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2009年1月19日 (月)

再び岩手県と関連する話で

先日に続いてまた岩手からの話題ですが、例の県立病院再編に伴う無床化問題の続報がありました。
しかし住民説明会というよりもこれは住民説得会というべきものですかね。

課題解決に向け伝えたい(2009年1月19日  読売新聞)より前半部分

 雪が時に激しく降るなか、九戸村の公民館には、開会の30分前から次々と住民が集まってきた。13日夜に開かれた県立病院の新しい経営計画案の説明会。村唯一の医師がいる地域診療センターでは、19床を全廃する無床化が計画されている。

 「11月の発表で、4月に実施するというのは唐突で拙速だ。私たちにも考える時間がほしい」「医師が少ない地域にこそ県立の役割がある。切り捨てではないか」。2時間余りにわたった会では、10人が質問に立ち、拍手がわいた。

 県医療局長らと並び、九戸センター長も兼ねる佐藤元昭・二戸病院長(59)が説明する声を一段張り上げた。「皆さん、医師不足を実感されないのが残念だ。ベッドがあれば医師は来ません。無床化すれば来る」。診察の傍ら、医師招請に駆け回る佐藤院長の言葉に、会場は一瞬、静まりかえった。

 常勤医が1人しかいない九戸は、二戸からの外来診療応援と、二戸と盛岡市の中央、医大の計3病院による派遣当直で日々の診療を支えている。

 医療局創業の精神は、「県下にあまねく良質な医療の均霑(てん)を」。聞き慣れない言葉に広辞苑をひくと、「生物が等しく雨露の恵みに潤うように、各人が平等に利益を得ること」とある。無医村に医療を、と始まり重ねてきた、岩手に暮らす苦闘は今も続く。

前回取り上げた記事とはいくらか違った印象を受ける記事ですが、報道するメディアのスタンスを反映しているということですかね?(何しろ自ら医師集約化を提言する読売新聞社ですから)
「ベッドがあれば医師は来ません。無床化すれば来る」とはずいぶんと思い切って言ったものだなとも思いますが、実際に医師相手に折衝を重ねるうちにこうした確信を抱くようになったということなんでしょうね。
これはこれで現場の雰囲気を伝える興味深い話なのですが、むしろ興味を引かれたのが同じ記事の後半部分です。

課題解決に向け伝えたい(2009年1月19日  読売新聞)より後半部分

 「通院のお客様、お体の具合が悪いお客様は気軽にお声をかけてください」
 朝の車内に優しい声が響いた。盛岡駅着午前9時のIGRいわて銀河鉄道の上り電車には、県内に入った金田一温泉駅から世話役のアテンダントが乗る。昨年11月5日から平日に始めた「地域医療ライン」サービスだ。

 二戸市、一戸町から盛岡市内へ通院する人を対象に、あんしん通院切符の発売、ワンマン電車内で接客にあたるアテンダント、最寄り駅の無料駐車場と盛岡でのタクシー手配を組み合わせて、「自宅から病院まで」を主に公共交通で結ぶ。全国の鉄道でも先進的な取り組みだ。

 「地域の医療機関だけでは対応しきれない患者さんがいるが、高齢や病後ではマイカー運転もままならない。通院は本人や家族の大きな負担だ。一方、公共交通は地域に欠かせないとの認識が広まってほしい」と、企画、準備をした同社の米倉崇史さん(26)は説明する。開始2か月で339枚の切符が売れた。1日平均10人、多い日は20人近い利用があり、徐々に広まって、沿線のほか軽米町や青森県内からの人もいる。

 アテンダントは3人が交代の有償ボランティア。取材した日、田中敦子さん(47)は駅ごとに通院客がいないか、ひざ掛けを持って車内を回り、話しかけた。水のペットボトルやカイロなどを携えて乗務し、車内からタクシー会社へ利用人数を携帯メールで送信する。指定3病院なら利用客の自己負担は200円だ。

 この日、小鳥谷駅から乗った地蔵堂民之助さん(76)は「妻も利用する。安心して通える」と話し、到着ホームで待っていたタクシー運転手に導かれ、医大へ向かう車に乗った。

