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2008年10月 7日 (火)

みんな貧乏が悪いんやっ!

週明けからさらに一段と株価下落に拍車がかかっているようです。
世界恐慌の再現なんてことになってもらわないよう祈るしかないですが、特に震源地のあちらウォール街では色々と大騒ぎになっている様子。
今日はちょっと畑違いのそちら関連のニュースからはじめてみます。

【米金融危機】「なぜウチだけ…」リーマンCEO議会で恨み節

 【ワシントン=渡辺浩生】経営破綻した米証券大手リーマン・ブラザーズのファルド最高経営責任者(CEO)は6日、米下院公聴会で証言し、破綻に至った経営判断について「全責任が私にある」と述べた。ただ、その一方で、リーマン破綻翌日に当局の線引きで米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が救済されたことについ「なぜリーマンだけ救済されなかったのか」と恨み節も漏らした。

 先月15日の連邦破産法11条適用申請から3週間。ファルドCEOは、やつれた表情で「当時の情報に基づきとった判断と行動の全責任は私にある」と強調した。金融危機の引き金となり「会社に起きたことやその影響の大きさを考えると、恐ろしくなる」とも打ち明けた。

 しかし、AIG救済をめぐり、議員から「リーマンだけ救済されなかった正当な理由はあるか」と尋ねられると、ファルドCEOは「なぜ私たちだけだったのか分からない」と政府の線引きに疑問を呈した。

 さらに、リーマン破綻後に株価が急落した証券大手ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社化への移行を米連邦準備制度理事会(FRB)に認められたことについて、「そうした変化がもっと早かったら、リーマンには非常に大きな助けになっていたに違いない」と述べ、当局の支援策を受けていれば破綻が回避できたという認識を示した。

 下院監視・政府改革委員会はファルド氏の2000年以降の報酬を現金・株式合計で約4億8000万ドル(約504億円)という試算結果を発表。ファルド氏は「大半はリーマン株式でいまだ持っている。現金報酬は6000万ドルだと思う」と反論した。

しかし改めて見ると、あちらのお偉いさん達ってホント日本の感覚からするとあり得ないくらいにもらってますよねえ…

一度下院で否決された金融安定化法はようやく再可決されましたが、未だに選挙民たる国民からは「あんな高給取りの連中をなぜ庶民の金で助けないといけないんだ!」と議員達に不平不満の声が殺到しているとか。
まあ素朴な感情としてそういう感覚は十分に理解できるしわけですが、一方で例えば野球界トップクラスの選手のイチローたちが年俸何十億という世界にいるわけですから、金融界トップである人びとも同じように何十億の世界にいてもおかしくはないという考え方もあるわけです。

ただこの場合金融業界の住民達が留意すべきなのは、例えばメジャーでストライキをやったときの野球ファン達の冷めた目線ではないですかね。
別に希少な能力を発揮して稼ぐことに対して文句はないですが、それ相応の態度でもって自らに科せられた責任も果たしてもらわないといけないということでしょう。
トップが権力に見合った義務を果たさなければ下からそっぽを向かれるというのは、どこの業界でも全く同じことですからね。

といった前振りはそれくらいにしておいて、今日の本題はこちら。
微妙なニュアンスの違いを感じていただきたいので二つの記事を併記してみます。

タッチで対応迅速に 救急医療情報システム改良

 救急搬送における情報を集約、発信する大阪府内の救急医療情報システムが1日、リニューアルスタートした。
タッチパネル式入力専用端末などが導入され、医療現場では「より迅速に対応できるようになる」と期待の声が上がっている。
 同システムはインターネットを通じて、医療現場が空きベッドや対応医師の状況などを随時発信、救急隊が救急搬送に利用する。
これまで「リアルタイムの入力が困難」といった使いづらさが指摘されていた。
 リニューアルでは医療現場の大きな負担となっていた項目ごとの確認チェックなどを廃止。ボタン一つで
表示可能な登録を新設するなど、実用性を考え入力項目を整理、救急隊による携帯電話でのアクセスも可能とした。
 また、従来はパソコンを使っての操作だったが、タッチパネル式入力専用端末の導入により、立ち上げや入力にかかる手間を短縮。
10月1日現在で、全12の救命センターのほか二次告示病院や消防機関、行政機関などに計276台が設置された。
 大阪市中央区の「国立病院機構大阪医療センター 救命救急センター」では、担当の医師がタッチパネルを操作し
「簡単で非常に使いやすい」と評価。同センターの定光大海センター長は「今、大阪の救急医療は危機的な状況にあるが、
その問題点の一つが情報。これで100パーセント解決できるとは思わないが、改善につながる一つの要素として期待している」と話していた。

