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2009年5月

2009年5月31日 (日)

今日のぐり「長崎ちゃんめん倉敷店」

お隣韓国では盧武鉉前大統領が飛び降り自殺だとかで大きな騒ぎになったようですね。
先日は日本でも小沢党首が辞任する騒ぎがありましたが、いずれも身辺に捜査当局の手が伸びる中での話ということですから、どこの国でも政治家にこの種の問題というのはつきものなのかも知れません。
議会制民主主義の本家たるイギリスでもやはりこの種のゴシップは存在しているようですが、どうも我々が想像するものとは少しばかり様子が違っているようなんですね。

今度はアヒルの小屋に24万円、英経費スキャンダルで議員が辞意(2009年05月22日AFP BBNews)

英議員の不適切な経費請求が相次いで発覚している問題で21日、新たに下院議員2人が、責任を取って次回総選挙に出馬しない意向を表明した。

 英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)によると、このうち野党・保守党(Conservative Party)の有力議員ピーター・ヴィガース(Peter Viggers)議員は、ハンプシャー(Hampshire)州の自宅の庭の池に作ったアヒル用の小屋の設置にかかった費用1600ポンド(約24万円)を経費計上していた。

 一方、与党・労働党(Labour Party)のベン・チャップマン(Ben Chapman)議員は、住宅ローンの利子1万5000ポンドを過剰に申告していたが、間違ったことはしていないと主張している。

しかし24万円のアヒル小屋って…と思うかも知れませんが、元記事の写真を見ていただければ値段については何かしら妙に納得してしまうところがあります。
ま、そういうアヒル小屋を造ることの是非はともかくとして…という注釈が当然ながらつくわけですが、とりあえずさすがはブリ、元祖変態の名は伊達ではないというところでしょうか。
もちろん公費をこんなことに使われてしまった有権者は大いに怒るべきところでしょうが、しかしこの記事にはさらにもの哀しい続報があったりもするのですね。

英議員が不当に経費計上した小屋、「アヒルには気に入ってもらえなかった」(2009年05月24日AFP BBNews)

英議員の不適切な経費請求が相次いで発覚するなか、自宅の庭の「アヒル小屋」設置にかかった費用を経費計上していたことが判明した野党・保守党(Conservative Party)のピーター・ヴィガース(Peter Viggers)議員は23日声明を出し、「請求を恥じており、申し訳なく思っている」上に、せっかく作った小屋は当のアヒルに気に入ってもらえなかったことを明らかにした。

 ヴィガース議員はハンプシャー(Hampshire)州の自宅の庭の池に作ったアヒル用の小屋の設置にかかった費用1600ポンド(約24万円)を経費計上していたことが判明し、21日に責任を取って次の選挙に出馬しない意向を表明した。同議員は1974年から議席を占めていたが、保守党のデービッド・キャメロン(David Cameron)党首は辞職するよう強く求めていた。

 ヴィガース議員は声明で、議会で経費を管理する部署Fees Officeもこのような請求を拒否すべきだったとの考えを示したが、「私は判断する際にばかばかしくも重大な誤りをおかしてしまった」として、そもそもこのような請求をすべきではなかったと述べた。

 さらに問題の小屋は「アヒルにさっぱり気に入ってもらえず、今は物置として使われている」という。

 英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)が2週間前にこの問題を取り上げて以来、下院議長が任期途中で辞任したり、多数の議員が辞職表明に追い込まれるなど、英下院は激震に見舞われている。

なんと哀しい…これはもう、人間にとってもアヒルにとっても様々な意味で哀しすぎる話です…
しかし一言言いたいことは「判断する際に馬鹿馬鹿しくも重大な誤りをおかしてしまった」ってあなた、それがなかったらブリじゃありませんから!

というわけで今日の結論:ブリの変態魂いまだ衰える気配全くなし。

今日のぐり「長崎ちゃんめん倉敷店」

夕食を食いそびれたまま遅い時間になって、いい加減低血糖気味になってくると「何でもいいから食わせ~!」って気になってくることってありますよね。
特に時間帯によっては外食の選択肢も極めて限られてくることもままある訳ですが、所用で出かけた帰りにラーメン屋でもないかと思いつつようやく見つけて入ったのがこの店でした。
ちなみにこのチェーンの他店には大昔に何度か行ったことがあるのですが、あちこち乱立していたひと頃と比べると何かずいぶんと店舗数が減っているようにも感じるのは気のせいでしょうか?
ついでに大昔に来たときには前払いの食券制だったような気もするのですが、今は普通の会計システムになっているようで(この店舗だけでしょうか?)少しばかりとまどいました。

当然ながら?最もベーシックな「長崎ちゃんめん」を頼んでみたのですが、このご時世にも大昔と値段があまり変わっていないことにはちょっとびっくりでしたね。
結構昼間は混雑するらしいのですが、夜も遅い時間となるとそれほどでもなく、かといって何組か団体客が入っていて二人きりの店員は結構大変な修羅場という状況のようでした。
待ちながら調理場を見ていますと数種類のちゃんぽんバリエーションを一つの鍋でまとめて作っていたりしていて、なかなか麺茹でとのタイミング合わせにも苦労しているのか火を止めたり付けたりと四苦八苦しているようで「ああ、これじゃ野菜の食感も何もないかな…」と思っていましたが、幸い自分の時は一人分だけ作っていただいたようでしたね。
お陰で野菜の食感はそれなりにしゃっきりしていて、これでしたら炒め物としてまずは合格点出せるんじゃないかと言う感じです。
ちなみにトッピングはよく見ると実質ほとんどキャベツともやしばかりなんですが(苦笑)、そうは感じさせないように食材の切り方などにも結構工夫しているようで、コストアップを避けつつパッと見それなりに豪華に見えるというのはうまいものだなと少し関心しました。

しかし大昔に来た頃には結構濃いスープという印象があったのですが、今改めて食べてみるとむしろあっさり系とも言って良いほどで、このあたり昔行ったことのあるラーメン屋に久しぶりに行ってみると軒並みスープが薄く感じるというのと同様に業界の進歩なり変化なりというものを感じるところですね。
麺も今のラーメン屋の基準からすると茹で加減ももうひとつ、湯切りも今ひとつで味、食感ともしゃっきりしないものなんですが、野菜をはじめとするトッピングが主体の料理でラーメンより食事時間も長くかかるだろうと考えてみると、こういう大雑把な麺というのがあってるんだろうなとも思います。
その昔あった笑い話に「うまいラーメン屋がある」と連れて行かれたら長崎ちゃんめんだったというものがありましたが、日進月歩のラーメン業界の進歩からするとさすがに古さは隠せないかなとも感じる一方、久しぶりにこうして食べてみるとやはり長崎ちゃんめんはラーメンではない別の何かなんだなとも感じさせられた一杯ではありました。

ここで話は飛びますが、昔からこの「長崎ちゃんめん」という店は基本的に長崎チャンポンを出す店なんだけれども、商標権か何かの都合でちゃんめんを名乗っているだけなんだと漠然と思いこんでいたのですが、どうもそうじゃなかったらしいんですね。
同社のHPによりますと「(長崎ちゃんぽん+ラーメン)×長所=長崎ちゃんめん」なんだそうで、「長崎の郷土料理“ちゃんぽん”をベースに、試行錯誤を繰り返し」「バラエティーに富んだ野菜と具に、独自に開発したコクのあるスープと生麺がおいしいベストワン商品」こそが長崎ちゃんめんなんだとか。
何にしろこの手の麺類系の店としては比較的野菜も色々と入っている点でも好評を博していて、今もそれなりに根強い人気を持っているようですが、こうして食べてみると麺料理一杯でも結構腹が膨れる感じで価格とボリュームの点ではお得感はありますね。

ところでこの店の看板なんですが、ちょうど並木に隠れる位置にある上に文字がライトアップされているので、来る方向によってはほとんど見えないんですね。
店自体も車道側にそう光が漏れる構造ではないらしく夜間には至って地味な印象で、何気なく走っていると通り過ぎるまで気付かずにいてしまうということも大いにありそうな印象でした。
おそらく派手にライトアップせずとも長年の固定客だけでも十分商売になるという考え方なのかも知れませんが、夜の営業としては少し不親切な印象が拭えないところですかね。
遅い時間帯でもそれなりに家族連れや女性客も入っているようで、ラーメン屋とも少し違う客層を掴んで今や地域に定着している店ということなんでしょうが、せっかくですから見た目にももう少し気を配っていればいいのにとも思わされたのでした。

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2009年5月30日 (土)

ほぼ確実となった医師数増加、しかし歓迎する声ばかりでもなく

本日まずは医師の「偏在」解消のために「財務省が」「厚労省に」要請したというニュースです。
つい先日は「診療報酬で医療を変えるのはもう無理」という医師会会長の発言がありましたが、こうして並べてみるとなかなか興味深い話ではありますね。

「診療報酬の抜本見直しを」医師偏在の緩和へ財務省要請(2009年5月29日朝日新聞)

 財務省は厚生労働省に対し、医師の偏在を解消するため診療報酬制度の見直しを促す方針だ。勤務医と開業医との待遇格差を縮め、労働条件の厳しさから特定の診療科や大都市への医師の集中に歯止めをかける狙いだ。

 診療報酬の見直しは財務相の諮問機関の財政制度等審議会でも検討、財務相に来月提出する建議(意見書)に盛り込む。財務省は、10年度予算の基本指針となる「骨太の方針09」に反映させて政府方針に格上げしたい考えだ。

 財務省によると、医師の数は96年からの10年間で約23万人から26万4千人に14%増えた。だが、診療科別では、精神科が20%、整形外科が15%それぞれ増えた一方、産婦人科は10.6%、外科は7.7%それぞれ減った。地域別に見ても偏在は加速。埼玉県や千葉県では同じ10年間で20%以上増えたが、青森県や愛媛県の増加は6%以下だ。

 財務省は、診療内容が同じでも勤務医より開業医の報酬が高く設定されている現行の制度を問題視。開業医の平均年収は勤務医より1.8倍以上高く、勤務医をやめて開業医を目指す医師も増えているという。特に救急医療に追われる拠点病院の医師不足が深刻で、患者の「たらい回し」の一因にもなっている。

 診療報酬は2年ごとに見直される。財務省は次の改定がある10年度の予算を通じて待遇格差を縮めることを厚労省に促す。ただ、開業医の報酬を引き下げれば、報酬の配分を決める中央社会保険医療協議会などの反発は必至。日本医師会は自民党の有力支持母体でもあるため党内の抵抗も予想され、実現するかは不透明だ。(山口博敬)

何度も言うようですが診療報酬を見直せば勤務医が増えるというのは法人税を引き下げればサラリーマン志望者が増えると言うくらいには密接な関係を持っている話なんですが、もはやこうまで主張されるとある種様式美の世界にもなってきていますかね。
むしろこうなりますとひとたび病院の診療報酬を手厚くしておいて勤務医が増えなかったという結果を出しておき、それでは引き上げなど無意味なのだと診療報酬を低く保ったまま強権による医師強制配置をやろうなどという荒技をも視野に入れているのかと邪推したくもなってくるところですが…
しかしここでも抵抗勢力筆頭格扱いの医師会ですが、医師会がどうこう言って政治家がそんなに動くというのなら何故こうまで毎年医療費削減政策が続いているのかと思うのですがね(苦笑)。

それはともかく、最近は地域医療の人材確保ということで各地の自治体が独自に医学生向け奨学金を整備したりと話題が多いですが、即物的な対策のわりにどうも今ひとつ実効性に乏しいのかなと言う印象を受けています。
卒後は金を返すか数年間僻地勤務をやるかの二択を迫るというスタイルが一般的ですが、一昔前の人買いでもあるまいに今どき金で他人の人生を縛るという点が一部ではずいぶんと評判が悪いようです。
そんな中で少し違った方向性でお金を使うことにしている自治体もあるようですが、こちら寄付口座開設の話などは逆にずいぶんと気長い話です。

地域医療志す医師養成へ、新潟県と新潟大が協定(2009年5月29日産経新聞)

 医師不足に悩む新潟県と新潟大は28日、新潟大大学院医歯学総合研究科に、6月から総合地域医療学講座を設置する協定を締結した。県の寄付講座で、地域医療を志す医師を養成し、中山間地域の医療を充実させるのが狙いだ。

 泉田裕彦知事と下條文武学長が県庁で、協定締結に臨んだ。泉田知事は「地域医療をいかに守るかは県の最重要課題。講座を通して地域医療の研究が進み、素晴らしい医師が増えることを願う」と期待。下條文武学長は「末永い県の支援をいただき、豪雪地帯や離島の医療への貢献を続けたい」と意気込みを語った。

 講座の設置期間は6月から平成23年度末まで。県は3年間で約9700万円を寄付する。井口清太郎特任教授ら3人が講師を務め、医学生は中山間地域で現場実習をする。大学の遠隔テレビシステムを活用した地域医療支援にも取り組む。甲信越では、長野県と信州大、山梨県と山梨大も同様の講座を開設している。

一見するとずいぶんと遠回りなやり方のようですが、結局これもどんなプログラムが組めるのかによって求心力が決まってくるでしょうから、「内科一般を診る医者であり続けたい」という井口氏らをはじめとするスタッフがどんなことをやってくれるかですね。
少なくとも正しい情報を提供し希望者に適切な支援を与えるという方向性は間違っていないと思いますから、気長に今後の成果を期待しましょう。

さて、先日は財政審が「診療科毎の医師定員を」なんてことを言いだしたのも記憶に新しいところですが、診療科間の偏在にしろ地域間の偏在にしろ対処するに二つの方法論を主張する勢力がしのぎを削っています。
そのうちの一派は「偏在しているのなら公的権力で偏在を是正すればいい」というスタンスで、先の財政審の親元とも言うべき財務省(そして経済界)や厚労省(ただし舛添大臣個人はやや慎重派とも側聞しますが)など政府筋、「医師強制配置論」を公言する読売新聞などがこちらにあたります。
他方は「そもそも総数が足りないのだから配置を変えても別なところが破綻するだけ」としてまず医師総数増加を求める一派で、野党民主党やかの御高名なる本田宏大先生(苦笑)などが代表的なところでしょうか。
ものすごく大雑把な印象論ですが、医療費亡国論が未だに尾を引いているのか金を出す立場に近い人間ほど医師を増やせといった要求に対して警戒感が強いのかなという気がしていますがどうでしょうか?

面白いのはこの二つの立場に対する現場医師の反応なのですが、これが以前から真っ二つに割れているのですね。
急性期医療を担当する病院勤務医や産科医などを始めとして、激務と人不足を実感している診療科を中心に「とにかく医師数を増やさなければ話にならない」という声が上がる一方、表向き「医師数が増えても必要なところに医師が回るとは限らない」という言い方で(少なくとも急激な)医師数の増加に否定的な意見も根強くあります。
かつて医師数が増えるほど医療費も上がると言われ、20年ほど前から政府が医師養成数抑制政策(医学部定員削減)を行った時代がありましたが、この当時の医師会も少なくとも医師の過剰はよくないことだという立場で政府方針に反対しませんでした(もっとも、医師総数自体は現在に至るも増加傾向は続いています)。
表向きの理由付けはともかくやはり将来が気になるのは誰しも当然のことだと思いますが、このあたりの危惧を理解する上で一助となるのが医師に先行して養成数増加を行った他分野のその後の状況ではないでしょうか。

私立歯大のうち6割で定員割れ…読売新聞社調査(2009年4月18日読売新聞)

歯科医過剰が背景

 全国17の私立歯科大・歯学部のうち6割強の11校で、今春の入学者が定員割れを起こしていることが、読売新聞社の調査でわかった=別表=。

 中には定員の4割以上にあたる35~43人の欠員が出た大学が3校あった。受験者総数も4973人と、前年より約2800人減少した。大幅な定員割れで質的に一定レベルの入学者を確保できないおそれもある。「歯科医療の崩壊につながりかねない」として日本私立歯科大学協会も危機感を強め、対策等の検討を始める。

 定員割れとなった11校のうち、奥羽大歯学部(定員96人に対し入学者53人)、松本歯科大(80人に対し45人)、日本歯科大新潟生命歯学部(96人に対し57人)の3校の欠員は定員の4割以上に達した。さらに、北海道医療大歯学部、岩手医科大歯学部、神奈川歯科大も、1割~3割の定員割れだった。予定されていた入試終了後に、急きょ追加募集を行いながら、定員に届かなかった学校も5校あった。これほど大幅な定員割れは初めてという。また、2006年度までは1万人を上回り安定していた私立大の受験者総数も、今春は4973人だった。国公立大で定員を満たさなかったのは1校だけだった。

 大手予備校などによると、受験者が減少した最大の原因は、歯科医師の過剰感。歯科医師数は90年の7万4000人から、06年には9万7000人に年々増加。それに対し歯科医療費の総額は伸びておらず、過当競争が目立つ。開業が難しいため、若手の歯科勤務医の場合、年収300万円以下というケースもあり、「かつての高収入のイメージが崩れている」と予備校関係者は指摘する。

 定員割れに伴い、入学金を含め、一般に700万~1000万円といわれる初年度の納入金も減るため、学校経営にも大きな打撃となる。各校では今後、来年の入試に向けた検討を行うが、即効性のある対策は難しいという声が多い。

 安井利一・日本私立歯科大学協会副会長の話「志願者減少は覚悟していたが、これほど多くの学校が定員割れしたのは予想外。協会として、歯科医療の必要性を国民にアピールしていくしかない」
[解説]定員見直し質維持を

 定員割れの背景には、歯科医師の過剰感のほか、様々な要因が指摘される。一つが医学部の定員増。医師不足解消のため、今春医学部の定員が700人増やされ、歯科医志望者の一部が流れたとの指摘もある。

 不況も影を落とす。高額な私立歯学部の学費。さらに開業ともなれば多額の費用がかかる。国家試験の難易度も上がり、歯学部離れに拍車をかける。

 超高齢社会を迎え、歯科医療の役割は大きくなる。健康な歯を維持し、食事をすることができるかどうかは、生活の質に大きくかかわるからだ。国の主導で、国公立も含めて定員を早急に見直すなどし、質の高い志願者を確保するとともに、長期的な視野に立ち歯科医療の将来像を示すべきだ。(社会保障部 阿部文彦)

新米弁護士の3割、年収500万円台以下 満足度も低下(2009年4月20日朝日新聞)

 新米の弁護士の年収は500万円台以下が約3割にのぼり、弁護士になって良かったと思う人は6割止まり――。登録後5年以内の大阪の弁護士に対する弁護士グループのアンケートで、若手の業務環境が悪化している実態が浮かんだ。法曹人口の急増に伴う就職難や競争激化が背景にあるとみられる。

 アンケートは昨夏、大阪弁護士会の会員グループ「春秋会」が03~07年に就職した若手弁護士692人に実施。29%の200人から回答を得て今年2月に結果を会員に知らせた。

 就職した初年度の年収が「500万円台以下」と答えたのは回答者全体の19%。07年の就職組では28%を占め、03~06年の就職組の平均13%の2倍だった。一方、「800万円以上」は全体では16%だったが、07年組では8%にとどまり、03~06年組の平均21%を大きく下回った。

 「弁護士になって良かったか」との問いに「はい」と答えたのは全体で66%。03~05年組では68~78%だったのに対して、06年組が63%、07年組が60%と、年を追うごとに満足度は下がっていた。

 また、働き始めた現状については、「給料が少ない」(07年組)▽「薄利多売で、質のよいサービスが出来ていない」(06年組)▽「公益活動をする余裕がない」(同)など不満が目立った。

 法曹人口をめぐっては、司法試験合格者を来年ごろまでに3千人程度に増やすという政府計画により、かつて500人前後だった合格者が昨年度は2209人に増加。法律事務所に就職できず、経験もないまま「即独立」を強いられる新人弁護士が相次ぐ。大阪弁護士会などによると、「就職浪人」は08年組だけで全国で60人余りいるという。

 アンケートをまとめた一人である同弁護士会の増田広充弁護士(98年就職)は「若手の苦境が急激に強まっている印象だ。かつては人権活動や労働問題など取り組みたいテーマに合わせて就職先の法律事務所を選べたが、そんな余裕も失われている。国を挙げた対策が必要だ」と話している。(阪本輝昭)

政府も一応医師の待遇改善をうたっているところですが、長い目で見てその政策が待遇悪化につながるというのであればどうなのよ?という声は特に年配層を中心にそれなりに根強いものがありますが、逆に現状で見られるような相場の異常な高騰というのも決して望ましい状況でもありません。
恐らく最大公約数的に求められているのは現場の実情や社会的要求をよく心得た上での適宜かつ適切な医師数コントロールというものなのではないかとも思うのですが、そうした作業こそが最も苦手な人たちが政策を決めているのだとさんざん証明されてきたところですからねえ(苦笑)。

現役の待遇もさることながらこうして現実に人員過剰から待遇の切り下げにまで至ってしまうと、苦労して資格を取ったところで元が取れないと志望者意欲低下ともなりかねないことは問題です。
漫画やドラマで得たイメージや業界が儲かっていた遠い昔の情報で進路を選ぶ学生と、今現在から将来の業界展望までにらんで進路を選ぶ学生とでは後者の方が目端が利いて当然ですが、そうした優秀な学生が真っ先に逃げ出していくということになれば後はどうなるか、ということですよね。
また学部定員を増やせば今まで足切りにあっていた層も入学してくることになるのでしょうが、多忙を極める基幹病院勤務医にとっても、ただでさえ新臨床研修制度導入以来使えない研修医が増えたのにこの上どんな連中が大挙してやって来るのかと今から戦々恐々としている人も多々いるとかいないとか。
昔は医局の管理システムというものが機能していて「使えない人間でも使い道を見つけるのが医局の腕の見せ所」なんて話もありましたが、現場に出てはならない人間が出てきてしまった場合の恐ろしさというものを知っている人間ほど医局システム崩壊後の新人達の質には敏感になっているのではないでしょうか。

厚労省によれば医学部定員は来年度一気に400人増えるということですが、こうした諸事情もあって必ずしも現場が一枚板で喜んでいるというわけでもないということです。
今のところ医学部=難関学部という事情はさほど変化はないと言うものの、すでに受験業界では「今なら医学部がねらい目」という動きが出てきているようですから、単なる「医者が増える」という以上の意味をこの医師数増加政策というものは持っている可能性があることは知っておかなければならないでしょうね。

【教育動向】医学部なら地元を狙え!? 広がる「地域枠」(2009年4月23日)

新年度に入り、受験に向かって徐々に勉強に力を入れている、というお子さんもいらっしゃると思います。中でも難関である医学部を目指す高校生にとっては、早くからの準備が不可欠でしょう。ところで、社会問題となっている医師不足を受けて、今春の入学者から医学部の定員が増やされたことは、このコーナーでも何度か取り上げました。医学部の定員に関しては、全体が「広き門」となっていることだけでなく、注目すべき流れがあります。「地域枠」の拡大です。

地域枠とは、地元出身者や、地元以外でもその大学の所在地の地域医療を志す人のための特別枠です。文部科学省の調査(2008<平成20>年9月実施)によると2004(同16)年度は5大学の43人にとどまっていましたが、その後は急速に増加し、2009(同21)年度は47大学の704人に拡大しています。これは、総定員(8,486人)の8.3%、12人に一人に当たる数値です。

なぜ地域枠が拡大しているかというと、深刻な医師不足や地域偏在を是正するためには、地元の高校生を地元の大学で受け入れることが有効だ、との考えからです。

もともと数が少ないうえに「狭き門」である医学部は、受験生の側も、地元の大学に限定せず、全国レベルで志望校を選ぶ傾向があります。ですから、必ずしも入った大学のある地域に思い入れがあるとは限りません。また、研究面や医療の最新情報が得られることなどを考えれば、就職はどうしても都会志向になってしまいます。加えて、2004(平成16)年度からの「新臨床研修制度」の導入に伴って研修病院が自由に選べるようになったことが、他県への流出に拍車を掛ける結果となってしまった側面は否めません。ですから、明確な目的意識を持って将来の地域医療を担ってくれるような人材を、早くから確保しようとしているわけです。

実際、地域枠設定などの取り組みの結果、医学部入学者のうち県内高校出身者の割合は、2003(平成15)年度で30.1%だった全国平均が、 2008(同20)年度には35.2%に上昇しています。県内高校出身者の割合が25~30%の間くらいしかなかったのが、5年で50%台にまで上昇した県もあります。

こうした動きに呼応するように、高校側でも地元医学部を目指す対策に力を入れている地域が増えつつあります。門が広がる医学部の中でもさらに地域枠が狙い目、というわけです。

また、地元出身者向けに授業料減免や奨学金などを設ける大学側や自治体も増えています。

ただし、こうした制度を利用する際には、単なる合格のための一手段と考えてはいけないでしょう。忘れてはいけないのは、地域の医師として将来も生きていく  ≪覚悟≫です。「医者になりたい」だけでなく、「どんな医者になりたいか」も考えさせながら、明確な志望動機を持たせたいものです。

医者が増えるのもいいことばかりではないという声に対して、「医者が余って何が悪いんだ?有り余る中から使える人間だけ選べばいいじゃないか」というちょっと乱暴な?意見もあって、確かに利用する立場になれば理念的にはそうなんだろうなとも思います。
受験偏差値がそのまま知的能力を評価するわけではないことは無論ですが、ペーパーテストすら満足にこなせないような要領の悪さこそが問題なのではないかという声も一部にはあるのも事実です。
他方では座学的知識は苦手でも内視鏡を触らせれば非常にうまいという先生もいるし、切れ味鋭いというタイプとは程遠くても地道に地域診療の実を長年にわたってあげられている先生もいて、要するに仕事というものはやらせてみなければ判らないし、多少能力に疑問があろうともやる気さえあるなら仕事は幾らでもある業界であるのも確かでしょう。

ただ人間の評価というものは見る者の立場によって幾らでも変わるわけで、病院当局から見て有能な医者、同僚の医者から見て有能な医者、看護婦から見て有能な医者、患者から見て有能な医者と、それぞれ全てに全く違うものであるのは承知しておかなければならないでしょうね。
テレビなどに盛んに登場する「名医」の皆様方に対する医療業界内での声望などを耳にするだけでも視聴者である国民と医療従事者との間にはずいぶんと認識に相違があるようですから、将来有り余ってくる中から選ばれるだろう医師というものが果たしてどういう人々になるのかと一抹の危惧を感じている人も少なくないでしょう。
しかしそれが悪いことかと言えば必ずしもそうではなく、考えてみれば他業界ではそうした外部評価が当たり前に行われてきた結果現在の状況が形成されてきたのだという歴史的経緯もあるわけですから、医療業界が世間並みに改革されていくための一つの良いきっかけなんだと言うくらいに捉えておけばよいのかも知れません。

特に医療崩壊という現象の一つに医療に対するあり得ないほどの過剰な期待感というものが挙げられているくらいですから、案外医学部=難関なんて図式も完全に崩れ去ってしまって「医療なんて誰でも出来る程度の仕事」という認識が世間に広まってくれた方が世の中うまくまわっていくのかなとも思えてきますけれどもね。

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2009年5月29日 (金)

それでも決してお約束を外さない人たち

世の中には時々「えっ?!あの人が?!」と思うような意外なニュースが出てくることがあります。
最近の意外なニュースの一つといえば、毎日新聞で掲載されたこれら一連の記事でしょうか。

救急センター調査:実態合わぬ「宿直」 5割違法の恐れ(2009年5月24日毎日新聞)

 心肺停止など命にかかわる重症患者にとって「最後のとりで」である全国の救命救急センターで、睡眠が十分取れないまま患者に対応する救急医の泊まり勤務を「宿直」として扱う施設が5割を超すことが、毎日新聞の全国調査で分かった。労働基準法が認める「宿直」は、ほとんど労働する必要のない勤務とされ、これらの施設の勤務実態は違法である可能性が高い。

 調査は全国の救命救急センター218施設を対象に4~5月に実施し、116施設から回答を得た(回答率53.2%)。

 労基法は労働時間を原則週40時間と定め、時間外労働も労使間で協定を結んだ場合、1カ月45時間まで認められる。一方、宿直については「巡回や電話番など軽度な勤務」「十分な睡眠が取れる」などを条件に労働時間とは別枠で、労働基準監督署長の許可で例外的に認められてきた。

 調査の結果、救急医の泊まり勤務を宿直扱いとする施設が61%あった。また、時間外労働として扱う施設は19%、残りは交代制などだった。宿直のうち9割(全体の55%)は十分な睡眠が取れていなかった。労基法では、連続して睡眠を取れる時間が確保されておらず、急患に追われる勤務が日常の場合は、宿直として認められないとしている。

 1カ月間の泊まりの回数は平均4.23~4.85回で、最大13回の施設があった。労基法を守るには「医師が足りない」と答えた施設は8割を超えた

 医師の泊まり勤務を巡っては、4月に奈良地裁で県立奈良病院の宿直勤務などが時間外労働にあたるとの判決が言い渡されるなど、劣悪な労働環境の改善が求められている。

 厚生労働省労働基準局監督課は「個々のケースによって判断は異なるが、労基法の趣旨から外れる勤務実態は違法の恐れがあり、好ましくない」と話す。【永山悦子、河内敏康】
(略)

◇アンケートに寄せられた主な意見◇

◆疲労困憊(こんぱい)

▽大都会よりはるかに激務。燃え尽きる医師が続出(北日本)

▽24時間勤務が常態化。丸1日休めるのは月2~3日(北日本)

▽月10回以上の当直に加え、待機でいつ呼ばれるか分からない(関東)

▽週80~110時間労働(関西)

▽過酷な勤務や専門外の診療が原因で医師が退職し、さらに過酷な勤務になる悪循環(四国)

▽泊まりの日は実労働25時間。仮眠室すらない(九州)

◆ミスの誘発

▽精神的な余裕がない。軽症患者への接遇悪化、睡眠不足から診療の質の低下や医療過誤の発生が懸念される(北日本)

▽過労で注意散漫、集中力低下。チームワークの維持が困難(関東)

▽当直明けの勤務はケアレスミスが多くなる(中部)

▽慢性疲労状態。判断ミスにつながる(関西)

◆解決策や要望

▽医師の絶対数が不足。医師のやる気に頼るのは限界(北日本)

▽高い賃金が出せないと人員確保はできない(関東)

▽常勤救急医の増員、診療報酬の増額がない限り、勤務状況は改善できない(関東)

▽診療報酬の改善や、不要不急の受診の抑制などの対策が必要。医師の絶対数が不足している現状では、結論として救急を中止せざるを得ない(関西)

救急センター調査:救命存続へ 抜本的改善が急務(2009年5月24日毎日新聞)

 毎日新聞の調査で、全国の救命救急センターの医師たちの過酷な泊まり勤務の実態が明らかになった。搬送患者が増える一方、医師不足や病院の厳しい経営実態を理由にこれまで問題は放置されてきた。現場では過労による判断ミスを懸念する声も目立つ。患者と医師双方の命を守るため、抜本的な改善が求められている。【河内敏康、永山悦子】

 ◇搬送1年で3倍

 総務省消防庁によると、08年の救急搬送の総数は前年比で5%減った一方、センターへの搬送者は約54万人で、前年の3倍以上に増えた。

 日本の救急医療体制は、▽入院の必要がない患者を外来診療する1次医療機関▽入院が必要な患者に対応する2次医療機関▽交通事故や脳卒中など命にかかわる患者を治療する3次医療機関(救命救急センター)--の順で対応する仕組みになっている。

 救命救急センターは重篤な救急患者の搬送依頼を原則としてすべて受諾することになっている。センター以外の病院が人手不足などを理由に入院が必要な患者の受け入れを断るケースが増えているため、最終的にセンターに搬送が集中しているとみられる。その結果、今年3月には、鳥取大病院でセンターの常勤医全員が過酷な泊まり勤務を理由に辞職するなど、センター自体の存続が危ぶまれるようになっている。

 瀬戸際の救急体制を維持する処方せんとして、東京大病院救急部での勤務経験がある中島勧・東大政策ビジョン研究センター准教授(医療政策)は「現在、急患を積極的に受け入れている施設に、限られた人や金を集約させる施策が必要」と提案する。

 ◇人材と予算手当を

 厚生労働省は02年、医療機関の夜間勤務が労働基準法に沿うよう全国の労働局に通知したが、改善は進んでいない。深刻な医師不足に加え、「診療報酬の増額などがない限り、人を増やせない」(関東の病院)と、厳しい経営状況が対策を遅らせている側面もある。

 医師の泊まり勤務を巡っては、東京都の総合周産期母子医療センターの指定を受ける愛育病院が、泊まり勤務で労基法を守るには常勤医が足りないなどとして、指定の返上を検討していることが3月下旬に発覚した。結局、外部の医師の応援を受けることで決着したが、人手をやりくりするのは容易ではない。

 また、産婦人科医の勤務をめぐり、奈良地裁は4月、県立奈良病院での夜間の勤務を宿直ではなく時間外労働と認定し、割り増し賃金などの支払いを命じる判決を出した。

 過労死弁護団全国連絡会議の須田洋平弁護士は「医師の夜間勤務は、労基法の例外措置として、超過労働を宿直という形で許可している。だが実態はほとんど眠れず、急患に追われる。例外というより法の『逸脱』だ」と指摘する。

 最高裁の判例では、仮眠中も警報や電話対応が義務付けられているビルの守衛について、宿直ではなく正規の労働時間と認定されたケースがある。須田弁護士は「医療は人命にかかわり、よりストレスが大きい。医師は法律で患者を拒否できないが、医師の倫理観や職業意識だけに頼るのはおかしい。交代勤務などを実現する人材と予算が必要」と語る。

 医師の過酷な勤務は、治療の質にも直結する。東京大政策ビジョン研究センターの中島勧准教授は「医師は一般に、日中の通常勤務をしたうえで宿直に入るため、24時間を超える連続勤務になる。医師が人間らしい生活をすることは、患者のメリットでもあるはずだ」と指摘する。

「奈良」だの「仮眠」だのときわどいキーワードが並んでいたりして、どうした毎日?!前非を悔いでもしたのか?!と思うような記事ですが、更にこんな潜入ルポまがいの記事まで出てきているようなんですね。
しかし毎日新聞記者を院内に入れるというのも病院のリスク管理上どうなんだという気がしないでもないわけですが、件の救命救急センターではその後お変わりなく過ごされているのかと心配になってきます。

救急センター:「今夜で7連泊」…過酷な泊まり勤務の実態(2009年5月24日毎日新聞)

 全国の救命救急センターの多くで、医師が労働基準法からかけ離れた過酷な泊まり勤務を強いられている。「宿直」扱いで泊まり勤務を行う地方と都市部の病院で、厳しい実態を目の当たりにした。

 「人手がない中、なんとかやってきたが、心が折れそうだ」と、東日本の地方病院の救命救急センター長はつぶやいた。

 病院には常勤の救急医がいない。約90人の医師全員が交代で1晩3人程度、泊まり勤務に入る。この病院の泊まり勤務は、手術などの労働がほぼないことが前提の「宿直扱い」。だが、患者の搬送受け入れは年5000件以上で、受け入れ率は97%に上る。泊まりの医師の手におえなくなると、各科の医師が呼び出されるのが日常だ。

 4月下旬の夜。「じんましんが出た」「血圧が高い」--。一般市民からの相談電話が鳴った。低血糖で意識障害を起こした糖尿病患者が救急車で運ばれてくると、糖尿病専門医を呼び出した。この夜、救急搬送だけで10回を超えた。

 毎日新聞の調査で、センターの常勤医が2人以下の施設が17カ所あった。日本救急医学会認定の専門医は2850人(09年1月現在)いるが、都市部に集中している。調査にも「常勤の専門医がいる都市部はまし。地方は崩壊寸前」との悲鳴が寄せられた。

 一方、都市部が「恵まれている」わけでもない。関西の大学病院救命救急センターには、専門医を含め10人の医師が所属する。だが、泊まりの翌日も休みではなく、連続40時間近い勤務になることもある。このセンターも宿直扱いで夜間の急患に対応する。労基法で認められる宿直は週1回までだが、月平均7回もある。

 今月中旬、午前3時過ぎに救急隊から連絡が入った。患者は錯乱状態で暴れる18歳の女性。恋人から暴力をふるわれパニック状態だった。「(高度医療を担う)センターが担当すべき患者ではないが、『暴れている』と聞くと他の病院は尻込みする。我々が受けるしかない」と50代の教授。同じころ、救急科病棟で、高齢の男性入院患者の容体が悪化した。肋骨(ろっこつ)を折り、自力呼吸が危うくなっていた。担当医(28)は「気になって離れられない」と、この日で7連泊目。教授は「熱意だけで続けられる仕事じゃない。ただ、そういう働き方を戦力として数えているのが現状」と語った。【河内敏康、奥野敦史】

こうして見ると記事の内容自体は「今どきこんなことを記事にしてもらっても…」と思うような今さらな内容ですが、毎日新聞的にはこうして医療現場に実際に足を運んで取材したということ自体が一大ニュースだったのかも知れませんね。
あるいは河内敏康記者の個人的興味の発露というだけのことなのかも知れませんが、せっかく毎日新聞にも出入りを許してくれる病院が見つかったわけですから、この道の先達として評価の高い高知新聞の特集「医師が危ない」なども参考にして更なる精進を重ねてみてはどうでしょうか。
ちなみにこの河内記者は普段科学畑の記事などを扱っているようなんですが、期待に違わず毎日新聞記者を名乗るにふさわしい仕事ぶりを発揮してくださっているようで今後が期待されるところでもあるのですが、このあたりが会社の伝統あるいはDNAとでも評すべきところなんでしょうかね?

いずれにしても毎日新聞もこうしてネタを拾ってきたことがさぞ嬉しかったのでしょうか、さっそくこの件に関して舛添大臣のコメントまで載せてくれています。
しかし勇躍記事にした河内記者はおそらく何とも思わずに文字起こしをしているのでしょうが、実はこの舛添大臣のコメントというのは結構大きなポイントなんですよね。

舛添厚労相:救急センターの勤務改善に言及(2009年5月26日毎日新聞)

 全国の救命救急センターで労働基準法違反の可能性の高い救急医の泊まり勤務をしている施設が5割を超えていた問題に対し、舛添要一厚生労働相は26日の閣議後会見で「よく認識している。(改善に向け)努力していきたい」と述べた。

 重症患者にとり「最後のとりで」になる全国の救命救急センターの55%で、睡眠が十分取れないまま患者に対応する救急医の泊まり勤務を、ほとんど労働する必要のない勤務とされる「宿直」として扱っていた実態が、毎日新聞の全国調査で明らかになった。舛添厚労相は「勤務条件をよくする努力や勤務医への直接的な支援をする一方、労働条件の改善もやっていく」と語った。【河内敏康】

前掲の記事中にもあります通り、先日の奈良の産科医賃金未払い訴訟では「宿直ではなく実態は夜間労働である」という判断が示されてしまい、これに対して訴えられた県側は知事自ら「いやありえねえし」と控訴を決めたことは記憶に新しいところです。
しかし過日の愛育病院の件などを振り返ってみても、実際問題として労基法を遵守した勤務体系が組める施設などそう滅多にないわけですから、舛添大臣の言うところの「改善に向け努力」という言葉がどのような行動を示すのかが注目されるわけです。
まさか「労基法上認められた分以上は患者が来ても診療するな」などと言うわけにもいかないでしょうし、もちろんどこからか急に大量の医者が涌いて出るはずもない以上、一体どんな素晴らしい対策が飛び出してくるのか今から楽しみで仕方がないですよね。

ところで、これではまるで毎日新聞が医療問題の真実に目覚めたかのように誤解を受けかねないなと気になってみてみましたら、最近の報道だけで他にもいろいろと医療崩壊関連の記事が出ているようなんですよね。

深谷赤十字病院:医師不足で危機 救急患者受け入れ減 支援態勢求め意見交換 /埼玉(2009年5月22日毎日新聞)

加古川市民病院:内科医不足、病棟閉鎖危惧の声も--市議会福祉厚生委 /兵庫(2009年5月22日毎日新聞)

こんなどこの新聞社でも書けるような当たり前の記事ばかり載せているようでは毎日新聞も本気で存在意義が問われかねないんじゃないかと心配していたのですが、探してみましたらちゃんと「毎日らしい記事」もありました。
やはり毎日新聞と言えばこうでなくてはならないという同社固有のアイデンティティーが、何やら香ばしいものとともに行間から匂い立つような素晴らしさですよね。
この求職難の時代にこれで給料もらえるというのもあまりに素晴らしすぎてねたましいほどなのですが、この際ですからあと少しなどと小さいことを言わず、いっそ未来永劫書くことを我慢してみれば資源節約の上でもずいぶんと社会貢献できるのではないかなと愚考いたしますが。

うちわ話:禁酒している… /香川(2009年5月16日毎日新聞)

 禁酒している。「春の健康診断」が21日に迫っているからだ。4年前から健康診断には1~2週間酒を断って臨む。今回は11日からノンアルコール生活だ
▼私の場合、その効果はてきめん。あらゆる数値が正常に戻る。以前、医師に「そんなのは付け焼き刃。意味ない」と冷ややかに言われ、かっとなって「一定期間節制して正常ならばそれはそれで健康ではないでしょうか」と口角あわを飛ばして反論したら、血圧が上がった。そのため「要治療」とされたことはあったが……
▼このところ真夏のように暑い日もあり、風呂上がりの冷たいビールをこらえるのに必死だ。禁酒明けには焼き肉店で生ビールをたらふく飲む。あと少しのがまん、がまん。【松田学】

今日の結論:やはり毎日新聞は毎日新聞以外の何ものでもありませんでした。

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2009年5月28日 (木)

新型インフルエンザ 次第に斜め上方向に逸脱気味?

世間ではインフルエンザの話題で相変わらず賑やかですが、一方ではこういう好ましからざる話もあるようです。

楽天、加盟店に「マスク買い集め」奨励(2009年5月26日TBS NEWSi)

 26日は京都市などで休校していた学校が再開しました。その一方で、関西では、品薄が続くマスクをめぐってこんな騒動も起きています。

 25日の大阪、兵庫に続き、京都市でも、26日からほとんどの小中学校で授業が再開されました。

 さっそく仕事に励む子も・・・
 「栽培委員で水あげしてます。(草花が)バサバサになっている」(小学生)

 子供たちは、手洗いの徹底など先生の話を真剣に聞いていました。落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、依然マスクの品薄状態が続いている大阪や神戸。そんな中、この状況を商売のチャンスとしてショッピングサイトの大手が、加盟店に買い占めや販売を進めていることがわかりました。

 「ここ何日かでマスクを売っている店舗様は、なんと日商1000万円以上売れているそうです。日商5000円以下の店舗様が600万円以上売ったとか。そんな店舗様がゴロゴロ、すごいですね」(メールの文面)

 ネット上で物品の販売を手がけているAさんのもとへ、最近届いたメール、その文面を見て、Aさんは思わず目を疑いました。

 「火事場泥棒じゃないけれど、人の弱みにつけこんでこういうことをする。社会的影響力のある会社が。これはいけないでしょう」(Aさん)

 メールの送り主は、ショッピングサイト大手、楽天でした。楽天の西日本第一企画運営チームというところが、Aさんのような加盟店にマスクを買い集めて売りさばくようメールでしきりに勧めてきたのです。

 時期は先週の半ば、20日から21日にかけてのことでした。
 「(マスクを)買いに歩いたんやけどないねん」(男性)
 「マスクがないんですよ。どこかにありませんか」(男性)

 感染者が増加し、神戸や大阪では店頭からマスクが姿を消していたとき、台湾から神戸に100万個が無料で届けられたその日に、楽天は加盟店にこんなメールを送っていたのです。

 「既に完売してらっしゃいます! すごい勢いで売れていますね! 650円で仕入れたマスクが2万ちょいで売れているらしいですよ」(楽天から届いたメールの文面)

 マスクを売りさばくよう勧める楽天のメールは、加盟店の業種を問わず送られているようです。Aさんの店もマスクや医薬品とは全く縁がありません。

 「昨日、600万売った店舗さんもレディースファッションの店舗様です! カテゴリーなんて関係ありません! 配送は20日先になっても構いませんので、とりあえず注文をとって、売りましょう、商売はタイミングとスピードです!」(楽天から届いたメールの文面)

 メールを受け取った加盟店のAさんはこう話します。
 「楽天さんという日本最大のインターネットのショッピングモールがこういうことをしてしまうと、あまりにもモラルがなさすぎて」(楽天加盟店のAさん)

 開業医でつくるこちらの団体は、日常的に医療用品を備えています。しかし、今、マスクの在庫は1つもありません。楽天の文面を見て・・・

 「便乗販売は困るなと。安心して安い値段の商品を提供する立場からすれば、そういうのは邪道の邪道やと思う。そういうことやめて欲しい」(大阪府保険医協同組合・掛康孝事務局長)

 マスクを買いたくても買えない神戸の人たちに聞いてみました。

 「困りますよね。そんなんね」(女性)
 「金もうけしようと思ってるんやから、そのひとはそれでええんちゃう。ほかの人は迷惑するけどな」(男性)
 「ひんしゅくですよね。まずいでしょ。こういう時期に便乗というかね」(男性)

 楽天の広報室は、JNNの取材に対して、「地域によるマスクの偏りを是正するのが私たちの目的。ネット上で買えば、店で並ぶより感染拡大を防止することもできる」とした上で、その表現についても、「文面が過激だとすれば、相手がプロの加盟店だからで、特に問題はないと考えている」と話しています。

いや、この場合「特に問題はないと考えている」というその感性自体が問題だと多くの人々が指摘しているのですが…
しかし今の時代にネットで商売をしている会社がこういう態度に出てくるというのもある意味度胸があるなと、少しばかり楽天という会社を見直すところもないではないですかね。

ところでこれほど世間を賑わしているインフルエンザ問題ですが、先日唐突にこんな話が飛び出してきたことに驚いた人も多かったのではないかと想像しますが如何でしょうか?

新型インフル「終息の方向」=河村官房長官(2009年5月25日時事ドットコム)

 河村建夫官房長官は25日午前の記者会見で、新型インフルエンザについて「日を追うごとに(発生が)減っている。終息の方向に向かっているという感じを持っている」と述べた。
 一方で河村長官は、慢性疾患患者が感染すれば重篤化する懸念があることに言及、「引き続き警戒心を持って、感染拡大防止対策を緩めずにやっていく」と強調した。

え?そうなんですか?
何か季節外れの感冒様症状を呈する患者は各地の医療機関にたくさん押しかけているようですし、新型インフルエンザは典型的なインフルエンザ様症状を呈さない患者の方がむしろ多いという話もあるようなんですけれども。
いったいこれはどういうことなんだろうかとネット上での声を聞いてみましたら、案の定こういうことだったようです。

523 :発熱相談センターとのやりとり。:2009/05/26(火) 19:03:35 ID:/8d5eX1D0
    ちょっとスレ違いだけど、行政ってこんなもんだと改めて思い知らされましたよ。

    新型濃厚発生地区の患者。 朝37.5℃ 午後から関節痛、倦怠感 来院時 39.5℃
    他特訴無し。著明な所見無し。 発熱相談にに電話。すると

    インフルエンザ患者との明らかな濃厚接触が無いから
    インフルエンザじゃ「無い」ので発熱外来受診不要。簡易検査も不要。と。で、以下のやりとりに続く。

    こちら  「 じゃあもう一回確認しますけど、○○小学校(新型発症学校)の子がやってきて
           朝 37.5℃あって他に風邪症状全然無くて、扁桃炎もありません。
           それで 39.5℃発熱ありました。と言っても、 
           兄弟とか友達とか、「インフルエンザに感染しました」ってことが明らかな子と
           べたべた触ったり、話をしました。って事が、明らかで無ければ検査(簡易)検査も
           しなくていいし、インフルエンザと見なさなくてもいいのね? 」

    相談センター 「はい。そうです。」

    こちら  「それは○○○(自治体名)の見解なの?厚生労働省の見解なの?」
    相談センター 「厚生労働省の見解に基づいて、○○○(自治体)の取扱を・・」

    こちら 「これは○○○の発熱相談センターに電話かけて相談してるわけで、、、
          あ、担当のお名前教えていただけます?」
    相談センター 「私、ここのセンターの責任者で ××です。」

    こちら 「という事になりますと、学校保険法との兼ね合いがありまして、、、、
         じゃあ、 その子、インフルエンザじゃ無いなら登校させて構わないんですかね?!」
    相談センター 「はい。大丈夫です。」
    こちら  「大丈夫です?!・・・・・・  わかりました。 もう結構です。」

543 :卵の名無しさん:2009/05/26(火) 22:36:40 ID:8SVJXtpl0
    >523

    気持ちわかりますよ。保健所や行政サイドは明らかに「陽性者を出さない」ように
    しています。現場に立つ人間が、これは新型疑い症例だなと感じても、検体をいざ
    出そうとすると保健所側は様々な障壁を設けてくる。結局、現場の人間が
    そういう行政側のいろんな注文を面倒がって「検査をあきらめる」ほうへ誘導するから
    結果的に「新型患者は発生していない」となってしまう。
    おれもあきらめたもの。PCR出そうとするとかなり保健所を説得するのに疲れる。(説得しきれていないんだけど)
    「PCRについて道庁の許可はとったのか」(PCRは各保健所の管轄では?)
    「検体は一個じゃだめだ、二つ出せ」(患者はもう隔離の意味もあるから家に帰したのだけどな)
    「海外から帰った訳じゃないのに新型を疑った理由を書面で提出しろ」(ここは千歳空港が近いし、それじゃ証拠不十分かしら)
    「帰国者との接触歴もないのにどうして疑ったのか?書面で出せ」(人ごみでうつる可能性をどうみつもってるんだろう)
    「蔓延国は北米とメキシコ、兵庫、大阪、和歌山のみ。奈良?京都?その二つから帰ってきた人は無関係なのになぜあなた疑うの?理由を書面でだして」
    (奈良って大阪のベットタウンってきいたことあるし、兵庫と京都なんて電車ですぐでしょうに)
    こんな調子で続くので「もういいや」、となっちゃいます。病院側だって真実を追究したところで
    利はないからどうでもいいか、となってしまう。最初に新型を見つけちゃった開業医さんは
    診療するなと行政から圧力かけられたそうだし。まるでペナルティですな。ってことは、
    「病院は新型の検査をしようとするな、患者にも勧めるな」と言っているに等しい。そういうことだと思います。

    せめて医者の立場を最大に利用して、自分と家族用にタミフルやリレンザを備蓄
    しとこうと思っとります。2-3週間分の食料も。
    行政のやり方では今度の冬のほんとに怖い新型が流行すれば乗り切れないでしょうね。

関西圏では観光業を始め経済活動に大きな影響を受けているようで、それもあってさっさと安全宣言でも出してくれという声が根強いようですから、これもそうした社会的要請に対する配慮ということなのかも知れませんが、それにしてもいささか本末転倒な話なのかなという印象を拭えません。

感染症としての実態もそろそろ明らかになってきているわけですから、不必要に心配するのも過剰に楽観しすぎるのも問題であって、各人がそれぞれの立場から適切に対処していくという基本をもう一度確認しておかなければならないでしょうし、本来そうした広報の中心として国なり厚労省なりが情報を発信していかなければならないはずなのです。
ところが実際にはこんな「ちょっとそれはどうなの?」と思わされるようなあり得ない話まで現実に起こっているということのようで、これは一体彼らは事態に対する責任というものをどう考えているのかと考えざるを得ないところですよね。

与党、水際対策批判した検疫官の出席拒否 野党は反発(2009年5月25日朝日新聞)

 参院予算委員会は25日の理事会で、新型の豚インフルエンザの水際対策の効果に疑問を呈した厚生労働省検疫官らの政府参考人出席を求めた民主党と、政府を代表する立場にないことを理由に反対した与党との間で意見がまとまらず、委員会の開会が約1時間遅れた。

 与党が難色を示したのは、羽田空港の現役検疫官で医師の木村盛世氏。木村氏は朝日新聞など報道機関への投稿や取材に「水際作戦は無意味」「検疫が政治的パフォーマンスに利用された」などと発言している。

 出席を要求した民主党の鈴木寛氏は「舛添厚労相側は容認したのに厚労省が木村氏の出席を拒んだ」と指摘したうえで、「本人から(出席の)了解いただいている。厚労省の横暴で開会が遅れたことは極めて遺憾」と抗議。木村氏の出席は今後、与野党で協議していくことになった。

新型インフル 参院予算委で"参考人隠し"(2009年5月25日ロハスメディカル)

 25日の参議院予算委員会は開会が1時間遅れた。新型インフルエンザ対策を検証するため、委員が政府参考人として出席を求めた厚生労働省職員2人について、招致を認めるか否かで理事会が紛糾したためだ。結局、2人の招致は認められず、出席を求めていた委員は「通告済みの参考人が来ないというようなことは過去に記憶がない。(1時間待ちぼうけを食らった)4人の大臣よりも、厚生省には偉い人がいるということだ」と痛烈に皮肉った。(川口恭)

 委員は、民主党の鈴木寛氏。参考人として通告されていたのは、森兼啓太・国立感染症研究所主任研究官と木村盛世・検疫官。

 この日、これに関連して行われたやりとりの概要は以下の通り。

鈴木
「開会が1時間遅れた理由を委員長から説明いただきたい」

溝手顕正委員長(自民)
「2人の政府参考人の招致について理事会の意見がまとまらなかったため。筆頭理事による協議の結果、両人については別途機会を設けて招致することとした」

鈴木
「委員長の裁定なので従う。しかし非常に遺憾だ。国会議員が通告を行ってペーパーにまで刷られた人、そのような人が国会に来ないというようなことが、かつてあったか。しかも森兼さんに関しては本人は来たいと言い、上司の了解も内々に得ていた。それなのに4人の大臣がいらっしゃる会議の開会を1時間遅らせて、厚生省(ママ)の横暴によって開会が遅れた。これは4人の大臣よりも厚生省(ママ)の官僚の方が偉いということであり、官僚内閣制の実態を示す最たるものだ。(略)付け加えるならば森兼氏については大臣のアドバイザーで、2人の招致については、舛添大臣の秘書官からも了解をいただいていた。大臣の秘書官より偉い人が厚生省にいた。(略)検疫について後づけで良いとも悪いとも申すつもりはなかったが、あらゆる可能性を想定して常に毎日点検・改善することが必要だろう。採用するしないは別にして、国の方針に異を唱える専門家たちの意見やWHOの方針などをどの程度把握していたのか」

舛添要一・厚生労働大臣
「色々な専門家の意見を聴くのはいかがなものかというメディアもある。現在は、自治医大の尾身教授をヘッドとする委員会の方針に従って動いている。万が一、委員会が間違っていたら日本全体が誤ることになるので、セカンドオピニオン、サードオピニオンも聞いておこうということだ。検疫が全く無意味とは思わないが、しかし限られた人的リソースをどこでどういう段階でスライドするかは非常に難しい。一番の盲点だったのは、水際対策を一所懸命やりながら『入ってくるのは時間の問題』と言い続けてきたわけだが、『既に入っているかもしれない』と言っておかなければならなかったかなと思う」

鈴木
「木村盛世氏は、共同通信や朝日新聞でハッキリ方針に異を唱えている。この意見をどのように把握し、どのように扱われたのか」

上田博三・健康局長
「新聞情報だけなので直接本人から聴いたわけではない」

鈴木
「本人から直接聴かないのか」

上田
「必要とあれば、それも検討する」

鈴木
「なぜ必要ないのか。その根拠を示してほしい」

上田
私どもが呼ぶと、上司なので。もう少し公平な形で呼べるなら考えたい

鈴木
「ダブルメッセージになっているから整理したらどうかと申し上げている」

上田
公平な観点で職制に関わらない形で聴いてみたい

上司であるからとかは最初から分かり切ったことだと思うのですが、どうも何故急に呼ばないことになったのか理解し難いコメントではありますよね。
少なくとも大臣が認めていることを官僚が土壇場でひっくり返すというのであれば、せめてもう少し説得力のある説明が求められるのではないでしょうか。
ちなみに参考人として呼ばれるはずだった木村盛世氏は自身のサイトでこのように記していますが、こちらで出ている予定の質問内容を見てみますと何となく背後関係が見えてくるような気もしてきます。

臭いものには蓋をする隠ぺい気質(2009年5月25日木村盛世オフィシャルWEBサイト)

 本日参議院の予算委員会に政府参考人としてよばれました。鈴木寛民主党参議院議員の「新型インフルエンザ対策」についての質問に答えるためです。

 国会議員から出席を求められた場合それに対して応じるのが国家公務員の職務です。ところが、こともあろうに厚労省健康局長はこの案件を握りつぶしたのです。

 鈴木寛氏の質問は「厚労省は検疫オンリーでやっているが現場の検疫官からは異論が出ている。これに対して省内での議論はいかにされているか?」といった、新型インフルエンザ対策の根幹に関わるものでした。

 もし厚労省が私の言っていることに対して反論するならば、科学的根拠に基づき正々堂々とすべきだと思います。

 今日の厚労省幹部の対応は「自分たちが間違っていると言われたくない」ための逃げと言われても仕方ないものです。

  彼らたちの大切なのは自分の進退であり国民の安全ではないのです。

木村氏によれば握りつぶしたのは前述の上田博三健康局長だと言うことなんですが、最近の話題ではこの上田局長、民主党の足立信也参院議員が「検疫に偏重しすぎでは」と厚労省の対策を批判したことに対して「一定程度、水際で(ウイルスの)侵入を阻止し、その間に国内体制を整備する」と答えたそうです。
そうであるならば検疫体制が終了に向かっているこの時期にはすでに国内に立派な体制の一つも出来上がっていなければ話がおかしいということになりますが、実際には立派な体制どころか相変わらずまともな予算すらつけるつもりもないようなんですね。
確かにこういう素晴らしい仕事ぶりを発揮していれば公の場で語って欲しくない話も多くなってしまうのかなと私などついつい邪推してしまうのですが、上田局長も余計なことをしたばかりに痛くもない腹を探られる羽目になったのはさぞ不本意でしょう(苦笑)。

新型インフル対応、診療報酬で「間に合ってない」(2009年5月26日CBニュース)

 政府が5月22日に発表した新型インフルエンザの基本的対処方針により、急速な患者数の増加が見られる地域では、一般の医療機関でも患者の直接受診が可能になった。しかし、新型インフルエンザの感染が疑われる患者を診察する医師の診療報酬について、厚生労働省が対応に苦慮している。
 健康局結核感染症課の江浪武志課長補佐は同日の記者会見で、新型インフルエンザに対する法律上の措置が取られた昨年5月の感染症法の改正の時点では、昨年度の診療報酬改定は既に終わっており、「次の診療報酬改定に向けて、新型インフルエンザ対策としてどういったことが必要か、国と相談するということを考えていた時に、今回の新型インフルエンザが発生した。対応が間に合っていない」と述べた。
 江浪課長補佐によると、季節性のインフルエンザを念頭に置くと、今回の新型インフルエンザで要するような遺伝子検査のようなものは、診療上必須ではなく、感染症の発生動向を把握していくため、幾つかの医療機関の協力で、検体を集めて分析を行うというのが、もともとベースにあるという。
 このため現在、新型インフルエンザが疑われる患者を医療機関が診察した場合、通常の季節性インフルと同じ部分(診察料、薬の処方料など)の評価はあるが、「さらに追加で検体を採ったとき、『検体を採る』という部分についての診療報酬上の追加機能評価はない」とした。
 江浪課長補佐は「今この一瞬だけ、少し現場に負担を掛けている」としながらも、「現時点においては具体的に(対応の)検討はできていない。いろんな意見を聞かなくてはいけない。(診療報酬については)簡単に決まるものではない」と述べた。

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2009年5月27日 (水)

ユートピアはすでに遠くなりにけり

本日はこちら「masayangの日記」さんの記事からーメディアのオバマ大統領へのインタビュー内容を紹介してみましょう。
「DRUDGE REPORT: OBAMA SAYS 'WE'RE OUT OF MONEY'を速攻適当翻訳」だそうですが、なかなか味があっていいと思います。

もう金庫は空っぽなんです by オバマ大統領(2009年5月23日記事)より抜粋

C-SPANのインタビューで、オバマ大統領は米国民に対して力強く語った。「資金は尽きた」と。
以下、C-SPAN側聞き手はSteve Scully氏(Washington Pres Corps)。

Scully: 「もうご存知ですよね。財政赤字は1.7兆ドル。国全体の負債は11兆ドル。アメリカはどの時点で資金が尽きますか?」

オバマ: 「もう資金は尽きてます。既に大きな赤字の元でやりくりしています。この大きな赤字は医療保険などで最近下した結果ではありません。この数年の経済危機と、過去数十年に渡って医療保険に関して放置してきた積み重ねが、今の状態を生んでいます。」

オバマ:「まず短期的な課題があります。金融機関を救済するために多大な資金が必要でした。自動車産業に競争力を取り戻す必要もあります。深刻な景気後退により税収は減少する一方で、職を失った人たちへの失業保険給付や食糧配給券交付などの資金が必要です。」

オバマ:「短期的な問題がある一方で、長期的な問題もあります。長期的な問題のほうが遥かに大きいのです。長期的な問題には、メディケイド*1とメディケア*2とがあります。これらの制度に対する出費が長期的に膨れ上がらないようにしないと、財政赤字は制御不能になります。」

オバマ:「何もしない、という手もあります。医療分野はとても高くつくので短期的な投資は無理だ、ともいえるわけです。もう財政赤字は膨れ上がっている。なので、いまのメディケイドとメディケアのままでいきましょう、と。」

オバマ:「でも、このままでいくと医療分野の出費はどんどん増えていきます。連邦政府の予算に占める医療費は膨れ上がり、やがて全部を食い尽くすことになるわけです。」

御存知のように民主党と言えばかねてヒラリーさんを旗頭にして大々的な国民医療保険導入をうたってきたところです。
当然ながら民主党政権誕生で一気に話が進むかと誰しも期待したところだったわけですが、当のトップであるオバマさん自ら「もう無理。絶対無理」と言ってしまったというわけですね(別に指名選挙で戦った意趣返しというわけでもないのでしょうが…)。
少なくとも当面はこの方面での大きな改革というものは消えたと見てよさそうな話ですが、そうなりますとしばしば「奇跡的」などとも表現される日本の皆保険制度というものは実はトンでもないものだったんじゃないかと改めて思わされるところです。

しかしその制度も今では崩壊寸前という状況にあるのは御存知の通りなんですが、いったい何がどうしてこうなってしまったのかという話ですよね。
その観点からすると先頃の5月18日に開催された「財務相の諮問機関」である財政制度等審議会(財政審)でのやり取りなどが非常に象徴的で興味深いのですが、まずは記事から引用してみましょう。

「春の建議」に診療報酬の配分見直しなど―財政審(2009年5月18日CBニュース)

 財務相の諮問機関である「財政制度等審議会」の西室泰三会長は5月18日、同審議会終了後の記者会見で、来年度予算編成の基本的考え方(春の建議)の中に、病院と診療所間の診療報酬の配分の見直しなど4点を盛り込む考えを示した。

