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2009年5月16日 (土)

世界に知られるようになった日本のマスコミ業界

海外で出回っている日本人絡みの笑い話を集めた「続・世界の日本人ジョーク集」(早坂隆著。中公新書ラクレ)に、こんな話が載っていました。

政治とメディア

 日本の政治は、迷走を続けていた。フクダ首相は、自らの支持率の低さを嘆き、そして自分のことを悪く書く新聞メディアに怒りを覚えていた。ある時、彼は各新聞社のジャーナリストたちを自分の別荘に呼びつけた。そして言った。
「私は無能ではない。よく見ておけ」
 彼はそう言ったかと思うと、湖の上を歩き出した。彼の身体はまったく沈まなかった。それまで隠されていた彼のゼンとヨガの能力に、その場は騒然となり、そこには感動さえ生まれたのだった。
 翌日の新聞をフクダは楽しみにしていた。しかし、各新聞社の見出しを見た途端、彼は大きなショックを受け、そして辞任を決意したのである。

 キョウト・ポスト   「フクダ政権が巧妙なるプロパガンダを駆使し、国民を欺こうとする姿勢を鮮明に」
 フジ・タイムス    「フクダが勝手に他人の土地に侵入した疑い」
 トウキョウ・ジャーナル「フクダは泳げない」

ずいぶんと日本事情に詳しいなと苦笑いといったところですが、日本が海外でも有名になると言ってもこういう方面で有名になるのではあまり洒落にもなりません。
本日は世界に鳴り響く日本のマスメディアの素晴らしさを讃える話題を幾つか紹介していくことにします。

まず最初の話題、先日フィリピンからの不法入国者を強制送還するといった件でひとしきり話題になっていましたが、非常に積極的な論陣を張っていたのが毎日新聞で、わざわざこんな記事まで掲載して「超法規的措置を」と訴えてきていた経緯があったのですね。

世界の子育て:カナダ~日本に住みたい、カナダに住みたい 中込恵子さん(2009年5月7日毎日新聞)

 不法滞在で17年間日本に住んでいたフィリピン人、カルデロンさん一家が、在留許可を認められず、両親は今年の4月に帰国。中学校に通う13歳の長女のり子さんのみ在留が認められたニュースは、まだ皆さんの記憶に新しいと思う。

 私も外国に住んでいるし、うちにも13歳の子どもがいるので、親と離れて住む、のり子さんのことを思うと、何とも言えない気持ちになる。両親は日本の出入国管理法に違反したのだから同情はできないという意見もあるだろうが、「帰れ」と彼女の通う中学校の前でデモまで行う必要があったのだろうか。日本で生まれたことまで否定されてしまうのか……。埼玉県弁護士会が会長声明を出し、「親子を引き離している」と指摘し、「家族にも在留特別許可を出してほしい」と訴えたことは救われた思いだ。

 それぞれの国の事情があり、カナダは広いし人口が少ないから、と言ってしまえばそれまでだが、今回のことはカナダだったらきっと別の形で終結したに違いない。バンクーバーで30年間弁護士事務所を開いているネーザン・ガナパシさんにうかがうと、まず、のり子さんがカナダで生まれていたらカナダ人だし、両親に対しても、こちらの移民法にある”humanitarian and compassionate grounds”人道主義と思いやりのために、カナダに住むことが可能だったという。

 私はカナダに来て、日本に生まれたことが大変恵まれたことなのだと痛感している。世界のどこかに住みたいと思えば何らかの形でかなうからだ。私自身も日本での学歴、職歴を提出したら半年間でカナダの永住権が取れた。が、ここにはそれこそ、偽造パスポートで入国して来た人もたくさんいるし、戦争から命からがら逃れて来た人たちもいる。政治的、経済的な理由の難民もいる。カルデロンさんのフィリピンでの生活がどのようだったかはわからないが、国民の80%もしくはそれ以上が貧困の中で生活しているのだから、豊かな国へ……と夢を描くのは当然のことだ。

