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2008年11月13日 (木)

地方の医療行政あれこれ ~ 人が逃げ出す自治体と集まる自治体

予想通り二階発言の二の字もマスコミの俎上に載らない今日この頃、皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか?(笑)。
Yahoo!のニュース検索で見ても、医療系派遣会社関連のCBニュースでわずかに一つ、二つ散見されるのみですからね。
一方で奥田氏発言などはずっと大きく取り上げられたりもするわけですから、国民一般の関心がそちらに向いているのか、あるいはマスコミ自体の何らかの意図があるのかですが。

さて、少し前に大阪の阪南市立病院の愉快な話を取り上げましたが、いよいよ辞表提出にまで至ったようですね。

阪南市立病院、医師8人が辞表提出 新市長就任日に(2008年11月12日産経新聞)

 医師の大量退職から経営難に陥った大阪府阪南市立病院で、新たに確保した医師が新市長の病院経営見直しなどに反発し辞意を伝えている問題で、医師8人が12日、辞表を提出したことが分かった。この日就任した福山敏博市長は話し合って慰留する考えだが、市立病院の運営は再び厳しい局面を迎えた。
 この日午前中に、辞表が提出された。関係者によると、常勤的に診療をしている医師2人のほか、当直医などで、来年2月末などに退職する意向という。
 阪南市立病院は、医師の大量退職で昨年7月に内科が休診。その後、歩合給を導入して医師の平均年収を約2000万円に引き上げる待遇策を掲げるなどして医師確保を進め、今年9月に内科の診察を再開するなど再建に乗り出していた。しかし、10月の市長選で現職を破り初当選した福山市長が、歩合給の見直し検討などに言及していた。
 医師らは、福山市長の発言は、給与体系を見直した議会の議決を無視したもので、信用できなくなったなどとして反発。これまでに辞意を表明していた。
 市側は慰留に努めるが、辞職につながれば、医療収益が大きく減少するなど、運営に支障が出るおそれがある。

良く言って契約不履行、普通に言って詐欺まがいの行為ですから当然の結果と言えば結果なんですが、いやしくも大阪であるなら少しはオチをひねれよとも言いたくなります。
しかし市長選の一番の争点とも言うべき問題だった市立病院関連でこうまで不用意な発言をしてしまう新市長とはどのような人物なのでしょうか?それも市民の選択の結果ではあるわけですが、う~む…
釣った魚に餌はやらぬとか朝三暮四という言葉が思い浮かびますが、こういう自治体の病院にこれからも引っかかってくれるお猿さん…もとい、医者がたくさんいるといいですねえ。

さて、こういった話題は大阪の地に限らずで、はるか南の沖縄でも楽しい話があるようです。
時系列を追って琉球新報から二つのニュースを取り上げてみましょう。

県病院事業局、医師手当など全廃(2008年10月28日琉球新報)

 県病院事業局が県立病院で働く医師298人の医師手当、調整額の全廃、初任給調整手当の支給限度額の引き上げなど手当の見直しを2009年度実施の方向で検討していることが28日までに分かった。病院事業局は、医師手当などの見直しの理由を「人事院勧告に従い、医師確保のための初任給調整手当を引き上げる財源としたい」と説明している。一方、県立病院医師は「医師確保のために働いている中堅医師の給与が削減されるのは本末転倒」と批判しており、離島・へき地の医師確保が困難になるとの指摘も出ている。
 特殊勤務手当の医師手当は、県庁を除く本島中南部以南の勤務地で月額4万5000円、県庁(事務職)・北部で同9万5000円、宮古・八重山で同16万円、南北大東島の診療所で同20万円が支給されている。全廃されると、年間総額で2億3520万円の削減。調整額は同1億4151万円の削減となる。
 一方、勤務35年目までの医師に支給される初任給調整手当については、県人事委員会の勧告に従い、上限を月額30万6900円から41万900円に引き上げることを検討、年間総額では3億4371万円の増額となる。
 同局は今月23日に県公務員医師労働組合、県公務員医師管理職労働組合に提案したが、組合側は受け取りを拒否。来月上旬あらためて提案したいとしている。
 親富祖勝己県公務員医師管理職労組執行委員長は「医師手当は特に確保が難しい離島、へき地での勤務に手厚く支給されている。それがなくなれば、離島、へき地の医師確保が難しくなり、医療が崩壊する。また若い医師を指導する中堅医師への影響も大きく、中堅医師の流出にもつながり、研修制度も崩壊しかねない」と指摘している。
 県公務員医師会が昨年5月に会員226人を対象に実施した「医師偏在化問題と医師手当に関する意識調査」では医師手当が廃止された場合、47・5%が「退職したい」と回答、「最後まで勤務する」とした9・5%を大きく上回っている

県、全廃を再提案 医師調整額 /沖縄(2008年11月11日琉球新報)

 県病院事業局が県立病院で勤務する医師298人の医師手当や調整額など手当ての見直しを検討している問題で、同局と、県公務員医師管理職員労働組合、県公務員医師労働組合の2回目の交渉が10日、県立南部医療センター・こども医療センターで行われた。
 局は給与の調整額について2011年4月に全廃することを再提案。10月の1回目の交渉で提案していた医師手当の全廃、初任給調整手当の上限額の引き上げについては具体的には提案しなかった。
 局の試算によると、調整額の全廃で県全体で年間2億5000万円が削減される。医師1人当たりでは平均で年額86万4800円、最高142万4000円の減額となる。2労組は「調整額は超勤、賞与、退職金、年金にまで影響する」とし受け取りを拒否した。
 県公務員医師管理職労組の親富祖勝己執行委員長は「調整額が全廃されれば、時間外勤務が多い医師、過酷な勤務状況の医師らの給与の下げ幅が大きい。医師確保が難しいこの時代に逆行している」と指摘した。
 医師手当について県病院事業局は提案文書の中で「今後も(労組と)よく話し合っていきたい」との考えを示した。

そもそもの事の発端は人事院勧告で医師の初任給手当を引き上げるよう言われたことなんですね。
これを「産科医を中心に待遇改善が図られてきているから」と拒否したのが昨今産科絡みで何かと話題の東京都なんですが、一方こちら沖縄の場合は初任給手当を引き上げる分を医師手当を引き下げて相殺するという素敵な方法を選んだということです。
沖縄の場合も近ごろの例に漏れず色々と医療問題を抱え込んでいるのは確かなんでしょうが、どうも噂を聞く限りはあまり頭の良い対応をしているようには思えません。
今回の件も全国にあまねく広がる医師不足の現状を知る者なら、誰もが同様な危惧を抱く話だと思うのですが…

批判ばかりではアレなので一応県当局をフォローしておくと、沖縄というところは比較的最近まで日本の医療制度外に置かれていたせいか今もちょっと独特な医療事情があるんですね。
今でも米国式医学教育をやっている病院があったりで、将来はアメリカに渡って医療をやりたいなんて夢を持つ人々には一定の人気を誇っていましたから、これでもちゃんと医者が集まるのならいいのでしょうかね。
虎ノ門のように奴隷労働と言われつつ昔から人気の病院もあるわけですから、金銭や待遇以外のインセンティブを提示出来るかというチャレンジの一つとして生暖かく見守ることにしておきましょうか。

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