 西室会長が挙げたのは、診療報酬配分の見直しのほか、▽医療従事者間の役割分担の見直し▽混合診療の解禁▽診療報酬に医師の熟達度を反映させる仕組みの導入―の各項目。

 会見で西室会長は、「地域や診療科目だけでなく、病院勤務医と開業医の負担格差についても解消する必要がある」と強調。「今一番過重な労働を強いられているといわれている病院勤務医の負担軽減に確実につながる」よう、病院への診療報酬の配分を手厚くする必要性を指摘した。
 医療従事者間の役割分担については、病院勤務医の負担を軽減するため、看護師や薬剤師などコメディカルの活用が必要だと主張。「スキルの高い看護師などの養成を考えなければならない」と述べた。
 また、「医療従事者の多くが混合診療の解禁を求めている」と述べ、混合診療の解禁についての議論の必要性を示した。
 さらに、現在の診療報酬について「医師の経験熟達度を反映していない」と批判。「これからは専門医が大事になる」「米国では専門医の報酬が高い」と述べ、診療報酬に医師の熟達度を反映させるような制度を導入する必要性も示した。

開業医報酬下げで一致(2009年5月19日読売新聞)

財政審 勤務医に重点配分

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は18日、医療機関に支払われる診療報酬の2010年度の改定にあたり、開業医の報酬を引き下げ、病院勤務医に重点的に医療費を配分する方針で一致した。6月上旬にまとめる建議(意見書)に盛り込む考えだ。

 西室泰三会長は会議後の記者会見で、「診療報酬の配分と体系を見直し、過重労働を強いられている病院勤務医の負担軽減につなげる必要がある」と指摘した。年収が開業医の半分程度とされる病院の勤務医の待遇を改善し、病院の医師不足に対応したい考えだ。

 また西室会長は、医師の勤務地域や診療科の選択などに一定の制限がある英独など海外の例を挙げ、「日本も公的な関与が必要ではないか」と指摘した。

ま、いくら病院の診療報酬を手厚くしようが赤字解消に回るだけで、勤務医の待遇改善に結びつくというエヴィデンスなどどこにも存在しないことは今さら改めて指摘する必要もないことですが、むしろポイントは開業医の引き下げの方なんでしょうね。
個人経営が多い開業医の場合はサラリーマンである勤務医と比べるとダイレクトに医師自身の待遇を診療報酬でコントロールしやすい、一方病院の診療報酬引き上げと言っても定額払い制度の支払い切り下げ等で幾らでも別な管理手段はあるということです。

これで見ますとなんだ、結局また医療費削減政策かというだけの話なんですが、最近すっかり影が薄くなった日本医師会の空しい反論を載せている記事もあるようです。

診療報酬の大幅引き上げなどを財政審で提言-日医・中川常任理事(2009年5月18日CBニュース)

 日本医師会の中川俊男常任理事は5月18日の財政制度等審議会の財政制度分科会財政構造改革部会で、「国民皆保険を守るための緊急提言」として、「外来における患者一部負担割合の引き下げ」「診療報酬の大幅な引き上げ」の2点を提言した。

 中川常任理事は、国民の経済的困窮からくる受診抑制、重症化への懸念を解決するために「外来における患者一部負担割合の引き下げ」を、医療資源の大幅な不足・偏在による地域医療の崩壊を食い止めるために「診療報酬の大幅な引き上げ」をそれぞれ提言した。

 これに対して委員からは、以前から財政審でも導入を提言している「少額医療費についての保険免責制をぜひとも導入してはどうだ」との意見が出たが、中川氏は「軽度の医療の負担割合が極端に大きくなってしまうので、皆保険制度の意義が問われる。医師会としては賛成できない」とした。
 また、診療報酬の引き上げに関して委員から、「国民感情からすると、なぜいきなり診療報酬を引き上げるのか理解できない」という意見が出された。「不況の下で民間の給料は下がるのに、なぜ診療報酬だけが上がるのか。議論すべきは診療報酬の推進(引き上げ)よりも、むしろ配分の問題ではないか」との意見には、「診療報酬の配分の見直しという姑息(こそく)な手段では問題は解決しない」と反論した。
 さらに、「混合診療についても前向きな議論をしてほしい」との意見に対しては、「最先端の有効な新薬については、速やかに保険診療の対象にすべきだ。混合診療を全面解禁にすると、安全性・有効性が確保できない。そういうふうな民間療法もすべて解禁されるので反対をしている」と述べた。別の委員からは、「混合診療の解禁が医師の収入を増やす突破口になるのでは」との意見も出たが、「そうは思わない」とした。

財政審:医師会、社会保障費削減に反対(2009年5月19日毎日新聞)

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が18日開かれ、日本医師会の中川俊男・常任理事が出席し、医療費削減に反対の立場で持論を展開した。社会保障費削減を主張している財政審に、主張が対立する医師会の代表が出席したのは初めて

 中川常任理事は、「02年度以降の医療費抑制が、病院閉鎖や医師不足の原因。社会保障費削減の計画を撤回し、診療報酬を引き上げるべきだ」と述べた。具体策として、高齢者を中心に患者の自己負担を引き下げ、医師不足解消のため診療報酬の引き上げを提言。財源として必要な約9兆円は、消費税を11・5%程度に引き上げることで穴埋め可能だと指摘した。

 財政審の委員からは「開業医に偏っている報酬の配分見直しで対応すべきだ」などの批判が続出。西室泰三会長は会見で「医療ユートピア論という印象を受けた」と医師会の提言を酷評した。【斉藤望】

これを見るとすっかり医師会=抵抗勢力という図式が鉄板ですが(苦笑)、実はこの話には久しく以前から続く前振りがあります。
一昔前には大病院に患者が集中するのが問題で、日常の診療は近所の開業医にいきましょうという話を政府が音頭を取って盛んにやっていたのはご記憶かと思いますが、あれの尻馬に乗っていたのが開業医の利権団体である医師会だったんですね。
当時の政府は「外来が儲からないようにすれば病院は患者を手放すはずだ」という面白い考え方から病院外来の診療報酬を切り下げたのですが(何故面白いかと言えば、診療報酬切り下げ=患者から見れば大病院にかかった方が安上がりとなってますます患者が集中したからなんですが…)、この政府方針に賛同して病院外来診療報酬切り下げに頷いたのが当時の医師会です。
経緯から見ると「病院の診療報酬を削った」という医療費削減の話だったはずが、いつの間にか時代がたって「開業医の診療報酬が優遇されている」という開業医優遇の話にすり替わってしまっているのも興味深いところで、今度は開業医の診療報酬も削るとなればなんだ、医療費は削減する一方なんだなと誰でも理解できる話です。
こうなりますとさすがに尻に火が付いた医師会も黙ってはいられなかったのでしょうが、はっきり言って己の浅慮を恥じ前非を悔いて率直に自己批判でもしてみせればまだかわいげもあったかなという気もしないでもありません(苦笑)。

いずれにしても財務省側からすると医療費削減政策堅持というのはどうも至上命題のようですから、当然ながら財政審もそれに則った線で話をまとめてくるのは当然なんですが、一応は医師代表という立場で呼ばれているだろう医師会の見解を公の場で「医療ユートピア論だね(w」などと一笑に付してみせるというのは穏やかではありませんよね。
このあたりどういった話が「ユートピア論」であったというのか、当日の議事要旨からもう少し引用してみましょう。

財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会〔議事要旨〕(2009年5月18日財務省)より抜粋

5.議事内容

      ○まず、「医療崩壊から脱出するための緊急提言」というテーマで、中川俊男日本医師会常任理事よりヒアリングを行った。中川理事の説明の要点は以下のとおり。

          o 診療報酬の引下げを直接的な要因として、平均在院日数の短縮化、患者負担割合の引き上げ、雇用・生活環境の悪化、新医師臨床研修制度の導入といった事態が起きており、また、これを間接的な要因として、全国の病院・病棟の閉鎖、診療科の休止が相次いでいる。社会保障費削減政策は撤回すべきである。
          o 75歳以上の方は疾病にかかるリスクが高く、長期療養が必要なので、高齢者に関しては保険原理が働きにくい状況がある。高齢者の医療費は全額公費負担とし、高齢者以外の一般は純粋保険制度とするべき。
          o 国民皆保険を守るための財源を確保する手段として、①消費税など新たな財源の検討、②国の支出の見直しの継続、③公的医療保険の見直し、が必要。
          o 国民の経済的困窮による受診抑制、重症化の懸念を解決するために、外来患者の一部負担割合を引き下げるべき。医療資源の大幅な不足・遍在による地域医療の崩壊に対しては、診療報酬の大幅引上げを以て対処すべき。

      ○これに対する、各委員からの主な意見は以下の通り。

          o 皆保険制度は世界に誇るべき制度であり、維持していく必要。医療保険制度は患者と医師双方で支える必要がある。
          o 医療費の増加については、財源確保のほかに、医療コストの節減も必要ではないか。経費節減のため、レセプトのオンライン化や後発医薬品の利用拡大に積極的に取り組むべき。
          o 財源確保には消費税の引き上げが必要だと思うが、どう考えるか。
          o 少額医療費についての保険免責制を導入してはどうか。税でも保険料でも、医療コストは国民の誰かが負担することになるのだから、皆保険制度を守るためには、免責制を導入すべき。
          o 混合診療についても前向きな議論をすべき。所得格差が医療格差につながるのはおかしいという意見もあるが、自分の健康に対する投資が不当に制限されるのはおかしいのではないか。
          o 医療の再生には、ただ金を積めばよいということではなく、地域の病院と診療所の連携が必要。医師会には、地域医療システムを構築するためリーダーシップを発揮して欲しい。
          o 医療報酬の配分やあり方そのものを検討するに当たって、中医協のメンバーとしてリーダーシップを発揮して欲しい。
          o 患者自己負担割合の問題は所得水準に依存する話であり、一律の引き下げには反対である。保険制度では、限られたリソースの有効活用が大事であり、高所得者には高額医療費制度が有効に機能するのではないか。
          o レセプトのオンライン化について、医師会は強制化に反対と言うが、多額の国費が投入されている現実があり、医療機関にも相応の義務が発生するのはやむをえないのではないか。
          o 国民皆保険を守るための財源についての3つの提案があったが、これに加えて国庫負担の見直しを考えて欲しい。公的医療保険の見直しの背後には国が医療に対しどういう負担をするかという議論があるし、高齢者医療制度の提案をするのなら、若い人も含めて国庫負担のあり方を検討すべき。
          o 国民感情からすると、医師の給料は高いと思っている人がほとんどであり、不況下で民間の給与は下がるのに診療報酬を引き上げるのは、理解できない。診療報酬には多額の税金が入っているのに、人事院勧告を無視した形で決まる従来のやり方はおかしい。診療報酬の水準より配分の在り方を議論すべき。
          o アメリカでは専門医の方が家庭医より給与が高い。簡単な診療より難しい診療を行う者の給料が高いのは当然で、日本でも開業医より病院の専門医に厚く配分すべき。
          o 医療費、特に高齢者医療費が10年、20年先にどうなるかという推計を医師会は持っているか。
          o 混合診療を解禁することにより、患者側のメリットだけでなく、高額の医療費収入が入るという意味で医師側のメリットもあるのではないか。

      (以上の意見に対し、中川理事より

          o レセプトのオンライン化について、医師会はIT化自体には反対しないが、地方には年配の医師も多く、小規模な診療所に対しても完全義務化し、期限を守れない場合にペナルティーを科すような導入の仕方には反対である。
          o 免責制について、軽度の医療の負担割合が極端に大きくなってしまい、皆保険制度の意義が問われることになる。
          o 混合診療について、最先端の有効な医療、新薬についてはまず速やかに保険診療の対象にすべき。全面解禁すると、安全性、有効性が確保できない民間療法も解禁されるので反対である。
          o 地域医療の崩壊が金だけで再生できないのは確かだが、金が無ければダメなのも実態である。
          o 国保、協会けんぽ等の保険制度からは国庫負担を排除し、若年世帯で助け合う仕組みにすべき。ただし、この提案は、あくまで財源の話として出しているのであって、制度として国庫負担全廃を提案しているわけではない。
          o 医師のあるべき給与水準というのは神学論争。開業医の年収が法外に高いとは言えない。診療報酬の配分の見直しという姑息な手段では問題は解決しない。給与が高いのは一部の医師に過ぎないので、イメージではなくデータを根拠に話して欲しい。
          o 将来の医療費について、10年程度の見通しの推計は行うべきだが、20年先の推計が妥当かということは疑問である。
          o 贅沢な部分は患者負担にすることには反対ではないが、現行の制度でも、認可までの期間を早めれば、混合診療に関わる問題は解決可能である。混合診療を導入しても、高度な医療ができる医師は限られており、保険で認められているレベルそのものが上がる訳ではない。むしろ普遍的な医療のレベルは下がってしまうのではないか。

なるほど、確かに「ユートピア」ですが(苦笑)。
財政審といえば先日も「医師不足の解消に向けた改革案」と称して診療科定員制導入など「お前何様やねん」と思わず突っ込みたくなるようなネタを提供してくれているなかなかありがたいところですが、財務省筋の審議会がこうして筋違いの医療政策にどんどん口を出してくるのもいささかどうよ?と思われますけれどね。
いずれにしても意見を聞いてみましたというのは形だけで財務省の方針に沿った結論が出てくることは既定路線というところでしょうが、医師会側の中川氏に対する空気というものを端的に示しているのが部会後の記者会見での西室泰三(元東芝代表取締役会長)部会長のコメントで、なかなか面白いですからここで引用してみましょう。

財政構造改革部会 記者会見(2009年5月18日財務省)より抜粋

〔西室部会長〕本日は14時から財政審の財政構造改革部会を開催いたしました。議題は、お手元にありますように、「医療崩壊から脱出するための緊急提言」についての有識者ヒアリングということで、日本医師会の常任理事の中川さんからのプレゼンです。
(略)
まず、中川さん、日本医師会の常任理事ですけれども、「医療崩壊から脱出するための緊急提言」という題目の資料1のお話がございました。実際には、ほとんどこのままでご説明をされましたので、あえて繰り返す必要はないかと思いますけれども、まだブリーフィングも何も済んでいないというお話なので、ほんの少しだけ内容についてお話をしたいと思います。

ご主張の第一番最初の部分は、診療報酬の引き下げを直接的な要因として、平均在院日数の短縮化だとか、あるいは、患者負担割合の引き上げ、雇用・生活環境の悪化、さらには新医師臨床研修制度、これを間接的な要因として全国の病院、それから病棟の閉鎖、診療科の休止などが相次いでいるので、何としても社会保障費削減政策は撤回すべきである。

今、ここで申し上げましたように、在院日数の短縮化の話ですとか、あるいは患者負担の引き上げですとか、いろいろ財審としては、むしろ国際比較からいっても、在院日数が極めて長過ぎるということですとか、あるいは患者負担そのものをある程度上げた方がいいのではないかとかいうお話をしてきたわけですが、それは全部撤回して、医療費抑制はやめた方がいいと、こういうお話であります。

今、概略を申し上げましたのが、ずっと最初の方のお話です。長寿医療制度についてのお話というのが、その次の話題ですけれども、75歳以上の方は疾病にかかるリスクが高いし、長期療養が必要になるので、高齢者に関しては保険原理というのは働きにくいという状況がある。これは26ページです。

これを考えると、やはり、保険ではなくて保障ということ、つまり、医療費の9割は公費で、主として国が負担すべきである。28ページですけれども、高齢者以外の一般は純粋保険制度でやったらどうだ、こういうお話であります。

つまり、高齢者の方は全部公費負担にして、それで高齢者以外の一般は全部保険でやる。これがご主張です。

それからあと、それ以外の部分については、国民皆保険を守るための財源として、29ページのところにありますけれども、この3つ、つまり、消費税など新たな財源を検討すべきであるということ、それから、国の支出の見直しの継続をしろ、それに、公的医療保険の見直しが必要である、こういうことであります。

この公的医療保険の見直しというのは、今、保険制度が分かれておりまして、それで、34ページのところにありますように、協会けんぽ、組合健保、それから、共済組合の中の国家公務員、地方公務員、私学教職員と、こう分けて現状を見ると、それぞれの間で負担の仕方についての差がある。保険料率、パーミル書いてございますように、82.00‰、73.90‰、それから、64.34‰その他、これをすべて協会けんぽの料率82.00‰にする、こういうご提案が具体的な提案としてございました。

それから、こういう見直しを同時並行的に進めて、それで消費税を充てるべき費用は2009年、9.1兆円不足しているので、国・地方の配分が変わらなければ、これでどうにもなりません、こういうお話であります。

それであとは、医師会は、これを前提として、35ページのところにございますけれども、国民の経済的困窮から来る受診の抑制、重症化の懸念、これを解決するためには、外来における患者一部負担の割合を引き下げろと、こういうご提案と、それから、医療資源の大幅な不足・偏在による地域医療の崩壊というのについては、診療報酬を大幅に引き上げなさい、こういうことであります。これをやれば、身近な医療機関が健全に存続し、国民が経済的負担におびえることなく、いつでも医療機関にかかることができる。

こういうご提案なんですが、1つの医療ユートピア論と言ってもいいのではなかろうかと思われるようなご説明だというふうな印象を正直言って受けました。

誰にとってのユートピアかはともかくとして、議論の中身だけ追っていますと、まるで医師会が医療の受益者たる国民の代弁者のようにも聞こえるのが面白いですし、こういう利他的とも取れるような調子の良い話ばかり口にしているから医師会というのは信用されないんだとも感じましたがどうでしょうか。
しかし一連の議論を見てみますと財政審から出てくる話というのも相当に香ばしい話題続出なのは注目すべき点で、特に医師会が強硬に反対している混合診療導入に偏執的とも言える執念を燃やしているらしいところは注目されるところではあります。
医療従事者の中でも考え方に諸説あってもちろん混合診療断固反対という医師会の立場が医師を代表するなどと考えられても困りますが、例えば亀田病院理事長の亀田隆明氏などは熱心な混合診療導入論を主張されているところを見てみても、どういう立場で混合診療に賛成なり反対なりしているのかという点は常に留意しておく必要があります。

「混合診療自由化になぜ反対?」(2009年05月11日CBニュース)

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会(西室泰三会長)は5月11日、医療法人鉄蕉会(千葉県鴨川市)の亀田隆明理事長から「病院経営が抱える諸問題」をテーマにヒアリングした。亀田氏は病院経営が抱える問題点として、収入の大半を診療報酬に依存し、病院による自助努力に限界があることなどを指摘。これを解消するための課題として、「民間資本の導入」や「寄付の活用」「混合診療の原則自由化」などを挙げた。

 このうち、混合診療の原則自由化について、委員からは「病院が収入を増やしたいだけ。患者の立場を考えておらず、反対だ」との意見が出た。

 亀田氏は「診療報酬だけでは経営が成り立たない」「混合診療の自由化は患者のため」などと主張。混合診療を原則自由化し、認められない医療行為の範囲を列挙する「ネガティブリスト方式」を提案した。
 さらに、「医師会など、一部の医療者が反対していると聞くが、大半の若い医師や病院勤務医は反対していないと思う」「なぜ反対するのか分からない」などとも述べた。

亀田氏がいみじくも「大半の若い医師や病院勤務医は反対していないと思う」と口にしたことからも明らかな通り、ああした人気病院がなぜ反対しないかと言えば、導入によって少数の患者で十分な利益が出るようになる、すなわち今のようなあり得ない数の患者を相手にしなくてよく、医師をはじめスタッフ集め上も有利という事情も大きいでしょう。
自分は混合診療反対派ではありませんが、欧米では医師一人当たり年間相手にする患者が2000~4000人レベルと言われる一方、日本でははるかに多い8000人という患者を診ていながら病院の半数が赤字という現実が何を意味するのかを考えてみた場合に、例えば薄利多売の受益者側たる市民が混合診療に対してどういう態度を取るのかは興味がありますね。
そして一方では西室氏らを代表とする財務省筋の方々は混合診療に対して熱心に導入を図ろうとしている、彼らは医療費抑制政策を堅持する一方で医療への国庫負担を減らし、税率引き上げを始めとする国民負担増を計ろうとしているとなれば、なるほど反対する者を「医療ユートピア論ですね(w」と斬って捨てる背景も理解できるというものではあります。

ちなみに財政制度分科会財政構造改革部会のメンバーはこんな感じとなっていますが、医療問題を論ずるに当たって妥当なメンバーかどうかはいささか異論の余地無しとしないかとも思われるところですよね。
西室氏の出身母体であるところの東芝さんをはじめとする電機メーカー各社も「総崩れ」と言われるほどずいぶんと厳しい状況にあるようですが、まさか医療に金を出すくらいならウチにもっと金を…なんてせこい考えではないんでしょうけれどね、たぶん。
いずれにしてもこの世の中に医療ユートピアなるものが存在するとすれば二十世紀後半の日本がその最有力候補の一つであっただろうことは確かでしょうから、ユートピアがいかにして失われていったかを記録しておくのも同時代人の義務と言うべきものでしょう。

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2009年5月26日 (火)

痛恨の一撃?! それは捨て身の一発芸とも…

最近ちょっと重いかなと感じているところもあって、今日はさっぱり風味の一発ネタです。

さて、マスコミ業界が経営的に極めて厳しいことになっているとは昨日今日の話題ではありませんが、このところそれがあからさまになるようなニュースが続いています。
先日もテレビ朝日が開局以来の赤字などと騒ぎになっていましたが、こちらもう一つの朝日さんも同じく大変な状況のようですね。
しかし失礼ながら今どきボーナスカット程度の話で一々業界内に衝撃が走っているようでは、今までどんな生ぬるい経営環境にあったのかと邪推されかねないのではと逆に心配になってくるのですが…

朝日新聞「ボーナス40%減」 業界に衝撃が走る(2009年5月23日J-CASTニュース)

   部数伸び悩みに加えて広告収入の大幅減が続き、新聞社の経営が「待ったなし」状態に追い込まれている。朝日新聞では2009年夏のボーナス 40%カットを目指す方針を打ち出し、読売新聞も大幅減の方向で動き出した。新聞各社はいよいよ人件費に踏み込まざるを得ないところにきた。

組合側は大反発、交渉は難航しそう

   関係者によると、朝日新聞は2009年夏のボーナスを40%カットしたいと組合に申し入れた。社長以下役員のボーナスは「ゼロ」になる。本給部分も非組合員の管理職は09年4月から5-10%削っている。役員報酬に関しても、社長、常務、取締役、役員待遇について15%から45%の減額を実施しているという。ある朝日OBは、「先輩はいい時期に『卒業』できて良かったですね」とため息まじりにボーナス減の報告を受けたという。

   ただ、組合側は「受け入れられない。経営責任を明確にせよ」と大反発、交渉は難航しそうだ。

   日本経済新聞もすでに20-30%台の幅で、夏のボーナス削減を決めている。日経や朝日以外の新聞各社は、5月末頃から各労組が要求を提示し、6月の第1週に会社から回答を得て、妥結か交渉かを検討することになる予定だという。ただ、この「40%カット」は業界に衝撃を与えており、読売新聞も朝日に習い大幅カットを打ち出す見通しだ。

   日本新聞労働組合連合の木部智明書記長は「ボーナスを巡る状況は、今年はとにかく酷い」と状況の悪さを認める。その原因を「広告収入の大幅減収」とみている。

   09年5月に発表された大手広告代理店の09年3月期決算でも、電通の「新聞広告」売上高は前年度比19.2%減と約348億円も減り、博報堂DYホールディングスも同22.9%減(約299億円減)と激減している。

「企業年金」の補填問題も大きい?

   木部書記長は新聞社の広告収入について「これから回復する余地のないくらいの落ち込み」と表現する。これまでの労使交渉の中でも、経営者から再三「厳しい」という声が出ており、組合側も現状を認識せざるをえない環境だ。交渉の見通しについては、「一時金(ボーナス)を上げろ、という議論にはなりにくい」という。部数も横ばいか微減の社が多く、広告収入減の影響をもろに受ける形になっている。

   元朝日新聞の編集委員で経済ジャーナリストの阿部和義さんも、ボーナスカットの一番の原因は「広告収入の激減」だという。また、朝日新聞については「企業年金」の補填問題も大きいのでは、と指摘する。04年度以降の定年者について、年金の運用利率を5.5%から3.5%に引き下げているが、それでも追いつかない。金融危機による株価低迷など、運用状況の悪化が背景にある。

    「09年4月以降、年金の補填に100億円とか200億円を拠出しなくてはいけないという話もあります。企業年金はとても運用できない状態のようです」

   また、新聞社の人件費について、「給与自体は一般企業と比べると、新聞社もテレビ局と同様に『高すぎる』のは事実だが」とした上で、「そういった『聖域』に踏み込んで(カットを)やらなければもたない」ほどの厳しい状況だと指摘する。

    「アメリカでは新聞社が何社も潰れているが、日本でも2、3社に淘汰されるような時代になるんじゃないですか」

ま、世間ではボーナスなど出るだけでもありがたいという人たちが大勢いるご時世ですから、未だにこれだけの待遇が保たれているだけでもさすが勝ち組と言うべきでしょうか。
ところで、昨日まったく唐突にこんな話が出てきまして、日本はおろか国際的に大騒ぎになっていることは既に御存知かと思います。

核問題:北朝鮮「核兵器の威力を強化」(2009年5月25日朝鮮日報)

 北朝鮮の朝鮮中央通信は25日、「地下核実験に成功した」と報道した。

 朝鮮中央通信は「共和国の自衛的核抑制力を全面的に強化する措置の一環として、主体98年(2009年)5月25日、再び地下核実験を行い、成功した」と報じた。同通信は「今回の核実験は爆発力と操縦技術において、新たに高い段階で安全に行われた」としている。

 また、「実験の結果、核兵器の威力をさらに高め、核技術を絶えず発展させる科学技術的な問題を円満に解決できるようになった」とも報じた。

 さらに、「核実験は先軍の威力で国と民族の自主権や社会主義を守り、朝鮮半島と周辺地域の平和と安全を保障するのに貢献するだろう」と主張している。

今までどちらかというとぬるい対応をしてきたアメリカなどもさすがにこれには思うところあったようで、一連の北朝鮮問題はここにきて急展開を見せかねない勢いです。
そんなわけでこの件に関してはあちらからもこちらからも現在進行形でニュースが飛び込んできている状況ですが、ここでの主題とは関係ありませんので深入りしません。

ところで、こうした東アジア地域の安全保障に関して重大な懸念をもたらしかねない北朝鮮の暴挙とも愚行ともつかない行動が発覚したこの2009年5月25日という記憶にとどめるべき日において、天下のクオリティペーパーを以て自認する朝日新聞が社の看板たる「社説」で出した記事というのがこちらなんですね。

【社説】日本の宇宙開発―技術は軍より民で磨け(2009年5月25日朝日新聞)

 軍事にばかり目が向いていると、日本の宇宙開発は先細りになりかねない。麻生首相を本部長とする政府の宇宙開発戦略本部が初めてまとめた宇宙基本計画案を見ると、改めてこんな懸念を抱く。

 計画案は、アジアの防災に貢献する陸や海の観測、気象観測など五つの利用分野と、宇宙科学や有人活動など四つの研究開発分野を挙げ、今後10年を視野において5年間で進める計画を掲げている。今月末に正式決定される。

 安全保障はその利用分野の一つだ。昨年5月にできた宇宙基本法で道が開かれた。早期警戒衛星の研究開発が盛り込まれているのが目を引く。

 この衛星はミサイル防衛システム用だ。高熱の物体が放つ赤外線によってミサイルの発射を知る。技術的な難しさに加え、解析システムの開発なども合わせると費用は巨額になり、導入には消極的な意見が少なくなかった。

 しかし、北朝鮮が4月に行ったミサイルの発射実験をきっかけに、自前の衛星を持つべきだという声が与党内で一気に盛り上がった。

 導入するかどうかは、年末に予定される防衛計画大綱見直しの際などに議論される。その必要性や費用はもちろん、日本が宇宙の軍事利用に本格的に乗り出すことで国際的な緊張を高めないか、十分に考える必要がある。安定した官需を求める宇宙産業の事情に引っ張られて先走ってはならない。

 計画案は、宇宙技術は使い方次第で民生にも軍事目的にも使える「デュアルユース」の考え方を持ち出し、安全保障への利用を広げようとしている。たとえば、早期警戒衛星の技術は森林火災の探知にも役立つというのだ。

 たしかに偵察衛星も地球観測衛星も基本技術は同じだ。それなら企業間の競争がある民生部門でこそ技術を磨くべきだ。米国の商業衛星は数十センチのものを見分けることができ、日本の情報収集衛星の能力を上回っている。

 防衛関連の技術は割高になり、その秘密主義は技術の発達を妨げる。

 安全保障の名の下に採算を度外視した計画が増えれば、民生部門にしわ寄せが及ぶ恐れもある。計画が遅れて費用が大幅に増え、その意義が薄らいでいるGXロケットも、安全保障目的で開発が正当化されようとしている。

 日本の宇宙開発を育てるためにすそ野を広げる必要があることは、計画案でもうたわれている。そのためにも、開かれた環境で進めることが重要だ。

 宇宙開発には国際的に大きくとらえる視点も欠かせない。宇宙は、各国が独自の技術やアイデアをもって競い合い、協力しながら未知に挑む舞台だ。そこに日本ならではの技術力をどう生かし、どう世界に貢献するのか。

 日本の飛躍につながる、そんな戦略を示す基本計画であってほしい。

いつもながら結局何を言いたいのかよく判らない朝日節という感じが全開なのですが、
別にこの日でなくても何も問題なさそうな記事なのに何ともタイミングが良すぎると言いますか、まさに狙ったかのような時に朝日節が炸裂してしまいましたが…これ、笑っていいところでしょうか?

一方でこの件に関してマスコミ各社が総理に質問を集中するのは当然のことですが、この中でも朝日はひときわ異彩を放っています。

北朝鮮核実験「NPTに対する重大な挑戦」 5月25日午後4時45分ごろ~(2009年5月25日毎日新聞)

 ◇核実験を止められない理由

Q:総理、朝日ですが、これで2度目の核実験になるわけですけれども、北朝鮮の核実験を国際社会がこうやって止められないのはどうしてだと思いますか? 一方であの……。

A:どうしてだと思いますか? 私に答えられる限界を超えています。

答える麻生総理の方も日頃から朝日嫌いで知られている御仁ですが、いくらなんでも一国の総理にこの小学校の壁新聞レベルの質問もなかろうかと思いますね。

それはこういうことばっかりやっていれば読者にもスポンサーにも見放されて赤字になるのも仕方ないですよ。>朝日新聞

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2009年5月25日 (月)

新型インフルエンザ ゼロリスク症候群の危惧

先週末に厚労省の新型インフルエンザ対策指針があちこち変更され、同省HPに掲載されています。
特に医療関係者に深く関わるところとしては新型インフルエンザの症例定義が変更され、届出の対象がかわってきたといったところではないでしょうか。
既に各自治体宛に通知が送られ今後医療機関に回ってくるものと思いますが、最大のポイントは従来の定義にあった「まん延国への渡航歴」が必須条件でなくなり、症状と医師の臨床診断に基づいて判断された症例も届出対象となったということでしょうか。
感染が水面下に潜行しながらまん延していると思われる現状ではそれなりに現実的判断というべきではないかと思いますが、迅速キットでA型陽性と出た時点で「疑似症患者」として保健所への連絡とともにPCRによる確認を要するということですから、現場にとってはそれなりに判断に迷うところなきにしもあらずといったところでしょうか。

これとあわせて、空港等での水際対策は公式に縮小されることが決定されていますが、すでに国際的には日本への患者流入よりも日本からの患者流入を問題視する状況とも言いますから、むしろこれからは入国よりも出国側での縛りがきつくなってくるかも知れませんね。
また、医療機関での診療体制に関しても全国一律ではなく地域毎の状況に応じた対応を認めたという点は、すでに一般医療機関での診療を要請している神戸市などの対応を追認したという形です。
いずれにしても末端は新たな通達に応じて対応を変えていかなければならないわけですから、当面は細々とした混乱は継続していきそうな気配です。

新型インフル遺伝子検査 政府が方針改定(2009年05月23日朝日新聞)

■患者急増地域では一般診療所も診察

 政府は22日、新型の豚インフルエンザの対処方針を改定した。国内での感染拡大を踏まえ、兵庫県や大阪府のような患者の急増地域では、条件付きで一般病院・診療所での受診を認める。その際、持病を持ち、新型インフルエンザ感染によって重症化の恐れがある患者の治療も課題だ。県内の医療の現場を点検してみた。(吉田晋、岡戸佑樹、岩崎賢一)

■課題1 薬や検査キット不足

 「院内に入らず、発熱相談センターに電話を」。県内の病院・診療所の玄関に、こんな張り紙が目立つ。県医師会が5月上旬、会員医師らに配った。発熱と海外渡航歴がある人に向けた告知だが、同会の高橋省三公衆衛生担当理事は「関西の状況もあるので、海外渡航歴の記述を削り『インフルエンザ様の症状があれば』と改めた文書を、今週末にも配り直したい」という。

 これは初期段階での対応だが、大阪や兵庫のように感染が広がった時、政府の対処方針にある一般の病院・診療所が診療態勢をとれるのか。

 「医師らが一番心配しているのは、抗ウイルス薬のタミフルも、簡易検査キットも不足していること」と、高橋理事は訴える。「オフシーズンなので、どの病院・診療所もそれほど手元にはない」。別の医師は「待合室で配るマスクさえ入手困難」と嘆く。

 県によると、県内の医薬品卸業者は4千人分の抗ウイルス薬を流通備蓄している。不足すれば、県が備蓄する7万2750人分のタミフルを供給する。一方、簡易検査キットの備蓄はなく、「供給量は薄くなっているようだ」(県衛生薬務課)とみている。

 医薬品卸大手のメディセオ・パルタック社(東京)は、「安定供給に務めているので、あわてないでいただきたい」としている。

■課題2 通常患者と分離は「無理」

 神戸市では一般病院での診察が始まっている。政府の対処方針は、院内感染を防ぐために待合室などで他の患者と一緒にならないことを条件にしている。

 県感染症危機管理対策委員会の池田久剛・山梨厚生病院小児科部長は「神戸のように感染が広がれば、県内でも発熱外来だけではさばききれないだろう」と話す。東山梨医師会と保健所は、発熱外来以外の病院・診療所に突然患者が訪れたときの対応マニュアルを作成しようとしてきたが、県が中心に作成し、配布先を全県に広げる予定だ。

 一般の病院・診療所には、人工透析など通常の医療が途切れると困る患者もいる。甲府市医師会の小松史俊副会長は「空間的分離は無理。施設の設計上不可能」と話す。

 神戸市では発熱相談センターの電話がパンクし、直接病院・診療所に来る患者がでている。小松副会長は「途方に暮れている。まず(病院や診療所の)外で診て対応を決めるしかない」と話している。

■課題3 糖尿病患者など「これから対応」

 糖尿病、ぜんそくの患者や妊婦などが新型インフルエンザに感染した場合、重症化の恐れが指摘されている。県対策本部事務局の説明では、こういった人々への案内の作成については、「これから対応しなくてはいけない」という状況だ。

 がん患者支援団体「山梨まんまくらぶ」代表の若尾直子さん(55)は「『気をつけろ』と言われても、どうしたらいいのかわからないのが患者の本音」。糖尿病を専門に診る富士吉田市内の診療所は、鳥インフルエンザを念頭に以前から患者に手術用マスクの備蓄を勧めてきた。「患者の何割かは用意していると思うが、最近は医療機関でも手に入りにくい」と話す。

 総合周産期母子医療センターがある県立中央病院(甲府市)は、妊婦検診に来た女性に、人込みを避けることなどを呼びかけている。寺本勝寛・同センター部長は「新型インフルエンザの患者と接触しないように、態勢は整えてある」と説明している。

7日間の健康観察停止へ 新型インフル水際検疫を緩和(2009年5月22日朝日新聞)

 新型の豚インフルエンザ対策で、厚生労働省は21日、水際の検疫態勢を緩和するため、米国やメキシコなどからの入国者への7日間の健康観察をやめる方針を固めた。感染者が出て休校になった学校を再開した後に、生徒、児童から新たな感染者が出た場合、都道府県の裁量で、学校単位での休校を認めるよう変更することも検討している。

 政府は22日朝、新型インフルの対策本部の会合で、こうした新しい運用方針を決める。

 従来の「対処方針」を見直し、学校・保育所などの臨時休業の要請や、検疫、医師の確保といった事項への対応を、画一的に定めるのではなく、対策本部の副本部長を務める厚生労働相が定める運用指針に委ね、臨機応変な対応を目指している。

 厚労省は世界保健機関(WHO)が警戒レベルを4に引き上げたのに伴い、先月28日以降、検疫態勢を強化。米国、カナダ、メキシコからの入国者全員を対象に機内検疫を始めると同時に、入国後7日間、健康観察の対象にしていた。機内検疫は原則やめる。ただ、明らかに発症している人がいる場合は、航空会社から連絡をもらい、実施するか判断する。

 機内で感染者のそばにいた濃厚接触者を足止めしていた従来の方針を改め、外出自粛を求め、地元保健所が定期的に健康状態を把握する対象にする。

 学校や保育所の臨時休業について、一定の範囲で一斉に休業する従来の方針を維持。地域の実情に合わせた細やかな対応ができるようにする。

 一方、厚労省は新型インフルエンザの対策の見直し案として、感染の広がり具合によって国内を三つの地域に分け、それぞれの状況に応じた対策をとるよう検討していたが、二つの地域にすることも検討している。

 今回の方針では、慢性の病気を抱えるなどするリスクの高いグループの人たちを感染による死亡から守ることを、新型の豚インフルエンザ対策の新たな目標に掲げた。国内外の患者の症例分析から、多くの人が軽症で済む一方、糖尿病患者など、病気を抱える人たちが重症化しやすい現実をふまえた。

繰り返しになりますが、従来の季節性インフルエンザと比較して新型の特徴として最も注目されるのが、従来型ですと死亡例は高齢者に集中しているところが、新型に関しては若年者や基礎疾患を有する者に死亡者が多いという点です。
「若年健常人の風邪はおとなしく寝ていれば治る」は新型であっても軽症者に対しては通用することですし、むろん何でもかんでも病院に押し寄せてもらっても対処に困るのも事実でしょうが、万一重症化してくるようでしたらきちんと医療機関において適切な治療を受けなければならないということだけは留意しておく必要はあるでしょうね。

さて、新型に関して現場のあちこちで不満の声が聞かれるのが、診断(検査)体制に関わる問題です。
この最たるものが「誰に対してPCRによる確定診断を行ったらよいのか?」ということなのですが、残念ながら現場の感覚と行政側の思惑に明らかなズレがあるようで、ネット上でもあちこちで不満の声が聞こえてきます。
このあたりは厚労省の方針変更に伴って今後なにかしらの変化が現れるのを気長に待つべきなのか、それとも現場の実情に応じて独自に判断していくべきなのか悩ましいところではありますが、医療側にも「本当に全例診断確定をしていかなければならないのか?」ともう一度検討してみる余地はあるでしょうね。

ようやく厚労省も医療従事者への補償を「検討してみることにします」などと非常にお役所的解答をしてきたあたりを見ると、行政側の歩み寄りに少しは期待してもいいのでしょうか?

362 : シバザクラ・フロッグストラモンティ(千葉県):2009/05/23(土) 08:25:16.69 ID:cbGbChhx
東京で開業している内科医だけど保健所は話にならん。
明らかに季節性のインフルエンザAと異なる流行でしかも今年の冬にAに感染している患者まで
遺伝子検査断ってきている。しかも同一小学校で少なくても5名感染しているというのに。
保健所が断った理由がまたばかばかしい。学年やクラスが違うから集団感染とは言えないからやる必要が無いとさ。
今小学校が運動会の練習で全校一緒になる機会が多いの知らないのか?
もう、医者の良心(一応あるんだよ)に従い保健所とは別にある検査会社に依頼して
新型インフルエンザの遺伝子検査してもらうことにした。
保健所だけじゃないからね、この検査できるところ。この事実を一人でも多くの人に伝えてほしい。
もし今日だした検体が新型と判定されたらどこに通報すればいいと思う?
まず医師会、保健所、役所は握りつぶすのはもう明らかだから。誰か知恵を貸してくれ。
新型が疑われる患者は医者に保健所が断るなら検査会社に依頼して遺伝子検査してくれと頼むべきだと思う


542 :卵の名無しさん:2009/05/24(日) 15:23:25 ID:lxHk4R7d0
    東京及び首都圏の各自治体では、新型インフル患者が表向き発生しないように、スクラム組んで隠蔽してる?
    「渡航歴と関西への旅行歴で患者を振り分けます.旅行歴のない人は、新型じゃないので
    先生のところでよろしく.検査も特にしなくていいですよ、ただの風邪ですから.」
    「精密検査にかけるかどうかは行政で決めます.予算がないから渡航歴等ないとしないですが
    「でも、感染予防対策はしてくださいね!待合室分けるとか、時間帯分けるとか」
    「発熱外来にみんな来たら困りますからね.」
    「診療拒否したら、医師法違反ですよ(大臣)」
    WHOの医務官が、「空港での検疫は意味がない.実際の水際は、各医療機関だ」
    って言ってたけど、ほんとだよね.
    っていうか、行政の対応最悪すぎ.
    やる気失う.
    国会議員も官僚も、行政の公務員も、医療機関で窓口に立って働いてみろ!!

インフルエンザの特に発症早期では迅速診断キットの精度などたかが知れているのは常識ですから、「検査で出なかったからと言ってインフルエンザでないとは言えない」のは当たり前の話であって、逆に言えば除外診断的に用いるべきものではないものをそのように錯覚させてしまったのは明らかに失敗だったと思いますね。
世間では何かしら迅速検査での陰性結果をお墨付きのように捉えている向きが未だに一部と言えずあるようですが、ここに来てようやく「それはおかしいんじゃない?」という記事が登場し始めたというのは明るい兆しではないかと前向きにおくべきなのでしょうか。

簡易検査「陰性」でも「簡単に否定すべきでない」(2009年5月22日CBニュース)

 国立感染症研究所は5月22日に記者会見を開き、簡易検査でA型陰性だった患者がPCR検査で新型インフルエンザ陽性と判明するケースが相次いでいることについて、岡部信彦・感染症情報センター長が、簡易検査での検知率は検体を採取するタイミングに左右され、しかもPCR検査よりも検知率がはるかに低いと説明した。また、同センターの「新型インフルエンザ積極的疫学調査大阪チーム」は同日、新型インフルエンザ患者に対する調査報告を公開。この中で、簡易検査で陰性との結果が出ても、「新型インフルエンザを簡単には否定すべきではない」とした。

 会見で同センターは、同センターと神戸市保健所が、19日までに神戸市内で新型インフルエンザ確定例となった43人の感染者に対して行った調査の結果を説明。迅速診断キットによる簡易検査でA型陽性となったのは23例(53.5%)で、残りの20例(46.5%)は陰性だったとした。

 これについて岡部センター長は、「検知率が5-6割というのは、確かに低いと思う」と述べた。一方、通常の季節性インフルエンザの場合、典型的な症状のある人に簡易検査をするのが普通で、「そういうときに(検知率が)7-8割であることを考えると、症状が穏やかな人やある程度過ぎ去った人の検査も一緒にやれば、(検知率が)低くなるとは思う」との見方を示した。
 また、迅速診断キットによる簡易検査よりもPCR検査の方が「はるかに鋭敏」であると指摘し、「迅速診断マイナスでPCR陽性というのは、きちんと検査をすれば、当然あり得るということになる」と述べた。

 また同センターの「新型インフルエンザ積極的疫学調査大阪チーム」は22日、新型インフルエンザ感染が確定した大阪府内の小中高校の患者に対して行った調査の報告を公開した。
 同チームでは、新型インフルエンザ感染確定例である茨木市内の中学・高校の生徒と教職員64人のうち入院した18人と、八尾市内の小学校の児童5人の計 23人について、簡易検査時の結果を調べたところ、陽性だったのは16人で、陽性率は69.6%。このうち、発症1日後の陽性率は87.5%で、発症日と発症2日後では57.1%だった=表=。
 同チームでは、発症1日後では「高率に陽性を示していた」が、発症日と発症2日後の陽性率は「高いものではなかった」と指摘。「少なくとも臨床現場で簡易検査が陰性であっても、新型インフルエンザを簡単には否定すべきではないと思われる」としている。

このあたりは検査の感度以前にどこまで確定診断をつけるべきなのかという議論も諸説あって難しいところですが、診断キットの数もさることながら治療薬の需給状況も一部では厳しくなってきているようです。
話題のタミフルもトータルとして十分量はあるということになっていますが、今のところ行政側備蓄分の放出には至っていないということですから、一部医療機関では限りなく入荷が厳しいといった声も漏れ聞こえてきます。
本来この時期にこのペースで消費するということがないだけに在庫の減少も危惧されますが、それ以上に心配なのが市民や行政のみならずどうも一部医療機関においても過剰な反応というものがあるのではないかということです。
基礎疾患もない健康な人で症状も軽微であるなら全例がタミフルなどという必要もないはずですし、タミフル以外の治療法もあるわけなのですが、どうも通常型の散発発生時と同様の対応で機械的に処方している傾向も見え隠れしているようで、このあたりは処方を求める市民の側にも処方する医療機関の側にも改善すべき余地が多々あるのではないでしょうか。

“タミフル争奪”めぐり医療機関と行政が綱引き(2009年5月19日IZA)

 新型インフルエンザ問題の感染が広がる大阪府や兵庫県では、一般の医療機関から、両府県の備蓄する抗インフルエンザ薬タミフルを市場に放出するよう要望が強まっている。政府が「蔓延(まんえん)期」と認めれば、一般医療機関が患者を診療するが、季節性のインフルエンザ流行期を過ぎているため、タミフルの手持ちがない医療機関も多く「対応できない」という医師も。しかし、両府県とも「現時点は市場流通分だけで足りる」と備蓄投入には慎重。両者で“タミフル争奪”をめぐり綱引きが続いている。

 政府の行動計画では、現在の「国内発生早期」段階では、軽症者も含めて患者全員の入院を定めている。しかし、患者の多い大阪府では、府内の発熱外来や入院先施設の受け入れはほぼ限界。このため、厚生労働省も「蔓延期」以降しか認めていない一般医療機関での診療やタミフル処方も認める方針にしている。

 これを見越して、府内の医療機関から「蔓延期になってから、タミフルが入手困難になっては困る。事前に一定量は必要」とのする声が強まっている。実際に、府医師会のアンケート調査では、162人の医師のうち、59人(36%)がタミフルの保有数を「1人分以下」、56人(35%)が「5人分以下」と回答。同医師会は18日、府などに対し、備蓄分放出など「早期の安定供給」を申し入れた。

 ところが、大阪府や兵庫県の見解は違う。府は現在、72万人分のタミフルを備蓄。あくまで患者が急増しタミフルが不足した場合、備蓄分を卸業者を通じて投入する予定にしている。府は海外で感染が急拡大した4月28日以降、タミフルを扱う主要卸業者の在庫数の確認をしているが、5月19日時点では計5万7000人分あり、「放出の必要はない」としている。

 ではなぜ、医療機関側に“危機感”が募るのか。府の担当者は「極端に言えば、医療機関にはタミフルを患者1人に使うごとに、そのつど1人分のタミフルを“小出し”するよう卸業者に指導している」という。その理由を「一部の医療機関による必要以上の抱えこみを最も警戒している。偏在すれば患者が迷惑する」と慎重な姿勢を崩さない。

 医療機関と自治体の間で板挟みとなっているのが卸業者だ。ある卸業者は、患者の多い府北部を中心に、タミフルの注文が殺到。医療機関からは「薬の必要性は患者1人だけではない。家族全員に広がる可能性も高く、もっとタミフルを出せないのか」などと詰め寄られることもあるという。卸業者は「タミフルで事態に備えたい医師の気持ちも分かるが、行政の指導にも逆らえない」と困惑している。

こうした報道を見ても感じさせられるのは、日本でもすでに一部でその傾向がありますがどうも「ゼロリスク症候群」が発症しかけているのではないかということです。
感度自体が低い迅速キットを用いた実効性の乏しい水際対策なるものをやってしまう感性もそうですが、多数を対象とした公衆衛生学的対策を考えていく上で「感染の危険性がゼロ」「患者見逃しのリスクがゼロ」ということはあり得ないですし、そんなものを目標にすべきではありません。
絶対に新型インフルエンザを国内に入れてはならない、絶対に感染を蔓延させてはならない、絶対に患者には最善の治療を受けなければならない、そういうゼロリスクを求める歪んだ行動が、結果としてより大きな被害の拡大を招きかねないということを考えるべきでしょう。

関西地区ではこの不景気の最中さらなる経済活動の沈滞が起こっていたり、お隣中国では感染者捜しが病的なレベルまで広がっているなどという事態になっているようですが、こうした過剰反応が「かかったかな」と感じた患者を潜伏させ、結果として更なる感染の拡大を招くだろうことはお分かりいただけるのではないでしょうか。
疾患に対する適切な評価と社会的な最適解を目指した程よい対応というものをきちんと設定すること、そして何よりそのために一定のリスクを受容するという市民の理解こそが必要なんだと思いますね。

新型インフル感染者を糾弾する、中国ネチズン“人肉捜索”の凄まじさ(2009年05月21日DIAMOND online)

 SARSで痛い経験を積んだ中国は、新型インフルエンザに対し徹底した水際対策を実施し、現在のところ感染者は中国本土で公称4人で留まっている。現在のところ、中国全土でマスクを着用している人は滅多に見られない。しかし、インターネットの世界で、新型インフルエンザの思わぬ「2次被害」が広がっている。都市部の若者はある意味、インフルエンザ感染以上にその被害が及ばないようにと戦々恐々だ。

 山東省で確認され、中国での新型ウィルス感染2例目となった19歳の中国人学生は、その最大の被害者だ。彼は、留学先のカナダから空路で北京に降り、その後山東省の済南まで鉄道を利用して移動し、済南でインフルエンザ感染が確認された。このニュースが流れるや、中国のネチズン(ネットワーク市民)がこぞって学生を非難した。

「ネチズンの話によれば」という前置きをした上で「カナダにいたときに感染の可能性をルームメイトに話していた」「飛行機では彼の後ろにメキシコ人がいて感染した」「彼自身、感染しているのを気づきながら帰国に固持した」「帰国後友人に感染の可能性があることを告白し、北京のウォルマートでマスクを買いに行ったが売っていなかった」「結局北京でマスクは買えずにそれでも列車に乗った」といった未確認な情報の数々が、あたかも真実のように飛び交った。

 確実でない情報が積み重なり、怒るネチズンの火に油を注ぐこととなった。「アイツは感染したと感づいていながら、帰国を決行し、他人の危険を顧みず北京を練り歩いた。あまりにも自分勝手な行為だ」「アイツは故意でウイルスをばらまいた」など、学生への攻撃は止まらない。あるネチズンは学生に伝染の伝の字を用いた「呂伝伝」や「毒王」などといったあだ名を付け、有名人に祭り上げた。

 一躍ネチズンにとって時の人となってしまった学生に対し、怒りの止まらぬネチズンは、「人肉捜索」と呼ばれる個人情報の調査に乗り出し、彼の個人情報を暴いた。ネットでの学生叩きの止まらぬ中、16日には彼の父親が自ら、この騒ぎを収束させるべくテレビに登場し、謝罪を行なうまでに至った。

 四川省で確認された中国4例目の感染者もまた、ネチズンの呼びかけにより人肉捜索の餌食となった。ただし彼の場合は米国から日本経由で四川省へと空路を利用しただけだったので、前述の学生ほどはネチズンに蔑視されてはいない。

 実は中国でのこうしたネチズンの動きは、今回が初めてではない。四川大地震、北京五輪やその聖火リレーにおいて、ネット上で中国人が団結し、盛り上がりを見せた。この過程で、「悪い人間やその家族・友人・勤務先の個人情報をネット上に公開することで懲罰する」という「人肉捜索」が始まったのだ。
(略)
 筆者が周囲の中国人の若者に尋ねると、新型インフルエンザに感染するよりも、むしろ2次被害、すなわちネチズンの正義による人肉捜索のターゲットにされることを恐れている印象だった。中国在住の筆者自身も、感染者が増えている日本に上海経由で行かざるを得ない用事があり、その旨を中国人の知人らに告げると、「頼むから日本から中国に入国してしばらくは上海で待機してくれ。万が一の場合、日本人の知り合いである私たちも人肉捜索の対象になる!」と怯えていたほどだ。

 中国のネチズンは、その殆どが30歳以下の一人っ子世代である。若者の多くは、新型インフルエンザに感染しても、ネチズンによる糾弾を恐れて申告したくないというのが実際のところかもしれない。中国の若者たちが感染の告白を躊躇し、気づいたら中国全土に感染者が広がるような事態がないことを祈りたい。

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2009年5月24日 (日)

今日のぐり「香徳園」

最近少し疲れ気味なんですが、それはともかく…
先日お伝えしました「地デジカ」の対抗キャラ「アナロ熊」ですが、何故かココログニュースでも取り上げられていました。
しかしパクリ禁止の地デジカが実はパクっていたという思わぬオチが付く当たり、何とも洒落にならない話ではありますがね。
本日はアナロ熊にちなんで動物関連の話題を幾つか取り上げてみますが、まずはやはりクマーですよね。

クマと遭遇、にらみ合い 富山・牛岳で山菜採り男性、写真撮る(2009年05月12日北日本新聞)

 十一日午前七時五十分ごろ、富山市山田地域の牛岳で山菜採りをしていた高岡市丸の内の理容店経営、本間元三さん(61)が成獣とみられるクマに遭遇した。十メートルほどの距離でしばらくにらみ合いになり、その際にクマを撮影した。

 現場は牛岳山頂から林道を約四百メートル下った地点。本間さんは林道を歩いていたところ、路上のクマと出くわした。クマはすぐに林道沿いの斜面を駆け上がって逃げ、途中で立ち止まって振り返り、本間さんと三十秒ほどにらみ合った。

 本間さんはこれまでにクマと遭遇した経験が数回あり、「これくらいの距離があれば、襲ってこない」と思ったという。デジタルカメラでクマの姿を撮影したが、その後もクマは動かずににらんできたため、本間さんは怖くなって林道を引き返した

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いやおっちゃんおっちゃん、それ写真撮ってる場合とちゃう、撮ってる場合ちゃうやろJK…
ま、まあ、何事もなく無事にやり過ごしたということで結果オーライということなんでしょうが、こちらの連中は何事もないどころか大いに問題となっているようです。

横暴カラスにお手上げ 神戸・王子動物園など (2009年5月13日神戸新聞)

 全国各地の動物園がカラスに悩まされている。神戸市立王子動物園でもダチョウの羽を巣作り用にむしるなど“悪行”はえさの横取りにとどまらない。動物をつついて死なせるケースも。都市部のカラス急増が背景にあり、駆除を本格化させた動物園もあるが、飼育担当者は「頭がいいから対策をすぐ見抜かれる」。カラスとの知恵比べが続く。(木村信行)

 王子動物園のダチョウ舎。二頭のうち一頭の背中は羽が抜け落ち、はげ上がっている。「カラスが巣作り用に抜いていくんです」と石川理園長。昨年は集中攻撃されたメスが衰弱し、死んだ。

 サイは背中を何度もつつかれた。傷口を作り、かさぶたをえさにしていた。ペンギンの卵が奪われたこともある。

 園の北側の林にカラスのねぐらがあるという。「今後、何らかの手を打つ必要が出るだろう」と石川園長。

 名古屋市の東山動物園でも、カラスは天井のない飼育舎に出入りし、えさのリンゴやキャベツを横取り。ラクダの毛を抜き、生まれたばかりのシカの赤ちゃんを突いて死なせたこともあった。

 愛知万博による丘陵地帯の開発が盛んになった十年ほど前から、行き場を失ったカラスが園内の森に移りすんだらしい。

 そのため、フラミンゴの繁殖シーズンには卵を守る防護ネットを張るなど対策を講じたが、効果は長続きしない。担当者は「慣れると、ネットのすき間を見付けて侵入する。手ごわいです」。

 東京都の上野動物園は十年前から駆除に本腰を入れた。プレーリードッグの赤ちゃんが飼育員の目の前でカラスにさらわれ、危機感を持ったという。園内に毎年十個ほどできる巣は高所作業車で撤去。都に有害鳥獣駆除の申請をした上でわなを仕掛け、殺処分もしている。ただし、わなには、その年に生まれたカラスしかかからないという。

 上野動物園の田畑直樹副園長は「カラス対策は動物園共通の課題。アイデアを交換し、いい方法を開発したい」と話す。

やつらの知恵というものは半端ねえって奴ですからねえ…
しかしこれ、もうちょっと増えてくるとまんまヒッチコックの「鳥」になっちゃいそうで怖い話ですね。
こちらはそれに比べると何とも心温まるニュースといったところですが、よく考えてみますと案外怖い話のような気もしないでもありませんが…

愛犬、やっぱり飼い主似?(2009年05月15日朝日新聞)

 犬の顔が飼い主の顔と似ていることを、関西学院大文学部の中島定彦教授(動物心理学)らの研究グループが実証実験で確かめた。見慣れたものに好感を抱く心理がはたらくのではないかという。研究論文は、動物と人間を研究する英国の学術誌「アンスロズーズ」の6月号に掲載される。

 米国とベネズエラの大学の研究者がそれぞれ、純血種の犬と飼い主の顔が似ているとの研究報告をしている例がある。中島教授らは、これらの報告が日本でも当てはまるかどうかを確認しようと、06年に神戸市であった愛犬家の集いに参加したシバイヌやボーダーコリーなど28の純血種計40匹と、その飼い主40人の顔写真を使って実験をした。

 学生186人に、犬と飼い主が正しい20組の写真を集めたグループと、飼い主が異なる20組の写真のグループをそれぞれ見せ、「どちらが正しいペアか」と尋ねたところ、115人(62%)が正しいグループを選んだ。また、別の学生187人に「飼い主と犬がよく似ているのはどちらか」と尋ねたところ、124人(66%)が正しいグループを選んだ。

 この実験に参加した計373人の学生のうち、それぞれの回答時に「顔に注目した」と答えた168人の正答率は72%(121人)に上った。
 また、学生・院生の計70人に、犬と飼い主の写真を見せ、正しいペアに組み合わせてもらう別の実験をした。その結果、偶然に当たる確率を上回る正答率を得ることができたという。

 中島教授は「犬と飼い主がなぜ似ているのかは分からない。見慣れたものに好感を抱く心理があり、飼い主が自分に似た犬を選んでいる可能性が高い」と話している。

今日のぐり「香徳園」

市街地中心から外れた裏通りの住宅街の更に裏といったあたりに位置する、場所を知っていなければ通りがかるということはまずなさそうな立地の中華料理屋です。
こんな辺鄙な場所にありながら実は相当な人気店で、この日もオーダーストップ間近という時間帯であるのに次々と客が入り満席状態でした。
ここは大昔に知人に教わって来店した折りに、ちょっとした宴会めいたことをやらかして大部分のメニューを制覇した記憶があるところで、おおよその味は知っているつもりです。
この手の店らしくいろいろとこってり系のメニューは多いのですが、この店の味が良く判る(と勝手に思っている)「豚肉とレタスの炒め定食」を注文しました。
この一品、昔は確か「豚野菜」と言っていたと思いましたが、聞いていましたら店員さんは今もちゃんとブタヤサイと言っていましたね(ならそう書けば良いでしょうに…)。

相変わらずと言うべきでしょうか、レタスのシャキシャキ感をきっちり残した炒め加減は歯に心地よく、オイスターソースが効いたやや濃いめの味付けは飯によく合います。
しかし少しばかり気になったのは、この店の味の決め手とも言うべきスープ(湯)が希釈したのかと思うくらい味が抜けているように感じられたのですが…
おかずの方は調味料の味でごまかせていますけれども、付け合わせのスープは塩加減があまりに甘すぎることも手伝って「ちょっと何なのこれ」的などうしようもない味です。
もしや閉店時間が近いということも影響しているのかも知れませんが、店の味を左右することだけにこれはちょっといただけませんでしたね。

ここに限らず多くの中華料理屋で何故か同じ傾向が見られますが、飯と漬け物はよろしくありません(とはいえ、こうした店の標準レベルですが)。
コストの問題もあるでしょうから元々の米のレベルはどうこう言いませんが、銀シャリというには水加減もどうかと思いますし、こうまで割れまくってしまっているのはどうなんでしょうねえ。
中華料理屋にとって漬け物の扱いというのも難しいんだろうなとは思いますが、今どきあり得ないほどまっ黄色なお新香はせめてこの干からび具合だけでも何とかしてもらいたいですね。
ついでにどうでもいいような話ですが、トレイの片隅で妙な存在感を発揮している妙に和風なたたずまいのお茶も中華料理に合わせるには少しどうなのかなとも思いますが…

今回は久しぶりに来てみてメニューは若干変わったか?と思ったのですが、じっくり見てみますと基本的な構成はほぼ変わっていないようです。
相変わらずどこにでもある当たり前の食材しか使っていないごく普通の料理ばかりで意外性や面白みは欠けますが、普段の飯を食いに立ち寄るには良い店かなと思いますね。
問題はいつきても大抵満席なのでそれなりに待つ覚悟をしなければならない点なのですが、安くて腹が膨れる系の店の中ではずいぶんと真っ当な味のものが食える店として競争力があるということではないでしょうか。

ところで詳細は不明なのですが、同じ市内にある「幸香」という店は姉妹店なんだそうですが、こちらもいずれ寄ってみなければならないでしょうかね。

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2009年5月23日 (土)

NHK偏向報道疑惑問題続報

先日もお伝えしましたNHKの「アジアの一等国」偏向報道疑惑問題ですが、日台双方で抗議の動きが広がっています。
この問題に関してあまり一般メディアは取り上げていないようですが、ほぼ唯一積極的な情報発信を続けてる産経新聞には抗議の全面広告が掲載されたようです。
しかしよく見てみるとずいぶんと香ばしい話も暴露されているようで、かねて噂としては聞いていたNHKの取材ぶりというものはこうして裏付けられたという形でしょうか。

【速報】NHK抗議の渋谷に1100人ーNHK解体への第一歩(2009年5月16日E-Magazine)

本日、東京・青森・豊橋・名古屋・福岡・台北でNHK「JAPANデビュー」の歪曲反日報道に抗議するデモ行動が行われた。

ハチ公前での街頭宣伝では、渋谷の駅前は参加者で一杯になり、リレートークも200名の会場が一杯になり、外に人があふれた。田母神俊雄前航空幕僚長が登壇すると女性参加者らが携帯を取り出して写真をとっていた。また台湾人作家の黄文雄氏や本誌の林建良編集長、日本李登輝友の会の小田村四郎会長、柚原正敬事務局長、台湾研究フォーラムの永山英樹会長も登壇した。

宮下公園での集会も盛り上がった。NHKの問題に詳しい中村燦先生をはじめ、佐藤守元航空自衛隊空将も挨拶に立ち、日航機墜落事故の際、NHKニュース9が、撮影後に当時広報担当だった佐藤元空将が訂正を求めた部分に関して「リハーサル」の部分を放映するという信義違反を行ったうえ、最終的にはそれに関わったNHK職員が差出人を明記せずに中傷暴言を書いた郵便物を送ってきたという。

本誌編集長・林建良は、付近一帯に響く声で、NHKは(1)親の世代の台湾人の、日本人への思いを利用して反日番組を仕立て上げるという方法で、台湾人が大切にしているものを侮辱した。(2)当時ありもしなかった中国語を禁止したなどと表現して、むりやり台湾を中国に結びつける陰謀に加担した。(3)NHKによれば台湾には日本統治による「深い傷が刻まれている」一方で「親日的」だということだが、もし、NHKが伝えたような統治を受けたというのが本当であれば、それにもかかわらず親日的という民族がどこにあるだろうか。台湾人を馬鹿にしている。自分は尊厳のある台湾人になりたい、尊厳のある日本人でいてほしい、と訴えた。またNHKは、中国による洗脳のお先棒を担いで、中国のチベット、ウイグル、台湾への侵略を支持している。このようなNHKを存続させてはならないと訴えた。そして、放送法を改正してNHKとの契約を義務でなくするよう総選挙に向け国会議員に伝えていこうと呼びかけた。また台湾人教会の牧師をはじめ台湾人クリスチャンたちも参加していることを紹介した。

また別の登壇者らによる「今日はNHK解体への第一歩、受信料支払いは犯罪への加担」、「NHKは我々の金を使って我々に銃口を向けている」との指摘も印象的だった。

また、地方議員も多数参加した。瀬沼足立区議は修学旅行先に台湾を勧め好評だったという話を紹介した。天目石要一郎・武蔵村山市議は、これが李登輝先生の思いが込められた日台の絆だと、台湾団結連盟から贈られたネクタイを示した。

永山英樹氏は、日本を知る台湾の老人たちは、シナによる台湾侵略の際に、台湾に手を差し伸べてくれるのは日本だと期待していることを紹介し、日本がしっかりとする必要があると語った。台湾人の若者が結成した東京逆転隊も紹介を受けた。

また、選挙のためのスケジュールを切り上げて、小磯明都議も挨拶に立った。NHK問題も座標軸が定まっていない日本の問題を反映している。反国家的放送を許さないと参加者の決意を代弁した。青森、秋田からも参加者がいた。

東京ではデモ行進の時点で1100人が参加し、宮下公園からNHKの入り口まで、緑の長い隊列が続いた。

デモ隊は、NHKの周りを時計回りに回り、一旦、代々木公園の脇の小さな公園で隊列を解き、その後、反時計回りにNHKを取り囲んで手をつなぎ、特に職員の出入り口付近では、個々のNHK職員に対して、問題提起を行っていた。抗議活動は午後7時ごろまで続き、週末でにぎわう渋谷を歩く人々の関心も高かった。

終了間際に台湾から連絡が入り、NHK台北支局前でのデモ活動にも台湾人と日本人が参加し、台湾の各メディアの注目と、TVBSが呼んだ警察が取り囲む中で抗議行動を行ったという。

日本と台湾でNHKの番組への抗議活動が(2009年5月16日Radio Taiwan International)

日本のNHKが4月5日に放送した歴史に関するドキュメンタリー番組で、台湾の人たちが反日的だと特に感じられる偏った報道をしたとして、これに抗議する複数の民間団体が16日午後、日本の各地と台北でNHKに対する抗議活動を行った。

この番組は『NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー』の一回目、『アジアの一等国』。この番組についてはインタビューを受けた台湾の人が話したことのうち、親日的な部分は放送されず、反日的な部分のみが強調され、一般的に親日的だとされる台湾のイメージを「反日」にゆがめたと日本の一部メディアも指摘している。これら民間団体では「中共の意向を反映したかのような、公共放送としてあるまじき番組」だと批判。

台北市内にあるNHK台北支局前では16日午後、台湾の人たち20数名が集まり、「NHKは台湾を愛してほしい」とのシュプレヒコールを行った。日本統治時代に日本語を学んだ高齢の参加者は、「NHKは台湾の人が言ったことを歪曲し、捏造した。私たちは憤りを感じている」、「NHKは台湾の歴史をゆがめた。台湾と日本には深い絆がある。私たちは決して半日ではない。台湾と日本がこれからも運命共同体として世界平和のために努力していくことを望む」と話した。また、NHKの『のど自慢』が一度も台湾で収録されないことについて、「中共への配慮」と指摘する声も。

日本では東京、青森、名古屋、福岡で同様の抗議活動が行われた。

NHK「アジアの一等国」に抗議、東京・渋谷で大規模デモ(2009年5月17日大紀元時報)

4月5日に放送されたNHKスペシャル「アジアの一等国」に対して、NHKが台湾でインタビューした内容の一部だけを採り、偏向・歪曲した番組を放送したなどとして、日本人および在日台湾人の視聴者約1100人が16日、東京・渋谷で一千人も超えた抗議デモを行った。

 緑の風船を手にした抗議者らが、16日正午過ぎより、渋谷駅ハチ公前広場で街頭集会を行った。その後、会場を移して多数の発言者によるリレートークがおこなわれ、夕刻からは、約1100名(主催者発表)が、NHKへ抗議のデモをおこなった。

 デモ参加者は、「NHKは捏造番組をやめろ」「パイワン族は人間動物園ではない」などと叫んで、強い抗議の意を示した。 

 先月、NHKスペシャルシリーズ「JAPANデビュー」第1回として放送された『アジアの“一等国”』番組は、「近代日本とアジアの関わりの原点を探っていく」との趣旨から日本の台湾統治を取り上げているが、放送を見た視聴者から、日本の台湾統治時代のマイナス面ばかりを強調した偏向番組ではないか、という批判の声があがっている。

 なかでも台湾での現地取材で、NHK取材班が当時を知る人々にインタビューをした内容のうち、「日本統治時代に差別を受けた」など証言の一部分だけを採って恣意的に編集された疑いが濃厚であるとされている。

 自民党町村派4月23日の総会で、町村信孝前官房長官、安倍晋三元首相などから、同番組についての批判が相次いだ。

 またNHKの同番組では、日清戦争後の台湾領有の際にあった住民の抵抗を「台湾全土に広がった日台戦争」と呼び、台湾人のほとんどが「中国大陸から渡ってきた漢民族」、日本統治以前の台湾人の言語を「中国語」などと述べており、その基本的認識の妥当性も問題視されている。

この問題に関してはチャンネル桜が非常に積極的に情報発信を続けていますが、ネット上にも関連する動画が上がっていますのでご参照いだだければと思います。

NHKの歴史歪曲

【台湾取材レポート】知日派・黄敏慧さんに聞く

さて、日本の議員連もこの問題に関してNHKに公開質問状を提出しています。
前国交省大臣中山成彬議員のブログにその内容が掲載されていますが、事実関係の有無を明確に確認する誤解しようのない質問内容が並んでいる質問状なのですね。
これに対するNHKの回答書というものが掲載されているのですが、さてどうお感じになったでしょうか?

