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2009年4月27日 (月)

消防法改正が成立(追記あり)

海の向こうではいよいよ新型インフルエンザが猛威をふるい始めたと言う話で大騒ぎになっていますが、こうなると国内でも早晩同様の事態が発生することを想定しておかなければならないでしょうね。
そうなると救急医療体制というものにも関心が向くわけですが、ちょうどタイミングが良いのかどうなのか、以前にも少しばかり書きました消防法の改正がとうとう成立したとのことです。

搬送先確保を義務づけ 法改正(2009年4月24日NHKオンライン)

 救急患者が医療機関から受け入れを断られるケースが相次いでいることを受けて、患者の容態に応じた搬送先の候補を地域ごとに決めておくことなどを義務づけた改正消防法が、24日の参議院本会議で可決・成立しました。
 これまでの消防法では患者の搬送や受け入れの方法が定められておらず、救急患者が受け入れを断られるケースが相次いでいる問題を受けて、搬送時のルール作りの必要性が指摘されていました。こうしたルール作りを都道府県ごとに義務づけた改正消防法が、24日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。具体的には、各都道府県に消防や医療関係者などからなる協議会を設け、患者の容体や地域の医療機関の数に応じて搬送先の候補をあらかじめ決めておき、公表することが義務づけられます。すぐに搬送先が決まらない場合でも、必ず患者を受け入れる医療機関を決めておいたり、搬送先を調整する専門のコーディネーターを配置したりすることも求めています。
 この法律は年内に施行される予定で、総務省消防庁はガイドラインを示すなどしてルール作りを支援することにしています。
 今回の改正について、救急医療に詳しい杏林大学医学部の島崎修次教授は「搬送や受け入れに関するルールを法的な枠組みの中できちんと決めることになり、大きな意義があると思う。受け入れ拒否などの問題の解消につながると期待している」と話しています。

こういうものをどう捉えるべきかですが、特に「必ず患者を受け入れる医療機関」に指定されてしまった施設の先生方がどう考えるかですよね。
これを受けて各地で一気に救急指定病院返上だの指定先医療機関からの医師逃散だのという動きが出てくると面白いかも知れませんが、この話題自体が意外なほど扱いが小さくてあるいは何も知らないという先生方も多いのかも知れません。

ところでこれもタイミングが良いのか知りませんが、かの有名な「加古川心筋梗塞事件」に絡めて兵庫医療問題研究会なる団体が唐突にこんな声明を出してきています。
この団体、どうも「医療問題弁護団」に参加している組織のようなのですが、今ごろになって唐突にこういう話が出ているのは果たして意図的なものなのかどうか、上記の記事との絡みとも併せていささか解釈に迷うところではありますが…

ネット上で判決批判 加古川市民病院、医療過誤敗訴(2009年4月25日神戸新聞)

 兵庫県内の弁護士でつくる兵庫医療問題研究会は二十四日、二〇〇七年四月にあった医療過誤訴訟の神戸地裁判決をめぐり、「インターネットのブログ上に、医師を名乗る匿名の利用者らから誤った書き込みが相次いでいる」として、公正な議論を求める声明を出した。

 同研究会によると、この訴訟は、加古川市民病院(加古川市)が、心筋梗塞(こうそく)の救急患者に適切な対応をせずに死亡させたとして、遺族が損害賠償を求め、病院側の転送義務が争点になった。

 判決は医師の過失を認め、「早期に転送すれば救命可能性があった」とし、病院側が敗訴した。ところがその後、複数のブログでこの判決に対する批判が噴出。「転送要請をほかの病院に断られているうちに、容体が悪化した」など裁判所の認定と違う内容や、原告を中傷する書き込みが相次いだという。

 声明では「裏付けもせず、非難中傷を発信することは、患者家族の名誉を侵害する」と指摘。同会代表の泉公一弁護士は「医療側と患者側の対立は、医療の安全に向けての議論を妨げる」と、冷静な対応を呼びかけた。

まあこの件に関しては裁判所の認定自体がどうなのかという声も多々あるわけですが…

いずれにしても救急医療の需要と供給のバランスは全く崩壊し、現場の状況が極めて逼迫していることは事実ですので、早急に何らかの対策を講じないことにはどうしようもないというのは確かでしょう。
しかしその対策なるものが現場にもう少し頑張ってもらおうなどという供給側への対策に偏ったものであるならば、長期的に見て結局今以上の救急医療の崩壊を招くことになるんじゃないかと多くの人々が危惧しているところです。
その意味では最近ようやく需要側に対する対策というものが取られ始めているのは良い傾向で、各地で救急受診の抑制策や患者誘導策が相次いで打ち出されてきていることは歓迎すべきことなんじゃないかとは思いますね。
しかし問題はそれらの対策が必ずしもうまくいっていない場合もあるということなんですよね。

