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2009年8月14日 (金)

今どき猿でも反省するという時代に

本日まずは、最近ちょっとケッサクだった話を紹介しておきましょう。

洛書き帳:「逆取材させてください」… /京都(2009年8月8日毎日新聞)

 「逆取材させてください」。先日、インタビューした映画監督からそう言われ、写真を撮られました。一瞬、意味が分からず「ボーッ」としてしまいましたが、詳しく話を聞いたところ、取材を受けた各社の記者をカメラに収めているのだそうです▼写真を撮られる瞬間、少しだけ心がざわつきました。それは撮られることに抵抗があった訳ではなく、私が仕事でさまざまな人へカメラを向けることで、相手に多大な精神的負担をかけていたかもしれないと考えたからです▼自分が被写体になり、そのことに気づくことができました。そして、相手にきちんと配慮した上で、取材をしようと思いを新たにしました。【小川信】

いやあ、逆取材とは何とも角の立たない言い方でGJですね。
それは今どき毎日新聞あたりに取材されるなんて言われたら、証拠の写真くらいは残しておかないとトンでもないことになりますよホント。

それはともかく、先日は例の台湾問題でNHKを8300人が訴えたという話をご紹介しましたが、その後さらに問題は拡大しているようです。

パイワン人も提訴、原告1万人突破 NHK台湾特集訴訟(2009年8月12日産経新聞)

 NHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」に出演した台湾人などから番組内容に歪曲(わいきょく)があったと批判が相次いでいる問題で、出演した台湾少数民族のパイワン人らが番組で、民族の誇りを傷付けられたとして、NHKを相手取った集団訴訟に原告として加わることが11日、分かった。原告数は提訴後も増え続け、1万人を突破した。

 訴訟に参加するのは、台湾南部のクスクス村のパイワン人出演者ら4人。番組では、1910年に開催された日英博覧会の写真に「人間動物園」の文字をかぶせ、《イギリスやフランスは博覧会などで植民地の人々を盛んに見せ物にしていました。人を展示する「人間動物園」と呼ばれました》などとするナレーションを、パイワン人へのインタビューとともに放送。「日本政府がパイワン人の実演を『人間動物園』と呼んだことはない」(訴状)と批判が出ていた。

 関係者によると、訴訟に加わるパイワン人4人のうち、2人は番組に出演。インタビューの際、「人間動物園」に関する十分な説明を受けておらず、単に写真を見て懐かしいと涙ながらに語ったシーンが歪曲されて伝えられたとしている。残る2人のうち1人は親戚(しんせき)が日英博覧会に実際に参加して、それが今でも自分たちの誇りであるにもかかわらずNHKに「人間動物園」とおとしめられ、名誉を傷付けられたとしている。もう1人はパイワン人の地元名士となる元郷長で、番組でパイワン人の名誉と誇りを傷付けられた-としている。

これはしかし、直接の当事者が否定してしまった場合に裁判所がどういう事実認定を行うのか興味がわくところですね。
これだけの国際問題になっているわけですから、法廷においては是非とも詳細な事情を明らかにしていただきたいと願っている人も多いのではないでしょうか。

さて、少し古い話になりましたが、日テレでこういう問題があったことをご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

「バンキシャ!」でウソ証言 県が建設業者の男を告訴(2009年3月2日サンスポ)

 昨年11月に放送された日本テレビ系の番組「真相報道 バンキシャ!」で、岐阜県の裏金問題をめぐる建設業者の男の証言がウソだったことが判明。同局関係者らが県側に謝罪していたことが1日、分かった。県は同日、偽計業務妨害罪で男を県警に告訴したと発表。また、同番組は同日の放送で事実関係や経緯を説明し、誤りがあったことを公にした。

記事本文の続き 日本テレビの人気アナウンサーだった福澤朗(あきら)氏(45)と女優の菊川怜(31)をキャスターに据え、2002年に始まった同局系の看板番組で不祥事が起きた。

 岐阜県や同局によると、問題があったのは昨年11月23日に放映された「バンキシャ!」の自治体裏金問題特集。出演した建設業者の男が、架空工事による県土木事務所の裏金づくりに協力し、県職員に200万円を送金したなどと証言した。

 岐阜県では2006年、約17億円に上る県庁の裏金問題が発覚。懲戒免職の8人を含め、職員約4400人が処分されたほか、内部調査担当の総務部長や懲戒免職となった職員が自殺するなど、県全体が激震した。

 「裏金づくりがまだ行われていることが事実なら、重大な問題と受け止めた」と県秘書広報課総括監の武藤鉄広氏(56)。そこで県は、2008年度発注の公共工事などで不正経理の有無を独自に調査。その結果、建設業者の証言内容が虚偽だったと断定した。

