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2009年4月24日 (金)

最近面白いなと思った話あれこれ

昔とある芸人が言っていた話ですが、お笑いというのはやっている人間は目一杯真剣でないと芸にならないんだそうですね。
そのあたり、あくまで自分が面白かったからという動機の延長線上にある素人演芸との境界線があるような気がして興味深いところではありました。

それはともかくとして、先日こういう記事を見かけて大笑いしてしまいました。
ちなみにネタでもなんでもなく、至って真面目な新聞の至って真面目な普通の記事です(たぶん)。

危ないお医者さんはこう見抜く(2009年4月15日日経WagaMaga)

 名医に診断・治療してほしい。誰もがそう願う。大学病院や専門医を頼る人も多い。しかし、『危ないお医者さん』(ソフトバンク クリエイティブ刊)を書いた医師でジャーナリストの富家孝さんは「大学病院に名医が多いわけではない。専門医の肩書も当てにはならない」と言う。自分の身体にメスが刺さる前に「あぶない医師・病院」を見抜くポイントを、富家さんに教わった。

 2008年に起きた、急患妊婦が8病院をたらい回しにされた事件は40、50代男性にとっても他人事ではない。脳梗塞のような症状で救急車にかつぎ込まれても、搬送に手間取って手遅れになるという事態は容易に起きうるからだ。心配に思う人は、勤め先や自宅近くの救急指定病院に一度かかっておいて、カルテを残しておき、受け入れてもらいやすくするような対策を講じておいてもいいだろう。後で述べるが、かかりつけ医に自分のデータを蓄積しておくことも、いざという時の助けになる。
(略)
 「医は仁術」という言葉はとうに死んだ。医師の仕事は一種のサービス業となった。一定の報酬と引き替えに、患者が求める医療サービスを提供する立場だ。誰にでも分け隔てなく接するという態度は期待できないのが現実だ。

 サービス業ならサービス業で構わない。ただ、サービス業だというのなら、対価に見合ったサービスでなくてはおかしい。ところが、日本の病院では同じ金額を支払っても、受けられる医療の質の差が大きすぎる。執刀する医師次第で、ある患者は助かり、別の患者は命を落とす。そんな格差が医療の現場ではまかり通っている。ホテルでは一般に料金が高ければ、それなりに見合ったもてなしを受けられるが、病院ではそうではない。患者側からすれば、ここは納得できないところだ。

 だからこそ、病院の質を見極める「目」が患者側に求められる。日頃から日本有数の名医にばかりかかる必要はないだろうが、患者を軽視する「危ない病院」は避けたいものだ。個人経営の病院について、患者が比較的簡単に「危ない病院」を見抜くには、いくつかのチェックポイントがある。

 例えば、やけにすいている病院。待ち時間の少ない病院に行きたがる人は多いが、患者の評判が悪く、経営状態が悪い病院である可能性もあり、疑ってみる必要がある。スタッフが少ない病院や、若い看護師ばかりの病院、受付が無愛想な病院、規模に比べて診療科目が多い病院なども、要注意と言える。

 麻生太郎首相が2008年に「(医師は)社会常識が欠落している人が多い」と発言したら、大騒ぎになった。だが、医師が往々にして一般常識からかけ離れているという事は間違いではない。親が子供を医学部に進めたがる傾向は今も変わらない。代々、医師の一家というのはざらで、親族30人以上が医師という家系もある。医師以外の業種が身の回りにいないせいで、一般的な考え方とはずれてしまい、そこから抜け出せないのだ。異業種交流や一般社会との接点が少ないせいで、付き合うのは医師会の仲間ばかりで、趣味はゴルフ、夢は子供の医師デビューという医師はあまりにも多い。

 病院を見抜く以外に、医師本人の資質も見定める必要がある。とりわけ、一生に何度も受けるわけではなく、しかも生命にかかわる手術となりがちな心臓や脳手術の技量に関しては、しっかり確かめておきたい。比較的手軽にチェックできる方法は、各病院のウェブサイトに医師の手術数が公開されているかどうかだ。この程度の情報公開すらできない病院は信用しないに越したことはない。

