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2008年11月15日 (土)

事故調いまだ迷走中

先日も第15回のことを少し書きました死因究明検討会の第16回目が記事になっています、が…これがまたよくここまでと思うような話になっているようですね。

3団体からヒアリング―死因究明検討会

 「第16回診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(座長=前田雅英・首都大東京法科大学院教授)が11月10日に開かれ、全日本病院協会、全国医学部長病院長会議、医療過誤原告の会の3団体からヒアリングを行った。

 全日病の徳田禎久常任理事は、医療事故の原因究明などを行う委員会の名称が、自民党案の「医療安全調査委員会(仮称)」に変更されたとして、「委員会の本来の設置目的からずれてきた」と批判。同検討会の「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案」の第3次試案については、「原因究明・再発防止と責任追及が同じ組織で行われることになる、第3次試案には反対の立場を取る」ことを明言した。
 また、日常の診療において患者、家族の信頼を得るために、▽患者、家族に診療内容を十分に説明することで納得してもらうこと▽リスク回避も考慮した診療システムの構築▽診療記録を電子化し、修正された場合の記録(時刻、修正理由等記載)も残るような、改ざん不可能なシステムづくり▽診療の経過を必要に応じて説明(予定通り進まない場合も)▽医療行為で患者に不利益をもたらす結果になった場合、診療記録を提示して説明し、患者、家族の疑問も記録すること―の5点を医療機関に義務付けるべきだとした。

 全国医学部長病院長会議の「大学病院の医療事故対策に関する委員会」で委員長を務める山形大の嘉山孝正医学部長は、「ハイリスクの医療を担う大学病院は、医療事故への対応を厳しく行っている」と、この10年間の大学病院の意識や制度の変革を強調。第3次試案の内容については、「事故調査と患者救済が混在している。この2つは分けて考えるべきだ」と述べた。
 さらに、医療安全調査委員会については、「多くの大学病院の調査委員会は十分に機能している。機能していない病院に厳重なペナルティーを科すようにすれば良い。(医療事故の調査などは)大学病院を中心に行えば、明日からでも動く」と力説した。

  25年前に娘を医療事故で亡くした、医療過誤原告の会の宮脇正和会長は、第3次試案の「医療死亡事故の届出」について、届出範囲に該当すると医療機関の管理者が判断したにもかかわらず、虚偽の届出を行う、もしくは故意に届出を怠った場合、「死者や社会に対する明確な犯罪行為として、厳しく対応すべき」だと発言。さらに、「内部告発者の救済制度を明確にしてほしい」と訴えた。

 質疑応答の中で、嘉山氏は「やはり医療サイドと患者サイドの相互理解が進んでいない。宮脇さんが受けたことは犯罪。カルテを隠ぺいしたとか、書き直したことは公文書偽造。それと医療の結果が悪いことは全く別だ」と反論。徳田氏は「医療安全の観点で事故死をどうとらえるのかという議論を、ここでしっかりやってほしい」と述べた。

ええと…一読して話の流れが見えた方、いらっしゃいますか?
頭の悪い管理人には「なんだこの要領を得ない記事は」という印象なんですが、どうも実際の検討会の方は記事以上に大荒れだったようですね。
いつもお世話になっている「ロハス・メディカル ブログ」さんで実際の発言を掲載しているんですが、どうもまあ皆さんいい歳をして何という…な内容です。
何とかまとめてみようかとやってみたのですが、とうていまとまりそうにないのでいくつかチェックだけ入れてみました(苦笑)。
もうあっちもこっちも到底意見が集約化されてきたなんて状況じゃないってことだけは判るという話ですね。

死因究明検討会16(1)より

堺秀人(神奈川県病院事業管理者・病院事業庁長)
「(略)さて嘉山先生に質問。刑事捜査や刑事裁判にかかわるところに各方面からたくさんの意見が出された。資料2-4-4では山形大での取り組みで事故発生時にどのように警察署へ届け出るか決められている。これが現時点での山形大の方針なのだろう。一方で嘉山試案では医師法21条に関して、医療関連死を異状死に含めないとなっている。若干の違いがあるようだが、この点の説明をお願いしたい」

