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2009年7月10日 (金)

思わず突っ込みたくなる話あれこれ

先日その崩壊をお伝えしました全国公立病院PFI化の先駆けである高知医療センターの件ですが、やはりと言いますかPFI解約の方向で話がまとまってきているようです。
以前にも何度か取り上げてきました通りここに至る経緯についても突っ込み所は山ほどあるのですが、まずは今回の解約に関する記事から紹介してみましょう。

オリックスがPFI終了説明(2009年7月7日読売新聞)

 高知医療センターの経営業務を担う特定目的会社・高知医療ピーエフアイの主要株主となっているオリックス(東京)の西名弘明副社長が6日、県庁と高知市役所を訪れ、尾崎知事、岡崎誠也市長とそれぞれ面談した。PFI契約終了に向けた協議入りについて、西名副社長は「医療、関係会社に迷惑をかけないよう、円満な解決を目指したい」と述べた。

 尾崎知事に対しては、「特定目的会社には協力企業も多く、内部の調整も残っているが、原点に戻って議論したい。円満な方向でと考えている。県民に不安を与えないようにしたい」と強調。尾崎知事は「誠意をもって話し合いをさせてもらいたい」と応じた。

 続いて行われた岡崎市長との面談では、「いろいろと思いはあったが、一度白紙に戻して協議に入りたい」と述べ、岡崎市長は「医療センター建設当時の熱い思いも聞いているので、見直ししなければならなくなったのは残念」と話した。

この円満解決なる茶番劇を、別な視点から眺めるとこういうことになるのでしょうか。

「オリックス」病院民営化でも丸儲けしてトンズラ (2009年7月9日ゲンダイネット)

 郵政民営化と並んで小泉改革のシンボルだった「病院の株式会社化」がもう頓挫した。

 民間資金や経営ノウハウを活用するPFI方式を導入して、鳴り物入りでスタートした高知医療センターがひっそり、公立病院に戻ることになったのだ。残ったのは巨額の負債と税金による尻拭いだが、PFIを担ったオリックス不動産などの企業団は儲けるだけ儲けてトンズラする。ふざけた話だ。

 高知医療センターは高知県立中央病院と高知市立市民病院が統合し、05年3月にオープンした。PFI方式を導入した初の公立病院で、行政側は総額2131億円の30年契約を、民間企業グループによるSPC(特定目的会社)と結び、施設建設や運営を委ねた。

 PFI方式は英国で始まり、日本でも90年代後半から注目されるようになった。積極活用すべし、と旗を振ったのはオリックスの宮内義彦会長が議長を務めた「総合規制改革会議」だ。

 米国の年次改革要望書も病院の民営化=競争原理の導入を強く要望。こうした流れで高知医療センターがスタートしたのだが、PFIを担ったのがオリックスグループだったことから、発足当初から「デキレース」の批判が噴出していた。

 こうした批判を吹き飛ばすには、とにかく、経営で実績を示すしかなかったのだが、赤字が止まらず、先月中旬、ついにPFI契約解消の協議が始まったのである。行政側の「病院企業団」事務局次長の村岡晃氏は、この間の経緯をこう説明する。

「赤字は当初から覚悟していましたが、計画を上回る赤字が出た。平成20年末で運営資金が足りなくなったのです。そのため、病院を運営する民間企業側(SPC)にもっと経費を削減してもらうように話し合ってきました。県知事、市長もオリックスに協力要請をしましたが、すぐに黒字化するのは無理だということで、民間企業側が身を引くことになりました。そうすれば、年間5億円の運営委託費を削ることが出来るからです」

 身を引くと言えば、聞こえはいいが、要するに「儲からないから撤退する」のだ。PFI方式の売りは経費節減で、「薬などの材料費が安くなる」との触れ込みだったが、大ウソだった。そのため、累積赤字が80億円に達し、昨年度末は県と市が緊急資金援助する事態になった。

 ところが、この間もオリックスらの企業側は年間5億円の運営費を取り続けた。企業側は儲けるだけ儲けて、事業を放り出したのである。

「責任者出てこい!」と言いたくなる。

それはまあ、一連の騒動の中でもオリックスはまったく損はしていないとも言いますから円満解決とも言いたくなるんでしょうが、巨額の税金を貢がされた形の県民、市民がそれで納得できるのかということです。
知事や市長にしても本来なら有権者の代弁者としてそうした点を突っ込まないといけないし、無為に損害を与えた責任を痛感していなければならないはずだと思うんですが、この他人事ぶりはいったいどうしたものなんでしょうね?
医療センターに関しては相変わらず色々な面でうまく回っていないような噂も漏れ聞こえてくるところですが、こういう馬鹿馬鹿しいことばかりやっているようだとますます現場のモチベーションも下がりっぱなしということになるのではないでしょうか。

