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2009年1月22日 (木)

今また問われる大野病院事件とマスコミ

いつもなかなか突っ込みが厳しい「天漢日乗」さんがまた面白いネタを拾ってきてくれているようなので、今日はまずこちらから引用させていただきます。
「どうせそういうことなんじゃないの?」などと言っていたらやっぱりそういうことだったというオチになるんでしょうか。

『「いまだから言うけど、福島県立大野病院事件でなぜ一斉に医療側がバッシングされたかというと」@マスコミ』より抜粋

この話をあるマスコミ関係者から聞いたのは
 福島県立大野病院事件で加藤先生が無罪になってすぐ
だった。
 絶対激怒すると思ったから黙ってたんだけどさあ
と、彼はこんなことを言い出した。
 なんで、大野病院事件で、加藤先生が悪者にされたかわかる? 実は、あの先生はマスコミにとって「都合良く」悪者に見えたからなんだよね〜。
と。要するに
 カメラを睨み付けるようにするから、「悪者顔」に撮れるのが「都合が良かった」
のだという。そして
 それにさあ、あの先生、マスコミに対して、わりと敵対的な感じだったのね。敵対的っていうのがまずかったら、「非協力的」だったわけ。だから、各社揃って「てめえがその気なら、徹底的にやってやろうじゃないか」って、「あの先生叩き」に走ったところは間違いないと思う。
と続けた。
(中略)
この話をしたマスコミ関係者は、こうも言っていた。
 テレビは特にそうなんだけど、「どう見えるか」でほとんど勝負が付いてしまう。うちのエライさんは、本当はいい人なんだけど、「見るからに悪者顔」なんで、謝罪会見しても、全然謝ってるように見えなくて、ソンなんだよね〜。人間性なんて、カメラは映さないし。

ま、ソースが明確でないこともあって同業者のつぶやきという以上の意味はないと考えるべきでしょうが、何であれ現場の感覚というものは部外者にとって大抵の場合参考になるものです。
おりしも地元福島中央テレビの検証番組がネットで紹介されていましたが、こういう業界の思惑を踏まえながら見直してみると色々と見えてくるものもあるように感じます。
地方局にしてはオールスターキャストと言っても良いくらいの豪勢な内容で、背後にある事情をよく御存知の方ほどいろいろと突っ込み所は多い番組だと思いますが、こうして番組で当事者の顔をみながら誰がどんなものを見せたいと思っているのかなどと考えてみるのも一興かなと思いますね。

大野事件を検証する(福島中央テレビ)

(その1) 
(その2) 
(その3) 
(その4) 
(その5) 

文字通りに客観的な報道などというものがあり得ない以上、どのような主観に基づいて報道されているのかをも併せて考えなければマスコミが何を見せたい、あるいは何も見せたくないと思っているのかも見えてきません。
最近ではネットで何かにつけすぐに検証されてしまうと言うこともあって、単にマスコミの報道内容のみならず背後に存在する報道姿勢というものも問われるようになりました。
放送倫理・番組向上機構(BPO)のサイトには視聴者の厳しい突っ込みの声が届けられていますが、これを見ているだけでもどれくらい彼らが計算高く「真実」を作り上げようとしているかがわかります。
たとえばこんな話も一昔前であれば「へえ、すごいんだね」で終わっているところですが、今ではあっという間にこうして情報が流出してしまうわけですね。

2008年11月に視聴者から寄せられた意見より

日本の大学に留学しているスリランカ人だが、今年の5月に関西の局のこの番組が放送されたことで、私の国に対するイメージが大きく損なわれた。私はスタジオでの番組収録に参加したのだが、その際、スリランカを誹謗中傷した取材に驚いた。タレントがリポーターとして取材していたが、街中の一般的なホテルに泊まり、「臭い!汚い!」「前の宿泊者が使ったタオルや石鹸がそのまま使われている」「イギリスの植民地だったのにスリランカ語しか話せない」とリポートしていた。しかし、大半の国民は英語が話せるのだ。スタジオでの番組収録の際、制作協力会社のプロデューサーに「国の現実と余りにかけ離れているので放送しないで欲しい」と伝えた。彼は「スリランカを馬鹿にするつもりはない」「収録が10分位オーバーしているのでこの部分はカットする」と約束してくれたが、実際にはそのまま放送された。番組内容を不審に思い、先日一時帰国した際に取材されたホテルを尋ねてみた。すると、このホテルは街中でも格安のホテルであった。しかも、取材は1時間位で終わり、リポーターをはじめ番組スタッフは同じ街の高級ホテルに宿泊していたことが判明した。今の番組内で謝罪するか、再度スリランカを取材して正しい現状を伝えることを要望する。番組は現在タイトルを変更して放送されているが、前の番組と同様の企画なので、他の国の人達がスリランカと同じ報道被害を受けないためにBPOに連絡した。

