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2009年5月13日 (水)

最近の地方医療行政関連の話題

最近インフルエンザの話題ばかり取り上げていますが、その間にもあちこちから色々な話題が飛び込んできています。
先日もお伝えしましたように、奈良の産科医賃金未払い訴訟の判決が不服として県側は早々に控訴を決めていましたが、医師側も控訴することになったようです。
結果として医師側としては完全勝訴を目指すという形になりましたが、県側に反省の色が見られない以上はこれもやむなしということなのかも知れません。

産科医宿直賃金訴訟:医師側も控訴/奈良(2009年5月8日毎日新聞)

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人の宿日直勤務に対し、奈良県に時間外割増賃金など約1540万円の支払いを命じた先月22日の奈良地裁判決について、原告の産婦人科医側が大阪高裁に控訴した。

 控訴は2日付。原告側弁護士は、自宅待機する「宅直」が時間外労働と認められなかったためとしている。県側は既に控訴している。【高瀬浩平】

裁判の結果ももちろんですが、これは明らかに全国の医療現場共通の問題でもあるだけに、当事者である奈良県以外の自治体で今後どのような対応を取ってくるかということにも大いに注目していかなければならないでしょうね。

さて、自治体病院はどこも経営が大変だということは既に広く知られているところですが、以前にも書きましたとおり総務省の「公立病院改革ガイドライン」などといった外圧もあってあちこちで経営改善の動きが本格化してきています。
実際にはほぼ全ての病院で赤字という状況なだけに黒字化を目指すには医師などスタッフを集められるかどうかが問題になってきますが、通常私立病院から公立病院へ逆戻りする医師もそう多くはありませんから、当然引き抜かれる先も別な公立病院となってくる道理です。

公立病院、3割が病床削減や削減検討 朝日新聞社調査(2009年4月24日朝日新聞)

 公立病院の3割が入院ベッドの削減を決めたり、検討したりしていることが、朝日新聞の全国アンケートで分かった。北海道では6割、東北で4割に上る。医師不足や診療報酬の抑制に伴う減収で、地域医療の中核を担ってきた公立病院の縮小が進んでいる。患者が必要な医療を受けにくくなる可能性もある。

 公立病院の経営が自治体財政を圧迫していることを背景に、総務省は今後5年間の経営改善プランを3月までに作るよう自治体に求めた。朝日新聞は3~4月、自治体が運営する934の公立病院にプランの内容を尋ね、657病院(70%)から回答を得た。

 ベッドの削減(08年度実施を含む)を決定、検討していると答えたのは33%。削減数を具体的に答えたのは137病院で計5729床。回答した全病院のベッドの少なくとも3.4%が消える計算だ。

 北海道の病院の61%、東北の44%が減らすほか、近畿36%、四国36%、北陸・甲信越・東海28%、九州26%、中国25%、関東12%。民間医療機関が少ない小規模自治体では、公立病院の役割が大きいが、そうした地域に多い50床未満の病院の49%が、削減を決めたり、検討したりしていた。44%は診療所への転換も検討していた。

 青森県つがる市立成人病センター(92床)は、13年度に無床診療所になることが決まっている。近隣の病院との再編で、同センターが「サテライト(衛星)診療所」と位置づけられたためだ。長崎県松浦市民病院(60床)は19床の診療所になった。

 ベッドが減ると、入院患者の受け入れに支障が出る恐れがある。ベッドを置かない診療所に転換すると、医師が一人だけになったり、夜間診療に制約が出たりすることが考えられる。

 削減の理由を北海道の町立病院は「医師不足で入院患者を診ることができない」と説明。「ベッド利用率が低いため」(長野県内の病院)との声もあった。一般病床の利用率は05年度の平均80%から07年度は75%に下がっていた。

 経営面では収入減を招きかねない。一方、人件費や経費の削減につながるほか、診療報酬の算定で有利になる面もある。削減による経営への影響は病院ごとに違う。(錦光山雅子)

総務省などはこの機会に人員、病床ともどもの集約化と言うものをすすめなさいと言う方針のようですが、実際に改革プランが動き始めたここに来てある程度勝ち組負け組というものが見えてきたようにも思いますね。
やはり基本的にはどれだけ人材を抱え込めるかということになるわけですが、周囲のサポートが得やすいなど大病院ほど働く医師にとってもメリットがあり、また経営母体である自治体にとっても黒字化を目指すメリットが大きいということで、中小病院から大病院へという流れが主流になってくるのは仕方のないところでしょう。
各地の病院から現状が漏れ聞こえてきていますが、一部病院などではこの機会に人員大幅増という景気の良い話もある一方、元々危機的であったものが更に減員となり青息吐息という状況の施設もあるようです。

