないと思う」をあわせると96.0%が「続けたくない」とした。「続けたくない」と答えた人は男性よりも女性が多く、また世代が若くなるにつれて増えている。

 景気後退・広告費縮小の流れを受けて、日本でもネットニュースの購読有料化を検討する新聞社は増えている。しかし読者離れを起こさずに有料化を実現するためには、ユーザーとの間の意識のズレを埋める努力が必要になりそうだ。(略)

調査の対象が若年層でいわゆるネットリテラシーの高い人々であろうというバイアスは考慮する必要がありますが、同時にこれからの時代「ニュースと言えば新聞、テレビだけ」という世代は次第に先細りとなっていくのも事実なんですよね。
今の40代以下を中心とするいわゆる2ch世代の特徴というのは、何よりニュースというものは単に受け取るだけではなく自ら発掘し、時には発信するものですらあるということが身についているということではないかと思います。
そして受け身専門の世代が退場していった後に多数派を占めてくるのがその2ch世代であって、つまりは一連の変態新聞祭りなどで既存メディアから目の敵にされている人々と見事に重なっているというわけなのですよね。

さて、将来の主要顧客が自らの不倶戴天の仇敵であったと言う場合に、金のために涙をのんで膝を屈するか、それとも最後まで維持を貫き通して歴史の彼方に消え失せるか、いずれにしても彼ら既存メディアにとって究極の選択と言うものが間近に迫ってきているとみていいということなのでしょうかね?
彼らがどちらの道を選んだにしても、眺めている人々にとってはずいぶんとメシウマな一大エンターテインメントになりそうなんですけれども(苦笑)。

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2009年9月11日 (金)

ついに医師会崩壊間近?!

今日はまず少し古い話になりますが、経済学者であり著明なブロガーでもある池田信夫氏の記事より紹介させていただきます。

医師会には社会的常識が欠落している人が多い(2008年11月20日池田信夫blog)

麻生首相の「失言」が次々に問題になっている。きょうは「医者には社会的常識が欠落している人が多い」という発言が槍玉に上がっているが、これは文脈を無視した引用である。もとの発言は、朝日新聞によれば、

    (医師不足が)これだけ激しくなってくれば、責任はお宅ら(医師)の話ではないですかと。しかも「医者の数を減らせ減らせ、多すぎる」と言ったのはどなたでした、という話を党としても激しく申しあげた記憶がある。

というもので、これは正論だ。小倉秀夫氏も指摘するように、かつて「医師過剰」の是正を繰り返し求めたのは日本医師会出身の議員だった。たとえば1993年に参議院文教委員会で、宮崎秀樹議員(当時)は

    次は、大学の医学部、医科大学の学生定員の問題でございます。これに関しましてはいろいろ定員削減という方向で文部省と厚生省との話し合いができておりまして、一〇%削減、こういう目標を立ててやっているのですが、実際にはそこまでいっていない。[・・・]例えば昭和六十三年には十万対百六十四人だった。これが平成三十七年には三百人になるんです。三百人というのはいかにも医師の数が多過ぎる

と医学部の定員削減を求めている。宮崎氏は日本医師会の副会長を歴任した。

実は、私もこのころ医師会に取材して驚いたことがある。カルテの開示について、社会部の記者と一緒に某常任理事にインタビューしたところ、彼は「あなたがたは勉強が足りないから教えてやる」といって演説を始めたのだ。「医者と患者は同格の立場ではない。患者は判断能力がないのだから、カルテなんか見るのは混乱するだけだ。黙って医者のいうことを聞けばいい。医師会は、インフォームド・コンセントなんてまやかしの流行には乗らない」とカメラの前でぶちまくる彼に、われわれは唖然とした。

私もいろんな職業の人とつきあったが、こんなふうに特権意識丸出しで相手を見下してしゃべるのは、全銀協と医師会だけだった。医師全体がどうかは知らないが、医師会に社会的常識の欠落した人が多いことは間違いない。医師会は官邸に抗議に行く前に、自分たちが過去にどういう政治的圧力をかけてきたのか、思い出したほうがいいのではないか。

日本医師会(以下特に断らなければ、医師会=日本医師会)という組織は何かしらひどく評判が悪いところで、マスコミなど一部の方々からは蛇蝎の如く嫌われているらしいのも今さらですが、近ごろでは地区医師会で理事をしているような世間的に見れば医師会どっぷりと見える先生方の口からも悪口が途絶えることがないようです。
先の選挙に絡んで茨城県医師会が医師会に反旗を翻したということが保守組織票崩壊の象徴として非常に話題になりましたが、ひとたび医師会所属の烙印を押されると乗り換えたら乗り換えたでまた批判されるというのも何かしら哀れを催す光景ですね。

実際には日本共産党がソ連共産党と必ずしも一枚板でなかったのと同様に、地区医師会と日本医師会が単純に上意下達の関係であると捉えるのは実態を見誤る元であって、地区医師会は単なる日医の代弁者ではない、むしろ最近やつらのやり口にはらわたが煮えくりかえると憤慨されている先生方も多いようです。
やはり末端会員に不評なのは事故調試案の件にも見られるように、全く民主的運営がされていないという医師会の組織運営上の問題が大きいようですが、理事を務めるような地域で根付いて何十年という開業の先生でもそうなのですから、ましてや形ばかりの(特に病院が勝手に入会させたような)勤務医会員こそ「あいつらと一緒にするな!」と文句たらたらでしょうね。

勤務医と開業医では全く目指すところが異なるでしょうし、同じ勤務医と言っても都市部基幹病院の常勤救急医と場末の老人病院の非常勤皮膚科医では全く視点も異なる上に、単一の組織としてまとまるには医者という人種は我が強すぎるので医師会も大変でしょうが、そもそも医師会は民主的組織ではないですから船頭多くして船山に上るということだけはないのでしょう(苦笑)。
昨日も民主党の仙谷由人議員から行政側と医師会とを一括りで批判されていることを紹介しましたが、もしあれを悔しく思っている医師会幹部がいたとすれば、同様に医師会所属の医者だと一括りにされて悪の組織の一員でも見るかのような世間の冷たい視線に晒されている末端医師会会員の悔しさにも思いを馳せなければならないでしょうね。

それでもさすがに最近ではネットなども発達していますから、マスコミがいくら黙殺しようが「医師会=全国の医師達の代弁者」ではないという認識は次第に広まっているようで、例えば今まで医師会との関係が(控えめな表現をするならば)必ずしも濃厚とは言えなかった民主党界隈からもこんなコメントが出てきています。

現場開業医と日医の声が違う―民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月4日ロハス・メディカル) 

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、「病院と協力して頑張ってやっている開業医から聞こえる声と、民主党の診療報酬引き上げ策に反対している日医と、どちらを信じていいのか判断がつかない」と述べ、開業医の"実態"を知りたいと要望した。(熊田梨恵)

 民主党の今後の医療政策に関するロハスメディアの取材に答えた。茨城県、兵庫県、諫早市、世田谷区医師会を引き合いに、「開業の現場も大変と聞いている」として、医療費抑制政策を支持する日医とは主張が食い違っていて実態が把握できていないとの見解を示した。その上で、「私たちが聞きたいのは、毎日患者さんを診ている開業医の実態がどうなっているかについての、正確な情報」と述べ、各都道府県や郡市医師会の実態を知りたいと求めた。

しかし本当に現場医師の声をダイレクトに政権が取り上げるようなシステムが出来てしまったら、今まで全国医者の代弁者を自称してきた医師会も色々と困ることになるかも知れないですけどね(苦笑)。

いずれにしても政権の行方がこういうことになりますと、医師会としても今までの方針の大幅見直しをせざるを得ないようなのですが、どうもこの方達の場合は自分たちのことを主張するばかりで、相手から自分がどう見えているのかという視点が欠けているような気がしてなりません。
自ら推薦する候補すら落選させてしまうような「圧力団体」が、今まで敵対的関係にあった相手に向かって大きな口を叩いてみたところで、それは相手としてもそれなりに言うべきことはあるだろうとは普通の人間であれば誰でも想像できる話だと思うのですけれどもね。

新政権に「一層強力な政策提言」-日医(2009年9月2日CBニュース)

 日本医師会の唐澤祥人会長は9月2日の定例記者会見で、今回の衆院選について、政治が地域医療崩壊の現状をどのように方向転換させるかが問われた選挙だったなどと総括した上で、新政権に対して医療現場の声を反映した「一層強力な政策提言」を行っていく考えを示した。

 会見で唐澤会長は、「新政権にのぞむ」と題した見解を読み上げた。
 見解では今回の衆院選について、地域医療の崩壊が現実化した状況を政治がどのように方向転換させるのかを問う選挙だったと言えるとした上で、選挙結果について、国民が医療を含めた社会保障制度をより充実したものにすることを強く求めた結果であるとした。
 また、政府は国民の生命と生計を守る社会保障について明確な理念を示し、国民に対し安心を保障する責務があるとし、そのために日医ではさまざまな形で医療における政策提言を行ってきたとした上で、新たに発足する政権与党に対しては、国民が安心して健康な生活を送れるよう、充実した医療提供体制の確立を目指し、一層強力な政策提言を行うとしている。

 また唐澤会長は、民主党をはじめ連立協議に入る各党が後期高齢者医療制度廃止のスタンスで一致していることに関して、「今後、ご高齢者は増えていく。きめ細かな医療体制をつくることが重要だと思う」とした上で、「今の制度は十分だと思っていない」などと述べた。
 さらに、「政権与党は政策立案と実行という面では格段の実現力がある」とした上で、これまでの自民党に対する姿勢と同様に、今後は民主党に対して「十二分にわれわれのスタンスで医療の現場を反映するように意見を申し上げようと思っている」などと強調した。

 会見に同席した中川俊男常任理事は、今後民主党内の役割分担が明確化した段階で協議を行いたいとの考えを示した。

医師会は自民の医療費抑制政策の総括を-民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月3日ロハス・メディカル)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長)は3日、「唐澤(祥人日本医師会会長)さんの自己批判というか反省がないと、我々もまともな話ができない」と、医療よりも利権拡大に寄ってきた従来の医師会の体質を改めるべきと求めた。(熊田梨恵)

 今回の衆院選について、ロハスメディアの取材に答えた。「厚労省の言う通りにべちゃっとひっついてて、自民党にお金を出して選挙していればいいとか、そんな話ではないということが(医師会は)まだ分かっていない。自民党に渡すお金を減らして、民主党に持っていけばどうにかなるのではないかという程度の話。情けない」と、医師会の体質が基本的に変わっていないと苦言を呈した。

医師会は医療について考える視点が欠けているとして、「日本の医療や患者の医療のためにどうすべきなのか。『我々開業医もどうすべきか』という視点から政策議論をしながら、『これを我々は受け持つけども、そうするにはこれぐらいの診療報酬は必要です』とか、『ベッドをここは削るけども、ここは増やしてもらわないと今の社会情勢ではうまくいきません』とか。そういうお付き合いの仕方というのか、関係性の作り直しを考えてもらわないといけない」と述べた。

 読売新聞の報道によると、日医の政治団体「日本医師連盟」は、政権交代に伴い今後は民主党にも理解を求めていくとして、献金も含めて活動のあり方を見直していくとの方針を示している。

日医・唐澤会長は自己批判と反省を-民主党・仙谷由人衆院議員(2009年9月4日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛政調副会長は、各医師会が医療費抑制政策など自民党の医療政策について意見を表明しない限り「自民党支持」と判断するとして、今後のスタンスを明確にするよう要望した。(熊田梨恵)

 今後の民主党の医療政策に関するロハスメディアの取材に答えた。民主党がどの党よりも強く"医療崩壊"を脱するために医療費増額などの資源投入を求めてきたとした上で、「マニフェスト評価の中でも、各県医師会に対して民主党を支持をされないということを明確に仰ってきたが、それがなぜなのかという理由がまだ分からない」と、日医の姿勢を批判。「茨城県や兵庫県の医師会は、意思を表明して反論しているので、我々と意思を共有していると思っている。反論していない都道府県郡市医師会は、医療費削減に対して形式的に支持している格好。そこについての方針を明らかにしていただかないと、我々と基本的な政策は異なっていると考えざるを得ない」と述べ、各医師会に総括を行うよう求めた

「政権取ったんだってな。それじゃ俺様が色々と教えてやるよ」「あ?お前ら偉そうな口きくより先に言うことあんだろうがゴラ!」って感じでしょうか(苦笑)。
いずれにしても現状では政権担当政党は元より末端医師会会員や地区医師会も誰も医師会幹部の言うことなど聞く気がない、と言うより医師会のご老人方とつき合って泥船に乗り込むなどまっぴら御免だという状況ですから、これは一気に組織として求心力低下が進むのか、あるいは大幅な組織改革を強いられるかでしょうかね。
折しも与野党問わず医師会ではなく現場の医療者を相手にしていくというスタンスでの発言が相次いでいるように見えますけれども、この状況を単に自民党負けちゃった、それじゃ民主党に鞍替えしようかと言う程度にしか捉えていないというようであれば、案外医師会という組織も先は長くないかも知れませんね。
ひと頃QOML問題と絡めてよく議論されたことですが、「糞みたいな組織でも団結の象徴として何かしら組織はあった方がよい」という意見が正しかったのか、それとも「医者は個別に戦っても十分やっていける」という声が正しかったのか、どちらが正解だったとしても、そろそろ現場医師たちも「医師会後」の時代も見据えて身の振り方を考えておくべきなのでしょう。

医療現場の声を次期参院選マニフェストに―民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月 4日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、「毎日患者を診ておられる医療者の方々の声は一つでも多く、ぜひ聞かせて頂きたい。そのことを来年の参議院選挙のマニフェストの中に生かしていきたい」と述べた。(熊田梨恵)

 今後の民主党の活動に関するロハスメディアの取材に答えた。現場の医療者の声を生かして次期参院選に臨みたいとして、「ご協力していただける方々とは、日本の国民や患者さんへの医療水準を、QOLを上げるという観点でぜひコラボレーションしていきたいと思っている」と述べた。

「政治を動かすのも医師の仕事」―自民党・世耕弘成参院議員(2009年9月3日ロハス・メディカル)

 自民党の世耕弘成参院議員(参院議院運営委員会筆頭理事)は3日、「政治を動かしてよりよい環境を実現するということもお医者さんの仕事の『外』ではなくて『中』だと思う」との見方を示し、医療者は政治に声を届けてほしいと求めた。(熊田梨恵)

 医療界が政策決定過程に影響を与えていくためのプロセスについて、ロハスメディアの取材に答えた。「政治を動かすというのも医療の仕事の一つ」と述べ、医療者に意識してほしいと要望。今後の活動として医療者の声を吸い上げるネットワークを作っていくとした上で、現場の医療者からもEメールなどで現場の声を届けてほしいとした。

 民主党の鈴木寛参院議員も医療界が意識改革をしてロビー活動を行っていかなければ、自民党内の"族議員"の二の舞を演じることになると指摘している。

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2009年9月10日 (木)

表向きの議論の背後に、何やら別の問題も見え隠れして

海堂尊氏と言うと大ヒット作「チーム・バチスタの栄光」など作家として売れっ子である一方、外科医出身の現役病理学者として以前から死亡時画像診断「Ai (オートプシー・イメージング)」に熱心であると言う話です。
件の話題作は拝見しておりませんので作家としての力量はどういうものなのかは知らないのですが、その世間的にそれなりに有名な人物が妙なところで?裁判沙汰になったという話題がこちらです。

東大教授が海堂尊氏らを提訴 ブログで名誉棄損と(2009年9月9日47ニュース)

 医療現場の内幕を描いた「チーム・バチスタの栄光」などで知られる人気作家で医師、海堂尊氏のインターネット上の文章が名誉棄損に当たるとして、日本病理学会副理事長の深山正久東大教授が、海堂氏に損害賠償と謝罪広告を求める訴訟を東京地裁に起こしていたことが9日、分かった。

 解剖前の遺体をCT撮影して死因特定に役立てる「死亡時画像診断」(Ai)の有効性が争点の一つ。海堂氏は推進する立場で、作品の主要なテーマとしている。今後、同氏は出廷する予定。

 深山教授は文章をホームページに掲載した出版社2社も訴えており、請求額は計1430万円。

 訴状などによると、深山教授は死亡時画像診断と解剖結果を比較する研究計画書を厚生労働省に提出。昨年度に交付金を受けて遺体を調査した結果「死亡時画像は解剖前の情報として有用だが、解剖に代わるものではない」と結論づけた。

 これに対し、海堂氏は「他人の業績を横取りする行為」と自身のブログに書き込み「Ai研究はダメにされてしまいます」「厚労省のAiつぶし」と批判した。

 深山教授は「海堂氏から取材を一切受けておらず、内容は虚偽。(ブログは)閲覧数が非常に多く、多大な迷惑を被った」として名誉を傷つけられたと主張している。

ちなみに海堂氏の弁明はこちらですが、氏としてもAiがライフワークという認識がある以上他人に「役立たず」と結論づけられて面白くないということもあるのでしょうが、何かしら学術とかいう以前のレベルで感情のもつれが入り交じっていそうなと言いますか、正直双方とも大人げない話だなという印象です。
ただそうした点を別にして見てみますとこの訴訟、ブログとかネット上の言論に対して言わば既製権力側が真っ向から対決姿勢を示したとも解釈できるような一般性のある話ですから、今までネットを敵視してきた一部マスコミの皆さんがおもしろおかしく取り上げてくるようだと案外大きなネタになるかも、でしょうかね。

そちら方面については続報を待つとして、本日のお題はこの記事の元ネタとも言うべき死因究明とも大きく関わってくる話を幾つか取り上げてみましょう。
まずは先日第一例目の申請が出たと話題が出ていました産科無過失保証制度関連で、こちらのニュースを紹介しておきます。

お産事故、患者交え検証 無過失補償制度で(2009年9月8日47ニュース)

 産科の医療事故で赤ちゃんが脳性まひで生まれた場合に、医師側の過失の有無にかかわらず補償金を支払う無過失補償制度で、原因究明作業は、医療機関だけでなく患者本人や家族からも分娩前後の経過などについて書面で意見を求めることが、8日までに決まった。

 この制度は厚労省所管の財団法人日本医療機能評価機構(東京)が運営し、今年1月にスタートした。原因究明で患者の意見を聴くかどうかが焦点だった。

 同機構は慎重に検討し、最終的に「病院側の主張に偏らない公正な対応が、医療への信頼回復や紛争回避につながる」と判断した。

 同制度は、事故が起き、身体障害が1~2級相当と診断されるなどの条件を満たすことを前提に患者側に総額3千万円を支払う。さらに、再発防止や当事者間の紛争防止などを目的に、医師や弁護士らで作る原因分析委員会が調査・検証を行い、結果を医療機関と患者側に報告する。

 今回、医療機関の診療録などから作成した「事例の概要」を患者側に送付、(1)分娩の経過(2)新生児の状況-などに関して、追加したい項目や記憶と異なる個所がないか書面で意見を求めることなどが決定した。意見書提出から半年以内に報告書を作成する。

この産科の補償制度に限らず、医療事故調の方でも家族や患者側関係者を入れるかどうかということは激しい議論になったところですが、反対論の主眼は「真相究明が目的の場を、医者糾弾の場にしてはならない」ということだったように思います。
特に産科補償制度の場合、医療者側と家族側とは同じ補償という目的を目指す同志的関係を通じて訴訟リスクを軽減するという副次的効果も期待されていたわけですから、正直あまり揉めるようなことはやめて欲しいと感じる人もいるかもですね。
ただし家族側とすれば当然望ましくない結果を抱えて何かしら思うところはあるでしょうから、真相究明と言うならモヤモヤとした部分に全て回答を出してきて欲しいという率直な期待はあるところでしょうし、少なくともレポートにはそのあたりの求めるところをきちんと反映しなければ納得はしてもらえないだろうとは予想されるところです。

さて、そのレポートですが、再発防止という制度の一つの目的の上では当然ながら、広く一般に公開するということが決まってきたようですが、個人的にはレポートのみならず途中経過の部分も閲覧できればと思いますね。
例えば先の患者サイドからの聞き取りというものも、実際に運用をしてみなければどんな言葉が挙がってくるのか判らないところがありますが、そのあたりの生々しい肉声部分こそ現場の顧客対応改善というものを考える上で非常に参考になると思うのですけれどもね。

原因分析報告書、概要版をHPで公表―産科補償制度(2009年9月7日CBニュース)

 日本医療機能評価機構の産科医療補償制度原因分析委員会は9月4日、第7回会合を開き、原因分析報告書の公表について、同機構のホームページ上に個人情報を除いた内容で要約した概要版を掲載することを決めた。また、個人情報を除いた全文については、同機構に対し一定の手続きをした人が閲覧できることとした。

医学的視点による公平な審査を-産科補償審査委が初会合

 原因分析報告書は、「事例の概要」「臨床経過に関する医学的評価」「今後の産科医療向上のために検討すべき事項」などについてまとめられ、児の家族や分娩機関にフィードバックすることで、脳性まひの発症の原因についてそれぞれの理解を深め、紛争の防止、早期解決を図ることを目的としている。
 一方、産科医療の発展や制度への国民の理解には、透明性が重要なことから、その公表のあり方が課題となっていた。

 4日の会合では、事務局側が報告書の公表方法について、「個人情報を含まない内容で要約した概要版を運営組織のホームページ上で全件公表する」「マスキングした報告書の全文は、一定の手続きをした者のみが閲覧できるようにする」との案を提示した。

 これに対し、委員からは「患者や分娩機関の了解を取らずに、全文を見せてもいいのか」「公表によって、悪用される恐れがあるのではないか」などの意見が出た。
 こうした意見に対し、鈴木利廣委員(弁護士)は、「透明性の観点からも、再発防止の研究に資するという観点からも、個人識別情報に配慮した上での全文公開は原則」とした上で、「悪用防止のために開示請求主義にするというのは一つの方法と思うが、それが原則公開を損なうような運用にしないことが重要」と強調。「社会から分娩担当医の利益に配慮して開示していないのではないかと疑われるようなことがあってはいけない」と述べた。

 これらの意見を受け、同委員会は事務局の提案を了承。手続き方法などについては今後、引き続き検討することとした。

医療機関側は元より患者側にも公開されたくない人はいるでしょうが、制度の趣旨から言っても同制度を利用いただくならレポートの公開にも協力いただくのが筋だとは思われますから、このあたりは最初の審査請求を出す時点できちんとインフォームドコンセントを取っておくよう、あらかじめ担当医の教育を行っていくべきなんでしょうけれどもね。
そもそも匿名であろうが何であろうが年間数百人以下のレベルを対象に考えている制度ですから、報道情報をつなぎ合わせていくだけでもやる気のある人間ならかなり対象を特定できてしまいそうな気がしますが、そのあたりは今後マスコミ側にも一定の配慮が求められるところではないでしょうか。
いずれにしてもこうした事故調というものが患者側にとって補償金なり真相なりを得るだけのものではなく、今後の医学向上と再発防止のためにもそれなりに出していただくものもあるのだということを理解しておいてもらわないと、思わぬトラブルを招きかねないという危惧はあるでしょう。

さて、連日のように民主党筋から興味深い発言が出てきている状況ですが、事故調関係でもこんな話が出てきていることは紹介しておかなければならないでしょう。
しかしロハス・メディカルさん、最近ちょっと頑張りすぎと言いますか、おもしろいネタを拾って来すぎなんじゃないですか(苦笑)。

事故調「厚労省とは別のスキームで」-民主党・足立信也参院議員(2009年9月3日ロハス・メディカル)

 民主党の足立信也政調副会長は3日、厚労省が検討を進めている死因究明制度の法案大綱案について、「厚労省が考えているだけのこと。無視とはいかないが、別のスキームで考えるようになると思う」と述べた。(熊田梨恵)

 今後の民主党の医療政策に関するロハスメディアの取材に答えた。死因究明制度については、民主党が提案している医師法や医療法、薬事法の改正につながる「患者支援法案(通称)」を成立させ、「変死体の死因の究明の適正な実施に関する法案」と「法医科学研究所設置法案」も立法化して組み合わせることで制度設計は可能とした。

おいおい、事故調民主党案が華麗にスルーされてきた仇をここで討とうってか(笑)。
そう言えば以前に「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」座長であった前田雅英の中医協委員再任を民主党らが反対して不同意にした事件がありましたが、あの時にこの足立議員は在り方検討会での前田氏の運営について、こんなコメントを出していましたね。

「インターネット調査では、民主党案の方に多く支持を頂いており、厚労省案と評価が分かれているので、民主党案も同時に議論すべきという意見があるが、『地方説明会』と称して厚労省案に決まったかのように国内に周知したことも、座長の判断としてどうかと思う。議事録を見ると、座長として、決まった結論に導きたいという運営をしているように見えたことも問題」

このあたりで既に対決姿勢を示していたということなのかも知れませんが、このところ民主党議員から医療行政に関連した批判的コメントが相次いでいることにも注目されるところで、特にこの仙谷氏の発言はなかなか良い感じですかね(笑)。

