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2009年4月20日 (月)

愛育病院関連の話題、さらに続報

先日に続いて愛育病院関連の話題でいくつか興味深い記事が出ていますので、まとめて紹介しておきましょう。
まずは医療問題で積極的な取材を続けている東洋経済の記事から取り上げてみます。

深刻化する周産期医療、愛育病院の指定返上騒動で浮き彫りに (2009年4月16日東洋経済)

 愛育病院は3月下旬、「総合周産期母子医療センター」の指定返上を東京都に申し出た。総合センターは、飛び込みや容体急変などハイリスク出産を24時間365日受け入れるセーフティネット。愛育病院は港区など五つの区を受け持っている。

 皇室とのゆかりが深い愛育病院は、秋篠宮妃紀子さまが出産したことでも知られる。設備の整った名門だが、3月中旬に医師の勤務条件について三田労働基準監督署から是正勧告を受けた。労働基準法に基づく労使協定を結ばず、超過勤務が行われていた。

 実際、メインの夜間勤務が可能な勤務医は5人で、1回16時間の当直勤務をこなすと「超過勤務は月44時間まで」と定める国の基準を上回る。是正勧告に応じるには医師の労働時間を減らす必要があり、総合センターの態勢が確保できないと判断した。中林正雄院長は「全国の総合センターに対し、月60時間程度の超過勤務を認めるのが現実的」と訴える。都の「周産期医療協議会」のメンバーも務める中林院長の発言力は大きく、今後の周産期医療のあり方を左右する可能性もある。

医師の確保に懸命

 産科医不足は今に始まった問題ではない。中でも総合センターの産科医は激務を強いられる。20代の産科医の5割以上は女性が占めるため、出産などで一時的に夜間勤務ができなくなるケースも多い。

 昨年10月、総合センターの墨東病院(墨田区)で起きた、いわゆる妊婦たらい回しも産科医の大量欠員が原因だった。指定返上の話が出たが、墨東病院がなくなれば都の東部地区は壊滅状態に陥る。地元の要請もあり、何とかセンターを継続している。

 国も対応策として医学部の定員増などで底上げを図るが、産科医不足が今すぐ解消できるわけでもない。このため愛育では「基準を超える超過勤務について待遇を手厚くしている」(中林院長)。当直料の相場は2万円程度だが、3万~6万円を支払ってきた。急増する女性医師に対しても「5年後、10年後を見越して、子育て中の当直を免除する」(中林院長)と医師確保に懸命だ。

 一方で固定給与の都立病院は賃金面での対策が難しい。たとえ柔軟な手当てができても、激務はバーンアウト(燃え尽き症候群)を招く懸念もある。労働基準の見直しは両刃の剣になりかねない。

 都は愛育に対し、総合センター継続を要請している。4月上旬の協議会で超過勤務の見直しが示されれば、愛育も継続を検討する方針だ。周産期医療の要である愛育の“返上”問題は、深刻化する医師不足を改めて浮き彫りにする格好となった。

労基署を初め関係省庁の思惑は未だにややはっきりしないところもありますが、「あの愛育が」という点では一罰百戒的な効果があったことだけは間違いはないようですね。
後は物理的に対応困難と開き直る気配を見せている一部病院が今後どのような対応策を打ち出してくるかに関心が集まりますが、下手をすると施設間での産科医待遇格差拡大がさらに進行し医師の大量移籍を招く可能性もあるのではないでしょうか。

さて、前回も取り上げました一連の経緯の裏側につきまして、なかなか興味深い「ロハス・メディカル」さんの記事を紹介いたします。

なぜ愛育病院は「総合周産期母子医療センター」返上を申し出たか(上)(2009年4月9日ロハス・メディカル)

 3月末にメディアを賑わせた恩賜財団母子愛育会・愛育病院(東京都港区・中林正雄院長)の「総合周産期母子医療センター」指定返上騒ぎ。労働基準法違反に対する労基署の是正勧告に端を発しているとは言え、唐突さに驚きを隠せない医療関係者がほとんどだった。だが取材を進めてみると、単なる偶発の騒ぎでは済まされない事情が見え隠れする。(熊田梨恵)

現場へ届かない補助金

 事の発端は、愛育病院が今年1月20日、所管の三田労働基準監督署から医師の時間外労働について36協定を結んでいなかったなど労働基準法違反に対する是正勧告を受けたことだ。他病院に比べて労働条件に恵まれた同病院が是正勧告を受けたことで、周産期医療界に動揺が走った。

