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2009年8月 6日 (木)

人手不足への処方箋は

本日まずはこちら、時間外救急の患者が減ってきたという話題をご紹介しましょう。

夜間・休日患者、2割減 広島県内の小児救急3病院/広島(2009年7月16日中国新聞)

▽軽症来院自粛の傾向

 広島県内の小児救急医療拠点病院3施設を夜間や休日に利用する患者が減っている。2008年度の患者数はピーク時より約2割減った。病院側は、保護者の仕事の都合で夜間に来院する「コンビニ受診」の自粛などが理由とみている。

 舟入病院(広島市中区)の時間外患者数は04年度が5万2257人でピークだった。07年度に5万人台を割り、減少傾向が顕著に。08年度は4万1603人で、04年度より20・4%減った。兵藤純夫副院長は「相次ぐ小児科の閉鎖などで医師不足を知った保護者が、軽症での来院を控えてくれた結果ではないか」とみる。

 同じく拠点病院のJA尾道総合病院(尾道市)は08年度が8268人と、ピークの06年度を20・3%下回った。三次中央病院(三次市)は6571人で05年度から26・1%減った。

 三次中央病院の小野厚・小児科医長は「当初はコンビニ感覚で来る人もいたが、市の広報などで啓発を続けた効果が出た」とみる。

 舟入病院は08年度も一晩当たり81・1人が受診。医師3、4人が交代で診療するが、勤務時間を大幅に超えるケースも目立つという。兵藤副院長は「患者数は減ったが、態勢が苦しい状態はまだ改善されていない」と説明する。

 広島市の育児支援グループ「子育ておたがいさま~ズ」の金子留里代表(48)は「核家族や共働きが増えて、時間外診療に頼らざるを得ない保護者も多い。患者に時間外診療の自粛を呼び掛けるばかりでなく、診療時間の延長なども考えてほしい」と求めている。(衣川圭)

このような記事を見ますと医師不足問題もようやく一般社会に滲透してきたようにも思いますが、普段病院と縁のない人ほどなかなか実感が湧かないということもあるようです。
しかし医療はもやは医療業界内部でのみ支えられるものではなく、住民も単なる医療の利用者ではなく医療を支えるものとしての役割が期待されてきている時代であって、他人任せで「医者を増やせ。時間外診療を充実しろ」などと叫んでいるばかりでは身近な医療を維持することなど出来ません。
近ごろでは市民を対象に勉強会のようなことを始めている地域も増えてきているようですが、こうした住民自身のサポートが地域医療の延命につながってくるということであれば回り回って利用者の利益として還元できるという話ですよね。

市民らが医師不足の実態学ぶ /島根(2009年7月28日中国新聞)

 「医療問題と地域医療を考える市民の集い」が26日、江津市の石央地場産業振興センターであった。約300人が集まり、シンポジウムで行政担当者や病院幹部らから医師不足の実態と市民の役割などを学んだ。市議らの呼びかけでつくった実行委(委員長・市連合自治協議会の瀬頭竜平副会長)が初めて開いた。

 竹内俊介浜田保健所長は、病院勤務医が診療説明や書類作成業務に追われ、時間外受診の増加で労働負荷が増している実情を報告。小笠原隆・市民生部長も、医師不足のため市の法定小児健診に島根大から応援を仰いでいる窮状を説明した。県市の対策には地元着任予定の医学生、看護学生向けの県市の奨学金新設もあり、2人は「制度PRで志願者増を」と呼びかけた。

 市内唯一の総合病院済生会江津総合病院の西尾聡事務部長は、17診療科のうち脳神経外科など5科に常勤医がおらず、4月には看護師不足で療養病棟を閉鎖したことをあらためて説明。近く医師1人採用にメドが立ったことも報告した。

島根もいわゆる僻地が広大という土地柄ですから、地域医療の維持ということに関してはなかなか苦労が絶えないようですね。
いずれにしても医療崩壊という現象がここまで進行した段階で、ようやく住民自体に意識改革の兆しが見られるようになったのは良い傾向ですよね。
もちろん住民との二人三脚でうまくいったという兵庫県丹波市のような事例は例外中の例外であるのも事実で、大部分は言っている側からこうしてオチがついてしまうという哀しい状況にあるのも確かではあるのですが…