中医協「なくすか、改革改組か」―民主党・仙谷由人衆院議員(2009年9月5日ロハス・メディカル)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長)は中央社会保険医療協議会(中医協)について、「なくすか、もう一度改革改組するか」と述べた。(熊田梨恵)

 民主党の今後の医療政策についてロハスメディアの取材に答えた。「いずれにしても医療機関側が開業医中心にみたいな、これは改革しないといけない」と、診療側委員の日医の体質を批判。「診療報酬が、所詮課長補佐が鉛筆をなめて1点たすとか0.5点削るとかそんなのだったら、それを前提にしながらどこかでそれをたたいて、そこで直しても同じじゃないかという気がする。あんな舞台だけ大きくて、何なんだお前たちはと思う」と述べ、中医協を抜本的に見直す必要があるとした。

「公益委員は医療を分かっているのか」―民主党・仙谷由人衆院議員が中医協を批判(2009年9月5日ロハス・メディカル)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長)は中央社会保険医療協議会(中医協)について、「公益委員というのは一体全体、医療や医療経営というのを分かっているのか」と述べ、抜本的に見直す必要があるとした。(熊田梨恵)

 今後の"中医協改革"に関するロハスメディアの取材に対し、次のように答えた。「公益委員というのは一体全体、医療や医療経営というのを分かっているのかと。診療報酬の付け方として、ことここまで来させて、国民から怨嗟の声が上がって、民間病院の首が全部絞まって公的病院は赤字だらけ。国って何なのかと、中医協という存在はそういうことは考えなくてよかったのかと。公益委員の役割は何だったのかと。保険組合とか開業医、財務省との三者の綱の引き合いの中で祭り上げられてまとめ役をやっているような気になっていたけど、"まとまった"結果としてもそのことが医療現場をどういう状況にさせたのかという反省なしに、金があるかないかの話するだけなら、そういう中医協ならいらないのではないかと僕は思っている」

「くだらない御用学者集めてやるのをやめろ」―民主党・仙谷由人衆院議員(2009年9月5日ロハス・メディカル)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長)は、厚生労働省の審議会や検討会の在り方を変える必要があるとして、「決め方についても追々だが、くだらない御用学者集めてやるのをやめろと」と述べ、民間の委員をさらに登用して活用すべきとした。(熊田梨恵)(略)

いやあ、見ている分には非常に面白くていいんですが、これが選挙に大勝した勢いに乗っての一時のことであるのか、それとも本気で医療政策決定システム全部を巻き込んでの改革をやろうとしているのか、そしてその実現性はといったあたりも気になるところではないでしょうか。
その意味で民主党と自民党双方のコメントも比べてみると興味深いものに見えてくるんですが、果たして抵抗勢力打破ということが成るのかどうか、今後の続報を注意深く見守っていきたいと思いますね。

「官僚に対案を拒む気力は残っていない」―民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月9日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛政調副会長は8日、「無謬(むびゅう)性が(医療政策を)だめにしてきた」と指摘した上で、「医療者は地域で大切だと思うことをきちんと声を上げてほしい。対案を示せば、それを拒めるエネルギーは役人には残っていない」と述べた。(熊田梨恵)

 新型インフルエンザ対策についてロハスメディアの取材に答え、医療者側から適切な接種場所などについて自治体や国に提案してほしいと要望。「役人も昔は意見を言うと何か言ってきたが、今はそこまでの気力が残っている役人はいない」と述べた。(略)

「与党でも意見通るとは限らない」 自民党・世耕弘成参院議員(2009年9月9日ロハス・メディカル)

 自民党の世耕弘成参院議員(参院議院運営委員会筆頭理事)は9日、今後の民主党の医療政策に関して「(超党派の医療再生議連幹事長だった)すずかんさん(鈴木寛参院議員)たちが、どういう役職に就くか。自民党の中で我々の意見が厚労族にブロックされたように、民主党の中でも彼らの意見が通るとは限らない。まずはお手並みを拝見したい」と述べた。(川口恭)(略)

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2009年9月 9日 (水)

政権交代で地域医療はどうなる?

一般紙などでも報道されましたが、先日こういう記事が出ていたのをご覧になったでしょうか。

病院選びの情報、入手可能は2割 医師の経歴など、厚労省調査(2009年9月7日47ニュース)

 外来患者と入院患者のほぼ2人に1人が、治療を受ける病院を選ぶ際に必要とする情報として、医師の専門性や経歴、検査・治療方法を挙げる一方で、実際に「入手できた」とする人は、外来で15%程度、入院でも20%程度にとどまっていることが7日、厚生労働省の2008年受療行動調査で分かった。

 患者が活用したいデータや情報をどの程度入手できているかを探る国の調査は初めて。欲しい情報が医療機関から十分に提供されているとはいえない実情が浮き彫りになった格好だ。

 厚労省は「ニーズと実際に得られる情報とのギャップの背景までは分析できていないが、溝を埋めるため、行政や医療機関側が改善を図る必要がある」としている。

 調査は昨年10月、約500病院の患者を対象に実施。有効回答数は外来患者約10万人、入院患者約5万3千人だった。

 病院選びの際、どのような情報が必要かとの質問(複数回答)で、10個の選択肢のうち多かったのは「医師らの専門性や経歴」(外来48・5%、入院49・6%)と「受けることのできる検査や治療方法の詳細」(外来47・7%、入院50・8%)。

 これらの情報を入手できたと答えたのは「専門性や経歴」が外来14・7%、入院16・6%にとどまり、「検査や治療方法」も外来13・7%、入院21・4%と少なかった。

個人情報保護が熱心に言われる時代にあってどんどんと妙な方向に話が進んでしまう可能性もなくはないような記事なんですが、一般論として選択の根拠となる情報を提供せよとは顧客に認められた正当な権利ではありますよね。
問題は現在の医療業界においては身近な病院から医者が消える、果ては病院そのものが消えるなどで、選択する自由そのものがなくなりつつあるのではないかということなのですが、これが病院統廃合と医療の効率化を推進してきた国策の結果であるという点はなかなか興味深いですよね。

例えばこのところ計画が進んでいる大阪府の公立病院統合問題などを見ても、行政側としては資金も人手も不足の中少しでも現場がまわるように医療資源集約化を進めているのだという立場なのでしょうが、国が求めるこうした施策は地域住民からはあまり評判が良くないようです。
そうかと思えば地域医療を支えようとする思いがこんな悲劇的結末を産んだりもするわけですから、当「ぐり研」でずっと取り上げてきた医療を提供する側と受ける側との認識の差もさることながら、医療の当事者と行政側との認識の差というものにも深い溝があるようにも感じられますね。

自衛隊病院:2医師を停職 民間で勤務 /熊本(2009年9月7日毎日新聞)

 自衛隊熊本病院(熊本市東本町、上田幸夫院長)は7日、3等陸佐の30代男性医師2人が休日に民間病院で勤務し、報酬を受け取っていたとして停職処分(4日と5日)にしたと発表した。

 病院によると、1人は08年8月~09年5月に十数回、知り合いの医師に頼まれて民間病院の当直勤務に就き、約140万円の報酬を受け取った。もう1人は学生時代の先輩医師に頼まれ、08年5~12月に二十数回、三つの民間病院で当直勤務などをして約210万円の報酬を受け取った。税務署から届いた総所得額と自衛隊病院の給与所得に差があるため確認したところ、認めたという。

 2人は医師不足に悩む地域医療の実情を聞かされて強く求められたため、内規違反と知りながら勤務していたという。自衛隊熊本病院は防衛省が設置し、医師は10人。隊員と家族を対象にしている。

このニュース自体も各メディアで報道の具合が違っていて、そういうものを読み比べてみるのもまた面白いかなと思うところです。
ちなみに自衛隊病院そのものもこのご時世で全国10カ所程度に集約化を目指すんだそうですが、2008年からようやく一般患者へも解放していくよう方針が変わってきているということで、今後は地域医療に積極的な役割を果たしていくのではと期待されているところです・
しかし折からの政権交代と連立政権樹立によって自衛隊に対する政府の風当たりも微妙に変化しそうな気配ではありますから、今後どうなっていくのか予断を許さないところではあるのですけれどもね。

それはともかくとしてその政権交代ですが、当然ながら地域医療に対する影響も小さからざるものがあります。
最近は議員さん達も好き放題しゃべっているような感じでどこまで真に受けて良いものやら判らないような話も噴出していますが、まずは前述の病院再編話とも絡めていささか長い記事ですが、こちらの方から紹介しておきましょう。
特にいわゆる医療関係者の間においても、そのよって立つところに応じてそれぞれの主張も利害得失も全く異なるのだという点に留意ください。

政権交代で、急性期病院はどうなる?(2009年9月1日ロハス・メディカル)

 厚生労働省は急性期病院を再編する計画を進めているが、政権交代後はどうなるだろうか。(新井裕充)

 民主党の政策集(7月17日現在)は、「地域医療を守る医療機関の入院については、その診療報酬を増額します」としており、入院基本料の引き上げを示唆しているが、具体的にどの入院基本料を引き上げるかは明言していない

 入院基本料は、看護職員の配置人数などで差が付けられている。最も高い点数は、患者7人に対し看護職員1人を配置する「7:1入院基本料」で、これに「10:1」「13:1」「15:1」などが続く。これらの配置基準は病院の規模を反映している。

 同政策集では、「4疾病5事業を中核的に扱う公的な病院(国立・公立病院、日赤病院、厚生年金病院、社会保険病院等)は政策的に削減しません」としており、地域で中核的な役割を果たしている病院を評価する方向性がうかがえる。
 例えば、DPC(入院医療費の包括払い制度)を導入している病院のうち一定の病床数以上の病院、地域医療支援病院などの診療報酬を大幅に引き上げることが考えられる。

 厚生労働省も、「医療機能の分化・連携」を進めるため、地域の中核病院を手厚く評価する方針。このため、2010年度の診療報酬改定で、大学病院など高度な医療を提供する病院を優遇しても民主党の政策と矛盾しない。
 問題は、「13:1」「15:1」などを算定している中小病院の入院基本料。これらの病院には慢性疾患を抱える高齢者など長期入院の患者が含まれているため、厚労省は「一般病床」の中身を明確化する方向で検討を進めている。
 将来的に、現在の「一般病床」を「高度急性期」「一般急性期」「亜急性期・回復期等」に区分するなど、急性期医療を担う病床を絞り込む案がある。その道筋を付けるため、「13:1」「15:1」の病床は急性期医療の枠組みから外して、慢性期医療に移すことが考えられる。

 こうした背景には、「一般病床」と「療養病床」の"重なり合い"がある。現在、病院のベッド(病床)は患者の状態に応じて区分されている(医療法 7条)。従来は、「精神病床」「感染症病床」「結核病床」「その他の病床」の4区分だったが、1992年の医療法改正で「その他の病床」が「一般病床」と「療養病床」になった。
 「一般病床」は主に、脳梗塞などで倒れて救急病院に搬送された場合など、病気を発症して間もない急性期の患者が入院する。これに対して、高齢者など慢性疾患を抱える患者が長期入院するのは「療養病床」。しかし、「一般病床」イコール「急性期」ではなく、慢性期の患者も含まれている。そこで、「一般病床」をさらに明確に区分する計画が進められている。

 社会保障費の抑制策に対する批判などを受け、福田政権下で設置された「社会保障国民会議」が2008年11月4日にまとめた最終報告では、25年に向けた改革シナリオが示されている。
 シナリオでは、07年現在で103万床ある「一般病床」は25年に133万床に増加するが、「B3シナリオ」に従って再編すれば、「高度急性」26万床、「一般急性」49万床となる。長期療養の病床は23万床で、急性期と長期療養の間に「亜急性期・回復期等」40万床を位置付ける。

 厚労省は今後の医療政策を進める上で、同会議の最終報告を重視しているが、新政権は同報告をどのように扱うだろうか。10年度の診療報酬改定に向け、厚労省は同報告の改革シナリオに沿って中央社会保険医療協議会(中医協)などの議論を進めることが予想されるが、今後はどうなるだろうか。

 民主党の政策集では、急性期医療と慢性期医療の谷間にある「亜急性期」の位置付けまでは言及していないため、この領域をどうするかが注目される。
 救急医療をめぐっては、診療報酬の相次ぐマイナス改定で2次救急を担う病院が減少したことが3次救急を圧迫したとの指摘もある。「13:1」「15:1」を算定している中小病院の2次救急に期待するか、あるいは老人保健施設などへの転換を進めるか、その行方はまだ見えない。

 厚労省は8月27日、中医協・慢性期入院医療の包括評価調査分科会(分科会長=池上直己・慶應義塾大医学部教授)で、「平成20年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査」の報告書(案)を示した。質疑では、「13:1」「15:1」に入院している患者を「医療療養病棟の患者と類似している」と記載したことに議論が集中した。

 対立構造は単純で、 「13:1」「15:1」を慢性期医療の領域と考えると、「類似している」という方向に傾く。一方、急性期医療の領域と考えれば「類似とは言えない」という考えになる。日本慢性期医療協会会長の武久洋三委員は、「類似」に賛成する立場。

 これに対し、全日本病院協会副会長の猪口雄二委員は「類似」とすることに慎重論。日本医師会常任理事の三上裕司委員も同様の立場と思われる。日医は最近、有床診療所への評価を主張している。高度急性期ではない急性期、例えば高齢者が転倒骨折した場合などに対応する"準急性期"をめぐる日医の思惑がうかがえて興味深い。

 「13:1」「15:1」を「一般病床」から切り離す点では、厚労省と日本慢性期医療協会は一致するが、厚労省が「13:1」「15:1」を「療養病床」に移行させたいと考えているかは微妙。やはり、「老人保健施設に転換してください」という考えだろうか。(略)

急性期をどうするかという議論ではあるのですけれども、二次救急を語ることが三次救急の行方を左右するのと同様、実際的には慢性期をどうするのかという議論と裏表になっているわけですから、これらは個別に語られるべき話ではないはずですよね。
個人的な印象ですが、民主党と言うと従来療養型病床の削減などには割合積極的な反対論を主張してきた反面、急性期病院に対して診療報酬増額などといった話以外の、例えば厚労省のすすめる病院統廃合などに関しては今ひとつスタンスが明確でなかったという気がしていました。
各地の自治体からは政権交代がなれば地方の医療もうまくいくのではないかという期待感も多数寄せられているとも側聞しますが、ここで近くの病院残しますと言ってしまうと今度は医療現場の更なる疲弊につながりかねず、かねて医療政策を重視してきたともいう同党としても痛し痒しなのではないかと思いますね。
そんな中で幾つか民主党議員から気になる発言が飛び出しているのですが、ここで紹介しておきましょう。

地域医療再生基金の予算執行停止、「ないことはない」―民主党・鈴木寛参院議員(2009年9月4日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛政調副会長は4日、今年度の補正予算の未執行分の停止に関し、地域医療再生基金に関して「(執行停止は)分からない。ないことはない」と述べた。(熊田梨恵)

 民主党は今年度の補正予算について、新政権発足後に未執行分を停止する方針を示したと報道されている。

 医師不足対策など「地域医療再生」を目的に複数年度で予算を使える地域医療再生基金は、今年度の補正予算で盛り込まれ、約3100億円を計上している。予算を受けられる地域が限られている上、計画内容によって得られる金額に差があり、今の医療界の最大関心事の一つだ。申請の締め切りは10月16 日。民主党が基金の予算執行についてどう扱うか、医療関係者から注目が集まっている。

この地域医療再生基金というもの、自治体が地域医療再生計画を策定すれば国から補助金が出るというものですが、厚労省が例示している再生計画の指針と言うものがなかなか興味深いですよね。

厚生労働省平成21年度補正予算『地域医療再生基金の事業例』より抜粋

1 地域医療の再生に向けた総合的な対策 3,100億円

救急医療の確保、地域の医師確保など、地域医療の課題を解決するため、都道府県が2次医療圏を単位として策定する「地域医療再生計画」に基づく以下のような事業に対して、都道府県に地域医療再生基金(仮称)を設置して財政支援を行う。

・ 地域内において医療機関の機能強化、機能・役割分担を進めるための連携強化
医師事務作業補助者の集中配置など勤務医・看護師などの勤務環境改善
・ 短時間正規雇用制度といった多様な勤務形態の導入による勤務医・看護師などの確保
大学病院などと連携した医師派遣機能の強化
・ 医療機能の連携や遠隔医療の推進のための施設・設備の整備
新生児集中治療室(NICU)・救命救急センターの拡充、NICUや回復期治療室(GCU)の後方病床としての重症心身障害児施設等の整備 等

見ていただきますと判りますように、ここで念頭に置かれているのは地域の小病院の維持というよりも基幹病院の整備に目線が行っていて、そうなりますと厚労省の言うところの病院再編・統廃合につながる話なんだなという背景が見えてきます。
これに対して異を唱えるということは何かしら医療の集約化に対する反論なのか?とも取れるようでもあるのですが、どうもそう簡単な話でもなさそうなんですね。

勤務医数多い病院を配置し、医師不足解消を―民主党・梅村聡参院議員(2009年9月4日ロハス・メディカル)

 民主党の梅村聡参院議員(厚生労働委員会「介護・医療改革作業チーム」事務局長、内科医)は4日、医師不足や医師の労働環境改善のため、「定数の2倍ぐらいの医師がいる医療機関が各都道府県に1か所ぐらいあるといいと思う」と述べた。(熊田梨恵)

 交替制勤務と複数主治医制の導入など、医師の労働環境の改善にはまず予算と人材配置が必要とした上で、その方法について答えた。「研修医の枠を決めて強制的に派遣するのではなく、中心的な"マグネットホスピタル"に予算を入れ、医師が溢れるぐらいいる病院にする。そこから周辺の医師不足の地域にも派遣していけば、派遣される医師も"根無し草"にはならないので安心できる」と述べ、中小病院の医師不足解消にも役立つとした。

「交替勤務性と複数主治医制の導入を」―民主党・梅村聡参院議員(2009年9月4日ロハス・メディカル)

 民主党の梅村聡参院議員(厚生労働委員会「介護・医療改革作業チーム」事務局長、内科医)は4日、医師の労働環境について「交替勤務制と複数主治医制がよいと思う」と述べ、一般的に行われている主治医性は中長期的になくしていく方向がよいとの認識を示した。(熊田梨恵)

 医師の労働環境に関する考えについて、ロハスメディアの取材に答えた。現在の主治医制については「日本の良い点と思う。ただ、そこを起点に壊れている現状がある。1人が1人を"負う"のが問題」との見方を示した。その上で、主治医性を完全になくしてしまうのではなく、まず交替勤務制に変え、複数の医師で主治医を担う形を中長期的に導入していくのが良いとした。

この主治医制なるシステムに関してもかねて議論の割れているところで語り始めると長くなるのですが、とりあえずここで語られている内容からすれば統廃合の廃の部分はともかく、ある程度集約化されるべきという統の部分への賛意表明とは取れるような話ではありますよね。
もちろん近所の小さな病院を残すということの大前提として、いざとなれば難しい患者を常時引き受けてくれる大病院の存在というものは必須だろうとは言われていたわけですから、この発言をもって直ちに中小病院から医者を引き上げて大病院へかき集めろと主張している、とまでは言えないところです。
もっとも、現実問題それ以外にどこからどうやって医者を集めるかという話ですし、中核病院の派遣医師で地域小病院を回せば良いとはすなわち、厚労省の言うところの「田舎の小病院は診療所化して医者を集約化しろ」という話を別な表現で言っているだけと取れるところですよね。

ちなみに主治医制の件ですが、地方の小病院などになりますとほとんど日当直医だけで回しているような実質主治医制廃止の病院もあったり、数少ない常勤が全患者を相手に診療しているチーム医療体制の病院もあったりしますから、現実問題として末端医療機関ではさほど主治医制へのこだわりもないのかなという印象を持っています。
むしろ医師の専門性が高い中核病院など高次の医療機関の方が「俺の苦労して診てきた患者をあの素人当直医に無茶苦茶にされた」などと他科医師の介入を嫌う先生が多いようにも思いますが、診療科毎に数人のチームが組めればこの辺りの専門外の介入問題もある程度何とかなるんじゃないかという気がしますけれどもね(ただし、全科でそこまで医者を集められる病院がどれほどあるか、ですが)。

このあたりはかつては上司の下働きとして一番の奴隷労働をこなしてきた一方、最近では次第にQOML(医療従事者の生活の質)を重視し始めたなどと言われる若手の先生方がどう考えているのかも今後を占う上で重要かなと思うわけですが、ちょうどよい記事がありましたので最後に紹介しておきましょう。

〔新生児医療の教育現場から②〕主治医制と交替勤務制、よりよい労働環境は?(2009年9月8日ロハス・メディカル)

 「NICUの交替制勤務の実現で『協力、安定、標準化』の医療を約束し、若手医師が集まる魅力的な労働環境を提供します」、「日本の周産期死亡率世界一に導いた、『人情、根性、責任力』の主治医制を維持していきます」-。新生児医療に携わる研修医が、主治医制と担当医制の是非について、学会の教育セミナーでプレゼンテーションした。今の若手医師は、医師の労働環境をどう考えているのだろうか。(熊田梨恵)

■〔新生児医療の教育現場から①〕研修医から医療界に提言し、現場を変える

 日本未熟児新生児学会(戸苅創理事長)が、8月20日から3日間開いた研修医向けの教育セミナーではグループによるワークショップの報告会が行われた。「NICUにおける交替制勤務の賛否」のテーマを選んだグループは、主治医が患者を一対一で担当し、急変時には昼夜問わず駆けつける「主治医制」と、患者の情報をチーム内で共有し、交替制勤務の中で当日の担当医が患者を診る「担当医制」について、メリットとデメリットを聴衆である他の研修医にも理解してもらうため、寸劇でプレゼンテーションした。それぞれを"政党"としてマニフェスト評価する形で表現した。

 「私たちは根性で生まれたばかりの赤ちゃんをそばで支え続けます」。主治医制を主張する「主治医保守党」は、「人情、根性、責任力」をキーワードに今後も従来行われてきた主治医制を維持するとした。それに対する「交替実現党」は、「協力、安定、標準化」をテーマに、交替制勤務の中でチーム医療体制を敷き、標準治療や医療に対するフィードバックを行っていくとした。どちらが医療者や患者によってよりよい医療現場となるのだろうか。
 
■日本の医療は「主治医制」中心
メリット・デメリット.jpg 日本の医療は主治医制を中心に展開してきた。欧米では交替勤務を取り入れた担当医制を取り入れている国や地域もあり、医師の労働時間を週48時間(オンコール含む)と規定しているEUでは二交替制や三交替制での勤務形態がほとんどだという。"医療崩壊"が叫ばれる中、医師の労働環境が労働基準法に違反している(こちらやこちらを参照)として交替制勤務を求める声が上がるようになってきたものの、医師不足の上、医療者と患者の双方に主治医制が浸透している現場への導入は困難が予想される。医師労組の全国医師ユニオンの植山直人代表は「日本では主治医は365日24時間、責任を果たさなければならないという意識があるし、患者もそういうものだと思っている。だが、主治医も人間だからそうはいかない」として、担当医制への理解を求めている。ただ、若手医師への教育という観点から、研修医時代は患者につききりで働いたり、一例でも多く臨床を学んだりする方が良いとする声もある。

 研修医がプレゼンテーションのために議論した際に各自の病院の勤務体系が報告されたが、ほとんどが主治医制で、一部に複数主治医制を取り入れてチーム医療を展開している病院もあった

ワークショップ報告会で行われたプレゼンテーションの内容

 最初にに主治医制と担当医制のメリットがそれぞれ主張された。

①<「主治医保守党」の主張>
1、人情...一人の医師が新生児を愛情と思いやりを持って診る。緊急時にはいつでも駆けつける。
2、根性...急性期の医師が根性で新生児を支え続ける。72時間連続勤務も行う
3、責任力...新生児死亡率が世界最低となったのは、責任感を持った医師の努力による成果。担当医制では責任を持てない。

②<「交替実現党」の主張>
1、協力...「喜びは2倍に、悲しみは半分に」。若手医師に魅力ある労働環境を提供し、燃え尽きや離職を防止する。
2、安定...交替勤務により常に体調が良好な状態で働ける。人員を集約化し、余裕ある労働環境。
3、標準化...標準治療マニュアルを作成し、どこにいても同じ内容の医療が受けられる。主治医制は"独りよがり"の医療に陥りがちになるため、複数医師が関わり医療内容をフィードバックする。

 次に、それぞれの"党首"がディベートして双方のメリットとデメリットを主張した。

③<双方による意見交換>主...主治医保守党 交...交替実現党
交「早産児は年々増加していると言いますが、72時間連続勤務は可能でしょうか。先輩方は超人的な医療をして働いてこられましたが、我々は倒れてしまうのではないかと思います。倒れたらどうするんですか」
主「何を言っているんですか、失敬だ。30年間こうやって働いてきたんですよ。私は倒れませんよ
交「主治医保守党の先生は倒れないと言われますが、実際倒れるほど働いていると思います。新生児に携わる先生方がどの程度続けられるかどうかをまとめた資料があります。かなりの方が根性で続けられているのに対し、研修医世代では半数以上が現在の勤務では続けられないと言っています。今の状態で若手医師がついていけますか」
主「若い奴は根性が足りない。赤ちゃんのためには倒れるまで働き続ける。そういう熱い魂を持ったものだけが選ばれし新生児科医になればいい

