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2009年5月25日 (月)

新型インフルエンザ ゼロリスク症候群の危惧

先週末に厚労省の新型インフルエンザ対策指針があちこち変更され、同省HPに掲載されています。
特に医療関係者に深く関わるところとしては新型インフルエンザの症例定義が変更され、届出の対象がかわってきたといったところではないでしょうか。
既に各自治体宛に通知が送られ今後医療機関に回ってくるものと思いますが、最大のポイントは従来の定義にあった「まん延国への渡航歴」が必須条件でなくなり、症状と医師の臨床診断に基づいて判断された症例も届出対象となったということでしょうか。
感染が水面下に潜行しながらまん延していると思われる現状ではそれなりに現実的判断というべきではないかと思いますが、迅速キットでA型陽性と出た時点で「疑似症患者」として保健所への連絡とともにPCRによる確認を要するということですから、現場にとってはそれなりに判断に迷うところなきにしもあらずといったところでしょうか。

これとあわせて、空港等での水際対策は公式に縮小されることが決定されていますが、すでに国際的には日本への患者流入よりも日本からの患者流入を問題視する状況とも言いますから、むしろこれからは入国よりも出国側での縛りがきつくなってくるかも知れませんね。
また、医療機関での診療体制に関しても全国一律ではなく地域毎の状況に応じた対応を認めたという点は、すでに一般医療機関での診療を要請している神戸市などの対応を追認したという形です。
いずれにしても末端は新たな通達に応じて対応を変えていかなければならないわけですから、当面は細々とした混乱は継続していきそうな気配です。

新型インフル遺伝子検査 政府が方針改定(2009年05月23日朝日新聞)

■患者急増地域では一般診療所も診察

 政府は22日、新型の豚インフルエンザの対処方針を改定した。国内での感染拡大を踏まえ、兵庫県や大阪府のような患者の急増地域では、条件付きで一般病院・診療所での受診を認める。その際、持病を持ち、新型インフルエンザ感染によって重症化の恐れがある患者の治療も課題だ。県内の医療の現場を点検してみた。(吉田晋、岡戸佑樹、岩崎賢一)

■課題1 薬や検査キット不足

 「院内に入らず、発熱相談センターに電話を」。県内の病院・診療所の玄関に、こんな張り紙が目立つ。県医師会が5月上旬、会員医師らに配った。発熱と海外渡航歴がある人に向けた告知だが、同会の高橋省三公衆衛生担当理事は「関西の状況もあるので、海外渡航歴の記述を削り『インフルエンザ様の症状があれば』と改めた文書を、今週末にも配り直したい」という。

 これは初期段階での対応だが、大阪や兵庫のように感染が広がった時、政府の対処方針にある一般の病院・診療所が診療態勢をとれるのか。

 「医師らが一番心配しているのは、抗ウイルス薬のタミフルも、簡易検査キットも不足していること」と、高橋理事は訴える。「オフシーズンなので、どの病院・診療所もそれほど手元にはない」。別の医師は「待合室で配るマスクさえ入手困難」と嘆く。

 県によると、県内の医薬品卸業者は4千人分の抗ウイルス薬を流通備蓄している。不足すれば、県が備蓄する7万2750人分のタミフルを供給する。一方、簡易検査キットの備蓄はなく、「供給量は薄くなっているようだ」(県衛生薬務課)とみている。

 医薬品卸大手のメディセオ・パルタック社(東京)は、「安定供給に務めているので、あわてないでいただきたい」としている。

■課題2 通常患者と分離は「無理」

 神戸市では一般病院での診察が始まっている。政府の対処方針は、院内感染を防ぐために待合室などで他の患者と一緒にならないことを条件にしている。

 県感染症危機管理対策委員会の池田久剛・山梨厚生病院小児科部長は「神戸のように感染が広がれば、県内でも発熱外来だけではさばききれないだろう」と話す。東山梨医師会と保健所は、発熱外来以外の病院・診療所に突然患者が訪れたときの対応マニュアルを作成しようとしてきたが、県が中心に作成し、配布先を全県に広げる予定だ。

