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2009年5月 2日 (土)

最近の医療と行政に関連する最近の話題

新型インフルエンザ国内上陸か?!と噂された症例は全て新型ではなかったという結論が出たようで、当面未だ確定感染者なしという状況が続いています。
それはそれとして、今日は全く話が変わって近来の医療と行政に関連する話題をまとめて振り返ってみます(たまったネタの在庫整理とも言いますが…)。
最初に取り上げるのは医療行政というより行政当局の医療に対する対応といった事例で、例の裁判の続報ですが…

奈良県が判決不服で控訴 産科医の時間外手当訴訟(2009年5月1日朝日新聞)

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が当直勤務中の時間外手当(割増賃金)の支払いを県に求めた訴訟で、県は1日、医師の訴えを認めて計約1540万円の支払いを命じた4月22日の奈良地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴すると発表した。
 記者会見した荒井正吾知事は「当直勤務時間すべてを割増賃金の対象とする判決は適切ではない。診療をしていない待機時間は労働時間から外すべきだ」と話した。

一読して「さすが奈良」といったところである一方、ある意味この状況下でこうまで言ってしまえると言うのもそれなりにすごいことではあるのかなという気もしてくるのですが、何かしら最近奈良県にとって追い風になるようなイベントでもあったのでしょうか?
しかし公立病院と言いますと住民救済を旗印に医療訴訟などに関してはさっさと和解したり控訴はしないといった消極的な姿勢が目立つ印象があるのですが、相手が相手となればこうも強気に出られるということなのですかね?
ま、この件に関しては当事者である奈良県の公立病院勤務医の皆さんが何を感じ、どう動くかといったあたりに注目しながらフォローアップしていきたいと思います。

さて、全国の公立病院がほとんど例外なく赤字に陥っていることは昨日今日の話題ではありませんが、自治体病院を管轄する総務省が中心になってこれを改革しようという動きに出ていることは以前から何度かお伝えしてきた通りです。
その中核になるのが「公立病院改革ガイドライン」ですが、これが利用率の低いベッドの削減や病院統廃合などあらゆる手を尽くして3年でさっさと黒字化を達成せよというなかなかに意欲的な内容なんですね。
確かに仰るとおりのことは経営面から考えると当然といえば当然の手法ではあるのでしょうが、問題はそれに対する抵抗勢力が根強く存在しているということです。

公立病院の2割が再編計画 統廃合や縮小に住民反発も(2009年4月28日47ニュース)

 地方自治体などが2008年度末までに策定した837公立病院の「改革プラン」で、全体の19%に当たる159病院が、近隣病院との統廃合を含む「再編・ネットワーク化」を計画していることが28日、総務省の調査で分かった。

 地域に複数ある病院の役割分担を明確にし、経営改善につなげる狙いだが、地域に密着した病院の中には規模縮小や民間譲渡、廃止を余儀なくされるケースもあり住民の反発も予想される。

 改革プランは、多くが赤字に苦しむ公立病院の経営改善に向け(1)経営効率化(2)再編・ネットワーク化(3)経営形態見直し-の3つの視点に基づき08年度末までに策定するよう総務省が要請。これを受け、公立病院を持つ656自治体(一部事務組合や広域連合を含む)のうち、92%の603自治体が837病院を対象に策定した。

 再編・ネットワーク化の具体例では、青森県五所川原市など5自治体(一部事務組合を含む)が13年度末までに現在の5病院を中核病院1つ、小規模病院2つ、診療所2つに再編、合計954床の入院ベッドを644床に減らす。長崎市は4病院のうち2病院を09年度中に民間譲渡。残る2病院は10年度の地方独立行政法人化を検討している。