嘉山孝正(大学病院の医療事故対策に関する委員会委員長・山形大学医学部長)
「山形大のマニュアルは拡大解釈された医師法21条、法医学会のガイドラインに則っている。ただし、これがいいと思っているわけではない。ただ法を破るわけにいかないから、こうなっている。でもあれは法医学会が勝手に拡大解釈しただけだと思っている。法医学会にも聴いたが、こんなことになるとは思っていなかったということだった。実は昭和23年に外口局長のすごい先輩の医政局長通達で、医療については異状死の対象から外すというのが出ている。その後、あまりにも目に余る一部の医師がいたために警察が入ってくるようになって、という流れがあるんだと思う。だから昭和23年の局長通達のようにやっていただければということで、この試案になっている。ただし勘違いしてもらったら困るが、犯罪はダメ。カルテ改ざんや事故の隠ぺいは犯罪だから。

ご存知の通り、医師法21条というのは有名な「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」というものですね。
福島県・大野病院事件でも起訴理由の一つとして取り上げられた通り、時代に合わないと指摘されて久しい条文ですが、厚生省独立の翌年に早くもこういう通達が出ていたとは知りませんでした。
と言いますか、それが生きているのであれば色々と話が変わってくるはずなのですが、どこで反故にされたのでしょうか?

永池京子(日本看護協会常任理事)
「(略)現代の医学をもっても解剖しなければ十分に分からないような時に納得しない遺族は当然いる。協会の中の看護倫理委員会にも、一生懸命説明をしたけれど納得してもらえなかったというような報告がいくつか来ているので。嘉山参考人にも伺いたい。大学病院が調査委員会として機能した時に、解剖したとしても分からないことは出てくるのでないか。そういう時に遺族が納得するか。宮脇参考人には、大学病院が調査委員会の機能を果たして納得いかない内容の報告が出てきた時に納得はいくか(ママ)、大学病院が調査委員会の機能を果たすことについてどう思うか」

嘉山
「失礼ながら永池委員の意見は自然科学をやっている人のものとは思えない。分からないことがあるなんて当たり前のことなんで、分からないことがあるから我々も日々研究しているんだし、たとえ人類としては分かっていることであっても宇宙船の仕組みなんかどんなに説明されても分かるはずない。だから患者さんご家族がどれだけ説明しても理解できないということは起こり得る。(略)どうやったら分かることができるかと言うけれど、説明する方と受ける側との間に信頼関係がある場合は、理解度が上がる。上がるというより、分かったような気になる度合いが上がる。(略)今不幸なのは、不信感があるために理解度が下がってしまうこと。早稲田の和田先生がやっているような間を取り持って理解度を上げていく取り組みがとても大事だ。我々が一つひとつ順番に情報を丁寧に説明していくことによって、理解したような感じがする、そこをめざすしかない。信頼を築くことこそが一番大事だ」

宮脇正和(医療過誤原告の会会長)
「10月2日に日弁連から発表された院内調査委員会についてのアンケート調査によれば、これは300床以上の病院の25%から回答を得たそうで全部で1900件の委員会が設置されていたが。大学病院の関係者で委員会を設置してのが6割で、しかし4割は患者からの聞き取りもやっていない。現在のこの状況で納得しろと言われても納得できない」

嘉山
「今のお話、患者さん家族の気持ちをsatisfyすることに焦点が当たっているということがよく分かる。しかし、それは医療事故を調査するのとは別の方策で行うべきだ」

ま、どっちの言い分もそれなりにお説ごもっともとしかいいようがないんですが、いきなりこの話題が「罵り合い」の引き金を引いちゃったみたいです(汗)。
当事者は嘉山氏と木下勝之氏(日本医師会常任理事)ですが、「警察は勝手に介入しないと約束した!」だの「全国の医師が事故調案に賛成だ!」だのといった医師会の嘘が既に色々と明らかになっている今の目で見ると、どっちが正しいか明らかと見えてしまうのは気のせいですかね?
で、この罵り合いに法学の権威たる座長の前田氏が乱入していくのが以下の(3)の部分なんですが、はっきり言って過去ずっとやってきた定義論争の延長ですかね…一部だけ抜粋してみますが。

死因究明検討会16(3)

木下
「医療界として了承した身として申し上げるのは、この第三者機関は責任追及はしない、と。ただ、その時にこれは明らかにヒドイという例は通知してほしい、それを警察・検察は尊重する、そういう仕組みになっている。通知しないとするならば、今まで通り警察の方が判断する。そこから見れば非常に狭められたことだけ通知すればよいのだから、対象が非常に狭くなって、我々医療側も動きやすくなる」

