« 医者が足りぬと言うのなら その三 | トップページ | 自治体病院ただいま改革真っ最中? その二 »

2008年12月26日 (金)

自治体病院ただいま改革真っ最中?

少し前に紹介しました「基幹病院がいきなり閉鎖!?」と大騒ぎになった銚子市立病院ですが、その後どうなってんだという話題から紹介します。

千葉・銚子市長、リコール確実に 署名は2万5639人(2008年12月22日朝日新聞)

 9月に休止された千葉県の銚子市立総合病院を巡り、岡野俊昭市長の解職請求(リコール)活動をしている市民団体が署名集め最終日の21日、「請求に必要な有権者の3分の1(1日現在2万229人)を上回る2万5639人の署名が集まった」と発表した。今後、市選管の審査などを経て、有効署名の人数が確定されることになるが、市民団体は3分の1を上回るのは確実とみている。

 「病院の休止は公約違反で納得できない」として「何とかしよう銚子市政 市民の会」(茂木薫代表)が署名を集めていた。市選管への提出は26日。未回収の署名簿もあるといい、署名の数はさらに増える見通しだ。

 有効署名が有権者の3分の1を上回れば、市民団体は解職の本請求をし、解職の是非を問う住民投票が実施される。住民投票で有効投票の過半数が賛成すれば市長は失職し、50日以内に市長選挙が行われる。

病院の存在がついに自治体首長の首も飛ばしかねない時代になったと思えば感無量ですが、存続させるということはその分自分たちが金を払うことになるのだという自覚を持ってやっていらっしゃることなのでしょうかね?

銚子市民の選択はともかく、景気が急減速する中、どこの自治体も大変なようです。
なにしろ日本で最も景気が良いなどと言われていた愛知県もこのところ税収減が深刻で、とうとう地方交付税交付団体に転落する見通しなんて言ってるくらいですからね。
こういうことになりますと固定的経費と言って良い自治体病院の赤字も気になるのが人情と言うもので、実際各地から公立病院関連の話題が相次いで飛び込んで来ています。
しかし公立病院というところは地方においてはいろいろな利権も絡まり合った難しい存在ですから、なかなか銚子市立病院のような英断を下すというのも難しいようですね。

これも少し前に取り上げました市立松原病院閉鎖問題と絡んでの話ですが、「産科医療のこれから」さんで「地元全戸に配られた自民党号外」なるものが公開されていますのでリンクだけですが紹介しておきます。

市立松原病院閉院! 地元全戸に配られた自民党号外o(^-^)o ..。*?

いやあ何と言いますか、色々な意味ですごいなあとしか言いようがないのですが、良くも悪くも公立病院なんてものは色々なしがらみでがんじがらめになってるんだということが垣間見える話ではありますよね。

このところ公立病院関連の話題が多いのは、一つには市町村合併でそれまでの公立病院配置図が再編を余儀なくされているということもありますが、もう一つには例の特例債の関係もあります。
公立病院再建のための蜘蛛の糸、もとい、最後の切り札となるであろう「公立病院特例債」の発行が認められるのは08年度中に限っての話ですから、希望する各自治体は今年度中に病院改革プランというものを策定しなければなりません。
ま、役所仕事ですから元より結論ありきなバラ色の未来図が描かれているだろうことは想像に難くないところだと思いますが、見ていると幾ら何でもそれはちょっとどうよ?と思われるような話も多いようなんですよね。

荒尾市民病院:累積赤字41億円、6医師確保で黒字化図る 病院特例債を活用 /熊本(2008年12月23日毎日新聞)

 荒尾市は、約41億円の累積赤字を抱える市民病院(大嶋壽海院長、274病床)の再建計画をまとめた。2年後の単年度黒字化を目指しており、そのためには6人の医師確保が最重要課題。来年4月には、予算や人事権を持った独立採算の公営企業に衣替えして計画に取り組むが、肝心の医師確保のめどは立っていない

 09年度から5年間の中期経営計画で、公立病院の経営改革を促すため、国が08年度限定で認めた特例債を活用する。償還期間7年で14億円を起債した。

 計画では、これを原資にして、金融機関から借り換えを繰り返して「不良債務」化している21億円を7年間で返済し、経営の足かせの一つを解消する。さらに6人の医師の確保で患者数を増やし、08年度4億1000万円の赤字を、09年度は7900万円に圧縮し、10年度に7200万円の黒字に転換する。

 新たな医師は来年4月から2人の常勤が決まっており、さらに3年間で4人を確保して現在の28人から34人体制にする。計画最終年の13年度の総収入は、07年度の43億円から21%増の52億円にすることを目標にしている。

