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2009年3月21日 (土)

意外に影響範囲が広そうな話

と言うのが最近立て続けに出てきましたので、この際まとめて紹介してみます。
まずは予想通りではあるけれども予定通りであるのかどうなのか微妙という話から。

アルブミン、国内自給に“黄信号”(2009年3月18日CBニュース)

 出血性ショックや重症熱傷、肝硬変に伴う難治性腹水などの治療に必要なアルブミン製剤(遺伝子組み換え製剤を含まない)の国内自給率の伸びが昨年、マイナスに転じた。国はアルブミン製剤を含む血液製剤の国内自給を目標に掲げており、自給率は近年、上昇傾向にあった。厚生労働省では「自給率が低下すると、国内の献血が無駄になる可能性もある」として危機感を強めているが、DPC(入院費の包括払い)を導入する病院が増加し、比較的安価な外国製のアルブミン製剤を選択する病院が増えた可能性も指摘されている。

 厚労省の資料によると、この約25年間、アルブミン製剤の自給率は上昇してきた。2002年には血液法が制定され、「倫理性」や「国際的公平性」などの観点から、国内の献血で得られた血液を原料にして血液製剤を製造する体制の整備を目指す「国内自給の原則」が示された。アルブミン製剤の自給率は02年の時点で36.4%だったが、07年には62.7%にまで上昇。しかし昨年は、前年比2.0ポイント減の60.7%とマイナスに転じた=グラフ=。

自給率低下の要因として指摘されているのが、DPC対象病院の増加だ。厚労省の薬事・食品衛生審議会の血液事業部会で委員を務める久留米大医学部附属病院副院長の佐川公矯氏は、「DPC対象病院が材料費の削減に動き、国内のアルブミン製剤より安価な海外の製剤を選択する状況にあるのではないか」と指摘。同省血液対策課の秋山裕介氏も、「自給率が伸びてきた中にあって、減少に転じるのは近年ない傾向。関係者の間でも『DPCが要因ではないか』との声が上がっている」と語る。

 厚労省によると、アルブミン製剤を供給している国内の事業者は、日赤や日本製薬など4社で、代表的なアルブミン製剤の薬価はそれぞれ、8039円、7421円、7343円、7008円。これに対し、輸入されたアルブミン製剤の薬価は、5782円と5619円で、国内のアルブミン製剤と比べて低い。秋山氏は「実勢価格ではもっと安いということも考えられる」としている。
 一方DPCは、高度な医療を提供する「特定機能病院」など82病院で03年度から導入されて以来、導入する病院が増え続けている。厚労省によると、昨年7月1日の時点でのDPC対象病院数は718病院。09年度には、新たに約570病院が対象となる予定だという。

 秋山氏によると、現段階では、アルブミン製剤の自給率低下とDPC対象病院の増加の関連性を示す明確なデータはない。しかし、「自給率が下がると、国内の献血が無駄になってしまう可能性もある。非常に深刻な問題だ」として、対応策を検討中という。DPC対象病院の増加が自給率の低下にかかわっている可能性も想定しており、「(アルブミン製剤など血しょう分画製剤を)『DPCの対象から外す』ことが、議論に上ることもあり得る」としている。
 佐川氏は「病院で使用する薬剤を決めてしまうと、医師個人で使用する薬剤を選択するのは難しい」と指摘。「厚労省は、国内のアルブミン製剤の使用を病院に呼び掛けるなどの対応をする必要があるのではないか」と話している。

ちなみに御存知とは思いますが、DPCの病院には従来の出来高払いに対してこの疾患には幾らと診断群分類に従って支払いがなされるわけですから、安上がりに治療するほど儲けが大きくなるわけです。
医療に対してコスト削減要求をどんどん厳しくしていっている訳ですから、少しでも安いものをという当たり前の現象が起こっているだけのことだと思いますけどね。

政府厚労省は認可した薬剤ならどれでも効能は同じだから安い方を使いましょうねとジェネリック推進をうたっていると言うのに、アルブミンに限っては医療費を無駄遣いしてでも国産品を使え、その分の損は病院がかぶれと言うのであれば政策としての統一性が問われるところでしょう。
今のところ単なるコメントだけで公式なものではないようですが、この件に関しては今後厚労省が公的に動くのかどうか、動くとすればどういう対策を出してくるのかといったあたりに注目していく必要がありそうです。

