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2009年5月 9日 (土)

日本国内で初の新型患者を確認(追記有り)

今日はふたたび新型インフルエンザ関連の話題を取り上げたいと思いますが、表題のような事情で随時更新になるやも知れません。>追記有り
患者発生国が増えるにつれて水際阻止作戦は対象が増えていく一方で、現場の担当者には既に相当な無理が来ているようです。
そんな状況下で昨日のことですが、厚労省の方からこうした話が流れてきました。

新型インフル検疫態勢の縮小も  厚労省、見直しを検討へ(2009年5月8日47ニュース)

 厚生労働省は8日、新型インフルエンザの水際対策として空港などで行っている検疫について、状況に応じて人員縮小を含めた態勢見直しを検討する方針を固めた。

 見直しのタイミングについて担当者は「世界保健機関(WHO)の報告などを通じ、感染性や重篤度などウイルスに関する情報が一定程度集まった段階で考える。それがいつになるかは現時点では見通しがたっていない」としている。

 厚労省は4月28日以降、成田など3空港で、米国、メキシコ、カナダからの到着便に対する機内検疫を行うなど水際対策に取り組んでいる。ゴールデンウイーク期間中の5、6日には、病院から派遣された医師や看護師も加わるなど態勢を強化したが、専門家などからは、態勢の見直しを求める意見が出ている。

 岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長は8日、都内で会見し、個人的見解と断った上で「近い将来、ウイルスが国内に侵入するのはほとんど不可避。医療機関は疲弊しており、感染者が出た場合に十分対応できない可能性もある」と指摘。その上で「水際対策は、全国で検査態勢を整える時間を稼ぐなど一定の成果があった。各地の医療機関から検疫強化のために集めた人員を、医療機関に戻す準備を始めるべきだ」と話した。

それなりに大きなマンパワーを要する作業であり、限られた医療資源をこちらに未来永劫投入するのも現実的に不可能な中でこれ自体はごく常識的な話なんですが、何しろ出されたタイミングが悪かったと言えるかも知れません。
翌朝早々には成田で新型インフルエンザ患者確認のニュースが全国に流れてしまうことになったわけですから、下手をすると「何を言っているんだ!」と言われかねない状況になってしまいましたね。
ちなみに成田の患者はカナダからの帰国便内で感染が確認されそのまま病院に収容になったもので、紛らわしいですが厚労省見解としては「初の国内発生ではなく、国外からの流入を水際で阻止し得た一例」ということになっているわけで、そうなるとますます水際阻止作戦の縮小というものがどうなるか不透明な話ではあります。

新型インフル、国内初の感染確認…大阪の高校生ら3人(2009年5月9日読売新聞)

 厚生労働省は9日朝、成田空港に8日夕方に米デトロイト発の航空機で到着した大阪府立高校の男子高校生2人と40歳代の男性教諭の計3人について、国立感染症研究所での遺伝子検査の結果、いずれも新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への感染が確認されたと発表した。

 国内で新型インフルエンザへの感染者が見つかったのは初めて。水際の検疫での発見であるため、政府は指針の「行動計画」のレベルを現在の「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生期)」に引き上げず、引き続き現在の検疫態勢を継続する。日本政府は近く、世界保健機関(WHO)に対して国内の感染者として報告する。9日午前8時半から舛添厚労相が記者会見する予定。

 厚労省や大阪府教育委員会によると、3人は4月24日からカナダ・オンタリオ州に短期留学していた府立高校の一行。3人は空港近くの感染症指定病院に隔離入院した。また、3人と一緒にカナダから帰国した府立3高校の生徒28人、引率教諭5人を含め、近隣座席の乗客ら計49人が「濃厚接触者」として空港近くの宿泊施設で待機しており、今後は最長10日間留め置かれ、経過観察対象の「停留措置」となる。

 世界保健機関(WHO)の警戒度の引き上げを機に政府が新型インフルエンザ対策本部を設置した4月28日以降、この3人のケースが判明するまでに、計17人の「疑い患者」があったが、検査の結果、いずれも新型でないことが確認されていた。

しかし今朝のNHKも思いっきり「発熱や咳などインフルエンザを疑う症状のある人は、直接病院にかからず都道府県の相談窓口にまず連絡を」なんてことを言ってましたね(苦笑)。
現時点(午前7時)までのニュースを聞いていて気になった点としては、「高校生の一行の中に発熱を呈する患者がいたがあちらの医者にかかったところ「インフルエンザではない」と言われたためそのまま帰国した」といったくだりがあったことです(今回入院した患者と同一人物かははっきりしませんでした>確認中)。
発症初期の迅速診断キットの感度が低いことを考えると実際にその個人がインフルエンザであったのかなかったのかは未確定ではないかなと思うのですが、今後もし実はインフルエンザであったということになれば患者がチェックをすり抜けているという実例になりますよね。