主「出生1000人当たりの周産期死亡率は、日本は最高の治療成績です。主治医の血のにじむ努力の賜物です。交替勤務ではこのような成績が残せますか。死亡率が上がってしまうのではないですか」
交「確かに素晴らしい成績です。ただ、患者が増えて、新生児科医が減少しているのに、こんな素晴らしい成績を残し続けることが可能でしょうか。新生児科医が絶滅したら、成績も残せません。この実績を残すためにも、魅力ある労働環境を整え、新生児科医を増やすことが先決ではないでしょうか。このような労働環境で若手は来ると思いますか。学生へのアンケートを見ると、若者たちはゆとりある勤務時間を望んでいます
主「そんな軟弱な若手は、要らない

主「交替勤務で誰が患者に責任を持つのですか。主治医だから患者を責任を持って診れるのではないのですか」
交「複数主治医制を考えています。主治医への負担を分担し、なおかつ責任を持った医療は実現可能だと考えています」

主「その人数をどうやって集めるのですか。果たして可能なのでしょうか」
交「集約化を考えています。そしてパート、非常勤医師の活用など、今働いていない医師の活用を考えます。魅力ある環境づくりで若手医師が新生児科を希望することが予想され、人員確保は可能だと考えます」

 " 交替実現党"が得票数となる会場からの拍手を多くを得たものの、議席が過半数を満たさなかったとして、最終的に「主治医保守党」と「交替実現党」がそれぞれのメリットを生かした"連立政権"を発足させる形で決着させた(交替制勤務への拍手の方が明らかに大きかったが・・・)。

④<主治医制+交替勤務制の"連立政権">
1、人情+協力...複数主治医制により、数名のグループで患者を担当。交替勤務制導入。「喜びは2倍に、悲しみは半分に」
2、根性+継続力...急性期のみ患者を診療し続ける「急性期主治医チーム」と、交替制勤務で働く「シフトチーム」に分ける。急性期チームには研修したい若手医師、シフトチームには非常勤医や子育て中の医師など。
3、責任力+安定...チームで治療方針を決定し、マニュアル化された治療により標準医療を全国で展開する。労働環境も安定。

■実現には課題山積
 この形でプレゼンテーションは終わったが、実際には交替勤務を行うだけの医師数が足りないことや人件費などのコスト、公立病院の場合は定数の問題もある。神奈川県立こども医療センター新生児科の豊島勝昭医師も「交替勤務の方が明らかに多く人手がかかってしまう」と指摘する。

 集約化の議論も外せなくなるが、公立病院や大学病院、特定機能病院など周産期医療に関してどの医療機関がどういう形で中心的役割を担っているかは地域の実情でかなり違うため、一律に集約化すると地域医療に大きな影響を与えてしまう。文部科学省は患者の受け入れ不能問題を解消するため、今年度から国立大学病院のNICUを整備していく方向性を打ち出しているが、同時に新生児科医も必要になるため、マンパワーの分散も懸念されている。
(略) 
 プレゼンテーションのための事前準備中、研修医からは「たまには自分が家族にご飯を作りたい」「育児を手伝いたい」との声がある一方で、「患者の状態が落ち着くまでは責任を持って診たい」「若い研修医時代には連続で働いて医療の"流れ"を知りたい」という意見もあった。労働の場であるとともに、教育や研究の場でもある医療現場。どういう働き方が患者や医療者にとってよりよい医療を提供できるのか、医師不足や医師養成が課題となる中で、早急な対策が求められている。

つか主治医保守党、絶対わざとやってるだろ(笑)。
「実際には交替勤務を行うだけの医師数が足りないことや人件費などのコスト、公立病院の場合は定数の問題もある」という部分に留意いただきたいのですが、要するにハードルになっているのは全て医師を管理する側のロジックだということなんでしょうかね。
こういう現実の議論を見ると、主治医制なるものを擁護する意見というものは実は当の主治医というより病院側にとって都合が良い意見であって、医者が集まらない、大勢雇うのに金がかかるといった本音の部分を割り引いて考えなければ状況を見誤るようにも思えてきます。

ま。こうした会としては勝手に明確な結論が出てしまっても困るということなのでしょうが(苦笑)、あからさまに会場では結論が出てしまっているあたり、案外現場の人間は心が定まってきているんじゃないかという印象も受けるところですよね。
病院の管理者側、指導医そして研修医、さらには患者や地域住民と、それぞれの立場によって最適解というものは異なるかと思いますが、今の時代は昔と違って下っ端の発言力というものがずいぶんと強化されてきていますから、これは新政府が公式に態度表明をすれば各地で実際の動きが出てくるということになるかも、ですかね。

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2009年9月 8日 (火)

新型インフルエンザに限らずそろそろワクチンが気になる時期です

例年この時期になりますとそろそろインフルエンザワクチンに対する関心が高まってくるところですが、今年は未だどうなるか先行き不透明なところがあるようです。
政権交代もあって詳細の確定はもう少し後になりそうな気配ですが、取りあえず新型対応のワクチンが出てくるのが10月に入ってから、加えて季節性インフルエンザは後回しということですから、いずれにしても例年より遅い接種スタートになりそうですね。
先日は早ければ9月下旬から発症のピークを云々という話がありましたが、そうなりますとこれは明らかに間に合いそうにないわけですが、それ以前の問題として色々とありそうな気配でもあります。

新型インフルワクチン接種、医療機関を限定(2009年9月7日読売新聞)

 厚生労働省は6日、新型インフルエンザワクチンの接種を、国と委託契約を結んだ医療機関に限って行う方針を固めた。

 対象の医療機関は市町村や地域の医師会が選ぶ。供給量に限りがある国産ワクチンを、最優先接種者から順に、適切に接種していく必要があるため、当面は医療機関を限定する必要があると判断した。

 最優先の接種対象者は、医療従事者、糖尿病やぜんそくなどの持病のある人や妊婦、1歳~就学前の小児、1歳未満の乳児の両親を合わせた1900万人。

 ワクチン輸入も計画されているが、供給は12月下旬以降の見通し。国産は早ければ10月下旬から出荷されるが、年内の生産量は最大1700万人分しかない。

 持病がある人のかかりつけが対象外となった場合、主治医から「優先接種対象者証明書」を発行してもらい、国と委託契約した医療機関で接種を受ける。方針案は8日の都道府県担当課長会議に提示される。

新型ワクチン接種は医療従事者が最優先―厚労省が素案(2009年9月4日CBニュース)

 厚生労働省は9月4日、新型インフルエンザワクチン接種の優先順位の素案を明らかにした。救急隊も含めたインフル患者の診療を行う医療従事者、妊婦及び基礎疾患(持病)を持つ人(この中でも1歳以上未就学の小児を優先)、1歳―就学前の小児、1歳未満の小児の親の順に優先的に接種。優先接種対象者の約 1900万人と、重症化のリスクがある小中高生と基礎疾患を持たない高齢者(65歳以上)の約3500万人を合わせた約5400万人に対し、年度内に接種するとしている。同省では6日から13日正午までパブリックコメントを募集し、専門家らの意見も踏まえた上で、月内に方針を決める。

  4日に開かれた記者会見で、同省健康局の正林督章・新型インフルエンザ対策推進室長は、国産のワクチンの確保について、来年3月までに約1800万人分(1mlバイアルの場合。14歳以上1回0.5mlバイアル)の出荷が可能だとの見解を示した。同省では当初、年度内に2200万-3000万人分を確保できるとしていたが、ワクチンの増殖性などを勘案して下方修正した。ただ、効率的に接種できるように、今後、1mlバイアルと10mlバイアルの製造割合を決めるとしており、生産量が変動する可能性もある。現時点では10月下旬以降に順次出荷される見通しで、優先対象者から接種する。

 一方、輸入ワクチンについて、厚労省側は海外メーカー2社と「現在、交渉している」としており、早ければ12月下旬以降に使用できる見通しだ。その場合、重症化の可能性のある小中高生と基礎疾患を持たない高齢者への接種を想定している。

 副作用が起こった際の製造メーカーや医師の免責について、正林室長は「別途検討する」と述べた。

いやしかし、接種医療機関を限定するといっても、どういう施設を選定するかで、またぞろ一騒動ありそうな悪寒なんですけどね。
副作用の懸念もあって「医療従事者は人柱か!」との声も多いようですが、数千万人レベルで接種ということになれば何らかの副作用発生はいずれにしても避けられないわけですから、何かあっても対応できない施設では困るという声もあるでしょうし、かといって高次医療機関でやるとなれば多忙でそれどころではないと言われかねません。
このあたりは以前からプレパンデミックワクチンなどの議論においても政府の方で何とかしてくれとの声が出ていたところですが、民主党ではさっそくこんなことを言いだしているようですね。

新型インフルエンザ:ワクチン補償額拡充 副作用対策、民主が法整備へ - 毎日jp(2009年9月3日毎日新聞)

 民主党は2日、秋に向けて患者の急増が懸念される新型インフルエンザ対策で、ワクチンの副作用被害の補償を拡充する法整備を行う方針を固めた。民主党は新型インフルエンザ対策を「政権発足後、最初に取り組むべき危機管理課題」として重要視している。政権発足直後に関連法整備に取り組み、政権担当能力をアピールする。

 新型インフルエンザは急速に感染が拡大し、ワクチン不足が危惧(きぐ)されている。一方で、海外のワクチンを国内で使用する場合に臨床試験(治験)を省略することが検討されており、副作用被害の危険性も指摘されている。

 現行制度では、インフルエンザワクチンを接種した際の副作用で患者が死亡した場合、遺族年金は上限で10年間に約2400万円、障害が出た場合の障害年金は年約270万円などとなっている。民主党は関連法整備で補償額の上限を大幅に引き上げる方針だ。

 希望で接種を受ける任意のインフルエンザワクチンなどの場合、国の法律に基づいて接種するBCG(結核予防ワクチン)やポリオ(急性灰白髄炎)などに比べ補償額は半分程度と低額に抑えられている。これを大幅に引き上げる必要がある、との指摘が出ていた。民主党は10月以降に召集する臨時国会で、補償額を引き上げる予防接種法改正案を提出するか、特別法を整備する方針。【山田夢留】

記事中にもあります通り、特に輸入ワクチンとなりますと製法等の違いもあって副作用が出やすいのではないかという懸念が拭い切れていないようで、大規模に用いるなら現場の免責というものを検討せざるを得ないところだと思いますから、是非とも早急な対応をしていただきたいところでしょう。
このあたりは以前から薬剤副作用に対する補償制度というものを拡充せよという声はあったわけですし、今回の新型インフルエンザに限らず引き続き議論を深め改善を図っていただければと思いますね。

さて、新型インフルエンザ関連で幾つか面白い記事が出ているので一緒に紹介しておきたいと思いますが、まずはこちらアメリカからのレポートです。

18歳未満の死亡、67%が重い持病 新型インフルで米CDC分析(2009年9月4日日経ネット)

 【ワシントン=弟子丸幸子】米疾病対策センター(CDC)は、新型インフルエンザで死亡した子供に関する分析結果を公表した。18歳未満の死亡者 36人について事例を調べたところ、何らかの重い持病を抱える子供は全体の67%だった。CDCのフリーデン所長は記者会見で「基礎疾患のない子供でも重症化するケースが出ている」と述べ、医師に注意を呼びかけた。

 記者会見でフリーデン所長は「(新型インフルエンザに)感染した場合には免疫システムが弱くなる」と指摘。「いったん回復に向かってから、再び高熱が出る場合には医師は抗生物質の使用を考えるべきかもしれない」と述べた。

やはり若年者においても基礎疾患の有無というものが予後に大きな影響があるという話でしょうが、注目すべきは「いったん回復に向かってから、再び高熱が出る場合には医師は抗生物質の使用を考えるべきかもしれない」という言葉で、これは細菌の二次感染が予後に影響していると考えるべきなんでしょうかね。
新型インフルエンザは上気道のみならず下気道も障害するという話がありますが、障害範囲が広ければそれだけ二次感染も重篤化するのは道理でしょうから、これは納得できる話ではあるかなと思います。
一方で重傷例に対する治療ではこんな話も出ているようなんですが、販売戦略で劣勢を強いられる製薬会社の巻き返しとも見るべきなのか、いずれにしても国内でやるには保険の縛りが問題になりそうな話ではありますけれどもね。

吸入薬リレンザを静脈注射、インフル重症患者が劇的に回復(2009年09月04日AFP)

新型インフルエンザA型(H1N1)に感染して入院していた英国のがん患者の女性(22)が、吸入用抗ウイルス薬リレンザ(Relenza)を静脈注射するという異例の方法で生命の危機から救われたとの報告が、4日の英医学専門誌「ランセット(Lancet)」に掲載された。

 女性はリンパ組織に悪性腫瘍(しゅよう)ができるホジキン病を患い、化学療法を受けていた。そのため免疫系が衰弱し、H1N1ウイルスに対する防御が弱まっていた。

 女性は7月、息切れと両肺に水がたまるという症状で英ロンドン(London)のロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ病院(University College Hospital)に入院。インフルエンザ治療薬タミフル(Tamiflu)も広域スペクトル抗生物質も全く効き目がなく、入院3日目には人工呼吸器が必要になった。

 医師団はリレンザを認可された吸入方式で投与したがやはり効き目がなく、その後の2週間で次第に病状は悪化した。

 生死の境目をさまよう女性に対し、医師団はリレンザ製造元の製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)の特別協力を得て、リレンザを静脈注射するという賭けに出た。すると女性の病状は劇的に改善し、48時間以内には人工呼吸器を外し、集中治療室から一般病棟に移れるほどに回復したという。

リレンザに限らず吸入薬は患者の使用法によって効果が安定しないところが使う側としては難しいのですが、いずれ新型も強毒化すれば注射薬の需要というものも出てくるでしょうから、いっそこれを機会に静注用製剤を販売してみるというのも検討する価値はあるでしょうね。
しかし投与経路でこれだけ劇的な効果の差が出るということが事実であるとすれば体内薬剤分布と言うことも考えるべきでしょうから、重症化する新型は全身感染を起こしているという例証になる症例なのでしょうか?
そうなりますと同じく全身投与するタミフルが著効なかったということから、リレンザとタミフルの差は単に投与経路による薬物濃度の差なのか、それとも耐性化も含めた薬効の違いということもあるのかと検証する必要も出てきそうな話ですよね。

ところで先日も少しばかり取り上げました「抗ウイルス薬投与直後に患者が亡くなっている?」という話題ですが、タミフルの副作用については例の飛び降り騒動などで以前から言われているという歴史的経緯もあってか、結構ネット上でも一部では騒がれ始めているようです。
ここで誤解していただきたくないのは突然死というものが何も抗ウイルス薬がなければ起こらないという訳でもなく、以前から一定確率で発生しているということは承知しておかなければならないということだと思います。
こちら2年半ほど前の記事にも多くの症例報告をまとめていただいていますけれども、突然死の症例などまさしく札幌の8例目の死亡症例にそっくりな経過なども見られる点は要注目だと思いますね。

タミフル脳炎ではないインフルエンザ関連突然死(2007年3月29日NATROMの日記)より抜粋

浜六郎氏によれば、「インフルエンザは薬を使わなければ必ず自然に治まり何も怖くないふつうのかぜ(強調は引用者による)」*1であるそうだ。この主張は近似的には正しい。たいていの場合は、インフルエンザは自然に治癒する。しかし、何事にも例外は存在する。「突然死」ではなくもう少しゆっくりとした経過をたどる例もあるが、ここでは、突然死"sudden death"とインフルエンザ"influenza"でPubmedを検索してみた。「タミフルによる新型脳症」が主張されているが、タミフル以前にも突然死はあっただろうという考えからである。法医学の論文が多かったのが意外であった。原因不明の突然死→解剖→インフルエンザ感染が関与していたことが判明、というパターンである。当然、死亡してからインフルエンザの診断がついているわけだから、タミフルは関与していない。論文をいくつか紹介するが、網羅的に調べたわけではないし、内容も読み込んでいるわけではない。なにより、論文の選択・内容紹介の段階でバイアスがかかっていることを予め注意しておく。詳細に検討したい方は、ご自分で論文を入手していただきたい。論文のタイトルの和訳を「」に、出版年および国名をつけた。判る範囲内で患者背景および治療歴を記載した。()内に私見を書いた。

「インフルエンザAウイルス関連急性脳炎の成人剖検例」 Ishigami A et.al, An adult autopsy case of acute encephalopathy associated with influenza A virus., Leg Med (Tokyo). 2004 Oct;6(4):252-5.

2004 年日本(徳島大学)。35歳男性。無銭飲食で警察に捕まった。ここ数日満足な食事を取っておらず、倦怠感と微熱があった。治療は受けていない。翌早朝死亡しているところを発見された。インフルエンザ抗原が肺及び脳に認められた。(私見:"he did not receive medical treatment"(医学的治療は受けていない)と明確に書いてあった。ただし栄養状態が悪かった。薬なし・成人でも脳症・突然死がありうるという例。)

2009年9月7日追記。浜六郎氏は、「くすりで脳症にならないために タミフル脳症を中心に」という本で、「全く何も薬剤を使わず "インフルエンザ脳症"で死亡したという報告はありません」と書いているらしい。上記するように、何の薬剤を使わずインフルエンザ脳症で死亡した報告はある。浜六郎氏は、嘘つき、または、勉強不足である。

「致死的な心筋炎を合併したインフルエンザAウイルス感染症」 Nolte KB et.al. , Influenza A virus infection complicated by fatal myocarditis., Am J Forensic Med Pathol. 2000 Dec;21(4):375-9.

2000年U.S.A.。11歳健康女児。1週間の発熱の後、自宅で突然死。要約に治療歴の記載はないものの、インフルエンザの診断は死亡後につけられた模様。Sudden death is a rare complication of influenza and may be caused by myocarditis.(突然死はインフルエンザの稀な合併症であり、心筋炎によるものかもしれない)との記載あり。(私見:少なくともタミフルは飲んでいない。ウイルス感染に伴う心筋炎はよく知られている。)

「"早期乳児てんかん性脳症"を伴った幼児の突然死」 Quan L et.al., Sudden death of an infant with 'an early epileptic encephalopathy'.Forensic Sci Int. 2001 Dec 15;124(1):62-7.

2001年日本(大阪医科大)。1歳10ケ月の男児。生後3ケ月目にけいれん発作があり「早期乳児てんかん性脳症」と診断されていた。前日の夜に発熱し、当日午後に病院に受診するも到着時には死亡。死因はインフルエンザA感染に続発した細菌性気管支炎。(私見:発熱後受診はされていないが、手持ちの解熱薬を使用された可能性はある。ただし、手持ちのタミフルがあるとは考えにくい。もし発熱した時点でタミフルを処方されていたら、タミフルのせいで死亡したとされたであろう)
(略)

「ウイルス性髄膜炎、著明な脳浮腫、神経原性肺水腫および肺出血を伴う幼児の突然死。2症例の報告」 Krous H et.al., Sudden Death in Toddlers with Viral Meningitis, Massive Cerebral Edema, and Neurogenic Pulmonary Edema and Hemorrhage: Report of Two Cases.

2007年、国名記載なし(Krous Hはアデレード大学[オーストラリア]で論文あり)。2例のうち一例がインフルエンザウイルスA型感染。2例目はアデノウイルス。要約に治療歴、患者背景は記載なし。These cases emphasize the possibility that mild intracranial viral infections may be a rare cause of sudden death via lethal cardiopulmonary complications. (軽度の頭蓋内ウイルス感染が致死的な心肺合併症による突然死のまれな原因となる可能性をこれらの症例は強調する)。(私見:「タミフル以前の脳症は亡くなるまで半日~1日かかる。タミフル以降は突然死する新型脳症が見られる」という主張があるが、ウイルス感染によって突然死することはありえる)。
(略)

「インフルエンザウイルスに感染した17歳男性の予測されない突然死」 Nishida N et.al., Sudden unexpected death of a 17-year-old male infected with the influenza virus., Leg Med (Tokyo). 2005 Jan;7(1):51-7.

2005年日本(秋田大学)。17歳男性。2日前に38.3度の発熱、倦怠感、筋肉痛、胃腸症状があり、pylazolon*2の注射と制吐薬を含む内服薬の処方を受けた。著者らの考えでは「死因はライ症候群より心臓突然死である」とのこと。インフルエンザの診断は死亡後につけられた模様。(私見:インフルエンザに対しNSAIDの使用はライ症候群のリスクを高める。若年者にインフルエンザが否定できないときにNSAIDを使うのは禁忌。ただし経過からは死因はライ症候群ではない。)
(略)
これらの突然死をタミフルが抑制するという証拠はない。だからタミフルを飲まなければならないということにはならない。また、これらの重篤な合併症はきわめて稀であり、必要以上にインフルエンザを恐れる必要はない。最低限、「インフルエンザは必ず自然治癒するとは言えない。稀に合併症を起こしたり、死亡したりすることもある」ということだけを理解しておけばよい。患者側の注意点は病人をよく観察しておくぐらいであろう。医療者側の注意点は「必ず治る」など断定的な説明をしてはいけないということである。後に何か起こったときに訴訟になるからである。薬を使わずにインフルエンザによって不幸な転帰をとったならば、浜六郎を訴えてみるのもよいかもしれない。少しは無責任な発言が減るであろう。

こうしてみますと従来ライ症候群など脳症関連の話題が強調されてきた印象のあるインフルエンザの重症例ですが、突然死ということにも関連して心筋炎にも注意を払わざるを得ないようですね。
こちらの症例報告などは心筋炎を発症した従来型インフルエンザの重症化例ですが、経過を拝見しますといかにも沖縄の死亡例とよく似たところがあるような気がしませんでしょうか?

