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2008年12月16日 (火)

非配偶者間体外受精が「日本生殖医学会から」認められた

ちょいと前振り代わりの話ですが、例の阪南市立病院の件に絡めて阪南市議会のみもと栄次氏のブログを見学させていただきました。
外野としては中の人もそれなりに大変なんでしょうねと言うしかありませんね。

2008年12月 5日 (金) 市立病院が大変な局面を迎えることになってきました

2008年12月13日 (土) 昨日、市立病院関連特別委員会がありました

まあ当事者のどの方々もそれぞれの考えに基づいて精一杯の活動をしてらっしゃるんだとは思いますが、現実問題としてこういう状況になってしまうともうキレイな形での収拾なんて無理でしょうよ。
ところでみもとセンセ、当方のような怪しいサイトの管理人が申し上げるのも僭越ではございますが、一応の公人の方が実名を出してブログを開いているのであれば、スポンサーのリンク等にももう少し気をつかわれた方がよろしいのではないでしょうか?(苦笑)

ここらで話は変わって本日のメインディッシュですが、不妊治療に関してちょっとばかり興味深いニュースがありましたので紹介しておきます。

夫婦以外の体外受精を容認 生殖医学会、来年3月めど(2008年12月13日47ニュース)

 不妊治療実施施設の医師らでつくる日本生殖医学会は13日までに、夫婦間以外の第三者から提供された精子、卵子を使った体外受精による不妊治療を容認する方針を固めた。家族や知人からの提供も認める。来年3月をめどに実施のための指針をまとめる計画だ。

 夫婦間以外の体外受精をめぐっては、厚生労働省の部会が2003年、匿名の第三者からの提供に限って認めるとの報告書をまとめたが、法制化の動きは止まったまま。ほとんどの産婦人科医が加盟する日本産科婦人科学会は「現時点では実施するべきでない」との立場を取っている。

 一方で、国内でも一部の医師が夫婦以外での治療実施や出産例を公表。海外に渡り精子や卵子の提供を受ける夫婦も相当数いるとされる。早急な対応が求められる中で現場レベルの動きが進んだ形だ。

 生殖医学会によると、治療の対象は自分の精子や卵子を使って子どもを得ることができない夫婦。提供者には制限は設けない。提供は無償だが、交通費などの実費は支給する。生まれた子が出自を知る権利を認め、一定の年齢に達して本人が希望すれば、提供者の名前を告知するなどとしている。

 学会は来年2月中に倫理委員会で指針案をつくり、3月の理事会に諮る方針。

不妊治療の手段として行われている体外受精に関しては、本邦でも2006年の時点で年間9万4千件が施行され、通算で生まれた子供の数も10万人を突破するなどずいぶんとメジャーな方法論になってきています。
長野で不妊クリニックを開いている根津八紘氏などは自らも先進的な不妊医療を実施する一方で、着床前診断に関する産科学会の規定無効を訴える(二審まで敗訴確定済み)などなにかとメディアを賑わせていることは周知の通りですが、一方では産科学会が中心になってこの辺りの大方針を政府と詰めてきたという長年の歴史があります。
こうした経緯も踏まえた議論の流れの中で、非配偶者間の体外受精に関しては平成15年の時点で「人工受精に用いる精子・卵子の提供者は匿名の第三者とすること」という倫理審議会答申書が示されたまま、現在に至るまで目立った法制化も行われず表だって実施される機会もないまま時ばかりが過ぎている現状があります。
今回の報道の何が面白いかと言えば、こうした厚労省-産科学会のラインで停滞している流れに反して、日本生殖医学会(旧・日本不妊学会)という別組織がこうした見解を示したということなんですね。

産科学会がこうした非配偶者体外受精に及び腰であるのは、一つには出生児の地位・権利などといった法的側面の未整備もあると同時に、もう一つは産科婦人科学会という名が示すとおり同会が産科、婦人科の全領域を包括する非常に大きな組織であることも関係しているように思いますね。
ほとんどお産は扱わない婦人科専門医から日々の奴隷労働をこなす末端産科医まで含まれている会員達のほとんどにおいて、不妊治療という行為の占める意味というのはさほど大きなものではないんだろうなとは容易に想像できるところです。
だいたいが不妊治療というものは高額な費用を要する保険外医療であって、こうした行為の多くが大病院の産科外来よりも各地のいわゆる不妊クリニックで行われているわけですが、昨今の産科崩壊という流れの中で不妊医療を行う医師たちに対して「過酷なお産の現場からドロップアウトした産科医が楽して稼いでいる」と見なす風潮が強まっていることは否定できません。
不妊治療を行うような妊婦さんというのは高齢など元よりハイリスクな症例が多いわけですから、いざ産むという段階になれば高次産科医療施設にお任せという場合が少なくないわけですが、当然ながらこうした施設で過酷な勤務をこなす末端産科医たちにとっては、やっかいな症例を押し付けてくる存在である不妊クリニックというものが面白かろうはずがありません。

いずれにしても法的側面が全く未整備である以上、なにかしらの権威づけのもと手探りで行っていくしかないというのは確かでしょうが、世の中には「船頭多くして船山に上る」という言葉もあります。
前述の根津医師は非配偶者間体外受精の実施を理由に産科学会から除名処分を受けましたが、産科学会以外からの権威づけに基づいて行われた行為に対して産科学会がクチを出すことは出来ない理屈ではありますよね(容認するかどうかは別として)。
複数の権威がそれぞれの方向を目指してやりたいことをやっていくと言う状況は、ものすごく好意的に解釈するならば今まで以上に幅広い選択枝を提供し得るチャンスと言う言い方も出来るのかも知れませんが、どこかの段階で大きな問題が起こってくるのが目に見えているようにも思います。

別に産科医に限ったことではないですが、医療従事者というのは従来自分たちの行為が法的にどれほど危ない橋を渡っているのかに関してあまりに無自覚だったというのは事実でしょう。
報道を見る限りでもいろいろと危惧されるところは多々思いつくのですが、果たして生殖医学会はそうした司法リスクの面も考慮しながら話を進めているのかどうか危惧しないでもありません。
いずれ何年か何十年か先のことかも知れませんが、どこかで誰かが告発されただのという話になるかも知れませんね。

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