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2009年5月21日 (木)

介護業界に日が当たる時代が来るか?

底なしの不景気が長引いていてどこもかしこも人減らし、解雇と暗い話題ばかりですが、そんな中でこんなニュースがありました。

介護研修:失業者対象に応募者が殺到、定員40人に160人以上 /三重(5月20日毎日新聞)

 ◇「最後のチャンス」派遣切りに遭った42歳男性
 介護労働安定センター三重支部(山下久義支部長)が19日、津市栄町の県勤労者福祉会館で行った、失業者を対象にした養成講座「介護職員基礎研修課程」の開講式に、今年2月に派遣切りで職を失った津市の男性(42)が参加した。この講座は昨年から続く不況の影響で、応募者が殺到。およそ4倍の選考倍率をくぐり抜けてきた男性は、「正社員を目指す最後のチャンス」と強い決意を持って臨んだ。【福泉亮】
 県内の各公共職業安定所から失業認定を受けた人が対象のこの講座は、今年で2回目。定員40人に160人以上の応募があった。昨年は25人だったという。
 作文と面接の選考を通過した40人はこの日午後1時半から、開講式とオリエンテーションに参加し、真剣なまなざしで説明を聞いていた。
 この男性は高卒後、会社勤めをしていたが、好きだったスキューバダイビングを仕事にしたいと脱サラ。鹿児島県の与論島で約10年、インストラクターをした。
 「そろそろ安定した職業に就かなければ」と08年に帰省。だが、正社員として採用してくれる会社は見つからなかった。派遣会社に登録し、08年冬から県内の自動車関連の部品製造工場に派遣社員として働いた。不況の波にのみ込まれて業績が悪化。次々と派遣切りされた。
 「高齢化社会のいま、ヘルパーなど介護に対する需要は高まってくる。安定した仕事になるはずだ」と、男性は応募の理由を説明する。手には、ズッシリと12冊の教科書。「ようやく勝ち取った最後のチャンス。何が何でも、ものにする」と力強く語った。
 受講者たちは半年間計500時間の座学や実習をへて、介護職員基礎研修課程修了者の資格獲得を目指す。

介護業界の不人気ぶりを知っていれば不景気というのも案外悪くないものだなと思えるような話ですが、ことがここに至るまでにはそれはそれは長い道のりがあったわけです。
今年の始め頃のことですが、不況真っ盛りで派遣村がどうとか大騒ぎしていた時期にひっそりとこんな記事が出ていました。

生活危機:「介護現場へ就職を」 増える失業者、熱烈勧誘 行政も後押し(2009年1月30日毎日新聞)

 不況で職を失った人に、介護の仕事をアピールする動きが活発化している。厚生労働省は来年度からハローワークに福祉人材コーナーを設け、求人・求職双方のニーズが合わない「ミスマッチ」の解消に乗り出す。3月までに職を失う非正規雇用の労働者は約12万5000人。「簡単に転身できない」という失業者も多いが、人手不足に悩む介護施設の間からは「まずは挑戦して」と熱烈な勧誘の声が上がっている。【工藤哲、山本太一】

 非正規社員の削減が進む富士重工群馬製作所のおひざ元・群馬県太田市は昨年12月、雇用対策として、ホームヘルパー2級の資格取得に必要な研修費用の半額助成制度をスタートさせた。対象は太田市民で、締め切り前日の29日になって、ようやく応募者が当初予想していた40人になった。中には製造業で働いていた元派遣社員のほか、不況前から無職だった人もいた。

 担当者は「問い合わせは約100件あったが、応募は思ったほどではなかった。工場で機械に向かっていた人が急に生身の人間に接するのは、ためらいがあるのかも」と話す。

 人材派遣業の「ヒューマンリソシア」(東京都新宿区)は今月、介護の無料体験会を企画した。現場を経験してもらったうえで適性を判断、ヘルパーの雇用促進を目指す狙いだった。だが、応募者は主婦4人にとどまり、3人は直前にキャンセルしたため、体験会自体を中止した。