徳田禎久(全日本病院協会常任理事)
「大変申し訳ないが、それでは責任について判断していて、責任追及の一端を担っていると言わざるを得ない。何度も同じことを繰り返すが、医療安全のためには、当事者が包み隠さず話すということが大切で、そのことをどう担保するのか。一般的に責任を追及されると分かっていると本当のことを言わなくなってしまう。医療安全という観点から、事故死をどのように位置づけるのか、その結論をいただいたうえで改めて意見を述べる機会をいただきたい。1人1人の委員から、ご意見を伺えればと思う。そのために、もう一度時間を割いていただきたい」

前田雅英(座長・首都大学東京法科大学院教授)
「大学病院の院内事故調でこれは犯罪じゃないかというのが出てきたらどうするのか」

嘉山
「何が間違ってて何が正当な医療か我々でも判断をくだすのは難しい。この委員会とは別の話になってしまうが、医療界が自律してこなかったのは確か。木下委員にも申し上げたいが、日医にはガバナンスがない。自律的な組織をつくって自分たちで処罰していくのが専門家としての義務だと思っている。でも、それを刑法でやるのは萎縮医療を招くだけだ

話はまだまだ続きそうなんですが、結局事故調試案が出てきたころにあちこちから提出された反対意見のレベルから全く議論が進んでいないという感じですかね?
この点では調査と処罰は別系統でやると明記した民主党案の方がおおむね受けがいいようなんですが、それにしても結局処罰感情なるものをどうするか、司法の介入をどうするかという問題は先送りされるだけのように感じます。

ところがですね、こんな異論百出で到底まとまるものとも思われない話を、厚労省はすでに「説明会」なんてものまで開くと言っているわけなんですよ。
しかしまあ、参加するメンツを見るだけでも実にそうそうたるものがあるんですが…まともな反対意見など口に出しそうなのは全医連の黒川氏くらいか?
おおかた見切り発車でも「事故調は出来ます!」という既成事実化をしておけば後はどうにでもなるという魂胆でしょうが、いつもの後先考えない行動が後でどんな大事になるか…

医療安全調で「地域説明会」を開催―厚労省(2008年11月11日CBニュース)

 医療事故の原因究明と再発防止に当たる医療安全調査委員会(仮称)について理解を深めてもらおうと、厚生労働省は11月19日の九州地区を皮切りに、東海北陸、近畿、東北の各地区で「地域説明会」を開催する。参加費は無料。

 第1回は、福岡市の福岡国際会議場で午後4時から6時まで開催。診療行為に関連した死亡の原因を究明する制度(死因究明制度)の検討状況について、厚労省大臣官房参事官の岡本浩二氏が報告するほか、医療事故の調査に関するモデル事業の福岡地域代表の居石克夫氏(九大大学院教授)が講演する予定。

 パネルディスカッションでは、西日本新聞社会部記者の坂口由美氏がコーディネーターを務め、岡本氏、居石氏のほか、池田俊彦氏(福岡県医師会副会長)、大野優子氏(医療過誤原告の会)、黒川衛氏(全国医師連盟代表、真珠園療養所内科医)、小林洋二氏(弁護士、患者の権利法をつくる会事務局長)が意見を述べる。

 今後は、12月18日に東海北陸、同24日に近畿、来年1月25日に東北地区で開催を予定しており、その後は未定。今回の説明会について、厚労省の担当者は「各分野から幅広く集まって議論し、さらに理解を深めてもらいたい」と参加を呼び掛けている。

この話、結局どのあたりを落としどころにするかなんですが、これだけ悪印象が根付いてしまった医療事故調案はばっさり斬って捨てた方がいいんじゃないでしょうか?
厚労省の事故調案についてはすでにさんざん突っ込みが出ていますが、要するに「結局誰にとっても求めていたものを得られなくなる(可能性が高い)制度であることが最大の問題点だと思うのです。
であるならば、誰にとっても異論無く幸せになれそうなところから攻めていくのがスジというものではありませんか?

以前にも紹介しましたが、弁護士会などが進めているようなものを含めて紛争解決の第三者機関(ADR)を広めていく、さらには北欧型の広範な医療無過失補償制度を導入するあたりが最も異論が少ないのではないでしょうか。
加えて今のシステムでは医師免許停止などの行政処分は実質的に有罪判決が出た後で下される形になっていますが、この順序を逆にして医療側自身の手で悪質な同業者に対する処分を下していくシステムを考えるべきだと思いますね。
医療行為の正否を判断するのはあくまで医療専門家によるべきだし、司法に「売り渡す」のも感情的にどうかと言うのであれば、自ら率先して迅速かつ適切なペナルティーを課すシステムを立ち上げなければ社会的にも受容はされないでしょうから。