【参考】インフルエンザ様症状で発病し呼吸困難・心不全で入院した高齢者の1例

心筋炎に関しては既にガイドラインなども出ているようですけれども、日々インフルエンザの末端臨床に従事している先生方もこの辺りでもう一度おさらいしておく必要がありそうですよね。

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2009年9月 7日 (月)

現場だけではもう限界なだけに

今どき疲れがたまっているのは皆さん同じという声もありますが、やはり現場の医者もそれなりに疲れがたまっているようで、先頃にはこんな調査が出ていました。

勤務医9%、心身の疲れ「深刻」 日本医師会調査(2009年9月4日朝日新聞)

 病院勤務医の9%が、心身に疲れの兆候がみられ、医学的にメンタルヘルスの支援が必要な状態にある、という調査結果を2日、日本医師会が公表した。背景に、休日返上の長時間勤務など、勤務医の厳しい労働環境がある。

 調査は、同会の勤務医の会員約8万人のうち、1万人(男性8千人、女性2千人)を対象に郵送で実施。3879人から回答を得た。

 寝つきの悪さや、食欲の有無、集中力の低下など、精神的な疲れをみる16項目の回答を点数化した。その結果、9%が中程度以上の深刻な状態にあり、メンタルヘルスの支援が必要だと判定された。5%は1週間に何回も数分以上、自殺や死について考えていた。1%は「具体的な計画を立てたり、実際に死のうとしたりした」という。

 1カ月の休日は4日以下が46%。8日以上は男性が18%、女性で32%。病院の規模が大きいほど、睡眠時間が短く、休日も少ない傾向だった。

 53%は、自分の体調不良を「他人に相談しない」と答えた。理由として、「自分で対応できる」という自信や、「同僚に知られたくない」「自分が弱いと思われそう」と、孤立しがちな状況もうかがわせた。(権敬淑)

医師の6% 自殺考える…日本医師会調査(2009年9月2日産経ニュース)

 6%の医師が死や自殺について考える-。こんなショッキングな調査結果が2日、日本医師会が実施したアンケートで明らかになった。医師会は今年2月、会員の勤務医1万人を対象に調査を行い、3879人から回答を得た。「医療崩壊」が叫ばれる勤務医の過酷な勤務実態が改めて浮き彫りになった。医師らはメンタルヘルスの支援や休日増を求めている。

 調査結果によると、回答した医師の年齢は40代と50代がそれぞれ約30%を占め、30代(18・5%)、20代(2・3%)と続いた。

 1カ月の休日は、「4日以下」が最も多く46・3%、「5~7日」が30・4%だった。「8日以上」の人が20・1%いる一方で、「なし」も8・7%いた。

 「自殺や死について1週間に数回考えることがある」と回答した人は5・3%。「実際に自殺を計画したり、死のうとした」と答えた人(0・4%)と合わせると約6%いた。

 72・3%が「メンタルヘルスを支援する態勢整備」について「必要」と回答し、「少なくとも週に1回の休日」を求める人は89・1%を占めた

 「患者や家族からの不当なクレームやトラブルがあった」と答えた人は44・4%。医師会の今村聡常任理事は「患者からのクレームが医師にとってストレスになっている」と訴えた。

勤務医の4割が「不当なクレーム」経験-日医調査(2009年9月3日CBニュース)

 病院などに勤務する医師の約4割が、患者やその家族からの不当なクレームやトラブルを経験していることが、日本医師会の「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査」の結果から分かった。これらの経験がある医師の割合は病床数の多い病院で高く、日医では、不当なクレームへの組織的な対応など7か条を病院に提言するリーフレットを作成した。

 調査は今年2月20日-3月6日、日医会員の勤務医1万人(男性8000人、女性2000人)を対象に実施。3879人から回答があった。

 この半年間に、患者やその家族からの不当なクレームやトラブルを受けたことがあるかを尋ねたところ、「1-3回」が39.0%(1511人)、「4回以上」が5.4%(210人)で、これらを合わせると計44.4%(1721人)が受けたことがあったと答えた
 男女別では、男性勤務医の46.3%(1384人)、女性勤務医の40.3%(332人)が経験していた。
 また、年代別では、「30歳代」が51.7%(365人)と最も多く、以下「20歳代」50.5%(45人)、「40歳代」49.3%(559人)など。一方、「70歳代以上」は15.8%(43人)で最も少なかった。
 勤務先の医療機関の病床数別に見ると、「500床以上」が48.7%(488人)で最多。以下「100-499床」45.2%(993人)、「50-99床」43.9%(178人)などの順で、病床数が多いほど経験した医師の割合が高かった

 調査ではまた、自殺や死について週に数回考えたり、具体的な自殺の計画を立てて、実際に死のうとしたりしたことがある勤務医が合わせて約6%いることも分かった。日医の今村聡常任理事は9月2日の定例記者会見で、「一般国民の割合から比べると非常に高く、衝撃的なデータだと考えている」と述べた。

 調査結果を受け、日医は「医師の休息が医師のためにも患者のためにも大事と考える」「暴力や不当なクレームを予防し、組織として対応する」など勤務医の健康を守るための7か条の提言を盛り込んだ病院向けリーフレットを作成。今後、病院に配布し、組織的な取り組みを促す。

 今村常任理事は会見で、日医として勤務医の労働環境整備などを行政や政界に働き掛け続けていく方針を示した。

この数字をどう見るかもまた色々と議論のあるところではありますが、諸外国と同様に日本においても医師の自殺率は非医師に比べて高いことが知られ、その原因としても一般的な健康問題や経済問題よりもうつ状態によるものが多いのではないかというレポートが出ています。
これに加えていわゆる過労死も多い、医学部生の自殺率も普通の四年制大学より高いと、どうも医者という仕事はひどく健康に悪いものであるらしいんですね(苦笑)。

80年代あたりから「スパゲッティ症候群」だの「薬漬け医療」だの「三時間待ち三分診療」だのと医療が批判に晒され続け、それに対応しようとして現場が疲弊し、結局かえって患者側にとっては悪い状況になっているのが今の医療とも言えるでしょう。
最近は医療崩壊だの何だのと言う騒ぎで医者の労働環境も悪化する一方だと言い、とりわけ地方における地域医療というものはどこも良い状況にはありませんが、今どき医療現場の尻を叩いていればよいという認識では全く通用しない時代です。
逆に考えてみれば医療を受ける側にとっては現場に対して非常に「恩を売りやすい」状況とも言えるわけで、ここでうまく「今後はちょっと違うから大丈夫」とアピールできれば医療従事者受けが一気に好転!という一発逆転の目も出てきていると前向きに考えてみてはどうでしょうか。

しかし状況を改めるべく住民側も努力すると言っても、間違った方向に努力したところで甲斐がないわけですから、しっかりと医療現場のニーズを把握するということが重要になってきます。
ひと頃からこうした状況に危機感を覚えた地域住民の方々が「○○の医療を守る会」などというものを結成し、多くの署名を揃えて自治体首長に「医者を集めてこい!」と要求する署名活動なるものが盛んに行われるようになってきましたが、あまりああいう行動が実を結んだという話も聞きませんよね。
某所界隈では「それだけの住民が一人幾らかずつでも出せば医者の一人や二人雇えるのでは?」などと揶揄されていたようですが、「現場の人間は別に署名を求めているわけではない」とか、「求心力のない自治体首長が何を言おうが医者は集まらない」という当たり前のことを理解していなかったのが敗因とも言えるわけです。
さすがに最近では「これはあまり効果がない」ということが知られてきたのでしょうか、少しばかり方針転換が行われてくるようになったようです。

以前には兵庫から県立柏原病院市立西脇病院で住民運動によって医者集めに成功したという事例を紹介しましたが、医療崩壊の根本原因の一つとして現場の疲弊があるということがようやく理解され始めた結果、地域医療を守るのは地域住民自身であるという認識が広がってきているように見えるのは良い傾向だと思いますね。
本日は各地のこうした話題を幾つか拾い上げてみますが、まずはこちら、行政も巻き込んでの勉強会を開いたという話題です。

地域医療をみんなで守ろう 緊急以外、平日の昼間受診を訴え 菊川で公開シンポ /静岡(2009年8月11日中日新聞)

市民や行政、600人参加

 菊川市と市立総合病院は9日、市民公開シンポジウム「これからの地域医療を考える-築こう住民・行政・医療者の輪」(中日新聞東海本社後援)を同市本所の菊川文化会館アエルで開き、市内外の行政・医療関係者や市民ら約600人が参加した。

 太田順一市長は「市立総合病院は、開設から59年が経過し地域医療の中心的役割を果たし続けている。全国各地で地域医療の崩壊といった現象が起きているが、東遠地域の医療を確立させなければいけない」とあいさつした。

 城西大の伊関友伸准教授の基調講演では、医師の過酷な勤務状況などを説明。住民ができることとして「できるだけ平日の昼間に受診し、休日や夜間は真に必要な治療だけにする。そのために病気、自分の体に関する知恵を持つ」と訴えた。

 シンポジウムでパネリストを務めた市立総合病院の村田英之院長は、昨年策定した同病院の中期計画に基づき、御前崎市立御前崎総合病院との連携や回復期リハビリ病棟の開設など地域連携の推進、病院機能の強化、経営改善に取り組んでいることを強調した。

 コーディネーターを務めた小林利彦浜松医科大付属病院副院長は「医療資源は限りあるもの。蛇口をひねれば出るが、ずっと開いていると枯れてしまう。このことをご理解ください」と締めくくった。 (中野吉洋)

医療問題もひと頃と比べると色々な意味でマスコミの扱いも変化してきているように見えますが、どうもマスコミ自身も認めているように久しく「医療=悪=国民の敵」という構図で盛んにイメージ操作をしてきたものが尾を引いている感じですかね(マスコミの方では最近になって少しは反省するということを覚えたようですが、俗にこういうのをマッチポンプと言うのでしょうか?)。
ネット時代と言っても未だに情報と言えば新聞、テレビから流れてくるものしかないと思っている国民も多いわけですが、そうした層は未だに以前のマスコミが描いてきた「白い巨塔」だのの小説的イメージから脱却していないことも事実であって、これは何とか改善していかなければならないとは心ある関係者一同考えているところだと思います。
ただその主体としてすでに悪印象濃厚な医師会などが「いや医者もこれで大変なんですよ」なんてことをアピールしてもかえって逆効果というものですから(苦笑)、こんな感じで行政などを巻き込んでというのは非常に良いやり方ではないかと言う気がしますね。

ただしこういう話を実際の行動に移すのにはそれなりに自治体当事者も住人も危機感を共有していなければならないわけで、一部だけが先走ると議会で土下座しなければならないという騒ぎになりますから注意しなければなりません。
そこでこちら、とりあえず盛り上げてしまおうという話を紹介しておきます。

日野市立病院応援団が発足 /東京(2009年9月3日産経ニュース)

 慢性的な赤字経営で存続が危ぶまれている東京都日野市立病院(同市多摩平)を盛り上げるため、市内の法人、市民らが3日、日野市立病院応援団を発足させた。

 同病院は地域の中核病院だが、医師、看護師の欠員が続いて「患者に不十分な対応をせざるを得ない」(市担当者)のが現状で、存続が危ぶまれている。そこで日野法人会の呼びかけで、地域ぐるみで支えていくことにした。

 具体的な活動内容は(1)診療科目や得意分野などの周知(2)外来の混雑緩和のため、かかりつけ医との連携強化を応援(3)人材確保のため、看護師、医師募集への協力・紹介-など。(略)

医療と出産 充実した街願い 赤字の日野市立病院 市民らが応援団/東京(2009年9月4日東京新聞)

 経営赤字が続く日野市立病院を応援しようと、日野市内の企業を中心に、市民や各種団体などが三日、応援団を発足させた。

 発足式には馬場弘融市長や同市商工会など各種団体のメンバー、市民など約百三十人が出席。熊井浩一郎院長は「院長に就任してから医師の確保に全力を注いできた。小児科医不足で分娩(ぶんべん)を一時休止したこともあったが、当初三十九人だった医師を五十人まで増やすことができた」と成果をアピールした。

 応援団は、診察情報やかかりつけ医と同病院の役割分担などを市民に広く周知したり、看護師免許を持ちながら働いていない人を病院に紹介したりしてサポートに努める。

 日野法人会の大木茂会長は「市民、開業医、市立病院の協力体制をつくって医療や出産が充実した街をつくりたい」と話した。(略)

日野市立病院は数年前に立て替えをしたばかりの300症規模の二次救急病院で、日野市民17万人にとって中核病院という位置付けですが、例によって例の如くな経営難で総務省の話に乗って病院改革プランを策定し再建を目指しているという経緯があります。
さてこの記事、一見するとあまり実効性のなさそうなとも思える話が並んでいるわけですが、個人的にポイントなのは組織の名称を「~を守る会」などといったありふれたものではなく、「応援団」と妙に肉体派的な名付けをしているところではないでしょうかね。

地域のイベント運営などに関わったことがある人ならご理解いただけるでしょうが、結局イベントの正否を握るのはどれだけ多くの人間を巻き込んで暴走できるかという盛り上げ方次第なところがあって、その点でいかにもな正論を並べただけの「守る会」式では煙草の箱の警告文と同じで、乗りたくても乗りようがないという話なんですよね。
巻き込まれた人間にすればひとたび汗をかいて御輿を担いだ以上は無駄にしたくないという心理が働くわけですから、要するにこういうことは「お前らうるせえよ!俺は夜勤で寝てねえんだよ!」と怒鳴り込んでくる部外者を作らず全員を当事者にすることが祭りを成功させる一番のポイントになるのです。
日野市民の認識も同会の今後も今のところ何とも言いかねるところですが、ノリの良い人間がうまい具合に状況を主導できるならひょっとして面白いことになるんじゃないかなと言う期待感を、少しばかり抱いていたりもします。

さてお次は行政側の話ですが、何だかんだと言いながら時代もついにここまで来たかというニュースです。

地域医療を守る条例案提出 医師不足の宮崎県延岡市/宮崎(2009年9月1日47ニュース)

 宮崎県延岡市の首藤正治市長は1日、危機的な地域医療を守るために行政と市民の責務や理念を定めた条例案を、9月定例市議会に提出した。市によると、同様の条例は奈良県にあるが、市町村では全国初という。18日の本会議で可決される見通し。

 同市では、県立延岡病院で眼科や消化器系内科が休診となるなど、医師不足が深刻化。5月から、市内で新規開業した診療所に500万円の補助金を交付するなど、対策に躍起だ。

 条例案には、市や市民、医療機関が一体となって地域医療を守るとの理念を明記。それぞれの責務として(1)市は市民の「健康長寿」のため総合的な施策を実施(2)市民はかかりつけ医を持ち、安易な夜間・休日の受診を控える(3)医療機関は患者に適切な説明を行い信頼関係を醸成―などの努力目標を定めている。

 市地域医療対策室は「県北部での医療崩壊のイメージをぬぐい去り、医療や健康長寿を守っていくことをアピールして、今後の施策につなげていきたい」としている。

ちなみに記事中にある奈良の同様の条例云々とは「ならの地域医療を守り育てる条例」のことで、本年6月の県議会で全会一致で可決されたものです。
こちらも制定までに一悶着あったようですが、こうした経緯なども全て込みで全国の医療関係者は見ているのだという認識も持っておいていただいた方が良いようには思いますね。

奈良県議会「ならの地域医療を守り育てる条例」を全会一致で可決/奈良(2009年6月26日Dailumotion)

2009年6月26日開催の奈良県議会で厚生委員会(自民・井岡正徳委員長)が提案、19日の委員会で反対していた共産党委員が一部修正を条件に賛成にまわり、全会一致で可決された。

条例は前文と6条からなり、目的を「地域医療の基本理念を定め、県の責務を明らかにし、県と県民、医師らが協働して地域医療を守り育てる」とうたう。県内で相次いだ医療をめぐるトラブルを受け、県議会も何らかの姿勢を示す必要があるとして、昨年9月から作業を進めていた。県民の努力義務については、委員会の検討資料で「急を要さないのに時間外に受診する患者の増加(コンビニ受診)」「患者の集中による小児輪番病院の疲弊」と指摘されていた。

委員会では賛否は分かれ、今井光子議員(共産)は、県内の医療機能の低下は県の行政に責任があるとして、「県民の努力義務は実態にそぐわない。病気になりたくてなっている人はいない」と条例案に反対。高柳忠夫議員(民主)は、賛成しながらも「義務が一人歩きしないような担保が必要」と注文を付けていた。

この条例は20日以内に施行される。県議会としては初めての委員会提案で、全国都道府県議会議長会によると、成立すれば医療の議員提案としては全国初とのこと。

実際のところは奈良の条文を見ていただいても単なる決意表明といったところで、未だ受ける側のロジックだけを書き立てている段階ですから実効性はともかくという話なんですが、ようやく自治体が条例というレベルで主体的に動き始めたことの意味はそれなりに大きいかと思いますね。
「国が」「医局が」と他人任せにするばかりだった地方自治体も主体的に医療に関わるようになってくるとなれば、今までのように「医者などいくらでもやってくる」と使い捨てにしているばかりではどうしようもないことに気付かざるを得ないでしょう。
いずれにしても医療従事者が逃げ出す一方では何をどう宣言してみたところで話にならないわけですから、まずは医療従事者に対してどうアピールしていくかということを戦略の根幹に据えてみるのも良いだろうし、何よりそうした現場中心の目線こそが今まで自治体病院に最も欠けていたところなんじゃないかとも思うわけです。

どうせ地域のイメージ向上が目的ということであればいっそターゲットを絞って、「我が街は医療従事者の好感度ナンバーワン都市を目指します!」くらいのことをぶち上げ、全国から「おっ、あそこは何か違うぞ」と医療従事者が先を争い集まってくる街を目指してみるというのはどうでしょうかね。
研修医マッチングの競争率全国一位だとか、病院スタッフの満足度全国一位だとか、そういったところを実際に目指してみようかという話になれば、あちらからもこちらからも長年現場に山積する問題が自然に浮かび上がってくるんじゃないでしょうか。
これを機会にそんなところまで意識改革出来たと言うのであれば、形ばかりの改革プランなどよりはるかに実効性あるものになりそうにも思えますけれどもね。

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2009年9月 6日 (日)

今日のぐり「酔鯨亭」

各国からのニュースを見ているとお国柄というものをうかがわせるような話が結構あって面白いですよね。
今日はいくつか世界各地のニュースを紹介してみましょう。
まずはこちら、ロシアからの話題です。

ロシアのサッカーファン、新型インフル対策にウイスキー(2009年8月4日ロイター)

 [モスクワ 3日 ロイター] ロシアのサッカーのサポーター協会は3日、来月にウェールズで行われるサッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の予選に向かうロシアのサポーターに対し、新型インフルエンザ(H1N1型)対策のためウイスキーを飲むようアドバイスした。

 同協会の代表を務めるAlexander Shprygin氏は、ロイターの取材で「消毒のためにウェールズのウイスキーをたくさん飲むよう勧めている。すべての症状に効くはずだ」と話した。

 ロシアの保健省は新型インフルエンザ感染拡大が懸念されるため、英国への渡航を控えるよう勧告しているが、Shprygin氏は9月9日にカーディフで行われる予選に、ロシアのサポーター少なくとも数百人が向かうと予想している。

 また、ロシアのサッカー協会のスポークスマンも「サポーターが1人もいない中で重要な試合を戦うことは望んでいない」と述べ、サポーターにウェールズに行くよう呼び掛けている。

いや待て!それ絶対消毒のためちゃうやろ!ロシア人だけに!
新型に限らずインフルエンザの感染症にウイスキーが効くとは初耳ですが、もちろんこんなことを真に受けてもろくなことはなさそうなんですけどね。
一方でロシアからはこんなニュースも来ていますが、日本の同種企画とは似ているようで微妙に違うような…?

ロシア版・鳥人コンテスト 飛行に挑戦(2009年8月10日産経ニュース)

 「ロシア版鳥人コンテスト」ともいえる自家製飛行機コンテスト「レッドブル・フルークターク・ロシア2009」が9日、モスクワ郊外で行われた。

 川の中ほどに設置されたスタート台からは人間やニワトリ、ブタなどさまざまな形をした“飛行機”が飛び出すが、いずれも真っ逆さまに川に叩きつけられ、あえなく“自爆”するものがほとんど。死者が出なかったのが不思議なくらい。

 それでも果敢に挑戦する姿は、空を飛ぶことが人間の飽くなき欲望であることを見せつけるコンテストとなったようだ。

リンク先の元記事には色々と楽しい写真がてんこ盛りなんですが、どう考えても飛ぶつもりでやってねえだろ自分?と思えるようなものばかりに見えて仕方がないんですが。
ロシア人も案外おちゃめなんだなとも思われるようなニュースなんですが、これも温かい時期ですから洒落で済みますけど、時期が時期であれば大変な惨事ですよねえロシアだけに。

お次はお隣中国から、まあ確かにいくら表現の自由を尊重しろと言われてもそれはそれで…と言う話題です。

【世界おもしろ法律事典】食事時間に水虫薬広告の放映禁止(2009年8月24日産経ニュース)

 中国でテレビの深夜番組を見ていると、その広告の多さにうんざりすることがある。連続ドラマの間に放映される広告の時間は、5分や10分間なら短い方で、20分、30分間も同じ広告が続くこともある。

 その内容はずさんなものが多く、短期間で外国語をマスターできる教材や、身につけるとすぐにダイエットできるイヤリング、さまざまな難病をまとめて治す健康食品など、「本当にそんなに効果があるのか」と首をかしげたくなる広告がほとんどだ。

 中国ではテレビ広告を規制する法律はないのか。いろいろ調べたところ、2004年1月に施行された「ラジオ・テレビ広告管理規定」という法令があった。主管部署である国家ラジオ映画テレビ総局が制定したもので、広告を放送する時間や内容についてきめ細かく規定している。

 例えばこんな具合だ。「人民の生活習慣を尊重するため、午前6時半から7時半、午前11時半から午後0時半、午後6時半から8時までは食事の時間であり、放送局はその時間帯に食欲に影響を与えるような広告を流してはならない

 法令はこのほか、虚偽広告の禁止や、広告時間は総放送時間の2割を超えてはならないなどと規定している。違反した放送局に対しては、警告や一時営業停止処分が科せられる。最も重い罰則は「放送免許の取り消し」となっている。あるテレビ関係者によると、深夜番組については当局のチェックが甘いため、虚偽広告まがいのコマーシャルを流すなど「規定」を無視する放送局もあるが、昼と夜はどの局も厳守しているのだという。「さすがに食事時間に水虫や痔(じ)の治療薬などの広告を流すと、あっという間に苦情が殺到するからね」(北京 矢板明夫)

まあ「本当にそんなに効果があるのか」と言われても、広告なんてものは何処の国でもそんなものだろうとは思いますけれども、「放送局はその時間帯に食欲に影響を与えるような広告を流してはならない」は良かったですね。
アメリカ人なんかに言わせると日本では子供が見るような時間帯でも平気で暴力・性描写てんこ盛りの番組を流しているなんてトンデモナイ!ということらしいですが、法的規制云々の前にもう少し業界の良識というものがあってもいいような気はしますけれどもね。

お次はお隣台湾から、妙なところで妙なブームがという話題です。

【台湾ブログ】日本人と結婚したい!肉じゃが作りに励む台湾女子(2009年9月3日サーチナ)

  20代の台湾人女性ブロガーが、「日本人男性の心をつかむなら、肉じゃが作りを完璧にマスターしよう!」と呼びかけている。

  ブロガーの中古小姐は、「モデル風の笑顔で日本の男性を落とせると思っていたら、大間違い! この時代、美女よりも肉じゃがの方が効果的」と語り、「料理が苦手な女性が増えてきたので、料理上手な子はポイントアップ! 合コンに行った時に料理が趣味とアピールすれば、高学歴の男子並みにモテモテよ!」と自己リサーチに基づいた分析を書きつづっている。

  「包丁が上手く使えず自分の指を切ってしまう私だけど、一生懸命肉じゃが作りを勉強しているわ。他の料理はどうでもいいけど、一生の幸せをつかむきっかけになる肉じゃがをマスターしなければ!」と自分を励まし、“肉じゃが結婚論”を唱えている日本人女性のブログを読んだり、日本のインターネット調査“彼女に作ってもらいたい手料理ランキング”で、肉じゃがが堂々1位になった事例も紹介している。また友人の日本人男性にアンケートを取り、“肉じゃがは家庭的で温かさを感じる料理”、“ファミレスやスーパーではなかなかお目にかかれない”、 “可愛いエプロンを着た彼女が、美味しい肉じゃがを作っている姿は、和風の色気を感じる”という意見も紹介した。

  「とにかく美味しい肉じゃがを作れるようにならなければ!」と目覚めた中古小姐は、日本には肉じゃが専用の醤油があると知って、「この醤油で餃子やチンジャオロースを作っちゃダメなのね」と笑い、「肉じゃがの味が台湾男性の口に合うかどうかわからないけど、興味を持った女性はレシピを参考にしてね」と動画で作り方も紹介。「美味しい肉じゃがが作れるようになるまで、研究するわ! 日本人の彼氏ができるかどうか、この料理にかけている!」と宣言。

  コメント欄には励ましの言葉や、「日本人の彼氏が欲しいので私も頑張る!」、「日本の男性は料理を重視するらしいから、私も料理の腕を磨きたい」など、日本人男性との結婚に憧れる台湾女子の声が数多く届いている。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)

う~ん…まあ、肉じゃがしか作れないというのもそれはそれでね、どうなんだという気もするところなんですが。
一方で先日は彼女に作ってもらいたい手料理第一位はカレーだというニュースがありましたけれども、そうなると今度はカレー習得に努力するということなんですかね?(と思ったら既に特集まで組まれているようなんですが、何か微妙な勘違いもあるような…)
と言いますか、そもそも今結婚適齢期な若い日本人にも肉じゃがってそんなに訴求力ありますかね?どうなんでしょう?

いずれにしても料理であれ何であれ国際親善につななるということであればこれは言うことはない話であるのは事実なんですが、一方では「いつもの調子で」振る舞ってしまった挙げ句に国際問題になってしまうという困った方々もいらっしゃるようです。
て言うかブリの皆さん、せめて国外でくらい自重してください…orz

8/12 英国人男性たちに激怒―婚前パーティーでの傍若無人ぶりにラトビアが抗議(2009年8月12日UK TODAY)

ラトビアの首都リガでは、酒に酔った英国人男性観光客の目に余る行為の数々に強い抗議の声が上がっていることが報じられた。

英国では結婚前に最後の「自由な時間」を楽しむためのスタッグ・パーティー(男性同士)、ヘン・パーティー(女性同士)を催すのが習慣だが、近年は格安航空券の普及などから、同性の友人同士と外国に週末旅行に出掛けて婚前パーティーを行う人々も多い。ラトビアはビール1杯が約1.20ポンドと物価も安く、週末旅行は1人70ポンドから可能と手頃なことから英国人男性に人気の訪問先。旅行会社では男性向きのリガ週末旅行向けに、「カラシニコフ銃の射撃体験」「ストリッパー付きのリムジン」「ラトビア人美女に囲まれて過ごすプライベートのプール・パーティー」など、様々な趣向を用意し、アピールしている

しかし同市では、酒に酔った英国人男性がラトビア独立戦争の死者追悼記念碑に放尿するなど、悪質な行為が目立つようになっており、ついに市民の怒りが爆発。

リガ市長のニルス・ユサコフ氏は「我が市を訪れる観光客のほとんどが英国人だが、彼らの傍若無人ぶりは他国の観光客を圧倒する。偏見と見なされることを恐れずに言うが、これは英国人の特性」とある雑誌に語っている。また現在、警備を強化しているほか、悪質な観光客を取り締まる特別チ?ムの結成も検討中という。

ギリシャ、酔っ払って絡んできた男のペニスに火をつけた女性が一躍国民的ヒーローに(2009年08月12日デジタルマガジン)

 ギリシャ最大の島、クレタ島のバーで、ギリシャ人女性(26)がイギリス人男性(23)のペニスに火をつけた罪で一時警察に逮捕されましたが、夜が明けると彼女は国民的ヒーローになっていました。え? どういうこと?