 求職中の人たちはどう考えるか。東京都内の知人宅に身を寄せ、ハローワークに通う元派遣社員の男性(47)は「派遣切りが問題になったから『人手不足の介護分野へ』というのは安易すぎる。資格を取るのに時間もかかる」と話す。「重労働の割に低賃金で、辞める人が多いのでは」との懸念の声もある。

 特別養護老人ホーム「たちばなホーム」(東京都墨田区)は、ハローワークや人材派遣会社に数年前から求人しているが、若い失業者からの応募はほとんどない。羽生隆司施設長は「垣根を低くして待っているので、ぜひ挑戦してほしい」と呼び掛けている。

どこの企業も人切りで休職者が町にあふれているという状況の中、大喜びしていたのが万年人手不足の農業と介護の人たちだったんだそうで、これを機会に人材を呼び込もうと新入生を誘うサークル並みに勧誘活動を繰り広げていたわけです。
仕事が無くて年越しも大変だと言っているような人々が大勢いたわけですから、これは需要と供給がうまく釣り合って良い結果になるんじゃないかと期待していた関係者も大勢いたのではないでしょうか?
ところがそれがどうなったかと言えば、このような記事が一つ二つではなく聞こえてきたのですね。

介護体験教室 中止 仕事を失った非正規雇用の労働者 予定の3人あらわれず/静岡(2009年1月19日NHKオンライン)

仕事を失った非正規雇用の労働者たちに人手不足に悩む介護現場への理解を深めて働いてもらおうと福祉施設などで介護を体験する教室が19日から浜松市で始まる予定でしたが、申し込みをした人が来なかったため教室は中止になりました。

この教室は静岡県が開くもので、18日までに12人の申し込みがありました。このうち浜松市東区の福祉施設では契約を打ち切られた派遣社員の男女3人を対象に19日から車いすの操作方法や介護を受ける人の接し方などについての研修を始める予定でした。

しかし、開始時間の午前9時になってもあらわれず、19日の研修は行われませんでした。県によりますと、3人が来なかった理由は、連絡がとれないためわからないということです。

研修を予定していた福祉施設の青木恵美子教育担当課長は「現場に慣れるには時間がかかると思うが、前向きな気持ちで勉強していってステップアップしてもらえればと思います」と話していました。

県では3月中旬までこの介護体験教室を開く予定で希望者が多ければ6月まで延長することも検討しているということです。

求職する方にも色々と事情はあるのでしょうし、えり好みが出来るというのはまだ余裕のある証拠なのかも知れませんが、一般論として約束を一方的に反故にするというのは社会人としてどうかと思われる行為ですし、何よりお互いにとっても後味が悪いですよね。
不景気だ、仕事がないといいながら実際にはちゃんと仕事はある、しかしどうしてもそれはやりたくないと言うほど嫌われている仕事というものも一方では確かにあるらしいということが判る話です。
逆に言えば不景気がまだ当分先まで続くと見極めがつき、そろそろ失業手当支給打ち切りも見えてきた今の段階になって初めて介護業界にも人が流れてきそうだという言い方も出来るでしょうから、一体そこまで社会から嫌われるというのはどういうことなのかと素朴な疑問が湧くところではないでしょうか。

相当以上に悲惨な介護業界の状況に関しては以前から何度か取り上げてきたところですが、これも以前に取り上げました「介護スタッフに一定の医療行為をさせよう」という話、その後も着々と進んでいるようです。
実態が既にそうである以上法的に認めなければ責任を取らされる現場が可愛そうだという表向きの議論ももっともなのですが、本来限りなく境界線が不明確な医療と介護を無理矢理切り分けて話をすっかりややこしくしてしまった張本人たちがそういうことを言っても正直マッチポンプとしか聞こえない部分があります。
この状況で療養型病床は更に削減し特養に追い出すとまだ言い続けているわけですから、どうも厚労省のやることもなかなかに意味不明だなと考えざるを得ないのですが、これも他省庁などとの綱引きの結果厚労省も泣いて馬謖を斬ったとでも言うことなのでしょうか?

