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2009年6月22日 (月)

PFI方式公立流行の行き着く先は

公立病院はどこも赤字に喘いでいるのが現状ですが、自治体病院を管轄する総務省では公立病院に特例債発行を認める見返りに黒字化を目指した改革プランの提出を求めてきたことは以前にも何度か取り上げてきた通りです。
これを受けて当然ながら全国各地から「うちはこうやって黒字を目指します」と改革プランが出されてきたわけですが、「でもやっぱり無理だよね」という何ともトホホな記事が先日出ていました。

公立病院6割が黒字化困難 /広島(2009年6月16日中国新聞)

 公立病院の健全経営を図るため、国が全国の自治体や企業団に作成させた「改革プラン」によると、広島県内の19公立病院のうち約6割の12病院が、国が求める2011年度までの経常収支比率の黒字化を達成できないことが分かった。各病院は事業の見直しや経費削減を打ち出すが、抜本的な改革にはほど遠い状況だ。

 プランは三次中央病院(三次市)を除く18病院が提出した。各病院が改革プランに示した黒字化の目標年度をみると、国が目安とする3年以内の達成を明記したのは6病院しかなかった。うち、みつぎ総合病院(尾道市)と湯が丘病院(府中市)は既に黒字経営。赤字から転じる見込みは、尾道市立市民病院▽ 豊平病院(北広島町)▽下蒲刈病院(呉市)▽西城市民病院(庄原市)だった。残る12病院のうち11病院は、それぞれ15年度までの黒字化を目指す。

 3年以内の黒字化目標が難しい理由について、県県立病院課は「診療報酬のマイナス改定が2年に1度続くなど、経営環境はそもそも厳しい。病床数を削るなど血のにじむような努力をしているからこそ、現実をシビアに見ざるを得ない」と強調する。

 さらに、深刻化する医師不足により、特に過疎地域の病院が診療体制の縮小を余儀なくされ、経営を圧迫される恐れがある。

医師不足医師不足と連呼するなら身の丈にあった規模にまで縮小していけばよかろうにと思うのですが、どうも「現実をシビアに」なんて格好良いことを言っている割にはまだまだ理念が先走っている気配なきにしもあらずと言ったところでしょうか(苦笑)。
公立病院の場合は地域の需要や施設としての適正運営規模とは無関係に求められるまま万屋的に手を広げすぎているようなところが昔からありましたが、結局それで泥をかぶってきた現場の医師達がそろそろつき合いきれなくなってきているわけですよね。
数少なくなったスタッフで今まで以上に働かせようと酷使するから更に逃げ出す、挙げ句に「国の医療政策の間違いだ!医者をよこせ!」と責任転嫁する、これも現場の声をことごとく無視してきた結果と言えばその通りではあるのでしょう。
しかし住民の税金で運用される施設で無茶をやった結果、結局は回り回ってそのツケはスポンサーかつ受益者たる住民自身に返ってきたということですから世の中よくしたものだと思いますが、この機会に何が本当に悪かったのかもう一度我が事として考え直してみるのもいいかも知れませんね。

先日も正常分娩をやるといった話題で少しばかり取り上げました福岡市の市立こども病院の件ですが、今度はPFIを見直すんだそうで、ずいぶんと迷走しているのかなと感じさせる話が続きますね。

こども病院 起債で建設、福岡市がPFI見直し(2009年6月17日読売新聞)

 福岡市立こども病院・感染症センターを博多湾の人工島に移転する計画で、市は新病院の整備費について、約半分に民間資本を充てる当初計画を見直し、全額を市の起債で賄うよう検討していることを明らかにした。新病院の建設や運営に民間の資本や手法を活用するPFI方式を導入する方針だったが、建設については利点が小さいと判断した。

 PFIは公共施設の建設や運営を民間に委ね、国や自治体が費用を返済する手法。市はコスト削減などを目的に導入する方針を公表していた。

 しかし、世界的な不況で経済情勢が不透明となっていることに加え、滋賀県の近江八幡市立総合医療センターがPFI契約を途中解除するなど、先行導入した他都市で見直す例が出ていることから、PFI対象業務の絞り込みを進めることにしていた。