 一般の病院・診療所には、人工透析など通常の医療が途切れると困る患者もいる。甲府市医師会の小松史俊副会長は「空間的分離は無理。施設の設計上不可能」と話す。

 神戸市では発熱相談センターの電話がパンクし、直接病院・診療所に来る患者がでている。小松副会長は「途方に暮れている。まず(病院や診療所の)外で診て対応を決めるしかない」と話している。

■課題3 糖尿病患者など「これから対応」

 糖尿病、ぜんそくの患者や妊婦などが新型インフルエンザに感染した場合、重症化の恐れが指摘されている。県対策本部事務局の説明では、こういった人々への案内の作成については、「これから対応しなくてはいけない」という状況だ。

 がん患者支援団体「山梨まんまくらぶ」代表の若尾直子さん(55)は「『気をつけろ』と言われても、どうしたらいいのかわからないのが患者の本音」。糖尿病を専門に診る富士吉田市内の診療所は、鳥インフルエンザを念頭に以前から患者に手術用マスクの備蓄を勧めてきた。「患者の何割かは用意していると思うが、最近は医療機関でも手に入りにくい」と話す。

 総合周産期母子医療センターがある県立中央病院(甲府市)は、妊婦検診に来た女性に、人込みを避けることなどを呼びかけている。寺本勝寛・同センター部長は「新型インフルエンザの患者と接触しないように、態勢は整えてある」と説明している。

7日間の健康観察停止へ 新型インフル水際検疫を緩和(2009年5月22日朝日新聞)

 新型の豚インフルエンザ対策で、厚生労働省は21日、水際の検疫態勢を緩和するため、米国やメキシコなどからの入国者への7日間の健康観察をやめる方針を固めた。感染者が出て休校になった学校を再開した後に、生徒、児童から新たな感染者が出た場合、都道府県の裁量で、学校単位での休校を認めるよう変更することも検討している。

 政府は22日朝、新型インフルの対策本部の会合で、こうした新しい運用方針を決める。

 従来の「対処方針」を見直し、学校・保育所などの臨時休業の要請や、検疫、医師の確保といった事項への対応を、画一的に定めるのではなく、対策本部の副本部長を務める厚生労働相が定める運用指針に委ね、臨機応変な対応を目指している。

 厚労省は世界保健機関(WHO)が警戒レベルを4に引き上げたのに伴い、先月28日以降、検疫態勢を強化。米国、カナダ、メキシコからの入国者全員を対象に機内検疫を始めると同時に、入国後7日間、健康観察の対象にしていた。機内検疫は原則やめる。ただ、明らかに発症している人がいる場合は、航空会社から連絡をもらい、実施するか判断する。

 機内で感染者のそばにいた濃厚接触者を足止めしていた従来の方針を改め、外出自粛を求め、地元保健所が定期的に健康状態を把握する対象にする。

 学校や保育所の臨時休業について、一定の範囲で一斉に休業する従来の方針を維持。地域の実情に合わせた細やかな対応ができるようにする。

 一方、厚労省は新型インフルエンザの対策の見直し案として、感染の広がり具合によって国内を三つの地域に分け、それぞれの状況に応じた対策をとるよう検討していたが、二つの地域にすることも検討している。

 今回の方針では、慢性の病気を抱えるなどするリスクの高いグループの人たちを感染による死亡から守ることを、新型の豚インフルエンザ対策の新たな目標に掲げた。国内外の患者の症例分析から、多くの人が軽症で済む一方、糖尿病患者など、病気を抱える人たちが重症化しやすい現実をふまえた。