 経営効率化では、総務省が求めている11年度までの経常収支の黒字化を予定しているのは全体の65%の544病院、うち08年度決算で黒字を見込むのは170病院だった。

公立病院という組織が構造的に儲かりにくいものであることは周知の事実なんですから、赤字がかさむのが嫌だと言うのであればさっさと全部潰してしまった方が話は早いとは思いますね。
一方で金銭上の問題以前の話として、以前に岩手県立病院の件でも取り上げさせてもらったように「万一の時に不安だから」だとか「前は医者がいたのにいなくなると不便だから」といった理由で医療スタッフの囲い込みが許されるほど現在の医療現場には人員的な余裕が存在するわけではないことは地域住民も理解しなければならないと思います。
もちろん「うちの町では3000万出して助教授クラスを飛んで来させる。その変わり住民税は大幅アップだ」と言う選択肢は地方自治の一つの形として当然ありだと思いますが、「金は出したくない、サービスは低下してもらっては困る、だから国なり県なりが医師を確保して送ってくれ」というのは今の時代には無しだと言うことです。

赤字部門をとことん切り捨てて少しでも黒字が出る領域に特化するといった民間病院では当たり前の手法を選択するか、それでも残したい、残す価値があるというのであれば受益者負担で経営面を安定させるか、どちらにしても住民にとっては厳しい選択になるのは確かでしょうが、今の時代の医療においていいとこ取りというのはあり得ません。
総務省のガイドラインは財政上の要求から出ていることがありありで正直どうかとも思うのですが、地域住民にとっても自分たちにとっての医療とは何かということを主体的に考えていく一つの好機となり得る可能性はあるんじゃないでしょうか。
どのような改革プランを策定し実行していくにせよ、それは単に自らの既得権益保護のみを声高に主張するような手前勝手なものであってはならず、他地域住民達に向かっても胸を張れるようなものであるべきなんじゃないかなと思うんですよね。

話は変わって、先日は財政審からすっかり諸悪の根源扱いされてしまった中医協ですが、相変わらず混沌とした議論が続いているようです。
特に先日は例の五分要件が大きな議論の話題となったようですが、これも結局話が長いばかりで前提となる資料もなければ結論もなしといった風情ですから、諸悪の根源かどうかはともかく正直これではまともな仕事をしているとは評価しがたいところですが…

4月22日の中医協(2009年4月24日CBニュース)

 中央社会保険医療協議会(中医協)は4月22日、診療報酬改定結果検証部会と総会、診療報酬基本問題小委員会を開いた。検証部会では、昨年度に実施した「病院勤務医の負担軽減の実態調査」など5特別調査の報告書取りまとめに向け議論したほか、昨年度に引き続き「後発医薬品の使用状況調査」を今年度に実施することを決めた。総会では、医科と歯科を合わせ85件の医療機器の新規保険適用(1日から)などの報告があり、いずれも了承された。小委では、基本診療料のうち初・再診料、入院料等をめぐる議論に入った。初・再診料では、前回の診療報酬改定で外来管理加算に導入された「5分要件」をめぐり、診療側と支払側が激しいやりとりを交わした。

■「“丁寧な説明”、患者ニーズとギャップ」
 検証部会が昨年度に実施したのは、「病院勤務医の負担軽減の実態調査」「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」「後発医薬品の使用状況調査」「後期高齢者にふさわしい医療の実施状況調査1」「後期高齢者にふさわしい医療の実施状況調査2」の5調査。

 「病院勤務医の負担軽減の実態調査」の結果では、1年前に比べ医師の勤務状況が「改善した」とする回答よりも「悪化した」との回答が多いことが明らかになっている。
 このため遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)は、「勤務医の負担の深刻さが裏付けられている。引き続きこのことは大きな診療報酬上の政策目標になり得るだろう」と指摘。
 また、調査結果について「診療報酬改定以外にも、さまざまな医療政策に有効に使える」と評価した。小林麻理委員(早大大学院公共経営研究科教授)は、この調査を継続する必要があるとした。

 一方、外来管理加算については、昨年度の改定で「懇切丁寧な説明が行われる医学管理」や「診察に要する時間として、医師が実際におおむね5分を超えて直接診察を行っている」などの要件が加わったが、「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」では、患者の55.8%が「時間の目安は必要でない」とし、「必要」の33.8%を上回った。牛丸聡委員(早大政治経済学術院教授)は、「患者は何を欲しているのか、実証結果から把握することが重要」と述べた。
 調査結果によると、「治療方針についての説明」を毎回実施すると答えたのは病院で15.5%、診療所で17.6%だったのに対し、患者側では「通院ごとに実施してほしい」が共に46.9%に上った。遠藤委員は「どちらが適切なのかという問題はあるが、医療サイドと患者サイドでギャップが見られる」とした。
(略)
■藤原委員「予想を上回るマイナス」、対馬委員「対象範囲が違う」
 小委では、診療側の藤原淳委員(日医常任理事)が、前回の報酬改定で「外来管理加算」に新たに加わった「5分要件」の撤廃を主張した。

