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2009年2月 5日 (木)

とうとう大学教授も逃散を始めた!?

近ごろの人間は何かと切れやすいと言う話ですが、むしろすぐに切れてしまってストレスをため込まない方が本人の心身の健康にはいいのかも知れません(周囲にとってはまあ…)。
切れぬ切れぬと思っていたら思わぬところがプッツンしてしまうとニュースになるという話を、まずは読売新聞の記事から紹介します。

鳥大救命救急センター 専属医4人全員退職へ 人手不足理由(2009年2月5日読売新聞)

鳥取大病院(米子市)は4日、救命救急センター長の八木啓一・救急災害科教授(54)らセンターの専属医師4人全員が、人手不足などによる激務の「心身の疲労」などを理由に、3月末で退職することを明らかにした。病院側は、他科の応援医師の増員などの対策を講じ、治療態勢に支障はないとしているが、山陰の「命のとりで」となる同センターの課題が浮き彫りになった格好だ。

 他の退職者は、准教授と同科の医師2人。病院は、後任の教授と講師級の医師を学外から招くめどがついたとし、残る2人は他科の応援でまかなう方針。

 豊島良太院長と八木教授は同日午後、院内で記者会見。豊島院長は、八木教授の退職理由を「救急専門医を育てようと頑張ってきたが、様々な問題で(辞める)部下を引き留められず、心が折れた」と説明した。

 八木教授は、職場の実情に言及。研修医が研修先を自由に選べるようになった2004年の臨床研修制度で病院に残る研修医が減り、教授が当直をするほどの慢性的な人手不足に陥っているほか▽電子カルテの導入でパソコン操作を手伝う人員も必要▽センターは手術室やコンピューター断層撮影法(CT)室などから遠く、患者を一元管理できる構造ではない――などを挙げ「救急専門医を志す医師に夢を与える職場環境ではない」と述べた。

 豊島院長は「八木教授らの事は理解しており、引き留めることはできない。センターの施設充実は関係自治体の協力も得て何とかしたい」と話した。

 センターは04年10月に開設され、24時間態勢で山陰両県の救急患者を受け入れ。07年度は事故や病気で重篤な約900人を含め約1万3000人を治療。専属医4人と他科応援3人、研修医4人が勤務している。

「引き留めることはできない」って、そうまで同情されるほどの環境だったってことですかね(苦笑)。
いやはや、しかしついに大学病院教授自らが先頭に立って逃散するという時代になったかと思えば感無量というところですかね。
しかし年1万3千人と言えば一日40人近い計算ですが、こんな救急専門医4人でも心が折れるような状況を他科の応援でまかなうとはいささか無謀と言いますか、連鎖崩壊の悪寒が濃厚ですね。
同じ話題ですが、いち早くニュースに取り上げた地元紙ではちょっと違った切り口の内容になっていて興味深いです。

鳥大医学部付属病院 4月以降救急専属医不在に(2009年2月4日山陰中央新報)

 中海圏域を中心に山陰両県の救命救急医療を支える鳥取大学医学部付属病院(米子市西町)救急災害科の八木啓一教授(54)ら救急専属医四人が三月末で全員退職し、四月以降、同院の救急専属医が不在となる期間が生じる可能性もあることが三日、山陰中央新報社の取材で分かった。

 八木教授は「医師流出と負担増の悪循環で体力、気力ともに限界。救急医療の窮状を認識してほしいの思いもあり、昨年末、辞表提出に踏み切った」としている。

 同科の救急専属医は、八木教授と四十代の准教授、卒後五、六年目の二人の若手医師の四人。三人が救急専門医の資格を持つ。八木教授は二〇〇四年十月に救命救急センターが開設されて以降、同センター長も務める。

 同センターは、交通事故による多発外傷や心停止など最重症の三次救急患者を年間約九百人受け入れている。

 同科は、医学生への教育と卒業後の臨床研修において必須のコアカリキュラムとされる救急医学の教育を担当。さらに学外でも、県消防学校での教育や県内各地での救命講習などの役割を担う

