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2009年8月15日 (土)

にわかに賑やかになってきた新型インフルエンザ関連の話題

夏真っ盛りというこの時期ですが、このところ全国各地から新型インフルエンザの話題が相次いでいます。
そうは言っても既に個別発生などではネタになりませんからいずれも集団発生例で、こうなりますとどれだけ流行しているのかという話ですよね。
こういう時期にインフルエンザがこれだけ猛威をふるうということも異例ですが、そろそろ新型絡みの重傷例も散見され始めているようです。
しかし未だに「院内での発生は考えていなかった」などと、この期に及んでずいぶんとのんびりした方もいらっしゃるのですねえ…

看護師2人が新型インフル 大田原赤十字病院院内感染の可能性 /栃木(2009年8月12日読売新聞)

 大田原赤十字病院(大田原市)は11日、外科病棟の看護師2人が新型インフルエンザに感染したと発表した。外科病棟内ではほかに、医師、看護師、薬剤師ら職員8人と入院患者1人から、簡易検査でA型ウイルスの陽性反応が確認されており、院内感染とみられる。症状は軽く、いずれも快方に向かっている。
(略)
 市役所で記者会見した同病院の宮原保之院長は、「院内での発生は考えていなかった。数日で感染が広がり、足元をすくわれたようだ。感染が拡大しないよう、封じ込めに力を注ぎたい」と話した。

青森で新型インフル12人感染か/青森(2009年8月13日東奥日報)

 青森市は12日、同市浪岡の知的障害者更生施設で新型インフルエンザに感染したとみられる患者数が7日以降、確定者を含めて12人に上り、集団発生したと発表した。市保健所は、施設利用者とその家族以外の接触者が少ないことから、感染拡大の可能性は低いとみている。
(略)
 利用者の家族で80代の患者が市内の病院に入院しているが、容体は安定している。重症化が懸念される知的障害者は自宅療養で、快方に向かっているという。施設は16日まで休業する。
 市保健所保健予防課の石岡義文課長は「感染源の特定でなく、感染の広がりを防ぐことに重点を移す。利用者と家族には外出を自粛するよう求めた」と話した。

笠間の障害者施設 12人が感染の疑い 新型インフル/茨城(2009年8月13日東京新聞)

 県は十二日、笠間市の障害者支援施設「佐白の館」で、入所者計十二人が新型インフルエンザに集団感染した疑いがあると発表した。
 県によると、集団感染の可能性があるのは十九~五十七歳の男女。十二人は施設で生活していて七日以降、感染が広がり十日に詳細(PCR)検査して感染を確認した。
 同施設は入所施設のため、休業はせず感染した人を別室に隔離して拡大を防ぐという。 (沢田佳孝)

看護師が新型インフル感染…院内感染の可能性も /福島(2009年8月12日スポーツ報知)

 福島県いわき市などは12日、社団医療法人養生会「かしま病院」(同市)の20代の女性看護師が新型インフルエンザに感染したほか、70代の男性入院患者と20代~40代の看護師ら職員11人の計12人に感染の疑いがあると発表した。病院は院内感染した可能性が高いとみているが、いずれも回復に向かっている。
(略)

【新型インフル】重度障害の男性が感染 大阪の施設/大阪(2009年8月13日産経新聞)

 大阪府は13日、同府枚方市の重症心身障害児施設「枚方療育園」に入所する重度障害者の男性(29)が新型インフルエンザに感染し、人工呼吸器を使用していると発表した。容体は回復に向かっており、命に別条はないという。
 大阪府や施設によると、男性は脳性まひで慢性の呼吸障害がある。以前から呼吸管理のため呼吸器を使うことがあり、同園は「感染によって症状が重篤化したとはみていない」としている。
 男性は10日に39.2度の発熱があり呼吸器を装着。12日に新型感染が確認された。13日に熱は37度に下がったが、呼吸器は使用している。
 この施設では入所者と職員ら計7人が新型に感染しており、発症者を隔離するなどの措置を取った。