 昨日のCTVでアーリン・アミというフィリピン系2世のカナダ人女性プロデューサーが撮った”Say I do” というドキュメンタリーを見た。初めて明らかになった「メールオーダーブライド」の実態だ。年間3000人のカナダ人男性がフィリピンの女性と結婚しているという。その多くはウェブサイトで、希望の女性の写真をクリックしてメールオーダーで150米ドルを支払う結婚紹介を通して知り合う。ところで、フィリピンの女性はカナダでnanny(お手伝いさん)の仕事をしている人が多い。このビザはいずれ永住権を取得できるが、学歴の条件があるので該当しない人にはチャンスがない。そのため、女性たちはこのようなウェブに登録し、見たこともない男性からのリクエスト=プロポーズにより、カナダに来る。女性は貧困から脱出するために、自分の家族のためにやってくるのである。もちろん成功する結婚もあればそうでない場合もあり、リスクも伴う。が、もし非常に貧しい生活をしていたら、私たちもそのことを考えないとはだれが言えよう。

 今の子どもたちは豊かさの中で生きていて、物がありさえすれば幸せというわけではないが、何もないところから比べてみれば、それはやはり幸せだ。そして、このことは私たち大人にも言えるのではないだろうか。

一般論として人道的対応というものは良いことだと思いますが、もちろん現実世界においていつでも無制限に人道的対応が行われるというような夢の国など聞いたことがありません。
あの毎日新聞のことですから、カナダに比べて日本は…と言いたかったのでしょうが、その結果こういうかかなくとも良い恥をかくことになるわけです。

【カルデロン親子】毎日新聞「カナダなら家族全員で住めた」と掲載するもカナダは「韓国人母娘を追放」(2009年5月11日livedoorニュース)

渡航先の日本に17年間の不法滞在をし、その間に娘として “のり子” さんを出産して3人家族となったカルデロン一家。日本国は人道的な配慮をしたとしても、娘ののり子さんだけを日本に住ませるようにするのが処置の限界とし、両親である夫妻はフィリピンへ帰国した。

このことについて、毎日新聞に「のり子さんがカナダで生まれていたらカナダ人だし、両親に対しても、こちらの移民法にある”humanitarian and compassionate grounds”人道主義と思いやりのために、カナダに住むことが可能だった」という、フリーライターの中込恵子さんの記事が掲載された。また、中込さん本人も「私自身も日本での学歴、職歴を提出したら半年間でカナダの永住権が取れた」と自身の経験を語っている。つまり、不法入国や不法滞在でも、または中込さんのように正規のルートでも、カナダは人道的なものを第一として、難民や移住したいと考えている人に対して処置をするということになる

しかし、4月25日に掲載された韓国の連合ニュース(Yonhap News)によると、「韓国人女性が2000年に通常のビザでカナダに渡航し、その後娘を出産。2009年になり、8歳の娘とその母親をカナダから追放する判決に至った」とのこと。また、母は不法滞留者収監施設に収監。小学校に通う2年生の娘も登校を中断され、母と同じ不法滞留者収監施設に入ったという。

カナダの移民長官室によれば、「私たちは追放命令を取り消す力を持っていない。子どもにとって最善の判決がくだされるよう、移民・難民保護法による裁量権があるだけ」と語っており、たとえ日本で問題となっているカルデロン親子がカナダに住んでいたとしても、日本以上に厳しい結果になった可能性がある

移民や難民に対して人道的な方法で対処するのは賛成だが、それらの人たちに「カナダなら大丈夫」と思わせてしまう記事は、やや危険な内容であることは否めない。

もちろんこの一件に関して毎日新聞では黙殺を決め込んでいますが、実態にそぐわない過剰な期待感を抱かせたということになれば移民する人たちに対しても失礼な話ですね。。

先日は杏林割り箸事故訴訟の判決に絡んで、みのもんたの報道がずいぶんなことになっているという話を取り上げました。
さすがにここまでやってしまうと世界のみの氏の所業といえどスルーを決め込むことも出来ないと悟ったのか、放送倫理・番組向上機構(BPO)に動きが出始めたようなんですね。

BPO人権委、サンプロ・朝ズバ・サンジャポが初の3案件同時審理入り (2009年5月11日文化通信)

 BPO放送と人権等権利に関する委員会は、テレビ朝日「サンデープロジェクト」、TBS「みのもんたの朝ズバッ!」「サンデージャポン」への申立てについて、今月19日開催の委員会から審理入りすることを決めた。3つの案件が同時に審理入りするのは初。