繰り返しになりますが、従来の季節性インフルエンザと比較して新型の特徴として最も注目されるのが、従来型ですと死亡例は高齢者に集中しているところが、新型に関しては若年者や基礎疾患を有する者に死亡者が多いという点です。
「若年健常人の風邪はおとなしく寝ていれば治る」は新型であっても軽症者に対しては通用することですし、むろん何でもかんでも病院に押し寄せてもらっても対処に困るのも事実でしょうが、万一重症化してくるようでしたらきちんと医療機関において適切な治療を受けなければならないということだけは留意しておく必要はあるでしょうね。

さて、新型に関して現場のあちこちで不満の声が聞かれるのが、診断(検査)体制に関わる問題です。
この最たるものが「誰に対してPCRによる確定診断を行ったらよいのか?」ということなのですが、残念ながら現場の感覚と行政側の思惑に明らかなズレがあるようで、ネット上でもあちこちで不満の声が聞こえてきます。
このあたりは厚労省の方針変更に伴って今後なにかしらの変化が現れるのを気長に待つべきなのか、それとも現場の実情に応じて独自に判断していくべきなのか悩ましいところではありますが、医療側にも「本当に全例診断確定をしていかなければならないのか?」ともう一度検討してみる余地はあるでしょうね。

ようやく厚労省も医療従事者への補償を「検討してみることにします」などと非常にお役所的解答をしてきたあたりを見ると、行政側の歩み寄りに少しは期待してもいいのでしょうか?

362 : シバザクラ・フロッグストラモンティ(千葉県):2009/05/23(土) 08:25:16.69 ID:cbGbChhx
東京で開業している内科医だけど保健所は話にならん。
明らかに季節性のインフルエンザAと異なる流行でしかも今年の冬にAに感染している患者まで
遺伝子検査断ってきている。しかも同一小学校で少なくても5名感染しているというのに。
保健所が断った理由がまたばかばかしい。学年やクラスが違うから集団感染とは言えないからやる必要が無いとさ。
今小学校が運動会の練習で全校一緒になる機会が多いの知らないのか?
もう、医者の良心(一応あるんだよ)に従い保健所とは別にある検査会社に依頼して
新型インフルエンザの遺伝子検査してもらうことにした。
保健所だけじゃないからね、この検査できるところ。この事実を一人でも多くの人に伝えてほしい。
もし今日だした検体が新型と判定されたらどこに通報すればいいと思う?
まず医師会、保健所、役所は握りつぶすのはもう明らかだから。誰か知恵を貸してくれ。
新型が疑われる患者は医者に保健所が断るなら検査会社に依頼して遺伝子検査してくれと頼むべきだと思う


542 :卵の名無しさん:2009/05/24(日) 15:23:25 ID:lxHk4R7d0
    東京及び首都圏の各自治体では、新型インフル患者が表向き発生しないように、スクラム組んで隠蔽してる?
    「渡航歴と関西への旅行歴で患者を振り分けます.旅行歴のない人は、新型じゃないので
    先生のところでよろしく.検査も特にしなくていいですよ、ただの風邪ですから.」
    「精密検査にかけるかどうかは行政で決めます.予算がないから渡航歴等ないとしないですが
    「でも、感染予防対策はしてくださいね!待合室分けるとか、時間帯分けるとか」
    「発熱外来にみんな来たら困りますからね.」
    「診療拒否したら、医師法違反ですよ(大臣)」
    WHOの医務官が、「空港での検疫は意味がない.実際の水際は、各医療機関だ」
    って言ってたけど、ほんとだよね.
    っていうか、行政の対応最悪すぎ.
    やる気失う.
    国会議員も官僚も、行政の公務員も、医療機関で窓口に立って働いてみろ!!