さて、あくまで海外からの事例ですが日本初の患者が出たということで、この段階になりますと遠からず国内発症の患者が確認されそうです。
今のところ見つかった疑い症例は全て新型インフルエンザではなかったということになっているようですが、これらは海外帰国者を対象としているものであって既に国内に新型が入り込んでいた場合には普通に見過ごされている可能性が大いにあるとも考えられます。
何より従来型のインフルエンザ自体も春の小流行で現在ある程度の患者が出ていることが話をややこしくしているようです。

邦人の感染を初めて確認=シカゴ在住の6歳男児-米から連絡・中曽根外相が発表(2009年5月8日時事通信)

 中曽根弘文外相は8日午前の閣議後の記者会見で、米シカゴ在住の6歳の日本人男児が新型インフルエンザに感染したことが確認されたと明らかにした。邦人の感染が判明したのは初めて。外務省によると、男児はタミフルを服用して既に回復。家族に発熱などの症状は出ておらず、家族と共に現地にとどまっている。
 同省などによると、この男児は現地の幼稚園に通っており、土曜日だけ日本人向けの補習校に行っている。現地時間の5日に38度を超える発熱があり、同市内の病院でインフルエンザの検査を受け、そのまま自宅で療養した。
 7日午前、この病院が男児の家族に新型インフルエンザへの感染が確認されたと連絡。家族が直ちにシカゴの日本総領事館に届け出た。
 発熱した5日以前の男児の行動や感染ルートなどは不明。隔離などの措置は取られなかったが、幼稚園は休んでいるという。また、補習校は9日の土曜日は臨時休校にする。 

新型インフル、相次ぐ「疑い→シロ」 通常型も流行中(2009年5月7日朝日新聞)

 新型の豚インフルエンザをめぐり、簡易検査で疑わしいとされても、遺伝子検査で詳しく調べると、通常の季節性インフルエンザと判定されるケースが続出している。まだ流行期にある季節性インフルエンザの患者が簡易検査で引っかかるためだ。そばにいた人も感染を疑われ、結果が出るまで一時的に足止めを求められるなど影響は大きくなっているが、厚生労働省は水際の検査に理解を求めている。

 人で流行するインフルエンザにはA型とB型がある。A型にはAソ連型とA香港型があり、新型もA型だ。簡易検査はA型かB型かなど大まかな判定をするものだ。

 最初に「疑い例」の患者が出たのは4月30日。成田空港で、米国から帰国した女性が簡易検査でA型の可能性があると判定された。だが、国立感染症研究所で詳しい遺伝子検査(PCR検査)をしたところ、A香港型とわかった。

 以来、5月7日までに関西や中部空港、帰国後の医師の診察などの簡易検査で毎日のように「疑い例」が現れたが、これまで新型の感染は確認されていない。これまでの15例(16人)のうち、10例(10人)が最終的に季節性のA型と判定された。それ以外は不明か細菌の感染によるものだった。

 新型インフルの「疑い例」は38度以上の発熱、または、鼻水やのどの痛みなどの症状があったうえで、「10日以内に新型インフルが流行している国、地域に旅行していた」ことなどが第一条件。さらに簡易検査でA型が否定されなければ「疑い例」として遺伝子検査する。

 検査は6~12時間かかるとされるが、その間、近くにいた人は「濃厚接触者」として、感染を広げないように、空港内の施設などにとどまることを求められる。

 季節性インフルエンザは例年、5月を過ぎても流行が続く傾向にある。国立感染症研究所感染症情報センターによると、日本でもまだ17万人の患者がいると推測される。

 全国約5千カ所の医療機関からの定点調査(4月13~19日)によると、1定点あたりの患者数は、流行の目安とされる1.0人を超える4.10人。11道県で警報レベルを超えているという。

これに加えて非常に面白いなと思ったのは、以前から指摘されているような患者の年齢分布が偏っているという問題です。
通常インフルエンザ大流行ともなれば施設の高齢者がバタバタと倒れたなどという話が出てくるように体力の弱い高齢者の感染が非常に問題になるわけですが、現地での話を聞いてみても(全く感染者がいないわけではないにしろ)高齢者で重症化している人というのはほぼいないらしいというのは事実のようなのですね。
このあたりは今後の詳細な検討を期待したいところです。