 今世紀の医療のテーマは「情報開示」と「公正」だろう。この2つに反する医師・医療機関は淘汰されていく方向にある。病院サイトの充実度は今や最も簡単に、「情報開示」と「公正」への取り組みをうかがい知る手がかりとなっている。
(略)
 外科医に関して言えば、患者から一般に求められる「名医」の意味合いは「手術がうまい」のようだ。もし、その意味の名医を探すのであれば、手術症例数というデータを手がかりにするのが一番手っ取り早い。症例数の多い医師は成功率が高い傾向があり、だからさらに手術依頼が集まり、ますます症例数が増える。症例数が「名医」の目安になりうるのはこういう仕組みがあるからだ。

 そもそも症例数が少ない医師は経験値が低いので、命に関わる大事な手術を任せるのは心許ないところがある。外科医に限って言えば、日々手術を重ねて経験を重ねている「手術職人」のような外科医の方が実力が高いと言える。どんなに医師歴が長くても、その分野の執刀経験が少ないのでは、手術の成功率は低くなりがちだ。大学の名前や、教授であるかどうかは、症例数に比べれば、はるかに意味を持たない。

 日本胸部外科学会が発表した興味深いデータがある。「年間に25件未満しか心臓手術を行っていない病院での死亡率は、年100件以上の病院に比べて、約2倍高い」というものだ。症例数と成功率はこれほど密接に関係している。

 年間150~200の手術を、高い成功率でこなす心臓外科医は国内には30人ほどしかいない。経験と成功率に優れた医師に頼みたいと考えるのは当たり前だから、自ずと依頼は一部の優秀な実績を持つ医師に集中する傾向がある。つまり、こうした優れた医師以外から手術を受けるのは、リスクを伴う選択とすら言える。

 繰り返して言うが、大病院であるかどうかや、教授であるかどうかは、外科手術の腕には関係ない。最近は朝日新聞社や日本経済新聞社、読売新聞社などから、分野別の症例数データをまとめたデータブックが刊行されるようになった。かつては専門家しか閲覧できなかったような生の数字が今では誰でも参考にできるのだ。

 こうしたデータブックを読めば分かる通り、症例数の上位は決して首都圏の大学病院の教授ばかりというわけではない。もちろん、大学病院にも分野別の「名医」は存在するが、「大学病院=名医の集団」という思い込みは現実のデータに合わない。例えば、漫画『ブラックジャックによろしく』のモデルとしても有名で、「神の手」と呼ばれる心臓外科の南淵明宏氏は神奈川県大和市にある大和成和病院の院長。心カテーテル治療の第一人者とされる延吉正清氏が院長を務めるのは、福岡県北九州市にある小倉記念病院だ。

 手術を前に、担当医師が名医かどうかを直感的に見抜ける方法もある。名医はコミュニケーション能力が高いから、説明が丁寧で、聞いていて納得しやすい。手術の結果に関して、起こりうるケースの説明が明解・具体的で、物言いが冷静かどうかが、コミュニケーション能力を見極めるポイントと言える。説明の細部を省いたり、態度が高圧的だったり、説明そのものを面倒臭がったりするようであれば、別の医師に頼むことを検討する余地がある。最初に名刺を渡して、しっかりと自己紹介してくれるかどうかもコミュニケーション能力を推し量る材料になる。

 医師は嘘をつかないという思い込みも事実に反する。医師を信じたい気持ちは分からないでもないが、医者は嘘をつくし、隠蔽(ぺい)も改竄(ざん)もする。過去のいくつもの医療事故事件からもこの事ははっきり分かる。だから、医師の説明はメモに書き取っておこう。メモを取られていると、医師が「いい加減なことを言ってはまずい」と緊張するという効果も期待できる。

 医師は「絶対にミスを認めてはならない」と教え込まれている。医療過誤訴訟ではこうした医師の嘘や隠蔽行為が事実解明の壁となる。もっとも、訴訟に勝っても、失われた命や機能は戻ってこないこないのだから、腕が確かで、誠実な人柄の医師を見付けることが第一だ。

