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2008年12月29日 (月)

新潟の医療行政ってどうなのですか?

年の瀬も押し詰まってきましたが、世間では不景気の嵐が吹き荒れて大変なようです。
ところが世の中には、そんな世知辛い世情を一発で吹き飛ばしてしまいそうな景気の良い話もあるようなのですね。
自分の知る限りでは話題の始まりはこのニュースだったと思いますが、まずこちらから紹介してみましょう。

「魚沼基幹病院」計画が始動 /新潟(2008年9月15日朝日新聞)

●「7年待てない」地元に懸念の声
 魚沼医療圏の救急医療などを担う、魚沼基幹病院(仮称)の設立準備が本格化し始めた。8月末には、基幹病院を含めた地域医療全体を検討する「整備協議会」の初会合も。年度内には病院のベッド数や医師、診療科数などの基本計画が策定される見込みだ。とはいえ、開院は7年後。地元からは、現在も続く、厳しい医師不足の現状に「7年も待てない」。そんな悲鳴があがっている。

 新幹線のJR浦佐駅から車で約5分。住宅街の中を走ると、広い水田地帯が見えてくる。この水田の一部が、7年後に開院予定の魚沼基幹病院(仮称)の最有力候補地だ。
 基幹病院は、救命救急センターや地域がん拠点、周産期医療の機能を担う。災害時の拠点病院にもなる。県が建物をつくり、財団法人が経営する「公設民営」で、研究所などの研究機能の併設も検討されている。
 救命救急センターがない魚沼医療圏では、重篤な救急患者は圏外の病院に運ばれる。湯沢町や津南町、旧入広瀬村(現魚沼市)など、搬送に1時間以上かかる地域もある。高度医療ができる病院もなく、心筋梗塞(こうそく)や狭心症患者の約6割、がん患者の約4割が長岡市などの他圏域で診療を受けているのが現状だ。
 基幹病院の開業にあわせ、既存病院の再編もすすめられる。現在、比較的専門性の高い二次医療などを担っている公立病院は、規模を縮小するなどし、日常的な健康相談や一般的な疾病に対応する「一次医療」に主に専念する計画だ。小出、六日町の2県立病院はこれに伴い、市立病院などに生まれ変わるという。

泉田裕彦知事は、魚沼医療圏の理想的な将来像として、米・ミネソタ州の「メイヨークリニック」と同様の病院を描いている。同クリニックのあるロチェスター市の人口は約9万人。そこに高度な治療を求めて年間約40万人が訪れ、薬品や福祉などの関連企業も集積している。
 07年5月に南魚沼市であったタウンミーティング。泉田知事は魚沼医療圏が、東京から新幹線で約1時間半の好立地であることを強調した上で、こう続けた。「東京から患者、見舞客、医療、健康産業にかかわる人たちが集まってくると、町のイメージが大きく変わる。まさにあこがれの地、魚沼が出現する」。

「病院を開設する前に、魚沼から医師がいなくなる」

 「7年は待てない」
 8月28日。基幹病院を含めた地元医療について考える「魚沼地域医療整備協議会」の初会合が、南魚沼市で開かれた。委員を務める、地元の医師や首長、住民らから、厳しい意見や指摘が飛び出した。
 委員の多くが訴えたのが、現在、同医療圏にいる勤務医が、厳しい勤務環境などを理由に、基幹病院の開設を待たずに退職してしまうのではないか、という不安だ。
 魚沼医療圏の人口10万人あたりの医師は、126.2人。県内で最も多い新潟医療圏(同241人)の約半分で、全国平均(同217.5人)から見ても厳しい勤務実態がうかがわれる。委員の一人で、地元の医師として、基幹病院計画に当初からかかわってきた庭山昌明医師は指摘する。
「現場の医師は過重労働で本当に苦しい状況にある。医師不足対策で最も重要なのは、今いる医師の流出を食い止めることだ。そのためには、医師のモチベーションが上がるよう、基幹病院の運営方法や開院後の医師の身分などを一日も早く具体的に示す必要がある」
 そうした声がある一方、基幹病院の医師をどう確保するのかという問題や、基幹病院開設後の既存病院の医師の処遇や、医師の確保対策でも不透明な部分が多く、地元関係者は危機感を強めている
 開院後の課題を指摘する声もある。同様の再編を行った他県の例では、開院後に患者が基幹病院に集中、既存病院の患者が減ったり、基幹病院がパンク状態になったりする影響が出ている。医師も、基幹病院への勤務希望が多く、周辺の既存病院は敬遠される傾向があるという。
 魚沼市地域医療対策室の中川太一・室長は「市民の大病院志向、専門医志向で、患者が基幹病院に集中する可能性もある。かかりつけ医などを持ってもらい、基幹病院に集中しないように市民に理解をしてもらう必要がある」