 藤原委員は、外来管理加算で「時間の目安」が必要だと思うかどうかを聞いた患者への質問で、「必要でない」が55.8%と、「必要だ」の33.8%を上回った点や、要件の見直しに伴い診察までの待ち時間が長くなったとする回答が、病院で43.5%(「大いに当てはまる」16.4%、「やや当てはまる」 27.1%)、診療所で37.4%(「大いに当てはまる」14.6%、「やや当てはまる」22.8%)に上る点を指摘。さらに、「患者側も診察内容の変化を実感しているわけでもない」として、5分要件の撤廃を求めた。

 藤原委員はまた、要件の見直しに伴う診療所への影響額が、当初想定していた約240億円を大幅に上回る804億円に達したとし、厚労省側の見解を求めた。これに対し、厚労省保険局の佐藤敏信医療課長は、「(外来管理加算という)一つの診療報酬の項目のみで、診療所全体の収入は議論できない」とし、影響額の試算が可能になるのは、医療費の明細書(レセプト)を集計する「社会医療診療行為別調査」の結果がまとまる秋ごろになるとの見通しを示した。

 対馬忠明委員(健保連専務理事)は、「前回の改定の時には、カテゴリー別に議論した。(厚労省が示した当初想定額の)240億円というのは、あくまで(高齢者を除く)若人の議論。(藤原委員の主張する金額とは)対象範囲が違っている」と指摘。佐藤課長も「結論から申せば、高齢者を除く若人の部分で240億円程度の減額になると試算していた」と応じた。
 西澤寛俊委員(全日本病院協会)は、要件見直しの影響額について「(高齢者と若人に)分けて議論したかあやふやだ。データを基にあらためて説明していただきたい」と要求。藤原委員も「正直、若人だけなのか認識していなかった」と述べ、資料を提示して説明するよう求めた。

 この日の小委では、中医協の診療報酬改定結果検証部会が実施した「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」の速報値を基に議論した。

 厚労省側は速報値を踏まえた外来管理加算をめぐる現時点での論点として、▽外来管理加算の見直しにより設定された「懇切丁寧な説明」等の項目や頻度が妥当だったか ▽外来管理加算の意義付けの見直しにより、患者の療養上の疑問や不安を解消するための取り組みが推進されたか ▽「懇切丁寧な説明」等に要する5分という時間の目安を設定したことは妥当だったか。また時間の目安以外に、「懇切丁寧な説明」等を評価する適切な指標があるか-を挙げた。

 対馬委員は「支払側からすると、外来管理加算は患者にとって最も分かりにくい」と指摘。分かりにくさを解決する具体策の例として、外来管理加算を再診料に含めることを挙げた。
 また、藤原委員は「“3時間待ちの3分診療”というのは、診療所や中小病院に当てはまることではなく、大病院に当てはまる事項だ。(今回の見直しの考え方が)そういうことを認識した上でのものであったか。そこには大きな疑問を感じる」と述べた。

 小島茂委員(連合総合政策局長)は、今後の議論の進め方について「外来管理加算を初・再診料の中でどう位置付け、その上で5分要件をどうするかということだと思っている」と提案した。

制度が判りにくいとかいう以前に、お前らの議論の方がよほど判りにくいという意見も大いにありそうですがね(苦笑)。
このあたりはさすがに「ロハス・メディカル」の方ではもう少し文脈を理解しやすい記事にまとめていただいているようですので、こちらも紹介してみましょう。

診察時間の目安、「必要でない」55.8%(2009年4月27日ロハス・メディカル)

 「患者さんは時間よりも何を欲しているんだろうか」―。昨年4月に実施された診療報酬改定の影響を検証する中医協の部会で、牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)が疑問を投げ掛けた。(新井裕充)