「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」
会長 衆議院議員 中山成彬様

貴「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」会長中山成彬様より日本放送協会会長宛に送られた「質問状」について、会長に代わって当該番組の責任者として小職が回答させていただきます。

「質問状」では、計十三の質問に対してそれぞれ択一で回答するよう求められていますが、私どもの趣旨を正確にお伝えするために、択一ではなく文章で答えさせていただきます。どうぞご了承下さい。

それでは、質問順に回答させていただきます。

一と二の「人間動物園」に関して回答させていただきます。
番組では、「日本は、会場内にパイワンの人々の家を造り、その暮らしぶりを見せ物としたのです。」、「当時イギリスやフランスは、博覧会などで、植民地の人びとを盛んに見せ物にしていました。人を展示する『人間動物園』と呼ばれました。日本は、それを真似たのです」とコメントしています。
日英博覧会についての日本政府の公式報告書「日英博覧会事務局事務報告」によれば、会場内でパイワンの人びとが暮らした場所は「台湾土人村」と名付けられ、「蕃社に模した生蕃の住家を造り、生蕃此の所に生活し、時に相集りて舞踏したり」と記されています。相撲などほかの余興と異なる点は、パイワンの人びとを「土人村」で寝泊まり、生活させ、その暮らしぶりを見せたことにあります。イギリスやフランスは、博覧会などで被統治者の日常の起居動作を見せ物にすることを「人間動物園」と呼んでいました。
日本は、植民地統治の成果を世界に示すために、イギリスやフランスのこうしたやり方をまねてパイワン族の生活を見せました。日本国内では、日英博覧会の7年前、1903年、大阪で開催された第5回内国勧業博覧会において、「台湾生蕃」や「北海道アイヌ」を一定の区画内に生活させ、その日常生活を見せ物にしました。この博覧会の趣意書に「欧米の文明国で実施していた設備を日本で初めて設ける」とあります。植民地研究の権威であるフランスのブランシャール氏は「人間動物園は、野蛮で劣った人間を文明化していることを宣伝する場である」と指摘しています。日英博覧会の公式報告書にも「台湾が日本の影響下で、人民生活のレベルは原始段階から進んで、一歩一歩近代に近づいてきた」と記されています。
番組では、上記のような史料や研究者への取材により、日英博覧会でのパイワン族の人びとの集合写真に「人間動物園」という表示をしています。

三と四の「改姓名」に関して回答させていただきます。
朝鮮半島の「創氏改名」と台湾の「改姓名」は、1940年2月11日同時に実施され、ともに皇民化運動の一環でした。
台湾の「改姓名」は許可制でした。番組では「強制的に実施」したとはコメントしていません。インタビューでも、林(りん)さんが、林(はやし)という名前で改姓名したかったが、「それ許可(が)でない」と言っています。
また「全公務員が改姓名」したとはコメントしていません。これもインタビューで、「(公務員)は改姓名すると昇級の条件になってしまうんです」、それでしかたなしに改姓名した、と発言者の周辺の事情として伝えています。

五と六の「鉄道」に関して回答させていただきます。
番組は、縦貫鉄道が「樟脳貿易のために敷設したように」伝えたものではありませんが、縦貫鉄道が樟脳の輸送に役立ったことは台湾総督府の史料で裏付けられます。
また、当時の樟脳貿易に関するデータは「台湾総督府文書」、「台湾樟脳専売志」に記されています。番組では、後藤新平が「台湾の宝」である樟脳産業を立て直したこと、そしてこの後藤の改革によって樟脳がイギリスに安定的に供給されるようになり、歓迎されていることを当時のイギリス側の資料「ミッチェル台湾報告」で伝えています。
さらに、台湾総督府が欧米向けに出版した「台湾十年間の進歩」を紹介し、「台湾歳入」、「内地貿易」の金額が急増したことも伝えています。

七、番組では「台湾全島に日本の神社を次々にたて、人びとに参拝を強制します。そして、台湾人がよりどころにしてきた宗教への弾圧が始まります。道教寺院や廟の参拝を制限。建物の取り壊しも始めます。」とコメントしています。
人びとに参拝を強制したことを示す資料は、「台湾時報」(台湾総督府内台湾時報発行所)があります。また、道教寺院や廟への参拝を強制したことを示す資料として、当時の日本人郡守が記録した「台湾寺廟整理覚書」があります。

八、当時、台湾総督府の官僚だった田宮良策さん(98歳)が「日本語を話せない人はご遠慮下さい、といういい方でバスには乗せなかった」と番組で証言しています。
「行政政策」を裏付ける資料として、「認識台湾」(台湾師範大学の呉文星教授が中心になって台湾史の研究者が集めた一次資料集)があります。

九、「学校や新聞などで中国語を禁止し、日本語の使用を強制した」ことを裏付ける資料として「台湾総督府府報」があります。
捕捉しますと、閩南語(台湾語)も客家語も言語学上は中国語の一方言として位置付けられており、番組でもそのような意味で「中国語」を使用しています。

十、ご質問には「台湾では、朝鮮と違い日本人の戸籍に入れなかったと受け取れる」とありますが、番組は、ある台湾人の方が、親族の事情を語る中で、日本人の妻になって「内地」に行った女性が結局戸籍に入れなかったという、個人的に受けた差別の現実を述べたものです。

十一、日中戦争当時、台湾に500万人の漢民族がいたことは台湾総督府文書に記されています。そのほかの人口数なども台湾総督府の史料にあります。

十二、番組では、「この時、アメリカ大統領ウイルソンの発言が、世界の植民地に大きな影響を及ぼしていました」とコメントしています。
ご質問に記された歴史的事実は承知しております。ウイルソン自身の真意がどこにあったかは別にして、「民族自決主義」という発言がヨーロッパの独立に影響を与え、アジアの植民地に大きな影響を与えたという事実を番組では述べています。

十三、柯徳三さんにはあわせて5時間程度インタビューしています。番組で使用した部分は、柯さんの発言の趣旨を十分に反映していると考えています。恣意的な編集はしておりません。なお、NHKは柯徳三さんから抗議を受けておりません。

計十三のご質問に対する回答は以上です。

(補足」)
なお、「質問状」には、「番組が、偏った視点で制作されていると、尋常ならざる批判が巻き起こっている」とありますが、番組制作にあたっては、台湾総督府文書やイギリス、フランスの外交史料をはじめ一次資料を読み込み、国内や海外で数多くの研究者を取材しております。
 また、台湾が親日的であることは多くの日本人が認識していることであり、この番組でも伝えています。一方そうした台湾にも、植民地時代の差別、戦争の深い傷が残されているという事実を伝えることが、日本と台湾のさらに深くて強い関係を築いていくことに資すると考えております。
 こうした番組趣旨をどうぞご理解いただきたく、お願い申し上げます。

平成21年5月11日
日本放送協会 ジャパンプロジェクト
エグゼクティブ・プロデューサー 河野伸洋

しかし、かねてNHKに抗議をしても暖簾に腕押しでどうしようもないとは聞いていましたが、「なお、NHKは柯徳三さんから抗議を受けておりません。」は良かったですね。
この調子で行きますと、これだけの声が上がっている現状でも「いえ、一切抗議などは受けておりません。番組への前向きな御意見のみうかがっています」などと本気で考えていそうなんですが(苦笑)。
当の柯徳三さんは「台湾と日本との仲を引き裂こうとしているのだろうか。どうしてもそう見える。」と語ると同時に、NHKと中華人民共和国(以下中国)との間に何かしら関係でもあるのかと疑っているようですが、中国では国際的に台湾は中国の一地方という立場を堅持する一方でこのところ台湾との関係も強化しているようです。
NHKの姿勢がこのあたりの中国の意図するところと関係しているのかどうかは証拠も何もないだけに何とも言えませんが、一般的な平均的見解からずれる部分が多々あるとして、それが一様に同じ方向にずれていた場合に、その先にある何かと全く無関係であるとは客観的に想像しにくいところではないかと思います。

NHKは取材対象たる台湾の方々に対する謝罪を行うとともに、自らの「真意を誤解された」理由は何なのかという点についても十分な検証を行い公表するべきだと思いますね。

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2009年5月22日 (金)

新型インフルエンザ、関東にも存在することがようやく確定

というわけで、首都圏でもようやく患者発見の声が聞こえてくるようになりました。
既に多くの報道で御存知のことですから個別の事例に対する詳細は控えますが、「調べなければ見つかるはずもない」とは多くの人間の感じていたところです。
一つだけ、この件に関してネットでちょっとした話題になっている面白い書き込みを紹介しておきますが、あくまで「便所の落書き」であることにご注意ください(苦笑)。

124 名無しさん@九周年 2009/05/16(土) 13:55:17 AQjsJ7F0
東京の感染発表は早くて20日の午後以降になると予想。なぜか。
東京都の石原都知事が環境会議で韓国のソウルに20日まで旅行中。
インフルエンザ対策でこれだけ大阪の橋下知事がメディアに露出している中、
 東京で感染を発表したら当然石原都知事に注目が集まる。
 そのときに 「石原都知事は韓国に旅行中です」では、管理責任が問われて一斉に叩かれるのは必至。
だから都はなんとしても感染発表を石原都知事の帰国後に引き延ばすはず。
おそらく19日くらいになって「都も今後は海外渡航者以外のA型患者の
DNA検査を検討します」みたいな発表があるんじゃないか。
ただし集団感染限定とかおかしな制限をつけて。
実施はもちろん石原都知事が帰国する20日以降。
東京初の感染者は海外渡航歴または関西旅行歴のある高校生。

一応御存知のない方のために申し添えておきますと、ネットでこの種の流言飛語めいた発言というものは全く脈絡も何もなく始終飛び交っており、世の多くの予言なるものと同様にその大多数は黙殺されて終わるものです。
およそ考えられるだけのバリエーションが存在する中でたまたまどこかに真相めいた書き込みがあったとして、その真実性を安易に判断してしまうことはネットの陥穽にはまる第一歩とも言い、「ネタをネタと見抜けぬ奴は(ry」などと揶揄されてしまう結果となりますから重ね重ねご用心ください。

いずれにしてもこうして「東京でも新型インフルエンザが見つかりましたが、外部から来た症例だけです。感染源も判らないようなまん延などありません」という公式のスタンスが確定された形となったわけです。
一方で舛添大臣はこのようなコメントを出していますが、これもこのタイミングでこの内容と考えると色々と深読みは出来るような話ではありますよね。

閣議後記者会見概要(2009年5月19日厚生労働省広報室)より抜粋

(記者)
 昨日大臣がおっしゃった水際対策の縮小というのは、やはりメキシコ便とかアメリカ便でやっている
 機内検疫を縮小していくとかやめるとかそいういう方向でよろしいですか。

(大臣)
 最終的には、今、何が必要かというと、関西ですでに159名見つかっているわけですから、当然国内にもうウイルスが蔓延しているというのを想定していいと思います。関西だけではなくて、おそらく。新幹線に乗って、そういうウイルスを持っている方が東京に来られれば、東京にも当然蔓延している可能性があります。そうすると、そこに人的資源を割かないといけない。

「都と川崎市の対応適切」厚労相が評価 新型インフル(2009年5月21日朝日新聞)

 舛添厚生労働相は21日の参院予算委員会で、新型の豚インフルエンザの感染が東京都八王子市と川崎市に住む高校生2人から確認されたことに関連し、「(国内で人から人に感染した)関西と違い、ニューヨークからということだし、しかも学校に行っていない。東京都と川崎市の教育委員会は適切な対応をとっていると思う」と述べ、現段階で学校の休校措置などを不要とした都と市の対応を評価した。民主党の大塚耕平氏の質問に答えた。

しかし先日は厚労省絡みの陰謀論めいたことも書きましたが、こうもあちこちから面白そうな話が聞こえてくるというのもネタとしては面白いなと思いながら見ているところです(これで重症型であったなら洒落にならないところですが…)。

それはともかく、首都圏に限らずとっくに全国に新型が広がっているのではないか?とする声は既にあちこちから上がっていたのも事実で、それが今まで発見が遅れたのは、単に確定診断に回すのが海外渡航者に限られていたからに過ぎないという声も根強くあります。
たとえばインフルエンザの発生状況に関してはこういうデータもありますが、東京都や神奈川では「海外渡航歴がなければ新型を疑うに及ばず」の姿勢を墨守してきましたから新型であるともないとも言えないというわけです。

09年4月19日~4月25日 インフルエンザ発生件数(厚生労働省HPより)

東京 学年閉鎖:1 学級閉鎖:11 患者数:190
神奈川 学年閉鎖:2 学級閉鎖:05 患者数:134
 大阪 学年閉鎖:0 学級閉鎖:02 患者数: 28 
 兵庫 学年閉鎖:2 学級閉鎖: 0 患者数: 24

更に言えば現在の臨床現場ではインフルエンザA型と迅速診断キットで判定されなければ新型の確定検査に回されることはまずないと思われますが、御存知のように発症初期の迅速キットの感度というものは非常に低いですから(メーカーは「正しく行えば」約半数は検出可能と言っていますが…)そもそもスクリーニングの時点で見逃しが多発している可能性が多いと思いますね。
たまたま関西では全くの偶然から新型の患者が発見され積極的に確定診断をつけるようになりましたが、そうでなければこうまで大勢の患者が見つかることもなかったわけで、海外渡航者にしか確定診断を行っていなかった東京ではこれだけインフルエンザ患者が出ていると噂になっているのにも関わらずようやく第一例が発見されたばかりというのもある意味当然の結果ではあるわけです。
このあたりは(患者を積極的に見つけたいのだとすれば、ですが)そもそも国の方針自体がおかしいんじゃないかとは以前から各方面で指摘されてきたところですが、ひと頃のパニックを過ぎてようやく当たり前の話が当たり前に報道されるようになったという記事を幾つか取り上げてみましょう。

全国的にA型インフルエンザの感染例増加 新型が潜在的に混じっていると指摘する声も(2009年5月20日FNNニュース)

新型インフルエンザの感染者増加を受け、対策の国内シフトが進んでいる。こうした中、全国的にA型インフルエンザの感染例が増加しており、新型が潜在的に混じっていることを指摘する声もある。
舛添厚労相は「当然、国内にもうウイルスがまん延しているというのを想定していいですね」と述べた。
感染拡大への懸念。こうした中、気になる現象が現れている。
それは、季節性インフルエンザの流行。
東京・江戸川区にある「みやのこどもクリニック」の宮野孝一院長は「5月は(インフルエンザ患者が)ほとんどいなかったはずです、去年は。先週が12~13人ですね、1週間に。新規のインフルエンザ」と話した。
季節性インフルエンザの流行期間は、例年12月から4月ごろまでだが、2009年はなぜか、流行が長引いているという。
宮野院長は「4月の上旬、中旬ごろから、徐々にまた増えてきているというのが現状で、ほとんどがA型というのが特徴です。非常に不気味な感じはします」と語った。
新型インフルエンザと同じA型の流行。
国立感染症研究所が全国5,000カ所の定点医療機関を対象に行っている集計でも、4月下旬の発生件数は、過去5年間の平均値を上回っている。
これは、いったい何を意味するのか。
東京医科大学の松本哲哉主任教授は「検査なしでは新型なのか、いわゆる季節性のものなのか、判別は難しいと。精密検査されてませんから、そういうことは確定はできませんけど、そういう人が中に紛れ込んでたとしても、それはもう全然おかしくない」と指摘した。
当初、海外渡航歴のある患者に対して行われていた遺伝子レベルでの検査。
一方、初めての国内感染は、渡航歴のない高校生を診察した開業医が、検体を兵庫・神戸市に提出したことで判明した。
開業医が季節性インフルエンザと思って検体を提出しなければ、発見が遅れた可能性もある。
松本主任教授は「新型インフルエンザが都内に現時点で持ち込まれている可能性は、かなり高いと思います。気づかないまま、やっぱり同じようなことが東京でも繰り返されるかもしれないし。今の時点でA型がもし出たとしたら、それはやはり積極的に疑って、検査をやられる方がいいと思いますよね」と語った。
水面下でまん延しているかもしれない新型インフルエンザ。
冷静かつ十分な注意が必要となる。

新型インフル:専門家から意見聴取 方針転換の声が相次ぐ(2009年5月20日毎日新聞)

 新型インフルエンザの国内対策切り替えに向け、舛添要一厚生労働相は19日、感染症の専門家4人から意見聴取した。感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同じにすることや、機内検疫の即時中止など、根本的な方針転換を迫る声が相次いだ。

 4人は厚労相のアドバイザーの立場。新型インフルエンザ患者の治療にあたっている神戸大大学院の岩田健太郎教授は「軽症であれば、インフルエンザは自然に治る病気。重症度を無視して一律の医療サービスを提供するのは理にかなっていない」と、現在の対策の問題点を指摘。その上で「循環器科などの協力を得て全力で取り組んでいるが、自然に治る病気に入れ込み、命にかかわる心筋梗塞(こうそく)などの治療がおざなりになるのは本末転倒。重症度に応じた治療にするべきだ」と訴えた。

 自治医大病院の森澤雄司・感染制御部長は「一日も早く感染症法上の『新型インフルエンザ』の類型指定から外して季節性と同じ扱いにし、サーベイランスを強化して社会的なインパクトを見極め、行動計画を新しく作っていくことが必要」と指摘した。

 森兼啓太・国立感染症研究所主任研究官は、段階的に縮小される機内検疫について「国内で広がっている中では意味がない。神戸では医療従事者が寝ずに働いており、医療現場に医師を戻すべきだ」と、機内検疫の即時中止を訴えた。【奥山智己】

通常この時期は季節性インフルエンザと言えば大多数がB型でそれも収束に向かっているはずなのに何故か今年は流行が続いている、そしてこれも何故かある時期からA型が増加してきたという事実をもって「検査をすれば新型はもっと見つかるはず」と誰しも思っていたところです。
しかし目の前のインフルエンザ患者が新型であると確定したところで何かしら特別な治療があるわけでもない、そして新型確定となれば目の前の患者は当分軟禁状態となり自身もお上から当面営業停止にされるともなれば、全国の末端医療機関が敢えて火中の栗を踏むのも躊躇するのも仕方がないという側面もあるでしょう。

逆に考えれば、ある段階まで「新型の検査は海外渡航者のみ行う」という方針を固守する一方で、いざ患者が見つかれば医療機関には「見つけなければよかった」と思わせるほどに過剰なまでの対応を強いる、そして「これだけまん延しているのだから一々全患者について調べるのは無理だし無意味だよね」という方向に話を持っていくというのであれば、それは本気で患者を見つけ出すための最善の方法からは程遠いどころか真逆なやり方であるという言い方も出来るかも知れませんね。
もちろん新型であると確定診断をつけることのメリット、デメリットとは別な次元の問題ですが、当初の疑い症例が見つかっただけでも大騒ぎしていた舛添大臣らの姿を知っている者としては何か釈然としないものを感じてしまうところです。
このあたり今週内にも舛添大臣が今後の検査態勢について大きく変えるような方針を口にしているようですから、どのように変えるつもりなのかといったあたりを興味を持って見守っていきたいと思います。

さて話は変わって、この段階になりますともう少し現実的な対応というものも考えてみなければならない時期です。
海外ではすでに軽症者は通常の対症的治療のみで十分という考えたかが主流になりつつあるようですが、おそらく長年続いてきた日本の医療環境の状況を考えてみた場合に、今後新型がどれほどまん延して診断確定の意味が乏しくなろうが「心配だから検査して」という患者の求めに応じて白黒つけざるを得ない状況は続くのではないかと考えられます。
ただ国際的には過剰診療とも取られたとしても「今までそうしてやってきたのに、今回だけ急に検査もしなくなっていいの?」という答えが医療従事者にとってもなかなか明確でなかったのは事実なのであって、このあたりは記事中にも登場している神戸大の岩田健太郎教授がブログで自戒を込めて言っているのが興味深いですよね。

専門家チームでのコメント(2009年5月19日ブログ「楽園はこちら側」記事)より抜粋

インフルエンザは、ほかの病気同様、重症なものと軽症なものがあります。重症なインフルエンザは由々しき事態で全力をでの医療が必要になります。軽症者は自宅で安静にしていれば自然に治ります。本来、インフルエンザは自然に治る病気なのです。

したがって、新型インフルエンザに対して、その重症度を無視して、一律の医療サービスを提供するのはいかにも理にかなっていないことです。無限の泉から医者や看護師が湧き出てくるなら話は別ですが、この日本はずっと前から医療崩壊に片足を突っ込んでいたのです。

神戸大学病院では循環器など他科の先生もご協力いただき、全力でこの問題に取り組んでいます。しかし、鼻水、のどいただけで自然に治る病気に入れ込み、命にかかわる心筋梗塞の治療がおざなりになるのは、本末転倒です。

インフルエンザとは本来、病人/患者からアプローチすべきものです。世界の専門家はすでに気道感染症として病原体から切らないまっとうなアプローチをしています。RSウイルスもコロナウイルスもインフルエンザウイルスも原則的なアプローチは同じなのです。

日本は古来病原体からのみ感染症を扱っていました。感染症法がその象徴です。しかし、同じ病原体でも患者によってアプローチは異なるのです。患者中心の医療とはそういうことなのです。「患者中心」とは、単なるスローガンではないのです。

我々日本の医療者も、すぐに病原体探し、まずは検査という病原体中心の医療を行ってきました。それを真摯に反省しなくてはなりません。行政だけがけしからん、と主張したいのではないのです。しかし、この危機を乗り越えるとき、指定感染症の規制が現場を苦しめていることもまた事実です。

前述の記事中にも「感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同じにすること」と言う一文がありますが、ここでは岩田教授の「この危機を乗り越えるとき、指定感染症の規制が現場を苦しめていることもまた事実」という記述にご注目ください。
実はちょうど一年前の平成20年5月に「感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律(感染症法)」が改正されたことをご記憶の方もあるかと思いますが、この改正作業の時点では今後登場する新型インフルエンザと言えば強毒型であろうというのが半ば常識的に語られていたわけですね。
そこで鳥インフルエンザに加えて「新型インフルエンザ等」というものを定義して対策を講じているのですが、この対象疾患の定義なるものがこの通り病原性の強さなどは全く考慮していない極めて広範なものとなっているのです。

第六条七 この法律において「新型インフルエンザ等感染症」とは、次に掲(新設)げる感染性の疾病をいう。

一新型インフルエンザ(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。

この結果どういうことになったかと言うと、全ての新型インフルエンザなるものは強毒型を想定してエボラ出血熱(あの映画などでさんざん登場したエボラですよ!)など一類感染症に準じた措置を取らなければならないということになってしまったわけなんですね。
面白いことに本来の警戒対象であるべき強毒型の鳥インフルエンザ(H5N1型)はこれより格下の二類感染症(SARS等と同等)扱いになっているということですが、このあたりどういう思惑でそういうことになってしまっているのか事情を御存知の方いらっしゃるでしょうか?
ついでに興味深いこととして、この法律上は新型インフルエンザと診断された場合には色々と公費負担の義務というものが出てくるわけですが、どれだけインフルエンザの流行が大規模になろうが新型であると確定診断さえ行わなければ当然全ての費用は患者らの自己負担になるわけで、このあたり国にしろ自治体にしろ財政状況厳しい折にありがたい話ではないかなと思いますね。
法律に明記されている以上は天下の舛添厚労相としてもいきなり無視してことを運ぶというわけにもいきませんから、今後も「限りなくグレーゾーンのまま対応」といういかにも日本的解決法が横行しそうな気配を感じているのは自分だけでしょうか。

国や自治体の思惑はともかくとして、医療現場はどうすればよいかという問題も切実です。
こうして感染蔓延が追認されつつある以上は現場は来た患者には対応するしかないと思いますが、軽症者は自宅療養というのは現実問題早急にやらざるを得ないとしても、一番議論の余地がありそうなのが抗ウイルス薬の処方の是非ではないでしょうか。

元々日本はタミフル大国だなどと揶揄されてきた経緯がありますが、新型インフルエンザに全例タミフルを使う、さらに周囲の濃厚接触者にも10日間の予防投与まで行うということになれば、3000万人分は確保しているとも言う国内備蓄分でも安閑としていられないということになりかねません。
ましてそれだけ広範に抗ウイルス薬を使用したとなれば、この秋以降にでも万一強毒型に転じた時には耐性ウイルスばかりで治療の方法もなければ薬もないということにもなりかねません。
すでに一部医療機関では検査キットも薬も底を突いたという声がある一方、市場では怪しげな薬が高値で売買されているなどという話もあるようですが、どこまで確定診断に回すのかといった件も含めて国は早急に診断、治療の基準についても全国に広報していくべきなのではないかと思うのですが…

タミフル"争奪戦" 一般医療機関「備蓄放出を」 大阪や兵庫「市場で足りる」(2009年5月20日産経新聞)

 新型インフルエンザの感染が広がる大阪府や兵庫県では、一般医療機関から、両府県の備蓄する抗インフルエンザ薬タミフルを市場に放出するよう要望が強まっている。政府が「蔓延(まんえん)期」と認めれば、一般医療機関が患者を診療するが、通常の季節性インフルエンザ流行期を過ぎているため、タミフルの手持ちがない医療機関が多いからだ。しかし、両府県とも「現時点は市場流通分だけで足りる」と備蓄投入には慎重。両者で〝タミフル争奪〟をめぐり綱引きが続いている。

 政府の行動計画では、現在の「国内発生早期」段階では、軽症者も含めて患者全員の入院を定めている。しかし、患者の多い大阪府では、府内の発熱外来や入院先施設の受け入れはほぼ限界。このため、厚生労働省も「蔓延期」以降しか認めていない一般医療機関での診療やタミフル処方も認める方針にしている。

 これを見越して、府内の医療機関から「蔓延期になってから、タミフルが入手困難になっては困る。事前に一定量は必要」とする声が強まっている。実際に、府医師会のアンケートでは、162人の医師のうち、59人(36%)がタミフルの保有数を「1人分以下」、56人(35%)が「5人分以下」と回答。同医師会は18日、府などに対し、備蓄分放出など「早期の安定供給」を申し入れた。

 ところが、大阪府や兵庫県の見解は違う。府は現在、72万人分のタミフルを備蓄。あくまで患者が急増しタミフルが不足した場合、備蓄分を卸業者を通じて投入する予定にしている。府は海外で感染が急拡大した4月28日以降、タミフルを扱う主要卸業者の在庫数の確認をしているが、5月19日時点では計5万7000人分あり、「放出の必要はない」としている。

 ではなぜ、医療機関側に〝危機感〟が募るのか。府の担当者は「極端に言えば、医療機関にはタミフルを患者1人に使うたびに、1人分のタミフルを〝小出し〟するよう卸業者に指導している」という。その理由を「一部の医療機関による必要以上の抱えこみを最も警戒している。偏在すれば患者が迷惑する」と慎重な姿勢を崩さない。

 医療機関と自治体の間で板挟みとなっているのが卸業者だ。ある卸業者は、患者の多い府北部を中心に、タミフルの注文が殺到。医療機関からは「薬の必要性は患者1人だけではない。家族全員に広がる可能性も高く、もっとタミフルを出せないのか」などと詰め寄られることもあるという。卸業者は「タミフルで事態に備えたい医師の気持ちも分かるが、行政の指導にも逆らえない」と困惑している。

タミフル、ネットで高値売買…薬価の4~5倍(2009年5月20日読売新聞)

厚労省「ニセ薬の可能性も」
 新型インフルエンザの感染が広がる中、治療薬タミフルがインターネット上で薬価の4~5倍の高値で取引されるケースが続出している。多くは個人輸入の代行業者を装っているが、薬事法で禁止されている未承認薬の販売行為に該当する可能性もあり、厚生労働省は「ニセ薬の可能性もあるので飲まないで」と呼びかけている。

 あるサイトでは、薬価(1カプセル309・1円)の約4倍にあたる10カプセル1万2000円で販売されていた。サイト運営会社では「日本からの注文が増えている。世界的に品薄になるとの憶測から買いだめしているのでは」とする。別の業者は、今月に入って、ほかの業者と共同で香港に保管していた数百ケースを売りに出したところ、すぐに完売、現在は在庫ゼロの状態だという。

 厚労省によると、日本では中外製薬だけが輸入販売元として指定されており、それ以外は未承認薬とみなされる。また、タミフルは医師の処方せんがないと購入できない。薬事法では、未承認薬の広告を出すことが禁じられているほか、輸入代行業者が未承認薬を発送することは同法で禁止されている「販売行為」に該当する可能性があるという。

 業者は、「個人輸入の代行をしているだけで、違法性はない」としており、実際は輸入代行か販売かの線引きが難しいケースも多い。同省では「問題の業者には個別に警告メールを出すなどしている」とするが、多くの業者が海外に拠点を置くなどしており、摘発は難しいという。

薬の高騰もさることながら、マスクなども昨今では完全に品切れ状態でネットでは10倍の値がついて売られているなどという話があるようで、日本では花粉症などで「街中でマスク」というのがある程度市民権を得ていたのが悪い方向に影響したのかなとも思っています。
これも本来は感染者が周囲にうつさない目的で使用するもので、多数の患者と濃厚接触する医療従事者などが例外的に予防的に用いるというのが筋ですが、予防的側面が強調された挙げ句に本来用いるべき人々に回らないということになっては本末転倒ですよね。
もちろんマスクにある程度感染予防効果があることは確かですが、薬であれマスクであれ利用できる資源として有限である以上は最も用いるべき人々から優先的に回していくというのが常識的な対応というものであって、「自分さえよければ」という考え方はいたずらにパニックを煽るものだと思いますね。
厚労省はようやく過剰なマスクの乱用に対してコメントを出したようですが、検査やタミフルの件などとも併せてこういう方面でこそ強力な指導力を発揮していくべきでしょう。

「屋外でのマスク着用は不要」=他人への感染防止が目的-厚労省(2009年5月21日時事ドットコム)

 新型インフルエンザの感染拡大で品切れ状態になっているマスクについて、厚生労働省新型インフルエンザ対策推進室の難波吉雄室長が21日、記者会見し、本来の使用目的は予防ではなく、他人にうつさないことだとした上で、「人込みの少ない屋外などで着用する必要はない」と述べた。
 難波室長は「マスクは感染者のウイルス飛散を防ぐためのもの。せきが出るようだったら使用してほしい」と強調。予防目的の購入に注意を促した。


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2009年5月21日 (木)

介護業界に日が当たる時代が来るか?

底なしの不景気が長引いていてどこもかしこも人減らし、解雇と暗い話題ばかりですが、そんな中でこんなニュースがありました。

介護研修:失業者対象に応募者が殺到、定員40人に160人以上 /三重(5月20日毎日新聞)

 ◇「最後のチャンス」派遣切りに遭った42歳男性
 介護労働安定センター三重支部(山下久義支部長)が19日、津市栄町の県勤労者福祉会館で行った、失業者を対象にした養成講座「介護職員基礎研修課程」の開講式に、今年2月に派遣切りで職を失った津市の男性(42)が参加した。この講座は昨年から続く不況の影響で、応募者が殺到。およそ4倍の選考倍率をくぐり抜けてきた男性は、「正社員を目指す最後のチャンス」と強い決意を持って臨んだ。【福泉亮】
 県内の各公共職業安定所から失業認定を受けた人が対象のこの講座は、今年で2回目。定員40人に160人以上の応募があった。昨年は25人だったという。
 作文と面接の選考を通過した40人はこの日午後1時半から、開講式とオリエンテーションに参加し、真剣なまなざしで説明を聞いていた。
 この男性は高卒後、会社勤めをしていたが、好きだったスキューバダイビングを仕事にしたいと脱サラ。鹿児島県の与論島で約10年、インストラクターをした。
 「そろそろ安定した職業に就かなければ」と08年に帰省。だが、正社員として採用してくれる会社は見つからなかった。派遣会社に登録し、08年冬から県内の自動車関連の部品製造工場に派遣社員として働いた。不況の波にのみ込まれて業績が悪化。次々と派遣切りされた。
 「高齢化社会のいま、ヘルパーなど介護に対する需要は高まってくる。安定した仕事になるはずだ」と、男性は応募の理由を説明する。手には、ズッシリと12冊の教科書。「ようやく勝ち取った最後のチャンス。何が何でも、ものにする」と力強く語った。
 受講者たちは半年間計500時間の座学や実習をへて、介護職員基礎研修課程修了者の資格獲得を目指す。

介護業界の不人気ぶりを知っていれば不景気というのも案外悪くないものだなと思えるような話ですが、ことがここに至るまでにはそれはそれは長い道のりがあったわけです。
今年の始め頃のことですが、不況真っ盛りで派遣村がどうとか大騒ぎしていた時期にひっそりとこんな記事が出ていました。

生活危機:「介護現場へ就職を」 増える失業者、熱烈勧誘 行政も後押し(2009年1月30日毎日新聞)

 不況で職を失った人に、介護の仕事をアピールする動きが活発化している。厚生労働省は来年度からハローワークに福祉人材コーナーを設け、求人・求職双方のニーズが合わない「ミスマッチ」の解消に乗り出す。3月までに職を失う非正規雇用の労働者は約12万5000人。「簡単に転身できない」という失業者も多いが、人手不足に悩む介護施設の間からは「まずは挑戦して」と熱烈な勧誘の声が上がっている。【工藤哲、山本太一】

 非正規社員の削減が進む富士重工群馬製作所のおひざ元・群馬県太田市は昨年12月、雇用対策として、ホームヘルパー2級の資格取得に必要な研修費用の半額助成制度をスタートさせた。対象は太田市民で、締め切り前日の29日になって、ようやく応募者が当初予想していた40人になった。中には製造業で働いていた元派遣社員のほか、不況前から無職だった人もいた。

 担当者は「問い合わせは約100件あったが、応募は思ったほどではなかった。工場で機械に向かっていた人が急に生身の人間に接するのは、ためらいがあるのかも」と話す。

 人材派遣業の「ヒューマンリソシア」(東京都新宿区)は今月、介護の無料体験会を企画した。現場を経験してもらったうえで適性を判断、ヘルパーの雇用促進を目指す狙いだった。だが、応募者は主婦4人にとどまり、3人は直前にキャンセルしたため、体験会自体を中止した。

 求職中の人たちはどう考えるか。東京都内の知人宅に身を寄せ、ハローワークに通う元派遣社員の男性(47)は「派遣切りが問題になったから『人手不足の介護分野へ』というのは安易すぎる。資格を取るのに時間もかかる」と話す。「重労働の割に低賃金で、辞める人が多いのでは」との懸念の声もある。

 特別養護老人ホーム「たちばなホーム」(東京都墨田区)は、ハローワークや人材派遣会社に数年前から求人しているが、若い失業者からの応募はほとんどない。羽生隆司施設長は「垣根を低くして待っているので、ぜひ挑戦してほしい」と呼び掛けている。

どこの企業も人切りで休職者が町にあふれているという状況の中、大喜びしていたのが万年人手不足の農業と介護の人たちだったんだそうで、これを機会に人材を呼び込もうと新入生を誘うサークル並みに勧誘活動を繰り広げていたわけです。
仕事が無くて年越しも大変だと言っているような人々が大勢いたわけですから、これは需要と供給がうまく釣り合って良い結果になるんじゃないかと期待していた関係者も大勢いたのではないでしょうか?
ところがそれがどうなったかと言えば、このような記事が一つ二つではなく聞こえてきたのですね。

介護体験教室 中止 仕事を失った非正規雇用の労働者 予定の3人あらわれず/静岡(2009年1月19日NHKオンライン)

仕事を失った非正規雇用の労働者たちに人手不足に悩む介護現場への理解を深めて働いてもらおうと福祉施設などで介護を体験する教室が19日から浜松市で始まる予定でしたが、申し込みをした人が来なかったため教室は中止になりました。

この教室は静岡県が開くもので、18日までに12人の申し込みがありました。このうち浜松市東区の福祉施設では契約を打ち切られた派遣社員の男女3人を対象に19日から車いすの操作方法や介護を受ける人の接し方などについての研修を始める予定でした。

しかし、開始時間の午前9時になってもあらわれず、19日の研修は行われませんでした。県によりますと、3人が来なかった理由は、連絡がとれないためわからないということです。

研修を予定していた福祉施設の青木恵美子教育担当課長は「現場に慣れるには時間がかかると思うが、前向きな気持ちで勉強していってステップアップしてもらえればと思います」と話していました。

県では3月中旬までこの介護体験教室を開く予定で希望者が多ければ6月まで延長することも検討しているということです。

求職する方にも色々と事情はあるのでしょうし、えり好みが出来るというのはまだ余裕のある証拠なのかも知れませんが、一般論として約束を一方的に反故にするというのは社会人としてどうかと思われる行為ですし、何よりお互いにとっても後味が悪いですよね。
不景気だ、仕事がないといいながら実際にはちゃんと仕事はある、しかしどうしてもそれはやりたくないと言うほど嫌われている仕事というものも一方では確かにあるらしいということが判る話です。
逆に言えば不景気がまだ当分先まで続くと見極めがつき、そろそろ失業手当支給打ち切りも見えてきた今の段階になって初めて介護業界にも人が流れてきそうだという言い方も出来るでしょうから、一体そこまで社会から嫌われるというのはどういうことなのかと素朴な疑問が湧くところではないでしょうか。

相当以上に悲惨な介護業界の状況に関しては以前から何度か取り上げてきたところですが、これも以前に取り上げました「介護スタッフに一定の医療行為をさせよう」という話、その後も着々と進んでいるようです。
実態が既にそうである以上法的に認めなければ責任を取らされる現場が可愛そうだという表向きの議論ももっともなのですが、本来限りなく境界線が不明確な医療と介護を無理矢理切り分けて話をすっかりややこしくしてしまった張本人たちがそういうことを言っても正直マッチポンプとしか聞こえない部分があります。
この状況で療養型病床は更に削減し特養に追い出すとまだ言い続けているわけですから、どうも厚労省のやることもなかなかに意味不明だなと考えざるを得ないのですが、これも他省庁などとの綱引きの結果厚労省も泣いて馬謖を斬ったとでも言うことなのでしょうか?

[解説]特養の医療行為 介護職の処置 常態化  一部解禁に向けた議論を(2009年2月17日読売新聞)

 特別養護老人ホームでの介護職員による医療行為について、是非を考える厚生労働省の検討会が発足した。(社会保障部・小山孝)

 [要約]

 ◇看護師不足から、特養の職員が違法と知りながら医療行為を行っている例が多い。

 ◇利用者の安全確保策を定め、一部行為の解禁に向けた議論を早急に進めるべきだ。

 「たんがからんだ高齢者に、看護師が出てくる朝まで待ってとは言えない。仕方がないが、僕らの行為は明らかに法律違反。大きな心の負担となっています」

 東京都内の特養で働く男性介護職員は、夜間に行っているたんの吸引について、苦しい胸の内を語った。

 たんなどの吸引や、管で流動食を胃や腸に送る経管栄養などの医療行為は、医師法などにより、医師や、医師の指示を受けた看護職員しか行えない。しかし、看護師が十分に確保できないなどの理由で、介護職員による処置が常態化し、自治体から是正の指導を受けるケースもある。

 約40万人が暮らす特養では、「生活の場」との位置づけから、看護職員の配置基準は、利用者100人に対し3人。高齢化で医療が必要な利用者が増え、約75%の施設は基準を超える配置をしているが、夜間に常時対応できる施設は少ないのが実態だ。

 昨年の厚労省調査によると、夜勤や宿直の看護職員が必ずいる施設は、わずか約2%。ところが、たんの吸引の約2割は、看護職員が手薄なはずの午後10時~午前5時台に行われている。

 実際、全国老人福祉施設協議会(老施協)などが2006年に行った調査では、「軽微なら、夜間や緊急時に限り介護職員でも(医療ケアに)対応する」との回答が、経管栄養(胃ろう)では18%、たんの吸引では40%に上った。

 12日に初会合が開かれた厚労省の検討会には、医療、看護、介護関係者や法律学者など8人が出席。介護職員に医療行為の一部を認めるかどうかを焦点に議論が始まった。

 検討会では、介護関係者が「看護職員を増やすにも限界がある。現状で何ができるかを検討してほしい」(桝田和平・老施協総研介護委員長)など対応を求めたのに対し、医療関係者からは慎重論が目立った。

 日本医師会の三上裕司常任理事は、「医療が必要な人は、医療が手厚い施設に行ってもらいたい。たんの吸引でも窒息の危険がある」と主張。日本看護協会の高階恵美子常任理事も、「行為の安全性を考えなければならない」と強調した。

 一方、座長の樋口範雄・東大教授は、「介護職員も看護職員も後ろめたい思いがあるという現場の状況はよくない。何らかの形で一歩を進めたい」との考えを示した。

 明確な指針もなく介護職員が医療行為を行っている現状は、安全性の観点から問題が多い。在宅のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者のたんの吸引が一定の条件のもと、03年からホームヘルパーに認められるなど、在宅分野では既に医療行為の一部が解禁されている。

 認める範囲をきちんと定め、研修を行い、医療職との連携を確立することで、医療行為の一部を介護職員に認めることは十分可能だ。職員の不安を軽減するだけでなく、専門性を高め、待遇を改善するのにも役立つ。医療の必要度が高いため入所を断られたり、退所を求められたりする高齢者や家族には朗報といえよう。

 医療行為といっても、簡単なものから、危険で専門知識が必要なものまで様々だ。利用者の安全を最優先に考え、現実的な解決策を期待したい。

医療安全といった観点はともかくとして、現場の介護スタッフはどこも安月給に過酷な労働でひいひい言っているわけで、法的に認められたとなれば今以上に状態の悪い人が医療から介護の方に流れてくる、それをどう考えるかということも重要ですよね。
最近ようやく介護に少しばかり金を落とすといった話が出ていますが、「こんな割に合わない仕事やってられるか!」と逃散相次ぎ募集にも人が来ないような業界であればまず最優先で待遇改善を行う、そして職場の求心力が回復したことを確認して初めて「それじゃもう少し仕事頑張ってみようか」となるのが筋というものではないでしょうか。
先日厚労省では介護報酬改定の効果を調べるということに決めたようですが、その調査が行われるのがこの10月、更にそれに従って次なる待遇改善策を考えるのは次回予算以降となりますからずいぶんと気の長い話になりそうです。
長引く不景気と待遇改善で介護業界に職を求める人が増えるのが先か、それとも日本が不景気を脱して再び誰も介護業界など見向きもしなくなるのが先か、高齢化社会がますます進展していく中で何とも悲しくなってくるような話ですよね。

介護職の処遇調査、10月に約6万人に実施―厚労省介護給付費分科会(2009年5月19日ロハス・メディカル)

 厚生労働省は5月18日、社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会(座長=田中滋・慶応義塾大教授)の第2回会合を開催し、今年10月に実施する介護職員の処遇改善状況に関する調査の詳細項目を大筋で取り決めた。特別養護老人ホームや訪問介護事業所など約6000の事業所で働く、介護職員や看護職員など約 6万3000人が対象になる予定だ。(熊田梨恵)

 この調査は、介護職員の処遇改善などを目的に3%のプラス改定を果たした2009年度介護報酬改定の内容が、実際に個人の処遇に反映されているかどうかを検証するためのもの。政府は当初、介護職員の給与を月2万円増やすとしていたが、介護事業者の運転資金などに回されて給与の増額につながっていないと言われている。この調査で事業所の賃金の改善状況などについて実態把握し、次回の介護報酬改定につなげていく考えだ。

 調査は10月1日の開始を予定している。対象となるのは、▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▽介護老人保健施設▽介護療養型医療施設▽訪問介護事業所▽通所介護事業所▽認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)―の6種類の事業所の中から無作為に抽出する5969施設。これらの施設の中で働く▽介護職員▽看護職員▽相談員、サービス提供責任者▽介護支援専門員▽理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリスタッフ―など、合計6万 2814人が対象になる見込みだ。

 調査項目は、事業所や施設を対象にしたものと、職員を対象にしたものとに分かれる。
 事業所や施設には、給与の引き上げや手当、教育など職員の処遇状況、収支状況、今回の改定で新設した人員配置に関する加算の取得状況、サービス利用者数などを聞く。
 職員には、勤続年数や勤務形態、労働時間や資格の取得状況、基本給や一時金の額などを尋ねる。

 また、今年度の補正予算で設置する予定の「介護職員処遇改善交付金(仮称)」が介護職員の賃金に影響することが予想されるため、この調査とは別に実態把握していく方針も示した。

 この日は、全国老人福祉施設協議会や日本慢性期医療協会など6つの団体から調査内容に対する意見を聞いた。各団体は、調査だけでなく報酬改定に関する感想も報告し、今回の介護報酬改定が実際には処遇改善に結びついていないという意見や、他の職種との兼ね合いから介護職だけ給料を上げるのは難しいとする意見などを挙げた。

 事務局は委員や団体から挙がった調査項目に対する要望などを反映し、次回の介護給付費分科会に報告するとした。

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2009年5月20日 (水)

新型インフルエンザ、未だまん延期への移行は無く…

あっという間に新型インフルエンザの感染者数が鰻登りですが、この調子で行きますと下手をすれば近日中に世界トップクラスの患者数を誇る国ということにもなりかねません。
たまたま渦中の神戸市でこの時期開催予定だった麻酔科学会、精神神経学会はそろって中止となり、修学旅行も延期や中止が相次ぐなど社会的影響も無視できないレベルとなってきています。
しかしこういう状況になりますと既に多くの人々が感じている通り、確認されていなかったというだけで新型インフルエンザ自体はかなり以前から市中に広がっていたのではないかという気配が極めて濃厚になってきました。

新型インフルエンザ:「季節性」と混同? 流行長引き、見逃したまま治療(2009年5月18日毎日新聞)

 今年は季節性インフルエンザの流行が長引いている。専門家の間では「新型インフルエンザが季節性インフルエンザと混同され、見逃された可能性がある」との指摘が出ている。

 国立感染症研究所(東京都新宿区)は、全国5000カ所の小児科・内科を定点医療機関に指定し、そこで発生したインフルエンザは毎週集計している。日本の季節性インフルエンザは例年、12月から4月ごろまでが流行期間とされているが、今年は流行が長引いている。4月下旬(20~26日)の1定点あたりの発生は3・51件で、過去5年間の平均値を0・92件上回っている。

 元世界保健機関鳥インフルエンザ薬物治療ガイドライン委員長の菅谷憲夫・けいゆう病院小児科部長は「この時期にA型インフルエンザ患者が多いのは不思議だという声を、首都圏の医師から聞いた。ある病院には入院患者もいたという。しかしこれまでの監視システムでは、定点医療機関以外では患者に渡航歴がなければ遺伝子検査まではしない。精密に調べれば新型の感染者は首都圏でも見つかるだろうし、同様のケースはたくさんあるはずだ」と指摘する。

 インフルエンザに詳しい外岡立人・元小樽市保健所長は「新型の臨床症状は季節性と似ているため、新型と分からないまま一般の医院で治療された可能性がある」と言う。米国では、一般の医療機関から提出されたウイルスの株を検査機関が調べ、新型インフルエンザかどうか調べる仕組みがあるという。外岡元所長は「今回はたまたま、神戸の医師が提出した検体を調べたから新型と分かった。感染は関西だけの問題ではない」と話している。

「渡航歴」診断基準で新型見逃す 感染急拡大の原因(2009年5月19日朝日新聞)

 神戸市で新型の豚インフルエンザによる国内初感染が確認されたのは今月16日。わずか2日間で感染者は兵庫、大阪両府県で160人を超え、勢いは止まりそうもない。自治体側の対策が追いつかず、医療態勢はパンク寸前だ。国がつくった机上の想定が、「現実」に追い越された。

 政府の対策行動計画は、患者発生の段階に応じて対策を決めている。政府は16日、国内での感染確認を受け、「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生早期)」にレベルを引き上げた。しかし、両府県の現実は、次の段階の「拡大期」も通り過ぎ、病床や薬が不足する「蔓延(まんえん)期」寸前の状態だ。

 原因は、最初の発見の「遅れ」にある。事態は発覚前に、水面下で進んでいた可能性がある。

 国内初の感染者の男子高校生でバレーボール部員は16日、遺伝子検査で感染が確認された。バレーボール部の試合などで交流があった複数の高校に感染が広がっていた。

 一方、40人近い感染者が確認された大阪府茨木市の関西大倉高校・中学。1日から16日までに143人がインフルエンザの症状などで欠席。学校側は13日に地元保健所にインフルエンザの集団発生を報告したが、保健所側は季節性インフルと思いこみ、検査すらしなかった。保健所が簡易検査などを始めたのは、国内初感染が報じられたからだ。

 保健所が新型を疑わなかった理由のひとつは、国の「診断基準」。今回の新型インフルの症状は季節性インフルとほとんど区別がつかない。新型インフルも、大きく分けて二つある季節性のインフルのひとつの「A型」に分類される。簡易検査でA型と診断された患者全員を「新型に感染の疑いあり」と報告されてしまうことを避けるため、厚生労働省は「米国など発生国への渡航歴があるかどうか」を基準に加えた。

 ところが、これまで新型インフル感染が確認された人たちの中に、感染を疑わせる海外渡航歴があった人はいない。関西大倉の生徒も、渡航歴がないという理由で、「季節性だ」と思われた。

 米国でも、最初に米疾病対策センター(CDC)における検査で新型インフルだと確定したのは4月15日だが、後から振り返ると3月末には感染者がいたことがわかった。

 とはいえ、5月初めから警告を発していた人たちも日本にはいた。全国の小児科医らの有志が、自分が診察した情報を報告しあい、インターネットで公開している。それによると、今年3月下旬以降、全国で小規模ながらインフルエンザの流行が続いているが、その9割程度がB型だった。そのため「A型の報告が増えた場合、新型インフルの可能性がある」と参加者に警戒を呼びかけていた。

神戸市などでは早くから独自に海外渡航歴の有無に関わらず疑わしい症例は確認検査に回すよう指導が出ていたということですが、この事が関西でこうまで一気に患者が確認されたことの一因となっていることは間違いなさそうです。
一方で首都圏などでは政府の方針通り海外渡航者等にしか確認検査はしない(東京都はようやく改めるようですが)ということですが、実際には「確認はしていないが従来型と思われる」インフルエンザで学級閉鎖という事例は関西圏に劣らず多いようですから、こうなりますと「もしや患者が見つからないよう隠蔽するつもりなのでは?」などと邪推する人間も出てきかねません。
実際に懲罰人事というわけでもないのでしょうが、新型インフルエンザ患者を見つけたお手柄の開業医が当分休業せよと言われたり、相変わらず医療従事者への休業補償制度を設けるつもりはないと公言してみたり、「うっかり新型など見つけてしまうと大損ですよ」という体制を維持することに執着しているようにも見えるのは気になるところです。
こうしたことからネット上では「厚労省はWHOが日本でのまん延を理由に警戒フェーズを引き上げることを避けたいのではないか」といった噂まで飛び出しています。

このあたり、あまり陰謀論に走っても仕方がありませんが、実際に人口稠密地域での感染拡大のモデルケースとしてWHOが日本での状況に格段の注意を払っていることは確かなようで、特にわざわざ「迅速な情報開示などの重要性を訴え」たといったあたりは何かしら裏があるのかと勘ぐりたくもなるところです。
先年のSARS騒動では中国が感染情報を隠蔽したと国際的にも大きな非難を浴びましたが、まさか今度は日本が同様の非難を浴びることになるのではないかと心配する向きもそれなりにあるようで…

新型インフル「関東に感染拡大も」 WHO医務官(2009年5月18日日経ネット)

【ジュネーブ=藤田剛】世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子医務官は17日夕(日本時間18日未明)、WHO本部で「関西と関東は人の往来が激しいため、新型インフルエンザは関東に広がってもおかしくない」と語った。特に人口が過密な都市部では感染が広がりやすく、「注意が必要」という。「日本の対応を世界が注目している」と述べ、迅速な情報開示などの重要性を訴えた

 進藤氏は「基礎疾患を持つ人や若年者で重症者が目立つ」と指摘。特に発症してから4―5日目に重症化するケースが多く、速やかに適切な治療を受ける必要があるという。重症者にタミフルなどの治療薬を円滑に配布するため、「あらかじめ優先順位を決めておくべきだ」と述べた。

 さらに「季節性インフルエンザの流行する季節は終わっており、この時期の感染拡大は異常」と強調。空港の検疫などの水際対策は「限界がある」と明言した。

実際に国立感染症研究所の過去10年のデータを見てみますと、この時期例年であれば季節性インフルエンザは収束に向かっているはずが今年は僅かながら持ち直しているのか?とも思わせる兆候があるのは気になるところです。
都道府県別の流行状況を見ますと関西地区よりはむしろ日本の南北端に流行が偏在しているように見えて興味深いのですが、特に北海道は飛び抜けてインフルエンザ様症状を呈する患者数が多いというのは単に春の訪れの遅い北国だからという理解でよいのか気になるところです。
また先日もお伝えしましたように新型インフルエンザは高熱など典型的インフルエンザ様症状を呈さない患者の方がむしろ多いのではないかという話もありますから、何気ない風邪と思って見過ごしている感染者がどのくらい存在しているのかは何とも言いがたいものがあります。

いずれにしてもこうして感染が広がってきた状況になりますと自治体レベルのみならず、国が音頭を取って動かなければどうしようもない状況も多々あるかとも思うのですが、どうも厚労省の態度がここに来て及び腰なのかなという印象が拭えません。
現在国は「国内発生期」に位置付けていますが、この段階ですと感染拡大阻止のため疑い患者は全例発熱外来で対応し患者は入院加療を必要とするなど極めて厳しい対応を迫られることになっており、関西圏を中心に一般外来での外来診療が可能となる「まん延期」に引き上げるよう求める声が強まっています。
これに対して国はどうも引き上げには消極的な姿勢で、特に今になって「自治体が好きにしたらいい」などと言い出すようでは、それでは先日の横浜市長との喧嘩腰のやり取りはいったい何だったのかとも思うところですが…

守勢強いられる厚労省=自治体の判断追認-新型インフル(2009年5月19日時事ドットコム)

 新型インフルエンザの感染者が急増する中、舛添要一厚生労働相は今週中に対策を見直す方針を示している。検討課題の一つに挙げたのは、軽症者の自宅療養。しかし、病床不足に陥った神戸市は既に踏み切っており、国が自治体の判断を追認した形だ。ウイルスの感染力を前に、厚労省が守勢に回るケースが出始めている。
 第一例の確認から3日間で、感染者は100人を突破したが、政府の行動計画上は第二段階「国内発生早期」のまま。舛添厚労相は「全国にまん延している可能性を前提に」と訴えるが、第三段階「まん延期」への引き上げは見送られている。
 その理由について、同省は感染者の接触状況を調べる積極的疫学調査が続いているためと説明。「感染者同士のつながりを否定できなければ、まん延とは言えない」と二の足を踏むが、結果のめどは立っていないという
 医師が感染を疑う目安の「症例定義」も、留意する渡航先はメキシコ、米国、カナダだけ。大阪府や兵庫県との関連を探るのは事実上、医師頼みになっている。
 兵庫県内の感染者は、52人分の対応病床数を上回り、神戸市は18日から入院は重症者に限ると方針転換。軽症者は自宅療養とする第三段階の対策を先取りした。
 橋下徹大阪府知事は同日午後、マスク姿で大臣室を訪れ、強い口調で迫っていた。「7日間を超えた時は、通常のインフルエンザに近い対応にかじを切ってほしい」。約3時間半後、記者会見を開いて舛添厚労相が示した見直しまでの「猶予期間」は1週間だった。

【新型インフル】対策は「地方に相当任せてよい」と舛添厚労相(2009年5月19日産経新聞)

 新型インフルエンザ対策について、舛添要一厚生労働相は19日の閣議後会見で、「自治体によって状況は違うので、国が方向性を示した上で、相当地方に任せてよいのではないか」との見解を示した。

 その上で、「大きな落とし穴がある場合は国が介入する」と説明。ウイルスが「弱毒性」とされることから、政府はすでに行動計画などを弾力運用する方針を示しており、地方にもそれぞれの地域に合わせた対策を進めることを求めた

 感染ルートの特定や感染拡大防止のため実施している「積極的疫学調査」についても、「だれが日本に持ち込んだかを調べるよりも、感染防止策のための医学的な調査に力を入れるべきだ」との認識を示した。

 また、国内流入阻止のために行っている米国便などへの機内検疫を段階的に縮小していくことを明らかにした。

要するに、国はもう何もしないと、金も出さなければ方針も示しませんと言っているように聞こえないこともないのですが…

一応唯一評価すべき点としては、政府として財政支援を決定したことでしょうか。
しかしこれもあくまで自治体に対する対策費用ということですから、現場で赤字診療を強要される医療機関に対してどの程度の支援が行われるのかは自治体任せの丸投げである上に、相変わらず医療スタッフの感染リスクに対しては一切補償するつもりはないようなんですよね。
実際に医療従事者に感染者続出ということになるとどのような事態になるのか想像しきれませんが、現場では既に抗ウイルス薬や検査キットすら品切れ続出という状況なのですから、やれと言われても何もできないと手を挙げる医療機関もかなり出てきているようです。
政府は「全例に厳重な対応」から「軽症者は自宅療養」へと舵を切る方針を決めたというのであれば、トリアージされる側の国民が現場で医療従事者に噛みついたりしないよう、国の方針を広く啓蒙し混乱を回避する責任はあるかと思いますね。

発熱外来の整備など、自治体を財政支援へ…政府方針(2009年5月19日読売新聞)

