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2009年1月21日 (水)

そんな金がどこにある!?とお嘆きの貴兄に

世は不景気の底なしの奥底へ真っ逆さまに転落中といった情勢ですが、収入が減っても急に切り詰めるわけにもいかない支出というものがあります。
切り詰めてはいけないものを切り詰めざるを得なくなってしまうと非常に困ったことになるという記事からご紹介します。

国保、453万世帯が滞納  08年、21%で過去最悪(2009年1月16日共同通信)

 厚生労働省は16日、自営業者や無職の人が加入し市区町村が運営する国民健康保険で、保険料(税)を1カ月でも滞納した世帯が2008年6月1日現在、453万世帯に上ったと発表した。同4月に75歳以上が後期高齢者医療制度に移ったため世帯数自体は減少したが、加入世帯に占める割合は20・9%で過去最悪となった。

 厚労省は「無所得や低収入の加入者が増え、年々上昇する保険料を支払う余裕がないため」と分析。09年は景気後退でさらに事態が悪化する可能性が高い。

 都道府県別では、世帯数は東京都の64万世帯が最多、割合は大阪府の28・5%が最高。これまで滞納数が最も多かったのは06年の480万5000世帯(加入世帯の19・0%)。07年は474万6000世帯(同18・6%)だった。

 長期滞納者への“ペナルティー”となる「資格証明書」交付が33万9000世帯と1000世帯余り減った一方、有効期間が約3-6カ月の「短期保険証」交付が8万5000世帯増の124万世帯で過去最高に。資格証は病院窓口などで医療費全額をいったん支払わなければならず、厳しい運用への批判から自治体が短期証交付で対応している様子がうかがえる。

なにしろいきなり失業という人が増えて社会問題化している時代ですから、前年所得を基準に保険料率を設定されている以上それは払えなくなるのも当然だと思いますね。
ところでこういう失業等で所得が急減した場合を想定して、各地の自治体では保険料減免の制度が設けられています。
それぞれの自治体ごとに基準も減免の内容も異なるのですが、幾つか詳しいところを引用してみますとこんな感じでしょうか。

音更町(北海道)の場合(抜粋)

・生活困窮の場合
 納税義務者等の今年の収入見込額が前年に比べて著しく減少し、生活保護法による生活保護基準以下となる者
 収入の減少が5/10以上7/10未満の場合は5/10を減免、収入の減少が7/10以上の場合は全部を減免

松本市(長野県)の場合(抜粋)

・前年の所得が一定額以下の世帯は、被保険者均等割額と世帯別平等割額を6割又は4割軽減
・前年の所得が一定額以下で、病気、介護、死亡、失業、事業不振、倒産などにより所得の減少が一定以上見込まれる場合、所得割額を2割から10割減免

熊本市(熊本県)の場合(抜粋)

・失職又は事業の休廃、疾病等により、前年所得に対して当該年所得が3分の1以上減少した場合、所得割額の30%~100%を減免

こうしてみると結構救済措置があるものだなと思いますが、実際のところどうなのかと言うと、未納している人たちの多くが減免制度自体を知らないのか、申請を行っていなかったと言うのですね。
基本的にこうした制度を設けるか否か自体も自治体毎の判断ですから、実際に問い合わせてみるまで減免措置が受けられるのかどうかも判りません。
また財政事情の厳しい自治体などは認定も渋いといった運用上の制限も多々あるのではないかなと推察されるところではあります。
それでも被保険者は保険証を取り上げられる前にこうした救済措置についてまず問い合わせてみるべきであり、自治体は取り上げる前にこうした制度に対する説明をするべきでしょうね。

ところで保険料未納問題と言えば、先頃親の未納で無保険状態になった子供が増えていると言う問題が騒がれたことがありました。

無保険状態の児童救済へ 民主ら3党法案提出(2008年12月1日exciteニュース)

 世帯主が国民健康保険料を納めていないために、無保険状態になり、治療費が高額になるために必要な医療サービスを受けられない児童が3万3000人(民主党調べ)いるとして、こうした児童を救済すべきと、民主党と社民党、国民新党が共同で「国民健康保険法の一部を改正する法律案」(国保無保険児童救済法案)を衆議院に提出した。