 警察の発表によると、被害者のイギリス人男性は事件当日ひどく酔っ払っており、バーではズボンを脱いで周りの女の子たちにペニスを触ってくれと合図していたそうです――ソレを振り回しながら。

 そしてそのまま加害者であるギリシャ人女性に近づくと「ギュッと握ってよ」と喋りかけたそうです。女性は丁重にお断りを入れたのですが、イギリス人男性はしつこく握れと迫ってきます。

 そこで女性は息子を冷やせといわんばかりに『Sabucco』というお酒をペニスにかけたのですが、男性はそれでも迫ってきます。プチン――あまりのしつこさにキレたのか、女性はライターを掴むとアルコールでびっしょり濡れたソレに火を付けました。

 男性は即病院送り。女性はその場で逮捕されましたが、裁判官と検察官はともに満場一致で「これは正当防衛である」と判断したため、すぐに釈放されました。警察から解放された女性を出迎えたのは「いいぞ!」「よくやった!」という大歓声。すでに事件は国中に広く知られており、女性は一躍国民的ヒーローとなったのです。

 今回の事件は被害者のイギリス人男性、加害者のギリシャ人女性ともに名前は公表されていませんが、男性の名前はギリシャ中に広まっているご様子。現在、大事なところを焼かれた男性は治療を受けていますが、ペニスと睾丸に第2度の火傷を負っているそうです。火遊びはほどほどに。

いやだからね、国外に出てもいつもの変態ぶりを発揮してまわるのはやめておけとあれほど(略
あの国の場合王子の空気を読まないコスプレ騒動といい、どうも教育やしつけといったところに問題でも?とも思えてくるような話なんですが、彼の国民ですら昨今そのあたりは気にしているようなんですね。
しかしさすがはブリ、この方面でもぶっ飛んでるということなんでしょうか、こんなニュースが…

「領事館で子供のしつけはできません」 英外務省が通達(2009年8月17日CNN)

ロンドン(CNN) 国外で何かしらのトラブルに見舞われた場合、自分の国の大使館や領事館に駆け込むことで対応してもらえる。しかし、「子供のしつけ」や「靴のブランド探し」といった、トラブルとは言えない多くの問い合わせに悩む英外務省がこのほど、在外英国人に対し、どういったことがトラブルで、何が対応不可能かを具体的に通達した。

英外務省管轄の領事館などが受け取った要望は、昨年1年間で約210万件に達した。また、手助けした英国人は3万5000人に上る。

しかし、休暇でイタリアを訪れた英国人が、ある靴のブランドが見つからないと問い合わせてきたほか、在米フロリダ領事館には、ある母親が息子の体調が悪いと訴え、荷物をスーツケースに詰めて空港まで送って欲しいと要求してきた。このほか、英国外に出ていた英国人女性が、豊胸手術に不満だったとして、大使館に仲介して欲しいと頼んできたという。

そこで、何が本当のトラブルで、何がトラブルではないかを「超具体的」に通達

在スペイン・アリカンテ英領事館のウェブサイトには、「事故に巻き込まれたり、旅券を紛失したり、犯罪の犠牲になった場合は、手助けできます。しかし、プールを使ってよいかどうかの判断や、タクシー代金の支払い、両替に関するすべて事柄については、対応できません」と明記されている。

このほかにも、いずれも実際にあった問い合わせで対応できなかったこととして、やんちゃな子供のしつけや限度額を超えたクレジットカードの支払い、ジャムを作る時の果物と砂糖の割合の計算などを挙げている。

いや、まあ…日本でもトンデモな話は昨今決して珍しくないですからあまり人の事は言えないのかも知れませんが、それでも、ねえ…
どうも彼の国の場合、根本的に正常と変態との間の境界線の引き方にいささか問題があるのではないかと思わざるを得ない話が多い気がしますね。
これなど一見すると非常に良識的なニュースかと思わされるわけなんですが、さてどうなんでしょう?

「まるでポルノ!?」 キャンデーの包み紙に抗議 !(2009年8月29日ロケットニュース24)

イギリスのウエストヨークシャー州に住むサイモン・シムキンス氏が、子供のおやつに購入したキャンデーの包装紙に性行為を連想させるイラストがあるとしてメーカーに抗議した。

シムキンス氏によると、スーパーマーケットでHaribo MAOAM(ハリボー・マオアム)のキャンデーを購入。彼の2人の子供に与えようとしたが、包装紙を見てびっくり仰天したそうだ。「ライムとレモン、そしてチェリーのキャラクターが、まるで性行為をするかのようにぴったりと体を合わせている。特に、このイラストでは男役と思われるライムのキャラクターが欲望を丸出しにしたような表情を浮かべているのには驚かされた。妻は、余りのショックで駐車場に座り込んでしまった」と主張する。

彼は、購入先であるスーパーマーケットに苦情を言ったが効果がなく、直接メーカーに抗議した。メーカー側は、「このキャラクターは2002年にドイツで誕生して以来、とても人気があり、陽気なキャラクターとして認知されている。これまで問題になったことはない」と話す。

また、記事を見た大半のイギリス市民も「フルーツのキャラクターがじゃれあって遊んでいるだけで、猥褻な行為だと判断するのは過剰な解釈」という見方を示している。

で、実際のワイセツ画像がどういうものかということが気になってくるわけなんですが…
確かにワイセツということに関しては国民性など色々な要素も絡んでいる問題で、あまり他民族が突っ込むのもどうかと思いますが、余りのショックで駐車場に座り込んでしまいましたかそうですか…
日本のアニメなども昨今では海外にも輸出されて人気があると言いますが、思わぬところで思わぬ話題を集めていたりするのかも知れませんね。

今日のぐり「酔鯨亭」

唐突にカツオのタタキが食べたいという衝動を抑えきれず、こちら「酔鯨亭」に御邪魔してみました。
日本三大がっかり名所とも言われる高知市はりまや橋の近くに位置するこの店、鯨やカツオをはじめとした高知の味が手軽に楽しめるお店です。
ちなみに以前は目の前にデパートが建っていましたが、いつの間にか解体されて微妙に景観が変わってしまいました(何やら跡地再開発も難航している気配ですが…)。

ところで高知と言えば和風バイキング的宴会料理とも言うべき皿鉢(さわち、さあち)が有名だったり、宴会と言えば挨拶もなしに皆が勝手に飲み始めていたり、返杯なんていう相互飲酒無限ループな習慣があったりで、とにかく酒飲みの集まっているお国柄という印象が強いのは否めないところでしょう。
確かに「肝臓の悪い患者に酒を飲んでないかと訪ねたら”ほんのしょうしょう”と答えたので安心していたら、”少々”ではなく”升々”の意味で実は一日二升飲んでいた」なんて笑い話のような話まであるくらいで、男も女も当たり前のように大酒家が多いのは事実でしょうし、飲み屋も結構多いところではあるようです。
しかし侮れないのはその辺に店を構えている普通の飲み屋でも当たり前に魚がうまかったりするので、実は意外にも酒を飲めない向きにも結構楽しみの多い土地柄ではあるんですよね。

この日は例によって例の如くにカツオや鯨、ウツボといった定番の料理に加えて、壁の張り紙から目についた季節の料理も幾つか頼んでみましたが、どれもそれぞれに楽しめましたね。
ヒラメの刺身は肉厚な切り方のせいもあってか、まるでフレッシュな鯛かなにかのようなこりこりとした食感が楽しめますが、味は微妙に熟成が不足気味かなとも思えるようなところもありますでしょうか。
一方でわざわざ季節の味とおすすめいただいたサンマの刺身はすっきりしたうま味が楽しめ、これはこれでまた塩焼きと違った良さがあります。
サンマと言えば炙りサンマのにぎりも試して見ましたが、箸で食べようとすると崩れてしまったくらいに微妙な握りのシャリは、ガチガチに硬いだけの非専門店も多い中で結構気を使っているのかなと思えるところで、最近では回転寿司屋でもかなり出回っている一品ですが結構いいものですね。

マグロのスジ肉煮込みは程よく生姜がきいて飯が欲しくなる味、一方で珍しいマンボウの天ぷらは魚とは到底思えない食感はそれなりに面白いのですが、味自体はふ~ん…という感じで良く言えば淡泊、普通に言ってさほど印象に残らないかなといったところ。
比較的鮮度落ちで臭みの出やすいというマンボウでも全く悪い風味がないのは好印象ですが、「揚げると海老に近い味になる」などとも言う割に、どちらかというと臭みのない鳥肉系統をイメージする味ですかね。
むしろ強烈な印象だったのがハモの天ぷらで、さっくりほこほことした食感、小骨が全く触らないとろけるような舌触り、十分なうま味を抱えていながらしつこく後に残らないすっきりした味と、これは本日一番の当たり料理という感じでしょうか。

主食系では例によって土佐巻き(カツオのタタキを巻いた太巻き)は個人的定番なんですが、以前と比べると少しカツオが小さくなったようにも思えたのは気のせいでしょうか?
魚の雑炊はさっぱりとした味わいで口直しとしても他の料理と相性がいいんですが、これだけが妙に安っぽいプラスチックのさじがついてくるのはどうしたものなんでしょうね。
登場以来何度か食べているカツオ茶漬け、今回また少し味が変わった?という感じなんですが、結構バランスが取れて良い感じになってきました(食べ過ぎると尿酸値跳ね上がりそうですけど(苦笑))。
ちなみに個人的好物で高知と来れば機会を見て食べているウツボの唐揚げなんですが、この日に限ってはあの一番の売りとも言うべき皮の下のゼラチン部分が少し物足りないかなとも感じられたのが僅かな心残りでしょうか。

ハモを筆頭にほぼ満足すべき内容ではあったんですけれど、強いて言えばいつもはそれほど接客面では気にならない店なんですが、この日はちょっとフロア担当がぎこちない印象がありましたかね。
個人的には飯屋であまりベタベタ寄ってこられるのも好きではないので程よく放置というくらいがちょうどいいんですが、当然ながら席から離れてはいてもいつも客席には目を配っていただきたいところです。
まだそこまで込み入っていない時間帯の割には、微妙に隅々まで目が行き届いていないような気配が感じられたのが僅かにマイナスポイントかなとも思ったのですが、正直酒の入っている客には気にならないレベルの話かなとも思いますけれどもね(苦笑)。

ちなみにこの店では「生のカツオにこだわっている」そうなんですが、ここに限らず高知のタタキと言うと店毎にもちろん味は異なっているのですが、それでも共通して本土で食べるそれと風味が違うというのは何なのかと思っていました。
目に見える違いとして製法や薬味の差に由来するものなのか、それともカツオの差に由来するものなのか以前から興味があったのですが、何にしろ季節のカツオのぶりぶりとした食感と力強い味は現地に足を運んで食べる価値はあると思いますけれどもね。

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2009年9月 5日 (土)

周産期医療の現状 ここでも妙に斜め上な話題が?

以前から提唱されていた救急搬送に関する東京ルールですが、先日華々しくその開始式が行われたことを御存知の方もいらっしゃるかと思います。

妊婦など救急患者の医療機関の受け入れ拒否解消のため「救急医療の東京ルール」開始式(2009年8月28日FNN)

妊婦など救急患者に対する医療機関の受け入れ拒否を解消するため、東京都が新たに作った「救急医療の東京ルール」の開始式が行われた。
「救急医療の東京ルール」は、2008年に都内などで妊婦の救急受け入れ拒否問題が相次いだことを受けて、都が救急患者の搬送体制を見直したもの。
このルールでは、救急患者が5つ以上の病院から受け入れを断られた場合に、各地域に設置された地域医療救急センターが、地域の医療機関と連携して搬送先の選定を行い、それでも見つからない場合には、東京消防庁に24時間常駐するコーディネーターが、都内全域から受け入れ先を決定することになる。
この東京ルールは、8月31日から開始される。

しかしオープニングセレモニーですか…写真も見てみましたが、この設備とスタッフを整えるだけでも金かかってそうですよね。
さすが東京都だけに余裕を見せつけたというところなんでしょうが、全国各地では余裕どころではないぎりぎりの戦いが日々続いているようですね。
周産期医療はすでに奪い合いと言いますか押し付け合いと言いますか、いずれにしてもますます大変なことになっている気配です。

争点を歩く(3)医療 産科医不足 広がる疲弊 命の砦(とりで)に疲弊が広がる。(2009年08月25日朝日新聞)

 府北部の公立病院。産科の男性医師はこの日も、急な出産や緊急外来に備えて病院内で一夜を過ごした。当直回数は月10回前後。当直後もそのまま昼間の診療や手術を受け持ち、連続36時間の勤務はざらだという。

 「子どもの誕生に立ち会える魅力はあるが、体力的にはきつい

 同病院の産科医は男性も含め常勤3人、非常勤1人。約10人の助産師とともに、月約40~50件のお産を受け入れる。人繰りがつかなければ3、4日連続で病院に泊まり込むことも。それでも「うちは助産師さんが多いから、まだいいほうだと思う」と語る。

 産科医をめぐる状況はどこも厳しい。

 公立南丹病院(南丹市)では、今月から常勤医が1人減って2人になった。かつて月40回程度あった出産数を30回まで減らし、府立医大から当直医の派遣を受けているが、それでも当直回数は40代の医師で月10~12回、60代の医師で月5回に達する。「体力的にはもう限界」(西田勇人事務局長)という。

 亀岡、南丹、京丹波の3市町による南丹医療圏で、お産を受け入れるのは同病院を含め2カ所。小児科を併設し、未熟児や逆子出産などに対応できるのは同病院だけだ。母子を守る「地域の砦」だが、西田事務局長は「来春までに常勤医1人が確保できなければ、出産の受け入れをさらに減らすことも考える」と話す。

 医師不足の原因にまず挙げられるのは、04年から義務づけられた臨床研修制度だ。学生が自由に研修先の病院を選べるため、「かつては医学生が大学で博士号を取得後に郡部の病院へ派遣されたが、最近は専門医の認定をめざそうと、経験を多く積める都市部の病院を選ぶ人が増えている」(ベテラン産科医)という。

産科をめざす医師が減った原因としては「訴訟リスク」を指摘する声もある。

 死産や障害がある子どもが生まれた場合、最近は医者を訴える父母らが急増。04年に福島県で帝王切開の手術中に妊婦が死亡したケースでは、執刀医が業務上過失致死などの疑いで逮捕された。08年9月に執刀医の無罪が確定したものの、学生がリスクの高い産科や外科を避ける傾向がより強まったという。

 出産や手術時に胎児や患者が死亡した際、医師に過失がなくても補償金を出す「無過失補償制度」の拡充も検討されているが、結論は出ていない。
(略)
 京都第一赤十字病院(東山区)の山田俊夫・産婦人科部長は「大学側の受け入れ態勢を拡充するのも大変だ。医学生を増やしたとしても、一人前の医師になるのは8年以上かかる」と語る。

 年間800件の出産を受け入れる同病院は、府がつくった周産期医療情報システムの基幹病院だ。システムは、府内で妊婦や新生児の緊急搬送が必要になった際、インターネット上に登録された各病院の空き病床数や対応できる症例などを調べ、搬送先を決めることができる。

 産科医不足を病院間の連携で補う仕組みだが、システムの画面上には、受け入れ不可を示す「×」印が並ぶ。山田さんは言う。

 「この状況は容易に打開できるものじゃない」

NICU集約調整難航 長崎大学病院と市民病院、病床不足など課題(2009年9月2日長崎新聞)

 長崎大学病院に長崎市立市民病院の新生児集中治療室(NICU)を集約する構想の調整が難航している。8月31日に長崎市内で両病院の医師や開業医らが協議し、集約しても不足する病床への対応や、産科医の集約といった課題が明らかになった。

 長崎市内のNICUは大学病院と市民病院だけにあり、両病院は限られた新生児専門医を有効活用するため、NICUを集約する方向で大筋了承していた。

 協議では、大学病院が2012年度までにNICU6床、継続保育室(GCU)18床の計24床を整備する計画を説明。これに対し地元医師会が、現状も両病院合わせてNICUなどが24床しかなく、開業医からの搬送を断るケースがあるとして、大学の計画では病床が不足する可能性を指摘した。

 大学病院は13年度以降にNICUとGCUを計30床以上に拡張するまでの措置として、13年度の市民病院建て替え時に一般小児科医で対応できる9床程度を設置するよう要望。市民病院は「それでは集約化の意味がない。(9床は)混合病棟に組み込まれ、周囲に医療スタッフがいない時間ができて危険」と拒否する意向を示した。

 市民病院建て替え時にNICUとGCU計24床を整備するよう求める意見もあったが、病院側は医師確保の困難さや採算性の悪さを理由に「難しい」とした

 また大学病院産婦人科は、NICU集約に伴い母体搬送が集中するため産科医の集約も必要になり、「市民病院などに派遣している医師を大学に戻さなければならない」と説明した。

しかしまあ、地域の医療リソースが決定的に不足しているわけですから、最終的にはどこで妥協し手を打つかという議論にならざるを得ないと思うんですけどね。
ここで無理をして医者をかき集めて理想的な?システムを作り上げてみたところで、医者を引き抜かれた別な地域に同じ問題と共に恨みを輸出するだけに過ぎないわけで、一度こういう状況になるとなかなか皆が満足する解決策も見つからないでしょう。

周産期医療の現状というものは医療崩壊問題の縮図のような部分も多々ありますが、それだけに先行する問題解決のモデルケースとして注目されているところです。
得に前述の記事中にもありましたように無過失補償制度導入は最近の大きな話題であった訳ですが、先頃ついに初の申請が出たというのですね。
まだまだ結果が出てくるのは先の話でしょうが、こうした事例でどういうレポートが出てくるかは医療事故調の議論においても非常に参考になるところだと思いますね。

産科補償制度で初の補償申請(2009年9月1日CBニュース)

 今年1月からスタートした産科医療補償制度で初の補償申請が日本医療機能評価機構に寄せられたことが分かった。
現在、同機構内の産科医や小児科医による書類審査が行われており、9月下旬に開かれる予定の審査委員会で、補償するかどうか正式に決定する。補償対象と認められれば、看護・介護を行う基盤整備に必要な一時金として600万円、看護・介護費用などとして2400万円が、脳性まひ児が成人するまで分割給付される。
 産科医療補償制度は、分娩に伴い重度の脳性まひを発症した新生児やその家族に補償するとともに、原因分析や情報提供を行うことが目的
 補償の申請については、脳性まひ児の家族などが、児の満1-5歳の誕生日の間に、分娩機関に対し補償の申請を依頼し、分娩機関が日本医療機能評価機構に認定審査の申請を行う。また、極めて重度の脳性まひで、その診断が可能な場合には、児の生後6か月以降から申請ができる。
 補償対象か否かの判断については、まず小児科医、産科医などが書類審査を実施。その結果を受けて審査委員会が審査し、それに基づいて同機構として補償対象の認定を行う。
 補償対象と認められた後は、同制度のもう一つの柱である原因分析が行われる。原因分析では、「事例の概要」「臨床経過に関する医学的評価」「今後の産科医療向上のために検討すべき事項」などについて報告書をまとめ、これを児の家族や分娩機関にフィードバックする。制度として医療への評価や原因分析を初めて行った報告書は、早ければ年末にもまとまる予定だ。

とにもかくにもこうして社会的にも周産期医療に関する危機感が共有され、何かしらの対策すら動き始めている現段階ではあるのですが、ここに来て思わぬ伏兵が現れてきているようです。
某所で出ておりましたこんなカキコから紹介しておきましょう。

355 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/09/03(木) 10:19:40 ID:X2Gl3hVp0

10月からいきなり始まることになった分娩費の医療機関への
直接支払制度の要旨が最近届いたが読んでみてびっくり!!
妊婦さんは多額の現金を用意しなくても出産できるという少子化対策
らしく急に決まったのだが、医療機関から分娩費を請求できるのは
翌月にまとめて保険者に請求して支払は更に翌月末だって!
今まで、現金収入があったのが、平均2.5か月遅れで振り込まれる
なんてこんなこと勝手に決めて許されるのか?
月50件の出産で出産一時金42万円だから1か月2100万の収入が2.5か月遅れる
わけだから5000万以上もの運転資金を早急に用意しなければ経営が
頓挫してしまうよ。
こんな重大なことを数か月で相談もなく決めるなんて。
産院の収入のほとんどは分娩収入なんだから、それがいきなり2.5か月
遅れになりますよって。。。なにそれ!?
うちももうお産は撤退するしかないかも。

実はこの問題、ずっと前から指摘されていまして、例えば日本産婦人科医会ではこんなことを書いて出していたりするのですね。

「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」について(2009年7月22日日本産婦人科医会)より抜粋

この制度が発足する10 月から、分娩取扱医療機関において、現金収入が減少し、資金繰りが苦しくなる施設が出る可能性があります。
(略)
そこで、この問題に対して、政府系金融機関である独立行政法人福祉医療機構では、「制度変更に伴い入金が遅れる出産育児一時金等相当額」を最優遇金利1.6%(1 年間据置き)7 月10 日現在)で融資できるよう準備しています。(限度額:診療所4,000 万円)

いや判ってるならもっと末端まで広報しとけよと(苦笑)。
と言いますかね、このところ産科医療制度の保険金上乗せもあってまた出産費用が高くなる、どうも産科医はぼってるんじゃないかと世間的には非常に不評な状況にあるわけですよ。
「産科医療のこれから」さんのところでも取り上げてくださっていますように、産婦人科医会会報でも「一分娩・入院に必要な費用」なんてものを試算して出しているのを見れば、まともなお産をさせようと思えば現状の値上げした出産一時金でも赤字覚悟のバーゲンプライスになりかねない状況なんですけどね。
そんなこんなで金銭絡みのトラブルにナーバスになっているだろう産科の現場に対して「しばらく金は入らなくなるだろうが、なあに心配するな。低利の金貸しを紹介してやる」とはずいぶん配慮のない話ではないでしょうか?