 政府は18日、新型インフルエンザ対策で地方自治体が講じる感染防止措置などに対し、国の予備費や特別交付税を活用して財政支援する方針を固めた。

 大阪府や兵庫県での感染拡大を受け、医療体制整備のための自治体の財政負担が急増することが予想されるからだ。支援対象は、インフルエンザの簡易検査用品の購入費や発熱外来などの医師や看護師の人件費などを想定しており、自治体と協議した上で早急に実施に移す。

 河村官房長官は18日の記者会見で、「自治体として対応しなければならない経費の中に、国の支援の対象になるものや融資で対応できるものがある」と述べた。特に予備費は「まさに緊急で予定していなかった対応のためのものだ」として活用する方針を示した。

 2009年度当初予算で災害復旧費や経済緊急対応のために計上した予備費計1兆3500億円のうち、現時点では約5000億円が活用可能だという。

 特別交付税の活用については、滝野欣弥総務次官が同日の記者会見で、「(自治体には)色々な財政負担が生じる可能性があるので、特別交付税などの措置を当然検討していかないといけない」と述べた。特別交付税は地方交付税の一種で、災害など特別な財政需要が発生した際、自治体に配分される。09年度は約9500億円が計上されている。

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2009年5月19日 (火)

最近の医療崩壊関連ネタ

何かしらこのところインフルエンザ関連の話題ばかりでこういう話はすっかり報道からも埋もれてしまっている感もありますが、実際には何一つ改善する要因などないまま更なる深みへと迷走中といったところのようです。
今日は最近のニュースから幾つか関連しそうな話を取り上げてみましょう。

先日以来注目されてきた銚子市長選ですが、リコールで失職した前市長にかわって元(前々)市長が再登板という形になったようです。
リコール派が分裂したという事情もありますが、こうなりますと結局のところリコールとは何だったのか、鳶に油揚げをさらわれたように感じている支持者の人々もいるのではないでしょうか?
いずれにしても民意の結果は示されたわけですから、市当局は公約実現に向けて今まで以上に鋭意努力していってもらいたいものですね。

野平氏、病院「公設民営」で再開掲げ返り咲き…銚子市長選(2009年5月17日読売新聞)

 市立総合病院の休止を巡り、市長が失職したことに伴う千葉県銚子市の出直し市長選は17日、元市長の野平匡邦(のひらまさくに)さん(61)が返り咲いた。

 野平さんはかつて病院改革を目指したが、挫折。病院は休止から1年以内に再開できなければ廃院となる。再生に向けた取り組みは待ったなしだ。

 野平さんは当選確実となり、銚子市本城町の事務所で午後10時25分頃、「ありがとうございます。うれしいが、身を引き締めている。銚子は今、緊急事態だ。いさかいはやめる。(病院再開を)きっちりやる」と語り、支持者らと万歳した。

 選挙戦は、3月に行われた解職請求(リコール)の住民投票で失職した前市長の岡野俊昭さん(63)も出馬するなど6人が乱立。リコール派は住民投票で2万余りの解職への賛成票を得たが、4分裂して力を結集できなかった。

 また、リコール派の候補者が「公設公営」「独立行政法人」などでの病院運営をそれぞれ主張したのに対し、野平さんは診療と経営を分ける「公設民営」での再開を掲げた

 さらに、後援会長に地元の医師会長を迎え入れ、県医師連盟の推薦を得るなど「医療界の支援」を前面に出し、早期の病院再開を望む市民の支持を得た

 野平さんは市長時代、病院の赤字体質改善のために専門家を呼んで経営改革に着手しようとした。しかし、医師らに反発された苦い経験がある。医療法では1年以内に再開できないと廃院となるため、タイムリミットは9月末。野平さんは、「実績のある医療法人と交渉中。早期再開は可能だ」としている。

「銚子がモデルとなり、安心を提供」病院再開で新市長(2009年5月18日産経新聞)

 前市長のリコール成立に伴う出直し市長選で当選した千葉県銚子市の野平匡邦市長(61)は18日記者会見し、休止した市立総合病院の再開について「全国の市民が『自分たちの病院も大丈夫か』という不安を抱く大きな課題。銚子がモデルとなり安心を提供したい」と抱負を語った。

 選挙戦で野平氏は、経営を民間に委託する公設民営での再開を主張。病院は財政難と医師不足が理由で休止したが、野平氏は「医科大と公益法人から応援の約束はもらっている」と述べ、来年4月の再開を目指すと説明。大学名などは「6月議会までに明らかにする」と話した。

 財源については「国が補正予算の中で地域医療崩壊に対する手当を議論しているという話があり、銚子に使えるのかどうか検討したい」とした。

しかし公設民営と言いますが、どこぞの医療法人に丸投げするというならまだしもここでもPFI方式だなんて言うんじゃないでしょうね…
ちなみに前述の記事中でも少しばかり触れていますが、市立病院再建に関してはこういう事情もあって必ずしも悠長には出来ないようです。
千葉といえば救急医療最後の砦などとも言われた成田日赤が例の新型インフルエンザ騒動で結構話題になっていましたが、今後患者続出でどこも手一杯と言うことになりますと予定通りに医師が来てくれるかも微妙なところですよね。

病院休止 救急医療に影響 /千葉(2009年5月18日読売新聞)

 休止した銚子市立総合病院は休止期間が1年を超えた場合、医療法に基づき、廃院となり、割り当て病床を取り消される。休止を延長するには、指定管理者の決定など病院再開の具体的な見通しを9月末までに県に伝える必要がある。

 現在は夜間小児急病診療所を銚子市医師会の医師が輪番で運営するほか、千葉大付属病院から医師が派遣される精神科診療所が設置されている。残務処理の事務職員数人も残っている。

 市内には入院病床を持つ病院など約50の病医院があるが、市立病院に通院していた患者の中には、鹿島労災病院(茨城県)のほか、旭市にある国保旭中央病院など市外の病院に通う患者が多い。

 通院患者にとどまらず、休止の影響は救急医療にも出ている。

 銚子市消防本部によると、市内の救急搬送の約3割の患者が運ばれていた市立病院の休止の影響で、休止以前の昨年4~6月に33・9%だった救急患者の市外搬送の割合は、7~9月は45・7%に増加。入院対応が可能な市内の民間の2次救急病院への搬送も32・3%から45・4%に跳ね上がった。

ここも話も変わって、沖縄といえばこのところの新臨床研修制度導入以来どこの自治体も医者集めに苦戦している中で意外に医者の受けが良いところだとは以前にも少しばかり書きました通りです。
日本で一番医師が集まる東京都が日本で一番公立病院医師給与の低いところだということはよく知られていますが、経済原則に従って沖縄でもこのところ医師の待遇切り下げが計られているということで行方が注目されていました。
その沖縄もご多分に漏れずといったところでしょうか、例によって例の如く救急医療の面ではあまり他府県と事情は変わらないようです。

救急休止相次ぐ 民間病院/医師不足で 県内“黄信号” /沖縄(2009年05月12日沖縄タイムス)

 民間病院で救急診療の休止が相次いでいる。今年4月から5月にかけて4病院が医師不足を理由に救急診療の一部や全部を休止した。各病院は「新たに医師を募集しても集まらない」と窮状を訴える。救急診療については県立北部病院が産科救急の再休止を発表したばかり。今回休止した病院の中には、救急病院として県の認可を受ける「救急告示病院」2カ所も含まれており、県内の救急医療に黄信号がともっている。

 内科、外科、心臓血管外科など5診療科で救急を受け入れていた北部地区医師会病院(名護市)は今月1日から、医師1人の退職に伴い、救急のうち脳神経外科の診療を休止した。

 同病院は、NPO法人が運営する民間救急ヘリを支援しており、「現在休止中の救急ヘリが近々活動を再開する予定で、ヘリ活動への医師派遣も必要になってくる」と説明。「後任の募集をかけたがなかなか集まらない」とも話す。

 海邦病院(宜野湾市)と嶺井第一病院(浦添市)は時間外の救急診療をすべて休止した。

 内科と小児科を受け付けていた海邦病院は地域のニーズに応える形で20年間救急外来を行ってきた。休止理由を「時間外診療の減少と、医師の負担軽減のため」と説明した。

 脳神経外科の救急を受け付けていた嶺井第一病院も「救急体制に必要なマンパワーの確保が厳しい」と医師不足を指摘した。

 那覇市の小禄病院も医師1人の退職で、これまで実施していた内科と整形外科の救急診療のうち、4月30日から整形外科の救急診療を休止している。

 病院の救急体制は、一定の医療機器を備えるなどの条件をクリアして県が認可する救急告示病院(2009年4月現在、県内で26カ所)と、任意で救急を行う病院の2種類ある。

ちなみに医療業界事情を知らない方々はよく誤解することですが、医者がいるということと救急医療が出来るということは必ずしもイコールではありません(救急の程度にもよりますが)。
医者が大勢いれば救急も出来る医者が含まれている確率も高くなるという意味では大きな病院ほど救急への対応力はあるという言い方も出来ますが、どんな病院であれ救急が出来ない医者というものはそれなりの比率で存在します。
問題は救急が出来ない医者ばかりのくせに何故か妙に救急車をたくさん引き受けているような救急医療に対する志の高い?病院の場合、数少ない救急の出来る医者に全てが丸投げされる傾向が出やすいということです。
昨今そうした病院では救急で疲弊しやすい外科系や小児科といった診療科から相次いで逃散が進んでいますが、そうなると残った救急の出来ない医者も「バックアップもないのに救急車なんて受けられるか」とばかり一緒になって逃散してしまいがちなわけですね。

今も「救急は儲かる」などという妙な幻想を抱いている経営陣がやっている病院ですと、こういう現場の空気を読まずに「先生方、最近救急受け入れが減っていますからもう少し頑張ってもらわないと」なんて頓珍漢なことを言いだして更なる集団脱走を招くという話がこのところ本当に多くなりました。
病院としては医者が逃げ出していくリスクと救急受け入れの利益とを天秤にかけて判断していかないといけないわけですが、診療報酬的にも訴訟リスク的にも今や救急など病院の持ち出しでやるボランティアとでも考えていなければやっていられないという時代ですから、まともな経営者であるほど「それじゃ救急指定は返上しましょうか」という話になるのが当然ということなのですね。

さて、またもや話は変わりますが、先日労基法違反で問題となった滋賀県立成人病センターの続報が入りましたので紹介しておきます。

残業上限延長、組合が逆提案  滋賀県立成人病センター(2009年5月15日)

 滋賀県立成人病センター(守山市)と、同病院医師らでつくる労働組合が本年度、労働基準法に基づく労使間の残業ルールを作った。繁忙時の特例として、病院側が医師に限り月80時間を上限とする残業時間(年6回のみ)を示したのに対し、組合側は上限を120時間とする修正案を逆提案し、合意した。原則「残業ゼロ」を目指す組合だが「医師不足の中、80時間では現場が回らない」として、組合員から残業枠の延長を申し出る異例の経緯をたどった。

 同病院は昨年、「名ばかり管理職」の医師の残業代が不払いになっているとして、大津労働基準監督署から是正勧告を受けた。勤務条件を見直す中、労使協定の労基法三六条(36協定)締結に向け、自治労県職員労働組合と交渉を始めた。

 医師の通常の残業時間は、月45時間を上限とした。しかし、同病院医師の月平均残業は50時間を超えることから、患者の集中など「特別な事情」がある場合の残業時間についても定めた。

 病院側は当初、過労死の認定基準となる月80時間を上限とする案を提案した。一方、組合側は、脳神経外科など月の残業が百数十時間に達する科もあることから「医師の増員がない現状では協定違反が多発する」として、病院側提案より40時間多い修正案を提示。今後、残業削減に取り組むことを条件に合意した。労組職場代表の大西裕之医師は「医師の使命で患者がいれば診察する。違法残業が続くと協定の意味がなくなる。医師の多くが残業枠延長を支持した」と話す。病院事業庁の谷口日出夫庁長は「現場からの提案はありがたいが、労基法の理念上、80時間以内にとどめたい思いもある。今後、削減に向け話し合いたい」としている。

現場の事情が判らない以上は何ともコメントがしにくい話ですが、なかなか妙な具合になってるなとは誰しも感じるところではないでしょうか?
そもそも医師側が組合云々と言っている時点で少し変わった施設なのかなと思うところですが、HPを見る限りではそのあたりの状況がはっきりしません。

一般論としてこれは全く個人的考えですが、一時的な措置といったものでなく永続的業務として捉えてみた場合に、現場スタッフの使命感などといった一般化しにくいものに頼っていてはいずれ必ず破綻することは避けられないのではないかなという印象を持っています。
たまたま「よっしゃ!やったるぜ!」とばかりに祭りの興奮に巻き込まれた人間は一時的に能力以上のものを発揮して頑張ってしまうものですが、それは決して永続するものではありません。
そうした人々もいずれは疲弊し、あるいは引退していくものですし、何より多くの勤務医にはある程度の入れ替わりがある以上はいずれ外部から冷めた人々を受け入れざるを得ないわけで、そんな人々に「皆が御輿を担いでるんだ!お前も死ぬ気で担げ!」と言ったところで、誰しもが輪の中に躊躇無く加われるものでもないですよね。
永続的なシステムとして成立させるためには個人個人の能力や力量、あるいは常識を越えた頑張りに頼るのではなく、ごく平凡で平均的な人間が当たり前にやっていけるようにしていかなければならないと思いますね。

経営的な面で厳しいのは昨今どこの病院でも同じだと思いますが、厚労省がこんなことを言いだしています。
しかし、資金繰りを安定させたところで自転車操業かつ赤字垂れ流しという実態に何ら変わりがない以上は単に結論を先延ばしにし負債総額をふくらませるだけにしかならないのではないかとも思うのですが…

病院への融資条件緩和、厚労省が資金繰り支援強化(2009年5月11日日経ネット)

 厚生労働省は追加経済対策の一環として、病院に対する資金繰り支援を強化する。所管の独立行政法人による融資条件を緩和し、病院1施設当たりの融資上限をこれまでの1億円から7億2000万円に引き上げ、返済期間も従来の7年以内から10年以内に延ばした。世界的な金融危機のあおりで、民間金融機関の融資姿勢が厳しくなりかねないことに備える狙いだ。

 条件を緩和したのは、医療機関などの施設整備などを支援する福祉医療機構が昨年秋に設けた「経営環境変化に伴う経営安定化資金」。運転資金の不足感を強く訴えていた病院向けの融資条件を緩め、資金繰りの安定につなげる。同資金の適用期間は2010年3月末まで。

何かをやることによって何らかのメリットがない限りはやる人間は増えてこないというのは医療に限らずどこの世界でも共通の話だと思いますが、人手不足と言いながら医療業界では未だにそのあたりの認識がずいぶんと甘いのかなとも感じられるところです。
前述の救急指定返上の話もそうですが、本来であれば救急をやることによるメリットはこれこれ、やめることによるメリットはこれこれと詳細に検討し結論を出すのは一般の企業であれば当たり前の話ですが、「救急をやるのは医者として当然」などと赤字を垂れ流しながら漫然と続けている、そしてスタッフの逃散を招き更なる大赤字に転落する病院がどれほど多いことでしょう。
どうも医療業界の場合は経営陣ですらコストベネフィット等の評価もないまま盲目的に突き進んでしまう傾向があるようで、そのあたりのいい加減さも病院経営状態が悪化する一方であるということの原因の一つになっているようにも感じます。

経営を安定させようとすればなるべくスタッフの待遇を良く、一方で収入は出来るだけ多くという方向になるわけで、非効率な部分はさっさと切り捨てて需要が大きい部分に特化した方が経営者もスタッフも幸せというのは当然の話ですよね。
一昔前の田舎公立病院によくある「とりあえず一通りの診療科も機材も揃えてみました」といったことを今の時代にやっていたら、それは幾らでも赤字垂れ流しにもなればスタッフのモチベーションも低下するのは当たり前ですよ。
このあたり往々にして医療人としてのまともな考え方というものと経営者としてのまともな考え方というものは相反するものですから、「まじめに医療をやるほど潰れていく」という今の医療業界事情そのものが格好の淘汰圧力になって業界内の意識改革が進んでいるという一面もあるわけですが、それこそまさに国が求めてきた「医療改革」の戦略通りに話が進んでいるということですよね。

今の医療事情は国にとって決して「計算外」ではないどころか「予定通り」だと考えてみた場合に、既定の路線に素直に乗って行く道は楽でしょうし、流れに逆らってあがいてみるのはずいぶんと苦労するだろうなとは容易に予想できることで、いずれの道を辿るべきかそろそろ腹をくくって決めていかなければならない程度にはどこの病院も追い詰められてきているようには思うのです。
その結果医療がどうなるか?なんて難しいことを考えるのが国の仕事と言うものなのですから、国の方針通りで困るようなら方針を変える責任は国にあるわけであって、逆に妙に現場が頑張りすぎて辻褄を合わせてしまう方が誤ったメッセージを送ることになりかねないのではないかと危惧するところです。
追い詰められるとバンザイアタックを敢行して玉砕というのは旧軍の悪しき伝統というものですが、圧倒的戦力を誇る赤軍に国土を蹂躙されながら粘り強く抗戦したフィンランドなどと比較するとこれも民族性なのかなと言う気がしないでもありません。
しかし流れも空気も読まずに盲目的に突っ走ってしまうことが果たして本当に称讚されるべき行為なのかどうか、足許の地面が消えていたことに気がつく前に一度立ち止まって考えてみることも必要でしょう。

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2009年5月18日 (月)

国内での広がりがようやく確認された新型インフルエンザ、そして崩壊の足音が…

引き続いて今日も新型インフルエンザの話題ですが、この週末に大きな動きがありました。
皆さん既に御存知の通り、関西地区で国内初の人ー人感染例と思われる症例が確認され、国内でのインフルエンザ対策が新たな段階に踏み出すことににありました。
しかもいきなり大勢が新型と確認されているんですが、これも海外渡航歴のない患者にたまたま調べてみたら見つかったという非常に偶発的な事例が発見の契機だったんですね。
こうした実態が明らかになってしまうと誰しも「実はとっくに国内にもまん延していたんじゃないか?」と考えるのが自然な反応でしょうが、恐らく限りなく正解に近いという気がしています。

国内感染者、40人に=大阪、兵庫の高校生ら-地域へ拡大の恐れ・新型インフル(2009年5月17日時事通信)

 厚生労働省は17日、大阪府と兵庫県内の高校に通う生徒ら計32人について、新型インフルエンザへの感染が新たに確認されたと発表した。水際の検疫でなく国内で感染が確認されたのは、16日に判明した神戸市内の2高校の8人と合わせ、計40人となった。
 40人はほぼ全員が高校生か高校の関係者。一方で同省は「感染者の家族が通う別の学校、職場に広がっている可能性もある」との見方を示した。大規模な調査を行い、感染の範囲が限定されているか、地域全体に広がっているかを把握する。
 同省は神戸市に国立感染症研究所の研究員らを派遣、市職員を合わせた計11人態勢で感染ルートなどを調べる「積極的疫学調査」を本格化させた。高校生らが学校や家庭で接し、感染の恐れのある「濃厚接触者」をリストアップ。外出自粛を求めるとともに、面会調査を始める。大阪府にも同様に4人を派遣した。
 新たに感染が確認されたのは、兵庫県内では、16日にバレー部員らの感染が判明した神戸高校(神戸市)、同校と交流試合をしていた県立高砂高校(高砂市)バレー部の生徒、県立八鹿高校(養父市)の生徒、教諭と大阪府の私立大学に通う男子大学生ら計23人。
 大阪府では私立関西大倉高校(茨木市)の男女生徒9人の感染を確認した。
 同校の生徒は13日から15日にかけて発熱などを訴えた。神戸高の生徒は10日から13日に症状が出た。ほかに、関西大倉高の別の男子2人と女性講師1人、生徒の妹の女子中学生1人も感染が疑われ、同研究所で検体の検査中。
 同校では併設の中学校を含め約135人がインフルエンザで欠席したり、体調不良を訴えたりしており、感染者がさらに増える可能性もある。 

【新型インフル】生徒の検体を放置 渡航歴なく「予想外」(2009年5月16日産経新聞)

 新型インフルエンザに感染した疑いがある神戸市の男子生徒の検体は、診察した医師が市に提出してから詳細(PCR)検査するまで3日間かかっていた。生徒に渡航歴がなく「予想外」の事態だったが、結果的に対応に課題を残した。

 神戸市によると、生徒は11日に悪寒を訴え、翌12日には37・4度の発熱があり、開業医の診察を受けた。簡易検査の結果、A型陽性となったため、医師は市に検体を提出。医師が求めたのは新型インフルエンザの検査ではなく、ソ連型か香港型かの季節性インフルエンザとしての識別だった。医師は「忙しい時期だが、保健所をあけてほしい」と検査依頼した。

 市には、感染の疑いがある患者を診療する「発熱外来」からの検体も提出されており、市の担当者は「発熱外来の検査を優先していた。医師にも遅くなっていいかと了解を取った」と後回しになった事情を釈明した。

この記事を見てみますと、医師としては「新型ではないことを確認する」というつもりで出したところが、結果として新型だったという思いがけない経過を辿ったことが判りますが、非常に示唆に富む内容なのではないかと思いますね。
一つにはこの段階でどこまで新型か否かの確認検査が求められるのかということ、そしてもう一つは季節性インフルエンザも未だ流行している現状で、一斉に各地の医療機関が確認検査を求めた場合に果たして対応できる検査態勢があるのかということです。
特に気になるのが、メキシコでの知見によれば今回の新型インフルエンザでは患者の多くが発熱していないということで、これは疑い患者の洗い出しが極めて難しくなるのではないかと思われる話ですし、無制限に検査に回せば回しただけ確認患者が増えてきそうな予感すら漂っていますよね。

「渡航歴なし」に保健所も困惑(2009年5月17日読売新聞)

 新型インフルエンザかどうか詳しい検査をする目安になっていた海外への渡航歴。16日、渡航歴のない高校生の感染が判明したことで、全国の自治体からは困惑の声があがっている。

 これまで全国のほとんどの保健所では、本人や家族などがメキシコや米国、カナダなどの発生国を最近訪問したことがあるかどうかを新型インフルエンザを疑う目安にしていた。インフルエンザの簡易検査だけでは、季節性のインフルエンザ(A香港型とAソ連型)と区別ができないためだ。

 しかし今回の事態を受け、神戸市の周辺の自治体はこの日、相次いで遺伝子検査の実施基準を改め、奈良県は簡易検査で「A型陽性」の場合、過去7日以内に神戸市内に足を踏み入れたかどうかを条件に加えた。大阪府や京都市では、渡航歴の有無に関係なく、A型陽性なら全員に遺伝子検査をすることにした。

 ただし、どの保健所もコストや人員の問題から、検査の限界を口にする。1日平均100人超がインフルエンザと診断されている千葉県の担当者は「人員や機器の余裕がない。渡航歴のない人の検査で機器を占有すると、一番警戒すべき渡航歴のある人の検査に支障が出る」と指摘。東京都の担当者も「発熱患者すべてに遺伝子検査をするには、時間的、人員的に困難」と話した。

豚インフルエンザ患者の多くは発熱しない(2009年5月13日ニューヨークタイムズ)

 先週メキシコで調査を行ったアメリカの感染症専門家によれば、豚インフルエンザにかかった多くの人たちが、重症化した人でさえあまり発熱しなかった。新型ウイルスのもつこの奇妙な性質は、病気の流行を防ぐことをより難しくする可能性がある。
 発熱はインフルエンザの大きな特徴である。発症直後に体温が華氏104度(摂氏40度)まで一気にあがることがよくある。多くの感染症専門家は発熱がインフルエンザの重要な兆候だと考えているので、発熱症状の有無は患者を診察するうえで重要なポイントである。
 アメリカの専門家Richard P. Wenzel博士は先週四日間にわたって調査したが、メキシコシティの2つの病院で診察を受けた患者の3分の1は発熱症状がなかったと述べた。
 「私もメキシコ人の同僚も驚いた。教科書どおりならインフルエンザの流行時は発熱と咳の症状が90パーセントは認められるはずだ」とWenzel博士はバージニア福祉大学からの電話で述べた。
 同氏によれば重症化した人々が後に発熱することはあったが、軽症患者の半数は発熱しなかった。ほとんどの患者に咳と不快感(倦怠感?)が見られた。
 メキシコの2つの病院の患者のおよそ12パーセントは咳や呼吸困難といった呼吸器症状に加えて重い下痢症状を呈した、とWenzel博士は述べた。そのような患者は三日間にわたって一日当たり6回の便通が見られた。
 Wenzel博士はメキシコ人の同僚たちに、患者の便にA(H1N1)ウイルスが存在するかどうか調べるよう求めた。「もしもA(H1N1)ウイルスが人人感染を起こし、便中にもウイルスが認められるとしたら感染抑制はより難しくなる。貧しい国々で感染が広がる場合は特に。」と同氏は述べた。
 また、同博士は同僚に無症状の感染者がいないかどうか調査するよう強く求めた。
 同時にメキシコの国家的ワクチン計画の指揮をとっているSamuel Ponce de Leon博士の調査データや患者を検討した。
 Wenzel博士はメキシコでの大流行の理解しがたい奇妙な特徴は「5種類の違ったインフルエンザウイルスがここ数ヶ月間同時にメキシコに蔓延していた」ということだと述べた。 
 Wenzel博士が訪れた国立呼吸器疾患研究所での肺炎発症数は、過去2年間は週に20例だったが、最近では週に120例にのぼった。豚インフルエンザとの関連性が示唆される。
 豚インフルエンザ感染者が併発した肺炎は、1918-1919年のインフルエンザパンデミックで良く見られた合併症であるブドウ球菌性肺炎とは似ていない、とWenzel博士は語った。
 メキシコの2病院は呼吸器疾患の流行に対して良く準備が出来ていたと同氏は述べた。メキシコ人の医師たちは医療スタッフの不安を取り除くためのプログラムとして、スタッフへの情報提供を行い、ホットラインを設置し、心理的なサポートや健康診断などを行っていた。
 「流行時対応のこの側面(医療スタッフ支援)は、私が推測するかぎり米国ではあまり重要視されていない。これは流行時対応を成功させるためにはきわめて重要なことである。医療従事者間の不安感の管理(不安感へのきちんとした対応を行うこと?)はまだ不十分である。」とWenzel博士は語った。

ま、新型インフルエンザ対策予算など必要ないという官僚のいる国ではなかなかスタッフへの対策なども難しいのかなとも思いますが、政府も少しは腰を上げたという態度は示そうとしているようです。
しかし現実問題としてこういう状況になってきますと、末端医療機関に至るまで新型インフルエンザが滲透してくるのは避けられない(あるいは、既に来ている?)と思うのですが、これは下手をすると新型と診断されることもなく医療機関内部での感染が蔓延しているということになりかねませんね。

新型インフル「国内発生早期」、政府が対策レベル引き上げへ(2009年5月16日読売新聞)

 神戸市内の高校生から採取したウイルスが、新型インフルエンザと確認されたのを受け、政府は16日午後に対策本部幹事会を開き、行動計画の対策レベルを「海外発生期」から「国内発生早期」へと引き上げる見通しだ。

 今後の調査で、同高校以外でも複数の患者が見つかり始めた場合、対策はもう1段階引き上げられ、「感染拡大期」へと進む。

 「国内発生早期」の対策は、国内での感染拡大を出来る限り抑えることが狙いだ。現行の行動計画によれば、患者に接触した人の追跡調査や水際対策の継続に加え、〈1〉医療機関での発熱外来整備〈2〉学校などの休校要請〈3〉不要不急の外出自粛要請〈4〉集会などの自粛要請〈5〉企業への業務縮小要請--などの厳しい対策が実行に移される。

 しかし、今回の新型ウイルスの病原性は、通常の季節性インフルエンザ並みと見られている。強毒性の鳥インフルエンザを想定した行動計画を実施すれば、経済・社会への影響が必要以上に大きくなる恐れがあるため、政府の対策本部は、新型ウイルスの特徴に合わせた弾力的な対処方針を決める見通しだ。

厚労省、水際検疫縮小へ 医療体制の強化に重点(2009年5月17日日経ネット)

 厚生労働省は16日、新型インフルエンザ対策で先月25日から強化している水際の検疫体制について、段階的に通常の検疫体制に戻す方針を決めた。 16日に国内で人から人への感染が初めて確認されたため、国内の医療体制の強化に重点を移す。同省は「ウイルスの侵入をできるだけ遅らせる水際対策は効果があった」としている。

 同省によると、成田空港、関西国際空港、中部空港の3空港で、通常153人の検疫官を16日時点で計214人増員している。いずれも国立病院や大学病院などから医師や看護師などの応援で対応していたが、こうした医師らを医療現場に戻す。

実のところこの段階になると、一般人にとって事態はかなりシンプルになってきます。
かかったかなと思ったら直接病院に行かずまず電話で指示を仰ぐ、感染が確認されたら周りにうつさないよう大人しくして適切な治療を受ける、基本的にこの程度のことでしかありません。
一方で困ってくるのが医療従事者で、検査キットや治療薬の数すら限られている現状でどこまで手を広げて患者を見つけてしまっていいものか、そしてその場合他の患者に対する診療が出来なくなるのではないかといった懸念が多々出てくるわけです。

ちなみに感染者発生で先行している欧米では既にもう少し先の段階に進んでいて、既に米国などでは症状の軽重による患者の選別なども行われていますが、感染者がある程度以上増えてくるなら「手をかけずとも自力で治る者には手をかけず、その分のマンパワーを重症者に回す」ということは極めて常識的な判断ではないかと思いますね。
翻って日本を見ればずいぶんとお寒い医療体制なのは相変わらずですから、我が国の医療における基本的大前提である「平等主義」がここでも文字通りに発揮された場合にはあっという間に医療態勢が崩壊してしまう危険性すらあると思うのですがね。
季節になると時折ある話ですが、夜間外来に風邪をひいたと言う患者が殺到し、「心配だからインフルエンザの検査をしろ!」「タミフルを出せ!」と要求しまくった結果朝になるまでには検査キットも治療薬も品切れといったことになりかねません。
このあたり政府が音頭を取って早急に基本方針を立て周知徹底しておかないと皆が共倒れで大変なことになると思うのですが、先日以来の厚労省あたりの動きを見ている限りではこのまま無為無策に自然の経過を観てしまう可能性が極めて高いのではないかなと言う気がして仕方がありません。

米は重症者の治療に重点、欧は薬の積極投与で増大鈍化(2009年5月16日読売新聞)

 【ワシントン=山田哲朗、ロンドン=大内佐紀】新型インフルエンザ感染者が全土に広がる米国では、軽症者の遺伝子検査が省かれるなど、重症者の検査と治療に重点が移っている。

 米疾病対策センター(CDC)の公式発表では、米国で感染が確認されたり濃厚とされた人の数は4700人台だが、CDCのダニエル・ジャーニガン博士は15日、感染者の実数は「10万人以上」との推計を示した。把握されていない軽症者が多数いると見られるからだ。CDCが14日から、感染「確認」数を単独でなく、「濃厚」数とひとくくりに発表しているのも、ウイルスの遺伝子検査が省略され、最終確認されない軽症者が増えたためだ。

 一方、重症者のウイルスは詳細に分析される。慢性疾患がある人などに加え、抵抗力が強い若い世代にも重症者が目立つ理由が「謎」で、CDCは世界保健機関(WHO)と協力し、重症者のウイルスに、毒性を強める未知の変異がないか徹底究明している。

 英国やスペインでは、人から人への感染が一時、急速に拡大する様相を示したが、ここ何日間は感染者の増大が鈍化している。欧州各国では、感染者と接触機会がある人にタミフルなど抗インフルエンザ薬を積極投与する対応が取られており、この「予防投与」が奏功している模様だ。

 英国では感染者が出た南部デボン州などの6校で休校措置が取られたが、感染者がいない学校を休校にした例はない。

感染症医療機関の16%で担当医1人、夜間対応できぬ恐れ(2009年5月15日読売新聞)

 新型インフルエンザの診療拠点である全国の感染症指定医療機関の16%で診療に当たる医師が1人で、夜間などに十分な診療体制が組めず、患者の受け入れができない病院も6施設あることが、読売新聞の調査でわかった。

 調査は今月、全国の感染症病床がある指定医療機関325施設に行い、279施設から回答を得た(回収率86%)。

 新型インフルエンザ患者の「治療を担当する医師数」を尋ねると、238施設が回答。このうち106施設(45%)は5人以上の体制を取っていたが、39施設(16%)は1人だった。医師1人では、夜間や休日での診療に対応できない可能性がある。

 1人体制の医療機関からは、「内科の常勤医がいないため、重症患者を診る自信がない」「医師不足のため、県から派遣される医師で対応する」などの意見が寄せられ、医師不足の影響が出ていた。

 また、患者の受け入れができないと回答した6施設は、「医師や看護スタッフが足りない」「ウイルスが病室外に出ないようにする陰圧室がない」と理由を挙げた。

 厚生労働省は「感染症指定医療機関でも呼吸器内科医など専門の医師が不足している。感染が広がった場合は、地域のほかの医療機関とも協力し、対応してほしい」としている。

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2009年5月17日 (日)

今日のぐり「味の民芸 岡山大福店」

最近ちょっと話題になった話でこういうものがあります。

【ネット】確かに“読めてしまう”コピペに2ch住人が「人間すげー」と驚く(2009年5月8日ねとらば)

 「なんだこりゃ」と思ってよく“読んで”みると「へー」と驚くコピペ文章が最近2ちゃんねるに登場し、スレッド(スレ)の本題そっちのけでコピペに関する考察レスが交わされる……なんてことも起きている。

 コピペ文はひらがなとカタカナだけで書かれており、一見すると2chでたまに見かけるうわごとにしか見えない。だがよくよく“読んで”みると、「確かに読める」と、ちょっと驚く。どうして「読める」のかは、コピペ文自体が説明してくれている。

 「【ネット】「ウィキペディアが与える影響を調べるため」学生がもっともらしい嘘の書き込み 多数の欧米大手紙がだまされて引用」では、このコピペが2レス目に登場。「読めた」「人間の脳すげー」といったレスが相次ぎ、本題へのレスと入り交じって何のスレなのか分からない状態になっていた。

 コピペが登場したスレには、人の記憶と認識に仕組みについて考察や、読める人と読めない人の違い、現象学的な視点など、さまざまなレスが付いており、日常にちょっとした「ふーん」を持ち込むネットらしい話題になっている。

 読めば分かります。そのコピペは以下の通り。

こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか
にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば
じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて
わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
ちんゃと よためら はのんう よしろく

なにかこれ、読める人間と読めない人間というのがあるようなのですが、皆さんは如何でしょうか?
こういうところに人間の認知の仕組みというものが隠されているんでしょうが、漢字カナ交じりの日本語表記においては今ひとつ実用性に欠けるところが難点でしょうかね。

それはそれとしまして、先日はこういうものが近所の店に並んでいましたので、形の珍らしさにひかれて幾つか買ってしまいました。

-新スタイルパッケージで自由に楽しい、ボックスヌードル新登場!-

少子高齢化、個食化、グルメ化など食を取り巻く環境は大きく変化しています。そこで弊社では、より簡便性を追求し、より本格的なおいしさにこだわり、そしてよりファッション性と楽しさを意識したカップめんの提案として、アメリカの中華のテイクアウトからヒントを得て、日本流にアレンジしたボックスヌードル「日清Chin」を開発しました。生タイプめんでしか味わえないしっかりとした食感、お水もお湯も要らない電子レンジで"チン"するだけの簡単調理に、ハリウッド映画を連想させる持ちやすくおしゃれな"Take Out Style"が特徴です。

まあ能書きはともかくとして、試しにソース焼きそばを食べてみましたがこれが全く…
いや、より正確に言いますと、味に関してはしょせんインスタントですから何も文句を言うつもりはありません。
味には何も言いませんが、インスタントとして致命的に手間がかかるのが最大の問題点なんじゃないでしょうか。

この商品、まず四角な紙パッケージの上蓋部分を開いて、個別包装になっている中身を全部取り出すところから始まります。
中に入っているのが麺に具材、ソース、液体調味料(ソースと一緒にすればいいのに…)そしてふりかけと5袋ある時点で少しばかりげんなりするところですが、とりあえず袋から取り出した麺をパッケージに戻し、上からふりかけ以外の内容物を全部かける必要があります。
これがまた、乾燥品ではない半生状態ですから妙に具材が取り出しにくかったり、液体調味料は麺の上全体にまんべんなくかけろと言われたりと面倒くさい上に、出来上がったものはやはり煮え加減が不均一でべとついている部分とパサパサな部分が混在した状態なのですね。
何よりこれだけの手間暇がかかるわけですから、肝心の調理時間がカップ焼きそばより明らかに長くかかっている上に、食べ応えとしては所詮インスタントの焼きそばというシロモノなんですから釈然としないものがあります。
結局生タイプだのなんだのと言ったところで焼かない時点で焼きそばに非ずという点は同じなのですから、面倒くさいだけこっちの方がよろしくないと思えて仕方がないんですが、マジでこの商品のメリットって何なのでしょう?

似たようなコンセプトの姉妹品らしい「GoFanスパイシージャンバラヤ」なるものも試してみましたが、こちらもまさしく無駄に手間暇がかかるだけで出来上がったもんは…という点は共通です。
味、価格、内容といったものを考えるとさすがにこれで多くのリピーターがつくとは思えないんですが、あるいは世間の人はこういう一手間かけるという行為自体が楽しいとか言うことなんでしょうかね?
個人的予想としてはいずれひっそりと消えていきそうな気もするので、今のうちにレアアイテムとしてゲットしておくのはありかも知れないとも思っています。

今日のぐり「味の民芸 岡山大福店」
国道二号線沿いに位置する店で、大昔に他所の店に入った時にはうどんのチェーン店…とばかり思っていたのですが、どうも今改めて見るとうどん屋だとはっきり記載がないようなんですね。
メニューのトップもご飯もののセットメニューばかりでうどんはその後と言う並びなんですが、もしや店の方針が変わったんでしょうか?

店内はぱらぱらと客が散見されるといった塩梅で、さほど混み合っている感じではありません。
内装は一見すると確かに民芸調ですが、その割にはBGMにジャズってのはどうなんでしょうかね?
今回は手延べセイロうどんと民芸サラダというものを注文してみましたが、閉店までにはまだ時間のある頃合いだったのですが、ご飯切れだと言われてしまいました。
どうも看板に偽りありとまでは言いませんが、ご飯もの中心にするつもりならこういうことはないように願いたいですね。
ちなみにこの店、確かにそこそこ広い店内なんですが、一人分でも料理は全部カートで運んでくるのはちょっと珍しいかなと感じました。

妙に平べったいここのうどんは手延べといいますが、製麺所で作った半生めんを茹でて供しているようですね。
讃岐うどんなどのようなコシを期待していると裏切られますが、やや柔らかめに茹でられたうどんの舌触りとぷるぷるした食感を楽しむものという感じでしょうか。
このあたりは好みの問題もあるのかなとも思いますが、関西などのうどんになれた人ですとこういうのが違和感がないのかも知れません。
ちなみにこのうどんが一番シンプルなうどんメニューだと思いますが、付け合わせっぽくついてくるトロロやら小鉢やらは個人的には蛇足かなという印象でした。

サラダは一人前のサイドメニューとしてはちょっと多いかなと言う感じで、これはグループで食べるようになってるということなのか取り皿がついてきます。
メニューによると三種類のドレッシングをお選びくださいということなのですが、何も聞かれないまま黙って和風ドレッシングが出てきたのはどう解釈すべきなのか微妙なところ。
このあたりもまた「看板に偽りあり」ですかね?

感染道路沿いにチェーン店が並ぶこの界隈では恐らく一番あっさりしたものを出している店で、近隣のファミレス等の脂ぎった料理に比べるとこちらの方がましなのかなとも思うのですが、問題は値段でしょうか。
一番シンプルなこの「ざる」相当のセイロうどんでも600円と、うどんとして見れば決して安くはない値付けです。
主力のセットメニューは軒並み1000円超え、単品のうどんや丼物でもそれぞれ1000円近くする、だから高いと言うつもりもないですが、少なくとも安さが売りになる店でもないですよね。
その割にはファミレスほど遅くまでやっているわけでもないようなので、しかも味自体は特別に…となれば、やや押しが弱いのかなという印象は拭えないところですかね。

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2009年5月16日 (土)

世界に知られるようになった日本のマスコミ業界

海外で出回っている日本人絡みの笑い話を集めた「続・世界の日本人ジョーク集」(早坂隆著。中公新書ラクレ)に、こんな話が載っていました。

政治とメディア

 日本の政治は、迷走を続けていた。フクダ首相は、自らの支持率の低さを嘆き、そして自分のことを悪く書く新聞メディアに怒りを覚えていた。ある時、彼は各新聞社のジャーナリストたちを自分の別荘に呼びつけた。そして言った。
「私は無能ではない。よく見ておけ」
 彼はそう言ったかと思うと、湖の上を歩き出した。彼の身体はまったく沈まなかった。それまで隠されていた彼のゼンとヨガの能力に、その場は騒然となり、そこには感動さえ生まれたのだった。
 翌日の新聞をフクダは楽しみにしていた。しかし、各新聞社の見出しを見た途端、彼は大きなショックを受け、そして辞任を決意したのである。

 キョウト・ポスト   「フクダ政権が巧妙なるプロパガンダを駆使し、国民を欺こうとする姿勢を鮮明に」
 フジ・タイムス    「フクダが勝手に他人の土地に侵入した疑い」
 トウキョウ・ジャーナル「フクダは泳げない」

ずいぶんと日本事情に詳しいなと苦笑いといったところですが、日本が海外でも有名になると言ってもこういう方面で有名になるのではあまり洒落にもなりません。
本日は世界に鳴り響く日本のマスメディアの素晴らしさを讃える話題を幾つか紹介していくことにします。

まず最初の話題、先日フィリピンからの不法入国者を強制送還するといった件でひとしきり話題になっていましたが、非常に積極的な論陣を張っていたのが毎日新聞で、わざわざこんな記事まで掲載して「超法規的措置を」と訴えてきていた経緯があったのですね。

世界の子育て:カナダ~日本に住みたい、カナダに住みたい 中込恵子さん(2009年5月7日毎日新聞)

 不法滞在で17年間日本に住んでいたフィリピン人、カルデロンさん一家が、在留許可を認められず、両親は今年の4月に帰国。中学校に通う13歳の長女のり子さんのみ在留が認められたニュースは、まだ皆さんの記憶に新しいと思う。

 私も外国に住んでいるし、うちにも13歳の子どもがいるので、親と離れて住む、のり子さんのことを思うと、何とも言えない気持ちになる。両親は日本の出入国管理法に違反したのだから同情はできないという意見もあるだろうが、「帰れ」と彼女の通う中学校の前でデモまで行う必要があったのだろうか。日本で生まれたことまで否定されてしまうのか……。埼玉県弁護士会が会長声明を出し、「親子を引き離している」と指摘し、「家族にも在留特別許可を出してほしい」と訴えたことは救われた思いだ。

 それぞれの国の事情があり、カナダは広いし人口が少ないから、と言ってしまえばそれまでだが、今回のことはカナダだったらきっと別の形で終結したに違いない。バンクーバーで30年間弁護士事務所を開いているネーザン・ガナパシさんにうかがうと、まず、のり子さんがカナダで生まれていたらカナダ人だし、両親に対しても、こちらの移民法にある”humanitarian and compassionate grounds”人道主義と思いやりのために、カナダに住むことが可能だったという。

 私はカナダに来て、日本に生まれたことが大変恵まれたことなのだと痛感している。世界のどこかに住みたいと思えば何らかの形でかなうからだ。私自身も日本での学歴、職歴を提出したら半年間でカナダの永住権が取れた。が、ここにはそれこそ、偽造パスポートで入国して来た人もたくさんいるし、戦争から命からがら逃れて来た人たちもいる。政治的、経済的な理由の難民もいる。カルデロンさんのフィリピンでの生活がどのようだったかはわからないが、国民の80%もしくはそれ以上が貧困の中で生活しているのだから、豊かな国へ……と夢を描くのは当然のことだ。

 昨日のCTVでアーリン・アミというフィリピン系2世のカナダ人女性プロデューサーが撮った”Say I do” というドキュメンタリーを見た。初めて明らかになった「メールオーダーブライド」の実態だ。年間3000人のカナダ人男性がフィリピンの女性と結婚しているという。その多くはウェブサイトで、希望の女性の写真をクリックしてメールオーダーで150米ドルを支払う結婚紹介を通して知り合う。ところで、フィリピンの女性はカナダでnanny(お手伝いさん)の仕事をしている人が多い。このビザはいずれ永住権を取得できるが、学歴の条件があるので該当しない人にはチャンスがない。そのため、女性たちはこのようなウェブに登録し、見たこともない男性からのリクエスト=プロポーズにより、カナダに来る。女性は貧困から脱出するために、自分の家族のためにやってくるのである。もちろん成功する結婚もあればそうでない場合もあり、リスクも伴う。が、もし非常に貧しい生活をしていたら、私たちもそのことを考えないとはだれが言えよう。

 今の子どもたちは豊かさの中で生きていて、物がありさえすれば幸せというわけではないが、何もないところから比べてみれば、それはやはり幸せだ。そして、このことは私たち大人にも言えるのではないだろうか。

一般論として人道的対応というものは良いことだと思いますが、もちろん現実世界においていつでも無制限に人道的対応が行われるというような夢の国など聞いたことがありません。
あの毎日新聞のことですから、カナダに比べて日本は…と言いたかったのでしょうが、その結果こういうかかなくとも良い恥をかくことになるわけです。

【カルデロン親子】毎日新聞「カナダなら家族全員で住めた」と掲載するもカナダは「韓国人母娘を追放」(2009年5月11日livedoorニュース)

渡航先の日本に17年間の不法滞在をし、その間に娘として “のり子” さんを出産して3人家族となったカルデロン一家。日本国は人道的な配慮をしたとしても、娘ののり子さんだけを日本に住ませるようにするのが処置の限界とし、両親である夫妻はフィリピンへ帰国した。

このことについて、毎日新聞に「のり子さんがカナダで生まれていたらカナダ人だし、両親に対しても、こちらの移民法にある”humanitarian and compassionate grounds”人道主義と思いやりのために、カナダに住むことが可能だった」という、フリーライターの中込恵子さんの記事が掲載された。また、中込さん本人も「私自身も日本での学歴、職歴を提出したら半年間でカナダの永住権が取れた」と自身の経験を語っている。つまり、不法入国や不法滞在でも、または中込さんのように正規のルートでも、カナダは人道的なものを第一として、難民や移住したいと考えている人に対して処置をするということになる

しかし、4月25日に掲載された韓国の連合ニュース(Yonhap News)によると、「韓国人女性が2000年に通常のビザでカナダに渡航し、その後娘を出産。2009年になり、8歳の娘とその母親をカナダから追放する判決に至った」とのこと。また、母は不法滞留者収監施設に収監。小学校に通う2年生の娘も登校を中断され、母と同じ不法滞留者収監施設に入ったという。

カナダの移民長官室によれば、「私たちは追放命令を取り消す力を持っていない。子どもにとって最善の判決がくだされるよう、移民・難民保護法による裁量権があるだけ」と語っており、たとえ日本で問題となっているカルデロン親子がカナダに住んでいたとしても、日本以上に厳しい結果になった可能性がある

移民や難民に対して人道的な方法で対処するのは賛成だが、それらの人たちに「カナダなら大丈夫」と思わせてしまう記事は、やや危険な内容であることは否めない。

もちろんこの一件に関して毎日新聞では黙殺を決め込んでいますが、実態にそぐわない過剰な期待感を抱かせたということになれば移民する人たちに対しても失礼な話ですね。。

先日は杏林割り箸事故訴訟の判決に絡んで、みのもんたの報道がずいぶんなことになっているという話を取り上げました。
さすがにここまでやってしまうと世界のみの氏の所業といえどスルーを決め込むことも出来ないと悟ったのか、放送倫理・番組向上機構(BPO)に動きが出始めたようなんですね。

BPO人権委、サンプロ・朝ズバ・サンジャポが初の3案件同時審理入り (2009年5月11日文化通信)

 BPO放送と人権等権利に関する委員会は、テレビ朝日「サンデープロジェクト」、TBS「みのもんたの朝ズバッ!」「サンデージャポン」への申立てについて、今月19日開催の委員会から審理入りすることを決めた。3つの案件が同時に審理入りするのは初。

実際のところどういうことになっているのかと言うと、当のBPOのHPに掲載されています。

第146回 放送と人権等権利に関する委員会(2009年4月21日開催分)より抜粋

2. 審理要請案件

3件の審理要請案件について、それぞれ「申立書」と、局側から提出された「交渉の経緯と見解」及び「番組同録ビデオ」をもとに協議した。この結果、3件とも審理入りが決定し、次回委員会から実質的な審理に入ることとなった。
(略)

      「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案

      東京在住の勤務医らから申立てのあった「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案について協議した結果、申立ての要件を充たしているとして、5月の委員会から実質審理に入ることを決定した。
      申立ては、2008年2月にTBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で放送された、割り箸事故を巡る判決報道が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害し、不公平な報道であると訴えてきたもの。
      これに対しTBSは、医療事件を巡る刑事判決と民事判決を比較しながら、医療機関には「最善の注意」を果たしてもらいたいとの観点から放送したもので、名誉を毀損したとの認識はないと反論している。

みのもんたの「朝ズバ」と言えば不二家問題に絡んで捏造報道を繰り広げ、BPOからきつくお叱りを受けたという誇らしい前歴を持っていて、当時謝罪しているのか開き直っているのか判らない意味不明の弁解を繰り広げたことでも未だ記憶に新しいところです。
今まで特権的に他者に対する一方的バッシングを繰り広げてきたマスコミ業界ですが、最近では毎日新聞の例を見ても判るとおり市民側もそれなりに対抗手段を身につけてきました。
報道を受ける側からの批判にどれだけ真摯に対応することが出来るかといったあたりがかつてないほど注目を集めるようになっている時代ですが、再び繰り返された今回の一件に対するみの氏ら関係者の対応次第で彼ら業界の自浄能力が問われることになるといったところでしょうか。

先日はNHKが番組内で台湾の方々の証言を恣意的に編集した結果、当の台湾人関係者らを始め多くの日台友好を願う人々を激怒させたという事件がありました。
この件に関して日台双方で大きな批判の声が上がっており、すでに国際問題ともなっているといってもいいような状況です。

日台双方で批判続出…NHK「偏向報道」政界に波及 (2009年4月30日ZAKZAK)

5日放送「アジアの“一等国”」自民議連が意見書

 NHK総合テレビが5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの"一等国"』」の内容に対し、有識者らが「偏向・歪曲報道」などと批判している問題で、自民党の保守系議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文科相)が近く、同局に質問状を提出することが20日、分かった。問題はついに政界に波及することになった。

 番組は、日清戦争後の日本による台湾統治について、一等国を目指して統治の成功を海外に誇示したが、日台間の格差と同化という矛盾を抱え、やがて皇民化運動で日本文化を強制した-などと放送した。

 これに対し、日台の文化交流を進める民間団体「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)は10日、「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」という抗議声明を、NHKの福地茂雄会長あてに提出した。

 声明には、元タイ大使で外交評論家の岡崎久彦氏、京大大学院の中西輝政教授らの名前も。また、ジャーナリストの櫻井よし子氏は週刊新潮で「全篇が"歪曲報道"の連続」と指摘し、評論家の金美齢氏も「"偏向番組"の一語に尽きます」と批判した。

 議連では、日台双方から同様の批判が続出していることを受け、NHKに質問状を提出する準備をしている。NHKの予算は毎年度、国会で承認を得ることが放送法で決められている。

 李登輝友の会の抗議声明に対し、NHKは14日付で、担当のエグゼクティブ・プロデューサー名で「(番組は)日本が最初の植民地とした台湾に、近代日本とアジアの原点を探り、これから日本がアジアの人々とどう向き合っていけばよいか、未来を生きるヒントを探ろうとしたもの」「なにとぞ番組の趣旨をご理解いただきたいと思います」といった回答を寄せている。

 だが、李登輝友の会の柚原正敬専務理事は夕刊フジの取材に「回答はとても納得できない。担当プロデューサーやディレクターにも出席してもらい、公開討論会を呼びかけたい」と話している。

台湾関係諸団体が16日全国各地でNHKへ抗議行動(2009年5月14日なる台NEWS)

反日的視点によって日本と台湾の歴史を描いたとして、特別番組『JAPANデビュー』第1回『アジアの“一等国”』」を制作・放送したNHKに対する抗議行動が16日、東京、青森、名古屋、福岡など全国各地で行なわれる。主催は草莽全国地方議員の会、「NHK『JAPANデビュー』」を考える国民の会、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム、在日台湾同郷会、台湾団結連盟日本支部など。東京ではリレートークや、人間の鎖で渋谷のNHKを包囲する抗議デモなどを行なう。

自民議連が「偏向番組問題」でNHKに質問状(2009年4月28日産経新聞)

 NHK総合テレビが4月5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー第1回『アジアの“一等国”』」に、日台友好団体などから「内容が偏向している」と批判が上がっている問題で、自民党の議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)は28日、NHKの福地茂雄会長あてに質問状を発送した。

 質問状では、同番組の内容について、(1)1910年にロンドンで開催された「日英博覧会」の紹介で、日本人と台湾パイワン族との集合写真に「人間動物園」とのキャプションを表記していた(2)台湾で神社参拝を強制して、道教を禁止した-など13項目にわたり、資料の有無などの明示を求めている。

 同番組をめぐっては「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)がすでに、福地会長あてに、「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」とする抗議声明を出した。

NHKと先年来やりあってきた某放送局を初めとして(苦笑)この問題に各メディアが黙殺を続ける中、産経系列のメディアのみは精力的に取り上げています。
これらの記事を見てみますと、単なる日台友好阻害といった要素にとどまらず明らかに統一された目的意識も感じられ、何らかの政治的意図すら含まれているようにも見える内容であったと言えそうです。

【検証】NHKスペシャル 台湾統治めぐり「一面的」(2009年5月3日産経新聞)

 NHK総合テレビが4月5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー」の第1回放送「アジアの“ 一等国”」に対し、出演した台湾人のほか日台の友好団体、識者などから「一方的だ」と批判の声が上がっている。NHKは「番組にすべての要素を盛り込むことはできない」(日向英実放送総局長)と反論するが、番組は何を取り上げ、何を報じなかったのか。3日の第2回放送を前に、その“文脈”を検証する。(牛田久美、草下健夫)  

【台湾民族と漢民族】

 ≪一家は中国福建省から移り住んできた漢民族でした≫

 番組でそう紹介された元医師の柯徳三さん(87)は「私は漢民族ではない」と言い切る。

 「台湾人の祖先は、宋代に南アジアの少数民族との混血が進んだ。その一部が約200年前に台湾に移り、南方系の先住民と結婚した。私でその移民から7代目。漢民族の血は1万分の1も入っていない」

 台湾民族のHLA(ヒト白血球型抗原)を研究したことのある東京大学の徳永勝士教授は「民族の呼び方は、その人たちのアイデンティティーを尊重するべき。(反発は)自然なことなのでは」と語る。北京政府は、台湾を国家として認めず「中国の一部」と主張する。漢民族という呼び方は、その文脈に沿った表現といえる。

【日台戦争!?】

 ≪台湾人の抵抗は激しさを増していきます。戦いは全土に広がり、後に日台戦争と呼ばれる規模へと拡大していきました≫

 番組出演者の蒋松輝さん(96)は「初めて聞く」と驚きを隠さない。「確かに祖先は抵抗し、治安は悪かったが、戦争は言い過ぎ」。柯さんも「思いも寄らない言葉だった」と語る。

 NHKは「日本軍だけで死者は5000人近くにのぼった。学者も用いている」としているが、4000人以上はマラリアによる病死で戦死ではない。国立国会図書館の論文検索でも「日台戦争」は1件もヒットしない。学説と呼べるのだろうか。

【人間動物園…】

 このほかにも、数多くの疑問が示されている。

 「台北一中の生徒は台湾人が2人だけで厳しい制限付きだったというが、教育は開かれていた」(台湾協会、小原孝弼さん)

 「樟脳(しょうのう)生産や港湾整備を取り上げ≪金のなる島≫と強調したが、日本の統治への高い評価が抜け落ちている」(日本李登輝友の会、柚原正敬事務局長)

 「(先の大戦で)21万の台湾人を戦場にかり出したと言うが、その10倍も(日本軍への)志願者がいた事実は報じていない」(日本文化チャンネル桜、水島総代表)

 1910年にロンドンで開かれた日英博覧会で台湾の先住民族を紹介したことを≪人間動物園≫と表現したことも、自民党議員らから反発を集めた。

【多面的か?】

出演者の柯さんが「日本統治の功罪の両面を50%ずつ話したが、NHKが取り上げたのは罪の部分だけ」と評したこの番組が放送された後、NHKには4月末までに2500件を超える声が寄せられた。「多くが『一方的だ』という意見」(NHK広報部)だったという。放送法3条は「意見が対立する問題は多くの角度から論点を明らかにすること」と定めている。台湾研究フォーラムの永山英樹会長は「日本が侵略者だというストーリーに合わせて証言、史実を切り貼りしている。一面的すぎる」と評する。

 日向総局長は、多面性の確保については「放送全体の中で考えてほしい」としている。第2回以降の放送が注目される。

【くにのあとさき】東京特派員・湯浅博 歴史を歪曲する方法(2009年4月30日産経新聞)

右であれ左であれ「事実そのものを封ずる空気」というのは、いやなものである。とくに、歴史を扱うドキュメンタリー映像には何度もだまされてきたから、ハナから事実と思ってみないクセがついてしまった。哀(かな)しいことに。

 つい最近も、台湾情勢に関心がある人ならすぐに「変だな」とテレビの小細工に気づく番組がまたあった。日本が横浜開港から世界にデビューして150年間をたどるNHKの「シリーズ・JAPANデビュー」である。

 その第1回放送『アジアの一等国』を再放送で見た。テーマは50年に及ぶ日本の「台湾統治」だから、制作者は植民地政策の悪辣(あくらつ)さを暴き出すことに熱心だ。台湾人すべてを「漢民族」でくくるたぐいの荒っぽさが随所にあった。

 なにより『母国は日本、祖国は台湾』の著者、柯徳三さん(87)ら知日派台湾人が、筋金入りの反日家として登場したのには仰天した。日本人も驚いたが、本人はもっとビックリした。放映後、柯さんは担当ディレクターに「あんたの後ろには中共がついているんだろう」と文句をいったと後に語っている。

 異民族による台湾支配だったから、当時の柯さんらが差別を感じていたことは事実だ。番組でも、「私のいとこのお姉さんが、日本人の嫁になって日本へ行ったけれどね、戸籍が入らん。こういうのが差別でしょう」と憤懣(ふんまん)をぶつけた。柯さんはじめ、仲間の蒋松輝さん、藍昭光さんも差別されたときの悔しさを語っている。

 ただ、「母国は日本」とまで公言している人々が、日本統治時代に関して洗脳、差別、恨みばかりを強調するだろうか。

 同じ疑問を感じた視聴者は多い。だが、NHKは「日本とアジアとの真の絆(きずな)、未来へのヒントを見いだそうとしたものです」と無味乾燥な答えで押し切った。

 それならと、義憤に駆られた衛星放送の「日本文化チャンネル桜」はさっそく現地に飛んで、番組に出演した柯さんらを交えて座談会を開いた。

 藍さんは「終戦で台湾人による統治ができると考えた。だが、中国人がきて衛生、治安がでたらめになった。虐殺事件が起きて、戦前のよかった日本時代を思いだした」と語る。日本統治の良い面とは、教育、病院、鉄道などのインフラに集約できるという。

 柯さんは「日本統治の善しあしは半分半分なんです。NHKには両方をいった。日本人がいやがる部分はカットしていいよといったのに、逆に悪い面だけを放映した」という。そして冒頭の「後ろに中共がいるんだろう」との怒りにつながる。

 制作者がシロをクロと言いくるめる番組をつくろうと思えば、取材対象の見解からクロばかりを抽出すれば事足りる。そこには、善意ある台湾人の複雑微妙な心理は配慮されない。歴史事実を歪曲(わいきょく)してしまう古典的な手法である。

NHKといえば先日の大河ドラマでもサブリミナル効果を用いた「刷り込み」を行ったとして各紙で報道されたことは記憶に新しいことですが、この「アジアの一等国」にもサブリミナル効果が組み込まれていることがチャンネル桜によって詳細に検証されています。
彼らが意識化にすり込もうと企図した内容を見ますと明らかに系統立った意思の元に制作されているもので、たまたま結果としてそうなったといった類のものではあり得ないことが明白なのですが、こうした事実を踏まえての批判に対してNHKはこう答えています。

「恣意的編集ない」 NHKスペシャルへの抗議に放送総局長(2009年4月22日産経新聞)

 5日に放送された「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの“一等国”』」の放送内容が偏向していたとして、「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)が同局に抗議したことをめぐり、同局の日向英実放送総局長は22日の会見で「台湾の人たちが親日的であることは当然、十分承知していて、それを前提にして伝えた」との認識を示した。

 その上で「番組の趣旨、文脈がある。全要素を平等に個別の番組で伝えねばならないとなると、クリアに物事を申し上げられない。(NHKの)放送全体の中で考えていただきたい。恣意(しい)的に編集することはない」と説明した。

「一方的ではない」 Nスペ「偏向番組問題」で福地会長(2009年5月14日産経新聞)

 日本の台湾統治を取り上げたNHKスペシャル「アジアの“一等国”」が偏向していたとして、日台友好団体や識者などから批判が高まっている問題で、NHKの福地茂雄会長は14日の会見で「あの番組はいいところも随分言っていると思った」と、内容に問題はないとの認識を示した。

 福地会長は「(当時の)産業・インフラの芽が今の台湾の産業につながっているという気がしたし、教育でも規律正しい子供たちが映っており、一方的とは感じなかった。文献や証言に基づいているし、(取材対象の)発言の“いいとこ取り”もない」と評価した。

NHK公開討論を拒否…偏向・歪曲報道問題(2009年5月4日ZAKZAK)

 NHKスペシャル「シリーズJAPANデビュー 第1回『アジアの“一等国”』」(5日放送)の偏向・歪曲報道問題で、同局は1日までに、日台交流を進める民間団体「日本李登輝友の会」が要請していた同番組を検証する公開討論会の開催を拒否した。

 これまで友の会は「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」とNHKに抗議。福地茂雄会長あてに、会長や担当プロデューサーらが出席する公開討論会の共催を求めていた。

 これに対し、担当プロデューサー名で先月28日付で出された回答書では、「私たちは番組内容が偏向していたり、事実関係に間違いがあるとは考えていません。そのため、『番組を検証する』必要はないと判断しており、『公開討論会』の要請には応じかねます」としている。

インタビューを受けた当事者が番組の内容に激怒しているというのに、「番組を検証する必要はない」んだそうです(苦笑)。
これを見ると単に現場のスタッフが暴走したといったレベルの話ではなく、NHK上層部も含めた全社的方針の下に制作された番組であったとうかがわせる内容ではありますよね。
一方で、最近日台両国関係に関わる非常に興味深い結果が日台双方で相次いで報じられていますので、紹介しておきます。

台湾人7割「日本に親しみ」 20代は79%(2009年4月26日朝日新聞)