 後任教授の確保について豊島良太病院長は「四月一日にすぐ着任できる方向で検討している。規則的には可能」と話す。同病院長によると今回は通常の公募でなく、病院側が一人または複数の候補者を指名し、受諾した候補者を学内の選考委員会で審査する異例のノミネート方式で選ぶ予定。

 

教授以外の救急専属医は公募するが、確保のめどはたっていない状況で「万一、救急専属医不在が生じれば、救命救急センターでの応援経験がある他科の医師で対応することになる」という。

 

島根大学医学部付属病院(出雲市塩冶町)でも〇八年七月、救急部の坂野勉教授(57)が辞表を提出しており、三月末で退職する。後任は未定だが、既に後任教授の公募は終了しており「教授不在期間は長くても一カ月程度だと思う」(同教授)。同院では四月以降も、准教授と講師ら三人の救急専属医は残る。

「病院側が一人または複数の候補者を指名し、受諾した候補者を学内の選考委員会で審査する異例のノミネート方式で選ぶ」なんて、普通に公募したのでは誰も手を挙げないと予想しているかのような話ですね(苦笑)。
お隣島根大でも救急部教授が辞められるという話ですが、もともと山陰界隈は広いわりに医療密度は希薄ですから何かと救急も大変だったとはたやすく想像できる話です。
噂ではかなり救急への情熱を持った熱心な先生だったと言うことですが、こういう記事を見るにつけその情熱につけ込んで何でもかんでも酷使し過ぎちゃった結果なのかなという気がしないでもないんですがね…
何事も過ぎたるは及ばざるが如しと言うことなんでしょうが、皆さんもついつい頑張りすぎていきなりプッツンしちゃわないように御自愛ください。

ホイスト降下運用開始 医師らヘリから現場へ(2008年10月4日山陰中央新報)

 医師や看護師を傷病現場にヘリで運び、直接降下させる「ホイスト降下」の中国地方初の運用について、県は鳥取大医学部付属病院と合意し、先月二十六日から同病院スタッフを対象に運用を開始した。これにより、山岳地帯などヘリ着陸の困難な傷病現場で、上空から医師や看護師を直接投入し、応急処置やトリアージなどが迅速に実施できるようになった。

 ホイスト降下は、ことし七月から九月にかけ、同病院スタッフらが県消防防災航空隊などと合同訓練を行ってきたが、運用上問題がなかったことから今回の合意に至った。対象となるのは、同病院の医師六人と看護師七人の計十三人。今後必要に応じて追加も考える。

 現在まで運用実績はまだないが、同隊の天野智隊長は「有事の際の救命率向上につながると期待している。運用する中で細かな課題が出るかもしれないが、随時見直す」と話した。

 ヘリによる医師、看護師の派遣については現在、県と県内四病院との間で「医師同乗救急ヘリコプターの運用に関する協定」が結ばれている。六月に鳥取大医学部付属病院との間で協定一部変更を行いこれまで不可能だった医師、看護師のホイスト降下が認められた

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コメント

>運用する中で細かな課題が出るかもしれないが、随時見直す」と話した。

細かな課題って、ホイスト中に医者が落ちて死ぬとか大けがするとか、そういう細かな課題かしら。
または募集してもホイって降りてくる教授候補がいない、という些細な課題とか(昔は落下傘っていいましたが)。
国立大の教授でもホイストする人は命がけでつね。

投稿: アルゴン金 | 2009年2月 5日 (木) 17時59分

国立大医学部の教授ポストなら、逃散後とはいえ落下傘教授が降りてくるでしょう。

投稿: 元外科医 | 2009年2月 5日 (木) 20時37分

ただここの態勢を見る限り、落下傘も遊ばせておくような余裕はなさそうですからね。
適切な支援のない空挺部隊などいずれ殲滅されて終わりというのは戦史のお約束ですが…

投稿: 管理人nobu | 2009年2月 6日 (金) 10時56分

適切な支援のない空挺部隊…

マーケットガーデン作戦でつねわかります。遠すぎた鳥大…

投稿: アルゴン金 | 2009年2月 7日 (土) 08時13分

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