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2009年7月 1日 (水)

お上のなさる事に間違いなどない…と言えればいいんですが

昨日はサーバーが落ちていたりしたようで、皆様には色々とご迷惑をおかけしました。
さて、先日も少しだけお伝えしました厚労省人事の件について、ロハス・メディカルさんに詳しい記事が出ていましたので紹介しておきます。

医政局長に事務官 舛添厚労相が発表(2009年6月26日ロハス・メディカル)

 舛添要一厚生労働大臣は26日の閣議後記者会見で、幹部人事についての骨格方針を発表した。事務次官と社会保険庁長官の2人が退任するほか、医系技官の指定ポストだった医政局長に事務官である阿曽沼慎司・社会・援護局長が就くなど大規模なものになる。「技官の聖域をなくして風通しをよくする」という。(川口恭)

 会見によれば、江利川毅・事務次官が退任し、後任には水田邦雄・保険局長が昇格する。また社会保険庁の坂野泰治長官も退任し、後任には渡辺芳樹・年金局長がつく。新しい保険局長には、外口崇・医政局長が横滑りし、医政局長の後任は阿曽沼氏。年金局長、社会援護局長の後任は未定。日付や正式な発表は国会日程次第になる。

 舛添大臣に近い筋によれば、決断したのは昨晩。内閣改造や自民党役員人事が行われるとの観測が強まり、舛添氏自身にもポスト変更の可能性があることから、人事に着手しておく必要を感じたという。省内にも全省庁の局長人事を司る人事検討会議にも諮ることなく、今朝、電撃的に麻生総理と河村官房長官の了解を得て発表した。今後、他の局長や課長クラスの人事にも着手する。

「補助金で病院支配する医系技官を引き剥がした」-厚労人事、省内の声(2009年6月26日ロハス・メディカル)

 舛添要一厚生労働相が6月26日午前に発表した異例の人事異動に、省内には衝撃が走った。ある医系技官は「補助金によって医療機関を支配する医政局の医系技官を引き剥がした。良くなることはあっても悪くなることはないだろう」と感想を話した。(熊田梨恵)

 舛添厚労相は午前の閣議後記者会で、省内幹部人事の骨格を発表。江利川毅・事務次官が退任し、水田邦雄・保険局長が後任となる。キャリアポストである保険局長には、医系技官の外口崇・医政局長が就任。医政局長にはキャリア組の阿曽沼慎司・社会・援護局長が就いた。従来の医系技官とキャリアポストを入れ替える人事の発表に、省内には衝撃が走った。

■「医政局と健康局が医療機関を支配してきた」
 厚生労働省は同日午前、都内で新型インフルエンザに関する会合を開いており、関係者は厚労省の入る合同庁舎5号館から離れていた。会合に参加していたある医系技官は、帰るなり人事の話を聞いて面食らったという。医政局長にキャリアが就いたことに関して、「良くなることはあっても悪くなることはないだろう」と安堵を示した。「厚労省が医療機関を支配するのは、診療報酬で首を絞めておいて、『補助金を付ける』として言うことを聞かせるパターン。この補助金を動かすのが、医系技官が局長の医政局と健康局で、これまで医系技官が医療機関に対する権限を握っていた。今回、医政局長を引き剥がしたことでその構造が崩れた。法令キャリアが医政局に就けばまともになると思うし、阿曽沼氏は評判もよい方。本来は診療報酬で病院をみていくのが本筋だろう」
 ただ、今回の人事はあくまで医系技官とキャリア組のポストを入れ替えただけのものとも指摘する。「保険局との単純な入れ替えでなく、医政局長や健康局長の医系技官を完全に外すことができれば本当にすごいことになると思うが、大臣としては最大限できる範囲で頑張ったのではないだろうか」

 また、他の医系技官は医政局長の異動について、「医系技官にとってはショックな話」と語る一方で、「キャリアの方が医系技官よりも組織として動く能力に長けていると思うので、要となる部分をキャリアに押さえてもらっていた方がいいのかもしれない」とも言う。外口氏の保険局長への横滑りに関しては「結局は財務省に頭を押さえられていることには変わりないので、どうなるかは分からない」と話す。

■「改革派の阿曽沼氏に期待」 
 約20年にわたり厚労省で働くキャリアは、「省内でも皆かなり驚いている。医系技官と事務官の数は合わせないと双方から不満が出るので、今後他の部分をどう数合わせをしていくかは皆気になるところ。医政局のポストを空けるために保険局長を空けたのではないだろうか。医系技官にとっては保険局は財源を考えても魅力あるポスト。ただ、キャリアにとって医政局はあまり魅力はない。阿曽沼元老健局長は改革派のキャラクターなので、医政局には適任だと思うが」と話す。