 【台北=野嶋剛】日本の対台湾窓口「交流協会」が台湾人の対日意識に関する世論調査を行ったところ、約7割の人が日本に好感を抱いていることが分かった。戦前の日本による植民地統治や戦争の歴史が同様にあった中国、韓国と比べ、台湾の親日度がデータで裏付けられた形だ。

 同協会による台湾人の対日意識調査は初めてで、昨年11月から12月にかけて、約千人の男女を対象に実施した。「親しみを感じる」は69%に達し、「親しみを感じない」の12%を大きく引き離した。

 一般に台湾では、李登輝元総統に代表される、日本語教育を受けた70歳以上の高齢者世代の親日度が高いとされてきた。だが、「親しみを感じる」とした回答者は、20代が79%、30代が77%と、若い世代が最も親日的で、65歳以上は58%だった。

 「最も好きな国(地域)」を尋ねた質問では38%が日本と答え、米国(5%)、中国(2%)など他国を引き離し、「台湾」(31%)も上回った。

 日本のイメージは「経済力、技術力の高い国」がトップで「自然の美しい国」「きまりを守る国」「豊かな伝統と文化を持つ国」が続いた。交流協会は「想像していた以上の日本に対する好感度に驚いた。今後の日台関係に役立てたい」としている。

アンケート:日本人回答者76%は「日台関係は良好」(2009年5月1日ラジオ台湾インターナショナル)

中華民国台湾の日本駐在機関、台北駐日経済文化代表処は1日、日本国民を対象に行った台湾に関する意識調査の結果を発表。調査では、「台湾を身近に感じるか」という質問に対し、回答者のうち42%が「どちらかというと身近に感じる」と答え、「とても身近に感じる」の14%と合わせる56%となり、全体の半数以上が台湾に親近感を持っている結果となった。

また、現在の台湾と日本との関係について、「どちらかといえば良い」と答えた回答者が65%、「非常に良い」と答えた11%と合わせると全体の76%、すなわち4分の3以上が台湾と日本の関係は良好との認識を示したことになる。

台湾に対する信頼問題について、「多少は信頼している」が55%、「非常に信頼している」が10%と、合わせて65%が信頼感を示した。

台湾観光の意向の有無について、「チャンスがあったら行きたい」が48%と最も多く、「非常に行きたい」が14%だった。

台湾と日本が推進すべき交流項目は複数回答が可能な前提のもと、82%の回答者が「観光」をあげて最も多かった。次いで「文化」79%、「経済」76%、「青少年交流」72%。「政治」の交流を推進すべきと答えた回答者は最も少なかったが、それでも59%と半数を超えた。

この調査は4月10日から19日にかけて、20歳以上の日本国民1000人に対して電話で行われた。

評論家の鳥居民氏は今回の番組を振り返って、こう評しています。

「私は制作者の「辺りに人も無げな驕りぶり」「傲慢さ」を悲しく思ったと記した。「驕りぶり」「傲慢さ」といえば、番組の題である「アジアの一等国」、その一等国民が犯した罪の第一に挙げなければならない態度、性向であろう。この制作者の振る舞いこそがまさにその一等国民そのものなのだが、このような人物が「アジアの一等国」を制作したことが、いま悲しく思う理由なのである。」

「どうせガイジンの言うことなど適当に使えるところだけ使っていればいい」というNHKの傲慢さは、番組内で発言を切り貼りされ真意を伝える機会を奪われた柯徳三氏の「心外だ」「台湾へ来たことのない人が番組を見たらどう思うか。」といった発言に見られるように、何よりも日台関係に良かれと思って協力した台湾人の心情を踏みにじるものでした。
よく台湾は親日的だと言われ、実際にこうしてデータ上からも裏付けられた形ですが、実のところ台湾人の本音の部分ではそう単純な話ではないということです。
「台湾の朝まで生テレビ」ともいう討論番組「大話新聞」で日本時代の検証がなされている様子が動画で上がっていますが、日本時代に功罪両面があったという認識はNHK番組内で発言を勝手に切り貼りされてしまった台湾の方々の認識とも共通するところ大と言えるでしょう。
そうした単純ならざる歴史的経緯をも踏み越えて日本との間に善隣関係を構築しようと努力してきた台湾の人たちに対して、少なくとも今回のNHKの行いは謝罪するに値する重大な罪であるように思いますね。

他人の好意を踏みにじるNHKの振る舞いこそ行いこそ、糾弾されるべき「傲慢さ」と言うべきものではないでしょうか。

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2009年5月15日 (金)

銃刀法改正と医療事故調シンポの話題

非常にマイナーな話題なんですが、実は意外に応用範囲が広そうな記事がひっそりと出ていました。

改正銃刀法が求める医師の診断書 所持許可で原則精神保健指定医に限定(2009年5月13日Japan Medicine)

 銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)が改正され、すでに一部施行されている。今年1月5日から、ダガーナイフなどのような刃渡り5.5センチ以上の「剣」(両側に刃がついた刃物)は原則として所持が禁止され、7月4日までに廃棄するなどの処分が必要になる。各地の警察署が無償で引き取ることになっており、警察庁ではポスターなどを通じ、早めの相談に向けたPRに力を入れている。法改正のこの部分は2008年6月に発生した秋葉原無差別殺傷事件がきっかけ。改正銃刀法が広く国民の関心を集めることになった。

 一方、改正銃刀法には医師も大きな関心を寄せている。猟銃などの所持許可を申請する際に求められる診断書が原則、精神保健指定医によるものに限定されることになるからだ。

 従来、この診断書を書く医師の専門性が問われることはなかったという。大きな社会不安を生じさせる事件の発生もあり、こうした現状に驚きを禁じ得ない。国民にとって、そして医師にとっても決して好ましい状況ではなかった。今年12月までの施行が見込まれており、事態改善に向け、医療関係者らの前向きな取り組みに期待したい。

●専門外の医師が大半

 もともと警察庁が銃刀法改正に取り組むきっかけとなったのは、07年12月に発生した長崎県佐世保市スポーツセンター銃撃事件だった。事件発生を受け、同庁生活安全局長の下にプロジェクトチームを設置。銃砲行政に関する国民の安全・安心を確保していく観点から、幅広く銃砲行政全般について見直しを行う「銃砲行政の総点検」を実施し、08年4月に報告書をまとめた。

 銃刀法では、精神障害者、認知症患者、アルコール中毒患者らは銃所持を許可できない欠格者と定め、各都道府県公安委員会は銃所持の許可・更新申請の際、医師の診断書で申請を行った者が欠格事由に該当しないことの確認を求めている。ただ、同プロジェクトチームの報告書によると、申請者が添付する診断書のうち、約98%は精神障害等を専門としていない医師によるものであったという。

●銃所持許可後の受診命令も

 専門医以外の医師による診断については、地域医療の現場を担う医師からも、専門医以外の医師が初診の精神疾患患者や麻薬常習の有無を判断することは困難との声が上がっており、改善策が強く求められていた。08年5月の中国四国医師会連合総会でも話題に上り、島根県医師会が各県医の対応策を尋ねたが、具体的な対応策を取っているとした県医はなかったのが実態だ。

 改正銃刀法には「許可の申請」について、「医師の診断書であって内閣府令で定める要件に該当するものを添付しなければならない」との規定が盛り込まれた。警察庁はこれを受け、診断書を作成する医師を内閣府令で「原則として精神保健指定医」に限定することにした。

 診断対象の疾患については、<1>統合失調症<2>そううつ病<3>てんかん<4>自己の行為の是非を判別する能力や、判別に従って行動する能力を失わせる病気、またはこうした能力を著しく低下させる症状を呈する病気<5>認知症<6>アルコール、麻薬などの中毒者―を想定する。診断書には、それぞれ「該当しない」「慎重な検査を要する」「該当する」のいずれかを記載するように検討が進められている。

 このほか、「自己の行為の是非を判別する能力や、判別に従って行動する能力がない者、またはこうした能力の著しく低い者」についても参考意見の記載を求める方向だ。
 さらに改正銃刀法では、受診命令に関する規定を盛り込んだ。銃所持の許可後でも、必要に応じて医師の診断を受けるように命令できることになった。受診命令については、今年6月の施行を予定する。診断対象も許可申請の際と同じ病気・症状が想定されている。

 ただ、許可申請の場合と異なり、受診命令では診断する医師を各都道府県公安委員会が指定することになる。具体的には、てんかんは日本てんかん学会の認定医またはそれに準ずる医師、認知症は日本老年精神医学会、日本認知症学会、日本神経学会、日本老年医学会、日本精神神経学会の専門医となる見通しだ。これら以外は精神保健指定医を指定することになる。(那須 庸仁)

この一件、社会的問題としてみると「今まで専門外の医者が好きに書いていたの?」と思われるかも知れませんが、実は結構根深い背景があったりします。
銃器所持に限らず一部職業では薬物中毒ではないといった診断書提出が求められますが、この実態といえばそこらで外来をやっている普通の医師が通り一遍の診察をしただけで書いてしまう(書かされてしまう)という非常にいい加減なもので、そんな診断書にどれほど意味があるものなのかとは誰しも感じるところです。
もちろん専門医であっても診察室に入ってきた患者を一見しただけでぴたりと診断できる(現状ではまさにそうした行為が求められているわけですが)というものでもないでしょうが、そうであるならなおさら非専門家が何を診断できるのかということですよね。

今までは町医者が好意で名前だけ貸すような状況であったわけですが、時に何かあると「トンデモ医師!患者の言いなりに診断書を発行!」とワイドショーネタになったりしますから、こうしたいい加減な行為は社会的に許容されざるものとなってきているということです。
そうでなくとも少し前には精神科病院に入院中の患者が外出中に起こした殺人事件で、病院側が被害者、加害者双方の遺族から訴えられるという事例がありましたが、こうしたことの影響もあってこの種の「お墨付き」診断書発行に対しては医療の側からも「責任がもてない」という声が上がっていたところではありました。
問題は現状ですら数が到底十分とは言えない専門医の手が足りるのかと言ったあたりの話と、恐らく銃器所持者が多いような山間部にはその種の専門医などほどんといないといったあたりになってくるかと思うのですが、今後誰がこの件に関してクレームをつけてくるかといったあたりにも興味が湧くところですよね。

さて、以前から医療事故調論議は進んでいそうで全く進む気配もないまま厚労省は「議論はしました。これでやります」と話を進めたがっている気配が濃厚でしたが、ここに来て国会議員レベルからも「それっておかしくね?」と反対の声が上がってきているようです。
ところがこの話、よくよく聞いてみると声が上がった場所というのが非常に面白いんですよね。

医療安全調、大綱案での創設に賛成意見なし―国会議員シンポ(2009年5月12日CBニュース)

 国会議員シンポジウム「医療版事故調-国会での十分な審議と早期設立を求めて―」(主催=患者の視点で医療安全を考える連絡協議会)が5月12日、東京都内で開かれ、主要6政党の国会議員らが参加した。各党の議員からは、医療事故の死因究明などを担う第三者機関の創設自体に対する反対は出なかったものの、厚生労働省が昨年6月に公表した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」のまま制度を創設することへの賛成意見もなかった

 自民党の古川俊治議員は、「医療版事故調の創設は必要だと考えている」と述べる一方、医療現場の委縮を防ぐ観点から、医療安全調による調査を警察の介入に優先させる必要があるとの認識も示した。また、公明党の福島豊議員は、「医療における業務上過失致死の判断基準を不明確にしたままでは、うまく機能しないという指摘がある」と述べ、医療安全調を創設するには、こうした懸念を解消する必要があると指摘した。

 民主党の足立信也議員は、「医療版事故調査機関の設置は必要だと思う」とする一方、「新しい組織をつくり巨大にしていく必要は全くない」と述べた。厚労省の大綱案については「義務を課し、罰を与える職権主義で解決できるのか」と、有効性を疑問視した。

 共産党の小池晃議員は「今後は、大綱案を土台に議論していく必要がある」とする一方、医療安全調の設置目的を事故の原因究明と再発防止に限定することや、厚労省ではなく内閣府内に設置することなどを主張した。

 社民党の阿部知子議員は、「警察への通報や行政への通知の仕組みが組み込まれている限り、責任追及を分離したシステムにはならない」と訴えた。医師などの行政処分を検討する医道審議会の機能充実も提言した。国民新党の自見庄三郎議員は、遺族救済のための無過失補償制度の創設を主張した。

かねてから「総論賛成、各論反対」だなんてことが言われてきましたが、こうしてみると厚労省案の言うところの司法への引き渡し窓口としての事故調というものに対してはほぼ全面的に反対といった状況になっているようにも見えてきます。
このあたり、いつもお世話になっている「ロハス・メディカル」さんが詳しく取り上げていらっしゃるので以下に抜粋させていただきますが、特に注意すべきはこのシンポが「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」主催であると言う点です。
当然ながらその構成母体である、「医療過誤原告の会」、「医療事故市民オンブズマンメディオ」、「医療情報の公開・開示を求める市民の会」、「医療の良心を守る市民の会」、「陣痛促進剤による被害を考える会」の5団体の意向というものを反映した議論が期待されるところなのでしょうが、実際はどうだったかと言いますとなかなか微妙だったようで…

医療事故調 国会議員シンポ(2009年5月13日ロハス・メディカル)より抜粋

五阿弥宏安・読売新聞東京本社編集局次長(コーディネーター)
「皆さんの意見を伺っていると、刑事と行政処分を切り離すべきという考えが強いようだ。しかし大綱案では通知する範囲は極めて限定的になっている。さらに国民からすると本当に医者だけ免責でいいのかという思いになるし、逆に医者から見ても切り離してしまったら、警察が勝手に捜査するのでないかといことで萎縮医療につながる不安は消えないと思うのだが」

古川俊治・自民党参議院議員
「私は、刑事の過剰な介入への歯止めのためにも、何らかの関連づけは必要という考え方。だから同意見だ」

福島豊・公明党衆議院議員
「県立大野病院事件の時も、医療行為を警察がどう判断したのか分からず、医療側からすると不信感をぬぐえていない。どこからが業務上過失致死なのかが曖昧だ。WHOのガイドラインを考慮するならば、まずは抑制的にスタートを切って、運用していく中で改めて刑事処分のあり方を考えるような2段階でもよいのでないか」

足立信也・民主党参議院議員
(党代表選挙を巡る両院議員総会が開かれている中、こちらに来たそうだ)
「先ほど、福島議員が大綱案に賛成であるかのような誤ったことを言ってしまった。席に戻ってから話をしてみたら必ずしもそうではないことが分かった。ということは、ここに6人の国会議員が出ているが、厚労省案に賛成している者は1人もいない。話を質問に戻すと、我々は原因究明のための委員会を設け、報告書を捜査に連動させないと主張している。医療者だけで調査が無理なら、その時には捜査に頼るしかない。原因究明のための委員会が過失認定すべきでない。しかし大綱案では、認定してしまっているではないか」

小池晃・共産党参議院議員
「一切つなげてならないというつもりはない。しかし今の案では曖昧な部分が多い。故意に近い悪質な事例と言うのだけれど、医療の不確実性を考えると不安定な要素であり、これに委ねて刑事処分につながらないかという不安は当然に出てくる。始めるにあたっては、故意の事例に限定するなど、少し抑制的にスタートするべきなんではないか」

阿部知子・社会党衆議院議員
「そもそも何かあった時には、組織防衛的に隠すようにできている。刑事や行政の処分につながっている限り、この委員会には何ら真実は集まらないと思う。患者さんの求めるものが真実であるならば、キッパリ切り離すべきだ。今だって刑事処分相当のものは警察が独自に捜査している。カルテ改ざんについては医師法を改正して、しちゃいけないようにすればいい。この委員会は事実究明のみに絞った方がいい」

自見庄三郎・国民新党参議院議員
「この委員会を作るという答弁を大臣から引きだしたのは私。当時から厚生省の局長には言っていた。『あんた達がつくっても暗礁に乗り上げるよ』と。今の状態だと、8割の患者は真実を知りたいと思って訴訟するのかもしれないが、8割の医者はたかられるんじゃないかと防御を固めてしまう。両方によいことがないと動かない。まず業務上過失致死の範囲がハッキリしないと。米国では明らかに故意の。。。」

大熊由紀子・国際医療福祉大学大学院教授(コーディネーター)
「はい、会場で待っていて、京都まで新幹線で帰らないといけない方がいるので」と途中で割り込み「ここからは会場の方との質疑応答に。学会方式でマイクの所に来て質問を」

お前は「朝まで生テレビ」の田原総一朗か!と思わず突っ込みを入れたくなるところですが(苦笑)、コーディネーターも打ち切らざるを得ないほどに議論が主催者側も意図からずいぶんと離れてしまっているのかなという印象が拭えません。
それを証明するように、ここから相次いで主催者側の関係者が立ってコメントを出しているわけですが、壇上への総バッシングという現場の状況が想像出来るような話が続いています。

医療過誤原告の会・ワタナベ氏
「この子(車イスの中年女性を同伴)のおむつを今も替えていたところ。一寸先は闇。(略)風邪じゃないけど、点滴でもしとこうか、で、こんなになってしまった。この子が勝手に病気になったんじゃない。カルテを改竄する医者がいる。患者を騙す医者がいる。不正をする医者がいるからこそ、私達がこんな思いをしている。この子に償ってやってください。帰りの新幹線があるので、これで失礼します」
同伴者とみられる男性が
「岡山から来ましたが、私もカルテを改竄されました。ではこれで」

医療情報の公開・開示を求める市民の会・勝村久司氏
「医療裁判では事実経過を争っている。事実がなかなかよく分からない。大野病院事件でも、医療者の中でも医師と看護師の事実経過に関する証言が食い違った。それは非常に嘆かわしいと思っている。何があったのか本当のことを言ってほしい。ウソを言わないという普通の市民感覚を持ってほしいという願いだ。その意味で今日の皆さんの話は、医療者が主語になって違和感がある。良いもの悪いものがゴッチャになって議論されている。せめて4つの所(?)ぐらいは医療の質を高めるのに必要。多くの医師は一生懸命にやっている。しかし、そうでない医師もいる。ダメなものはアカンと反省した方が、そういうシステムをつくる方が、しっかりやっている医療者を守ることになるのではないか」

医療事故市民オンブズマンメディオ・菅股弘道氏
医者の立場としての意見が多い。反対の側から主張してみたい。医者は、事故調が警察に通知するのをイヤだというのならば、事故調は報告書を作ることだけに特化して、それを警察に出すかどうかは医療機関、あるいは被害者・遺族に任せるのはどうか。そういう資料をつくるまでの立場でもよいのではないか。被害者・遺族は納得がいかない場合にも、この機関を利用するだろう。しかし全てが警察に行くとは思わない」

会の名称聴き取れず・ワタナベ氏
「平成5年に子どもを亡くした。調べたら素人の私でも分かるような(おかしな?)ことをしていた。なぜしたかと尋ねたら、今までもこうしていたからと答えた。高齢になって、医療の進歩に知識が追い付いてない、そういう医者をどう思うか。しかも、そういう医者はリピーターが多い。必ず繰り返すし、行政処分も受けてない。そのことが今日は一切説明されていないではないか。医師免許の更新なりを考えていただかないと」

ま、議員さん達もこの時ばかりは「しまった、もう少し空気読むべきだったか…」と思ったかどうかは知りませんが(苦笑)。
こうした会場の声に対しての解答はこのあたりに集約されるのではないかと思いますが、「処罰のために情報を出せでは真実は出てこない」という点では6人の見解は終始一致していたという印象を受けますね。

阿部
患者さんの側でも求めるものをハッキリしないといけないと思う。真実を皆さんが求めるのならレポーティングシステムは、システムエラーの観点から処分につなげてはいけない。実際には、皆さんが求めているものはもう少し複合的で、それは補償も含めた別の仕組みを同時につくらないといけない。事実究明が必要と言いながら、制度の中にパニッシュメントが入っている。それでは、責任追及を求めていることになるのではないか。二兎を追ったら、両方取れない。患者さん側が求めていることは裁判外の紛争処理機関であり、補償を含めたシステムではないのか。問題のある医師への対処は別にした方がいい。本当に皆さんが求めているのは何なのか、明らかにしてほしい

小池
隠蔽や改竄をなくすために作る、その通り。だったら、その通りの中身なんですかというのが問題。この機関がお白州のようになって捜査機関に通知すべきか否かを判断することになると、、かえって隠蔽と改竄をあおることになりかねない。本当にそういう目的の通りに機能するシステムにする必要がある

阿部
「皆さんがどういう気持ちで裁判を起こしているのかは、私も原告側証人として法廷に立ったことがあるので、ある程度分かる。でもだからこそ医師に処分を科すという仕組みと連動しちゃうと、真実が出てこない。補償の仕組みを伴った裁判外紛争処理の機関を機動的に働かせることが必要だと思う。そこで患者さんを救済できるんだということでないと医師も情報を出せない。本当のことを知りたいといって訴訟には限界があるということを知ったのだから、全知全能の裁き手はいないんだということを認識してほしい。患者さんに補償する仕組みを同時に走らせないと、調査だけしてどうするのだろうと思う

今回の場合主催者とその関係者はまさしく事故調を利用する側にもっとも近いだろう人たちと言うことになりますが、真実を知りたいのなら貴方達の求めているようなシステムでは駄目だ、あるいはそれを承知の上で敢えてそのシステムでやれと言うのなら何を目的としたものなのか明らかにしてくれというのはまさしくその通りの話ではないかと思います。
そしてこうした発言を受けて、議論の最後に主催者側の意向を反映しているだろうコーディネーター氏のまとめ的発言というのがこちらなんですが…

五阿弥
刑事処分と切り離さないと真実を語れないというのが本当かなと思っている人が多いのでないか。先ほどの東海大病院のように(菅股氏の事例)真摯に対応しているところもある。全ての医療機関がこうした対応を取れば、そもそもこうしたものが要らないのでないかとすら思う」

大熊
まず始めないことには進んでいかないのでないか。始めている国は既にたくさんある。国会でも議論していただきたい」

いや貴方達、今までさんざん議論してきた流れを華麗にスルーしてそう来るかと思うような総括ですが(苦笑)、まあ何と言いますかこのシンポジウム、色々な意味で人選を誤っていたんじゃないでしょうかね。

事故調的組織の立ち上げに総論反対という人はほぼ皆無という状況ですから異論無しという部分だけで始めてみるというのも一興かなと思うのです。
ところがこうして地雷を踏みつけかねない部分に敢えて固執する人々がいる、しかもそういう人たちこそさっさと立ち上げろと強硬に主張しているというのも、考えてみればずいぶんと奇妙な話だと思いますね。
とにかく小さくでも始めてみればという意見も根強い一方で調査だけではなく補償の仕組みがなければという阿倍氏の意見には同意するところがあるのですが、何しろ産科無過失補償制度もあそこまでせこくまとめてしまった国ですから、広範な補償制度導入など夢のまた夢という気がしないでもありませんが…

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2009年5月14日 (木)

新型インフルエンザ続報 ここにも牟田口後継者の足音が…?

今日も新型インフルエンザ関連の話ですが、このところ非常に興味深いデータが出てきていますので、まずはこちらから紹介させていただきます。

新型インフルの致死率0・4%  国際チームが分析(2009年5月12日47ニュース)

 【ワシントン11日共同】世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は1957年のアジア風邪並みの約0・4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いとする初期データの分析結果を、国際チームが11日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

 チームは、世界保健機関(WHO)の世界的大流行(パンデミック)評価に携わる英ロンドン大インペリアルカレッジなどで「20世紀に起きたパンデミックに匹敵する大流行になる可能性がある」と指摘している。

 チームは、旅行者を通じた世界各国への感染拡大の状況などから、4月末にメキシコで感染者は2万3000人いたと推計。当時の死者数から、感染後の致死率は約0・4%で、1918年出現のスペイン風邪(約2%)よりは低いが、アジア風邪(約0・5%)に匹敵するとした。

 1人から何人に感染するかを示す感染力は、1・4-1・6人と推計。季節性のインフルエンザよりは強く、1・4-2人だった過去のパンデミックの低い方に近いという。

 メキシコでは、1月12日ごろに最初の1人に感染し、4月末までに人から人への感染が14-73回繰り返されたと推定されるという。今回の解析では、最も早く感染が確認され、住民の半数以上が発症したベラクルス州ラグロリアが発生地になったとの説を支持する結果が得られたとしている。

この記事だけでは見る人によってずいぶんと評価の分かれそうなデータですが、やはり決して侮れるようなものではないというのが正直なところではないでしょうか。
ちなみにアジアかぜの流行は1957年のことで、発生したのは中国からだと推定されていますが、全世界で300万人が罹患して死亡者数は5,700人(当時は現在のような迅速診断などなかったことには注意が必要で、実際の数字はもっと大きかった可能性があります)と言われ、相当な猛威をふるったウイルス(とは言え、これでもスペインかぜの約1/10程度)です。
アジア風邪の場合は抗生物質が登場して以降の話で二次性の細菌性肺炎合併による死亡者はスペイン風邪と比べて激減しただろうと予想され、ウイルス自体の危険性というものは必ずしもスペイン風邪より弱いと単純に比較できませんから、今回の新型は決して「軽症型だから大したことないよ」などと楽観できるような状況ではないと思いますね。

特に気になるのは通常ならインフルエンザであまりひどいことになりにくい健常若年者に重症化する例が多いということで、こうなると例のサイトカインストームの話が信憑性を帯びてきます。
現在も季節性のインフルエンザがかなり流行していて、厚労省統計によれば季節性のインフルエンザの致死率は0.05%、年間死亡者数が合併症による死亡込みで1万人前後のレベルと言いますが、この場合の死亡者数というのは流行がなかったと想定した時より増えたと予想される分(超過死亡)であって、その多くが身体の弱い高齢者等に合併症(細菌性肺炎など)を起こしたものと思われます。
通常のインフルエンザより感染力が強く致死率も一桁高い、しかも普通なら寝ていれば治っていたはずの健常若年者にとっても命に関わりかねないということになりますと、本格的にまん延されてしまった場合には社会活動に対する影響も含めてかなりきついのではないかなと思えます。

こうしたことを受けてか、WHOも従来の見解をさっそく修正する必要に迫られたようで、各国の対応にも微妙な軌道修正が必要となりそうではありますよね。
検疫による水際阻止作戦の是非に関しては色々と見解も分かれていますが、これに限らずどんな対策であれやるにしろやらないにしろ「軽症型で大したことがないからやらなくてもいいんだ」といった類のものではなく、それぞれ根拠を元に最善のことをやっていかなければならないのだということは理解しておく必要があるでしょう。

新型インフル「症状穏やか」一転 WHOが見解を修正(2009年5月12日朝日新聞)

 【ジュネーブ=玉川透】世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補は11日の記者会見で、新型の豚インフルエンザの症状について「現段階で穏やかだと決めつけるのは早すぎる」と述べ、穏やかな症状が多いとしてきたWHOの見解を事実上修正した。

 WHOはこれまで、重症者が多く出ているメキシコを除き、穏やかな症状が多いとの見方を示す一方で、新型ウイルスへの感染が若年層に集中しているのは「メキシコなど感染地域に若者が旅行に行きがちなことの反映」と説明していた。

 しかし、関係筋によると、最近になって米国の症例が多く集まり、分析の結果、季節性のインフルエンザでは重症化しにくい若い世代に、肺炎などの重症者が一定数、メキシコ以外でも見られることが分かってきたという。

 WHOは「感染が広がれば若い世代に重症者が増える可能性があり、社会的なインパクトが大きい」(同筋)と判断、軌道修正を余儀なくされた格好だ。フクダ氏はこの日「(症状は穏やかだという)当初の見方は変わりつつある」と発言。特にこれからインフルエンザの流行しやすい冬を迎える南半球では、若者の人口比率が高い途上国が多いことから、一層の警戒が必要だとの認識を示した。

実のところ対応が微妙になってきているのは空港での水際防衛線に限らず、今後患者がやってくるだろう臨床の現場でも同様のことだと思われます。
この点で気になっているのが先日も色々と揉めた経緯のある感染疑い患者の受診に関する問題ですが、やはり国民には周知徹底されていないようで、しかもあってはならない妙な方向に飛び火してしまっているような気配も出てきています。
知っていてもやらざることをやってしまう人間というものはある意味仕方がないところですが、知らないが故にやるべきでないことをやってしまう人が出るというのは当局の職務怠慢と言われても仕方のないところだと思いますね。

新型インフル、受診手順36%は知らず 日経ネット調査(2009年5月13日日経ネット)

 日本経済新聞社が個人を対象にインターネットで実施した調査で、医療機関で二次感染を引き起こさないために政府が求めている受診手順について 36.5%が「知らなかった」と答えた。医療体制への疑問や不満について複数回答で聞いたところ、医療機関の受け入れ態勢とワクチン・治療薬の供給に不安があるとの回答がそれぞれ5割を超えた。

 アンケートは調査会社マクロミルを通じ5月8、9日にインターネットで実施。全国の20歳以上の男女1030人が回答した。

新型インフル感染の高校に「帰ってくるな!」(2009年5月13日スポーツ報知)

 大阪府寝屋川市の府立高校で、男子生徒3人と教員1人が新型インフルエンザに感染したことを受け「なにをしているんだ」など、行政・学校の対応を批判する内容の電話が9日以降に計約50件、寝屋川市に寄せられていたことが12日、分かった。なかには「なんであんな高校が研修に…」などと、生徒を中傷する内容の電話も出てきており、市では対策に頭を悩ませている。

 市によると、内容で最も多いのは感染者が出た高校を特定するための問い合わせだという。市内には3つの府立高校があり、感染の拡大を不安視する市民が「どこの高校か教えてほしい」と聞いてくるケースが多数を占めるという。

 市側の対応だが、感染者の人権やプライバシーに配慮して、「どんな高校がありますか」と問われた場合だけ、3つの高校名を列挙する回答にとどめている。

 しかし感染確認から日がたつにつれ、かかってくる電話の内容は次第にエスカレート。感染が明らかになった当初は「なぜ早く帰国させなかったのか」などと学校や府教委の対応に向けられた批判が多かったが、ただ単に市職員を「バカヤロー」とののしったり、生徒に矛先を向ける過剰反応も増えてきた

 極端なケースでは「成田(空港)から帰ってくるな!」と、感染者の永久的な隔離を求める声や、高校を勝手に特定したと思われる人から「なんであんな高校の生徒が、カナダに研修なんか行くんや」と、根拠のない中傷も出ているという。

 電話はほとんどが市内からだが、中には愛知など他府県からのものもあり、神奈川からは「教師は何をしてたのか」との声が寄せられている。

 市の危機管理室では、今後も生徒の人権に最大限配慮。感染と無関係の生徒にまで及ぶ批判が続くようなら「精神的なケアなど、大阪府教育委員会に協力を仰いでいく必要がある」としており、今後もピリピリムードが続きそうだ。

このあたり、本来であればマスコミが国民に対して広く正確な情報を知らせていくべきなんでしょうが、むしろ率先してデタラメを広めているような状況でもありますから仕方がないとも言える事態なのかも知れません。
しかしアメリカあたりではどうせ弱毒型だからと「さっさと感染して自由になろう!」なんてことを言い出す人たちも出ているようですが、前述の通り決して侮れないものであって「なあに、かえって免疫力がつく」などと間抜けなことを言っている場合ではないんですよね。
今後殺気立っていくだろう現場で余計なトラブルを招かないためにも、是非とも早急にきちんとした広報を行っていってもらいたいものだと思いますね。

さて、実際に国内発生例が多発し患者が大挙してやってきた場合に、末端医療機関ではどう対応すべきなのでしょうか?
診断キットや抗ウイルス薬の供給が何とか行われるとしても、例えば外来患者の症状からインフルエンザを疑い迅速検査でA型陽性となった場合、全例PCRで新型かどうか確認するのは時間的にも手間的にも非現実的と思われますよね。

ちょうど現在季節性のインフルエンザも流行しているわけですが、こちらについでも昨年辺りからA型に関してはタミフル耐性株が大きな問題となっている一方で、新型インフルエンザは消化管症状が出やすいとも言われていることなどからも、抗ウイルス薬を使うなら吸入薬のリレンザよりもタミフルの方が第一選択になるんじゃないかという気がしています。
そうしますと「A型が出たらとりあえずタミフル」という対応では耐性株の多い在来型には無効ということになりかねず難しいところですが、このあたりは薬の在庫も有限ですからどういった症例に抗ウイルス薬を用いるべきなのかも含めて、ある程度明確な方針が出てくるまでは現場の判断でやっていくしかなさそうです。

これとは別に気になるのが、先日も書きました新型対策に要するコスト負担の問題です。
新型に対応するとしても国が言うようなことを馬鹿正直に行っていくとすればとんでもない大赤字になってしまうわけですから、ただでさえ経営厳しい医療機関にとっては今後大流行にでもなれば大変だろうなとは想像できることです。
公の要請に応えて発熱外来を開設するのは仕方ないとしても、病院にとっては少しでも出費が減るならそれに越したことはないのが本音でしょうが、この点で非常に良さそうなやり方だなと思ったのがこちらの「ドライブスルー方式」というものです。

「発熱外来」ドライブスルーで 栃木・小山市(2009年5月12日産経新聞)

 新型インフルエンザの国内流行に備え、栃木県南健康福祉センターや小山市などは11日、感染の疑いのある患者を診察する「発熱外来」のシミュレーションを同市外城の市総合公園で行った。

 発熱外来の形態の一つとして、患者が車内にいながら、検温や問診、医師の診察、治療薬を受け取ることのできるドライブスルー方式がある。同市は、約600台分の駐車場がある同公園で、発熱外来の準備段階としてシミュレーションを実施することにした。

 この日は小山地区医師会の医師や、同センターの保健師ら約80人が参加。防護服を着用して、患者役の関係者に問診用紙を配ったり、簡易検査を行ったりするなど、受診作業の流れを確認した。

経費削減に加えて感染拡大阻止という点でもなかなかうまいことを考えたなと思いますが、しかしこれも本筋から言えば国が十分な予算をつけるのが本筋だと思える話ですよね。
ところが実際のところは予算をつけるどころか、「金がかかる?現場が身銭を切って勝手にやればいいんじゃないの?」と受け取られかねない(実際のところ本音はその通りなんでしょうが…)発言が政府筋から出ていることは非常に気になるところです。

新型インフル、予算面で新しい措置講じなくても対応可=杉本財務次官(2009年05月11日プレジデントロイター)

[東京 11日 ロイター] 財務省の杉本和行次官は11日、定例の記者会見で、国内で感染が確認された新型インフルエンザについて、予算面で新しい措置を講じなくても対応が可能だとの認識を示した。

 杉本次官は、新型インフルエンザ対策について、1)抗ウイルス薬「タミフル」「リレンザ」は十分な備蓄を確保、2)十分な医療体制も整備、3)仮にワクチンを製造する必要が出てきたとしても、2009年度当初予算と補正予算で対応可能──などとして「現在のところ、特に予算面で新しい措置を講じなくても対応が可能だ」との認識を示した。

 一方、新型インフルエンザが日本経済に与える影響については、海外旅行の減少や海外経済の落ち込みによる輸出の減少、医療費の増加などを挙げ「今後も注意深く見守っていきたい」と語った。

まあ財務省ですから実際のところこういう認識なんだろうなとは思いますが、現場医療機関や自治体からは何とかしてくれと実際に声が上がってきている一方、一部自治体では国が動かないからと独自の予算まで組もうとしているような状況下で、国の官僚がこういうことを言うというのはどうなんでしょうかね?
別に「人の命は何よりも重い」などと言うつもりもありませんが、国民に対して責任を負うべき政府の高官が現場に丸投げでバックアップはしませんと公の場で口にしちゃうのはどうなのよと言うことです。
あるいはこんなところにも牟田口氏の末裔がいらっしゃるということなんでしょうか…正直勘弁してもらいたいところなんですが。

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2009年5月13日 (水)

最近の地方医療行政関連の話題

最近インフルエンザの話題ばかり取り上げていますが、その間にもあちこちから色々な話題が飛び込んできています。
先日もお伝えしましたように、奈良の産科医賃金未払い訴訟の判決が不服として県側は早々に控訴を決めていましたが、医師側も控訴することになったようです。
結果として医師側としては完全勝訴を目指すという形になりましたが、県側に反省の色が見られない以上はこれもやむなしということなのかも知れません。

産科医宿直賃金訴訟:医師側も控訴/奈良(2009年5月8日毎日新聞)

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人の宿日直勤務に対し、奈良県に時間外割増賃金など約1540万円の支払いを命じた先月22日の奈良地裁判決について、原告の産婦人科医側が大阪高裁に控訴した。

 控訴は2日付。原告側弁護士は、自宅待機する「宅直」が時間外労働と認められなかったためとしている。県側は既に控訴している。【高瀬浩平】

裁判の結果ももちろんですが、これは明らかに全国の医療現場共通の問題でもあるだけに、当事者である奈良県以外の自治体で今後どのような対応を取ってくるかということにも大いに注目していかなければならないでしょうね。

さて、自治体病院はどこも経営が大変だということは既に広く知られているところですが、以前にも書きましたとおり総務省の「公立病院改革ガイドライン」などといった外圧もあってあちこちで経営改善の動きが本格化してきています。
実際にはほぼ全ての病院で赤字という状況なだけに黒字化を目指すには医師などスタッフを集められるかどうかが問題になってきますが、通常私立病院から公立病院へ逆戻りする医師もそう多くはありませんから、当然引き抜かれる先も別な公立病院となってくる道理です。

公立病院、3割が病床削減や削減検討 朝日新聞社調査(2009年4月24日朝日新聞)

 公立病院の3割が入院ベッドの削減を決めたり、検討したりしていることが、朝日新聞の全国アンケートで分かった。北海道では6割、東北で4割に上る。医師不足や診療報酬の抑制に伴う減収で、地域医療の中核を担ってきた公立病院の縮小が進んでいる。患者が必要な医療を受けにくくなる可能性もある。

 公立病院の経営が自治体財政を圧迫していることを背景に、総務省は今後5年間の経営改善プランを3月までに作るよう自治体に求めた。朝日新聞は3~4月、自治体が運営する934の公立病院にプランの内容を尋ね、657病院(70%)から回答を得た。

 ベッドの削減(08年度実施を含む)を決定、検討していると答えたのは33%。削減数を具体的に答えたのは137病院で計5729床。回答した全病院のベッドの少なくとも3.4%が消える計算だ。

 北海道の病院の61%、東北の44%が減らすほか、近畿36%、四国36%、北陸・甲信越・東海28%、九州26%、中国25%、関東12%。民間医療機関が少ない小規模自治体では、公立病院の役割が大きいが、そうした地域に多い50床未満の病院の49%が、削減を決めたり、検討したりしていた。44%は診療所への転換も検討していた。

 青森県つがる市立成人病センター(92床)は、13年度に無床診療所になることが決まっている。近隣の病院との再編で、同センターが「サテライト(衛星)診療所」と位置づけられたためだ。長崎県松浦市民病院(60床)は19床の診療所になった。

 ベッドが減ると、入院患者の受け入れに支障が出る恐れがある。ベッドを置かない診療所に転換すると、医師が一人だけになったり、夜間診療に制約が出たりすることが考えられる。

 削減の理由を北海道の町立病院は「医師不足で入院患者を診ることができない」と説明。「ベッド利用率が低いため」(長野県内の病院)との声もあった。一般病床の利用率は05年度の平均80%から07年度は75%に下がっていた。

 経営面では収入減を招きかねない。一方、人件費や経費の削減につながるほか、診療報酬の算定で有利になる面もある。削減による経営への影響は病院ごとに違う。(錦光山雅子)

総務省などはこの機会に人員、病床ともどもの集約化と言うものをすすめなさいと言う方針のようですが、実際に改革プランが動き始めたここに来てある程度勝ち組負け組というものが見えてきたようにも思いますね。
やはり基本的にはどれだけ人材を抱え込めるかということになるわけですが、周囲のサポートが得やすいなど大病院ほど働く医師にとってもメリットがあり、また経営母体である自治体にとっても黒字化を目指すメリットが大きいということで、中小病院から大病院へという流れが主流になってくるのは仕方のないところでしょう。
各地の病院から現状が漏れ聞こえてきていますが、一部病院などではこの機会に人員大幅増という景気の良い話もある一方、元々危機的であったものが更に減員となり青息吐息という状況の施設もあるようです。

医師19人増 市立堺病院 給与アップ、移転計画奏功?/大阪(2009年4月16日読売新聞)

 堺市の木原敬介市長は15日の定例記者会見で、市立堺病院(堺区)の医師が今月から19人増えて129人となり、内科・小児科救急などを拡充することを明らかにした。市は1月に医師給与をアップしており、今後は病院移転と救命救急センター整備も計画。同病院では「積極的な姿勢が評価されたのでは」と歓迎する。
 市によると、3月までは常勤医68人、非常勤42人の計110人だったが、4月1日から常勤医は10人増の78人、非常勤も9人増えて51人。増えた19人のうち14人が内科で、夜間救急外来は、当直1人と午前0時まで勤務する半当直の〈1・5人体制〉だったが、当直を1人増やし〈2・5人体制〉とする。また、重症患者に対応するための専従チーム「内科急性期科」を設置。

 <一部体制を拡充>
 小児科は今月中の増減はないが、5月から非常勤で1人増える予定。そのため、輪番で週5日だった救急受け入れを、今月から週6日、6月からは毎日に拡充する。
 市では1月、常勤医の給与を年平均で約110万円アップ。救命救急センター整備と一体的に病院移転を進めるために新設された局長級ポスト「医療監」の北村惣一郎・前国立循環器病センター総長らが医師確保に努めてきた。
 ただ、同病院では医師定数(常勤90人、非常勤52人)を下回り、休診・休止中の眼科と新生児集中治療室(NICU)は再開できず、「今後も医師確保に努めたい」としている。

安定経営へ 改善急務/大阪(2009年5月10日読売新聞)

市立柏原病院、常勤医4人増 収益、病床利用率向上など

 全国の公立病院で医師不足が深刻化する中、柏原市立柏原病院は4月から常勤医4人を増員し、12科32人態勢での運営を始めた。2006年には、常勤医の半数以上が退職を申し出たのに後任のめどが立たない事態に見舞われたが、岡本泰明市長が「市政の最重要課題」と位置付けて医師確保に乗り出した結果、派遣に応じる新たな大学病院が現れ、その後の増員につながった。しかし、累積赤字は巨額で単年度収支の黒字転換へのハードルも高い。同病院が目指す「安定経営」の実現はこれからの課題だ。(池尻太一)

 「新任医師8名着任」「『安心できる市立柏原病院を目指して』ますます充実!!」。4月3日、柏原市のJR柏原駅前などで岡本市長や市職員、同病院の看護師ら約100人が配った市報号外に、こんな言葉が躍った。

      ◎      

 同病院では06年、常勤医28人のうち内科や小児科、整形外科の15人が07年3月末までに順次退職すると申し出た。従来であれば、医師を派遣してきた大学病院が後任を派遣し、患者の治療を引き継いでいた。しかし、04年に導入された医師臨床研修制度で状況が一変。都市部の大病院での研修を希望する医師が増え、大学病院が地方の公立病院に後任を派遣するだけの人繰りがつかないケースが増えたのだ。

 同病院も後任を確保できる見通しが立たなくなり、岡本市長や病院幹部は府内や周辺の大学を約100回訪れる〈トップセールス〉を展開した。「病院を地域の財産として守り続けるという決意を示せば、来てくれる医師も出ると信じて動いた」と岡本市長は振り返る。

 医師がいなくなった整形外科は06年11月から2か月間、休診を余儀なくされたが、大阪市立大と近畿大が医師の派遣を引き受けてくれることが決まり、15人の後任を確保。整形外科も07年4月から再開にこぎ着けた。その後は28人態勢で運営を続け、今年3月に4人が退職したが、糖尿病や心臓カテーテル治療の専門医ら新任8人が4月に加わり、4人増の32人態勢となった。

      ◎      

 ただ、07年度決算で累積赤字が約60億円、同年度の経常赤字が約10億円に上るなど経営が厳しい状況に変わりはない

 経常収支を黒字に転換するためには、収益を同年度の56%増となる約45億円にまで高めなければならないと同病院は試算する。実現には240床ある病床の利用率を現在の80%から90%に、1日当たりの外来患者数を400人から470人に伸ばすとともに、高度で診療単価が高額な医療を増やしていかなくてはならないという。

 近隣でも松原市立松原病院が経営難から3月末で閉院しており、経営改善は急務だ。中川喜美治・事務局長は「目標は高いが、市民の財産である病院を守ろうという意識が医師と職員の間で高まっている」と話す。

退職医師早くも10人 09年度県立病院 /岩手(2009年5月11日岩手日報)

 県立の二十一病院と五地域診療センターに勤務する医師(常勤医と二年間の臨床研修後に専門的な研修を行う若手医師)のうち、二〇〇九年度に入ってからの退職者(予定を含む)は既に十人に上り、前年度末日付の退職を翌年度分に数える県医療局の統計上、〇九年度は早くも四十人に達することが分かった。データがある〇四年度以降では最多。県医療局は五地域診療センターの無床化などで、基幹病院を中心に医師の集約化を進めているが、医師退職に歯止めはかからず、地域医療再生の道のりは険しい

 県立病院の医師の退職者数(定年や大学の医局人事は除く)は〇四年度三十八人、〇五年度三十七人、〇六年度二十八人、〇七年度三十七人。

 〇八年度は二十五人で、〇四年度以降、最少だったが、五年間での退職者数は計百六十五人に上る。開業や民間病院への転職を理由に退職する医師がほとんどだ。

 さらに、〇九年度の退職者数(予定を含む)は統計上、既に四十人。このうち、三十人は〇八年度末の〇九年三月三十一日付で退職したが、年度末の同日付の退職者は決算処理や総務省への報告上、翌年度の退職者数に数えられる。

金木病院の常勤医5人へ 婦人科医師は非常勤(2009年4月29日陸奥新報)

 五所川原市金木町にある公立金木病院が、6月から常勤医5人体制になる。今月末で内科医一人の退職が決まっていたが、さらに来月末で婦人科の常勤医が自己都合から非常勤医となることが分かった。婦人科の診療は変更なく行う予定。
 同病院は先週、婦人科医から退職願を受け取った。同病院によると28日、同医師との話し合いで婦人科診療は外来、入院ともに従来通り行う意向を確認。救急受け入れは残る常勤医が継続していく考えを示したという。
 同病院の医師充足率は来月で70%を下回り診療報酬減額対象になる。婦人科医の非常勤医移行で60%を下回ることになるが、さらなる減額ラインの50%は保たれる。

ところで、最近では現職場をドロップアウトして待遇の良い施設に行くなどという話もよく聞きますが、相対的に待遇も悪く労働条件も過酷な施設が多い公立病院の医師不足の方が厳しくなってきているのではないかという想像はつくところです。
となれば公立病院ももっと待遇を良くして人を集めれば良いのにとは誰しも思うところでしょうし、実際に公立であっても破格の給与を用意して医師集めを行っている施設も出てきています。
そのあたりの実効性はどうなのかといったあたりも気になるところですが、先頃全国自治体病院協議会の出した実態調査の結果がなかなか興味深いので引用してみましょう。

自治体病院における医師充足状況実態調査結果(全国自治体病院協議会)より抜粋

調査結果
(1)     医師が不足している病院     343病院
(2)     上記343病院のうち、立地条件が離島・辺地・振興山村・過疎地域に該当する病院 275病院(80.2%)
(3)     医師が不足している病院の医師の充足率      79.8%
うち、立地条件が離島・辺地・振興山村・過疎地域に該当する病院    77.6%

(特徴)
・病床規模別では100床未満の病院の充足率が68.7%と低い。(第10表参照)
・開設者別では、町村立の病院の充足率が71.5%と低い。(第10表参照)
・地域別では、北海道の100床未満・町村立の病院の充足率が51.7%・54.3%と低い。また、東北の100~199床・町村立の病院の充足率も70.6%・69.5%と低くなっている。(第12表参照)
(4)     医師が不足している病院の常勤医師1人当たり年間給与額     16,969千円
うち、立地条件が離島・辺地・振興山村・過疎地域に該当する病院  17,383千円
※ 参考 回答病院のうち、一般病院676病院の常勤医師1人
    当たり年間給与額                   15,043千円

(特徴)
・病床規模別では100床未満の病院の給与額が20,551千円となっており、200~299床の病院の16,024千円に比べ、28.3%高い。(第14表参照)
・開設者別では、町村立の病院の給与額が19,337千円となっており、市立病院の15,851千円に比べ、22.0%高い。(第14表参照)
・地域別では、北海道の町村立及び組合立の病院の給与額が27,892千円、24,660千円と高額であり、関東の町村立及び組合立の病院と比べると、 15,885千円、14,922千円とおよそ2倍となっている。(第16表参照)

要するに田舎の小さな病院ほど医師不足が著しいという当たり前とも思える結果なのですが、見てみますと中小病院や僻地病院など医師不足の目立っているような施設ほど給与が高いという傾向が見て取れます。
「人が来ないんだから高い給料を出してでも集めるのは当然じゃないか」と言うのは真っ当な考えだとは思いますが、一応こうして金銭的には優遇していても人が集まってこないということは、未だ医師にとってのインセンティブとしては十分ではないということは言えそうですよね。
ただしここで追記しておかなければならないことは、田舎の公立病院などですと僻地手当などの諸手当名目で見た目の支給額は増えていても、退職金などの額に影響してくる本給に関しては増えていない場合が結構あるということで、このあたり公立病院に永年勤続が多い看護師や事務職員などと比べて明らかに医師が冷遇されている部分ではあります。

いずれにしても公立病院改革はしなければならない、しかし医師がやってこないという以上は再編するなり縮小するなりしなければならないという結論に遅かれ早かれ達するのではないかと思いますが、この辺りもなかなか難航しているようです。

県立地域診療センター無床化:説明会で新体制の問題浮き彫り /岩手(2009年5月8日毎日新聞)

 ◇迅速な搬送、治療対応など山積

 県立地域診療センターの病床休止(無床化)問題で、地域住民を対象にした達増拓也知事の説明会が7日、紫波町で開かれた。4月に行った一関市花泉町、花巻市大迫町に続き3回目で、これで半数を終えた。「入院先を探すのに苦労した」などの訴えが住民側から上がり、迅速な搬送・治療対応など、新たな地域医療体制下での問題点が浮き彫りになってきた。【山口圭一】

 ◆救急体制

 4月の土曜日、花巻市大迫町の80歳代男性の容体が急変した。旧大迫町内唯一の医療機関である診療センターは休日・夜間、医師は不在だ。男性は直線で約18キロ離れた市内の病院に搬送されたが、間に合わず死亡した。

 社会福祉法人大迫桐寿会の佐藤忠正理事は、この事例を挙げ救急時の不安を訴えた。知事は「命にかかわる症状は、これまでも基幹病院に運んでいた」と説明。救急車の増備を求める意見にも「花巻市のこと」と答えるにとどまった。

 説明会後、佐藤理事は「地元で診てもらえれば助かったかも、と遺族は悩み続ける。知事は、こうした住民感情にも目を向けてほしい」と語った。

 ◆終末期医療

 地元で終末期医療を受けたいという声も集まった。知事は「地域医療は医療だけでなく、福祉などケア全体ができて安心できる」と語るが、「2次医療圏ごとに話し合って仕組みを作ってほしい」と具体像は見えない。

 県は、今月から秋にかけて地域ごとに3回程度、住民や医療団体、県立病院の医師らが話し合う懇談会を設けるが、「住民や医療機関がそれぞれの取り組みを見直す。地域で新たな取り組みがまとまる可能性もある」(保健福祉企画室)。

 「大迫地域医療を考える市民の会」共同代表の佐々木功さんは「無床化の代わりにどう手当てできるのか聞きたかったが、何も分からない」と憤る。

 ◆民間移管

 センターの入院施設を、老人保健施設や医療機関として活用する民間移管に期待を寄せる住民も多い。だが、先行する花泉でも介護保険の負担を巡り市や県の協議が続き、実現は「条件が整い次第」(県医療局)だ。紫波郡医師会の試算では、入院時に20病床をフル稼働させても年間4000万円程度の赤字が出る。同医師会の渡辺立夫副会長は「今の法制度では民間移管しても赤字になる」と疑問視する。

追跡京都2009:舞鶴の公的4病院再編問題 安定した医療提供必須 /京都(2009年5月10日毎日新聞)

 ◇一つの基幹病院と幾つかのサテライトに集約 医師配分など利害絡み曲折

 舞鶴市で設置母体が異なる公的4病院を一つの組織に統合、再編するという全国でも例がない動きが進んでいる。市立舞鶴市民病院、日本赤十字社の舞鶴赤十字病院、国立病院機構の舞鶴医療センター、国家公務員共済組合連合会の舞鶴共済病院の四つ。市公的病院再編推進委員会(座長・浅井孝司副市長)は先月、4病院を一つの基幹病院といくつかの小規模なサテライトに集約し、1組織で運営する構想をまとめた。今後は、市が各病院の設置母体から合意を得られるかどうかがポイントとなる。経緯や課題を整理した。【珍田礼一郎】

 ◆一斉辞職

 再編の大きな要因となっているのが医師不足だ。人口約9万人の市で、四つの大型病院という充実した医療環境を誇ってきたが、診療態勢の維持が困難になった。

 04年3月、舞鶴市民病院で、内科医14人中13人が一斉辞職した。以後、民間委託を模索するが頓挫。常勤医の確保が困難となり、休止したり手薄となった診療科で患者が減り、病院経営を圧迫するという悪循環が続いている。病床利用率は08年度で18・1%と低水準。市は赤字補てんのため、09年度予算で9億6000万円を同病院に繰り入れる。

 他の3病院も常勤医の不足で、診療科を休診や縮小させている。例えば、交通事故で重いけがを負い、脳神経外科や整形外科、神経内科を受診する必要があるとしても、医療センターは整形外科、共済と赤十字病院は脳神経外科と神経内科の常勤医がいない。チーム医療ができないのだ。

 一方、4病院の常勤医師数は計106人(07年度)で、患者数が同じぐらいで病床利用率85・8%の京都第一赤十字病院の118人(同)と比較しても、そん色がなかった。そこで、市は「トータルで安定した医療を受けられる基幹病院への統合」を構想し始めた。

 ◆再編プラン

 07年5月、齋藤彰市長の私的諮問機関「舞鶴地域医療あり方検討委員会」が発足。同11月の最終答申で、4病院を1、2施設に再編する方向が示された。

 今年1月、市内の公的4病院長らが委員を務める市公的病院再編推進委を設置。府中丹東保健所長や舞鶴医師会長らも名を連ね、再編へ向けた実質的な協議を重ねた。

 推進委は2回目の会議(今年4月)で、東地区に二次救急(入院や手術が必要となる医療)機能を持つ1基幹病院、西地区に療養機能を持つサテライト病院を設置することを目指すことで合意。基幹病院の規模は、4病院の急性期病床数1005床の病床利用率60・5%を反映し、500~600床程度。建物は既存利用と新設の両面から検討するとした。

 ◆設置母体と協議

 市は「医師が四つの病院に分散している状態を解消したい」と必要性を強調し、先月下旬から東京都内の各病院の本社、本部へ出向いてプランを説明している。しかし、医師数の配分や派遣元大学をどうするのか、といった問題で利害は一通りではない。

 新病院建設の場合は、資金も課題。市は約75億~198億円の建設費を予想するが、市が全額負担することは、一般会計からの多額の繰入金がある現状では議会からの強い反発が予想される。

 市は各母体との協議を進め、早ければ年内に合意を取り付けたい考え。「1病院だけでは舞鶴地域の医療を担えないのが現況。他の病院があって安定した医療を提供できる。これは、どの病院も同じ」としている。

名古屋市立病院再編、医師不足の特効薬か? /愛知(2009年4月15日中日新聞)

 名古屋市内に5つある市立病院が、医師不足にあえいでいる。計199人の定員に17人が足りない。特になり手が少ない産婦人科医や小児科医は、過酷な勤務に疲弊している。市が病院再生の策として打ち出した病院の再編計画には「地域医療切り捨て」との批判も。市長選の候補者たちは、どんな解決策を提示するのか。

 「こんな姿を見たら産科医のなり手がいなくなるわな」。城北病院(名古屋市北区)第一産婦人科の柴田金光部長(55)は自嘲(じちょう)した。

 当直は月に6回。さらに月2回は、別の市民病院に当直の応援に行く。深夜に呼び出されたり、当直で未明に出産に立ち会った後、日勤で手術を数件こなすことも珍しくない。

 同病院の産科医は5人。5病院では最多とはいえ、13人いる名古屋第一赤十字病院(同市中村区)と比べれば、差は歴然だ。

 2004年に始まった臨床研修制度で研修医に病院選択の自由を認めたため、都市部の民間病院に研修医が集中。公立病院は軒並み医師不足に陥った。5病院も収入が激減し、累積赤字は計167億円に上る。

 医師が減り救急対応も十分にできない。症例も増えず、経験を積みたい若手医師が来なくなる悪循環を生む。城北病院の研修医採用数は昨年、本年度ともゼロ。市は「医師に選ばれる病院を目指す」と3月末、2病院を中心に医師を集約し各病院に特長を持たせる改革プランを発表した。

 11年度に北区に完成する「クオリティライフ21城北」には城北、城西病院の医師を集め、24時間体制で重篤な出産を扱う体制を目指す。一方、守山市民病院では昨年4月に出産の取り扱いをやめた。城西も2年後にやめる。

 こうした動きに「地域医療を考え守山市民病院を守る会」の幹事、橋本克己さん(67)は「市立病院の役割を放棄している。採算だけを追求する姿勢はおかしい」と反発する。

 城西病院に通う、妊娠5カ月の妊婦(26)は「病院が遠くなるのは困る。民間産院も、予約を早めに取らないと産めないと聞く。どの市立病院でも産める方がいい」と話す。

 市病院局の上田龍三局長(64)は「集中と選択で魅力ある病院にしないと、医師は集まらない。今の状況では、すべての病院で何もかも診療するのは不可能」と理解を求める。

まあ誰しも今以上に良い状況を希望する一方で、今より悪くなるのは勘弁してくれと思うのは人間心理と言うものですから、ある程度揉めるのは仕方ないのかも知れませんが、世の中には虻蜂取らずといった言葉もありますのでねえ。
こういう記事を見てみますと「既得権益を主張する守旧派」だとか「行政のリーダーシップの欠如」などと言ったネガティブなイメージばかりが出てきかねないところなんですが、一応弁護しておきますと地方の医療行政というのは今やよほどのことがない限り「失敗して当たり前」と言ってもいいくらいな状況になってきているのも確かです。
最近では自治体首長選などにおいても医療問題というものは大きな争点になってきているのと裏腹に、誰がやっても結局うまくいかなさそうな壊滅的状況というものを示す記事も幾つか紹介してみましょう。

検証・荒井県政:就任から2年/上 医療体制 /奈良(2009年5月8日毎日新聞)

 ◇早い対応、伴わない結果

 「奈良の政治でデビューしてからお世話になり、感謝しております」。今年2月23日、奈良市内のホテルであった自民党県議らの勉強会で、荒井正吾知事が頭を下げた。勉強会には、県議会最大会派「自民党」の県議17人のうち11人が参加する。荒井を支える中心的存在だ。

 国土交通省で海上保安庁長官まで登り詰めた荒井。元運輸相の古賀誠・自民党選対委員長に誘われて01年に同党参院議員に転身し、07年5月に知事に就任した。

 県内での政治基盤はないに等しい荒井にとって、後ろ盾の古賀の存在は大きい。07年夏、勉強会のメンバーらが古賀を支持する親ぼく会を結成した。「他県の国会議員の親ぼく会ができるのは異例」(他会派の県議)だが、荒井と自民党の蜜月関係を示すものと言える。

 そんな荒井が独自色を出し始めたのは医療政策だ。荒井は勉強会で「県立病院の再生により力を入れていきたい」などと熱弁を振るった。06年8月、町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となった妊婦が、19病院に搬送を断られて死亡。知事就任間もない07年8月には、橿原市の妊婦が大阪府高槻市の病院へ搬送中に救急車内で死産した。県内の救急搬送体制が全国的に注目を集めたことが荒井を駆り立てた。

 荒井は、調査委員会を立ち上げ、1次救急輪番の整備に乗り出した。08年度から、看護師が受け入れ病院を探す妊婦搬送コーディネーターを新たに設置。08年5月には、大学教授や病院長ら約200人が救急医療や医師確保などについて話し合う県地域医療等対策協議会を創設した。自民党も、県議会厚生委員会(9人)に勉強会の議員4人を送り、支援態勢を固める。

 ただ、全国的な医師・看護師不足などが影響し、妊婦搬送コーディネーターはわずか1年で廃止。ハイリスク妊婦の県外搬送率は25%から5ポイント下がったが、昨年5月に開設した総合周産期母子医療センターも看護師不足で31床のうち22床しか稼働できていない

 背景には、06年度に国が導入した看護配置基準がある。これまでの「患者10人に看護師1人」に加え、「7人に1人」の枠が創設された。手厚い看護で診療報酬が増額されるため、大阪や京都などの大学病院や民間総合病院で看護師の需要が高まり、県内の新卒看護師が都市部に流れた。

 追い打ちをかけるように、生駒市が開院を目指す市立病院の病床配分を巡って県と県医師会が対立。地域医療等対策協議会の委員20人が辞任届を提出する事態になっている。

 塩見俊次・県医師会長は「知事の意気込みは評価できるが、もう少し現場や実態を反映した施策を」と注文する。荒井のスピード感ある対応に結果が伴わないのが現状だ。「柿本県政より積極的だが、結果が出ていない。今年は正念場だ」。ある県幹部はこう漏らす。(敬称略)

銚子市長選:リコール何だった? 賛成派が4分裂/千葉(2009年5月8日毎日新聞)

 千葉県銚子市の市立総合病院の診療休止に端を発する出直し市長選(10日告示、17日投開票)が「百家争鳴」の様相。休止に反発して市長リコール(解職)を成功させた市民グループから4人が名乗りを上げ、リコール賛成票は事実上4分裂。失職した前市長らも出馬の構えで、市民からは「リコールは何だったの」と戸惑いの声が上がっている。【新沼章】
 ◇10日に告示

 岡野俊昭前市長(63)が昨年7月、財政難から病院(393床)の休止を決めたのが発端。10月1日の休止直前まで患者は転・退院で混乱し、リコール運動の母体「何とかしよう銚子市政・市民の会」が結成され、必要な署名数を確保。今年3月の住民投票で賛成2万958票、反対1万1590票でリコールが成立した。

 前市長失職後、リコール推進派から、会社社長の茂木薫(58)▽市立病院の元勤務医、松井稔(45)▽市議の石上允康(みつやす)(63)▽塾経営の高瀬博史(59)の4氏が名乗りを上げた。4人とも会メンバーだが、「会は役割を終えた。分裂ではない」と口をそろえる

 一方、失職した岡野氏は、リコール派の動きをにらみ、消極姿勢から一転出馬を決意。「病院を再開できるのは自分だけ」と訴える。06年市長選で岡野氏に敗れた元市長、野平匡邦(まさくに)氏(61)も、返り咲きを狙う。

 6人全員が「病院の早期再開」を公約にするが、再開後の経営手法などに微妙な差がある。そもそも医師不足の深刻化ですんなり再開できるか疑問視する見方もある。

 「民主主義のコスト」もばかにならない。住民投票の経費は2300万円だった。出直し市長選の2800万円は09年度予算からひねり出すが、いざという時に使える基金は580万円しかなく、市幹部は頭を抱える