救急車呼ぶ前電話相談 奈良県や大阪市、センター設置へ(2009年4月24日朝日新聞)

 救急搬送の受け入れを病院が断るケースが頻発する中、奈良県や大阪市、仙台市が今秋、救急車を呼ぶかどうかについて医師や看護師に相談できる「救急安心センター」を設置する方針を決めた。入院や手術が必要な患者に対応する2次救急病院に殺到している軽症患者を診療所などに振り分け、2次救急病院の満床状態を解消するのが狙い。

 同センターは、東京都の救急搬送体制をモデルに、消防庁が呼びかけ、今年度から一部地域での導入を目指していた。事業費は国が負担し、今秋からの半年間で3県市計3億8千万円。

 救急搬送をめぐっては、「ベッドが満床」などの理由で受け入れを拒否するケースが全国的に相次いでいる。特に奈良県では今年3月、意識を失った62歳の男性が6病院に受け入れを断られ、その後死亡。06年には意識不明になった妊婦が19病院に断られ、その後亡くなった。07年にも未受診の妊婦が11病院に断られて、死産するなどの深刻なケースが相次いだ。

 県は同センターに看護師2人、医師と消防関係者、事務員各1人の計5人の配置を検討。病院側の人員が少なく受け入れが困難になる休日夜間に専用ダイヤルを設ける。医師らが軽症と判断すれば、近くの休日夜間診療所などを紹介するという。県幹部は「救急車が必要な患者を搬送前に判断することで、病院側の負担を減らし、搬送不能事案をなくしたい」と話す。

 大阪市も複数の医師や看護師が交代しながら、24時間態勢で対応する方針。携帯電話に転送し、医師がどこにいても相談できる枠組みづくりも検討している。

「勤労者外来」利用伸びず 広島の舟入病院(2009年4月18日中国新聞)

 ▽軽症患者、二次救急に 現状解消へPR強化

 仕事などで通院できない内科の患者を夜間に診る広島市立舟入病院(中区)の「勤労者外来」の利用が伸び悩んでいる。二〇〇八年度の利用率は五割台に低迷。患者の集中を避けるため、積極的にPRしてこなかったのが原因だ。本来は重症患者向けの二次救急病院に軽症患者が駆け込む現状の解消へ向け、市は一転ポスター掲示などの周知活動を始めた。

 「勤労者外来」は平日午後六時から三時間開く。内科医師二人が、成人の患者を最大三十人診察できる。インフルエンザが流行した今年一月は利用が目立ったが、〇八年度を通した一日平均の患者数は17・4人。利用率は57・9%だった。

 〇七年度の18・8人、62・7%からは一割近く減少。山木戸英人副院長は「患者が集まりすぎると対応しきれないため、積極的にPRしていなかった」と利用低迷の原因を説明する。

 一方、市内では手術や入院が必要な重症患者を夜間に診る輪番制の二次救急病院を訪れる軽症患者が増えている。〇七年度に二次救急病院が受け入れた内科患者のうち軽症患者は92・7%に上った。軽症患者の診療に追われて医師が疲弊し、輪番制から脱退したり、参加頻度を減らしたりする病院が相次ぐ危機的状況に陥っている。

 二次救急病院の負担軽減へ向け、広島市医師会は三月、千田町夜間急病センター(中区)を開設。内科と眼科の軽症患者の診療を始めた。

 受け皿が急病センターと勤労者外来の二つになったことで、市は「軽症患者が集中する恐れがなくなった」と判断。勤労者外来を含む、夜間や休日に診療する医療機関を紹介するポスターを、市民病院など四医療機関に張り出し始めた。

 今後は案内する冊子の製作も検討。市保健医療課は「急病センターとの相乗効果で認知度を上げ、二次救急病院の負担を減らしたい」としている。

休日夜間応急診療所:土曜の日中診療者数、周知不足で想定の4割--奈良 /奈良(2009年4月18日毎日新聞)