新型インフル「高齢者に免疫か」…専門家指摘(2009年5月8日読売新聞)

 世界中に感染が広がっている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について、高齢者の感染者が少ないことが注目を集めている。

 「高齢者には何らかの免疫があるかもしれない」と指摘する専門家もいる。

 米疾病対策センター(CDC)は6日、米国内で感染が確認された642人の患者のうち、58%が18歳未満の若者だったと発表した。通常の季節性インフルエンザでは、乳幼児や高齢者の感染者が多いだけに、新型インフルエンザでは、なぜ、若者に感染者が集中するのか憶測を呼んでいる。

 感染者の最も多いメキシコでも、高齢者の感染者が少ないのは同じで、同国内で最多の治療実績を誇る国立呼吸器疾患研究所付属病院でも、重症で入院する患者の大半が20~50歳だった。

 世界保健機関(WHO)の緊急委員会委員を務める田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長も、今回の新型インフルエンザで60歳以上の感染者がほとんどいないことを不思議がる。

 田代センター長は「今から60~65年前に、今回の新型ウイルスに似たウイルスが流行し、高齢者が免疫を獲得している可能性がある」と指摘する。CDCのリチャード・ベッサー所長代行も6日の記者会見で、春休みにメキシコを旅行した若者から新型インフルエンザの感染が広がったのが一因としながらも、高齢者が新型のウイルスに対して免疫を持っている可能性があるとの見解を示し、今後詳しく調査する必要性を強調した。

いずれにしてもこれだけ世界各国で感染が広がっている状況ですから、既に国内にも知らない間に入り込んできているのでは…とは誰しも考えるところだと思います。
特に先日の記事でも引用しましたように、新型インフルエンザはどうも通常のインフルエンザと比較しても感染から発症までの期間が長い傾向にあるようですから、普通なら発症していておかしくない時期でもそのまま日常生活を送ってしまい周囲に感染を広めてしまっている可能性があります。
実際のところ発症前の感染者から排泄される新型インフルエンザウイルスがどの程度の感染力があるのかといった基礎的データもはっきりしないのが現状ですが、通常のインフルエンザでは患者の同居者が同日ないし一日違いくらいの範囲で相次いで発症してしまう事例から類推するに、かなり初期の段階から周囲への感染力を持つものと考えておいた方がよさそうです。

そしてもう一つの深刻な問題として、現段階で国内各医療施設において迅速診断キットや治療薬の備蓄が乏しく、しかもこれらのメーカーからの出荷が(特に発熱外来を設置していない一般病院に対して)止まっているという話があることです。
もともと冬の流行期を過ぎたこの時期には各施設とも大きな院内在庫を抱え込んでいない場合の方が多いでしょうから、施設によると既に検査キットも品切れ寸前という状況にあるようで、こうなると患者が来たところで最低限のふるい分けも出来ないという話にもなりかねません。
ちょうど連休が挟まったこともあってメーカー側が緊急に増産・出荷体制を取ったとしても直ちに末端にまで行き渡るというのも難しいでしょうし、あちこちの施設でどうしたものかと頭を抱えているのではないでしょうか。

さてここから話は変わって、先日もお伝えしました「診察拒否」問題の続報ですが、まずは毎日新聞の記事から紹介してみましょう。

新型インフルエンザ:過剰反応、やまぬ診察拒否 都の説得、断る医療機関(2009年5月8日毎日新聞)

新型インフルエンザ感染の可能性がないのに医療機関に診察を拒否されたとの相談が、東京都以外にも5県2政令市に寄せられていたことが7日、毎日新聞の調査で分かった。東京都への相談件数は7日朝までに計212件に達した。都内では都が説得しても診察を拒否し続けている病院もあり、厚生労働省は「国内未発生の段階では、発生国に行っていなければ診察して問題ない」として、医療機関に適切な対応を求めている。【内橋寿明、江畑佳明】

 ◇「保健所診断書持ってきて」

 調査は7日、都道府県と政令市の新型インフルエンザ対策担当者に実施。診察拒否の相談があったのは東京都のほか、埼玉、千葉、滋賀、島根、高知の各県と横浜、神戸両市だった。東京都以外はいずれも数件だったが、東京都はこの問題が報道された5日以降で120件増えた。