 厚生労働省の調査によると、外来管理加算の時間の目安について、「必要でない」(55.8%)と考える患者が「必要だ」(33.8%)よりも多かった。

 2008年度の診療報酬改定では、外来患者が再診でリハビリや処置などをしない場合に加算される「外来管理加算」に、おおむね5分の診察をすることが新たな要件に加わった。表向きの理由として、懇切丁寧な説明を通じて患者とのコミュニケーションを十分に取るために「5分」という時間要件を入れたと説明された。

 しかし、真の狙いは医療費の削減で、薬の処方せんを受け取るために来院する「お薬外来」での算定を抑制する目的だったとされる。診療所の再診料引き下げ問題で紛糾していた当時、厚労省の担当者は公益委員に、「5分要件を入れれば1時間に12人しか算定できないので、再診料2点分(1点は約120億円)が出る」と説得したという。「5分要件」の導入によって生じた約250憶円は、勤務医の負担軽減策に必要な財源に充てられた。

 ところが、厚労省の試算以上に病院や診療所の経営を圧迫していることが問題視され、日本医師会をはじめとする関係団体から反発の声が上がっている。「患者の待ち時間が長くなった」との声も出ており、外来管理加算は岐路に立たされている。

 こうした中、08年度改定の影響を調べている中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定結果検証部会(部会長=庄司洋子・立教大大学院教授)は4月22日、「勤務医の負担軽減」や「外来管理加算」など、昨年度に実施した5項目の調査結果について、厚労省が示した報告書案を大筋で了承した。

 報告書案によると、外来管理加算の算定状況は病院で96.5%、診療所87.9%だった。外来管理加算を算定した患者1人当たりの平均診察時間は、病院7.3分、診療所7.5分だった。

 「患者1人あたりの診察時間が長くなったか」との設問では、「大いにあてはまる」と「ややあてはまる」と回答した病院が44.6%、診療所では 34.8%。「診療時間の延長が多くなった」との回答は、「大いにあてはまる」と「ややあてはまる」を合わせると、病院では35.0%、診療所では 28.6%だった。

■「外来管理加算は分かりにくい」

 外来管理加算の時間の目安について患者に尋ねたところ、「必要でない」(55.8%)との回答が「必要だ」(33.8%)を上回った。

 「懇切丁寧な説明」についての要望では、「症状に変化があったときのみ全項目」(15.5%)が最も多く、次いで「通院毎に一部項目」(13.1%)、「通院毎に全項目」(12.4%)、「定期的に全項目」(10.0%)の順だった。

 調査結果を受け、牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)は、「患者さんは時間よりも何を欲しているんだろうか。患者さんが求めている『懇切丁寧な説明』についての要望をもっと詳しく記しておいた方がいい」と注文を付けた。

 中医協の会長を務める遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)も、「懇切丁寧な説明の内容について詳しく記載することに私も賛成だ」とした上で、「医療側が考えていることと、患者さん側が考えていることとの間にあるギャップみたいなものを議論する必要がある」と指摘。具体例として、「治療方針についての説明」を挙げた。
 遠藤委員は、患者の5割が「治療方針についての説明」を望んでいるにもかかわらず、医療側の回答では、「毎回実施するべき」の項目の中で下から3番目に低かったことを示し、「患者さんが必要としているものが何なのか、分かるような記載が望ましい」と求めた。

 同日の検証部会の後に開催された中医協・診療報酬基本問題小員会では、外来管理加算を再診料に含めることが支払い側の委員から提案されている。
 対馬忠明委員(健保連専務理事)は、「外来管理加算が患者にとって一番分かりにくいということは何度も聞いている。処置をしなければ点数が付くことを分かってもらうのはなかなか難しい。であれば、例えば一つの考え方として、外来管理加算を再診料に含めてしまうということも、いくつかある解決策のうちの一つかもしれない」と述べた。

 また、小島茂委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)も、「患者の立場からすれば、外来管理加算は必ずしも理解を得られないし、よく分からない」とした上で、次のように述べた。
 「外来管理加算を今のまま残しておくのかどうかも含め、初・再診料の中でどう位置付けるかということだと思う。(外来管理加算の5分要件を日医の要望通りに撤廃しないで)残すのであれば、まさに今回の(5分)要件の在り方としてどう考えるかということになる。『5分要件を外せ』というのは、要望としては分かるが、最終的には全体の(初・再診料の)中で外来管理加算をどのように位置付けるかを議論して、その中で要件について議論するという進め方が妥当だ」