おおむね医師たる者、司法から「お前は犯罪者だ!」と言われるとカチンと来るものですが、同業の先達から「あんた全然駄目だね」と言われると結構納得してしまうものです(いわば条件反射でしょうか…)。
そのためには原因究明と再発防止のシステムであるべき医療事故調とは別に、最低限の「これは明らかに処分されても仕方ないだろ」と言うものを医療側専門家が迅速に審理する組織を用意するべきでしょうが、事故調と違ってこの場合は全ての真実を究明するが如き詳細さは必要ないと言うところがミソですね。
とにかく少しでも疑問がある症例はとりあえずさっさと調べ、絶対確実にクロというものだけに迅速に処分を下す、それが必要なマンパワーと患者側の「処罰感情」、そして医療側の「被処罰感情」との折り合いをつける落としどころではないでしょうか。

そして何より、一番の基本は患者や遺族の求めるところの「真実」に対して医療界がどれだけ真摯に応えられるかなのですが、最後に少しばかり意外と言っても良いニュースを紹介して終わりにしておきます。

患者さんのお医者さんに対する信頼度は何パーセント?

この度患者コミュニティサイトLifePaletteでは、Webマガジン ColoredDaysMagazineの企画として、患者さんとお医者さんの間に横たわる不信の実態を探るべく、主治医に対する信頼度アンケートを実施いたしました。アンケートは、がん患者さんを中心としたLifePaletteのアンケートパネル65名から寄せられた結果を収集・分析しています。
アンケートにお答えいただいた方の年齢層:20代(3%)、30代(12%)、40代(34%)、50代(30%)、60代(11%)、70代(5%)、無回答(5%)

■-------“主治医を自慢できる?”に対し、“はい”が7割弱-------■
「あなたは主治医を自慢できますか」という問いに対して、“はい”と回答した人は、全体の69パーセント、“いいえ”と回答した人は17パーセント、“わからない”2パーセント、無回答12パーセントという結果になりました。

主治医を自慢できると答えられた方は全体の7割近くおられ、世の中で言われるほどの医療不信は、主治医という対個人レベルでは、そこまで深刻かつ広範囲にみられるものではない、と感じられました。

■-------“お医者さんは大変”と心配する声が9割超-------■
また、「お医者さんは大変だなと思ったことはありますか?」という問いに対しては、“思ったことがある”が95パーセント、“思ったことがない”が3パーセント、無回答2パーセントという結果になり、9割を超える方が、お医者さんの業務に対して、忙しすぎる、休む暇がないようである、業務内容が多岐にわたる、などの声を寄せてくださいました。

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コメント

自信を持って主治医(外科医)を自慢できます!
彼が勤務医だった頃、とてもとてもハードワークでした。それでも一生懸命私たち患者のためにしていただいて、たいへん感謝しています。偽らざる気持ちです。(^^)

投稿: ふじくろ | 2008年11月16日 (日) 03時15分

どの業界でもまともな人間もいれば駄目な人間もいるのは仕方ないこと。
供給が極端に制限されて駄目人間も使わざるを得ない中で、まともでない人間ばかりとりあげて「この業界はこんな腐ってる!」なんてワイドショーごっこをやってみたところで何もいいことはないです。
まともな人間がちゃんとそれなりに報いられるような社会になってほしいですよホント。

投稿: 管理人nobu | 2008年11月16日 (日) 07時24分

上智大学の法科大学院長が教え子を強姦しようとした事件は日本の法曹界に衝撃を与えた事件だ。とっさに教え子が法科大学院長のヤイバをかいくぐってなんとか逃げ出したが、もう少しでこの女の子は一生を破壊されるところだった。そういえば東京大学法学部の教授が女の子のお尻にしゃぶりついて逮捕されたのはついこのあいだのことである。このように法学部の教授というものは元来凶暴な野獣であって、この強姦法科大学院長もスカートとパンティーを一挙に下ろして無理やりこの女子学生を裸にしている。司法試験委員でもあるこの教授によると、スカートとパンティーを一挙に下ろして強姦すれば司法試験に合格する。これが日本の法律だというのだから、こんな司法試験など受けたくもない。早稲田大学の教授もチカンの常習犯であるし、ポストと権力を振り回して何の罪もない国民を強姦し凌辱してきたのが日本の学者なのである。学者の言うことなど決して信用してはならない。

投稿: 法学部は暴力学部 | 2008年11月25日 (火) 15時59分

博士サマを学者ととらえるならば、医者の学者率って他業界より相当高いですからね…(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

投稿: 管理人nobu | 2008年11月25日 (火) 17時20分

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