 しかしこれ自体は特筆すべきものではなかったとの説がある。関東圏の労働基準監督署の職員は「病院が労働基準法違反の状態であるなんて周知のこと。いますぐそれが改善されないということはこちらも分かっているが、見逃しているわけにはいかない。だから、あくまで『指導』という形で、『今後の改善を求める』という意味をもって立ち入り調査をし、是正勧告をする。今まではなんとなくそうして『大人の解決』を図ることですんでいたので、今回愛育病院がこんなに騒がれているのがよく分からない。『総合』の指定返上が絡んでいるからかもしれないし、愛育病院への是正勧告の情報が外部に漏れたということ自体、何かの思惑あってのことかもしれない」と話す。

 現に、3月13日には東京都渋谷区の日本赤十字社医療センター(幕内雅敏院長)も、36協定を締結していなかったことや時間外労働時間に対する割増賃金を払っていなかったことなどを理由に、労働基準法違反で是正勧告を受けている。こちらは東京都が3月末に鳴り物入りで始めた、救命処置が必要な重症な妊婦を受け入れる「スーパー総合周産期センター」の1つ。もっと大騒ぎになってもおかしくなかったが、指定返上の動きなどは起きていない。
(略)
 医師や看護師の労働問題に詳しい松丸正弁護士(過労死弁護団全国連絡会議代表幹事)は、「日本の医療現場は、医療と医療従事者のどちらが先に壊れてしまうか、というほどの矛盾をはらんでいる状態」と指摘する。

 このため、違法状態には目をつぶって少しずつ労働条件を改善していこうという取り組みが一般的だ。日本産科婦人科学会産婦人科医療提供体制検討委員会の海野信也委員長は、「まずは実態を把握することが大事で、学会では産婦人科勤務医の在院時間調査などを行ってきた。目指す待遇改善も分ってきたところだったので、勤務管理を考える段階に移ろうとしていたところ」と話す。同学会は昨年秋に、産婦人科勤務医の在院時間調査を舛添要一厚生労働相に提出するなど、周産期医療行政の質の向上とともに、労働環境の改善も求めていた。また、同学会や、日本産婦人科医会産婦人科医は、勤務医の労働環境の改善をするため、労働環境についての調査を行い、会員内で情報を共有することで改善しようとするなどの努力も行ってきた。

 だから労基署の方も、予定調和的に是正勧告したとの声があるのは先ほど紹介した通りだ。だが、愛育病院は「大人の解決」を選ばなかった。

 愛育病院が是正勧告を受けた内容は、▽医師の時間外労働について36協定が締結されていなかった▽職員の時間外労働と休日労働が法定基準を超えていた▽時間外勤務の割増賃金の未払い―の3点。

 これを受けて同病院は、「労働基準法を遵守すると、常勤医がすべての当直に加わることができず、非常勤医2人で当直することもあるため、総合周産期母子医療センターの体制としてどうか」(中林院長)と考えたことなどを理由として、3月24日に東京都に対して総合周産期母子医療センターの指定返上を打診。あわてた東京都や厚生労働省が病院側と協議した。

 このとき、厚労省の外口崇医政局長が中林院長に対し、職員代表との合意の上で時間外労働に関する「特別な定め」について労基署と相談してはどうかと助言した。中林院長は、「労使協定の特別条項を使ってクリアしたらどうかというアドバイスをいただいたが、時間外労働が100時間とかになるとそれでは『ザル法』。80時間では過労死ラインといわれる。米国では60時間ぐらいなら容認しようという考えもあるので、それぐらいなら何とかなるのでは」と話す。

 愛育病院の産婦人科で4月の勤務に組まれたのは12人。中林院長によると、このうち、4人の女性医師が妊娠中や子育て中で当直ができないという。また、部長クラスになるとオンコール体制となるため、実際に当直ができるのは6人。労基署の指導に従って当直表を組むと非常勤2人の体制になる日が10日ほどあった。中林院長は、「総合」センターを続けることについて「東京都は2人の医師がそろっていればいいと言う。周産期医療協議会の岡井崇会長が皆さんと相談し、『愛育にお願いしよう』と言っていただけるなら、続けてやっていける」と、中林院長は総合の指定を続けることには前向きな意向だ。

 何が何だかよく分からない話だが、「愛育が『総合』を続けることには何のメリットもない。むしろ返上したくて仕方なかっただけ」と指摘する同病院関係者もいる。中林院長によると、「総合」指定を受けていることによる補助金は年間約3000万円で、2007年度の分娩件数は約1750件。「現状の体制で許されているならば、(総合の指定が)あった方がいい。ただ、いざとなれば日赤医療センターもあるので、『絶対に』というわけではないと思っていた。法律違反をしている病院という後ろ指を指されたくないし、『総合』を降りたとしても、コーディネータとしての機能などこの地区で起きたことについては引き受け、同じ役割を果たしていくつもり」(中林院長)。