受け入れ病院、携帯で検索 大阪府、即時把握可能に

 大阪府は10月から、病院側が消防機関に提供する救急受け入れ態勢のデータを、患者を搬送する現場の救急隊員が携帯電話で検索できる新システムを稼働させた。

 病院の入力作業も簡略化。どの病院が患者の受け入れが可能か、従来のシステムよりリアルタイムでの把握が可能となり、府は“たらい回し”解消につなげたい考えだ。

 府によると、新システムは、各病院がタッチパネル式専用端末で「ベッドが満床になった」「当直の医師が別の診察で対応できなくなった」といった情報を入力。救急隊員は携帯電話からインターネットで空き病院を探す。一般の人はアクセスできない。

 これまでのシステムは救急車に専用端末を搭載する必要があった。システムが古く動作が遅い上に、治療中の患者数など入力項目が多すぎたという。このため病院側の更新が遅れがちで、救急隊からは「リアルタイムの状況が分からず役に立たない」との声が上がっていた。

何も知らずに記事を読んだ人は誤解するかも知れないので言っておきますが、大阪というところは日本救急医療発祥の地だけあって従来から救急医療が充実していまして、実際に救急搬送時間の全国ランキングでも上位なのです。
一方で大阪府と言えば財政破綻で知られており、はっきり言って無駄金を使う余裕などどこでもないわけなのです。
その大阪でですよ、またこうやって巨額の金を使って専用のシステムまで組む、これで救急医療も万々歳だ!ってあ~た、金もないのにまたハコモノだけ充実ですか…orz

この旗振りをしている連中は根本的な救急搬送の問題点が判っていないのでしょうか?
以前にも何度か書きましたが、救急の問題というのは現場のマンパワー不足とコスト、法的問題などなど多岐にわたっていますが、根本的には「受けることに何のメリットもないから誰もやりたがらない」ということに尽きるわけです。
これに対する抜本的対策というのは「頑張ってくれたらちゃんと見返りは用意するよ」と言う上の断固たる意志を現場に認めさせることであって、今いちばん金をかけるべきなのは役立たずの高価なおもちゃなんかじゃないでしょうよ。

想像するに今頃府内の公立病院では「救急受け入れの可否は医師にしか判断できない」とか何とか理由を付けて、こういう機械の操作も当直医の仕事ってことになってるんじゃないでしょうか。
国の医療政策でも往々にして見られることですが、現場がオーバーワークで息を切らしているのに更に現場に負荷をかける方向でしか対策できないというのは何と呼ぶべきなんですかねえ。
ほんと、上がアレだと下が苦労するってのはどこの世界でも同じことですよ。

それとも実は全ての問題点は理解していながら、人材よりもハードウェアに金を使いたい何かしらの理由でもあるというのでしょうかね…

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コメント

救急を受ける、受けないを完全に現場にまかしてくれたら、かえって楽です。
「当直」の身分なので、労働基準法遵守で救急は受けません。
堂々と受け入れ不能、と入力してさっさと寝ます。
実際は、こっちに相談もなく当直婦長が勝手に何でも受けてしまうんですけどね。

投稿: 浪速の勤務医 | 2008年10月 7日 (火) 13時42分

コメントありがとうございます。
状況に流され受け身に入ることをやめて、能動的に動くことにした途端に状況が激変するというのはよくあることです。
文句があるならあるで大声を出せばいい。自ら主張しない権利など誰からも保護されません。
医療従事者はもっと自己主張してよいのではないかと思います。

投稿: 管理人nobu | 2008年10月 8日 (水) 19時10分

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