 ◇ようやく、実現したのに……市議会混乱で広報見送り 市が慌てて動き出す

 救急医療に対応するため、奈良市二条大路南の市立休日夜間応急診療所が今月から始めた土曜の日中診療の利用者数が、周知不足で想定の約4割にとどまっていることがわかった。3月定例市議会で市長選(今年7月)不出馬を表明した藤原昭市長に議会側が反発。一時、今年度予算案を否決する構えを見せたため、ぎりぎりまで広報できなかったという。低迷が続けば運営が危ぶまれる可能性もあり、市は慌てて広報に乗り出した。【泉谷由梨子】

 同診療所は、休日・夜間に軽症患者に対応できる民間診療所が市内にないことから設置され、内科と小児科の開業医が交代で詰めている。夜間は無休、日中はこれまで日祝日と年末年始だけで、年間利用者数(07年度)は夜間が3924人、休日は2748人に上る。

 空白だった土曜の日中も開けるよう、市が07年度から市医師会と交渉。「小児科医の確保が難しい」などの理由で約1年かかったが、ようやく実現にこぎつけ、今年度予算案に土曜日中診療の運営費約2000万円を盛り込んだ。

 ところが、藤原市長の不出馬表明などによる市議会の混乱を受け、4月1日発行の市広報誌などへの掲載が見送られた。この影響で、初回の4日の利用者はわずか4人、2回目の11日は13人と、休日の平均利用者数の約40人を大幅に下回った。

 運営費約2000万円のうち1200万円を診療報酬などでまかなう予定で、利用者が少なければ来年度以降、運営が続けられなくなる可能性もある。市は「5月号の広報などで周知を図りたい」としている。

正直記事を見る限りでは、行政当局に本当にやる気があるのかと首をかしげざるを得ないような事例もあるようですが、彼らにはあまり危機感や当事者意識といったものはないのかなとも感じるところです。
そもそも救急医療とは何ぞやとか、適正な受診とはどういったものかといった広報すら満足に行われていないことも問題ですが、何かしらそれ以前の問題としてあまりに要領の悪い話であるように見受けられますよね。
多くの自治体が自前の公立病院の巨額赤字にあっぷあっぷしていることからも判るように、今や医療問題と言うものが地方行政における大きなテーマとして浮上してきていることは先の銚子出直し市長選の件でも明らかなわけですから、自治体関係者こそまず医療に対する認識を改めていただきたいところです。

一方で最近の救急医療行政などを見ていて自分などが感じるのは、上記の消防法改正の話題もそうですが某首都圏の名物知事などに見られるように「何でも受け入れる米国型ER式の施設さえあれば全ては解決する」といった妙な幻想が一部で広まっているんじゃないかということです。
確かにアメリカの医療体制は一面で日本にない良さがあることも事実ですが、では総合的に見て日本より遙かに優れているのかと言えばそんなことがあるならヒラリーらがああまで大騒ぎするはずがありませんよね。
混合診療導入の議論におけるオリックスあたりの口ぶりにも感じるところですが、アメリカを見ならえと言うなら皆保険制度で甘やかされた日本人にはちょっと想像のつかないようなその暗黒面もちゃんと知らせておかないとフェアではないでしょう。
ひと頃病院が長期入院患者を公園に捨ててきたなどと大騒ぎになったことがありましたが、そのレベルで大騒ぎしていられる日本はなんて幸せな国なんだと思わなければならないのかも知れません。

米国・ワシントン 患者たちの向かう先は…(2009年04月24日西日本新聞)

 診療所に電話して、医師の診察を受けるまでにかかる日数、25日。20日付のワシントン・ポスト紙によると、米東南部ノースカロライナ州の一部地域では、にわかには信じ難いこんな状況が続いているという。

 昨秋の金融危機は経済の「血液」ともいえるカネの循環を滞らせ、多くの企業が倒産。高額の医療費が必要な一般の病院へは足が遠のき、職をなくした人々は非営利団体が運営する診療所に詰め掛ける。やがて患者数が減った一般病院も経営が成り立たなくなり閉鎖。患者たちの向かう先はおのずと診療所に集中し、「25日」という悲劇的な数字を生み出した。

 ごく一部の高齢者を除き、米国には公的な医療保険制度がない。一般市民は勤め先と応分の負担をするか、もしくは自ら民間の保険会社と契約して保険料を払うが、仕事を失えば…。ノースカロライナだけでなく、全米各地で同じ光景が広がっているのは確かだろう。