 県によると、2月18日付で日本テレビ側に報道内容の確認と謝罪報道を要請。翌19日には、建設業者を偽計業務妨害罪で県警に告訴した。日本テレビと地元中京テレビの両局関係者は27日に県庁を訪れ、放送に誤りがあったと謝罪したという。

 「バンキシャ!」は1日の放送で、福澤キャスターが経緯を説明。建設業者に再取材したところ、裏金づくりの証拠とした銀行の送金記録は改ざんしたもので、『岐阜県庁側に裏金を送金した事実はなかった』と証言を翻したと釈明。誤報だったことを認めて「視聴者や岐阜県庁、岐阜県議会の皆さんに大変ご迷惑をお掛けしました」と頭を下げた。

 同番組によると、建設業者は放送の2カ月後、別の岐阜県内の公金横領事件の共犯として逮捕、起訴されたという。

さて、この件について先日判決が出たということなのですね。

日テレ「バンキシャ!」虚偽証言被告に有罪 岐阜地裁多治見支部(2009年7月23日産経新聞)

 日本テレビの報道番組「真相報道バンキシャ!」の取材に対し、岐阜県の裏金をめぐる虚偽の証言をして県の業務を妨害したなどとして業務妨害と詐欺の罪に問われた同県中津川市、元建設会社役員蒲保広被告(58)に、岐阜地裁多治見支部(溝口理佳裁判官)は23日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。

 検察側は「被告は報酬欲しさに取材を受け、騒動が起きることを十分認識。県の業務を妨げ、県民が受けるべき行政サービスが行われなかった」と主張。弁護側は行政サービスが提供されなかったというのは抽象的として酌量を求めてきた。

 論告によると、蒲被告は昨年11月、「県の土木事務所は裏金づくりを行っている」などと番組担当者に架空の裏金問題を証言。虚偽内容を報じさせた。また昨年までに、中津川市の元職員と共謀、市から請け負った下水道工事の代金を水増し請求するなどして、公金をだまし取ったとされる。

この件に関しては日テレ社長が引責辞任するという騒動に発展しましたが、調べれば調べるほど興味深い事実が明らかになってくるというなかなか面白い事件です。
嘘の証言をしたという件の建設会社役員はネットを通じて取材協力者として応募してきたというのですが、同じ人間がテレビ朝日にも別件で登場していたばかりか、過去にも日テレに別件で出ていたというのですから、経歴を見てみれば明らかに「プロ証言者」ですよね。
こういうプロが存在していること自体に普段からヤラセは当たり前という番組作りをしていて感覚が麻痺しているのかも知れませんが、そもそも全くチェック体制すら存在していなかったという時点で何をもって真実と信ずるのかという姿勢が問われるところではないでしょうか。

日テレ虚偽報道、ネット依存の情報収集が裏目に(2009年3月24日産経新聞)

 日本テレビの報道番組「真相報道バンキシャ!」が虚偽の証言に基づいて岐阜県に裏金があると報じた問題で24日、日テレの社内調査による中間報告書が公表され、虚偽証言をした元建設会社役員、蒲(がま)保広容疑者(58)=偽計業務妨害の疑いで逮捕=が4年前にも別のテーマで同番組に出演していたことが分かった。2回ともインターネットの取材協力者募集サイトを通じて出演していたが、番組スタッフは過去の応募歴を確認しておらず、ずさんな取材過程が浮き彫りになった。

 報告書や同局によると、蒲容疑者は平成17年3月の同番組で、バイアグラ購入者の1人として座談会形式で出演し、日テレ側は出演費1万円(税別)と交通費を支払った。報告書は「過去の応募歴を確認していれば、証言の信用性を判断する材料になった」と指摘した。

 今回の報道では、番組スタッフがインターネットのサイトに不正経理の情報提供を書き込んでいた。久保伸太郎相談役=社長を引責辞任=は同日の会見で、「裏金作りにかかわった人をネットで募集しており、情報ツールの使い方を明らかに誤った」「2回目と分かっていたら、どういう人物か確認できた。情報の蓄積と活用がなっていなかった」と苦渋をにじませた。

 証言者への出演費について久保相談役は「テレビでは全身を映すリスクを負わせる側面もある」と説明し、一定の理解を求めた。ただ、同局はサイトで情報を募集する際、謝礼を「応相談」としており、報告書は「謝礼の可能性を示した取材は、報道倫理の観点から大きな問題」とした。
(略)

自転車操業、現場は「手足」…バンキシャ!虚報を糾弾(2009年7月30日産経新聞)

 「いろいろ取材しているようだが、実際はほとんど一歩も根拠の収集に向かわなかった」。日本テレビ「バンキシャ!」の虚偽報道について、BPO検証委が30日に示した勧告は、安易な取材方法についてだけでなく、放送日程に追われる“自転車操業”の実態や取材者の責任感の欠如など、報道番組のありようを厳しく批判した。

