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2009年6月 6日 (土)

新型インフルエンザ、社会の関心的には下火ですが…

最近すっかり話題にもならなくなってきた新型インフルエンザですが、着実に感染者数は増加をしています。
特に今回の場合発熱があまりない、消化管症状が多いなど通常のインフルエンザと症状がかなり異なると言いますから、ひと頃のように大騒ぎをしないだけ市中医療機関でそうとは知らずに治療されている患者も多いのではないでしょうか。
何にしろ確定患者数は言うまでもなく、「インフルエンザ様症状」を呈する患者数で発生動向を把握しようとすると実態を見誤る可能性があると考えておくべきだと思いますね。

国内での新型インフル感染者は402人に(2009年6月5日CBニュース)

 厚生労働省は6月5日の記者会見で、同日午前11時現在の国内の新型インフルエンザ感染確定者が402人になったと発表した。4日午前11時の時点から1人増加した。これで感染者は、成田空港での「水際対策」で確認された8人を含め、410人になった。

 402人の内訳は、大阪府(大阪市、高槻市、堺市を除く)118人、神戸市114人、兵庫県(神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市を除く)54人、大阪市 23人、兵庫県尼崎市20人、大阪府高槻市17人、兵庫県西宮市8人、川崎市、千葉県各6人、埼玉県4人、静岡県(静岡市を除く)、愛知県、大津市各3 人、東京都(八王子市、中央区、墨田区、目黒区、大田区、杉並区を除く)、東京都墨田区、静岡市、京都市、兵庫県姫路市、山口県各2人、東京都八王子市、中央区、目黒区、大田区、杉並区、新潟市、山梨県、堺市、和歌山市、徳島県、福岡県各1人。

新型インフル 関東でも集団感染 披露宴出席の8人(2009年6月4日産経新聞)

 厚生労働省などは3日、千葉県旭市の主婦(29)と川崎市の20~30代の男女3人が新型インフルエンザに感染したと発表した。4人はいずれも1日に東京都墨田区で感染が確認された女性(29)と同じ結婚披露宴に出席。同披露宴に出席した感染者は計8人となり、披露宴で集団感染が発生していたことが明らかになってきた。関東での集団感染は初めて。

 披露宴は30日に東京都内で開催。3次会まで行われ出席者は約80人。このうち28人が濃厚接触者としてリストアップされている。席位置や2次会、3次会への出席状況は調査中で、さらに感染者が広がる可能性もある。

こういう状況になってきますと実質的に感染封じ込めなどと言うのも不可能だと思うのですが、政府にしろWHOにしろフェーズ引き上げと言うことは考えていない様子です。
そうなりますとそろそろあちこちで無理が出てきているのかなと思う話が出てきているのですが、まずはこちら発熱外来絡みの話題から取り上げてみましょう。

新型インフルの波紋:滋賀、発熱外来を縮小 医師不足で維持困難に(2009年6月2日毎日新聞)

 滋賀県は1日、新型インフルエンザ対応の発熱外来を縮小することを決めた。同県内での感染は5月20日の初確認以降3件で、依然として感染を封じ込める「感染初期」にあるが、慢性的な医師不足に悩む医療機関では体制維持が難しいため。

 同県では、4月28日に発熱外来を初めて置き、先月末には20病院で開設していた。病院によっては、救急外来と発熱外来で二重の24時間体制を敷いており、複数の病院が「現状の人員ではこれ以上続かない」と訴えていた。

 県や保健所、病院によると、県内7保健所のうち甲賀保健所管内(2市)では、従来の3病院中1病院が1日、発熱外来を休止。長浜保健所管内(2市6町)でも、2日から従来の2病院中1病院で休止する。これ以外に県内で2病院が休止を希望している。現在4病院に発熱外来がある草津保健所管内(4市)では、時間帯や曜日ごとの交代制も検討中。

実質的にまん延しているだろう状況で公のタテマエに従ってどこまで発熱外来を維持していくべきかもなかなか難しいところだと思うのですが、理屈がどうこうと言う以前に現場では物理的に無理となし崩し的な対応になってきている現状を政府厚労省や自治体がどう見るかですよね。
厚労省としても恐らく今の体制が良いとも考えていないのではないかと思いますが、こうなると当面終息宣言を出せるような状況でもなさそうなだけに、どこまで現状維持でやっていくのか真剣かつ早急に考えてもらわなければ現場も困るということになるでしょう。
万一このまま数ヶ月経過して、そのまま強毒型発生とでも言うことになれば、その頃にはどこの医療機関もすっかり対応する余力も底をついているということになりかねませんが…

厚労省といえばこのタイミングでタミフル絡みの例の異常行動の調査結果が出てきているのですが、これもなかなか解釈の余地がありそうな話ですよね。

タミフル:異常行動との因果関係不明 厚労省研究班(2009年6月3日毎日新聞)

 インフルエンザ治療薬「タミフル」(一般名リン酸オセルタミビル)について、厚生労働省・安全対策調査会の作業部会(鴨下重彦座長)は3日、服用と異常行動との因果関係を示唆する調査結果は得られなかった、との結論をまとめた。近く調査会に報告されるが因果関係の有無は不明だった。厚労省は異常行動の目立った10代に処方を控えるよう医療機関に通知したが、方針変更の根拠は得られなかったとして、その措置は継続する方針を明らかにした。