■たすき掛けは損なわなかった? 
 ただ、保険局長といえば従来は事務次官に就くことが予想されるキャリアのみに許された出世コース。そこに今回は医系技官である外口氏が就いた。また、事務次官ポストについては、内閣府から来た江利川氏の前には厚生系の辻哲夫氏が就いていたため、次は旧労働省系から就くとの見方が省内には根強かった。しかし、今回は厚生系の水田氏が就任。これについて、他のキャリアは、内閣府から江利川氏が来たことで厚生と労働の"たすき掛け"の人事がいったんリセットされていたとして、「たすき掛けを損なうものではないのでは」との見方を示す。一方、「現状は労働系には適した人材がいなかったのでは」と話す医系技官もいる。

 このほか、「同期から回ってきたメールで知った」と話すのは若手の医系技官。「最近はインフル騒ぎで予定していた検討会を開けなくなり、委員の先生たちとの調整に手こずったりと、ルーチンの仕事もろくにできていなかったが、最近ようやく元に戻りつつあるかと思っていた。大臣は選挙前にやれば国民へのアピールにもなると思ったのかもしれないが、地味な仕事をしている自分たちには結局のところあまり関係ない気がする」とため息を漏らした。

「良くなることはあっても悪くなることはない」というと何か素晴らしいことのように聞こえますが、注意すべきはその主語が誰であるかと言うところでしょうかね。
たとえば医療費を1兆円減らすと言えば医療業界、そしてたぶん多くの国民にとっても何ら良いことではありませんが、財務省あたりにとっては素晴らしいと感激するくらい良いこととなります。
厚労省視点で見て良いことというのが他の誰にとってどんな評価に値することなのかは、省内の声を聞いているだけでは決して見えてこないんだろうなとも予想できるわけです。

それはそれとして従来一部で言われていることに、厚労省というのは医療の所轄官庁としては妙に医療に対して思い入れがないように見えると言いますか、医療費削減などという省庁権益の縮小とも取れるような話を飲んできたのは医療分野で天下りのうまみがあまりなかったからではないかなんて声がありました。
実際のところ省内で日々職務に精励されているだろう医系技官の方々も医療業界においては単にドロップアウトした医師免許所持者くらいに見られているところがありますから、ましてやその他のキャリアなんて方々は単なる役所の人であってずいぶんと遠い存在ではありますよね。
最近は例の病院機能評価機構などを筆頭に各種天下り団体も次第に整備されてきて医療業界からすればみかじめ料がかさんで仕方がないといったところなのでしょうが、そうした反社会的な行為でなくとももう少し省庁と現場との距離感が近くなればうまく回るようになる部分も多かろうとは思いますね。
厚労省的にはそれなりに評価が高いらしいという今回の人事によってそのあたりの状況が何かしら変わっていくものなのかどうかですが、省外の人間からすれば顔が誰になろうが問題ではなくその結果何が起こったかが問題だと言うこともよく承知しておいていただければありがたいですね。

ところでその厚労省に絡む話で、日医が来年度予算への要望を云々といった記事がロハス・メディカルにあるわけですが、この末尾の部分に少しばかり気になる記事がありましたので引用してみましょう。

小児救急医療の充実など求める―日医の来年度予算概算要求への要望(2009年6月28日ロハス・メディカル)
より抜粋

 日本医師会の内田健夫常任理事は6月27日、厚生労働省の2010年度予算概算要求に対する日医の要望について、小児医療分野の一部を明らかにした。当直医や救急担当医、へき地で働く医師に対する人件費補助のほか、小児救急医療の充実、小児デイケア・ショートステイ施設の整備などを求めるとした。(熊田梨恵)
 都内で開かれた日本小児医療政策研究会で講演した。
(略)
■「婦人科検診の無料クーポンは寝耳に水だった」
 このほか講演会の中で、今年度予算で子宮頸がんや乳がん検診の無料クーポンの配布などに216億円が計上されたことについての裏事情を明かし、「我々は全く関与しなかった。どこが関係したかというと、公明党の女性議員が財務省に働きかけて予算を付けた。厚労省も全くその話を知らず、寝耳に水ということで、現場の体制が全く整っていない中でいきなり金だけぽんとついてクーポン券が配られたということ」と述べた。