要するに五分要件というものは医療側にも患者側にもあまり意味がないと思われていて、支払い側からも判りにくいから止めたらどうなのかという声が出ている。
これに対して厚労省側は現時点ではデータがないから何とも言えないというのが表向きのスタンスでしょうが、導入の理由である医療費削減効果については予定以上にあったということですからむしろ喜ばしいことなのかも知れません。
現場の関係者からすればこの加算、説明をする方にとってもされる方にとってもとにかく判りにくい制度であるのは確かで、例えば長年高血圧で月一回通院しているような患者に何をどう説明したものかと言った場合に「通院毎に全項目」などと言われてもお互いどうなの?といったところがあります。
そしてまさしくそういう超安定期の患者こそこの五分要件に引っかかる最大の候補なわけですから(状態が不安定なら黙っていても診療に時間はかかる道理です)、これもこの種の患者を中核病院から末端零細医療機関へと誘導しようとする政策誘導の一環とも見るべきなんでしょうかね?

中医協絡みではこちらも面白いニュースかなと思いますので紹介しておきましょう。

DPC対象病院、自主退出可能に-中医協基本小委が合意(2009年4月25日CBニュース)

 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会は3月25日、「一定のルール」を設定することを条件にDPC対象病院による出来高算定への自主退出を可能とすることで合意した。また、DPC対象病院に適用している現行の調整係数については、一度に廃止するのではなく、経過措置を設けて段階的に廃止することに決まった。自主退出に関する一定のルールや、調整係数廃止時の経過措置の内容については、DPC評価分科会で案を検討し、同小委に報告する。同省保険局の宇都宮啓企画官は、一定のルールについて、「極端に言えば、DPCが儲かるかどうかで出たり入ったりされたのでは困る」と強調した。

 厚生労働省は25日の小委に、「DPCにおける今後の課題(案)」を提示し、DPC対象病院への参加と退出をめぐる論点として、一定のルール下での DPC対象病院から出来高への自主退出と、10対1入院基本料の届け出などDPC対象病院としての条件を満たせなくなった場合の取り扱いを挙げた。また、 DPC対象病院の自主退出を可能にする場合の論点には、▽退出する際のルール▽いったん出来高に退出した病院によるDPCへの再移行に対する考え方―を提示した。DPCからの自主退出に対する反対意見はなく、今後はその際のルールを具体化することになった。

 意見交換では、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が、「(DPC対象病院としての)条件を満たさなくなった場合と、自主退出の場合のルールがどう違うかも検討すべきだ」と主張。また、中川俊男委員(日本医師会常任理事)は、DPC対象病院による自主退出のルールに関するたたき台の提出を求めた。

ちなみに実際の撤退の条件などについての議論はこちらの記事を参考にしていただければと思います。
DPC(診断群分類)に基づく定額支払制度の問題点につきましては以前にも取り上げたことがありますが、既に全病床の半数がDPC対象となっているというほど広く導入されている理由の一つに急性期の病院にとって経営が安定するというメリットがあるからとも言われています。
確かに「何かよく判らないから検査入院しましょう」などと入院適応もはっきりしない患者が病床を埋めて肝心の時に空きベッドがなかったなどと言う本末転倒な事態を防いだり、外来から入院へと一貫して最も効率よい検査と治療のスケジュールを組む必要があるという面でのトレーニング効果もあるかも知れません。
しかし全国の医者達が頑張って医療費を安くあげればあげるほど「この病気にこんな治療費はかからないんですね。それじゃ少し支払いを切り下げましょう」と診療報酬を削られていくわけですから、考えてみれば目の前に目標をぶら下げてやれば猪突猛進することしか知らない医者心理というものを巧みに突いた(国にとっては)ひどく都合がよい制度でもあるわけです。