医師19人増 市立堺病院 給与アップ、移転計画奏功?/大阪(2009年4月16日読売新聞)

 堺市の木原敬介市長は15日の定例記者会見で、市立堺病院(堺区)の医師が今月から19人増えて129人となり、内科・小児科救急などを拡充することを明らかにした。市は1月に医師給与をアップしており、今後は病院移転と救命救急センター整備も計画。同病院では「積極的な姿勢が評価されたのでは」と歓迎する。
 市によると、3月までは常勤医68人、非常勤42人の計110人だったが、4月1日から常勤医は10人増の78人、非常勤も9人増えて51人。増えた19人のうち14人が内科で、夜間救急外来は、当直1人と午前0時まで勤務する半当直の〈1・5人体制〉だったが、当直を1人増やし〈2・5人体制〉とする。また、重症患者に対応するための専従チーム「内科急性期科」を設置。

 <一部体制を拡充>
 小児科は今月中の増減はないが、5月から非常勤で1人増える予定。そのため、輪番で週5日だった救急受け入れを、今月から週6日、6月からは毎日に拡充する。
 市では1月、常勤医の給与を年平均で約110万円アップ。救命救急センター整備と一体的に病院移転を進めるために新設された局長級ポスト「医療監」の北村惣一郎・前国立循環器病センター総長らが医師確保に努めてきた。
 ただ、同病院では医師定数(常勤90人、非常勤52人)を下回り、休診・休止中の眼科と新生児集中治療室(NICU)は再開できず、「今後も医師確保に努めたい」としている。

安定経営へ 改善急務/大阪(2009年5月10日読売新聞)

市立柏原病院、常勤医4人増 収益、病床利用率向上など

 全国の公立病院で医師不足が深刻化する中、柏原市立柏原病院は4月から常勤医4人を増員し、12科32人態勢での運営を始めた。2006年には、常勤医の半数以上が退職を申し出たのに後任のめどが立たない事態に見舞われたが、岡本泰明市長が「市政の最重要課題」と位置付けて医師確保に乗り出した結果、派遣に応じる新たな大学病院が現れ、その後の増員につながった。しかし、累積赤字は巨額で単年度収支の黒字転換へのハードルも高い。同病院が目指す「安定経営」の実現はこれからの課題だ。(池尻太一)

 「新任医師8名着任」「『安心できる市立柏原病院を目指して』ますます充実!!」。4月3日、柏原市のJR柏原駅前などで岡本市長や市職員、同病院の看護師ら約100人が配った市報号外に、こんな言葉が躍った。

      ◎      

 同病院では06年、常勤医28人のうち内科や小児科、整形外科の15人が07年3月末までに順次退職すると申し出た。従来であれば、医師を派遣してきた大学病院が後任を派遣し、患者の治療を引き継いでいた。しかし、04年に導入された医師臨床研修制度で状況が一変。都市部の大病院での研修を希望する医師が増え、大学病院が地方の公立病院に後任を派遣するだけの人繰りがつかないケースが増えたのだ。

 同病院も後任を確保できる見通しが立たなくなり、岡本市長や病院幹部は府内や周辺の大学を約100回訪れる〈トップセールス〉を展開した。「病院を地域の財産として守り続けるという決意を示せば、来てくれる医師も出ると信じて動いた」と岡本市長は振り返る。

 医師がいなくなった整形外科は06年11月から2か月間、休診を余儀なくされたが、大阪市立大と近畿大が医師の派遣を引き受けてくれることが決まり、15人の後任を確保。整形外科も07年4月から再開にこぎ着けた。その後は28人態勢で運営を続け、今年3月に4人が退職したが、糖尿病や心臓カテーテル治療の専門医ら新任8人が4月に加わり、4人増の32人態勢となった。

      ◎      

 ただ、07年度決算で累積赤字が約60億円、同年度の経常赤字が約10億円に上るなど経営が厳しい状況に変わりはない

 経常収支を黒字に転換するためには、収益を同年度の56%増となる約45億円にまで高めなければならないと同病院は試算する。実現には240床ある病床の利用率を現在の80%から90%に、1日当たりの外来患者数を400人から470人に伸ばすとともに、高度で診療単価が高額な医療を増やしていかなくてはならないという。

 近隣でも松原市立松原病院が経営難から3月末で閉院しており、経営改善は急務だ。中川喜美治・事務局長は「目標は高いが、市民の財産である病院を守ろうという意識が医師と職員の間で高まっている」と話す。