 住民投票の結果から単純には推測できないが、岡野氏の返り咲きもあり得る情勢。財政難に端を発した病院休止問題が、計5100万円かけてリコール前に戻るとなれば、文字通り「元のもくあみ」となる。

ま、その…こういうもの悲しい記事を見ていますと、「みんな貧乏が悪いんや!」と言う言葉を思い起こしてしまうのは自分だけでしょうかね…
それでも金銭的な問題は何とか行政側の努力で何とかしてもらうにしても、最終的にはやはりスタッフの人材確保次第という話になってくることは仕方がありません。
いずれ日本では限られた医療職の奪い合いという事態が起こってくるのではないかと考えているのですが、そうなるといよいよ医療のボーダーレス化という話になってくるでしょうし、日本をそちらへ主導したい勢力も確実に存在しているでしょう。

実際のところ既に看護職では国内市場への参入が実現して外国人看護師の第一陣が入ってきていますが、コミュニケーションの問題は元より受け入れ施設側の躊躇などいろいろと難しい状況になっているようです。
臨床現場における医師相互の評価というものはバックボーンより何より使えるかどうかで決まるところがありますから、使える医師であれば同僚医師からはそれなりに歓迎されるとは思いますし、最悪言葉が通じなくとも結構出来る仕事もありそうなのですが、医療現場は医師だけで成り立つものでもありませんし、ましてや医療を受ける側にとってはどうかということですよね。
果たして必要なだけの人材が集まるかといった話と同時に、「とにかく人手が足りない!誰でもいいから寄こしてくれ!」と言っている人々が本当に誰でもいいのかといったあたりにも興味がわくところではあります。

外国人看護師の就業先、6割しか確保できず(2009年5月1日CBニュース)

インドネシアとの経済連携協定(EPA)で昨年に引き続き来日する予定のインドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受け入れ施設数が、看護師候補者で98 施設236人分、介護福祉士候補者では100施設241人分と最大受け入れ予定数の約6割にとどまっていることが明らかになった。受け入れを担当する国際厚生事業団(JICWELS)は、受け入れ施設の募集について、当初3月3日から4月3日までの1か月としていたが、受け入れ希望機関の応募が足りないとの理由で、20日まで延長していた。

 インドネシアとのEPAでは、2年間で看護師候補者400人、介護福祉士候補者600人を上限として受け入れるとしており、昨年8月に候補者の第一陣 208人(各104人)が来日。看護師候補者分については47施設、介護福祉士候補者分については53施設が受け入れており、現在候補者らはそれぞれの施設で就労・研修を開始している。

 今年度は最大で792人(看護師候補者296人、介護福祉士候補者496人)の受け入れが予定されているが、JICWELSによると、インドネシアではすでにこれを上回る応募があったという。
 一方、日本側は当初受け入れ施設数が伸び悩み、JICWELSでは延長後の応募期限である4月20日の一週間ほど前から、昨年度の受け入れ施設や今年度フィリピンとのEPAに基づき来日する看護師・介護福祉士候補者を受け入れる予定の施設など約250施設のほか、日本病院会など関係団体に対して、電話や電子メールで受け入れを呼び掛けるなどの対策を取ったという。
 しかし、先月28日時点で、最大受け入れ人数の6割、477人分の確保にとどまった。

 受け入れ募集施設が集まらなかった理由について、JICWELSの担当者は「今年度はフィリピン人の看護師、介護福祉士候補者も来日することになっており、それが影響したのではないか」と話している。

命を守る 招かれる即戦力――第3部〈白衣群像〉(2009年4月17日朝日新聞)

 岩手医大(盛岡市)の産婦人科。劉川(リウ・チョワン)医師(35)が、生後6日、体重3160グラムの男児の足の裏をなでる。男の子はくすぐったそうにして足の指を開いた。新生児の反射に異常がないことを確かめた劉さんは、「きょうから、おうちに帰れるよ」と日本語で言って、退院の手続きを取った。

 劉さんは中国・瀋陽市の中国医科大で13年の臨床経験を持つ産婦人科医だ。岩手県と岩手医大の要請で、昨年9月に来日した。中国にもうすぐ小学生になる息子がいるが、「最新設備がある日本に行くのは勉強のチャンス」と1年間の単身赴任を決意した。

 岩手県は1平方キロあたりの医師数が北海道に次いで少なく、医師不足が深刻だ。苦肉の策として考え出したのが国の臨床修練制度を使った中国人医師の受け入れだった。

 日本の医師免許がなければ医療行為をできないが、一定の語学力と臨床経験のある外国人医師は、最長2年間、指導医のもとで処方箋(せん)の交付以外の医療行為ができる。05年、交流のある中国医科大から産婦人科医2人と小児科医1人を派遣してもらう協定を結んだ。劉さんは2人目だ。

 指導医のもとでメスを握ることもある。帝王切開や腫瘍(しゅよう)摘出手術も20件ほど行った。指導医の西郡秀和さん(40)は「経験も長く即戦力だ。やれることに制限があるが、実際は我々と同等かそれ以上の技術を持っている」と評価する。劉さんが主に病棟を受け持つことで、日本人医師が外来患者をより多く診ることが可能になったという。

 とはいえ、臨床修練制度はまだ広がっているとはいえない。制度が知られていないうえ、十分に日本語能力がある外国人医師も少ない。指導医にも語学力が要求されるほか、受け入れ病院は、医療事故時の賠償のための保険に加入が求められるなど手続きのハードルも多い。

 厚生労働省医事課は「医師確保を目的にするのは、(外国の医師に教えるという)臨床修練制度の趣旨に反する」と原則を強調するが、「地域の事情があり、すぐに禁止するものではない」と柔軟な考えも示す。

 後に続こうとするのが新潟県だ。09年度に240万円の予算を組んだ。羽入利昭・県医務薬事課長は「すでに技術を持っている外国人医師は即効性がある。日本に留学経験のある中国人医師は有力な選択肢の一つだ」と話す。

 中国人医師には企業も注目している。医師の人材紹介会社「リンクスタッフ」は06年、臨床修練制度を使った中国人医師の派遣業を始めた。160人が登録する。現在、消化器の外科医1人が福島県の病院で働き、4人が厚労省の許可を待つ。杉多保昭社長は「地方を中心に約20の医療機関から問い合わせがある」と話す。
(略)
 日本国内には、中国の医師免許をもつ人が大勢いる。だが日本の免許がないと、医療行為はできない。日本の免許をとるには、多くの場合、合格率約1割の予備試験に通り、1年以上の実地研修をした上で国家試験に合格しなければならない。

 上海第二医科大の胸部外科医だった銭勇(チエン・ヨン)さん(46)は94年、島根県の病院で1年間研修した。東京女子医大でも臨床研究を行い、博士号を取った。肺がんだけで200例以上の手術をした。だが、日本の国家試験を受けるのはあきらめ、日本の製薬会社に就職した。「子どもも生まれたばかりで、生活に余裕がなかった。もったいないと思ったが、仕方がない」

 銭さんは、中国人医師が日本で働けないかと、07年にNPO法人「在日中国人医師協会」を設立した。会員は約90人。東京マラソンの医療ボランティアや元残留孤児の医療通訳などをしてきた。「本当は医師になりたいけど、仕方なく違うことをしている人は多い。自分たちの能力を生かしたい」と語る。外国人医師活用の広がりに期待する。(香取啓介、五十川倫義)

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2009年5月12日 (火)

「専門家」の定義とは何なのか

ご記憶の方もおられるかも知れませんが、先日こんな記事が出ていました。

「手元狂った」 外科医を強制わいせつ容疑で逮捕(2009年5月7日産経新聞)

 大腸の内視鏡検査を受けていた20代の女性の性器に内視鏡を入れたとして、警視庁捜査1課は強制わいせつの疑いで、東京都板橋区小豆沢、外科医師、堀江良彰容疑者(53)を逮捕した。同課によると、堀江容疑者は「手元が狂った」と犯意を否認している。

 同課の調べによると、堀江容疑者は平成16年5月28日、勤務先だった豊島区長崎の病院で、大腸の内視鏡検査を受けていた当時20代だった都内の女性の性器に内視鏡を入れるなどわいせつな行為をした疑いが持たれている。

 同課によると、堀江容疑者は立ち会っていた看護師が目を離した間に、わいせつな行為をした。その場で女性から抗議を受け、「手元が狂った」などと説明していた。女性は今月28日午前0時に時効を迎えることを考え、今年2月に被害届を出した。

最初に話を聞きましたときには「へえ、なんでこんなことで逮捕までされてんだ?」と思いつつも流しておりましたが、結構この件があちこちで話題になってるようなんですね。
その割には報道からは事情が見えてこないというのが気になったところで、例えばこの医師には常習的にこういう行為があったと言った証言でもあれば犯意の存在が推定されるところですが、肝心のそのあたりの情報に関しては全く記事には書かれていません。
またそうなると逆に通常同じメンバーで行っていてお互いの「性癖」を承知しているはずの内視鏡スタッフが件の医師一人から目を離すというのもおかしな話だなとも感じられるところですが(現在どこの病院でも検査室内で女性患者と男性医師を二人きりで放置することは一般論として忌避されています)、それも記事では触れられていません。
そんなこんなでどうも事情がよく判らない話だなというのが正直な感想だったわけですが、実際にその時に二人きりしかいなくて「誤挿入した」という行為だけしか客観的証拠がないという話であれば、これは実際に犯罪行為だったとしてもなかなか立証する方も大変だろうなとは感じさせる話ではあります。

いずれにしても実際の状況も逮捕に至った経緯の詳細も不明ですし、単なる事故なのか犯意があっての行動なのかどうか白黒つけるのが本稿の目的でもないのですが、今回事件そのものよりも面白いなと思ったのが世間での反応と医療関係者の反応にずいぶんとズレがあるらしいことなんですね。
例えば元検察で弁護士という立場でかねて医療問題にも色々とコメントを出しているモトケン氏も記事に対してこんなふうに書いていますが、実のところネット上での一般人からと思われるカキコと言うのがほぼ例外なくこれと同様の内容でした(もう少し言葉遣いはアレでしたけれども)。

モトケンブログ場外乱闘編「どうでもいいことのスレその2」より抜粋

631 :モトケン:2009/05/08(金) 10:58:40 ID:UdD3j/5c0
    >>628
    >そんなことって本当にあり得るものなんですか?
    たぶん、手元が狂って肛門と膣口を間違えたという主張のようですが、医師の治療行為中に「本当にあり得るもの」かどうかは常識の範疇の問題ではないかと思います。
    本当にあり得たとすると医師としての適格性が問題になりそうですね。
    最低限度の外界認識能力がないことになりそうです。
    あまり議論しても意味がないかと思って、表でエントリを立てるのをやめたニュースでした。

なるほど、世間の人々から見れば「あまり議論しても意味がない」くらいに「常識の範疇の問題」なんだなあと改めて感じさせられたわけですが、その後モトケン氏の方ではこの件についてわざわざ専用スレを立てていただいたようで、こちらには医療関係者も含めて沢山のコメントがついています。
当該スレや他のネット上での医療関係者のコメントを見ても判りますように、間違って入れることがあるかないかと言われれば「ある」というのがほぼ内視鏡関係者の共通認識であって、むしろ「あり得ない」という世間の認識の方に常識のギャップを感じたという意見が主流派であると見ていいように思うんですよね。

可能性と犯意の有無はこの場合無関係なのは無論なんですが、少なくとも「あり得ないことが起こってんだから故意に決まっている」という認識はちょっと違うんじゃないかなというのが、ネット上での専門家の一般的見解ということです。

ところが、と言ったところでここからが今日のテーマに関わるところなんですが、この件に関する報道で下記のようなまさしく世間の感覚を裏書きするような内容の記事があるのですね。

専門家も否定する…肛門と性器を間違える“ミス” (2009年5月8日ZAKZAK)

外科医が女性器に内視鏡挿入

 大腸の内視鏡検査を受けた20代の女性の性器に内視鏡を入れたとして、外科医(53)が7日、警視庁に強制わいせつの疑いで逮捕された。2004年5月の“犯行”で、時効ギリギリの逮捕劇だったが、外科医は「手元が狂っただけ」と犯意を否認している。肛門と性器を間違えるなんて、本当にそんな“ミス”が起こるのか?

元国立医療センター医師の黒木誠氏は「間違える可能性ゼロとはいえないが、過去に聞いたことがない。手元が狂ったとしても、すぐに“修正”は可能。診察中に継続して挿入していたとすれば、故意としか言いようがない」と解説する。

 内視鏡検査を受ける際、患者の多くは肛門付近に裂け目が入った特製トランクスを着用。診察台上でヒザを抱えるように横たわるため、自然と肛門が露出するという。

 「その状態であえて奥まった位置にある女性器に挿入しようとすれば、何らかの“作業”が必要。通常の内視鏡検査では医師の両手が操作でふさがっており、看護師の付き添いも不可欠。何か理由をつけて看護師を追い払い、犯行に及んだとしか考えられない」

 また黒木氏は“まな板の上の鯉”状態の患者の不安を悪用した可能性も指摘する。

 「被害者は診察中、違和感を覚えつつも声を上げられなかったと考えられる。鎮静剤によって意識がもうろうとしていた可能性もある」

 外科医が勤務していた病院関係者は「同じ病院に勤務していた者として、恥ずかしいかぎり」と話している。

まあ博識の黒木氏には申し訳ないんですが、この一件が報道されてからと言うものネット上のあちこちで「実はオレもやったことがあるんだ…orz」という懺悔(?)が相次いでおりまして、内視鏡医としては恥ずかしい失敗ながら実は結構皆やってんだなと改めて判明してしまったわけなんですが(苦笑)。

ちなみに大腸内視鏡の挿入手技というのも様々な流派(?)があって一概にこれが正解とは言えませんが、「医師の両手が操作でふさがって」いるのは挿入後の話であって、挿入時には用手的に患者さんのお尻を広げながら(介助のスタッフにしてもらう場合もあります)誤挿入しないようなるべく目で直接肛門部を確認しながらカメラを挿入していく場合が多いのではないかと思います。
中にはもちろん「自然に肛門が露出する」患者さんもいらっしゃいますが、昨今の日本人も体格が向上している事情などもあって残念ながらそうでない場合も当たり前に多々あるわけであって、そうした場合特に女性の場合ですとあまりおおっぴらに広げてマジマジと直視するのも憚られるという遠慮もあるわけで、誤挿入のリスクを高める要因になりかねません。
上記の記事の書き方からするとこの「元国立医療センター医師の黒木誠氏」なる人物がこの問題に関しての「専門家」であると言うことのようですが、その割には記事の内容が良く言っていい加減、普通に言ってデタラメで、到底まともな「内視鏡専門家」の意見とも思えない内容という印象が拭えないわけです。

そこで試しに厚労省ご自慢の(苦笑)「医師資格等確認検索」で黒木誠なる御仁を検索してみましたら、一件だけヒットしたのが平成11年登録の黒木誠氏でした。
後述するような別な記事なども見てみますと黒木氏は30代前半の年格好ということですから、(既に医籍から削除された別人などというオチでもなければ)この御仁であると見て間違いなさそうです。
日本国内唯一の黒木誠氏の現在の境遇について調べてみますと、確かに週二回の(非常勤での?)内科外来もされているようなんですが、別の施設では(やはり非常勤での?)皮膚科医をされていまして、しかも論文等の業績を見てみますとどう見ても内視鏡の専門家どころか、一般的な内科医のそれですらなさそうなんですよね。

少なくとも2001年以降は東邦大学皮膚科第一講座所属と言うことのようですから、逆算して(恐らくは内科系研修医として?)国立医療センターに勤務されていたのは医師免許取得直後のせいぜい2年間以下の期間に過ぎないことになってしまいますから、要するに「国立で研修医をやってみたが初期研修だけでドロッポして今は皮膚科をやっている」という何のキャリアなんだかよく判らない経歴の持ち主と考えてよさそうです。
現在も内視鏡をやっている施設で全く内視鏡に関与していない事実からしても想像できる通り、下手をしなくても大腸内視鏡など「何度か検査を見学したことがある」という学生レベルの知識しか持っていないでしょうから、それは専門家として意見を求められても困るだろうなとは同情いたします。

それでも本業は皮膚科のなんちゃって内科医が無理矢理専門外の領域にコメントを求められやむなく出したのが上記記事の内容だと言うのであれば、まだそれはそれでまだしも言い訳はつくかとも言えるわけですが、実際はそういう話でもないようなのです。
同じZAKZAKで検索してみますと黒木誠氏がコメントを寄せている記事というのが他にもあるんですが、これが皮膚科にも内科にも縁遠いような領域ばかりなんですよね。

母親が娘を8年間自宅監禁…近隣住民の通報で保護(2008年10月30日ZAKZAK)

重度の衰弱と知的障害

 札幌市北区の女性(21)が19歳までの約8年間、母親から自宅で監禁状態に置かれていたことが30日、分かった。2006年8月、市保健福祉部と父親によって保護された際、女性は部屋の片隅で座り込み、自力で歩けないほど衰弱していた。現在、福祉施設で治療を受けているが、長年の監禁が原因の知的障害と認定され、小学1年生の教科書を使って勉強しているという。

 札幌市によると、女性は小学2年まで普通に登校していたが、3年になった1996年ごろから母親が「娘が連れて行かれる」と学校から連れ戻し始めた。さらに、「娘が父親や学校に危害を加えられる」という妄想を抱くようになり、外出を禁じるなどして徐々に監禁状態に追い込んでいった。6年生だった98年度には登校日が1日となり、中学進学後も1年時に2日。2-3年時は出席ゼロとなった。

 両校の担任教諭は月数回女性宅を訪問したが、母親が「娘は体の具合が悪い」などと面会を拒絶。04年ごろ別居状態となった父親が、05年1月、市の出先機関に相談したが助言にとどまった。06年6月、近隣住民が「異臭がする」と地元警察に連絡。8月になって児童相談所に「怒鳴り声が聞こえる」「子どもの泣き声が聞こえる」といった虐待を疑う通報が寄せられ、ようやく保護に至った。

 母親は買い物など時折外出していたが、現在は統合失調症と診断され、精神保健法に基づき医療保護入院しているという。

元国立医療センター医師の黒木誠氏は「長期間監禁されていても、通常の食事と適度な運動が確保されれば歩行困難には成り得ない。重度の衰弱と知的障害となった状況を考えると、極度に狭い空間で運動を制限させられていた可能性が高い。発見時の体重は30-40キロ程度だったのでは」と解説する。

 国内の長期監禁事件としては00年1月、90年11月に新潟県三条市で行方不明になっていた小学校4年生=当時(9)=の女児が、無職の男によって9年2カ月も柏崎市内の一軒家に監禁されていた事件がある。

ナースに薬物注射レイプ…外科医師のお粗末手口とは(2008年2月19日ZAKZAK)

会議室で仮眠中の女性看護師の尻に睡眠剤を注射し、乱暴したとして、強姦致傷などの疑いで、元東京女子医大心臓血管外科医師(35)が逮捕された。心臓外科の世界的権威とされる施設で、しかも女性を最も大切にするはずの女子医大で、背筋も凍る事件が起きていた。

 警視庁捜査1課によると、容疑者は昨年12月12日午前2時ごろ、東京女子医大(東京・新宿)の会議室で、仮眠中の20代の女性看護師の尻に、服の上から睡眠剤を注射。看護師が目を覚まして抵抗すると、馬乗りになって顔を殴るなどの暴行を加えた疑い。容疑者は「私も仮眠するために会議室に入った。後は覚えていない」と犯行を否認している。

 容疑者は1999年に医師国家試験に合格。当初所属した浜松市内の病院では、心臓外科手術の症例で何度も学会発表するなど精力的な活動が認められ、2006年12月に東京女子医大へ栄転した。

 しかし、競争が激しい女子医大では目立った功績もなく、実質的には「研修医に毛が生えた程度」(関係者)の無給の助手に甘んじていた。

 犯行の手口も極めてお粗末で、心臓外科の手術を知り尽くした医者とは思えないほどズサンだという。元国立医療センター医師の黒木誠氏(33)は次のように解説する。

 「犯行に使用した睡眠剤は、『ドルミカム』と思われます。全身麻酔を打つ際に使用する筋肉注射用の睡眠導入剤ですが、当然痛みが伴ううえ、血流に吸収されてから脳に達するまで最低でも30分はかかる。意識ももうろうとするレベルで、犯行を認識される可能性は十分あります。同様の犯罪では、アルコールなどに『ロヒプノール』などの経口服用睡眠剤を混入させるケースが大半です」

 女子医大は事件から8日後の同月20日、警視庁に届け、26日に懲戒解雇処分とし、約2カ月の間、院外には一切公表していなかった。

 永井厚志院長は「社会的に許されない行為だが、職場内の個人的な傷害事件で、規定に基づき適切に対応した」とコメントしている。

しかしまあ、黒木誠氏にとって国立医療センターで研修医をやったということは経歴上よほど重要なことなんでしょうかねえ(苦笑)。
コメントの内容については敢えて触れませんけれども、この方はコメントする対象に関しては全く節操がないのか?という素朴な疑問は誰しも抱くところではないでしょうか。

何の専門家なんだかもよく判らなければ医療業界内でも全く何の影響力もない人物の的外れなコメントを毎回こうして専門家の意見として引用するZAKZAKというメディアもずいぶんと怪しいところだなとは思いますが、こうしてみるとこの黒木氏がよほど使い勝手の良い人物ということなんでしょうね。
ちなみに御存知のない方のために申し上げておきますが、ZAKZAKというのは「産経新聞社が発行する「夕刊フジ」の公式サイト」ですから、なるほど医療報道に関して並ぶ者なき産経新聞社ともなればこれくらいの手駒の一人や二人抱え込んでいるのも納得、といったところでしょうか。
さて、メディアのこういう行為を業界用語では何というのか知りませんが、その意図だけは恥ずかしいくらいにあからさまなのは見ているこっちが恥ずかしくなってきて困るのですけれど(苦笑)。

「あいつの場合に限って常に最悪のケースを想像しろ。
 奴は必ずその少し斜め上を行く!!」

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2009年5月11日 (月)

新型インフルエンザ、国内でのまん延も間近?

国内で初の患者が見つかったという先日の記事に引き続いて、本日も新型インフルエンザの続報をお送りします。
しかしWHOを初め各国では感染拡大阻止にある程度の目処が立ったと感じているようですが、一方で検査態勢の整った先進国に感染が広がると一気に確認感染者数が増えるものだなと感じさせる話題が下記のニュースです。
このあたりも現場の実感と統計的データが必ずしもパラレルではないということの一つの例証ということになるのでしょうかね?

新型インフル感染、世界で4000人超す(2009年5月10日読売新聞)

 【ワシントン=山田哲朗】米疾病対策センター(CDC)は9日、米国の新型インフルエンザ感染者が615人増加し、44州で2254人になったと発表した。

 メキシコ保健省も9日、確認された感染者数が262人増の1626人となり、このうち死者は48人と発表。世界の感染者数は、日本を含め、29か国・地域で計4353人となった。

全世界の死者50人超す=コスタリカでも犠牲者-新型インフル(2009年5月10日時事通信)

 【サンパウロ9日時事】コスタリカのアビラ保健相は9日、新型インフルエンザに感染した男性(53)が同日死亡したことを明らかにした。感染者の死亡は同国では初めてで、メキシコ、米国、カナダに続いて4カ国目。また、新たにノルウェーでも感染者を確認、全世界の感染者は日本を含む30カ国・地域で 4300人を超え、死者は52人に達した。
 コスタリカで死亡した男性は、サンホセ市内の病院に1週間以上入院していた。糖尿病などの持病もあったという。 

アメリカもあっという間に患者数が激増しましたが、検査をすればこれだけ見つかってくるわけですから、おそらくメキシコでは本来もっと感染者が多かったはずですが今となっては実数把握も困難ですよね。
これに対して国内では四例目の患者が発見されており、厚労省では水際阻止態勢の成果と考えているようですが、しかしそうなると先日出ていた検疫縮小の話はどうなるのかといったあたりも気になるところです。

【新型インフル】「よく見つけた」検疫発見で厚労省やや安堵(2009年5月9日産経新聞)

 「現場(成田空港検疫所)はよく見つけてくれた。あとは3人が回復してくれるのを祈るのみ」

 検疫所でのウイルス国内侵入阻止に、厚生労働省大臣官房の塚原太郎参事官(医薬食品担当)は、乱れた髪をかき上げ、国内侵入という“最悪の事態”をとりあえず防いだことへの安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 感染疑いの一報がもたらされたのは8日夕。検疫所業務管理室の職員十数人らが徹夜で対応に追われた。

 同室に成田検疫所から、「新型陽性」の連絡が入ったのは午前4時前。その約1時間後、国立感染症研究所からも確定診断が届いた。

 同室の職員は「陽性が出たときはみな驚いた。でもきょうも多くの便が到着する。気を引き締めていきたい」と話した。

ま、実際に少ないスタッフで現場は精一杯やっていることでしょうし、ほっとしたというのも正直なところなんだとは思います。
誰がどう見ても時間の問題だったわけですから、一応こうして第一例が出たというのは一つの区切りにはなるんでしょうね。
しかしこの一連の患者発見の経緯が詳しく報道されてくると、どうもそうそういい話ばかりでもないようなんですね。

【新型インフル】別の生徒1人、新たに感染確認 国内4人目 厚労省(2009年5月10日産経新聞)

 カナダから帰国した大阪の男子高校生ら3人が新型インフルエンザに感染していた問題で、厚生労働省は10日早朝、感染者3人と同じ航空機に乗り、疑い濃厚となっていた別の男子生徒が、国立感染症研究所の確定検査の結果、新たに新型に感染していたことが確認されたと発表した。これで国内感染者は4人目。同じ便に搭乗していた他の帰国者の中で、感染者が発生する恐れも出てきた。

 厚労省によると、新たに感染確認された男子生徒は、感染者3人の近くにいた「濃厚接触者」であったため、感染の可能性があるとして、宿泊施設に留め置く「停留」措置の対象になった49人のうちの1人。8日、感染者3人と同じ米デトロイト発ノースウエスト航空25便で成田空港に到着。検疫前の健康状態などを確認する質問票には「症状なし」と回答していた。

 しかし、停留中の9日午後、38度台の発熱などの症状を訴え、同様に足止めされていた6人の生徒とともに、千葉県内の病院に救急搬送された。

病院による新型感染の簡易検査は、ウイルスが未検出で陰性だったが、県衛生研究所の詳しい遺伝子診断(PCR)で新型の陽性反応が出た。そのため、感染研で最終的な確定検査を行っていた。

 6人は遺伝子診断の結果、新型感染は否定された。

特に注目していただきたいのは、簡易検査(おそらく迅速診断キットと思われますが)で陰性だったが、PCRで確認したところ新型の陽性反応が出たという下りです。
元々未発症の時期から発症早期にかけては迅速診断キットの感度が低いことは常識であるのに、何故か迅速検査の結果によるふるい分けが錦の御旗のように扱われているように見えることには違和感を感じています。
迅速キットを用いて言えるのは「陽性に出ればほぼ確実にインフルエンザ」と言うことだけで、これを除外診断的に用いるのは妥当ではないと思いますね。

もちろん実際にこうしてPCRにまで回しているということは現場のスタッフはそうした勘違いはしていないのかも知れませんが、素人の国民に誤ったメッセージを伝えないようマスコミはきちんと事実を報道しないといけないはずですよね。
「インフルエンザにかかっているかどうか、15分ですぐに判ります」などという言葉だけが一人歩きした結果、あっちでもこっちでも意味もなく「心配だからインフルエンザの検査をしてくれ」と市民が押し寄せてくれば、どこの医療機関でもあっという間に検査キットなど底をついてしまいます。
マスコミの方にも一応は妙な方向に突っ走っているという自覚はあるのかも知れませんが、冷静になれといいつつ冷静になって何をどうすればいいのかも提示できないようでは単なる対案なき批判勢力としか見られないわけで、パニック映画で言うところの「口だけ達者で一人で暴走してさっさと死ぬ雑魚キャラ」扱いもやむなしというところでしょうか。

新型インフルエンザ「海外でマスクをしているのは日本人だけ」(2009年5月7日日刊ゲンダイ)

●戦前から変わらぬ国民性、メディアの狂騒

 ゴールデンウイーク中、テレビをつけると朝から晩まで新型インフルエンザ報道のオンパレードだった。それも「バカ」がつく騒ぎぶり。目に余る過熱報道に、朝日新聞の投書欄にはこんな声が紹介されていた。

「(横浜市の)高校生が入院している病院の前で、マスクをつけたリポーターが絶叫口調で伝えていたが、これではまるで犯罪者扱いだ」「映像メディアは、場合によってはインフルエンザより恐ろしい」(6日朝刊)

 実際、世界を見てもこんなに大騒ぎしているのは日本くらいだ。帰国ラッシュの6日の成田国際空港。感染者が出た米国や、お隣の韓国からの帰国客は「現地でマスクをしているのは日本人だけ。恥ずかしかった」と口をそろえていた。

「ニューヨークやシカゴはもちろん、感染源のメキシコでさえ、マスクをしている人はほとんどいません。おカミから、手の洗い方やマスクまで強要されるいわれはないと考えているし、欧米人はそもそもマスクをするくらいなら外出しない。テレビが政府の伝達係となって不安をあおっている日本のパニックぶりは、奇異な目で見られています」(在米ジャーナリスト)

 そんな大マスコミをそそのかしているのが麻生政権。「冷静な対応を」と会見で呼びかけた舛添大臣の興奮ぶりもひどかった。「国民が一丸となれば、見えない敵であるウイルスとの戦いに勝てる。オールジャパンで力を合わせて戦いたい」と目を血走らせ、まるで戦争にでも突入するかのような口ぶりだ。これでは感染の疑いがあった高校生が犯罪者扱いされるのも仕方ない。政治評論家の森田実氏が言う。

「政府が“有事”をあおり、テレビや新聞など大マスコミがそれに乗っかって、ひとつのことだけを興奮気味に画一的に報じる。北朝鮮のテポドンのときもそうでしたが、これは非常に危険な事態です。大本営から与えられた情報だけを垂れ流した戦前戦中と変わらない。大マスコミはその反省を忘れ、自主的な判断や、バランスよく報じる任務を放棄しています」

 国民を守る強い政府をアピールして支持率を上げたい麻生政権に、踊らされ利用されている大マスコミは目を覚ますべきだ。冷静すぎるほどでないと、いざ国内感染が出たとき、この国は本当にパニック全体主義になってしまう。

ま、確かに思いきり踊らされて(あるいは勝手に踊り狂って?)恥ずかしい思いをしたばかりのマスコミとなれば、こうした自戒の念を抱くのも無理からぬところかとも思いますが(苦笑)。
いずれにしてもいたずらに実態以上の危機感を煽るばかりでも仕方がないのと同様、根拠もなくただ「心配しなくてもいいはずだ」といった楽観論も同等以上に有害無益であることは言うまでもありません。
一方で事前の計画といささか乖離を始めた現状をどう修正するかという点で、関係者の誰しもが頭を悩ませている部分もあるのは確かです。

【新型インフル】厳しい「行動計画」現実と隔たり(2009年5月10日産経新聞)

 新型インフルエンザ対策で、政府が事前に定めた「行動計画」と、現実との隔たりをどう埋めるかが課題として浮上している。行動計画が、猛毒性のウイルス(H5型)の流行を想定していたのに対し、今回の新型ウイルス(H1型)が弱毒性である可能性が高いためだ。「検疫」「学校閉鎖」「ワクチン製造」などでは行動計画と大きく異なる対応が取られる可能性もある。

 ■手探り状態

 政府は1日に開いた「新型インフルエンザ対策本部(本部長・麻生太郎首相)」で、行動計画の運用を「弾力的」に行うことを決めた。ただ、どう弾力性を持たせるかは「手探り」(厚労省幹部)の状態だ。

 行動計画では、現時点での対応は「第1段階・海外発生期」。検疫強化策などが取られている。

 今後も行動計画を忠実に実行すると仮定すると、国内で発生が確認され次第、「第2段階・国内発生早期」で定められる対策が取られる。検疫強化に加え、学校閉鎖、企業に不要不急の業務縮小が要請される。

 さらに流行が広がると、「第3段階」に移る。検疫強化などの水際対策は縮小される。対応できる患者数の限界を考慮し、病院での治療も重症者に限定。死者の増加に対応するため、遺体安置所を確保することも想定されている。

 その後、感染者が小康状態となる「第4段階」で対策が緩められ、次の流行第2波に備えることになっている。

 ■既に「隔たり」

 現時点で「隔たり」が指摘されているのは「検疫」だ。行動計画では「第2段階」までは強化態勢が取られることになっているが、すでに手いっぱい。

 「病院医師や看護師、医大教授クラスも検疫の応援に入っており、医療現場の態勢がおかしくなる」(国立感染研の岡部信彦・感染症情報センター長)。「感染が広がっている英国、スペインからの検疫がすでにできていない」(与党の申し入れを政府にした坂口力元厚労相)などの懸念が出ている。

 麻生首相も「アジア便で検疫強化する事態になると、人の絶対量が不足する」と懸念。場合によっては、検疫などの水際対策は、行動計画を前倒しして縮小される事態もでてきそうだ。

 ■割れる意見

 「第2段階」で学校閉鎖をどうするかという議論も出てきた。行動計画では感染者がでた地域では、都道府県単位で学校が閉鎖される。だが、米国ではウイルスの弱毒性を理由に「休校は必要ない」という方針が打ち出され、波紋を広げている。舛添要一厚労相は「専門家の間でも意見が分かれている」と日本での難しさを話す。

 ワクチン製造も行動計画とは異なる対応が迫られそうだ。行動計画では、全国民を接種対象に、「製造ラインを直ちに新型ワクチン製造に切り替える」という記述がある。

 だが、インフルエンザは季節性でも多い年では国内で1万人以上の死因に影響を与えている。新型ワクチンの製造見通しが立ったとしても、製造能力をどこまで振り分けるか、難しい判断を迫られそうだ。

態勢のシフトといった各論についてはともかく感染防御の一般論として考えると、新型対応のワクチン製造もようやく実行に移され始めたばかり、現場には検査キットも治療薬も届かずというこの段階で、ただ弱毒であるからと感染拡大の手をゆるめてしまえばどういうことになるのかという疑問はありますよね。
後述するように新型に対しては特別に手厚い医療体制が要求されているわけで、在来型の季節性流行も収束していない段階で新型の感染拡大が起こればあっという間に医療機関のキャパシティーを超過する危険性が少なからずあるように思います。
このあたりは前述のマスコミ論調にならって例えて言えば、銃弾飛び交う戦場の真っ直中で「武器があるから戦争が起こるんです!憲法9条の理念を世界に広げましょう!」とプラカードを掲げて練り歩くが如き空気の読めない行為をしてもらっても、実際問題として現場は対処に困るといったところでしょうか。
ロジックとして正しいかどうかと現場の現実に適合しているかどうかはまた別問題であって、そういう点では「治した者勝ち」という現場に慣れている医者という人種はひどく冷めた現実的な部分があるのも確かですから、いずれにしても机上の空論ではなく現場がついていける方針というものを打ち出していただかなければならないでしょうね。

さて、国内で患者が出たこともあって情報だけは幾らでも入ってきますが、そうした中で現状を改めて見直してみると、色々と素朴な疑問も湧いて出るわけです。
特にかつてないほど国が主導して強権的態勢を取っているだけに補償問題といったあたりも気になるところだと思いますが、こちらもようやくある程度の情報が出てくるようになりました。

【新型インフル】食事や休業補償…停留措置での生活は?(2009年5月9日産経新聞)

 感染防止と健康観察のため、空港近くの宿泊施設に10日間の「停留」措置を受けることになったのは、乗員乗客計49人。潜伏期間が過ぎる18日まで一時待機する。厚労省によると、空港での検疫で大規模な停留が行われるのは、「SARS(新型肺炎)のときもなかった。初めてではないか」としている。

 停留は検疫法に基づく措置で、違反すれば懲役1年以下又は罰金100万円以下の罰則がある。

 厚労省によると、停留措置対象者は、新型インフルエンザに感染した男子高校生ら3人に同行した33人と、感染者の近くに座っていた乗客と乗員計16人の合わせて49人。それぞれ個室を用意。食事は、室内や広間など特定の場所で取ってもらう。室外に出るときは、マスク着用が必要になるが、施設の外には出れない。他の停留者と会話をすることはできる。

 停留中は、1日3回の体温の自己測定に加え、医師らによる健康状態の確認が行われる。希望者には発症予防のため、インフルエンザ治療薬「タミフル」などが投与される。

 宿泊・食費、生活必需品は、国が補償する一方で、電話代や酒、たばこなど嗜好品は、自己負担になるという。家族などからの日常品の差し入れはOKだ。

 停留中の学校や会社での休業補償などの処遇について、厚労省は「法的に休業補償などは盛り込まれていない。個人で学校や会社と相談し、調整してもらうことになる」としている。

発熱外来の医師ら県嘱託職員扱いに…新型インフル 国内発生時、補償問題解消へ /群馬(2009年5月9日読売新聞)

国内発生時、補償問題解消へ

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の国内発生時に、感染の疑いのある患者を一元的に診察する「発熱外来」について、県は8日、診察にあたる医師や看護師らを県の嘱託職員として採用する方針を明らかにした。すでに県医師会に示した。診察中に医師らが感染・発症した場合の補償問題がネックになり、発熱外来の設置準備が順調に進んでいないため、県は、公務員を対象にした補償制度を活用する。

 県医師会は取材に対し、「新たな提案で、解決の方向に向かう」と答えた。

 感染時の補償問題は、他県でも取りざたされてはいるが、問題を棚上げして設置準備を急ぐケースが少なくない。ただ、県医師会は「継続的に発熱外来を運営するには、一番最初に解決しなければいけない」(感染症担当理事)と、人員不足と並び、設置準備上の大きな課題にしていた。

厚生労働省は、補償問題の解決策を都道府県が独自に打ち出した例は「聞いたことがない」としている

 県は、流行初期段階で36か所の発熱外来設置を計画しているが、設置のめどが立っているのは今月6日時点で15か所にとどまっている。これまでは、医師らの補償は「国の制度で行うべき」との姿勢だったが、感染が疑われる事例が相次いでいるため、国への要望と並行して独自策も打ち出し、設置準備を急ぐことにした。

しかしまあ…もちろん補償も無いよりはあった方がよいのは当然ですが、この問題が全く棚上げのままに態勢構築のかけ声だけが盛んな中での「補償問題の解決策を都道府県が独自に打ち出した例は「聞いたことがない」」という他人事のような厚労省のコメントは良かったですね。
まさかとは思いますが実際に他人事という認識であって、今どき「ありがたくもお国が声をかけてやってるんだから率先して手を挙げるものなど幾らでも出てくるのが当然」といった考えなんでしょうか?
このあたりの国の現場対策の遅れは直接に各医療機関と掛け合う自治体レベルでの方が強い危機感を抱いているようで、各地からこんな声も上がっているということです。

新型インフルエンザ:拡大に備える自治体や病院 対策、保険診療に批判 /京都(2009年5月9日毎日新聞)

 ◇「特別な財政的措置を」

 新型インフルエンザ対策で発熱外来や病床確保などの準備を進める自治体や病院の間で、国の対応に不満が強まっている。国内感染が拡大して病院が混乱する場合でも保険診療が原則とされる点を府は「非現実的で論外」と批判。国に特別な財政措置を求める声が強まりそうだ。【太田裕之】

 府、京都市と両自治体が発熱外来設置を要請する25病院などで構成する「新型インフルエンザ対策医療機関連絡会議」が先月20日に開かれ、「対策に努力する病院が損をしないようにして」などの声が相次いでいた。

 特に懸念されたのは、国内で拡大して多数の感染者が病院に殺到する場合だ。発熱外来は病院駐車場など建物外に設置される可能性があり、保険診療の会計手続きは通常と同じようにはできない。病院側も欠勤者が出て人手不足となる可能性が高く、会合では「軽症であれば無料でタミフルを渡すような対応ができないか」との声も上がった。

 医師らが感染した場合の補償が不透明な点にも不満は強い。府は昨年6月に近畿ブロック知事会、同7月に全国知事会を通じて「十分な財政措置」「医療従事者への補償制度創設」などを国に求めているが、国の対応に変化はない。先月28日に府が病院関係者を集めた会合でも「財政手当が一切ない」と国への不満が続出したという。

 府内では03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)や04年の鳥インフルエンザの経験から感染症対策への関心が高く、全国に比べても医療機関の協力が進んでいる。府は「病院にはボランティア的にお願いしているのが実情で、国にもきちんとした措置を求めたい」としている。

記事を見ていただいても判るかなと思いますが、国などの指針に従って真面目にやろうとすればするほど医療機関にとっては収入につながらない支出ばかりが増えていくことになるわけです。
例えば厚労省の用意した「医療施設等における感染対策ガイドライン」を見てみると、こんな感じで対策の数々がずらりと並んでいます。

・新型インフルエンザが疑われる患者にはできるだけ速やかにサージカルマスクを着用させ、患者に対応するスタッフはサージカルマスクを着用して問診する。
・新型インフルエンザ患者、あるいはそれに準じた患者に対しては、医療従事者自身の衣服が患者・環境表面・病室の物品と接触しそうな際にも、ガウン(長袖ガウンがのぞましい)を着用する。(略)使用したガウンは、使用後直ちに脱いで適切に廃棄する。
・新型インフルエンザ患者、あるいはそれに準じた患者に対して使用した 聴診器・血圧計・体温計などの患者用器具は、それらの器具に対して通常実施している適切な方法で洗浄・消毒あるいは滅菌したのちに次の患者に使用する。

もちろんこれらの対策に要するコストのどれ一つとして、保険診療でやっている限りは患者に転嫁できるわけでもない病院の持ち出しとなるわけです。
ただちに廃棄される物品のコスト、消毒や滅菌に要するコスト、これらすべてで幾らかかるのかということ、そして明らかにこれは患者一人一人に対して要求されるコストであるということにも注意が必要です。

風邪引いたかな?と感じて医療機関を受診しインフルエンザと診断されて治療された経験のある方であれば何となく感覚的にお分かりかと思いますが、インフルエンザの外来診療で得られる診療報酬など知れたものです。
日常外来診療レベルの収入しか見込めない患者さん一人一人に対してこれだけのコストを要する、そして今後そうした患者さんが山ほど病院に押しかけてくるとなれば、どういうことになるでしょうね?
下手すると発熱外来などやっている病院は今後「外来が繁盛しすぎて倒産した病院」などという不名誉な事態に陥るかも知れないですね。

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2009年5月10日 (日)

今日のぐり「麺屋哲」

最近「未来少年コナン」のDVDを一気見したんですが、これがなかなか愉快な冒険活劇です。
ちなみにこの物語中の最終戦争が起こった年というのが2008年だと言いますから、なんと既に過去の話じゃないですか!
それはともかく、色々な動物が結構重要な役回りを演じていたのにちなんで、今日はなかなか奇妙な動物ネタを二題紹介しておきます。
最初は誰しも感じたことがあるだろう疑問はやはり真実だったという話。

アライグマ、やっぱり洗っていた…エサを毒抜き(2009年4月27日読売新聞)

Pic1 アライグマは、洗っていた――。アライグマが毒を持つ生き物を食べる際、地面で“こすり洗い”して毒抜きをするユニークな行動を取ることが、京都大の持田浩治研究員(動物行動学)の調査で明らかになった。

 両前脚で、洗うようなしぐさをすることからそう呼ばれているが、野生のアライグマの場合、餌探しのための行動で、実際は「洗わない」とされていた。持田研究員は「毒のある食物に関して、アライグマは、名前通りの行動をしている」と話す。

 アライグマは北米原産で、小動物や昆虫、魚、果実などを食べる。持田研究員は、大阪府内などで捕獲された野生化したアライグマ6匹の食性を観察。皮膚から毒を分泌し、天敵がほとんどいないとされるアカハライモリやニホンヒキガエルを餌にしていたことがわかった。

 詳しく調べた結果、6匹とも通常の餌はそのまま食べるが、においで餌に毒があると判断した場合、両前脚で、最長10分余りも地面に、こするなどしてから食べていた。刺激を与えて体内に蓄えた毒をすべて出させ、こすり落としてから口にしているとみられる。

 持田研究員は「毒を絞り出して餌にする動物は他に聞いたことがない。何でも工夫して餌にする摂食行動が、故郷と環境が異なる場所にもうまく順応できる理由の一つなのかもしれない」としている。

アライグマという生き物、単に「洗っているように見えるだけ」という定説はありましたが、実際の映像を見ると「やっぱ洗ってね?」としか考えられないものが多々ありましたから、やはり洗っていたと言われればこれは誰しも納得という話ではないでしょうか。
しかし単に汚れ落としなどというだけではなくそこまで高尚な目的をもって行動していたとは、なかなかどうして奴らも侮れませんね。

さて、高尚と言えば次は少しもの悲しくも何かしら高尚なものを感じさせる話です。

大けがの小鳥、パートナーが必死に救助 岩手で撮影(2009年5月10日朝日新聞)

Pic2 道路上で大けがをした小鳥をパートナーとみられる小鳥が必死で救おうとしている様子を、日本野鳥の会宮古支部会員の佐々木繁さん(65)が先月、岩手県宮古市内で撮影した。

 小鳥の種類はヒガラ。シジュウカラ科の中でも小さく体長約11センチで、全国の針葉樹林に生息し、5~7月に産卵を迎えるという。

 佐々木さんによると、4月22日、同市崎山の道路で乗用車を運転中、激しく争っているように見える2羽のヒガラを発見したという。車を止めてカメラを手に約3メートルまで近づくと、2羽は争っているのではなく、大けがをした1羽をもう1羽が必死で助けようとしている様子だった。

 佐々木さんは、「繁殖のため、つがいでえさの昆虫を車道まで取りに来て、車に衝突したのでしょう」といい、「鳥のつがいのきずなが深いことは知っていたが、自分もはねられそうになってまで相方を救助しようとする姿に心を打たれた」と話す。

 救助しようとしていた1羽は、約5分後に飛び立ったため、佐々木さんはけがをして虫の息だった1羽を草むらに移して現場を後にしたという。

 10日から愛鳥週間。佐々木さんは「野鳥たちは繁殖の季節に入るので、親子の野鳥にむやみに近づいたり、落ちたヒナを持ち帰ったりしないで」と野鳥保護を呼びかけている。(朝倉義統)

カラスなんてけっこうこの手の話を噂に聞いたりしますけどね。
ところでこの記事を読んで、「写真撮ってる暇があるなら放置せずに病院にでも連れて行けば」と思った人、怒らないから手をあげるように。

今日のぐり「麺屋哲」

岡山市でも市街地から外れた南部の方にある、最近結構評判が良い店だということです。
以前に所用で通りかかった際に訪れたことがありますが、この日も例によって遅い食事のために入ってみました。
見た目や内装はいかにも今どきのラーメン屋という雰囲気を発散しています。

名物哲そばを注文しましたが、白濁している鶏のスープは醤油ダレもあっさり目で素直にうまいと思える水準だと思いますね。
浮かんでいる焦がしネギは自分としてはスープに過剰に絡んでちょっとうるさいかなと言う気もしますが、こういうのもアクセントでしょう。
麺の味は結構いいと思うんですが、この日はさばきが甘かったのかややダマになっている感じなのは少し印象悪かったですね。
チャーシューその他のトッピングはまあ今風の店として水準はクリアしてるかなと言う感じですが、特に強い印象を受けるものではありませんでした。

全然関係ないですが、ラーメンと言いますと必ずと言っていいほどチャーシューが載っていますが、これって絶対必須のものでもないような気もするんですけどね。
一昔前によくあった肉からも徹底的にスープを取って残ったのをトッピングに流用するというのは肉=豪華で贅沢という時代的にありだろうなとは思うんですが、今の時代肉が食いたければ肉料理がうまい店なんて幾らでもあるわけです。
特に鶏ベースのスープの店でラーメン一杯分の料金の中からそれなりのコストを割いてわざわざ豚肉のチャーシューを載せている店を見ると、なんだかなあと釈然としないものを感じます。
蕎麦屋であれば盛りやかけがどの店にもあるように、もっとシンプルに麺とスープの組み合わせがストレートに味わえるラーメンってものがあってもいいような気がするんですけどね。

それはともかくこの店、何故か自分が来た時にはいつも他にお客がいないようです。
たまたま食事時間帯を外していたからなのかも知れませんが、この界隈の他の店と比べても結構お客が入っていてもおかしくない味だと思うんですけどね。
ちなみに同じ市内に支店もあるそうですが、そちらは結構行列が出来るくらいに繁盛していると聞きますから、やはり場所柄ということもあるのでしょうか?
ま、うまいものが待たずに食べられるのであれば客の立場としてはそちらの方がありがたいという考え方も出来ますけどね。

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2009年5月 9日 (土)

日本国内で初の新型患者を確認(追記有り)

今日はふたたび新型インフルエンザ関連の話題を取り上げたいと思いますが、表題のような事情で随時更新になるやも知れません。>追記有り
患者発生国が増えるにつれて水際阻止作戦は対象が増えていく一方で、現場の担当者には既に相当な無理が来ているようです。
そんな状況下で昨日のことですが、厚労省の方からこうした話が流れてきました。

新型インフル検疫態勢の縮小も  厚労省、見直しを検討へ(2009年5月8日47ニュース)

 厚生労働省は8日、新型インフルエンザの水際対策として空港などで行っている検疫について、状況に応じて人員縮小を含めた態勢見直しを検討する方針を固めた。

 見直しのタイミングについて担当者は「世界保健機関(WHO)の報告などを通じ、感染性や重篤度などウイルスに関する情報が一定程度集まった段階で考える。それがいつになるかは現時点では見通しがたっていない」としている。

 厚労省は4月28日以降、成田など3空港で、米国、メキシコ、カナダからの到着便に対する機内検疫を行うなど水際対策に取り組んでいる。ゴールデンウイーク期間中の5、6日には、病院から派遣された医師や看護師も加わるなど態勢を強化したが、専門家などからは、態勢の見直しを求める意見が出ている。

 岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長は8日、都内で会見し、個人的見解と断った上で「近い将来、ウイルスが国内に侵入するのはほとんど不可避。医療機関は疲弊しており、感染者が出た場合に十分対応できない可能性もある」と指摘。その上で「水際対策は、全国で検査態勢を整える時間を稼ぐなど一定の成果があった。各地の医療機関から検疫強化のために集めた人員を、医療機関に戻す準備を始めるべきだ」と話した。

それなりに大きなマンパワーを要する作業であり、限られた医療資源をこちらに未来永劫投入するのも現実的に不可能な中でこれ自体はごく常識的な話なんですが、何しろ出されたタイミングが悪かったと言えるかも知れません。
翌朝早々には成田で新型インフルエンザ患者確認のニュースが全国に流れてしまうことになったわけですから、下手をすると「何を言っているんだ!」と言われかねない状況になってしまいましたね。
ちなみに成田の患者はカナダからの帰国便内で感染が確認されそのまま病院に収容になったもので、紛らわしいですが厚労省見解としては「初の国内発生ではなく、国外からの流入を水際で阻止し得た一例」ということになっているわけで、そうなるとますます水際阻止作戦の縮小というものがどうなるか不透明な話ではあります。

新型インフル、国内初の感染確認…大阪の高校生ら3人(2009年5月9日読売新聞)

 厚生労働省は9日朝、成田空港に8日夕方に米デトロイト発の航空機で到着した大阪府立高校の男子高校生2人と40歳代の男性教諭の計3人について、国立感染症研究所での遺伝子検査の結果、いずれも新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への感染が確認されたと発表した。

 国内で新型インフルエンザへの感染者が見つかったのは初めて。水際の検疫での発見であるため、政府は指針の「行動計画」のレベルを現在の「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生期)」に引き上げず、引き続き現在の検疫態勢を継続する。日本政府は近く、世界保健機関(WHO)に対して国内の感染者として報告する。9日午前8時半から舛添厚労相が記者会見する予定。

 厚労省や大阪府教育委員会によると、3人は4月24日からカナダ・オンタリオ州に短期留学していた府立高校の一行。3人は空港近くの感染症指定病院に隔離入院した。また、3人と一緒にカナダから帰国した府立3高校の生徒28人、引率教諭5人を含め、近隣座席の乗客ら計49人が「濃厚接触者」として空港近くの宿泊施設で待機しており、今後は最長10日間留め置かれ、経過観察対象の「停留措置」となる。

 世界保健機関(WHO)の警戒度の引き上げを機に政府が新型インフルエンザ対策本部を設置した4月28日以降、この3人のケースが判明するまでに、計17人の「疑い患者」があったが、検査の結果、いずれも新型でないことが確認されていた。

しかし今朝のNHKも思いっきり「発熱や咳などインフルエンザを疑う症状のある人は、直接病院にかからず都道府県の相談窓口にまず連絡を」なんてことを言ってましたね(苦笑)。
現時点(午前7時)までのニュースを聞いていて気になった点としては、「高校生の一行の中に発熱を呈する患者がいたがあちらの医者にかかったところ「インフルエンザではない」と言われたためそのまま帰国した」といったくだりがあったことです(今回入院した患者と同一人物かははっきりしませんでした>確認中)。
発症初期の迅速診断キットの感度が低いことを考えると実際にその個人がインフルエンザであったのかなかったのかは未確定ではないかなと思うのですが、今後もし実はインフルエンザであったということになれば患者がチェックをすり抜けているという実例になりますよね。

さて、あくまで海外からの事例ですが日本初の患者が出たということで、この段階になりますと遠からず国内発症の患者が確認されそうです。
今のところ見つかった疑い症例は全て新型インフルエンザではなかったということになっているようですが、これらは海外帰国者を対象としているものであって既に国内に新型が入り込んでいた場合には普通に見過ごされている可能性が大いにあるとも考えられます。
何より従来型のインフルエンザ自体も春の小流行で現在ある程度の患者が出ていることが話をややこしくしているようです。

邦人の感染を初めて確認=シカゴ在住の6歳男児-米から連絡・中曽根外相が発表(2009年5月8日時事通信)

 中曽根弘文外相は8日午前の閣議後の記者会見で、米シカゴ在住の6歳の日本人男児が新型インフルエンザに感染したことが確認されたと明らかにした。邦人の感染が判明したのは初めて。外務省によると、男児はタミフルを服用して既に回復。家族に発熱などの症状は出ておらず、家族と共に現地にとどまっている。
 同省などによると、この男児は現地の幼稚園に通っており、土曜日だけ日本人向けの補習校に行っている。現地時間の5日に38度を超える発熱があり、同市内の病院でインフルエンザの検査を受け、そのまま自宅で療養した。
 7日午前、この病院が男児の家族に新型インフルエンザへの感染が確認されたと連絡。家族が直ちにシカゴの日本総領事館に届け出た。
 発熱した5日以前の男児の行動や感染ルートなどは不明。隔離などの措置は取られなかったが、幼稚園は休んでいるという。また、補習校は9日の土曜日は臨時休校にする。 

新型インフル、相次ぐ「疑い→シロ」 通常型も流行中(2009年5月7日朝日新聞)

 新型の豚インフルエンザをめぐり、簡易検査で疑わしいとされても、遺伝子検査で詳しく調べると、通常の季節性インフルエンザと判定されるケースが続出している。まだ流行期にある季節性インフルエンザの患者が簡易検査で引っかかるためだ。そばにいた人も感染を疑われ、結果が出るまで一時的に足止めを求められるなど影響は大きくなっているが、厚生労働省は水際の検査に理解を求めている。

 人で流行するインフルエンザにはA型とB型がある。A型にはAソ連型とA香港型があり、新型もA型だ。簡易検査はA型かB型かなど大まかな判定をするものだ。

 最初に「疑い例」の患者が出たのは4月30日。成田空港で、米国から帰国した女性が簡易検査でA型の可能性があると判定された。だが、国立感染症研究所で詳しい遺伝子検査(PCR検査)をしたところ、A香港型とわかった。

 以来、5月7日までに関西や中部空港、帰国後の医師の診察などの簡易検査で毎日のように「疑い例」が現れたが、これまで新型の感染は確認されていない。これまでの15例(16人)のうち、10例(10人)が最終的に季節性のA型と判定された。それ以外は不明か細菌の感染によるものだった。

 新型インフルの「疑い例」は38度以上の発熱、または、鼻水やのどの痛みなどの症状があったうえで、「10日以内に新型インフルが流行している国、地域に旅行していた」ことなどが第一条件。さらに簡易検査でA型が否定されなければ「疑い例」として遺伝子検査する。

 検査は6~12時間かかるとされるが、その間、近くにいた人は「濃厚接触者」として、感染を広げないように、空港内の施設などにとどまることを求められる。

 季節性インフルエンザは例年、5月を過ぎても流行が続く傾向にある。国立感染症研究所感染症情報センターによると、日本でもまだ17万人の患者がいると推測される。

 全国約5千カ所の医療機関からの定点調査(4月13~19日)によると、1定点あたりの患者数は、流行の目安とされる1.0人を超える4.10人。11道県で警報レベルを超えているという。

これに加えて非常に面白いなと思ったのは、以前から指摘されているような患者の年齢分布が偏っているという問題です。
通常インフルエンザ大流行ともなれば施設の高齢者がバタバタと倒れたなどという話が出てくるように体力の弱い高齢者の感染が非常に問題になるわけですが、現地での話を聞いてみても(全く感染者がいないわけではないにしろ)高齢者で重症化している人というのはほぼいないらしいというのは事実のようなのですね。
このあたりは今後の詳細な検討を期待したいところです。

新型インフル「高齢者に免疫か」…専門家指摘(2009年5月8日読売新聞)

 世界中に感染が広がっている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について、高齢者の感染者が少ないことが注目を集めている。

 「高齢者には何らかの免疫があるかもしれない」と指摘する専門家もいる。

 米疾病対策センター(CDC)は6日、米国内で感染が確認された642人の患者のうち、58%が18歳未満の若者だったと発表した。通常の季節性インフルエンザでは、乳幼児や高齢者の感染者が多いだけに、新型インフルエンザでは、なぜ、若者に感染者が集中するのか憶測を呼んでいる。

 感染者の最も多いメキシコでも、高齢者の感染者が少ないのは同じで、同国内で最多の治療実績を誇る国立呼吸器疾患研究所付属病院でも、重症で入院する患者の大半が20~50歳だった。

 世界保健機関(WHO)の緊急委員会委員を務める田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長も、今回の新型インフルエンザで60歳以上の感染者がほとんどいないことを不思議がる。

 田代センター長は「今から60~65年前に、今回の新型ウイルスに似たウイルスが流行し、高齢者が免疫を獲得している可能性がある」と指摘する。CDCのリチャード・ベッサー所長代行も6日の記者会見で、春休みにメキシコを旅行した若者から新型インフルエンザの感染が広がったのが一因としながらも、高齢者が新型のウイルスに対して免疫を持っている可能性があるとの見解を示し、今後詳しく調査する必要性を強調した。

いずれにしてもこれだけ世界各国で感染が広がっている状況ですから、既に国内にも知らない間に入り込んできているのでは…とは誰しも考えるところだと思います。
特に先日の記事でも引用しましたように、新型インフルエンザはどうも通常のインフルエンザと比較しても感染から発症までの期間が長い傾向にあるようですから、普通なら発症していておかしくない時期でもそのまま日常生活を送ってしまい周囲に感染を広めてしまっている可能性があります。
実際のところ発症前の感染者から排泄される新型インフルエンザウイルスがどの程度の感染力があるのかといった基礎的データもはっきりしないのが現状ですが、通常のインフルエンザでは患者の同居者が同日ないし一日違いくらいの範囲で相次いで発症してしまう事例から類推するに、かなり初期の段階から周囲への感染力を持つものと考えておいた方がよさそうです。

そしてもう一つの深刻な問題として、現段階で国内各医療施設において迅速診断キットや治療薬の備蓄が乏しく、しかもこれらのメーカーからの出荷が(特に発熱外来を設置していない一般病院に対して)止まっているという話があることです。
もともと冬の流行期を過ぎたこの時期には各施設とも大きな院内在庫を抱え込んでいない場合の方が多いでしょうから、施設によると既に検査キットも品切れ寸前という状況にあるようで、こうなると患者が来たところで最低限のふるい分けも出来ないという話にもなりかねません。
ちょうど連休が挟まったこともあってメーカー側が緊急に増産・出荷体制を取ったとしても直ちに末端にまで行き渡るというのも難しいでしょうし、あちこちの施設でどうしたものかと頭を抱えているのではないでしょうか。

さてここから話は変わって、先日もお伝えしました「診察拒否」問題の続報ですが、まずは毎日新聞の記事から紹介してみましょう。

新型インフルエンザ:過剰反応、やまぬ診察拒否 都の説得、断る医療機関(2009年5月8日毎日新聞)

新型インフルエンザ感染の可能性がないのに医療機関に診察を拒否されたとの相談が、東京都以外にも5県2政令市に寄せられていたことが7日、毎日新聞の調査で分かった。東京都への相談件数は7日朝までに計212件に達した。都内では都が説得しても診察を拒否し続けている病院もあり、厚生労働省は「国内未発生の段階では、発生国に行っていなければ診察して問題ない」として、医療機関に適切な対応を求めている。【内橋寿明、江畑佳明】

 ◇「保健所診断書持ってきて」

 調査は7日、都道府県と政令市の新型インフルエンザ対策担当者に実施。診察拒否の相談があったのは東京都のほか、埼玉、千葉、滋賀、島根、高知の各県と横浜、神戸両市だった。東京都以外はいずれも数件だったが、東京都はこの問題が報道された5日以降で120件増えた。

 東京都内では「(新型インフルエンザでないという)保健所の診断書を持ってきてほしい」と診察を断った医療機関があり、都が患者の連絡を受けて説得しているが、依然として拒否を続けているという。都は診察を拒んだ医療機関のリスト化も検討している。相談が報道された後も増えたことについては、都の担当者は「泣き寝入りしていた患者たちが、報道で知って連絡してきたのでは」と推測している。

 横浜市では「診察してもらうのに、何カ所もの医療機関を回らなければならなかった」との相談があった。市は5日付で医師会と病院協会に対し、適切な対応を取るよう文書で要請したという。

 島根県には6日夜までに、7件の相談が寄せられた。いずれも渡航歴がないのに、医療機関に発熱相談センターに行くよう求められたとの内容。

 センターは、一般の医療機関で受診して構わないと説明したという。担当者は「『発熱相談』という名称なので、熱がある人の対応を一任してしまっていいと勘違いする医師がいるのではないか」と話す。

さすが毎日新聞、検査はおろか診察もせずとも感染の可能性はないと判断できるんだそうですが、残念ながら多くの医療従事者は毎日新聞ほどの神の目は持ち合わせていないというもの悲しい現実というものでしょう。
ちなみに報道に触発されたのか東京都以外でも同様の「診察拒否」が発生しているようですが、こちらも毎日新聞の記事を見てみれば厚労省の方針に従えば明らかに妥当な判断としか思えないものを医療機関の対応の間違いのように言い立てるのは何かしら意図するところがあるのかなと邪推出来てしまうところですよね。

新型インフルエンザ:県内でも診察拒否 /埼玉(2009年5月8日毎日新聞)