さて話は変わって、どこの施設でも人手は足りない、しかしもっと稼がなければ赤字が増える一方ということで、特に赤字垂れ流しの地方公立病院ほど現場へのノルマの押し付けとも言える労働強化指令が出されている状況です。
当然ながら一度こういう状況に陥りますと程なく「やってられるか!」と集団でのスタッフ逃散と言う事態が発生したり、そうでなくとも現場のモチベーションが底を打って開店休業状態になったりと言うことになるわけですが、幾つかその兆候が伺える記事を紹介してみましょう。
まずはこちら、北の方からの話題です。

母子の救命強化へ 市立札幌病院 NICU15床に /札幌(2009年7月2日北海道新聞)

 市立札幌病院は1日、新生児集中治療室(NICU)を6床増やして15床とし、救急隊や他病院から搬送される危険性の高い妊婦や新生児の受け入れ態勢を強化した。

専門医は5人体制のままだが、増床分の新生児に対応するため看護師を19人から31人に増員した。

 同病院では昨年度、母子153人の受け入れ依頼に対して、「NICU満床」「産科満床」などを理由に35人を受け入れられなかった。今回の増床により、年間の受け入れ目標数を現行の118人から約2割引き上げ、140人とする。同病院は「危険性の高い母子の受け入れを増やし救命につなげたい」としている。

 2007年に未熟児が同病院を含む7病院に受け入れを断られ、後に死亡した問題を受け、同病院が態勢強化を進めていた。(高橋尚哉)

医師5人でNICUが15床に増床、当然ながら24時間365日稼働の体制ですから常に最低一人は医師が張り付いているわけで、その上日中は複数の医師がいることになるでしょうね。
さて、そうなりますと勤務シフトというものをどう組んでいるのかが非常に興味深いんですが、さらにここに重症症例をもっと沢山受け入れなさいよなんてことを言っているんだそうです。
これはもうどう考えてもフラグ立ってる?と思えるような話なんですが、さて今後の展開がどうなってくるのか続報が楽しみですよね。
一方でこちら南の方ではこんな話題が出ているようですが、これも良くある光景と言えばその通りですよね。

北九州市 市立4病院 赤字27億円 08年度決算 想定の3倍 若松、経営見直しも /福岡(2009年6月30日西日本新聞)

 北九州市立4病院の2008年度事業会計決算で、単年度実質収支の赤字額が当初見込みの3倍強の約27億円に膨れる見通しであることが29日、分かった。入院費などの医業収益が想定比で20億円規模のマイナスとなった。特に経営が良くないのは若松病院(同市若松区)といい、同病院は売却や民間委託を含めた抜本的な経営形態の見直しが必至の状況となった。

 市によると、若松病院と医療センター(小倉北区)、八幡病院(八幡東区)、門司病院(門司区)の市立4病院の会計は、08年度当初予算で約8億2000万円の赤字を見込んでいた。

 しかし、若松病院で昨年6月までに内科医6人全員が大学医局に引き揚げて大幅な減収に陥ったほか、黒字を維持していた医療センターと八幡病院も医師不足や効率の悪い病床運用で外来と入院の患者数が前年度比で1割以上減って赤字転落の見通し。赤字幅は想定以上に拡大し、07年度の剰余金(約15億円)を充てても、なお約12億円の資金不足に陥る見通しになったという。

 市は破綻(はたん)回避のため、金融機関などから一時借入金を充当。「このまま何の対策も講じなければ、雪だるま式に借金が増える恐れがある」(市幹部)として、経営形態の見直しが避けられない情勢だ。(略)

北九州市立医療センター:入院収入が減少、市議会委で報告 /福岡(2009年7月3日毎日新聞)

 ◇空き病床、有効利用を

 北九州市は2日、市議会保健病院委員会で、市立医療センター(小倉北区)の経営状況を明らかにした。みずほ情報総研(東京都)の分析で、入院を待つ患者が多い一方で病床稼働率は低く、入院収入が減少している現状が浮き彫りになった。空き病床の有効利用など入院患者数の増加に向けた改善案も指摘。市病院局は「有益な改善案は早く実施したい」としている。【松田栄二郎】

 市病院局によると、同医療センターは常時200~250人が入院待ちの状態。しかし07年度の病床稼働率は79・8%で、同規模の石川県立中央病院(82・3%)や横浜市立市民病院(88・1%)より低い。平均在院日数は入院患者1人あたり19・3日と長いため1日平均の入院費が低く、入院収入は2病院を下回る。昨年度は医師不足などで患者数が伸び悩み、約5億円の赤字となる見通し。