DPC導入を促すために従来は調整係数と称して報酬の割増を行ってきたわけですが、これが廃止されることが決まった以上は新加入も減るでしょうし、更には自らやめますと手を挙げる病院も出てくるのは確かだろうと思いますね。
ただし政府や支払い側にすればDPCに加わらない=出来高払いの方が儲かると思っている病院という図式が成り立つわけですから、今後そのあたりを査定でネチネチと突くか、「病院間の不公平感を無くすため」云々とも称して新たな調整を入れてくる可能性はあるんじゃないかと思います。
ただDPCにしろ出来高払いにしろ結局のところ病院にとっての制度であって現場のスタッフにとっての直接的モチベーションというものではないわけで、本気で医療現場を制度によってコントロールするつもりなのであればドクターフィーなどのような直接スタッフに対する手当でも設けないことには無理なんじゃないかと思うんですけどね。

他方ではようやく予算が成立して今度は補正予算を云々と言っていますが、こちらの方でもそれなりに見るべきものがあったようです。
特に注目したいのは医療費支出がとうとう増額方向に舵を切られたのかなとも思えるような話が見え隠れしているところですが、よくよく見てみればこれらも実に「一時しのぎ」の話ばかりなのですよね。

医療・介護分野に総額1兆6568億円―今年度補正予算案(2009年4月27日CBニュース)

 政府は4月27日の臨時閣議で、一般会計規模で13兆9255億円に上る今年度補正予算案を決定し、国会に提出した。このうち、医療・介護分野では、合わせて1兆6568億円が盛り込まれており、地域医療の再生や介護職員の処遇改善などに充てられる。

 医療分野では、地域医療の再生や医療新技術推進などに8207億円が計上された。
 地域医療の再生には3100億円が盛り込まれており、救急医療や地域の医師確保など地域医療の課題解決のために都道府県が策定する「地域医療再生計画」に基づく事業に対し、「地域医療再生基金」(仮称)を設置して財政支援を行う。
 また、医療機関の機能や設備を強化するための対策費として2096億円が盛り込まれており、災害拠点病院の耐震化や国立高度専門医療センターでの先端機器導入などに充てる。
 このほか、新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制の強化に1279億円、がん、小児の未承認薬などの開発支援や治験基盤の整備、審査の迅速化に797億円、レセプトオンライン化支援に291億円が計上されている。

 介護分野では、介護職員の処遇改善や介護拠点の整備などに8361億円が計上された。
 介護職員の処遇改善には、3975億円が計上されている。雇用環境を改善し、今後増加する人材への需要に応えるため、今年度の介護報酬改定に加えて、賃金の確実な引き上げなど処遇改善に取り組む事業者に3年間の助成を行う。財務省では、介護職員(常勤換算)1人当たり、月額1万5000円の賃金アップに相当するとしている。
 また、介護基盤の緊急整備などには2495億円が盛り込まれた。地域の介護ニーズに対応するため、新たに施設整備交付金(ハード交付金)を拡充するための基金を設置することなどにより、特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護事業所などを緊急に整備する。

4000億円の交付金創設、介護職の賃金アップに-厚労省補正予算案(2009年4月29日ロハスメディカル) 

 低賃金や過重労働などを理由に人材不足が深刻となっている介護職の待遇改善を図るため、厚生労働省は2009年度補正予算案の中に、介護職員の処遇向上を図る介護事業者に対して交付金を支給する「介護職員処遇改善交付金(仮称)」を設置する施策を盛り込んだ。計上された約4000億円はすべて国庫負担のため、保険料増額には響かない。ただ、2011年度で基金が終了した後に待遇が下がらないようにするための対応が求められる。厚労省の宮島俊彦老健局長は「その続きの対策は必要になると思う」との認識を示している。(熊田梨恵)

 介護職員処遇改善交付金は、政府・与党が4月10日にまとめた経済危機対策の中の、厚労省所管分野での施策になる。経済対策では人材不足が深刻な介護職の待遇改善を求めていた。

