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2008年12月24日 (水)

医者が足りぬと言うのなら その二

昨日にも少し書きましたが、医師不足対策ということで世の中もようやく動き始めたようです。
今日は昨日の続きということで、来年度予算に関連して産科関連の話題から二つばかり引いてみましょう。

救急・産科拡充へ304億円 09年度予算重点枠 医師数確保急ぐ(2008年12月23日日経ネット)

 妊婦の受け入れ拒否問題を受け、財務省は22日、2009年度予算の「重要課題推進枠(重点枠)」で、救急、産科医療の拡充のための費用などとして計304億円を厚生労働省などに新たに内示した。厚労省所管分227億円のほか、文部科学省に対する新生児集中治療室(NICU)整備費用17億円など。救急医の手当や地域周産期母子医療センターの運営に対する財政支援に充てる。

 厚労省は重い脳障害を起こした妊婦が各地で受け入れを拒否され、死亡したり、重い後遺症が残ったりするケースが続発していることを受けて、産科・救急医療体制の整備を重点的に進めている。

産科医に「分娩手当」=お産1件当たり1万円-救急医の当直支援も・厚労省(2008年12月22日時事通信社)

 2009年度予算編成の焦点だった3300億円の重要課題推進枠で、厚生労働省は22日、お産1件当たり1万円の「分娩(ぶんべん)取扱手当」を産科医に支給することを柱とした医師確保、救急医療対策を発表した。
 東京都内で10月、救急搬送された妊婦が8病院に受け入れを拒否され死亡した問題などで産科、救急医不足が顕在化。産科、救急医に手厚く財政支援することで、医師不足解消を目指す。
 産科医支援策では、分娩取扱手当に加え、医学部卒業後3年目以降の若手産科医に対して3年間、1人当たり月5万円を支給することも盛り込んだ。
 一方、救急医支援策では、救急医療を担う病院のうち、重症患者を扱う第2次と第3次救急医療機関(全国約630カ所)で勤務する救急医に対し、夜間の当直1回当たり1万8659円、土日祝日の当直1日当たり1万3570円を支給する。
 これらの事業はいずれも国が3分の1を負担。残りは都道府県と市町村が負担するが、自治体の協力が得られない場合には医療機関側に負担を求める

勝手に医療機関側に負担を求めるってそんな(苦笑)。
医療費削減一辺倒から少しばかり方針転換しつつあるのかとも思える話なんですが、財源の問題もさることながら、これらの措置の実効性はどうなのか気になるところです。
NICU一つにしても施設は作ってもそこで働くスタッフが手当てできなず、既存スタッフに更なる過重労働が逃散を招くという悪循環ということになれば全く話になりません。
直接現場に金を出そうという発想が出てきたことはやらないよりはマシと評価したいところですが、問題はこれがちゃんと「にんじん」として機能するかということですよね。
単に楽して金を儲けたいなら他に幾らでもやり方があるという中で一分娩一万円と言うご祝儀はなかなかに微妙なところだと思いますし、まして医療は医師だけでやっているわけでもありませんからね。

さて、突然とも言えるこうした厚労省の方針転換は別に官僚が心を入れ替えたというわけでもなく、大臣のパフォーマンスに過ぎないのでは?という脱力な話がこちらです。

重要課題推進枠:社会保障予算案…舛添氏主導で実現(2008年12月22日毎日新聞)

 産科、救急など不足が際だつ診療科の勤務医への手当、出産育児一時金の4万円上積み、難病対策費の4倍増--。09年度予算案の重要課題推進枠に盛り込まれた社会保障分野の予算は、舛添要一厚生労働相が主導し、消極的な厚労官僚の尻をたたいて実現させた。医療現場も「まずは必要なカネ」と、一定の評価をしている。ただ応急的な色彩はぬぐえず、今後制度に反映させ、継続させていけるかどうかが問われる。

 厚労省は09年度予算編成で、社会保障費の2200億円抑制方針を財務省に緩めてもらうことを重視するあまり、同省から新規財源を得ることに及び腰となっていた。医師不足問題にも、「人口減で将来医師過剰になる」と、重い腰を上げようとしなかった

 そこに目をつけたのが年金記録漏れ問題で精彩を欠き、再浮上を狙っていた舛添氏だ。「医師不足」を唱え、役人が抵抗するや「官僚と闘う舛添」を演出。次々直属の有識者会議をつくり、予算要求の根拠となる「ビジョン」を打ち上げた。一連の施策は支持率急落にあえぎ、予算の目玉が欲しい麻生太郎首相の思惑とも合致した。

 政府は08年度の診療報酬改定で、産科などの報酬を厚くした。しかし、勤務医の収入が増える保証はない。病院経営者が増収分を人件費でなく設備投資に回しても、国にそれを止める手だてはないからだ。

 舛添氏主導の税による所得保証は、専門や腕で評価に差がつくことに否定的な医療界に風穴を開けるものだ。それでも単なる予算措置では、「いつなくなるか分からない」との現場の不安を消せない。恒久的な制度への格上げを要する。

 出産育児一時金の引き上げをめぐり、舛添氏は年約450億円の所要財源を「全額税負担」と説明し、関係者の同意を取り付けた。しかし、ふたをあけると国庫負担は約190億円(満年度分)で、しかも1年半限り。厚労官僚が舛添氏に抵抗した理由の一つは、「継続性が担保できるのか」という点だ。同省はいずれ所要財源を保険料でまかなう意向だが、企業負担の増加を嫌う経済界の同意を、今後得なければならない。

官僚の言うことも一応いちいちごもっともとも言える根拠はあるわけですが、結局のところ動かないことを大前提とした言い訳に過ぎないという見方も出来てしまうわけです。
将来はどうとか継続性がこうとか、猫の目医療行政で全く現場の信頼を失っている厚労省が口にしたところで「お前が言うな!」で終わる話ですよ。
桝添氏らのパフォーマンスはパフォーマンスとしても、官僚に主導される厚労省が全くと言っていいほど説得力ある医療の将来ビジョンを示すことが出来ていなかったという事実は事実として認めてもらうところから始めなければならないでしょうね。

少し前に株価が暴落したりで大騒ぎになりましたが、ああした局面で一番大事なのは将来がどうとか言う正しくとも即効性のない話ではなくて、今この瞬間に市場にどんなメッセージを送れるかということですよね。
まさに志気が崩壊しつつある(してしまった?)医療現場が求めているのも、100年先まで安心して継続できる医療システムなんてご大層な話ではないということを官僚は理解しているんでしょうか?
今は継続性がどうとか言う遠大な話よりも、必要な瞬間に必要な相手にはっきりした意思表示が出来るかどうかの方がはるかに重要ではないかと思うのですけどね。

ま、これで年明け早々政権がひっくり返って全部ご破算にでもなったら更に笑えますけどね(苦笑)。

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