しかし、当今の財政事情の悪化に加えて「厳しい医師不足の現状」の中で、今どきこういう巨大ハコモノ計画ですか…
先日も湯沢町の重粒子線治療施設計画についての続報を書きましたが、こちらは更に輪をかけて大規模と言いますか、ほとんど夢想的な話ですよね。
こういう何でも病院を欲しがる地元の感情も理解できないではないですが、メイヨークリニック云々はともかく「まさにあこがれの地、魚沼が出現する」ってキャッチコピーはどうなのよと。
千葉県南部の片田舎には亀田メディカルセンターという有名な医療施設があって、今や全国から医師も患者も集めるような存在になっていますが、あの存在によって地元の千葉県鴨川市があこがれの地として崇め奉られているなんて話は聞いたことがないんですが。

まあ知事閣下の思惑はそれとして、最近になってその素案なるものが公開されましたのでこれも記事から紹介してみます。

魚沼基幹病院設置へ地元素案(2008年12月25日新潟日報)

 魚沼基幹病院設置について話し合う「魚沼地域医療整備協議会」が二十四日夜、南魚沼市大和庁舎で開かれた。外傷センター機能を持ち、病床は四百五十四床規模、診療科は内科など二十二科を基本にするとした地元素案が示され、同病院の概要が初めて明らかになった。同素案は、今後県が策定する基本計画の骨格となる。

 県立六日町、小出両病院長など地元医療関係者による同協議会の専門部会「魚沼基幹病院設置準備委員会」が、病院の機能や規模について九月から検討してきた結果を地元素案として報告した。

 素案には、病院機能として検討されてきた救命救急センター、周産期母子医療センター、災害医療センターなどのほか、魚沼地域に多いスキー場での事故などに対応するため、新たに外傷センターの機能を盛り込んだ。

 病院の規模は、一般病床四百床、精神病床五十床、感染症病床四床の計四百五十四床。診療科は内科、小児科、産婦人科など二十二科を基本に、形成外科と救急科の設置も検討する。

地域のがん医療の中心的役割を果たすとともに「放射線治療医の確保を念頭に、放射線治療の施設整備が必要」としている。地元医療機関との診療情報の相互交換を行い、患者の利便性と医療の質の向上に向け、電子カルテネットワークの構築も検討する。

 同日の協議会では「素案に基づくと七十-八十人の医師が必要になる」「医師確保に向け、県立病院ネットワークの維持が重要」「(運営する)財団法人における身分や給与などを早く明らかにしてほしい」などの意見が出た。

 協議会は今後、地域住民に地元素案を周知した後、最終報告「地域医療整備の全体像」を取りまとめる。これを受け、県は本年度内にも基本計画を策定する予定だ。

循環器も周産期も扱うわ、精神科もやるわ、癌診療拠点も目指すわ、おまけにスキー客の救急外傷も扱うわ…いやまさに、本気でこれが出来たら新潟に素晴らしい医学の桃源郷が誕生することになりそうですね。
問題はこの地でこういう高度な診療をやってくれる「七十-八十人の医師」をどこからどうやって確保してくるかと言うことですが、何でも知事閣下の話によればこんな感じの計画らしいです。