 医療過誤の被害を受けたと感じたら、訴訟をためらう必要はない。患者側がチェックして、いざという時は訴訟を起こさないと、医療の体質は変わっていかない。手術の前に同意書を提出していても、気にするには及ばない。同意書は手術を受けることに同意したにすぎず、医療過誤の責任を問わないという約束ではない。同意書があろうがなかろうが、訴訟は成立する。泣き寝入りは無用だ。

 病院で手術を勧められたら、セカンドオピニオンを求めよう。セカンドだけではなく、サード以上も集めて、手術の妥当性を納得できるまで調べたい。医師が違えば、見立てや処置プランが変わることはざら。全然違うアプローチが提案される場合だってあり得る。最初にかかった病院・医師の判断を鵜呑みにするのは、賢明とは言い難い。
(略)
 医師はプライドが高い上、それぞれが得意とする治療法を優先したがる傾向がある。だから、患者の側から別の治療法を示されると、気分を害して、患者の提案を受け入れたがらない。かえってむきになって自分の説を守ろうとする。だが、そんな態度を示したら、患者側が見限ればいいだけの話だ。今時、セカンドオピニオンを拒否するような医師は、先に述べたコミュニケーション能力の面でも問題があると見ていいだろう。

 診断や治療プランに少しでも疑問を感じたら、あらゆる検査データを渡してもらうべきだ。データは本来、患者の個人情報であり、本人の持ち物。医師は預かっているだけの立場だから、患者が求めれば、渡す義務がある。セカンドオピニオンを得るには、検査データが必要となる場合が多い。医療過誤を防ぐとともに、万一の場合の備えとしても、検査データを手に入れておく意味は大きい。

 検査データを要求すると、まるで自分たちが信用されていないように感じて、不愉快に思う医師がいるかも知れない。提供を拒む医師・病院もあるだろう。だが、そんな場合は別の病院に移ればいい。患者の正当な権利すら守れないようなところに命を預ける必要はない。
(略)
 患者と医師の間柄は、嫁と姑(しゅうとめ)に似ている。往々にして利害は一致しない。有り体に言えば、患者を治さない方が病院の利益になる場合だってある。過剰な検査や、大量の薬処方はそうした経営優先の態度の現れだ。本来は不要かも知れない検査や投薬を、利益のために押し付けてくる医師はそこら中にいる。だから、医師を信じ切ってしまうのはよそう。そして、信じるに値する医師との巡り会いに費やす手間と時間を惜しまない事だ。

 脳や心臓疾患での大手術のようないざという時を心配するのであれば、そんな一生に一度しか世話にならないような外科手術の名医を今から探すよりも、名医につながる「かかりつけ医(ホームドクター)」を見付けることにエネルギーを注ぎたい。かかりつけ医に継続的に健康状態を把握しておいてもらえれば、大病をした時でも的確なアドバイスをもらいやすい。名医を知るかかりつけ医に紹介状を書いてもらえれば、その後の治療でも心強い。

いきなりブチですか(苦笑)。
語り手は一応医師だと言う割には何ですかこのあからさまに素人の釣り臭い内容はと思っていましたら経歴を見て納得と言いますか、まあこれなら確かに素人ですね。
なんて言いますか、この「先生」の医療業界内部での狭い交友範囲がどういう方々との間に交わされていたのかということが垣間見えて、むしろそっちの方で楽しめるという記事ではありますかね。

こちらは真面目な新聞かどうかは判りませんが一応まともっぽく書いているつもりらしい記事なんですが、これも別な意味で色々と笑える内容ですよね。
言うまでもなく、これもネタではありませんので(一応)。

今どきお産事情:/1 出産施設、減少の一途 リスクに応じ産院選び(2009年2月13日毎日新聞)

 晩婚化に伴い、女性が生涯に子供を産む機会は減った。その分、より納得できる出産を希望する女性は多い。医療の技術も進む。様変わりした出産事情に直面した記者が、自身や妻の妊娠・出産で感じた体験から、課題と解決に向けた取り組みを探った。1回目は出産施設が減るなか、どこで産むのかを考えた。

