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2009年7月11日 (土)

さらに新型インフルエンザの話題 大阪なのにそれは…

今回も新型インフルエンザに関連して、まずはこちらの速報記事から紹介してみましょう。

【速報】男性医師が新型インフル感染 広島の安佐市民病院(2009年7月9日中国新聞)

 広島市は9日、市立安佐市民病院(安佐北区)の30代の男性医師が新型インフルエンザに感染したと発表した。診療時には常にサージカル(医療用)マスクを着用しており、患者への感染の恐れはないという。

 同病院によると、男性医師は8日、勤務を終えて帰宅した後に発熱。9日の出勤後も熱があり、検査したところ感染が判明した。現在は自宅で静養中。他の医師15人と看護師7人の計22人は、予防のためタミフルを服用している。

この症例の場合、むしろどこから感染したのかということに興味が湧くところなんですが、それはともかく国内発症は確認しただけでも既に2000人を越えたということです。
実際にはそれよりもはるかに多い患者が市中に存在しているものと想定されますから、今や新型インフルエンザは珍しい病気ではなくなってきました。
その割に大騒ぎになっていないのは以前にもお伝えしましたように、患者の1/3から半数程度は発熱を呈さないなどいわゆるインフルエンザ様症状があまり見られない場合が相当にあると考えられることで、罹患者自身も周囲もそれがインフルエンザであると認識していないのではという想像が出来るところです。
そうなりますと通常のインフルエンザ以上に症状のない不顕性感染者による医療機関や介護施設等への持ち込み、高齢者への集団感染のリスクというものが心配になってくるところなのですが、どうも今回の場合少しばかり話がややこしいようなのですね。

国内高齢者にも免疫か  新型インフルに40%が抗体保有(2009年7月5日47ニュース)

 国内の高齢者の一部が、新型インフルエンザウイルスに対して一定の免疫を持っている可能性があることが、国立感染症研究所などが実施した調査で5日分かった。30人を対象とした小規模な調査で、新型ウイルスに反応する抗体を40%の人が保有していた。

 米疾病対策センター(CDC)の調査でも、60歳を超える人の一部に免疫がある可能性が指摘されているが、日本人での報告は今回が初めて。

 ただ調査対象が少ない上、この抗体によって新型ウイルスの感染を実際に防ぐことができるかどうかは不明。感染研は今後、さまざまな年齢層でどのぐらい新型への抗体を保有しているか、1千人規模の調査をする。

 今回の調査には新潟大と福岡市の原土井(はらどい)病院がそれぞれ採取した血清サンプルを使用。若者(平均年齢27・8歳)と高齢者(同83・4歳)の2グループ各30人を対象に、新型インフルエンザウイルスに反応する抗体が血清中にあるかどうかを調べた。

 すると高齢者グループの40%で抗体の保有が確認され、新型ウイルスに対してある程度の免疫を持っている可能性が示唆された。若者では3・3%だった。

 一方、季節性インフルエンザのワクチンを接種しても、若者、高齢者ともに新型ウイルスに対する抗体の上昇は確認できず、既存のワクチンには新型への効果が期待できないことがあらためて分かった。

新インフルワクチン3~4割減 厚労省、製造量を下方修正(2009年7月3日)

 厚生労働省は3日、12月末までに製造できる新型インフルエンザワクチンは1400万~1700万人分との見通しを明らかにした。これまでは約2500万人分とみていたが、原料となる種ウイルスの増殖性が低いと判明し、6~7割程度に下方修正した。

 新型インフルエンザは冬を迎えた南半球や、東南アジアで広がっており、日本でも秋以降、流行の本格化に備え、ワクチン接種を求める声が高まると予想される。優先的な接種の対象者として医療従事者、基礎疾患がある人が挙げられているが、高齢者、子どもなども対象にすべきだといった意見もある

 厚労省は「(ワクチンが足りるかどうかは)どのような人に優先的に接種するかや、今後の感染の広がり方による。(製造量は)まだ努力の余地がある」と説明。今後、対象者を決めるのに専門家の意見を聴くが、限られた製造量になることで、難しい判断を迫られそうだ。