 介護職の処遇改善をめぐっては、国民からの声を意識した政府・与党が、2009年度介護報酬改定で、介護職員の処遇改善をねらいに改定率を3.0%引き上げた。政府は当初、介護職員の給与を月2万円増やすとしていたが、介護事業者の運転資金などに回されて給与の増額につながっていないとの指摘が上がっている。今回の介護報酬改定は、一律に報酬額をアップしたのではなく、介護職員の手厚い配置など、質の高いケアや業務負担が多い施設に対する「加算」という形で対応したため、この加算が取れたか否か、つまり厚労省側の政策誘導に乗ったかどうかで事業所の報酬額が異なってくるという仕組みだ。このため、実際に職員の処遇改善につなげられないという指摘が上がっており、国は今回の交付金を設置することで処遇向上につなげたいというねらいがある。

 この交付金は、介護職員の処遇を改善する事業所に対して交付されるもの。事業所の類型ごとに、介護報酬額に一定の交付率をかけた金額が毎月支給されるという仕組みで、特に人件費率の高い事業には交付率が手厚くなっており、訪問介護事業所は70%、訪問入浴介護は45%など。今年10月サービス分からの実施となるため、12月支払い分の介護報酬とともに支給される。

 事業所は、介護職員に処遇改善計画を通知し、支給される交付金を上回る額を賃金や待遇の改善に当てなければならない。また、来年度以降は介護職のキャリアプラン構築など、継続して介護職の待遇改善を行っていく意思を示さなければ、交付率が減額される。

 今回の予算案額は3975億円。全額国庫負担のため、保険料に跳ね返ることはない。ただ、2.5年分の予算計上のため、2011年度末に交付金の支給が終われば、待遇が元通りになりかねないという懸念がある。このため、厚労省は2012年度介護報酬改定で、待遇が下がることがないように対応を考える意向だが、介護報酬に反映されるということは、保険料増額や消費税率アップなどによる税金投入は避けられない。

 厚労省が4月20日に開いた有識者会議の中で、池田省三委員(龍谷大教授)は厚労省に対し、交付金に充てられる約4000億円は介護報酬額の約2%に当たるとした上で、今後の保険料の増額を見込んだ施策であるのかどうかと質した。宮島局長は、「第5期介護保険事業計画【編注】に向けてどうするかは、介護保険制度の中で保険料にどう跳ね返っていくか。どういう対応があるかは議論を続けないといけない」と述べた。

先ほどの話と絡めた形になりますが、こちら介護の方では政府なりに頭を絞って現場スタッフの報酬にどうやったら国庫支出を還元できるのかと考えた気配があることに留意ください。
本気で医療現場をコントロールしようと思ったら何より現状で崩壊を続けるスタッフの志気こそが一番の要になっているわけですから、どのような形であれ組織ではなく個人に対するインセンティブというものを用意していかなければならないということです。
問題はそうした政策の裏付けとなる財源なんですが、むしろ大不況の最中であるからこそ需要も求人もあるこうした分野に大規模に金を出していく必要があるんじゃないかと思いますね。

近ごろではよくある話ですが高齢の両親を介護するため壮年期層が早期退職していく、若年は新卒採用減少で職場での技術の継承性が保てなくなりつつあるという弊害が既にあちこちから聞こえてきています。
介護というものを社会的に単なる負の資産と捉えるのではなく、大規模な公共事業的性格で改めて捉え直してみると、驚くほど巨大な内需というものがそこには見えてくるんじゃないかと思いますね。
何しろ日本はこれから先もどんどん高齢化が進んでいくんですから、今から先行投資をしておいても余裕で元が取れるんじゃないかと思うんですが如何でしょうか。

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コメント

>総務省が求めている11年度までの経常収支の黒字化を予定しているのは全体の65%の544病院、

予定するだけなら元手もかからないし、机上の空論でも何でも勝手にぶち上げればいいだけな訳ですが、残りの35%は慎みがあるんですかね…

それとも65%マイナスαは予定を達成できなくてもなんら罰則がないんでしょうか

投稿: 微妙 | 2009年5月 3日 (日) 08時12分

計画達成が無理そうならさっさと見直せとは書いてありますが、今のところ無理だった場合にどうするかという記載はないようですね。
世間並みな常識的に考えて特例債発行の見返りに改革プランを出せと言う話だったわけですから、プラン達成が無理と判断されれば特例債絡みで何かしらペナルティーを出してくるのかなと思えるところですが…

投稿: 管理人nobu | 2009年5月 7日 (木) 08時04分

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