実際のところどういうことになっているのかと言うと、当のBPOのHPに掲載されています。

第146回 放送と人権等権利に関する委員会(2009年4月21日開催分)より抜粋

2. 審理要請案件

3件の審理要請案件について、それぞれ「申立書」と、局側から提出された「交渉の経緯と見解」及び「番組同録ビデオ」をもとに協議した。この結果、3件とも審理入りが決定し、次回委員会から実質的な審理に入ることとなった。
(略)

      「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案

      東京在住の勤務医らから申立てのあった「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案について協議した結果、申立ての要件を充たしているとして、5月の委員会から実質審理に入ることを決定した。
      申立ては、2008年2月にTBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で放送された、割り箸事故を巡る判決報道が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害し、不公平な報道であると訴えてきたもの。
      これに対しTBSは、医療事件を巡る刑事判決と民事判決を比較しながら、医療機関には「最善の注意」を果たしてもらいたいとの観点から放送したもので、名誉を毀損したとの認識はないと反論している。

みのもんたの「朝ズバ」と言えば不二家問題に絡んで捏造報道を繰り広げ、BPOからきつくお叱りを受けたという誇らしい前歴を持っていて、当時謝罪しているのか開き直っているのか判らない意味不明の弁解を繰り広げたことでも未だ記憶に新しいところです。
今まで特権的に他者に対する一方的バッシングを繰り広げてきたマスコミ業界ですが、最近では毎日新聞の例を見ても判るとおり市民側もそれなりに対抗手段を身につけてきました。
報道を受ける側からの批判にどれだけ真摯に対応することが出来るかといったあたりがかつてないほど注目を集めるようになっている時代ですが、再び繰り返された今回の一件に対するみの氏ら関係者の対応次第で彼ら業界の自浄能力が問われることになるといったところでしょうか。

先日はNHKが番組内で台湾の方々の証言を恣意的に編集した結果、当の台湾人関係者らを始め多くの日台友好を願う人々を激怒させたという事件がありました。
この件に関して日台双方で大きな批判の声が上がっており、すでに国際問題ともなっているといってもいいような状況です。

日台双方で批判続出…NHK「偏向報道」政界に波及 (2009年4月30日ZAKZAK)

5日放送「アジアの“一等国”」自民議連が意見書

 NHK総合テレビが5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの"一等国"』」の内容に対し、有識者らが「偏向・歪曲報道」などと批判している問題で、自民党の保守系議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文科相)が近く、同局に質問状を提出することが20日、分かった。問題はついに政界に波及することになった。

 番組は、日清戦争後の日本による台湾統治について、一等国を目指して統治の成功を海外に誇示したが、日台間の格差と同化という矛盾を抱え、やがて皇民化運動で日本文化を強制した-などと放送した。

 これに対し、日台の文化交流を進める民間団体「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)は10日、「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」という抗議声明を、NHKの福地茂雄会長あてに提出した。

 声明には、元タイ大使で外交評論家の岡崎久彦氏、京大大学院の中西輝政教授らの名前も。また、ジャーナリストの櫻井よし子氏は週刊新潮で「全篇が"歪曲報道"の連続」と指摘し、評論家の金美齢氏も「"偏向番組"の一語に尽きます」と批判した。

 議連では、日台双方から同様の批判が続出していることを受け、NHKに質問状を提出する準備をしている。NHKの予算は毎年度、国会で承認を得ることが放送法で決められている。

 李登輝友の会の抗議声明に対し、NHKは14日付で、担当のエグゼクティブ・プロデューサー名で「(番組は)日本が最初の植民地とした台湾に、近代日本とアジアの原点を探り、これから日本がアジアの人々とどう向き合っていけばよいか、未来を生きるヒントを探ろうとしたもの」「なにとぞ番組の趣旨をご理解いただきたいと思います」といった回答を寄せている。

 だが、李登輝友の会の柚原正敬専務理事は夕刊フジの取材に「回答はとても納得できない。担当プロデューサーやディレクターにも出席してもらい、公開討論会を呼びかけたい」と話している。

台湾関係諸団体が16日全国各地でNHKへ抗議行動(2009年5月14日なる台NEWS)