 来年2月まで製造を続ければ2300万~3千万人分ができるという。

 種ウイルスについて国立感染症研究所や国内メーカー4社で研究、増殖性が季節性のウイルスよりも低く、製造可能量が減った。これまでは新型の増殖性が季節性と同等と仮定して、製造可能量を試算していた。

社会集団への流行を防ぐという視点からの学童への集団予防接種が様々な要因から実質終わりになって以来、インフルエンザ予防接種については医療従事者や基礎疾患のある人などかかってしまうとマズいという人々に対して行うという方向にシフトしてきていました。
その点で今回もハイリスクである高齢者には接種を優先せよといった論調もありましたが、こういう話を聞いてみるとむしろ高齢者の方がかかりにくいということになりますし、実際に前回ご紹介しました疫学データでも20代以下が8割と、若年層に患者が集中するという現象が確認されているわけですね。
さて、そうなりますとワクチンが出回り始めたとして、果たしてまず誰を対象に使っていくべきなのかということも今から検討していかなければならないところでしょう。

さて、もう一つの話題として先日こんなニュースがあったことを御存知の方も多いと思います。

新型インフル:大阪の患者もタミフル耐性 世界2例目(2009年7月2日毎日新聞)

 厚生労働省は2日、大阪府内の新型インフルエンザ患者から、インフルエンザ治療薬「タミフル」に耐性を持つウイルスが検出されたと発表した。タミフル耐性のウイルスが確認されたのは、デンマークの患者に次いで世界2例目。患者は既に回復し、感染は広がっていないため、厚労省は「公衆衛生上の危険はない」としている。

 厚労省によると、患者は5月24日に微熱が出て、28日に発熱相談センターに連絡。同29日に新型インフルエンザと診断された。治療薬のリレンザを投与され既に回復している。

 この患者は、家族が5月中旬にインフルエンザに感染していたため、発症前にタミフルを予防投与されていた。不審に感じた医療機関が検体を府公衆衛生研究所に送り、ウイルスを培養して遺伝子を調べたことろ、変異が見つかった。

 インフルエンザウイルスは変異が起きやすく、Aソ連型のウイルスの多くにはタミフル耐性があった。製薬会社の添付文書では、タミフルを投与されたインフルエンザ患者の0.3~4.1%に耐性ウイルスが出現するとされている。【清水健二】

世界一のタミフル大国日本ですから当然耐性株の広がるのも早いだろうとは誰しも想像できるところで、遅かれ早かれそう言うものが出てくるのは当然ではあるのですが、この件について世間では妙に騒がれてしまった気配もあります。
その原因とも言うべきものの一つが大阪府の一連の対応なのですが、こちらに引用してみましょう。

タミフル耐性ウイルス、検出は先月18日…大阪府は報告せず(2009年7月3日読売新聞)

 大阪府内の新型インフルエンザ患者から、治療薬タミフルが効かない耐性ウイルスが検出されたことを受け、府も2日深夜、記者会見を開いた。

 府は6月18日に遺伝子検査でタミフル耐性ウイルスを検出していたが、「感染拡大の恐れはなく、より専門的な検査が必要」として今月1日まで厚労省に報告していなかった。厚労省が2日、公表を促し、急きょ発表したという。

ウイルス遺伝子変異発表遅れに質問集中(2009年7月3日日刊スポーツ)

 治療薬タミフルに耐性を示す新型インフルエンザウイルスの遺伝子変異が確認されたことを受け、大阪府は3日午前0時前から緊急の記者会見。6月18日時点で遺伝子変異を確認していたことが明らかになり、「なぜ世界初の時点で発表しなかったのか」「どうして遅れたのか」との点に質問が集中、府側は釈明に追われた

 府によると、府立公衆衛生研究所で6月18日、遺伝子変異を確認。しかしウイルスそのものが変異しているかを調べる手法の検討に時間がかかり、厚生労働省への報告は7月1日にずれ込んだ。海外で初めて耐性ウイルスが報告されたのは6月末だった。

