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2008年12月12日 (金)

専門職の無知は犯罪的行為? ~ 公的施設内に巣くう病魔

交通違反を取り締まるお巡りさんが道路交通法を知らなかったとすれば、こんな物騒な話はないと思いませんか?

あなたが高速道路を普通に制限速度を守って100kmで走っていたとする、そこへどこからか覆面パトカーらしき車が忍び寄ってきて、サイレンを鳴らしながら停車を命じられた。
おかしいな?シートベルトも締めてるし制限速度も超えてないのにと不審に思いながら下車してみると、「は~い法定速度60kmだから40kmのオーバーね!今日はもう車運転しちゃダメですよ~」なんて赤切符を切られたとしたらどう思うでしょう?
ありえね~、まさかそれって偽警官?と思うかも知れませんが、医療機関の中でも最高峰とも言うべき天下の大学病院であり得ないことが起きていたりするから世の中怖いなと思うわけです。

宮崎大病院:「眼底検査は資格外」技師が不安訴え 病院側は「問題ない」 /宮崎(2008年12月10日毎日新聞)

 宮崎大医学部付属病院(清武町)の眼科で、眼底検査を担当する40代の男性技師が「資格がないのに患者に接するのは不安だ」と自分の仕事は医師法違反(無資格医業)に当たるのではないか、と訴え出ていたことが同大の話で9日分かった。同大医学部総務課は「技師の仕事は眼底を撮影する検査機械の操作なので医療行為には当たらない」といい、技師側と意見が相違している。

 同課によると、技師は医療用の写真撮影が担当で04年4月に眼科に配属。当初、週2回、検査機を操作し、外来患者の眼球に光を当てて撮影する作業をしていた。06年に新型検査機を導入した以降は専従になった。

 技師は今年11月、撮影の際に患者のまぶたを広げたりして皮膚を触る行為が「医療行為になるのでは」と総務課に相談。同課は患者に目薬を差したり、診断する行為は医師や看護師が務めており、技師が患者に触れることは「撮影作業の一つで問題ない」と回答したという。

臨床検査技師というのは試験を課せられた立派な国家資格なのですが、その業務は法令によって指定される範囲で実に多岐にわたっておりまして、散瞳薬を投与しない眼底写真検査はもとより、血液や尿などを機械にかける検体検査から心電図、脳波などの生理学的検査、更には病理解剖の助手や医師の指示のもとに行う採血をまでも業務範囲となっています。
つまり、いやしくも臨床検査技師の資格をもっているのであれば眼底検査を行うのに何の問題もないのですが、こういう基本的な関係法令すらも知らないと言うことになると果たしてこの御仁がホンモノの技師資格を持っているのかどうかの方が疑問とされるところです。
昨今では色々と資格偽証なんてトンでもないことがまかり通っているようですから、これを機会に大学病院当局は今一度職員の資格確認を徹底する必要があるように思いますね。
何より受診する患者さんの立場からしても基礎的知識すら持っていないスタッフからどんな無茶苦茶な行為をされているか不安に感じるところ大だと思いますし、有資格者であれば当然に承知しておいてしかるべき法令すら知らない人材を雇用していることは公費の壮大な無駄使いであるとの非難を受けてもやむなきところではないでしょうか。

宮崎県と言えば早くも2002年の段階において県立延岡病院から麻酔科医5人が集団辞職するという事件が発生し、全国に先駆けて今日に続く医療崩壊という現象のはしりとなったことで俄に有名となった県ですが、さすがに色々とあると言うことなんでしょうかね。
ただし有名な知事さんの愛する同県の名誉のためにも申し添えておきますが、給料分の仕事もしなければ能力もない公務員根性丸出しなスタッフの問題は別に宮崎県に限った話ではありません。
全国どこでも公立病院と言えば巨額赤字を生み出す温床となって久しいのですが、その一因としてこうした過剰な不良在庫を抱え込んでいるという事情もあるのです。

地域医療の危機:揺れる県立病院再編案/2 高コスト体質 /岩手(2008年12月5日毎日新聞)

 ◇食いつぶす内部留保--半年で無床化「約束違う」

 「無床化は絶対に行わないこと」。県医療局の新経営計画案を受け、入院ベッドを廃止する無床診療所化の対象になった県立病院・地域診療センターがある地元6市町村の首長、議長らが3日、達増拓也知事らに提言書を渡し、計画案に強く反対した。
(略)
 こうした批判を覚悟の上、県医療局は非公開で新経営計画案を検討。来年度からの実施を急ぐ背景には、県立病院の厳しい財政事情がある。
(略)
 県立中央病院の望月泉副院長は「そもそも地域診療センターは、民間では考えられないほどコストを要している」と指摘する。改革プランは5病院の無床診療所化を掲げたが、地元住民らは「地域から入院ベッドが失われる」と反対運動を展開。それぞれ19病床を残し地域診療センターに移行することで妥協し、結局は中途半端な経営形態だけが残った。県医療局の細川孝夫次長は「前回(改革プラン策定時)は、地元の(ベッドを)残してくれという声を踏まえただけ」と話す。