退職医師早くも10人 09年度県立病院 /岩手(2009年5月11日岩手日報)

 県立の二十一病院と五地域診療センターに勤務する医師(常勤医と二年間の臨床研修後に専門的な研修を行う若手医師)のうち、二〇〇九年度に入ってからの退職者(予定を含む)は既に十人に上り、前年度末日付の退職を翌年度分に数える県医療局の統計上、〇九年度は早くも四十人に達することが分かった。データがある〇四年度以降では最多。県医療局は五地域診療センターの無床化などで、基幹病院を中心に医師の集約化を進めているが、医師退職に歯止めはかからず、地域医療再生の道のりは険しい

 県立病院の医師の退職者数(定年や大学の医局人事は除く)は〇四年度三十八人、〇五年度三十七人、〇六年度二十八人、〇七年度三十七人。

 〇八年度は二十五人で、〇四年度以降、最少だったが、五年間での退職者数は計百六十五人に上る。開業や民間病院への転職を理由に退職する医師がほとんどだ。

 さらに、〇九年度の退職者数(予定を含む)は統計上、既に四十人。このうち、三十人は〇八年度末の〇九年三月三十一日付で退職したが、年度末の同日付の退職者は決算処理や総務省への報告上、翌年度の退職者数に数えられる。

金木病院の常勤医5人へ 婦人科医師は非常勤(2009年4月29日陸奥新報)

 五所川原市金木町にある公立金木病院が、6月から常勤医5人体制になる。今月末で内科医一人の退職が決まっていたが、さらに来月末で婦人科の常勤医が自己都合から非常勤医となることが分かった。婦人科の診療は変更なく行う予定。
 同病院は先週、婦人科医から退職願を受け取った。同病院によると28日、同医師との話し合いで婦人科診療は外来、入院ともに従来通り行う意向を確認。救急受け入れは残る常勤医が継続していく考えを示したという。
 同病院の医師充足率は来月で70%を下回り診療報酬減額対象になる。婦人科医の非常勤医移行で60%を下回ることになるが、さらなる減額ラインの50%は保たれる。

ところで、最近では現職場をドロップアウトして待遇の良い施設に行くなどという話もよく聞きますが、相対的に待遇も悪く労働条件も過酷な施設が多い公立病院の医師不足の方が厳しくなってきているのではないかという想像はつくところです。
となれば公立病院ももっと待遇を良くして人を集めれば良いのにとは誰しも思うところでしょうし、実際に公立であっても破格の給与を用意して医師集めを行っている施設も出てきています。
そのあたりの実効性はどうなのかといったあたりも気になるところですが、先頃全国自治体病院協議会の出した実態調査の結果がなかなか興味深いので引用してみましょう。

自治体病院における医師充足状況実態調査結果(全国自治体病院協議会)より抜粋

調査結果
(1)     医師が不足している病院     343病院
(2)     上記343病院のうち、立地条件が離島・辺地・振興山村・過疎地域に該当する病院 275病院(80.2%)
(3)     医師が不足している病院の医師の充足率      79.8%
うち、立地条件が離島・辺地・振興山村・過疎地域に該当する病院    77.6%

(特徴)
・病床規模別では100床未満の病院の充足率が68.7%と低い。(第10表参照)
・開設者別では、町村立の病院の充足率が71.5%と低い。(第10表参照)
・地域別では、北海道の100床未満・町村立の病院の充足率が51.7%・54.3%と低い。また、東北の100~199床・町村立の病院の充足率も70.6%・69.5%と低くなっている。(第12表参照)
(4)     医師が不足している病院の常勤医師1人当たり年間給与額     16,969千円
うち、立地条件が離島・辺地・振興山村・過疎地域に該当する病院  17,383千円
※ 参考 回答病院のうち、一般病院676病院の常勤医師1人
    当たり年間給与額                   15,043千円

(特徴)
・病床規模別では100床未満の病院の給与額が20,551千円となっており、200~299床の病院の16,024千円に比べ、28.3%高い。(第14表参照)
・開設者別では、町村立の病院の給与額が19,337千円となっており、市立病院の15,851千円に比べ、22.0%高い。(第14表参照)
・地域別では、北海道の町村立及び組合立の病院の給与額が27,892千円、24,660千円と高額であり、関東の町村立及び組合立の病院と比べると、 15,885千円、14,922千円とおよそ2倍となっている。(第16表参照)