現状の体制で許されないとなれば、補助金を帳消しにするほどの人件費増が見込まれる。しかも、過重労働は産科だけの問題ではない。新生児科も同様に厳しい状況だ。4月には常勤が2人減って5人体制となり、1人の新生児科医が月に7回の当直をこなさないといけない状況になる。非常勤医もいない状態だという。中林院長も新生児科については「特例条項が80時間ぐらいになっても仕方がないと思う」と話す。これまでの残業時間も、産科よりも新生児科の方が長いという。

 「愛育は産科と小児科しかないから、補助金が要らないなんて思い切ったことが言える」との声も産科医の間から聞こえる。「総合病院では、補助金をアテにして予算が組まれている。他科にも影響が出ることになって、簡単に返上なんてできない。本当に厳しいのは日赤だ」

 日赤医療センターは、東京都の「スーパー総合周産期センター」になって年間5千万円ほどの補助金が約束されている。同センターの産科医は24人。ただ、これには当直を経験したことがない初期研修医も含まれており、同センター関係者は「3人当直なのに、当直できるのは18人ぐらいしかいない。今年度中には3人が退職し、転科する医師もいる。代わりの医師も来るが、当直ができない医師もいるため、実質的に戦力は落ちる」と内情を明かす。加えて、同センターは新生児科にも医師の欠員が1人出ており、現在もホームページ上に募集案内が出ている。「労働基準法を遵守するような体制を保っていられるとは、とても思えない」。同センターに勤務する医師たちには、補助金や是正勧告が自分たちの労働環境改善にはつながらないことに、動揺とあきらめとが入り混じる。

 現在までのところ、日赤医療センターは「大人の解決」を選び、愛育病院も予定調和の世界に戻って事態は沈静化したように見える。しかし今回の問題はこれでは終わらない、本番はこれからだ、との指摘がある。今まで医療界が所与の条件と捉えてきた厚労行政の在り方に大きな地殻変動が生じており、これまでの常識が通用しなくなるというのだ。

なぜ愛育病院は「総合周産期母子医療センター」返上を申し出たか(下)(2009年4月10日ロハス・メディカル)

 「ここ2年ほどで、病院が労基署から是正勧告を受けることが増えてきたと感じる」と話すのは、医師の労働環境の問題などに詳しい、札幌市在住の小児科医の江原朗氏だ。「07年には11か所の国立病院が是正勧告を受けており、このころから大学病院など一定規模の病院に対する是正勧告が増えてきた。また、以前は医師の労働環境についての国会質問は野党側からがほとんどだったが、ここ2年ほどは与党側からの質問が多い。これまで医療界が"聖域"と見なされていた風潮が、あくまで数ある業界の中の一つとして、業種間のバランスを持って捉えられるようになってきているのでは」

 2008年からマスメディアに報道されただけでも、山梨県立中央病院や東北大病院、長崎大病院などで残業代の未払いの問題などがあった。今年1月 22日には、北九州市立医療センターもいわゆる「名ばかり管理職」の医師への残業代の不払い分について、過去2年間分の支払いを求められるなどの是正勧告を受けていた。札幌医大病院では医師の時間外の割増賃金が正当に払われていない疑いがあるとして医師の勤務実態に関する内部調査を開始するという。極め付けは、つい10日ほど前に共同通信に報道された滋賀県立成人病センターの事例。大津労働基準監督署が、医師の残業代に一部未払いの疑いがあるとして、同センターを運営する県病院事業庁と幹部らを書類送検していた。ついに刑事司法まで巻き込む事態になっている。

 相次いで起きているかのように見える病院への立ち入り調査や是正勧告。これらの労基署の動きについて、「本省から強い指導があったからだろう」と旧労働省側の厚労省職員は見る

 この場合の「本省」とは、当然のことながら病院を所管する旧厚生省系の部局ではなく、旧労働省系部局だ。縦割りを維持し、互いの領域には口を出さないで来たはずの両者の間に何があったのか。

 旧厚生省と旧労働省が2001年に厚生労働省として合併後、キャリア事務官のトップとなる「事務次官」には、旧厚生系出身の近藤純五郎氏が初代事務次官となったのを皮切りに、厚生系と労働系が交互に就いていた。しかし旧厚生系の辻哲夫氏が早々と退任した07年8月、当時問題となっていた年金記録問題の解決を図るためとして、旧厚生省出身で元内閣府事務次官の江利川毅氏が就任して、このたすき掛けが崩れた。しかもショートリリーフと見られた江利川氏が、政局の不安定さゆえにズルズルと留任し、労働側から見ると長くトップの座を奪われた格好だ。