厚労省絡みの話題でこれも同じく予想通りの結果ながら、厚労省の思惑外れなのかどうか考えさせられる話題がこちらです。

「主治医制度」利用1割 後期高齢者医療の“柱”揺らぐ(2009年3月18日産経ニュース)

 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の柱「かかりつけ主治医制度」について、対象となる医療機関の約1割でしか、制度が利用されていないことが18日、分かった。患者側の理解が進んでいないことや、診療報酬が安く医療機関が敬遠していることなどが原因。制度に反対して主治医の届け出自体をしていない医療機関も多く、鳴り物入りで導入された「主治医」そのものの見直し論議にも発展しかねない。

 調査は、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)の部会が昨年11月に実施した。患者が「主治医」を利用できるよう社会保険事務局に届け出ている医療機関約9000カ所のうち、3500カ所で行い、1100カ所が回答した(回収率31・4%)。「主治医」に関する公的調査は今回が初めて。

 結果では、主治医制度の診療報酬「後期高齢者診療料」を計上した医療機関は全体の10・5%。都道府県別では利用率が2割を超えたのは千葉(35・7%)、岩手(27・8%)、新潟(24・0%)の3県で、長崎はゼロだった。

 1人の利用もない理由を医療機関に尋ねたところ(複数回答)、患者の制度理解が困難61・6%▽主治医ではない他の医療機関との調整が困難52・7%▽現行の診療報酬(月6000円)ではコストをまかなえない51・9%-などだった。
          ◇

 ■かかりつけ主治医制度 75歳以上の高齢者は、糖尿病や高血圧といった慢性病が多いため、患者が指定する1人の「かかりつけ主治医」が、外来から入院まで一貫して治療にかかわる仕組み。「高齢者担当医制度」が正式名称。窓口自己負担1割の場合、外来では月600円の「後期高齢者診療料」を支払うと、主治医が年間診療計画を作成し、患者は追加料金なしで月内に何度でも検査や処置を受けられる。医師が主治医になるには、高齢者医療に関する研修を受講し、社会保険事務局に届け出なければならない。

この話が面白いのは、こういう報酬システム導入をかろうじて喜びそうなのは医師歴ウン十年という老医が地域のお爺ちゃんお婆ちゃん相手にろくな検査設備も何もなく月一回の投薬だけで細々とやってそうな零細医院くらいなんじゃないかと思える点です。
一方ではそういう老医に対して厚労省は例えばレセプト電子化の強要などでさっさと廃業しろと迫っていたりするわけで、若くてやる気のある医師ほどこんな診療の手足が縛られる上に二階に上がった後でハシゴが外されることが濃厚な制度になど乗ってくるはずがないわけですよ。
こういう一連の記事を見ているとついつい「厚労省って馬○?」と思ってしまうところですが、厚労省を初めとして医療政策に関わる日本政府の誇る知的エリート集団がそんな誰でも判るようなお間抜けなことなどやるはずもありませんから、これは彼らなりの深慮遠謀の一端と見るべきなんだと思いますね。

例えば非効率な公立病院はどんどん潰せと彼らが熱心に活動してきた成果がようやく最近現れてきているところですが、非効率な公立病院の筆頭と言えば何しろ全国各地の国公立大学病院です。
あれだけの数の医師を囲い込んで患者の車椅子をおさせたり処方薬の受け取りに走らせたりと全国の医師不足にあえぐ病院からすると信じられないほどの犯罪的行為を日々続けているわけですから、当然ながら医療の効率化を迫る人々が面白かろうはずがありません。
三重大学長の豊田長康氏が自身のブログで国立大学協会支部会での内輪ネタを暴露して文科省からの附属病院運営費交付金を大幅削減されている、このままでは大学病院が崩壊してしまうぞと「ほんとうにこわ~い話 ~国立大学病院の経営問題~」なる記事を書かれていますが、これなど従来の医療政策からすればどうしたって既定の路線としか見えない話です。
あからさまな釣りとも言うべき目先の利益に釣られて袋小路に追い込まれてしまってからでは後戻り出来ないのは当然ですから、まずは政府方針の大元をきっちり把握した上で将来を見越した対応を取っていかなければ、今の時代の医療機関は生き残ることは困難だと言うことでしょうか。