 ◇助産院、総合病院…特徴把握して

 東京・代官山の「育良(いくりょう)クリニック」(東京都目黒区)。和室を備え、出産現場への夫や子供の立ち会いを認めている。いざという時に帝王切開もできる。「安全な環境下での自然分娩(ぶんべん)」を理念に掲げ、扱った出産数も10年間で5倍の年間630件に増えた。だが、ここ1、2年は様子が変わってきた。浦野晴美院長は「以前は理念に共感して来る女性が多かった。最近は『他に受け入れ先がない』という理由で来る人が増えた」と憂える。

 妊娠・出産・育児サイト「ベビカム」の運営団体が07年、ネットを通して妊娠中の189人に聞くと、8人に1人が「産みたいと思った施設で分娩予約ができなかった経験がある」と答えた。

 厚生労働省によると、05年に出産を扱っていたのは2933施設だが、96年より1058施設も減った。

   ◇  ◇

 昨年12月のベビカム調査では、リスクの高い妊娠を理由に、かかりつけ医の指示・紹介で転院したのは前年同期比で1・8ポイント増の4・6%。20人に1人の割合だ。

 背景には夜間や休日の出産が少なくなく、医師の負担が大きいことがある。訴訟回避の狙いもありそうだ。産科医1000人当たりの医療訴訟件数(06年の終結分)は16・8件で診療科別で最も多い。

 リスクが高い妊娠の典型が、高齢と病気だ。糖尿病を発症していると胎児の巨大化を招く恐れがある。「病気以前の肥満や高齢初産でも、受け入れを敬遠する病院が増えている」と浦野院長。病院側の「売り手市場」の傾向が強くなっている。

   ◇  ◇

 妊婦には冬の時代だが、病院の規模に応じた特徴と自分のリスクを把握したい。厚労省研究班(班長・中林正雄愛育病院院長)は05年、リスクに応じた産院選びをすることで、安全な妊娠・出産に結びつけようと自己評価表を作成、病院ホームページ(http://www.aiiku.net /riskcheck.htm)で公開した。

 3人の子どもを持つ出産ジャーナリストの河合蘭さん(49)は長男(20)の出産場所として助産院か総合病院を考えた。当時の総合病院では、出産直後は母子別室が通常だったが、相談すると同室を了解してくれたという。「納得できるお産に近づけるため、医療機関と相談しながら一緒にやっていこうという姿勢が大切」と話す。=つづく

   ×   ×

 この企画は斎藤広子、須田桃子、河内敏康が担当します。

 ◆記者の体験
 ◇「自然」にこだわって

 昨年1月、自宅(横浜市)の近所の産院で妊娠の確定診断を受けた。待合室で9月の分娩予約が迫る掲示が目に入った。焦ったが、初産のほぼ全員に、赤ちゃんが生まれやすいように肛門(こうもん)と膣(ちつ)の間を切る会陰(えいん)切開をしていると聞き、予約しなかった。

 陣痛促進剤の投与などのない「自然なお産」にこだわった。特に興味を持っていたのが、ぬるま湯の中で産む水中出産だ。痛みが和らぎ、リラックスしやすいという。水中出産できる神奈川県の施設を探すと、その数は片手で足りた。自宅から最も近かったのが、バスで約30分の豊倉助産院(同市)だ。

 3月中旬、夫と見学に訪れた。豊倉節子院長(61)は「『お産だけ自然に』というのは無理。食事や運動などで体を整える必要がある」と語った。出産時の夫の立ち会いや母乳育児などもかなうと知り、その場で分娩を申し込んだ。

 無事出産したが、希望を最大限受け入れてくれる施設との出合いは幸運だった。【須田桃子】

自然にこだわって水中出産って(苦笑)。
どうも毎日新聞社の皆様方ともなると、自然という言葉の意味が自分ら非修非学の身とはずいぶんと異なっているようですね。
一部のカルトまがいの方々がむやみに推進しておられるいわゆる自然のお産なるものの実体がどういうものかは以前にも少しばかり紹介しました。
産科医である田村正明氏は先日の記事で「僕は学校で、ヒトが魚から猿になり人間へと進化したことを学びました。せっかく進化して人間になったのに、あえて魚にまでさかのぼって水中出産するなんて、僕にはすごく不思議なことに思えます。」とのコメントを残していますが、全く同感ですね。

