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2009年8月11日 (火)

為にするIT化では誰のためかと痛くもない腹を探られそうで

最近では医療分野でもIT化なんてことが盛んに言われていますが、先日またこういう話が出ていましたのを御存知でしょうか。

最寄りの診療所をリアルタイムで 名古屋大が検索システム(2009年8月6日47ニュース)

 休日や夜間に軽症患者の来院が相次ぎ、大病院の救急部門がパンクするのを防ごうと、名古屋大はすぐに受診できる最寄りの診療所を、患者らがインターネットで検索できるシステムを開発、名古屋市医師会が7月から導入している。

 名古屋大によると、リアルタイムの検索システムは初めてという。

 システムは病院情報データベース「ホスピタルナビ」。登録した医師の携帯電話に毎日メールを送信。医師はその日、正規の診療時間以外で診察可能な時間帯を返信する。こうした情報をまとめ、ホームページで提供している。

 患者ら利用者はホスピタルナビのホームページの「夜間休日診療所を探す」欄から「内科」「外科」「産科」「小児科」の4科で名古屋市内の診療所を検索できる。

 現在登録しているのは約90の診療所で、医師会は今後、登録者を増やす予定。

 医師会の細川秀一救急委員会委員長は「医師が診察時間後も、別の仕事などで診療所にいる時間をリアルタイムで患者に提供できる。大変便利」と話す。開発した名古屋大の杉浦伸一准教授は「登録者をどのように増やすかなど課題は多いが、名古屋市でうまくいけば全国でも生かせる」と期待している。

いやしかし素朴な疑問として、これはリアルタイムのシステムと言うのでしょうか…?どうも私などとはずいぶんと言葉の感覚に相違があるような気がするところですけれども。
まあ、メール送信に協力してくださる先生方が大勢見つかるといいねという話ではありますけれが、「登録者をどのように増やすかなど課題は多い」って部分、多すぎるだろjkと。
逆に言えばこういうシステムに登録してせっせと毎日メールを送り返すような先生方ってのはどういう先生なのかと言うことなんですが、素晴らしく献身的な情熱あふれた方々に違いないんでしょうねきっと?

まあそれはともかく、最近では例のレセプトオンライン請求問題にも見られるように「IT化への抵抗勢力断固粉砕!」なんて声が巷間満ちあふれているようにも見えます。
個人的には色々と面白い道具というのを使ってみるのは好きな方だと自認していますが、世の中には逆にハイテクだのITだのと聞けば裸足で逃げ出すというタイプの方々も結構大勢いらっしゃいますよね。
医者という人種にも世間と同様に色々な人がいて、それこそSE顔負けの知識と技能を持っている人からパワーポイント一つ満足に使えない人まで様々なわけですが、そうしたバラバラであるという状況が医療現場の電子化ということに対する大きな障壁の一つとなっています。

電子カルテを導入したはいいがキーボードでの入力に四苦八苦、マウスの操作もおぼつかないという方々にとってはそれだけで業務効率が何分の一かに激減する原因となるわけですが、残念ながら今の医療業界にはPCが使えないからと医者のクビを切れるほど人材に余裕のある施設はそうそうないということですよね。
そうであるなら使えないシステムをわざわざ導入することは業務を非効率にし、労働生産性を低下させる行為に他ならないわけで、病院の半数が赤字ともいう厳しい経営環境の中で到底許されることではないわけですが、何故か導入コストがどうとかいう議論ばかりでそういう話はあまり表向きの話題にのぼってきません。
今どき私はPCも満足に使えませんと公表してしまうような真似が出来るか!ということなのかも知れませんが、医者という人種は神の手などと驕り高ぶったことばかり言わずにもっともっと「自分はこんなことも出来ないんだ」とさらけ出してもいいんじゃないかと思うんですけれどもね。

それはともかく、電子化に対するもう一つの大きな障壁として、現在の医療用電子システム・機材そのものにも大きな問題があります。
カルテをぱらぱらめくって過去の経過をみるという作業は臨床の現場で極めて頻回に行われる行為ですが、この「ぱらぱら眺める」という作業を電子カルテ上で快適に行えるほどのレスポンスを未だ実現しているシステムはないようです。
病院に導入される端末などどう考えても最先端・最高性能には程遠いショボい性能しか持っていないのが普通ですし、システム自体も時間に追われたやっつけ仕事でろくに煮詰まってもいないのが通り相場ですから、過当競争でレベルアップしてきたテレビゲームに慣れた世代にとっては使うこと自体が多大なストレスという場合も多々あるわけです。

さらにもう一つ、大抵の場合もっとも大きな問題となるのがどんなシステムであれ結局扱うのは人間であって、現場の人間の感情に訴えかけないシステムは歓迎されるはずがないということもあるでしょう。
効率化と言えば聞こえは良いですが要するに今まで以上の仕事をしろということであって、今でさえ過重労働を強いられているのに一向に報われていないと感じている人間にとって「もっと働けるだろう」と言われる事ほど腹立たしいことはないというのも素朴な人間感情ですよね。
特に大学病院や公立病院をはじめとして医師のモラール(志気)が低下しまくっている施設は少なくないですから、わざわざ手間暇をかけてまで自分で自分の首を絞めるようなシステムに協力しようという酔狂な人間などそうそういないということです。
ちなみに今回のニュースに対する某所での反応などを引用してみれば何故どこもうまくいっていないかがよく判るかと思いますね。

627 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/08/07(金) 14:52:24 ID:o9oqclH20
>>603
初めてじゃねぇぞ

数年前から全国のいろんなところでやられてた

どこも、まともに、残ってないけどな!