要するに田舎の小さな病院ほど医師不足が著しいという当たり前とも思える結果なのですが、見てみますと中小病院や僻地病院など医師不足の目立っているような施設ほど給与が高いという傾向が見て取れます。
「人が来ないんだから高い給料を出してでも集めるのは当然じゃないか」と言うのは真っ当な考えだとは思いますが、一応こうして金銭的には優遇していても人が集まってこないということは、未だ医師にとってのインセンティブとしては十分ではないということは言えそうですよね。
ただしここで追記しておかなければならないことは、田舎の公立病院などですと僻地手当などの諸手当名目で見た目の支給額は増えていても、退職金などの額に影響してくる本給に関しては増えていない場合が結構あるということで、このあたり公立病院に永年勤続が多い看護師や事務職員などと比べて明らかに医師が冷遇されている部分ではあります。

いずれにしても公立病院改革はしなければならない、しかし医師がやってこないという以上は再編するなり縮小するなりしなければならないという結論に遅かれ早かれ達するのではないかと思いますが、この辺りもなかなか難航しているようです。

県立地域診療センター無床化:説明会で新体制の問題浮き彫り /岩手(2009年5月8日毎日新聞)

 ◇迅速な搬送、治療対応など山積

 県立地域診療センターの病床休止(無床化)問題で、地域住民を対象にした達増拓也知事の説明会が7日、紫波町で開かれた。4月に行った一関市花泉町、花巻市大迫町に続き3回目で、これで半数を終えた。「入院先を探すのに苦労した」などの訴えが住民側から上がり、迅速な搬送・治療対応など、新たな地域医療体制下での問題点が浮き彫りになってきた。【山口圭一】

 ◆救急体制

 4月の土曜日、花巻市大迫町の80歳代男性の容体が急変した。旧大迫町内唯一の医療機関である診療センターは休日・夜間、医師は不在だ。男性は直線で約18キロ離れた市内の病院に搬送されたが、間に合わず死亡した。

 社会福祉法人大迫桐寿会の佐藤忠正理事は、この事例を挙げ救急時の不安を訴えた。知事は「命にかかわる症状は、これまでも基幹病院に運んでいた」と説明。救急車の増備を求める意見にも「花巻市のこと」と答えるにとどまった。

 説明会後、佐藤理事は「地元で診てもらえれば助かったかも、と遺族は悩み続ける。知事は、こうした住民感情にも目を向けてほしい」と語った。

 ◆終末期医療

 地元で終末期医療を受けたいという声も集まった。知事は「地域医療は医療だけでなく、福祉などケア全体ができて安心できる」と語るが、「2次医療圏ごとに話し合って仕組みを作ってほしい」と具体像は見えない。

 県は、今月から秋にかけて地域ごとに3回程度、住民や医療団体、県立病院の医師らが話し合う懇談会を設けるが、「住民や医療機関がそれぞれの取り組みを見直す。地域で新たな取り組みがまとまる可能性もある」(保健福祉企画室)。

 「大迫地域医療を考える市民の会」共同代表の佐々木功さんは「無床化の代わりにどう手当てできるのか聞きたかったが、何も分からない」と憤る。

 ◆民間移管

 センターの入院施設を、老人保健施設や医療機関として活用する民間移管に期待を寄せる住民も多い。だが、先行する花泉でも介護保険の負担を巡り市や県の協議が続き、実現は「条件が整い次第」(県医療局)だ。紫波郡医師会の試算では、入院時に20病床をフル稼働させても年間4000万円程度の赤字が出る。同医師会の渡辺立夫副会長は「今の法制度では民間移管しても赤字になる」と疑問視する。

追跡京都2009:舞鶴の公的4病院再編問題 安定した医療提供必須 /京都(2009年5月10日毎日新聞)

 ◇一つの基幹病院と幾つかのサテライトに集約 医師配分など利害絡み曲折

 舞鶴市で設置母体が異なる公的4病院を一つの組織に統合、再編するという全国でも例がない動きが進んでいる。市立舞鶴市民病院、日本赤十字社の舞鶴赤十字病院、国立病院機構の舞鶴医療センター、国家公務員共済組合連合会の舞鶴共済病院の四つ。市公的病院再編推進委員会(座長・浅井孝司副市長)は先月、4病院を一つの基幹病院といくつかの小規模なサテライトに集約し、1組織で運営する構想をまとめた。今後は、市が各病院の設置母体から合意を得られるかどうかがポイントとなる。経緯や課題を整理した。【珍田礼一郎】