反日的視点によって日本と台湾の歴史を描いたとして、特別番組『JAPANデビュー』第1回『アジアの“一等国”』」を制作・放送したNHKに対する抗議行動が16日、東京、青森、名古屋、福岡など全国各地で行なわれる。主催は草莽全国地方議員の会、「NHK『JAPANデビュー』」を考える国民の会、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム、在日台湾同郷会、台湾団結連盟日本支部など。東京ではリレートークや、人間の鎖で渋谷のNHKを包囲する抗議デモなどを行なう。

自民議連が「偏向番組問題」でNHKに質問状(2009年4月28日産経新聞)

 NHK総合テレビが4月5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー第1回『アジアの“一等国”』」に、日台友好団体などから「内容が偏向している」と批判が上がっている問題で、自民党の議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)は28日、NHKの福地茂雄会長あてに質問状を発送した。

 質問状では、同番組の内容について、(1)1910年にロンドンで開催された「日英博覧会」の紹介で、日本人と台湾パイワン族との集合写真に「人間動物園」とのキャプションを表記していた(2)台湾で神社参拝を強制して、道教を禁止した-など13項目にわたり、資料の有無などの明示を求めている。

 同番組をめぐっては「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)がすでに、福地会長あてに、「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」とする抗議声明を出した。

NHKと先年来やりあってきた某放送局を初めとして(苦笑)この問題に各メディアが黙殺を続ける中、産経系列のメディアのみは精力的に取り上げています。
これらの記事を見てみますと、単なる日台友好阻害といった要素にとどまらず明らかに統一された目的意識も感じられ、何らかの政治的意図すら含まれているようにも見える内容であったと言えそうです。

【検証】NHKスペシャル 台湾統治めぐり「一面的」(2009年5月3日産経新聞)

 NHK総合テレビが4月5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー」の第1回放送「アジアの“ 一等国”」に対し、出演した台湾人のほか日台の友好団体、識者などから「一方的だ」と批判の声が上がっている。NHKは「番組にすべての要素を盛り込むことはできない」(日向英実放送総局長)と反論するが、番組は何を取り上げ、何を報じなかったのか。3日の第2回放送を前に、その“文脈”を検証する。(牛田久美、草下健夫)  

【台湾民族と漢民族】

 ≪一家は中国福建省から移り住んできた漢民族でした≫

 番組でそう紹介された元医師の柯徳三さん(87)は「私は漢民族ではない」と言い切る。

 「台湾人の祖先は、宋代に南アジアの少数民族との混血が進んだ。その一部が約200年前に台湾に移り、南方系の先住民と結婚した。私でその移民から7代目。漢民族の血は1万分の1も入っていない」

 台湾民族のHLA(ヒト白血球型抗原)を研究したことのある東京大学の徳永勝士教授は「民族の呼び方は、その人たちのアイデンティティーを尊重するべき。(反発は)自然なことなのでは」と語る。北京政府は、台湾を国家として認めず「中国の一部」と主張する。漢民族という呼び方は、その文脈に沿った表現といえる。

【日台戦争!?】

 ≪台湾人の抵抗は激しさを増していきます。戦いは全土に広がり、後に日台戦争と呼ばれる規模へと拡大していきました≫

 番組出演者の蒋松輝さん(96)は「初めて聞く」と驚きを隠さない。「確かに祖先は抵抗し、治安は悪かったが、戦争は言い過ぎ」。柯さんも「思いも寄らない言葉だった」と語る。

 NHKは「日本軍だけで死者は5000人近くにのぼった。学者も用いている」としているが、4000人以上はマラリアによる病死で戦死ではない。国立国会図書館の論文検索でも「日台戦争」は1件もヒットしない。学説と呼べるのだろうか。

【人間動物園…】

 このほかにも、数多くの疑問が示されている。

 「台北一中の生徒は台湾人が2人だけで厳しい制限付きだったというが、教育は開かれていた」(台湾協会、小原孝弼さん)

 「樟脳(しょうのう)生産や港湾整備を取り上げ≪金のなる島≫と強調したが、日本の統治への高い評価が抜け落ちている」(日本李登輝友の会、柚原正敬事務局長)