外科医3人全員退職へ 大田市立病院、救急機能低下を懸念 /島根(2009年8月5日中国新聞)

 島根県の石見地方東部の拠点病院である大田市立病院(339床)で、3人の外科医師が全員、来春までに退職することが4日、分かった。現時点で補充見通しはなく、人口4万人の市で唯一の救急病院としての機能低下も危ぶまれている

 3人を派遣してきた広島大医学部の第1外科が、所属する医師の激減などに伴い、引き揚げの意向を伝えた。1人は9月末、残る2人も来年3月末で退職する予定だ。

 同病院の外科の常勤医師はピーク時の2003年度、6人いた。だが、派遣元の広島大第1外科の入局者が年平均10人だったのが、ここ4年は同2・5人と激減。開業や内科転向も相次ぎ、計120人いた医局員が5年で約20人減り、派遣が難しくなったという。

 背景には、新卒医師が研修先を自由に選べるようになった04年度からの臨床研修制度がある。東京の大病院などが人気の半面、地方の大学や、外科や産婦人科など勤務のハードな診療科では志望者が減った。

 さらに大田市立病院では、内視鏡検査のできる専門医が不在となった08年度から人間ドックも中止し、手術の必要な患者が減った事情もある。第1外科の末田泰二郎教授は「医局員が減る中、腕を磨けない病院に若い医師を派遣する余裕はない」と説明する。

 竹腰創一市長は「救急医療もきわめて厳しくなる。一自治体の努力では限界だ」とし、「松江や出雲に偏在する外科医を石見にも回してもらうよう大学や県に働き掛けるとともに、国にも臨床研修制度の根本的な見直しを求めていく」と話している。(馬場洋太)

ま、典型的な崩壊のドミノという感じでしょうか…ご愁傷様です。
こんな風に見ていきますと今の時代スタッフが足りている施設なんてあるのか?とも思えるほどなんですが、意外にも最近こんな記事が出ていたのをご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

医師、看護師とも「充足」の病院は8割強(2009年8月3日CBニュース)

 厚生労働省はこのほど、2007年度の医療法第25条に基づく立ち入り検査の結果を公表した。それによると、医療法に規定された医師と看護師の標準数を共に充足している病院は85.4%で、前年度から2.1ポイント増加した。

 これは、病院が医療法で規定された人員や構造設備を持ち、それを適正に管理しているかについて検査するもので、今回は全国の8268病院を対象に実施した。

 それによると、医療法に規定された医師の標準数を満たしている病院は86.9%で、前年度から1.9ポイント増加した。
 地域別に見ると、「北海道・東北」70.6%、「関東」91.7%、「北陸・甲信越」82.1%、「東海」91.0%、「近畿」95.3%、「中国」87.0%、「四国」84.4%、「九州」88.9%となっており、全地域で前年度よりも増加した。
 病床規模別では、200床未満の病院で80%台だったのに対し、200床以上では90%を超えており、特に500床以上では97.7%に上っている

 また、看護師(准看護師を含む)については98.8%で、前年度から0.3ポイント増加した。
 地域別に見ると、「北海道・東北」98.4%、「関東」97.5%、「北陸・甲信越」98.3%、「東海」98.8%、「近畿」98.9%、「中国」99.6%、「四国」99.8%、「九州」99.7%で、「北陸・甲信越」を除き軒並み前年度よりも増加した。
 病床規模別では、「50-99床」「200-299床」が98.3%で最も低かった一方、「500床以上」は100%だった。

 また、医師と看護師の充足率が共に100%以上の病院は85.4%で、前年度から2.1ポイント増加した。一方、共に100%未満だった病院は0.4%だった。
 病床規模別では、共に100%以上の病院は、「99床以下」81.1%、「100-199床」85.6%、「200-299床」88.0%、「300-399床」90.2%、「400-499床」89.3%、「500床以上」97.5%だった。

 また、調査項目全体で最も適合率の低い項目は「医師数」(86.9%)で、「職員の健康管理」(87.1%)、「患者の相談に応じる体制」(92.6%)、「薬剤師数」「安全管理の指針整備」(共に92.8%)も低かった。