 報告書は、病室の空き状況を把握し割り振る担当者の配置や、地域の医療機関と積極的に情報交換し受け入れ患者を増やすことなどを提案。さらに在院日数を短縮するため手術後の転院や在宅医療の支援のほか、薬品や医療材料の購入から管理・運搬のすべてを民間委託する案も示した。

 医療センターは4月、病床の空き状況を管理する病床管理専任看護師を配置している。

市立病院の赤字がかさんでいる、見てみるとベッドの空きが多いし新患受け入れも少ないようだ、それじゃもっともっと患者も紹介してもらってベッドを一杯にしようと言うこの「有益な改善策」を、市当局の方ではコンサルタント会社に経営分析してもらって決めたんだそうです(苦笑)。
空きベッド=非効率な無駄という単純な図式しか描けないと確かにこういう話になってくるんでしょうが、その背後にあるものを果たして検討してみたんでしょうかね?
しかしどんどん医者が減って人手不足が深刻化した結果病院が回ってないのにさらに回転あげろ、客を集めろですか…これはいよいよフラグ立っちゃったかなと思わざるを得ない話ですよね。

地方の自治体病院もさることながら、もう少し話が大きくなりそうなのがこちらの話です。
社保・年金病院も以前から不採算なところはどんどん潰すとか、いややっぱり続けることにしようとか方針が迷走しているように見えるところなのですが、何やら妙な話になっているようですね。

譲渡先、自治体などに限定=社保・年金病院、地域医療の維持優先-厚労省検討(2009年7月9日時事ドットコム)

 厚生労働省は8日、全国63の社会保険病院と厚生年金病院の売却に関し、買い手が見つからなかった場合も地域医療の崩壊を防ぐ観点から存続を認め、自治体や公的な病院を経営する法人に限定して譲渡を進めていく方向で検討に入った。併せて価格を重視する売却方針も転換し、相手先の財政事情に応じて柔軟に対応する。病院によっては不動産鑑定評価額を下回る価格で売却されるケースが出てくる可能性もある。
 特別措置法案をまとめ、今秋の臨時国会に提出する方針だ。

今どきこんな地雷に手を出す自治体なり医療法人なりと言うものがそうそういるとも思えないんですが、ポイントとなるのは「相場無視の安売りもあり得る」といったあたりなんでしょうかね。
少し前にもかんぽの宿をオリックス(あの高知でボロ儲けしたというオリックスですよ!)に破格値で売却するといった騒ぎがありましたが、ここでも同様の構図が見られるということなのでしょうか。
病院存続のために売ったはずが、気がついたら何か違うものが出来ていたなんてことになるんでしょうかね?

最後に全くの余談なんですが、これも思わず「今どきかよ!(笑)」と突っ込みを入れたくなった話を少しだけ紹介しておきます。
新臨床研修制度が始まってこの方、大学病院での研修と言うものはごく一部の例外を除いて年々志望者が減少してどこの大学も研修医集めに四苦八苦しているという状況です。
それは給料が安くてやることと言えば外の病院ではあり得ないような雑用ばかりとなれば今どき人が集まると考える方がどうかしていますが、ひと頃は大学医局を潰すとか息巻いていた人々も実際潰れかけて見ると色々と不都合があるもんだなどと言いだしているようで、何やら意味不明の政策上の迷走も見られているようですね。

それはともかく、北陸地方にある某大学でも例によって研修医集めに必死の努力を続けているようなのですが、このうたい文句が素晴らしく素敵だとちょっとした話題になっていますので紹介しておきます。
詳細はリンク先を是非とも参照していただきたいのですが、何と言いますかちょっとした感動を呼ぶような名文です!

今こそ大学病院で研修を!(某大学某科研修担当者からのメッセージ)

まあ、その…きっとこういう先生ってすごく熱心で素敵な先生なのかも知れませんが、前半から後半の結論部分へとつながってくるロジックがいささか無理がないかと…
いずれにしても熱心な活動の成果が実って沢山釣れ…もとい、研修医が入ってくれれば言うことはないんだろうと思いますが、気になるのはネット上での噂が必ずしもよろしくない部分もあるらしいということなんですよね。

研修医マッチングについて語ろう(匿名掲示板医者板スレへの書き込み)

まあ今どきはどこでも勧誘に必死ですから、いろいろとすれすれのこともやらなければ追いつかないというのも判るんですけども、やはりノリが一昔前の体育会系医局っぽい感じなんでしょうかね?
せっかく熱心に勧誘活動をやってきているわけですから、誘った方も誘われた方もここで研修して良かったと思えるようなwin-win関係を結べるならそれに越したことはないかなと思うのですが…

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