 「虫歯1本の治療費が2000ドル(約20万円)」「エックス線検査700ドル(約7万円)」など、高額医療費を嘆く米国人は数限りない。米国人の5人に1人は無保険者。金融危機のドミノ倒しはいつ終わるのだろうか。

医療崩壊の根本原因は医療費抑制(下)日本も見習う?弱者切り捨ての米病院会社(2008年11月21日JANJAN)

 日米は同じ「小さな政府」だが、医療費を比較すると上のようになる。米国は1人当たりにかかる税負担が日本の3.5倍。それなのに、わが国では「公的負担は限界に達した」と言われる。国家予算からの支出は米国が25%なのに対し、日本は10%にすぎない。

 米国で民間医療保険が高いのは(1)運営の効率が悪いことと(2)「サクランボ摘み」、つまり、いいとこ取りの弊害からである。

 (1)について、米国にメディカル・ロス(医療損失)という概念がある。徴収した保険料のうち、医療に使う支出の割合を示したもので、「民」の81に対して「公」は98となっている。営利の保険会社は85を超えると、ウォールストリートで「あの会社は経営が下手だ」と株価が下がる。今、日本では「公」を減らして「民」を増やすと言っている。

 (2)について、米国の保険会社は儲けを多くするため、病人を保険に入れない。自営業者の保険料が高く設定してあるのもそのためである。反対に大企業で働く人の保険料は安い。健康な人が多く、大口の顧客を獲得できるからである。そのため、公的保険に有病者が集中して加入者の負担が増すという悪循環に陥っている。

 テネシー州では入院日数を年間20日までとしたり、受診回数を10日までと制限を設けることが常態化している。ユタ州ではさらに、救急外来や専門医受診、入院医療を保険から外す動きが起きている。サービスカットされたこの新しいメディケイドは医療保険などと言えず、事実上の無保険者化である。そのことが民間保険への需要を高め、毎年2、3割も値上げすることにつながっている。社会に公の保険が1つだけなら、こうした悲劇は起こらない。

 わたしは昨年5月、米国の病院で患者として手術を受け、8日間入院した。病院から室料を含め5万229ドル、日本円でおよそ500万円の請求があった。医師たちからのおよそ5,100ドルと合わせおよそ5万5,000ドルだったが、保険に入っていたため約9,000ドルすなわち約90万円ですんだ。もし保険に入っていなかったら、この値引きは受けられない。しかも逆進性があり、貧しい人ほど高い。

 こうした欠陥ある医療制度は、借金地獄の温床になっている。無保険者が入院して多額の借金を残すと、一定期間後にプロによる債務の取り立てが始まる。患者の持ち家に抵当権を設定し、裁判所や弁護士の費用も債務に加算する。債務者は一度呼び出しを無視すれば、逮捕状を請求される。警察による肉体差し押さえだ。医療費負債による個人破産は原因の第2位に上昇している。名門イエール大学で過酷な取り立てが問題になった後、コネチカット州では医療費負債の利子を年5%に制限した。

日本の皆保険制度というものがうまく働いてきたこと自体が奇跡のように言われますが、関係者の頑張りはもとよりこの制度は利用者それぞれの辛抱や我慢もなしでは成立しない制度です。

「サービス業なんだから顧客の言う通りにやって当然」という態度では、結局何もかも失ってしまうことになりかねないということを患者が理解して、限りある公共資源としての医療を守り少しでも長く利用できるように自省していく必要があるんじゃないかと思いますね。

(追記)

何ともタイミング良くこういうニュースが出ていますが、これでますます消防法改正の意義があったということになりそうですよねえ…

救急搬送拒否で重篤、消防組合に1億4千万円支払い命令(2009年4月27日読売新聞)

 奈良県警橿原署の駐車場から救急搬送されずに意識不明に陥った同県大淀町内の男性(44)とその両親が、重篤になったのは中和広域消防組合が搬送義務を怠ったのが理由として、治療費や慰謝料など計約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、奈良地裁であった。

 坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「すぐに救急搬送していれば、重篤にならなかった可能性が高い」と、同組合に計約1億4000万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2006年11月15日未明、同署駐車場で顔から血を流し、酔った状態で同署員に保護された。

 通報で駆けつけた中和広域消防組合の救急隊員は、意識障害などの症状から医療機関に搬送すべきだったのに、家族らに対し「搬送先がない」などと説明して拒否した。男性は脳挫傷などで、現在も意識が戻っていない。

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