うちの医師会もおれが中心でやったが
1-2年で補助金うちきり

そして、会員が入力しないため、電話で情報収集せざる得なくなりやめた

628 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/08/07(金) 15:04:02 ID:nwG5+fuk0
名大の救急って自爆するのが伝統なんだよなw

629 名前:卵の名無しさん[sage] 投稿日:2009/08/07(金) 15:06:28 ID:hiSZaLux0
>>627
まっ、そんなもん打ち込んでる暇があったら、
飯でも喰うわな。

630 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/08/07(金) 15:41:03 ID:rxryhH1S0
俺様が医者になったころ、関東のある地方都市にもあったぞ。
診療所の受付時間以降は自動的に事務が「受け入れ不可」にしてたな。

結局、電話帳の広告ページ以上の情報は得られなくて、あっという間に、
誰も使わなくなった。

もしや、これは、「やるやる詐欺」か「救急利権」ですかね・・・・

631 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/08/07(金) 15:44:33 ID:wzPCt13G0
>>603
IT利権のネタは尽きませんなあwwwwwwwww あほくさ。

632 名前:卵の名無しさん[] 投稿日:2009/08/07(金) 15:49:24 ID:YvFcQJpP0
はげど
単なる利権あさりですよ

こういう議論を見ているとかなり極論に思えるところですが本質的には非常にシンプルな話であって、誰でも仕事が楽になるツールであれば喜んで導入する、逆にただ面倒なだけのものであれば嫌がるという当たり前の現象が起こっているに過ぎないわけですね。
救急搬送先を迷わず探せるようなシステムを導入したいのなら迷わなくなって仕事が楽になる救急隊が音頭をとってやるのが筋だし、保険請求をオンラインでしたいのであればオンライン請求で仕事が楽になる保険者側が主体にならなければならない、ところがそれを最も導入のメリットの乏しい上に最も多忙な医療機関側にコストと手間を負担させて押し付けるところから話がおかしくなるのです。
素晴らしいシステムを医療現場に導入させたいのであれば難しい言葉は必要ではなくて、単にそのシステムを導入すればこんなに仕事が楽になるんですよと言うことを疑いなく示しさえすれば黙っていても皆競って導入に動くわけで、導入が進まないというのは要するに世間で当たり前にやっているプレゼンすら出来ていないということの証明でしょう。

ところで前述のように近ごろではIT利権なんて言葉もあるくらいで、今や医療業界も他業界から参入者多数で草刈り場状態とも側聞します。
不景気が当分続き先行き暗い日本の産業界において確実な成長産業などとそうそうない訳ですが、今や世間の風は医療費増額へ向かって吹いているという判断がその背景にあるのでしょうか、今までにはなかったような新しいビジネスが医療業界においても広がっていると言います。
先頃では開業医がコンサルタント会社のカモになっているなんて話題もありましたが、こうした事例も今や珍しいものでもないようで、せっかく開業したのにクリニックをたたんでまた勤務医に出戻りなどという話も昨今少なくありません。
無論業者も全てが悪というわけでもないのは当然ですが、世間知らずなどと揶揄されてきた従来型の医者達にとってはそれなりに過ごしにくい世の中になってきたということを良く自覚していかなければならないとは言えるのでしょう。

その意味で面白いなと思ったのが先日ロハス・メディカルさんで取り上げていたこんな話題なんですが、例え悪意がなかろうともうっかり「経営改善」なんてうたい文句に踊らされてしまうと色々な意味で後が大変なことになるかも知れないという非常に教訓的な話でもあるようですね。

診療報酬の不正請求、コンサル会社が悪い?(2009年7月28日ロハス・メディカル)

 「経営支援ツール」などを謳い文句にしたソフトを通じて診療報酬の不正請求に手を貸すコンサルティング会社などに対し、厚生労働省が調査のメスを入れようとしている。(新井裕充)

 中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)は7月24日、厚労省が示した「平成21年度DPC評価分科会における特別調査(案)」を了承した。

 この調査は、DPC(入院費の包括払い)を導入している病院の中から、不適切な請求方法をしている病院を選び出すために実施する。選ばれた病院は厚労省に呼び出され、あれこれと追及される。

 名目上は、厚生労働大臣の諮問機関である中医協の調査専門組織(DPC評価分科会)がヒアリングを実施するという形式を取る。しかし実際には、「問題のあるDPC病院」を厚労省が選定するため、実質は厚労省主導のヒアリング調査。

 このヒアリングは、毎年秋に行われている。DPC評価分科会の委員らが「3日以内の再入院がこんなに多いのはなぜか」などと各病院の院長らに厳しい質問を浴びせる。"厚労省の代理人"とも言うべき医療関係者が、臨床現場の医師らを叩く。

