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2009年6月25日 (木)

あちこちで顕在化するほころび、「みんな貧乏が悪い」?

先日お伝えしました「骨太の方針」による社会保障費抑制政策撤回?!という話題で、早くもマスコミの方からは大ブーイングが起こっているようです。
もちろん財政状況の厳しい中でもあちこち公的支出を求めているところは幾らでもあるわけですから、「放漫財政」「財政改革逆行」と批判する余地は多々あるところではありますよね。
しかし与党批判もよいのですが、野党民主党の方が、この方面ではもっとラディカルなことを言っているように聞こえるんですが…

社説1 改革も財政規律も後退した「骨太方針」(2009年6月24日日経新聞)

 中長期の視点で日本経済の体質強化を考えるからこそ「骨太」なのに、これでは名前負けではないか。麻生政権で初めて決めた「経済財政改革の基本方針(骨太方針)2009」は、衆院選を前に与党内で強まる改革路線への反発を映し、歳出抑制を後退させた。経済成長を促す改革のメニューも不十分だ。

 骨太方針は小泉政権から経済政策や予算編成の指針となった。当初は政治家や省庁の既得権益を超え、首相主導で構造改革に取り組む突破口だった。郵政民営化や、06年度に決めた歳出改革方針がその例だ。

 麻生版の「骨太」は官から民への流れで政府をスリムにする路線と一線を画し、「安心」に軸足を移した。経済の危機に加えて「社会の危機」を指摘し、年金や医療など社会保障の強化や低所得者支援の給付付き税額控除の導入にも触れた。

 景気の立て直しは最優先の課題であり、なお一時的な刺激策が必要かもしれない。雇用や社会の不安への対処も大事だ。それでも深刻な財政悪化を考えれば、歳出の無駄を根本から洗い出し、出費を抑える努力が不可欠だ。骨太方針はこの点をもっと明確にすべきだった。

 骨太方針は日本医師会などの意を受けた自民党の族議員の反発で、10年度予算編成での歳出抑制路線を修正した。与謝野馨財務相は年1兆円以上にのぼる社会保障費の自然増を2200億円圧縮する歳出抑制策を10年度は撤回すると表明し、党内の了承にこぎ着けた。

予算の総額確保を優先すれば、医療分野などの制度効率化は二の次になる。重複検査の是正や後発医薬品の使用拡大など、質を下げずに医療費の膨張を抑制する余地はある

 骨太方針は原案の「改革努力を継続する概算要求基準」を修正し、「昨年度とは異なる」要求基準を設けると記した。公共事業費や他経費の削減に抵抗が強まる可能性があるが、抑制基調を堅持すべきだ。

 税収減や大型景気対策の結果、11年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字にする従来の財政目標は10年近い先延ばしを迫られた。ここで歳出のタガが外れれば、財政の持続性に不安が募りかねない。

 日本経済の地力を高める方策は踏み込み不足が目立つ。規制改革は現行の3カ年計画の追認にとどまり、成長戦略も太陽光発電や介護強化、ソフトや観光といった分野を羅列したにすぎない。危機が一服しても厳しい国際競争は続く。「開かれた経済」を基本に日本全体の成長力を強化する戦略こそが、いま大切だ。

政権末期? やりたい放題の族議員 社会保障費抑制も撤回(2009年6月23日産経新聞)

 政府の経済財政改革の基本方針(骨太の方針2009)は23日夕の閣議で決定されたが、厚生労働関係議員らの激しい抵抗で、歳出改革のひとつの柱である社会保障費の抑制が撤回された。自民党内にはここにきて、衆院選対策を口実に族議員の言動が目立ってきているが、皮肉にも麻生政権の弱体化や自民党不信を招くことにもなっている。

 「族議員の方々はやりたい放題だ」

 「骨太の方針09」の策定にかかわった政府関係者は、“党高政低”となっている最近の自民党の情勢にため息をついた。

 5月には、経済財政諮問会議で厚生労働省分割とともに幼保一元化の検討を進める話が上がると、幼稚園と保育所のそれぞれの業界に関係する文教族と厚労族が激しく抵抗した。特に文教族は、森喜朗元首相までが押さえ込みに入り、麻生首相が「最初からこだわってない」と発言したことで検討が先送りされた。

 官邸筋は「幼保一元化をつぶしたことで、何でもやれると思っているのではないか」という。

 厚労族は総務会でも強硬姿勢を通し、「骨太09」の政府原案にあった社会保障費抑制の方針を示した「骨太06」を踏襲するという文言を削除するよう攻め立てた。今回も政府側は、「骨太06」の言葉を残すのと引き換えに、平成22年度予算では「社会保障の自然増はそのまま認める」などとする与謝野馨経済財政担当相の「一筆(いっぴつ)」を取られてしまった。

 また、自民党農林部会と総合農政・林政両調査会は23日、国有林野事業の一部独立行政法人化の凍結を求める決議まとめたが、18年に成立した「行政改革推進法」による独法化にブレーキをかけた格好だ。