 施設整備費は約100億円を見込んでいる。整備費全額を起債で調達した場合、民間資本を導入する場合に比べて返済のペースが平準化される利点がある一方、利息の増加も見込まれるという。市は9月議会までに収支の試算をやり直し、最終的な方針を決める。

公立病院の一床当たり建設費は民間の二倍だなんてことを言いますから「民間並み」でやれるならそれはそれでメリットはあるのでしょうが、どうやったら実際にどれほど安くなるのかという明確な比較検討を行ってからの話でなければ画餅というものでしょう。
そもそも全国公立病院でこれほど流行っているPFI方式でうまくいったという話が未だにほとんど聞こえてこないわけで、万一にも単に中間搾取業者を増やしているだけなどと言うことであればこれは非常に問題なのかなと思うのですが、具体的に何が原因でどうしてうまくいっていないのかという検証をあまり見た記憶がありません。
このあたりはPFIの先進地たる高知医療センターもとうとう駄目になってしまったということで、何かしら今後情報が出てきてくれないものかなと注目しているところではあるのですが、当面は記事からそのあたりの背後事情を想像してみましょう。

高知医療センター PFI解約協議入り(2009年06月17日朝日新聞)

 民間の資金やノウハウを公共施設の建設・運営に活用するPFI方式を採用した高知医療センター(高知市池)をめぐり、運営主体の県・高知市病院企業団と委託先の特別目的会社(SPC)がPFI契約の解約に向けた協議に入ることになった。企業団の山崎隆章企業長は16日、企業団の臨時議会で、SPCの「高知医療ピーエフアイ」と「協議のテーブルにつく」と表明。秋ごろまでに基本合意し、来春から病院運営を直営化したい考えを明らかにした。

 企業団によると、同センターは県立中央病院と市民病院を統合して05年3月に開院した。PFI事業契約は02年12月に締結され、SPCが病院や職員宿舎などの施設を建設。30年間にわたって包括的な委託を受け、経営の効率化を図ることになっていた。

 当初の計画では、医業収益に占める医薬品などの材料費を23・4%に抑えるコスト削減などで、11年度からの黒字化を見込んでいた。また、公立病院の経営改善に関する総務省の改革ガイドラインでも、11年度からの黒字化を迫られていた。実際には材料費の比率が30%を下回らなかったため、企業団はSPCに経営改善を強く求めていた

 この日、SPCの間渕豊社長は「11年度の黒字化のため、契約を継続しないことで経営改善を図ることも選択肢の一つとして提案した」と説明。「医業収益は伸びており、時間をかければ(黒字化の)自信はあるが、短期での成果を求められると難しい」と語った。

 尾﨑正直知事は「SPCの提案はこれまでの企業団側の協力要請に応えていただいたものだ」。岡﨑誠也市長は「高知医療センターは将来も安定的な経営をしていくことが大切だ」とコメントした。

高知医療センター:企業団が表明、PFI解消へ 公費負担軽減のはずが… /高知(2009年6月17日毎日新聞)

 ◇民間委託先の「撤退」提案受け

 全国初のPFI病院、高知医療センター(高知市池)が開院5年目で頓挫した。センターを運営する県・高知市病院企業団が委託先の特定目的会社(SPC)「高知医療ピーエフアイ」の提案を受け、PFI契約の解除に向けた検討を始めると16日表明した。「契約終了が経営改善につながる」という企業団。公費負担軽減が目的だったはずのPFI方式による病院経営は一体どうなってしまったのか。【服部陽】

 ◇堀見院長「診療は継続」

 「契約終了に向けた協議のテーブルにつくことにした」。16日、センターであった企業団議会の席上、山崎隆章企業長が淡々と表明した。

 「経営改善にはSPCが業務を離れることも一つの方法だ」とSPCから企業団に非公式に契約解除の打診があったのは5月中旬。赤字経営に悩む企業団はこれまで「現状ではPFI事業を続ける意味がない」と分析してきた。さらにSPCに支払う年間約5億円の諸経費もネックになっていた。6月8日に正式な打診を受け、企業団は応諾した。