さて、ここからは少し話が変わって訴訟ネタですが、まずは医療訴訟ではないものの何やら今後の医療訴訟と関連して来そうな話から紹介します。

横浜・中2死亡事故:会社員に禁固2年8月「注意義務怠った」--地裁判決 /神奈川

◇被告は即日控訴

 横浜市鶴見区で昨年3月、てんかん発作で運転中に意識を失い2人を死傷させたとして自動車運転過失致死傷罪に問われた川崎市幸区の会社員、石井一被告(45)に対し、横浜地裁は18日、禁固2年8月(求刑・禁固4年)を言い渡した。木口信之裁判官は「処方通りに服薬していないのに発作は起きないと軽々しく信じ込み、自損事故の経験もあったのに運転を控えるべき注意義務を怠った。無自覚で安易だ」と非難した。被告側は即日控訴した。

 発作を抑える薬の服用を巡り、弁護側は「事故前夜と当日朝以外は、ほぼ処方通りに服用していた。医師から厳しく指導されていなかった」として、発作による事故は予想できなかったと主張した。

 だが判決は、事故前後の薬の血中濃度が低く、飲み残しが大量にあったことなどから「処方通りに服用しないことを継続していた」と認定。さらに(1)06年11月に発作で自損事故を起こした(2)飲酒や睡眠不足を避けるよう指導されていたのに、事故前夜は深夜まで深酒した--と指摘し「発作で重大な人身事故を起こしかねないと予想できた」と退けた。

 判決によると、石井被告は主治医の服薬指導に従わず、昨年3月9日午前、鶴見区でトラックを運転中、発作を起こして意識を失い、歩道にいた中学2年、伊藤拓也君(当時14歳)をはねて死亡させ、男性会社員にも脳挫傷など1年の重傷を負わせた。

 ◇両親が会見「正しく薬飲めば防げる事故だ」

 「息子は私たちの太陽だった」。拓也君の両親、伊藤真さん(45)、みのりさん(44)は、一人息子の遺影を抱えて判決を聞いた。

 会見した真さんは「被告の主張を否定した判決には納得だが、量刑が軽すぎる。薬を正しく飲んでいれば防げる事故だ。過失と言うより、常習的に薬を飲まないのだから故意犯と思う」と訴えた。みのりさんも「もっと自覚しなさい、との裁判官の言葉を被告が今後どう守るか見届けたい」と話した。

 両親はともに小学校の教諭。体調を崩しながらも昨秋、患者団体の「日本てんかん協会」(東京都新宿区)を訪れ「息子の死が無駄にならないよう、再発防止に努めてほしい」と訴えた。協会が理事会で事件の対応を協議した動きに、真さんは「誠実な対応を期待したい」と望んだ。

 ◇運転免許取得のための啓発続ける--日本てんかん協会(東京都新宿区)の話

 痛ましい事故が起きないよう、てんかんのある人に対し適切な治療を受けることへの助言、援助と運転免許取得のための啓発を今後も引き続き行います。

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 ■解説
 ◇再発防止に厚い壁

判決は「てんかん発作で暴走」の運転手が「無自覚な運転で、14歳の命を奪った」と厳しく指弾した。患者は「推定100万人」。しかし、再発防止へ壁は厚い。

 てんかん患者は02年、道交法改正で運転免許の道が開けた。ただ実際に免許を取った人数は「日本てんかん協会」は把握しておらず、警察も「個人情報でできない」という。

 発作防止は第一に、患者自身が薬を正しく飲むことだ。ところが学会では「発作事故は医師の指示通り薬を飲まない例が多い」との報告が出ている

 

被告・弁護側は公判で「医師が服薬を厳しく指導しなかった」と反論し、反省に乏しかった。また、判決は被告の自損事故後の免許更新で「主治医は『免許がないと生活に困る』と頼まれ、診断書を一部書き直した」と認定し、医療現場の対応の甘さを指摘した。

 横浜市内のある医師は「投薬が90日分と以前より長くなった。この間にどんな暮らしをしているか、来診時に患者が正直に言わないと把握しにくい」と話す。

この種の訴訟と言えば従来は正しく治療を受けるよう指導していなかった医者が悪い!といったものが多かっただけに、患者の自己判断能力を厳しく問う今回の判決は何かしら新鮮なものがあります。
こうした事件絡みでは先頃香川県の精神科病院から一時外出中であった患者が起こした殺人事件で、加害者側・被害者側双方が病院の管理責任を問うという一件が注目を集めたのは記憶に新しいところです。
患者団体も対応を協議するということで自己判断による服薬中止などとケシカラン行為であると言う流れが社会的にも定着してくれば良いんですが、患者は弱者という立場から一歩踏み出して患者が自ら主体的責任を持って治療に向き合っていくことは何より治療上からも求められていることだと思うんですけれどね。