え?8割が医師充足なんて嘘だろ?と思ってよく見ましたら、「医療法の規定を充足する病院」ですか…
まあ何て言いますか、記事中にも中小病院ほど充足率が低いとあるように、確かに法定の医師定数というものも僻地病院の「足切りライン」やらで未だにそれなりに活用されているのも確かですけどね。
しかし今どきまともな急性期の病院における医師定数なんてものは、通勤ラッシュの朝の駅でホームに積み残しが出るかどうか程度には医師充足の目安になるというシロモノですからねえ…
この程度の最低限ラインも守れない病院というものは今の時代、もはや要求される最低限度のレベルすらクリアしていないとも言えるわけですが、実際には大学出研究やっているだけの週一非常勤まで勘定に入れた「なんちゃって定数充足病院」を厳しく取り締まってしまうと地域医療は大騒ぎになってしまうというのも現実なんだろうと思います。

前振りが長くなりましたが今日の本題はここからでして、要するに今の時代当たり前のことを当たり前にやっているだけでは田舎病院が優秀な人材を集めることなど出来ないということなんですね。
医師不足、看護師不足という話は実は今や全世界的問題となってきているわけですが、どうも日本の病院は「綺麗な官舎を建てました!」とか「研修に行ってもいいです!」なんてありきたりな売り文句しか出てこないことに物足りなさを感じている人も多いのではないでしょうか?
いくら日本人が真面目だと言われていようが、もう少し面白みのある話でなければ今どきの人間にとっては有り難みがないということではないでしょうか。

その意味では少し前に話題になった「赴任してくれたら馬を差し上げます!」という遠野市のアイデアなども斬新で良いとは思うのですが、一般論として馬に魅力を感じてやってくる人間がどれほどいるのかと考えれば、もう少し広く一般的にアピールできる求人の条件というものを考えなければならないということなのです。
そこで広く世界に目を向ければ、もっと大胆かつ有効性が高いんじゃないかと思われるアイデアを提示している病院もあるのですね。

病院側が看護婦に 『無料の豊胸手術』 を提案!?(2009年5月26日ロケットニュース24)

東ヨーロッパの国チェコ共和国は看護師不足に苦しんでいる。チェコは去年だけで 1,200人ほどの看護婦たちが低賃金のためドイツやイギリスなど西ヨーロッパ国々に行き海外で就職している状態にある。

そんな中、なんとか看護婦らを引き止めようと病院側が提案しているのが『無料の豊胸手術プレゼント』である。26日、現地メディアの報道によれば、『最近、チェコ共和国の病院が、新しい看護師を雇用するため、もしくは既存の看護師をつかまえて置くための契約や再契約のときに新たなギフトを提案している』と報道した。

地方の病院看護婦として働いている 31歳女性はインタビューで『再契約を控えて病院側から無料のドイツ語講義もしくは5週間の休暇または胸手術を含んだ無料の整形手術の中で選択することを提案された』と語っている。最終的には2千600ユーロ相当の無料豊胸手術と脂肪吸引手術を受けることにして、病院側と再契約した。

これらは、チェコ共和国の病院の看護師求人難を反映しており、現地メディアは『このように、看護師不足で運営が困難なチェコ共和国の病院では看護師への整形手術をギフトとして提案する病院が増えている』と伝えている。

この方法に女性団体は非難しているが、病院や看護師たちのほとんどはこのインセンティブを歓迎しているとしている。ある病院の関係者は「無料の手術を契約条件として提示した後、看護師の志願者が10 %増加した」とし、 「看護師の賃金のアップはよりも、むしろコストが下がった」と語った。

これは…いやあ、なんたる画期的アイデアでしょうか。
我々日本人もやるからにはここまでぶっ飛ばなければネタにならないということですよ(苦笑)。
しかも意外にスタッフ募集の効果のみならずコスト面でも有利、しかも患者増という副次的効果も期待できるんじゃないかという…いやまあ、とにかく強烈に話題になりそうな話ではありますから、病院広告が制限されている日本では広報的効果もありそうですよね。。

しかし問題は記事中にもある通り、日本でやるとすればチェコ以上に「性の商品化だ!」などと女性団体の非難というものを覚悟しなければならないという諸刃の剣であるところなんですが…
ここはやはり、その道の先達として何かと声望の高い某大先生あたりに先頭を切っての弾避けとしてご協力いただくべきところですかね(苦笑)。

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