しかし大阪と言えば先日の呼吸器装着に至った小児の症例でも大阪市健康福祉局の発表でわざわざ新型インフルエンザによる重症患者ではないなどと断り書きをしていたことをお伝えしたところですが、あの界隈では新型インフルエンザ感染が重篤化すると困る事情でもあるのでしょうか?
それはともかくとして、関西圏では今や高校野球の真っ盛りで、あちらでも選手が感染したなどという事例が話題になっているようですが、季節外れの感染が再拡大しているといっても専門家に言わせれば「まだまだ」だということなんですね。

高校球児にも拡大 新型インフル感染者増のなぜ(2009年8月13日産経新聞)

 夏休みに入っても、新型インフルエンザの国内感染者増加に歯止めがかからない。国が自治体に全感染者の報告を求めることをやめた7月24日以降も、サマーキャンプや部活動などで集団感染が相次いで報告されている。通常なら夏には増加しないはずのインフルエンザ。専門家らは「冬を考えると、いまの状況は『流行』にはあたらない」と警告している。

 一般にインフルエンザウイルスは湿気や高温に弱いとされる。例年の季節性インフルの流行も、1~2月ごろにピークを迎え、暖かくなる5月の連休明けには収束している。

 しかし、新型インフルは5月上旬に国内初の感染者が報告されて以降、兵庫、大阪両府県を中心に感染が拡大。同月下旬にいったん減少したものの、6月に入ると再び増加に転じた

 7月24日以降は政府の方針転換で全数把握をやめたため、正確な感染者数は不明だが、国内感染は6000人に迫っていると推測されている。学校が夏休みに入ってからも、高校野球で甲子園出場を決めた天理高校(奈良県)、大阪市主催のサマーキャンプ、早稲田大応援部……。全国高校総合体育大会(インターハイ)では、岡山、埼玉、沖縄の女子バレーボール部代表が、集団感染のため欠場を余儀なくされた。

 真夏にもかかわらず、感染者の報告が減らないのはなぜか――。国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長は「増えているように見えるだけで、一般的なインフルエンザの広がり方を考えると、現在のような1週間で数千人という規模の増加は増えているうちに入らない」と指摘する。

 季節性インフルでもピーク時の感染者は1週間に100万人を超す。多くの人が免疫を持たない新型では感染者はさらに増えると想定され、「本格的な流行時と比較したら、現在の感染拡大はわずかな変化にすぎない」(岡部センター長)。北里大医学部の和田耕治助教(公衆衛生)も「現状は火種がくすぶりながら全国に広がっている状態。感染者が急増するのは秋以降だろう」と分析する。

 新型が弱毒性であることもあり、厚労省も「現状はまだ大騒ぎする事態ではない」としているが、油断は禁物だ。感染者が増えれば、それだけ重症化しやすい妊婦やぜんそくなどの基礎疾患を持つ人に感染が及ぶ可能性が高まる。11日には、茨城県の男児(4)がインフルエンザ脳症を発症し、意識不明におちいっている。

 感染研が全国5000カ所の医療機関で行っているインフルエンザの定点観測で、感染者の報告数が4週連続で増加していることも気がかりだ。7月5 日までの1週間では、医療機関1カ所当たりの感染報告数は0.16人だったが、以降4週連続で増え続け、8月2日までの1週間では0.56人にまで増加。その大半が新型とみられている。

 和田助教は「本格的な流行となれば国民の10人に2人が感染し自宅待機する。企業などはそうした事態でも、通常業務を遂行できるよう備えておくことが大切だ」と呼びかけている。

要するにこの程度ではまだまだ序の口という話なんですが、通常この時期にはあまり念頭に置かないだろうインフルエンザという可能性も疑いつつ、臨床家の先生方は日常診療に当たらなければならないのは確かでしょうね。
しかし世間ではひと頃のパニックを通り過ぎて沈静化してきているのかと思っていましたが、どうも実際に患者が増えてくるとやはり医療現場もオーバーフローしてくるものらしく、これでは本物の大流行に入った時にはどうなるのかと心配されるところです。
本当の大流行になってくるとそうそう厳密な対策も現実問題取れなくなるんじゃないかと思いますが、以前から小児科などでやっているような来院の段階から患者を分けるといったこまめな対策を一般外来にも取り入れていくには良い機会なのかも知れません。