 作業部会では、06~07年の流行期にインフルエンザと診断された18歳未満の患者約1万人を対象に調べた厚労省研究班の最終報告書が示された。

 それによると、約1万人のうち、異常行動を起こしたのは12%で、飛び降りなど重度の異常行動を起こしたのは0.4%だった。

 異常行動を起こした患者のうち、タミフルを服用していた場合の発生率は、非服用に比べ0.6倍と低かった。重度の異常行動を起こした10代に限定すると、服用した方が1.5倍だったが、報告書は対象者が11人と少なく、「統計的に差はない」と結論づけた。

 厚労省によると、販売開始(01年2月)から今年3月末までにタミフルの副作用で異常行動を起こしたと報告されたのは353人。また、服用者が増加傾向にあるリレンザ(一般名ザナミビル)では167人だった。

 タミフルをめぐっては、10代の患者がベランダなどから飛び降り転落死する事故が相次ぎ、07年3月、厚労省は10代への処方を原則中止する通知を出した。【下桐実雅子】

インフルエンザに関わったことのある現場の人間なら誰でも知っていると思いますが、タミフルを使おうが使うまいがインフルエンザ罹患によって一定の割合で異常行動といったものは発生しますし、おそらくタミフルを使おうが使うまいが発生率に大差はないんじゃないの?という手応えも持っているんじゃないかと思います。
そして恐らく今まで出てきたデータからしてもタミフル使用によって明らかに異常行動のリスクが上がるという印象はなさそうなんですが、こうやって社会的問題として大々的に取り上げられてしまいますと「異常行動?!タミフルを飲んでいた?!やはり危ない薬なんだ!」という世間の率直すぎる反応を完全に否定するのはどんな客観的データを以てしても難しいでしょうね。
これもある意味で「悪魔の証明」問題なんじゃないかなと思うのですが、過剰なタミフル使用に警鐘を鳴らすといったくらいの意味合いでならばともなく、完全否定が難しいだけに何が何でもタミフルを悪者にしたいとか、「薬害許すまじ!責任者出てこい!」と主張したい向きには使い勝手の良いカードであることも確かなのでしょう。

難しいのは新型インフルエンザに対しては例えば妊婦はハイリスクだから積極的にタミフルを使いなさいとCDCにしろ産科学会にしろ公式のコメントを出してしまっていることで、要するに副作用のリスクが100%排除されずとも現状は添付文書の能書きで言うところの「使用による危険性を利益が上回る」状況であると認知されていることなんですね。
もう一つの抗ウイルス薬であるリレンザの方がむしろ異常行動発生リスクという点ではずっと危ないんじゃないかなどと言う話もありますから、社会防衛的に考えてみますとあまりはっきりしないタミフルの薬害なるものをどこまでも言い続けることが最大多数の最大幸福につながるのかという問題も出てくるところだと思いますが…

タミフルの副作用問題に限らず社会として取るべきは「ゼロリスクの追及」ではなく「トータルでの被害を最小限化すること」ではないかと思うのですが、このあたりの「非合目的的な社会反応」というものに対して最近幾つか記事が出てきているようですので紹介しておきましょう。

“社会の暗部”が噴出/横浜 高校生インフルの疑い(2009年5月31日カナロコ)

 「横浜市内の高校生が国内初の新型インフルエンザ感染疑い」。今月一日未明、厚生労働省が緊急会見で明らかにした。「疑い」が晴れたのは、十六時間後。その間、学校は「パニック」に見舞われた。あれから一カ月。生徒を思い、安堵(あんど)の涙を流した校長の胸にはしかし、言い得ぬ恐れが深く沈んだままだ。あの日、目の当たりにしたのは、すぐそこに潜む社会の暗部-。

■犯人捜し

 校長は、いまも不思議に思っていることがある。

 「厚労省の発表は校名を伏せていた。それがなぜ広まったのか」

 舛添要一厚労相が会見場に姿を見せたのは午前一時三十五分。その二十分前、インターネットの匿名掲示板では、すでに”犯人捜し”が始まっていた。

 「横浜の私立高校」「四月十日から二十五日にカナダへ修学旅行」

 テレビの速報の断片的な情報を基に、書き込みが重ねられた。「日程で特定できそうだな」。そして二百二十五件目。「この時期カナダは○○○○(学校名)だろ」。会見が始まる五分前のことだった。

 「その十分後です。報道機関から(校長の)自宅に電話がかかってきた。それからほぼ十分おきに三、四件。私の電話番号まで、どこで調べたのでしょうか

■パニック

 校長がタクシーを飛ばして学校に駆け付けると、そこにはすでに報道陣約四十人が詰め掛けていた。アンテナを立てた中継車、上空にはヘリコプター。駆け付ける教員を、待ち構えたカメラが追った。

 「まさにパニックだった」

 明けて朝。学校周辺の薬局からマスクが消えた。「生徒がどの交通機関を使っていたか教えろ。うつされていたらどうするんだ」。電話口で声を荒らげる、近隣に住むという匿名の男性。

