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2008年12月 4日 (木)

政府の将来ビジョンは? ~ 介護業界の今・その二

今日は昨日に続いて介護ネタをもう少しやります。

金がない人がいないとナイナイ尽くしの介護業界ですが、少なくとも社会的需要は大きなものがあるわけです。
政府厚労省としてはこのまま介護を潰す気なのか、それともテコ入れして何とかしようとしているのか、まずは監督省庁の責任としてその点を明らかにしなければならないところではないでしょうか。
というわけで、最近の報道の中から政府の目指すところに関連する話題を取り上げてみましょう。

「療養介護士」の創設提言(2008年11月12日  読売新聞)

厚労省案 経管栄養やたん吸引など可能に

 厚生労働省は12日、あるべき介護の将来像を示す「安心と希望の介護ビジョン」のたたき台をまとめた。

経管栄養やたんの吸引など一定の医療行為を行う「療養介護士(仮称)」の創設や、介護職の給与公表の推進などが盛り込まれた。

 ビジョンは、舛添厚生労働相直属の検討会が7月から検討していたもの。たたき台では、2025年の高齢社会を見据えた上で、〈1〉高齢者が地域づくりに貢献できる環境づくり〈2〉地域で暮らし続けるための介護の質の向上〈3〉介護従事者にとっての安心と希望の実現――の3点を強調している。

 介護の質の向上では、総合的なケアを提供するための専門職として、経管栄養やたんの吸引など、原則として医療職しか認められてこなかった一部の医療行為が行える「療養介護士」を創設する。24時間対応の訪問介護・訪問看護事業者の確保、在宅生活支援リハビリテーション拠点の整備なども盛り込まれた。

報道だけ見ているといつもの判ったような判らないような言葉の羅列で「そのコストは誰がどうやって負担するの?」と言う話がてんこ盛りですが、ここで注目すべきは新たな資格職らしい「療養介護士」なるものの創設でしょうか。
おそらく全国多くの介護関係者が「それって介護福祉士とどう違うっちゅうねん?!」と突っ込みを入れたことと思いますが、まずもってこういう意味不明の新資格導入という話は認定業務関連で天下り先なりのうまみを求めているのだと考えておけば間違いありません。
さすがにあまりにバレバレだと例によって「誤解」を受けるとでも考えたのでしょうか、直後に早速こんな報道が出ています。

「療養介護士」創設見送り 介護従事者に経管栄養などの医療行為研修を(2008年11月20日医療タイムス)

 舛添厚労相の私的諮問機関「安心と希望の介護ビジョン」は20日、介護ビジョンの取りまとめを行った。厚労省が提案した「療養介護士」の創設については、新資格創設は見送られた。「療養介護士」は厚労省が前回会合で、介護士が経管栄養や喀痰吸引などを行える新たな資格として提案。在宅での生活を推進していく上で、経管栄養などの医療行為が行えるよう緩和は必要と、委員らも趣旨には賛成だった。しかし、新資格の創設では普及に時間がかかるなどの指摘があり、最終的に「療養介護士」創設は見送られた。その代案として、必要な研修を受けた介護従事者が施設入所者に対し、医師や看護師との連携の下に、安全が確保される範囲内で経管栄養や喀痰吸引などを行えるよう条件整備を行うことを決めた。具体的には、介護福祉士などの研修項目に経管栄養や喀痰吸引などを盛り込む。

新資格なんてなしでもやれるなら最初っからそれでやれよと言いたくなるところですが、この程度の朝令暮改でへこたれていては昨今の厚生行政についていくことなど出来ないということですね。
問題はどの程度の行為が実際に出来るのかということですが、例えば吸痰一つを取ってみてもその道はなかなか奥が深く、正しく正確に行うには長年の修練を要するという技術です。
単に「法令上行えるようにする」だけではなく、背景の医学知識まで含めてきちんとした教育が行っていけるかどうか、果たして現状の介護の現場にそこまでの対応が出来るのかどうかにも注目が集まるところですが、何しろまだ話が出たばかりの段階ですので今後の展開に注目していきましょう。

さてもう一点、今度はこの不景気の寒風厳しい世情にとっては光明となるかも知れないという密やかな期待感もこもる?ニュースです。

フリーターを介護職員に 厚労省、雇用事業者に助成金(2008年11月19日日経ネット)

 厚生労働省は2009年度にも年長のフリーターを介護職員として雇用した介護事業者への助成制度を始める。25歳以上40歳未満のフリーターが対象で、 1人当たり年100万円を1回助成する。就職環境の厳しい年長のフリーターを人材の不足する介護分野に誘導する狙い。19日午前に開かれた自民党の雇用・生活調査会で報告した。

 助成金は採用6カ月後に50万円、その6カ月後に50万円を支給する。介護事業者ごとに最大3人までを助成対象とする。

 厚労省は12月から、介護事業者が介護業務の経験のない人を採用した場合に年50万円を支給する制度を始める計画。この制度とは別に、年長のフリーターを対象にした助成策を設けることにした。

以前から「医療・介護は国民的事業としてもっと拡大せよ」と主張している者としては不景気だからやるって話ちゃうやろ!と言いたいところですが、ついでにケチをつけておきますと中途半端な年齢制限には何の意味があるのでしょうか?
むしろリストラされた中高年層やリタイアしたプレ被介護者も含めて、国民全員参加の国民的事業として介護というものをやっていったらいいじゃないですか。
道路なんてものより介護の方が今後はるかに需要の伸びが見込まれるわけですし、将来性という点でも社会的容認度という点でも土建行政と揶揄されるよりはるかに票に結びつくんじゃないでしょうか?
そのためにこれだけの財源が必要ですが、これは間違いなく国民の皆さんに還元されるお金ですときちんと説明していくのが、今こそ政府厚労省に求められている仕事なのだと思いますけどね。

さらに大風呂敷を広げてみますと、どうせ教育現場でボランティアを必修化しようなんて話もあるようなご時世なんですから、いっそ介護経験を単位認定してみるというのはどうでしょうか。
中学、高校あたりでは年間何十時間か介護現場に参加すればそれなりの点数がついて内申書も有利になるとすれば、それなら話のネタにもやってみようかって人間は結構いるんじゃないかと思うのです。
実際どのあたりまでやらせるかはまた今後の検討課題ってやつですが、少なくとも最低限の救急対応とか介護の仕事は基礎教育の段階で仕込んでおくことによって、国民ほぼ全てを介護と言うものに関して最低限の「手に職を付けた」状態にしておくことが目的です。
その昔には日本にも徴兵制度というものがあって、一通りの基礎的教育を行った予備役を有事に動員するということが行われていましたが、平和国家日本にふさわしいのは国民皆兵ならぬ国民皆介護従事者という国家方針ではないでしょうか。

というわけで、どこかの政党でもこんな政策掲げてみてくれませんかね?

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