 「(先の大戦で)21万の台湾人を戦場にかり出したと言うが、その10倍も(日本軍への)志願者がいた事実は報じていない」(日本文化チャンネル桜、水島総代表)

 1910年にロンドンで開かれた日英博覧会で台湾の先住民族を紹介したことを≪人間動物園≫と表現したことも、自民党議員らから反発を集めた。

【多面的か?】

出演者の柯さんが「日本統治の功罪の両面を50%ずつ話したが、NHKが取り上げたのは罪の部分だけ」と評したこの番組が放送された後、NHKには4月末までに2500件を超える声が寄せられた。「多くが『一方的だ』という意見」(NHK広報部)だったという。放送法3条は「意見が対立する問題は多くの角度から論点を明らかにすること」と定めている。台湾研究フォーラムの永山英樹会長は「日本が侵略者だというストーリーに合わせて証言、史実を切り貼りしている。一面的すぎる」と評する。

 日向総局長は、多面性の確保については「放送全体の中で考えてほしい」としている。第2回以降の放送が注目される。

【くにのあとさき】東京特派員・湯浅博 歴史を歪曲する方法(2009年4月30日産経新聞)

右であれ左であれ「事実そのものを封ずる空気」というのは、いやなものである。とくに、歴史を扱うドキュメンタリー映像には何度もだまされてきたから、ハナから事実と思ってみないクセがついてしまった。哀(かな)しいことに。

 つい最近も、台湾情勢に関心がある人ならすぐに「変だな」とテレビの小細工に気づく番組がまたあった。日本が横浜開港から世界にデビューして150年間をたどるNHKの「シリーズ・JAPANデビュー」である。

 その第1回放送『アジアの一等国』を再放送で見た。テーマは50年に及ぶ日本の「台湾統治」だから、制作者は植民地政策の悪辣(あくらつ)さを暴き出すことに熱心だ。台湾人すべてを「漢民族」でくくるたぐいの荒っぽさが随所にあった。

 なにより『母国は日本、祖国は台湾』の著者、柯徳三さん(87)ら知日派台湾人が、筋金入りの反日家として登場したのには仰天した。日本人も驚いたが、本人はもっとビックリした。放映後、柯さんは担当ディレクターに「あんたの後ろには中共がついているんだろう」と文句をいったと後に語っている。

 異民族による台湾支配だったから、当時の柯さんらが差別を感じていたことは事実だ。番組でも、「私のいとこのお姉さんが、日本人の嫁になって日本へ行ったけれどね、戸籍が入らん。こういうのが差別でしょう」と憤懣(ふんまん)をぶつけた。柯さんはじめ、仲間の蒋松輝さん、藍昭光さんも差別されたときの悔しさを語っている。

 ただ、「母国は日本」とまで公言している人々が、日本統治時代に関して洗脳、差別、恨みばかりを強調するだろうか。

 同じ疑問を感じた視聴者は多い。だが、NHKは「日本とアジアとの真の絆(きずな)、未来へのヒントを見いだそうとしたものです」と無味乾燥な答えで押し切った。

 それならと、義憤に駆られた衛星放送の「日本文化チャンネル桜」はさっそく現地に飛んで、番組に出演した柯さんらを交えて座談会を開いた。

 藍さんは「終戦で台湾人による統治ができると考えた。だが、中国人がきて衛生、治安がでたらめになった。虐殺事件が起きて、戦前のよかった日本時代を思いだした」と語る。日本統治の良い面とは、教育、病院、鉄道などのインフラに集約できるという。

 柯さんは「日本統治の善しあしは半分半分なんです。NHKには両方をいった。日本人がいやがる部分はカットしていいよといったのに、逆に悪い面だけを放映した」という。そして冒頭の「後ろに中共がいるんだろう」との怒りにつながる。

 制作者がシロをクロと言いくるめる番組をつくろうと思えば、取材対象の見解からクロばかりを抽出すれば事足りる。そこには、善意ある台湾人の複雑微妙な心理は配慮されない。歴史事実を歪曲(わいきょく)してしまう古典的な手法である。