 ◆一斉辞職

 再編の大きな要因となっているのが医師不足だ。人口約9万人の市で、四つの大型病院という充実した医療環境を誇ってきたが、診療態勢の維持が困難になった。

 04年3月、舞鶴市民病院で、内科医14人中13人が一斉辞職した。以後、民間委託を模索するが頓挫。常勤医の確保が困難となり、休止したり手薄となった診療科で患者が減り、病院経営を圧迫するという悪循環が続いている。病床利用率は08年度で18・1%と低水準。市は赤字補てんのため、09年度予算で9億6000万円を同病院に繰り入れる。

 他の3病院も常勤医の不足で、診療科を休診や縮小させている。例えば、交通事故で重いけがを負い、脳神経外科や整形外科、神経内科を受診する必要があるとしても、医療センターは整形外科、共済と赤十字病院は脳神経外科と神経内科の常勤医がいない。チーム医療ができないのだ。

 一方、4病院の常勤医師数は計106人(07年度)で、患者数が同じぐらいで病床利用率85・8%の京都第一赤十字病院の118人(同)と比較しても、そん色がなかった。そこで、市は「トータルで安定した医療を受けられる基幹病院への統合」を構想し始めた。

 ◆再編プラン

 07年5月、齋藤彰市長の私的諮問機関「舞鶴地域医療あり方検討委員会」が発足。同11月の最終答申で、4病院を1、2施設に再編する方向が示された。

 今年1月、市内の公的4病院長らが委員を務める市公的病院再編推進委を設置。府中丹東保健所長や舞鶴医師会長らも名を連ね、再編へ向けた実質的な協議を重ねた。

 推進委は2回目の会議(今年4月)で、東地区に二次救急(入院や手術が必要となる医療)機能を持つ1基幹病院、西地区に療養機能を持つサテライト病院を設置することを目指すことで合意。基幹病院の規模は、4病院の急性期病床数1005床の病床利用率60・5%を反映し、500~600床程度。建物は既存利用と新設の両面から検討するとした。

 ◆設置母体と協議

 市は「医師が四つの病院に分散している状態を解消したい」と必要性を強調し、先月下旬から東京都内の各病院の本社、本部へ出向いてプランを説明している。しかし、医師数の配分や派遣元大学をどうするのか、といった問題で利害は一通りではない。

 新病院建設の場合は、資金も課題。市は約75億~198億円の建設費を予想するが、市が全額負担することは、一般会計からの多額の繰入金がある現状では議会からの強い反発が予想される。

 市は各母体との協議を進め、早ければ年内に合意を取り付けたい考え。「1病院だけでは舞鶴地域の医療を担えないのが現況。他の病院があって安定した医療を提供できる。これは、どの病院も同じ」としている。

名古屋市立病院再編、医師不足の特効薬か? /愛知(2009年4月15日中日新聞)

 名古屋市内に5つある市立病院が、医師不足にあえいでいる。計199人の定員に17人が足りない。特になり手が少ない産婦人科医や小児科医は、過酷な勤務に疲弊している。市が病院再生の策として打ち出した病院の再編計画には「地域医療切り捨て」との批判も。市長選の候補者たちは、どんな解決策を提示するのか。

 「こんな姿を見たら産科医のなり手がいなくなるわな」。城北病院(名古屋市北区)第一産婦人科の柴田金光部長(55)は自嘲(じちょう)した。

 当直は月に6回。さらに月2回は、別の市民病院に当直の応援に行く。深夜に呼び出されたり、当直で未明に出産に立ち会った後、日勤で手術を数件こなすことも珍しくない。

 同病院の産科医は5人。5病院では最多とはいえ、13人いる名古屋第一赤十字病院(同市中村区)と比べれば、差は歴然だ。

 2004年に始まった臨床研修制度で研修医に病院選択の自由を認めたため、都市部の民間病院に研修医が集中。公立病院は軒並み医師不足に陥った。5病院も収入が激減し、累積赤字は計167億円に上る。

 医師が減り救急対応も十分にできない。症例も増えず、経験を積みたい若手医師が来なくなる悪循環を生む。城北病院の研修医採用数は昨年、本年度ともゼロ。市は「医師に選ばれる病院を目指す」と3月末、2病院を中心に医師を集約し各病院に特長を持たせる改革プランを発表した。

 11年度に北区に完成する「クオリティライフ21城北」には城北、城西病院の医師を集め、24時間体制で重篤な出産を扱う体制を目指す。一方、守山市民病院では昨年4月に出産の取り扱いをやめた。城西も2年後にやめる。