すこし面白いということとは外れますが、こちらも日本の医療というものを考える上で興味深い話題と思えますので紹介してみましょう。

生存が絶望視された赤ちゃん、生命維持装置を外したあとで自力呼吸を始める(2009年04月09日AFP)

カナダ・トロント(Toronto)の小児科病院Hospital for Sick Children (SickKids)は8日、生存の見込みがないとされた生後2か月の女の赤ちゃんが、生命維持装置を外されたあとで自力で呼吸を始めたと発表した。

 生後2か月のカイリー・ウォレス(Kaylee Wallace)ちゃんは、先天的に脳に障害があり、生命維持装置がなければ呼吸ができない状態だった。

 両親は、同じ病院に心臓移植を必要とする赤ちゃんがいることを知り、わが子の心臓を提供することを決意。生命維持装置を外した。ところが両親は、「カイリーちゃんが自力で呼吸を始めた」ことを医師から告げられることになる。

 病院は8日朝会見を開き、カイリーちゃんの容体は安定しており、心臓を提供する可能性はなくなったと発表した。

 担当のジム・ライト(Jim Wright)医師は、カナダ放送協会(Canadian Broadcasting Corporation、CBC)に対し、「両方の家族にとっては明らかに悲劇だ。今の状況は、どちらの家族にとっても何の解決策にもなっていない」と話した。

 カイリーちゃんの父親、ジェイソン・ウォレス(Jason Wallace)さんは報道陣に対し、「娘を失うことに対する心の準備はできていた。だから、娘を失うのはまだいい。理解できる。だが2人を失いたくはない」と語った。

 カイリーちゃんの今後の容体については不確定だ。なお、カイリーちゃんの心臓を移植される予定だった生後1か月の赤ちゃんも、今のところ容体は安定しているという。

「両方の家族にとっては明らかに悲劇だ。今の状況は、どちらの家族にとっても何の解決策にもなっていない」というコメントは病状がはっきりしない以上いささか説明を要するかなと思いますが、少なくとも未来永劫安定して生きられるとも思えない状況ですから、少しばかり経過が緩慢となったとしてもいずれ亡くなってしまうことは確定的と見るべきでしょうね。
もちろん移植ドナーとしての機会が失われたこともさることながら、この場合医療費の問題というものも考えてみなければならないように思います。
カナダは英国式のゲートキーパー式医療制度を設けていて同様にアクセスが極めて制限されている代わりに一般的な医療では患者の窓口負担はないのですが、入院となりますと個室料等は別料金で負担しなければならないということです。
当然こういう状態の患者に大部屋で寝ておけとかすぐ家に帰りなさいというのもまずもって不可能だと思いますから、おどらく年若いだろう両親にとってはその面での負担も大きいことでしょうね。

日本の場合ですと同じような状況で延々とNICUに長期入院しているという症例が結構あって、厚労省の調査では1年以上の長期入院が全体の4%に登るというデータもあるようです。
興味深いのはその退院できない理由なんですが、医学的に退院が無理というのは僅か1/3に過ぎず、在宅療養の担い手がいないとか療育施設の不足といった「社会的入院」が半数近くを占めているというんですね。
こういうことがある、あるいは出来てしまうというのも小児医療費無料化政策や小児移植医療禁止など様々な要因があるんだろうなとは思いますが、海外諸国で見られるような悲劇の回避という一面がある一方で、別な悲劇をも生み出しているような気もしないでもない話です。

子供関連ということでもう一つ、記事というわけではないのですがこちらの話も紹介してみましょう。

この国では子供は産めないといったら大喧嘩になりました。(2009年4月20日大手小町トピより)