インフルエンザの特に発症早期では迅速診断キットの精度などたかが知れているのは常識ですから、「検査で出なかったからと言ってインフルエンザでないとは言えない」のは当たり前の話であって、逆に言えば除外診断的に用いるべきものではないものをそのように錯覚させてしまったのは明らかに失敗だったと思いますね。
世間では何かしら迅速検査での陰性結果をお墨付きのように捉えている向きが未だに一部と言えずあるようですが、ここに来てようやく「それはおかしいんじゃない?」という記事が登場し始めたというのは明るい兆しではないかと前向きにおくべきなのでしょうか。

簡易検査「陰性」でも「簡単に否定すべきでない」(2009年5月22日CBニュース)

 国立感染症研究所は5月22日に記者会見を開き、簡易検査でA型陰性だった患者がPCR検査で新型インフルエンザ陽性と判明するケースが相次いでいることについて、岡部信彦・感染症情報センター長が、簡易検査での検知率は検体を採取するタイミングに左右され、しかもPCR検査よりも検知率がはるかに低いと説明した。また、同センターの「新型インフルエンザ積極的疫学調査大阪チーム」は同日、新型インフルエンザ患者に対する調査報告を公開。この中で、簡易検査で陰性との結果が出ても、「新型インフルエンザを簡単には否定すべきではない」とした。

 会見で同センターは、同センターと神戸市保健所が、19日までに神戸市内で新型インフルエンザ確定例となった43人の感染者に対して行った調査の結果を説明。迅速診断キットによる簡易検査でA型陽性となったのは23例(53.5%)で、残りの20例(46.5%)は陰性だったとした。

 これについて岡部センター長は、「検知率が5-6割というのは、確かに低いと思う」と述べた。一方、通常の季節性インフルエンザの場合、典型的な症状のある人に簡易検査をするのが普通で、「そういうときに(検知率が)7-8割であることを考えると、症状が穏やかな人やある程度過ぎ去った人の検査も一緒にやれば、(検知率が)低くなるとは思う」との見方を示した。
 また、迅速診断キットによる簡易検査よりもPCR検査の方が「はるかに鋭敏」であると指摘し、「迅速診断マイナスでPCR陽性というのは、きちんと検査をすれば、当然あり得るということになる」と述べた。

 また同センターの「新型インフルエンザ積極的疫学調査大阪チーム」は22日、新型インフルエンザ感染が確定した大阪府内の小中高校の患者に対して行った調査の報告を公開した。
 同チームでは、新型インフルエンザ感染確定例である茨木市内の中学・高校の生徒と教職員64人のうち入院した18人と、八尾市内の小学校の児童5人の計 23人について、簡易検査時の結果を調べたところ、陽性だったのは16人で、陽性率は69.6%。このうち、発症1日後の陽性率は87.5%で、発症日と発症2日後では57.1%だった=表=。
 同チームでは、発症1日後では「高率に陽性を示していた」が、発症日と発症2日後の陽性率は「高いものではなかった」と指摘。「少なくとも臨床現場で簡易検査が陰性であっても、新型インフルエンザを簡単には否定すべきではないと思われる」としている。

このあたりは検査の感度以前にどこまで確定診断をつけるべきなのかという議論も諸説あって難しいところですが、診断キットの数もさることながら治療薬の需給状況も一部では厳しくなってきているようです。
話題のタミフルもトータルとして十分量はあるということになっていますが、今のところ行政側備蓄分の放出には至っていないということですから、一部医療機関では限りなく入荷が厳しいといった声も漏れ聞こえてきます。
本来この時期にこのペースで消費するということがないだけに在庫の減少も危惧されますが、それ以上に心配なのが市民や行政のみならずどうも一部医療機関においても過剰な反応というものがあるのではないかということです。
基礎疾患もない健康な人で症状も軽微であるなら全例がタミフルなどという必要もないはずですし、タミフル以外の治療法もあるわけなのですが、どうも通常型の散発発生時と同様の対応で機械的に処方している傾向も見え隠れしているようで、このあたりは処方を求める市民の側にも処方する医療機関の側にも改善すべき余地が多々あるのではないでしょうか。

“タミフル争奪”めぐり医療機関と行政が綱引き(2009年5月19日IZA)