さてもう一件、これもまた非常に波紋を呼びそうな記事ですがどうでしょうか。

訴訟:「彦根市立病院が診察制限」と訴え 市長相手に大阪の男性 /滋賀(2009年3月19日毎日新聞)

 彦根市立病院が紹介状がないことを理由に受診を断ったのは医療法などに違反するとして、同市出身で大阪市に住む男性(61)が同病院と獅山向洋・彦根市長を相手取り、慰謝料200万円と市広報への謝罪広告を求める訴訟を大津地裁彦根支部に起こした。

 訴状によると、男性は昨年12月、同病院外来受診受付で歯科口腔外科の受診を申し込んだが、職員から「初診者は開業医の紹介状を持参しないと受診できない」と断られたという。男性は「診察制限は根拠がなく、医療法などに抵触する。市条例も、紹介状を受診の条件にしていない」などと指摘している。

 同病院では、医師不足のため、5科で診療制限をしており、歯科口腔外科でも、昨年8月から紹介状持参患者のみに制限している。

 赤松信院長は「医師不足のため、一部の診療科で紹介状のない患者さんの診療をお断りしている。このような理解のない受診行動が医療崩壊を加速させるのではないかと危惧している」とのコメントを出した。

彦根市立病院と言えば「彦根市民病院での安心なお産を願う会」の掲示板で「市民病院の医者が信用できないのは市民の誰もが思っていることというのは事実です。」云々と色々と香ばしい書き込みが続いていることがひと頃大きな話題となったことでも有名なところですが、さすがに…と言うべきなのでしょうか。
注目すべきポイントとしては法的根拠が明確でない受診制限という行為に対して公的施設のトップがずいぶんと上から目線の強気なコメントを発しているという点ですが、世が世であればこのような発言は早速バッシングの対象ともなりかねないだけにここは周囲の反応が期待されるところです。
周囲の反応と言えば原告が主張する通り市条例に明確な規定が存在しないという状況をどう解釈するかですが、これに対して病院側に改善を求めるのか条例制定に向けて動き出すのかと言う点でも市議会の立ち位置、ひいては彦根市民の民意というものが推察されようというものですよね。

いずれにしても各メディアの論調なども含めて今後の展開が期待できそうな話題ではあると言えるのではないでしょうか。

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コメント

私の勤めている知的障害者の施設でも、発作の薬を日々飲みながらかれこれ10年ほど発作のない方もいらっしゃいます。が、20年ほど発作がなかったにもかかわらず、最近発作が始まったという利用者さんもいらっしゃいますから、癲癇発作の薬はきちんと飲み続けないといけないんですよねぇ。

かなり昔、中途障害の方で、半月薬を飲まなかったがために、大発作を起こし、IQ80からIQ40になってしまった方もいらっしゃいました。この方は、薬を飲むことを常日頃軽んじていた方で、薬の管理を職員に任せてくれなかったのです。職員に服薬の確認をされることも嫌がられました。

発作の薬を飲んでいても、軽微な発作は抑えられずにいて、そのために怪我をする方もおられるんですけどねぇ。

施設職員はいろいろなケースを現場で見ているから、利用者さんや家族の方に説明・説得できるのですが、在宅の方ですと、いろいろなケースがあるからこその服薬を継続する大切さが、知らないし、見たこともないから納得できないのでしょうね。

発作は日常生活の中で起きるので、医師の説得だけでは注意喚起は難しいのではないかと思いますです。
服薬の継続は、本人の自覚と周囲の理解・説得・監視が大切なのであって、医師の説明如何ではないんですけどねぇ。

投稿: ばあば | 2009年3月22日 (日) 22時48分

この国内献血アルブミンの問題、厚労省としてはこういう情報の出し方をしてきた以上、目的は一つでしょう。

「献血アルブミンの薬価を輸入血アルブミンに揃える(すなわち値下げする)」

DPCという、「何をやろうと定額制」という最近通信系ではやりの手段ですが、通信料が多かろうが少なかろうが施設設備の維持コストが変わらないから実現可能なのであって、医療では「何をやるか」でコストが非常に変わってきます。

小児科でも3歳未満の定額制(いわゆるまるめ)を取り入れているところは検査や投薬をまじめにすると赤字になる、とぼやいています。

とにかく、削減できるものはどんどん減らす方針に則った報道なわけですね。

投稿: Seisan | 2009年3月23日 (月) 11時32分

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