 族議員が大義名分に掲げる「旗」は衆院選対策だ。日本医師会など自民党と関係の深い関係業界の支持が得られないと言って抵抗する。政府側も「喫緊に選挙があることをまったく意識しないとは言わない」(河村建夫官房長官)とし、抵抗を抑えられずにきた。こうした族議員の言動について官邸筋は「麻生政権の弱体化と自民党不信につながり、自らの首を絞めていることに気付かないのか」と首をかしげる。

 中川秀直元幹事長は23日、都内で「『骨太09』がしっかりと後世の批判に耐えうるものにしていただきたい」と牽制(けんせい)した。(今堀守通)

骨太09 “骨抜き”で大増税残る 「財政再建」「保障修復」追ったが(2009年6月24日産経新聞)

 23日に閣議決定された経済財政の基本方針「骨太の方針2009」は、「財政再建」を進めなければならないが、安全安心社会の実現のため、歳出増大を伴う「社会保障の修復」にも取り組むという相反する“二兎”を追った結果、国民に増税による負担だけを求める内容になった。財政再建に不可欠な「歳出削減」は総選挙を控えた与党の族議員の圧力で骨抜きとなり、税収増につながる「成長戦略」も中途半端で、負担増への理解は到底、得られない。(田端素央)

 「医療や介護の現場の声を聞かざるを得ないのが政治の現実だ」

 記者会見した与謝野馨・財務・金融・経済財政担当相は、社会保障費の抑制撤回に追い込まれたことをこう説明した。

 麻生太郎首相も23日夜、「政府は小さければ良いという発想から転換しなければいけない」と述べ、これまでの財政再建路線からの転換を鮮明にした。

 今回の骨太09について、与謝野氏は、経済対策の大盤振る舞いの後に、「財政再建の道筋をきちんと示す必要がある」と位置づけた。また、麻生首相は「中福祉・中負担」が持論だ。骨太09でも、「短期は大胆に、中期は責任」を掲げ、景気対策などによる財政悪化のツケを将来世代に回さないため、「増税」の文言はないが、国民が応分の負担を負うことの必要性を強調している。

 実際、新たに設定された財政再建目標を達成するには、「2017(平成29)年度までに消費税率を12%に引き上げる必要がある」との政府試算も示した。

 総選挙を控え、積極的な財政出動をぶち上げる一方で、財源については「4年間は消費税は上げない」とする民主党とは違う“責任政党”をアピールしたい首相や与謝野氏の思惑が色濃くにじんでいる。

 しかし、国民の納得を得るため、政府が自ら血を流す行財政改革による「歳出削減」には、ほとんど踏み込んでいない。さらに、規制緩和など痛みを伴う構造改革などによる成長戦略は、小泉路線への反発からむしろ大きく後退した。

 厚生労働省分割などは与党議員の反発で早々と頓挫。また、大きな目玉になるはずだった減反の見直しも族議員の反発から具体的な文言は盛り込めなかった。政府内からも「痛みを嫌う既得権者につぶされた」(経済官庁幹部)との声が上がっており、“骨抜きの方針”の様相を呈している。

新聞報道だけ見ていると医師会ってすごい権力を握ってる団体のように思えてくるから不思議ですよね(苦笑)。
料理なら骨付きでも骨抜きでもうまけりゃいいという考え方もありますが、政治の方ではどうかと言えば残念ながら国の社会保障抑制政策は確実に地方へのしわ寄せとなって現れてきています。

たとえば先日もお伝えしました国保崩壊間近という話題ですが、毎日新聞の調査によれば全国自治体から「国費投入の削減はもう限界」と悲鳴が上がっているという状況のようです。
国保崩壊となればことに地方低所得者層では無保険者の増加が問題となってくるのは当然予想されることですが、昨今の不景気で失業率も高くなっているという状況もあってか医療費を支払わないという「未収金問題」がますます厳しいものとなってきています。

以前にも書きましたとおり本来医療機関が支払いをうながしても患者側から支払いがない場合、保険者の側が代わって徴収するということが法的に定められていて、これを「保険者徴収制度」と言います。
最近では医療機関の側でもようやく世間並みに債権回収をしていくべきなんじゃないかという当たり前の常識に目覚めつつあるようですが、それでも支払いがない場合には当然この「保険者徴収制度」に従って対処されるべきであるのに、実際にはこの制度が全く機能していないという状況が続いてきたわけです。
病院側にしても今や未収金など抱えて経営が立ちゆくような状況ではありませんから死活問題ですが、ようやくここに来て保険者側に多少なりとも動きが出てきたようなんですね。

医療費踏み倒し、市町村が回収=病院の自助努力「限界」-来年度から・厚労省(2009年6月24日時事ドットコム)