インフル患者殺到 県内医療機関/救急3~4時間待ち /沖縄(2009年08月11日沖縄タイムス)

 県がインフルエンザ注意報を発令するなど再び、インフルエンザが県内で流行している。医療機関でも発熱などによる外来者数やインフルエンザの患者が増加。9日には救急外来のある医療機関には、1日で約200人が訪れ、対応に追われた。

 南風原町にある県立南部医療センター・こども医療センターには、8、9の2日間で発熱などの症状を訴える外来患者329人が訪れた。土日で一般病院の休みと重なったこともあるが待ち時間は3、4時間にもなった。週明けの10日も午後4時ごろまで68人が診察に訪れた。

 午後から仕事を休み、5カ月になる長男の診察に訪れた母親(27)は、「診察から薬の受け取りまで約2時間かかった。保育園でも流行しており心配したが、インフルエンザではなかった」とホッとした様子。

 同病院の上原幸祐事務部長は「救急外来で対応しているが、あまりにも多い。土日の対応改善を検討している」と話す。

 那覇市の赤十字病院でも9日までの1週間で95人の外来があったという。対策として待合室は、インフルエンザとみられる患者とそれ以外の席を分けるなど配慮している。担当者は「この時期、こんなに発生したことはなかった」と驚く。

 県医務課のまとめでは7月27日~8月2日の間、684人のインフルエンザ患者が発生。うち500人がA型で新型の可能性が高いという。同課の糸数公班長は「保育園でも広がっており、仕事にも影響する。学校が始まるとさらに拡大する可能性がある」と指摘。うがい・手洗いの徹底に加え、医療機関で受診する際は、マスク着用を呼び掛けた。

沖縄のような小さな県でたかだか一週間に500人からの新型患者が出ているとすれば、どう考えても全国の患者が6000人なんて水準にとどまるはずもないわけですが、そこは突っ込んではいけないところなんでしょうね(苦笑)。
ところでこうした状況になると当然のことながら重症化する症例も出てくるわけですが、先日の大阪の初重症化症例報告以後、各地でぽつぽつとそうした報告が出てくるようになりました。
確定診断に積極的に回さないという話になった以上、どこかの病院などで実際にはそうと診断されないまま重症化している患者もいるんじゃないかと思うのですが、とりあえず今のところは小児症例が中心というのはやはり感染症慣れした小児科の先生の見立てが優れているということなのでしょうか。

新型インフル、茨城の4歳児が急性脳症で重症/茨城(2009年8月11日読売新聞)

 茨城県は11日、新型インフルエンザ感染が確認された県南部の男児(4)が、急性脳症(インフルエンザ脳症)を発症し、集中治療室(ICU)で治療を受けていると発表した。

 呼吸状態が不安定で、人工呼吸器を装着しているという。厚生労働省によると、新型インフルエンザでこうした重症患者の確認は初めて。

 県によると、男児は9日朝から、せきなどの症状があり、10日朝には38・5度の発熱があった。午後になって、けいれん発作や意識障害が出たため、救急車で病院に搬送された。11日の検査結果で、新型インフルエンザ陽性と確定され、ICUで治療中。男児や家族に渡航歴はないという。

【新型インフル】宮崎で中2がインフルエンザ脳症/宮崎(2009年8月14日産経新聞)

 宮崎市は14日、市内の中学2年の男子生徒(14)が新型インフルエンザに感染し、インフルエンザ脳症になったと発表した。入院中だが、回復傾向という。

 市によると、男子生徒は11日に鼻水やせきなどが出て、翌日近くの診療所で受診。風邪薬を処方されたが、13日早朝に40度台の発熱とけいれん症状が出たため、別の病院に入院した。新型インフルエンザと判明し、治療薬リレンザを服用した。