    ◇

 PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)は自治体の負担軽減を目的に民間の資金や経営ノウハウを活用し、公共施設整備などを行う手法。医療センターの場合、オリックスなどが出資するSPCが医療行為以外の建設や薬品調達、給食サービスなどを担い、契約額は30年間で約2130億円。県・市直営よりも177億円の縮減が見込まれていた。

 しかし、05年の開院以来、医業収益は伸びたが、経費も増加。昨年度の決算見込みでは約21億円の赤字になり、開院以来の累積赤字は約80億円に上った。昨年度末には約7億6000万円の資金がショートし、県と高知市が資金援助する事態に。企業団議会は、企業団に早期の経営改善を迫り、「契約解除も視野に」と圧力を強めた。

    ◇

 不採算でも公共に必要な部門を抱えるため、赤字になりやすい公立病院。PFI事業で期待されたのは、SPCが調達する薬品や消耗品など材料費の削減だった。PFI契約時には医業収益(入院、外来収益)に占める目標比率は23・4%とされたが、開院以来30%程度で推移している。SPCの間渕豊社長は材料費の削減が進まない理由について「入院診療単価が当時の想定より高くなった。高度医療の提供には薬品なども高額になる」と説明する。

 企業団は昨年、国が定めたガイドラインに従い「公立病院改革プラン」策定に着手。11年度の黒字化を目指し、8億7000万円の経費削減を見込んだ。うち6億円はSPC分。材料費削減に加え、SPCが業務を委託する協力企業に支払う委託料削減も求めた。

 これに対しSPCは「ご要請に応ずることは困難」と返答。PFI効果についても「(30年の)事業期間全体を通じて算定するもの」と主張した。委託料削減でも「協力企業側が業務受託の辞退も検討せざるを得ない」との認識を示し、両者の意見は平行線をたどった。

    ◇

 「何の見直しもせずにPFI事業を続けることは困難だ」。今年1月の定例会見で尾崎正直知事は踏み込んだ発言をした。会見の数日前、知事はSPC主要株主のオリックス不動産の西名弘明会長を訪ね、経費削減への協力を要請していた。結論は企業団とSPCが事業体制をもう一度見直す--。実質的に契約は白紙に戻った。

 こうして始まった両者の検討作業だったが、4回目の会合でSPCが撤退を提案し、PFI事業の頓挫が決まった。企業団とSPCは今後、今秋の契約解除基本合意に向け詰めの作業に入る。内容は「金銭的な話が中心になる」(企業団)といい、解約金などの調整を進める。

 公立病院で全国初のPFI解消となった近江八幡市立総合医療センター(滋賀県)の先例では、自治体側に解約金約20億3500万円に加え、建物など施設の買い取り約118億円の費用が発生した。

 山崎企業長は「結局、材料費23・4%の見通しがつかず、契約時の提案はどうだったか、またPFI事業を検証していきたい」。堀見忠司院長は「契約解除によって医療現場や県民に影響することはない。従来通りの診療体制を遂行するので安心してほしい」と呼びかけている。

    ◇

 契約解除について尾崎正直知事は「今後は企業団が直接的に業務を運営し、徹底した経費削減で、安心して利用できる医療センターとして経営改善が進んでいくと考える」とコメント。岡崎誠也市長も「SPCが業務から離れることで企業団の責任と役割がより重要になる。県と連携し、できる限りの支援をしていきたい」との談話を発表した。

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 ■視点
 ◇官と民、信頼関係はあったのか

 「企業団とはパートナーという認識で協議を進めたい」。以前、SPCの間渕豊社長は取材にこう答えていた。しかし、結論は事業からの撤退。契約解除の背景には企業団とSPCの間に考え方の違いがあった。

 端的なのは薬品など材料費の23・4%を巡る議論だ。短期間での収支改善を目指したい企業団は「契約として守るもの」。一方で契約期間(30年)での達成を主張するSPCは「あくまで目標」と応戦した。官民協働をうたうPFI事業。両者の言い分はあるだろうが、打開策を見いだせずに終わり、果たして信頼関係は構築されたのか、疑問が残る。

 「経営改善」という大義名分による契約解除だが、県・高知市直営だからすべてうまくいくとは限らない。山崎隆章企業長も「収益増を図り、いかに経費を削減するかだ」と今後の課題を挙げた。