 東京都内では「(新型インフルエンザでないという)保健所の診断書を持ってきてほしい」と診察を断った医療機関があり、都が患者の連絡を受けて説得しているが、依然として拒否を続けているという。都は診察を拒んだ医療機関のリスト化も検討している。相談が報道された後も増えたことについては、都の担当者は「泣き寝入りしていた患者たちが、報道で知って連絡してきたのでは」と推測している。

 横浜市では「診察してもらうのに、何カ所もの医療機関を回らなければならなかった」との相談があった。市は5日付で医師会と病院協会に対し、適切な対応を取るよう文書で要請したという。

 島根県には6日夜までに、7件の相談が寄せられた。いずれも渡航歴がないのに、医療機関に発熱相談センターに行くよう求められたとの内容。

 センターは、一般の医療機関で受診して構わないと説明したという。担当者は「『発熱相談』という名称なので、熱がある人の対応を一任してしまっていいと勘違いする医師がいるのではないか」と話す。

さすが毎日新聞、検査はおろか診察もせずとも感染の可能性はないと判断できるんだそうですが、残念ながら多くの医療従事者は毎日新聞ほどの神の目は持ち合わせていないというもの悲しい現実というものでしょう。
ちなみに報道に触発されたのか東京都以外でも同様の「診察拒否」が発生しているようですが、こちらも毎日新聞の記事を見てみれば厚労省の方針に従えば明らかに妥当な判断としか思えないものを医療機関の対応の間違いのように言い立てるのは何かしら意図するところがあるのかなと邪推出来てしまうところですよね。

新型インフルエンザ:県内でも診察拒否 /埼玉(2009年5月8日毎日新聞)

 新型インフルエンザへの警戒が強まる中、東京都内の医療機関で発熱患者への診察拒否が相次いでいる問題で、県内でも7日までに類似ケースが数件あることが分かった。

 県疾病対策課によると、厚生労働省がまん延地域に指定した米国、メキシコ、カナダの3カ国以外の海外から帰国し、その後発熱した患者らから「病院に行ったら、先に発熱相談センターで相談するように求められた」という相談が県に数件あったという。

 また、同課は発熱外来を設置する県内の医療機関が10から16に増えたと発表した。【岸本悠】

面白いのは、普段こういうネタが大好きそうなワイドショーなどでもこの問題については結構意見が分かれているようなのですね。
これが録画放送であればカットされてしまっていた部分も結構あったのかも知れませんが、ああいう番組において医療問題というものはコメンテーターの個性や知識レベルがよく現れてしまう部分ではあるのかも知れないなとも感じるところです。

「診療拒否」病院は悪者か 舛添発言にテリー「失礼だ」(2009年5月7日JCASTテレビウォッチ)

新型インフルエンザへの対応を巡り、国内の病院で「診療拒否」が起きている、と今日(5月7日)の番組が取り上げた。発熱の症状があるだけで、海外渡航歴がないのに診療を拒否された、などの例が相次いでいるという。

   リポーターによると、季節性インフルエンザの流行収束が例年より遅れており、現在もかなりの人がかかっている。舛添厚労相が5月6日、診療拒否について「医師法違反になる」「海外渡航もしていない方々まで拒否するのは行き過ぎ」などと医療機関を批判したことも伝えた。

   この舛添大臣見解に異を唱えたのはテリー伊藤だ。「病院が悪者みたいになってるが、違う(悪者ではない)」。舛添大臣の「医師法違反」との指摘については、「失礼だ」とも話した。テリーの懸念は以下のようなことだ。――GW中に海外へ行った人たちの帰国がすでに始まっている。海外で感染したとしても潜伏期間中で発症しておらず、空港などでの検査の網にひっかからない可能性がある。海外では、渡航歴がないのに感染している例が出ている――医療機関側が、患者の「渡航歴がない」情報では安心できないのは理解できる、といったところだろうか。

   一方、加藤浩次は「発熱だけ」の患者の立場なら「診て欲しい」とある意味当然の願望を述べる。テリーの指摘はともかく、過剰な診療拒否が望ましくないことは間違いない。さりとて厚労相・厚労省の「威圧的」とも受け取れる姿勢が、混乱回避の最善策とも思えない。現場の医師たちの不安も解消できる形で、意見交換しながらコトを進めて欲しいものだ。