 新型インフルエンザ問題の感染が広がる大阪府や兵庫県では、一般の医療機関から、両府県の備蓄する抗インフルエンザ薬タミフルを市場に放出するよう要望が強まっている。政府が「蔓延(まんえん)期」と認めれば、一般医療機関が患者を診療するが、季節性のインフルエンザ流行期を過ぎているため、タミフルの手持ちがない医療機関も多く「対応できない」という医師も。しかし、両府県とも「現時点は市場流通分だけで足りる」と備蓄投入には慎重。両者で“タミフル争奪”をめぐり綱引きが続いている。

 政府の行動計画では、現在の「国内発生早期」段階では、軽症者も含めて患者全員の入院を定めている。しかし、患者の多い大阪府では、府内の発熱外来や入院先施設の受け入れはほぼ限界。このため、厚生労働省も「蔓延期」以降しか認めていない一般医療機関での診療やタミフル処方も認める方針にしている。

 これを見越して、府内の医療機関から「蔓延期になってから、タミフルが入手困難になっては困る。事前に一定量は必要」とのする声が強まっている。実際に、府医師会のアンケート調査では、162人の医師のうち、59人(36%)がタミフルの保有数を「1人分以下」、56人(35%)が「5人分以下」と回答。同医師会は18日、府などに対し、備蓄分放出など「早期の安定供給」を申し入れた。

 ところが、大阪府や兵庫県の見解は違う。府は現在、72万人分のタミフルを備蓄。あくまで患者が急増しタミフルが不足した場合、備蓄分を卸業者を通じて投入する予定にしている。府は海外で感染が急拡大した4月28日以降、タミフルを扱う主要卸業者の在庫数の確認をしているが、5月19日時点では計5万7000人分あり、「放出の必要はない」としている。

 ではなぜ、医療機関側に“危機感”が募るのか。府の担当者は「極端に言えば、医療機関にはタミフルを患者1人に使うごとに、そのつど1人分のタミフルを“小出し”するよう卸業者に指導している」という。その理由を「一部の医療機関による必要以上の抱えこみを最も警戒している。偏在すれば患者が迷惑する」と慎重な姿勢を崩さない。

 医療機関と自治体の間で板挟みとなっているのが卸業者だ。ある卸業者は、患者の多い府北部を中心に、タミフルの注文が殺到。医療機関からは「薬の必要性は患者1人だけではない。家族全員に広がる可能性も高く、もっとタミフルを出せないのか」などと詰め寄られることもあるという。卸業者は「タミフルで事態に備えたい医師の気持ちも分かるが、行政の指導にも逆らえない」と困惑している。

こうした報道を見ても感じさせられるのは、日本でもすでに一部でその傾向がありますがどうも「ゼロリスク症候群」が発症しかけているのではないかということです。
感度自体が低い迅速キットを用いた実効性の乏しい水際対策なるものをやってしまう感性もそうですが、多数を対象とした公衆衛生学的対策を考えていく上で「感染の危険性がゼロ」「患者見逃しのリスクがゼロ」ということはあり得ないですし、そんなものを目標にすべきではありません。
絶対に新型インフルエンザを国内に入れてはならない、絶対に感染を蔓延させてはならない、絶対に患者には最善の治療を受けなければならない、そういうゼロリスクを求める歪んだ行動が、結果としてより大きな被害の拡大を招きかねないということを考えるべきでしょう。

関西地区ではこの不景気の最中さらなる経済活動の沈滞が起こっていたり、お隣中国では感染者捜しが病的なレベルまで広がっているなどという事態になっているようですが、こうした過剰反応が「かかったかな」と感じた患者を潜伏させ、結果として更なる感染の拡大を招くだろうことはお分かりいただけるのではないでしょうか。
疾患に対する適切な評価と社会的な最適解を目指した程よい対応というものをきちんと設定すること、そして何よりそのために一定のリスクを受容するという市民の理解こそが必要なんだと思いますね。