このところ産科に対して優しくなってきていたはずの行政にしていったいこれはどうしたことなのかと誰でも思うわけですが、どうもこの問題そうそう配慮不足といっただけの単純なものでもないらしいのですね。

産科開業医に資金繰りの危機 福祉医療機構に上納の構図(2009年9月1日ロハス・メディカル)

 10月から出産育児一時金が健康保険組合から医療機関へ直接支払われるようになる。医療機関の未収金に配慮した政策だったが、窓口払いから保険支払いへと変わることにより、分娩の2~3ヵ月後まで医療機関の収入がほとんどなくなる。このため、開業医の多くから資金ショートするとの悲鳴が上がっている。その間の資金繰りを支援すると称して、厚生労働省の外郭団体が有利子での融資を準備しているが、一度借りると引退まで借金を背負い続けることになる例が多いとみられる。(川口恭)

 これまでは本人から退院時に徴収していた。支払いなしに産み逃げされて医療機関の困る事例が相次いだため、分娩費に充てる想定で支払われている出産育児一時金を10月から医療機関が直接受け取れるようにした。しかし、この支払い処理が通常の保険支払いと同じに行われるため、入金は2~3ヵ月後になる。月に25分娩扱う診療所であれば、月1050万円×3の3000万円程度の資金ショートが生じる計算になる。開業費用の借金を返しながら診療を続けている開業医は、手元資金にそれほど余裕はないのが普通なので重大な問題だ。

 この資金繰りを支援するための融資制度も厚生労働省の外郭団体である独立行政法人・福祉医療機構で同時に創設された。しかし、有利子(1.6%)で要保証人ということから、開業医たちの不満が爆発寸前になっている。少し考えていただくと分かるが、開業医側には何の瑕疵もないのに借金の必要な状態に追い込まれたうえで、分娩取り扱いを続ける限り 1.6%の年貢を機構に納め続けねばならない構図になっている。

「地方のお産が壊滅し、天下り団体だけ太る」 資金繰り不安問題(2009年9月1日ロハス・メディカル)

 出産育児一時金の支払方法が10月から変更されるのに伴い産科診療所に資金繰り不安が出ている問題で、とある産科開業医の声を聞いた。「制度変更の趣旨と違う。我々は踏んだり蹴ったりで、天下り団体が太るだけ。このままではパニックになる」という。(川口恭)

 「趣旨と違う」というのは、制度変更は「医療機関の未集金対策」との説明だったために全分娩の5%程度を占める支払い困難事例のみ適用されるのかと考えていたところ、蓋を開けてみたら全分娩が対象だったこと。これによって資金ショートの発生することが確定したという。スタートが10月であるために最初の支払いは12月20日過ぎになり、ちょうど従業員へのボーナス支払いの時期にあたることから医療機関では通常期以上に資金需要がある。借り入れ額も大きくならざるを得ない。

 「踏んだり蹴ったり」というのは、既に4月から妊婦検診の無料化(券方式)が行われたため、ここでも2ヵ月程度の資金ショートが生じて、手持ち資金は既にその穴埋めにつぎ込んでしまっていることを指す。「厚生労働省は小規模の産科診療所を全部つぶすつもりなんだろう。うまいことやられた」と、陰謀史観めいた言葉すら漏れる。お産専業でやっている地方の診療所が最も打撃を受けそうな情勢だ。

 「天下り団体が太るだけ」というのは、医療福祉機構の融資制度が担保と保証人を取って、なおかつ1.6%の利子を取るため。しかも、分娩取り扱いをやめて引退するまで資金ショートは順繰りに続いていくため、ずっと利息を取り続けられる形になる。

 この開業医は「民主党に変わったのだから、この仕組みも何とかしてほしい」と話している。

いやあ、どこからどう見ても「なんじゃそりゃあ?!」な話ではありますよね(苦笑)。
実際に「なんで普通に診療してるのに借金漬けにされないといけないんだ!やってられるか!」とばかり、これを気にお産をやめようと検討中の零細開業産科医の先生方も多いとも側聞します。
産科医というものは近年非常に人気がなくなっていて、新規参入が減ってきている関係もあってとりわけ高齢化が進んできていると言いますから、これは老先生方に決断をうながす一つの大きなきっかけになるかも知れないですね。

ところで、この金貸しをやるという医療福祉機構というのがまたちょっと調べてみるだけでも出るわ出るわ、あんな話こんな話がいくらでも出てきそうな勢いなんですね。
まあこうした団体であればこれくらいのことをやりかねないだろうと納得はするにしても、これだけのことをやっているというのであればもう少し話題になってもよさそうなんですが、あるいはこれは政権交代を見越しての駆け込みで最後の一稼ぎでも目論んでいるといったことなのでしょうか。
しかし失礼ながらいくら御意見無用の天下り団体とはいえ、この泣きっ面に蜂状態の産科業界などからさらに金をむしろうとは、もう少し対象を選べよと言いたくなるところなんですが、福祉医療機構の経営理念なるものを見てみますとこれがまた泣かせます。

福祉医療機構 民間活動応援宣言

 私たちは、国の政策効果が最大になるよう、地域の福祉と医療の向上を目指して、
お客さまの目線に立ってお客さま満足を追求することにより、福祉と医療の民間活動を応援します。

「国の政策効果が最大になるよう」ってなんだ、いつもの国策推進じゃありませんかって話で、いやそうですか単なる悪徳天下り役人の金儲けかとうっかり誤解しそうになってましたけれども、国策なら仕方ないですよね。
どこをとっても疑問符のつく一連の騒動に何か一本芯が通ったようで、何か激しく納得してしまうものを感じたのは自分だけでしょうか(苦笑)。

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2009年9月 4日 (金)

常識の通用しない時代の非常識のあり方

つい先日にも政権交代が見込まれるこの時期にこんな先走ったこと言っちゃっていいの?と懸念されていた厚労省らの時期診療報酬改定作業に向けた動きなんですが、どうも予想通りと言いますか、予算から何から全てやり直しになりかねない勢いのようです。
民主党側では医療に関してもゼロから徹底的にやり直すくらいのつもりでいるようなんですが、医療業界に限らず不景気で余裕のない現場に齟齬を来さないよう円滑な運用を期待したいところですかね。

財務省、予算編成ストップの状態続く(2009年9月2日TBSニュース)

 民主党が「予算の組み替え」を宣言するなか、財務省では例年なら本格始動しているはずの予算編成がストップした状態となっています。

 自公政権時代、霞が関の秋は「予算の季節」。9月に入ると財務省主計局は、説明に訪れる各省庁の官僚たちであふれかえるはずでした。

 ところが、民主党が予算の組み換えを宣言しているため、今年は説明に訪れる官僚の姿は全く見当たりません。例年なら廊下に並べられる椅子も隅に置かれたままです。

 民主党からは新しい予算編成についての具体的な指示はなく、財務省での編成作業は完全にストップしています。

 さらに民主党は、自民党が景気対策として補正予算に盛り込んだ46の基金への支出4兆3000億円分について待ったをかける方針で、財務省幹部は困惑の色を隠せません。

 「すでに基金に支出が済んでいるものも多くて、どれだけ戻せるかを調査するだけでも膨大な作業になる」(財務幹部)

 「新しい政権をスタートするまで、大きな決定は待つようにとお願いする」(民主党 岡田克也幹事長)

 子ども手当や農家の個別補償など、今回の概算要求に含まれていない項目は今後改めて提出される見通しで、霞が関では手探りの作業が続きそうです。

医療政策を国民で決めるため徹底的に情報公開 民主党・足立信也参院議員(2009年9月2日ロハス・メディカル)

 民主党の足立信也政調副会長(参院議員)は2日、今後の医療政策を決定するにあたって「国民の合意による負担と給付の関係を築くために、一部の人が決めるのでなく国民全体で議論する仕組みをいかに構築するかが重要だ。そのためにも、まずは徹底した情報公開を行いたい」と述べた。(川口恭)

 ロハスメディアの取材に答えた。「それと同時に喫緊の課題にも対応しなければならない。現下では新型インフルエンザだ」とも述べた。

社会保障国民会議報告書「まったく関係ない」―民主党・仙谷由人衆院議員(2009年9月2日ロハス・メディカル)

 民主党の仙谷由人衆院議員(医療再建議員懇談会会長、がん治療の前進をめざす議員懇談会会長)は2日、社会保障国民会議が昨年11月にまとめた報告書について、今後の民主党の医療政策には影響しないとの見解を示した。(熊田梨恵)

 民主党の医療政策に関するロハスメディアの取材に答えた。仙谷議員は「前の政権下でできたものは全く我々には関係ない。医療に関しては『知らないよ』と言える」と述べた。

ちなみに「社会保障のあるべき姿について、国民に分かりやすく議論を行うことを目的として、平成20年1月25日に閣議決定により開催が決ま」った社会保障国民会議が出してきました最終報告とはこちらにあります通りですが、すでに見慣れたものになった内容ですので改めて言及はしません。
そう言えば先日「三日後に大きな変化があるが、大丈夫でしょうか?」の名言?を吐かれた樋口恵子氏も同会議のメンバーでしたが、委員名簿を見るだけでも「いつものアレか…」と結論が見えそうな会議ではありましたけれどもね。

民主党が一から(ゼロから?)作り上げてくるだろう医療政策なるものは医療従事者のみならず関心のあるところだと思いますが、せっかく国民も行政も医療業界の言うことに耳を傾けようという姿勢を示し始めている時代なんですから、舛添大臣の言葉ではありませんが業界側でも要望ははっきりと声に出していくべきですよね。
特に注意すべきは「そんなこと、言わなくても当たり前の常識だろう?」と思いこんでいることが、実は世間から見れば全く当たり前でも常識でもなかったという話はいくらでもあるわけで、下手をすると全く違う常識のもとに妙な配慮をされてしまい、かえって話がややこしくなる可能性すらあるということなのです。
そうした認識の違いを示す一例として、最近ちょっとした話題になったこちらの記事などを紹介してみましょう。

「一般病院」医師の月給に8万5千円の“逆”地域格差(2009年8月24日CBニュース)

 全国病院経営管理学会がまとめた「病院給与・勤務条件実態調査」によると、「私的病院」のうち、「地方」の「一般病院」に勤務する非管理職の医師の2008年7月の給与は、「都市」の医師よりも8万5372円高い「逆地域格差」が生じていた

 調査は昨年6-8月に実施。「08年7月分職種別給与」や「職種別年間給与」など6項目を774病院に質問し、153病院が回答した(回答率19.8%)。

 集計結果によると、病院に勤務する医師の08年7月の所定内・外給与は、平均96万3777円(平均年齢38.2歳)だった。経営主体別に見ると、厚生連、済生会、日赤関係病院を含む「公的病院」(9病院が回答)が93万7430円(34.3歳)、その他の「私的病院」(144病院)が97万1436円 (39.3歳)

 「私的病院」を最も多い病床種別に「一般病院」(123病院)と「精神病院」(21病院)に区分すると、「一般病院」の医師の給与は97万426円(39.2歳)、「精神病院」は97万8542円(40.5歳)だった。
 「一般病院」を地域別に見ると、東京都や医育機関所在地の「都市」(81病院)では95万1556円(39.5歳)、その他の地域を示す「地方」(42 病院)では103万6828円(38.0歳)で、「地方」が8万5272円高かった。これに対し「精神病院」では、「都市」(9病院)が104万3362 円(42.5歳)、「地方」(12病院)が96万4653円(40.0歳)で、都市が7万8709円高かった=表=。

 また、07年度の非管理職の医師の年収は、「公的病院」が1073万3000円(32.9歳)、「私的病院」が1311万5000円(39.7歳)。「私的病院」の「一般病院」が1287万4000円(39.5歳)、「精神病院」が1449万8000円(40.6歳)だった。

全般的に見ると公的病院より私的病院が給与が高い、都市部より地方の方が給与が高いという「至って当たり前」の結果に見えるわけですが、平素から医療系ニュースを配信しているCBニュースさんがわざわざ「”逆”地域格差」なんて大層なタイトルをつけていただいているあたりがミソですよね。
医者の皆さんにしてみれば「田舎なんて誰も好きで行きたいと思わないんだし、給料高くしてでも人を集めるのは当然なんじゃないの?」と思いがちですが、世間では逆に「都市部では生活にかかる費用も高いし、給料は高くて当たり前」という考え方の方が常識であって、医者の世界こそ非常識ということになるわけです。
一般企業に限らず公務員自衛隊などでも都市部の方が地方より高いわけですが、一方で医療業界においては医師に限らず薬剤師などでも地方の方が給与が高いという逆転現象が見られるようで、もし世間並みの常識に従って医師給与を「改善」されてしまったりすると、これはあっという間に地方の医療崩壊になるかも、ですよね。

医療の世界では当たり前の常識じゃないかと思っていたものが実は世間の非常識だったと言う話は海外にもあって、こういう話も考えてみると世間の常識から外れた不思議な話ではありますよね。
しかし日本でも医療のみならず介護業界でも全く同様の現象が当たり前に起こっているわけですから、これは何も他人事ではないということには留意しなければならないでしょう。

失業率は上がる一方のご時世に…NHSは人手不足! /英国(2009年8月12日UK TODAY)

英国の国民医療サービス(NHS)では、看護師や医師の人手不足が問題になっていることが伝えられた。

「NHS情報センター」の調査によると看護師、助産師、医師、歯科医の欠員状況が悪化したのは5年ぶり。現在、20のポストにつき1つの割合で欠員となっており、看護師の間からは堪え難いストレス下での労働を強いられているとして、強い抗議の声が上がっているという。

またNHSでは今冬の新型インフルエンザ対策に向けさらなるスタッフ増員が求められていることを受け、人材派遣会社へ多額の費用を支払わざるをえない状況にあるとされている。

「Royal College of Nursing」の最高責任者であるピーター・カーター博士は「長期に渡る人手不足が心配されるのはもちろんのこと、短期間の欠員さえスタッフの負担を増やし、医療ケアの質の低下を招く」と懸念を示している。

NHS(National Health Service、国民保健医療サービス)と言えばイギリス医療制度の象徴として日本でも有名ですが、ごく簡単に言えば国民はまず家庭医を受診して判断を経なければ専門医にはかかれないという「非常に平等な」医療システムです。
この家庭医というものが日本の開業医のようなものを想像していただいていると激しく期待を裏切られるものでして、何しろ日本の町医者と言えばレントゲン、エコーから果てはCTの装備率まで断然世界一というトンでもないシロモノですが、あちらでは文字通り聴診器一本で診療していたりするわけです。
救急搬送が丸一日放置されてたとか、予定手術は半年待ちだとか数々の伝説もある彼の地の医療の状況において、何より当の医者達が志気崩壊で先を争って国外逃亡しているというシステムでしたが、それでも(金銭的に見れば)非常に効率も良く、何より「平等である」という点で意外に国民の受けは良かったとも言います。
さすがに最近では彼の国でも多少これはヤバいのではないのか?という認識が出てきているとも聞きますが、こういう記事が出てくるところを見ると国民の方では「この不景気に何を贅沢な!食っていけるだけでもありがたく思え!」という感覚が根強いのかとも想像されます。
本邦でも折からの不景気もあって「将来、生活に不自由する心配がなく安心」と医学部が大人気なんだそうですが、ちょうど定員も大幅に増やすなんてことを言っているようですからどんどん入学していただけば皆が幸せになれるかも知れませんね。
ところで不景気と言えばリストラが行きすぎたせいか、一部業界ではかつてない過酷な労働を強いられるようになったという話も漏れ聞こえてきますが、そんな中でこんな話が出てきて何故か一部医療関係者に受けているようです。

「km」国際自動車を国交省聴聞 超過勤務問題(2009年7月17日朝日新聞)

 運転手の超過勤務などが発覚した大手タクシー・国際自動車(東京都港区)に対し、国土交通省関東運輸局は16日、事業許可を取り消すかどうかを判断するため、言い分を聞く聴聞手続きをした。同社は「徹底的な再発防止をはかる。寛大な措置を」と訴えた。処分は8月中にも出される。許可が取り消されれば、大手では初めてとなる。

 聴聞で同社は、勤務の管理システムを見直す▽災害時にけが人らを搬送する協定を東京消防庁と結んでおり、許可取り消しの影響が大きい――などと述べ、事業停止など処分を軽くするよう求めた

 一方、必要な休息時間を与えなかったとの指摘については「見解の違い」と違法性を否認。政府が昨夏に規制緩和路線を改めて増車を規制し、増車した同社などへの違反罰則を強めたことが影響した、との見方も示した。

 今回、主に問題となったのは、運転手の過労対策。2日間で21時間という拘束時間規定の超過などがあちこちの営業所で発覚。今年2月の監査でも違反が見つかり、3年間の累積違反点数が道路運送法の許可取り消し基準の80点に達した。

     ◇

 「km」マークで知られる国際自動車は、関連会社や提携会社を含めると首都圏を中心に約3500台が走る。業界4位の規模だ。

 このうち、今回処分の対象となったのは本体のタクシー321台とハイヤー589台。許可が取り消されればこれらは営業できず、2年間は再申請もできない。

 しかし、今年4月に従前からの計画で分社化して本体の規模を縮小しており、「結果的に利用者への影響は限定的になった」との見方もある。特に増車の制限がないハイヤーは、関連会社が増車することも可能だという。

 だが、菅原信一社長は「大勢の従業員を抱え、地域の生活交通への影響も大きい」と処分の軽減を強く主張。処分された場合の従業員の処遇について同社は、「現時点では答えられない」としている。(佐々木学)

「運転手に超勤強いる」国際自動車の事業許可を取り消し (2009年9月2日産経新聞)

 大手タクシー会社「国際自動車」(東京都港区)が運転手に超過勤務を強いるなど、道路運送法上の違反を繰り返していた問題で、国土交通省関東運輸局は2日、一般乗用旅客事業許可を取り消しを国際自動車社に通知した。大手タクシー会社の事業許可取り消しは初。再申請が認められる2年後まで、国際自動車社は所有するタクシーとハイヤー約910台を稼働させられなくなる

 関東運輸局によると、国際自動車は、2日間で21時間が限度とされる運転手の拘束時間を超過する違反を繰り返していたという。2月に国際自動車に監査に入った際、業務日誌などから判明した。

 道路運送法では過去3年間で累積違反が80点以上になると、事業許可が取り消される。国際自動車は同様の超過勤務違反などが重なり、取り消し基準に達したという。

 国際自動車は、規定によって、最低2年間は約910台を稼働できなくなるというが、グループ子会社や提携会社は対象外。また、ハイヤーについては、グループ子会社などへ移すことが可能で、実質的に制裁を受けるのは、タクシー分の計321台とみられる。

何かどこかで聞いたような話が並んでいるなと感じられる方も多いと思いますが、特に受けているのが「2日間で21時間という拘束時間規定の超過などがあちこちの営業所で発覚」云々の下りのようなんですね。
今どきこの種の違反はどこの業界でも大なり小なりやっていることと思いますが、医療業界でも最近ようやく労基署の指導が入るようになり、多少は世間並みになってきた感があります。
しかしそのたびに違反をさせた当事者である管理者側は元より、違法な労働を強いられたはずの現場労働者である医師達からも「法律を守るのは無理」などと違法行為を積極的に擁護するコメントが出てくるところなど、やはり医者の常識は世間の非常識なのかと言われてしまうところではあるわけです。

世の中に「タクシーを拾えなかったばかりに大変なことになった!」と言う人はいくらでもいるだろうと思いますが、それでも拾ったタクシーの運転手が「お客様がたくさん待ってるんでね、もう丸二日寝ないで頑張ってるんですよ」なんてことを言いだせば普通の人はタクシー会社に一言あるべきかとも考えますよね。
患者さんがたくさん待っているからと丸二日寝ないで今日も手術をしているという先生方は世の中にいくらでもいると思いますし、そうまで自分を捨ててかかれるというのはある意味尊敬に値することなのかも知れませんけれども、もしその行為が患者に喜ばれていると思っているのであれば行為はともかく勘違いだけは早急に是正した方がいいと思います。
頑張っていることを見せるのは接客における基本的テクニックですけれども、それは業務達成の手段であって別に頑張ることが目的でも何でもないわけですから、体育会で汗を流した学生時代そのままの感覚で日々の業務に邁進している熱心な先生方ほど、人並み外れた努力が妙な方向に迷走していないかと一度立ち止まって考えてみなければならないかも知れないですね。

医者が手術台の上に載せられる立場になった時に初めて「やっぱり執刀医は今にも過労死しそうなフラフラよりは、元気いっぱいの先生の方がいい」と実感したなんて笑い話のような話も聞きますが、顧客満足度という当たり前の概念が根付いていればその程度のことはもっと早くに気付いていたかも知れないとは思うところです。
普通の商売であれば顧客に如何にものを買わせるか、満足させるかというテクニックは真っ先にたたき込まれる基本的スキルですが、驚くべき事に医師を始め医療従事者教育の過程においてこういうことはほとんどスルーされてきた結果、病院廊下で顧客たる患者とすれ違っても挨拶すらしないスタッフが珍しくありません。
最近はモンスター患者が多いと話題になりますが、患者は黙っていても自ら進んで治療を望んで来院し、言う通りに治療を受けるものだという前提でやっているようなあまりに世間知らずのスタッフが、初期対応を誤っているというのもまた事実だと思いますね。

最近ではゲーム攻略本よろしくモンスター対策本なんてものも沢山出ていますからスタッフ各自が最低限の勉強はしていて当然だと思いますが、「これは現場の状況的に無理」などと言う前にその状況を改める努力もしないとならないし、世間の非常識がまん延しているのが問題視されているならさっさと常識が通じるように務めなければならない。
「患者が多くてさばけない!」と言うなら完全予約制を検討するべきだし、「予約患者だけに制限したら経営が成り立たないんだ!」と言うなら顧客満足度向上のために診療報酬増やせと叫ぶべきだし、「でも患者が来るんだから仕方ないじゃないか!」と言うなら手術半年待ちのイギリスの医療満足度が何故日本などよりはるかに高いのかを検証すべきですよ(あくまで一例ですけどね)。
スポンサーであり顧客である国民の非常識をこれが医療の常識だと押し付けるなら、最低限「いやこれにはこんな理由があって、この方が我々もあなた達もハッピーになれるんだから」と説明できなければならないはずですが出来ていない、そして案外冷静になって見直してみればそんな改善しがたい非常識は意外に多くはないんじゃないかと言う気がします。

正しい方向への改善であれば行うべく努力するのが顧客に対する責任であるわけですが、とりわけ今のように医療サイドの声を世間が聞く気になっているこのタイミングでお互いにとって得になるようなwin-winの改善を行わずして、次は一体いつチャンスが来るかも判らないということですよね。
何にしろ国民みんなが「医療の世界も変われるだろう?変わろうよ!俺たちもそれなりに覚悟してんだから!」と大騒ぎしている最中にあって、結局一番の抵抗勢力が変化による最大の受益者となれるかも知れない当の医療関係者だった、なんてオチがついたんでは、後代の医療従事者からあの爺医たちのせいで俺らがなんて文句を言われかねないという話ですよ。

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2009年9月 3日 (木)

新型インフルエンザ 増え続ける死亡例(追記あり)

新型インフルエンザで国内8人目の死亡患者が出たところですが、この患者のことが医療関係者の間で話題になっています。
と言いますのもこの患者、もともと役所に勤める保健師で、新型インフルエンザ患者の聞き取り調査を行っていた方だと言うのですから、言ってみれば医療関係者初の死亡例ということになるわけですよね。

新型インフルエンザ:40代女性保健師が死亡 医療従事者初、集団感染の調査担当/北海道(2009年9月1日毎日新聞)

 北海道は31日、新型インフルエンザに感染した稚内保健所利尻支所(利尻町)に勤める40代の女性保健師が死亡したと発表した。女性は新型インフルエンザ患者の聞き取り調査などに従事していたが、感染経路などは不明。感染者の死者は国内8人目。医療従事者の死者は初めて。道によると、女性には高血圧症の基礎疾患があったが、高血圧症は厚生労働省が注意を呼び掛けている「重症化しやすい疾病」には含まれていない。新型インフルエンザと死亡との因果関係も不明という。

 女性は29日に稚内市内の医療機関でインフルエンザA型と診断された。女性は同日、稚内のホテルに宿泊したが、30日午後2時ごろ、意識不明の状態で倒れているのをホテル従業員が発見。その後、医師が死亡を確認した。死因は急性心不全だった。道は31日の検査で女性の新型インフルエンザ感染を確認した。

 女性は21日、利尻町の隣の利尻富士町の公立中学校で新型インフルエンザの集団感染が確認された際、マスクなどを着用したうえで患者から聞き取り調査をしていた。患者との接触時はマニュアル通りに防護措置が取られ、道は「問題はなかった」とみている。【鈴木勝一、仲田力行】

いやこの期に及んで感染経路不明って(苦笑)。
もちろん医療従事者の中からも続々と感染者が出ているわけですからこうした事例も時間の問題であったわけですが、当然ながら罹患の危険性が高いと予想されるだけに慎重の上にも慎重を期した感染予防対策を徹底しなければならないですよね。
ところで、国内での8死亡例に関して厚労省の発表をもとに、自分なりに少しまとめてみました。

                                                                                                                                               
発症後日数年齢・性別基礎疾患地域感染源死因抗ウイルス薬特記事項
7日50代・男慢性腎不全(透析)、陳旧性心筋梗塞沖縄不明心不全?4日目5日目に状態急変
3日70代・男糖尿病性腎症(透析)、肺気腫兵庫不明肺気腫増悪2日目3日目に状態急変
7日80代・女多発性骨髄腫・心不全愛知不明重症肺炎不明(2日目?)施設入所中
2日70代・女なし(虚弱体質)愛知院内感染?誤嚥性肺炎不明(2日目?)長期入院中
8日30代・男慢性腎不全、糖尿病、喘息長野不明インフルエンザ肺炎7日目7日目に状態急変
3日60代・女消化器癌術後、肺転移あり鹿児島不明成人呼吸窮迫症候群2日目2日目に状態急変
3日30代・女てんかん兵庫施設内感染?不明2日目3日目に状態急変、社会福祉施設通所中
2日+α40代・女なし(高血圧)北海道患者から?急性心不全1日+α2日目+αに状態急変、患者聞き取り作業歴あり

抗ウイルス薬について不明とあるのは使用の有無に関して情報がない場合ですが、インフルエンザの診断確定日以降と推定しその日数を記載してみました。
面白いのは発症後あっという間に悪化してなくなってしまうというパターンと、最初は軽症のように見えて途中から重症化してくるパターンと二通りがあるようにも見えることです。
もう一つ面白いのはいずれも抗ウイルス薬の投与を開始した頃と前後して状態が急変しているようにも見えることで、案の定と言いますか既に一部の方々は「タミフルは使用すべきでない!」と熱心に主張をされているようですよね。
一応経過をみてみますと重症化と前後してインフルエンザの診断がついた、あるいは重症化してきたため見込みで投与したと思われる症例が多いように思えるのですが、今後こうした懸念の声が広がってくる前に国もある程度のデータを収集しておく必要はあるかもですね。

【追記】前述の北海道の症例ですが、結局患者さんは処方された抗ウイルス薬を服用していなかったということが確認されました。

新型インフル死の40代、タミフル服用せず(2009年9月4日読売新聞)

 新型インフルエンザに感染し、8月30日に死亡が確認された北海道・利尻島の40歳代の女性保健師が、医療機関から処方されていた抗ウイルス薬タミフルを服用していなかったことが、道の追跡調査でわかった。

 タミフルを使用しなかったため症状が悪化し、急性心不全を引き起こした可能性もあり、道は国立感染症研究所(東京)などに依頼して、採取したウイルスの病原性や変異の有無などについて詳しく調べる方針。

 道によると、保健師は先月29日午後4時頃に滞在先の稚内市内の医療機関でインフルエンザA型の感染が確認されたため、タミフルを処方された。その後、市内のホテルに宿泊したが、翌日昼過ぎに室内で死亡しているのがみつかった。部屋からは未使用のタミフルが発見されたという。

 道健康安全室では「タミフルの服用は、新型インフルエンザの早期治療に有効で、医療従事者でもある保健師がなぜ使用しなかったのかわからない」としている。保健師は、職場の定期健康診断で高血圧症と診断されており、同室では引き続き死因との関連性について調べている。

ちなみに先頃国立感染症研究所から抗ウイルス薬投与のガイドラインが発表されていますので、同じく同HPより公開されている治療薬の使用指針とあわせて臨床の先生方はHPから一読されておかれるのもよろしいでしょう。
しかし「ほとんどは典型的なインフルエンザ様症状を呈し」という記述については、以前北米からのレポートにあった典型的な高熱などの症状を呈する患者はむしろ少数派という話と解離している印象を受けるところなのですが、これはその後の知見によって訂正されてきたということなのでしょうか?