 厚生労働省は23日、病院の入院費用などを踏み倒す悪質な患者が増加しているため、2010年度から国民健康保険(国保)を運営する市町村に対し、未払いの医療費が一定額を超えるなどの基準を満たした場合、財産の差し押さえを含む回収を求めていく方針を固めた。医療機関の自助努力による回収が限界に来ていると判断した。正式実施に先立ち、今年度中に複数の市町村でモデル事業を展開する。
 国民健康保険法には、患者が支払わない医療費を、国保の運営主体である市町村が医療機関に代わって回収する「保険者徴収制度」が規定されている。しかし、医療機関の自助努力を前提としている上、市町村側が「医療機関の回収努力が不十分」といった理由で要請を拒否するケースが少なくない。厚労省の調査によると、06年度に医療機関から保険者徴収の請求を受けた自治体は34団体、回収額は約33万円にとどまり、事実上機能していない

このあたり、「金がないから払えないのに財産差し押さえなんて…」と思われる方もあるかも知れませんが、多くの医療現場の実情はいささか異なります。
と言いますのが、金がないから支払いが出来ないということを自覚している方々というのは元々後ろ暗いところがありますから、ほとんどの場合夜間救急に飛び込みでやってくるといった「一見さん」ばかりで、実際の未収金額は件数の割にさほどでない場合が多いわけです。
それではどういう場合に未収金が巨額になるかと言えば、これはもう常連さんが中心となってくるわけで…ま、要するに給食費を支払わない親というものが皆赤貧洗うが如しという状況でもないのと同様、あまり金銭的に困窮してお支払いいただけないという印象の方々ばかりではないということです(控えめな表現)。

モラル低下などとも言ってこれも時代の流れということなのかも知れませんが、それでも金銭の問題で何とかなっているうちはまだよろしいという言い方も出来るわけで、いずれ遠からず医療問題も金でどうこうできる状態ではなくなってくるという声は根強いものです。
一部で見られる「いくら高給を用意しても医者が来てくれない」といった状況は既にその先走りとも思えるところもありますが、今どきそうした状況も認識しないまま安易なことを口走ってしまう方々が未だにいらっしゃるというのもどうかと思いますよね。
個人的にはワイドショーなどで登場される「コメンテーター」なる素人さん達の斜め上な発言って実はとても面白いなと結構楽しみにしている部分もあるのですが(苦笑)、先日も御登場いただいた八幡浜市の新市長さんのように「市長になったら何とかなるかな~って思ってました」ではさすがに責任問題となるのもやむなしというところでしょうか。
そう考えるとマスコミって本当においしいポジションなんだなと改めて思えるところではあるのですが、栄枯盛衰はこの世の常とも言いますから、彼らとていつまで我が世の春を謳歌出来るかは誰にも判らないところですよね。

八幡浜医師不足 市長辞職勧告を可決 /愛媛(2009年6月24日読売新聞)

市議会「公約違反」 大城市長は続投意向

 八幡浜市の大城一郎市長が選挙公約に掲げた「医師3人の確保」のめどが立っていない問題で、同市議会は23日、市長に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。法的拘束力はなく、大城市長は「真摯(しんし)に受け止め、市政運営を一生懸命頑張りたい」と、辞職する意思がないことを示した。

 決議案は都築旦議員(民主)ら3人が緊急提案。「市民の多くは公約を信じて投票した。陳謝はするが公約違反はかたくなに認めない市長の責任は重い」などとして辞職を求めた。採決は無記名投票で行われ、投票した19人のうち賛成が13人、反対が6人だった。

 また、市長が選挙公約に掲げた自らの給料の10%削減、退職金廃止の条例改正案は否決され、副市長と監査委員の人事案件についても不同意となった。

 議会後、大城市長は「誠に残念。自分は公約違反とは思っていないが、批判は真摯に受け止め、(公約の実行に向けて)これからやっていく」と述べた。

 傍聴していた市内の男性(63)は「公約違反なのだから(可決は)当然。市長は自ら辞めるべきだ」と厳しく言い放った。

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「一般会計と特別会計を合わせて国の純支出は212兆円ある。この税金の使い道を抜本的に改める。『国民の生活に何が大切か』という基準で、すべての予算を組み替えれば約1割の22兆円は捻出できる。」
←→「税金の使い道を抜本的に改めれば1割捻出できるらしい。どのようにして1割を捻出するのかを答えてくれないから、僕は問いたい。どうして2割や3割ではなく1割なのか。何を根拠に1割だったらできて(略)」


「日本の財政状況を考えて、この国で許される選択肢は負担増か歳出削減しかないとします。この時、この国で負担増を国民に求めれば政権は吹っ飛ぶと判断した勘の良い政治家には、歳出削減しか途は残されていないことになります。さてこの状況下で、彼ら政治家にとって好都合な情報戦略、キャンペーンは?・・・霞ヶ関を叩きに叩いて大衆に官僚を憎ませ、正義はわれら政治家に有りと国民に信じ込ませることでしょうね。メディアをはじめとした国民はエリート叩きを大いに喜びますし、政治家は負担増を求めるリスクから大いに解放されますから」

投稿: | 2009年6月25日 (木) 15時40分

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