ちなみに舛添厚労相の言うところの医師法違反とは恐らく応召義務違反と言いたかったのだと思いますが、緊急性のない症例において診療により適切な施設へ受診するようすすめることは応召義務違反とはならないというのが現在の一般的な解釈となっているようです。
さすがに厚労省もマスコミに乗せられて適当なコメントをすっぱ抜かれてしまった後でこれはマズイと感じたのか、昨日になって外口崇医政局長が「発熱外来のない医療機関が、他の医療機関への受診や、発熱相談センターへの相談を勧めたとしても、医師法19条で規定する「医師の応召義務」違反には当たらない」との公式答弁を出しています。
勝手に二階に駆け上がって思い切りハシゴを外された形の舛添氏こそ良い面の皮というものですが、所轄官庁のトップが一時の感情に任せて適当なコメントを吐くと後でどうなるかといったあたりもなかなか興味深いかなと思って見ているところなんですがね。
いずれにしてもこの件に限らず専門職に対する社会的要請というものも考えるに、現場医療機関で診療に従事するスタッフは周囲の雑音にいたずらに惑わされることなく、あくまで専門的見地から最善と信じる道を選択しなければならないのは言うまでもないでしょう。

さて、厚労省の「既定の方針通りだけど改めて書いてみました」という現状解決に何の役に立つのかよく判らない通達が出され、一方で何故かマスコミ的には「診療拒否ケシカラン!」とすっかり現場の意識の問題ということで解決している気配すらありますが、実際のところはそう簡単な話でもないようです。

新型インフル 県と自治体、症状の判断分かれ混乱 /兵庫(2009ン3ン5月7日神戸新聞)

 新型インフルエンザの電話相談窓口をめぐり、症状の連絡を呼び掛ける対象について、神戸市と兵庫県内のほかの自治体との判断が分かれている。県などはメキシコや米国本土、カナダから十日以内に帰国し、発熱やせきなどがある人らが対象。一方、神戸市は、三八度以上の発熱などがあれば、渡航歴がなくても医療機関に行く前に電話連絡するよう呼び掛けており、一部の市民の間に混乱が起きている。

 県は、新型インフルエンザがまん延している国からの帰国者で症状が出ている人と、電話で帰国者の健康状態を調査している健康福祉事務所などからまだ連絡がない人を中心に、「発熱電話相談窓口」に連絡するよう呼び掛けている。これにより、まん延国からの帰国者を把握できるとみている。県内で保健所を設置する姫路、西宮、尼崎の各市も同様の対応。

 これに対し、神戸市は渡航歴や患者との接触がない場合でも、発熱やせき、息苦しさなどの症状があれば、市の「発熱相談センター」に連絡するよう呼び掛けている。症状などを聞き、医療機関を案内。六日には、直接医療機関を訪れた人が同センターに連絡するよう言われたとして、苦情が寄せられたという。

 同市地域保健課は「今回の医療機関の対応は市の方針に沿っており、診察拒否ではない」とした上で、「潜伏期に検疫をすり抜ける人がゼロとは言えない。万一に備え、可能性のある人を広くとらえたい」と話す。

 厚生労働省は「相談体制が整っているなら、対象を広くとらえても構わない。ただ、混乱のないよう、住民への周知を徹底してほしい」としている。

市民の目で見ていますとお役所なんてどこも同じようなものに見えてしまう部分も多々あるところですが、そのお役所同士でもこれだけ見解の相違というものが明らかになってきているわけなのですね。
こうなってくると厚労省の指示を理解しようとしない現場が悪いのか、あるいは理解されない指示を出している厚労省が悪いのか微妙なところだなと感じるのは自分だけでしょうか?
いずれにしても検査の感度すら100%でもないのに、「新型インフルエンザに感染していない」などと軽々に口にする輩の言うことはまず信用できないと考えておけば間違いありません。

国立感染症研究所がつい先日出した「国内医療機関における新型インフルエンザ(A/H1N1)診断の流れ」においても、「渡航歴や患者との接触歴・症状から新型インフルエンザを疑った患者」という極めて曖昧な表現が用いられていることからも判る通り、渡航歴や接触歴などと言うものはあくまで感染のリスクを評価する目安にしか過ぎないわけです。
そうした診断の限界に加えて新型インフルエンザの病原性や感染力、感染が蔓延した場合の社会的影響などを全て承知した上で、水際阻止体制からのすり抜けや二次感染の恐れも既に多分にあると思われる現状の中で、患者個人のみならず社会防衛までも含めて最も適切な行動を選択するということが求められていると言えるでしょう。
「単に熱が出ただけなのに近所の病院でみてくれないなんてとんでもないじゃないか!」などと大騒ぎする前に、本当の意味での「冷静な対応」というものはどのようなものなのか、社会全体でもう一度考え直してみるべきでしょうね。