 無保険状態になっているのは世帯主の責任で、経済能力のない児童に責任があるわけではなく、児童救済については、その必要が世論としてもあがっていた。

 改正案では「国民健康保険料の滞納により被保険者証の返還を求められた世帯主が被保険者証を返還した場合、その世帯に属する18歳未満の被保険者については市町村や特別区はこの世帯主に対して、該当する被保険者にかかる被保険者証を交付すること」として、児童救済のため、保険証を取り上げないでそのまま残しておく措置をとるようにする。

 一方、保険料滞納をできるだけ解消するため法案では「国民健康保険の保険料については、減免制度等の十分な周知を図ること等を通じて滞納を防止し、特別の理由があると認められないにもかかわらず滞納している者からの実効的な徴収の実施を確保するため、必要な措置が講ぜられなければならない」とする規定も設けている。

 山井和則衆議院議員(民主党)は、「(厚労省が)病気をしている児童が医療にかかれない実態を知りながら放置し続けること。これは国家による児童虐待にあたると感じざるを得ない。地方に責任を押し付けるのではなく、国がリーダーシップを発揮しなければならない」とし、全党一致で今国会での早期成立を目指すとしている。

しかし一部マスコミは野党と一緒になって「子供たちがかわいそうだ!政府の無策だ!早く何とかしろ!」と騒いでいましたが、他人をバッシングする前に減免制度の存在と利用を自ら広く窮状にある国民に訴えていた方がよほど即効性もあり、子供達の救済にも役立っていたような気もしますが。
いずれにせよ派遣村で申請者全員に生活保護認定という大技を使ってしまったわけですから、今後の緊急的社会保障に関してはあのレベルの対応を求められてもやむなしかと思うのですが、実際は必ずしも全てに寛大というわけでもないようなんですね。
たとえば健康保険については自治体も比較的取り立てに寛大であるように聞くのですが、似たような問題を抱えながら逆に厳しくなる一方なのが国民年金です。

強制徴収、所得200万円以上 国民年金保険料で社保庁(2009年1月7日朝日新聞)

 社会保険庁が国民年金保険料の未納者に財産差し押さえを含む「強制徴収」を実施する際、対象者の選定基準を年間課税所得200万円以上と通知で定めていることがわかった。社保庁は従来、高所得の未納者に限って強制徴収する方針を示してきたが、この基準では、月収20万円前後の人まで差し押さえが広がる恐れがある。

 経済情勢が悪化するなか、保険料を払えない低所得者が財産を差し押さえられ、生活を圧迫されかねないとの批判を招きそうだ。

 所得基準が低いほど、強制徴収の対象拡大につながる。社保庁は03年度から強制徴収を強化。差し押さえ件数は同年度の50件から06、07年度は1万1千件台と急増した。60%台に低下した保険料収納率を向上させる狙いだ。

 昨年4月、同庁は国民年金事業室長補佐名で強制徴収手続きに入る基準を全国の社会保険事務局に通知した。通知では、対象者を選ぶ基準として「対象者または配偶者もしくは世帯主のいずれかの所得金額(控除後)が、おおむね200万円以上」と明示。それぞれが200万円以下でも、「合計額が200万円以上である時は選定しても差し支えない」と記していた。

 社保庁によると、この基準を明記した通知は06年度から毎年繰り返し出している。通知にある「所得金額」は住民税の課税所得を指し、前年の収入から必要経費などを引いて総所得を算出したうえで、配偶者控除など各種の所得控除を差し引いてはじき出す。

 社保庁はこれまで、未納者を「高・中・低所得」に分け、低所得者には「申請免除の周知」、中間所得者には「強制徴収を前提とした督励」を基本姿勢とし、高所得者だけを対象に強制徴収の早期着手を実施する方針を示してきた。だが、課税所得200万円という基準では、単身者で控除前の年間所得200万円台、夫婦と子供2人の4人世帯では同300万円台でも対象となる可能性がある。社保庁の実態調査(05年)では、国民年金加入者を世帯ごとにみると控除前所得の平均額は434万円だった。