平成20年1月23日 泉田知事定例記者会見要旨より

今まで地元の要望、場所(建設地)の関係の調整等を行ってきましたが、具体的に医師を確保していくためには、働く方にとっても魅力のある病院でなければならないと考えていますので、医師の視点でも病院基本計画の策定を進めていきたいと思っています。研究所の併設ということを進めながら、病院長、研究所所長の具体的な人選を念頭に置いた上で、アドバイザリーボード(諮問委員会)の設置を夏までに進めたいと思っています。そして、新年度(平成20年度)内に整備基本計画の策定を終えてしまいたいと思っています。ここから先(整備基本計画策定後)はハードの設計ということになりますので、ここまで行けば機械的に流れていくと(思います)。平成23年度の着工を目指してスケジュールを進めていきたいと思っています。
 医師確保そしてまた魅力的な病院にするために、研究所の併設を考えているわけですが、現段階での希望ですが、特色として持ちたいのは成人病に対応できる病院。多くの人が成人病と言えば魚沼基幹病院に行かなければいけないというような形になるとか、もしくは昨日も京都大学に再生医療の研究所(iPS細胞研究センター)ができましたが、再生医療のような分野で、一つの役割が担えるような機能、こういったものを持てないかということを念頭に置いて、研究所所長の人選を進めていきたい(と思います)。単独候補というのはおそらく固まらないと思いますので、候補者ということを念頭に置いたアドバイザリーボード、基本計画の策定委員会という性格を帯びてくると思いますが、設置したいと思っています。

研究所が併設されていれば医師にとって魅力的な病院になるのなら、全国の大学病院は今ごろ医師が殺到してウハウハの状態になっていてもおかしくないだろなんて野暮な突っ込みはこの際やってはいけません(苦笑)。
しかし急性期に特化するのかと思えば成人病もやるって、この知事はこの種の慢性期疾患患者を基幹病院が吸い上げてしまった場合にどうなるか考えていなかったのでしょうか?
そもそも急性期と慢性期では扱う医師の気質も違えば病院の性質も違うわけですが、そうした差違は無視してとにかく頭数さえ揃えればいいだろうという感覚なのでしょうかね?

医師集めの現実性は別として当然ながら「新病院に医師を引っこ抜かれた既存病院はどうなるの?」という疑問が湧いて出るわけなのですが、知事閣下からは何とも心強いお言葉をいただいております。

同・質疑より


 若干ネガティブかもしれませんが、魚沼基幹病院に人が集まれば、結果的に県内の他の病院の医師不足が進んでしまうというジレンマがありませんでしょうか。

A 知 事
 したがって、役割分担ということで、これまでのフレームワークで相談してきているわけです。(南魚沼市立)ゆきぐに大和病院との関係を含めて、「まあこんなところかな」と意見が煮詰まりつつありますので、具体的な計画に落としていきたいということです。
 医療は単純ではありません。日本は先進諸外国と比べて家庭医と専門医の役割分担がうまくできていないんです。病院というと小さい診療所から大病院まですべて同じようなことをやるかのような錯覚があるわけです。これが勤務医の先生方の疲労を招くということもありますので、今の質問はすべて同じようなことをやるということを想定しての質問なので、まずその考え方を直していかないといけないということではないでしょうか。

「まずその考え方を直していかないといけない」そうです(苦笑)。
以前に湯沢町長さんの突っ走りっぷりについても感じたことなんですが、何かすごくずれてるんじゃないかなと言う素朴な疑問を感じているのは自分だけでしょうか?
良く言えば何とも楽観的かつ前向きでうらやましくなる性質なのでしょうが、もしかして新潟の県民性ってものがこんななのでしょうかね?
いずれにしても今後の続報込みで、こちらも地元情報なりと是非とも期待したいニュースではありますね。

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