北欧の某国に住んでいます。

この国の医療制度は無料ではありながら最低です。

子宮ガン検診のときには普通の診察室にある普通の長いすに座ってと言われ、そのままいきなり下着まで脱げと言われ、目隠しのカーテンもないままいきなり内診です。

具合が悪くて今すぐ見て欲しくて病院にいったのに予約がなければ
見てもらえず、見てもらえても1週間後。1週間まちの2秒医療で、しかも薬など出してもらえず詳しい検査もなし、医療器具は日本の何十年前のものがそのまんま。
風邪をこじらせ慢性副鼻腔炎になり、具合が悪いと何度も医者に行ったのに塩水の鼻うがいを薦めるのでそのとおりにしていましたが、具合が良くならず、日本の医者に帰国時に行ってみたら「こんなになるまで放置するな」と叱られました。

そんな経緯もあって、この国の医療を私は信用していません。

日常会話のついでに「この国で子供生む人って勇気あるよ、私は絶対にいやだ。」といったら大喧嘩になってしまいました。それでも私は絶対にこの国では生むつもりはありません。夫は自分の子供でもあるから、日本で生むのは反対だといいます。夫に言わせると日本の過剰な医療行為が気に食わないそうです。

私にしてみれば医療費がタダでも、雑で、適当で、まともに診察もしてくれず緊急時に言葉が通じないなんてうんざりです。出産で命を落としたらやり切れません。

日本以外の国に住んで、外国の医療システムにうんざりの皆さん
どのように相手を説得しましたか?

このトピのコメント欄がそれぞれ秀逸で海外の医療事情というものを知る上でもそれなりに参考になりそうなのですが、ここで一番面白いなと思ったのは医療に対する期待値ということです。
「トピ主さんの主張は、極端に言えばアマゾンの奥地で「お腹痛いからすぐ救急車呼んで!」って言ってる様なもんです。」という声が一つの究極なのかなと思うのですが、医療というものの質やアクセスといったものに当然国毎の違いはある、しかしそれと医療に対する満足度や不満というものが決してパラレルなわけではないということには留意すべきでしょうね。

別に医療に限らず日本人というのは結構「現状に満足しない」という一面があって、良い方向でそれが発揮されるといわゆる「職人のこだわり」などと言われるような質的改善の動機につながっていったりする。
しかし逆に言えば顧客側にも同様のこだわりが天井知らずに発揮されていくという一面もあって、「日本の消費者は世界で一番厳しい」なんてことを言われていますけれども、少なくとも医療費を公定価格で抑制する施策を続けるのであればそろそろ提供する側、利用する側ともに満足するということを覚えていくべき時期ではあるのかも知れません。

最後になりましたがこれは文句なしにケッサク、あまりにあまりな内容で思わずモニターの前で大爆笑してしまった記事を紹介しておきます。
しかし、さすが医療ネタに関して斜め上方向に向けてのトップランナーと定評のある産経新聞、ここまでピントの外れた記事はそうそう狙っても書けるものではありません。
ま、内容に関しては敢えて突っ込まないでおきますが、いつの日か記者氏がラーメン代と介護利用料の違いを理解できるようになることを願っております(苦笑)。

【ゆうゆうLife】編集部から ラーメン代と介護利用料の違いは?(2009年4月17日産経新聞)

 介護報酬引き上げの取材をしていて、ある大学の先生から、こんなたとえ話をされた。

 「いつものラーメンが100円値上がりした。店主に理由を聞いたら、『今月からパートさんでなく、ラーメン作りの経験豊富な従業員を増やすことに方針転換しましてね』といわれたら、納得できますか?」

 「う~ん」と、うなってしまった。腕利き職人が作った品と聞けば、期待は高まる。しかし、この不況下、前と同じ味だったら納得できない。明日は外食しないかもしれない。

 介護保険サービスの利用料が今月から変わった。月額利用料がかなり上がる人も少なくないが、値上がり分は、ヘルパーの待遇改善をはじめ、介護福祉士やベテランヘルパーを増やすことに使われるという。しかし、それが明日から“味”、つまり質の向上につながるものでもなさそうだ。