 こうした動きに「地域医療を考え守山市民病院を守る会」の幹事、橋本克己さん(67)は「市立病院の役割を放棄している。採算だけを追求する姿勢はおかしい」と反発する。

 城西病院に通う、妊娠5カ月の妊婦(26)は「病院が遠くなるのは困る。民間産院も、予約を早めに取らないと産めないと聞く。どの市立病院でも産める方がいい」と話す。

 市病院局の上田龍三局長(64)は「集中と選択で魅力ある病院にしないと、医師は集まらない。今の状況では、すべての病院で何もかも診療するのは不可能」と理解を求める。

まあ誰しも今以上に良い状況を希望する一方で、今より悪くなるのは勘弁してくれと思うのは人間心理と言うものですから、ある程度揉めるのは仕方ないのかも知れませんが、世の中には虻蜂取らずといった言葉もありますのでねえ。
こういう記事を見てみますと「既得権益を主張する守旧派」だとか「行政のリーダーシップの欠如」などと言ったネガティブなイメージばかりが出てきかねないところなんですが、一応弁護しておきますと地方の医療行政というのは今やよほどのことがない限り「失敗して当たり前」と言ってもいいくらいな状況になってきているのも確かです。
最近では自治体首長選などにおいても医療問題というものは大きな争点になってきているのと裏腹に、誰がやっても結局うまくいかなさそうな壊滅的状況というものを示す記事も幾つか紹介してみましょう。

検証・荒井県政:就任から2年/上 医療体制 /奈良(2009年5月8日毎日新聞)

 ◇早い対応、伴わない結果

 「奈良の政治でデビューしてからお世話になり、感謝しております」。今年2月23日、奈良市内のホテルであった自民党県議らの勉強会で、荒井正吾知事が頭を下げた。勉強会には、県議会最大会派「自民党」の県議17人のうち11人が参加する。荒井を支える中心的存在だ。

 国土交通省で海上保安庁長官まで登り詰めた荒井。元運輸相の古賀誠・自民党選対委員長に誘われて01年に同党参院議員に転身し、07年5月に知事に就任した。

 県内での政治基盤はないに等しい荒井にとって、後ろ盾の古賀の存在は大きい。07年夏、勉強会のメンバーらが古賀を支持する親ぼく会を結成した。「他県の国会議員の親ぼく会ができるのは異例」(他会派の県議)だが、荒井と自民党の蜜月関係を示すものと言える。

 そんな荒井が独自色を出し始めたのは医療政策だ。荒井は勉強会で「県立病院の再生により力を入れていきたい」などと熱弁を振るった。06年8月、町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となった妊婦が、19病院に搬送を断られて死亡。知事就任間もない07年8月には、橿原市の妊婦が大阪府高槻市の病院へ搬送中に救急車内で死産した。県内の救急搬送体制が全国的に注目を集めたことが荒井を駆り立てた。

 荒井は、調査委員会を立ち上げ、1次救急輪番の整備に乗り出した。08年度から、看護師が受け入れ病院を探す妊婦搬送コーディネーターを新たに設置。08年5月には、大学教授や病院長ら約200人が救急医療や医師確保などについて話し合う県地域医療等対策協議会を創設した。自民党も、県議会厚生委員会(9人)に勉強会の議員4人を送り、支援態勢を固める。

 ただ、全国的な医師・看護師不足などが影響し、妊婦搬送コーディネーターはわずか1年で廃止。ハイリスク妊婦の県外搬送率は25%から5ポイント下がったが、昨年5月に開設した総合周産期母子医療センターも看護師不足で31床のうち22床しか稼働できていない

 背景には、06年度に国が導入した看護配置基準がある。これまでの「患者10人に看護師1人」に加え、「7人に1人」の枠が創設された。手厚い看護で診療報酬が増額されるため、大阪や京都などの大学病院や民間総合病院で看護師の需要が高まり、県内の新卒看護師が都市部に流れた。

 追い打ちをかけるように、生駒市が開院を目指す市立病院の病床配分を巡って県と県医師会が対立。地域医療等対策協議会の委員20人が辞任届を提出する事態になっている。

 塩見俊次・県医師会長は「知事の意気込みは評価できるが、もう少し現場や実態を反映した施策を」と注文する。荒井のスピード感ある対応に結果が伴わないのが現状だ。「柿本県政より積極的だが、結果が出ていない。今年は正念場だ」。ある県幹部はこう漏らす。(敬称略)

銚子市長選:リコール何だった? 賛成派が4分裂/千葉(2009年5月8日毎日新聞)