どうせ誰も判らないだろうと捏造番組で外国人を馬鹿にするのも論外ですが、残念ながら彼らの標的は見境がありませんから、いつどこで誰が被害に遭うのか知れたものではありません。
医療に関わる報道にも幾つか意見が寄せられていますが、特に大野事件判決とも関連して昨年8月頃が目立ちますね。

2008年8月に視聴者から寄せられた意見より

・産科医無罪判決に関する報道は遺族側からの目線に偏向した内容ばかりでうんざりした。刑事事件の裁判であり、争点がどういうところであるかを考えると遺族側の感情的な意見は関係ないし、訴訟になった経緯とは全く関係がない。また、裁判において明らかになった部分のうち、検察側の捜査の不正確さを指摘する内容については報道が著しく少ないため、正確に理解することができなかった。私自身は最初にTV番組を見て、他の医療過誤訴訟と異なる(民事ではなく刑事である)ことの重大性などを知ることもできなかった。ネット等で調べてやっと分かった。医療関係者側からの反発が著しく大きい事件であるのだから、何故反発が大きいのかという点や、この事件が産科医減少と関わりがある点もきちんと報道してほしい。出演者の私見として様々なことを述べるのはよいが、事実経過を説明する際には偏った報道はしないでほしい。

・福島県の産科医無罪判決報道について。ニュース番組の偏った報道にうんざりだ。この亡くなった方は上のお子様を出産された際「2人目は諦めて下さい」と言われていた。設備の整った病院への転院を勧められていたが、なぜかどうしても事故の起こった病院での出産を希望していた。「もう1人ほしい」という事を医師に告げていた。だから医師は始めは子宮摘出を避けた。前置胎盤と癒着胎盤が一緒に起こるのは稀なこと。こういう事を理解しての報道なのだろうか?報道する側は妊娠を経験した方が少ないだろうから出産のリスクが分からない方が多いと思うが、出産経験のある者からしたら一方的に医師を叩きたいだけの報道にしか思えない。他の医療事故とは全く別だと思う。「産婦人科医不足」を声高に報道するのを見るが、それに拍車をかけているのはこのような偏見報道であり、ただ当事者を叩きたいだけの報道だという事をしっかり認識して下さい。こういう事を踏まえた上で遺族叩きや医師叩きにならない客観的な報道をして頂きたい。

・産科医無罪判決に関して、番組の解説員は刑事事件に問われて無罪判決を受けた被告人の責任を論評し、「病院側は遺族側に一切説明をしなかった」「その後も納得のいく説明がなかった」と伝えている。そして「医師側が真摯に理解を求める努力を怠っていては、検察を批判しても理解が得られないのではないのでしょうか」と続けている。この発言の後、解説員は遺族に直接面談していることを番組の中で告白している。この解説員は、被告人である大野病院に取材して「事実を確認した」とは言っていない。これは訴訟という双方の当事者がいるなかで、一方の主張だけを報道し、利害関係の異なるもう一方の当事者の権利や主張を無視した公正を欠く報道であると批判したい。遺族側が理解・納得できなかったから真摯な説明でないと言うなら、理解力の乏しい遺族には真摯な説明などあり得ない。もともと、この事例のように過失責任がないのであれば、それに続く医療行為への非難は全く根拠がない。NHKであればこそ、公正・中立な報道をお願いしたいと思う。

2008年12月に視聴者から寄せられた意見より

・「病院たらい回しで新生児が1週間後に死亡」というニュースを取り上げていたがこの報道に疑問を持っている。
まず母子手帳をもって通院していれば、ハイリスク妊娠の可能性がある場合はその旨が記入され助産婦もチェックするので、
「新生児を自宅で出産する」ということは考えられない。また、通院している病院があれば、出産の際は
その病院に入院できるので、突然入院先を探すことはあり得ない。「たらい回し」という差別的な表現を使って、
初めから医療側を誹謗・中傷する姿勢で取材し報道するのではなく、親の方も親としての責任を果たしているのか
という面もシッカリ取材したうえで報道して欲しい。ひとたび、医療側がすべて悪いというように報道されてしまうと、
医療側はなかなか言い返すことができない。常々、医療関係の報道は横暴だと感じている。
こんな報道がまかり通ってしまうと、医療現場の労働環境はますます悪くなってしまうと思う。

このところの不景気もあって、マスコミ報道がますます「安くて売れる(視聴率が取れる)もの」に流れているという話も漏れ聞こえてきます。
「鳥人間コンテスト」なんて歴史と伝統もあってなかなかいい番組だったと思っていたのに先頃とうとう中止が決まったと聞いて落胆したものですが、その一方で自前で嘘のネタを作り上げてでも安く挙げられる番組ばかり垂れ流しとなれば報道の質の追求などとは縁遠い話ですよね。
彼らが他人を厳しく追及することも報道の使命の一つであると考えているのであれば、情報の双方向化が進む今の時代にあっては「まず隗より始めよ」という言葉が返ってくるだろうことにも思いを致さなければならないでしょう。
なにしろ他の誰のどんな話よりも数多くの視線に、彼ら自身の姿こそがさらされているのですからね。

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