 「1週間では十分な取材ができないテーマでも、何とかその週に放送することが求められていた」「放送日に合わせて無理やり取材を間に合わせる」…。勧告は、虚報の根本的な原因として、取材の過密スケジュールを挙げた。

 問題となった裏金報道の場合、情報収集を始めたのが昨年11月3日。当初の放送予定は6日後の9日だったという。結局、放送は23日となったが、その2週間も、「情報源の特定につながる」などと、情報提供者以外の裏付け取材には動かなかった。勧告は「真実と信じるに足る根拠」を取材する意志がみられなかった、と糾弾した。

 取材チームの判断力や責任感の欠如も指摘された。勧告によると、現場に赴いた番組スタッフは、「幹部スタッフが取り上げると決めたからには、情報提供者の信用性はすでに判断されている」と思いこんでいたという。取材現場に真偽の判断が委ねられていなかったことも、虚報の一因になったとみられる。

 東京工科大学の碓井広義教授(メディア論)は「問題の背景について勧告は、日テレ社員が『頭脳』で外部スタッフが『手足』という役割分担のせいだったかもしれないと表現している。幹部スタッフである『頭脳』も、現場で動いていれば問題は起きなかったということだろう」と指摘する。
(略)
 一方、記者会見した検証委の服部孝章委員は「決してバンキシャだけの特殊な事例ではない。これまで委員会が扱ったいくつもの事例に同種の傾向がみられる」と述べ、報道機関が真摯(しんし)に問題を受け止めるべきだと強調した。
(略)

ま、誰もここだけの特殊な問題だなどとは思っていないと思いますけれどもね。
さて、記事中にもありますように放送倫理・番組向上機構(BPO)から勧告を受けたと言うものの、民放連の方では結局日テレ側に何らの処分も下さないと決めたそうで、普段から他業界にさんざん自浄だの何だのと大きなことを言っているわりにはずいぶんと身内に甘いんだなとも思われるところではあります。
しかしそれ以上に問題なのが当事者の日テレで、一応は反省の体を示して検証番組をやりますということにしているらしいのですが、その実態というのがこんな感じらしいんですね。

深夜のアノ枠で本当にいいのか?検証「バンキシャ」(2009年8月3日ZAKZAK)

 「真相報道バンキシャ!」の虚偽証言報道をめぐり、BPO(放送倫理・番組向上機構)から、最も重い「勧告」を受けた日本テレビ。肝心の検証番組は、最も目立たない日曜深夜に放送することを決めた。多くのサラリーマンが翌朝に出勤を控えた時間帯で、いったい誰が見るの?

 問題の番組は昨年11月20日に放送。「岐阜県の土木事務所が裏金づくりをしている」などと元建設会社役員が匿名で証言したが、後に虚偽の証言だったことが分かった。

 BPOは、“裏金口座”の届け出住所が証言者の自宅住所と同じことに取材スタッフが気付いていたのにもかかわらず、証言を虚偽と疑わなかった点を問題視。虚偽を見破る最大のチャンスを逃し、証言を鵜呑みにして放送した点を非難した。

 さらに、福澤朗キャスターが番組冒頭で1枚のキャッシュカードを手にして「『バンキシャ』のスクープです」と切り出し、「ある自治体の裏金が入っている口座のキャッシュカードの実物です」と誇らしげにアピールした演出も問題視。

 キャッシュカードが番組の中で一度も登場することがないことから、「何の意味もない」と断じ、「番組制作上の安直さ、粗雑さが現れている」と厳しく指摘した。

 “裏金口座”の届け出住所をめぐる問題を日テレはスタッフへのヒアリング調査で把握していたが、これまで公表していなかった。日テレの戸垣直コンプライアンス推進室長は「取捨選択の結果、報告しませんでした。隠蔽の意図はありません」と釈明した。

 キャッシュカードを使った演出については、細川知正社長は「ご指摘のとおりだと思う」と非を認めた。

 日テレでは、8月16日午後6時放送の「バンキシャ!」で検証内容をまとめたものを放送し、さらに同日深夜0時50分から、検証特番を全国ネットで放送する。

 放送業界への信頼を揺るがす前代未聞の不祥事の検証特番を深夜に放送することについて、報道陣から疑問の声があがったが、細川社長は「普段から硬派なドキュメンタリーを放送している枠。ふさわしくないとは考えていない」と語った。果たして視聴者に誠意は伝わるか-。

蛙の面に何とやらと言いますが、いったい本当に反省する気があるんですかね、この人達は?
あちらこちらでマスコミにやられたと被害の声が絶えない昨今、こういう人たちに取材される立場ともなればそれこそ録音録画も完備でやっておかなければ、後でどんなことになるやらわかりませんですよ。

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