「新型」治療、抗ウイルス薬のガイドラインを公表―感染研(2009年8月28日CBニュース)

 国立感染症研究所は8月26日、WHOがこのほど発行した新型インフルエンザ患者への抗ウイルス薬の使用方法に関するガイドラインをホームページ上で公表した。

 ガイドラインは、初期治療の判断について「臨床症状」と「地域のウイルスの流行状況」で決定すべきと指摘。ウイルスがまん延している地域でインフルエンザ様症状を呈している患者については、新型インフルエンザと推測すべきとして、「治療開始の判断は検査結果を待つべきではない」としている。

 ただ、新型インフルエンザ患者について、ほとんどは典型的なインフルエンザ様症状を呈し、治療薬を服用しなくても完治していると指摘した上で、もともと健康な患者で合併症を呈していない場合は、「抗ウイルス薬で治療する必要はない」としている。

 一方、受診時に既に重症であるか、状況が悪化し始めている場合は、妊婦や小児、乳幼児なども含むすべての患者に対し、できる限り早くタミフルによる治療を開始することを推奨。症状出現後48時間以内に治療を開始することと良好な治療成績には強い関連があるとの研究結果を示すとともに、こうした患者については、治療の開始時期が遅くなってもタミフルによる治療を行うべきとした。また、タミフルがなかったり、何らかの理由で使用できなかったりする場合は、リレンザを投与することも可能としている。
 また、「重症化」のリスクの高い基礎疾患を持つ人についても、タミフルとリレンザによる治療を勧めている。
 小児については、重症であるか症状が悪化している患者、重症化や合併症併発のリスクが高い5歳以下の患者に対しては、速やかな抗ウイルス薬の投与を推奨。一方、5歳以上の健康な児童については、病気が長引いたり、症状が悪化したりしている場合を除き、投与は「必要ない」としている。

 さらに、基礎疾患を持っていることが重症化の確実な条件ではなく、世界の重症例の約4割が罹患前は健康な子どもや50歳以下の成人だったことや、重症例の中には症状発症5-6日後に突然、症状が悪化するケースがあったことを紹介。臨床医や自宅での加療に携わっている人などに、重症化の兆候を注意して観察することを求めている。
 重症化の兆候については、「活動中あるいは安静時の頻呼吸」「呼吸困難」「蒼白」「血痰もしくは着色した痰」「胸部の痛み」「精神状態の変化」「3日以上続く高熱」「低血圧」を挙げた。また、小児の場合には「促迫呼吸」「注意力散漫」「起床困難」「遊ぶことへの興味の減退」も含まれるとしている。

 これらの兆候が見られた場合は、タミフルによる治療開始など緊急対応を取るべきとし、重症であるか、症状の悪化が進行した場合は、通常よりもタミフルの投与量を増やしたり、投与期間を延長したりすることを考慮すべきとしている。

基礎疾患については死亡症例だけでは症例数が少なく今ひとつ関連性が明確ではないのですが、厚労省によれば、重症化しやすい基礎疾患、および重症化することがある場合として次のようなものが挙げられています。

・慢性呼吸器疾患
・慢性心疾患
・糖尿病などの代謝性疾患
・腎機能障害
・ステロイド内服などによる免疫機能不全
・妊婦
・乳幼児
・高齢者

もちろんこれらの人々も相対的なものであって、普通に軽症で済んでいる人も幾らでもいるわけですが、一般論として考えてもすでに基礎疾患の状態が良くない場合には感染時の予後も悪かろうとは想像できるところですよね。
こうした点からもハイリスクな人々に対しては発症予防という意味でワクチン投与というものがすすめられているわけですが、先日もお伝えしましたように行政サイドでは未だこの辺りの話が固まりきっていないのが現状のようです。
とりあえず少数例ではあっても輸入ワクチンには治験を行うということに決まったようですが、このあたりも政権交代に伴って未だ流動的と考えておくべきなのでしょうか。

さて、先日も報道されました通り、厚労省の予測によれば案外流行のピークは早くに来るんだなと感じさせられるニュースがこちらです。

新型インフル、9月下旬にも発症のピーク(2009年8月29日朝日新聞)

 厚生労働省は28日、新型の豚インフルエンザの今後の患者数の推計を初めて公表した。国民の2割が発症すると想定し、その場合、約38万人が入院し、約3万8千人が重症になり、ピーク時には1日に約76万人が発症する見込み。現在は流行が拡大し始める初期段階にあるとみられる。入院ベッドの確保など、重症化しやすい子どもや持病のある人ら向けの医療態勢の確立が急務だ。

 厚労省は各都道府県が医療態勢を整える際の参考にしてもらうために推計した。海外の流行状況などを踏まえ、季節性インフルの2倍程度に当たる国民の2割(約2500万人)が発症するものとしたほか、新型インフルのこれまでの傾向などから入院率や重症化率を試算した。

 ピークの時期は具体的に示していないが、国立感染症研究所の推計にあてはめると、9月下旬から10月にかけてピークを迎えるとみられる。

 ピーク時には全国で約4万6千人が入院していると想定した。世代別では乳幼児(0~5歳)3500人、小児(6~15歳)1万1800人、成年(16~64歳)2万人、高齢者(65歳以上)1万1100人。大半の患者は軽症で回復する見込み。

 流行は9週目でピークになり、19週目にいったん終息するとしている。ピークや終息の時期、発症者数などは変動する恐れがある。ウイルスの病原性が変化したり、薬が効きにくくなる耐性が出たりすると、流行の規模が大きくなる可能性がある。国民の3割が発症した場合も推計しており、約95万人が入院し、19万人が重症化するとしている。

 また、都市部など人口密集地は患者数が多くなり、持病を持つ高齢者の多い地域では重症者が増えるなど、地域ごとに状況は異なってくるとみられる。厚労省の担当者は「感染症の流行には必ず終わりがくるが、正確な予測は難しい」としている。季節性インフルの流行が重なる可能性もあり、注意を呼びかけている。専門家は流行の第2、3波も警戒している。

 試算をもとに厚労省は、都道府県などに対し、各地域の人口や年齢構成を踏まえて、患者の受け入れ態勢を整えるよう求めた。多数の入院患者が出た場合に備え、現在使っていない結核病床などを活用することも盛り込んだ。夜間の外来診療態勢を整えるため、診療所の診療時間延長や輪番制の導入など、地域の中核病院と診療所の連携も求めた。(権敬淑、野瀬輝彦)

9月下旬から10月にかけてがピークと言えばちょうど国産ワクチンの出荷開始と重なる時期ですが、ワクチンの効果発現までの期間を考えると当然ながら間に合いそうにはないという話です。
ピーク時に4万6千人が入院と言われても今ひとつスケール感が涌きにくい話だと思いますが、患者調査によれば全国入院患者数が約150万人と言いますから、ざっと入院患者の30人にひとりくらいがインフルエンザで占められるという計算になってくるのでしょうか。
実際にはこうした患者を引き受けられない施設も多いでしょうから、呼吸器をやっている急性期病院を中心に一部施設にはもっと患者が集中するものと思いますが、毎週このペースで患者がやってくると考えると現場が対応できるかどうか相当に微妙なところですよね。

こうなりますと外来レベルでのトリアージを行わざるを得ないでしょうが、突然重症化するとも言われている新型だけに現場の担当者もなかなか悩ましいところではないかと思います。
ちなみにトリアージと言えばこういう話題も出ていましたので紹介しておきますが、これをそのまま受け取ると下手をすれば入院していくのはお年寄りばかりということにもなりかねない気もしますが(苦笑)。
今のところ参考にとどめておくのがよいということなのかも知れませんが、何にしろ突然重症化する症例というもののサインを早急に見いださないことには患者側の不安も募るでしょうから、予防的に全例入院なんて話になりかねないのは頭が痛いところです。

早期診断に有効、肺機能測定(2009年8月28日新潟日報)

 流行期に入った新型インフルエンザで、新潟大大学院医歯学総合研究科の鈴木宏教授らの研究チームは27日までに、患者の血中酸素飽和度(SpO2)を測定して重症化の恐れがある人を見分ける方法を、福島県での集団感染で導入した。一般的な医療器具「パルスオキシメーター」で1分以内に測定できる簡単な方法で、患者が医療機関に殺到する感染拡大時の早期診断・治療に有効だとしている。厚生労働省に28日、報告する。

 研究チームはウイルス増殖により肺機能が低下する新型インフルの特性に着目。同県で今月初旬、集団感染した27人に同器具を用い、肺機能の低下度合いを調べた。全員に発熱などの症状はあったものの、胸部聴診では異常が認められず、呼吸困難などの自覚症状もなかった。

 しかしSpO2の数値をみると、肺機能低下を示す「97%未満」が10人を占めた。うち2人は軽度の呼吸不全状態を示す「95%未満」で、重症化の可能性が認められた。27人には抗ウイルス剤などが処方された。

 同メーターは多くの医療機関で使われ、指や耳に装着することで皮膚を傷つけずに動脈中のSpO2を測定する。世界保健機関(WHO)は、新型インフル患者の重症度を判断する指標の一つとして、治療の優先順位を決めるトリアージなどに用いるよう推奨している。研究チームは初期症状の患者診断に応用した。

 鈴木教授は「子どもや妊婦、糖尿病、腎不全患者など重症化しやすい人の肺の状態を簡単にチェックでき、治療の遅れを防げる」と話している。

 報告内容は、週刊日本医事新報9月12日号で発表される。

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2009年9月 2日 (水)

増やせば増やすほどお徳?

民主党政権誕生で例の医学部定員大幅増がほぼ確実という情勢になってきましたが、これが議論を呼んでいます。
いくつかの論点が交錯しているわけですが、ソースとしてしばしば取り上げられるネタに先行して養成数大幅増加となっている司法業界、歯科業界の現状というものがあります。

2006年からの新司法試験導入によって門戸が広がって以来、かの業界でも様々な問題が公になってきているとは当ぐり研でも以前から取り上げてきた通りです。
あちらの場合大きな問題としては二つあって、一つはロースクール乱立によって受験者のレベル自体が大幅に低下し、「合格者ゼロの法科大学院が複数校にのぼるなど、一部の法科大学院の教育が、法曹界の求めるレベルに達していない」状態にまで至っていること。
そしてもう一つが、司法試験合格者の就職口が極めて限定されているため働きたくとも働けず収入も低い、一部では既にワープア化などとも呼ばれる状況が現実のものとなりつつあることです(おかげで「今後は食い詰めた弁護士にそそのかされて医療訴訟激増か?!」なんて噂も某所界隈では流れていますが)。

実際のところどれほど信用していいのかと思えるほどに劇的なデータがこちらなのですが、このように弁護士の平均年収は近年劇的に減少してきているという厚生労働省の統計もあるようですから、確かに漏れ聞こえてくる現場の声にも見られるように過当競争時代に突入していると言うことなのでしょう。
実際のところは既存のベテラン弁護士などはそれなりにがっちりと顧客を掴んでいるでしょうから、新規参入組になるほど統計に表れる以上に稼ぎが少ないのではないかとは想像されるところですよね。
さて、こうなりますと他人事とも思えないと大騒ぎしはじめているのが、民主党政権誕生によって医師大量生産時代が目前にあると言う医者の世界です。

現場の末端臨床医から「もう限界、勘弁してくれ」と労働環境の改善を求める声が挙がっているにも関わらず一向に改善されない、結果として医者の逃散が起こり現場が崩壊しているということがそもそも小松秀樹氏の「医療崩壊」 が話題になってきた頃の医療崩壊のイメージであったと思うのです。
ところがいつの間にか御高名なる本田先生を始めとする声の大きい方々による「とにかく医者を増やせ!医療費を増やせ!」の大合唱が巷間流布した結果、何やら医師数増、医療費増が医療崩壊回避の手段であり目的であるかのような錯覚が広まってしまっていることは否めないところでしょう。

今や「OECD平均と比較して日本の医者はこんなに少ない!もっと増やすべきだ!」はお約束のフレーズになった感がありますが、この点でしばしば医療業界の未来像として語られるのが一足先にOECD平均並みの数を達成してしまった歯科の現状です(実際にはまだ少し平均には足りないそうですが)。

高収入の代名詞「歯科医院」が1日1軒ペースで廃業 泣きたくなるほどきびしい状況はなぜ起きたのか(2009年8月30日MONEYzine)

「歯科医といえば高収入」。そのようなイメージを持っている人も多いだろう。かつては開業歯科医の年収は2000~3000万円とも言われ、愛車はメルセデス・ベンツと相場は決まっていた。しかし現在は事情が変わってきている。それというのも歯科医師の数が増えすぎて、供給過多になっているのだ。

 いま日本中の歯科医院の数は7万件にのぼる。どこにでもあるように感じるコンビニエンスストアの数が約4万件なのでどれほど多くの数の歯科医院が乱立しているかがうかがい知れるはずだ。

 歯科医の診療報酬はほとんどが保険点数で料金が規定されており、保険のきかない自費診療の分野も医院間で大きく差をつけるわけにもいかない。そのような中、競争激化により治療技術やサービスで他院との差別化に遅れ、廃業する歯科医院が後を立たない。

 とくに都市部は競争が激しく、東京23区内では歯科医院の数がコンビニの2倍となる超過剰状態に陥っている。東京歯科保険医協会によると2007年度には350施設は廃院したとみられているおり、競争激化にともない東京都内の保険歯科医院が、1日1施設のペースで廃業していることが明らかとなった。

 都内近郊で独立開業してから30年経つベテラン歯科医はその現状に対し、「駅前では1つのビルに2軒も3軒も歯科医院がテナントに入っているほど乱立している。小規模の歯科医院でも毎日新規の客が15人以上来ないと経営を維持することができないのに、少子化で少なくなった客を皆で奪い合っている」と嘆く。そして「私は息子が2人いるが歯科医にはさせない。私の代で終わりだ」と続けた。

 ただしすべての歯医者が経営危機に陥っているわけではない。業界にはもちろん勝ち組が存在する。自費診療のインプラント(人工歯)をいち早く導入し集客に力を入れているところや、最新の機材を投入し医療技術に優れるスタッフを持つ歯科医院などだ。だが下手をすればインプラントは医療訴訟のトラブルにつながったり、機材に多額の投資をしたところで計画通りに集客できなければすぐに経営難に陥ってしまう。すでに歯科医の資格だけでは安定した収入を得るのは難しく、医者には技術力と経営力が問われている。

笑っては申し訳ないと思うのですが、何やらあまりに見事にツボにはまっているという感じなんでしょうかね(苦笑)。
もちろんこれが直ちに医者の未来図となるなどと主張している人間はそうそういないでしょうし、歯科は個人開業が主体で病院勤務医が多い医科と単純比較は出来ないという意見もあるでしょう。
しかし医者にしたところですでに親からの継承ででもなければ新規開業は極めてハイリスクとなっていて、せっかく開業しても倒産してまた勤務医に逆戻りなんて話は珍しくもないわけですよね。
こういう状況において医師数増加は医師のワープア化を推し進めるだけだという意見は、医師数増加が目的ではなく医師の待遇改善が目的だったはずだという意見と並んで一定の支持を得ているように思えます。

もう一つの例として、日本同様に国民皆保険制度を導入しているお隣韓国の話題を取り上げてみましょう。

医師協会、「韓国人医師数は過剰状態」 /韓国(2009年7月9日東亜日報)

最近、経済協力開発機構(OECD)が、韓国人医師数は人口1000人当たり1.74人と、23カ国中22位だと発表すると、大韓医師協会は統計数値に対し、医師数はむしろ過剰状態だと主張した。

OECDがまとめた「2009世界医療の現状」についての報告書によると、韓国の人口1000人当たりの医師数は、07年末現在=1.74人と、トルコ(1.51人)に次いで最も少なく、加盟国平均である3.1人には、大幅に足りていない数値だ。オーストリアが4.03人ともっとも多く、オランダ(3.93人)やポーランド(3.86人)、スイス(3.85人)、オーストラリア(3.75人)の順となっている。しかし、大韓医師協会(医協)はOECDの発表に対し、「医師数が足りないという結果は、統計ミスによるものだ」と反応している。
医師数が1.74人の根拠は、各国が提出した「活動医師」数を基準に試算したため、実際の医師数とは相当の開きがあり、診療を休んでいる医師は含まれていないという。医協は保健福祉家族の統計年報を基準に、07年現在の全体医師数(免許登録医師)は10万8207人と、人口1000人当たり2.2人だと指摘した。

また、医協は韓国内人口1000人当たりの活動医師数から見ると、1985年=0.6人から06年=1.76人へと急増しており、OECD加盟国の平均伸び率である47.6%の3.5倍にも達していると主張した。医学部や漢方医学部の新設や増設を受け、毎年、4150人の医師が輩出されていることを考慮すれば、5年後はOECDの平均である3.1人に達すると、医教では見込んでいる。大韓医師協会のザ・フンジョン報道官は、「一部の大型病院への集中現象に過ぎず、中小型病院では患者がおらず、相次いで倒産に追い込まれている」とし、「絶対的な医師数の不足ではなく、特定病院や特定診療科目に医師が集中する相対的な不足だ」と説明した。
(略)

ちなみに記事中にもあるように韓国ももともと医師数が少ないことで有名な国でしたが、近年非常に大きな割合で医師数増加政策を採っており(診療医師数の年平均増加率(90~03年)5.5%。日本は1.26%)、人口当たり医師数で今年あたりには日本を上回るという試算があるようです。
ほぼ日本並みの医師数となってきたわりに医療費支出はやや少ない印象ですから、物価の差などもあるのかも知れませんが、相対的に医療需要が日本より少なめであるのかも知れませんが、あちらでも日本同様例によって例の如く三分診療だとか、医師不足なのか地域的・診療科的偏在なのかといった議論もあるようで、基本的に医師不足という認識は同じだったようですね。
そうした国で比較的短期間での医師大量養成が行われ新規医師が一気に現場に流入した結果、こうした現象が表面化してきているというわけなのです。

レジデントを終えた医師、地方に殺到(2007年11月9日東亜日報)

「ソウルに残りたい。しかし、如何せん、食べていかなければ…」
最近、人口1万人程度の全羅南道(チョルラナムド)のある都市に医院を開業した金某(38)院長は、ため息をついてこのように話した。
当初金院長は、ソウルで医学部を卒業した後、レジデントの過程を終えて、ソウル江南(カンナム)地域で開業する計画だった。しかし、市場調査をした結果、あきらめてソウルを離れることを決心した。
氏は、「大学に入ってからレジデントまでの16年間、若さを捧げた結果が『田舎医師』ということに、頭に来る時もあるが、現実を受け入れることにした」と語った。

●地方に医師が殺到

専門医過程を終えて独立する医師が、地方の中小都市に殺到している。
過去、医師は開業すれば、短期間に大金を儲けるのが常識だった。金ではなく名誉を選んだ一部の医師だけが学界に残るのが定説だった。
しかし最近、大都市の医療市場が飽和状態になり、利益を上げることが難しくなったため、競争がより少ない地方に移動しているのだ。歯科医や漢方医も事情は似ている。

東亜(トンア)日報が、健康保険審査評価院で得た05~07年全国地域別医院現況を分析した結果、同期間で人口10万人当たり、医院が最も多く増えた地域は仁川甕津郡(インチョン・オンジングン)で、88.1%の増加率を示した。
次は、忠清北道報恩郡(チュンチョンプクト・ポウングン、48.4%)、慶尚南道山清郡(キョンサンナムド・サンチョングン、31.9%)、忠清北道清原郡(チョンウォングン、31.1%)、慶尚南道陜川郡(ハプチョングン、25.2%)、慶尚北道軍威郡(キョンサンナムド・クヌィグン、24.4%)、京畿道高陽市一山東区(キョンギド・コヤンシ・イルサンドング、23.5%)、慶尚南道咸陽郡(ハミャングン、20.7%)、慶尚南道昌寧郡(チャンニョングン、18.5%)、全羅北道鎮安郡(チョルラプクト・チナングン、17.1%)などの順だった。
このため、地方の患者が受ける医療の質は改善されている。
京畿道北部の農村地域の内科医院で会った40代の男性患者は、「以前は病院が遠くて、体の具合が悪くても行こうとは思わなかったが、今はソウルで患者を見ていた『実力派の医師』が町にいて心強い」と話した。

●「子どもは医学部に行かせない」

競争が激しい大都市を離れたからといって、所得が保障されるわけではない。
人口4万人程度の京畿道北部地域の都市に最近外科医院を開いた朴某(50)院長は、90年代までソウルで医院を運営し、安定した生活を送っていた。
しかし、2000年に急激に事情が悪化し、ソウルを離れた後、最近まで縁もゆかりもない地方を転々として、4度も開業と閉業を繰り返した。
朴院長は一時、開業医の生活をあきらめ、ある地方の総合病院に外科課長として就職した。しかし、その病院までも経営が苦しくなり、今年初めに3億ウォンの借金をして再び開業しなければならなくなった。
02年頃、地方に医院を構えた時には薬局が周辺になく、患者がやって来ないと考えて、不法で薬剤師を雇って病院の隣に薬局まで設けた。しかし、賃貸料と薬剤師の月給が手におえず、結局病院と薬局を閉めなければならなくなった。
朴院長は、「月収は200万~300万ウォン水準。今やっと少し安定したようだ。今年、医学部に入学を考えている息子に苦労させないために、工学部に志望を変えさせた」と話した。

●20年前の医学部新増設が「田舎医師」を量産

田舎医師の急増現象をもたらした理由は、政府が1980年代後半に、今後、保健医療の需要が増え、医療人材が不足すると考えて、医学部の新増設を許可したためだ。
このため、1985年に31あった医学部と漢方医学部は、2000年に52に増加した。入学定員も同期間に3230人から4050人に増えた
結果的に90年代初期から大きく増加した医学部の入学生は、05年を前後して開業する時点になって医療市場にあふれ出た。医師免許所持者(漢方医含)も、1985年の3万3385人から05年には10万676人と3倍近く増加した。
現在の傾向のままでは2010年には医師が12万人を超えるというのが、大韓医師協会(医協)の説明だ。このため医協側は、医学部定員の削減を強く主張している。
政府も、04年から入学定員を削減し、定員外の入学人員も減らし始めた。長期的には医学部の定員を10%削減する計画だ。しかし、「定員を30%減らさなければならない」という医協との意見の相違が大きく、妥協点を見出せずにいる。

ちなみに新設医大が沢山出来たとは言っても、定員で言えばたかだか3割の増加に過ぎないことにも留意ください(民主党案による医学部定員増加は5割を予定しています)。
最近では日本人患者を韓国に呼び込もうなんて盛んに韓国医療ツアーなんてことまでアピールしているらしいのですが、なんだ、田舎にも医者が来るようになったり医療サービスがよくなったり、医者が増えて何も困ることなんてないじゃんと思われた方、あなたは非常に鋭いです。
医者を増やすべきか、増やすならどこまで増やすべきなのか、増やさないと困るのではないかとは以前からずっと議論されている問題なのですが、そもそも「困るとは誰にとって困るということなのか」という主語が明確でない話が続いていることが混乱を招く一因となってきたのです。

その昔はお上の方では「医師数が増えれば増えるだけ医療費が増える」という認識があって、あまり医師数を増やしすぎるのもどうかなんてことを言いだした、折からの新設医大増加などで同業の競争相手が増えてくることを危惧した医師会もこれに同調したことが、最近まで続いた医学部定員削減の理由であったなんてことを言われています(未だ真偽定かでないとも言いますが)。
確かに医師数が増えるほど医療費も増えているように見えるが、それは今まで医師不足で埋もれていた潜在需要が喚起されただけであるとか、出来高制を続けている限り医者は儲けるために余計な検査をするのだから包括支払制度を拡大せよとか、未だにこのあたりには諸説あって必ずしも見解が統一されているとも言えない状況です。
ただ現場の医師による医師数増加に関する議論と、金を出す側である政府、あるいは医療の受益者たる国民による議論とでは、自ずから途中経過も結論も異なったものとなって当然だろうと言うことは理解できるところですし、この点を明確にしない議論にはそもそも意味がないのです。

もう一つ、すでに地域枠という名称で地方の医学部を中心に従来型の試験とは別枠での採用がかなり広がってきていますが、ぶっちゃけた話センター試験の平均点などを見る限り、彼らの学力は一般入試で入った学生よりは大幅に下なのではないかという声はあちこちから聞こえてくるところです(前述の法科大学院の事例に留意ください)。
かつても面接試験、社会人入学と入学方法の多様化が図られたたびに同様のことは言われていたではないかと言う意見もあるでしょうが、今回の場合医学部定員に占める地域枠の比率が拡大する一方で、全体の何割というレベルにまで至っていることが注目されているわけですね。