 これは、見ていてあまり気分の良いものではない。「厚労省の医療事故調査委員会ができたら、こんな風になるのだろうか」などと、ふと思ってしまう。

 今回、厚労省から呼び出しがかかる可能性があるのは、①特定の診断群分類で診療内容が他の医療機関と比べ大きく異なる ②後発医薬品等の薬剤の使用状況が他の医療機関と比べ大きく異なる ③DPC導入前と導入後で、診療内容が大きく変化した ④データの質に関して確認が必要であると思われる─のいずれかに該当する病院。

 調査案によると、すべて「病院」が対象になっている。このため、委員から「データの構築やコーディングでは『ベンダー』がかなり大きく関与している」、「勝手に(診療報酬が高くなる)『アップコーディング』をしちゃうようなソフトを作っているので、ぜひ調べていただきたい」などの意見が出た

 現在、DPCを導入している病院は1500を突破し、急激な拡大を続けている。この立役者として、DPCデータを作成するソフトを販売する「経営コンサルティング会社」が挙げられることがある。
 よく聞くケースは、DPC病院に自社のソフトを導入させ、保守・管理から経営支援まで幅広くサポート。同じソフトを導入している病院と自院のデータを比較する「ベンチマーク」によって、経営の効率化が図れるようアドバイスしてくれる。これならば問題は少ない。

 ところが、コンサル会社などが提供するDPC用のソフトには、より高い診療報酬が得られるように「診断群分類」を選び出してくれる機能が付いているものもある。このため、同分科会の委員らは、ソフトを提供する会社もヒアリングしないとDPCの不正請求の実態が明らかにならないことを指摘する。
 しかし、このようなソフトが広く流通していることはもっと前から知られていることであり、「何を今さら」という唐突感がある。なぜ、こんなことを突然言い出したのだろうか。

 昨日の記事(E・Fファイルの統合)でも触れたが、厚労省は、医療機関の情報システムに深く関与する狙いがあるのだろう。今後は、厚労省の「お墨付きソフト」を全国のDPC病院に導入することもあり得る
 ただ、これが医療の標準化や透明化につながるかどうかは疑問があるが、医療機関のコスト調査を進める上では効果を発揮するように思える。
 今年度のコスト調査分科会でも、ソフト開発の話題が出た。もし、DPC病院を対象とするソフト販売などで多額の利益を生み出したら、それはどのような団体を通じて、どこに還流されるのだろうか─。
(略)

管理人のように頭の回転の悪い人間は厚労省のエリートさん達になると色々と創意工夫をこらしていらっしゃるんだなあといつも感心するのですが、DPC導入などもあってこのところ急速に進んでいる医療の統制化というのは確かに大きなビジネスチャンスではありますよね。
厚労省が自らの省勢拡大につながるはずの医療業界に対して妙に冷たいのは医者ら国家資格職に実権を握られている医療業界には天下り利権のうま味が乏しいからだ、なんて噂がひと頃盛んに流れていましたけれども、天下り団体である病院機能評価機構などを初めとして最近では風向きも変わってきているのではないかとも思われます。
最終的に国民の利益に還元されるというのであれば業界から役人に多少のみかじめ料が流れるのもやむなきところかなとも思うわけですが、病院機能評価の実際などを見ても判ります通りあまりにあからさまな斜め上方向の疾走というのもどうなのよ?と思えてしまうところではありますよね。

何にしろお上にしろどこの業界にしろ利権を追求するのもよろしいですが、昨今では「儲けすぎることは悪である」みたいな世間の目もあるようですし、あまりやりすぎていると世の中いつまでも甘い話ばかり転がっているわけでもないと思うんですけどね。

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コメント

はじめまして。「病院システム サポート」というキーワードでブログ検索をし、
こちらのブログにたどりつきました。

いろいろ参考になる情報ありがとうございました。

私東京八王子でITサポートをしている会社に勤務しております。

現在いくつかのクリニックのコンピュータトラブルや
ネットワークトラブルのサポートをしておりますが、
ぐり研さんがおっしゃるようにコンピュータが苦手な先生もいらっしゃいます。

もともと多忙である上に、業務上の新しい知識も習得しつつ、
コンピュータもというのはなかなか難しいのはもっともだと思います。

私どもは物販をしないITサポートサービス会社です。
コンピュータの困ったを解決するために日々努力しております。
こんな会社もあるんだなと思っていただけたら幸いです。
お時間がありましたら一度ブログをみにきて下さい。

またブログ見に参ります。

投稿: 八王子のあやや | 2009年8月18日 (火) 13時34分

はじめまして。わざわざのご丁寧なご挨拶いたみいります。
電脳世代が世の中の主流になってくるにつれて、IT関連は元より色々な部分で今までと全く違う社会常識が広まってくるのではないかなと興味をもって見守っている管理人です。
まあしかし、医療の現場においては時に効率よりも何よりもレスポンス第一というところがありますから、なかなかシステムを組む方にとっても大変なんだろうとは思いますけれどもね。

投稿: 管理人nobu | 2009年8月18日 (火) 15時06分

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