NHKといえば先日の大河ドラマでもサブリミナル効果を用いた「刷り込み」を行ったとして各紙で報道されたことは記憶に新しいことですが、この「アジアの一等国」にもサブリミナル効果が組み込まれていることがチャンネル桜によって詳細に検証されています。
彼らが意識化にすり込もうと企図した内容を見ますと明らかに系統立った意思の元に制作されているもので、たまたま結果としてそうなったといった類のものではあり得ないことが明白なのですが、こうした事実を踏まえての批判に対してNHKはこう答えています。

「恣意的編集ない」 NHKスペシャルへの抗議に放送総局長(2009年4月22日産経新聞)

 5日に放送された「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの“一等国”』」の放送内容が偏向していたとして、「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)が同局に抗議したことをめぐり、同局の日向英実放送総局長は22日の会見で「台湾の人たちが親日的であることは当然、十分承知していて、それを前提にして伝えた」との認識を示した。

 その上で「番組の趣旨、文脈がある。全要素を平等に個別の番組で伝えねばならないとなると、クリアに物事を申し上げられない。(NHKの)放送全体の中で考えていただきたい。恣意(しい)的に編集することはない」と説明した。

「一方的ではない」 Nスペ「偏向番組問題」で福地会長(2009年5月14日産経新聞)

 日本の台湾統治を取り上げたNHKスペシャル「アジアの“一等国”」が偏向していたとして、日台友好団体や識者などから批判が高まっている問題で、NHKの福地茂雄会長は14日の会見で「あの番組はいいところも随分言っていると思った」と、内容に問題はないとの認識を示した。

 福地会長は「(当時の)産業・インフラの芽が今の台湾の産業につながっているという気がしたし、教育でも規律正しい子供たちが映っており、一方的とは感じなかった。文献や証言に基づいているし、(取材対象の)発言の“いいとこ取り”もない」と評価した。

NHK公開討論を拒否…偏向・歪曲報道問題(2009年5月4日ZAKZAK)

 NHKスペシャル「シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの“一等国”』」(5日放送)の偏向・歪曲報道問題で、同局は1日までに、日台交流を進める民間団体「日本李登輝友の会」が要請していた同番組を検証する公開討論会の開催を拒否した。

 これまで友の会は「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」とNHKに抗議。福地茂雄会長あてに、会長や担当プロデューサーらが出席する公開討論会の共催を求めていた。

 これに対し、担当プロデューサー名で先月28日付で出された回答書では、「私たちは番組内容が偏向していたり、事実関係に間違いがあるとは考えていません。そのため、『番組を検証する』必要はないと判断しており、『公開討論会』の要請には応じかねます」としている。

インタビューを受けた当事者が番組の内容に激怒しているというのに、「番組を検証する必要はない」んだそうです(苦笑)。
これを見ると単に現場のスタッフが暴走したといったレベルの話ではなく、NHK上層部も含めた全社的方針の下に制作された番組であったとうかがわせる内容ではありますよね。
一方で、最近日台両国関係に関わる非常に興味深い結果が日台双方で相次いで報じられていますので、紹介しておきます。

台湾人7割「日本に親しみ」 20代は79%(2009年4月26日朝日新聞)

 【台北=野嶋剛】日本の対台湾窓口「交流協会」が台湾人の対日意識に関する世論調査を行ったところ、約7割の人が日本に好感を抱いていることが分かった。戦前の日本による植民地統治や戦争の歴史が同様にあった中国、韓国と比べ、台湾の親日度がデータで裏付けられた形だ。

 同協会による台湾人の対日意識調査は初めてで、昨年11月から12月にかけて、約千人の男女を対象に実施した。「親しみを感じる」は69%に達し、「親しみを感じない」の12%を大きく引き離した。

 一般に台湾では、李登輝元総統に代表される、日本語教育を受けた70歳以上の高齢者世代の親日度が高いとされてきた。だが、「親しみを感じる」とした回答者は、20代が79%、30代が77%と、若い世代が最も親日的で、65歳以上は58%だった。

 「最も好きな国(地域)」を尋ねた質問では38%が日本と答え、米国(5%)、中国(2%)など他国を引き離し、「台湾」(31%)も上回った。

 日本のイメージは「経済力、技術力の高い国」がトップで「自然の美しい国」「きまりを守る国」「豊かな伝統と文化を持つ国」が続いた。交流協会は「想像していた以上の日本に対する好感度に驚いた。今後の日台関係に役立てたい」としている。