[解説]特養の医療行為 介護職の処置 常態化  一部解禁に向けた議論を(2009年2月17日読売新聞)

 特別養護老人ホームでの介護職員による医療行為について、是非を考える厚生労働省の検討会が発足した。(社会保障部・小山孝)

 [要約]

 ◇看護師不足から、特養の職員が違法と知りながら医療行為を行っている例が多い。

 ◇利用者の安全確保策を定め、一部行為の解禁に向けた議論を早急に進めるべきだ。

 「たんがからんだ高齢者に、看護師が出てくる朝まで待ってとは言えない。仕方がないが、僕らの行為は明らかに法律違反。大きな心の負担となっています」

 東京都内の特養で働く男性介護職員は、夜間に行っているたんの吸引について、苦しい胸の内を語った。

 たんなどの吸引や、管で流動食を胃や腸に送る経管栄養などの医療行為は、医師法などにより、医師や、医師の指示を受けた看護職員しか行えない。しかし、看護師が十分に確保できないなどの理由で、介護職員による処置が常態化し、自治体から是正の指導を受けるケースもある。

 約40万人が暮らす特養では、「生活の場」との位置づけから、看護職員の配置基準は、利用者100人に対し3人。高齢化で医療が必要な利用者が増え、約75%の施設は基準を超える配置をしているが、夜間に常時対応できる施設は少ないのが実態だ。

 昨年の厚労省調査によると、夜勤や宿直の看護職員が必ずいる施設は、わずか約2%。ところが、たんの吸引の約2割は、看護職員が手薄なはずの午後10時~午前5時台に行われている。

 実際、全国老人福祉施設協議会(老施協)などが2006年に行った調査では、「軽微なら、夜間や緊急時に限り介護職員でも(医療ケアに)対応する」との回答が、経管栄養(胃ろう)では18%、たんの吸引では40%に上った。

 12日に初会合が開かれた厚労省の検討会には、医療、看護、介護関係者や法律学者など8人が出席。介護職員に医療行為の一部を認めるかどうかを焦点に議論が始まった。

 検討会では、介護関係者が「看護職員を増やすにも限界がある。現状で何ができるかを検討してほしい」(桝田和平・老施協総研介護委員長)など対応を求めたのに対し、医療関係者からは慎重論が目立った。

 日本医師会の三上裕司常任理事は、「医療が必要な人は、医療が手厚い施設に行ってもらいたい。たんの吸引でも窒息の危険がある」と主張。日本看護協会の高階恵美子常任理事も、「行為の安全性を考えなければならない」と強調した。

 一方、座長の樋口範雄・東大教授は、「介護職員も看護職員も後ろめたい思いがあるという現場の状況はよくない。何らかの形で一歩を進めたい」との考えを示した。

 明確な指針もなく介護職員が医療行為を行っている現状は、安全性の観点から問題が多い。在宅のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者のたんの吸引が一定の条件のもと、03年からホームヘルパーに認められるなど、在宅分野では既に医療行為の一部が解禁されている。

 認める範囲をきちんと定め、研修を行い、医療職との連携を確立することで、医療行為の一部を介護職員に認めることは十分可能だ。職員の不安を軽減するだけでなく、専門性を高め、待遇を改善するのにも役立つ。医療の必要度が高いため入所を断られたり、退所を求められたりする高齢者や家族には朗報といえよう。

 医療行為といっても、簡単なものから、危険で専門知識が必要なものまで様々だ。利用者の安全を最優先に考え、現実的な解決策を期待したい。

医療安全といった観点はともかくとして、現場の介護スタッフはどこも安月給に過酷な労働でひいひい言っているわけで、法的に認められたとなれば今以上に状態の悪い人が医療から介護の方に流れてくる、それをどう考えるかということも重要ですよね。
最近ようやく介護に少しばかり金を落とすといった話が出ていますが、「こんな割に合わない仕事やってられるか!」と逃散相次ぎ募集にも人が来ないような業界であればまず最優先で待遇改善を行う、そして職場の求心力が回復したことを確認して初めて「それじゃもう少し仕事頑張ってみようか」となるのが筋というものではないでしょうか。
先日厚労省では介護報酬改定の効果を調べるということに決めたようですが、その調査が行われるのがこの10月、更にそれに従って次なる待遇改善策を考えるのは次回予算以降となりますからずいぶんと気の長い話になりそうです。
長引く不景気と待遇改善で介護業界に職を求める人が増えるのが先か、それとも日本が不景気を脱して再び誰も介護業界など見向きもしなくなるのが先か、高齢化社会がますます進展していく中で何とも悲しくなってくるような話ですよね。