 府健康医療部の担当者は、患者の家族には耐性がみられなかったことや、本人が治療薬リレンザで回復したことから「公衆衛生上、重大事象ではないと認識してしまった。公表が遅れたことは申し訳ない」と陳謝した。(共同)

大阪府がタミフル耐性ウイルス公表前に論文投稿(2009年7月5日産経新聞)

 新型インフルエンザに感染した大阪府内の40代の女性から検出されたウイルスで、治療薬タミフルに耐性を示す遺伝子変異が確認された問題で、府が今月2日の記者会見でこの件について公表する前に米国の医学誌に論文を投稿していたことが5日分かった。

 府健康医療部の大下達哉副理事は「意図的に投稿を優先させ、公表を遅らせたわけではないが、結果的に批判を受けても仕方がない対応になってしまい申し訳ない」と釈明している。

 府によると、府立公衆衛生研究所のウイルス解析で、6月18日にタミフル耐性を示す遺伝子変異を確認した後の24日に、研究所の職員が医学誌にこの結果を記した論文を投稿したという。

 府は6月18日の時点では遺伝子変異について発表はしておらず、7月2日の会見で、発表が遅れたことについて「遺伝子自体が変異しているかどうかを調べる手法の検討に時間がかかった」「確実に耐性ウイルスと分かった時点で発表するつもりだった」と説明していた。この会見についても、7月1日に報告を受けた厚生労働省から「早く公表したほうがいい」と勧められたため開いたものだった。

妙に大騒ぎになってしまったのは大阪府にとって大きな計算違いだったのでしょうが、こうした会見の様子をみる限りではどうも大阪府は先のSARS騒動で中国政府が国際的批判を浴びた理由が理解できていなかったようですね。
今の時代にあって何であれ情報というものは隠せば隠すほど痛くもない腹を探られることになりかねませんが、この場合関わった人間も一人や二人ではなさそうな上に、公表を遅らせた理由が色々と想像できるだけに「うっかり」は通用しにくいところです。
どのような経緯でこうした判断に至ったのかは記事からははっきりしませんが、お役所ももう少し処世術を学ぶということを覚えていかなければならないと思いますね。

関西圏では観光客の激減などに見舞われ「新型インフルエンザなんて大したことないんですよ!」とアピールに懸命なようですが、まず行政当局がこうした姿勢を改めない限り「やっぱり本当はヤバいんじゃないの?」という懸念の声は消えないと思います。
そもそも世間的には無名のむさい役人のオッサン達がぺこぺこ頭を下げている絵などマスコミにとってもさして美味しいものではないわけですから、だったらプレゼンテーションのスタイルというものももうちょっと工夫しろやって話ですよね。
最近も色々と話題になっている某芸人出身の知事さんなども見ていますと色々と突っ込み所はてんこ盛りなんですが、どんなシビアな局面であれとりあえずボケて見せられる、笑いを取れるというのはマスコミの絵的には非常に有利だなということにはいつも感心しますね。
その点では大阪府はマスコミ業界にもその名を轟かせる知事閣下という大きな売りがあるわけですから、こうした際にこそ担ぐ御輿の威光を活用しない手はないとも思います。

国際学会などでは「日本人の演者は真面目で、登壇しても聴衆の笑いを取るジョーク一つ言わない」なんてことを言われますが(ちなみに褒められてません)、マスコミが好きな謝罪会見なんかでも見るからに下手を打ってしまう人間というのがいて、謝罪のやり方を書いた本まで売っている時代にわざわざああいう火に油を注ぐ輩を出すなよと突っ込みたくなります。
ちょっとしたテクニックで自分の立場を有利なものに出来るというのであれば活用しない方が馬鹿ですし、逆にそれも出来ない人間に組織を代表して人前に出させてはいけないのに、役所だとか医療業界だとか言ったあたりはそのあたりのマネージメントがまるでなっていないのはもったいないですよね。
特にお笑い芸人知事の先進地であり、世界に名を轟かせるお笑いのメッカでもある大阪で商売している以上は、役人といえどネタにもならんことやっとったらあかんやろと言うことです。

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