アンケート:日本人回答者76%は「日台関係は良好」(2009年5月1日ラジオ台湾インターナショナル)

中華民国台湾の日本駐在機関、台北駐日経済文化代表処は1日、日本国民を対象に行った台湾に関する意識調査の結果を発表。調査では、「台湾を身近に感じるか」という質問に対し、回答者のうち42%が「どちらかというと身近に感じる」と答え、「とても身近に感じる」の14%と合わせる56%となり、全体の半数以上が台湾に親近感を持っている結果となった。

また、現在の台湾と日本との関係について、「どちらかといえば良い」と答えた回答者が65%、「非常に良い」と答えた11%と合わせると全体の76%、すなわち4分の3以上が台湾と日本の関係は良好との認識を示したことになる。

台湾に対する信頼問題について、「多少は信頼している」が55%、「非常に信頼している」が10%と、合わせて65%が信頼感を示した。

台湾観光の意向の有無について、「チャンスがあったら行きたい」が48%と最も多く、「非常に行きたい」が14%だった。

台湾と日本が推進すべき交流項目は複数回答が可能な前提のもと、82%の回答者が「観光」をあげて最も多かった。次いで「文化」79%、「経済」76%、「青少年交流」72%。「政治」の交流を推進すべきと答えた回答者は最も少なかったが、それでも59%と半数を超えた。

この調査は4月10日から19日にかけて、20歳以上の日本国民1000人に対して電話で行われた。

評論家の鳥居民氏は今回の番組を振り返って、こう評しています。

「私は制作者の「辺りに人も無げな驕りぶり」「傲慢さ」を悲しく思ったと記した。「驕りぶり」「傲慢さ」といえば、番組の題である「アジアの一等国」、その一等国民が犯した罪の第一に挙げなければならない態度、性向であろう。この制作者の振る舞いこそがまさにその一等国民そのものなのだが、このような人物が「アジアの一等国」を制作したことが、いま悲しく思う理由なのである。」

「どうせガイジンの言うことなど適当に使えるところだけ使っていればいい」というNHKの傲慢さは、番組内で発言を切り貼りされ真意を伝える機会を奪われた柯徳三氏の「心外だ」「台湾へ来たことのない人が番組を見たらどう思うか。」といった発言に見られるように、何よりも日台関係に良かれと思って協力した台湾人の心情を踏みにじるものでした。
よく台湾は親日的だと言われ、実際にこうしてデータ上からも裏付けられた形ですが、実のところ台湾人の本音の部分ではそう単純な話ではないということです。
「台湾の朝まで生テレビ」ともいう討論番組「大話新聞」で日本時代の検証がなされている様子が動画で上がっていますが、日本時代に功罪両面があったという認識はNHK番組内で発言を勝手に切り貼りされてしまった台湾の方々の認識とも共通するところ大と言えるでしょう。
そうした単純ならざる歴史的経緯をも踏み越えて日本との間に善隣関係を構築しようと努力してきた台湾の人たちに対して、少なくとも今回のNHKの行いは謝罪するに値する重大な罪であるように思いますね。

他人の好意を踏みにじるNHKの振る舞いこそ行いこそ、糾弾されるべき「傲慢さ」と言うべきものではないでしょうか。

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次のようなイベントをやっております。
もしよろしければご参加ください。

4.28 パール判事の日本無罪論購入イベント2
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/event/1241496768/

現在amazon26位です。

『パール判事の日本無罪論』(小学館文庫) 560円
http://www.amazon.co.jp/dp/4094025065

非常に有名な本です。

右寄りの方は「基礎知識」として、
左寄りの方は「敵を知る」ために、
ぜひ御一読ください。

投稿: 田中 | 2009年5月16日 (土) 11時45分

"情報弱者"に"チャンネル桜"動画を見てもらうために

ブログ「夕刻の備忘録」に次のような書き込みがありました。

「チャンネル桜」への提案:iso形式ファイル希望
http://jif.blog65.fc2.com/blog-entry-125.html

>ネットにもPCにも縁の薄い方々にも是非とも知つて頂きたい、いや知らせねばならぬことが、山のやうにございます。
>その為には、やはり「テレビ受信機の力」が必要です。