 新型インフルエンザへの警戒が強まる中、東京都内の医療機関で発熱患者への診察拒否が相次いでいる問題で、県内でも7日までに類似ケースが数件あることが分かった。

 県疾病対策課によると、厚生労働省がまん延地域に指定した米国、メキシコ、カナダの3カ国以外の海外から帰国し、その後発熱した患者らから「病院に行ったら、先に発熱相談センターで相談するように求められた」という相談が県に数件あったという。

 また、同課は発熱外来を設置する県内の医療機関が10から16に増えたと発表した。【岸本悠】

面白いのは、普段こういうネタが大好きそうなワイドショーなどでもこの問題については結構意見が分かれているようなのですね。
これが録画放送であればカットされてしまっていた部分も結構あったのかも知れませんが、ああいう番組において医療問題というものはコメンテーターの個性や知識レベルがよく現れてしまう部分ではあるのかも知れないなとも感じるところです。

「診療拒否」病院は悪者か 舛添発言にテリー「失礼だ」(2009年5月7日JCASTテレビウォッチ)

新型インフルエンザへの対応を巡り、国内の病院で「診療拒否」が起きている、と今日(5月7日)の番組が取り上げた。発熱の症状があるだけで、海外渡航歴がないのに診療を拒否された、などの例が相次いでいるという。

   リポーターによると、季節性インフルエンザの流行収束が例年より遅れており、現在もかなりの人がかかっている。舛添厚労相が5月6日、診療拒否について「医師法違反になる」「海外渡航もしていない方々まで拒否するのは行き過ぎ」などと医療機関を批判したことも伝えた。

   この舛添大臣見解に異を唱えたのはテリー伊藤だ。「病院が悪者みたいになってるが、違う(悪者ではない)」。舛添大臣の「医師法違反」との指摘については、「失礼だ」とも話した。テリーの懸念は以下のようなことだ。――GW中に海外へ行った人たちの帰国がすでに始まっている。海外で感染したとしても潜伏期間中で発症しておらず、空港などでの検査の網にひっかからない可能性がある。海外では、渡航歴がないのに感染している例が出ている――医療機関側が、患者の「渡航歴がない」情報では安心できないのは理解できる、といったところだろうか。

   一方、加藤浩次は「発熱だけ」の患者の立場なら「診て欲しい」とある意味当然の願望を述べる。テリーの指摘はともかく、過剰な診療拒否が望ましくないことは間違いない。さりとて厚労相・厚労省の「威圧的」とも受け取れる姿勢が、混乱回避の最善策とも思えない。現場の医師たちの不安も解消できる形で、意見交換しながらコトを進めて欲しいものだ。

ちなみに舛添厚労相の言うところの医師法違反とは恐らく応召義務違反と言いたかったのだと思いますが、緊急性のない症例において診療により適切な施設へ受診するようすすめることは応召義務違反とはならないというのが現在の一般的な解釈となっているようです。
さすがに厚労省もマスコミに乗せられて適当なコメントをすっぱ抜かれてしまった後でこれはマズイと感じたのか、昨日になって外口崇医政局長が「発熱外来のない医療機関が、他の医療機関への受診や、発熱相談センターへの相談を勧めたとしても、医師法19条で規定する「医師の応召義務」違反には当たらない」との公式答弁を出しています。
勝手に二階に駆け上がって思い切りハシゴを外された形の舛添氏こそ良い面の皮というものですが、所轄官庁のトップが一時の感情に任せて適当なコメントを吐くと後でどうなるかといったあたりもなかなか興味深いかなと思って見ているところなんですがね。
いずれにしてもこの件に限らず専門職に対する社会的要請というものも考えるに、現場医療機関で診療に従事するスタッフは周囲の雑音にいたずらに惑わされることなく、あくまで専門的見地から最善と信じる道を選択しなければならないのは言うまでもないでしょう。

さて、厚労省の「既定の方針通りだけど改めて書いてみました」という現状解決に何の役に立つのかよく判らない通達が出され、一方で何故かマスコミ的には「診療拒否ケシカラン!」とすっかり現場の意識の問題ということで解決している気配すらありますが、実際のところはそう簡単な話でもないようです。

新型インフル 県と自治体、症状の判断分かれ混乱 /兵庫(2009ン3ン5月7日神戸新聞)

 新型インフルエンザの電話相談窓口をめぐり、症状の連絡を呼び掛ける対象について、神戸市と兵庫県内のほかの自治体との判断が分かれている。県などはメキシコや米国本土、カナダから十日以内に帰国し、発熱やせきなどがある人らが対象。一方、神戸市は、三八度以上の発熱などがあれば、渡航歴がなくても医療機関に行く前に電話連絡するよう呼び掛けており、一部の市民の間に混乱が起きている。

 県は、新型インフルエンザがまん延している国からの帰国者で症状が出ている人と、電話で帰国者の健康状態を調査している健康福祉事務所などからまだ連絡がない人を中心に、「発熱電話相談窓口」に連絡するよう呼び掛けている。これにより、まん延国からの帰国者を把握できるとみている。県内で保健所を設置する姫路、西宮、尼崎の各市も同様の対応。

 これに対し、神戸市は渡航歴や患者との接触がない場合でも、発熱やせき、息苦しさなどの症状があれば、市の「発熱相談センター」に連絡するよう呼び掛けている。症状などを聞き、医療機関を案内。六日には、直接医療機関を訪れた人が同センターに連絡するよう言われたとして、苦情が寄せられたという。

 同市地域保健課は「今回の医療機関の対応は市の方針に沿っており、診察拒否ではない」とした上で、「潜伏期に検疫をすり抜ける人がゼロとは言えない。万一に備え、可能性のある人を広くとらえたい」と話す。

 厚生労働省は「相談体制が整っているなら、対象を広くとらえても構わない。ただ、混乱のないよう、住民への周知を徹底してほしい」としている。

市民の目で見ていますとお役所なんてどこも同じようなものに見えてしまう部分も多々あるところですが、そのお役所同士でもこれだけ見解の相違というものが明らかになってきているわけなのですね。
こうなってくると厚労省の指示を理解しようとしない現場が悪いのか、あるいは理解されない指示を出している厚労省が悪いのか微妙なところだなと感じるのは自分だけでしょうか?
いずれにしても検査の感度すら100%でもないのに、「新型インフルエンザに感染していない」などと軽々に口にする輩の言うことはまず信用できないと考えておけば間違いありません。

国立感染症研究所がつい先日出した「国内医療機関における新型インフルエンザ(A/H1N1)診断の流れ」においても、「渡航歴や患者との接触歴・症状から新型インフルエンザを疑った患者」という極めて曖昧な表現が用いられていることからも判る通り、渡航歴や接触歴などと言うものはあくまで感染のリスクを評価する目安にしか過ぎないわけです。
そうした診断の限界に加えて新型インフルエンザの病原性や感染力、感染が蔓延した場合の社会的影響などを全て承知した上で、水際阻止体制からのすり抜けや二次感染の恐れも既に多分にあると思われる現状の中で、患者個人のみならず社会防衛までも含めて最も適切な行動を選択するということが求められていると言えるでしょう。
「単に熱が出ただけなのに近所の病院でみてくれないなんてとんでもないじゃないか!」などと大騒ぎする前に、本当の意味での「冷静な対応」というものはどのようなものなのか、社会全体でもう一度考え直してみるべきでしょうね。

【追記】国内初症例に関連して幾つか続報が入っていますが、いずれも国の立てた計画の実施などとは程遠い「ザル状態」であることを証明しているような話ばかりですね。
水際での防御などということはよほど高い市民レベルでの理解なしでは到底成立し得ない話なのではないかという感がますます強くなってきています。

しかし正直長時間機体内の閉鎖空間で同室していた人々を、単に席が近いかどうかだけで分けることにどれほどの意味があるのかとも思いますが…

現地で発熱したが予定通り帰国 大阪府教委会見(2009年5月9日朝日新聞)

 マスクの未着用、教員も発熱したが予定通り帰国……。大阪府教育委員会が9日午前から計3回開いた記者会見などで、学校や府教委の対応に疑問が浮かびあがった。

 一行が滞在中にカナダなどで感染が広がり、府教委は4月28日、対策本部を設置。3校にメールで、生徒の健康観察の徹底▽手洗いやマスク着用の励行▽カ ナダ国内の感染状況の情報収集▽帰国後も10日間は学校で健康観察を続ける――の4点を通知した。しかし、指示は徹底されなかった。引率教員らは主な滞在 先のオークビル一帯でも感染者が確認されたことについて把握せず、生徒はマスクもつけていなかったという。

 高校側は5月1日、マスクを50枚発送し、現地に5日までについたが、引率の教員が「現地は平穏でマスクをつけていると周囲に違和感を持たれる」 と判断し、着用を見送った。その後、姉妹校で授業を受けたり、トロントで大リーグの試合を観戦したりした。マスクをそろって着用したのは、出国間際だった という。

 生徒の1人が発熱したのは5日夜。6日朝、教員に付き添われて、現地の病院で診察を受けた。インフルエンザについての詳しい検査はなく、問診との どを見て「風邪」と診断された。この診断を受け、教員が同日午後、「発熱した生徒が1人いるが、新型インフルエンザではないと診断を受けたので予定通り帰 国する」と高校にメールを送った。

 教員が発熱したのは6日夜。パーティーに出ていたとき熱っぽいと感じて、途中でホストファミリー宅に戻ったという。それでも予定通り、帰国の途についた。

 中西正人教育長は「結果的に対応が甘かったということになる。反省すべき点はある」と語った。カナダで感染が広がる中、帰国を早めるよう勧告しなかった点については、「高校側から報告を受ける限りでは、帰国を促す事態にはいたっていないと判断した」と説明した。

【新型インフル】「停留」くぐり抜け乗客が最大11人存在、特別な注意呼びかけ(2009年5月9日産経新聞)

 厚生労働省は9日、感染が確定した生徒の1人は、機内検疫を終えて機体を降りてからの診察で、感染が確定したことを 明らかにした。機内でこの生徒の周囲に座っていた最大11人が、停留措置を受けることなく、入国した可能性があるため「健康状態に特に注意してほしい」 と、呼びかけている。

 この生徒は、機内中央の左窓側席「43A」シートに座っていた。

 厚労省では、機内検疫で「感染疑い」となった人について、周囲の席や、この人に食事などを運んでいた客室乗務員に待機してもらい、その後、感染が確定した場合には10日間の「停留」措置を取ることにしている。せきなどの飛沫(ひまつ)によって、周囲の人に感染している疑いがあるからだ。

 今回は、教諭と1人の生徒については、この対応が取られた。しかし、もう1人の生徒は、機内検疫の際には体調異常はなく、降機後に体調不良を訴えた。周囲にいた人を含む他の乗客らは入国(帰宅)してしまった段階で、停留ができなかった。

 厚労省では、機内で乗客全員から提出してもらった「健康状態問診表」に書かれている住所や連絡先の確認を急ぐとともに、航空会社とも連絡を取り合って、周囲の席にいた乗客の特定を急いでいる。また、心当たりの人に、厚労省や保健所などに名乗り出るように呼びかける。



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2009年5月 8日 (金)

落日のマスコミ業界、さらに自ら冬を呼び込むか?!

不景気は当分続くと暗い予想ばかりの世相ですが、テレビ朝日が開局以来初の最終赤字に転落するなどマスコミ業界の凋落も相変わらずのようです。
こんな中で新たなビジネスチャンスを掴むと言うことは何より大事なことですが、これが長年の無風状態を享楽してきた既存の業界にとってはしばしば思わぬ痛手になることもあるのだとか。

リクルートがエリア拡大する番組表無料宅配に新聞業界激震(2009年4月22日ダイヤモンド・オンライン)

 リクルートが地域限定で行なっている新事業「タウンマーケット無料宅配サービス」に新聞業界が神経をとがらせている。これは週刊テレビ情報紙と地域のチラシを1週間分まとめて、毎週金曜日に無料で宅配するというサービスで、エリアを急速に拡大しているのだ。

 すでに2008年3月、東京都町田市、神奈川県相模原市で先行実施しており、09年1月には横浜市、川崎市に拡大、5月からは東京都世田谷区、中野区、杉並区、目黒区、品川区、大田区でサービスを開始する予定だ。

 リクルートは該当地域の住宅に申込書を配布して会員を集めており、インターネットでも受け付けている。会費は無料で、会員になれば、話題のタレントインタビューなどを掲載している1週間分のテレビ番組表と、地域のスーパー、家電量販店などのチラシを自宅までクロネコメール便で宅配してくれる。「テレビ欄とチラシで十分」という新聞購読者にとっては、手厚い代替サービスといえる。

 テレビ番組表は約16ページで、今は広告を掲載していない。つまりチラシの配布料金だけがリクルートの収入になるというビジネスモデルだ。

 ある広告代理店幹部によると「リクルートはこの事業に神経を使っている」と打ち明ける。リクルートは事業開始に当たって大手新聞社を表敬訪問するなど、慎重に対応しているという。新聞部数の減少と、新聞販売店の主な収入源である折り込みチラシの減少につながりかねないだけに、メディアの雄を自負する新聞を刺激したくないからだ。

 そのためかリクルートは「まだフィジビリティスタディ(事業化調査)段階で、今後の戦略は決まっていない」としか話さないが、相次ぐエリア拡大からは期待の大きさがうかがえる。

 新聞社は景気悪化による広告急減と部数減少に頭を痛めており、宅配を支える販売店も部数と折り込みチラシの減少で疲弊している。リクルートの新事業が成功すれば新聞というビジネスモデルはますます窮地に追い込まれそうだ。

「リクルートはこの事業に神経を使っている」と言うくらいにそれなりに用心しながら行っているのでしょうが、まさにこれは下手をすると新聞業界の命取りになりかねないような話ですよね。
もちろん公正な競争原理の結果として消費者が利益を得ることができるというのであれば市民としてもありがたい話ではあるのですが、既存の権力側が新規参入者に対して圧力をかけてくるということになればこれはどうなのかという話です。
リクルートのみならず最近ではネットニュースなどもマスコミ業界を脅かす急先鋒ですが、これに対してなかなか香ばしい話が出ているようなのですね。

「批判記事をトピックスに載せるな!」と、毎日新聞が言論弾圧(2009年04月28日PJニュース)

【PJ 2009年04月28日】-ポータルサイト「ライブドア」のニュース欄トピックス上に掲載される毎日新聞への批判記事について、毎日新聞側がこれまで複数回にわたり、ライブドアに対してトピックスへの掲載を中止するよう圧力をかけてきたことがこのほど、PJニュースの取材で明らかになった。独立したメディアの編集権を侵害するという、報道機関としてはあるまじき毎日新聞の言論弾圧体質が浮き彫りになった。

 毎日新聞の英語メディア「Mainichi Daily News」のコラム「WaiWai」が卑わいで低俗な内容の記事を継続的に掲載・配信していた問題が発覚した08年夏、PJニュースはインターネット関連のメディアには回答できない=毎日新聞英語版の検索エンジン拒否でや「ネットは悪」なのか、柳田邦男氏と毎日新聞の「変態記事」事件への見解といった取材記事やオピニオン記事をライブドアに配信した。ライブドアはこれらをニュース・トピックスに取り上げた。

 ライブドア元社員を含めた複数の関係者によると、これら記事について、毎日新聞デジタルメディア局担当者がライブドアのニュース担当者に対して、毎日新聞を批判する記事はトピックスから外すよう電話で伝えてきた。ある関係者によると「毎日新聞担当者は、何も知らないPJニュースの市民記者の記事をなぜトピックスに載せるんだ。うちはライブドア事件直後でも記事配信を継続してやったではないか」などと、圧力をかけてきたという。

 毎日新聞はこれ以前にもPJニュースの毎日新聞批判記事にもクレームを付けてきたという。さらに、ライブドアが毎日新聞を批判した一般ユーザーのブログ記事をトピックスに掲載してきた09年の年初には、「これまでにない強い圧力」(関係者)をかけてきたという。

 ライブドアは2006年1月に証券取引法違反事件、通称ライブドア事件を起こした。毎日新聞は事件以前からライブドアと記事の配信契約を結び、事件以降もその契約を継続した。

 ある元社員は当時を振り返り「さすがに口には出さないが、大事件を起こした問題企業にも記事を売ってやったという態度がひしひしと伝わってきた。その記事配信を継続していることを恩着せがましく言ってきた。その裏にはいつでも配信契約をやめてしまってもいいんだぞ、という傲慢(ごうまん)さも見え隠れした。記事を売ってやってんだから、毎日新聞の批判記事を載せるなど問答無用といった調子だった」と話した。

 また別の関係者らは、「市民記者のいい加減な記事などを平気で掲載するライブドア、というような見下した態度を取られることもあった」「市民記者への反感が毎日新聞の現場記者の中で渦巻いていると担当者に伝えてきた」などと証言した。

 この記事はPJニュースが独立して取材したもので、ライブドア側から指示命令されたものではない。

 取材拒否などのネットメディアや市民記者への偏見や、他のメディアの編集権を侵害するなど毎日新聞の体質は、「公器」を標榜(ひょうぼう)する報道言論機関として適格とは到底思えない。毎日新聞の存続そのものが問われそうだ。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小田 光康【東京都】

やはり毎日新聞という会社は市民記者だとかネット世論だとかいったものに対して相当に神経をとがらせているようですね。
しかし匿名関係者なる方々の証言というのもこの種の記事ではお約束ですが、またこれはゴシップ誌なみに煽りの入った記事ではありますよね(苦笑)。

ことさらにライブドアとは無関係を主張するというのも背後関係を考えるならばやむなしというところなのでしょうが、これを掲載するライブドア側の見解というのはどうなんでしょうね。
ライブドアが毎日と対立したくないというスタンスなら困ったニュースということになりかねませんが、逆に「こんなニュースでもウチはこうして掲載してますよ」というアピールにはなるという判断なんでしょうか。
しかしライブドア事件の当時はともかく、今となるとどっちが勝ち組でどっちが負け組なのかはっきりしないような話ではありますが…

新聞ばかりでなくテレビ業界も色々と香ばしいネタが続出ですが、最近のスマッシュヒットがこちらTBSのやらせ問題です。
ま、今の時代TBSと言えばやらせ、やらせと言えばTBSという評価がすっかり定着してしまった感もありますが、幾ら何でもここまで素朴なやらせをやっていて良いのかと心配になってくるほどのものがありますから、それは橋下知事でなくとも一言言いたくなるのもやむなしというところでしょうか。
しかしTBSはこれも「やらせとは言えない」と主張しているようですが、一応は真面目なニュースっぽく仕立てた番組の取材にしてこのレベルなんですから、他の番組ではどんな素晴らしい境地を見せてくれているのかと楽しみで仕方がありません。

「これが二重行政の現場」…実はTBS依頼でやっただけ(2009年4月26日朝日新聞)

 TBS系が今月11日に放送した「情報7days ニュースキャスター」で、国道と大阪府道の清掃作業をめぐり、通常実施しない清掃作業を業者に依頼し、国と地方の「二重行政の現場」として報道していたことがわかった。国土交通省近畿地方整備局が「事実誤認と考えられる」と指摘。TBSは25日、「行きすぎた表現でした。誤解を与えかねない表現になったことをおわびします」と同番組で謝罪した。

 番組には、大阪府の橋下徹知事や宮崎県の東国原英夫知事らが出演し、国の税源移譲など地方自治についてビートたけしさんらと議論した。

 問題のシーンは「これが『二重行政』の現場だ!」の字幕で紹介された部分。

 府の委託で府道を清掃車で掃除していた業者が、国道との交差点の手前で車の回転ブラシを路面から上げて清掃を中断、交差点を渡るとブラシを下げて清掃を再開する。カメラが近寄ると清掃車の運転手が「国道と府道は違うからね。そこの分だけブラシ上げなあきません」と説明。

 続いて「国道に差しかかると掃除をやめなくてはならない」「国道が通る交差点は国が掃除することになっているという」とのナレーションが入る。ブラシを上げたため、路面にゴミが残り、作業員が手作業で掃除する場面も放送。二重行政の無駄を強調する構成になっている。

 府道路環境課によると、国道との交差点の維持管理は国の管轄。だが、業者は通常、効率を考えて国道との交差点もブラシで清掃していた

 TBSの取材を受けた業者によると、取材当日、番組スタッフから「交差点でブラシを止めてくれないと取材にならない」と依頼され、府鳳土木事務所(堺市)に電話で相談。担当者から「歩行者の安全対策でブラシを上げることもあるから協力して」と言われ、依頼に応じたという。

 TBS広報部は「府への取材で、国道に入ると清掃車のブラシを上げると聞いた。国道との交差点でもそうだと思い込み、業者に『正式なやり方を撮りたい』とお願いした」と説明した。

 放送を見た近畿地方整備局が17日に「事実誤認」と文書で指摘。TBS側は21日付の文書で通常の作業ではなかったことを認め、「視聴者にすべての交差点で同様の事例が起きているような誤解を与えかねない表現でした」と回答。そのうえで、TBS広報部は「やらせとは言えないと思う」と説明している。(渡辺哲哉)

★橋下知事、TBS番組を「虚偽」と批判(2009年4月27日日刊スポーツ)

 TBS系の情報番組「情報7daysニュースキャスター」が、大阪府の委託を受けた業者に通常とは異なる道路清掃を依頼し「二重行政の例」などと放送した問題で、橋下徹知事は27日、記者団に「TBSは『行きすぎた』と言っているようだが、ある意味虚偽だ」と述べ、取材方法を批判した。

 橋下知事は、府側には二重行政の問題に関する取材だとは知らされていなかったと指摘し、「意図を隠して(清掃方法を)依頼するのはルール違反だと思う」と述べた。

 橋下知事は11日放送の同番組にスタジオ出演。番組関係者からは府側に口頭で説明があったという。(共同)

こうまで同じような問題を繰り返すのですから業界内部でもそれなりに危機感が盛り上がってこないといけないんだと思うんですが、風の噂に聞くところによると上層部は全くそんな気配はないんだとか。
他人を騙してでも儲かりさえすればいいという考え方も営利追求の一つの究極として有りかなとは思うのですが、そういう人々が他人に向かっては「社会の木鐸でござい」と大きな顔をするというのは正直感心できないところではありますよね。
ま、情報発信の広範化が進んでいるこういう時代ですから、いずれ遠からずそれなりの報いがあるんじゃないかなと言う予感はしているのですが。

取材ノートから:食品産地偽装 /山形(2009年4月21日毎日新聞)

 新庄市の山菜加工会社が外国産の山菜を国産や県産と偽って表示し、販売していた。偽装は少なくとも04年ごろから行い、中国産の製品が売れなくなったことを理由に徐々に偽装の割合を高めて、県内外の消費者や業務用に販売していたという▲「国産って書いてあるからきっと取れたての山菜なんだと思って、いつもスーパーで買ってたのに……」と知り合いの主婦。全国的にも山菜の産地として有名な最上地方での不祥事に、何年もこの会社の食品を口にし続けてきた県民だけでなく、県外の消費者は何を感じただろうか▲倫理上の問題が問われている。人をだましてまでも利益を追求する会社に商品を売る資格はないし、そんな会社は必ず報いを受けることだろう。【浅妻博之】

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2009年5月 7日 (木)

新型インフルエンザ関連情報、ふたたび

先日に引き続いて、今日も新型インフルエンザに関連する話題です。
米国では二人目の死者が出たということで、メキシコ内外で死亡率に顕著な差があるというより母数の違いということの方が大きいのではないかという印象が強くなってきています。
となれば、今後も感染者数が増えればそれなりの死亡者数増加もあるだろうと予想されるわけですが、幸いにも現在流行しているのは新型とはいえ病原性は際だって強いものではなく、感染者に対しては一般的なインフルエンザと同様の治療を行っていくのがよいようです。
再流行時になって強毒性を発揮したというスペイン風邪の経緯を想起するならば、あるいはここで軽症型に感染してある程度の免疫を獲得しておいた方が長い目で見て得という可能性もあるかも知れませんが、究極の選択を迫られる前にワクチンが間に合うならばそれに越したことはありませんよね。

新型インフル感染者、全世界で1200人超に(2009年5月5日読売新聞)

 【リオデジャネイロ=小寺以作】新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染者数は4日、メキシコで新たに221人が確認されたことなどで全世界の合計が1243人に達し、一気に1000人を大きく超えた。

 感染が確認された国・地域では、新たにエルサルバドル、ポルトガルが加わり、21か国・地域となった。メキシコでの死者数も7人増え26人となった。感染疑いも含め、新型インフルエンザはなお拡大を続けている。

 国・地域別の感染者は、メキシコで727人、米国で286人、カナダで101人に上っている。

 ただ、世界保健機関(WHO)は、感染者数の増加は警戒水準の引き上げに直結しないとの見解を示している。ハートル報道官は3日夕の記者会見で、警戒水準を現行の「フェーズ5」から「6」に上げる場合の判断基準は、アメリカ以外の大陸で、人から人への持続的な感染が確認されるかどうかだと指摘した。

 潘基文(パンギムン)・国連事務総長は4日、「状況が変わらない限り、WHOには警戒水準を6に上げる計画はない」と述べた。

 関係各国の当局者も、事態の悪化に歯止めがかかりつつあるとの認識を示し始めた。

 AFP通信によると、メキシコのカルデロン大統領は3日のテレビ番組で、「メキシコでの感染拡大のペースを落とすことに成功した」と述べた。同国では、今月1日から5日間、行政機関の大半を閉鎖し、緊急性のない民間企業の活動も休止させる異例の感染防止策をとってきたが、コルドバ保健相は、6日から通常に戻す意向を示した。

 ロイター通信によると、米疾病対策センター(CDC)幹部も3日、新型インフルエンザが季節性インフルエンザより危険とは言えず、「明るい兆しが出てきた」との見解を示した。

発症7日以内に治療すれば大半回復 メキシコの専門医(2009年5月5日朝日新聞)

 【サンパウロ=平山亜理】新型の豚インフルエンザが最初に発生したメキシコで、治療の最前線にいる国立呼吸器系疾患研究所付属病院(メキシコ市)の専門医、アンハラ・イゲラ感染症部長が3日、朝日新聞の電話インタビューに答え、発症後7日以内に治療を受けた人のほとんどは回復していると明らかにした。

 イゲラ部長によると、死亡例の大半は、今回の新型インフルエンザの知識がないまま、症状が重くなるまで、ただの風邪だと思い、高額の負担につながる医療機関で受診せず、市販薬で治そうとした人たち。発症後15日間を過ぎるまで治療を受けなかった人の96%が死亡している。

 今回の新型インフルエンザでは、メキシコにほとんどの死者が集中していることが最大のなぞとされてきた。専門医によるこうした証言は、低所得者層の医療へのアクセスの悪さが、特に流行初期の段階で高い死亡率につながった可能性を裏づけるものだ。

 この病院は、転院も含めて新型インフル症例を国内最多規模で扱っている。これまでに新型インフルの疑いの濃い重症者が136人入院し、うち21人が死亡した。世界保健機関(WHO)の検査で、21人のうち5人はすでに新型インフルと確認された。

 手遅れになってから受診したことによる死亡例は、メキシコ政府もまだ事態を認識していなかった3月下旬から4月上旬までが多かった。現在はインフルエンザに関する知識が広まった結果、初期症状が出てすぐ通院する人が増えたこともあり、ここ数日は死者は出ていないという。

 入院した重症者136人でみると男性が74%、女性が26%と男性が多く、年齢は15歳以上64歳未満に集中していた。タクシー運転手や美容院従業員、医師や看護師ら、人と接する機会の多い職業の人が多い。また、公共交通機関を利用する傾向も高かった。

 潜伏期間は個人差があるが、家族間などで感染時期が特定できるケースから推定すると、感染後3~7日たって発症する。39度程度の高熱とともにせきや鼻水が出て、頭痛や筋肉痛、腹痛や下痢症状を訴える。緑か黄色のたん、場合によっては血の混ざったたんが出る。発症後72時間後ごろから、肺炎を併発して重症化、特に重い場合は多臓器不全を起こして死亡に至る例が多いという。

 イゲラ部長は、発症して7日以内の抗ウイルス剤タミフル投与などの治療は明らかに有効だとした。ただし、心臓病や糖尿病など他の病気を患っている場合はタミフルが効かない例もみられたという。

 一方、こうした情報のメキシコ政府による集約は後手に回った可能性もある。米疾病対策センター(CDC)の調査報告によると、メキシコ初の発症例は3月17日。保健省の担当部局が全国の病院に警告を出し、通常見られないような重症の肺炎例の報告を求めたのは、1カ月後の4月17日のことだった。

メキシコからのレポートを見ていて思うのは、どうも感染から発症に至るまでの経過が通常のインフルエンザよりも遅く、また発症後の経過も長いんじゃないかという印象があることです。
「発症して7日以内の抗ウイルス剤タミフル投与などの治療は明らかに有効」という言葉も、通常よりも増殖スピードが遅く、そして恐らく長く続くということを想定してみれば説明できる現象なのかも知れません。
もう少し詳しいデータが揃ってみないことには何とも言えませんが、この点から通常のインフルエンザ感染症の経過と比較して類推するに、発症後ごく早期の迅速診断キットの感度が低い時期というものがあるいはもっと長くなってくる可能性も考えられるのかも知れず、そうなると拾い上げ段階で検査をかいくぐってしまう患者も多く出るかも知れませんね。
抗ウイルス薬の治療成績とともに、こうした検査感度の情報に関してもぜひ早い段階で情報を出してもらいたいものです。

さて、お隣中国では入国したメキシコ人から新型インフルエンザが確認されたということで大騒ぎになっているようですが、どうもこの件でメキシコとの関係が急に冷え込んでいるようです。

中国とメキシコ、新型インフルで“外交摩擦”(2009年5月4日産経新聞)

 【北京=野口東秀】新型インフルエンザへの対処をめぐり、中国とメキシコの間で“外交摩擦”が生じている。感染していないメキシコ人が、中国各地で隔離されていることなどにメキシコ政府が反発。感染拡大を懸念する中国政府は、今後も徹底した予防措置を講じる構えだ。

 上海経由で香港を訪れたメキシコ人男性の感染が確認されると、中国政府はメキシコ~上海直行便の受け入れを停止し、感染の兆候がない約70人のメキシコ人を隔離した。メキシコのエスピノサ外相は2日、「根拠のない差別的措置を講じている。科学的根拠もない人権侵害は正当化できない」と非難。メキシコ国民に対し中国への渡航自粛を勧告した。

 上海市当局は3日、「中国の措置は世界保健機関(WHO)の規定に基づく」と反論した。中国外務省の馬朝旭報道官も4日、談話を発表し、「隔離措置はメキシコ人を対象としたものではない。純粋に衛生検疫上の問題で、感染防止の大局に立ち、理解してほしい」と訴えた。

 中国政府関係者は「感染が拡大すれば、経済への打撃は計り知れない」としており、過剰ともいえる措置を正当化する背景に新型肺炎(SARS)が大流行した2003年の記憶があることをうかがわせた。

 両国は4日、それぞれの自国民の帰国に向けてチャーター機を派遣し合うことで合意。中国政府がメキシコ側に理解と冷静な対処を求める中、国民の間では感情論が先行し始めている。

まあ中国にしてもあの人口に感染が蔓延した場合というものを考えた場合に下手をすると国が潰れかねない話ですから、それなりに神経質になっていることは理解は出来るところですけれども、ね…

ところで一昔前から新型インフルエンザと言えば中国あたりから出現する人に感染する鳥インフルエンザになるはずだと物の本には定説のように書かれていたものでしたが、これは別に根拠無きものではありません。
インフルエンザと言うウイルスは遺伝子構造上近くにいるウイルスと遺伝子のやり取りをして新種を作り出しやすいという特性があるのですが、この地域では社会文化的背景から今も鶏や豚と人間が一緒に生活をしているという環境にあるわけですね。
そうした環境で人間のウイルスにも鶏のウイルスにも感染する豚の体内で両者のウイルスの遺伝子が混ざり合って、人間にとっては未知の新型ウイルスが誕生するというのが予想されたシナリオだったわけですが、その意味で今回メキシコ発祥というのは少なからず意外な話ではあったわけです。
そういう話を下敷きにして見た場合に今回の中国とメキシコとの間の騒動には何か宿命的なものも感じてしまうわけですが、そこに来て下記のような記事も出てくるわけですから色々と深読みも出来てしまうわけです。

中国は豚インフルエンザの発祥地か=中国問題の専門家(2009年5月2日大紀元時報)

 【大紀元日本5月2日】メキシコを中心に世界各地で猛威を振る豚インフルエンザについて、国外在住の中国問題の専門家は、様々の中国国内での実例を挙げ、今回の豚インフルエンザの発祥地は中国ではないか、との見解を示した。

 同感染症が世界各地で確認される中、中国当局は国内の緊急対応システムを発動したと発表、豚インフルエンザを国外から持ち込ませない姿勢をみせ、中国国内での感染を否認している。

 農業部は声明を発表し、福建省で発生した豚大量死は豚インフルエンザではないと強調した。メキシコの政府関係者とニューヨーク・タイムズ紙が「中国の観光客が豚インフルエンザのウイルスを北米とメキシコに持ち込んだのでは」と疑う声に、衛生部(日本の厚生省に相当)と官製メディアは非難攻勢を一斉に発している。外交部は、「現時点までに、中国では人間が豚インフルエンザを感染する事例を発見していない」と強調した。

 そのような中国当局の動きについて、国外在住の中国問題の専門家・李天笑氏は、中国国内ですでに豚インフルエンザが発生している可能性が高いと指摘、下記のいくつかの事例を挙げて説明した。

 其の一.世界保健機構(WHO)の駐中国代表・韓卓昇(ハン・ジュオション)はこのほど、中国では感染の疑いがある例が発生し、患者はインフルエンザの症状を表していると発言した。陝西省で100人以上の学生が集団でインフルエンザの症状を表していることについて、中国当局は豚インフルエンザではないとしている。それについて、韓卓昇代表は、中国衛生部は感染の学校の具体的な状況を報告していないと語り、現地政府の依頼がなければ、現地調査できないと話した。

 其の二.2005年、四川省の保健機構・衛生庁のある幹部は、省内で少なくとも17人は謎の疾病で亡くなり、死因はSARSでもなければ、鳥インフルエンザでもない、豚の間で流行するウイルスが死因、と公で発言した。それが事実であれば、中国では2005年にすでに豚インフルエンザが発生したと推測できる。

 其の三.湖北省在住の中国工程院の研究員、家畜伝染病の専門家・陳煥春氏はこのほど、豚インフルエンザのワクチンの開発に成功した、と宣言した。中国で豚インフルエンザの感染が発生していないのであれば、なぜ、そのワクチンが開発できるのか。それは大きな矛盾点である。

 李天笑氏は、「現時点において、豚インフルエンザが中国に入り込むかどうかの問題ではなく、中国当局は根底から事実を隠ぺいしている。中国で同感染症が発生したかどうか、ウイルスの発祥地は中国であるかどうか、近い将来、すべてが明らかになるはず」と述べた。

新型インフルの報道規制か  中国(2009年5月4日47ニュース)

 【台北4日共同】3日付の台湾紙、聯合報は北京と広東省広州の当局がこのほど、テレビ局や新聞社、インターネット業者などに対し、新型インフルエンザの感染拡大をめぐる報道を規制するよう命じる通達を行ったと報じた。

 北京当局は、ネット上の報道は市共産党委員会機関紙である北京日報の記事を転載することや、記事の大きさを指定。広州では感染疑い例の場合、報道を控えるよう命じられているという。

ま、一度隠蔽工作が明るみに出てしまうとこうしていつまで経っても疑われるというのもやむなしかなと思いますが、その上で更に隠蔽を指示となればどういうことになるのかですね。
この件に関してはまともなレポートなりが出てくるまでは今のところコメントは避けておきます。

さて、国内に目を転じますと、このところ急に話題になっているのが下記のニュースではないでしょうか。

発熱の診察拒否、全国調査へ 厚労省、悪質なら指導も(2009年5月5日47ニュース)

 新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないなど感染の恐れが少ないにもかかわらず、発熱などの症状で病院を訪れた人が診察を断られるケースが相次ぎ、厚生労働省は5日「単なる診察拒否なら重大な問題だ」として、全国の実態把握に乗り出すことを決めた

 東京都はこれまでに92件を確認。厚労省は、悪質なケースで医療機関名が把握できれば、都道府県を通じた個別指導などを検討する方針。

 厚労省結核感染症課は「『感染の疑いがあれば発熱外来に誘導する』という国内発生後の対応を前倒ししているのか確認が必要」とする一方「現段階でのこうした対応は常識的に考えられない」と不快感を示している。

 東京都では、発熱相談センターに相談の電話が寄せられたことで判明。同様の例は今月2日から5日正午までで92件に上り大学病院が診察を断ったケースもあった。

 診察を拒否されたりセンターに相談するよう言われたりした人が大半だが、「成田空港に勤務」「友人が外国人」と話した途端、診察を拒まれた人も。センターの電話相談で一般病院に行くよう勧められたのに、実際に行くと、そこで拒否された例もあった。

新型インフル:発熱患者の診療拒否 厚労省が全国調査へ(2009年5月5日毎日新聞)

 新型インフルエンザへの過剰な反応から、東京都内の病院で発熱しただけの患者の診察拒否が相次いでいる問題で、厚生労働省は5日、実態把握のため各都道府県に聞き取り調査することを明らかにした。厚労省のコールセンターにも同様の相談が寄せられているという。診察拒否をしている医療機関が確認されれば、都道府県に指導を要請する方針。

 一方、東京都の発熱相談センターには4日朝~5日正午の間に、同様の相談や苦情が29件寄せられた。4日朝までの分と合わせると計92件に達し、都感染症対策課は「診察拒否の多い悪質な病院には指導も考えたい」と話す。「父親が新型インフルエンザ発症国以外から帰国したが、診てもらえない」などの声が寄せられているという。【奥山智己、江畑佳明】

厚労相「診察拒否は医師法違反」 新型インフルで(2009年5月6日東京新聞)

 舛添要一厚生労働相は6日、新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないにもかかわらず、発熱などした人が病院で診察を断られたケースが相次いでいることについて「医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してもらいたい」と、不快感を示した。新型インフルエンザ対策に関する厚生労働省内の会議で述べた。

 発熱などの症状を示した人への診察拒否については、東京都が5日までに92件を確認しており、厚労省も全国の実態把握に乗り出している。

これらの記事を受けて例によってあちこちで現場の声というものが吹き出していますが、例えば「天漢日乗」さんなどで詳しくネット上の声を取り上げています。
つい先日も感染疑い患者が電車で病院に来たと言う話題もありましたが、さて感染拡大防止という根本に立ち返ってみた場合に何をどう考えるかというのも一つ面白いところではあるかなと思いますね。

「マスコミたらい回し」とは?(その140)(2009年5月5日天漢日乗記事)より抜粋

845 :名無しさん@九周年:2009/05/05(火) 12:47:00 ID:YKnEnwQ9O
>>1
>自治体の発熱相談センターに「新型インフルでないから一般病院へ」と言われたのに診察拒否された

 俺はこの診察拒否をした医師の一人だが
 発熱相談センターの検査陰性の書面を患者が持ってこないんだぞ。
 これで診察するわけないだろが。
 インフルなのに公共交通機関を平気で使って病院まで来るような非常識な患者が山ほどいるのに口先だけの「インフルじゃない」を信じたら病院の患者が危ないっての。
 書面持ってきたら診察しますとつっぱねたよ。

855 :289:2009/05/05(火) 12:52:29 ID:ppOhIR3n0
(略)
 上の方にも書いたが、
 「一般病院が診察拒否」したのではなく、「発熱相談センター(保健所)が、電話だけで診察を拒否した」のが本質。そこが毎日の記者には理解できていない。

 勿論、大量の患者が発熱相談センター・保健所に押し寄せれば、これは大変なことになるよ。だからといって、スクリーニングもおろそかにして一般病院に行け、とは、全く愚劣な論。

 「頭蓋内に残った割り箸を想定してCTを取らないのは怠慢」などと言ってませんでしたっけ??
 なんで今回は「電話だけで決めつけ」してるのに、叩かないのかな?

それはともかく、厚労省は「常識的には考えられない」対応で国の方針が間違って伝わっているのではないかといい、舛添厚労相は医師法違反であり「医師の社会的義務として対応」しろといい、こうして記事で見る限りどこからどう見ても医者が悪いということになってしまいそうな話です。
さてそこで、厚労省のHPから「「新型インフルエンザ対策ガイドライン」について」を参照してみますと、こちらに新型インフルエンザが発生した場合に関係各所が何をどうするのかということをあらかじめ定めた「医療体制に関するガイドライン」というものが用意してあります。
国内患者が発生していない段階では「医療機関に対して新型インフルエンザ疑い患者はトリアージ方針に従い指定医療機関において検査・診療を行うよう指示する。」と書かれていますが、その実際について引用してみると下記のようになります。

第一段階:国外もしくは国内において新型インフルエンザ患者が発生したが、当該都道府県内にはまだ患者が発生していない段階

(1)発熱相談センターの設置

○ 都道府県・保健所を設置する市又は特別区(以下、「都道府県等」)は、保健所などに発熱を有する患者から相談を受ける体制(発熱相談センター)を整備するとともに、ポスターや広報誌等を活用して、発熱を有する患者はまず発熱相談センターへ電話等により問い合わせることを、地域住民へ周知させる。

○ 相談窓口は、患者の早期発見、患者が事前連絡せずに直接医療機関を受診することによる他の患者への感染の防止、地域住民への心理的サポート、特定の医療機関に集中しがちな負担の軽減等を目的とする。

要するに国の方針に従うならば「発熱を有する患者(渡航歴や患者接触歴には言及していません)」はまず発熱相談センターへ問い合わせることが地域住民には求められており、直接医療機関を受診することこそがルール違反であるというふうに解釈できますよね。
さて、国の方針に素直に従って「発熱の患者さんは直接その辺の病院に飛び込まずにまず発熱相談センターに連絡してね」と患者に指示することが「常識的には考えられない」対応で「医師法違反だ」と言うのであれば、一体国は医療機関に何を求めているのかという疑問が湧いてくるわけです。
さすがに厚労省も既定の方針と上記記事中のコメントとの整合性を気にし始めたのか、5月6日になってさりげなくこんな通達が各都道府県に向けて出されていますが、これがまた意図不明なアリバイ的内容なんですね。

国内未発生期における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について

新型インフルエンザ患者の国内発生に備え、関係者との情報共有や発熱外来の設置など、医療体制の確保等について対応いただいているところですが、海外発生期(国内未発生期)における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について、下記の通り、基本的な考え方をまとめましたので、所管の全医療機関にご周知いただきますようお願いいたします。

○ まん延国への渡航歴や患者との接触歴が認められる発熱患者が、発熱相談センターを通じずに発熱外来を置かない医療機関を受診したり、電話による相談があった場合には、まず発熱相談センターに電話で相談し、必要に応じて紹介される適切な医療機関を受診するように勧めること。

○ 発熱相談センターの指導に従って発熱者が発熱外来を置かない医療機関に受診した場合は、患者にマスク等を使用するように指導するなど、感染予防に必要な指導を行った上で、当該医療機関が診察すること。

更にこの件に関しての続報によりますと、唐突にこんな日和ったことを言い始めているようです。

医療機関に適切な対応要請  東京の診察拒否で厚労省(2009年5月7日47ニュース)

 新型インフルエンザ感染の疑いが少ないのに病院で診察を拒否されるケースが東京都内で相次いでいる問題で、厚生労働省は6日、各都道府県を通じて医療機関などに対し、適切な対応を求める通知を出した。

 発熱などを訴える患者が来た際、渡航歴や感染者との接触の有無などを確認した上で、きちんと診察したり発熱相談センターへの電話を促したりすることなどをあらためて周知する内容

 この問題をめぐっては、発熱などで病院に行った人が「勤務先は成田空港」「外国人の友人がいる」と申告した途端に診察を断られたなどとして、東京都や厚労省の電話相談に相談が寄せられたことが5日に発覚。

 同省は、新型インフルに過剰反応した不当な診察拒否の可能性もあるとして当初、全国的な状況を把握するための調査に乗り出す方針を固めた。しかし、担当者は「調査はいったん見送り、通知によってあらためて患者への対処を徹底してもらい、それでも同種事案が続くようなら再度検討する」としている。

通知はまさに既定の方針を「あらためて周知する内容」で今までの対応が間違っているわけでもなんでもないことを裏付けるような話なんですが、、「非常識」で「医師法違反」ともいう行為に対してこのヌルい対応はどういうことなんでしょうかねえ?>厚労省
それで、結局のところ今もっとも問題になっている「まん延国への渡航歴や患者との接触歴が認められ」ない発熱患者が発熱外来のない一般病院に直接来院した場合の対応には一言もなしでいいんですか?>厚労省
特別の通達を出していないということは、これもお役所的に「既定の通達通り」という解釈でよいわけですよね?>厚労省

はてさて、「不快感を表明した」という舛添厚労相が今後どういうコメントを出してくるのかも含めて、このあたりの経過も興味を持って追っていきたいと思います。

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2009年5月 6日 (水)

今日のぐり「長田in香の香」

愛媛と言うところはミカンの産地として有名ですが、ここの名物?に特産品のみかんを使った「ポンジュース」というものがあります。
彼の地では学校給食にも出るほどメジャーなものだと言いますが、こうしたことも絡んで昔から愛媛に関する下記のような噂がありました。

「愛媛県では、水道の蛇口のひねるところが3つあり、青い蛇口は水、赤い蛇口はお湯、オレンジの蛇口はポンジュースが出る」

もちろん言うまでもなくこれはネタなのですが、あまりに広まりすぎたために妙に信じられてしまっている場合もあるようなんですね。
そこで、このネタを逆用してみましたという話題がこちらの記事です。

蛇口からポンジュース!? 松山空港で評判(2009年4月20日産経ニュース)

 愛媛では水道の蛇口からジュースが出る!?愛媛の空の玄関口・松山空港(松山市)のロビーに19日、蛇口をひねるとミカンジュースが出る「ポンジュース蛇口」が登場し、空港の利用客から大きな評判を集めた。

 県や市町、経済団体、企業などで組織する松山空港利用促進協議会が、空港利用の促進と県産品や観光PRを兼ねて実施。昨年も実施したところ好評だったため、今年度は毎月第3日曜日と“番外”を合わせて計17~18回実施する計画だ。

 果汁飲料の製造販売会社「えひめ飲料」(松山市)の協力のもと、この日、「愛媛のまじめなジュースです」というCMでもおなじみのミカン果汁100%のヒット商品「ポンジュース」を“水道仕立て”にして、蛇口をひねると無料で試飲できるコーナーを空港2階の出発ロビーに設けた。

 約1000人分のジュースはタンクに継ぎ足しされ、蛇口をひねるとジュースが出るという仕組み。ロビーにはもの珍しさもあって、若い女性連れらは携帯電話で写真を撮ったりして大喜び。家族連れらも次々と訪れ、順番待ちの列を作っていた。同協議会の事務局のある県交通対策課の職員は「県産品のPRとともに空港利用者の増加につながれば」と話していた。

ちなみに実物の画像はこんな感じらしいんですが、やはり噂の蛇口は存在した!!
…かどうかはともかくとして、一部でバカウケしているようです(笑)。

ちなみに地元情報でポンジュース絡みの噂の真相ってものが色々と上がっているんですが、むしろ実態の方が興味深いかもという気もしてきますね。
幾つか拾い上げてみるとこんな感じらしいですが、なかなか愛媛って楽しいところなのかな~なんてことも思えてくるから不思議です。

POMジュースの噂

  1. 水道のように蛇口からポンジュースがでる「ポン道」が普及している。
    • 青→水、オレンジ→POMジュース、赤→湯・・・と、蛇口によって出るものが違うので注意するように。
      • 蛇口が三種そろっているのは金持ちの家であって、貧乏な家はポンジュースの蛇口しかないとか聞いた。
    • んなこたない!
    • 聞かれたときはやんわりと否定しています。
    • 県外に出た愛媛人が必ずこの質問の洗礼を受ける。
    • 「違うアレは県庁だけ」と答えると意外とみんな騙される。ありませんからっ。
    • 唯一、ある町(今は合併)の「伝説のみかんジュース」を作っている工場の食堂に昔あった。
    • オレンジの蛇口からはポンジュースが出ますが、農協から専用のパイプを引かなきゃなりません。リッター30円くらいです。農協に近い人 しかサービスを受けられません。一部沿岸部の農協もサービスを受けられません。農協には専用のオレンジ色の貯水タンクが三つくらいは並んでいます。ちなみ に松山はサービス対象外。バレンシアオレンジを混ぜ始めた頃からポンジュースライン(オレンジライン)の新規契約を取りやめてます。
    • 噂を元に、本当にポン道グッズが作られるに至った。
    • 千葉県野田市の項目によると、あちらでは青→水、赤→湯のほかに、醤油が出てくる茶色の蛇口が存在するらしい。
    • JAおちいまばり直売所「さいさいきて屋」に、ポン道がある。ちなみに無料。
  2. ミネラルウォーターとポンジュースの普及率がそれほど変わらない。
    • ポンジュースのほうがはるかに多く普及しています。
    • 西条・新居浜では水道水が地下水で十分きれいなためミネラルウォーターの必然性がない。
      • 上水道は水道法で塩素消毒が義務付けられてるので、臭いや嫌味がある。
  3. ★学校で毎週ポンジュースが配給される。
    • 小学生の頃に経験ありです。自分の場合は4月〜10月ごろまでで、冬場はありませんでした。
    • 小学生のとき土曜日は牛乳では無くポンジュースが出てた。土曜日が休みの今の学生はどうなんだろ?
    • 小・中学校でありました。自分の学校においては、ジュースの配給は普通土曜日だけで「ジュース給食」と呼ばれておりました。ポンジュース飲んで帰るor部活。たまに普通の給食のデザートとしても出てきました。牛乳とポンジュースを混ぜるバカが必ず一人はいたものです。
    • 毎週土曜日ありました。土曜日学校を休むと必ずポンジュースと連絡ノートが家に届きました。あと、学校行事(地域の掃除、運動会)などの後にもポンジュースでした。
    • 小・中学校のときにありました。曜日は決まってなかったように思います。しかも牛乳もポンジュースもどっちも出てました。
    • 毎週水曜日がジュースの日です。今は終わりの会の時に飲みます。ときどき給食の時に出ると、牛乳と一緒に飲んでヨーグルトの味にする人続出。
    • 小、中と春から秋まで(4〜11月くらいまで)毎週出てました。小学校は2時間目と3時間目の間で中学校は給食の時間だったと思う・・・
    • 小学校で働いているのですが、先日、今年、初めて、ポンジュースが配られました。私が小学生の頃は、夏場は毎週出ていたのですが、最近は、一ヶ月に一回くらいのペースだそうです。2時間目と3時間目の間に、おいしくいただきました。
    • 四角のパックとテトラ(三角)タイプのパックがあり、学校によって違う。
    • クラスによっては、飲んだ後パックをコンパクトに折りたためない児童に対し、個別指導(鉄拳制裁含む)が行われた。
  4. ★「伝説のみかんジュース」というレアアイテムが存在する。
    • 期間限定(4月〜8月末)JAと関係機関等で飲まれるものらしい。
    • みかん農家では、その時期になると必ずどこからともなく登場する。
    • ストレート(果汁のみ)と果肉入り(つぶつぶ)の2種類がある。
    • パッケージは、瓶(1L)と缶(350ml)の二種類で、どちらも一般的な飲料ではみかけない古いデザインを受け継いでいる。
    • 年間を通じて、JAまたは関連団体にて入手可能らしい。スーパーなどでは取り扱っていることがないため、伝説なのかもしれない。
    • 県南(宇和島辺り)では、普通に売っている。
    • 一度飲むと、「ポンジュース」は「薄い!」って言いたくなるよ。
      • でもその「ポンジュース」を飲んだら、「なっちゃんオレンジ」や「バヤリース」が「薄い!」としか思えない。今や果汁100%かそれに近いのしか飲めないわしは多分異常。
    • ガソリンでいうハイオクです。
    • 違う、こちらがレギュラー、一般品が水増し品
    • 一昔前は温州みかん100%だったが、最近はいよかんを混合している。(いよかんも勿論愛媛産)
    • 現在、温州みかん100%版は「POM 愛媛みかん旬ストレート100%」(冬季限定)、いよかん混合版は「POM 愛媛みかんいよかん混合100」(通年)として、全国のお店で購入可能になっているので、最早レアじゃない。(扱ってる店舗は余り見かけないが……)

今日のぐり「長田in香の香」

高速道路料金が値下がりしたせいか、各地の観光地が思わぬ賑わいを見せているそうなのですが、特に最近集客力を発揮しているのが香川県だそうです。
香川といえば御当地名物「さぬきうどん」が有名ですが、何しろ今までは橋を渡るにせよフェリーを使うにせよそれなりの渡航費用というものが必要でした。
これが手軽に渡れる料金になったとなれば、「それでは一度食べてみようか」となるのも納得ですよね。
そうしたわけで、今や香川県内各所の名店と言われるうどん屋は今まで以上の行列の長さとなってしまっているとかいないとか。

さて、観光地である善通寺にほど近いこちらも以前から評判の高いうどん屋ですが、この日も開店からそう間もない時間帯ながら早くも行列が連なっているという状態でした。
ここはうどん屋としてはずいぶんと広い店なんですが、ずらりとお客が詰まってうどんを食べている光景というものはなかなか壮観です。
これだけ客が殺到すると並みの飲食店ならとうてい回りそうにないのに何とか回しているのはすごいと思いますが、やはり見ていますとオーダーの流儀を知らない県外客らしい人たちが入ると多少戸惑いもあるようですね。

さぬきうどんの詳細は今やあちこちで語られていることですからここでは取り上げませんが、特にこの店を特徴づけているメニューということで「かまあげ(大)」を頼んでみました。
ちなみにかまあげというのはせっかくの麺類の楽しみの一つであるコシと言う点でベストではないと思えてしまって、個人的にはほとんど頼むことはありません。
この店のかまあげもコシに関しては目をつぶるとしても、かまあげの特性として表面の舌触りも悪くダシとの絡みも邪魔させているんじゃないかなという印象は拭えないなという印象です。
それでもこのレベルになるとさすがに麺料理として十分楽しめるレベルになっていますから、かまあげが好きという方には十二分に堪能できるんじゃないでしょうか。

この界隈ではダシに特産のイリコを使うのが当たり前なんですが、この店は特にこのイリコの味をかなり強調しているのも特徴といってよさそうに思えますね。
関西などのうどんのダシに慣れているとそれなりにくせがある味なんですが、このうどんと絡めて食べてみるとこういうのも悪くないなと思えてくるから不思議なものです。
他県のうどん屋の相場というものに慣れていると、これだけの味でありながら驚くほど安いと言うことにも驚かされるかも知れませんが、せっかく香川まで来たのであれば何軒か回ってみるのも楽しいかなと思いますね。
さすがにうどんに関してはとりわけ競争の激しい香川県内でも長年人気店の座を維持しているだけに、そうそう外れはないというところでしょうか。

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2009年5月 5日 (火)

今日のぐり「ビーフレストラン トヤマ」

生卵を食べられる国というのは世界でもむしろ珍しい方だと思いますが、生卵を食べることに情熱を費やすという点に関しては日本人はおそらく世界一なのではないかと思いますね。
岡山県では昨年に「たまごかけごはん専門店」なるものが登場して大人気なんだそうですが、こういう日本人の衝動というものを外国人はどう見ているんでしょうか?
お隣中国では長年の生活の知恵か、火を通してないものや冷たい飯といったものには非常な忌避感をもっているそうですが、そうした人々が生卵一つを通して日本に脅威を感じたんだそうです。

【中国のブログ】「生卵」を通じて感じた日本人の恐ろしさ(2009年4月13日Searchina)

  日本は様々な食材を生で食べる習慣がある。この生食は慣れていない人からすれば苦痛に感じるようである。このブログは仕事で日本を訪れた中国人が、ホテルで供された「生卵」を通じて経験したことを綴ったものである。以下はそのブログより。
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  仕事のため、私は愛憎相半ばする日本を訪れることとなった。日本に足を踏み入れて、まず驚いたのは日本人の秩序への意識の高さである。

  日本の道路では、気の向くままに車線変更する車などは見られなかった。交差点で対向車に出会えば、双方がほぼ同時に停車し、互いに譲り合っていた。横断歩道では、ほぼ全ての車が停車し、歩行者に道を譲るのであった。

  日本を訪れる前は中国国内での報道にあるとおり、物価が非常に高いのだと思っていたが、一人当たりGDPが中国より数十倍も多い国であるにもかかわらず、日本の物価が中国と大差ないのには驚いた。中国に比べ、交通費や外食費が多少高いくらいで、食材や洋服、日用品、車、電化製品などは意外と安かった。

  日本滞在中はホテルに泊まっていたのだが、朝食は日本食であった。日本人は生卵をご飯にかけ、醤油を加えて食べる習慣があるが、私は生の食べ物は嫌だったので、他のおかずだけを食べ、生卵は食べずに残していた。

  次の日の朝食にも同じように生卵があった。眉間にしわを寄せながら、何気なしに卵を触ってみると、今日の卵は熱いではないか。周りの客の様子を見てみると、皆は普通に生卵を食べており、私の卵だけが熱を通してあるようであった。

  私は生卵を食べないということを誰かに喋ったことは無く、ただ生卵を食べずに残しただけである。ホテルの従業員は私が生卵を食べない人間であることを見抜き、次回からは熱を加えた卵を供してくれたのである。

  この出来事は、私が日本で最も震撼した出来事であった。日本人は敬服の念を抱かせる民族であると同時に、何と恐ろしい民族なのだろう。
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(出典:niune的日志意訳編集担当:畠山栄)

いやまあ、別に震撼までしていただかずともいいのかなとも思うところなんですが…
ちなみにそうまでして生卵にこだわる日本人ですが、未だにスーパーなどで当たり前に見られる「常温で陳列されている卵の山」という光景は正直いただけないかなと思いますね。
食中毒の原因となるサルモネラ菌の繁殖を抑えるために5℃の冷蔵保存が推奨されていますから、こちらは早期に改善を期待したいものです。

今日のぐり「ビーフレストラン トヤマ」

一度は行ってみるべき店と言われてどういう店を想像するでしょうか。
とあるところでそうした噂を聞き、話の種にと尋ねてみましたらば、どう見ても流行りそうにない裏通りに面した一角にある妙に今風の外観の店です。
「こんな場所で経営が成り立つのか?」と思ったのも一瞬のこと、店の前にはすでに順番待ちの行列が出来始めているではないですか。
店の中に入ってみてまた驚いたことに、ここは店内すべてがひとつの大きな座敷になっていて、みな肩を並べて肉を焼いているんですが、そのほとんどが小さな子供さんをつれた家族客なんですね。
う~む、今までこういう客で埋まった焼肉屋というものにはあまり行ったことがなかったので、少しばかりカルチャーショックに近いものを感じてしまいました。

驚くと言えばもう一つ、この店内に立ちこめるもうもうたる白煙もすさまじいものがあります。
今どき珍しく無煙ロースターではないことも一因のようですが、グリルの上に申し訳程度に突きだしているその排気設備は明らかに効いてないでしょうと。
まあ焼き肉屋に着飾ってくるお客もいないとは思いますが、普通以上に訪問される方はお召し物には留意されておくのが無難でしょうね。

メニューから適当に見繕って一通り頼んでみましたが、実のところ肉以外の選択肢はほとんどないんですね。
白飯とキムチ、サラダと称する線切りキャベツに後はドリンクメニュー、水もセルフで汲みにいくくらいですから人件費はずいぶんと安く上げているように見えます。
それが反映しているのが価格なんですが、肉が200円台から一番高いものでも500円台ですから、これは確かに噂通り安いということなんでしょうね。

やがてやってきた肉を見て、まずまっさきに思い浮かんだ言葉は「スーパーの特売」…いやまあ、だから何と言われると困るところではありますけれども。
こうなると味がどうとか言うのもどうかと思うくらいなんですが、ガス火で焼いてやや甘ったるく感じるタレにつけて口に運んでみると正直意外に食えるかなというのが感想です。
もちろん旨みや味わいからは価格的な制約は十二分に感じますが、ちゃんとカルビはカルビの、ロースはロースの味がする点は評価したいと思いますね。
一昔前の見た目と味が全く一致しない格安店の味を知っている身としては、こういう味の基本を抑えた上での安さの追求というのはありだと思います。

こういう店はあまり悪く言いたくないんですが、漏れ聞こえてくる周囲のお客の声も含めて幾つか気がついたことを。
かなり店内は混雑していることに加えて席と席の間にも余裕がないわけですから、水は汲みにいかせるのならいっそ席毎に水差しを置いてはどうかと思います。
いまどき百円ショップでもそれらしいものが売っていますから、導入の初期コストもそんなにかからないはずですしね。
このタレも食べているとすぐに脂ばかりになってしまいますから、席毎に容器に入れて置いてくれたほうがよさそうに思いますね(できれば塩、胡椒もあればなおのことですが…)。
若いお客が多くて皆さんそれなりに量を食べているわけですから、そういう利便性の面での小さな配慮があればありがたいかなと思います。

ちなみにもう一つ驚かされたのが会計の段階で、味と量からまあこれくらいかなと想像していた値段よりはるかに安かったということだけは書いておきます。
このところ脂気のものはすっかり量を食えなくなったので自分ならもう少し質を求めたいところですが、実際これだけお客が来ているわけですから社会的ニーズにはきっちり合っているのでしょう。
自宅でどう頑張っても再現できないと言う点でマクドナルドの味に若い家族連れが群がっているのはどうかと思っているんですが、こういう店ならたまには子供連れでちょっと外食をという人たちにもお勧めできるんじゃないかと思いますね。

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2009年5月 4日 (月)

新型インフルエンザ 厚労省の計画はやくも頓挫?!