不安材料は、医師確保の成否に加え、財源を市の一般会計からの繰入金に依存している点だ。08年度の4億5000万円を09年度から4億9000万円に増額し、毎年度繰り入れる。他にも病院特例債償還分の2億円や勧奨退職者の退職金の一部も賄うため、09~15年度の繰入総額は7億5000万円~8億円に上る。

 このうち3億5000万円は、病床数などから算出される国の交付金で補てんされるが、残りは市の持ち出しとなるため、最悪の場合、財政調整基金など各種基金残高の16億円を取り崩して充てる

 職員給与カットなどの行財政改革を進めている市は“背水の陣”で病院再建に取り組む覚悟を見せた。前畑淳治市長は「病院の収支を改善しなければ、一般行政が機能不全に陥る。6人の医師確保を絶対命題として、計画以上の収支改善をやり抜かねばならない」と再建にかける意気込みを語っている。

ちょww黒字化には6人の医師確保が絶対条件で、今はその目処すら立ってないけど何とかなるさって、幾ら何でも画餅に過ぎるだろと思うところですが。
こういう脳内お花畑な人たちが立てたクリスマスケーキよりも甘い計画がどのような末路を迎えるか、恐らくはご当人達以外の方々にとっては子供にでも判りきった話ではないかと思いますがね。
一般行政を機能不全に追い込んでまで維持したい自治体病院というものが何なのか色々と邪な興味はあるところではあるのですが、中にはもう少し真面目に?こんな計画を練っている自治体もあるようです。

不採算の診療科、廃止も検討 富山市民病院の経営改善計画(2008年12月25日  読売新聞)

 赤字経営が続く富山市民病院(富山市今泉北部町)は24日、3年以内の黒字化や不採算部門の診療科を廃止することを含めて検討するなど経営改善計画の中間報告をまとめた。同日の市議会厚生委員会で明らかにした。

 報告によると、入院患者の確保や経費削減のため、診療科ごとに3年間の行動目標を立て、達成度や需要を調査。不採算の診療科は廃止を含めて見直す。

 医師の確保などを迅速に行うため、病院を地方公営企業法の「全部適用」とし、財務、人事権を持った事業運営形態に移行することも必要とした。

 また、市民病院に救急医療センター(富山市)を併設することが検討されていることから、救急医療専門の医師や看護師を確保することも盛り込まれた。

 同病院は、一般病床の入院患者の減少などにより、2006年度から赤字に転落。07年度決算では経常収支が8億9800万円の赤字になっている。

 病院は来年1月、パブリックコメントを求め、2月の経営改善委員会で最終報告をまとめ、3月には富山市長に答申する見通しだ。

基本的なところを押さえておきたいのですが、公立病院の何が問題といって極めて経営効率が悪いということです。
死ぬ気になって確保しないといけない医師には安月給で過酷な奴隷労働を強要、そのくせ一日新聞を読んで過ごしている働かない公務員事務や点滴一つまともに出来ない場所ふさぎコメディカルのコストだけは異常に高い、おまけに地元業界への利益誘導で建設費やら納入費だけはあり得ないほど高コストときている。
ではそう言った点を改革すればいいのか?と言う話ですが、そんなことはとっくの昔から民間病院が当たり前にやってることであって、今さら公立病院が形ばかりの改革なんてことを叫んでみたところで勝負になるわけがないのですよ。

要するに民間なら当たり前に黒字に出来る分野であっても公立病院が関わるというだけであっという間に赤字確定なわけですから、公立病院が下手に手を広げれば広げるほど赤字がますます拡大するだけと思って間違いないのです。
それでも公立病院の存在意義があるとしたら、民間では赤字でやっていられないような部門を社会保障の一環として公費で行っていくというその一点に絞られるのです。
どうしても自治体病院を維持したいのであれば、民間で黒字に出来る部分は徹底して民間に任せ、公立病院は赤字部門だけに特化しても良いくらいだと思うのですが、その公立病院自らが赤字部門を廃止して出来もしない金儲けに走るってどうなのよと言う話ですね。
将来的に更なる赤字を負担することになるだろう市民であれ、今以上の過重労働を強要されることになるだろう同院の医師であれ、結局は誰一人として幸せにならない計画ではないかなと予想しますがどうでしょうかね。

|

« 医者が足りぬと言うのなら その三 | トップページ | 自治体病院ただいま改革真っ最中? その二 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/43533756

この記事へのトラックバック一覧です: 自治体病院ただいま改革真っ最中?:

« 医者が足りぬと言うのなら その三 | トップページ | 自治体病院ただいま改革真っ最中? その二 »