新型インフル感染者を糾弾する、中国ネチズン“人肉捜索”の凄まじさ(2009年05月21日DIAMOND online)

 SARSで痛い経験を積んだ中国は、新型インフルエンザに対し徹底した水際対策を実施し、現在のところ感染者は中国本土で公称4人で留まっている。現在のところ、中国全土でマスクを着用している人は滅多に見られない。しかし、インターネットの世界で、新型インフルエンザの思わぬ「2次被害」が広がっている。都市部の若者はある意味、インフルエンザ感染以上にその被害が及ばないようにと戦々恐々だ。

 山東省で確認され、中国での新型ウィルス感染2例目となった19歳の中国人学生は、その最大の被害者だ。彼は、留学先のカナダから空路で北京に降り、その後山東省の済南まで鉄道を利用して移動し、済南でインフルエンザ感染が確認された。このニュースが流れるや、中国のネチズン(ネットワーク市民)がこぞって学生を非難した。

「ネチズンの話によれば」という前置きをした上で「カナダにいたときに感染の可能性をルームメイトに話していた」「飛行機では彼の後ろにメキシコ人がいて感染した」「彼自身、感染しているのを気づきながら帰国に固持した」「帰国後友人に感染の可能性があることを告白し、北京のウォルマートでマスクを買いに行ったが売っていなかった」「結局北京でマスクは買えずにそれでも列車に乗った」といった未確認な情報の数々が、あたかも真実のように飛び交った。

 確実でない情報が積み重なり、怒るネチズンの火に油を注ぐこととなった。「アイツは感染したと感づいていながら、帰国を決行し、他人の危険を顧みず北京を練り歩いた。あまりにも自分勝手な行為だ」「アイツは故意でウイルスをばらまいた」など、学生への攻撃は止まらない。あるネチズンは学生に伝染の伝の字を用いた「呂伝伝」や「毒王」などといったあだ名を付け、有名人に祭り上げた。

 一躍ネチズンにとって時の人となってしまった学生に対し、怒りの止まらぬネチズンは、「人肉捜索」と呼ばれる個人情報の調査に乗り出し、彼の個人情報を暴いた。ネットでの学生叩きの止まらぬ中、16日には彼の父親が自ら、この騒ぎを収束させるべくテレビに登場し、謝罪を行なうまでに至った。

 四川省で確認された中国4例目の感染者もまた、ネチズンの呼びかけにより人肉捜索の餌食となった。ただし彼の場合は米国から日本経由で四川省へと空路を利用しただけだったので、前述の学生ほどはネチズンに蔑視されてはいない。

 実は中国でのこうしたネチズンの動きは、今回が初めてではない。四川大地震、北京五輪やその聖火リレーにおいて、ネット上で中国人が団結し、盛り上がりを見せた。この過程で、「悪い人間やその家族・友人・勤務先の個人情報をネット上に公開することで懲罰する」という「人肉捜索」が始まったのだ。
(略)
 筆者が周囲の中国人の若者に尋ねると、新型インフルエンザに感染するよりも、むしろ2次被害、すなわちネチズンの正義による人肉捜索のターゲットにされることを恐れている印象だった。中国在住の筆者自身も、感染者が増えている日本に上海経由で行かざるを得ない用事があり、その旨を中国人の知人らに告げると、「頼むから日本から中国に入国してしばらくは上海で待機してくれ。万が一の場合、日本人の知り合いである私たちも人肉捜索の対象になる!」と怯えていたほどだ。

 中国のネチズンは、その殆どが30歳以下の一人っ子世代である。若者の多くは、新型インフルエンザに感染しても、ネチズンによる糾弾を恐れて申告したくないというのが実際のところかもしれない。中国の若者たちが感染の告白を躊躇し、気づいたら中国全土に感染者が広がるような事態がないことを祈りたい。

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