医療の問題に関して所轄する省庁であるはずの厚労省も何も知らないままに勝手に予算がついてしまうというのは何とも面白い話ですよね。
「別に患者の利益になることなんだし、良いことじゃないの?」と単純に考えてしまいそうなんですが、問題は財務省にはこうした婦人科検診をやっている施設なりに全くツテはないわけですから、現場との連絡がどうなのかとは気になるところですよね。
しかも直接の所轄省庁ですら知らされていないような話ですから、現場にとっては全く聞いてないよ状態だろうとは誰でも判るようなもので、そもそも船頭多くして船山に上るとはこういう現象を言うものかとも思わされる話ではあるわけですね。

最近は医療政策というのは結構目玉になるくらい社会の注目度も高くなってきているわけですが、実は国が思いつきで(?)何やらそれらしい政策をでっち上げたはいいが、現場がその対応に四苦八苦するというのはこれに限ったことではなく結構多いものなんですね。
例えばひと頃妊婦健診も受けていない妊婦が産気づいていきなり病院にやってくる「飛び込み出産」だなんて騒がれたことがありましたが、未収金のリスクなどと言う以前に何より妊婦と胎児にとって非常に危険な行為であるのは言うまでもありません。
そもそもこんなことが起こるのも妊婦健診の公費補助が回数が限られているせいだということで、最近になってちゃんと全部の健診を公費で受けられるようにしようなんて言いだしたはいいんですが、それがまた例によってトンでもない二階に上げてハシゴを外す状態で現場が大迷惑しているという話があります。

25時:2年間だけ? /宮崎(2009年6月29日毎日新聞)

 妊婦健診を受ける際に行政が助成する額(公費負担)が、市町村によって1人当たり(14回)6万円台~9万円台と格差があることを11日付本紙で報じた。裏返すと、妊婦が住む地域によって自己負担に差が出るということだ。公費負担を巡って問題はもう一つある。現在の公費負担水準は今後2年間しか維持できそうもないことだ。

 国は「妊婦健診は14回受けるのが望ましい」と推奨している。従来、公費負担は市町村のみが負担していた。しかし財政難にあえぐ市町村が単体で14回分の公費を出すのは困難。そこで昨年度の経済対策で、国が市町村に補助金を出すことになった。国と市町村が連携して「14回助成」が何とか全市町村で導入されたというわけだ。

 しかし、国が予算を出すのは来年度末までの時限措置。14回分の公費助成を受けられるのは、この2年間に子供を産む人に限られるのだ。県でも市町村でも、国が11年度以降も同様に予算を出してほしい、との待望論が早くも聞こえる。

 健診の公費助成は、さまざまな社会問題解決の糸口にもなる。駆け込み出産を防ぎ、その結果産婦人科当直の負担も軽減する。国に原資がないのは分かる。しかし少子化対策や医師不足対策は長期間での対応が必要で、他の政策にも優先するはずだ。予算措置を2年間に限って済む問題なのか、疑問が残る。【種市房子】

国にしてもいずれ選挙もあることだしそれなりに色をつけたい気持ちも理解できますし、かといって未来永劫とやってしまうとまたぞろ後代につけ払いを押し付けるのかなんて言われかねないしと事情もあるんでしょうが、さすがに誰が考えてもちょっとどうなのよ?と思うような話じゃないでしょうか。
先のことばかりで目先の問題に対処できないでもいけない、目の前のことに縛られるばかりで将来に無頓着でもいけない、それらのバランスをきちんととった上で皆それなりに文句はあるけれども我慢は出来るという政策が出てくるのならいいのですが、どうもこういうことばかりやられているとお上に対する信用度は急降下していくばかりですよね。

今の時代に「アンポ!ハンタイ!」なんて国を挙げて大騒ぎするようなこともさすがにないんでしょうが、司令部がアレであるほど現場はせずともよい余計な苦労を背負い込むことになるのはいつの時代も変わらぬ真理なんですから、おいおいしっかりしてくれよと言いたくなるのは仕方のないところでしょう。

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コメント

「お上のなさる事に間違いなどない」

いや、ではなくて

「お上のなさる事に正しいことなどない」

と世論がなっていることのほうが逆に問題だと思います。

投稿: 京都の小児科医 | 2009年7月 2日 (木) 18時53分

こと医療行政に関して言うと、国民からの信頼度が向上するような話は絶えて久しく聞いたことがないような…(苦笑)

投稿: 管理人nobu | 2009年7月 4日 (土) 12時11分

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