 千葉県銚子市の市立総合病院の診療休止に端を発する出直し市長選(10日告示、17日投開票)が「百家争鳴」の様相。休止に反発して市長リコール(解職)を成功させた市民グループから4人が名乗りを上げ、リコール賛成票は事実上4分裂。失職した前市長らも出馬の構えで、市民からは「リコールは何だったの」と戸惑いの声が上がっている。【新沼章】
 ◇10日に告示

 岡野俊昭前市長(63)が昨年7月、財政難から病院(393床)の休止を決めたのが発端。10月1日の休止直前まで患者は転・退院で混乱し、リコール運動の母体「何とかしよう銚子市政・市民の会」が結成され、必要な署名数を確保。今年3月の住民投票で賛成2万958票、反対1万1590票でリコールが成立した。

 前市長失職後、リコール推進派から、会社社長の茂木薫(58)▽市立病院の元勤務医、松井稔(45)▽市議の石上允康(みつやす)(63)▽塾経営の高瀬博史(59)の4氏が名乗りを上げた。4人とも会メンバーだが、「会は役割を終えた。分裂ではない」と口をそろえる

 一方、失職した岡野氏は、リコール派の動きをにらみ、消極姿勢から一転出馬を決意。「病院を再開できるのは自分だけ」と訴える。06年市長選で岡野氏に敗れた元市長、野平匡邦(まさくに)氏(61)も、返り咲きを狙う。

 6人全員が「病院の早期再開」を公約にするが、再開後の経営手法などに微妙な差がある。そもそも医師不足の深刻化ですんなり再開できるか疑問視する見方もある。

 「民主主義のコスト」もばかにならない。住民投票の経費は2300万円だった。出直し市長選の2800万円は09年度予算からひねり出すが、いざという時に使える基金は580万円しかなく、市幹部は頭を抱える

 住民投票の結果から単純には推測できないが、岡野氏の返り咲きもあり得る情勢。財政難に端を発した病院休止問題が、計5100万円かけてリコール前に戻るとなれば、文字通り「元のもくあみ」となる。

ま、その…こういうもの悲しい記事を見ていますと、「みんな貧乏が悪いんや!」と言う言葉を思い起こしてしまうのは自分だけでしょうかね…
それでも金銭的な問題は何とか行政側の努力で何とかしてもらうにしても、最終的にはやはりスタッフの人材確保次第という話になってくることは仕方がありません。
いずれ日本では限られた医療職の奪い合いという事態が起こってくるのではないかと考えているのですが、そうなるといよいよ医療のボーダーレス化という話になってくるでしょうし、日本をそちらへ主導したい勢力も確実に存在しているでしょう。

実際のところ既に看護職では国内市場への参入が実現して外国人看護師の第一陣が入ってきていますが、コミュニケーションの問題は元より受け入れ施設側の躊躇などいろいろと難しい状況になっているようです。
臨床現場における医師相互の評価というものはバックボーンより何より使えるかどうかで決まるところがありますから、使える医師であれば同僚医師からはそれなりに歓迎されるとは思いますし、最悪言葉が通じなくとも結構出来る仕事もありそうなのですが、医療現場は医師だけで成り立つものでもありませんし、ましてや医療を受ける側にとってはどうかということですよね。
果たして必要なだけの人材が集まるかといった話と同時に、「とにかく人手が足りない!誰でもいいから寄こしてくれ!」と言っている人々が本当に誰でもいいのかといったあたりにも興味がわくところではあります。

外国人看護師の就業先、6割しか確保できず(2009年5月1日CBニュース)

インドネシアとの経済連携協定(EPA)で昨年に引き続き来日する予定のインドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受け入れ施設数が、看護師候補者で98 施設236人分、介護福祉士候補者では100施設241人分と最大受け入れ予定数の約6割にとどまっていることが明らかになった。受け入れを担当する国際厚生事業団(JICWELS)は、受け入れ施設の募集について、当初3月3日から4月3日までの1か月としていたが、受け入れ希望機関の応募が足りないとの理由で、20日まで延長していた。

 インドネシアとのEPAでは、2年間で看護師候補者400人、介護福祉士候補者600人を上限として受け入れるとしており、昨年8月に候補者の第一陣 208人(各104人)が来日。看護師候補者分については47施設、介護福祉士候補者分については53施設が受け入れており、現在候補者らはそれぞれの施設で就労・研修を開始している。

 今年度は最大で792人(看護師候補者296人、介護福祉士候補者496人)の受け入れが予定されているが、JICWELSによると、インドネシアではすでにこれを上回る応募があったという。
 一方、日本側は当初受け入れ施設数が伸び悩み、JICWELSでは延長後の応募期限である4月20日の一週間ほど前から、昨年度の受け入れ施設や今年度フィリピンとのEPAに基づき来日する看護師・介護福祉士候補者を受け入れる予定の施設など約250施設のほか、日本病院会など関係団体に対して、電話や電子メールで受け入れを呼び掛けるなどの対策を取ったという。
 しかし、先月28日時点で、最大受け入れ人数の6割、477人分の確保にとどまった。