 既にけいれんは治まり、熱も38度台に下がったという。

新型インフル、肺炎の男児が重症化 人工呼吸器装着/福島(2009年8月13日朝日新聞)

 関東地方から福島県内に帰省中に肺炎と診断された小学生男児が新型インフルエンザに感染していることが確認されたと、同県が13日、発表した。男児は重症で自分で呼吸できず、人工呼吸器を装着して治療中という。新型インフルに感染した場合にリスクが高くなるぜんそくなどの持病があるかは不明。

 県医療看護課によると、男児は9日、家族と一緒に県内に帰省。11日午後に発熱し、インフルエンザの簡易検査を受けたが陰性だった。再び発熱したため別の医療機関を受診して肺炎と診断され、同日夜にそのまま入院した。

 12日に詳しい検査で新型インフルエンザへの感染が判明。同日夜、呼吸が困難になるなど症状が悪化したため、人工呼吸器を使った治療を開始した。

非常におもしろいなと思うのは、公式の推計でも少なくとも数千、実数では恐らく万のオーダーに達するであろう患者が既に出ているにも関わらず、未だ新型インフルエンザによる死亡例というものの報告がなく、重傷例ですらこの程度にとどまっているということです。
北米での例を考えるとこれだけの感染者が出ているならばもっと数多くの重症者が出ていてしかるべきだし、死者の何人かも出ていてもおかしくないんですが、これは日本における感染事情が特殊であるということなのか、それとも拾い切れていない症例が多数隠れているということなのか、果たしてどちらなのでしょうかね?

新型に関して言えば初期には一見軽症に見えても突然重症化する症例があるということが言われていますから、「とりあえずタミフル」という日本の医療事情が案外重症化防止に奏功しているのではないかという可能性もあるでしょう。
一方で典型的なインフルエンザ様症状を呈する患者はむしろ少数派であるとも言いますから、新型と知られないまま重症化、あるいは死亡にまで至っている患者が全国あちこちに実はいるのかも知れませんよね。

幸いにも重症化する症例について言えば発症から日数が経っていても抗ウイルス薬は有効であると言うことですから、おかしな経過を辿る症例についてはまず疑ってみるということが必要になってくるのかも知れません。
問題はしかし前述の報道などでも見受けられるように、疑って新型と確定診断をしたところであまりメリットがないばかりか、むしろデメリットが多すぎるという現場が現状では結構沢山ありそうなことなんですが、このあたりにも適切なインセンティブの設定というものが今後必要になってくるところなんでしょうね。

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コメント

とうとう新型インフルエンザによる死亡例がでましたね。

私は東京の民間病院で勤務医をしておりますが,8月の初めくらいから
一日5-10人程度A型インフルエンザがでております。状況から考えると
すべて新型インフルエンザと思います。9月になり学校が始まると爆発的に
増えるだろうなーと思っておりますが,マスコミは全く報道していませんねー。

投稿: ドロッポ透析医 | 2009年8月15日 (土) 21時44分

というか
9月からそのまま新学期を初めていいのでしょうか


投稿: 京都の小児科医 | 2009年8月16日 (日) 17時19分

難しいことは抜きにして、最近感冒様症状の患者が増えてきているんじゃないかというのが多くの臨床家の先生方の実感だと思います。
早ければこの9月にも新型対応のワクチンが出るという話でしたが、こうなってきますと果たして本当に流行に間に合うのかという心配が出てくるところですかね。

投稿: 管理人nobu | 2009年8月17日 (月) 12時36分

とうとう私もインフルにかかってしまったようです。
全身倦怠感と消化器症状だけでしたが,早速タミフル
を内服し,軽快しました。ただし人が足りないため,
勤務は発症初日に早退したのみで,翌日からは出勤し
隔離状態で指示のみ書いてます。^^;)

投稿: ドロッポ透析医 | 2009年8月19日 (水) 09時11分

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