 「業者が調べたところ、学校のホームページに一時間で千百三十万件のアクセスが殺到し、パンクしていた。二百万人がつながらない状態だったそうです」

 模擬試験に申し込んだ生徒について、受験業者から「外出自粛なら受けに来ませんよね。代金は返しますから」と、念押しするような連絡が入った。

■抗  議

 「教員によると、他校の部活動の顧問から『大会でおたくと対戦することになったら、うちは棄権する』と言われたそうです」

 暗に学校を非難する圧力が、教育関係者からもかけられた。

 生徒の「疑い」は晴れたが、同様に北米研修に参加した残りの五百五十三人の健康に不安があるとして、休校が決まった。問題は部活動だった。大会に出られない三年生は、「最後の試合」を迎えることなく引退することになる。

 「一部の生徒は泣きながら校長室に直談判にやってきた。保護者もです。つらかったが、周囲の状況を考えても(出場という)選択の余地はなかった」

 十二日、校長はホームページにメッセージを載せた。「声を大きくして訴えたい。すべての生徒、ご家族、先生方、学校そのものが被害者だったことを」

 疑いの段階で詳細を公表した厚労省と横浜市、過熱した報道、ネットを介してパニックを増幅させた社会への、ささやかな抗議だった。

■不  安

 教諭によると、当該の生徒は「明るい性格。もう忘れたかのように振る舞っている」。心配されたいじめなども報告されていないという。

 新型インフルエンザは弱毒性と分かり、事態は沈静化しつつある。しかし-。

 「七月に米国、カナダの高校生を生徒の家庭でホームステイさせることになっている。どれだけ引き受けてくれるのか」

 保護者には予定通り実施する通知を出した。校長はまだ、どんな反応が返ってくるのか測りかねている。

ウの目タカの目・紙面審だより:新型インフルへの過剰反応(2009年6月4日毎日新聞)

 ◇メディアの責任検証を

 5月は新型インフルエンザに関する見出しがしばしば1面で躍った。弱毒性だが社会に与えた影響は大きかった。特に感染者を出した高校に「抗議」の電話やメールが相次ぎ、差別や偏見と受け取られる言動もあった。

 本紙は22日の東京朝刊で、感染した女子高生の母親が「ネットの中傷で娘が自殺するかもしれない」と感染の疑いの段階では公表しないよう川崎市に要請していたことを紹介、感染者を差別するネットの陰湿さを書いた。

 これに対し、元外務省医務官の精神科医が「医学的には弱毒性だが、心理的には強毒性だ。未知のものへの不安から自分を守ろうとすると、いじめや排除が起きやすくなる」「いじめを恐れて受診しない人が増えれば、毒性が強まった時に大変なことになる」と訴えた。

 今回の新型インフルエンザ問題の本質に迫る指摘だ。「こんな記事は西部紙面でも積極的に使ってほしい」と紙面審は注文した。

 23日の本紙朝刊オピニオンの欄で専門編集委員が「新型インフルエンザ騒ぎ」の見出しで「社会の過剰反応に対するメディアの責任は大きい」と書き込んだ。紙面審は、結果的に危機感をあおった報道や感染者バッシングのような日本社会の問題を検証し、再流行に備えることを確認した。

 23日朝刊1面のトップは「税収下振れ2兆円超」の見出し。08年度の国の一般会計税収が、昨年12月の補正予算時点で見積もった46兆4290億円から2兆円以上「下振れ」することが分かったとの記事だ。「『下振れ』との経済用語は一般の読者には分かりにくい」と紙面審は提起した。

 出稿元は東京。西部本社経済部は「数値や指標が想定より下がるという意味。単純に『下がる』『下回る』でもいい」と説明した。経済記事が読者に難しい印象を与えないよう、今後はできるだけ分かりやすい表現に言い換えることにした。

 28日朝刊で「沖縄の県立高校長が押印を間違い、合格点の生徒が不合格」の記事を社会面トップに置いたことを紙面審は評価した。高校受験の合否を巡るミスは今春、全国的に起きた。「受験生の人生を狂わせたミスで、背景をしっかり探ってほしい」との注文も出た。【紙面審査会幹事 松田幸三】

何かこう、毎日新聞あたりにに正論めいたことを吐かれると、半ば条件反射的に「お前が言うな!」と返したくなる方々も多いんじゃないかと言う気もするんですが気のせいなんでしょうか(苦笑)。
正論を堂々と口に出来る人間というのは確かにご立派なんだろうと思いますが、それだけにその人には他にも増して立派な人であるべき責任があるんじゃないかなとも思うんですよね。
瀬戸際に追い詰められた毎日新聞の反撃と快進撃がここから始まった!なんてサクセスストーリーがこの後始まっていくということであれば、まともな新聞を読めるようになる国民にとってもこんなありがたい話はないわけですから、ここは生暖かく彼らの有言実行を見守っていくべきなのでしょうか。

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6月17日に茨城県内で「新型インフルエンザ」が確認された様です。私は、1週間後の... [続きを読む]

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