 受け入れ募集施設が集まらなかった理由について、JICWELSの担当者は「今年度はフィリピン人の看護師、介護福祉士候補者も来日することになっており、それが影響したのではないか」と話している。

命を守る 招かれる即戦力――第3部〈白衣群像〉(2009年4月17日朝日新聞)

 岩手医大(盛岡市)の産婦人科。劉川(リウ・チョワン)医師(35)が、生後6日、体重3160グラムの男児の足の裏をなでる。男の子はくすぐったそうにして足の指を開いた。新生児の反射に異常がないことを確かめた劉さんは、「きょうから、おうちに帰れるよ」と日本語で言って、退院の手続きを取った。

 劉さんは中国・瀋陽市の中国医科大で13年の臨床経験を持つ産婦人科医だ。岩手県と岩手医大の要請で、昨年9月に来日した。中国にもうすぐ小学生になる息子がいるが、「最新設備がある日本に行くのは勉強のチャンス」と1年間の単身赴任を決意した。

 岩手県は1平方キロあたりの医師数が北海道に次いで少なく、医師不足が深刻だ。苦肉の策として考え出したのが国の臨床修練制度を使った中国人医師の受け入れだった。

 日本の医師免許がなければ医療行為をできないが、一定の語学力と臨床経験のある外国人医師は、最長2年間、指導医のもとで処方箋(せん)の交付以外の医療行為ができる。05年、交流のある中国医科大から産婦人科医2人と小児科医1人を派遣してもらう協定を結んだ。劉さんは2人目だ。

 指導医のもとでメスを握ることもある。帝王切開や腫瘍(しゅよう)摘出手術も20件ほど行った。指導医の西郡秀和さん(40)は「経験も長く即戦力だ。やれることに制限があるが、実際は我々と同等かそれ以上の技術を持っている」と評価する。劉さんが主に病棟を受け持つことで、日本人医師が外来患者をより多く診ることが可能になったという。

 とはいえ、臨床修練制度はまだ広がっているとはいえない。制度が知られていないうえ、十分に日本語能力がある外国人医師も少ない。指導医にも語学力が要求されるほか、受け入れ病院は、医療事故時の賠償のための保険に加入が求められるなど手続きのハードルも多い。

 厚生労働省医事課は「医師確保を目的にするのは、(外国の医師に教えるという)臨床修練制度の趣旨に反する」と原則を強調するが、「地域の事情があり、すぐに禁止するものではない」と柔軟な考えも示す。

 後に続こうとするのが新潟県だ。09年度に240万円の予算を組んだ。羽入利昭・県医務薬事課長は「すでに技術を持っている外国人医師は即効性がある。日本に留学経験のある中国人医師は有力な選択肢の一つだ」と話す。

 中国人医師には企業も注目している。医師の人材紹介会社「リンクスタッフ」は06年、臨床修練制度を使った中国人医師の派遣業を始めた。160人が登録する。現在、消化器の外科医1人が福島県の病院で働き、4人が厚労省の許可を待つ。杉多保昭社長は「地方を中心に約20の医療機関から問い合わせがある」と話す。
(略)
 日本国内には、中国の医師免許をもつ人が大勢いる。だが日本の免許がないと、医療行為はできない。日本の免許をとるには、多くの場合、合格率約1割の予備試験に通り、1年以上の実地研修をした上で国家試験に合格しなければならない。

 上海第二医科大の胸部外科医だった銭勇(チエン・ヨン)さん(46)は94年、島根県の病院で1年間研修した。東京女子医大でも臨床研究を行い、博士号を取った。肺がんだけで200例以上の手術をした。だが、日本の国家試験を受けるのはあきらめ、日本の製薬会社に就職した。「子どもも生まれたばかりで、生活に余裕がなかった。もったいないと思ったが、仕方がない」

 銭さんは、中国人医師が日本で働けないかと、07年にNPO法人「在日中国人医師協会」を設立した。会員は約90人。東京マラソンの医療ボランティアや元残留孤児の医療通訳などをしてきた。「本当は医師になりたいけど、仕方なく違うことをしている人は多い。自分たちの能力を生かしたい」と語る。外国人医師活用の広がりに期待する。(香取啓介、五十川倫義)

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