 社保庁は今年度、差し押さえの執行件数について「督促状送付者の20%以上」とする目標値を全国の社保事務所に示し、強制徴収担当の職員を最低1人配置するよう指示した。今回の通知では、年金記録問題への対応に人手を割かれて、「(強制徴収が)低調な実施にとどまっている」との認識を示し、「着実な前進」を迫っている。

 同庁国民年金事業室は「強制徴収を効率的、効果的に実施するには所得基準による線引きが必要と考え、保険料の免除などを除いたラインとして200万円に設定した。強制徴収は加入者自身の無年金、低年金を防ぐためにも必要。ただ、実際には所得が高い人から実施しており、200万円ぎりぎりの人の財産を差し押さえるようなことはないと思う」としている。

いやあ、容赦ないですね。
年金問題と言えば社保疔絡みでも色々と騒ぎがありましたが、その反動なのかとにかく厳格厳正にという姿勢を徹底しているようにも感じます。
何かしら国民の側にすれば不祥事の上に良い迷惑という気がしないでもないですが、「年金制度が破綻するぞ!」と言われれば払わないと仕方ないのかと自分を納得させるしかありません。

生活保護との釣り合いを考えると、ある程度以下の低所得者に対しては最初から免除とするくらいの度量があってもいいかなと思うのですが、この手の制度というものはそう簡単に変わるものでもないんでしょうね。
しかし年金の支払いにお困りの皆さんも必ずしも悲観されずともよいかなと思うのは、もちろん年金においても減免措置はきちんと用意されているということなんです。
今の時代に自ら求めて声を上げなければ自分の権利を守ることは出来ないことになってきていますから、助けが必要な方はあきらめるより前にまず既存の制度利用を検討してみるべきだと思いますね。

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コメント

>保険料減免の制度が設けられています。
すごくためになりました。医師がどうして?というと、医師の場合、産休とらずにいきなり無職になることが現在でも珍しくないからです。育休とるなら、無職になってアルバイトです。そのほうが、当直もオンコールもなく、時給があがるので、待遇としては改善されるのかもしれませんが、国民年金、国民健康保険に加入しなければならないので、結構大変です。
特に産休中に退職した場合、産休中は、配偶者の保険にいれてもらえないのです。

投稿: 麻酔科医 | 2009年1月22日 (木) 00時30分

コメントにコメントします。
産休というのは、常勤職にある場合の休業を意味します。
退職したのであれば、産休には当たりません。
また、産休・育休中の退職であれば、アルバイトも出来ない状況と予想されます。
たとえ、アルバイトをするにしても、不定期な収入に変わりありません。
この場合、前年度に相当額の収入があっても、配偶者の健康保険に入ることは可能だと思います。
所属する事業所の事務方によっては、前年度の収入や医師であるから入れないと門前払いする担当者がいます。
しかし、制度上、事業所の事務方は社会保険事務所への取次ぎをしているだけで、門前払いする権限はありません。
保険加入の可否は社会保険事務所が判断することです。
直接、社会保険事務所に確認してみてはいかがでしょうか。
年金に関しては、国民保険に入らないといけないのは事実です。

投稿: | 2009年1月22日 (木) 05時39分

上にコメントします。たとえ、退職しても、分娩後産休期間に相当する期間は、退職時に加入していた健康組合からお金が出るので、それをたてに、共済組合は加入を拒否します。夫が公務員の場合は、ダメというのが、勤務先(県)の意見でした。夫の勤務先が企業の場合は、その保険組合の判断なので、加入をさせてくれるところもあります。産休期間に相当する期間が過ぎれば、夫が公務員でも企業勤務でも、夫の健康保険と年金に配偶者として加入することができます。たとえ、前年に相当な収入があってもです。
もちろん、アルバイトを開始すれば、すぐに保険や年金からの脱退を求められます。

投稿: 麻酔科医 | 2009年1月22日 (木) 20時18分

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