 県内の高度医療を担う病院として県民に不可欠な医療センター。医療水準の維持は当然だが、「PFIとは何だったのか」を十分に点検し、直営化をきっちりと見据える必要がある。【服部陽】

<視点・直言> 高知医療セPFI解消協議(2009年6月18日読売新聞)

直営化しても残る課題

 23・4%――。医業収益に占める、医薬品などの材料費比率の目標値だ。民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を、高知医療センター(高知市)へ導入する際に、この数値を下回ることが期待された。

 しかし、2008年度決算見込みでは28・8%と、開院以来上回り続けた。達成できないことを巡り、特定目的会社「高知医療ピーエフアイ」と県・高知市病院企業団が協議していく中で、互いに不信感が広がっていった。最終的には、PFI事業契約の解消協議に入ることに、つながったといえる。

 16日の企業団議会。解消協議について報告を受けた議員は「来るべき時が来た」「身を引くことでしか相手にメリットを与えられなかったと言うことだ」と、冷ややかな意見を述べた。一方、契約終了を打診したピーエフアイの間渕豊社長は「経費のことばかりおっしゃるが、収入があって支出がある」「PFI事業だけで経営改善されるというのはいかがか」と述べ、収益増よりも経費削減が先行したかのような議論に不本意さをにじませた。

 両者の間に入ったヒビを大きくした背景には、総務省指針を受けた企業団が短期間での黒字化を求め、ピーエフアイ側が応じきれなかった一面がある。そうした国の政策を含め、医療の高度化など「医療の環境や政策の急激な変化」(間渕社長)もあった。

 契約を解消すれば、企業団は、経営改善に単身向き合わなければならないことになる。「直営化」によって一部コストを抑えられるかもしれない。しかし、課題の解消にはならないことを、企業団は念頭に置くべきだ。(畑本明義)

「仕入れが高くついてるよ。約束と違うね。どうするの?」
「契約を続けないってのもいいんじゃない?」
「あ、それいいね。僕らもそう思ってたんだ」
「ずっと安定経営でいかないとね」

発言者の属性を省略してみると誰の発言かと思うようなやり取りですが、何かしら当事者である知事や市長らをはじめとする関係者一同の妙に他人事なコメントが素敵で、思わず後ろに「(棒」とつけたくなりますよね(苦笑)。
オリックスさんとしても既に十分利益は挙げたし、色々とよからぬ話ばかり表に出てきて企業イメージのダウンも避けられないしと、さすがにもう潮時と悟ったということなんでしょう。
そういえばかねて企業の病院経営参加を画策しているとも噂されるオリックスの宮内義彦会長(当時)は「どんな分野でも民間がやれば、赤字にはならない」と豪語したそうですが、高知新聞あたりが今回の件についてコメント取りに行ってきてもらえませんかね?

しかしこうして記事からつらつら眺めておりますとオリックスに限らず、やはりそれぞれが他人に丸投げで後は知らないという態度が見え隠れしてくるような気がしますね。
民間を入れれば勝手に黒字にしてくれるだろうなどと考える自治体側も自治体側ですが、守れもしない数字を出して契約を受ける側も詐欺まがいの行為だと非難されても仕方がないかなという気もしてきます。

このあたりは具体的に契約の内容がどうだったのか詳細が判りませんが、どうも何を義務とするかと言った契約の詳細の部分で全く適当に話が進んでいたのではないかなという気もしてきます。
医療は確かにどんぶり勘定の部分も多々あるし医者も細かいコスト計算の苦手な人間が多いですが、そこに自己の利潤を上げることが目的の「部外者」を入れるなら最低限詰めるべきところは詰めておかないと、なけなしの血税から捻出したお金だけ持って行かれたという笑えない話になりかねない…と言うより、すでに各地でその状況にあるということですかね。

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コメント

広島県三次市は今の増田市長に落選した市長側の後援会の人たちの医療現場の人たちを無視した行為を違反すれすれでしており 意見いうものは本人や家族通して嫌がらせします

投稿: 三次市民 | 2013年12月27日 (金) 14時07分

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