もちろん試験の点数が悪い=医者としての能力が低いというわけでもないのでしょうが、センター試験タイプの丸暗記すれば普通に点が取れるといった試験は、医師として備えていることが望ましい「多量のデータを蓄積し処理する能力」や「時間が限られている中で効率よく仕事を処理できる要領の良さ」をある程度保証する目安になるという意見も根強いわけです。
「地元出身の医者が地元に残ってくれる、何と素晴らしい制度ではないか」と結構評判がいい(らしい)この地域枠制度なんですが、学生や研修医の相手をしている現場の人間には「明らかにレベルが落ちてきてないかい?」と必ずしも評判が良くない理由の一端がここにあって、この点も「誰にとって」という主語を明確にしないと理解が難しくなるところです。

ネット上でも実社会でもあちこちで語られている医師数増加政策の問題、一人たりとも医者を増やすことに反対という人間はそうはいないだろうという印象なのですが、どの程度、あるいはどうやって増やすかという部分に関しては未だに当の医者の間でもコンセンサスが得られていないというのが現状でしょう。
まして医者とその他の医療従事者、あるいは患者層となるべき一般市民の間では当然ながら目指すべきところが異なるわけですから、同じ医師不足、医療崩壊といった言葉を使って議論しているように見えても、お互い全く異なったゴールを目指して語っている可能性があることは常に念頭に置いておく必要があると思いますね。

そしてもう一つ言えそうなこととして、診療科も就業場所も自由に選べる状態で医師養成数だけを増やしていけば楽で儲かるところに医者が集まってくるのは道理ですし、医師強制配置論なんてものもあるわけですから、いずれ今の勝ち組が将来の負け組と呼ばれ、その逆もあり得る時代が来るかもということですかね。
同じ医療関係者でも今から入試に挑む高校生、これから研修に出る若手医師、彼らを指導する中堅医師、そしてそれら医師達を使う立場の管理職と、皆それぞれの立場によって何が理想で何が勝ち組かは異なってきて当然ですが、少なくとも何も考えなくとも適当に何とかなるだろうでは今後は貧乏くじを引く確率が増えてくるだろうとは言えることでしょう。

今どきは「先輩に高そうな店でおごってもらった」なんてことに恩義を感じて将来を決める学生もそうそういないと思いますが、進路選択に当たっては医療行政の行く末から世論の動向まで予測してと考えると、これからの医学生はなかなか大変だなと思うところですが、実は他学部の学生はとっくの昔からそんなことはやっていることなんですよね。
そんなところも医療業界がまた一歩、世間並みになってきたと言うことなのかも知れません。

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2009年9月 1日 (火)

政界の激震がいろいろなところに波及しそうな勢いで

未だ次期内閣の顔ぶれもはっきりしてこない状況ではあるのですが、何かしら大きな変化だけは確実にありそうだという空気が国中に満ちてきていますよね。
昨今の新型インフルエンザを巡る一連の騒動などを見るまでもなく、待ったなしでさっさと片付けていかなければならない緊急の課題が今の日本には山積しているわけですが、既に民主党優勢が伝えられた選挙戦以前の段階から、現状で迂闊に動いてしまっていいものかと様子見する気配があちこちから漂ってきていたことは、ある意味率直な人間心理ではありました。
さて、そんな微妙な時期であったのに厚労省の方からはこのところ診療報酬改定に絡んだ話題が出てきているようなのですが、今日は各メディアからそちらのニュースを紹介してみましょう。

急患受け入れ連携に報酬加算へ  救急・産科の態勢強化(2009年8月25日47ニュース)

 厚生労働省は25日、2010年度の診療報酬改定で、“管制塔役”の医療機関が症状に応じて救急患者を近隣の病院や開業医に割り振るなど、地域内で連携して救急患者を受け入れた場合に報酬を加算する方針を固めた。

 26日に開く社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療部会で、改定の基本方針案として示す。

 小児や妊産婦の救急患者を受け入れた場合や、新生児の救急搬送を担う医師の活動も報酬を引き上げる考え。救急・産科の態勢強化と勤務医の負担軽減が狙いだ。

 救急をめぐっては、生命の危険がある重症患者を受け入れる3次救急医療機関に、軽症患者までが集中してしまっているという問題点が指摘されている。

 厚労省は、管制塔役の医療機関が患者の重症度に応じて優先順位を付け、地域内で患者を割り振る事業に対し、既に09年度予算で補助金を計上。こうした連携態勢に加わった病院などを診療報酬でも評価する。

 報酬改定の基本方針案では、新生児集中治療室(NICU)など急性期病床の満床状態を解消するため、受け皿となる後方の医療機関や在宅療養に報酬を加算する考えも提示。

 このほか、(1)医師の書類作成などを代行する事務員「医療クラーク」の配置(2)後発医薬品の使用―なども08年度改定に続き評価する。

勤務医対策を強化、22年度診療報酬改定の基本方針案(2009年8月26日産経ニュース)

 厚生労働省は26日、平成22年度の次期診療報酬改定の基本方針案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療部会に提示した。産科や救急をはじめとする勤務医の負担軽減を緊急課題と位置付け、小児救急患者を受け入れた医療機関などの診療報酬を手厚くする方向だ。27日の同審議会医療保険部会でも基本方針案を示し、11月ごろまでに両部会で取りまとめる。

 基本方針案は、勤務医の負担軽減策を強化することに加え、(1)患者に分かりやすい医療(2)病院、開業医、介護施設などの間の連携強化(3)重点対応分野を評価(4)患者負担が増え、無駄とされる医療費などの効率化の推進-といった4つの方向性を重視している。

 具体的には、勤務医の負担軽減策として、症状に応じて救急患者を大病院や開業医に割り振るといった地域内の連携事業に取り組む医療機関の報酬を増やすほか、小児や妊産婦の救急患者を受け入れた医療機関、新生児の救急搬送に付き添った医師に対しても診療報酬を引き上げる。

 救急病院のベッドが満床にならないよう、症状が落ち着いた後の患者を受け入れた医療機関や在宅での療養を引き受けた開業医にも報酬を手厚くする考えだ。

 このほか、▽勤務医の書類作成を補佐する「医療クラーク」の配置▽回復期のリハビリ▽手術の技術料▽後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進-に対しても診療報酬で評価していく。ただ、この日の部会では「外科医も評価すべきだ」「効率化には反対」などの意見も出た。

診療報酬改定の基本方針、前回を踏襲-厚労省が提案(2009年8月26日CBニュース)

厚生労働省は8月26日に開かれた社会保障審議会医療部会(部会長=斉藤英彦・名古屋セントラル病院長)に、昨年度に実施した診療報酬改定の基本方針で「緊急課題」に位置付けた産科・小児科への重点評価などの項目を、来年度の次期改定でも重視する方向を提案した。11月までに取りまとめる報酬改定の基本方針に盛り込みたい考え。ただ、部会にはこうした方向に反対する意見もあり、今後、調整する。

また、厚労省がこの日提示した論点では、次期改定で取り組む方向性の例として、「急性期後の受け皿としての後方病床・在宅療養の機能強化」や「回復期リハビリテーション等の機能強化」「手術等の医療技術の評価」などを挙げた

昨年度に実施した前回改定の基本方針では、産科・小児科への重点評価のほか、▽診療所・病院の役割分担▽病院勤務医の負担軽減―の2項目を「緊急課題」に位置付けるとともに、「患者からみて分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する」など4項目については、「改定の視点」として06年度改定を踏襲した。

同省保険局の佐藤敏信医療課長は26日の部会で、前回改定までに基本方針に盛り込まれた取り組みについて、「基本的には、まだまだ十分ではない部分もある」と述べ、次回改定でも引き続き重視する必要があるとの認識を示した。一方で、「診療報酬は上げれば上げるほどいいという側面もあるかもしれないが、それは厳しい保険財政という副次的な影響をもたらす可能性もある」とも述べた。

意見交換で中川俊男委員 (日本医師会常任理事)は、次期改定の基本方針を前回から継続した場合、診療報酬全体で3.16%を引き下げた06年度改定の方針が結果的に引き継がれることになると指摘。「与野党が医療費引き上げで一致する中で、これを残す感覚が信じられない。絶対反対」などと強く批判し、根本的な見直しを主張した。

また、加藤達夫委員(国立成育医療センター総長)は、「小児救急では、患者の年齢が低いほど治療行為に習熟度が求められ、時間もかかる」「母体に問題があるほど生まれてくる子どもに危険が伴う」などと指摘。小児救急全体を一律に評価するのではなく、提供できる医療の内容や体制の整備状況に応じて評価すべきとの考えを示した。

厚労省、診療報酬改定で論点案 新生児の救急搬送など手厚く(2009年8月26日日経ネット)

 厚生労働省は26日、来年度の診療報酬改定の基本方針策定に向けた論点を議論のたたき台として社会保障審議会医療部会に示した。新生児の救急搬送を担う医師に対する報酬を手厚くすることなどを提示した。

 改定では救急・産科の体制強化や勤務医の負担軽減が重点課題になっている。厚労省は救急患者を受け入れる医療機関を手厚く評価することや在宅医療を充実させることなどを挙げた。このほか患者への医薬品情報の提供や回復期リハビリテーションの機能強化なども盛り込んだ。

 改定内容は社保審の医療部会と医療保険部会で策定した基本方針に基づき、中央社会保険医療協議会が個別の点数などの詳細を決める。ただ民主党は診療報酬改定のプロセスを変える方針を示しており、衆院選後に決定方法が大きく変わる可能性もある

概略で従来の方針のマイナーチェンジといった内容とも受け取れるところで、抑制政策撤回(もいささか怪しい気配がありますが…)で多少なりとも伸び率が高まってきているところが目につくかという程度でしょうか。
例によって産科、小児科、救急に重点的にだとか、勤務医の疲弊への対策をといった文言が並んでいますが、その実態は単なる診療報酬上の配分見直しにしか過ぎませんから、現場で実際に手を動かすスタッフの待遇完全に直接結びつくものではないことは既に長く議論してきたところです。
そもそもこうした部門に手厚く配分ということは他の領域でその分を削るというだけに過ぎないわけですから、総合病院などでは病院全体の収支がどうなるかという検討をしてみないことには経営的な改善効果すら不確かなという話になりかねません。

厚労相の諮問機関である社会保障審議会ではこれを受けて実際の診療報酬改訂作業への議論が始まっていますが、こちらも現場の人間がまるで含まれていない場での議論だけに、どんな斜め上な結論が出てくるのかと今から楽しみで仕方がないところではあるのですけれどもね。

診療報酬と医療提供体制「関係が大きく変化」―医療保険部会(2009年8月27日CBニュース)

社会保障審議会医療保険部会は8月27日、第33回会合を開き、診療報酬改定の基本方針などについて意見交換を行った。議論は医療提供体制の在り方に集まり、医療提供体制を整備する主体が診療報酬の枠組みから各都道府県へ移っていると指摘する声も上がった。

会合では、前日に開かれた医療部会で、厚生労働省が示した基本方針の考え方についてのたたき台を基に議論が行われた。
前回の診療報酬改定では、「患者からみて分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する」「質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・連携を推進する」など4項目の「改定の視点」と共に、「産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担軽減」を緊急課題と位置付け、「ハイリスク妊産婦への対応に係る評価」などの「方向」を定めた。
たたき台では、次期改定の基本方針についても「同様の構成が考えられる」とした上で、方向性の例として、「急性期後の受け皿としての後方病床・在宅療養の機能強化」「回復期リハビリテーション等の機能強化」などを挙げた。

意見交換では、藤原淳委員(日本医師会常任理事)が医療資源の「選択と集中」に触れ、「未だにこの路線の延長線で考えることは本当に国民の視点に立っているとは言えないのではないか」と主張。「『選択と集中』によって医療連携は分断されているのが現場の感覚」と述べた。

一方、逢見直人委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、医療費抑制策の見直しを診療報酬に反映すべきとした上で、「効率化という視点をなくすわけではなく、効率化の余地のあるものについてはしっかりと効率化を図る。そして本当に必要なところをしっかりと評価していく」と述べた。

また、岩村正彦委員(東大大学院法学政治学研究科教授)は、地方分権が進んだことで各都道府県がそれぞれの一般財源で医療提供体制を整備するなど、「医療の供給体制の責任主体のあり方がここ近年大きく変わっている」と指摘。最終的には「診療報酬、都道府県に一般財源化されているもの、補助金をどういう形で配分して組み合わせるか」を考えた上で、各地方の状況に合った医療供給体制を考えていくことになるのではないかとした。

診療報酬によって医療を望む方向に誘導していこうというやり方自体が既に限界なのではないかという声も一部にありますが、それ以前に診療報酬というシステムがマスコミのいう医者の収入などでは全くなく(報酬のうち医師の取り分となるのは10~15%程度)、単に医療機関に払われる報酬に過ぎないということをもう一度見直していかなければならないでしょうね。
勤務医の負担軽減のために診療報酬を改定するというのであれば、例えば完全交替勤務制を導入すれば報酬に色をつけるとか、金銭の話に限っても当該診療科勤務医に対しては報酬の○パーセントを直接支給せよだとか言う話が出てもおかしくないと思うのです。
これは別に金にがめついというだけの話でなく、病院内のヒエラルキーは(他業界でもその傾向はあるのでしょうが)給与体系によって決まっていて、例えば公立病院や大学病院で何故医者が雑用で酷使されるかと言えば「医者なら幾ら働かせてもタダだが、事務には残業代を払わなければならない」と言うロジックがまかり通っているからなんですね。

本気で勤務医の待遇を改善するためには無用な雑用で医者を酷使すると施設にとって損になる、医者にしか出来ないことに専念するほど利益になるという制度を組むのが最も判りやすいやり方ですし、昨今相次ぐ労基署の改善勧告などもある程度の効果はあるでしょう。
ところが実際は相変わらずと言うべきか、どう考えれば負担軽減に結びつくのかいささか説明を要するようなアイデアばかり並んでいるのはどういうことなのでしょうか。
地方の状況にあったなどと言いますが、ことさら昨今の不況と税収減による補助金行政再燃の気配に言及するまでもなく、総務省が中心になって近年ずっと病院再編という名の統廃合政策に関して強力に旗振りをしてきたわけですから、まず政府内で中央集権なのか地方分権なのか意思統一を図って欲しいとも思います。

毎度毎度二階に上げてはハシゴを外す、右の頬を殴ると見せて左の足払いを食らわせるというやり方では、さすがに医療業界の方でも笛を吹かれても踊りにくいと思いますが、ちょうどこの時期に総選挙があったことで話が余計にややこしいことになってきた感があります。
ロハス・メディカルの記事によれば、この27日開催の審議会の席上でもすでに政権移動に絡んで懸念の声が挙がっていたなんて事情が読み取れるのですが、なかなか議論の雰囲気が感じられて面白い話ですので引用させていただきましょう。

「3日後に大きな変化があるが、大丈夫でしょうか?」(2009年8月28日ロハス・メディカル)

 「3日後に大きな変化があることを踏まえて今日審議会をやって、『それがちゃんと継続されるんですかね』なんて私は危ぶみながら見ているが、大丈夫でしょうか」─。(新井裕充)

 8月30日の総選挙を目前に控えた26、27の両日、厚生労働省は社会保障審議会(社保審)の医療部会と医療保険部会を相次いで開催した。
 社保審の両部会は、来年4月に実施する「2010年度診療報酬改定」の方向性(基本方針)を策定するための会議で、医療政策にかかわる有識者が参加している。

 27日の医療保険部会で、樋口恵子委員(高齢社会をよくする女性の会理事長)は「3日後に大きな変化があるということを踏まえて今日審議会をやって、『それがちゃんと継続されるんですかね』なんて私は危ぶみながら見ているが、大丈夫でしょうか。つまり、大前提が変わりつつあるところにいる」と発言。医療費抑制策をベースにした考え方からの転換を図る必要性を訴えた。

 「今まで、医療費ばかりではなく社会保障費抑制ということが、こうした審議会に臨む場合の大前提だったと思う。『社会保障国民会議』で私も委員をさせていただき、そこでよりはっきりと改めて認識したことは、『抑制、抑制』と言われて、確かに医療費の無駄遣いは絶対に良くないとは思うが、日本の医療費は決して諸外国と比べて、対GDP比などで決して高くないどころか、むしろ低いほうに属している。社会保障費全体が低い。これは、負担も低いから仕方がないということも言えるが、負担も低ければ医療費および社会保障費も大変低い」

 26日の医療部会でも同様の意見が出た。海辺陽子委員(癌と共に生きる会副会長)は、同部会の在り方や診療報酬改定に関する意見書を提出した上で、「不採算となっている部門は本当に産科・小児科・救急だけなのか」と問題提起。「どこの科も大変なことになっている。化学療法を受けたくても受けられない『がん難民』がいる。『どこがいけないのか』ということをもう少しきちんと考える必要がある」と求めた。

 厚労省は両部会で、医療・介護体制の将来像を示した「社会保障国民会議」の最終報告を前面に打ち出し、メリハリのある診療報酬改定の必要性を改めて強調。厚労省の医療政策の根幹をなす「医療機能の分化・連携」をさらに推し進める方針を示した。
 保険局医療課の佐藤敏信課長は同報告を「画期的」と賞賛した上で、「選択と集中は病院対診療所という文脈で語られることが多いが、単純にそういう話ではなく、病院の中でも急性期病院とそれ以外の病院との間で役割分担していくことが書かれている」などと解説。診療報酬改定の基本方針については、「平成22 年度改定の基本方針においても(前回と)同様の構成とすることが考えられる」として、これまでの方針を踏襲する意向を示した。

 両部会の意見交換では、厚労省の方針を支持する意見と見直しを求める意見が対立。日本医師会常任理事の中川俊男委員は26日の医療部会で、「資料 4(社会保障国民会議の最終報告)の説明が一番力が入っていた」と皮肉り、「基本方針で『同様の構成』とあるが、3.16%を引き下げた06年度改定の方針を引き継ぐのか」などと批判した。また、日医常任理事の藤原淳委員は27日の医療保険部会で、「選択と集中は、選別と切り捨てだ」と語気を強めた。
 これに対し、対馬忠明委員(健保連専務理事)は診療所の再診料に触れ、「同じサービスなら同じ価格。前回の改定では診療所と病院の再診料を統一できなかった」と発言。他の委員からも、「選択と集中をどのように行うか、10年先を見越して手を打つべき」「保険財政が厳しいため、診療報酬全体を引き上げるような状況にはない」などの意見が相次いだ。

 厚労省は今後、両部会での意見を「主なご意見」の中に随時盛り込みながら基本方針の原案を作成することが予想されるが、気になる点がある。それは、診療報酬改定に直接かかわらない委員の発言がどのように扱われるかということ。また、政権交代後に委員の発言がどのように変化するかということ。
 両部会には、日本医師会、全日本病院協会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本経済団体連合会、健康保険組合連合会など、診療報酬改定を審議する中医協のメンバーが多数参加しているが、社保審の両部会は「診療報酬の支払側と診療側」という対立軸に収まらない。

 27日の医療保険部会では、医師の地域偏在を解消すべきとの意見が複数の委員から出た。山本文男委員(全国町村会会長、福岡県添田町長)は、「医師の派遣がスムーズにいくことを考えること、医師が偏在するような地域が生まれないように考えることが大事」と述べた。
 また、26日の医療部会では、海辺委員が「インセンティブを付けるという悠長なことではなく、(医師不足の地域に)人を送るシステムを考えていかなくてはいけない」と訴えた。海辺委員は、産科や小児科などの重点評価を議論する前に、まず医療提供体制の在り方を検討すべきとの文脈で述べているが、これらの発言が厚労省に"悪用"されないかが気になる。「医療提供体制の構築」という言葉は、「医師の計画配置」を進める上で便利なキーワードになる。

まあ「悪用されないかが気になる」というよりは、この方達はそういう意見が出ましたと言質を取られるために参加しているようなところがあるわけでしょうから、出来上がったものは例によって誰かにとっての美味しい発言だけを切り貼りしたものになってきそうな予感が大ですけれどもね。
しかしこうして専横を極めてきた厚労省ではありますけれども、折からの民主党への政権移動という政界の大変動によって、自らも激震に見舞われかねないという可能性が出てきたことは積悪の報…もとい、頭が痛いところではないでしょうか。
民主党と言えばかねて医療政策において色々と独自のアイデアを出してきながら、政府与党-厚労省というラインによって全くスルーされるということを繰り返してきたわけですが、こういう事態となってきますと今までの意趣返し込みで一気にちゃぶ台を返されるという(厚労省にとっての)危惧が出てきたわけです。
医療政策の面でももちろんなんですが、当の厚労省が真っ先に心配しているのは同省予算の方面なんだそうで、そういえば民主党はかねて省庁の改革なんてことにも熱心だったなと思い出されるところですよね。

厚労省が概算要求、民主党組み替え方針に不安(2009年8月27日産経ニュース)

 舛添要一厚生労働相は27日午前の記者会見で、厚労省の平成22年度予算概算要求の内容を発表した。一般会計総額は21年度予算比で1兆2565億円(5・0%)増の26兆4133億円を要求。特別枠の「経済危機対応等特別措置」には雇用対策など2000億円を計上したが、予算の大幅組み替えを主張する民主党へ政権交代の可能性が高まっており、省内には「もう一度予算編成をしなければならないのか」と不安が広がっている

 22年度は社会保障費の自然増を年2200億円抑制する政府方針が撤回されたため自然増が1兆800億円となり、ここ数年3%台で推移していた前年度予算からの増加割合が5年ぶりに5%台へはね上がった。

 重点施策では、新型インフルエンザ対策で、患者受け入れの施設整備やワクチン買い上げなどに207億円を計上。医師不足対策には498億円を要求し、臨床研修後に救急や産科などの専門研修を選んだ医師に月最大5万円の「研修医手当」を支給するとした。解雇を行わない会社への助成など緊急雇用対策にも3781億円を計上した。

 ただ、民主党への政権交代を視野に新規事業は限定的。民主党は政権交代後、首相直属の「国家戦略局」で予算の骨格を作り直す方針で、厚労省関係でも22年度に「子ども手当」を半額支給(年15万6000円)する考え。2・7兆円の追加財源の確保とともに大幅な予算組み替えは避けられない状況だ。

 舛添氏は会見で、民主党の予算組み替え方針について、「政治家のリーダーシップ(の発揮)はあっていい」と述べ、一定の理解を示した。

いやあ、「省内には「もう一度予算編成をしなければならないのか」と不安が広がっている」なんてしおらしいことを言っていますが、予算どころではなく何度も一からやり直しを現場に強いてきた同省の過去のやり方がやり方だけに、少なくとも医療業界からは同情するような声は全く出てこなさそうですよね。
そうこうしている間にさっそくこんな話も漏れ聞こえてきていますが、医療行政においても近い将来大きな状況の変化も出てくるということでしょうか。

中医協改革は来年1月以降、10年度診療報酬改定は政治主導で-鈴木寛・民主党参院議員(2009年8月31日ロハス・メディカル)

 民主党の鈴木寛参院議員(医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟幹事長)は8月31日、ロハスメディアの取材に対し、2010年度診療報酬改定について「政治家が政治主導で査定し、決めていく」と述べ、来年1月以降に"中医協改革"を本格化させるとの見解を示した。(熊田梨恵)

 鈴木議員は、中医協(中央社会保険医療協議会)の組織自体を改革する時間的余裕はないとして「12月まではいじらない。本格的には1月後半」と述べた。 10年度診療報酬改定は政治主導で内容を査定して決めていくとして、「反対しそうな委員がいれば変えればいい」と、委員の入れ替えも有り得るとの見方を示した

 今後の診療報酬改定の在り方については、「"中医協改革"というのは象徴であって、本来は診療報酬の決定プロセスをどうするかということ。それには実態がきちんと把握されていることが大事で、医療の手間ひま、あるいは技(わざ)の実態調査からまずやらなければいけない。その実態把握がフェアで納得のいくものでなければいけない」と述べた。現在厚労省が実施している医療経済実態調査や社会医療診療行為別調査などについては、「あれだけでは十分ではないということ。調査に恣意性があるから問題で、調査の実行プロセスについて抜本的な話になる」とした。今後、医療現場の実態を把握していく方法については、病院長や学会、医療経済学者や日本医療機能評価機構などの協力が必要とした。同省が審議会や検討会などで実施しているほかの調査についても、同様に見直しが必要との見方を示した。

いやあ、いきなりここまで踏み込みますか。
実のところ慌てているのは厚労省だけではないようで、巻き添えでしばらく国中とんでもない大混乱になるかも知れないですけれども、これはひょっとするとちょっとワクワクしてくるような展開が期待できそうなところではないでしょうか…って、もしやあれですか?これが世に言うメシウマというものでしょうか(苦笑)。
何にしても彼らならきっとやる、必ず素晴らしいネタを提供してくれると確信しつつ事態の推移を見守りたいと思うところです。

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