先日取り上げました藤沢町民病院の件でも感じたことですが、なかなかに侮れないアイデアが次々と出てくるじゃないですか>岩手県。
失礼ながら今まであまり強い印象がなかったのですが、こうして実際に現場でやってきたことを見ると病院再編計画も前向きに見守っていかなければならないのかなという気になってきます。

しかしながら医療に限らず改革を目指す場合の問題として、改革を進めたい側にも押しとどめたい側にもそれぞれの異なった目指すべきところがあり、当然のように利益相反があるということです。
特に近ごろでは地方の病院存続問題というのは他のどんな問題にも増して大きな話題になってきているようで、過去にも公立病院閉鎖の話題をお伝えした銚子市松原市ではとうとう市長の首が飛ぶとか飛ばないとかいった騒ぎになってしまいました。

市長リコール確実に 有効署名2万3463人、銚子市選管の審査終了(2009年1月15日産経新聞)

 千葉県銚子市立総合病院の診療休止をめぐり、市民団体が岡野俊昭市長のリコール(解職請求)に向けて、市選挙管理委員会に提出した署名簿の審査が15日終了した。市選管によると、有効な署名は2万3463人分で、リコールの本請求に必要な有権者数の3分の1(約2万229人)を上回った。

 今後は、署名簿の縦覧が16日から1週間の日程で行われ、市民からの異議の申し立てを受け付ける。異議に対する審査後、最終的な署名数が有効数を上回っていれば、本請求が可能となる。

 審査結果を受けて、岡野市長は「署名簿を縦覧し、異議の申し出を行うか十分検討したい。病院再開のため、市長として与えられた任期を、全身全霊を尽くして職務に励んでいく」とコメントを発表した。

 リコール運動は、病院休止が市長の公約違反だとして「『何とかしよう銚子市政』市民の会」(茂木薫代表)が署名を集め、昨年12月26日に2万5945人分の署名簿を市選管へ提出していた。

市立松原病院:閉院で市長リコール運動 市民団体「早期辞職へ」 /大阪(2009年1月17日毎日新聞)

 3月末での閉院が決まっている松原市の市立松原病院(桑田博文院長、162床)を巡り、市民らが閉院を決めた中野孝則市長のリコール(解職請求)運動を始めた。16日に会見した市民団体「『とりもどそう住んでよかった松原を』市民の会」の代表らは「リコール運動を通じ、(中野市長の自主的な)早期辞職に追い込みたい」と話した。

 リコールは地方自治法で定められ、首長については、有権者の3分の1の署名により、解職の是非を問う住民投票を直接請求できる。住民投票で有効投票の過半数が賛成すればリコールは成立する。同市の有権者数は10万2057人(先月2日現在)。

 同会の大内康夫事務局長らによると、会には閉院反対運動を続けてきた「市立松原病院の存続・充実を求める会」の関係者らが参加。来月半ばにも署名活動を始めたいとしている。ただ、中野市長は6月16日に任期満了を迎えるため、必要な署名が集まっても次の市長選までに住民投票が実施できるかは不透明だ。

 中野市長は「(運動について)直接コメントする立場ではない。今は地域医療確保に全力を尽くしており、その結果をみてほしい」とコメントした。

無駄な公共事業けしからん!といった場合であれば市長をとりかえて延期なり事業中止なりに追い込めば(多少の無駄金は覚悟しなければならないにせよ)それなりにすっきり決着が付くわけですが、これらの病院の抱える構造的な問題というものは市長が替わろうが議会勢力が一変しようが何一つ変わらずそこに在り続けるわけです。
とにかくケシカラン市長をやめさせて、病院のことはそのあとでゆっくり議論して決めようなんて悠長なことが言っていられる状況であるならば、そもそもこういう基幹病院クラスの病院を潰そうなんて話にはならなかったと思うのです。
リコールの行く末がどうなるかに関わりなく、何かしら実効性のある対案というものだけは今の時点からでも用意しておかなければ、世に言う小田原評定の末に為すところなく開城を余儀なくされた北条氏のような恐ろしい状況になりかねないことは常に念頭に置いておかなければならないでしょうね。
これらの件はまた続報があれば随時経過を紹介してみたいと思います。

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