本日も先日以来続いていますところのインフルエンザ関連の話題です。
さて、国内では未だ感染確認例が出ていない新型インフルエンザ問題ですが、相変わらず感染が広がっている状況にWHOでは更なる警戒フェーズの引き上げを検討中である一方、社会的影響も考慮しなくてはならないと言ったとか言わないとか。
一方では新型インフルエンザの呼称を従来の「豚インフルエンザ」から「インフルエンザA型(H1N1)」に変更したそうですが、このあたりもやはり社会的影響を考慮した結果ということなんでしょうね。

豚インフルを「インフルエンザA型」に変更、食肉産業に配慮=WHO(2009年5月1日ロイター)

 [ジュネーブ 30日 ロイター] 世界保健機関(WHO)は30日、新型インフルエンザの呼称について、食肉産業に及ぼす影響などに配慮し「豚インフルエンザ」から「インフルエンザA型(H1N1)」に変更することを明らかにした。
 WHOはウェブサイトに掲載した声明で「この日から、WHOは新型インフルエンザウィルスの呼称をインフルエンザA型(H1N1)とする」と発表した。

いずれも今やこの問題が医学のみならず社会的問題と化していることを示す話だと思いますが、正直判りにくいので当サイトでは今後も新型インフルエンザとして呼称していきたいと思います(苦笑)。

さて、ようやく検査態勢なども整い始めた昨今ですが、当然ながら診断が簡易になるほど患者が増えるというのがこの種の感染症の通例です。
こうした感染拡大の最中にWHOからの公式発表として、これも抗原性の違いから予想されたところですが、従来型のワクチンは効果がなさそうだという話が出されています。
現在新型対応のワクチン製造が指示されているところですが、おそらく市場に出回ってくるのは半年後あたりになりそうですから、当面は対症療法や適宜の抗ウイルス薬投与等と感染封じ込め対策で対応していく必要がありそうですね。

既存のワクチン「新型インフルに効果なし」…WHO発表(2009年5月2日読売新聞)

 【ジュネーブ支局】世界保健機関(WHO)の当局者は1日、感染が広がる新型インフルエンザに対して、従来の季節性インフルエンザのワクチンがほとんど効力を持たないとの見解を示した。検体の分析結果もそれを裏付けているという。

 新型インフルエンザのウイルスは、毎年冬に流行する「Aソ連型」ウイルスと似たタイプのため、ワクチンが効力を持つとの期待もあった。新型インフルに対する免疫が人にはないため、ワクチンが重要となる。

 WHOはワクチンを作るための試料を5月下旬までに用意し、4~6か月後にはワクチンを供給できる体制が整う見込みという。

 米疾病対策センター(CDC)はメキシコなど6か国から採取した新型インフルエンザウイルスの遺伝子が99%以上一致したため、ワクチンは容易に作製できるとみている。CDCでも、今秋にはワクチンの供給体制が整うとしている。

 国内では、厚生労働省が、新型インフル用ワクチンの製造を各ワクチンメーカーに要請する考えを表明している。国内にはワクチンメーカーが4社・団体あり、例年、冬に向け約2500万人分のワクチンを製造している。

さて、一方で国内に目を転じますと、先日は患者発生が疑われた横浜市と厚労相との間で一悶着があったという騒ぎがありました。
お互いやり取りに行き違いがあったということのようですが、まだ国内に患者も出ていない状況でこれでは先が思いやられるところではありますが…
しかし後述しますように、どうも国と地方自治体との意識が乖離しているようにも見えるところが気になるところではあります。

【新型インフル】「危機管理なってない」 舛添厚労相が横浜市に怒り(2009年5月1日産経ニュース)

 新型インフルエンザ問題で、舛添要一厚生労働相は1日朝の閣議後会見で、感染の疑いがあると診断された横浜市の男子高校生(17)に関する市の対応について、「(市から厚労省に)遺伝子を調べるPCR検査は解析不能との答えがあった後、電話が通じなくなった。組織として危機管理の体をなしていない」と声を荒げ、連携不足にいら立ちを隠さなかった。

 1日未明の厚労省で開かれた緊急会見で「極めて遺憾」などと横浜市を厳しく批判していた舛添厚労相。8時間後の閣議後会見でも怒りが収まらなかった。

 「(住民の)生命を守る最終的な責任者は知事であり、市長だ。危機管理に問題があれば、改善をお願いしたい」と述べた。

 一方、舛添厚労相は1日午前に開かれた政府の新型インフルエンザ対策本部で鳩山邦夫総務相に対し、国と自治体間の連絡体制強化を要請。鳩山総務相は記者会見で、「地方自治体はしっかり態勢を組んでもらわないと困る。市町村長は先頭に立って最適の処理をしてほしい。本気でやってもらわないと困る」と語った。

厚労相に「落ち着いたほうがいい」=横浜市長(2009年5月1日時事ドットコム)

 横浜市の中田宏市長は1日の記者会見で、舛添要一厚生労働相が新型インフルエンザ感染が疑われる患者が出た同市と長時間電話が通じなかったと批判したことについて、「国民に落ち着くよう呼び掛けているのだから、まず大臣自身が落ち着いた方がいい」と述べ、不快感を示した。
 中田市長は30日夜に電話が通じなくなった理由について、「市と厚労省が打ち合わせをしている最中に(テレビで横浜市の男子高校生が感染の疑いとの)テロップが流れ、(市に)電話が殺到して連絡がつかなくなった」と説明した。

さて、先日お伝えしましたように、厚労省の「医療体制に関するガイドライン」のシナリオとしては発熱等で感染を疑う患者はいきなり医療機関を受診するのではなく自治体の用意する相談窓口に電話をする、そしてその指示に従って指定された医療機関を受診するという方針であるわけです。
ところがこのシナリオ、どうも各自治体によってずいぶんととらえ方が異なっているようなんですね。
このあたりの様子が垣間見えるのがこちらの記事なんですが、まずは紹介してみましょう。

夜の発熱相談、たらい回しが心配 新型インフル(2009年5月3日朝日新聞)

 「症状があっても病院には行かないで」。新型の豚インフルエンザの疑いが出た横浜市の患者(その後、Aソ連型と判明)が一般病院を受診していた問題で、舛添厚生労働相は繰り返し訴えた。感染拡大防止のため、まず都道府県などの発熱相談センターに電話し、専用の発熱外来を受診してほしいからだ。都道府県などの電話相談は大型連休中も受け付ける。だが、夜は直接担当者につながらない自治体も少なくない

 山形は県庁と各保健所に置いた相談電話とも、原則日中のみ。「メキシコ、米国、カナダからの帰国者は把握しており、緊急連絡先も伝えているので問題ない」という。それ以外の国からの帰国者の場合は「病院に電話してもらうか、119番で対応する」

 岡山県も「相談は現在1日50件程度で切迫した状況ではない」と、夜間の直通電話は置いていない。午後9時以降は自動音声で最寄りの保健所を案内、保健所で担当者の携帯電話番号を教える。「事実上24時間態勢」というが、何度もかけ直さなければならない。他の「24時間態勢」自治体でも、警備会社や守衛室につながった後、折り返し連絡するというケースが目立つ。

 一方、新潟は、電話窓口を県庁と保健所のほか、31市町村すべてに設けた。保健所は24時間対応で、感染症担当者の携帯電話に連絡がいく。県健康対策課は「中越地震や中越沖地震を経験し、市町村の危機意識が高い。まずは身近な市町村が相談を受け、深夜は県がバックアップするという役割分担で臨む」という。

 奈良は相談センターを県庁に一本化、職員が泊まり込んで深夜も対応している。「電話相談の上で発熱外来へ、と呼びかけても、ためらうのでは」と考え、帰国後疑わしい症状の出た人には自宅待機してもらい、職員が出向いて検体を採取する態勢を整えた。

 世界保健機関(WHO)が警戒水準を「フェーズ5」に上げた後、態勢を強化したところも多い。栃木の電話相談は当初午後5時半までだったが「相談が急増した」として4月30日から県庁に職員が泊まり込む24時間態勢に。滋賀県や沖縄県なども30日から、宮崎県や高知県などは1日から24時間態勢に変えた。

●福井県
 福井県の電話相談は夜間は通じない。担当者は「今のところ相談件数も少なく、発熱に関する相談はゼロ。24時間対応は今後の検討課題だ。ただ、県立病院が24時間、診療しているし急患の電話も受けられる。そこで対応できる」と話す。一方、県立病院は「相談があればもちろん対応するが、県から正式に役割分担の要請があったという認識はない」という。

●岐阜県、三重県
 岐阜県や三重県では、夜間は県庁の守衛室に電話がつながる。「疑い患者」から相談があれば、警備の担当者が連絡先を聞き、感染症担当者に連絡。折り返し患者に連絡する態勢だ。

●滋賀県
 4月30日から県庁に職員が泊まり込み、24時間態勢で相談を受け付けている。当面、この体制を続ける方針だ。

●島根県
 島根県は21時以降は留守電となり、緊急の場合の問い合わせ先を音声で案内している。担当課長が公用で持った携帯電話の番号で、今はこれで十分だ。

●愛媛県
 愛媛県は4月30日から、県内6カ所の保健所と松山市内の保健所1カ所の計7カ所で、24時間態勢を敷いた。県庁の担当課を司令塔として機能させるため、大型連休中も職員が交代で泊まり込む。

●徳島県
 4月28日から「発熱相談ホットライン」を開設し、職員が3交代で24時間泊まり込んでいる。連休中も維持する。

●香川県
 香川県は21時以降は県庁も保健所も守衛が対応し、「発熱していて受診したい」といった緊急性を求められるものについては、担当職員の携帯番号を教えることになっている。「担当職員は3人いる。誰にも連絡がつかないということはなく、十分」と話す。

●沖縄県
 沖縄県は4月30日から24時間態勢をスタート。連休中は看護師の資格を持つ県職員が交代で出勤する。

まあ、何と言いますか…365日24時間必ず連絡がつくという体制が当たり前に求められるような一部業界の方々にとってみれば「お前ら本当にやる気あるのか?」とも思えるような話も散見されますが、世間の感覚というものからするとこの辺りの方がむしろ当たり前なのかも知れず、ですよね。
しかしインフルエンザに限らず役所というものは何かあった場合に常に連絡がつかないとならないはずですが、前述の横浜市の件などとも併せて考えるとあるいは平素から連絡体制に不備があるんじゃないかと疑わせるようなところもあります。
今後国内患者が出てくると当然今よりもっとまともな体制が求められるようになってくるんだと思いますが、この際ですから自治体における非常時の中枢という当事者意識を持ってきちんとした体制を構築してもらいたいものですね。

さて、自治体側の窓口の問題もさることながら、そちらから患者が誘導される先の医療機関側においても「発熱外来」の整備が遅々として進んでいないという問題があります。

「発熱外来」整備に地域差 全国680カ所、最多は東京60(2009年5月02日信濃毎日新聞)

 新型インフルエンザ対策として感染が心配な人が最初に受診する「発熱外来」が、医療機関に開設されたり、即座に対応できるめどが立ったりしたのは全国で684カ所に上ることが2日、共同通信の全都道府県と政令市への取材で分かった。
 国の指針はおおむね満たしているが、都道府県によって整備状況に大きな差があり、遅れ気味の自治体は民間病院などに要望を強める考え。治療中に医師や看護師らが感染した場合の補償制度が必要として、自治体からは国の支援を求める声も出ている。
 国の行動計画では、交通や地理的条件で分けている「2次医療圏」1地域あたり1カ所に発熱外来を設けるよう求めている。
 これに対し、長野(2次医療圏が10)は県独自の計画に基づき51カ所を確保。兵庫(同10)が39カ所、大分(6)も48カ所と、国の指針にとらわれず整備を進めている。東京(13)は60カ所を設け最多。
 一方で群馬(10)は当面36カ所の設置を目指すが確保は3カ所。岡山(5)は3カ所、宮城(7)は6カ所にとどまる。
 整備が進まない理由として群馬県の担当者は、設置に法的拘束力がなく病院との協議が進まず、医師らへの補償制度も必要と訴えた。
 また複数の自治体は、外来患者が減少する風評被害や発生時の患者殺到を恐れ、病院の中には発熱外来引き受けを拒むところもあるとみている。

毎日新聞の記事では各都道府県での発熱外来の数を掲載していますが、最多の60から最小の1まで数という点に関しては大きなばらつきがあるようです。
発熱外来の開設数もさることながら、実際に重症化した患者を収容するとなれば当然それなりのベッドが必要になるわけですが、こちらは更に輪をかけて不足が予想されているというのが現状のようなんですね。
このあたりは実際にどの程度の状態の患者から入院させるのかという点も問題で、通常のインフルエンザではそう滅多に入院になることはありませんが、新型の場合「不安だから」と患者側からの入院要請もそれなりに強くなるだろうと予想されますから、必要病床数がどれほどになるか想像し難いということがまず一つ。
そしてもう一つの問題としてはどういうレベルの病室に収容すればいいのかということで、陰圧をかけて外部に病原体が漏れ出ないようにしてあるような本式の隔離病棟などという贅沢な設備を有している施設というものはほとんどないわけですから、部屋ないし病棟を分けただけの「なんちゃって隔離」で社会的にも医学的にも許されるのかという点ですよね。

さらにもう一つ大きな問題として、上記記事中にも少しばかり出ていますが、実際の診療に従事する医療関係者の補償問題がかなり難しいことになっているようです。
ワクチンも無効と言うことで先日の記事でもお伝えしましたように海外の医療関係者の間では二次感染が拡大し一部パニックになりかけているとも言いますから、このあたりは詰めておかなければならない話なのは当然でしょう。
しかしこういう記事を見るにつけ、「医療従事者は聖職者さながらの自己犠牲を払って当然」という意識が見え隠れしているようにも見えるのは気のせいでしょうか?

【新型インフル】群馬県、医師確保進まず 感染の補償めぐり交渉難航(2009年4月30日産経ニュース)

 群馬県で新型インフルエンザの診断を行う「発熱外来」の設置が難航、医師や看護師の確保が計画の2・7%にとどまっていることが30日、県への取材で分かった。県は公民館などに最大で111カ所を設置する計画だが、医療スタッフを確保しているのは富岡市の3カ所のみという。

 県保健予防課によると、医師らが患者から新型インフルエンザをうつされた場合の補償について交渉が難航。発熱外来の設置は厚生労働省の行動計画に示されているが、県は「(設置に)法的強制力はなく、協議が進まなかった」と話した。

 県は「各保健福祉事務所に指示をして、できるだけ早めに対応したい」としている。

さて、こうしたそれなりに切迫する状況に対して、なかなかユニークな対応を取ろうとしている地域もあるようです。
例えば下記の記事ですが、まあそれなりに理念としては理解できないわけではないんですが…そもそもも目的から激しく逸脱しているような気がして仕方がないのは自分だけなのでしょうか?
この辺りの「みんなで渡れば」という考え方もなかなかに日本的だなとは思うのですが、はたしてどういう結果をもたらすのか要フォローアップというところでしょうか。

新型インフルエンザ:全医師で発熱外来、カバー体制構築--佐伯 /大分(2009年5月2日毎日新聞)

 新型インフルエンザが県内で流行した際、保健所の指示で感染者が門をたたく「発熱外来」について、佐伯市医師会(小寺隆会長)が「医師や看護師みんなで負担を共有しよう」と合意した。輪番制の導入など、細部は今後詰める。外来は県内16カ所(佐伯市1カ所)でスタート、まん延期には48カ所(同4カ所)が予定されているが、特定の医師任せにしないシステムとして注目を集めそうだ。

 感染まん延期には医師らも感染するなどし、通常の6割程度のマンパワーしか得られない可能性がある。一方、市内の病院9カ所、診療所60カ所には医師計142人(06年12月現在)がおり、「みんなでカバーし合えば、難局でも乗り切れる」と考えた。他院から医師が出張してくるほか、まん延期に保健所の代わりに担う電話対応も早め早めに実施したいという。こうした動きは中津市医師会などにも広がっている。

 佐伯市医師会の桑畑真人理事(感染症担当)は「特定の人に押し付けず、みんなで担うことで、迅速に対応できるし、感染拡大抑止にもつながる」。同市の井上雅公・県医師会理事は「大流行でベッド数が足りなくなれば、結局はすべての医療機関で入院対応することになる。早い段階から主体的にかかわることで、市民に不自由な思いを味わってもらわずに済む」と話している。【梅山崇】

いずれにしても実際に患者が発生して社会に蔓延してこないことには最終的に何が有効で何が無駄であったかといった議論も出来ないというところがありますが、ぜひ国や厚労省が温度を取って今回の一連の経緯を海外での対応も含めて十分に検証し今後にいかしていって欲しいと思いますね。
しかしインフルエンザが広まる前に、世間ではすでに別の種類のウイルスが蔓延しているなどという笑えない現実もあるのが何とも…

「豚インフルに注意!」に注意、国の研究機関をかたるウイルスメール(2009年4月30日日経パソコン)

不安に付け込む悪質な手口、送信者名は「国立感染症研究所」

 厚生労働省の研究機関である国立感染症研究所は2009年4月28日、同研究所をかたる不審なメールが出回っているとして注意を呼びかけた。新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の注意喚起に見せかけたこのメールには、コンピューターウイルス(悪質なプログラム)が添付されているという。

 同研究所では、今回確認された不審メールの例を公開している。それによると、不審メールの件名は「豚インフルエンザに注意!」。送信者(From)の名前は「国立感染症研究所」だが、送信元アドレスは「<任意のアドレス>@yahoo.co.jp」。

 このため、何者かが同研究所をかたり、Yahoo!メールを悪用して送信したと考えられる。これを裏付けるように、メールの本文にも、Yahoo!メールから送信したメールに付与される署名(Yahoo!ツールバーの宣伝)が記載されている。

 同研究所によれば、不審メールの本文例は以下のとおり。

皆様

豚インフルエンザの感染は拡大を続けている。メキシコ、米国、カナダ、スペインに続き、英国でも感染が確認された。世界が警戒を強めるなか、各国から次々と疑い例が報告されている。28日には、韓国で疑い例が発生した。メキシコでは過去数週間にわたって流行が続いている可能性があり、「人間の往来が激しい現代では、日本にもすでに上陸している可能性がある」と指摘する専門家もいる。自分の身を守るために、豚インフルエンザに関する基礎知識を身につけましょう。

国立感染症研究所
--------------------------------------
Power up the Internet with Yahoo! Toolbar.
http://pr.mail.yahoo.co.jp/toolbar/

 メールには、「ブタインフルエンザに関する知識.zip」という圧縮ファイルが添付されている。同研究所で使用しているウイルス対策ソフト(セキュリティ対策ソフト)は、このファイルをウイルスとして検出したという。このため今回の不審メールは、新型インフルエンザへの不安に付け込んだウイルス配布メールだと考えられる。

 国立感染症研究所では、同研究所からの公的なお知らせはWebサイトでのみ公表し、メールで配信することはないとしている。今回のようなメールはすべて詐称メールなので、信用してはいけない。

 同研究所では、今回のような詐称メールを受信した場合には、添付ファイルを開くことなく、メールを削除するよう呼びかけている。

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2009年5月 3日 (日)

今日のぐり「とんぺい」

地デジ推進のイメージキャラクターとして盛んにCMなどにも登場していたタレントが不祥事を起こしたということで、急遽その後釜として新キャラクターが登場したそうですね。
鹿をモチーフとしたその新キャラ、その名も「地デジカ」と言うんだそうですが(まんまやんけ!)、頭にアンテナを生やしスクール水着風の衣装をまとった鹿というキャラが妙に受けたのか、さっそくネット上でも人気者となっているとか。
例によって二次創作キャラなども登場しているそうなんですが、作った方ではどうもそれがお気に召さないようで、ずいぶんとお怒りの様子なんですよね。

“地デジカ” の無断美少女イラストに「断固として許さない」と民放連(2009年4月28日未来検索ガジェット通信)

地上デジタル放送を広めるために登場したキュートなイメージキャラクター・地デジカ。“地デジ化” を目指すために鹿をモチーフにして作られたキャラクターで、フジテレビ社員がアイデアを出し、著作権は日本民間放送連盟が持っている。しかし、登場して間もないキャラクターであるにもかかわらず、二次創作キャラクターが登場し、問題となっている。

二次創作キャラクター化された地デジカは、美少女や萌え系のイラストになっているものが多く、なかには卑猥なイラストも存在している。このことに対して日本民間放送連盟は「許されるものではない。断固、厳しく対応する」と当編集部の取材にコメントした。

「地デジカは日本の地デジ化を推進するキャラクターなので、ブログに一般の人が地デジカのイラストを掲載した場合、地デジカを広めるという効果を期待し、暗黙の了解で掲載を許すことはあるのでしょうか?」という取材班の質問に対し、日本民間放送連盟は「地デジカの著作権ですが、世にある他のキャラクターと同様、無断掲載には厳しく対応していきます。一般のブロガーの方がブログに掲載したり掲示板に載せることも、著作権の問題がありますので黙認することはしません」とコメント(二次創作イラストはこちら)。

また、「特に、二次創作キャラクターの作成や掲載につきましては、許されるものではありませんので、見つけ次第、厳しく対応していきます」とのことで、地デジカをもとに美少女や萌え系のイラストを創作することは断固として許さない方針のようである。二次創作キャラクターに関しては、地デジカのイメージの妨げになる可能性があるとの事で、厳しく管理していくとのこと。地デジカは余命800日のキャラクターだが、活動中は徹底して著作権を守っていくようだ。

当然ながらこういう態度に出られると面白くないのがネット住人の性質というもので、あっという間に祭り状態となってしまいました。
特に「二次創作お断り」という態度が逆鱗に触れたようですが、そこで単に地デジカをいじるのみならず対抗キャラを生み出してくるところにパワーを感じますね。
その名もズバリ「アナログマ」なんだそうですが、こちら地デジカと違って二次創作も何でもござれなんだそうです。

これがアナログ放送の “アナログマ” だ! 地デジ化の “地デジカ” に対抗!? (2009年4月29日未来検索ガジェット通信)

地上デジタル放送を日本中に広めるための人気キャラクターといえば、“地デジカ” だ。このキャラクターは「地デジ化」と鹿をもじって誕生し、「すまし顔がカワイイ」と評判もなかなかイイらしい。日本民間放送連盟によると、地デジカは 2011年の完全地上デジタル化まで活躍する予定で、かわいいだけでなくさまざまなキャンペーンで活躍し、地デジの推進のため頑張っていくそうだ。

しかし、そんな地デジカの地デジ化に反発するように誕生したキャラクターをご存知だろうか? すでにご存知の方もいるかもしれないが、『2ちゃんねる』やブログなどで話題になっているキャラクター・アナログマである。このキャラクターは『2ちゃんねる』で有名なクマのAAをもとに作られたアナログ放送と熊をもじって作られたキャラクターで、『2ちゃんねる』などに書き込みをする人によって容姿はさまざま。なかには、地デジカを食っているアナログマもいるようで、かなり凶暴な一面があるようだ。
(略)
地デジカは地デジ対応テレビの購入をすすめるキャラクターだとすれば、さしずめアナログマはそれに対抗してアナログテレビのままでいるヒール的な存在だろうか? とにかく、どちらもカワイイのでこれからも頑張ってそれぞれの役割を果たして欲しいものだ。

で、こちらが地デジカそのまんまという「アナログマ公式サイト」だと言うことなんですが…見たまんまクマーですよね、これ…
で、ありがたくも著作権フリーということですので、さっそくあちこちに二次創作キャラが登場しているんだそうですが、これがまた…つか鹿食うな、鹿…
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さらにはアナログマの歌なんて公式?ソングまであるらしいので、いやこれはまあ、いつもながらどこまで突っ走ってんのかと思うところではありますが…
あれ?もしかして、自分…釣られてますかね?

今日のぐり「とんぺい」

以前に同じ笠岡地域のラーメン店「おっつぁん」を取り上げましたが、こちら少し市内北部の方に位置する行列店です。
笠岡ラーメンと言えば鶏のスープに具も煮鶏と特色のある地ラーメンですが、一方で笠岡で恐らく最も人気があるだろうラーメン屋と言えばこちらかなと思うんですがどうなんでしょうか?
こちらも鶏ベースのスープなんですが、上に乗っているのは煮鶏ではなく普通の豚チャーシューという意味で純然たる笠岡ラーメンの範疇に入れるのは抵抗があります。
何でも関西方面で修行して店開きをしたとも側聞しますから、その意味ではたまたま地ラーメンと共通項がある別物と解釈すべきなのか、あるいは地ラーメンと共通項があるが故にこのスタイルを選んだのか、どちらなんでしょうか?

休日の夕刻でほぼ席は埋まっている状態、かれこれ何度目かの訪問ですが相変わらず繁盛しているようです。
しかしこの店に限りませんが、笠岡方面のラーメン屋と言うと見た目はとてもうまいものを食えそうな店には見えないのに結構沢山客が入っているというのも不思議ですよね…
いつもは無印のラーメンを頼むのですが、今回はしなちくラーメンにしてみました。

しかし同行者が他のラーメンを頼んだので嫌でも比べてしまうのですが、しなちくラーメンも野菜ラーメンも見た目違いがわからないような…
もちろんよく見るとそれぞれ微妙に具材の入り具合が違うんですが、最近よくあるような視覚的にインパクトのあるものと違って至って控えめな感じではありますよね。
ちなみにノーマルラーメンはそうでもないと思ったんですが、しなちくが増えてちょっとスープが温くなった気がしますかね?
見た目通り控えめにしなちく増量しただけという感じで、他は無印ラーメンとは特記するほどの違いはないのかなという印象です。

しかし、このしなちくなんですが…今の時代消えゆきつつあるしなちくという食材を使っているだけで御の字とも言うべきで、味を云々するつもりもないですが、ちょっとこの食感はどうよと。
麺は以前客がいない時間帯に親父さんが目の前で茹でてくれた時にはちょうど良い塩梅かなと思ったんですが、この日はちょっと不満が残るというところですかね。
何より食感もすっきりしないし湯切りも甘い、ついでにさばき方も適当と来ているので、やはり手が足りない時間帯となればこうなってしまうということなんでしょうか。
ラーメンという料理はやはりいつ食べても同じ味ということを維持するのが非常に難しいんだろうなとは思いますね。

今日に限ってはいつもと比べて今ひとつかなとやや厳しめに評価しておきますが、普通に食べていると当たり前においしい店だと思いますね(実際同行者には何も不満がなかったようですし)。
しかしこうして比べてみると判ったことに、変にトッピングにこだわるよりノーマルのラーメンを食べているのが一番幸せなのかなという気もしましたが…

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2009年5月 2日 (土)

最近の医療と行政に関連する最近の話題

新型インフルエンザ国内上陸か?!と噂された症例は全て新型ではなかったという結論が出たようで、当面未だ確定感染者なしという状況が続いています。
それはそれとして、今日は全く話が変わって近来の医療と行政に関連する話題をまとめて振り返ってみます(たまったネタの在庫整理とも言いますが…)。
最初に取り上げるのは医療行政というより行政当局の医療に対する対応といった事例で、例の裁判の続報ですが…

奈良県が判決不服で控訴 産科医の時間外手当訴訟(2009年5月1日朝日新聞)

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が当直勤務中の時間外手当(割増賃金)の支払いを県に求めた訴訟で、県は1日、医師の訴えを認めて計約1540万円の支払いを命じた4月22日の奈良地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴すると発表した。
 記者会見した荒井正吾知事は「当直勤務時間すべてを割増賃金の対象とする判決は適切ではない。診療をしていない待機時間は労働時間から外すべきだ」と話した。

一読して「さすが奈良」といったところである一方、ある意味この状況下でこうまで言ってしまえると言うのもそれなりにすごいことではあるのかなという気もしてくるのですが、何かしら最近奈良県にとって追い風になるようなイベントでもあったのでしょうか?
しかし公立病院と言いますと住民救済を旗印に医療訴訟などに関してはさっさと和解したり控訴はしないといった消極的な姿勢が目立つ印象があるのですが、相手が相手となればこうも強気に出られるということなのですかね?
ま、この件に関しては当事者である奈良県の公立病院勤務医の皆さんが何を感じ、どう動くかといったあたりに注目しながらフォローアップしていきたいと思います。

さて、全国の公立病院がほとんど例外なく赤字に陥っていることは昨日今日の話題ではありませんが、自治体病院を管轄する総務省が中心になってこれを改革しようという動きに出ていることは以前から何度かお伝えしてきた通りです。
その中核になるのが「公立病院改革ガイドライン」ですが、これが利用率の低いベッドの削減や病院統廃合などあらゆる手を尽くして3年でさっさと黒字化を達成せよというなかなかに意欲的な内容なんですね。
確かに仰るとおりのことは経営面から考えると当然といえば当然の手法ではあるのでしょうが、問題はそれに対する抵抗勢力が根強く存在しているということです。

公立病院の2割が再編計画 統廃合や縮小に住民反発も(2009年4月28日47ニュース)

 地方自治体などが2008年度末までに策定した837公立病院の「改革プラン」で、全体の19%に当たる159病院が、近隣病院との統廃合を含む「再編・ネットワーク化」を計画していることが28日、総務省の調査で分かった。

 地域に複数ある病院の役割分担を明確にし、経営改善につなげる狙いだが、地域に密着した病院の中には規模縮小や民間譲渡、廃止を余儀なくされるケースもあり住民の反発も予想される。

 改革プランは、多くが赤字に苦しむ公立病院の経営改善に向け(1)経営効率化(2)再編・ネットワーク化(3)経営形態見直し-の3つの視点に基づき08年度末までに策定するよう総務省が要請。これを受け、公立病院を持つ656自治体(一部事務組合や広域連合を含む)のうち、92%の603自治体が837病院を対象に策定した。

 再編・ネットワーク化の具体例では、青森県五所川原市など5自治体(一部事務組合を含む)が13年度末までに現在の5病院を中核病院1つ、小規模病院2つ、診療所2つに再編、合計954床の入院ベッドを644床に減らす。長崎市は4病院のうち2病院を09年度中に民間譲渡。残る2病院は10年度の地方独立行政法人化を検討している。

 経営効率化では、総務省が求めている11年度までの経常収支の黒字化を予定しているのは全体の65%の544病院、うち08年度決算で黒字を見込むのは170病院だった。

公立病院という組織が構造的に儲かりにくいものであることは周知の事実なんですから、赤字がかさむのが嫌だと言うのであればさっさと全部潰してしまった方が話は早いとは思いますね。
一方で金銭上の問題以前の話として、以前に岩手県立病院の件でも取り上げさせてもらったように「万一の時に不安だから」だとか「前は医者がいたのにいなくなると不便だから」といった理由で医療スタッフの囲い込みが許されるほど現在の医療現場には人員的な余裕が存在するわけではないことは地域住民も理解しなければならないと思います。
もちろん「うちの町では3000万出して助教授クラスを飛んで来させる。その変わり住民税は大幅アップだ」と言う選択肢は地方自治の一つの形として当然ありだと思いますが、「金は出したくない、サービスは低下してもらっては困る、だから国なり県なりが医師を確保して送ってくれ」というのは今の時代には無しだと言うことです。

赤字部門をとことん切り捨てて少しでも黒字が出る領域に特化するといった民間病院では当たり前の手法を選択するか、それでも残したい、残す価値があるというのであれば受益者負担で経営面を安定させるか、どちらにしても住民にとっては厳しい選択になるのは確かでしょうが、今の時代の医療においていいとこ取りというのはあり得ません。
総務省のガイドラインは財政上の要求から出ていることがありありで正直どうかとも思うのですが、地域住民にとっても自分たちにとっての医療とは何かということを主体的に考えていく一つの好機となり得る可能性はあるんじゃないでしょうか。
どのような改革プランを策定し実行していくにせよ、それは単に自らの既得権益保護のみを声高に主張するような手前勝手なものであってはならず、他地域住民達に向かっても胸を張れるようなものであるべきなんじゃないかなと思うんですよね。

話は変わって、先日は財政審からすっかり諸悪の根源扱いされてしまった中医協ですが、相変わらず混沌とした議論が続いているようです。
特に先日は例の五分要件が大きな議論の話題となったようですが、これも結局話が長いばかりで前提となる資料もなければ結論もなしといった風情ですから、諸悪の根源かどうかはともかく正直これではまともな仕事をしているとは評価しがたいところですが…

4月22日の中医協(2009年4月24日CBニュース)

 中央社会保険医療協議会(中医協)は4月22日、診療報酬改定結果検証部会と総会、診療報酬基本問題小委員会を開いた。検証部会では、昨年度に実施した「病院勤務医の負担軽減の実態調査」など5特別調査の報告書取りまとめに向け議論したほか、昨年度に引き続き「後発医薬品の使用状況調査」を今年度に実施することを決めた。総会では、医科と歯科を合わせ85件の医療機器の新規保険適用(1日から)などの報告があり、いずれも了承された。小委では、基本診療料のうち初・再診料、入院料等をめぐる議論に入った。初・再診料では、前回の診療報酬改定で外来管理加算に導入された「5分要件」をめぐり、診療側と支払側が激しいやりとりを交わした。

■「“丁寧な説明”、患者ニーズとギャップ」
 検証部会が昨年度に実施したのは、「病院勤務医の負担軽減の実態調査」「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」「後発医薬品の使用状況調査」「後期高齢者にふさわしい医療の実施状況調査1」「後期高齢者にふさわしい医療の実施状況調査2」の5調査。

 「病院勤務医の負担軽減の実態調査」の結果では、1年前に比べ医師の勤務状況が「改善した」とする回答よりも「悪化した」との回答が多いことが明らかになっている。
 このため遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)は、「勤務医の負担の深刻さが裏付けられている。引き続きこのことは大きな診療報酬上の政策目標になり得るだろう」と指摘。
 また、調査結果について「診療報酬改定以外にも、さまざまな医療政策に有効に使える」と評価した。小林麻理委員(早大大学院公共経営研究科教授)は、この調査を継続する必要があるとした。

 一方、外来管理加算については、昨年度の改定で「懇切丁寧な説明が行われる医学管理」や「診察に要する時間として、医師が実際におおむね5分を超えて直接診察を行っている」などの要件が加わったが、「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」では、患者の55.8%が「時間の目安は必要でない」とし、「必要」の33.8%を上回った。牛丸聡委員(早大政治経済学術院教授)は、「患者は何を欲しているのか、実証結果から把握することが重要」と述べた。
 調査結果によると、「治療方針についての説明」を毎回実施すると答えたのは病院で15.5%、診療所で17.6%だったのに対し、患者側では「通院ごとに実施してほしい」が共に46.9%に上った。遠藤委員は「どちらが適切なのかという問題はあるが、医療サイドと患者サイドでギャップが見られる」とした。
(略)
■藤原委員「予想を上回るマイナス」、対馬委員「対象範囲が違う」
 小委では、診療側の藤原淳委員(日医常任理事)が、前回の報酬改定で「外来管理加算」に新たに加わった「5分要件」の撤廃を主張した。

 藤原委員は、外来管理加算で「時間の目安」が必要だと思うかどうかを聞いた患者への質問で、「必要でない」が55.8%と、「必要だ」の33.8%を上回った点や、要件の見直しに伴い診察までの待ち時間が長くなったとする回答が、病院で43.5%(「大いに当てはまる」16.4%、「やや当てはまる」 27.1%)、診療所で37.4%(「大いに当てはまる」14.6%、「やや当てはまる」22.8%)に上る点を指摘。さらに、「患者側も診察内容の変化を実感しているわけでもない」として、5分要件の撤廃を求めた。

 藤原委員はまた、要件の見直しに伴う診療所への影響額が、当初想定していた約240億円を大幅に上回る804億円に達したとし、厚労省側の見解を求めた。これに対し、厚労省保険局の佐藤敏信医療課長は、「(外来管理加算という)一つの診療報酬の項目のみで、診療所全体の収入は議論できない」とし、影響額の試算が可能になるのは、医療費の明細書(レセプト)を集計する「社会医療診療行為別調査」の結果がまとまる秋ごろになるとの見通しを示した。

 対馬忠明委員(健保連専務理事)は、「前回の改定の時には、カテゴリー別に議論した。(厚労省が示した当初想定額の)240億円というのは、あくまで(高齢者を除く)若人の議論。(藤原委員の主張する金額とは)対象範囲が違っている」と指摘。佐藤課長も「結論から申せば、高齢者を除く若人の部分で240億円程度の減額になると試算していた」と応じた。
 西澤寛俊委員(全日本病院協会)は、要件見直しの影響額について「(高齢者と若人に)分けて議論したかあやふやだ。データを基にあらためて説明していただきたい」と要求。藤原委員も「正直、若人だけなのか認識していなかった」と述べ、資料を提示して説明するよう求めた。

 この日の小委では、中医協の診療報酬改定結果検証部会が実施した「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」の速報値を基に議論した。

 厚労省側は速報値を踏まえた外来管理加算をめぐる現時点での論点として、▽外来管理加算の見直しにより設定された「懇切丁寧な説明」等の項目や頻度が妥当だったか ▽外来管理加算の意義付けの見直しにより、患者の療養上の疑問や不安を解消するための取り組みが推進されたか ▽「懇切丁寧な説明」等に要する5分という時間の目安を設定したことは妥当だったか。また時間の目安以外に、「懇切丁寧な説明」等を評価する適切な指標があるか-を挙げた。

 対馬委員は「支払側からすると、外来管理加算は患者にとって最も分かりにくい」と指摘。分かりにくさを解決する具体策の例として、外来管理加算を再診料に含めることを挙げた。
 また、藤原委員は「“3時間待ちの3分診療”というのは、診療所や中小病院に当てはまることではなく、大病院に当てはまる事項だ。(今回の見直しの考え方が)そういうことを認識した上でのものであったか。そこには大きな疑問を感じる」と述べた。

 小島茂委員(連合総合政策局長)は、今後の議論の進め方について「外来管理加算を初・再診料の中でどう位置付け、その上で5分要件をどうするかということだと思っている」と提案した。

制度が判りにくいとかいう以前に、お前らの議論の方がよほど判りにくいという意見も大いにありそうですがね(苦笑)。
このあたりはさすがに「ロハス・メディカル」の方ではもう少し文脈を理解しやすい記事にまとめていただいているようですので、こちらも紹介してみましょう。

診察時間の目安、「必要でない」55.8%(2009年4月27日ロハス・メディカル)

 「患者さんは時間よりも何を欲しているんだろうか」―。昨年4月に実施された診療報酬改定の影響を検証する中医協の部会で、牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)が疑問を投げ掛けた。(新井裕充)

 厚生労働省の調査によると、外来管理加算の時間の目安について、「必要でない」(55.8%)と考える患者が「必要だ」(33.8%)よりも多かった。

 2008年度の診療報酬改定では、外来患者が再診でリハビリや処置などをしない場合に加算される「外来管理加算」に、おおむね5分の診察をすることが新たな要件に加わった。表向きの理由として、懇切丁寧な説明を通じて患者とのコミュニケーションを十分に取るために「5分」という時間要件を入れたと説明された。

 しかし、真の狙いは医療費の削減で、薬の処方せんを受け取るために来院する「お薬外来」での算定を抑制する目的だったとされる。診療所の再診料引き下げ問題で紛糾していた当時、厚労省の担当者は公益委員に、「5分要件を入れれば1時間に12人しか算定できないので、再診料2点分(1点は約120億円)が出る」と説得したという。「5分要件」の導入によって生じた約250憶円は、勤務医の負担軽減策に必要な財源に充てられた。

 ところが、厚労省の試算以上に病院や診療所の経営を圧迫していることが問題視され、日本医師会をはじめとする関係団体から反発の声が上がっている。「患者の待ち時間が長くなった」との声も出ており、外来管理加算は岐路に立たされている。

 こうした中、08年度改定の影響を調べている中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定結果検証部会(部会長=庄司洋子・立教大大学院教授)は4月22日、「勤務医の負担軽減」や「外来管理加算」など、昨年度に実施した5項目の調査結果について、厚労省が示した報告書案を大筋で了承した。

 報告書案によると、外来管理加算の算定状況は病院で96.5%、診療所87.9%だった。外来管理加算を算定した患者1人当たりの平均診察時間は、病院7.3分、診療所7.5分だった。

 「患者1人あたりの診察時間が長くなったか」との設問では、「大いにあてはまる」と「ややあてはまる」と回答した病院が44.6%、診療所では 34.8%。「診療時間の延長が多くなった」との回答は、「大いにあてはまる」と「ややあてはまる」を合わせると、病院では35.0%、診療所では 28.6%だった。

■「外来管理加算は分かりにくい」

 外来管理加算の時間の目安について患者に尋ねたところ、「必要でない」(55.8%)との回答が「必要だ」(33.8%)を上回った。

 「懇切丁寧な説明」についての要望では、「症状に変化があったときのみ全項目」(15.5%)が最も多く、次いで「通院毎に一部項目」(13.1%)、「通院毎に全項目」(12.4%)、「定期的に全項目」(10.0%)の順だった。

 調査結果を受け、牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)は、「患者さんは時間よりも何を欲しているんだろうか。患者さんが求めている『懇切丁寧な説明』についての要望をもっと詳しく記しておいた方がいい」と注文を付けた。

 中医協の会長を務める遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)も、「懇切丁寧な説明の内容について詳しく記載することに私も賛成だ」とした上で、「医療側が考えていることと、患者さん側が考えていることとの間にあるギャップみたいなものを議論する必要がある」と指摘。具体例として、「治療方針についての説明」を挙げた。
 遠藤委員は、患者の5割が「治療方針についての説明」を望んでいるにもかかわらず、医療側の回答では、「毎回実施するべき」の項目の中で下から3番目に低かったことを示し、「患者さんが必要としているものが何なのか、分かるような記載が望ましい」と求めた。

 同日の検証部会の後に開催された中医協・診療報酬基本問題小員会では、外来管理加算を再診料に含めることが支払い側の委員から提案されている。
 対馬忠明委員(健保連専務理事)は、「外来管理加算が患者にとって一番分かりにくいということは何度も聞いている。処置をしなければ点数が付くことを分かってもらうのはなかなか難しい。であれば、例えば一つの考え方として、外来管理加算を再診料に含めてしまうということも、いくつかある解決策のうちの一つかもしれない」と述べた。

 また、小島茂委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)も、「患者の立場からすれば、外来管理加算は必ずしも理解を得られないし、よく分からない」とした上で、次のように述べた。
 「外来管理加算を今のまま残しておくのかどうかも含め、初・再診料の中でどう位置付けるかということだと思う。(外来管理加算の5分要件を日医の要望通りに撤廃しないで)残すのであれば、まさに今回の(5分)要件の在り方としてどう考えるかということになる。『5分要件を外せ』というのは、要望としては分かるが、最終的には全体の(初・再診料の)中で外来管理加算をどのように位置付けるかを議論して、その中で要件について議論するという進め方が妥当だ」

要するに五分要件というものは医療側にも患者側にもあまり意味がないと思われていて、支払い側からも判りにくいから止めたらどうなのかという声が出ている。
これに対して厚労省側は現時点ではデータがないから何とも言えないというのが表向きのスタンスでしょうが、導入の理由である医療費削減効果については予定以上にあったということですからむしろ喜ばしいことなのかも知れません。
現場の関係者からすればこの加算、説明をする方にとってもされる方にとってもとにかく判りにくい制度であるのは確かで、例えば長年高血圧で月一回通院しているような患者に何をどう説明したものかと言った場合に「通院毎に全項目」などと言われてもお互いどうなの?といったところがあります。
そしてまさしくそういう超安定期の患者こそこの五分要件に引っかかる最大の候補なわけですから(状態が不安定なら黙っていても診療に時間はかかる道理です)、これもこの種の患者を中核病院から末端零細医療機関へと誘導しようとする政策誘導の一環とも見るべきなんでしょうかね?

中医協絡みではこちらも面白いニュースかなと思いますので紹介しておきましょう。

DPC対象病院、自主退出可能に-中医協基本小委が合意(2009年4月25日CBニュース)

 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会は3月25日、「一定のルール」を設定することを条件にDPC対象病院による出来高算定への自主退出を可能とすることで合意した。また、DPC対象病院に適用している現行の調整係数については、一度に廃止するのではなく、経過措置を設けて段階的に廃止することに決まった。自主退出に関する一定のルールや、調整係数廃止時の経過措置の内容については、DPC評価分科会で案を検討し、同小委に報告する。同省保険局の宇都宮啓企画官は、一定のルールについて、「極端に言えば、DPCが儲かるかどうかで出たり入ったりされたのでは困る」と強調した。

 厚生労働省は25日の小委に、「DPCにおける今後の課題(案)」を提示し、DPC対象病院への参加と退出をめぐる論点として、一定のルール下での DPC対象病院から出来高への自主退出と、10対1入院基本料の届け出などDPC対象病院としての条件を満たせなくなった場合の取り扱いを挙げた。また、 DPC対象病院の自主退出を可能にする場合の論点には、▽退出する際のルール▽いったん出来高に退出した病院によるDPCへの再移行に対する考え方―を提示した。DPCからの自主退出に対する反対意見はなく、今後はその際のルールを具体化することになった。

 意見交換では、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が、「(DPC対象病院としての)条件を満たさなくなった場合と、自主退出の場合のルールがどう違うかも検討すべきだ」と主張。また、中川俊男委員(日本医師会常任理事)は、DPC対象病院による自主退出のルールに関するたたき台の提出を求めた。

ちなみに実際の撤退の条件などについての議論はこちらの記事を参考にしていただければと思います。
DPC(診断群分類)に基づく定額支払制度の問題点につきましては以前にも取り上げたことがありますが、既に全病床の半数がDPC対象となっているというほど広く導入されている理由の一つに急性期の病院にとって経営が安定するというメリットがあるからとも言われています。
確かに「何かよく判らないから検査入院しましょう」などと入院適応もはっきりしない患者が病床を埋めて肝心の時に空きベッドがなかったなどと言う本末転倒な事態を防いだり、外来から入院へと一貫して最も効率よい検査と治療のスケジュールを組む必要があるという面でのトレーニング効果もあるかも知れません。
しかし全国の医者達が頑張って医療費を安くあげればあげるほど「この病気にこんな治療費はかからないんですね。それじゃ少し支払いを切り下げましょう」と診療報酬を削られていくわけですから、考えてみれば目の前に目標をぶら下げてやれば猪突猛進することしか知らない医者心理というものを巧みに突いた(国にとっては)ひどく都合がよい制度でもあるわけです。

DPC導入を促すために従来は調整係数と称して報酬の割増を行ってきたわけですが、これが廃止されることが決まった以上は新加入も減るでしょうし、更には自らやめますと手を挙げる病院も出てくるのは確かだろうと思いますね。
ただし政府や支払い側にすればDPCに加わらない=出来高払いの方が儲かると思っている病院という図式が成り立つわけですから、今後そのあたりを査定でネチネチと突くか、「病院間の不公平感を無くすため」云々とも称して新たな調整を入れてくる可能性はあるんじゃないかと思います。
ただDPCにしろ出来高払いにしろ結局のところ病院にとっての制度であって現場のスタッフにとっての直接的モチベーションというものではないわけで、本気で医療現場を制度によってコントロールするつもりなのであればドクターフィーなどのような直接スタッフに対する手当でも設けないことには無理なんじゃないかと思うんですけどね。

他方ではようやく予算が成立して今度は補正予算を云々と言っていますが、こちらの方でもそれなりに見るべきものがあったようです。
特に注目したいのは医療費支出がとうとう増額方向に舵を切られたのかなとも思えるような話が見え隠れしているところですが、よくよく見てみればこれらも実に「一時しのぎ」の話ばかりなのですよね。

医療・介護分野に総額1兆6568億円―今年度補正予算案(2009年4月27日CBニュース)

 政府は4月27日の臨時閣議で、一般会計規模で13兆9255億円に上る今年度補正予算案を決定し、国会に提出した。このうち、医療・介護分野では、合わせて1兆6568億円が盛り込まれており、地域医療の再生や介護職員の処遇改善などに充てられる。

 医療分野では、地域医療の再生や医療新技術推進などに8207億円が計上された。
 地域医療の再生には3100億円が盛り込まれており、救急医療や地域の医師確保など地域医療の課題解決のために都道府県が策定する「地域医療再生計画」に基づく事業に対し、「地域医療再生基金」(仮称)を設置して財政支援を行う。
 また、医療機関の機能や設備を強化するための対策費として2096億円が盛り込まれており、災害拠点病院の耐震化や国立高度専門医療センターでの先端機器導入などに充てる。
 このほか、新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制の強化に1279億円、がん、小児の未承認薬などの開発支援や治験基盤の整備、審査の迅速化に797億円、レセプトオンライン化支援に291億円が計上されている。

 介護分野では、介護職員の処遇改善や介護拠点の整備などに8361億円が計上された。
 介護職員の処遇改善には、3975億円が計上されている。雇用環境を改善し、今後増加する人材への需要に応えるため、今年度の介護報酬改定に加えて、賃金の確実な引き上げなど処遇改善に取り組む事業者に3年間の助成を行う。財務省では、介護職員(常勤換算)1人当たり、月額1万5000円の賃金アップに相当するとしている。
 また、介護基盤の緊急整備などには2495億円が盛り込まれた。地域の介護ニーズに対応するため、新たに施設整備交付金(ハード交付金)を拡充するための基金を設置することなどにより、特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護事業所などを緊急に整備する。

4000億円の交付金創設、介護職の賃金アップに-厚労省補正予算案(2009年4月29日ロハスメディカル) 

 低賃金や過重労働などを理由に人材不足が深刻となっている介護職の待遇改善を図るため、厚生労働省は2009年度補正予算案の中に、介護職員の処遇向上を図る介護事業者に対して交付金を支給する「介護職員処遇改善交付金(仮称)」を設置する施策を盛り込んだ。計上された約4000億円はすべて国庫負担のため、保険料増額には響かない。ただ、2011年度で基金が終了した後に待遇が下がらないようにするための対応が求められる。厚労省の宮島俊彦老健局長は「その続きの対策は必要になると思う」との認識を示している。(熊田梨恵)

 介護職員処遇改善交付金は、政府・与党が4月10日にまとめた経済危機対策の中の、厚労省所管分野での施策になる。経済対策では人材不足が深刻な介護職の待遇改善を求めていた。

 介護職の処遇改善をめぐっては、国民からの声を意識した政府・与党が、2009年度介護報酬改定で、介護職員の処遇改善をねらいに改定率を3.0%引き上げた。政府は当初、介護職員の給与を月2万円増やすとしていたが、介護事業者の運転資金などに回されて給与の増額につながっていないとの指摘が上がっている。今回の介護報酬改定は、一律に報酬額をアップしたのではなく、介護職員の手厚い配置など、質の高いケアや業務負担が多い施設に対する「加算」という形で対応したため、この加算が取れたか否か、つまり厚労省側の政策誘導に乗ったかどうかで事業所の報酬額が異なってくるという仕組みだ。このため、実際に職員の処遇改善につなげられないという指摘が上がっており、国は今回の交付金を設置することで処遇向上につなげたいというねらいがある。

 この交付金は、介護職員の処遇を改善する事業所に対して交付されるもの。事業所の類型ごとに、介護報酬額に一定の交付率をかけた金額が毎月支給されるという仕組みで、特に人件費率の高い事業には交付率が手厚くなっており、訪問介護事業所は70%、訪問入浴介護は45%など。今年10月サービス分からの実施となるため、12月支払い分の介護報酬とともに支給される。

 事業所は、介護職員に処遇改善計画を通知し、支給される交付金を上回る額を賃金や待遇の改善に当てなければならない。また、来年度以降は介護職のキャリアプラン構築など、継続して介護職の待遇改善を行っていく意思を示さなければ、交付率が減額される。

 今回の予算案額は3975億円。全額国庫負担のため、保険料に跳ね返ることはない。ただ、2.5年分の予算計上のため、2011年度末に交付金の支給が終われば、待遇が元通りになりかねないという懸念がある。このため、厚労省は2012年度介護報酬改定で、待遇が下がることがないように対応を考える意向だが、介護報酬に反映されるということは、保険料増額や消費税率アップなどによる税金投入は避けられない。

 厚労省が4月20日に開いた有識者会議の中で、池田省三委員(龍谷大教授)は厚労省に対し、交付金に充てられる約4000億円は介護報酬額の約2%に当たるとした上で、今後の保険料の増額を見込んだ施策であるのかどうかと質した。宮島局長は、「第5期介護保険事業計画【編注】に向けてどうするかは、介護保険制度の中で保険料にどう跳ね返っていくか。どういう対応があるかは議論を続けないといけない」と述べた。

先ほどの話と絡めた形になりますが、こちら介護の方では政府なりに頭を絞って現場スタッフの報酬にどうやったら国庫支出を還元できるのかと考えた気配があることに留意ください。
本気で医療現場をコントロールしようと思ったら何より現状で崩壊を続けるスタッフの志気こそが一番の要になっているわけですから、どのような形であれ組織ではなく個人に対するインセンティブというものを用意していかなければならないということです。
問題はそうした政策の裏付けとなる財源なんですが、むしろ大不況の最中であるからこそ需要も求人もあるこうした分野に大規模に金を出していく必要があるんじゃないかと思いますね。

近ごろではよくある話ですが高齢の両親を介護するため壮年期層が早期退職していく、若年は新卒採用減少で職場での技術の継承性が保てなくなりつつあるという弊害が既にあちこちから聞こえてきています。
介護というものを社会的に単なる負の資産と捉えるのではなく、大規模な公共事業的性格で改めて捉え直してみると、驚くほど巨大な内需というものがそこには見えてくるんじゃないかと思いますね。
何しろ日本はこれから先もどんどん高齢化が進んでいくんですから、今から先行投資をしておいても余裕で元が取れるんじゃないかと思うんですが如何でしょうか。

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2009年5月 1日 (金)

新型インフルエンザついに国内侵入?!

と言う疑い症例が相次いで見つかりニュースになっています(ちなみに当サイトでも以後「豚インフルエンザ」ではなく「新型インフルエンザ」と呼称することにいたしました)。
発熱を呈し迅速でA型インフルエンザが疑われていたという女性患者はその後「新型インフルエンザではない」ということになったそうですが、横浜の高校生は未確定であるとか。
まずはこちらを記事から紹介してみましょう。

【新型インフル】国内初の感染疑い 横浜市の17歳高校生 カナダに修学旅行(2009年5月1日産経ニュース)

 新型インフルエンザ問題で、横浜市に住む男子高校生(17)が、「感染疑い例」となったことが1日未明、分かった。舛添要一厚生労働相が緊急会見で明らかにした。日本で「感染疑い例」が出たのは初めて

 厚労省によると、新型インフルエンザ感染の疑いがある男子高校生は4月10日~25日、修学旅行で、カナダ・ブリティッシュコロンビア州に滞在していた。

 帰国後、男子高校生は29日、発熱やせきなどの症状を訴えたため、横浜市内の医療機関を受診。30日にインフルエンザの感染を調べる簡易検査で、インフルエンザA型が「陽性」と出た。感染症への高度な施設を持つ特定感染症指定医療機関の横浜市立市民病院に入院し、治療中。一時は39度台の高熱が出たが、快方に向かっているという。

 さらに詳細に調べるウイルスの遺伝子診断「PCR」で、一度は「新型」との関係が濃厚となったが、その後、解析不能の結果が出たという。今後、高校生の検体が送られた国立感染症研究所での精密検査の結果を待つ考え。確定までに1~2日必要としている。確定すれば、国内初の新型インフルエンザ患者となる。

同省は男子高校生の国内での行動や、家族や同級生ら接触者、同行者の状況も調査する方針。舛添厚労相は緊急会見で「万が一に備え、自主的に判断してもらいたい」と前置きした上で、感染拡大を防ぐため、必要に応じて学校の臨時休校にも触れた。

 感染防止の自己防衛手段として、マスク着用やうがい・手洗い励行などに加え、外出時に人混みを避けるよう助言。「パニックになる必要はない。落ち着いて行動してもらいたい」と冷静な対応を呼びかけた。

 この事例とは別に、4月30日午後、米国から成田空港に到着したノースウエスト航空に搭乗していた日本人女性(25)が簡易検査で陽性反応が出た。

 PCRの結果、「新型」ではないと分かった。女性は特定感染症指定医療機関の成田赤十字病院(千葉県成田市)で治療を受けた。

 同省は、機内で女性の周囲にいた乗客について、感染の恐れもあるため、空港近くの宿泊施設に待機してもらう措置を取った。

幸い症状は改善しているとのことですが、この件と関連してネットでニュースになっているのが「カナダ帰りの高校生達のブログ」なんですね。
個人情報の詮索になってもいけませんので詳細は伏せますが、例えば下記のような書き込みがあちこちで見られ、ブログ主はいずれも横浜在住で同時期にカナダからの修学旅行帰りという共通点があるようです。

ブログAより

■2009年04月27日(月)■
うげ
熱がある\(^O^)/
ウチラの飛行機、
やたら熱出た人いっぱい
いたんだよね;
うつった?笑   

ブログBより       

2009/04/29 (Wed) 10:43
完璧風邪ひいた(^ω^;)
昨日からくしゃみと
悪寒がとまりません(^ω^;)
無駄に風呂に入りすぎた
せいかな…(^ω^;)

ま、狭い機内で半日もすし詰めですから、発症者が一人いれば当然のように蔓延するわけですが、こういう状況が明らかになると誰か一人確定診断がついた時点でその数十~数百倍の患者がいるものと見なさなければならないでしょうね。
学生達も帰国したばかりで仕方ないところではあるのでしょうが、下記のような記事も見る限りもう少し集団における感染防御というものに対して個人も意識を高める必要があるのかなという印象も(特にメディアには)受けます。
手術野などの清潔を保つのに一人でも清潔操作を理解していない人間が混じっていると難しいのと同様に、誰か一人が間違ったことをしたばかりに思いがけない災害を招いた例というものは歴史上枚挙にいとまがないわけですしね。

機内検疫2日目、29日も混乱(2009年4月29日TBS News i)

 大型連休の出国ラッシュの中、検疫が強化されている成田空港。現地からの報告です。

 成田空港の第2ターミナル、到着ロビーです。29日午後5時前に到着しました、メキシコシティーを出発した到着便。1時間ほどかかりました機内検疫が終了しました。

 マスクをつけた乗客の姿もこの到着ロビーに徐々に見え始めました。363人の乗客にインフルエンザの疑いがある乗客はいなかったとのことです。

 「(Q.機内ではどうでしたか?)機内では特に。みんなマスクかけている状態で、1時間以上ずっと飛行機の中に待たされて、みんなサーモグラフィーで検査」
 「(Q.帰ってきて、どういうふうにお感じになりますか?)いや、もう異常だと思いますね。メキシコの方たちはすごく落ち着いていらっしゃるし」(メキシコ便の乗客)

 1人1人にサーモカメラで体温を測り、健康チェックを行う機内検疫。2日目ですが検疫官の数が少なく、29日も混乱しまた。日本側は何とか水際でくい止めようと頑張っているわけですが、出発した方の国では簡単な自己申告で済んでいます。対応に差を感じます。

 今はメキシコ、アメリカ、カナダに限られている機内検疫ですが、今後対象国が増えたら一体どうなるのか。ゴールデンウィーク、大型連休が始まって帰国者も増えるはずです。

 30日からは医師、看護師およそ30人が増員されることになっています。しかし、終わりがいつになるのか分からないこの機内検疫、30日も続きます。

さて、こうした経緯もあってにわかに身近に感じられ始めた新型インフルエンザですが、これに関して今のところ判っていることを自分なりにおさらいしてみますと、以下のようになるかと思います。
今後得られた知見や今現在までの情報に照らし合わせて間違っているところがあれば随時訂正していきたいと思いますので、是非ご一報ください。

・症状は発熱、咳、関節痛など、通常のインフルエンザと大差ない(メキシコを除く)

 メキシコ以外の地域においては病原性において通常のインフルエンザと極端に大きな差はないようですが、逆に言えば特別な症状もないわけですから、すでに思いがけないほどの範囲にまで感染が広がってしまっている可能性もあるわけです。
 また一部の地域で嘔吐などの消化器症状を呈している患者がいるとの報道もありますが、どうもこれらは新型インフルエンザと確定診断されたわけではないようで、発熱、嘔吐、集団発生といった特徴からむしろノロウイルス等による別種の感染症を疑うべきなのかも知れません。

・今のところ病原性は際だって高くはない(メキシコを除く)

 例外的といって良いほどに死者が多発しているメキシコにおいても致死率は最大限に見積もっても数%以下と考えられ(恐らく報告の数倍の罹患者が存在すると思われ更に死亡率は低いでしょう)、他地域では更に低く通常のインフルエンザと大きな差はないという程度にとどまっているようです。大多数の患者は抗ウイルス剤の投与も必要とせずに自然回復しているということですから、今後患者が殺到し物理的に対応困難とならない限りは通常のインフルエンザに対するのと同様な治療で十分に対処可能という印象を受けます。
 ただし周知のようにインフルエンザはその遺伝子構造上極めて容易に変異を起こしやすいですから、今後いつ何時強毒型に変わるかは誰にも判りません。かのスペイン風邪も1918年春の最初の流行では弱毒型でしたが、半年後の秋の流行からは毒性が強まり死者が続出するようになったという経緯があります。

・既存免疫が無効である可能性がある

 同じH1N1型であるAソ連型インフルエンザと新型インフルエンザではアミノ酸配列で20%程度の差違があるということで、抗原性が大きく変化している可能性があります。このことは我々が持っている旧来のインフルエンザに対する抗体や既存の予防接種によって身につけた抗体が無効であるか、大きく効果を減ずる可能性を示唆するものです。
 要するに今まで経験してきたインフルエンザと比較して我々の抵抗力が弱いため、爆発的な大流行をもたらす恐れが大いにあるということです。
 また正確な統計は出ていませんが、予防接種を受けた人々の間からも患者が多発していることからも(全く無効であるかどうかはともかく)予防接種に大きな効果は期待できないと思われますが、今後新型インフルエンザに対応したワクチンの登場が待たれるところです。

さて、そろそろ国内でも患者発生が時間の問題ということになってきましたが、まさに玄関口の足許である成田でも準備が整えられているようです。
しかし成田赤十字と言えば崩壊を続ける千葉県救急医療最後の砦などと言われている場所ですが、今後感染症患者が大挙して押し寄せてくるようなことになると救急業務はどうなるのかと心配になってくるところではありますね。

新型インフル:空気遮断の病室に二重扉 成田赤十字病院

 成田赤十字病院(成田市飯田町)は厚生労働省の「特定感染症指定医療機関」に指定されており、新型インフルエンザが発生した際の緊急措置として、最大で7床が利用できる。診察には感染症科の医師1人に加え、必要に応じて内科医らが応援する。

 現在の常勤内科医は29人で、同病院経営管理課は「仮に新型インフルエンザが発生したとしても、適正な対応は可能」としている。

 感染者を受け入れる病室はすべて、ウイルスを含んだ空気を室外へ出さないよう、気圧を室外より低く設定する陰圧式の空調を採用。出入り口は密封できる二重扉があり、患者に対応する医師らは二重扉の間で全作業を整えてから出入りする。過去に病床を使用した実績はなかったが、定期的に訓練やメンテナンスを実施。防護服やマスクの在庫を確認するなど、万一の患者受け入れに備えてきた。

一方で昨日も書きました各自治体での発熱外来の整備ですが、相変わらずはかどってはいないようです。
実際のところ医師が余っていたり受け入れ的に余力のある施設など存在しないわけですから、どこかが無理を承知で泥をかぶっているのだろうとは想像できるところですよね。
もし仮にそうした施設で無理がたたって予期せぬ医療事故でも起こったとしたらどうなるかと考えると、関係者の方々にはくれぐれも御自愛くださいと申し上げるしかありません。

新型インフル:発熱外来の設置 市民病院が拒否 埼玉(2009年4月30日毎日新聞)

 埼玉県が第2種感染症指定医療機関に指定している東松山市立市民病院が、新型インフルエンザ対策として県が要請した「発熱外来」の設置を断っていたことが30日、分かった。理由は医師不足という。

 発熱外来は厚生労働省が策定した行動計画に基づいて設置される。新型インフルエンザの疑いのある患者と一般患者を隔離して診断することで、感染拡大の危険性を下げることが目的。県は28日から県内の医療機関10カ所に要請し、9カ所から承諾を得た。

 同病院によると、常勤医数は現在、ピーク時の31人から14人に半減。夜間救急医療も07年秋から中止している。一方で、感染症病床は維持している。河村俊明内科部長は「発熱外来は特別な消毒や専門スタッフも必要。この状況では難しい」と話す。県疾病対策課も「全体の中でインフルエンザ対策に協力してほしい」と理解を示す。

 しかし、同省新型インフルエンザ対策推進室の高山義浩室長補佐は「発熱外来の病院数が少ない感染拡大期は患者が1日に何十人も押し寄せることはない。夜間救急はしていなくても、当直医師などで十分対応できるのではないか」と指摘している。

しかしまあ、厚労省の高山室長の何とも呑気なコメントがなかなかに素敵かなという感じなんですが(苦笑)。
ちなみにこの高山義浩氏と言えば経歴にも示されているように感染症の専門家として十分なキャリアがおありなんですから、どうせなら「手が足りないなら俺がやってやる!」と口ばかりでなく手、も挙げてみれば拍手喝采だったことでしょう。

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