【追記】国内初症例に関連して幾つか続報が入っていますが、いずれも国の立てた計画の実施などとは程遠い「ザル状態」であることを証明しているような話ばかりですね。
水際での防御などということはよほど高い市民レベルでの理解なしでは到底成立し得ない話なのではないかという感がますます強くなってきています。

しかし正直長時間機体内の閉鎖空間で同室していた人々を、単に席が近いかどうかだけで分けることにどれほどの意味があるのかとも思いますが…

現地で発熱したが予定通り帰国 大阪府教委会見(2009年5月9日朝日新聞)

 マスクの未着用、教員も発熱したが予定通り帰国……。大阪府教育委員会が9日午前から計3回開いた記者会見などで、学校や府教委の対応に疑問が浮かびあがった。

 一行が滞在中にカナダなどで感染が広がり、府教委は4月28日、対策本部を設置。3校にメールで、生徒の健康観察の徹底▽手洗いやマスク着用の励行▽カ ナダ国内の感染状況の情報収集▽帰国後も10日間は学校で健康観察を続ける――の4点を通知した。しかし、指示は徹底されなかった。引率教員らは主な滞在 先のオークビル一帯でも感染者が確認されたことについて把握せず、生徒はマスクもつけていなかったという。

 高校側は5月1日、マスクを50枚発送し、現地に5日までについたが、引率の教員が「現地は平穏でマスクをつけていると周囲に違和感を持たれる」 と判断し、着用を見送った。その後、姉妹校で授業を受けたり、トロントで大リーグの試合を観戦したりした。マスクをそろって着用したのは、出国間際だった という。

 生徒の1人が発熱したのは5日夜。6日朝、教員に付き添われて、現地の病院で診察を受けた。インフルエンザについての詳しい検査はなく、問診との どを見て「風邪」と診断された。この診断を受け、教員が同日午後、「発熱した生徒が1人いるが、新型インフルエンザではないと診断を受けたので予定通り帰 国する」と高校にメールを送った。

 教員が発熱したのは6日夜。パーティーに出ていたとき熱っぽいと感じて、途中でホストファミリー宅に戻ったという。それでも予定通り、帰国の途についた。

 中西正人教育長は「結果的に対応が甘かったということになる。反省すべき点はある」と語った。カナダで感染が広がる中、帰国を早めるよう勧告しなかった点については、「高校側から報告を受ける限りでは、帰国を促す事態にはいたっていないと判断した」と説明した。

【新型インフル】「停留」くぐり抜け乗客が最大11人存在、特別な注意呼びかけ(2009年5月9日産経新聞)

 厚生労働省は9日、感染が確定した生徒の1人は、機内検疫を終えて機体を降りてからの診察で、感染が確定したことを 明らかにした。機内でこの生徒の周囲に座っていた最大11人が、停留措置を受けることなく、入国した可能性があるため「健康状態に特に注意してほしい」 と、呼びかけている。

 この生徒は、機内中央の左窓側席「43A」シートに座っていた。

 厚労省では、機内検疫で「感染疑い」となった人について、周囲の席や、この人に食事などを運んでいた客室乗務員に待機してもらい、その後、感染が確定した場合には10日間の「停留」措置を取ることにしている。せきなどの飛沫(ひまつ)によって、周囲の人に感染している疑いがあるからだ。

 今回は、教諭と1人の生徒については、この対応が取られた。しかし、もう1人の生徒は、機内検疫の際には体調異常はなく、降機後に体調不良を訴えた。周囲にいた人を含む他の乗客らは入国(帰宅)してしまった段階で、停留ができなかった。

 厚労省では、機内で乗客全員から提出してもらった「健康状態問診表」に書かれている住所や連絡先の確認を急ぐとともに、航空会社とも連絡を取り合って、周囲の席にいた乗客の特定を急いでいる。また、心当たりの人に、厚労省や保健所などに名乗り出るように呼びかける。



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コメント

アレなエントリ立てました。
http://punigo.jugem.jp/?eid=534

いやー、マスコミの医療破壊記事による「牟田口症候群」の伝染って恐ろしいですね。

投稿: 都筑てんが | 2009年5月10日 (日) 22時59分

「またいつもの病気か」くらいに思っていたんですが、意外にいい燃料になってしまってるようですね(苦笑)。

投稿: 管理人nobu | 2009年5月11日 (月) 11時41分

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