 サブプライムローン以来の米国発不況で、非正規雇用者をめぐる問題が注目を集めるなど、近年にないくらい労働行政の重要さがクローズアップされている。この状況下、年末の日比谷公園で日雇い労働者が年越しをする「日雇い派遣村」の際の労働系官僚の対応は迅速で、「労働系の株はうなぎ登り」(国会議員)という。対して、旧厚生系部局は、年金や薬害、医療崩壊で失策を重ねた。これにより力関係が逆転したと見る向きもある。しかも、そろそろ次官人事が行われるとの見方も強く、次の事務次官には、順当に行けば旧労働系幹部が就くとみられる。

 関東圏の労働基準監督署の職員も「去年ぐらいから、本省側が活気づいているように思う」と話す。舛添厚生労働相が「厚生労働省は大きすぎる」と3 月初旬に示した、年金省・厚生省・労働省に分割するという省庁再編案についても、「元の形に戻るだけになるので、労働側には歓迎されていた」と、別の厚労省の職員は明かす。

 ここで愛育病院の問題に話を戻せば、恩賜財団母子愛育会・愛育病院理事長の古川貞二郎氏は厚生事務次官や厚生省顧問などの後、全官僚のトップである元内閣官房副長官を務めた。古川氏の意向を無視して愛育病院が指定返上を申し出るとは考えられないし、官僚の世界を知り尽くした古川理事長が、何の思惑もなくそれを許すと見るのはお人好し過ぎるだろう。古川理事長は言う。「労働者を守るという労働基準法の精神を尊重した上で、医療者の勤務実態を把握して医療者を保護できるよう、労働基準法を勤務実態に合わせていくことを早急に検討していくべき。また、産科などの医師確保や助産師の活用も含めて医療供給の在り方を是正し、確保していくことも、早急な課題だ」

 もちろん、このような霞ヶ関の力学だけで、すべてが説明できるわけではない。

 日本医師会で勤務医の労働環境改善のためのプロジェクトを担当している今村聡常任理事は、「確かに今の医師不足の中で杓子定規に労基法を当てはめられないというのは、その通りだがこの状況が続いたことで現場にしわ寄せが来て、中原先生のようなことが起こったのではないかと思う。個人的には、勤務医の過重労働等の労働環境の改善は喫緊の重要課題という認識の下、労基法からのアプローチもやむを得ないという考え方もある」と話す。

 それでなくても、病院が労働行政指導の対象になりやすい構造転換が進んでいる

 2004年4月に大学病院が独立行政法人化し、人事院規則に代わって労働安全衛生法の適用を受けるようになった。このため、大学病院も労働基準監督署の指導対象になり、労基法に違反するとみられる場合には、是正勧告や使用停止命令、罰則の適用もありうる状況となった。「法令違反があれば淡々と業務をこなしていくのが労働基準監督署の職員だから、もともと労働基準法など存在しなかったような医療現場に対してこうした立ち入り調査が行われ、是正勧告がされていくのが必然」と、厚生労働省の職員は話す。

 2010年度に独法化を控える国立がんセンター中央病院の土屋了介院長も、「センターの常勤医師は超過勤務手当をほとんどもらっていない。独法化すれば、労基署から責め立てられることになるだろう」と懸念を示す。

 時代の流れとして労働基準法が遵守されてない状況の医療現場に対する是正勧告が相次いでいるのだとしても、次官人事などを見込んだ上で旧労働省側の「活気」がなせるものなのだとしても、今回の騒動は医療現場の深刻さを改めて示しただけで、問題はまだ何も解決していない。

 勤務医の立場から医療崩壊の打開を訴えている済生会栗橋病院の本田宏副院長は、「庶民的な感覚からすると、厚生省と労働省が合併すれば、両方が連携して勤務医の労働環境は改善されると思った。だが、医政局と労働基準局とでは動きが全然違って縦割りだということが分かり、甘かったと思った。ただ旧厚生側も財務省から色々と言われるのは分かるが、医療費抑制政策を見直すなど何らかのアクションを起こしていかなければ、是正勧告が入っていく状況の中で医療を守ることを打ち出せないのではないか。今回の是正勧告がいい方向に行くことを期待したい」と話す。

 病院医療の質や機能について第三者評価を行い、医療安全に関する研修なども行っている日本医療機能評価機構の河北博文専務理事も、「今まで黙認してきた人たちが、法律があるからと言って、法通りに執行しようというのが間違っている。できないなら現実にどうすればできるのか、順番を間違えないように、時間をかけていつまでにやるかを一緒に考えていこうと言いたい。勤務シフトや医療安全を考えれば医師の数は必要。行政にはきちんと考えて動いてもらいたい」と主張する。