介護職の処遇調査、10月に約6万人に実施―厚労省介護給付費分科会(2009年5月19日ロハス・メディカル)

 厚生労働省は5月18日、社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会(座長=田中滋・慶応義塾大教授)の第2回会合を開催し、今年10月に実施する介護職員の処遇改善状況に関する調査の詳細項目を大筋で取り決めた。特別養護老人ホームや訪問介護事業所など約6000の事業所で働く、介護職員や看護職員など約 6万3000人が対象になる予定だ。(熊田梨恵)

 この調査は、介護職員の処遇改善などを目的に3%のプラス改定を果たした2009年度介護報酬改定の内容が、実際に個人の処遇に反映されているかどうかを検証するためのもの。政府は当初、介護職員の給与を月2万円増やすとしていたが、介護事業者の運転資金などに回されて給与の増額につながっていないと言われている。この調査で事業所の賃金の改善状況などについて実態把握し、次回の介護報酬改定につなげていく考えだ。

 調査は10月1日の開始を予定している。対象となるのは、▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▽介護老人保健施設▽介護療養型医療施設▽訪問介護事業所▽通所介護事業所▽認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)―の6種類の事業所の中から無作為に抽出する5969施設。これらの施設の中で働く▽介護職員▽看護職員▽相談員、サービス提供責任者▽介護支援専門員▽理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリスタッフ―など、合計6万 2814人が対象になる見込みだ。

 調査項目は、事業所や施設を対象にしたものと、職員を対象にしたものとに分かれる。
 事業所や施設には、給与の引き上げや手当、教育など職員の処遇状況、収支状況、今回の改定で新設した人員配置に関する加算の取得状況、サービス利用者数などを聞く。
 職員には、勤続年数や勤務形態、労働時間や資格の取得状況、基本給や一時金の額などを尋ねる。

 また、今年度の補正予算で設置する予定の「介護職員処遇改善交付金(仮称)」が介護職員の賃金に影響することが予想されるため、この調査とは別に実態把握していく方針も示した。

 この日は、全国老人福祉施設協議会や日本慢性期医療協会など6つの団体から調査内容に対する意見を聞いた。各団体は、調査だけでなく報酬改定に関する感想も報告し、今回の介護報酬改定が実際には処遇改善に結びついていないという意見や、他の職種との兼ね合いから介護職だけ給料を上げるのは難しいとする意見などを挙げた。

 事務局は委員や団体から挙がった調査項目に対する要望などを反映し、次回の介護給付費分科会に報告するとした。

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コメント

介護に金をまわすことを決めたようですが、今回はその代わりに医科の診療報酬を削減するようですね。
主に「勤務医の優遇」という美名のもと、開業医の診療報酬を減らすことを考えているようです。
まあ、確かに「相対的には」勤務医は優遇されますわな。
「勤務医ができるだけでもありがたく思え。開業医はもうおしまいなんだぞ」というやつで。
あるいは、「開業医をたたき潰すから、そいつらも勤務医に戻ってくる。だから給料は減るかも知れんが労働は楽になるぞ」くらいですかね。

保険診療報酬の話をしているのに、いまだに自由診療も含めた開業医の収支差平均で話をしているあたり、まあ、確信犯なんですけどね。

投稿: Seisan | 2009年5月21日 (木) 22時18分

このあたり記事を読むと結構香ばそうな話題のようなので、現在情報収集中です。

投稿: 管理人nobu | 2009年5月23日 (土) 08時42分

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