 厚生労働省は「将来的に、サービスの質が利用者に還元されるので理解してほしい」と説明する。介護サービスの質が変わらないのに…と、納得がいかない人も多いだろう。

 介護保険が保険料で運営される以上、質を良くするための値上げはやむをえない。しかし、国や事業者には、ぜひとも利用者がサービス向上を実感できるよう、がんばってほしい。利用している人は介護サービスなしには暮らせない。「高いから、や~めた」とはいかないのだから。(清水麻子)

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コメント

サイト運営し始めた者なんですが、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://hikaku-lin.com/link/register.html
こちらより、相互リンクしていただけると嬉しいです。
まだまだ、未熟なサイトですが、少しずつコンテンツを充実させていきたいと思ってます。
突然、失礼しました。
0tVKmEcK

投稿: hikaku | 2009年4月24日 (金) 15時29分

http://blog.m3.com/akagamablog/20090307/1
危ないお医者さん (ソフトバンク新書) (新書)
富家 孝 (著)
の再掲ですか

 大学生の長男(23)の脳梗塞(こうそく)が悪化し、半身まひなどの後遺症が出たのは、東京慈恵医大病院(東京都港区)が適切な処置を取らなかったためだとして、医師でジャーナリストの富家(ふけ)孝さん(60)や長男らが22日、同病院を運営する「慈恵大学」に計約1億3500万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。


民事訴訟の前に、業務上過失傷害で刑事告訴してたんですね。
http://skyteam.iza.ne.jp/blog/entry/458917
で、刑事が不発だったので民事で訴えた。

投稿: F | 2009年4月24日 (金) 15時37分

いやあ、素敵な記事ばかりで。

外科系の医師に「今まで積んできたキャリア」だけを要求し、次世代の優秀な医師を育成していくという常識を無視した要求をするのが当然だとは、知りませんでした。
ま、大学教授が臨床の名医だというのは違うと私も思いますが。
ただ、ネタの話で「俺は目の前のひとりを救ってるんじゃない。医療技術を発展させることでこれから先の何百万人を救っているんだ」と言ったとか言わないとか(BJによろしく、より)の話もありますのでね。

水中分娩が「自然」と考えるのなら、食事も排泄も、全部水中でできるんでしょう。この人は。人という種が陸上で分娩するようになって、たぶん100万年以上は経っているはずですが。

北欧の某国「この国の医療制度は無料ではありながら最低です」
「無料だから最低」なのではないでしょうか。

しかし、産経はどうしようもないな。
ラーメン屋の値上げの理由で「職人を雇ったから」という比較をしているが、比較をするなら「今まで安くしすぎて、パートも居ついてくれなくなったし、もう店がつぶれそうなんです。だから値上げします」だろう。「値上げの代わりにちょっとはしっかりした職人を入れるから勘弁してください」というのが比較であって、「受けたサービスの質に見合う負担をしていなかった」ことが最大の問題点であることを介護のみならず、医療でもそうなっていることを分かってほしいものです。

投稿: | 2009年4月24日 (金) 18時55分

個人的にこういう記事って笑えるので決して嫌いではないです(苦笑)。
嫌いではないですが、ネタをネタと(rな人々がまかり間違ってこれを真に受けてしまったりしては困るし、万一にもネタではなくマジで書いているのだとしたら寒いなとは思いますね。
しかし産経はホントにどうなんでしょうか、他紙と別視点の記事などが結構載るのでそれなりに存在価値は認めているんですが、幾ら何でも金をもらってする仕事がこのレベルでは…

投稿: 管理人nobu | 2009年4月27日 (月) 11時16分

サービス業…ねぇ…。

水道トラブル5000円、トイレのトラブル8000円、んでもって、人の命を救うための心臓マッサージが30分2600円…。

風俗の性感マッサージだったら、1時間で数万円とかですよね。(行った事ないですが)

「命よりも大切な物はない」とか言っておきながら、命を救う行為に対する対価があまりにも低いこの国…。

本当に命が大切にされているのでしょうかね…?

投稿: 都筑てんが | 2009年5月 3日 (日) 14時18分

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