 この結果、5センターだけで07年度は7億2200万円の赤字を計上した。最大の要因は人件費。紫波の場合、常勤医3人のほか、3交代で勤務する看護師が18人。19病床の紫波では入院患者数よりも多い状況だ。

 各地域診療センターの一般会計からの繰り入れを含む医業収益に対して人件費の割合は、▽紫波116・1%▽大迫115・8%▽花泉132・7%▽ 九戸146・0%--(07年度、08年度から診療所化の住田は除く)。県医療局の根子忠美・経営改革監は「一般に自治体病院の場合、6割程度に抑えるのが望ましい」と高コスト体質を認める。

 九戸村の岩部茂村長は「医師は不足しているのに看護師らスタッフはそろっている。患者が減る分、赤字になるのは見えていたはず。職員配置など柔軟に対応できなかったのか」と疑問を呈す。

まあ「6割程度に抑えるのが望ましい」というのもずいぶんと緩い話で、普通医療機関の健全経営には人件費率4割以下というのが目安とされているわけですから、公立病院は何故そうまで高コスト体質なのかと言うことを真摯に反省し改善していかなければならない。
そもそもそんな不要な人件費を使っていると言うことになれば本来自治体首長は地域住民に顔向けが出来ないはずなんですが、特に田舎の公立病院となるほど公共事業と同じで「地元への還元」という役割を担っていますから、医療費が潤沢であった時代には案外問題にならなかったんですね。
ところが今のような財政危機の折ですと当然に昔と同じ垂れ流しをやっていては困るわけなんですが、恐ろしいことに赤字にあえぐ自治体にとってはおいそれと辞めさせるわけにもいかない事情もあるのです。

現場から:米内沢総合病院 退職金負担が足かせに /秋田(2008年12月5日毎日新聞)

◇北秋田市と上小阿仁村、運営組合存続で対立
 北秋田市の公立米内沢総合病院(高田五郎院長)を運営する北秋田市上小阿仁村病院組合(管理者、岸部陞(すすむ)・北秋田市長)を存続させるか、解散するか。組合を構成する北秋田市と上小阿仁村の意見が真っ向から対立している。多額の赤字でこれ以上の財政支援は耐えられないが、解散に伴う経費を出す余裕もないという深刻な事態。医療機関の危機をどう軟着陸させるのか、両市村の12月議会から目を離せない状況だ。

 ◆再三の要請

 「組合を離脱したい」「組合を存続するという北秋田市側の考えには同意できない」--。上小阿仁村はこれまで、北秋田市に対して再三要請してきた。

 同病院はかつて17人の常勤医師がいたが、現在は6人。252床のうち稼働は125床と半分に満たない。今年度の病院の赤字見込み額は2億7100万円に上り、当初予定より3000万円増えた。小林宏晨村長は膨らむ負担金繰り出しが「村財政の限界を超えている」と訴えてきた。
(略)
 11月上旬にあった北秋田市議会の全員協議会では「組合は解散し、すっきりと市立化すべきだ」と容認論が出る一方、「地域の医療問題を考えれば解散はマイナス」と難色を示す声もあった。

 ところがここに来て、従来の論議とは別の課題が浮上してきた。

 ◆改善策裏目に

 病院組合は収支改善策として、病院職員の減少を柱とした合理化を進めてきた。その結果、07年4月以降に50人が退職。職員数は約3分の2になった。

 退職者には、すでに県市町村総合事務組合(秋田市)から9億4000万円の退職金が支払われた。同組合は24市町村と一部事務組合(消防団など)の計41団体で構成。退職金手当は各団体が積み立てた資金から出す仕組みとなっている。

今回の大量退職によって支払額は病院組合の積立金を大幅に上回り、事務組合は両市村に対し、もし病院組合を解散するなら不足分7億7900万円(北秋田市7億2400万円、村が5500万円)の「清算金」を払うよう求めた。

 ◆苦渋の選択

 自治体にとって、苦しい台所事情の中で多額の資金を一度に準備するのは困難。組合管理者である北秋田市の岸部市長は市議会全員協議会で「これ以上の財政負担はできない。(病院組合を)継続したい」と表明した。同市は組合解散の関連議案を9日からの12月定例会に提出せず組合を継続させる方針だ。

 これに対し早期解散を目指す上小阿仁村は、一時的な負担を覚悟のうえで16日からの村議会に関連議案を出す意向。双方の溝は容易には埋まりそうにない。

公立病院も改革をしようとすればしたで、これだけの問題があるわけなんです。
しかし続けるも地獄、やめるも地獄となれば、手を出すべきではなかったものに手を出してしまったことが最大の失敗だったということになるのでしょうか。
いやあ、何だか日々の生活においても教訓となりそうな結論ではありますかねえ(苦笑)。

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