 しかし、厚労相周辺は「医政に携わる職員も、労働に携わる職員もそれぞれの職務にのっとったことを淡々とこなすという官僚の動きにのっとったもの。トータルで見たら医療の現実に即していない動きになっている。本来はこうした時に官房など、大臣筋から調整していくしかないが、いまは全く機能していない」と語る。

要するに、こういうことでしょうか。

1)愛育病院側にとってはセンター指定返上は痛くも痒くもなく、むしろ望むところである
2)厚労省省内力学や次期次官人事等も絡んで、旧労働系の動きが活発化している
3)愛育病院上層部には旧厚労省官僚が入っていることから「無知故の行動」ということは考えにくい(何らかの計算が働いている)

それに付け加えるならもう一つ、こんなことも見え隠れしていそうです。

4)法を改めてでも医師の違法労働を合法化し継続させよという声はあっても、誰も医師の労働環境を改善しようなどというつもりはない

これも個別の病院の問題として捉えるならば、愛育にしろ日赤にしろそれできちんと医者が集まってきて病院の運営が支障なく出来るというのであれば、厳密な法的解釈がどうあれそれでいいのではないかなという気もしないでもありません。
いくら労基署がやる気満々だろうが全ての労働者に対して目を向けることが出来ない以上、当事者である現場医師が現在の労働条件に納得して受け入れているというのであれば他に幾らでも助けを求めている業界がある現状でそちらを優先するのは当然ですしね。
ただ今現在こうした状況で医療業界の労働環境というものに社会的関心も所轄省庁の目も向いているわけですから、もし医療従事者に自らの労働環境を改善しようという積極的な意思があるというのであれば千載一遇の好機であるという言い方は出来るかなとは思います。
しかし社会の方で手を差し伸べてきている中で、当事者がそれに乗る権利を自ら放擲するということになれば、自助努力の欠如と見放されても仕方がないかなとも思いますがどうなんでしょうね。

医療業界の労働環境が過酷だ過酷だと最近一般メディアでも取り上げられるようにはなりましたが、面白いのは管理者側の立場である(本物の)管理職スタッフはもとより、現場で泥にまみれてはいずり回っている医師達までもが「法が実態に即していない」なんてことを当たり前の顔で口走ってみたりする。
例えばこれが他業界の話だと考えてみると、たとえばトヨタの製造ラインで働いている一労働者がインタビューに答えて、

「我々は常時過労死ラインの超勤80時間越えが続いているが、プリウスのバックオーダーが半年も貯まっている状況で休むわけにはいかない。法律が現場の実態を反映していないのが問題だ」

なんてことを喋っていたりしたら、正直「はあ?何いってんだこいつ?」なんてことを感じませんか?
それ以前に末端がそんな上層部の公式見解そのままをオウム返ししてくるような職場なんてキモチワルイ、まるで某独裁国家で誰に尋ねても「我々国民の意思は常に将軍様と同じです」と胸を張って答えられているような気持ち悪さを感じないでしょうか?

一昔前にもちょっとした騒ぎを起こした団体の人たちが何をきいてもそういう「公式見解」ばかりを繰り返すというので話題になって、世間ではそういうのを「洗脳」だとか「マインドコントロール」だとか呼んでいたことが思い出されます。
世間的にはそうしたことは決して肯定的評価の対象にはならないことなんですが、何故か医療業界には今も勘違いして妙な塩梅に決意を固めている方々も大勢いらっしゃるようで、そのあたりも(悪い意味での)業界の閉鎖性、特殊性といったことなのかなという気がしないでもありません。
こういうことは知識とか知能とかいったものとはまた別問題で嵌る人はあっさり嵌るとも聞きますが、そういえばあの団体にも元医師なんて方々が幹部にいらっしゃったですよね…

競走馬のように視野を狭めて一心不乱に突っ走ることももちろん大事なことではあるのでしょうが、時には立ち止まって自分の立ち位置を振り返り、間違った方向に疾走していないか顧みるのも同じくらい大事なことなんじゃないかなと思います。
今回の件をどう受け止めどういった行動に出るかで、普段は見えにくい医療業界内部の「意識:と言うものがいくらか外からも判るようになるんじゃないですかね。

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コメント

医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決
ttp://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20090422-567-OYT1T00722.html

当然総合周産期センターたる病院なら「時間外労働」としての割増賃金を支払ってますよね?ね?ね?

投稿: REX | 2009年4月22日 (水) 19時23分

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