>未だ既存の新聞・テレビしか信用しない方が、団塊世代以上には多く見受けられます。
>特に高齢者の方は極端で、まるでマンガのやうな話ですが、PCは勿論のこと、10インチ未満のテレビが流す情報には信を置かない傾向があります。
>不信感を持つといふよりも気持ちがそこに入らない、何を聞いても何を見ても、全く上の空になり記憶に残らないやうであります。

>一番影響力のあるのは、毎日見てゐる自宅の、あるいは自室のテレビのやうです。
>そして、自身所有のテレビであれば、その情報源が何であるかについては無頓着であることもまた、大変興味深い点であります。
>それが何処の局の番組なのか、生なのか録画なのか、あるいはDVDの出力であるのかとは無関係に、直ぐに気持ちが充実してゐかれるやうに見受けられます。

>そこで御提案です。
>折角の「著作権Free」の貴重な素材です。
>今回の台湾取材を軸に、桜様でセレクトして頂いた番組を、DVDに直ちに焼き附けることが可能な、「iso」ファイルの形式で御提供頂けないでせうか。
>ダウンロード形式で配布して頂ければ、それを我々側でDVD化して、家族や友人に配ることが出来ます。

>趣旨が伝はる作品群をストレートに並べて頂き、iso化して頂くだけで充分だと存じます。

>現在、我が国に存在する「真の格差」は、貧富に関はる経済的な格差ではなく、地域格差でもなく、「情報格差」であると思はれます。
>これまでマスコミが行つてきた、「ネットを一方的に悪者にする誘導」が、特定の層には成功してゐるからでせう。
>幾ら「ネットで検索してくれ」と御願ひしても、「この動画を見てくれ」とPCを目の前にまで運んでも、嫌悪感を持たれた方は全く無視されます。
>また、不承不承ながら御覧頂いた方でも、「一体どちらが真実なのか」、混乱するだけで適切な判断が出来ず、結局、既に強く刷り込まれてゐる「ネットに対する不信感」が勝つてしまふのでせう。

>先ずは、DVDを「御自身のテレビで御覧頂く」ことから始めて頂きたいのです。
>その時、中身については、「ネット」からだとか「ニコニコ動画」からだとか、「Youtube」にもあるだとか、混乱を招くだけの煩瑣なことは言はずに、ケーブル“テレビ局”の放送である、とだけ伝へることが肝要だと考へます。

>御一考頂きますやう御願ひ申し上げます。

↑上記に賛同される方は「チャンネル桜」に要請してみてはいかがでしょう。

チャンネル桜 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-1-16若草ビル
TEL:03-6419-3911, FAX:03-3407-2432,
MAIL: info@ch-sakura.jp

投稿: kusuko | 2009年5月17日 (日) 10時05分

NHKOBの方が「NHKを正す会」を結成し、
今回の件に抗議するため署名活動をしている
趣旨に賛同してくれる方は署名お願いします
http://www.shomei.tv/project-1030.html
-呼びかけ文より-
NHKに対し良識ある国民の思いを突きつけるため当署名サイトを立ち上げました。
NHKが私たちの批判に誠実に対応しない場合は受信料の支払いを停止する計画であり、
ご賛同いただける場合は当署名サイトで
ぜひともNHKへ「NO!」を突きつけていただきたく、お願い申し上げます。
--

この方は、今回のデモ(5/16開催)にも参加されたそうだ
http://nhk-tadasukai.iza.ne.jp/blog/entry/1025142/
--ブログコメント欄より--
今日、桜チャンネル主催のNHKの抗議するデモに参加しました。
私は学生時代から「左がかったこと」は嫌いで、デモ行進は75歳にして初めての体験でした。
しかし約1500人の参加者。デモの前の文化講演会でNHKが未だに反省していない偏向放送の数々を知りました。
今度の「台湾」番組でも新事実の手がかりを得ました。
順次、このNHKを正す会のホームぺージでお伝えしながら、
あの「偏向番組」の「作り直し再放送」を要求して戦います。
----

投稿: kinori | 2009年5月17日 (日) 14時13分

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